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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-14
(45)【発行日】2023-07-25
(54)【発明の名称】部品実装装置およびノズル保持部材
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/04 20060101AFI20230718BHJP
【FI】
H05K13/04 A
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019160948
(22)【出願日】2019-09-04
(65)【公開番号】P2021040063
(43)【公開日】2021-03-11
【審査請求日】2022-03-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】岡田 篤史
【審査官】三宅 達
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/033401(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/163425(WO,A1)
【文献】特開2016-225517(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に部品を実装するヘッドと、
前記ヘッドに対して着脱可能な交換用のノズルを保持するノズル保持部材と、
基台の上面に設けられ、前記ノズル保持部材が着脱可能に取り付けられる取付部材とを備え、
前記ノズル保持部材は、
前記交換用のノズルが収容されるノズル収容孔が形成された保持部材本体と、
前記保持部材本体の上面に対してスライド移動可能に配置され、前記ノズル収容孔に収容されたノズルを前記ノズル収容孔から出ないようにする保持状態と前記ノズル収容孔に収容されたノズルを前記ノズル収容孔から取出可能な解除状態とに切替可能なシャッタ部材と、
前記ノズル保持部材が前記取付部材に取り付けられた取付状態および前記ノズル保持部材が前記取付部材から取り外された取外状態のいずれにおいても、前記シャッタ部材の前記保持状態、および、前記シャッタ部材の前記解除状態を維持する維持機構とを含み、
前記取付状態において、前記シャッタ部材が前記解除状態の位置に配置された場合に、前記取外状態への切り替えのための移動を規制するとともに、前記シャッタ部材が前記保持状態の位置に配置された場合に、前記取外状態への切り替えのための移動の規制を解除する移動規制部をさらに備える、部品実装装置。
【請求項2】
前記維持機構は、
前記ノズル保持部材に設けられ、前記取付状態および前記取外状態のいずれにおいても、前記シャッタ部材を付勢して前記保持状態および前記解除状態のいずれか一方に維持する付勢部材と、
前記ノズル保持部材に設けられ、前記取付状態および前記取外状態のいずれにおいても、前記付勢部材の付勢力に抗して、前記シャッタ部材を前記保持状態および前記解除状態のいずれか他方に維持する維持部材とを含む、請求項1に記載の部品実装装置。
【請求項3】
前記シャッタ部材は、
前記ノズル収容孔に収容される前記交換用のノズルに係合する係合部と、
前記係合部に隣接して設けられ、前記ノズル収容孔に収容される前記交換用のノズルが通過するノズル通過部とを有し、
前記維持機構は、前記取付状態および前記取外状態のいずれにおいても、前記ノズル収容孔に対応する位置に前記係合部を配置した前記シャッタ部材の前記保持状態、および、前記ノズル収容孔に対応する位置に前記ノズル通過部を配置した前記シャッタ部材の前記解除状態を維持するように構成されている、請求項1または2に記載の部品実装装置。
【請求項4】
前記ノズル保持部材は、前記保持部材本体の前記取付部材側に設けられる保持側係止部を含み、
前記取付部材は、
前記保持側係止部と係合する取付側係止部と、
前記保持側係止部と前記取付側係止部との係合を解除する係合解除部とを含み、
前記解除状態の際、前記保持側係止部と前記取付側係止部との係合を解除して前記取付状態から前記取外状態にする前記係合解除部の移動を規制するとともに、前記保持状態の際、前記保持側係止部と前記取付側係止部との係合を前記係合解除部の移動により解除させて前記取付状態から前記取外状態にす前記移動規制部をさらに備える、請求項1~3のいずれか1項に記載の部品実装装置。
【請求項5】
駆動源と、前記駆動源の駆動力を前記シャッタ部材に伝達し、前記シャッタ部材をスライド移動させる伝達部材とを含む移動機構をさらに備え、
前記係合解除部は、前記シャッタ部材のスライド方向および上下方向に直交する方向に延びる回転中心軸線回りに回動することにより、前記保持側係止部と前記取付側係止部との係合および係合の解除を行う解除レバーを有し、
前記移動規制部は、
前記伝達部材に設けられ、前記移動機構による前記シャッタ部材のスライド方向と同じ方向に移動するピンと、
前記解除レバーに形成され、前記ピンが挿入されている溝部とを含み、
前記溝部は、
前記解除状態に前記シャッタ部材が維持される場合、前記解除レバーが係合の解除方向へ回動した際に、前記ピンが当接して前記ピンの移動を規制する内面を有する第1部分と、
前記保持状態に前記シャッタ部材が維持されている場合、前記解除レバーが係合の解除方向へ回動した際に、前記ピンが進入して前記ピンの移動を可能にする第2部分とを有している、請求項4に記載の部品実装装置。
【請求項6】
前記シャッタ部材に設けられて前記シャッタ部材とともにスライド移動し、前記解除状態または前記保持状態のいずれかにおいて前記保持部材本体に当接する当接面と、前記シャッタ部材のスライド方向において、前記当接面よりも前記保持部材本体側とは反対側に配置され、前記付勢部材のうち前記保持部材本体側とは反対側の端部が支持される支持面とを含む当接部材をさらに備え、
前記維持部材は、前記保持部材本体に設けられ、前記当接部材の前記当接面を吸着することにより前記付勢部材の付勢力に抗して前記シャッタ部材の位置を維持する磁石を有し、
前記シャッタ部材は、前記付勢部材による前記支持面に対する付勢力によって、前記保持状態および前記解除状態のいずれか一方に維持されるとともに、前記磁石により前記当接面を吸着することによって、前記保持状態および前記解除状態の他方に維持される、請求項2に記載の部品実装装置。
【請求項7】
前記付勢部材は、引張バネにより構成され、
前記維持部材は、前記シャッタ部材に係合する先端部と、前記先端部を付勢する付勢部とを有するプランジャを有し、
前記シャッタ部材には、前記プランジャの前記先端部が係合する係合孔、および、前記プランジャの前記先端部の係合を解除する逃げ孔が形成され、
前記シャッタ部材は、前記プランジャの前記先端部が前記逃げ孔に挿入される場合に前記付勢部材の付勢力により前記保持状態に維持されるとともに、前記プランジャの前記先端部が前記係合孔に係合される場合に前記解除状態に維持されるように構成されている、請求項2に記載の部品実装装置。
【請求項8】
前記付勢部材は、引張バネにより構成され、
前記維持部材は、前記シャッタ部材に吸着する磁石を有し、
前記シャッタ部材には、前記磁石の吸着を解除する逃げ孔が形成され、
前記シャッタ部材は、前記磁石が前記逃げ孔の位置に配置される場合に前記付勢部材の付勢力により前記保持状態に維持されるとともに、前記磁石が前記シャッタ部材を吸着する場合に前記解除状態に維持されるように構成されている、請求項2に記載の部品実装装置。
【請求項9】
基板に部品を実装するヘッドに対して着脱可能な交換用のノズルを保持するノズル保持部材であって、
前記交換用のノズルが収容されるノズル収容孔が形成された保持部材本体と、
前記保持部材本体の上面に対してスライド移動可能に配置され、前記ノズル収容孔に収容されたノズルを前記ノズル収容孔から出ないようにする保持状態と前記ノズル収容孔に収容されたノズルを前記ノズル収容孔から取出可能な解除状態とに切替可能なシャッタ部材と、
前記ノズル保持部材が着脱可能に取り付けられる取付部材に前記ノズル保持部材が取り付けられた取付状態および前記ノズル保持部材が前記取付部材から取り外された取外状態のいずれにおいても、前記シャッタ部材の前記保持状態、および、前記シャッタ部材の前記解除状態を維持する維持機構とを備え
前記取付状態において、前記シャッタ部材が前記解除状態の位置に配置された場合に、前記取外状態への切り替えのための移動を規制するとともに、前記シャッタ部材が前記保持状態の位置に配置された場合に、前記取外状態への切り替えのための移動の規制を解除する移動規制部により、前記取付部材からの取り外しが規制される、ノズル保持部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、部品実装装置およびノズル保持部材に関し、特に、ヘッドに対して着脱可能な交換用のノズルを保持する部品実装装置およびノズル保持部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ヘッドに対して着脱可能な交換用のノズルを保持する部品実装装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、ヘッドに対して着脱可能な交換用の吸着ノズル(ノズル)を保持する表面実装機(部品実装装置)が開示されている。表面実装機は、基台と、ノズルストッカとを備えている。ノズルストッカは、基台に固定されている。
【0004】
上記特許文献1のノズルストッカは、交換用の吸着ノズルを保持する保持状態と、交換用の吸着ノズルの保持を開放する開放状態とを切替可能に構成されている。具体的には、ノズルストッカは、ストッカ本体と、シャッタ部材とを含んでいる。ストッカ本体には、ヘッドに装着される交換用の吸着ノズルを収容するノズル収容孔が形成されている。シャッタ部材は、ストッカ本体の上面をスライド移動可能に構成されている。
【0005】
上記特許文献1のシャッタ部材は、一方向へスライド移動することにより、ノズル収容孔に収容された吸着ノズルを保持するように構成されている。シャッタ部材は、他方向へスライド移動することにより、ノズル収容孔に収容された吸着ノズルの保持を開放するように構成されている。
【0006】
上記特許文献1の表面実装機では、作業者がノズル交換治具を用いて交換用の吸着ノズルをノズルストッカのノズル収容孔に収容している。すなわち、作業者は、まず、吸着ノズルのうちノズルストッカのノズル収容孔に収容される部分よりも上側の部分を、ノズル交換治具に配置する。作業者は、ノズル交換治具をノズルストッカに取り付けることにより、交換用の吸着ノズルをノズルストッカのノズル収容孔に挿入する。ここで、ノズルストッカにおいて、シャッタ部材を一方向へスライド移動させてすることによって、ノズル収容孔に収容された吸着ノズルをシャッタ部材により保持させる。作業者は、シャッタ部材により吸着ノズルを保持させた状態で、ノズル交換治具をノズルストッカから取り外す。これにより、交換用の吸着ノズルがノズルストッカのノズル収容孔に収容される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】国際公開第2018/163425号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献1の表面実装機では、作業者によりノズル交換治具に交換用の吸着ノズルを配置した後、作業者によりノズル交換治具を用いてノズルストッカのノズル収容孔に交換用の吸着ノズルを収容させて交換用の吸着ノズルを表面実装機に配置する。このため、交換用の吸着ノズルをノズル交換治具に配置する作業が必要な分だけ、交換用の吸着ノズルの表面実装機への配置作業が煩雑になる。そこで、上記特許文献1に開示されたような従来の表面実装機では、交換用の吸着ノズル(ノズル)の表面実装機(部品実装装置)への配置作業を容易に行えることが望まれている。
【0009】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、交換用のノズルの部品実装装置への配置作業を容易に行うことが可能な部品実装装置およびのノズル保持部材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、この発明の第1の局面における部品実装装置は、基板に部品を実装するヘッドと、ヘッドに対して着脱可能な交換用のノズルを保持するノズル保持部材と、基台の上面に設けられ、ノズル保持部材が着脱可能に取り付けられる取付部材とを備え、ノズル保持部材は、交換用のノズルが収容されるノズル収容孔が形成された保持部材本体と、保持部材本体の上面に対してスライド移動可能に配置され、ノズル収容孔に収容されたノズルをノズル収容孔から出ないようにする保持状態とノズル収容孔に収容されたノズルをノズル収容孔から取出可能な解除状態とに切替可能なシャッタ部材と、ノズル保持部材が取付部材に取り付けられた取付状態およびノズル保持部材が取付部材から取り外された取外状態のいずれにおいても、シャッタ部材の保持状態、および、シャッタ部材の解除状態を維持する維持機構とを含み、取付状態において、シャッタ部材が解除状態の位置に配置された場合に、取外状態への切り替えのための移動を規制するとともに、シャッタ部材が保持状態の位置に配置された場合に、取外状態への切り替えのための移動の規制を解除する移動規制部をさらに備える
【0011】
この発明の第1の局面による部品実装装置には、上記のように、ノズル保持部材と、取付部材とを設ける。そして、ノズル保持部材に、ノズル保持部材が取付部材に取り付けられた取付状態およびノズル保持部材が取付部材から取り外された取外状態のいずれにおいても、保持部材本体の上面に対してスライド移動することによりノズル収容孔に収容されたノズルの保持または保持の解除をするシャッタ部材の保持状態、および、シャッタ部材の解除状態を維持する維持機構を設ける。これにより、維持機構によりシャッタ部材を解除状態に維持させて、作業者によりノズルをノズル保持部材に配置した後、維持機構によりシャッタ部材を保持状態に切り替えることにより、取付状態だけでなく取外状態においても、交換用のノズルをノズル保持部材に保持させることができる。また、取外状態の場合、交換用のノズルをノズル保持部材に保持させた後、作業者によりノズル保持部材を取付部材にそのまま取り付けることができる。すなわち、交換用のノズルをノズル交換治具に配置する作業を行うことなく、交換用のノズルの部品実装装置への配置作業を行うことができる。これらの結果、取付状態だけでなく取外状態においても、作業者による交換用のノズルの部品実装装置への配置作業を容易に行うことができる。
【0012】
上記第1の局面による部品実装装置において、好ましくは、維持機構は、ノズル保持部材に設けられ、取付状態および取外状態のいずれにおいても、シャッタ部材を付勢して保持状態および解除状態のいずれか一方に維持する付勢部材と、ノズル保持部材に設けられ、取付状態および取外状態のいずれにおいても、付勢部材の付勢力に抗して、シャッタ部材を保持状態および解除状態のいずれか他方に維持する維持部材とを含む。このように構成すれば、付勢部材により生じる一方向への付勢力に対して抗する構造を有する維持部材を設ければよいので、維持機構の構造を簡易にすることができる。その結果、ノズル保持部材の構造の複雑化を抑制することができる。
【0013】
上記第1の局面による部品実装装置において、好ましくは、シャッタ部材は、ノズル収容孔に収容される交換用のノズルに係合する係合部と、係合部に隣接して設けられ、ノズル収容孔に収容される交換用のノズルが通過するノズル通過部とを有し、維持機構は、取付状態および取外状態のいずれにおいても、ノズル収容孔に対応する位置に係合部を配置したシャッタ部材の保持状態、および、ノズル収容孔に対応する位置にノズル通過部を配置したシャッタ部材の解除状態を維持するように構成されている。このように構成すれば、ノズル収容孔に対応する位置に、シャッタ部材に設けられた係合部を配置するだけで、取付状態および取外状態のいずれにおいても、交換用のノズルをノズル保持部材により容易に保持することができる。また、ノズル収容孔に対応する位置に、ノズル通過部を配置するだけで、取付状態および取外状態のいずれにおいても、交換用のノズルをノズル保持部材により保持した状態を容易に解除することができる。これらの結果、交換用のノズルのノズル保持部材への保持または保持の解除を切替可能な構造を簡易な構造にすることができる。
【0014】
上記第1の局面による部品実装装置において、好ましくは、ノズル保持部材は、保持部材本体の取付部材側に設けられる保持側係止部を含み、取付部材は、
保持側係止部と係合する取付側係止部と、保持側係止部と取付側係止部との係合を解除する係合解除部とを含み、解除状態の際、保持側係止部と取付側係止部との係合を解除して取付状態から取外状態にする係合解除部の移動を規制するとともに、保持状態の際、保持側係止部と取付側係止部との係合を係合解除部の移動により解除させて取付状態から取外状態にする移動規制部をさらに備える。このように構成すれば、シャッタ部材によりノズルを保持した保持状態でなければ、取付部材からノズル保持部材を取り外すことができない。その結果、取付部材からノズル保持部材を取り外す際、ノズル保持部材からノズルが脱落することを抑制することができる。
【0015】
この場合、好ましくは、駆動源と、駆動源の駆動力をシャッタ部材に伝達し、シャッタ部材をスライド移動させる伝達部材とを含む移動機構をさらに備え、係合解除部は、シャッタ部材のスライド方向および上下方向に直交する方向に延びる回転中心軸線回りに回動することにより、保持側係止部と取付側係止部との係合および係合の解除を行う解除レバーを有し、移動規制部は、伝達部材に設けられ、移動機構によるシャッタ部材のスライド方向と同じ方向に移動するピンと、解除レバーに形成され、ピンが挿入されている溝部とを含み、溝部は、解除状態にシャッタ部材が維持される場合、解除レバーが係合の解除方向へ回動した際に、ピンが当接してピンの移動を規制する内面を有する第1部分と、保持状態にシャッタ部材が維持されている場合、解除レバーが係合の解除方向へ回動した際に、ピンが進入してピンの移動を可能にする第2部分とを有している。このように構成すれば、伝達部材に設けられたピンを解除レバーに形成された溝部に配置するだけで、シャッタ部材によりノズルを保持した保持状態でなければ、取付部材からノズル保持部材を取り外すことができないようにすることができる。その結果、簡易な構造の移動規制部により、取付部材からノズル保持部材を取り外す際、ノズル保持部材からノズルが脱落することを抑制することができる。
【0016】
上記維持機構が維持部材を含む構成の部品実装装置において、好ましくは、シャッタ部材に設けられてシャッタ部材とともにスライド移動し、解除状態または保持状態のいずれかにおいて保持部材本体に当接する当接面と、シャッタ部材のスライド方向において、当接面よりも保持部材本体側とは反対側に配置され、付勢部材のうち保持部材本体側とは反対側の端部が支持される支持面とを含む当接部材をさらに備え、維持部材は、保持部材本体に設けられ、当接部材の当接面を吸着することにより付勢部材の付勢力に抗してシャッタ部材の位置を維持する磁石を有し、シャッタ部材は、付勢部材による支持面に対する付勢力によって、保持状態および解除状態のいずれか一方に維持されるとともに、磁石により当接面を吸着することによって、保持状態および解除状態の他方に維持される。このように構成すれば、当接部材に対する付勢部材の付勢力および磁石の吸着力を利用して、シャッタ部材の保持状態および解除状態のいずれかに維持することができるので、ノズル保持部材を簡易な構造にすることができる。
【0017】
上記維持機構が維持部材を含む構成の部品実装装置において、好ましくは、付勢部材は、引張バネにより構成され、維持部材は、シャッタ部材に係合する先端部と、先端部を付勢する付勢部とを有するプランジャを有し、シャッタ部材には、プランジャの先端部が係合する係合孔、および、プランジャの先端部の係合を解除する逃げ孔が形成され、シャッタ部材は、プランジャの先端部が逃げ孔に挿入される場合に付勢部材の付勢力により保持状態に維持されるとともに、プランジャの先端部が係合孔に係合される場合に解除状態に維持されるように構成されている。このように構成すれば、当接部材に対する付勢部材の付勢力と、プランジャの係合力とを利用して、シャッタ部材の保持状態および解除状態のいずれかに維持することができるので、ノズル保持部材を簡易な構造にすることができる。
【0018】
上記維持機構が維持部材を含む構成の部品実装装置において、好ましくは、付勢部材は、引張バネにより構成され、維持部材は、シャッタ部材に吸着する磁石を有し、シャッタ部材には、磁石の吸着を解除する逃げ孔が形成され、シャッタ部材は、磁石が逃げ孔の位置に配置される場合に付勢部材の付勢力により保持状態に維持されるとともに、磁石がシャッタ部材を吸着する場合に解除状態に維持されるように構成されている。このように構成すれば、当接部材に対する付勢部材の付勢力と、磁石の吸着力とを利用して、シャッタ部材の保持状態および解除状態のいずれかに維持することができるので、ノズル保持部材を簡易な構造にすることができる。
【0019】
この発明の第2の局面におけるノズル保持部材は、基板に部品を実装するヘッドに対して着脱可能な交換用のノズルを保持するノズル保持部材であって、交換用のノズルが収容されるノズル収容孔が形成された保持部材本体と、保持部材本体の上面に対してスライド移動可能に配置され、ノズル収容孔に収容されたノズルをノズル収容孔から出ないようにする保持状態とノズル収容孔に収容されたノズルをノズル収容孔から取出可能な解除状態とに切替可能なシャッタ部材と、ノズル保持部材が着脱可能に取り付けられる取付部材にノズル保持部材が取り付けられた取付状態およびノズル保持部材が取付部材から取り外された取外状態のいずれにおいても、シャッタ部材の保持状態、および、シャッタ部材の解除状態を維持する維持機構とを備え、取付状態において、シャッタ部材が解除状態の位置に配置された場合に、取外状態への切り替えのための移動を規制するとともに、シャッタ部材が保持状態の位置に配置された場合に、取外状態への切り替えのための移動の規制を解除する移動規制部により、取付部材からの取り外しが規制される。
【0020】
この発明の第2の局面によるノズル保持部材には、上記のように、ノズル保持部材に、ノズル保持部材が取付部材に取り付けられた取付状態およびノズル保持部材が取付部材から取り外された取外状態のいずれにおいても、シャッタ部材の保持状態、および、シャッタ部材の解除状態を維持する維持機構を設ける。これにより、維持機構によりシャッタ部材を解除状態に維持させて、作業者によりノズルをノズル保持部材に配置した後、維持機構によりシャッタ部材を保持状態に切り替えることにより、取付状態だけでなく取外状態においても、交換用のノズルをノズル保持部材に保持させることができる。また、交換用のノズルをノズル保持部材に保持させた後、作業者によりノズル保持部材を取付部材にそのまま取り付けることができる。すなわち、交換用のノズルをノズル交換治具に配置する作業を行うことなく、交換用のノズルの部品実装装置への配置作業を行うことができる。これらの結果、取付状態だけでなく取外状態においても、作業者による交換用のノズルの部品実装装置への配置作業を容易に行うことが可能なノズル保持部材を得ることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、上記のように、交換用のノズルの部品実装装置への配置作業を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】第1~第3実施形態による部品実装装置の概略を示した平面図である。
図2】第1~第3実施形態による部品実装装置の概略を示した正面図である。
図3図1のZ部分に配置されたノズル保持部材が取付部材に取り付けられた取付状態である場合を示した模式的な正面図である。
図4図1のZ部分に配置されたノズル保持部材が取付部材から取り外された取外状態である場合を示した模式的な正面図である。
図5図5(A)は第1実施形態によるノズル保持部材の保持状態を示した平面図である。図5(B)は第1実施形態によるノズル保持部材の解除状態を示した平面図である。
図6図5(A)の101-101線に沿った断面図である。
図7図5(B)の102-102線に沿った断面図である。
図8図5(A)の103-103線に沿った断面図である。
図9図5(B)の104-104線に沿った断面図である。
図10】第1実施形態によるノズル保持部材を取付部材に取り付けた取付状態のX1方向側の端部の状態を示した正面図である。
図11】第1実施形態によるノズル保持部材を取付部材に取り付けた取付状態のX2方向側の端部の状態を示した正面図である。
図12】第1実施形態によるノズル保持部材を取付部材から取り外した取外状態のX2方向側の端部の状態を示した正面図である。
図13】第1実施形態によるノズル保持部材を取付部材から取り外した取外状態のX1方向側の端部の状態を示した正面図である。
図14】第2実施形態によるノズル保持部材の保持状態を示した平面図である。
図15】第2実施形態によるノズル保持部材の解除状態を示した平面図である。
図16図14の201-201線に沿った断面図である。
図17図15の202-202線に沿った断面図である。
図18図14の203-203線に沿った断面図である。
図19図15の204-204線に沿った断面図である。
図20】第3実施形態によるノズル保持部材の保持状態を示した平面図である。
図21】第3実施形態によるノズル保持部材の解除状態を示した平面図である。
図22図20の301-301線に沿った断面図である。
図23図21の302-302線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0024】
[第1実施形態]
図1図13を参照して、第1実施形態による部品実装装置100の構成について説明する。
【0025】
図1および図2に示すように、部品実装装置100は、IC、トランジスタ、コンデンサおよび抵抗などの電子部品Eをプリント基板などの基板Mに実装するように構成されている。なお、電子部品Eは、特許請求の範囲の「部品」の一例である。
【0026】
ここで、部品実装装置100において、基板Mを搬送する搬送方向をX1方向とし、基板Mを搬送する搬送方向の逆方向をX2方向とし、X1方向およびX2方向を合わせた方向をX方向とする。また、水平方向のうちのX方向に直交する方向をY方向とし、Y方向の一方をY1方向とし、Y方向の他方をY2方向とする。また、X方向およびY方向に直交する上下方向をZ方向(上下方向)とし、Z方向の一方をZ1方向(上方向)とし、Z方向の他方をZ2方向(下方向)とする。
【0027】
部品実装装置100は、基台1と、基板搬送部2と、支持部3と、レール部4と、ヘッドユニット5と、部品認識カメラ6と、基板認識カメラ7と、ノズル保持部材8と、当接部材9(図3参照)と、取付部材10(図3参照)と、移動機構11(図3参照)と、移動規制部12(図3参照)とを備えている。
【0028】
(基台)
基台1は、部品実装装置100において各構成要素を配置する基礎となる台である。基台1上には、構成要素として、基板搬送部2、レール部4、部品認識カメラ6および取付部材10が設けられている。また、基台1には、Y方向の両側(Y1方向側およびY2方向側)に、複数のテープフィーダ13を配置可能なフィーダ配置部1aが設けられている。
【0029】
(基板搬送部)
基板搬送部2は、部品実装装置100の外部から基板Mを搬入し、基板Mを搬送方向(X1方向)に搬送するように構成されている。基板搬送部2は、一対のコンベア部2aと、一対のコンベア部2aを回転駆動させるための駆動モータ(図示せず)とを含んでいる。一対のコンベア部2aの各々は、プーリ(図示せず)と、プーリに掛け回された輪状の搬送ベルトとを有している。
【0030】
(支持部)
支持部3は、レール部4に複数(2個)配置されているが、両方とも同じ構造であるのでY1方向側の支持部3についてのみ説明を行う。
【0031】
支持部3は、ヘッドユニット5をX方向に移動可能に支持するように構成されている。具体的には、支持部3は、X方向に延びるボールねじ軸3aと、ボールねじ軸3aを回転させるX軸モータ3bとを含んでいる。ヘッドユニット5には、支持部3のボールねじ軸3aと係合するボールナット(図示せず)が設けられている。ヘッドユニット5は、X軸モータ3bによりボールねじ軸3aが回転されることにより、ボールねじと係合するボールナットとともに、X方向に移動可能に構成されている。なお、支持部3は、X軸モータ3bを駆動源として回転するボールねじ軸3aにより構成されのではなく、リニアモータにより構成されてもよい。
【0032】
(レール部)
レール部4は、支持部3をY方向に移動可能に支持するように構成されている。具体的には、レール部4は、リニアモータにより構成されている。すなわち、レール部4は、固定子4aと、可動子4bと、ガイドレール(図示せず)とを含んでいる。つまり、レール部4は、固定子4aと可動子4bとの間の引力および斥力を制御して可動子4bにY方向の駆動力を発生させることにより、ガイドレールに沿って支持部3をY方向に移動させるように構成されている。なお、レール部4は、リニアモータにより構成されるのではなく、Y軸モータを駆動源として回転するボールねじ軸により構成されてもよい。
【0033】
このような構成により、ヘッドユニット5は、基台1上を水平面内で(X方向およびY方向に)移動可能に構成されている。
【0034】
(ヘッドユニット)
図2に示すように、ヘッドユニット5は、部品実装用のヘッドユニット5であり、基板MのZ1方向(上方)を移動するとともに基板Mに対して所定の作業(実装作業)を行うように構成されている。つまり、ヘッドユニット5は、作業位置において固定された基板Mに電子部品Eを実装するように構成されている。
【0035】
具体的には、ヘッドユニット5は、実装ヘッド5aを含んでいる。実装ヘッド5aは、電子部品Eを保持するとともに、基板M上の目標搭載位置(図示せず)に電子部品Eを実装するように構成されている。実装ヘッド5aは、X方向に一列に複数(4個)並んで配置されている。なお、実装ヘッド5aは、特許請求の範囲の「ヘッド」の一例である。
【0036】
複数の実装ヘッド5aは、各々、圧力発生装置(図示せず)に接続されており、圧力発生装置により生じる負圧によって、先端に取り付けられた(装着された)ノズル5bに電子部品Eを保持(吸着)可能に構成されている。また、複数の実装ヘッド5aは、各々、圧力発生装置による負圧を正圧に切り換えることによって、電子部品Eを基板Mに実装(搭載)可能に構成されている。
【0037】
複数の実装ヘッド5aは、各々、Z軸モータ5cによりZ方向(上下方向)に移動可能に構成されている。また、複数の実装ヘッド5aは、各々、R軸モータ(図示せず)により回転軸回りに回転可能に構成されている。
【0038】
(部品認識カメラ)
部品認識カメラ6は、基板Mへの電子部品Eの実装に先立ってノズル5bに保持(吸着)された電子部品Eを撮像する部品撮像用のカメラである。部品認識カメラ6は、基台1上に固定されており、電子部品Eの下方(Z2方向)から、ノズル5bに保持(吸着)された電子部品Eを撮像するように構成されている。
【0039】
(基板認識カメラ)
基板認識カメラ7は、実装ヘッド5aに取り付けられ、基板Mへの電子部品Eの実装に先立って、基板Mの上面に付されたフィデューシャルマーク(図示せず)を撮像するマーク撮像用のカメラである。フィデューシャルマークは、基板Mの位置を確認するためのマークである。
【0040】
(ノズル保持部材)
図3および図4に示すように、ノズル保持部材8は、実装ヘッド5aに対して着脱可能な交換用のノズル5bを保持するように構成されている。詳細には、本実施形態のノズル保持部材8は、取付部材10とは独立した状態で交換用のノズル5bの保持状態H1(図5(A)参照)および解除状態H2(図5(B)参照)を切替可能であるとともに、取付部材10に取り付けられた状態で交換用のノズル5bの保持状態H1および解除状態H2を切替可能であるように構成されている。
【0041】
ここで、ノズル保持部材8および取付部材10の組は、基台1上に4個配置されているが、どれも同じ構造を有しているので、Z部分に配置されたノズル保持部材8および取付部材10の組について説明する。
【0042】
具体的には、ノズル保持部材8は、シャッタ部材81と、移動規制部材82と、保持部材本体83と、維持機構84と、保持側係止部85とを含んでいる。
【0043】
シャッタ部材81は、図5(A)および図5(B)に示すように、X方向に長い長方形状の平板形状を有している。シャッタ部材81は、保持部材本体83の上面183a(図6参照)に対してスライド移動可能に配置され、ノズル5bを保持状態H1と解除状態H2とに切替可能に構成されている。すなわち、シャッタ部材81は、X方向のうちの一方向(X1方向)にスライド移動することにより、ノズル5bを保持状態H1にするとともに、X方向のうちの他方向(X2方向)にスライド移動することにより、ノズル5bを解除状態H2にするように構成されている。
【0044】
ここで、保持状態H1とは、ノズル収容孔83b(図6参照)に収容されたノズル5bをノズル収容孔83bから出ないようにする状態を示す。解除状態H2とは、保持状態H1とノズル収容孔83bに収容されたノズル5bをノズル収容孔83b(図7参照)から取出可能な状態を示す。
【0045】
具体的には、シャッタ部材81は、ノズル挿通孔81aと、ノズル通過部81bと、係合部81cとを有している。
【0046】
ノズル挿通孔81aは、X方向に長い長孔形状を有している。ノズル挿通孔81aは、シャッタ部材81をZ方向に貫通している。ノズル挿通孔81aの内面には、複数の凹凸が形成されている。
【0047】
図5(A)および図6に示すように、ノズル挿通孔81aの内面の凸部分は、係合部81cである。係合部81cは、ノズル収容孔83bに収容される交換用のノズル5bに係合するように構成されている。詳細には、係合部81cは、ノズル収容孔83bに収容された交換用のノズル5bのフランジ部分51bのZ1方向側の面に係合する位置に配置されている。Y方向において、ノズル挿通孔81aの内面の係合部81c同士の間隔は、ノズル収容孔83bに収容される交換用のノズル5bのフランジ部分51bの直径よりも小さい。
【0048】
図5(B)および図7に示すように、ノズル挿通孔81aの内面の凹部分は、ノズル通過部81bである。ノズル通過部81bは、貫通孔により構成されている。ノズル通過部81bは、係合部81cに隣接して設けられ、ノズル収容孔83bに収容される交換用のノズル5bが通過するように構成されている。詳細には、ノズル通過部81bは、ノズル収容孔83bに収容された交換用のノズル5bのフランジ部分51bのZ1方向側の位置に配置されている。Y方向において、ノズル通過部81bの幅は、ノズル収容孔83bに収容される交換用のノズル5bのフランジ部分51bの直径よりも大きい。
【0049】
移動規制部材82は、シャッタ部材81のZ1方向(上方向)への移動を規制するように構成されている。すなわち、移動規制部材82の一部が、シャッタ部材81のZ1方向側の面に係合する位置に配置されている。
【0050】
具体的には、移動規制部材82は、Z方向に沿った断面形状が略L字状の平板形状を有している。移動規制部材82は、Y方向に並ぶ一対の平板により構成されている。移動規制部材82の下部は、保持部材本体83に固定されている。移動規制部材82のZ1方向側(上方向側)の部分は、Y方向において、シャッタ部材81の中央側に向かって突出している。
【0051】
図7および図8に示すように、保持部材本体83は、シャッタ部材81、移動規制部材82、維持機構84および保持側係止部85を配置可能に構成されている。具体的には、保持部材本体83は、ブロック状に形成されている。
【0052】
保持部材本体83には、シャッタ部材81を配置するために、Z1方向側の上面183aをZ2方向(下方向)に窪ませた収容凹部83aが形成されている。保持部材の本体のY1方向側の側面には、一対の移動規制部材82の一方が固定されている。保持部材の本体のY2方向側の側面には、一対の移動規制部材82の他方が固定されている。保持部材の本体のX2方向側の側面には、維持機構84の磁石84bが埋め込まれている。保持部材の本体のZ2方向側の底面には、保持側係止部85が取り付けられている。
【0053】
保持部材本体83は、交換用のノズル5bを保持可能に構成されている。具体的には、保持部材本体83には、交換用のノズル5bが収容されるノズル収容孔83bが形成されている。ノズル収容孔83bは、保持部材本体83の収容凹部83aの上面183aをZ2方向に窪ませて形成されている。ノズル収容孔83bは、Z1方向側の端部に、ノズル5bのフランジ部分51bを支持する支持部83cを有している。Z方向に直交する方向において、支持部83cの直径は、ノズル収容孔83bの支持部83cよりもZ2方向側の部分の直径よりも大きい。Z方向において、ノズル収容孔83bの支持部83cよりもZ2方向側の部分の深さは、交換用のノズル5bのフランジ部分51bよりもZ2方向側の部分の長さよりも深い。
【0054】
図8および図9に示すように、維持機構84は、ノズル保持部材8が取付部材10に取り付けられた取付状態A1およびノズル保持部材8が取付部材10から取り外された取外状態A2のいずれにおいても、シャッタ部材81の保持状態H1、および、シャッタ部材81の解除状態H2を維持するように構成されている。ここで、維持機構84は、移動機構11によるシャッタ部材81の保持状態H1および解除状態H2の維持とは別個に、シャッタ部材81の保持状態H1および解除状態H2を維持するように構成されている。
【0055】
具体的には、維持機構84は、付勢部材84aと、磁石84bとを有している。なお、磁石84bは、特許請求の範囲の「維持部材」の一例である。
【0056】
付勢部材84aは、ノズル保持部材8に設けられ、取付状態A1および取外状態A2のいずれにおいても、シャッタ部材81を付勢して保持状態H1および解除状態H2のいずれか一方に維持するように構成されている。具体的には、付勢部材84aは、圧縮バネにより構成されている。付勢部材84aは、X方向のうち保持部材本体83から離れる方向(X2方向)に付勢するように構成されている。
【0057】
磁石84bは、ノズル保持部材8に設けられ、取付状態A1および取外状態A2のいずれにおいても、付勢部材84aの付勢力に抗して、シャッタ部材81を保持状態H1および解除状態H2のいずれか他方に維持するように構成されている。すなわち、磁石84bは、保持部材本体83に設けられ、当接部材9の後述する当接面9aを吸着することにより付勢部材84aの付勢力に抗してシャッタ部材81の位置を維持するように構成されている。
【0058】
詳細には、磁石84bは、当接部材9を付勢部材84aの付勢方向とは逆方向への吸着力を生じさせることにより、シャッタ部材81に取り付けられた当接部材9への付勢部材84aの付勢力に抗して、シャッタ部材81の位置を維持している。この際、磁石84bは、取付状態A1および取外状態A2のいずれにおいても、ノズル収容孔83bに対応する位置に係合部81cを配置したシャッタ部材81の保持状態H1(図6参照)、および、ノズル収容孔83bに対応する位置にノズル通過部81bを配置したシャッタ部材81の解除状態H2(図7参照)を維持するように構成されている。
【0059】
磁石84bは、シャッタ部材81のスライド方向(X方向)において、保持部材本体83の当接部材9側の端部に配置されている。磁石84bは、シャッタ部材81のスライド方向(X方向)および上下方向に直交する方向(Y方向)において、保持部材本体83の当接部材9側の両端部に配置されている。磁石84bは、保持部材本体83の当接部材9側の両端部に締結部材により固定されている。
【0060】
保持側係止部85は、ノズル保持部材8を取付部材10に取り付けるために設けられている。保持側係止部85は、シャッタ部材81のスライド方向(X方向)において、保持部材本体83の中央側から外側に突出する爪状に形成されている。保持側係止部85は、保持部材本体83の取付部材10側に設けられている。保持側係止部85は、シャッタ部材81のスライド方向(X方向)において、保持部材本体83の両端部に配置されている。保持側係止部85は、保持部材本体83の当接部材9側の両端部に締結部材により固定されている。
【0061】
当接部材9は、保持部材本体83に当接するように構成されている。すなわち、当接部材9は、シャッタ部材81の移動に伴って移動し、保持部材本体83に当接するように構成されている。具体的には、当接部材9は、シャッタ部材81に設けられてシャッタ部材81とともにスライド移動し、解除状態H2または保持状態H1のいずれかにおいて保持部材本体83に当接する当接面9aを含んでいる。当接面9aは、シャッタ部材81のスライド方向(X方向)において、当接部材9の保持部材本体83側の端面である。また、当接部材9は、シャッタ部材81のスライド方向(X方向)において、当接面9aよりも保持部材本体83側とは反対側に配置され、付勢部材84aのうち保持部材本体83側とは反対側の端部が支持される支持面9bを含んでいる。支持面9bは、保持部材本体83側から当接部材9に向かう方向に付勢部材84aにより付勢されている。
【0062】
また、当接部材9は、磁石84bに吸着可能に構成されている。具体的には、当接部材9は、磁性体(たとえば、鉄、フェライト系ステンレス鋼およびマルテンサイト系ステンレス鋼など)により形成されている。
【0063】
このように、シャッタ部材81は、付勢部材84aによる支持面9bに対する付勢力によって、保持状態H1および解除状態H2のいずれか一方に維持されるとともに、磁石84bにより当接面9aを吸着することによって、保持状態H1および解除状態H2の他方に維持される。具体的には、シャッタ部材81は、付勢部材84aによる支持面9bに対する付勢力によって、解除状態H2(図5(A)参照)に維持されている。また、シャッタ部材81は、磁石84bにより当接面9aを吸着することによって、保持状態H1(図5(B)参照)に維持されている。
【0064】
(取付部材)
図10および図11に示すように、取付部材10は、ノズル保持部材8を基台1に取り付けるように構成されている。すなわち、取付部材10は、基台1の上面に設けられ、ノズル保持部材8が着脱可能に取り付けられるように構成されている。具体的には、取付部材10は、取付部材本体10aと、取付側係止部10bと、係合解除部10cとを含んでいる。
【0065】
取付部材本体10aは、基台1に取り付けられている。取付部材本体10aには、取付側係止部10bおよび係合解除部10cが取り付けられている。
【0066】
取付側係止部10bは、取付部材10にノズル保持部材8を保持するために設けられている。取付側係止部10bは、保持側係止部85と係止するように構成されている。取付側係止部10bは、シャッタ部材81のスライド方向(X方向)において、保持部材本体83の中央側に向かって突出する爪状に形成されている。取付側係止部10bは、取付部材本体10aのノズル保持部材8側に設けられている。取付側係止部10bは、シャッタ部材81のスライド方向(X方向)において、取付部材10の両端部に配置されている。取付側係止部10bは、取付部材本体10aの当接部材9側の端部に回転中心軸線C1回りに回動可能に軸支されている。取付側係止部10bは、取付部材本体10aの当接部材9とは反対側の端部に固定されている。
【0067】
係合解除部10cは、保持側係止部85と取付側係止部10bとの係合を解除するように構成されている。具体的には、係合解除部10cは、解除レバー110cと、付勢部材111cとを有している。
【0068】
解除レバー110cは、シャッタ部材81のスライド方向(X方向)および上下方向に直交する方向(Y方向)に延びる回転中心軸線C1回りに回動することにより、保持側係止部85と取付側係止部10bとの係合および係合の解除を行うように構成されている。すなわち、解除レバー110cは、取付部材本体10aの当接部材9側の端部に回動可能に軸支された取付側係止部10bを同方向に回動させるように構成されている。ここで、解除レバー110cは、付勢部材111cにより、保持側係止部85と取付側係止部10bとが係合する方向に回動するように付勢されている。解除レバー110cは、付勢部材111cに抗して回動することにより、保持側係止部85と取付側係止部10bとの係合が解除する解除方向(以下、D方向とする)に回動するように取付部材本体10aに取り付けられている。
【0069】
(移動機構)
移動機構11は、ノズル保持部材8が取付部材10に保持された状態で、シャッタ部材81をスライド移動させるように構成されている。具体的には、移動機構11は、駆動源11aと、伝達部材11bとを有している。
【0070】
駆動源11aは、エアシリンダにより構成されている。伝達部材11bは、駆動源11aの駆動力をシャッタ部材81に伝達し、シャッタ部材81をスライド移動させるように構成されている。伝達部材11bは、リンクにより構成されている。伝達部材11bは、シャッタ部材81のスライド方向(X方向)および上下方向に直交する方向(Y方向)に延びる回転中心軸線C2回りに回動することにより、シャッタ部材81をスライド移動させるように構成されている。伝達部材11bのZ1方向側の端部は、ノズル保持部材8の当接部材9に着脱可能に係合されている。伝達部材11bのZ方向の中央部は、取付部材本体10aに回動可能に取り付けられている。伝達部材11bのZ2方向側の端部は、駆動源11aに連結されている。
【0071】
このように、シャッタ部材81は、駆動源11aにおいて、ロッド11cがシリンダ11dから突出するとともに伝達部材11bが回動することによって、スライド方向の一方側(X1方向)にスライド移動する。シャッタ部材81は、駆動源11aにおいて、ロッド11cがシリンダ11dに収容されるとともに伝達部材11bが回動することによって、スライド方向の他方側(X2方向)にスライド移動する。
【0072】
(移動規制部)
図11および図12に示すように、移動規制部12は、解除レバー110cの移動をシャッタ部材81の配置位置によって規制するように構成されている。すなわち、移動規制部12は、解除状態H2の際、保持側係止部85と取付側係止部10bとの係合を解除する解除レバー110cの移動を規制するとともに、保持状態H1の際、保持側係止部85と取付側係止部10bとの係合を解除レバー110cの移動により解除させるように構成されている。ここで、図11および図12では、解除レバー110cの一部がZ方向に沿った断面図になっている。
【0073】
具体的には、移動規制部12は、ピン12aと、溝部12bとを含んでいる。ピン12aは、伝達部材11bに設けられ、移動機構11によるシャッタ部材81のスライド方向(X方向)と同じ方向に移動するように構成されている。ピン12aは、伝達部材11bの表面から解除レバー110cに向かって突出している。ピン12aは、Z方向の中央部よりもZ1方向側の位置に配置されている。溝部12bは、解除レバー110cに形成され、ピン12aが挿入されている。溝部12bは、解除レバー110cの伝達部材11b側の面を窪ませることにより形成されている。
【0074】
溝部12bは、シャッタ部材81のスライド方向(X方向)および上下方向に直交する方向(Y方向)から視て、折れ曲がった形状を有している。すなわち、溝部12bは、第1部分120bと、第2部分121bとを有している。第1部分120bと第2部分121bとは、接続部分において、Z方向に対して傾斜するように折れ曲がって接続されている。
【0075】
第1部分120bは、解除状態H2にシャッタ部材81が維持される場合、解除レバー110cが係合のD方向へ回動した際に、ピン12aが当接してピン12aの移動を規制する内面122bを有している。第1部分120bは、シャッタ部材81のスライド方向(X方向)に延びる溝である。第2部分121bは、第1部分120bの内面122bに設けられている。第2部分121bは、保持状態H1にシャッタ部材81が維持されている場合、解除レバー110cが係合のD方向へ回動した際に、ピン12aが進入してピン12aの移動を可能にするように構成されている。この際、ピン12aは、第1部分120bの内面122bに当接していない。第2部分121bは、第1部分120bの取付部材本体10a側の端部からZ1方向側に延びる溝である。
【0076】
このように、ノズル保持部材8を取付部材10に取り付けた取付状態A1において、シャッタ部材81を解除状態H2(図5(B)参照)に維持している際、移動規制部12によりノズル保持部材8と取付部材10との係合の解除が規制されている。ここで、シャッタ部材81を保持状態H1(図5(A)参照)に配置することにより、移動規制部12によるノズル保持部材8と取付部材10との係合が解除されて、ノズル保持部材8が取付部材10から取り外した取外状態A2になる。この際、図12および図13に示すように、取付部材本体10aの当接部材9側の端部に回動可能に軸支された取付側係止部10bから、ノズル保持部材8の当接部材9側の端部に取り付けられた保持側係止部85の係止が外れている。また、取付部材本体10aの当接部材9とは反対側の端部に固定された取付側係止部10bから、ノズル保持部材8の当接部材9側とは反対側の端部に取り付けられた保持側係止部85の係止が外れている。
【0077】
(第1実施形態の効果)
第1実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0078】
第1実施形態では、上記のように、部品実装装置100には、ノズル保持部材8と、取付部材10とを設ける。そして、ノズル保持部材8に、ノズル保持部材8が取付部材10に取り付けられた取付状態A1およびノズル保持部材8が取付部材10から取り外された取外状態A2のいずれにおいても、シャッタ部材81の保持状態H1、および、シャッタ部材81の解除状態H2を維持する維持機構84を設ける。これにより、維持機構84によりシャッタ部材81を解除状態H2に維持させて、作業者によりノズル5bをノズル保持部材8に配置した後、維持機構84によりシャッタ部材81を保持状態H1に切り替えることにより、取付状態A1だけでなく取外状態A2においても、交換用のノズル5bをノズル保持部材8に保持させることができる。また、取外状態A2の場合、交換用のノズル5bをノズル保持部材8に保持させた後、作業者によりノズル保持部材8を取付部材10にそのまま取り付けることができる。すなわち、交換用のノズル5bをノズル交換治具に配置する作業を行うことなく、交換用のノズル5bの部品実装装置100への配置作業を行うことができる。これらの結果、取付状態だけでなく取外状態においても、作業者による交換用のノズル5bの部品実装装置100への配置作業を容易に行うことができる。
【0079】
また、第1実施形態では、上記のように、維持機構84に、付勢部材84aと、磁石84b(維持機構84)とを設ける。これにより、付勢部材84aにより生じる一方向への付勢力に対して抗する構造を有する維持機構84を設ければよいので、維持機構84の構造を簡易にすることができる。この結果、ノズル保持部材8の構造の複雑化を抑制することができる。
【0080】
また、第1実施形態では、上記のように、維持機構84を、取付状態A1および取外状態A2のいずれにおいても、シャッタ部材81の保持状態H1、および、シャッタ部材81の解除状態H2を維持するように構成する。これにより、ノズル収容孔83bに対応する位置に、シャッタ部材81に設けられた係合部81cを配置するだけで、取付状態A1および取外状態A2のいずれにおいても、交換用のノズル5bをノズル保持部材8により容易に保持することができる。また、ノズル収容孔83bに対応する位置に、ノズル通過部81bを配置するだけで、取付状態A1および取外状態A2のいずれにおいても、交換用のノズル5bをノズル保持部材8により保持した状態を容易に解除することができる。これらの結果、交換用のノズル5bのノズル保持部材8への保持または保持の解除を切替可能な構造を簡易な構造にすることができる。
【0081】
また、第1実施形態では、上記のように、ノズル保持部材8に、保持側係止部85を設ける。取付部材10に、取付側係止部10bと、保持側係止部85と取付側係止部10bとの係合を解除する係合解除部10cとを設ける。部品実装装置100に、解除状態H2の際、保持側係止部85と取付側係止部10bとの係合を解除する係合解除部10cの移動を規制するとともに、保持状態H1の際、保持側係止部85と取付側係止部10bとの係合を係合解除部10cの移動により解除させる移動規制部12を設ける。これにより、シャッタ部材81によりノズル5bを保持した保持状態H1でなければ、取付部材10からノズル保持部材8を取り外すことができない。この結果、取付部材10からノズル保持部材8を取り外す際、ノズル保持部材8からノズル5bが脱落することを抑制することができる。
【0082】
また、第1実施形態では、上記のように、移動規制部12には、伝達部材11bに設けられるピン12aと、解除レバー110cに形成される溝部12bとを設ける。溝部12bには、解除状態H2にシャッタ部材81が維持される場合、解除レバー110cが係合のD方向へ回動した際に、ピン12aが当接してピン12aの移動を規制する内面122bを有する第1部分120bを設ける。また、溝部12bには、保持状態H1にシャッタ部材81が維持されている場合、解除レバー110cが係合のD方向へ回動した際に、ピン12aが進入してピン12aの移動を可能にする第2部分121bを設ける。これにより、伝達部材11bに設けられたピン12aを解除レバー110cに形成された溝部12bに配置するだけで、シャッタ部材81によりノズル5bを保持した保持状態H1でなければ、取付部材10からノズル保持部材8を取り外すことができないようにすることができる。この結果、簡易な構造の移動規制部12により、取付部材10からノズル保持部材8を取り外す際、ノズル保持部材8からノズル5bが脱落することを抑制することができる。
【0083】
また、第1実施形態では、上記のように、シャッタ部材81を、付勢部材84aによる支持面9bに対する付勢力によって、保持状態H1および解除状態H2のいずれか一方に維持されるとともに、磁石84bにより当接面9aを吸着することによって、保持状態H1および解除状態H2の他方に維持されるように構成する。これにより、当接部材9に対する付勢部材84aの付勢力および磁石84bの吸着力を利用して、シャッタ部材81の保持状態H1および解除状態H2のいずれかに維持することができるので、ノズル保持部材8を簡易な構造にすることができる。
【0084】
[第2実施形態]
次に、図1図2および図14図19を参照して、第2実施形態の部品実装装置200について説明する。第2実施形態の部品実装装置200は、詳細には、磁石84bにより当接部材9を吸着する上記第1実施形態の部品実装装置100とは異なり、プランジャ284bによりシャッタ部材281を係合する。なお、第2実施形態において、上記第1実施形態と同様の構成に関しては、同じ符号を付して説明を省略する。
【0085】
図1および図2に示すように、第2実施形態の部品実装装置200は、基台1と、基板搬送部2と、支持部3と、レール部4と、ヘッドユニット5と、部品認識カメラ6と、基板認識カメラ7と、ノズル保持部材208と、当接部材9と、取付部材10と、移動機構11と、移動規制部12とを備えている。
【0086】
(ノズル保持部材)
ノズル保持部材208は、シャッタ部材281と、移動規制部材82と、保持部材本体83と、プランジャ284bを有する維持機構284と、保持側係止部85とを含んでいる。
【0087】
シャッタ部材281は、図14および図15に示すように、付勢部材284aおよびプランジャ284bにより、ノズル5bを保持状態H1と解除状態H2とに切替可能に構成されている。具体的には、シャッタ部材281は、ノズル挿通孔81aと、ノズル通過部81bと、係合部81cと、逃げ孔281dと、係合孔281eとを有している。すなわち、シャッタ部材281には、プランジャ284bが係合する係合孔281e、および、プランジャ284bの係合を解除する逃げ孔281dが形成されている。
【0088】
図14および図16に示すように、逃げ孔281dは、X方向に長い長孔により形成されている。逃げ孔281dには、シャッタ部材281のX方向のスライド移動をガイドするガイドピン285が挿入されている。ここで、ガイドピン281fは、逃げ孔281dを挿通するピン本体285aと、ピン本体285aに設けられた頭部285bとを有している。また、ガイドピン285のピン本体285aは、保持部材本体83に取り付けられている。ガイドピン285の頭部285bの直径は、逃げ孔281dのY方向の幅よりも大きい。
【0089】
逃げ孔281dは、プランジャ284bの係合を解除するように構成されている。すなわち、ノズル5bの解除状態H2において、逃げ孔281dには、プランジャ284bの先端部284cが挿入されている。プランジャ284bの先端部284cは、ノズル5bの解除状態H2において、シャッタ部材281のスライド移動方向における当接部材9側とは反対側に配置されている。逃げ孔281dのY方向の幅は、ノズル5bの先端部の直径よりも大きい。
【0090】
図15および図17に示すように、係合孔281eは、シャッタ部材281をZ方向に貫通する貫通孔により構成されている。係合孔281eは、プランジャ284bの係合を保持するように構成されている。すなわち、ノズル5bの保持状態H1において、係合孔281eには、プランジャ284bの先端部284cが挿入されている。係合孔281eは、逃げ孔281dよりもシャッタ部材281のスライド移動方向における当接部材9側とは反対側に配置されている。プランジャ284bの先端部284cは、ノズル5bの保持状態H1において、係合孔281eに挿入されている。逃げ孔281dの直径は、ノズル5bの先端部の直径よりも小さい。
【0091】
図14および図15に示すように、維持機構284は、ノズル保持部材208が取付部材10に取り付けられた取付状態A1およびノズル保持部材208が取付部材10から取り外された取外状態A2のいずれにおいても、シャッタ部材281の保持状態H1、および、シャッタ部材281の解除状態H2を維持するように構成されている。
【0092】
具体的には、維持機構284は、上記プランジャ284bと、付勢部材284aとを有している。なお、プランジャ284bは、特許請求の範囲の「維持部材」の一例である。
【0093】
図16および図17に示すように、プランジャ284bは、保持部材本体83に設けられ、取付状態A1および取外状態A2のいずれにおいても、付勢部材284aの付勢力に抗して、シャッタ部材281を保持状態H1および解除状態H2のいずれか他方に維持するように構成されている。すなわち、プランジャ284bは、保持部材本体83に設けられ、シャッタ部材281の係合孔281eに係合することにより付勢部材284aの付勢力に抗してシャッタ部材281の位置を維持するように構成されている。
【0094】
具体的には、プランジャ284bは、上記先端部284cと、圧縮バネ284dとを有している。先端部284cは、係合孔281eに係合可能な大きさを有する球形状を有している。圧縮バネ284dは、先端部284cをZ1方向に付勢している。なお、圧縮バネ284dは、特許請求の範囲の「付勢部」の一例である。
【0095】
この際、プランジャ284bは、取付状態A1および取外状態A2のいずれにおいても、ノズル収容孔83bに対応する位置に係合部81cを配置したシャッタ部材281の保持状態H1(図14参照)、および、ノズル収容孔83bに対応する位置にノズル通過部81bを配置したシャッタ部材281の解除状態H2(図15参照)を維持するように構成されている。
【0096】
プランジャ284bは、シャッタ部材281のスライド方向(X方向)において、保持状態H1の際における係合孔281eに合う位置側の端部に配置されている。プランジャ284bは、保持部材本体83をZ方向に貫通する貫通孔に嵌め込まれて固定されている。
【0097】
図18および図19に示すように、付勢部材284aは、ノズル保持部材208に設けられ、取付状態A1および取外状態A2のいずれにおいても、シャッタ部材281を付勢して保持状態H1および解除状態H2のいずれか一方に維持するように構成されている。具体的には、付勢部材284aは、引張バネにより構成されている。付勢部材284aは、X方向のうち保持部材本体83に近付く方向(X1方向)に付勢するように構成されている。
【0098】
このように、シャッタ部材281は、プランジャ284bが逃げ孔281dに挿入される場合に付勢部材284aの付勢力により保持状態H1に維持されるとともに、プランジャ284bが係合孔281eに係合される場合に解除状態H2に維持されるように構成されている。すなわち、シャッタ部材281は、付勢部材284aによる支持面9bに対する付勢力によって、保持状態H1および解除状態H2のいずれか一方に維持されるとともに、プランジャ284bが係合孔281eに係合することにより、保持状態H1および解除状態H2の他方に維持される。
【0099】
具体的には、シャッタ部材281は、付勢部材284aによる支持面9bに対する付勢力によって、保持状態H1(図14参照)に維持されている。また、シャッタ部材281は、プランジャ284bが係合孔281eに係合することによって、解除状態H2(図15参照)に維持されている。なお、第2実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0100】
(第2実施形態の効果)
第2実施形態の効果について説明する。
【0101】
第2実施形態では、上記のように、ノズル保持部材208に、取付状態A1および取外状態A2のいずれにおいても、シャッタ部材281の保持状態H1、および、シャッタ部材281の解除状態H2を維持する維持機構284を設ける。これにより、取付状態A1だけでなく取外状態A2においても、作業者による交換用のノズル5bの部品実装装置200への配置作業を容易に行うことができる。
【0102】
また、第2実施形態では、上記のように、シャッタ部材281は、プランジャ284bが逃げ孔281dに挿入される場合に付勢部材284aの付勢力により保持状態に維持されるとともに、プランジャ284bが係合孔281eに係合される場合に解除状態に維持されるように構成されている。これにより、当接部材9に対する付勢部材284aの付勢力と、プランジャ284bの係合力を利用して、シャッタ部材281の保持状態H1および解除状態H2のいずれかに維持することができるので、ノズル保持部材208を簡易な構造にすることができる。なお、第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0103】
[第3実施形態]
次に、図1図2および図20図23を参照して、第3実施形態の部品実装装置300について説明する。第3実施形態の部品実装装置300は、詳細には、磁石84bにより当接部材9を吸着する上記第1実施形態の部品実装装置100とは異なり、磁石384bによりシャッタ部材381を吸着する。なお、第3実施形態において、上記第1実施形態と同様の構成に関しては、同じ符号を付して説明を省略する。
【0104】
図1および図2に示すように、第3実施形態の部品実装装置300は、基台1と、基板搬送部2と、支持部3と、レール部4と、ヘッドユニット5と、部品認識カメラ6と、基板認識カメラ7と、ノズル保持部材308と、当接部材9と、取付部材10と、移動機構11と、移動規制部12とを備えている。
【0105】
(ノズル保持部材)
ノズル保持部材308は、シャッタ部材381と、移動規制部材82と、保持部材本体83と、磁石384bを有する維持機構384と、保持側係止部85とを含んでいる。
【0106】
シャッタ部材381は、図20および図21に示すように、付勢部材(図示せず)および磁石384bにより、ノズル5bを保持状態H1と解除状態H2とに切替可能に構成されている。具体的には、シャッタ部材381は、ノズル挿通孔81aと、ノズル通過部81bと、係合部81cと、逃げ孔381dとを有している。
【0107】
また、シャッタ部材381は、磁石384bに吸着可能に構成されている。具体的には、シャッタ部材381は、磁性体(たとえば、鉄、フェライト系ステンレス鋼およびマルテンサイト系ステンレス鋼など)により形成されている。
【0108】
シャッタ部材381には、磁石384bの吸着を解除する逃げ孔381dが形成されている。逃げ孔381dは、ノズル挿通孔81aのX方向における当接部材9とは反対側の端部により形成されている。逃げ孔381dのY方向の幅は、磁石384bの直径よりも大きい。
【0109】
維持機構384は、ノズル保持部材308が取付部材10に取り付けられた取付状態A1およびノズル保持部材308が取付部材10から取り外された取外状態A2のいずれにおいても、シャッタ部材381の保持状態H1、および、シャッタ部材381の解除状態H2を維持するように構成されている。
【0110】
具体的には、維持機構384は、付勢部材と、上記磁石384bと、を有している。なお、磁石384bは、特許請求の範囲の「維持部材」の一例である。
【0111】
図22および図23に示すように、磁石384bは、保持部材本体83に設けられ、取付状態A1および取外状態A2のいずれにおいても、付勢部材の付勢力に抗して、シャッタ部材381を保持状態H1および解除状態H2のいずれか他方に維持するように構成されている。すなわち、磁石384bは、保持部材本体83に設けられ、シャッタ部材381を吸着することにより付勢部材の付勢力に抗してシャッタ部材381の位置を維持するように構成されている。
【0112】
この際、磁石384bは、取付状態A1および取外状態A2のいずれにおいても、ノズル収容孔83bに対応する位置に係合部81cを配置したシャッタ部材381の保持状態H1(図20参照)、および、ノズル収容孔83bに対応する位置にノズル通過部81bを配置したシャッタ部材381の解除状態H2(図21参照)を維持するように構成されている。
【0113】
磁石384bは、シャッタ部材381のスライド方向(X方向)において、解除状態H2の際におけるノズル挿通孔81aの逃げ孔381dに合う位置に配置されている。磁石384bは、保持部材本体83の上面をZ2方向に窪ませた凹部に締結部材により固定されている。
【0114】
このように、シャッタ部材381は、磁石384bが逃げ孔381dの位置に配置される場合に付勢部材の付勢力により保持状態H1に維持されるとともに、磁石384bがシャッタ部材381を吸着する場合に解除状態H2に維持されるように構成されている。すなわち、付勢部材は、ノズル保持部材308に設けられ、取付状態A1および取外状態A2のいずれにおいても、シャッタ部材381を付勢して保持状態H1および解除状態H2のいずれか一方に維持するように構成されている。
【0115】
具体的には、付勢部材は、引張バネにより構成されている。付勢部材は、X方向のうち保持部材本体83に近付く方向(X1方向)に付勢するように構成されている。なお、第3実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0116】
(第3実施形態の効果)
第3実施形態の効果について説明する。
【0117】
第3実施形態では、上記のように、ノズル保持部材308に、取付状態A1および取外状態A2のいずれにおいても、シャッタ部材381の保持状態H1、および、シャッタ部材381の解除状態H2を維持する維持機構384を設ける。これにより、取付状態A1だけでなく取外状態A2においても、作業者による交換用のノズル5bの部品実装装置300への配置作業を容易に行うことができる。
【0118】
また、第3実施形態では、上記のように、シャッタ部材381は、磁石384bが逃げ孔381dの位置に配置される場合に付勢部材384aの付勢力により保持状態に維持されるとともに、磁石384bがシャッタ部材381を吸着する場合に解除状態に維持されるように構成されている。これにより、当接部材9に対する付勢部材384aの付勢力と、磁石384bの吸着力とを利用して、シャッタ部材381の保持状態および解除状態のいずれかに維持することができるので、ノズル保持部材308を簡易な構造にすることができる。なお、第3実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0119】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0120】
たとえば、上記第1実施形態では、付勢部材84aは、圧縮バネにより構成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、付勢部材は、圧縮バネの代わりに引張バネなどの他の部材を用いてもよい。
【0121】
また、上記第2および3実施形態では、付勢部材284aは、引張バネにより構成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、付勢部材は、引張バネの代わりに圧縮バネなどの他の部材を用いてもよい。
【0122】
また、上記第1~第3実施形態では、ノズル保持部材8は、保持側係止部85と取付側係止部10bとを係合させ取付部材10に取り付けられる例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、ノズル保持部材は、取付部材に対して着脱可能であれば他の方法により取り付けられてもよい。
【0123】
また、上記第1~第3実施形態では、部品実装装置100(200,300)は、移動規制部12を備える例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、部品実装装置は、移動規制部を備えていなくてもよい。
【0124】
また、上記第1~第3実施形態では、移動規制部12は、伝達部材11bに設けられるピン12aと、解除レバー110cに形成される溝部12bとを含む例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、移動規制部は、解除レバーに設けられるピンと、伝達部材に形成される溝部とを含んでいてもよい。
【符号の説明】
【0125】
1 基台
5a 実装ヘッド(ヘッド)
5b ノズル
8、208、308 ノズル保持部材
9 当接部材
9a 当接面
9b 支持面
10 取付部材
10b 取付側係止部
10c 係合解除部
11 移動機構
11a 駆動源
11b 伝達部材
12 移動規制部
12a ピン
12b 溝部
81、281、381 シャッタ部材
81b ノズル通過部
81c 係合部
83 保持部材本体
83b ノズル収容孔
84、284、384 維持機構
84a、284a 付勢部材
84b,384b 磁石(維持部材)
85 保持側係止部
100、200、300 部品実装装置
110c 解除レバー
120b 第1部分
121b 第2部分
122b 内面
183a (保持部材本体の)上面
281d、381d 逃げ孔
281e 係合孔
284b プランジャ
284c 先端部
284d 圧縮バネ(付勢部)
A1 取付状態
A2 取外状態
C1、C2 回転中心軸線
D 解除方向
H1 保持状態
H2 解除状態
M 基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23