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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-14
(45)【発行日】2023-07-25
(54)【発明の名称】車両用サンバイザ
(51)【国際特許分類】
   B60J 3/02 20060101AFI20230718BHJP
【FI】
B60J3/02 D
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019163045
(22)【出願日】2019-09-06
(65)【公開番号】P2021041734
(43)【公開日】2021-03-18
【審査請求日】2022-06-27
(73)【特許権者】
【識別番号】599041329
【氏名又は名称】共和産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 康介
【審査官】上谷 公治
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-173385(JP,A)
【文献】特開2010-023545(JP,A)
【文献】特開2011-042335(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用サンバイザであって、
厚み方向に重ねられた第1構成部材と第2構成部材を具備するバイザ本体と、
前記バイザ本体に挿入されて前記バイザ本体を使用位置と格納位置の間で回動可能に支持する支軸と、
前記バイザ本体内において前記支軸を回動可能に支持しかつ前記バイザ本体に対してスライド可能に装着されるケースと、
前記ケースに設けられかつ前記支軸を付勢することで前記バイザ本体を前記格納位置へ付勢するクリップと
記ケースをスライド可能に支持するように前記第1構成部材に一体で形成されるガイドレールを有し、
前記ガイドレールは、前記ケースを間にして互いに向けて突出する第1レールと第2レールを有し、前記第1レールと前記第2レールが協働して前記ケースを前記第1構成部材に対して厚み方向に脱落を防止する車両用サンバイザ。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用サンバイザであって、
前記ガイドレールは、前記ケースの第1端縁部をスライド可能に支持する前記第1レールと、前記ケースの前記第1端縁部の反対側に位置する第2端縁部をスライド可能に支持する前記第2レールを有し、前記第1レールと前記第2レールが前記第1構成部材に一体で形成される車両用サンバイザ。
【請求項3】
請求項1または2に記載の車両用サンバイザであって、
前記ケースは、前記ガイドレールに係合する前記第1端縁部を有し、
前記ガイドレールは、前記第1端縁部がスライド可能にかつ前記バイザ本体の厚み方向に脱落不能とするように係合可能な、スライド方向に長いガイドレール本体と、前記第1端縁部を前記第1構成部材の厚み方向に挿入可能な少なくとも1つの切欠き部とを有する車両用サンバイザ。
【請求項4】
請求項3に記載の車両用サンバイザであって、
前記第2構成部材は、前記第1構成部材に取付けられた状態で、前記第2構成部材から前記第1構成部材の前記ガイドレールの端部へ向けて突出し、前記第1端縁部が前記ガイドレールの前記切欠き部から外れることを規制するストッパを有する車両用サンバイザ。
【請求項5】
請求項3または4に記載の車両用サンバイザであって、
前記第1端縁部は、前記ケースのスライド方向と平行な直線上に第1係合部と第2係合部とを有し、
前記第1係合部は、前記ケースのスライド方向の第1端部または前記第1端部近傍に形成されかつスライド方向に第1幅を備え、前記第2係合部は、前記第1端部の他端側である第2端部または前記第2端部近傍に形成されかつ前記スライド方向に前記第1幅より狭い第2幅を備え、
前記ガイドレールの前記切欠き部は、前記スライド方向の幅が前記第1幅より広く前記第1係合部を厚み方向に挿入可能な第1切欠き部と、前記スライド方向の幅が前記第1幅より狭くかつ前記第2幅より広く、前記第2係合部を厚み方向に挿入可能な第2切欠き部とを有する車両用サンバイザ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に設けられるサンバイザであって、サンバイザ本体が、支軸の長軸方向に移動することが可能なスライド式の車両用サンバイザに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1及び2に開示された車両用サンバイザは、板状のバイザ本体と、バイザ本体を回動可能に支持する支軸を有する。バイザ本体は、支軸を中心に回動することで、フロントガラスに沿う使用位置と天井に沿う格納位置との間で回動する。バイザ本体内には、バイザ本体を支軸に沿ってスライド可能にするためのスライド機構が設けられる。バイザ本体は、スライド機構を利用することでバイザ本体の長手方向の支軸に対してスライドされ得る。特許文献1に開示されたバイザ本体は、表側殻体と裏側殻体を有する。バイザ本体内に設けられたスライドレールに軸受部がスライド可能に取付けられる。軸受部に支軸の端部が装着される。スライドレールは、裏側殻体にネジ止めされることで保持される。
【0003】
特許文献2に開示されたバイザ本体は、2枚の分割体から構成される。バイザ本体内に形成されたガイドレールにサポートがスライド可能に装着される。サポートに支軸の端部が装着される。ガイドレールは、2枚の分割体の内壁から他方の分割体に向けて突出し、各ガイドレールが支軸の延出方向に延在する。サポートの側壁に、ばね片である係合片が形成される。サポートがガイドレールに沿って移動する際、係合片がガイドレールに当接しながら移動することで、サポートのバイザ本体に対する姿勢が保持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-252739号公報
【文献】特開2010-173385号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1によると、スライドレールと裏側殻体は、表側殻体に対してネジ止めされる。すなわち、バイザ本体は、別体であるスライドレールを備え、そのスライドレールはネジ止めされる。このため部品点数が多く、組み付け工数がかかるため、製造コストが高くなる可能性がある。
【0006】
特許文献2によると、サポートは、2枚の分割体の間の所定位置に一定の姿勢で組み付ける必要がある。しかしながら分割体を成形する際、例えば成形時の熱で分割体が熱変形して分割体間で形状がばらつくことがある。このような場合、サポート等の組み付けが容易でない。したがって、部品点数や組み付け工数が少なく、かつ、組み付けが容易なサンバイザのスライド機構が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の1つの特徴によると、車両用サンバイザは、厚み方向に重ねられた第1構成部材と第2構成部材を具備するバイザ本体を有する。バイザ本体に支軸が挿入されて、支軸がバイザ本体を使用位置と格納位置の間で回動可能に支持する。バイザ本体内には、支軸を回動可能に支持しかつバイザ本体に対してスライド可能に装着されるケースが設けられる。ケースには、支軸を付勢することでバイザ本体を格納位置へ付勢するクリップが設けられる。ケースを第1構成部材に対して厚み方向に脱落を防止するガイドレールが設けられる。ガイドレールは、第1構成部材に対してケースをスライド可能に支持するように第1構成部材に一体で形成される。
【0008】
したがってケースは、第1構成部材に一体で形成されたガイドレールのみでバイザ本体に支持される。そのため別体のレール等が不要で、レール等をバイザ本体にネジ止めする工程も不要である。かくしてサンバイザを安価に製造することができる。ガイドレールは、ケースが第1構成部材に対して厚み方向に脱落するのを防止する。このためケースは、第1構成部材のみで一定の姿勢に保持される。そのため第1構成部材と第2構成部材の間に保持されるケースに比べて安定した姿勢で保持され得る。例えば第1構成部材と第2構成部材の組付け誤差あるいは各部品の大きさのばらつきによってケースの姿勢が影響を受けることを避けることができる。しかも第2構成部材を簡易な構造としつつ第1構成部材に機能と構造を集中させることにより、第1構成部材の剛性が高くなり、バイザ本体の構造を簡易にすることができる。その結果、サンバイザの製造コストを減らすことができる。
【0009】
本開示の1つの特徴によると、ガイドレールは第1レールと第2レールを有する。第1レールは、ケースの第1端縁部をスライド可能に支持する。第2レールは、ケースの第1端縁部の反対側に位置する第2端縁部をスライド可能に支持する。第1レールと第2レールは、第1構成部材に一体で形成される。したがってケースのスライド方向の上下両端が第1構成部材において支持されるため、スライド荷重が第1構成部材にて安定して保持される。
【0010】
本開示の1つの特徴によると、ケースは、ガイドレールに係合する第1端縁部を有する。ガイドレールは、第1端縁部を第1構成部材の厚み方向に挿入可能な少なくとも1つの切欠き部を有する。ガイドレールは、スライド方向に長いガイドレール本体を有する。ガイドレール本体には、ケースの第1端縁部がスライド可能にかつバイザ本体の厚み方向に脱落不能とするように係合可能である。したがってケースは、ガイドレールの切欠き部へ第1端縁部を挿入することでガイドレールに取付けられる。そのためガイドレールを変形させることなく、ケースをガイドレールに容易に取付けることができる。
【0011】
本開示の1つの特徴によると、第2構成部材は、第1構成部材に取付けられた状態で、第2構成部材から第1構成部材のガイドレールの端部へ向けて突出し、第1端縁部がガイドレールの切欠き部から外れることを規制するストッパを有する。したがってケースをガイドレールに組付ける際は、先ずケースの第1端縁部を切欠き部に挿入する。ケースをガイドレールに対してスライドさせて、第1端縁部を切欠き部から離す。その状態で第2構成部材を第1構成部材に取付ける。第2構成部材のストッパによってケースの第1端縁部がガイドレールの切欠き部から外れることが規制される。そのためケースをガイドレールに組み付け後に、ケースがガイドレールから脱落することが防止される。
【0012】
本開示の1つの特徴によると、第1端縁部は、ケースのスライド方向と平行な直線上に第1係合部と第2係合部とを有する。第1係合部は、ケースのスライド方向の第1端部または第1端部近傍に形成されかつスライド方向に第1幅を備える。第2係合部は、第1端部の他端側である第2端部または第2端部近傍に形成されかつスライド方向に第1幅より狭い第2幅を備える。ガイドレールの切欠き部は、第1切欠き部と第2切欠き部とを有する。第1切欠き部は、スライド方向の幅が第1幅より広く、第1係合部を厚み方向に挿入可能である。第2切欠き部は、スライド方向の幅が第1幅より狭くかつ第2幅より広く、第2係合部を厚み方向に挿入可能である。
【0013】
したがって第1切欠き部から第1係合部を挿入し、第2切欠き部から第2係合部を挿入できる取付位置において、ケースをガイドレールに取付けることができる。第1係合部は、第2切欠き部よりも幅が広いために第2切欠き部から外れない。したがってケースが取付位置から離れ、第1係合部が第2切欠き部に到達してもガイドレールから外れない。またケースの組み付け方向が、2つの異なる幅の切欠き部から視覚的にわかるため、ケースを逆方向に組み付けることがなくなる。
【0014】
本開示の1つの特徴によると、第1切欠き部は、ケースがスライドするガイドレールのスライド領域におけるスライド第1方向の端部に形成される。ケースのスライド第1方向の第1端部または第1端部近傍には、第1係合部が形成される。第2構成部材は、第1構成部材に取付けられた状態で、第2構成部材から第1構成部材のガイドレールの端部へ向けて突出し、第1端縁部がガイドレールの切欠き部から外れることを規制するストッパを有する。
【0015】
したがってケースをガイドレールに取付ける際は、ケースの第2端縁部の凸部又は凹部をスライド可能に支持する、第2レールへ設けられた凹部又は凸部に配置し、更にケースの第1端縁部に形成された第1係合部及び第2係合部をスライド可能に支持する第1レールの第1切欠き部及び第2切欠き部へそれぞれ挿入する。第1係合部が第1切欠き部から離れた位置に移動するようにケースをガイドレールに対してスライドさせる。この状態で第2構成部材を第1構成部材に取付ける。これにより第1係合部が第1切欠き部の位置に戻るのをストッパによって防ぐことができる。かくして第2構成部材を第1構成部材に組み付け後にケースの第1端縁部が切欠き部から脱落するのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施に係る車両用サンバイザの構成を示す斜視図である。
図2】スライド状態のサンバイザの正面図である。
図3】サンバイザのスライド構造に対する分解正面図である。
図4】クリップとケースとバイザ本体のガイドレールの一部の分解正面図である。
図5】クリップの裏側から見た斜視図である。
図6】サンバイザの第1構成部材とガイドレールに挿入されたケースとクリップの正面図である。
図7図6のVII-VII線矢視断面図である。
図8】ケースを図6の位置から右方向にスライドさせた状態の拡大正面図である。
図9図8のIX-IX線矢視断面図である。
図10図9の実施形態を示した車両用サンバイザの分解図である。
図11】組立状態のサンバイザの部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の1つの実施形態について図1図2を用いて説明する。図1に示すように車両用サンバイザ1は、車室内においてフロントガラス21近傍の天井面20に装着される。車両用サンバイザ1は、バイザ本体1aと、バイザ本体1aの片面に設けられたミラーユニット12とを備える。バイザ本体1aを回動可能に支持する支軸7が、ケース5に組み付けられたクリップ6を介してバイザ本体1aに装着される。バイザ本体1aは、支軸7を回動可能に支持する。ケース5は、車両用サンバイザ本体1aに対してスライド可能に装着される。
【0018】
図1から図7に示すように、バイザ本体1aは、略長方形状を有し、厚み方向に重ねられた平板状の第1構成部材2と、第2構成部材3とを備える。バイザ本体1aの表面には表皮13が被せられる。支軸7は、略L字状の棒であって、縦軸7aは、横軸7bの先端から上方に、横軸7bに対して略直交して延出しする。縦軸7aの先端にブラケット11が装着され、ブラケット11が車室の天井面20に取付けられる。横軸7bは、バイザ本体1aの側方からバイザ本体1aの上辺に沿って挿入される。支軸小径部7dに設けられた、すり割り面7hは、ケース5の開口部5fとクリップ6の開口部6aへ挿通され、クリップ押圧部6bへ組み付けられる。
【0019】
図1図2に示すようにシャフト9は、略円柱状であって、天井面20に固定されたフック10に取外し可能に保持される。シャフト9がフック10に取付けられることで、バイザ本体1aがシャフト9と横軸7bを軸中心としてフロントガラス21に沿う使用位置Pと、天井面20に沿う格納位置Kとの間で回動する。またシャフト9をフック10から取り外すことで、バイザ本体1aは、縦軸7a回りに回動可能となる。これによりバイザ本体1aはフロントガラス21に沿う使用位置Pと、サイドガラス22に沿うサイド位置Sとの間で回動する。
【0020】
図2図3に示すようにバイザ本体1aを横軸7bに沿ってスライドさせるために、第1構成部材2の内面2bには、ケース5をスライド可能に支持するガイドレール4が設けられる。ガイドレール4は、略長方形状である。図3図4に示すようにガイドレール4は、第1構成部材2のバイザ上縁4pから下方に突出する第1レール4aを有する。ガイドレール4は、当該長方形の底辺に対応する位置に板形状の基部4qを有する。基部4qは、第1構成部材2の内面2bから略垂直方向に突出する。図4図9に示すように基部4qの上面4rには第1レール4aと平行に延びる第2レール4bが突出形成される。ケース5は、第1レール4aと第2レール4bによってスライド可能に支持される。
【0021】
図4図7図9に示すように第2レール4bは、第1レール4aに向けて基部4qから突出する。バイザ上縁4pと基部4qの間の領域4mは、バイザ本体1aの長手方向に長く、ケース5が左右方向にスライドすることを許容する。領域4mには、バイザ上縁4pから突出し長手方向に延出する突条部4nと、複数の縦補強部4hが設けられる。第1構成部材2と基部4qの接続部分には、第1構成部材2の内側へ突出するスライド支持部4iが形成される。スライド支持部4iは、第2レール4bあるいは基部4qと平行に左右方向に延びる。
【0022】
図4図7に示すように突条部4nは、ケース5の第1端縁部(第1係合部5g及び第2係合部5h)の裏側に位置し、第1レール4aと平行に延出する。図9に示すように突条部4nは、第1レール4aと協働して第1端縁部をスライド可能に支持する。詳しくは突条部4nが第1端縁部の裏面5zを支持し、第1レール4aが第1端縁部の表面5yを支持する。
【0023】
図3に示す横軸7bの小径部7dは、ガイドレール4に設けられたケース5に組み付けられたクリップ6を介して保持される(図10参照)。横軸7bは、ガイドレール4の右端位置に形成された入口受け部4fにスライド可能に支持される。入口受け部4fは、横軸7bの大径部7cを挿入可能な開口部4gを有する。かくして横軸7bは、第1構成部材2に設けられた入口受け部4fとケース5に組み付けられたクリップ6を介して保持される。
【0024】
図3,11に示すようにガイドレール4の左端位置には奥壁部4kが設けられる。奥壁部4kには、横軸7bの小径部7dよりも径の小さい開口部4lを有する。奥壁部4kの左側位置には、複数の端子2aが設けられる。例えば2つの端子2aが横軸7bに対して上側の位置に横方向に並設される。2つの他の端子2aが横軸7bに対して下側の位置に横方向に並設される。図10に示すように支軸7の先端部7eが端子2aの設けられた位置に挿入され、この状態でバイザ本体1aが使用位置Pに位置すると、支軸7の端子部7f,7gがバイザ本体1aの端子2aに接触する。バイザ本体1aが格納位置Kに位置する際、端子部7f,7gが端子2aから離れる。
【0025】
図4図5に示すようにクリップ6は、一体状の板ばねを曲げ加工することで形成され、支軸7の小径部7dの周方向を3点で把持する。小径部7dを中心としてフロントガラス21に沿う使用位置Pと、天井面20に沿う格納位置Kとの間のバイザ本体1aの回動を付勢保持する。クリップ6は、ケース5に嵌められた後、クリップ6に支軸小径部7dが挿入されて組み付けられる。
【0026】
図3図4に示すようにケース5は、クリップ6を収納する。ケース5は、ガイドレール4に対して摺動可能である。ケース5は、左側の縦壁部5a及び右側の縦壁部5bと、両縦壁部5a,5b間を下部で接続するクリップ保持部5cとを有する。ケース5は、例えば樹脂で形成される。両縦壁部5a,5bは、第1構成部材2の長手方向に離間して位置する。縦壁部5aのスライド方向の幅は、縦壁部5bのスライド方向の幅よりも大きい。
【0027】
図4図7に示すようにケース5の左右両端部に設けられた縦壁部5a,5bの頭部は、略円筒状である。図4に示すように縦壁部5a、5bの頭部には、上方に突出する第1及び第2係合部5g,5hが設けられる。第1及び第2係合部5g,5hの先端面5vは、第1構成部材2の内面2bに沿ってテーパ形状に形成されている。縦壁部5a、5bには、断面略円形の内周面5mを有する開口部5e,5fが形成される。
【0028】
図4図8に示すようにケース5の底面5qには、基部4qの上面4rに弾性的に当たって摩擦抵抗を与える弾性片5dが形成される。弾性片5dは、例えば樹脂で形成される。弾性片5dは、正面視で円弧形状を有する。底面5qの左右両端部には、それぞれ底面凸部5jが形成される。
【0029】
図4図6に示すようにケース5をガイドレール4に組み付けできるように、第1レール4aには、奥側切欠き部4cと入口側切欠き部4dが設けられる。奥側切欠き部4cは、ガイドレール4の左端に位置し、第1レール4aの左端と奥壁部4kの間に位置する。奥側切欠き部4cは、ケース5の第1端縁部に形成された第1係合部5gよりも左右幅が広く、第1係合部5gがガイドレール4に挿入されることを許容する。
【0030】
図4に示すように入口側切欠き部4dは、奥側切欠き部4cから間隔を有して右側に位置する。入口側切欠き部4dは、ケース5の縦壁部5bの第1端縁部に形成された第2係合部5hよりも左右幅が広く、第2係合部5hがガイドレール4に挿入されることを許容する。入口側切欠き部4dは、ケース5の第1係合部5gよりも左右幅が狭い。したがって第1係合部5gが入口側切欠き部4dに位置した際に第1係合部5gが入口側切欠き部4dから外れることを防止する。
【0031】
図4に示すようにガイドレール4の左端部には、ストッパ収容領域4eが形成される。ストッパ収容領域4eは、奥側切欠き部4cの下側に位置し、第1構成部材2と第2構成部材3とを厚み方向に重ねて組み合わせたときに、第2構成部材3のストッパ8(図10参照)を収容する。図10に示すようにストッパ8は、ガイドレール4の左方向へのケース5の移動を規制するために第2構成部材3に設けられる。ストッパ8は例えば四角柱形状であり、第2構成部材3の内面3bから突出する。図4図10に示すように基部4qの上面4rには、第2レール4bの左端4s近傍の位置から第2レール4bと平行に延出する脱落防止突起4jが設けられる。なお図8に示すように複数の脱落防止突起4jを上面4rに設けてもよい。脱落防止突起4jは、図8図9に示すようにケース5をガイドレール4に組み付けたときに水平張出部5nに当接し、ケース5がガイドレール4から脱落するのを防止する。
【0032】
ケース5をガイドレール4に装着する場合は、まず図4図6図10に示すようにケース5の下部(第2端縁部)をガイドレール4の第2レール4bに係合させる。詳しくは、ケース5の弾性片5dと下側レール凸部5iと各底面凸部5jとを、脱落防止突起4jの上側を通過させて基部4qの上面4rに接するように載置する。次にケース5の上部(第1端縁部)をガイドレール4の第1レール4aに係合させる。詳しくは、図7図8に示すようにケース5の縦壁部5aの第1端縁部に形成された第1係合部5gを奥側切欠き部4cに挿入する。これと同時に、第1端縁部に形成された第2係合部5hを入口側切欠き部4dに挿入する。そしてケース5の第1係合部5g及び第2係合部5hを突条部4nに当接させる。かくしてケース5がガイドレール4に装着される。
【0033】
次に図4図8に示すようにケース5をガイドレール4に装着後、右方向にスライドさせる。これにより図8に示すように、ケース5の第1係合部5gが、ガイドレール4の奥側切欠き部4cから離れる。さらに図10に示すようにケース5の第1端縁部に形成された第1係合部5g及び第2係合部5hが第1レール4aと突条部4nとの間に保持される。そしてケース5の弾性片5dと下側レール凸部5iとの間に第2レール4bが保持される。かくしてケース5は、弾性変形することなくガイドレール4に取付けられる。
【0034】
図8図9に示すようにケース5の一方の端部、又は、両端部の底面凸部5jの前面5xが、脱落防止突起4jに当接する。これによりケース5が第2レール4bと協働し、より強固にケース5を保持することができる。ケース5の裏面突条部5pがスライド支持部4iに当接する。したがってバイザ本体1aが使用位置Pと格納位置Kとの間で回転するときに、裏面突条部5pは、ケース5が第2レール4bに対して厚み方向に移動することを規制する。
【0035】
次に図3図10に示すように横軸7bが、入口受け部4fの開口部4gからガイドレール4に沿って挿入される。横軸7bは、ケース5の開口部5e,5f(図4参照)とクリップ6の開口部6aと、奥壁部4kの開口部4lを貫通する。最後に図11に示すように第2構成部材3を第1構成部材2に厚み方向に重ねて取り付ける。第1構成部材2と第2構成部材3とは、例えば連結ピン等で互いに連結される。
【0036】
このとき第2構成部材3の内面3bに設けられたストッパ8が第1構成部材2のストッパ収容領域4eに当接する。これによりケース5の縦壁部5aが奥側切欠き部4cに到達するのを防ぐことができる。また図10図11に示すように、内面3bにはケース5に向かって突出する突条部3cが設けられている。突条部3cは、ケース5が厚み方向及び上下方向に移動することを規制できる。かくして第2構成部材3を第1構成部材2に組み付け後に、ケース5が奥側切欠き部4c及び入口側切欠き部4dから脱落するのを防止できる。
【0037】
上述するように図1図2図10に示すように車両用サンバイザ1は、厚み方向に重ねられた第1構成部材2と第2構成部材3を具備するバイザ本体1aを有する。バイザ本体1aに支軸7が挿入されて、支軸7がバイザ本体1aを使用位置Pと格納位置Kの間で回動可能に支持する。図3図7に示すようにバイザ本体1a内には、支軸7を回動可能に支持しかつバイザ本体1aに対してスライド可能に装着されるケース5が設けられる。ケース5には、支軸7を付勢することでバイザ本体1aを格納位置Kへ付勢するクリップ6が設けられる。ケース5を第1構成部材2に対して厚み方向に脱落を防止するガイドレール4が設けられる。ガイドレール4は、第1構成部材2に対してケース5をスライド可能に支持するように第1構成部材2に一体で形成される。
【0038】
したがってケース5は、第1構成部材2に一体で形成されたガイドレール4のみでバイザ本体1aに支持される。そのため別体のレール等が不要で、レール等をバイザ本体1aにネジ止めする工程も不要である。かくしてサンバイザ1を安価に製造することができる。ガイドレール4は、ケース5が第1構成部材2に対して厚み方向に脱落するのを防止する。このためケース5は、第1構成部材2のみで一定の姿勢に保持される。そのため第1構成部材2と第2構成部材3の間に保持されるケース5に比べて安定した姿勢で保持され得る。例えば第1構成部材2と第2構成部材3の組付け誤差あるいは各部品の大きさのばらつきによってケース5の姿勢が影響を受けることを避けることができる。しかも第2構成部材3を簡易な構造としつつ第1構成部材2に機能と構造を集中させることにより、第1構成部材2の剛性が高くなり、バイザ本体1aの構造を簡易にすることができる。その結果、サンバイザ1の製造コストを減らすことができる。
【0039】
図3図4に示すようにガイドレール4は第1レール4aと第2レール4bを有する。第1レール4aは、ケース5の第1端縁部に形成された第1係合部5g及び第2係合部5hをスライド可能に支持する。第2レール4bは、ケース5の第1端縁部の反対側に位置する第2端縁部(5i,5k,5j)をスライド可能に支持する。第1レール4aと第2レール4bは、第1構成部材2に一体で形成される。したがってケース5のスライド方向の上下両端が第1構成部材2によって支持されるため、スライド荷重が第1構成部材2にて安定して保持される。
【0040】
図4図10に示すようにケース5は、ガイドレール4に係合する第1端縁部に形成された第1係合部5g及び第2係合部5hと第2端縁部とを有する。ガイドレール4は、スライド方向に長いガイドレール本体(4a,4b)を有する。ガイドレール本体には、ケース5の第1端縁部に形成された第1係合部5g及び第2係合部5hがスライド可能にかつバイザ本体1aの厚み方向に脱落不能とするように係合可能である。さらにガイドレール4には、第1端縁部に形成された第1係合部5g及び第2係合部5hをバイザ本体1aの厚み方向に挿入可能な切欠き部(4c,4d)が形成される。
【0041】
したがってケース5は、ガイドレール4の切欠き部(4c,4d)から第1端縁部に形成された第1係合部5g及び第2係合部5hを挿入することでガイドレール4に取付けられる。そのためガイドレール4を変形させることなく、ケース5をガイドレール4に容易に取付けることができる。
【0042】
図10図11に示すように第2構成部材3は、第1構成部材2に取付けられた状態で第1端縁部に形成された第1係合部5g及び第2係合部5hがガイドレール4の切欠き部(4c,4d)に達することを規制するストッパ8を有する。したがってケース5をガイドレール4に組付ける際は、先ずケース5の第1端縁部に形成された第1係合部5g及び第2係合部5hを切欠き部(4c,4d)に挿入する。ケース5をガイドレール4に対してスライドさせて、第1端縁部に形成された第1係合部5g及び第2係合部5hを切欠き部(4c,4d)から離す。その状態で第2構成部材3を第1構成部材2に取付ける。第2構成部材3のストッパ8によってガイドレール4の第1端縁部に形成された第1係合部5g及び第2係合部5hが切欠き部(4c,4d)に到達することが規制される。そのためケース5をガイドレール4に組み付け後にケース5がガイドレール4から脱落することが防止される。
【0043】
図4に示すように第1端縁部は、ケース5のスライド方向と平行な直線上に第1係合部5gと第2係合部5hとを有する。第1係合部5gは、ケース5のスライド方向の第1端部または第1端部近傍に形成されかつスライド方向に第1幅を備える。第2係合部5hは、第1端部の他端側である第2端部または第2端部近傍に形成されかつスライド方向に第1幅より狭い第2幅を備える。ガイドレール4の切欠き部は、第1切欠き部4cと第2切欠き部4dとを有する。第1切欠き部4cは、スライド方向の幅が第1幅より広く、第1係合部5gを厚み方向に挿入可能である。第2切欠き部4dは、スライド方向の幅が第1幅より狭くかつ第2幅より広く、第2係合部5hを厚み方向に挿入可能である。
【0044】
したがって第1切欠き部4cから第1係合部5gを挿入し、第2切欠き部4dから第2係合部5hを挿入できる取付位置において、ケース5をガイドレール4に取付けることができる。第1係合部5gは、第2切欠き部4dよりも幅が広いために第2切欠き部4dから外れない。したがってケース5が取付位置から離れ、第1係合部5gが第2切欠き部4dに到達してもガイドレール4から外れない。またケース5の組み付け方向が、2つの異なる幅の切欠き部から視覚的にわかるため、ケース5を逆方向に組み付けることがなくなる。
【0045】
図4図10に示すように第1切欠き部4cは、ケース5がスライドするガイドレール4のスライド領域4mにおけるスライド第1方向の端部に形成される。ケース5のスライド第1方向の第1端部または第1端部近傍には、第1係合部5gが形成される。第2構成部材3は、第1構成部材2に取付けられた状態で第2構成部材3から第1構成部材2のガイドレール4の端部へ向けて突出し、第1端縁部がガイドレール4の切欠き部(4c,4d)から外れることを規制するストッパ8を有する。ストッパ8は、例えば四角柱形状を有する。
【0046】
したがってケース5をガイドレール4に取付ける際は、ケースの第2端縁部の凸部又は凹部を、第2レール4bへ設けられた凹部又は凸部に配置し、更にケースの第1端縁部に形成された第1係合部5g及び第2係合部5hを、第1レール4aの第1切欠き部4c及び第2切欠き部4dへ挿入する。第1係合部5gが第1切欠き部4cから離れた位置に移動するようにケース5をガイドレール4に対してスライドさせる。この状態で第2構成部材3を第1構成部材2に取付ける。これにより第1係合部5gが第1切欠き部4cの位置に戻るのをストッパ8によって防ぐことができる。かくして第2構成部材3を第1構成部材2に組み付け後にケース5の第1端縁部がガイドレール4の切欠き部(4c,4d)から脱落するのを防止できる。
【0047】
本開示は、上述した実施形態で説明した外観、構成に限定されず、要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除が可能である。例えばケース5は図4図7に示すように第1及び第2係合部5g,5hを凸形状に形成する。凸形状の第1及び第2係合部5g,5hは突条部4nと第1レール4aとが協働することによって保持される。これに代えてケース5の第1係合部5gを凹形状部としてもよい。詳しくは、例えばケース5の第1係合部5gを凹形状部とし、凹形状部と嵌合する凸状部を第1レール4a側に形成する構成でもよい。
【0048】
図4図6図9に示すように、ガイドレール4の切欠き部(4c,4d)から第1端縁部に形成された第1係合部5g及び第2係合部5hを挿入することで、ケース5がガイドレール4に取付けられる。例えば第1レール4aの切欠き部(4c,4d)に加え、第2レール4bへ切欠き部を設けてもよい。このとき、第1係合部5g及び第2係合部5hが第1レールの切欠き部(4c,4d)に挿入され、第1端縁部と反対側の第2端縁部に形成された第3係合部が、第2レール4bの切欠き部に挿入されることでケース5がガイドレール4に取付けられてもよい。さらに、第1レールの切欠き部(4c,4d)と第2レール4bの切欠き部との幅を、異なる幅の切欠き部にしてもよい。
【0049】
図4図8図9に示すように、凸形状の第2レール4bにケース5の凹部5kが嵌合するように取付けられる。これに代えて、例えば第2レール4bを山型又は台形に形成し、ケース5の対応する凹部5kをそれに対応する形状としてケース5が取付けられてもよい。
【0050】
図4図7に示すようにケース5は、縦壁部5a,5bの頭部に第1係合部5g及び第2係合部5hをそれぞれ有し、底面に下側レール凸部5i、底面凸部5j及び弾性片5dを有する。これに代えて例えば第1レール4aを基部4qの上面4rに設け、第2レール4bをバイザ上縁に設け、ケース5を上下逆さまにして使用してもよい。このとき第1係合部5gの先端面5vと第2係合部5hの先端面5wとを上面4rと平行に形成してもよい。
【0051】
第1構成部材2と第2構成部材3は、例えば、両コアが硬質の樹脂で成形されても良いし、第2構成部材3が発泡樹脂で形成されても良い。図10に示すように、第1構成部材2と第2構成部材3は別体である。これに代えて、例えば第1構成部材2と第2構成部材3とが、樹脂で形成されるヒンジを介して連結されることによって一体で形成されていてもよい。この場合、第1構成部材2側または第2構成部材3側のいずれか一方側にガイドレール4が設けられてもよい。
【0052】
図10に示すようにストッパ8は第2構成部材3に設けられる。これに代えて例えばストッパ8を別体としてもよい。ストッパ8の形状は、例えば四角柱形状に代えて、ストッパ収容領域4eの形や大きさに合わせて形成してもよい。
【0053】
図3図4図11に示すように、ストッパ8に代えて、奥壁部4kに横軸7bの先端部7eよりも径の小さい開口部4lを形成することにより、横軸7bの先端部7eが開口部4lに挿入されず、開口部4lで止められてストッパ8として機能してもよい。
【符号の説明】
【0054】
1 車両用サンバイザ
1a バイザ本体
2 第1構成部材
3 第2構成部材
4 ガイドレール
4a 第1レール(ガイドレール本体)
4b 第2レール(ガイドレール本体)
4c 奥側切欠き部(第1切欠き部)
4d 入口側切欠き部(第2切欠き部)
5 ケース
5a,5b 縦壁部
5g 第1係合部(第1端縁部)
5h 第2係合部(第1端縁部)
5i,5j,5k, 第2端縁部
6 クリップ
7 支軸
8 ストッパ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11