(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-14
(45)【発行日】2023-07-25
(54)【発明の名称】料金収受システムおよび料金収受方法
(51)【国際特許分類】
G07B 15/00 20110101AFI20230718BHJP
G08G 1/09 20060101ALI20230718BHJP
【FI】
G07B15/00 P
G07B15/00 510
G08G1/09 F
(21)【出願番号】P 2019211177
(22)【出願日】2019-11-22
【審査請求日】2022-08-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】村上 康
【審査官】塩治 雅也
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-305912(JP,A)
【文献】特開2009-070403(JP,A)
【文献】特開平10-275261(JP,A)
【文献】特開2014-056412(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07B 11/00-17/04
G08G 1/09
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有料道路を通行する車両に対して通行料金を収受する料金収受システムにおいて、
前記有料道路を走行する車両に対して料金収受を行うエリアよりも手前に設定され
、予告通信エリア内の車載器と無線通信する予告アンテナと、
前記予告通信エリア内を走行する車両に搭載された車載器から取得
した車両情報に入口を示す情報がない場合、前記車載器から前記車両の走行履歴を取得し、
取得した前記走行履歴から入口を特定
し、前記車両情報に含まれる車載器IDに対応づけた入口情報をメモリに記録するホストコンピュータと、
前記予告通信エリア
の後
に設けられ、車両が通行する前記料金収受を行う
通信エリア内を走行する前記車両に搭載された前記車載器と無線通信
して車両情報を取得する料金収受アンテナと、
前記通信エリア内を走行する前記車両に搭載された前記車載器から取得した車両情報に入口を示す情報がない場合、前記ホストコンピュータから前記車載器の車載器IDに対応する入口情報を取得し、前記ホストコンピュータが前記走行履歴から特定した入口を起点として算出する料金
を収受する車線制御装置と、
を具備する料金収受システム。
【請求項2】
前記ホストコンピュータは、前記車両情報に含まれる車載器IDに対応づけて前記走行履歴から特定した入口を示す入口情報を前記車線制御装置へ配信し、
前記車線制御装置は、前記ホストコンピュータから配信された車載器IDに対応づけた入口情報を保持し、前記通信エリア内を走行する前記車両に搭載された前記車載器から取得する車両情報に入口を示す情報がない場合に前記ホストコンピュータから配信されている前記車載器IDに対応する入口情報を取得する、
請求項
1に記載の料金収受システム。
【請求項3】
有料道路を通行する車両に対して通行料金を収受する料金収受システムにおいて、
前記有料道路を走行する車両に対して料金収受を行うエリアよりも手前に設定される予告通信エリア内の車載器と無線通信する予告アンテナと、
前記予告通信エリア内を走行する車両に搭載された車載器から取得する車両情報に入口を示す情報がない場合、前記車載器から前記車両に搭載したカメラが撮影した入口画像を取得し、前記入口画像から入口を特定するホストコンピュータと、
前記予告通信エリアを走行した後の車両が通行する前記料金収受を行うエリアを通信エリアとし、前記通信エリア内を走行する前記車両に搭載された前記車載器と無線通信する料金収受アンテナと、
前記入口画像から入口が特定された車両が前記通信エリアを通信する場合、前記ホストコンピュータが前記入口画像から特定した入口を起点として算出する料金を前記車載器との通信によって収受する車線制御装置と、
を具備する料金収受システム。
請求項1
又は2の何れか1項に記載の料金収受システム。
【請求項4】
前記ホストコンピュータは、前記入口画像から入口に設置される情報表示装置が表示するコード画像を抽出し、前記入口画像から抽出したコード画像に基づいて入口を特定する、
請求項
3に記載の料金収受システム。
【請求項5】
前記ホストコンピュータは、さらに、前記コード画像が前記情報表示装置に表示された日時を特定し、前記コード画像が表示された日時が入口を示す情報として有効である場合に前記コード画像に基づいて入口を特定する、
請求項
4に記載の料金収受システム。
【請求項6】
有料道路を通行する車両に対して通行料金を収受する料金収受システムに用いられる
料金収受方法であって、
前記有料道路を走行する車両に対して料金収受を行うエリアよりも手前に設定される予告通信エリア内の車載器と無線通信し、
前記予告通信エリア内を走行する車両に搭載された車載器から取得する車両情報に入口を示す情報がない場合、前記車載器から前記車両の走行履歴を取得し、前記走行履歴から入口を特定し、
前記走行履歴から特定した入口を示す入口情報を前記車両情報に含まれる車載器IDに対応づけてメモリに記録し、
前記予告通信エリアを走行した後の車両が通行する前記料金収受を行うエリアを通信エリアとして前記通信エリア内を走行する前記車両に搭載された前記車載器と無線通信し、
前記通信エリア内を走行する前記車両に搭載された前記車載器から取得する車両情報に入口を示す情報がない場合、前記メモリから前記車載器の車載器IDに対応する入口情報を取得し、
前記メモリから取得した入口情報から特定した入口を起点として算出する料金を前記車載器との通信によって収受する、
料金収受方法。
【請求項7】
有料道路を通行する車両に対して通行料金を収受する料金収受システムに用いられる料金収受方法であって、
前記有料道路を走行する車両に対して料金収受を行うエリアよりも手前に設定される予告通信エリア内の車載器と無線通信し、
前記予告通信エリア内を走行する車両に搭載された車載器から取得する車両情報に入口を示す情報がない場合、前記車載器から前記車両に搭載したカメラが撮影した入口画像を取得し、前記入口画像から入口を特定し、
前記予告通信エリアを走行した後の車両が通行する前記料金収受を行うエリアを通信エリアとして前記通信エリア内を走行する前記車両に搭載された前記車載器と無線通信し、
前記入口画像から入口が特定された車両が前記通信エリアを通信する場合、前記入口画像から特定した入口を起点として算出する料金を前記車載器との通信によって収受する、
料金収受方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、料金収受システムおよび料金収受方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、均一の料金体系であることを前提として、入口に料金所を設置し、出口には料金所を設けずに走行中に料金を収受する有料道路の料金収受システム(第1の従来システムと称する)がある。第1の従来システムでは、入口の料金所で固定の基本料金を収受し、出口を走行中に割引や追加課金などの精算処理を行う。第1の従来システムでは、入口の料金所において、基本料金を収受され、かつ、入口情報を確定される。このため、第1の従来システムでは、無線通信の失敗などによって出口での割引や追加課金などの精算が失敗した場合には、後日精算などの後処理で対応することが想定されている。
【0003】
また、従来、入口に料金所を設置することを前提とし、出口に料金所を設けずに走行中に料金を収受する有料道路の料金収受システム(第2の従来システムと称する)の提案もある。第2の従来システムでは、入口で料金収受を行わずに、出口で入口からの距離および経路に対して料金収受を行う。第2の従来システムは、出口での正常な料金収受ができない場合、通行料金として上限金額を適用するという運用を想定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-114494号公報
【文献】特開2005-293071号公報
【文献】特開2005-284878号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、従来システムは、出口に料金所を設けない場合であっても、入口に料金所を設けて確実に入口情報を記録することを前提としている。しかしながら、料金所での混雑の緩和あるいは人的リソースの低減のため、出口だけでなく入口にも料金所を設置せずに料金収受が実現できるシステムが望まれている。入口に料金所を設けない場合、入口情報の記録が確実に行われずに、入口情報が欠落した車両がそのまま有料道路を走行する可能性がある。このような場合、従来の技術では、入口情報が欠落した車両に対して正常な料金収受が困難になるという問題点がある。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するものであり、入口および出口に料金所を設置しなくても走行する車両に対して確実に料金収受を行える料金収受システムおよび料金収受方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態によれば、料金収受システムは、予告アンテナとホストコンピュータと料金収受アンテナと車線制御装置とを有する。予告アンテナは、有料道路を走行する車両に対して料金収受を行うエリアよりも手前に設定される予告通信エリア内の車載器と無線通信する。ホストコンピュータは、前記予告通信エリア内を走行する車両に搭載された車載器から取得した車両情報に入口を示す情報がない場合、前記車載器から前記車両の走行履歴を取得し、取得した前記走行履歴から入口を特定し、前記車両情報に含まれる車載器IDに対応づけた入口情報をメモリに記録する。料金収受アンテナは、前記予告通信エリアの後に設けられ、車両が通行する前記料金収受を行う通信エリア内を走行する前記車両に搭載された前記車載器と無線通信して車両情報を取得する。車線制御装置は、前記通信エリア内を走行する前記車両に搭載された前記車載器から取得した車両情報に入口を示す情報がない場合、前記ホストコンピュータから前記車載器の車載器IDに対応する入口情報を取得し、前記ホストコンピュータが前記走行履歴から特定した入口を起点として算出する料金を収受する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係る料金収受システムの構成例を模式的に示す斜視図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態に係る料金収受システムの制御系の構成例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、第1の実施形態に係る料金収受システムと通信する車載器の構成例を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、第1の実施形態に係る料金収受システムにおける出口システムによる予告通信処理を説明するためのフローチャートである。
【
図5】
図5は、第1の実施形態に係る料金収受システムにおける出口システムによる予告通信処理に対する車載器の動作例を説明するためのフローチャートである。
【
図6】
図6は、第1の実施形態に係る料金収受システムにおける出口システムによる出口処理を説明するためのフローチャートである。
【
図7】
図7は、第2の実施形態に係る料金収受システムの構成例を模式的に示す斜視図である。
【
図8】
図8は、第2の実施形態に係る料金収受システムの制御系の構成例を示すブロック図である。
【
図9】
図9は、第2の実施形態に係る料金収受システムと通信する車載器の構成例を示すブロック図である。
【
図10】
図10は、第2の実施形態に係る料金収受システムにおいて入口に設置した情報表示装置に対する表示処理を説明するためのフローチャートである。
【
図11】
図11は、第2の実施形態に係る料金収受システムにおける出口システムによる予告通信処理を説明するためのフローチャートである。
【
図12】
図12は、第2の実施形態に係る料金収受システムにおける出口システムによる予告通信処理に対する車載器の動作例を説明するためのフローチャートである。
【
図13】
図13は、第2の実施形態に係る料金収受システムにおける出口システムによる出口処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
第1および第2の実施形態に係る料金収受システムは、有料道路の入口および出口等において走行中の車両に対して料金収受を行う料金を収受するシステムである。例えば、料金収受システムは、有料道路の入口および出口などに設けた料金収受を行うエリア(通信エリア)を走行する車両に搭載された車載器と無線通信することにより料金を収受するものである。
【0010】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る料金収受システムに含まれる入口システム3または出口システム4を有料道路に設置した構成例を模式的に示す斜視図である。また、
図2は、第1の実施形態に係る料金収受システムの構成例を示すブロック図である。
図1に示す例では、3つの走行車線がある有料道路における入口付近に設置される入口システム3または出口付近に設置される出口システム4の構成例を示す。本実施形態において、入口システム3と出口システム4とは同様なハードウエア構成を有するもので実現できる。このため、
図1では、入口システム3としての各構成に対する参照符号と出口システム4としての各構成に対する参照符号とを併記するものとする。
【0011】
図1に示すように、入口システム3および出口システム4は、走行方向が定められている有料道路に設置される。入口システム3は、走行方向に移動する車両1に搭載される車載器2と通信することにより入口処理(入場処理)を実行する。出口システム4は、走行方向に移動する車両1に搭載される車載器2と通信することにより出口処理(出場処理)を実行する。
【0012】
図2に示すように、入口システム3としては、入口処理を行うための入口処理システムと入口処理を実行する前に車載器2と予告通信を行う予告通信システムとマニュアル操作によって入口処理を行うためのマニュアル処理システムとを有する。出口システム4としては、出口処理を行うための出口処理システムと出口処理を実行する前に車載器2と予告通信を行う予告通信システムとマニュアル操作によって出口処理を行うためのマニュアル処理システムとを有する。また、入口システム3および出口システム4は、ホストコンピュータ5と通信接続される。入口システム3および出口システム4における処理は、ホストコンピュータ5によって制御および管理される。
【0013】
予告通信システムは、出場処理または入口処理を実行する通信エリアの手前を走行する車両に搭載されている車載器2と通信するためのシステムである。予告通信システムは、アンテナ(予告アンテナ)31、41と予告アンテナ制御装置32、42とを有する。アンテナ31、41は、
図1に示すように、車両の走行方向において、入口処理または出口処理を実行する通信エリアEの手前を通信エリア(予告通信エリア)Epとするように設定される。
【0014】
例えば、出口システム4において、予告通信エリアEpは、有料道路を走行する出場処理前の全て車両1の車載器2と通信できるようなエリアであれば良い。予告通信エリアEpは、車線ごとに通信エリアを分ける必要がなく、全車線にまたがるような広い範囲を通信可能なエリアとして設定して良い。また、予告通信エリアEpは、車内にいる人物による車載器2へのカード挿入などの操作時間を確保できるように走行方向に対しても広い範囲で通信可能となるようなエリアとしても良い。
【0015】
予告アンテナ制御装置32、42は、予告アンテナ31、41による電波の送受信を制御するための装置である。例えば、予告アンテナ制御装置42は、予告アンテナ41から車載器2へ応答を要求する信号を出力し、応答要求に対する車載器2からの応答信号を予告アンテナ41によって受信する。予告アンテナ制御装置42は、予告アンテナ41により車載器2から受信した信号に含まれる情報をホストコンピュータ5へ供給する。
【0016】
出口処理システムは、出口を通過する車両に対する処理としての出口処理を実行するためのシステムである。また、入口処理システムは、入口を通過する車両に対する処理としての入口処理を実行するためのシステムである。出口処理(入口処理)は、出口(入口)とする所定のエリア(通信エリア)を走行する車両1に搭載されている車載器2と通信することにより実施する。入口処理システムは、アンテナ33、カメラ34、画像処理装置35および車線制御装置36を有する。出口処理システムは、アンテナ(料金収受アンテナ)43、カメラ44、画像処理装置45および車線制御装置46を有する。
【0017】
アンテナ33、43は、
図1に示すように、入口処理、出場処理の対象とする車両が存在する位置(処理可能範囲)を通信エリアE(E1、E2、E3)とする。通信エリアE1、E2、E3は、各車線に存在する車両と選択的に通信できるように、車線ごとに設定する。例えば、アンテナ43は、各車線に設定される通信エリアごとに設置されるものとしても良い。
図1に示す例では、第1の車線に通信エリアE1、第2の車線に通信エリアE2、および、第3の車線に通信エリアE3がそれぞれ設定されるように、各車線にアンテナ43が設置される。各アンテナ33、43は、通信接続される車線制御装置36、46に制御される。
【0018】
カメラ34、44は、
図1に示すように、各車線内の通信エリアE1、E2、E3に存在する車両(処理対象とする車両)を撮影するように設置される。例えば、カメラ44は、各通信エリアE1、E2、E3に存在する車両を撮影できるものであれば良い。カメラ44は、車線ごとに設置しても良いし、1つ又は複数のカメラ44が撮影する画像から各通信エリアE1、E2、E3に存在する車両を撮影した画像を切り出すようにしても良い。
図1に示す例では、第1の車線における通信エリアE1、第2の車線における通信エリアE2、および、第3の車線における通信エリアE3をそれぞれ撮影できるように、各車線にカメラ44が設置される。
【0019】
画像処理装置35、45は、カメラ34、44が撮影する画像を処理する装置である。画像処理装置35、45は、カメラ34、44が撮影した画像に対する処理結果を車線制御装置36、46へ送信する。例えば、画像処理装置35、45は、カメラ34、44が撮影する画像から各通信エリア内の車両に取り付けられているナンバープレートに記載された情報を認識するナンバープレート読取装置である。この場合、ナンバープレート読取装置としての画像処理装置35、45は、各通信エリア内に存在する車両のナンバープレートの認識結果を車線制御装置36、46へ供給する。
【0020】
車線制御装置36、46は、アンテナ33、43による電波の送受信を制御し、画像処理装置35、45によるカメラ34、44が撮影する映像の処理結果を取得する。例えば、車線制御装置46は、各アンテナ43が対応する車線内の車両1に搭載されている車載器2と通信する。また、車線制御装置46は、画像処理装置35から各車線内の車両を撮影した画像の処理結果(例えば、ナンバープレートの認識結果)を取得する。車線制御装置46は、各車線内の車両に関する情報をホストコンピュータ5へ供給する。
【0021】
マニュアル処理システムは、車載器2との通信ではなく、操作員または利用者自身の操作によって出口処理または入口処理を実行するためのシステムである。マニュアル処理システムは、車載器2の不具合によって出口処理システム(入口処理システム)による出口処理(入口処理)が実行できない車両、有効な決済用カードが車載器2に挿入されていない車両、あるいは、車載器2を搭載していない車両に対してマニュアル操作で出口処理(入口処理)を実行する。
【0022】
マニュアル処理システムは、料金所処理装置37、47、発進制御器38、48、カメラ39、49などを有する。マニュアル処理システムを構成する料金所処理装置37、47、発進制御器38、48およびカメラ39、49は、走行車線から分岐した専用レーンMに沿って設置される。
【0023】
専用レーンMは、予告通信エリアEpを通過した後に進入できるように構成される。この場合、予告通信エリアEpで予告処理が異常終了となった車両(決済用カードが無効な車両、あるいは、入口を特定する情報が取得できなかった車両)が専用レーンMに進入できるものとなる。また、専用レーンMは、通信エリアEを通過した後に進入できるように構成しても良い。この場合、通信エリアE(E1、E2又はE3)で料金収受などの出口処理(入口処理)が出来なかった車両が専用レーンMに進入できるものとなる。
【0024】
料金所処理装置37、47は、係員による操作または車両に乗車している利用者自身による操作によって入口処理、出口処理を実行する。例えば、出口に設けた料金所処理装置47は、車載器2の不具合が生じている場合に、利用者から決済カードを受け取り、当該カードを用いた料金収受などの処理を含む出口処理を実行する。料金所処理装置37、47は、マニュアル操作による入口処理、出口処理の結果に応じて発進制御器48(38)を制御して車両の通行を制御する。
【0025】
発進制御器38、48は、車両の通行を阻止する阻止棒を開閉させる装置であり、料金所処理装置37、47の制御に応じて阻止棒を開閉させることにより、車両の通行を制御する。
また、カメラ39、49は専用レーンM内を撮影する。カメラ39、49が撮影する画像は専用レーンMを通行する車両を監視するための画像となる。つまり、カメラ39、49は監視カメラである。また、料金所処理装置37、47は、カメラ39、49が撮影する画像から専用レーンM内の車両に取り付けられたナンバープレートを認識するようにしても良い。
【0026】
ホストコンピュータ5は、出口システム4および入口システム3による各処理を制御する。また、ホストコンピュータ5は、出口処理あるいは入口処理により取得した情報に基づいて車載器2に挿入された決済カードによる料金収受処理を行う。ホストコンピュータ5は、プロセッサ51、メモリ52、インターフェース53、インターフェース54および通信部55などを有する。
【0027】
プロセッサ51は、CPUなどであり、プログラムを実行することにより種々の処理を実行する。メモリ52は、RAM、ROMおよび書き換え可能な不揮発性メモリなどの各種のメモリを含むものとする。メモリ52は、プロセッサ51が実行するプログラムを記憶する。また、メモリ52は、各種の処理において各部から取得する情報を保持する。例えば、メモリ52は、予告通信処理によって車載器2から取得する車両1の走行履歴情報に基づいて特定する入口を示す情報を車載器IDなどの識別情報に対応づけて記憶する。
【0028】
インターフェース53は、入口システムの予告アンテナ制御装置32、車線制御装置36および料金所処理装置37に接続する。インターフェース54は、出口システムの予告アンテナ制御装置42、車線制御装置46および料金所処理装置47に接続する。
通信部55は、料金収受システム全体を統括的に管理する中央管理装置に通信接続するための通信インターフェースである。
【0029】
なお、
図2に示す構成例において、ホストコンピュータ5は、入口システムに接続するインターフェース53と出口システムに接続するインターフェース54とを具備するものとしたが、入口システム用のホストコンピュータと出口用のホストコンピュータとがそれぞれ設けられる構成としても良い。この場合、入口システム用のホストコンピュータは、入口システムの各装置に接続するインターフェース53を具備するものとし、出口システム用のホストコンピュータは、出口システムの各装置に接続するインターフェース54を具備するとすれば良い。
【0030】
次に、車両1に搭載される車載器2の構成について説明する。
図3は、第1の実施形態に係る車載器2の構成例を示すブロック図である。
図3に示すように、車載器2は、プロセッサ61、メモリ62、通信部63、位置取得部64、カードリーダライタ(R/W)65および警報器66などを有する。
プロセッサ61は、例えば、CPUである。プロセッサ61は、プログラムを実行することにより種々の処理を実行する。
【0031】
メモリ62は、RAM、ROMおよび書き換え可能な不揮発性メモリなどの各種のメモリを含む。例えば、メモリ62のROMは、プロセッサ61が実行するプログラムおよび制御データなどを記憶する。また、メモリ62のRAMは、ワーキングメモリとして機能し、データを一時的に記憶する。メモリ62の不揮発性メモリは、車両情報および車載器IDなどの車両に車載器2を挿入アップする際に設定された設定情報を記憶する。また、メモリ62の不揮発性メモリは、位置取得部64が取得する走行履歴を示す情報(例えば、プローブ情報)を記憶する。
【0032】
通信部63は、路側に設置されたアンテナなどを介して車外のシステムと無線通信するための通信インターフェースである。例えば、通信部63は、予告アンテナ41、31を介して予告通信システムと通信し、アンテナ43、33を介して出口システム、入口システムと通信する。
【0033】
位置取得部64は、車両の走行履歴として利用する車両の位置を示す情報を取得する。位置取得部64は、路側に設置された機器(例えば、ITSスポット)と通信することにより車両の走行位置を示す位置情報を取得する。また、位置取得部64は、カーナビゲーションシステムなどの車両に設置されている位置情報を取得する機器から位置情報を取得するものであっても良い。
【0034】
カードリーダライタ(R/W)65は、決済に用いられるカード(決済カード)を処理するための装置である。カードR/W65は、決済カードとしてのICカードに対して情報の読取および書込みを行う。例えば、カードR/W65は、入口処理において決済カードに入口情報を書き込む。また、カードR/W65は、出口処理において決済カードに記録されている料金収受用の情報を読み出し、料金収受の結果を示す情報を決済カードに書き込む。
【0035】
警報器66は、車内の利用者に警告を報知する。例えば、警報器66は、アラームを出力するものであっても良いし、音声で警告メッセージを出力するものであっても良い。また、警報器66は、LED或いは表示器でエラーメッセージなどを表示するものであっても良い。
【0036】
次に、第1の実施形態に係る料金収受システムの出口システムにおける予告通信システムによる予告通信処理について説明する。
図4は、第1の実施形態に係る料金収受システムにおける出口システム4による予告通信処理の流れを説明するためのフローチャートである。
予告アンテナ制御装置42は、アンテナ(予告アンテナ)41を介して予告通信エリアEpを走行する各車両1の車載器2と通信する。予告アンテナ制御装置42は、アンテナ41から車載器2に対して応答を要求する信号を出力する。予告通信エリアEp内を走行する車両1に搭載された車載器2は、アンテナ41からの応答要求を受信する。応答要求を受信した車載器2は、応答を送信することによりアンテナ41を介した予告通信システムとの通信(予告通信)を開始する。
【0037】
予告通信を開始すると、予告アンテナ制御装置42は、アンテナ41を介して車載器2から車両情報を取得する(S11)。車両情報は、予告通信において車載器2が予告通信システムへ送信する情報であり、車載器ID、決済カードの挿入状態、決済カードの有効性を示す情報などを含むものとする。予告アンテナ制御装置42は、車載器2から受信した車両情報をホストコンピュータ5へ送信する。
【0038】
ホストコンピュータ5のプロセッサ51は、車載器2からの車両情報を取得すると、当該車載器2にカードが挿入されているか否かを判断する(S12)。カードが挿入されていないと判断した場合(S12、NO)、プロセッサ51は、予告アンテナ制御装置42を用いて当該車載器2にカードが未挿入である旨の警告を示す情報を送信させる。予告アンテナ制御装置42は、ホストコンピュータ5から指示に従って、予告アンテナ41を介してカードが未挿入である旨の警告を当該車載器2へ送信する(S13)。
【0039】
予告通信システムは、車載器2にカードが未挿入である場合、当該車載器2にカードが挿入されるのを待機するようにしても良い。例えば、予告通信システムは、当該車載器2からのカードが挿入されたことを示す情報を受信待ちとしても良い。この場合、ホストコンピュータ5は、予告アンテナ制御装置42が予告アンテナ41を通じて当該車載器2から受信する情報に基づいて当該車載器2にカードが挿入されたかを監視するようにすれば良い。また、予告通信システムは、当該車載器2との予告通信を一旦終了し、当該車両が予告通信エリアEpに存在する間は当該車載器2との通信を再度実施するようにしても良い。
【0040】
車載器2にカードが挿入されていると判断した場合(S12、YES)、ホストコンピュータ5のプロセッサ51は、当該車載器2から取得した車両情報に基づいて当該車載器2に挿入されているカードが決済カードとして有効であるかを確認する(S14)。例えば、プロセッサ51は、当該車載器2に挿入されているカードが決済カードとしての有効期限内であるか否かにより当該カードの有効性を確認する。
【0041】
車載器2に挿入されているカードが有効でないと判断した場合(S14、NO)、プロセッサ51は、予告アンテナ制御装置42を用いて当該車載器2に挿入されているカードが無効である(有効でない)旨の警告を示す情報を送信させる(S15)。予告通信システムは、車載器2に挿入されているカードが無効である旨の警告を送信した場合、当該車載器2との予告通信を終了するようにして良い。この場合、予告通信システムは、当該車両が予告通信エリアEpに存在する間は当該車載器2との通信を再度実施することができ、車両1が予告通信エリアEp内にいる間であれば利用者が有効な決済カードに挿入し直すことで予告通信をやり直すこともできる。
【0042】
車載器2に挿入されているカードが決済カードとして有効であると判断した場合(S14、YES)、プロセッサ51は、車両情報から当該車両が進入してきた入口を示す入口情報が取得できたか否かを判断する(S16)。車両情報から入口情報が取得できた場合(S16、YES)、プロセッサ51は、当該車両1に対する正常な決済が可能であるものとして当該車両に対する予告通信処理を終了する。正常な決済が可能であると判断した場合、プロセッサ51は、予告アンテナ制御装置42により予告アンテナ41を介して当該車載器2へ正常に決済可能である旨の通知を送信するようにしても良い。
【0043】
車両情報から入口情報が取得できなかった場合(S16、NO)、プロセッサ51は、当該車両情報の発信元である車載器2に対して当該車両1の走行履歴を要求する(S15)。車載器2に要求する走行履歴は、当該車両1が進入してきた入口を特定するための情報であれば良い。例えば、走行履歴は、車載器2がITSスポットなどの位置を示す情報を出力する設備から受信する情報に基づいて特定した位置と当該情報の受信日時とを示す履歴情報であっても良い。また、走行履歴は、車載器2と別に当該車両1に設置されているカーナビゲーションシステムなどの車両の位置検知装置から取得する情報であっても良い。この場合、車載器2は、車両の位置検知装置から入口を特定するための走行経路を示す情報を取得し、走行結果を示す情報または走行経路から特定した入口を示す情報を予告通信システムへ提供する。
【0044】
車載器2が走行履歴を提供できない場合(S18、NO)、プロセッサ51は、予告アンテナ制御装置42に当該車載器2へ入口が特定できない旨の警告を示す情報を送信させる(S19)。また、プロセッサ51は、当該車載器2へ入口が特定できない旨の警告を送信するとともに、車両1を専用レーンMへ移動させてマニュアル処理を行う旨の案内を通知する(S20)。これにより、予告通信システムを含む出口システムは、通信エリアEpを通過する車両のうち入口が特定できない車両に対してはマニュアル処理を行うために専用レーンMへ誘導することができる。
【0045】
車載器2が要求に応じて走行履歴を送信した場合(S18、YES)、予告アンテナ制御装置42は、予告アンテナ41によって受信する車載器2からの走行履歴の情報をホストコンピュータ5へ転送する。ホストコンピュータ5のプロセッサ51は、予告アンテナ41によって受信する走行履歴の情報をメモリ52に格納する(S21)。プロセッサ51は、メモリ52に格納した車載器2からの走行履歴に基づいて当該車両が進入した入口を特定する(S22)。プロセッサ51は、走行履歴から特定した入口を示す情報を車両情報に含まれる車載器IDに対応づけてメモリ52に記憶する(S23)。また、プロセッサ51は、走行履歴から特定した入口を示す情報を車両情報に含まれる車載器IDに対応づけて当該出口の各車線制御装置46へ配信するようにしても良い。
【0046】
これにより、出口システムは、決済カードまたは車載器に入口情報が記録されていない場合であっても、車両の走行履歴から入口を特定できる。また、出口システムは、車両が料金収受を行う通信エリアに至る前に車両情報に入口情報がない車両の車載器から走行履歴を取得することができ、当該車両が料金収受を行う通信エリアに至る前に走行履歴から入口を特定する処理を実施しておくことができる。
【0047】
次に、第1の実施形態に係る料金収受システムの出口システムによる予告通信処理に対する車載器2の動作について説明する。
図5は、第1の実施形態に係る料金収受システムの出口システム4による予告通信処理に対応する車載器2の動作例を説明するためのフローチャートである。
有料道路を走行する車両1が予告通信エリアEpに進入すると、当該車両1に搭載された車載器2は、予告アンテナ41からの信号に応答することにより予告通信システムとの通信を確立する。予告通信システムとの通信を開始すると、車載器2のプロセッサ61は、予告通信システムからの要求に応じて、通信部63により車両情報を送信する(S31)。車両情報は、例えば、車載器ID、決済カードの挿入状態、決済カードの有効性を示す情報などを含むものとする。
【0048】
また、車載器2のプロセッサ61は、カードR/W65に決済カードが挿入されていない状態である場合(S32、NO)、警報器66を用いて決済カードの挿入を促す警告を出力する(S33)。例えば、プロセッサ61は、送信した車両情報に対応して予告通信システムから送信される信号に応じて決済カードの挿入を促す警告を出力する。また、プロセッサ61は、セルフチェックによって車載器2にカードが挿入されていないことを検知して決済カードの挿入を促す警告を出力しても良い。
【0049】
決済カードが車載器2に挿入されていない場合、プロセッサ61は、車両1が予告通信エリアEp内にいる間(予告通信システムとの通信状態が確保されている間)、決済カードの挿入待ちとする(S34、YES)。この間に決済カードが車載器2に挿入されると、プロセッサ61は、決済カードが挿入された状態であることを予告通信システムへ通知する。また、決済カードが挿入されない場合、プロセッサ61は、自動料金収受による料金収受が不可である旨を警告し、マニュアル処理による料金決済を案内する(S40)。
【0050】
決済カードが車載器2に挿入されている場合(S32、YES)、プロセッサ61は、カードR/W65を用いて挿入されているカードに記録されている情報を読取ることにより決済カードとして有効であるか否かを判断する(S35)。例えば、プロセッサ51は、当該車載器2に挿入されている決済カードが有効期限内であるか否かにより当該決済カードの有効性を確認する。
【0051】
車載器2に挿入されているカードが有効でない場合(S35、NO)、プロセッサ61は、警報器66を用いて車載器2に挿入されているカードが決済カードとして有効でない旨の警告を出力する(S33)。例えば、プロセッサ61は、車両情報に対応して予告通信システムから供給される制御信号に応じて決済カードが無効である旨の警告を出力する。また、プロセッサ61は、挿入されているカードをセルフチェックすることにより決済カードとして有効であるか否かを判断し、挿入されているカードが無効であると判断した場合に警告を出力するようにしても良い。なお、当該車両1が予告通信エリアEpに存在する間であれば、車載器2は、利用者が有効な決済カードに挿入し直した場合に、予告通信システムとの予告通信をやり直すことができる。
【0052】
挿入されている決済カードが有効である場合(S35、YES)、プロセッサ61は、決済カードまたはメモリ62に当該車両が進入した入口を示す入口情報が記録されているか否かを判断する(S36)。入口情報がある場合(S36、YES)、プロセッサ61は、入口情報に基づく料金収受が可能であるものとして当該車両1に対する予告通信処理を終了する。入口情報がある場合、プロセッサ51は、警報器66を用いて予告通信が正常終了した旨あるいは料金収受が可能である旨を報知するようにしても良い。
【0053】
入口情報がない場合(S36、NO)、プロセッサ61は、予告通信システムに対して当該車両1の走行履歴を示す情報が提供可能であるか否かを判断する(S38)。車載器2が予告通信システムへ提供する走行履歴は、当該車両1が有料道路に進入した入口が特定可能な情報であれば良い。例えば、車載器2は、ITSスポットなどの設備から受信する情報に基づく車両の位置と日時とを走行履歴(プローブ情報)として記録し、記録した走行履歴を予告通信システムへ送信するようにしても良い。
【0054】
また、車載器2は、当該車両1に設置されているカーナビゲーションシステムなどの装置が位置検知装置(例えばGPS)等を用いて収集した情報を走行履歴として提供できるようにしても良い。この場合、車載器2は、カーナビゲーションシステムなどの装置から入口を特定するための当該車両の走行経路を示す情報を取得し、走行経路を示す情報または走行経路から特定した入口を示す情報を予告通信システムへ提供する。
【0055】
車両1の走行履歴を提供できない場合(S38、NO)、プロセッサ61は、警報器66を用いて入口が特定できない旨の警告を出力させ(S39)、当該車両1を専用レーンMへ移動させてマニュアル処理を行う旨の案内を出力させる(S40)。これにより、車載器2は、予告通信エリアEpを通過した場合に、入口が特定できないために専用レーンMを走行してマニュアル処理を行うことを案内できる。
【0056】
走行履歴が提供できる場合(S38、YES)、車載器2のプロセッサ61は、通信部63を用いて上述したような走行履歴を予告通信システムへ送信する(S41)。走行履歴の送信が完了した後、出口システム4が送信した走行履歴から有効な入口を特定できなった場合(S42、NO)、プロセッサ61は、上述したS39へ進み、警報器66を用いて入口が特定できない旨の警告と専用レーンMへ移動の案内とを出力させる。また、出口システム4が送信した走行履歴から有効な入口を特定できた場合(S42、YES)、プロセッサ61は、予告通信が正常終了したものとする。
【0057】
次に、第1の実施形態に係る料金収受システムの出口システムによる料金収受処理を含む出口処理について説明する。
図6は、第1の実施形態に係る料金収受システムにおける出口システム4による出口処理の流れを説明するためのフローチャートである。
予告通信エリアEpを通過した後の車両は、専用レーンMへの移動がなければ、そのまま有料道路を走行し、各車線に設けられた通信エリアEを走行することとなる。車両1が通信エリアEを走行すると、車線制御装置46は、アンテナ(料金収受アンテナ)43を介して車両1に搭載されている車載器2と通信する。車線制御装置46は、アンテナ43を介して通信エリアE内を走行する車両1に搭載された車載器2との通信を確立すると、当該車載器2から車両情報を取得する(S51)。車両情報は、車載器ID、決済カードの挿入状態、決済カードの有効性を示す情報などを含むものとする。
【0058】
車線制御装置46は、車載器2からの車両情報を取得すると、当該車載器2にカードが挿入されているか否かを判断する(S52)。カードが挿入されていないと判断した場合(S52、NO)、車線制御装置46は、車載器2にカードが未挿入であるために料金収受が不可であるものとし、アンテナ43を介して決済カードが未挿入である旨の警告を車載器2へ送信する(S53)。
【0059】
また、車載器2にカードが挿入されていると判断した場合(S52、YES)、車線制御装置46は、当該車載器2から取得した車両情報に基づいて当該車載器2に挿入されているカードが決済カードとして有効であるか否かを確認する(S54)。例えば、車線制御装置46は、当該車載器2に挿入されているカードが決済カードとしての有効期限内であるか否かにより当該カードの有効性を確認する。
【0060】
車載器2に挿入されているカードが有効でないと判断した場合(S54、NO)、車線制御装置46は、車載器2に挿入されているカードが無効であるために料金収受が不可であるものとし、アンテナ43を介して車載器2へ決済カードが無効である旨の警告を送信させる(S55)。
【0061】
車載器2に挿入されているカードが有効な決済カードであると判断した場合(S54、YES)、車線制御装置46は、車両情報に入口情報が存在するか否かを判断する(S56)。車両情報に入口情報が存在する場合(S56、YES)、車線制御装置46は、車両情報に含まれる入口情報を用いて料金計算を行い、当該車両1の車載器2に挿入されている決済カードを用いて料金を決済する料金収受処理を実行する(S61)。
【0062】
車両情報に入口情報がない場合(S56、NO)、車線制御装置46は、予告通信処理によって当該車両の走行履歴から入口が特定されているか否かを判断する(S55)。上述した予告通信処理では、ホストコンピュータ5は、車載器からの車両情報に入口情報がない場合、当該車両の走行履歴を取得し、取得した走行履歴から車両が有料道路に入場した入口を特定し、走行履歴から特定した入口を示す入口情報を車載器IDに対応づけてメモリ52に記録している。
【0063】
この場合、車線制御装置46は、車両情報に入口情報がない車載器2の車載器IDに対応する入口情報が当該車両の走行履歴に基づいて特定されているか否かをホストコンピュータ5へ問い合わせる。ホストコンピュータ5は、車線制御装置46からの問合せに応じて車載器IDに対応する入口情報がメモリ52にあるか否かにより入口情報が当該車両の走行履歴から特定されているか否かを判断する。ホストコンピュータ5は、車載器IDに対応する入口情報が当該車両の走行履歴から特定されている場合、当該車載器IDに対応する入口情報を車線制御装置46へ供給する。また、車載器IDに対応する入口情報が当該車両の走行履歴から特定されていない場合、ホストコンピュータ5は、当該車載器IDに対応する入口情報が無い旨を車線制御装置46へ供給する。
【0064】
なお、ホストコンピュータ5は、予告通信処理において車両の走行履歴に基づいて特定した入口情報を当該車両の車載器IDに対応づけた情報として各車線制御装置46へ予め配信しておくようにしても良い。この場合、車線制御装置46は、ホストコンピュータ5から配信される入口情報(走行履歴から特定した入口を示す情報)を車載器IDに対応づけて記憶しておき、配信された走行履歴に基づく入口情報があるか否かを判断するようにすれば良い。
【0065】
車両情報に入口情報がなく、かつ、走行履歴に基づく入口情報が特定されていない場合(S57、NO)、車線制御装置46は、アンテナ43を介して当該車載器2へ入口が特定できない旨の警告を送信させる(S58)。また、車線制御装置46は、当該車載器2へ入口が特定できない旨の警告を送信するとともに、料金収受ができなかった車両1に関する情報をホストコンピュータ5へ送信し(S59)、当該車両1に対する出口処理を終了する。
【0066】
料金収受ができなかった車両1に対しては、ホストコンピュータ5および中央装置6によって後処理が実施される。例えば、後処理は、料金収受ができなかった車両に対して後日料金を精算するための処理である。後日料金を精算する方法としては、ナンバープレート読取装置としての画像処理装置35、45が認識する車両のナンバープレートの認識結果から当該車両の入口を特定して料金を請求する方法が考えられる。
【0067】
この場合、車線制御装置46は、画像処理装置45によりカメラ44で撮影する料金収受ができなかった車両の画像から認識するナンバープレートの情報を当該車両の車載器から取得した車両情報とともにホストコンピュータ5へ送信する。また、入口システムの車線制御装置36は、画像処理装置35がカメラ34で撮影する通行する各車両の画像から認識するナンバープレートの情報をホストコンピュータ5へ送信する。中央装置6は、ホストコンピュータ5から各入口および出口でのナンバープレートの認識結果を収集し、料金収受ができなかった車両に対して課金すべき料金を算出して後日料金を請求する。
【0068】
また、後処理は、料金収受ができなかった車両に関する情報をホストコンピュータ5または中央装置6に記録する処理であっても良い。この場合、車線制御装置46は、カメラ44が撮影する料金収受ができなかった車両の画像あるいは当該車両の画像から認識されたナンバープレートの情報を未決済の車両に関する情報としてホストコンピュータ5へ供給する。
【0069】
当該車両1の走行履歴に基づく入口情報が特定されている場合(S57、YES)、車線制御装置46は、当該車両1の走行履歴から特定された入口情報を取得する(S60)。車線制御装置46は、上述したように、予告通信処理で当該車両1の走行履歴から特定された入口情報をホストコンピュータ5から取得する。なお、予告通信処理で車両の走行履歴から特定された入口情報が配信されている場合、車線制御装置46は、配信されている車両の走行履歴に基づく入口情報から当該車載器2の車載器IDに対応する入口情報を取得する。
【0070】
車両の走行履歴に基づく入口情報を取得すると、車線制御装置46は、取得した走行履歴に基づく入口情報に応じて当該車両に課金すべき料金を算出し、算出した料金を車載器2に挿入されている決済カードで決済する料金収受を行う(S61)。料金収受が終了すると、車線制御装置46は、料金収受の結果をホストコンピュータ5へ通知し、当該車両に対する出口処理を終了する。
【0071】
以上のように、第1の実施形態に係る料金収受システムは、車両に搭載した車載器が入口情報を記録できていない場合であっても当該車両の走行履歴から入口を特定する。これにより、第1の実施形態によれば、入口情報が記録できていない車載器を搭載する車両に対しても当該車両の入口を起点とする料金の収受が行える。また、第1の実施形態に係る料金収受システムは、車両が料金収受を行う通信エリアに達する前に、予告通信を行って入口情報の有無を確認し、入口情報がない車両の走行履歴を取得するようにしたものである。これにより、第1の実施形態によれば、料金収受の処理を開始する前に、走行履歴に基づいて入口を特定する処理を実行することができ、走行履歴に基づく料金収受処理を確実に行うことが可能となる。
【0072】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態に係る料金収受システムについて説明する。
図7は、第2の実施形態に係る料金収受システムに含まれる入口システム3を有料道路に設置した例を模式的に示す斜視図である。また、
図8は、第2の実施形態に係る料金収受システムの構成例を示すブロック図である。
図7及び
図8に示す第2の実施形態に係る料金収受システムは、入口システム3に情報表示装置111が追加された以外は
図1および
図2に示す第1の実施形態で説明した料金収受システムと同様なハードウエア構成で実現できる。このため、第2の実施形態に係る料金収受システムにおいて、第1の実施形態で説明した料金収受システムと同様な構成については同一箇所に同一符号を付して詳細な説明を省略するものとする。
【0073】
第2の実施形態に係る料金収受システムにおいて、入口システム3は、
図7に示すように情報表示装置111が設けられる。情報表示装置111は、入口を示すコード情報を2次元コードなどのコード画像化した画像を表示する。入口を示すコード情報は、入口システム側の制御によって適宜更新(生成)されるものとし、情報表示装置111に表示するコード画像も適宜更新される。なお、情報表示装置111は、入口システム3に設けられるものであり、出口システム4には設けなくて良い。
【0074】
情報表示装置111は、コード画像を表示する表示画面を有する。情報表示装置111は、コード画像を表示する表示画面が各車線を走行する車両に設置したカメラから撮影できるように設置される。また、情報表示装置111は、1つの入口において複数設置しても良い。1つの入口に複数設置する場合、各情報表示装置111は、同じコード画像を表示するように制御されるものとする。
【0075】
次に、第2の実施形態に係る車載器2の構成について説明する。
図9は、第2の実施形態に係る車載器2の構成例を示すブロック図である。
図9に示す第2の実施形態に係る車載器2は、第1の実施形態で説明した
図3に示す車載器2にカメラインターフェース67を追加した構成を有する。
図9に示す車載器2は、カメラインターフェース67を追加した以外は
図3に示す第1の実施形態で説明した車載器2と同様なハードウエア構成で実現できる。このため、第2の実施形態に係る車載器2において、第1の実施形態で説明した車載器2と同様な構成については同一箇所に同一符号を付して詳細な説明を省略するものとする。
【0076】
第2の実施形態において、当該料金収受システムを利用する車両1には、カメラ121が設置されているものとする。カメラ121は、有料道路を走行中に情報表示装置111の表示画面が撮影できるものであれば良い。例えば、カメラ121は、車載器2が具備するものであっても良いし、車載器2に外付けで接続するものであっても良い。また、カメラ121は、前方監視カメラあるいはドライブレコーダ用のカメラなどとして車両1に搭載されるものであっても良い。
【0077】
図9に示す構成例において、第2の実施形態に係る車載器2は、情報表示装置111の表示画面が撮影できるように設置されたカメラ121が接続されるカメラインターフェース67を具備するものとする。車載器2のプロセッサ61は、カメラインターフェース67を介してカメラ121を制御し、カメラ121が撮影する画像を取得する。
【0078】
本実施形態において、プロセッサ61は、当該車両1が入口を通過する場合にカメラ121が撮影する情報表示装置111の表示画面を含む画像を入口画像として取得し、メモリ62に保存するものとする。例えば、プロセッサ61は、通信部63による入口システム3との通信などによって車両1が入口を通過することを検知し、車両が入口を通過する際にカメラ121が撮影する画像を取得するようにしても良い。また、プロセッサ61は、常時保存されるカメラ121の撮影画像から入口を通過する時間帯に撮影された画像を取得し、入口画像としてメモリ62に保存するようにしても良い。
【0079】
また、プロセッサ61は、カメラ121が撮影する入口画像から情報表示装置111の表示画面の画像を抽出する処理を行うようにしても良い。また、プロセッサ61は、情報表示装置111の表示画面の画像に含まれるコード画像をデコードして当該コード画像が示すコード情報を認識するようにしても良い。
【0080】
次に、第2の実施形態に係る料金収受システムの入口システム3が情報表示装置111にコード画像を表示させる表示処理について説明する。
情報表示装置111にコード画像を表示させる表示処理は、車線制御装置36が実行しても良いし、車線制御装置36を介してホストコンピュータ5が実行しても良い。ただし、1つの入口に複数の情報表示装置111を設置する場合には、それらの情報表示装置111の表示制御を同じタイミングで実施する必要がある。ここでは、ホストコンピュータ5が情報表示装置111にコード画像を表示させる表示処理を実行するものとして説明する。
【0081】
図10は、第2の実施形態に係る料金収受システムにおいて入口に設けた情報表示装置111にコード画像を表示させる表示処理を説明するためのフローチャートである。
ホストコンピュータ5のプロセッサ51は、情報表示装置111に表示させるコード画像を所定のタイミングで変更する。すなわち、プロセッサ51は、情報表示装置111が表示するコード画像を変更するタイミングになったか否かを監視する(S101)。例えば、プロセッサ51は、所定日時ごとにコード画像を変更(生成)するようにしても良いし、所定周期でコード画像を変更するようにしても良いし、ランダムなタイミングでコード画像を変更するようにしても良い。
【0082】
コード画像を変更すると判断した場合(S101、YES)、プロセッサ51は、コード画像として表示させる当該入口を示すコード情報を生成する(S102)。例えば、プロセッサ51は、乱数などに基づいて生成するランダムな数字や文字の列をコード情報として生成するものとする。ただし、プロセッサ51は、特定の規則性をもってコード情報を変更するようにしても良い。
【0083】
入口を示すコード情報を生成すると、プロセッサ51は、生成したコード情報をエンコードすることにより情報表示装置111に表示させるコード画像を生成する(S103)。コード画像は、車両1に搭載したカメラ121が撮影する画像からコード情報をエンコードできるものであれば良い。例えば、コード画像は、2次元バーコードである。
【0084】
コード画像を生成すると、プロセッサ51は、生成したコード画像を情報表示装置111の表示画面に表示させる(S104)。プロセッサ51は、情報表示装置111に表示要求と共に、生成したコード画像の表示データを供給する。情報表示装置111は、ホストコンピュータ5から供給されるコード画像を表示画面に表示することにより表示画面に表示するコード画像を更新する。
【0085】
情報表示装置111に表示するコード画像を更新すると、プロセッサ51は、通信部55を用いて中央装置6と通信し、コード画像として表示させる入口を示すコード情報を中央装置6へ送信する(S105)。中央装置6は、ホストコンピュータ5から供給される入口に設けた情報表示装置111に表示したコード情報を当該コード情報の表示日時を示す情報に対応づけて管理(記憶)する。中央装置6は、各出口に設けられたホストコンピュータ5からのコード情報を含む問い合わせに応じて当該コード情報が示す入口と当該コード情報の表示日時(表示時間帯)とを返すようにすれば良い。
【0086】
次に、第2の実施形態に係る料金収受システムにおける出口システムにおける予告通信処理について説明する。
図11は、第2の実施形態に係る料金収受システムにおいて出口に設けた出口システム4による予告通信処理の流れを説明するためのフローチャートである。
ここで、
図11に示すS111~S116の処理は、第1の実施形態で説明した
図4に示すS11~S16と同様な処理で実現できる。このため、S111~S116の処理については、簡単に説明するものとする。
【0087】
すなわち、予告アンテナ制御装置42は、アンテナ41を介して予告通信エリアEpを走行する各車両1の車載器2と通信し、車載器2から車両情報を取得する(S111)。ホストコンピュータ5のプロセッサ51は、予告アンテナ制御装置42を通じて車載器2からの車両情報を取得すると、当該車載器2にカードが挿入されているか否かを判断する(S112)。カードが挿入されていないと判断した場合(S112、NO)、プロセッサ51は、予告アンテナ制御装置42およびアンテナ41を介して当該車載器2にカードが未挿入である旨の警告を示す情報を送信させる(S113)。
【0088】
車載器2にカードが挿入されていると判断した場合(S112、YES)、ホストコンピュータ5のプロセッサ51は、当該車載器2から取得した車両情報に基づいて当該車載器2に挿入されているカードが決済カードとして有効であるか否かを確認する(S114)。車載器2に挿入されているカードが決済カードとして有効でないと判断した場合(S114、NO)、プロセッサ51は、予告アンテナ制御装置42およびアンテナ41を介して当該車載器2に挿入されているカードが無効(有効でない)である旨の警告を示す情報を送信させる(S115)。
【0089】
車載器2に挿入されているカードが決済カードとして有効であると判断した場合(S114、YES)、プロセッサ51は、車両情報から当該車両が進入してきた入口を示す入口情報が取得できたか否かを判断する(S116)。車両情報から入口情報が取得できた場合(S116、YES)、プロセッサ51は、当該車載器2が正常な料金収受の準備ができているものとして予告通信処理を終了する。
【0090】
車両情報から入口情報が取得できなかった場合(S116、NO)、プロセッサ51は、当該車両情報の発信元である車載器2に対して当該車両1に搭載したカメラ121が入口を通過する際に撮影した入口画像を要求する(S117)。車載器2に要求する入口画像は、当該車両1が入口を通過する際に当該車両1にカメラ121が撮影した画像である。上述したように、カメラ121は、入口の路側などに設置される情報表示装置111の表示画面を撮影するように車両に搭載されて車載器2のカメラインターフェース67に接続されるものである。
【0091】
車載器2から入口画像が取得できない場合(S118、NO)、プロセッサ51は、予告アンテナ制御装置42および予告アンテナ41を介して当該車載器2へ入口が特定できない旨の警告を示す情報を送信させる(S119)。また、プロセッサ51は、当該車載器2へ入口が特定できない旨の警告を送信するとともに、車両1を専用レーンMへ移動させてマニュアル処理を行う旨の案内を通知する(S120)。これにより、出口システム4は、予告通信エリアEpを通過する車両のうち入口が特定できない車両に対してマニュアル処理を行うために専用レーンMへ誘導することができる。
【0092】
車載器2から入口画像が取得可能であると判断した場合(S118、YES)、予告アンテナ制御装置42は、予告アンテナ41によって受信する車載器2からの入口画像をホストコンピュータ5へ転送する。ホストコンピュータ5のプロセッサ51は、予告アンテナ41によって受信する車載器2から入口画像をメモリ52に格納する(S121)。
【0093】
入口画像を受信すると、プロセッサ51は、車載器2から受信した入口画像からコード画像を抽出し、抽出したコード画像をデコードすることで入口を示すコード情報を特定する(S122)。コード画像をデコードしたコード情報を得ると、プロセッサ51は、当該コード情報に対応する入口および当該コード情報の表示日時を特定する。例えば、プロセッサ51は、各入口の情報表示装置111で表示するコード情報を管理する中央装置6へ問い合わせることにより当該コード情報に対応する入口および表示日時を取得する。また、コード情報に対応する入口および表示日時を示す情報は、予め中央装置6から各出口のホストコンピュータ5へ配信されるようにしても良い。この場合、プロセッサ51は、中央装置6が配信されている情報に基づいてコード情報に対応する入口および表示日時を判定する。
【0094】
コード情報に対応する入口および表示日時を取得すると、プロセッサ51は、当該コード情報が有効なものであるかを確認する(S123)。例えば、プロセッサ51は、コード情報に対応する入口が存在するか、あるいは、コード情報に対応する表示日時が当該車両の有料道路への入場日時として有効であるか否かを判断する。具体例としては、所定期間(例えば、2日前)よりも古い表示日時のコード情報であれば、当該コード情報に基づく入口情報を無効とする。これにより、コード画像(入口画像)の使いまわしなどによる不正を防止できる。
【0095】
入口画像から得たコード情報が無効であると判断した場合、あるいは、入口画像からコード情報が得られなかった場合(S123、NO)、プロセッサ51は、予告アンテナ制御装置42および予告アンテナ41を介して当該車載器2へ入口が特定できない旨の警告を示す情報を送信し(S119)、車両1を専用レーンMへ移動させてマニュアル処理を行う旨の案内を通知する(S120)。
【0096】
また、入口画像から得たコード情報が示す入口が有効であると判断した場合(S123、YES)、プロセッサ51は、入口画像から特定された入口を示す情報(入口情報)を車両情報に含まれる車載器IDに対応づけてメモリ52内に保持する(S124)。また、プロセッサ51は、入口画像から特定した入口情報を車載器2の車載器IDに対応づけて当該出口の各車線制御装置46へ配信するようにしても良い。
【0097】
これにより、出口システムとしては、決済カードまたは車載器に入口情報が記録されていない場合であっても、車両が入口を通行する際に撮影した入口画像から入口を特定できる。また、出口システムは、車両が料金収受を行う通信エリアに至る前に、車両情報に入口情報がない車両の車載器から入口画像を取得することでき、当該車両が料金収受を行う通信エリアに至る前に入口画像から入口を特定する処理を実施しておくことができる。
【0098】
次に、第2の実施形態に係る料金収受システムの出口システムによる予告通信処理に対応する車載器2の動作について説明する。
図12は、出口システム4による予告通信処理に対する車載器2の動作例を説明するためのフローチャートである。
ここで、
図12に示すS131~S137の処理は、第1の実施形態で説明した
図5に示すS31~S37と同様な処理で実施できる。このため、以下の説明では、S131~S137の処理については簡単に説明するものとする。
有料道路を走行する車両1が予告通信エリアEpに進入すると、当該車両1に搭載された車載器2のプロセッサ61は、通信部63を用いて出口システム4の予告通信システムへ車両情報を送信する(S131)。
【0099】
車載器2のプロセッサ61は、カードR/W65にカードが挿入されていない状態である場合(S132、NO)、警報器66を用いてカードの挿入を促す警告を出力する(S133)。この場合、プロセッサ61は、所定期間(車両1が予告通信エリアEp内にいる間)、カードR/W65へのカードの挿入待ちとする(S134、YES)。所定期間待ってもカードが挿入されない場合(S134、NO)、プロセッサ61は、走行しながらの料金収受が不可である旨を警告し、マニュアル処理による料金決済を案内する(S140)。
【0100】
カードがカードR/W65に挿入されている場合(S132、YES)、プロセッサ61は、カードR/W65に挿入されているカードが決済カードとして有効であるか否かを判断する(S135)。例えば、プロセッサ51は、当該車載器2に挿入されているカードが有効期限内の決済カードであるか否かにより当該カードの有効性を確認する。車載器2に挿入されているカードが有効でない場合(S135、NO)、プロセッサ61は、警報器66を用いて車載器2に挿入されているカードが決済カードとして有効でない旨の警告を出力する(S133)。
【0101】
挿入されているカードが決済カードとして有効である場合(S135、YES)、プロセッサ61は、決済カードまたはメモリ62に当該車両が進入した入口を示す入口情報が記録されているか否かを判断する(S136)。
入口情報がある場合(S136、YES)、プロセッサ61は、入口情報に基づく料金収受が可能であるものとして当該車両1に対する予告通信処理を終了する。入口情報がある場合、プロセッサ51は、警報器66を用いて予告通信が正常終了した旨あるいは料金収受が可能である旨を報知するようにしても良い。
【0102】
入口情報がない場合(S136、NO)、プロセッサ61は、当該車両1が入口を通過する際に撮影した入口画像の提供が可能であるか否かを判断する(S138)。車両1が入口を通行した際に撮影した入口画像が提供できない場合(S138、NO)、プロセッサ61は、警報器66を用いて入口が特定できない旨の警告を出力させ(S139)、当該車両1を専用レーンMへ移動させてマニュアル処理を行う旨の案内を出力させる(S140)。これにより、車載器2は、予告通信エリアEpを通過した場合に、入口が特定できないために専用レーンMを走行してマニュアル処理を行うことを案内できる。
【0103】
入口画像が提供できる場合(S138、YES)、車載器2のプロセッサ61は、通信部63を用いて上述したような入口画像を出口システム4の予告通信システムへ送信する(S141)。入口画像を送信した後、出口システム4が送信した入口画像から有効な入口を特定できなった場合(S142、NO)、プロセッサ61は、上述したS39へ進み、警報器66を用いて入口が特定できない旨の警告と専用レーンMへ移動の案内とを出力させる。また、出口システム4が送信した入口画像から有効な入口を特定できた場合(S142、YES)、プロセッサ61は、予告通信が正常終了したものとする。
【0104】
次に、第2の実施形態に係る料金収受システムの出口システム4における料金収受処理を含む出口処理について説明する。
図13は、出口システム4における出口処理システムによる出口処理の流れを説明するためのフローチャートである。
予告通信エリアEpを通過した車両は、専用レーンMへの案内がなければ、そのまま有料道路を走行し、各車線に設けられた通信エリアEを走行することとなる。車両1が通信エリアEを走行中において、車線制御装置46は、アンテナ43を介して車両1に搭載されている車載器2と通信することで出口処理を行う。ここで、
図13に示すS151~S156の処理は、第1の実施形態で説明した
図6に示すS51~S56と同様な処理で実現できる。このため、S151~S156の処理については簡単に説明するものとする。
【0105】
すなわち、車線制御装置46は、アンテナ43を介して通信エリアE内を走行する車両1に搭載された車載器2との通信を確立すると、当該車載器2から車両情報を取得する(S151)。車線制御装置46は、車載器2からの車両情報を取得すると、当該車載器2にカードが挿入されているか否かを判断する(S152)。カードが挿入されていないと判断した場合(S152、NO)、車線制御装置46は、車載器2にカードが未挿入であるために料金収受が不可であるものとし、アンテナ43を介して決済カードが未挿入である旨の警告を車載器2へ送信する(S153)。
【0106】
また、車載器2にカードが挿入されていると判断した場合(S152、YES)、車線制御装置46は、当該車載器2から取得した車両情報に基づいて当該車載器2に挿入されているカードが決済カードとして有効であるか否かを確認する(S154)。車載器2に挿入されているカードが有効でないと判断した場合(S154、NO)、車線制御装置46は、車載器2に挿入されているカードが無効であるために料金収受が不可であるものとし、アンテナ43を介して車載器2へ決済カードが無効である旨の警告を送信させる(S55)。
【0107】
車載器2に挿入されているカードが有効な決済カードであると判断した場合(S154、YES)、車線制御装置46は、車両情報に入口情報が存在するか否かを判断する(S156)。車両情報に入口情報が存在する場合(S156、YES)、車線制御装置46は、車両情報に含まれる入口情報を用いて料金計算を行い、当該車両1の車載器2に挿入されている決済カードを用いて料金を決済する料金収受処理を実行する(S161)。
【0108】
車両情報に入口情報がない場合(S156、NO)、車線制御装置46は、予告通信処理によって当該車両の入口画像に基づいて入口が特定されているか否かを判断する(S157)。上述した予告通信処理では、ホストコンピュータ5は、車両情報に入口情報がない車両の入口画像を取得し、取得した入口画像中のコード画像から特定した入口を示す入口情報を車載器IDに対応づけてメモリ52に記録しているものとする。この場合、車線制御装置46は、車両情報に入口情報がない車載器2の車載器IDに対応する入口情報が当該車両の入口画像に基づいて特定されているか否かをホストコンピュータ5へ問い合わせる。ホストコンピュータ5は、車線制御装置46から問い合わせられた車載器IDに対応する入口情報がメモリ52にある場合、当該車載器IDに対応する入口情報を車線制御装置46へ供給する。また、車載器IDに対応する入口情報がメモリ52にない場合、ホストコンピュータ5は、当該車載器IDに対応する入口情報が無い旨を車線制御装置46へ供給する。
【0109】
なお、ホストコンピュータ5は、予告通信処理において車両の入口画像に基づいて特定した入口情報を当該車両の車載器IDに対応づけた情報として各車線制御装置46へ予め配信しておくようにしても良い。この場合、車線制御装置46は、ホストコンピュータ5から配信される入口情報を車載器IDに対応づけて記憶しておき、配信された入口画像に基づく入口情報があるか否かを判断するようにすれば良い。
【0110】
車両情報に入口情報がなく、かつ、入口画像に基づく入口が特定されていない場合(S157、NO)、車線制御装置46は、アンテナ43を介して当該車載器2へ入口が特定できない旨の警告を送信させる(S158)。また、車線制御装置46は、当該車載器2へ入口が特定できない旨の警告を送信するとともに、料金収受ができなかった車両1に関する情報をホストコンピュータ5へ送信し(S159)、当該車両1に対する出口処理を終了する。料金収受ができなかった車両1に対しては、ホストコンピュータ5および中央装置6によって第1の実施形態で説明したような後処理が実施するようにしても良い。
【0111】
当該車両1の入口画像に基づく入口が特定されている場合(S157、YES)、車線制御装置46は、当該車両1の入口画像から特定された入口情報を取得する(S160)。車線制御装置46は、予告通信処理で当該車両1の入口画像から特定された入口情報をホストコンピュータ5から取得する。なお、予告通信処理で車両の入口画像から特定された入口情報が当該出口の各車線制御装置46に予め配信されている場合、車線制御装置46は、配信されている車両の入口画像に基づく入口情報から当該車載器2の車載器IDに対応する入口情報を取得する。
【0112】
車両の走行履歴に基づく入口情報を取得すると、車線制御装置46は、取得した走行履歴に基づく入口情報に応じて当該車両に課金すべき料金を算出し、算出した料金を車載器2に挿入されている決済カードで決済する料金収受を行う(S161)。料金収受が終了すると、車線制御装置46は、料金収受の結果をホストコンピュータ5へ通知し、当該車両に対する出口処理を終了する。
【0113】
以上のように、第2の実施形態に係る料金収受システムは、車両に搭載した車載器が入口情報を記録できていない場合であっても当該車両の入口画像から入口を特定する。これにより、第2の実施形態によれば、入口情報が記録できていない車載器を搭載する車両に対しても当該車両の入口を起点とする料金の収受が行える。また、第2の実施形態に係る料金収受システムは、車両が料金収受を行う通信エリアに達する前に予告通信を行って入口情報の有無を確認し、入口情報がない車両の入口画像を取得するようにしたものである。これにより、第2の実施形態によれば、料金収受の処理を開始する前に、入口画像に基づいて入口を特定する処理を実行することができ、入口画像に基づく料金収受処理を確実に行うことが可能となる。
【0114】
なお、上述した第2の実施形態では、料金収受システムの出口システムでは、予告通信用のアンテナと料金収受用のアンテナとは1つの共通アンテナで実現しても良い。このような構成とする場合、共通アンテナの通信エリアは、走行中の車両の車載器から取得する入口画像から入口を特定する処理を実行できる処理時間を確保できるような範囲とすれば良い。この場合、上述した
図11の処理と
図13の処理とは、車線制御装置46とホストコンピュータ5とが協働して実行するようにすればよい。
【0115】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
以下、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載した内容を付記する。
[1]
有料道路を通行する車両に対して通行料金を収受する料金収受システムにおいて、
前記有料道路を走行する車両に対して料金収受を行うエリアよりも手前に設定される予告通信エリア内の車載器と無線通信する予告アンテナと、
前記予告通信エリア内を走行する車両に搭載された車載器から取得する車両情報に入口を示す情報がない場合、前記車載器から前記車両の走行履歴を取得し、前記走行履歴から入口を特定するホストコンピュータと、
前記予告通信エリアを走行した後の車両が通行する前記料金収受を行うエリアを通信エリアとし、前記通信エリア内を走行する前記車両に搭載された前記車載器と無線通信する料金収受アンテナと、
前記走行履歴から入口が特定された前記車両が前記通信エリアを通信する場合、前記ホストコンピュータが前記走行履歴から特定した入口を起点として算出する料金を前記車載器との通信によって収受する車線制御装置と、
を具備する料金収受システム。
[2]
前記ホストコンピュータは、前記車両情報に含まれる車載器IDに対応づけて前記走行履歴から特定した入口を示す入口情報をメモリに記録し、
前記車線制御装置は、前記通信エリア内を走行する前記車両に搭載された前記車載器から取得する車両情報に入口を示す情報がない場合、前記ホストコンピュータから前記車載器の車載器IDに対応する入口情報を取得する、
[1]に記載の料金収受システム。
[3]
前記ホストコンピュータは、前記車両情報に含まれる車載器IDに対応づけて前記走行履歴から特定した入口を示す入口情報を前記車線制御装置へ配信し、
前記車線制御装置は、前記ホストコンピュータから配信された車載器IDに対応づけた入口情報を保持し、前記通信エリア内を走行する前記車両に搭載された前記車載器から取得する車両情報に入口を示す情報がない場合に前記ホストコンピュータから配信されている前記車載器IDに対応する入口情報を取得する、
[2]に記載の料金収受システム。
[4]
有料道路を通行する車両に対して通行料金を収受する料金収受システムにおいて、
前記有料道路を走行する車両に対して料金収受を行うエリアよりも手前に設定される予告通信エリア内の車載器と無線通信する予告アンテナと、
前記予告通信エリア内を走行する車両に搭載された車載器から取得する車両情報に入口を示す情報がない場合、前記車載器から前記車両に搭載したカメラが撮影した入口画像を取得し、前記入口画像から入口を特定するホストコンピュータと、
前記予告通信エリアを走行した後の車両が通行する前記料金収受を行うエリアを通信エリアとし、前記通信エリア内を走行する前記車両に搭載された前記車載器と無線通信する料金収受アンテナと、
前記入口画像から入口が特定された車両が前記通信エリアを通信する場合、前記ホストコンピュータが前記入口画像から特定した入口を起点として算出する料金を前記車載器との通信によって収受する車線制御装置と、
を具備する料金収受システム。
[1]乃至[3]の何れか1つに記載の料金収受システム。
[5]
前記ホストコンピュータは、前記入口画像から入口に設置される情報表示装置が表示するコード画像を抽出し、前記入口画像から抽出したコード画像に基づいて入口を特定する、
[4]に記載の料金収受システム。
[6]
前記ホストコンピュータは、さらに、前記コード画像が前記情報表示装置に表示された日時を特定し、前記コード画像が表示された日時が入口を示す情報として有効である場合に前記コード画像に基づいて入口を特定する、
[5]に記載の料金収受システム。
[7]
有料道路を通行する車両に対して通行料金を収受する料金収受システムに用いられる方法料金収受方法であって、
前記有料道路を走行する車両に対して料金収受を行うエリアよりも手前に設定される予告通信エリア内の車載器と無線通信し、
前記予告通信エリア内を走行する車両に搭載された車載器から取得する車両情報に入口を示す情報がない場合、前記車載器から前記車両の走行履歴を取得し、前記走行履歴から入口を特定し、
前記予告通信エリアを走行した後の車両が通行する前記料金収受を行うエリアを通信エリアとして前記通信エリア内を走行する前記車両に搭載された前記車載器と無線通信し、 前記走行履歴から入口が特定された前記車両が前記通信エリアを通信する場合、前記走行履歴から特定した入口を起点として算出する料金を前記車載器との通信によって収受する、
料金収受方法。
[8]
有料道路を通行する車両に対して通行料金を収受する料金収受システムに用いられる料金収受方法であって、
前記有料道路を走行する車両に対して料金収受を行うエリアよりも手前に設定される予告通信エリア内の車載器と無線通信し、
前記予告通信エリア内を走行する車両に搭載された車載器から取得する車両情報に入口を示す情報がない場合、前記車載器から前記車両に搭載したカメラが撮影した入口画像を取得し、前記入口画像から入口を特定し、
前記予告通信エリアを走行した後の車両が通行する前記料金収受を行うエリアを通信エリアとして前記通信エリア内を走行する前記車両に搭載された前記車載器と無線通信し、 前記入口画像から入口が特定された車両が前記通信エリアを通信する場合、前記入口画像から特定した入口を起点として算出する料金を前記車載器との通信によって収受する、 料金収受方法。
【符号の説明】
【0116】
1…車両、2…車載器、3…入口システム、4…出口システム、5…ホストコンピュータ、6…中央装置、31、41…予告アンテナ、32、42…予告アンテナ制御装置、33、43…アンテナ(料金収受アンテナ)、36、46…車線制御装置、51…プロセッサ、52…メモリ、53、54…インターフェース、55…通信部、111…情報表示装置、121…カメラ。