IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ カッシーニ テクノロジーズ ビー.ヴイ.の特許一覧

<>
  • 特許-眼測定装置 図1
  • 特許-眼測定装置 図2
  • 特許-眼測定装置 図3
  • 特許-眼測定装置 図4
  • 特許-眼測定装置 図5
  • 特許-眼測定装置 図6
  • 特許-眼測定装置 図7
  • 特許-眼測定装置 図8
  • 特許-眼測定装置 図9
  • 特許-眼測定装置 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-14
(45)【発行日】2023-07-25
(54)【発明の名称】眼測定装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 3/107 20060101AFI20230718BHJP
【FI】
A61B3/107
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2019554413
(86)(22)【出願日】2018-04-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-06-11
(86)【国際出願番号】 NL2018050231
(87)【国際公開番号】W WO2018190717
(87)【国際公開日】2018-10-18
【審査請求日】2021-03-23
(31)【優先権主張番号】2018712
(32)【優先日】2017-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(73)【特許権者】
【識別番号】519295904
【氏名又は名称】カッシーニ テクノロジーズ ビー.ヴイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【弁理士】
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】デ フリース ハーイエ リンマー
(72)【発明者】
【氏名】パイパー ローランド ブリン
【審査官】小野 健二
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-047129(JP,A)
【文献】特開2012-217567(JP,A)
【文献】特表2015-531276(JP,A)
【文献】特開平03-066356(JP,A)
【文献】特開2015-104554(JP,A)
【文献】特表平10-500033(JP,A)
【文献】特開2005-102938(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 3/00-3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼の角膜の表面上に複数の光線を投影するための、複数の刺激光点を備える刺激装置と、
前記刺激光点の反射画像を取り込むためのカメラ・システムと、
前記反射画像に基づいて、前記角膜の後面を分析する、および/または前記眼の特徴を得るように配置された演算ユニットと、
前記複数の刺激光点のうちの1つまたは複数を選択的に作動させるように配置された制御ユニットと、
を備える眼測定装置であって、
前記制御ユニットが、前記複数の刺激光点の異なるサブセットを続いて作動させるように配置され、
前記演算ユニットが、以下のステップ:
前記複数の刺激光点の前記異なるサブセットの各々について、前記複数の刺激光点のそれぞれのサブセットの作動と一致する少なくとも1つの反射画像を選択するステップと、
前記角膜の前記後面を分析するため、および/または前記眼の前記特徴を得るために、前記選択された反射画像を互いに組み合わせるステップと、
を実行するように配置され
前記演算ユニットが、各選択された反射画像から、前記制御ユニットによって作動される前記1つまたは複数の刺激光点の直接反射を欠く背景反射領域を分離し、前記選択された反射画像の前記背景反射領域を組み合わせて単一の背景反射画像にするように配置される、眼測定装置。
【請求項2】
前記組み合わせるステップが、各選択された反射画像から、前記制御ユニットによって作動される前記1つまたは複数の刺激光点の直接反射を含む直接反射領域を分離するステップ、および前記選択された反射画像の前記直接反射領域を組み合わせて単一の直接反射画像にするステップを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
各選択された反射画像が、直接反射領域と背景反射領域とに分けられる、請求項に記載の装置。
【請求項4】
前記選択された反射画像の前記背景反射領域を組み合わせて単一の背景反射画像にすることが、前記背景反射領域を平均化することを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記選択された反射画像を互いに組み合わせるステップが、前記単一の背景反射画像を前記単一の直接反射画像から取り去って、背景フィルタリングされた単一の直接反射画像を獲得するステップを含む、請求項に記載の装置。
【請求項6】
前記演算ユニットが、前記単一の背景反射画像に基づいて、前記眼の1つまたは複数の水晶体特徴を表す水晶体特徴値を決定するように配置される、請求項1から5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記演算ユニットが、前記単一の背景反射画像に基づいて、前記眼の白内障の重症度を表す値を決定するように配置される、請求項1から6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記制御ユニットが、さらなる反射画像を獲得するために、前記複数の刺激光点のそれぞれのサブセットの少なくとも1つの刺激光点を同時に作動させるように配置され、前記演算ユニットが、前記さらなる反射画像を使用して、前記選択された反射画像を互いに対して整列させるように配置される、請求項1からのいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記制御ユニットが、前記複数の刺激光点の照明レベルを適合させるように配置され、前記制御ユニットが、前記複数の刺激光点のサブセットの後続の作動の間に使用される照明レベルと比べて減少した照明レベルでさらなる反射画像を獲得するために、前記複数の刺激光点のそれぞれのサブセットの前記少なくとも1つの刺激光点を同時に作動させるように配置される、請求項1からのいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記刺激装置が、2つ以上の刺激区画を備え、各刺激区画が、少なくとも1つの刺激光点を備え、前記複数の刺激光点の前記異なるサブセットの各々が、前記2つ以上の刺激区画のうちの少なくとも1つの前記複数の刺激光点のうちの1つまたは複数によって形成される、請求項1からのいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記刺激区画が、中心軸の周りに周方向に配設されたくさび形状の要素である、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
各刺激区画が、前記眼の前記角膜を照明するための5つの刺激光点を備え、各刺激区画の3つの刺激光点が、第1の直径を有する第1の円上に配置され、各刺激区画の1つの刺激光点が、前記第1の直径よりも小さい第2の直径を有する第2の円上に配置され、各刺激区画の1つの刺激光点が、前記第1の直径よりも大きい第3の直径を有する第3の円上に配置され、前記第1の円、前記第2の円、および前記第3の円が、前記刺激装置の中心軸の周りに同心円状に配置される、請求項10または11に記載の装置。
【請求項13】
眼測定装置を使用して眼の角膜を測定するための方法であって、
前記眼測定装置が、
眼の前記角膜の表面上に複数の光線を投影するための、複数の刺激光点を備える刺激装置と、
前記刺激光点の反射画像を取り込むためのカメラ・システムと、
前記反射画像に基づいて、前記角膜の後面を分析する、および/または前記眼の特徴を得るように配置された演算ユニットと、
前記複数の刺激光点のうちの1つまたは複数を選択的に作動させるように配置された制御ユニットと、
を備え、
前記方法が、
前記制御ユニットを用いて、前記複数の刺激光点の異なるサブセットを続いて作動させるステップと、
前記演算ユニットを用いて、前記複数の刺激光点の前記異なるサブセットの各々について、前記複数の刺激光点のそれぞれのサブセットの作動と一致する少なくとも1つの反射画像を選択するステップと、
前記演算ユニットを用いて、前記角膜の前記後面を分析するため、および/または前記眼の前記特徴を得るために、前記選択された反射画像を互いに組み合わせるステップと、を含
前記方法が、各選択された反射画像から、前記制御ユニットによって作動される前記1つまたは複数の刺激光点の直接反射を欠く背景反射領域を分離するステップと、前記選択された反射画像の前記背景反射領域を組み合わせて単一の背景反射画像にするステップとを含む、方法。
【請求項14】
前記組み合わせるステップが、各選択された反射画像から、前記制御ユニットによって作動される前記1つまたは複数の刺激光点の直接反射を含む直接反射領域を分離するステップ、および前記選択された反射画像の前記直接反射領域を組み合わせて単一の直接反射画像にするステップを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
各選択された反射画像が、直接反射領域と背景反射領域とに分けられる、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記選択された反射画像の前記背景反射領域を組み合わせて単一の背景反射画像にするステップが、前記背景反射領域を平均化するステップを含む、請求項13から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記選択された反射画像を互いに組み合わせるステップが、前記単一の背景反射画像を前記単一の直接反射画像から取り去って、背景フィルタリングされた単一の直接反射画像を獲得するステップを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記演算ユニットが、前記単一の背景反射画像に基づいて、前記眼の1つまたは複数の水晶体特徴を表す水晶体特徴値を決定するように配置される、請求項13から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記演算ユニットが、前記単一の背景反射画像に基づいて、前記眼の白内障の重症度を表す値を決定するように配置される、請求項13から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記制御ユニットが、さらなる反射画像を獲得するために、前記複数の刺激光点の各サブセットの少なくとも1つの刺激光点を同時に作動させるように配置され、前記演算ユニットが、前記さらなる反射画像を使用して、前記選択された反射画像を互いに対して整列させるように配置される、請求項13から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記制御ユニットが、前記複数の刺激光点の各サブセットの前記1つまたは複数の刺激光点の照明レベルを適合させるように配置され、前記制御ユニットが、前記複数の刺激光点の後続サブセットの前記1つまたは複数の刺激光点の作動の間に使用される照明レベルと比べて減少した照明レベルで前記さらなる反射画像を獲得するために、前記複数の刺激光点のそれぞれのサブセットの前記少なくとも1つの刺激光点を同時に作動させるように配置される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記刺激装置が、2つ以上の刺激区画を備え、各刺激区画が、前記複数の刺激光点の1つまたは複数を備え、前記複数の刺激光点の前記異なるサブセットの各々が、前記2つ以上の刺激区画のうちの1つの前記複数の刺激光点のうちの1つまたは複数によって形成される、請求項13から21のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、眼測定装置、および眼の角膜を測定するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
眼の角膜厚を決定するための方法および装置は、特許文献1から知られている。開示される装置は、角膜を照明するためにプラチド・リング照明器を応用し、獲得した画像から角膜の前面のモデルを得る。角膜上に光の薄スリットを投影することによって、第2の画像を撮ることができ、またこれを使用して、前面のモデルおよび第2の画像から角膜厚を決定することができる。当該技術分野において知られているような装置および方法は、いくつかの欠点に悩まされている。まず、このシステムは、第一に、プラチド照明器の反射を撮像するために色彩平面、および第二に、角膜を撮像するために、光のスリットによって部分的に照明される角膜平面という2つの異なる平面に焦点を合わせる必要がある。プラチド・リング照明器の使用は、角膜前面に関するいくつかの前提を必要とすることが知られている。リング形状の光源の使用に起因して、角膜表面におけるある程度の対称性を前提としなければ、刺激源(すなわち、プラチド・リング照明器)上の点と取り込み画像上の点との1対1対応を決定することができない。実際には、これらの前提とされる対称性は、存在しないことがあり、不正確さがモデルにもたらされ得る。このモデルがさらに、角膜厚を決定するために適用される際に、前面の前提とされる対称性に起因するこの厚さの不正確さが同様に発生し得る。スリット形状の照明源の使用が、刺激源(すなわち、スリット形状の照明源)上の点と取り込み画像上の点との1対1対応を確立することが困難な場合があるという類似の問題を結果としてもたらすということにさらに留意されたい。当該技術分野において知られているような装置のさらなる欠点は、角膜厚を決定するために角膜の2つの画像を連続して取り込む必要があることである。第1の画像の取り込みと第2の画像の取り込みとの間に眼の変位がある場合、角膜の前面の位置に関するいくらかの不確かさが、第2の画像が撮られるときに存在し得る。この不確かさは、角膜厚の決定において、不確かさをさらにもたらし得る。代替案として、特許文献1においては、複数のカメラの各カメラが照明源のうちの1つの画像を記録するように配置されているカメラ・システムを使用することが提案されている。これは、より複雑な、よってより高価な装置を結果としてもたらし得る。
【0003】
眼の角膜厚を決定するための改善された方法は、特許文献2に開示されており、その内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。この方法は、以下のステップ:
複数の刺激点光源によって角膜を照明するステップと、
刺激点光源の反射画像を含む、角膜の画像を取り込むステップと、
角膜の前面を表すモデルを獲得するステップと、
角膜の前面を表すモデルに向けて刺激点光源の反射画像をレイトレースすることによって、画像から角膜の後面を表す第2のモデルを構築するステップと、
前面を表すモデルおよび後面を表す第2のモデルから角膜厚を決定するステップと、を含む。
【0004】
この方法の実施形態によると、第1の画像は、角膜の前面のモデルを獲得するために使用され、第2の画像は、角膜の後面を表す第2のモデルを構築するために使用される。角膜の前面の直接反射および後面の直接反射の明るさは、実質的に、例えば100倍、異なるため、後面のモデルを決定するこのやり方は、角膜の前面の撮像および後面の撮像に異なる照明レベルの刺激光点を使用することを可能にする。さらには、前面用の第1の画像および後面用の第2の画像の使用は、2つの画像の各々に対して異なる焦点が使用されるように装置のカメラ・システムを設定することができるというさらなる利点を提供する。この点において、角膜の前面および後面は、同じ平面内にはなく、そのようなものとして、角膜の画像は、焦点の合った前面および後面を有さないことがあるということに留意されたい。
【0005】
しかしながら、角膜の後面のモデルの構築は、依然として難題のままである。刺激光点から発せられる光の限られた部分のみが、角膜の後面によって反射され、カメラ・システムに直接戻る、すなわち、直接反射である一方、刺激光点の光の大部分は、前方角膜表面および後方水晶体表面などの他の表面によって反射されるか、または眼の組織によって吸収される。したがって、角膜の後面を起点とする反射のより明確な画像を獲得するために刺激光点の照明レベルを増大することが望まれる。しかし、これは、色彩、白内障、まつ毛などの望ましくない源からの反射の増大も結果としてもたらすことになる。これらの各々は、角膜の後面を起点とする反射の明確性に悪影響を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】米国特許第6,692,126号
【文献】WO2009/127442
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、眼の角膜を測定するための改善された眼測定装置および方法を提供すること、または少なくとも、代替的な眼測定装置および/または方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、
眼の角膜の表面上に複数の光線を投影するための、複数の刺激光点を備える刺激装置と、
刺激光点の反射画像を取り込むためのカメラ・システムと、
反射画像に基づいて、角膜の後面を分析する、および/または眼の特徴を得るように配置された演算ユニットと、
複数の刺激光点のうちの1つまたは複数を選択的に作動させるように配置された制御ユニットと、を備える、眼測定装置であって、
制御ユニットが、複数の刺激光点の異なるサブセットを続いて作動させるように配置され、
演算ユニットが、以下のステップ:
複数の刺激光点の異なるサブセットの各々について、複数の刺激光点のそれぞれのサブセットの作動と一致する少なくとも1つの反射画像を選択するステップと、
角膜の後面を分析するため、および/または眼の特徴を得るために、選択された反射画像を互いに組み合わせるステップと、を実行するように配置される
眼測定装置を提供する。
【0009】
本発明によると、角膜の後面は、複数の刺激光点の異なるサブセットを続いて作動させながら、カメラ・システムによって取り込まれた反射画像に基づいて分析される。取り込まれた反射画像から、いくつかの反射画像が選択され、それによって複数の刺激光点の選択されたサブセットの各々について、刺激光点またはそのサブセットに属する点の作動と一致する少なくとも1つの反射画像が選択される。
【0010】
選択された反射画像は、角膜の後面を分析するために、例えば、角膜の後面の形状を分析するため、または角膜の後面のモデルを構築するために、互いに組み合わされる。複数の刺激光点の異なるサブセットの使用は、各画像のためにより少ない数の刺激光点を作動させ、これによりこれらの刺激光点に対してより高い照明レベルの使用を可能にすることによって、角膜の後面の分析を改善する可能性を提供する。一度に照明される刺激光点の数がより少ないため、背景反射があまり存在せず、結果として生じる画像は、角膜の後面の関連特性を決定するのにより好適である。
【0011】
サブセットは、後面のすべての所望の部分が、選択された反射画像のうちの少なくとも1つにおいて撮像されるように選択される。さらに、サブセットは、各々のサブセットの1つまたは複数刺激光点が、刺激投影領域全体にわたって分散されるのではなく、刺激投影領域の別々のサブ領域、すなわち、刺激装置のすべての刺激光点の投影領域内にあるように選択されることが好ましい。
【0012】
刺激装置は、眼の角膜の表面上に複数の光線を投影するための、複数の刺激光点を備える円錐または半球状の刺激投影表面を備え得る。円錐または半球状の刺激投影表面は、撮像されるべき眼の光軸と一致して配置されるように中心軸の周りに配置される。そのような刺激装置において、各サブセットの1つまたは複数の刺激光点は、刺激投影表面の角部内に配置される。角部は、例えば、刺激投影表面の周囲の180度未満、好ましくは90度未満にわたって延在し得る。
【0013】
複数の刺激光点の各々は、独自サブセットの部分であってもよい。代替として、複数の刺激光点のうちの1つまたは複数は、2つ以上のサブセットの部分であってもよい。
【0014】
反射画像を選択することは、例えば、反射画像を取り込む周波数が、制御ユニットが複数の刺激光点の異なるサブセットを続いて作動させた周波数と同じであるとき、すべての反射画像を選択することを含み得る、と言える。
【0015】
刺激投影領域全体の関連情報を提供する画像を獲得するために、選択された反射画像は、組み合わされて組み合わせ画像にされ得る。この組み合わせ画像は、その後、角膜の後面を分析するために使用され得る。
【0016】
実施形態において、各刺激光点は、独自の光源を有し得る、例えば、LEDが各刺激光点のために設けられ得る、と言える。この実施形態において、デバイスは、複数の光源を有することになる。代替として、刺激光点のサブセットのすべての刺激光点は、単一の光源、例えば、光が複数の光ファイバにわたって分散される光源へリンクされ得、この光ファイバの終点が、角膜に向けて光線を発するために刺激光点を形成する。
【0017】
実施形態において、組み合わせるステップは、各選択された反射画像から、制御ユニットによって作動される1つまたは複数の刺激光点の直接反射を含む直接反射領域を分離すること、および選択された反射画像の直接反射領域を組み合わせて単一の直接反射画像にすることを含む。複数の光点のうちのどのサブセットが角膜の照明のために使用されるかが分かっているため、画像のどの領域において、角膜の後面からの直接反射が予測され得るかを分析することができる。刺激光点のこれらの直接反射は、例えば、角膜の後面のモデルを構築するために、角膜の後面を分析することに特に関連があるため、これらの直接反射領域は、残りの画像から分離され得る。単一の直接反射画像内の直接反射領域を組み合わせることにより、角膜の後面に関する関連情報を含む1つの画像を獲得することができる。
【0018】
実施形態において、演算ユニットはさらに、各選択された反射画像から、制御ユニットによって作動される1つまたは複数の刺激光点の直接反射を欠く背景反射領域を分離し、選択された反射画像の背景反射領域を組み合わせて単一の背景反射画像にするように配置される。各選択された画像から背景反射領域、すなわち、作動された刺激光点の直接反射を欠く領域を分離し、これらの背景反射領域を組み合わせて単一の背景反射領域にすることによって、眼の間接反射の情報を有する画像が獲得される。これらの背景反射は、例えば、水晶体内で散乱される光および/または色彩上で反射される光を含み得る。この情報は、検査されている眼の特徴をさらに評価するのに有用であり得る。
【0019】
実施形態において、各選択された反射画像は、直接反射領域と背景反射領域とに分けられる。これは、選択された反射画像の各部分が、直接反射領域または背景反射領域のいずれかとして使用されることを意味する。
【0020】
実施形態において、選択された反射画像の背景反射領域を組み合わせて単一の背景反射画像にすることは、背景反射領域を平均化することを含む。
【0021】
各単一背景反射画像は、完全な反射画像のかなりの部分を含む。実践では、背景反射領域は、直接反射領域よりも実質的に大きくてもよい。
【0022】
例えば、直接反射領域は、略円形の刺激投影領域の円周の7分の1の角度領域と一致し得、背景反射領域は、残りの刺激投影領域、すなわち、刺激投影領域の7分の6であり得る。7つの取り込まれた反射画像が7つの非重複直接反射領域を伴って選択されるとき、選択された画像から分離される7つの直接反射領域を単一の画像へ追加することによって、完全な単一直接反射画像を構築することができる。それに応じて、7つの背景反射領域、特には、選択された反射画像から直接反射領域を差し引いたものが、分離され得る。しかしながら、これらの背景反射領域は各々、互いに対して大きな、上の例では刺激投影領域の7分の5の、重複を有する。さらには、背景反射領域は、直接照明されず、特定の方向から照明される。すべての刺激光点から代表する背景画像情報を生成するために、角膜の各部に直接入射するもの以外が組み合わされなければならない。したがって、背景反射領域を組み合わせて単一の背景反射画像にするステップは、背景反射領域を平均化することを含むことが好ましい。
【0023】
実施形態において、選択された反射画像を互いに組み合わせるステップは、単一の背景反射画像を単一の直接反射画像から取り去って、背景フィルタリングされた単一の直接反射画像を獲得することを含む。この単一の直接反射画像は、単一の背景反射画像内に存在する背景ノイズと同程度のいくらかの背景ノイズを含む。単一の背景反射画像を単一の直接反射画像から取り去ることにより、背景ノイズがフィルタ・アウトされている画像が獲得される。そのような背景フィルタリングされた単一の直接反射画像は、眼の角膜の後面の分析に、およびおそらくは、眼の他の特徴を決定するのにも非常に有用である。
【0024】
単一の背景反射画像はそれ自体が、検査される眼の特定の特徴を決定するのにも有益であり得ることが分かっている。
【0025】
実施形態において、演算ユニットは、単一の背景反射画像に基づいて、眼の1つまたは複数の水晶体特徴を表す水晶体特徴値を決定するように配置される。背景反射のかなりの部分は、眼の水晶体の後面での直接反射および間接反射によって引き起こされる。典型的には、後方水晶体表面からの直接反射は、刺激装置の中心軸に対応する画像の中心点に関して、角膜の後面の直接反射が見られる領域とは正反対の反射画像の領域上に現れる。したがって、背景反射画像は、後方水晶体表面から刺激光点によって発せられる光線の直接反射を含む。これらの直接反射は、水晶体後面を分析するために使用され得る。
【0026】
さらには、背景反射画像は、例えば、眼の水晶体内の光の散乱によって引き起こされる間接反射を含む。
【0027】
したがって、単一の背景反射画像は、それ自体が、または他の測定と合わせて、水晶体厚、水晶体の後面の形状、水晶体形状、水晶体傾斜、分散などの、水晶体のいくつかの特徴を決定するために使用され得る。
【0028】
実施形態において、演算ユニットは、単一の背景反射画像に基づいて、眼の白内障の重症度を表す値を決定するように配置される。背景反射のかなりの部分は、水晶体内の光の光散乱によって、特に、水晶体内の白内障によって引き起こされ得る。したがって、単一の背景反射画像は、それ自体が、または他の測定と合わせて、水晶体内の白内障の状態または進行度を決定するために使用され得、また白内障重症度に関する値を水晶体に割り当てるために使用され得る。したがって単一の背景反射画像は、白内障をその進行の初期段階で予測するために使用され得る。
【0029】
実施形態において、制御ユニットは、さらなる反射画像を獲得するために、複数の刺激光点のそれぞれのサブセットの少なくとも1つの刺激光点を同時に作動させるように配置され、演算ユニットは、さらなる反射画像を使用して、選択された反射画像を互いに対して整列させるように配置される。選択された画像は、複数の刺激光点のサブセットの後続の作動中に取り込まれる一連の取り込み画像から獲得される。したがって、この後続の作動中に撮られたすべての画像を取り込むにはいくらかの時間が必要とされる。この時間の間、眼が刺激装置に対して移動することがあり、取り込まれた反射画像間に位置シフトを結果としてもたらす。
【0030】
選択された画像の直接反射領域および/または背景反射領域を適切に組み合わせて、それぞれ単一の直接反射画像および/または背景反射画像にするためには、選択された画像が互いに対して整列されることが重要である。この整列は、さらなる反射画像を使用することによって実施され得、このさらなる反射画像は、各サブセットの直接反射を含むように、複数の刺激光点の各サブセットの少なくとも1つの刺激光点の同時作動中に獲得される。さらなる反射画像は、各サブセットの複数の刺激光点の同時作動によって獲得される各サブセットの複数の直接反射を含むことが好ましい。さらなる反射画像が、異なるサブセット間の直接的な位置関係を含むため、反射画像は、このさらなる反射画像に基づいて、互いに対して整列され得る。
【0031】
代替的な実施形態において、サブセットは、共通の刺激光点を含み、その結果として、選択された反射画像は、これらの共通の刺激光点の直接反射に基づいて互いに対して整列され得る。選択された画像の整列はまた、すべての選択された反射画像内で目に見える検査される眼の特徴など、他の参照点に基づいて実行され得る。
【0032】
実施形態において、制御ユニットは、複数の刺激光点の照明レベルを適合させるように配置され、制御ユニットは、複数の刺激光点のサブセットの後続の作動の間に使用される照明レベルと比べて減少した照明レベルでさらなる反射画像を獲得するために、複数の刺激光点のそれぞれのサブセットの少なくとも1つの刺激光点を同時に作動させるように配置される。
【0033】
さらなる反射画像が複数の刺激光点の作動により取り込まれるとき、複数の刺激光点の照明レベルは、さらなる反射画像を取り込むときに眼の露光過多を避けるために減少させることが望ましいことがある。この理由のため、複数の刺激光点の照明レベルは、さらなる反射画像が撮られるときに好適な照明レベルが選択されるように制御ユニットによって調節可能であってもよい。
【0034】
実施形態において、刺激装置は、2つ以上の刺激区画を備え、各刺激区画が、少なくとも1つの刺激光点を備え、複数の刺激光点の異なるサブセットの各々が、2つ以上の刺激区画のうちの少なくとも1つの複数の刺激光点のうちの1つまたは複数によって形成される。
【0035】
実践では、刺激装置は、刺激区画、特に、円錐または半球形状を形成するように配置されることが好ましい刺激区画パネルによって形成され得る。各刺激区画パネルは、例えば、PCBによって形成されてもよい。
【0036】
各刺激区画は、1つまたは複数の刺激光点を備える刺激表面を備える。1つの区画のこれらの刺激光点は、複数の刺激光点の1つのサブセットを形成し得る。その結果、サブセットは、非重複であり、複数の刺激光点のサブセットの数は、刺激区画の数に対応する。
【0037】
代替的な実施形態において、刺激区画の一部分の刺激光点、または複数の区画の刺激光点が、複数の刺激光点の1つのサブセットを形成し得る。これらのサブセットは、これらのサブセットに使用される刺激光点内で重複または非重複であってもよい。
【0038】
刺激区画は、中心軸の周りに円周方向に配設されたくさび形状の要素であってもよい。区画の数は、区画が刺激装置の中心軸に対して互いに正反対に配置されないように、奇数であることが望ましい。
【0039】
実施形態において、各刺激区画は、眼の角膜を照明するための5つの刺激光点を備え、各刺激区画の3つの刺激光点が、第1の直径を有する第1の円上に配置され、各刺激区画の1つの刺激光点が、第1の直径よりも小さい第2の直径を有する第2の円上に配置され、各刺激区画の1つの刺激光点が、第1の直径よりも大きい第3の直径を有する第3の円上に配置され、第1の円、第2の円、および第3の円が、刺激装置の中心軸の周りに同心円状に配置される。
【0040】
実施形態において、各刺激区画の5つすべての刺激光点が、刺激光点のサブセットを形成してもよく、すなわち、各刺激区画が、刺激光点のサブセットを形成する。別の実施形態において、1つの刺激区画の1つまたは複数の刺激光点は、サブセットを形成し得る他の刺激区画の1つまたは複数の刺激光点と組み合わされてもよい。例えば、第1の刺激区画の第1の円上に配置された3つの刺激光点は、5つの刺激光点のサブセットを形成するために、第2の円上に配置された刺激光点および隣接する第2の刺激区画の第3の円上に配置された刺激光点と組み合わされてもよい。
【0041】
本発明は、眼測定装置を使用して眼の角膜を測定するための方法であって、本眼測定装置が、
眼の角膜の表面上に複数の光線を投影するための、複数の刺激光点を備える刺激装置と、
刺激光点の反射画像を取り込むためのカメラ・システムと、
反射画像に基づいて、角膜の後面を分析する、および/または眼の特徴を得るように配置された演算ユニットと、
複数の刺激光点のうちの1つまたは複数を選択的に作動させるように配置された制御ユニットと、を備え、方法が、
制御ユニットを用いて、複数の刺激光点の異なるサブセットを続いて作動させるステップと、
演算ユニットを用いて、複数の刺激光点の異なるサブセットの各々について、複数の刺激光点のそれぞれのサブセットの作動と一致する少なくとも1つの反射画像を選択するステップと、
演算ユニットを用いて、角膜の後面を分析するため、および/または眼の特徴を得るために、選択された反射画像を互いに組み合わせるステップとを含む、方法をさらに提供する。
【0042】
実施形態において、組み合わせるステップは、各選択された反射画像から、制御ユニットによって作動される1つまたは複数の刺激光点の直接反射を含む直接反射領域を分離すること、および選択された反射画像の直接反射領域を組み合わせて単一の直接反射画像にすることを含む。
【0043】
実施形態において、本方法は、各選択された反射画像から、制御ユニットによって作動される1つまたは複数の刺激光点の直接反射を欠く背景反射領域を分離するステップ、選択された反射画像の背景反射領域を組み合わせて単一の背景反射画像にするステップとをさらに含む。
【0044】
実施形態において、各選択された反射画像は、直接反射領域と背景反射領域とに分けられる。
【0045】
実施形態において、選択された反射画像の背景反射領域を組み合わせて単一の背景反射画像にすることは、背景反射領域を平均化することを含む。
【0046】
実施形態において、選択された反射画像を互いに組み合わせるステップは、単一の背景反射画像を単一の直接反射画像から取り去って、背景フィルタリングされた単一の直接反射画像を獲得することを含む。
【0047】
実施形態において、演算ユニットは、単一の背景反射画像に基づいて、眼の1つまたは複数の水晶体特徴を表す水晶体特徴値を決定するように配置される。
【0048】
実施形態において、演算ユニットは、単一の背景反射画像に基づいて、眼の白内障の重症度を表す値を決定するように配置される。
【0049】
実施形態において、制御ユニットは、さらなる反射画像を獲得するために、複数の刺激光点の各サブセットの少なくとも1つの刺激光点を同時に作動させるように配置され、演算ユニットは、さらなる反射画像を使用して、選択された反射画像を互いに対して整列させるように配置される。
【0050】
実施形態において、制御ユニットは、複数の刺激光点の各サブセットの1つまたは複数の刺激光点の照明レベルを適合させるように配置され、制御ユニットは、複数の刺激光点の後続サブセットの1つまたは複数の刺激光点の作動の間に使用される照明レベルと比べて減少した照明レベルでさらなる反射画像を獲得するために、複数の刺激光点のそれぞれのサブセットの少なくとも1つの刺激光点を同時に作動させるように配置される。
【0051】
実施形態において、刺激装置は、2つ以上の刺激区画を備え、各刺激区画が、複数の刺激光点のうちの1つまたは複数の刺激光点を備え、複数の刺激光点の異なるサブセットの各々が、2つ以上の刺激区画のうちの1つの複数の刺激光点のうちの1つまたは複数によって形成される。
【0052】
本発明は、眼の角膜の角膜厚を決定するための装置であって、請求項1から13のいずれか一項に記載の装置を備える、および/または、請求項14から24のいずれか一項に記載の方法を実行するように構成される、装置にさらに関する。さらには、本発明は、眼の角膜の角膜厚を決定するための方法であって、請求項1から13のいずれか一項に記載の装置の使用を含む、および/または請求項14から24のいずれか一項に記載の方法のステップを含む、方法に関する。
【0053】
眼の角膜の角膜厚を決定するための本装置および方法において、角膜の後面の画像は、角膜を分析するために使用され得る。角膜厚を決定するためのさらなるステップは、特許文献2に開示されているのと同じステップで実行され得、その内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0054】
これより、本発明に従うデバイスの実施形態は、添付の図面を参照して、単に例として、さらに詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0055】
図1】本発明の装置の横断面を概略的に示す図である。
図2図1の装置の刺激装置の正面像を概略的に示す図である。
図3】本発明の実施形態に従う方法における照明および処理のステップをフロー・スキームで概略的に示す図である。
図4】刺激光点のサブセットの後続の照明の順序を示す図である。
図5】刺激光点の1つのサブセットの照明の反射画像を示す図である。
図6】本発明の実施形態に従う、選択された反射画像の処理を概略的に示す図である。
図7】組み合わされた直接反射画像を示す図である。
図8】組み合わされた背景反射画像を示す図である。
図9】組み合わされた背景反射画像を組み合わされた直接反射画像から取り去ることにより生じる背景フィルタリングされた直接反射画像を示す図である。
図10】本発明の第2の実施形態に従う、選択された反射画像の処理を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0056】
図1は、全体として参照番号1によって記される眼測定装置の実施形態を描写する。本眼測定装置は、複数の刺激光点3を備える刺激装置2を備える。刺激装置1は、複数の刺激光点3を支持する、例えば、円錐形状または半球形状の表面を有し得る。
【0057】
各刺激光点3は、独自の光源、例えば、LEDを有し得るが、代替的な実施形態においては、複数の刺激光点3が光源を共有する。
【0058】
図2は、刺激光点3の配置をより詳細に示す、刺激装置2の正面像を示す。刺激装置2は、7つのくさび形状のパネルを備え、各パネルが、5つの刺激光点3を有する刺激区画4を形成する。各刺激区画4のこれら5つの刺激光点3のうち、3つの刺激光点3は、第1の直径を有する第1の円上に配置され、各刺激区画4の1つの刺激光点3は、第1の直径よりも小さい第2の直径を有する第2の円上に配置され、各刺激区画4の1つの刺激光点3は、第1の直径よりも大きい第3の直径を有する第3の円上に配置され、第1の円、第2の円、および第3の円は、刺激装置の中心軸5の周りに同心円状に配置される。
【0059】
各刺激区画4の5つの刺激光点3は、所望の場合、同時に作動されるように設計される刺激光点のサブセットを形成する。刺激光点3のサブセットは、選択的に作動され得る。
【0060】
刺激光点3の各々は、作動されると、眼Eの角膜Cの前面CAおよび/または後面CP上に光線を投影することによって、眼E(横断面では部分的にのみ示される)、特に、眼Eの角膜Cを照明するように配置される。
【0061】
制御ユニット6は、刺激光点3のサブセットを選択的に作動させるために設けられる。制御ユニット6は、刺激光点3を異なる照明レベルで作動させるようにさらに配置され得る。
【0062】
眼測定装置1は、刺激光点の反射画像、すなわち、刺激光点3によって角膜Cの前面CAおよび/または角膜Cの後面CP上に発せられた光線から生じる眼Eの画像を取り込むためのカメラ・システム7をさらに備える。レンズ・デバイスなどのいくつかの光学素子8が、カメラ素子上、例えば、カメラ・システム7のCCDアレイ上に反射画像の焦点を合わせるために設けられ得る。
【0063】
カメラ・システム7によって取り込まれた反射画像は、反射画像を処理するように構成された演算ユニット9に供給される。反射画像は特に、反射画像に基づいて、角膜Cの後面CPを分析する、および/または眼Eの特徴を得るために、演算ユニット9内で処理される。
【0064】
図3は、眼Eの角膜の照明のステップおよび演算ユニット9による反射画像の処理のステップを概略的に示す。
【0065】
眼Eの反射画像を獲得するために、刺激光点の異なるサブセットが、眼Eを照明するために制御ユニット6によって作動される。図1および図2に示される実施形態において、制御ユニット6は、異なる刺激区画4の刺激光点を続いて作動させるように構成される。したがって、まず、5つの刺激光点3の第1のサブセットが照明され、その後、刺激光点3の第2、第3、第4、第5、第6、および第7のサブセットが、続いて照明される。任意の他の数の、刺激光点3のサブセットおよび/またはサブセット内いくつかの刺激光点3も使用され得ることは、当業者には明白であるものとする。刺激光点3のサブセットは、刺激光点3の各サブセットが、完全な刺激投影領域のサブ領域内に配置されるように、刺激装置の周囲にわたって、すなわち、中心軸5の周りに分散されることが好ましい。
【0066】
刺激装置2の刺激区画4の照明されるサブセットの順序は、任意の順序であってもよく、例えば、刺激区画4を時計回りまたは反時計回りに進む。しかしながら、各後続の照明が刺激装置2の反対側に配置された刺激区画4において実施される順序で、刺激区画を照明するのが有利であり得る。この照明順序の利点は、刺激光点3の異なるサブセットの後続の照明の照明フェーズ中の眼の動きが、反射画像の処理中に演算ユニット2によってより容易に検出され得、結果として、演算ユニット2によって補正され得ることである。
【0067】
図4は、各後続の照明が刺激装置2の反対側に配置された刺激区画4において実施される照明順序の例を示す。
【0068】
カメラ・システム7は、眼Eを照明する刺激光点3の各サブセットの少なくとも1つの反射画像を獲得するように構成される。
【0069】
図5は、角膜Cの前面CAおよび後面CPからの、刺激光点3の1つのサブセットにより発せられる光線の直接反射を示す反射画像の例を示す。前面CAからの直接反射は、比較的明るい点である。後面CPからの直接反射は、前面CAからの直接反射の明るさよりも、かなり低い、例えば100倍低い、明るさを有するため、後面CPからの直接反射は、識別するのがより困難である。
【0070】
図5では、刺激区画4は、反射画像上に描かれており、文字AまたはBによって示され、Aは、この反射画像の取り込み中に照明された刺激区画4と関連付けられた領域を指し、Bは、他の刺激区画4と関連付けられた領域を指す。
【0071】
図5に示される反射画像から、刺激装置2の刺激光点3の総数と比較して、比較的少ない数の刺激光点3が、眼Eを照明するために使用されることが分かる。結果として、使用される刺激光点3の、照明レベル、すなわち、光強度は、眼Eの露光過多なしに、すべての刺激光点3の同時照明と比較して比較的高くなり得る。この高い照明レベルが、反射画像内での角膜Cの後面CP上に刺激光点3によって発生される光線の反射の可視性を改善する。
【0072】
図1および図2の実施形態において、刺激光点3のサブセットは非重複である。反射画像を互いに対して整列させることを可能にするために、さらなる反射画像が、刺激光点3のすべてのサブセットが同時に照明されるときにカメラ・システム7によって取り込まれる。このさらなる反射画像は、すべての刺激光点3同士の位置関係に関する情報を提供し、反射画像を互いに対して整列させるために使用され得る。さらなる反射画像の取り込み中の眼Eの露光過多を避けるために、制御ユニット6は、刺激光点3のサブセットの後続の照明と比較して、減少した照明レベルで、すなわち、減少した光強度で、刺激光点3を照明するように構成される。
【0073】
刺激光点3のすべてのサブセットが同時に照明されるときに獲得される画像は、刺激光点3の異なるサブセットの反射画像が獲得される前、獲得されている最中、または獲得された後に獲得され得る、と言える。
【0074】
反射画像を整列させるための代替的な実施形態において、刺激光点3のサブセットは重複していてもよい。例えば、各サブセットが、2つのパネルの刺激光点3を備える。重複サブセットを使用することにより、刺激光点3同士の位置関係は、反射画像自体に基づいて決定され得る。別の代替的な実施形態において、他の特徴的な特徴部が、反射画像の各々に存在し、例えば、眼Eの目に見える特徴的な特徴部が、反射画像を互いに対して整列させるために使用され得る。
【0075】
カメラ・システム6によって取り込まれたすべての反射画像が、演算ユニット6に供給される。演算ユニット6は、複数の刺激光点3の異なるサブセットの各々について、複数の刺激光点3のそれぞれのサブセットの作動と一致する少なくとも1つの反射画像を選択するように構成される。例えば、図5の反射画像は、図4においては第1として示される、刺激光点3のサブセットの作動のために選択され得る。
【0076】
反射画像を選択するこのステップは、カメラ・システム7の取り込み速度が、刺激光点3の異なるサブセットの照明の周波数と完全には同期されないことがあることから、必要とされ得る。さらには、刺激光点3の照明は、場合によっては、ゼロ照明レベルから所望の最大照明レベルまで進み、ゼロ照明レベルに戻る必要がある場合がある。実践では、カメラ・システム7の取り込み速度は、刺激光点3の異なるサブセットの照明周波数よりも実質的に高くてもよい。したがって、刺激光点3の各サブセットの照明について、複数の反射画像が、異なる画像品質で獲得され得る。これらの複数の反射画像から、演算ユニット9は、複数の刺激光点3のそれぞれのサブセットの作動と一致する少なくとも1つの反射画像を選択し得る。
【0077】
さらには、演算ユニット6は、例えば、異なる反射画像の獲得の間における眼Eの動きを補正するために、刺激光点3のすべてのサブセットが同時に照明されるときに取り込まれるさらなる反射画像を使用して、反射画像を互いに対して整列させるように構成され得る。
【0078】
選択された画像は、角膜Cの後面CPを分析するために、例えば、角膜Cの後面CPのモデルを構築するために、互いに組み合わされてもよい。加えて、または代替として、組み合わされた選択された画像は、眼Eの特徴を得るために使用され得る。
【0079】
図6は、選択され整列された反射画像を組み合わせるために行われるステップを概略的に示す。これらのステップは、図3のフロー・スキームにおいても示される。
【0080】
図6の上の列は、選択された画像を表す。図5の刺激区画4が示すものと対応して、関連刺激区画4の刺激光点3のサブセットの照明に対応する直接反射領域は、文字Aで示される。背景反射を含む反射画像のすべての他の領域は、文字Bで示される。
【0081】
演算ユニット6は、選択された反射画像の部分Aによって形成される直接反射領域内、およびそれぞれの選択された反射画像の部分Bによって形成される背景反射領域内に、反射画像の各々を分けるように構成される。分離された直接反射領域は、図5内の列Aに示され、分離された背景反射領域は、図6の列Bに示される。
【0082】
次のステップでは、選択された反射画像の直接反射領域は、列Aの右側の最後に示されるように、組み合わされて単一の直接反射画像を形成する。直接反射領域は、適切に整列されるとき、非重複であるため、直接反射領域は、単一の直接反射画像を形成するために互いに追加され得る。
【0083】
図7は、刺激光点3のサブセットの後続の照明の直接反射領域から構築される単一の直接反射画像を示す。
【0084】
また、選択された反射画像の背景反射領域は、図6内で列Bの右側の最後に示されるように、組み合わされて単一の背景反射画像を形成する。これらの背景反射領域は、上の例では刺激装置投影領域の7分の5の互いと大きな重複を有する。さらには、背景反射領域は、直接照明されず、特定の方向から照明される。角膜のそれぞれの部分に直接入射するもの以外の、すべての刺激光点3から、代表する背景画像情報を生成するために、背景反射領域は、単一の背景反射画像へと平均化される。
【0085】
図8は、刺激光点3のサブセットの後続の照明の背景反射領域を平均化することから構築される単一の背景反射画像を示す。
【0086】
演算ユニット9はここでは、角膜Cの前面CAおよび後面CP上での刺激光点3の光線の直接反射に関する情報を含む単一の直接反射画像、ならびに、例えば、水晶体内での散乱および/または色彩上の反射によって引き起こされる、背景反射に関する情報を含む単一の背景反射画像を構築した。類似の背景反射は単一の直接反射画像にも存在するため、単一の直接反射画像に含まれる情報は、図6の右下側の角に示されるように、単一の背景反射画像を単一の直接反射画像から取り去って、背景フィルタリングされた単一の直接反射画像を獲得することによって向上され得る。
【0087】
図9は、図8に示される単一の背景反射画像を図7に示される単一の直接反射画像から取り去ることによって獲得される背景フィルタリングされた単一の直接反射画像を示す。背景フィルタリングされた単一の直接反射画像は、特に、眼Eの角膜Cの後面CPを分析するためのさらなる処理のために使用され得る。例えば、背景フィルタリングされた単一の直接反射画像は、角膜Cの後面CP上の反射点の3D位置を決定するために、および、角膜Cの後面CPの数学モデルと一緒に、角膜Cの後面CPのモデルを構築するために使用され得る。
【0088】
加えて、または代替として、単一の背景反射画像は、図3に示されるプロセス・スキームにも示されるように、眼Eの1つまたは複数の特徴を決定するために使用され得る。
【0089】
眼E内の背景反射は、色彩、水晶体、および他の構造体のような、眼の組織による光線の散乱によって引き起こされる。また、背景反射画像は、後方水晶体表面LPからの刺激光点3によって発せられる光線の直接反射を含む。典型的には、後方水晶体表面LPからのこれらの直接反射は、画像の中心点に関して、角膜の後面CPの直接反射が見られる領域とは正反対の反射画像の区画上に現れる。その結果、これらの直接反射は、背景反射画像内に存在する。
【0090】
眼Eの水晶体内の散乱光などの間接反射は、単一の背景反射画像においても見られ得る。
【0091】
水晶体の直接反射および間接反射に基づいて、単一の背景反射画像は、それ自体が、または他の測定と合わせて、水晶体厚、水晶体の後面の形状、水晶体形状、水晶体傾斜、分散などの水晶体のいくつかの特徴を分析するために使用され得る。
【0092】
主たる関心が後方水晶体表面LPを分析することである場合、本方法は、後方水晶体表面LPの直接反射が、目的の直接反射として扱われるようなやり方で、反射画像を処理するように設定され得る、と言える。そのような実施形態において、演算ユニット9は、後方水晶体表面LPの直接反射を含む単一の直接反射画像を構築するために、選択された反射画像から、残りの選択された画像の各々、すなわち、背景反射領域からの後方水晶体表面LPの直接反射の領域を分離するように構成され得る。さらに、背景反射領域は、単一の背景反射画像へ平均化することによって組み合わされ得る。この単一の背景反射画像を単一の直接反射画像から取り去ることにより、後方水晶体表面LPを分析するために使用され得る背景フィルタリングされた直接反射画像を提供し得る。
【0093】
単一の背景反射画像に基づいて演算ユニットによって分析され得る別の典型的な特徴は、眼の白内障の重症度を表す値である。背景反射のかなりの部分は、水晶体内の白内障によって引き起こされる水晶体内の光の光散乱によって引き起こされ得る。単一の背景反射画像の分析に基づいて、水晶体の白内障重症度に関する値が決定され得る。この値は、白内障をその進行の初期段階で予測するために使用され得ることが分かっている。
【0094】
図10は、本発明の代替的な実施形態、特に、刺激光点3のサブセットの代替的な実施形態を示す。本実施形態は、図1および図2に示されるものと同じ刺激装置2に基づくが、この実施形態では、5つの刺激光点3のサブセットは、第1の刺激区画4の第1の円上に配置される3つの刺激光点3を、第2の円上に配置される刺激光点、および隣接する第2の刺激区画4の第3の円上に配置される刺激光点と組み合わせることにより形成される。
【0095】
刺激光点3のこれらのサブセットの後続の照明は、直接反射および背景反射を含む画像を結果としてもたらす。図10の上の列は、刺激光点3のこれらのサブセットの各々についての対応する選択された反射画像を表す。これらのサブセットの照明順序は、任意の好適な順序であってもよい。
【0096】
ここでは各サブセットが2つの刺激区画にわたって延在するため、各直接反射領域もまた、各選択された画像について文字Aで示されるように、2つの刺激区画4にわたって延在する。各選択された反射画像の背景反射領域は、文字Bで示される。
【0097】
演算ユニット6はここでは、選択された反射画像の部分Aによって形成される直接反射領域内、およびそれぞれの選択された反射画像の部分Bによって形成される背景反射領域内に、選択された反射画像を分け得る。分離された直接反射領域は、図5内の列Aに示され、分離された背景反射領域は、図10の列Bに示される。
【0098】
選択された反射画像の直接反射領域は、列Aの右側の最後に示されるように、組み合わされて単一の直接反射画像を形成する。それに応じて、選択された反射画像の背景反射領域は、図10内で列Bの右側の最後に示されるように、組み合わされて単一の背景反射画像を形成する。
【0099】
最後に、単一の直接反射画像は、図10の右下側の角に示されるように、単一の背景反射画像を単一の直接反射画像から取り去って、背景フィルタリングされた単一の直接反射画像を獲得することによって改善され得る。
【0100】
上記において、眼測定装置の実施形態は、各刺激区画が5つの刺激光点を備える、刺激区画を形成する7つの非重複のくさび形状パネルを有する刺激装置を有して説明されている。1つまたは複数の刺激区画の刺激光点は、測定されるべき眼を選択的に照明するために使用されるべき刺激光点のサブセットを形成し得る。
【0101】
代替的な実施形態において、本刺激装置は、刺激光点の他のサブセットと重複し得るか、または非重複であり得る、刺激光点のサブセットを提供する任意の他の好適な数の刺激区画を有し得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10