(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-14
(45)【発行日】2023-07-25
(54)【発明の名称】破れにくく、毛玉ができにくい上質なニットウェア
(51)【国際特許分類】
D04B 1/16 20060101AFI20230718BHJP
A41B 11/00 20060101ALI20230718BHJP
A41B 11/14 20060101ALI20230718BHJP
D04B 1/18 20060101ALI20230718BHJP
D04B 21/16 20060101ALI20230718BHJP
D04B 21/18 20060101ALI20230718BHJP
【FI】
D04B1/16
A41B11/00 A
A41B11/14 Z
D04B1/18
D04B21/16
D04B21/18
(21)【出願番号】P 2019570869
(86)(22)【出願日】2018-06-26
(86)【国際出願番号】 CA2018050783
(87)【国際公開番号】W WO2019000085
(87)【国際公開日】2019-01-03
【審査請求日】2021-06-21
(32)【優先日】2017-06-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】519450134
【氏名又は名称】シアーテックス インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】SHEERTEX INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】弁理士法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハーグ,キャサリン
(72)【発明者】
【氏名】リパス,シーナ
【審査官】鈴木 祐里絵
(56)【参考文献】
【文献】実開平05-045006(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2009/0301139(US,A1)
【文献】特開2002-227002(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41B11/00-11/14
A41D31/00-31/32
D02G1/00-3/48
D02J1/00-13/00
D04B1/00-1/28
21/00-21/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチフィラメントUHMWPE繊維と、スパンデックス、ポリプロピレン、ポリエステル、ナイロンから選択される1つのストレッチ繊維とで構成され、
前記マルチフィラメントUHMWPE繊維は30以上のデニールを有し、
前記マルチフィラメントUHMWPE繊維は非添加法を使用して着色され、
前記マルチフィラメントUHMWPE繊維は撚られ、前記マルチフィラメントUHMWPE繊維及び前記ストレッチ繊維は各コースに当該マルチフィラメントUHMWPE繊維があり、少なくとも1つおきのコースに当該ストレッチ繊維があるようにプレーティングされており、
第1面に前記マルチフィラメントUHMWPE繊維を露出させ、
当該第1面の反対側の第2面に前記ストレッチ繊維が露出されていることを特徴とする、
ニット。
【請求項2】
前記ニットは少なくとも32のゲージを有する、請求項1に記載のニット。
【請求項3】
前記ストレッチ繊維は、5から100の間のデニールを有する透明ストレッチ繊維である、請求項1または2に記載のニット。
【請求項4】
前記マルチフィラメントUHMWPE繊維は
30のデニールを有する、請求項1~3のいずれか1項に記載のニット。
【請求項5】
前記ストレッチ繊維は、5から10の間のデニールを有する透明なスパンデックスである、請求項1~4のいずれか1項に記載のニット。
【請求項6】
前記ストレッチ繊維は、40から70の間のデニールを有する透明なスパンデックスである、請求項1~4のいずれか1項に記載のニット。
【請求項7】
前記マルチフィラメントUHMWPE繊維は4から52の間の1インチ当たりの撚り(TPI)を有する、請求項1~6のいずれか1項に記載のニット。
【請求項8】
前記マルチフィラメントUHMWPE繊維は6から20の間のTPIを有する、請求項7に記載のニット。
【請求項9】
前記マルチフィラメントUHMWPE繊維は約20のTPIを有する、請求項7に記載のニット。
【請求項10】
前記マルチフィラメントUHMWPE繊維は約12のTPIを有する、請求項7に記載のニット。
【請求項11】
前記非添加法が、マルチフィラメントUHMWPE繊維のバルク又はデニールを増加させない方法であることを特徴とする請求項1~10のいずれか1項に記載のニット。
【請求項12】
前記マルチフィラメントUHMWPE繊維は
100以下のデニールを有し、
前記少なくとも1つのストレッチ繊維は20から140の間のデニールを有し、
前記ニットは少なくとも18のゲージを有する、請求項1に記載のニット。
【請求項13】
前記マルチフィラメントUHMWPE繊維は30から50の間のデニールを有し、前記ストレッチ繊維は40から100の間のデニールを有する、請求項12に記載のニット。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか1項に記載のニットを含むタイツ、ストッキング又はトラウザーソックス。
【請求項15】
高い摩耗領域が摩耗パッドで処理されている、請求項14に記載のタイツ、ストッキング、又はトラウザーソックス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、出願番号62/524,986の米国仮出願の利益を主張するものである。
【0002】
本発明は、UHMWPE繊維とスパンデックスなどのストレッチ繊維との特定の組み合わせを使用して、耐裂性のある薄手の靴下又は同様の衣類を作るために使用できるニットに関する。
【背景技術】
【0003】
薄手のタイツ、ストッキング、ズボンの靴下のいずれの形態であっても、薄手の靴下は伝統的に非常に破れやすく、裂けやすい。
【0004】
靴下の透け感はデニールで測定される。デニールは、繊維の線形質量密度の測定単位であり、繊維9000メートルあたりのグラム単位の質量である。透け感は、光が靴下類を通過できるレベルを指す。透け感は、靴下類の構造に使用される繊維のデニールによって決定される。1から30の低いデニール値の靴下製品は、外観が透けて見え、ほとんどの光を透過させてしまう。31-100デニールの繊維を使用して製造された靴下は、外観が半不透明からほぼ不透明となる。100デニールを超えると、薄手の靴下が製造できなくなり、光を透過させることができない。
【0005】
靴下で使用される従来の繊維(すなわち、ナイロン、ライクラ(商標)、ポリエステル)は、引張強度が非常に弱く、特に低デニールでは非常に強度の小さい衣服しか製造することができない。これらの繊維を使用して製造された薄手の靴下製品(30デニール以下)は非常に破れやすい。それらは手、足、又はつめで簡単に破ることができ、一般に使い捨てとして考えられている。引張強度は、材料が弾性を失う前に当該材料に加えることができる引張応力の最大量であり、パスカル(Pa)又はN/m2の平方メートルあたりのニュートンの単位で測定される。
【0006】
容易に破れない商業的に利用可能な薄手の弾性ニットが必要である。
【0007】
従来、破れにくいフィット性の高い衣類を製造する試みがなされている。KoltonのUS2010/0050699号公報では、高性能繊維(そのうちの1つはUHMWPE)を適切な高性能ナイロンと組み合わせて使用し、靴下を含むいくつかのタイプの防護服を製造することについて説明している。但し、この出願は防護服の製造に焦点を当てており、低デニール製品や高ゲージニット、又はUHMWPEを使用する場合の着色材料の製造の課題には焦点を当てていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、軽量で柔軟であり、靴下及びアクティブウェアで使用される従来のニットよりも改善された耐久性を有し、様々な色で作ることができる耐裂性、非ピリング性のニットに関する。薄手の靴下に適用される場合、本発明は、従来の薄手の靴下の耐久性及び水分吸上げ特性を改善する。本発明のニットは、耐裂性と抗菌性を備えているが、従来の薄手の靴下と同じレベルの透け感、柔軟性、耐ピリング性、及び総重量を維持している。
【0009】
本発明は、30デニール以下の外観を有する32ゲージニットの薄手の靴下類であって、薄手のタイツ、ストッキング、又はズボンの靴下などの衣料品に適している。本発明は、総デニール値が30~220である18ゲージ以上の厚手のニットに適用すると、従来のニットよりも耐久性があり、軽量で、抗菌性があるという追加の利点を有する。
【0010】
本発明によれば、少なくとも1つのUHMWPE繊維及び少なくとも1つのストレッチ繊維からなるニットが提供され、少なくとも1つのUHMWPE繊維は非添加法を使用して着色され、少なくとも1つのUHMWPE繊維及び少なくとも1つのストレッチ繊維は、プレーティング又はサービングされる。本発明の一態様では、少なくとも1つのUHMWPE繊維は30以下のデニールを有し、少なくとも1つのUHMWPE繊維は撚られ、少なくとも1つのストレッチ繊維は5~100デニールの透明なストレッチ繊維であり、ニットのゲージは少なくとも32であり、結果として得られるニットの総デニール値は30以下である。本発明の別の態様において、少なくとも1つのUHMWPEは20から30の間のデニールを有する。本発明の別の態様において、少なくとも1つのストレッチ繊維は5から10の間のデニールを有する透明なスパンデックスである。本発明の別の態様において、少なくとも1つのストレッチ繊維は40~70デニールの透明なスパンデックスである。
【0011】
本発明のさらに別の態様では、UHMWPE繊維は1つのみであり、ストレッチ繊維は1つのみである。
【0012】
本発明の別の態様では、UHMWPE繊維は1インチ当たり4から52の撚り(TPI)を有する。本発明の別の態様では、UHMWPE繊維は6から20の間のTPIを有する。本発明の別の態様では、UHMWPE繊維のTPIは約20である。本発明の別の態様では、UHMWPE繊維のTPIは約12である。
【0013】
本発明の別の態様では、少なくとも1つのUHMWPE繊維及び少なくとも1つのストレッチ繊維はサービングされ、少なくとも1つのUHMWPE繊維及び少なくとも1つのストレッチ繊維は、1メートルあたり100~450の撚りを有する。本発明の別の態様では、サービングされた少なくとも1つのUHMWPE繊維及び少なくとも1つのストレッチ繊維は、1メートル当たり1000~1500の撚りを有する。本発明のさらに別の態様では、サービングされた少なくとも1つのUHMWPE繊維及び少なくとも1つのストレッチ繊維は、1メートルあたり約1500の撚りを有する。
【0014】
本発明の別の態様では、本発明のニットを含むタイツ、ストッキング又はズボンの靴下が提供される。本発明の別の態様において、タイツ、ストッキング又はズボンの靴下は、高い摩耗の領域は摩耗パッドで処理されている。
【0015】
本発明の別の態様において、少なくとも1つのUHMWPE繊維は10から100の間のデニールを有し、少なくとも1つのストレッチ繊維は20から140の間のデニールを有し、ニットは少なくとも18のゲージを有し、得られたニットの総デニール値は30デニール以上である。本発明の別の態様では、少なくとも1つのUHMWPE繊維は30~50の間のデニールを有し、少なくとも1つのストレッチ繊維は40~100の間のデニールを有する。
【0016】
本発明によれば、少なくとも1つのUHMWPE繊維及び少なくとも1つのストレッチ繊維を含むニットが提供され、少なくとも1つのUHMWPE繊維は撚られ、少なくとも1つのUHMWPE繊維は非添加法を用いて染色され、少なくとも1つのUHMWPE繊維及び少なくとも1つのストレッチ繊維はプレーティング又はサービングされる。本発明の一態様では、少なくとも1つのUHMWPE繊維は30以下のデニールを有し、少なくとも1つのストレッチ繊維は5~100のデニールを有する透明なストレッチ繊維であり、ニットは少なくとも32のゲージを有する。得られるニットの総デニール値は30以下である。本発明のさらに別の態様では、UHMWPE繊維は1つのみであり、ストレッチ繊維は1つのみである。
【0017】
本発明によれば、少なくとも1つのUHMWPE繊維と少なくとも1つのストレッチ繊維とからなるニットが提供され、少なくとも1つのUHMWPE繊維は撚り合わされ、少なくとも1つのUHMWPE繊維は非添加法を用いて着色され、少なくとも1つのUHMWPE繊維及び少なくとも1つのストレッチ繊維は1メートルあたり約1500撚りでサービングされ、少なくとも1つのUHMWPEは20~30のデニールを有し、少なくとも1つのストレッチ繊維は透明であり、得られたニットは30未満のデニールを有する。本発明の別の態様では、UHMWPE繊維は1つだけであり、ストレッチ繊維は1つだけである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】かかとと太ももの上の摩耗パッドを特徴とする、薄手のタイツのシームレスなペアの例示的な実施形態を示す。
【
図2】いくつかの他の可能な薄手の衣類:ストッキング、ズボンの靴下を示す図である。
【
図3A】225倍の倍率で撮影された、撚られていない白いUHMWPEの写真である。
【
図3B】225倍の倍率で撮影された12TPIを有する撚られた黒色UHMWPEの写真である。
【
図5A】65倍の倍率で撮影された、プレーティングされた黒い撚られたUHMWPE及び黒いスパンデックスの写真である。
【
図5B】225倍の倍率で撮影された、プレーティングされた黒い撚られたUHMWPE及び黒いスパンデックスの写真である。
【
図6】65倍の倍率で撮影された
図5A及び5Bのニットのはげた箇所を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明を、図面を参照して説明する。
【0020】
本願明細書で使用される「薄手の」という用語は、30デニール以下の外観を有する衣服を指す。これは、業界一般において、衣服が透けていると見なされる測定値である。
【0021】
本願明細書で使用される「デニール」という用語は、繊維の繊度を示す重量単位を指し、9,000メートルあたりのグラム単位の質量値である。
【0022】
デシテックス(dtex)という用語は、繊維の繊度を示す別の重量単位を指し、10,000メートルあたりのグラム単位の質量値である。
【0023】
本願明細書で使用される「引張強度」という用語は、衣類の耐久性に関するものであり、材料が破断する前に引き伸ばされるか、引張られる間に耐えることができる最大応力によって測定される。それは単位面積あたりの力として測定され、グラム力(gf)及びdtexあたりのセンチニュートン(cN)の単位で表すことができる。
【0024】
本願明細書で使用される「伸び」という用語は、本発明の最終実施形態の弾性をもたらす個々の繊維及び複合糸の伸びを指す。伸びは、伸びの開始からの長さの増大の割合として測定される。
【0025】
本願明細書で使用される「繊維」という用語は、1つ以上のフィラメントから構成される単一のベース基材を指す。
【0026】
本願明細書で使用される「フィラメント」という用語は、それ自体が繊維であり得るか、又は他のフィラメントと組み合わされてマルチフィラメント繊維を形成することができる材料の単一フィブリルを指す。
【0027】
本願明細書で使用される「毛玉」という用語は、個々の繊維又はフィラメントが引っ掛かり、ニットの残りの部分から引き離されたときに靴下に生じる表面欠陥を指す。毛玉は見栄えが悪いと見なされ、これにより、1対の薄手の靴下が使用できなくなることがある。
【0028】
本願明細書で使用される「ニット」という用語は、平編み機又は丸編み機で1つ又は複数の繊維を組み合わせることによって作製される布地を指す。
【0029】
「ゲージ」という用語は、編み機の針の数を指す。薄手のタイツ、ストッキング、ズボンの靴下などの薄手の靴下を製造するには、高ゲージの編み機(32ゲージ以上)が必要となる。レギンス、ボディスーツ、靴下、シャツ、その他のアクティブウェアなどのより重い衣類を製造する際には、低ゲージの編み機(18~32ゲージ)を使用する。ゲージは、機械によって作られたニットを指すためにも使用される。つまり、32ゲージのマシンで作られたニットは、32ゲージのニットというように呼称する。
【0030】
「エンド」という用語は、本発明を創出するために使用される所与の編機に供給される繊維のボビンの数を指す。
【0031】
「UHMWPE」という用語は、高弾性率ポリエチレン(HMPE)、又は高性能ポリエチレン(HPPE)としても知られる超高分子量ポリエチレン繊維を表す。
【0032】
「着色されたUHMWPE」は、非添加剤着色プロセスによって着色された(非白色にされた)UHMWPEを意味する。
【0033】
本願明細書で使用される「プレーティング」という用語は、2つの異なる層に2つの繊維を一緒に編み込む技術を指す。同じステッチで編んでも、1つの繊維が後ろ、すなわち前繊維の裏面側に位置する。
【0034】
本願明細書で使用される「サービング」という用語は、2本の繊維を一緒に紡績して複合糸を生成するプロセスを指す。
【0035】
本願明細書で使用される「見掛けデニール」という用語は、ニットに使用される可視繊維の総デニール値を指し、透明繊維は、この用途ではデニールとして換算されない。
【0036】
本願明細書で使用される「バルク」という用語は、繊維の見掛け又は非見掛けの総デニール値に付加された新規な繊維を指す。
【0037】
本願明細書で使用される「非添加剤」という用語は、繊維の見掛け又は非見掛けの総デニール値を増加させない着色方法、典型的には染色方法を指す。
【0038】
本願明細書で使用される「はげた箇所」という用語は、UHMWPEがスパンデックス(エラスタンとも呼ばれる)などのストレッチ繊維でプレーティングされたときに生じる欠陥を指す。これは、UHMWPE層よりも先にストレッチ繊維層が摩耗したときに発生する。それは、低ゲージのニットよりも高ゲージのニットでより明確となる。
【0039】
本願明細書で使用される「摩耗パッド」という用語は、ニットへの損傷の結果であるはげた箇所及び穴を低減するために、高摩擦/摩耗の領域における非UHMWPEニット及び添加剤コーティングの使用を指す。摩耗パッドは、本明細書で説明されているように高ゲージのニットで作られた衣服では重要であり、低ゲージのニットでは選択的なものである。
【0040】
「圧縮」という用語は、圧力をかけるように設計された衣服を指す。圧縮は、水銀柱ミリメートル(mmHg)で測定できる。
【0041】
薄手の靴下で使用するためのニットを検討する場合、バランスをとるべき3つの主要な特性、すなわち伸び、強度、及び薄さがある。薄手の靴下においては、これら3つの特性すべてを満たす単一の繊維は存在しない。これらの主要な特性に加えて、ニットは軽量であり、抗菌特性を備えていることが望ましい。場合によっては、圧縮も必要となる。
【0042】
UHMWPEは、ポリマーベースの押出されたマルチフィラメント繊維であり、伸びがほとんど又は全くなく、著しく高い引張強度の繊維である。低デニールの着色UHMWPEを使用することで、耐裂性の高い薄手の靴下を作製できる。UHMWPEを使用すると、UHMWPEなしで作られたニットに由来しない追加の利点を享受することができる。UHMWPEは、冷却効果を提供し、従来の靴下繊維よりも軽く、吸湿発散性と抗菌性とを有する。抗菌性と吸湿発散性は、UHMWPEが疎水性であることから生じるものである。
【0043】
図1を参照すると、本発明の典型的な用途であるタイツ10が示されている。
図2を参照すると、本発明を使用できる製品の他の例であるストッキング12とズボンの靴下14が示されている。以下に示すように、この出願では、
図1及び2に示すように、低デニールUHMWPE繊維を靴下類に使用する方法について説明する。
【0044】
本発明は、2つの低デニール繊維を有するニットである。1つは伸びのためのストレッチ繊維、もう1つは強度のための高靭性繊維である。本発明を達成するために使用される高靭性繊維はUHMWPEである。最終製品の強度と伸縮性を実現するために、UHMWPEは、以下に説明する最終製品の強度又は伸縮性を損なわない方法でストレッチ繊維と組み合わせる。
【0045】
HMWPE及びストレッチ繊維以外の追加の繊維は必要とされない。繊維を追加すると、最終製品の重量と嵩が不必要に増大するか、ニット中のUHMWPEの割合が減少してしまう。UHMWPE含有量を高くすると、より優れた抗菌特性及び耐久性のある最終製品を得ることができる。一般に、スパンデックス(エラスタンとも呼ばれる)又は伸びを達成するために必要な代替ストレッチ繊維を除いて、親水性の繊維は望ましくない。
【0046】
薄手の用途のためのニットは、典型的には32ゲージ以上の高ゲージ編機で編まれる。薄手の靴下用に設計されたハイゲージ編機でUHMWPEを編むとき、出願人は、このマルチフィラメント繊維が、モノフィラメントである傾向がある従来の靴下繊維よりも毛玉を作りやすい傾向があることを見出した。この問題を解決するために、薄手の靴下用途では、使用するUHMWPEを撚ってからストレッチ繊維(スパンデックスなど)とともに編むようにできる。
【0047】
図3Aは、撚れていないUHMWPEの写真であり、
図3Bは、撚れたUHMWPEの写真である。撚り合わせは、フィラメントをまとめ、強度を高め、手玉を減らすために必要である。
図3Aに目を向けると、20本のフィラメント、30デニールの白いUHMWPE繊維20があり、これは撚られていない。
図3Bを見ると、20フィラメント、30デニールの黒色UHMWPE繊維22があり、1インチあたり12撚り(TPI)で撚られている。
図4は、
図3Aに示すように、撚りのないUHMWPEを使用した場合にニットで発生する手玉を示している。
図4を参照すると、無撚UHMWPE繊維でプレーティングされた無撚UHMWPE繊維を含むニット40が存在している。使用後、毛玉46が大きくなり、個々の繊維がニットの残りの部分から引き離されている。
【0048】
繊維の撚りは、当技術分野で知られているいくつかのタイプの撚り機で行うことができる。強度を維持するには、インチあたりの撚り(TPI)が大きすぎてはならない。これはUHMWPE繊維の強度を低下させ、繊維強度がばらついてしまう可能性があるためである。好ましい実施形態では、30デニールのUHMWPEは4~20のTPIを有する。別の実施形態では、UHMWPEは6~15の間のTPIを有する。好ましい実施形態では、UHMWPEは15のTPIを有する。別の好ましい実施形態では、UHMWPEは12のTPIを有する。
【0049】
毛玉の問題は、18-28ゲージの低ゲージニットには顕出しなかった。低ゲージ用途のニットは、アクティブウェア製品などの厚手の用途に使用されるため、これらの用途における撚りは選択的なものだからである。
【0050】
実験では、UHMWPEとスパンデックスとを単に混合するだけで、高い伸びのニットが得られるものの、UHMWPEの強度特性が失われ、ニットの耐裂性が低下することが示された。エアタッキングを使用して作製された複合糸では、UHMWPEの毛玉が増加するため、薄手の靴下での使用には適していない。ニットをプレーティングすることなく、又は繊維を単一の糸にサービングすることなく、従来のニットで2つの繊維を混合すると、複合糸のUHMWPEの引張強度が低下する場合がある。
【0051】
実験では、UHMWPEによって提供される強度特性を損なうことなく、最終ニットのストレッチ性を効果的に達成するために使用可能な2つの方法、すなわち、プレーティングニット又はサービング糸を確立するに至った。
【0052】
本発明の目的において、プレーティングとは、弾性糸又はストレッチ繊維を用いてUHMWPEを編むことを指す。プレーティングでは、編み加工の全ての
コースでUHMWPE繊維が必要となり、ストレッチ繊維
は全ての
コースまたは1つおきのコースで必要となる。編み加工の後、ニット構造の片側ではUHMWPE糸がより顕著に露出し(ニット衣料の外側に行くことを意味)、弾性糸(ストレッチ繊維)は他の側面に露出するようになる(ニット衣料の内側に行くことを意味)。この構造は、プレーティングニットの全体に亘って、UHMWPE糸と弾性糸(ストレッチ繊維)とを有する。
図5A(倍率65倍で撮影)及び
図5B(倍率225倍で撮影)は、黒色のUHMWPE52及び黒色のスパンデックス54を有するプレーティングニット50の実施形態を示している。
図5Bに目を向けると、UHMWPE52はステッチで接続されているものの、スパンデックス54に対してプレーティングされている。
【0053】
第2の方法は、サービング糸を使用することであり、この場合、2つの繊維が撚られて1つの糸になる。撚られたUHMWPEは、5~100デニールのスパンデックス(又は他のストレッチ繊維)とともにサービングして複合糸を作製する。好ましい実施形態では、UHMWPEとスパンデックス(又は他のストレッチ繊維)との撚りの数は、1メートルあたり100~4500撚りである。1メートルあたりの撚り数がもっと多い場合が好ましい場合もある。撚り数の増加により、最終製品の伸縮性が高まり、最終ニットの耐久性が向上する。スパンデックス(又は他のストレッチ繊維)のより大きな面積がUHMWPEで強化される。出願人による実験データによれば、UHMWPE繊維を撚ることは非常に難しく、1000~1500の撚り範囲が最適であり、1メートルあたり1500の撚りが最も好ましい。
【0054】
プレーティング又はサービング複合糸のいずれの場合も、より高いデニールのスパンデックスの使用は、エンドユーザーにより大きな圧縮の利益を確保する。圧縮用途において、総圧縮量は15~20mmHg以上でなければならない。圧縮レベルは、実施形態で使用されている特定のストレッチ材料のデニールを増加させることにより、上方に調整することができる。
【0055】
UHMWPEの根本的な問題の1つは、伸縮性がないことに加えて、染色できないことである。UHMWPEは非多孔質であるため、従来の染色技術を利用することができず、ほとんどのコーティング技術を適用することができない。その結果、最近までは白色のみで製造されていた。白は、黒と裸の色合いが最も一般的に望まれる靴下やアパレル市場の同様の分野において商業的にも好ましい色ではない。
【0056】
UHMWPEを着色する一般的な方法は、従来の被覆又は編組によって別の着色材料でそれを被覆することであろう。薄手の靴下を作る目的では、これらの方法は最終繊維のデニールがかさばりすぎて、ベース糸のデニールが許容範囲を超えて30デニール以上にまで増大させてしまうために実行不可能であった。
【0057】
本発明は、最終製品の所望の色であり、非添加剤着色法を使用して着色されたUHMWPEを使用する。非添加剤手段とは、UHMWPEのバルク又はデニールを増やさない方法を使用してUHMWPEを着色することを意味する。2つの非添加剤着色法があり、1つは押出プロセス中に染料を添加する方法、もう一方は超臨界CO2染色方法(詳細は本発明の範囲外)である。非添加剤着色法を使用して行われる着色UHMWPE(本願明細書では「着色UHMWPE」と呼ぶ)は、ごく最近まで、特に100未満のデニールでは利用できなかった。
【0058】
高ゲージ機で製造された薄いUHMWPEニットの問題は、ストレッチ繊維(例えばスパンデックス)層がUHMWPE層の前に摩耗し、その結果、周囲のニット部分よりもデニールが低く弾性が低いパッチ部分が形成されてしまうことである。この欠陥は、ニットの残部に対して「はげた箇所」と呼ばれる。これは特にUHMWPEをストレッチ繊維と混合する際に発生し易くなる。その理由は、(i)UHMWPEは、上記のように、特に強度に優れ、リッピングやその他の摩耗や破損に強いこと、(ii)UHMWPEはストレッチ繊維に擦れて当該ストレッチ繊維を摩耗させ、(iii)ニットに負荷される外力がストレッチ繊維を侵食する一方で、UHMWPEは損傷を受けないことが多いことによる。ストレッチ繊維の摩耗は望ましくなく、局所的な弾性の喪失により衣服に構造上の問題を引き起こす可能性がある。
図6に目を向けると、
図5A及び5Bからのニット50は、はげた箇所56を有し、そこではスパンデックス54がすり減っている。
【0059】
はげた箇所の問題は、透明なスパンデックスなどの透明なストレッチ繊維のみを使用することにより対処できる。この場合、たとえストレッチ繊維が摩耗しても、周囲のニットと比べてデニールの差を最小限に抑えることができる。ただし、透明なストレッチ繊維を使用しても、局所的な弾性損失の問題は解決されない。ストレッチ繊維がスパンデックスの場合、透明なスパンデックスは非常に高い引張強度を有するスパンデックスでもあるため、透明なスパンデックスを使用すると、エンドニットの耐久性が向上する。
【0060】
はげた箇所の問題は、プレーティングとは対照的に、着色されたUHMWPE及びストレッチ繊維(スパンデックスなど)をサービングすることによって対処することもできる。着色UHMWPEとストレッチ繊維(スパンデックスなど)とのニットをサービングした試験は、使用後、プレーティングニットよりもはげた箇所が著しく少なく、プレーティングの影響を受ける領域において、ニットの弾性への影響が少ないことを示している(着色されたUHMWPEとストレッチ繊維(スパンデックスなど)とのサービングは毛玉の減少という点でも有利な効果を示している。)。
【0061】
プレーティングニットにおける透明ストレッチ繊維の使用又はUHMWPEと直接サービングした透明ストレッチ繊維の使用により、はげた箇所が消失し、あるいは減少した場合でも、残存したはげ部分は弾性損失をもたらす。これに対処するために、摩耗が予想されるタイツやストッキングの内側の太ももや足などの領域に、構造的なサポートとして摩耗パッドを統合することができる。本願明細書で使用されているように、摩耗パッドとは、はげを防止又は少なくとも遅らせるために実施形態に組み込まれる非UHMWPEニット及び添加剤コーティングを指す。
図1を参照すると、摩耗パッド60はタイツ10のかかとに配置され、摩耗パッド62はタイツ10の腿に配置されている。好ましい実施形態では、70デニールのナイロン繊維と40デニールのスパンデックス繊維が28ゲージ編み機で編まれ、本発明のニットで作られたタイツの脚の内側太もも部分に摩耗パッドが縫い付けられている。この同じ実施形態では、かかとをニトリルポリマーコーティングに浸して、足に摩耗パッドを作製する。別の好ましい実施形態では、70デニールのナイロン繊維と40デニールのスパンデックス繊維とを28ゲージの機械で編んでから、一対のタイツの足に縫い付けて、足とかかとの摩耗パッドを作る。繊維及びポリマーで作製された摩耗パッドは、本発明のUHMWPEニットと同じ強度、透け感、又は抗菌特性を持たないため、摩耗を防ぐために必要な場合にのみ使用する必要がある。摩耗パッドは、高ゲージニットでは好ましいが、低ゲージニットでは選択的なものであり、後者の場合、はげ部分は目立つ可能性がある。
【0062】
非UHMWPEストレッチ繊維又はポリマーのいずれかを使用する本発明においては、3つのタイプの摩耗パッドが好ましい。1)塗装又は浸漬などの方法でコーティングされたポリマーからなる摩耗パッド;2)シームレスニットを通して製品に組み込まれた摩耗パッド;及び3)カットアンドソー方法を使用して統合された摩耗パッド。
【0063】
製品中に編み込むとき、縫い目で強度を維持するために摩耗パッドを入れ込み、具体的には最初に既存のニットに摩耗パッド用の新しい繊維を追加し、次にニットからUHMWPEを取り除く。UHMWPEの融点は低いため、熱ベースの接着剤摩耗パッドは推奨できない。
【0064】
本発明は、丸編機、平編機、又は経編機で製造することができる。靴下を十分に軽量なニットから作るには、使用する編機が32ゲージ以上でなければならない。レギンス、ボディスーツ、靴下、シャツニットなどのアクティブウェアに適したニットを作製するには、18ゲージ以上のマシンで行う必要がある。
【0065】
衣服の最終組立で縫い付けが必要な場合、UHMWPEベースの糸を使用する場合は、当該糸が、製品の耐久性の弱点にならないようにする必要がある。
【0066】
上記の説明は、薄手の靴下に対する本発明の使用に焦点を当てているが、UHMWPE及びストレッチ繊維(スパンデックスなど)の組み合わせは、半不透明から不透明な靴下及びアクティブウェアなどの厚手の製品にも有用に適用できる。厚手のニットを得るには、ニットで使用されるベース繊維の総デニール値が30を超えているか、ニットが32ゲージ未満の編み機で製造されている必要がある。
【0067】
UHMWPE及びストレッチ繊維(スパンデックスなど)ニットを使用して作られたアクティブウェアは、従来のアクティブウェアよりも利点があり、特にその強度が大幅に向上(例えば、UHMWPE及びスパンデックスから製造されたTシャツに穴を開けることが困難であろう)スパンデックスニット)し、軽量(特に、強度と比較した軽量性)であり、抗菌特性を有する。
【0068】
低いゲージのニットを使用した場合は、高ゲージの薄いUHMWPE及びストレッチ繊維(スパンデックスなど)ニットを使用した場合に生じる毛玉及びはげ箇所の問題を排除又は目立たなくする。
【0069】
ニットは、複数のUHMWPE繊維及び/又は複数のストレッチ繊維を使用して作製することができる。ニットは、複数のUHMWPE繊維及び/又は複数のスパンデックス繊維を使用して作製することができる。
【0070】
一実施形態では、薄手の靴下又は同様の衣服に使用される場合、上記のニットは、30デニール以下の1つのUHMWPE、及び5~100デニールで30%を超える伸びを示す1つの透明ストレッチ繊維を、総デニール値が30デニール未満で、32ゲージ以上の編み機で編んで作製できる。使用されるUHMWPEは、ストレッチ繊維でサービングするか、又はプレーティングすることができ、サービングははげスポットを減少させることができるので、好ましい態様である。好ましい実施形態において、本発明の薄手の用途での使用に適したUHMWPEは、10~30デニールのUHMWPE繊維である。より好ましい実施形態では、20~30デニールである。好ましい実施形態では、本発明の薄手の用途での使用に適したストレッチ繊維は、5~10デニールの透明スパンデックス繊維である。より好ましい実施形態では、40~70デニールである。使用されるスパンデックスは好ましくは透明であってもよい。
【0071】
別の実施形態では、半不透明から不透明な靴下及びアクティブウェアなどの厚手の用途の場合、上記ニットは、1つのUHMWPE及び30%を超える伸びを示す1つのストレッチ繊維であって、総デニール値が30~220デニールの範囲であり、18ゲージ以上の編み機で編むことにより製造できる。厚手の用途では、使用するUHMWPEをストレッチ繊維でサービングするかプレーティングすることができ、どちらの実施形態もはげスポットを形成することはない。一実施形態では、本発明の厚手の用途での使用に適したUHMWPEは、10~100デニールのUHMWPE繊維である。より好ましい実施形態は、30~50デニールのUHMWPE繊維である。一実施形態では、本発明の厚手の用途での使用に適したストレッチ繊維は、20~140デニールのスパンデックス繊維である。より好ましい実施形態は、40~100デニールのスパンデックス繊維である。
【0072】
ストレッチ繊維の最小伸びは、30%以上でなければならない。好ましい実施形態では、使用されるストレッチ繊維は、100%を超える、より好ましくは400%を超える伸びを示す。本発明の目的のために最もよく機能するストレッチ繊維はスパンデックスである。他の代替ストレッチ繊維は、ポリプロピレン、ポリエステル、又はナイロンから作ることができる。
【0073】
試験に使用したUHMWPEは、dtexあたり40cNを超える引張強度と3.5%未満の伸びを示した。試験で使用したストレッチ繊維、特に明記しない限り、透明なスパンデックスは400%を超える伸びを示した。
【0074】
以下の実施形態では、強度、毛玉、はげスポット及び摩耗試験はマニュアル試験により評価した。
【0075】
ニットの強度は、マニュアル試験により評価した。マニュアル試験では、ニットに穴を開けるために、親指の端をニットにできるだけ強く押し付ける。穴が開かない場合、マニュアル試験は合格となる。穴が開いた場合、マニュアル試験は不合格となる。
【0076】
毛玉及びはげスポットは、マニュアルの摩耗テストにより評価した。毛玉は、ニットを伸ばした状態で、ダイヤモンドリングのような先のとがったものをニットに当てて手動で行った。ニットから繊維が引っ張られず、毛玉が形成されない場合は合格とした。はげスポットは、ニットを伸ばした状態で、ペンのような先の丸いものを繰り返しニットに充てて手動で行った。この繰り返しの動きにより、ニット中のスパンデックスが破損し、UHMWPEは破損しないまま残存する。はげた箇所が観察されないか又は減少した場合には試験は合格とした。摩耗試験では、ニットはさまざまな実施形態で摩耗され、その後、はげスポット及び毛玉の視覚検査にかけられる。
【0077】
一実施形態では、30デニールの着色UHMWPE繊維を12TPIに撚り、次いで、32ゲージ編機で40デニールの透明スパンデックスとプレーティングする。これにより、30未満のデニールであって、非常に強力で伸縮性のある薄手のニットが得られた。このニットは、70デニールのスパンデックスを使用した試験で弾性が低下し、毛玉は確認できず、はげた箇所が存在するけれども、目立つものではなかった。
【0078】
一実施形態では、30デニールの着色UHMWPE繊維を12TPIに撚り、次いで、32ゲージ編機で70デニールの透明なスパンデックスとプレーティングする。これにより、30デニール以下のデニールであって、非常に強力で伸縮性のある薄手のニットが得られた。このニットは、40デニールのスパンデックスを使用したテストで弾性が向上し、毛玉は確認できず、はげた箇所が存在するけれども、目立つものでなかった。
【0079】
一実施形態では、30デニールの着色UHMWPE繊維を12TPIに撚り、次いで、28ゲージ編機で70デニールの黒色スパンデックスとプレーティングする。これにより、30デニール超のデニールであって、非常に強力で伸縮性のある厚手のニットが得られた。このニットは、40デニールのスパンデックスを使用したテストで弾性が向上し、毛玉は確認できず、目立つはげ箇所は見られなかった。
【0080】
一実施形態では、30デニールの着色UHMWPE繊維を12TPIに撚り、次いで、28ゲージ編機で40デニールの黒色スパンデックスとプレーティングする。これにより、30デニール超のデニールであって、非常に強力で伸縮性のある厚手のニットが得られた。このニットは、70デニールのスパンデックスを使用したテストで弾性が低下し、毛玉は確認できず、目立つはげ箇所は見られなかった。
【0081】
一実施形態では、30デニールの着色UHMWPE繊維を12TPIに撚り、1500TPMで40デニールの透明なスパンデックスとサービングし、次いで32ゲージ編機で編む。これにより、30以下のデニールであって、非常に強力で伸縮性のある薄手のニットが得られた。マニュアル試験では、毛玉は見られず、同じベース繊維を使用したプレーティング編みと比較すると、はげスポットの割合は大幅に減少し、はげスポットはニットの弾性にほとんど影響しなかった。
【0082】
比較例の結果を以下に詳述する。
【0083】
一比較例において、20デニールの着色UHMWPE繊維を、撚ることなく、32ゲージの編機で編んだ。これにより、非常に強く、伸縮性のない薄手のニット(30以下のデニール)が得られ、非常に大きな引っ張り毛玉ができたものの、ニット全体に目に見えるはげ部分は確認できなかった。
【0084】
一比較例において、20デニールの着色UHMWPE繊維は、撚ることなく、32ゲージの編機を用いて40デニールのスパンデックスと編み込んだ。これにより、非常に脆弱で、伸縮性のある厚手のニット(30超のデニール)が得られ、非常に大きな引っ張り毛玉と、ニット全体にはげた箇所が確認された。
【0085】
一参考例において、20デニールの着色UHMWPE繊維を6TPIに撚り、32ゲージの編機を用いて40デニールの黒色スパンデックスとプレーティングする。これにより、非常に強力で、伸縮性のある厚手のニット(30超のデニール)が得られ、非常に大きな引っ張り毛玉と、ニット全体にはげた箇所が確認された。
【0086】
一参考例において、20デニールの着色UHMWPE繊維を9TPIに撚り、32ゲージの編機を用いて40デニールの黒色スパンデックスとプレーティングする。これにより、非常に強力で、伸縮性のある厚手のニット(30超のデニール)が得られ、非常に大きな引っ張り毛玉(6TPIのUHMWPE繊維の試験よりも減少しているが)と、ニット全体にはげた箇所が確認された。
【0087】
一参考例において、30デニールの着色UHMWPE繊維を12TPIに撚り、32ゲージの編機を用いて40デニールの黒色スパンデックスとプレーティングする。これにより、非常に強力で、伸縮性のある厚手のニット(30超のデニール)が得られ、毛玉は大きく減少したものの、ニット全体にはげた箇所が確認された。
【0088】
上述した説明及び図面は、発明者によって現在企図されている本発明の特定の好ましい実施形態に関するものであるが、当業者に知られている様々な変形、変更及び改良を行うことができることを理解されたい。