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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-14
(45)【発行日】2023-07-25
(54)【発明の名称】データ記録装置
(51)【国際特許分類】
   G08C 19/00 20060101AFI20230718BHJP
   G08C 15/00 20060101ALI20230718BHJP
【FI】
G08C19/00 L
G08C15/00 B
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020083476
(22)【出願日】2020-05-11
(65)【公開番号】P2021179695
(43)【公開日】2021-11-18
【審査請求日】2022-11-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】500323188
【氏名又は名称】東京エレクトロンデバイス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000936
【氏名又は名称】弁理士法人青海国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野田 博和
(72)【発明者】
【氏名】池田 朋史
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 拓弥
(72)【発明者】
【氏名】粟屋 錬太郎
(72)【発明者】
【氏名】小林 裕二
【審査官】菅藤 政明
(56)【参考文献】
【文献】特開昭59-200966(JP,A)
【文献】特開2002-94594(JP,A)
【文献】特開平9-65448(JP,A)
【文献】特開平11-98259(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08C 15/00-19/48
G06Q 50/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
計測対象が所定量分だけ計測されるごとに出力されるパルスに応じてオンオフする発信部、および、前記発信部の信号を受信可能な受信部を含む絶縁部と、
前記絶縁部の前記受信部に印加する電源電圧をオンオフする電源部と、
前記絶縁部の前記受信部に接続され、前記パルスのパルス幅以下の周期で前記電源部に前記電源電圧のオンオフを繰り返させ、前記受信部を通じた前記パルスの検出に応じて前記パルスの積算値を導出する計測制御部と、
を備えるデータ記録装置。
【請求項2】
前記計測制御部は、前記パルスを複数連続して検出した場合、連続して検出した複数の前記パルスのうち1の前記パルスのみを有効とし、他の前記パルスを無効として、前記パルスの積算値を導出する請求項1に記載のデータ記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計測器の計測データを記録するデータ記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
流量計などの計測器は、例えば、ガスや水などの計測対象を所定量だけ計測するごとにパルスを1個(1パルスを)出力する(例えば、特許文献1)。このような計測器から出力されるパルスは、例えば、データ記録装置においてフォトカプラを通じて検出される。データ記録装置は、パルスを検出するごとにパルスの積算値を導出し、その積算値を記録する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-183210号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
計測器において、計測量が所定量に至るまでの経過時間は、必ずしも一定とならない。このため、パルスが計測器から出力されるタイミングは不定となる。このような不定のタイミングで出力されるパルスを確実に検出するために、データ記録装置では、フォトカプラの電源を、常に、オンさせている。
【0005】
また、フォトカプラでは、計測器とフォトカプラとの間の断線を検出可能とするために、パルスが検出されていない状態で発光ダイオード(発光部)を発光させ、パルスが検出された場合に、発光ダイオードを消光させている。これにより、フォトカプラのフォトトランジスタ(受光部)は、パルスが検出されていない状態で、発光ダイオードの光によってオン状態となっている。
【0006】
このため、データ記録装置では、パルスが検出されていなくても、フォトトランジスタに接続される抵抗器(負荷)などによって電力が消費され続けてしまう。その結果、データ記録装置をバッテリ(電池)で動作させる構成とした場合には、バッテリのSOCの低下が早く、データ記録装置を長期に稼働できないおそれがある。
【0007】
本発明は、このような課題に鑑み、省電力化が可能なデータ記録装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のデータ記録装置は、計測対象が所定量分だけ計測されるごとに出力されるパルスに応じてオンオフする発信部、および、発信部の信号を受信可能な受信部を含む絶縁部と、絶縁部の受信部に印加する電源電圧をオンオフする電源部と、絶縁部の受信部に接続され、パルスのパルス幅以下の周期で電源部に電源電圧のオンオフを繰り返させ、受信部を通じたパルスの検出に応じてパルスの積算値を導出する計測制御部と、を備える。
【0009】
また、計測制御部は、パルスを複数連続して検出した場合、連続して検出した複数のパルスのうち1のパルスのみを有効とし、他のパルスを無効として、パルスの積算値を導出するとしてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、省電力化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】データ記録システムの構成を示す概略図である。
図2】計測制御部および無線制御部の動作を説明する図である。
図3】パルスの検出例について説明する図である。
図4】パルスの他の検出例について説明する図である。
図5】データ記録システムの変形例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の実施形態の態様について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0013】
図1は、データ記録システム1の構成を示す概略図である。データ記録システム1は、例えば、工場などに適用される。データ記録システム1は、1または複数の計測器10(図1の例では、3個の計測器10a、10b、10cを例示している)およびデータ記録装置12を含む。なお、図1では、複数の計測器10を代表して計測器10aについて内部構造を示し(以後、「単に計測器10」とする)、計測器10aと実質的に内部構造が等しい計測器10b、10cの説明を省略している。また、計測器10の数は、少なくとも1個以上あればよく、2個でもよいし、4個以上あってもよい。
【0014】
計測器10は、例えば、ガスや水などの計測対象の流量を計測する流量計である。計測器10は、計量部20、出力部22および電源部24を含む。
【0015】
計量部20は、計測対象の流速を計測し、計測された流速と、計測対象が流通する配管内の断面積とから計測対象の流量を導出する。計量部20は、導出された流量が所定流量(例えば、1立方メートルなど)に達する度に、1パルスを出力部22に送信する。具体的には、計量部20は、所定流量に達していない間、出力電圧をLレベル(例えば、0V)としておき、所定流量に達したときに、出力電圧をHレベル(例えば、5V)としたパルスを送信する。
【0016】
出力部22は、トランジスタ30および抵抗器32を含む。トランジスタ30のベース30bは計量部20に接続され、エミッタ30eはグランドGN1に接続(接地)され、コレクタ30cは抵抗器32を通じて電源部24に接続される。電源部24は、トランジスタ30に印加する電源電圧Vcc1を発生する。コレクタ30cと抵抗器32との接続ノード34は、計測器10の出力端子36に接続される。
【0017】
つまり、出力部22は、エミッタ接地回路を構成している。このため、接続ノード34の電圧は、トランジスタ30のベース30bの入力電圧に対して反転する。したがって、出力部22は、計量部20からパルスを受信すると、電圧レベルが反転したパルスを出力する。具体的には、計測対象の流量が所定流量に達していない間、出力端子36の出力電圧がHレベルとなっており、計測対象の流量が所定流量に達したときに、計測器10は、出力電圧をLレベルとしたパルスを出力端子36から出力する。
【0018】
後述するが、計測器10の出力端子36は、データ記録装置12の発光ダイオード(発光部70)のアノードに接続され、発光ダイオードのカソードは接地される。このため、計測器10の出力端子36の出力電圧がHレベルの場合、発光ダイオードに電流を流すこととなり、発光ダイオードがオンする。また、計測器10の出力端子36の出力電圧がLレベルの場合、発光ダイオードに電流を流さないこととなり、発光ダイオードがオフする。
【0019】
なお、計測器10は、流量計に限らず、計測対象を所定量分だけ計測するごとにパルスを出力するものであればよい。
【0020】
データ記録装置12は、1または複数の子機40(図1の例では、3個の子機40a、40b、40cを例示している)と、親機42とを含む。子機40は、計測器10毎に設けられ、計測器10に接続される。図1では、3組の計測器10および子機40(計測器10aと子機40aとの組、計測器10bと子機40bとの組、および、計測器10cと子機40cとの組)が例示されている。なお、計測器10と子機40との組数は、3組に限らず、少なくとも1組以上あればよく、2組でもよいし、4組以上あってもよい。子機40は、親機42と無線通信することができる。
【0021】
子機40は、フォトカプラ50、抵抗器52、計測制御部54、電源部56、バッテリ58および無線制御部60を含む。フォトカプラ50は、発光部70および受光部72を含む。発光部70は、具体的には、発光ダイオードである。受光部72は、具体的には、フォトトランジスタである。フォトカプラ50は、例えば、発光部70および受光部72が共通のケースに収容され、外部からの光を遮断するようにパッケージ化されている。フォトカプラ50は、計測器10と計測制御部54との間を電気的に絶縁する。
【0022】
フォトカプラ50における発光部70のカソード70kは接地される。カソード70kの電位は、例えば、計測器10のグランドGN1の電位と等しくされる。発光部70のアノード70aは計測器10の出力端子36に接続される。発光部70は、計測器10の出力端子36の電圧がHレベルの場合に発光し、Lレベルの場合に消光する。
【0023】
上述のように、計測器10は、計測対象の流量が所定流量に達したときに、出力電圧をLレベルとしたパルスを出力端子36から出力する。このため、発光部70は、計測対象が所定量分だけ計測されるごとに出力されるパルスに応じてオフ(消光)することとなる。
【0024】
受光部72のコレクタ72cは、電源部56の出力端子56o(図1中、電源部56のOUT)に接続される。電源部56は、後述するが、受光部72に印加する電源電圧Vcc2を発生する。受光部72のエミッタ72eは、抵抗器52を通じてグランドGN2に接続(接地)される。グランドGN2は、計測器10のグランドGN1から絶縁されている。エミッタ72eと抵抗器52との接続ノード74は、計測制御部54の入力端子54iに接続される。つまり、受光部72および抵抗器52は、エミッタホロワ回路を構成している。
【0025】
受光部72は、電源電圧Vcc2が印加されている間、発光部70の光を受光可能となる。そして、受光部72は、電源電圧Vcc2が印加された状態で発光部70の光を受光するとオン状態となる。受光部72がオンすると、計測制御部54の入力端子54iにおける入力電圧Vpinは、Hレベル(例えば、5V)となる。
【0026】
また、受光部72は、電源電圧Vcc2が印加された状態で発光部70から光を受光しない場合、あるいは、電源電圧Vcc2が印加されていない場合には、オフ状態となる。受光部72がオフすると、計測制御部54の入力端子54iにおける入力電圧Vpinは、Lレベル(例えば、0V)となる。
【0027】
このように、フォトカプラ50は、計測器10、計測器10側の電源部24および計測器10側のグランドGN1と、計測制御部54、計測制御部54側の電源部56および計測制御部54側のグランドGN2との間を電気的に絶縁する絶縁部として機能する。発光部70は、計測器10のパルスに応じて信号をオンオフする発信部として機能する。受光部72は、発信部の信号を受信可能な受信部として機能する。
【0028】
計測制御部54は、例えば、マイコンであり、計測制御に用いられるCPU(中央処理装置)、プログラム等が格納されたROM、ワークエリアとしてのRAM等を含む半導体集積回路から構成される。
【0029】
計測制御部54は、計測器10から出力されるパルスを、フォトカプラ50の発光部70および受光部72を通じて検出する。つまり、計測制御部54は、入力電圧Vpinの電圧レベルによってパルスの受信を検出する。
【0030】
計測制御部54は、パルスの検出に応じてパルスの積算値を導出する。パルスの積算値は、計測器10による計測開始から現在までの計測データに相当する。例えば、計測制御部54は、パルスの積算値が格納されるメモリ領域を有している。計測制御部54は、パルスを検出すると、メモリ領域内の現在の積算値を読み出し、現在の積算値に1パルスを示す数値(すなわち、所定流量を示す数値)を加算(インクリメント)することで、新たなパルスの積算値を導出する。計測制御部54は、導出された新たなパルスの積算値を、更新後のパルスの積算値としてメモリ領域に格納する。なお、計測制御部54は、メモリ領域内のパルスの積算値を、例えば、EEPROMなどの不揮発性の記録媒体に所定のタイミングで複製しておいてもよい。
【0031】
また、計測制御部54は、自装置の内部にタイマなどの時間管理部を有している。計測制御部54は、後述するが、自装置の時間管理部によって所定周期で稼働およびスリープを繰り返す。計測制御部54は、稼働中、Hレベルのイネーブル信号を電源部56に送信する。イネーブル信号は、電源部56を有効化させるための信号である。
【0032】
電源部56の入力端子56i(図1中、電源部56のIN)は、バッテリ58に接続される。電源部56の出力端子56o(図1中、電源部56のOUT)は、受光部72のコレクタ72cに接続される。電源部56の接地端子56g(図1中、電源部56のGND)は、接地される。電源部56のイネーブル端子56e(図1中、電源部56のEN)は、計測制御部54に接続される。
【0033】
電源部56は、例えば、三端子レギュレータで構成される。電源部56は、計測制御部54からイネーブル端子56eにHレベルのイネーブル信号が入力されるとオン状態となり、バッテリ58の電圧に基づいて電源電圧Vcc2を出力端子56oに発生する。また、電源部56は、Hレベルのイネーブル信号が入力されていない状態(イネーブル端子56eの電圧がLレベルの状態)では、電源電圧Vcc2を発生しない。つまり、計測制御部54は、イネーブル信号によって電源部56における電源電圧Vcc2をオンオフさせる。
【0034】
また、電源部56の出力端子56oと接地端子56gとの間には、コンデンサ80が接続される。コンデンサ80は、出力端子56oの電源電圧Vcc2を安定化させるために設けられる。
【0035】
また、計測制御部54は、所定時間(例えば、30秒)ごとに、パルスの積算値(計測データ)が格納されたパケットを生成し、無線制御部60にパケットの送信指示を行う。
【0036】
無線制御部60は、無線制御に用いられるCPU(中央処理装置)、プログラム等が格納されたROM、ワークエリアとしてのRAM等を含む半導体集積回路から構成される。無線制御部60は、少なくとも親機42との間で無線通信を確立することができる。また、無線制御部60は、他の子機40の無線制御部60と無線通信を確立してもよい。
【0037】
例えば、無線制御部60は、少なくとも親機42を含むメッシュ型の無線ネットワークを構成し、その無線ネットワークのノードとして機能する。なお、ネットワークトポロジーは、メッシュ(Mesh)に限らず、ピアツーピア(P2P)、ツリー(Tree)、スター(Star)など任意の構成とすることができる。無線制御部60は、計測制御部54で生成されて送信指示がなされたパケットを親機42に送信する。なお、無線制御部60は、他の子機40を経由して親機42にパケットを送信してもよい。
【0038】
親機42は、子機40との間で無線通信を確立し、子機40から送信されるパケットを受信する。親機42は、受信したパケットに含まれるパルスの積算値(計測データ)を記録する。つまり、親機42は、1または複数の子機40の各々における計測データを収集する。なお、親機42は、記録しているパルスの積算値を、上位の管理サーバなどに送信してもよい。
【0039】
図2は、計測制御部54および無線制御部60の動作を説明する図である。以後、計測器10から出力されるパルスのパルス幅を、計測器パルス幅と呼ぶ場合がある。計測器パルス幅は、例えば、10msec(ミリ秒)であるとする。なお、計測器パルス幅の具体的な数値については、この例に限らず、計測対象の種類または計測器の設置場所などに合わせて適宜設定してもよい。
【0040】
計測制御部54は、計測制御部54内の時間管理部によって所定の周期で稼働およびスリープを繰り返す。以後、計測制御部54における稼働およびスリープの繰り返し周期を、計測周期C1と呼ぶ場合がある。計測周期C1における1周期(周期の開始タイミングから終了タイミングまで)は、計測器パルス幅以下の時間に設定される。計測周期C1における1周期は、計測器パルス幅が10msecであるとすると、10msec以下の、例えば、9msecに設定される。なお、計測周期C1の具体的な数値については、この例に限らず、計測器パルス幅以下であればよく、計測器パルス幅の具体的な数値を考慮して適宜設定してもよい。
【0041】
計測制御部54は、計測制御部54内の時間管理部のカウントに従って、計測周期C1の1周期の時間(例えば、9msec)が経過する度に起動する。図2では、計測制御部54が稼働している期間を、ハッチングされた四角で示している。また、図2では、計測制御部54がスリープしている期間を空白で示している。
【0042】
図2の四角A1で示すように、計測制御部54は、基本的には、計測周期C1の1周期(9msec)中、1周期より短い所定時間において、計測に関する制御を行う。以後、計測制御部54における計測に関する制御を行う時間を、計測制御時間D1と呼ぶ場合がある。
【0043】
計測制御時間D1は、例えば、約310μsec(マイクロ秒)とされる。具体的には、計測制御部54は、計測周期C1の1周期の開始タイミングに応じて起動(スリープから復帰)すると、Hレベルのイネーブル信号を電源部56に送信する。これにより、電源部56がオンされて、受光部72に電源電圧Vcc2が印加される。その後、計測制御部54は、起動から所定の待機時間、例えば、300μsecだけ待機する。
【0044】
なお、計測制御部54における待機時間は、300μsecに限らない。計測制御部54における待機時間は、受光部72に安定した電源電圧Vcc2が印加されるようになるまでの時間であればよく、適宜設定することができる。また、計測制御時間D1は、約310μsecに限らず、待機時間を考慮して適宜設定することができる。
【0045】
待機時間(300μsec)の経過後、計測制御部54は、入力端子54iの入力電圧Vpinを取得してパルスを受信したか否かを判断する。
【0046】
パルスを受信した場合、計測制御部54は、パルスの積算値をインクリメントして更新する。積算値の更新後、計測制御部54は、イネーブル信号をオフしてスリープに移行する。また、パルスを受信しなかった場合、計測制御部54は、積算値の更新を行うことなく、イネーブル信号をオフしてスリープに移行する。
【0047】
また、計測制御部54は、所定の周期で積算値の送信に関する制御を行う。以後、計測制御部54における積算値の送信に関する制御を行う周期を、送信周期C2と呼ぶ場合がある。送信周期C2における1周期は、計測周期C1における1周期よりも長く設定される。例えば、送信周期C2における1周期は、30sec(秒)に設定される。なお、送信周期C2の具体的な数値については、この例に限らず、積算値の更新頻度などを考慮して適宜設定してもよい。
【0048】
図2の四角A2で示すように、計測制御部54は、送信周期C2の1周期(30sec)中、最初の計測周期C1における計測制御時間D1に後続して、積算値の送信に関する制御を行う。
【0049】
具体的には、計測制御部54は、計測制御時間D1の後(パルスの受信確認、および、パルスを受信した場合には積算値のインクリメントの後)、現在の積算値を含むパケットを生成する。その後、計測制御部54は、生成したパケットを送信する旨の送信指示を無線制御部60に行う。
【0050】
以後、計測制御部54における積算値の送信に関する制御(パケットの生成および送信指示)を行う時間を、送信準備時間D2と呼ぶ場合がある。送信準備時間D2は、計測制御時間D1と送信準備時間D2とを合計した時間が、計測周期C1の1周期よりも短くなるように設定される。送信準備時間D2は、例えば、約2msec(ミリ秒)とされる。なお、送信準備時間D2は、約2msecに限らず、パケットの生成等にかかる時間を考慮して適宜設定することができる。
【0051】
また、送信周期C2の1周期中、2回目以降の計測周期C1では、パケットの生成および送信指示が行われない。つまり、送信周期C2の1周期に1回の割合で、積算値の送信指示が行われる。
【0052】
無線制御部60は、データ記録装置12の稼働中、常に、計測制御部54からの送信指示の受信が可能な待ち受け状態となっている。無線制御部60は、計測制御部54からの送信指示を受信すると、図2の四角A3で示すように、所定の送信時間D3内で送信に関する内部処理を行って親機42にパケット(すなわち、計測データを示す積算値)を送信する。例えば、無線制御部60は、送信指示の受信割込みが常に許可された状態において、送信指示の受信割込みの発生に応じてパケットの送信を行う。送信時間D3は、例えば、約3msecとされるが、この例に限らず、適宜設定される。
【0053】
なお、無線制御部60は、送信指示を常に受信可能な構成に限らず、計測制御部54の送信準備時間D2に大凡同期して所定時間だけ待ち受け状態となる構成としてもよい。
【0054】
図3は、パルスの検出例について説明する図である。図3では、パルスの検出タイミング(計測制御部54が入力電圧Vpinを取得するタイミング)を実線の矢印F1で示している。計量部20において流量が所定流量に達していない間、計量部20の出力電圧は、Lレベルとなっている。このとき、計測器10の出力電圧がエミッタ接地回路によってHレベルとなるため、フォトカプラ50の発光部70は、オン状態で発光する。
【0055】
計量部20は、流量が所定流量に達すると、計測器パルス幅に相当する時間(10msecの間)、出力電圧をHレベルとし、その後、出力電圧をLレベルとすることで、計測器パルス幅のパルスを送信する。計量部20の出力電圧がHレベルとなると、計測器10の出力電圧は、Lレベルとなり、フォトカプラ50の発光部70は、オフ状態となって消光する。また、計量部20の出力電圧がLレベルに戻ると、計測器10の出力電圧は、Hレベルに戻り、フォトカプラ50の発光部70は、オン状態に戻って発光する。つまり、発光部70は、計測器10からパルスが出力されていないときに発光している。
【0056】
このように、計測器10からパルスが出力されていないときに発光部70をオンさせているのは、計測器10とフォトカプラ50との間の断線を検出可能とし、パルスの伝送動作を正常に維持させるためである。
【0057】
しかし、計測器10からパルスが出力されていないときに発光部70をオンさせていると、受光部72が発光部70の光によってオンし続けてしまい、受光部72に接続される抵抗器52(すなわち、負荷)などによる消費電力量が多くなってしまう。このため、データ記録装置12では、以下のようにして、受光部72に印加される電源電圧Vcc2をオンオフさせる。
【0058】
具体的には、計測制御部54は、計測周期C1(例えば、9msec)の1周期中、計測制御時間D1(例えば、310μsec)だけHレベルのイネーブル信号を電源部56に送信する。
【0059】
電源部56は、イネーブル信号を受信していない場合(イネーブル信号がLレベルの場合)、電源電圧Vcc2を発生しないため、この場合、電源電圧Vcc2は、Lレベルとなる。また、電源部56は、イネーブル信号を受信した場合(イネーブル信号がHレベルの場合)、電源電圧Vcc2を発生するため、この場合、電源電圧Vcc2は、Hレベルとなる。つまり、電源電圧Vcc2は、イネーブル信号に従って、計測周期C1(例えば、9msec)の1周期中、計測制御時間D1(例えば、310μsec)だけHレベルとなる。
【0060】
計量部20において流量が所定流量に達していないときに発光部70が発光(オン)しているため、この場合に電源電圧Vcc2がHレベルとなると、受光部72がオンする。そうすると、計測制御部54の入力電圧Vpinは、受光部72のエミッタホロワ回路によってHレベルとなる。このことから、計測制御部54は、パルスの検出タイミングにおいて入力電圧VpinがHレベルの場合、破線の矢印G1で示すように、パルスをカウントしない(積算値をインクリメントしない)。
【0061】
また、計量部20において流量が所定流量に達して計測器10からパルスが出力されたとき、発光部70が消光(オフ)する。この状態で、電源電圧Vcc2がHレベルになると、受光部72は、電源電圧Vcc2が印加されるが、発光部70が消光しているため、オフとなる。そうすると、計測制御部54の入力電圧Vpinは、受光部72のエミッタホロワ回路によってLレベルとなる。このことから、計測制御部54は、パルスの検出タイミングにおいて入力電圧VpinがLレベルの場合、破線の矢印G2で示すように、パルスをカウントする(積算値をインクリメントする)。
【0062】
このように、計測制御部54は、計測周期C1の1周期(9msec)中、パルスの受信確認をするための計測制御時間D1(310μsec)だけ、電源電圧Vcc2を発生させ、残りの大部分の期間において、電源電圧Vcc2を発生させないようにしている。これにより、パルスの受信確認を行わない期間において、受光部72に電源電圧Vcc2が印加されず、受光部72に接続される抵抗器52(負荷)に無駄な電流を流さないようにすることができる。
【0063】
したがって、本実施形態のデータ記録装置12では、抵抗器52で電力が消費される時間を短くすることができ、消費電力量を抑制することが可能となる。
【0064】
その結果、本実施形態のデータ記録装置12では、フォトカプラ50に電源電圧Vcc2を常に印加する構成に比べ、少なくとも受光部72に接続される抵抗器52で消費される電力量を、「計測制御時間D1/計測周期C1」にすることができる。このため、本実施形態のデータ記録装置12では、バッテリ58のSOC(State Of Charge)の低下を遅らせることができ、長期に亘ってデータ記録装置12を機能させることが可能となる。
【0065】
また、本実施形態のデータ記録装置12では、計測器10から送信されるパルスのパルス幅以下の周期で、パルスの受信確認を行うため、不定のタイミングで出力されるパルスを確実に検出できる。
【0066】
なお、上記実施形態において、計測器10は、計測対象の流量が所定流量に達したときに、出力電圧をLレベルとしたパルスを出力していた。しかし、計測器10は、計測対象の流量が所定流量に達していない間、出力電圧をLレベルとし、計測対象の流量が所定流量に達したときに、出力電圧をHレベルとしたパルスを出力してもよい。この場合、発光部70は、計測対象が所定量分だけ計測されるごとに出力されるパルスに応じてオン(発光)するとしてもよい。つまり、発光部70は、計測対象が所定量分だけ計測されるごとに出力されるパルスに応じてオンオフ(発光または消光)するとしてもよい。
【0067】
図4は、パルスの他の検出例について説明する図である。ここで、計測周期C1(パルスの検出タイミングの周期)が計測器パルス幅よりも短いと、1のパルスを2重にカウントするおそれがある。特に、計測器パルス幅を基準とした計測周期C1の長さが短くなるに連れて、1のパルスを2重にカウントする可能性が高くなる。
【0068】
そこで、計測制御部54は、パルスを複数連続して検出した場合、連続して検出した複数のパルスのうち1のパルスのみを有効とし、他のパルスを無効として、パルスの積算値を導出する。
【0069】
具体的には、計測制御部54は、図4の破線の矢印G2で示すように、先に検出されたパルスについてパルスの積算値をインクリメントする。そして、計測制御部54は、図4の破線の矢印G3で示すように、後続の計測周期C1で再度パルスが検出された場合には、後続のパルスについては、パルスの積算値のインクリメントを行わない。
【0070】
これにより、本実施形態のデータ記録装置12では、1のパルスを2重にカウントすることを防止できる。
【0071】
また、データ記録システム1では、計測器10から計測制御部54に送信されるパルス同士の間隔(パルスの立下りから次のパルスの立ち上がりまでの時間)が、計測周期C1の1周期(例えば、9msec)より長くなるように設定されている。例えば、パルスの立下りから計測周期C1の1周期分の時間が経過する前に次のパルスが立ち上がった場合、計測器10は、立ち上がったパルスを一時的に保持し、保持したパルスを計測周期C1の1周期分の時間が経過してから送信する補正を行う。このため、後続のパルスについて積算値のインクリメントを行わないとしても、正規のパルスのカウント漏れを抑制できる。
【0072】
なお、計測制御部54は、先のパルスについて積算値のインクリメントを行わず、後続のパルスについて積算値のインクリメントを行ってもよい。例えば、計測制御部54は、パルスを検出すると、その旨を一旦バッファに保持しておく。そして、計測制御部54は、後続の計測周期C1において再度パルスを検出した場合、バッファに保持していた値を消去し、後続のパルスについて積算値をインクリメントする。また、計測制御部54は、後続の計測周期C1においてパルスを検出しなかった場合、バッファに保持していた値を積算値に加算する。この態様においても、1のパルスを2重にカウントすることを防止できる。
【0073】
また、計測制御部54は、パルスを2周期分だけ連続して計測した場合に限らず、3周期以上連続して計測した場合についても、1のパルスのカウントを有効とし、他のパルスのカウントを無効とする構成にしてもよい。
【0074】
また、上記実施形態では、計測器10と子機40とが1対1で対応付けられていた。しかし、図5で例示するように、1個の子機40に複数の計測器10が対応付けられてもよい。例えば、子機40には、計測器10にそれぞれ対応する複数のフォトカプラ50(図5の例では、計測器10aに接続されるフォトカプラ50a、および、計測器10bに接続されるフォトカプラ50b)が設けられる。計測制御部54は、フォトカプラ50aを通じて計測器10aのパルスを検出するとともに、フォトカプラ50bを通じて計測器10bのパルスを検出する。計測制御部54は、計測器10aのパルスのカウントを行うとともに、計測器10bのパルスのカウントを行う。また、計測制御部54は、フォトカプラ50a、50bに印加する電源電圧Vcc2を電源部56にオンオフさせる。なお、計測器10a側のグランドGN1と計測器10b側のグランドGN3は、異なっていてもよい。
【0075】
また、上記実施形態では、フォトカプラ50を絶縁部として機能させていた。しかし、絶縁部は、フォトカプラ50に限らず、計測器10と計測制御部54との間を電気的に絶縁しつつ、信号を伝達することができる任意の部材が適用されてもよい。例えば、アイソレータなどの絶縁素子を絶縁部に適用してもよい。この場合、アイソレータの発信部側(1次側)が計測器10に接続され、受信部側(2次側)が計測制御部54に接続される。そして、計測制御部54は、アイソレータの受信部側に印加する電源電圧Vcc2のオンオフを、計測器10のパルスのパルス幅以下の周期で電源部56に繰り返させる。この態様においても、子機40の消費電力量を抑制することができる。
【0076】
以上、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明は、計測器の計測データを記録するデータ記録装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0078】
12 データ記録装置
50 フォトカプラ
54 計測制御部
56 電源部
70 発光部
72 受光部
図1
図2
図3
図4
図5