(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-14
(45)【発行日】2023-07-25
(54)【発明の名称】安全アクチュエータを伴う圧縮空気釘打機
(51)【国際特許分類】
B25C 1/04 20060101AFI20230718BHJP
B25C 7/00 20060101ALI20230718BHJP
【FI】
B25C1/04
B25C7/00 A
(21)【出願番号】P 2020518756
(86)(22)【出願日】2018-09-27
(86)【国際出願番号】 EP2018076327
(87)【国際公開番号】W WO2019076605
(87)【国際公開日】2019-04-25
【審査請求日】2021-08-12
(32)【優先日】2017-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】523057242
【氏名又は名称】ベーエーアー ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100080182
【氏名又は名称】渡辺 三彦
(72)【発明者】
【氏名】バウアー ヨアヒム
【審査官】須中 栄治
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0231485(US,A1)
【文献】国際公開第2017/115593(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0022842(US,A1)
【文献】実開平03-029271(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25C1/00-13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
・締結手段を打ち込むための駆動タペット(50)に接続され、駆動プロセスがトリガーされるときに圧縮空気が印加される作動ピストン(52)と、
・駆動プロセスをトリガーするためのトリガー装置と、
・ロック位置と開位置との間で移動され得るとともに、前記ロック位置にあるときに、前記トリガー装置の正しい作動が駆動プロセスをトリガーしないようにトリガー及び駆動プロセスに干渉するように設計される安全アクチュエータ(34)と、
・スロットル(86)によって通気又は脱気される安全制御チャンバ(62)であって、前記安全制御チャンバ(62)内の圧力が前記安全アクチュエータ(34)に作動力を及ぼす、安全制御チャンバ(62)と、
・前記安全アクチュエータ(34)に作用するとともに前記作動力と反対の方向に向けられる反力を生成するための手段と、
を備える圧縮空気釘打機(10)において、
・
前記反力は、前記安全アクチュエータ(34)をそのロック位置に移動させようとするものであり、
・前記反力を生成するための手段は、前記反力のレベルが前記圧縮空気釘打機(10)の動作圧力に直線的に依存するように設計されることを特徴とする圧縮空気釘打機(10)。
【請求項2】
前記反力を生成するための手段は、前記動作圧力が前記安全制御チャンバ(62)内に広く行き渡るときに前記反力のレベルが前記作動力の10%~90%の範囲内にあるように設計されることを特徴とする請求項1に記載の圧縮空気釘打機(10)。
【請求項3】
前記反力を生成するための手段が制御空間(84)を有し、前記制御空間(84)内の圧力が前記安全アクチュエータ(34)に作用することを特徴とする請求項1又は2に記載の圧縮空気釘打機(10)。
【請求項4】
前記安全制御チャンバ(62)内の圧力が前記安全アクチュエータ(34)の第1の有効面に作用し、前記制御空間(84)内の圧力が前記安全アクチュエータ(34)の第2の有効面に作用し、前記第2の有効面が前記第1の有効面よりも小さいことを特徴とする
請求項3に記載の圧縮空気釘打機(10)。
【請求項5】
前記第2の有効面のサイズは、前記第1の有効面のサイズの10%~90%の範囲内であることを特徴とする請求項4に記載の圧縮空気釘打機(10)。
【請求項6】
前記圧縮空気釘打機(10)が圧縮空気供給源に接続されるときに前記動作圧力が常に前記制御空間(84)内に広く行き渡ることを特徴とする請求項3から5のいずれか一項に記載の圧縮空気釘打機(10)。
【請求項7】
前記安全アクチュエータ(34)に更なる力を及ぼすバネが存在することを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の圧縮空気釘打機(10)。
【請求項8】
前記トリガー装置がトリガー(14)と打ち込みセンサ(24)とを有し、これらは、一緒に作動されると、第1の制御弁(44)を制御するとともに、駆動プロセスをトリガーすることができ、前記安全アクチュエータ(34)は、前記ロック位置にあるときに、前記トリガー装置と前記第1の制御弁(44)との間の機械的係合を解放するように設計されることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の圧縮空気釘打機(10)。
【請求項9】
前記圧縮空気釘打機(10)が第1の制御ライン(82)を有し、その通気又は脱気が駆動プロセスをトリガーし、前記安全アクチュエータ(34)は、前記ロック位置にあるときに、前記第1の制御ライン(82)と前記トリガー装置との間の接続ラインを遮断するように設計されることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の圧縮空気釘打機(10)。
【請求項10】
前記トリガー装置がトリガー(14)と打ち込みセンサ(24)とを有し、これらは、一緒に作動されると、前記安全制御チャンバ(62)内の圧力が所定の圧力閾値を上回る場合に第1の制御弁(44)を制御して駆動プロセスをトリガーし、前記トリガー装置は、前記トリガー(14)が作動されるときに前記打ち込みセンサ(24)の作動とは無関係に制御される第2の制御弁(22)を有し、前記安全制御チャンバ(62)は、前記第2の制御弁(22)の位置とは無関係に前記スロットル(86)を介して連続的に脱気されるとともに、前記第2の制御弁(22)が制御されるときに圧力下にあるハウジング内部(64)から分離されることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の圧縮空気釘打機(10)。
【請求項11】
前記スロットル(86)の開口断面積は、前記第2の制御弁(22)が制御された後から1秒~10秒の範囲内の期間の終了後に前記作動力が前記反力を下回るように寸法付けられることを特徴とする請求項10に記載の圧縮空気釘打機(10)。
【請求項12】
前記駆動プロセスがトリガーされるときに前記安全制御チャンバ(62)を通気させる逆止弁を特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載の圧縮空気釘打機(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トリガー装置と、ロック位置と開位置との間で移動され得るとともにロック位置にあるときに駆動プロセスのトリガーを防止するように設計される安全アクチュエータと、スロットルにより通気又は脱気される安全制御チャンバであって、安全制御チャンバ内の圧力が安全アクチュエータに作動力を及ぼす、安全制御チャンバと、安全アクチュエータに作用して作動力とは反対方向に向けられる反力を生成するための手段とを伴う圧縮空気釘打機に関する。
【背景技術】
【0002】
このタイプの既知の圧縮空気釘打機は、2つの異なる動作モードで使用され得る。いわゆるシングルトリガーでは、最初に、圧縮空気釘打機が打ち込みセンサを作動させるワークピース上に配置される。その後、トリガーが手動で作動され、結果として、個々の駆動プロセスがトリガーされる。
【0003】
「タッチング」とも称される、いわゆる接触トリガーでは、圧縮空気釘打機がワークピースと接触している間にユーザが既にトリガーを押し下げた状態に保持する。ワークピースが接触されると、打ち込みセンサが作動され、結果として、駆動プロセスがトリガーされる。圧縮空気釘打機は、特に複数の締結手段が十分な締め付けのために打ち込まれなければならないときに急速連続状態で繰り返し配置されて非常に迅速な動作を可能にする場合があるが、その位置精度のための設定要件は最小限にすぎない。
【0004】
しかしながら、特定の状況では、接触トリガー方法により負傷のリスクが高まる。例えば、ユーザが既に打ち込まれた締結手段から数センチメートルの間隔を隔てて圧縮空気釘打機を1つの同じワークピース上に位置させたいときだけでなく、ユーザがそこから距離を隔てて配置される異なるワークピースに変えるときにも、ユーザが作動トリガーを押し下げた状態に保持すると、打ち込みセンサが意図せずに物体又は身体部分に触れることによって駆動プロセスがトリガーされる場合がある。例えば、ユーザが(重要な安全規則を無視することにより)圧縮空気釘打機を伴ってはしごに登ってトリガーを押し下げた状態で保持するとともに意図せずに打ち込みセンサを自分の足と接触させると、事故につながる場合がある。
【0005】
自動動作のための制御弁装置及び圧力制御された制御弁を伴う圧縮空気釘打機が特許文献1から知られている。圧力制御された制御弁は、トリガーが連続的に作動される際に前後に揺動して締結手段の継続的な駆動を引き起こす振動ピストンを有する。このプロセスに干渉する安全機構はなく、そのため、トリガーを正しく作動させているにもかかわらず駆動プロセスがトリガーされない。
【0006】
前述のタイプの圧縮空気釘打機は、特許文献2の刊行物に開示された。既知のユニットにおいて、安全アクチュエータは、ロック位置にあるときに、駆動プロセスのトリガーを妨げる、特にパイロット弁ピストンのストロークを妨害することによってトリガーを妨げるロックピストンである。反力を生成するための手段は、ロックピストンを開位置へと押圧するバネから成る。安全制御チャンバは、トリガーに結合される制御弁の作動時にスロットルによりゆっくりと通気される。安全制御チャンバ内の圧力が所定の圧力閾値を超えると、ロックピストンは、(更なる)トリガーが不可能になるようにバネの力に抗してロック位置へと移動される。既知のユニットにおいて、この時間制御は、前回のトリガー後に接触トリガーが起こり得る期間を制限する役目を果たす。期間の終了後、トリガーが解放されるまで圧縮空気釘打機がロックされ、安全制御チャンバ内の圧力が再び初期状態に達し、ロックピストンが開位置に戻る。
【0007】
特許文献3の文書も前述のタイプの圧縮空気釘打機を開示する。典型的な実施形態において、安全アクチュエータは、トリガー装置に組み込まれるロッカーの位置を変える小さいピストンである。他の典型的な実施形態において、安全アクチュエータは、弁ピンの周囲に配置されるスリーブである。いずれの場合にも、安全アクチュエータは、バネの力に抗して安全制御チャンバ内の圧力によって移動される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】独国特許出願公開第1603979号明細書
【文献】欧州特許出願公開第2767365号明細書
【文献】独国特許発明第102013106657号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
この背景に対して、本発明の目的は、改善された安全機構を伴う圧縮空気釘打機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的は、請求項1の特徴を有する圧縮空気釘打機によって達成される。有利な実施形態は、添付の従属請求項に開示される。
【0011】
・締結手段を打ち込むための駆動タペットに接続され、駆動プロセスがトリガーされるときに圧縮空気が印加される作動ピストンと、
・駆動プロセスをトリガーするためのトリガー装置と、
・ロック位置と開位置との間で移動され得るとともに、ロック位置にあるときに、駆動プロセスをトリガーしないように設計される安全アクチュエータと、
・スロットルによって通気又は脱気される安全制御チャンバであって、安全制御チャンバ内の圧力が安全アクチュエータに作動力を及ぼす、安全制御チャンバと、
・安全アクチュエータに作用するとともに作動力と反対の方向に向けられる反力を生成するための手段と、を備える圧縮空気釘打機において、
・反力を生成するための手段は、反力のレベルが圧縮空気釘打機の動作圧力に直線的に依存するように設計されることを備える圧縮空気釘打機。
【0012】
圧縮空気釘打機は、釘、鋲、ステープルなどの締結手段を打ち込むために使用される。この目的のため、圧縮空気釘打機が締結手段のためのマガジンを有してもよく、いずれの場合にも、締結手段は、マガジンから圧縮空気釘打機の出口ツールのシートに供給される。
【0013】
圧縮空気釘打機の駆動及び制御の両方を完全に空気圧式にすることができ、したがって、電気エネルギーの供給は不要である。「脱気」とは、常に、減圧空間に対する、特に外気に対する接続が確立されることを意味する。「通気」とは、常に、圧縮空気を伝える空間に対する接続が確立されることを意味する。
【0014】
駆動プロセスをトリガーすると、圧縮空気釘打機の作動ピストンが圧縮空気に晒される。この場合、作動ピストンは、作動ピストンに接続される駆動タペットを駆動する。駆動タペットは、出口ツールのシート内の締結手段の後端を打撃し、締結手段をワークピースに打ち込む。
【0015】
トリガー装置は、例えばトグルスイッチ又はスライドスイッチの形態を成す手動で作動できるトリガーを有する。トリガー装置は打ち込みセンサを更に有することができる。打ち込みセンサは、特に、出口ツールの前端部を越えて突出するとともに圧縮空気釘打機がワークピース上に配置されるまでバネによってこの位置に保持される機械的な構成要素である。このとき、打ち込みセンサは、バネ力の方向及び駆動方向とは反対の方向に移動される。駆動プロセスをトリガーするために、少なくとも1つの制御弁がトリガー装置で作動される。実施形態に応じて、トリガー及び打ち込みセンサの共通の作動が、場合によっては特定の順序で必要となる場合がある。
【0016】
安全アクチュエータは、開位置と閉位置との間で移動され得る。開位置では、トリガー装置を正しく作動させることにより、駆動プロセスのトリガーが可能である。例えば、トリガー装置が手動で作動されるトリガーと打ち込みセンサとを備え、これらが一緒に作動することにより、場合により他の弁を含めて、作動ピストンに圧力を印加する制御弁の作動がもたらされる場合、このプロセスは、トリガー装置が正しく作動されるときに起こる。この場合、安全アクチュエータは常にその開位置に位置され得る。この点で、安全アクチュエータは、トリガー及び駆動プロセスに積極的に関与しない。
【0017】
安全アクチュエータが対照的にそのロック位置に位置されると、安全アクチュエータは駆動プロセスのトリガーを妨げる。この目的のため、安全アクチュエータはトリガー及び駆動プロセスに干渉し、それにより、トリガー装置の正しい作動が駆動プロセスをトリガーしない。これを様々な方法で行うことができる。例えば、安全アクチュエータは、例えば打ち込みセンサと制御弁に作用する作動要素との間の機械的係合が解放されるという点においてトリガー装置と該トリガー装置により制御される制御弁との間の作用の機械的連鎖を遮断できる。
【0018】
或いは、安全アクチュエータが弁機能を発揮することができる。この目的のため、安全アクチュエータは、例えば、ロック位置にあるとき、駆動プロセスをトリガーするべく通気又は脱気されなければならないラインをブロックできる。安全アクチュエータの開位置において、このラインは、開くことができ又は安全弁装置に接続され得る。
【0019】
別の代替例において、安全アクチュエータは、例えば圧力作動弁アクチュエータを遮断することによって又はその調整経路を制限することによって、ロック機能を発揮することができる。
【0020】
安全アクチュエータが配置される位置は、反力に対する作動力の比率に大きく依存し、作動力のレベルは、安全制御チャンバ内の圧力に依存する。この圧力は、スロットルを通じて安全制御チャンバに流入する又は安全制御チャンバから逃げる空気によって経時的に変化する。本発明者らは、安全制御チャンバ内のこの圧力変化の時間特性が、現在の動作圧力に依存するとともに、動作圧力に依存しないバネによって及ぼされる反力と関連して、安全アクチュエータがロック位置に移動されるまで経過する持続時間の変動を引き起こすことを認識した。その結果、これにより、例えば、比較的低い動作圧力において5秒間隔で連続した接触トリガーが可能となる。これは、安全アクチュエータが5.1秒後にのみロック位置に入るからである。特定の状況では、これが安全上のリスクを成す。しかしながら、比較的高い動作圧力では、安全アクチュエータが1.4秒後に既にそのロック位置に入るため、1.5秒間隔で連続した接触トリガーが不可能になる場合がある。この場合、特定の状況では、接触トリガーモードで効率的に作業することができない場合がある。
【0021】
この場合、本発明は、反力のレベルが圧縮空気釘打機の動作圧力に直線的に依存するように反力を生成する手段が設計されるという点で支援を提供する。それにより、作動力及び反力は、動作圧力の変動によって等しく影響を受ける。反力に打ち勝つために超えなければならない安全制御チャンバ内の圧力の閾値も動作圧力に依存する。その結果、圧力閾値を超えるまでの持続時間は、依然として動作圧力とは殆ど無関係である。これにより、圧縮空気釘打機は、所定の動作圧力に大きな変動があっても、常に通常の方法で反応する。特に、トリガー後に更なるトリガーが可能な期間は殆ど一定のままである。
【0022】
一実施形態では、反力を生成するための手段は、動作圧力が安全制御チャンバ内に広く行き渡るときに反力のレベルが作動力の10%~90%の範囲内にあるように設計されている。好ましくは、動作圧力が安全制御チャンバ内に広く行き渡るときに反力のレベルが作動力の30%~70%の範囲内にある。したがって、動作圧力に直線的に依存する反力は、安全制御チャンバ内に平均圧力が与えられると作動力に対応するレベルを達成する。したがって、安全アクチュエータに作用し、動作圧力に直線的に依存しない更なる力は、動作中および安全アクチュエータの移動までの持続時間の間安全アクチュエータの位置に顕著に影響を及ぼさない。
【0023】
一実施形態では、反力を生成するための手段が制御空間を有し、制御空間内の圧力が安全アクチュエータに作用する。特に、どんなに制御空間内の圧力が生成されても無関係に、そのレベルは、動作圧力と共に変動する。したがって、動作圧力に直接的に依存する反力を生成するための解決策は、特に簡単である。
【0024】
一実施形態では、安全制御チャンバ内の圧力が安全アクチュエータの第1の有効面に作用し、制御空間内の圧力が安全アクチュエータの第2の有効面に作用し、第2の有効面が第1の有効面よりも小さい。この設計方法により、作動力および反力が適切な比率であることが保証される。
【0025】
一実施形態では、 第2の有効面のサイズは、第1の有効面のサイズの10%~90%の範囲内である。特に、第2の有効面のサイズは、第1の有効面のサイズの30%~90%の範囲内であることが可能である。その結果、動作圧力に依存しない更なる力が、安全アクチュエータに作用するときでさえ、安全アクチュエータの位置は、主として安全制御チャンバ内および制御空間内の圧力によって決定される。
【0026】
一実施形態では、圧縮空気釘打機が圧縮空気供給源に接続されるときに動作圧力が常に制御空間内に広く行き渡る。原則として、圧縮空気釘打機は、ある一定の動作圧力に供給される圧縮空気接続を有することが可能である。連続的な接続が、圧縮空気接続および制御空間との間で存在する場合、動作圧力は常に制御空間内に広く行き渡る。その時、反力は、動作圧力にのみ依存し、圧縮空気釘打機の作動状態には依存しない。
【0027】
一実施形態では、安全アクチュエータに更なる力を及ぼすバネが存在する。更なる力は、作動力の方向または反力の方向に作用することが可能である。バネが力を及ぼすため、動作圧力は無関係である。したがって、好ましくは比較的小さくなるように、例えば、動作圧力が安全制御チャンバ内に広く行き渡るとき、安全制御チャンバ内の圧力が力を及ぼす作動力の10%より小さくなるように選択することができる。バネの有利な点は、安全アクチュエータが、圧縮空気釘打機が圧縮空気供給源に接続されないとき、好ましい位置に移動されることである。これにより、圧縮空気釘打機を起動するとき、特定の初期状態が保証される。好ましい位置がロック位置である場合、安全アクチュエータは、圧縮空気釘打機のそれぞれの使用につき少なくとも1回移動され、安全要素のつまりを軽減する。
【0028】
一実施形態では、トリガー装置がトリガーと打ち込みセンサとを有し、これらは、一緒に作動されると、第1の制御弁を制御するとともに、駆動プロセスをトリガーすることができ、安全アクチュエータは、ロック位置にあるときに、トリガー装置と制御弁との間の機械的係合を解放するように設計されている。特に、ロック位置にあるときに、ロッカーおよび安全アクチュエータのような機械的作動要素によって係合されるトリガーおよび打ち込みセンサは、打ち込みセンサと機械的作動要素との間の係合を開放することができ、開位置において係合を確立/許可することができる。
【0029】
一実施形態では、圧縮空気釘打機が第1の制御ラインを有し、その通気又は脱気が駆動プロセスをトリガーし、安全アクチュエータは、ロック位置にあるときに、第1の制御ラインとトリガー装置との間の接続ラインを遮断するように設計されている。開位置において、接続ラインは、開けることができる。したがって、この場合、安全アクチュエータは、弁機能を発揮する。
【0030】
一実施形態では、トリガー装置がトリガーと打ち込みセンサとを有し、これらは、一緒に作動されると、安全制御チャンバ内の圧力が圧力閾値を上回る場合に第1の制御弁を制御して駆動プロセスをトリガーし、トリガー装置は、トリガーが作動されるときに打ち込みセンサの作動とは無関係に制御される第2の制御弁を有し、安全制御チャンバは、第2の制御弁の位置とは無関係にスロットルを介して連続的に通気されるとともに、第2の制御弁が制御されるときに圧力下にあるハウジング内部から分離される。トリガーが作動されると、第2の制御弁は、打ち込みセンサの作動、すなわちトリガーのそれぞれの作動とは無関係に制御される。この目的のために、例えば、第2の制御弁の制御ピンは、トリガーのそれぞれの作動上にそのホーム位置から移動されるように配置され得る。この実施形態の有利な点は、圧縮空気釘打機が基本状態にあると、トリガーが作動されないとき、僅かな気流がスロットルを介して漏れ出ることである。これは、聴覚上知覚可能であり、圧縮空気釘打機が作動可能状態であり、必要に応じてトリガー接触が起こり得ることを使用者に示している。トリガーが作動されると、安全制御チャンバは、もはや通気せず、作動音は、それが停止するまですばやく穏やかになる。これは、トリガーが更なるトリガーのために初めに開放されなければならないことを使用者に示している。
【0031】
一実施形態では、スロットルの開口断面積は、第2の制御弁が制御された後から1秒~10秒の範囲内の期間の終了後に作動力が反力を下回るように寸法付けられている。このとき、安全アクチュエータは、ロック位置に移動される。特に、前記期間は、2秒~6秒の範囲内、好ましくは約4秒であり得る。
【0032】
一実施形態では、駆動プロセスがトリガーされるときに安全制御チャンバを通気させる逆止弁がある。トリガー装置の作動とは無関係に、この方法により、安全制御チャンバ内の圧力がリセットされる。更なるトリガーが可能である期間が、再度導入され始める。
【0033】
本発明は、例示的な実施形態に関して、図面に示され下記でより詳細に説明されている。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】本発明による、圧縮空気釘打機を部分的な断面図で示す
【
図2】主弁およびパイロット弁を備える
図1の断面の拡大図を示す
【
図3】異なる作動状態においてトリガー装置を備える
図1に覆われている断面を示す。
【
図4】異なる作動状態においてトリガー装置を備える
図1に覆われている断面を示す。
【
図5】異なる作動状態においてトリガー装置を備える
図1に覆われている断面を示す。
【
図6】異なる作動状態においてトリガー装置を備える
図1に覆われている断面を示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
最初に、
図1を参照して、圧縮空気釘打機10の幾つかの重要な要素について一部要約して説明する。圧縮空気釘打機10は、ハウジングキャップ142によって上端が閉じられる下側ハウジング部分140に取り付けられるハンドル12を有する。
【0036】
圧縮空気釘打機10は、出口ツール28の口部26を数ミリメートル越えて下方に突出する打ち込みセンサ24を有する。圧縮空気釘打機10がワークピース上に配置されると、打ち込みセンサ24は、それが口部26に面一に当接する又は口部26の僅か真上に突出するまでバネ(図示せず)の力に抗して上方に移動される。打ち込みセンサ24は、打ち込みセンサ24が移動する際に同様に上方に移動する力伝達要素30に機械的に結合される。
【0037】
出口ツール28は受け部46を有し、いずれの場合にも、受け部にはマガジン48から締結手段が供給される。受け部46の内側のこの位置から、締結手段-例えば、釘、鋲、又は、ステープル-が圧縮空気釘打機10の作動ピストン52に接続される駆動タペット50によって打ち込まれる。この目的のために、作動ピストン52は作動シリンダ54内で案内される。作動シリンダ54の上方にはこの作動シリンダを密閉するように主弁56が配置され、その右側には、主弁56を制御するパイロット弁58がある。これらの要素の詳細及びデバイスの関連する機能について
図2の断面の拡大を参照して説明する。
【0038】
図2ではパイロット弁58が最も良く認識できる。パイロット弁は、ガイドスリーブ96内で案内される制御ピストン94を有する。制御ピストン94の下端は、下側Oリング100によってガイドスリーブ96に対してシールされる。圧縮空気釘打機10の初期状態では、パイロット弁58の作動容積に接続される第1の制御ライン82が脱気され、また、制御ピストン94は図示の下側位置に位置される。制御ピストンは、バネ102の力によってこの位置に保持される。
【0039】
制御ピストン94は、下側Oリング100に加えて、中央Oリング104及び上側Oリング106を有する。制御ピストン94の図示の下側位置において、上側Oリング106は、制御ピストン94をガイドスリーブ96に対してシールして、外気に接続される脱気開口(図示せず)への接続を閉じる。中央Oリング104はシールされず、それにより、主制御ライン110が、ガイドスリーブ96内の径方向孔112と、制御ピストン94とガイドスリーブ96との間で中央Oリング104を越えて延びる環状隙間70とを介して、ハウジング内部64に接続される。主制御ライン110は、図示の断面では見えない接続部を介して、径方向孔112で終端する空間72に接続される。圧縮空気釘打機10の初期状態におけるハウジング内部64は、通気される、すなわち、図示しない圧縮空気接続部に動作圧力で接続される。
【0040】
主制御ライン110は、主弁56の主弁作動部材116の上方の空間114に接続され、それにより、主弁作動部材116は、Oリング118により作動シリンダ54の上縁部をハウジング内部64に対してシールする下向きの力に晒される。加えて、主弁作動部材116は、図示の位置の方向の力でバネ120により作用され、それにより、作動シリンダ54を閉じる。
【0041】
中央Oリング104がシールを形成するとともに上側Oリング106がシールを解放するように制御ピストン94が上方に移動されるという点で、第1の制御ライン82を通気することによって駆動プロセスがトリガーされる。これは、ハウジング内部64に対する主制御ライン110の接続を遮断し、また、主制御ライン110と脱気開口(図示せず)との間の接続が確立される。主弁作動部材116の上方の空間114は脱気開口を介して脱気され、また、主弁作動部材116は、その下側の外側環状表面122に存在してハウジング内部64に広く行き渡る圧力によってバネ120の力に抗して上方に移動される。結果として、圧縮空気が、ハウジング内部64から作動ピストン52の上方の作動シリンダ54内に流れ込み、作動ピストン52を下方に駆動する。この下方への動きにより、作動ピストン52に接続される駆動タペット50が締結手段を打ち込む。
【0042】
パイロット弁58の下には、
図1で破線により取り囲まれる表面によって覆われるトリガー装置がある。
図3~
図6を参照して、トリガー装置の詳細について更に詳しく説明する。
【0043】
これらの図では、トリガー14が握り易い位置で枢軸16を中心に回転可能に圧縮空気釘打機10のハウジングに装着されるのが分かる。トリガー14の上側の後端部は、トリガー14の作動時に第2の制御弁22の切り換えピン20を上方に移動させる切り換え面18を有する。第2の制御弁22のこの制御は、打ち込みセンサ24の位置とは無関係にトリガー14の各作動時に行われる。
【0044】
打ち込みセンサ24の力伝達要素30は、圧縮空気釘打機10のハウジング上で移動可能に案内され、ガイドピン98が挿通案内されるスロット32を有する。打ち込みセンサ24の作動時、力伝達要素30は、
図3に描かれる開始位置から上方に移動され、その際、ロッカー36の自由端を上方に移動させ、ロッカーの固定端は、トリガーの自由端に近いトリガー14の内部の枢軸38の周りで回動可能に関節結合される。その後、ロッカー36は、トリガー14の長手方向に略平行に配置され、その上側が切り換え面40として機能し、該切り換え面40は、打ち込みセンサ24とトリガー14との連動が成されると、第1の制御弁44の切り換えピン42を上方に移動させ、それにより、第1制御弁44を制御する。
【0045】
図3の左上では、パイロット弁58まで延びる第1の制御ライン82が認識できる。弁機能を果たす安全アクチュエータ34が第1の制御ライン82の下方に示される。安全アクチュエータ34は開位置と閉位置との間で移動され得る。
図3では、安全アクチュエータがその開位置で描かれる。
【0046】
安全アクチュエータ34は、スリーブ66内で案内され、中間部分68を有する。中間部分68の領域では、スリーブ66が径方向孔60を有する。中間部分68の下端で、安全アクチュエータ34は、Oリング76によって円筒空間に対してシールされる下側ピストン部分74を有する。ピストン部分74の下方に配置されるこの円筒空間の一部は、安全制御チャンバ62を形成する。安全制御チャンバ62内に広く行き渡る圧力は、下側ピストン部分74に、したがって安全アクチュエータ34に作動力を及ぼし、安全アクチュエータをその開位置へと移動させようとする又は安全アクチュエータを開位置に保持しようとする。安全制御チャンバ62は、スロットル86を介して外気に接続される。
【0047】
中間部分68の上端部において、安全アクチュエータ34は、同様に円筒チャンバ内で案内されてOリング80によって円筒空間に対してシールされる上側ピストン部分78を有する。上側ピストン部分78は、別個の部分として形成されて、下側ピストン部分74に隣接する。上側ピストン部分78の上方に配置される円筒空間の一部は、ハウジング内部64に連続的に接続される制御空間84を形成する。圧縮空気釘打機10が圧縮空気供給源に接続された時点で、ハウジング内部64が通気される。これにより、制御空間84内に広く行き渡る動作圧力は、上側ピストン部分78に対して、したがって安全アクチュエータ34に対して反力を及ぼす。この反力は、作動力とは反対の方向に向けられ、安全アクチュエータ34をそのロック位置へと移動させようとする。
【0048】
トリガー14が
図3に示される非作動状態にあるとき、第2の制御弁22は作動されない。第2の制御弁22の2つのOリング90、92は、第1の制御弁44まで延びるライン124が第2の制御弁22を介してハウジング内部64に接続されるようにシールをもたらさない。第1の制御弁44の位置とは無関係に、空気は、ライン124から、第2の制御弁44のスリーブ88を取り囲む環状隙間126と孔128とを通じて、安全制御チャンバ62へと流れ込む。スロットル86を通じて同時に逃げる空気の量がこの流入と比較して無視できるため、実質的に、動作圧力は、初期状態で安全制御チャンバ62内に常に広く行き渡る。
【0049】
この場合、安全制御チャンバ62内の圧力によって安全アクチュエータ34に及ぼされる作動力は、制御空間84内の動作圧力によって及ぼされる反力よりも大きい。したがって、安全アクチュエータ34はその開放位置のままである。この開位置において、第1の制御ライン82は、安全アクチュエータ34の中間部分68の径方向孔132及び環状隙間130、並びに、スリーブ66の径方向孔68を介して、第1の制御弁44まで延びるライン134に接続される。第1の制御弁44が非作動位置にあるときに第1の制御弁44のOリング136はシールをもたらさないため、ライン134は第1の制御弁44を介して外気に接続される。同時に、第1の制御弁44のOリング138は、シールをもたらすとともに、ライン134をハウジング内部64から分離する。
【0050】
図4では、トリガー14が作動されてしまっており、それに伴って第2の制御弁22が作動されてしまっている。第2の制御弁22の制御ピン20が上方に移動されてしまっているのが分かる。ここで、Oリング90は、シールをもたらして、ハウジング内部64をライン124から分離する。これにより、安全制御チャンバ62への空気供給が終了し、それにより、スロットル86を通じて逃げる空気によって安全制御チャンバ62内の圧力がゆっくりと減少する。Oリング92もシールをもたらす。Oリング92は、Oリング90が漏れているときにライン124への漏れ流を防ぐ。代わりに、そのような漏れ流は、弁ピン20の2つのOリング90、92間に位置される交差孔146を介して外側に排出される。第2の制御弁22の他のOリング158が依然としてシールをもたらし、それにより、第2の制御弁22が作動されるときにライン124が外気から分離される。
【0051】
図4の状況から始めて、打ち込みセンサ24が短い時間範囲内で作動されると、力伝達要素30は、
図5に示される位置をとってロッカー36を上向きに押し込み、それにより、第1の制御弁44の切り換えピン42が上方に移動され、第1の制御弁44が作動される。このとき、Oリング136がシールへと移行するが、Oリング138はシールを解放する。したがって、ハウジング内部64が径方向孔144を介してライン134に接続され、それにより、第1の制御ライン82の通気、したがって駆動プロセスのトリガーが達成される。
【0052】
ライン134を通気することの他の効果は、環状隙間130、径方向孔132、及び、長さの大部分にわたって安全アクチュエータ34を通じて中央で延びる軸方向孔148を介して、並びに、安全アクチュエータ34の他の径方向孔150、及び逆止弁として作用するOリング152を通じて、安全制御チャンバ62が通気されることである。安全制御チャンバ62内の圧力も、更なる接触トリガーが可能である期間が、再び始まるようにリフレッシュされる。
【0053】
この期間内に打ち込みセンサ24の作動がない場合、安全制御チャンバ62内の圧力は、最終的に、反力が作動力に打ち勝つのに十分なほど減少し、安全アクチュエータ34がそのロック位置をとる。これが
図6に示される。その後、打ち込みセンサ24及びそれと共に第1の制御弁44が再作動されると、ライン134が再び通気される。しかしながら、安全アクチュエータ34の中間部分68にシールをもたらす2つのOリング154,156に起因して、これは依然としてうまくいかないままである。ロック位置において、安全アクチュエータ34は、第1の制御ライン82及び安全制御チャンバ62の両方からライン134を遮断する。したがって、安全アクチュエータがその開位置へと移動されるようにトリガー14が解放されて安全制御チャンバ62内の圧力が第2の制御弁22によって回復されるときにのみ他の駆動プロセスを再びトリガーできる。
【符号の説明】
【0054】
10 圧縮空気釘打機
12 ハンドル
14 トリガー
16 枢軸
18 切り換え面
20 切り換えピン
22 第2の制御弁
24 打ち込みセンサ
26 口部
28 出口ツール
30 力伝達要素
32 スロット
34 安全アクチュエータ
36 ロッカー
38 枢軸
40 切り換え面
42 切り換えピン
44 第1の制御弁
46 受け部
48 マガジン
50 駆動タペット
52 作動ピストン
54 作動シリンダ
56 主弁
58 パイロット弁
60 径方向孔
62 安全制御チャンバ
64 ハウジング内部
66 スリーブ
68 中間部分
70 環状隙間
72 空間
74 下側ピストン部分
76 Oリング
78 上側ピストン部分
80 Oリング
82 第1の制御ライン
84 制御空間
86 スロットル
88 スリーブ
90 Oリング
92 Oリング
94 制御ピストン
96 ガイドスリーブ
98 ガイドピン
100 下側Oリング
102 バネ
104 中央Oリング
106 上側Oリング
110 主制御ライン
112 径方向孔
114 空間
116 主弁作動部材
118 Oリング
120 バネ
122 環状表面
124 ライン
126 環状隙間
128 孔
130 環状隙間
132 径方向孔
134 ライン
136 Oリング
138 Oリング
140 Oリング
142 ハウジングキャップ
144 径方向孔
146 交差孔
148 軸方向孔
150 径方向孔
152 Oリング
154 Oリング
156 Oリング
158 Oリング