(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-14
(45)【発行日】2023-07-25
(54)【発明の名称】膨張可能ポート送達システムのための流体交換装置及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
A61F 9/007 20060101AFI20230718BHJP
A61M 37/00 20060101ALI20230718BHJP
【FI】
A61F9/007 170
A61M37/00 560
(21)【出願番号】P 2020545240
(86)(22)【出願日】2018-11-15
(86)【国際出願番号】 US2018061262
(87)【国際公開番号】W WO2019103906
(87)【国際公開日】2019-05-31
【審査請求日】2021-11-05
(32)【優先日】2017-11-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520175042
【氏名又は名称】フォーサイト・ビジョン4・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】ForSight Vision4, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100131808
【氏名又は名称】柳橋 泰雄
(72)【発明者】
【氏名】ケビン・ダブリュー・サッカーマン
(72)【発明者】
【氏名】ランドルフ・イー・キャンベル
(72)【発明者】
【氏名】ダレン・ダウド
(72)【発明者】
【氏名】キャスリーン・コーガン・ファリナス
【審査官】小林 睦
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0165860(US,A1)
【文献】特表2013-532576(JP,A)
【文献】特開2016-135270(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 9/007
A61M 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
目の埋め込み物に治療薬を注入する装置であって、
前記埋め込み物は、目に少なくとも一部が埋め込み可能であり、
前記埋め込み物は、
前記埋め込み物から目に入る前記治療薬の
流れに少なくとも第1の抵抗を提供し、
前記埋め込み物に治療薬を注入するための経路を提供するように構成された注入内腔と、
前記埋め込み物の既存の流体が
前記埋め込み物から出る経路を提供するように構成された排出内腔と、
前記排出内腔に流体連結された収集室であって、前記排出内腔を通って
前記埋め込み物から出る既存の流体を受け入れるように構成された収集室と、を備え、
前記収集室は、第1の流体流出抵抗と第2の流体流出抵抗を提供し、
前記第1の流体流出抵抗は、
前記第1の抵抗より低く、
前記第2の流体流出抵抗は、
目の眼球内の圧力によって
前記埋め込み物に与えられる力よりも大きく、
前記注入内腔を通る
前記埋め込み物への治療薬の注入により、既存の流体は、
前記埋め込み物から出て、前記排出内腔を通って
前記収集室に入り、第2の既存の流体は
前記収集室から置換させられる、装置。
【請求項2】
請求項1の装置と、
目に少なくとも部分的に埋め込み可能である
前記埋め込み物であって、前記埋め込み物は、
前記埋め込み物から目に入る前記治療薬の
流れに少なくとも第1の抵抗を提供する、目の埋め込み物と、を備える器具。
【請求項3】
前記埋め込み物は、第1のつぶれた形態のから第2の広がった形態へ、目に埋め込まれるとすぐに膨張できる、請求項2に記載の器具。
【請求項4】
前記収集室に動作可能に連結された第1の多孔質構造は、前記第1の流体流出抵抗と前記第2の流体流出抵抗を提供する、請求項1に記載の装置または請求項2または3に記載の器具。
【請求項5】
前記収集室に動作可能に連結された前記第1の多孔質構造は、気体の流出に第1の流体流出抵抗を有し、液体の流出に第2の流体流出抵抗を有する、請求項4に記載の装置または器具。
【請求項6】
前記埋め込み物は、流出に前記第1の抵抗を提供する第2の多孔質構造を備える、請求項5に記載の器具。
【請求項7】
前記収集室の前記第1の多孔質構造の前記第1の流体流出抵抗は、前記埋め込み物の前記第2の多孔質構造によって提供される前記第1の抵抗より小さく、
前記収集室の前記第1の多孔質構造の前記第2の流体流出抵抗は、前記埋め込み物の前記第1の抵抗より大きい、請求項6に記載の器具。
【請求項8】
前記第2の既存の流体は気体である、請求項2に記載の器具。
【請求項9】
前記気体は空気である、請求項8に記載の器具。
【請求項10】
前記排出内腔を介して真空が加えられる、請求項9に記載の器具。
【請求項11】
前記第2の既存の流体は、排出口を通って前記収集室から置換される、請求項1に記載の装置または請求項2または3に記載の器具。
【請求項12】
前記第2の既存の流体は、バルブを通って収集室から置換される、請求項1に記載の装置または請求項2または3に記載の器具。
【請求項13】
前記埋め込み物は、第1のつぶれた形態のから第2の広がった形態へ、目に埋め込まれるとすぐに膨張でき、
前記収集室の前記第1の多孔質構造は、充填後、前記第2の広がった形態から
前記埋め込み物のつぶれを防ぐ、請求項6に記載の器具。
【請求項14】
前記収集室の前記第1の多孔質構造は、疎水性膜、織物、多孔質織物、半透過膜、通気性材料、水蒸気移動防水織物、親水性多孔質材料、または多孔質焼結材料である、請求項6に記載の器具。
【請求項15】
前記収集室の前記第1の多孔質構造は、前記収集室
の一部を画定する環状要素内に配置され、
前記環状要素は、前記収集室の固定された上限を形成する、請求項6に記載の器具。
【請求項16】
前記収集室は、前記注入内腔の長軸と同心である、請求項15に記載の器具。
【請求項17】
前記収集室は、前記注入内腔の長軸に対してオフセットしており、
前記収集室は、管状であり、管状収集室の開口から、前記第2の多孔質構造における終端まで延在する、請求項6に記載の器具。
【請求項18】
管状構造は、前記管状構造の長さを通して、均一な内径を有する、請求項17に記載の器具。
【請求項19】
管状構造は、第2の内径の近くに広がる内径を有する、請求項17に記載の器具。
【請求項20】
管状構造は、
コイル状であり、
前記第2の既存の流体が前記収集室に入る際に、前記収集室から置換された前記第2の既存の流体の捕獲を最小にする
内径を有する、請求項17に記載の器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、「膨張可能ポート送達システムのための流体交換装置及びその使用方法」というタイトルの2017年11月21日出願の同時係属中の米国仮特許出願62/589,377の優先権を主張し、その開示は、全ての目的のために全て援用する。
【背景技術】
【0002】
視力に影響を与える病気は、様々な治療薬で治療されるが、目への薬の送達は、困難であり続ける。目を通す薬物の注入は、痛みを伴う可能性があり、感染症、出血、網膜剥離のリスクがある。頻度に依存するが、眼内注入は、患者及び医師の両方にとって時間がかかる。したがって、少なくともいくつかの場合、薬は、次善の治療効果をもたらす所定の頻度より少ない頻度で投与される。さらに、ボーラス眼内注入は、理想の薬物動態及び薬力学を提供しないかもしれない。患者の硝子体液に薬をボーラス注入することは、所望の治療量より何倍も高い最大薬物濃度をもたらし、その結果、患者は、次の注入滴を、治療効果をはるかに下回る薬物濃度にできるようになる可能性がある
【発明の概要】
【0003】
1つの態様において、目の埋め込み物に治療薬を注入する装置であって、埋め込み物は、目に少なくとも一部埋め込まれ、埋め込み物は、さらに目に治療薬の流出に少なくとも第1の抵抗を提供する装置が開示される。装置は、目の埋め込み物に治療薬を注入するための経路を提供するように構成された注入内腔と、目の埋め込み物の既存の流体が目の埋め込み物から出る経路を提供するように構成された排出内腔と、排出内腔に流体連結された収集室とを含む。収集室は、排出内腔を通って目の埋め込み物から出る既存の流体を受け入れるように構成される。収集室は、第1の流体流出抵抗と第2の流体流出抵抗を提供する。第1の流体流出抵抗は、埋め込み物の流出への前記第1の抵抗より低く、第2の流体流出抵抗は、目の眼球内の圧力によって埋め込み物に与えられる力よりも大きい。注入内腔を通る目の埋め込み物への治療薬の注入により、既存の流体は、目の埋め込み物から出て、排出内腔を通って収集室に入り、第2の既存の流体は、収集室から置換させられる。
【0004】
埋め込み物は、第1のつぶれた形態のから第2の広がった形態へ、目に埋め込まれるとすぐに膨張できる。収集室に動作可能に連結された第1の多孔質構造は、第1の流体流出抵抗と第2の流体流出抵抗を提供する。収集室に動作可能に連結された第1の多孔質構造は、気体の流出に第1の流体流出抵抗を有し、液体の流出に第2の流体流出抵抗を有する。埋め込み物は、流出に第1の抵抗を提供する第2の多孔質構造を備える。収集室の第1の多孔質構造の第1の流体流出抵抗は、埋め込み物の第2の多孔質構造によって提供される第1の抵抗より小さい。収集室の第1の多孔質構造の第2の流体流出抵抗は、埋め込み物の第1の抵抗より大きい。第2の既存の流体は気体である。気体は空気である。空気は、真空下である。第2の既存の流体は、排出口を通って収集室から置換される。第2の既存の流体は、バルブを通って収集室から置換される。埋め込み物は、第1のつぶれた形態のから第2の広がった形態へ、目に埋め込まれるとすぐに膨張できる。収集室の第1の多孔質構造は、充填後、第2の広がった形態から埋め込み物のつぶれを防ぐ。
【0005】
収集室の第1の多孔質構造は、疎水性膜、織物、多孔質織物、半透過膜、通気性材料、水蒸気移動防水織物、親水性多孔質材料、または多孔質焼結材料である。収集室の第1の多孔質構造は、収集室の上端近くに配置された環状要素内に配置される。環状要素は、収集室の固定された上限を形成する。収集室は、注入内腔の長軸と同心である。収集室は、前記注入内腔の長軸に対してオフセットしている。収集室は、管状である。収集室は、管状収集室の開口の間に延在し、第2の多孔質構造において終端する。管状構造は、管状構造の長さを通して、均一な内径を有する。管状構造は、第2の内径の近くに広がる内径を有する。管状構造は、コイル状である。コイル状の管状構造は、収集室から置換された第2の既存の流体の捕獲を最小にする均一に満たされたパターンを提供する。
【0006】
いくつかのバリエーションにおいて、次の1またはそれ以上が上記方法、器具、装置、及びシステムに全ての実現可能な組み合わせで任意に含まれることができる。装置、システム、及び方法のさらなる詳細は、添付された図面と以下の説明に記載される。他の特徴及び利点は、記載及び図面から明白になるであろう。
【0007】
これらの及び他の態様は、ここから次の図面を参照して詳細に記載されるであろう。一般に図への言及は、絶対的な言葉でまたは比較でスケールを表すものでなく説明的な意図がある。また、機構及び要素の相対的な配置は、説明の明確性の目的で修正できる。
【0008】
図は、例示するのみであって、スケールを意味するものでないことを理解されるべきである。本明細書で記載された装置は、それぞれの図で描かれる必要のない特徴を含むことができることが理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】挿入軸Aに沿った目の強膜内に少なくとも一部が埋め込まれた治療装置の実施を有する目の一部の概略部分断面図である。
【
図3】挿入軸Aに沿った目の強膜内に少なくとも一部が埋め込まれた治療装置の別の実施を有する目の一部の概略部分断面図である。
【
図4-5】挿入軸Aに沿った目の強膜内に少なくとも一部が埋め込まれた治療装置の別の実施を有する目の一部の概略部分断面図である。
【
図10】フローディレクタの実施を有する治療装置の別の実施の断面図である。
【
図11】フローディレクタの別の実施を有する治療装置の別の実施の断面図である。
【
図13】治療装置のフランジ要素の実施の部分断面斜視図である。
【
図14A-14D】治療装置を満たすために挿入される一般的な道具の一連を描く図である。
【
図15】埋め込まれた治療装置の再充填のための交換針装置の実施である。
【
図17】針を通して延在するシースを示す、細長い構造の断面図である。
【
図18A-18B】シリンジに連結するためのロックコネクタを有する交換装置の実施を描く。
【
図18C】シリンジに連結するためのロックコネクタを有する交換装置の実施を描く。
【
図19A-19C】流体交換の間の膨張可能なリザーバ壁のつぶれと、眼内圧によるペイロードの損失を描く。
【
図20A-20C】膨張可能なリザーバのつぶれとペイロード損失を防ぐ、
図18Bの交換針装置による流体交換を描く。
【
図21】一般的な同心の収集室を有する交換装置の実施を描く。
【
図22】オフセット収集室を有する交換装置の実施を描く。
【
図23】オフセット収集室を有する交換装置の実施を描く。
【
図24A-24B】オフセット収集室を有する交換装置の実施の様々な図を描く。
【
図24C-24D】オフセット収集室を有する交換装置の実施の様々な図を描く。
【
図25】大容量で設計されたオフセット収集室を有する交換装置の実施を描く。
【
図26A-26C】取り外し可能な収集室を有する交換装置の実施を描く。
【
図27A】取り外し可能な収集室を有する交換装置の別の実施である。
【
図27B】取り外し可能な収集室を有する交換装置の別の実施である。
【
図27C】取り外し可能な収集室を有する交換装置の別の実施である。
【
図27D】取り外し可能な収集室を有する交換装置の別の実施である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
病気の治療のための1またはそれ以上の治療薬を送達するために使用する埋め込み可能な装置、システム、方法及び埋め込み可能な装置の流体を交換するための方法及び装置が、本明細書で記載される。
【0011】
本明細書で記載される装置及びシステムは、リザーバの容積と容量を最大化するが、目の組織及び視力への全体の装置の侵襲性及び影響を最小化する。いくつかの実施において、本明細書で記載された装置は、例えば強膜を通して、目に最小の侵襲性で送達するために第1の形態に圧縮され、目の埋め込みに続いて治療薬で満たすと第2の広がった形態に膨張する、膨張可能なリザーバを含む。第2の形態にあるとき、リザーバは、目の視軸に干渉することを避け、また損傷と視力への影響を避けるように、目のある組織構造から離れた安全な距離を保つ。本明細書で記載されるように、いくつかの実施において、膨張された形態の膨張可能なリザーバは、偏心した、非対称の、またはそうでなければ例えば強膜を通る挿入軸など、目の組織に装置を設置する軸からオフセットした形状を取る。このオフセットは、例えばレンズ、毛様体、脈絡膜、強膜及び装置が挿入される囲む内部組織層など目の前方の部分のある重要な構造から離れて導かれるリザーバの大部分の膨張した容積をもたらす。膨張形態における膨張可能なリザーバは、また装置の中心軸と対称または同軸のままであるが、装置の少なくとも一部が挿入軸に対して曲がった、角度をつけた、またはさもなければオフセットした形状であることができる。例えば、膨張したリザーバは、挿入軸に対して弧または他の曲線形状の形状であることができる。代わりに、膨張したリザーバは、挿入軸に対して角度を形成した形状であることができる。これらの実施において、装置の全長は、増加されるが、また視軸の外側のままであるまたはかなり視界に影響を与える。本明細書で記載される装置のこれらの及び他の特徴は、以下にさらに詳細に記載される。
【0012】
しばらくして、埋め込み可能な装置の流体は、交換され、置換され、または装置はさもなければ治療を延長するために追加の治療薬を提供するために補充される。目にすでに埋め込まれた装置の治療流体を設置するための装置及び方法が本明細書で記載される。装置は、最適な交換効率で、注入圧力からもたらされる漏出がほとんどないまたはなく、臨床的に受容可能な交換時間で、流体の改善されたサンプリング及び置換を提供する。
【0013】
本明細書で記載される装置及びシステムは、目の多くの位置に配置され、図に示され、本明細書に記載されように具体的に埋め込まれる必要がないことが理解されるべきである。本明細書で記載される装置及びシステムは、1またはそれ以上の次の組織、眼内、血管内、関節内、髄腔内、心膜の、腔内及び腹腔内に、長期間、治療薬を送達するために用いられる。以下に目の治療の送達を特に参照されるが、目の状態からはずれた医療状態は、本明細書で記載された装置及びシステムで治療されることが理解されるべきである。例えば、装置及びシステムは、炎症、感染症、及び腫瘍の治療物を送達できる。あらゆる薬剤の組み合わせは、本明細書で記載された装置及びシステムのいずれかを用いて送達される。
【0014】
本明細書で記載される材料、化合物、合成物、品物、及び方法は、開示された発明主題の特定の態様及びそこに含まれる実施例の次の詳細な記載を参照してさらに容易に理解される。現在の材料、化合物、合成物、品物、及び方法は開示され、記載される前に、以下に記載された態様は、特定の方法または特定の試薬に限定されず、そのように異なる場合があることが理解されるべきである。また、本明細書で用いられる用語は、特定の態態様を記載する目的のものであり、制限する意図はないことを理解されるべきである。
【0015】
定義
【0016】
特に定義されない限り、本明細書で用いられる全ての技術的な及び特定の用語は、発明の属する当業者によって共通に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書の全ての開示を通して言及された全ての特許、特許出願、公開された出願及び公報、ウェブサイト、及び他の公開材料は、特に断りのない限り、その全てを援用する。本明細書で用語において複数の定義がある場合において、この分野の用語が優先する。URLや他のそのような識別子またはアドレスを参照して、そのような識別子は変更され、インターネットの特定の情報は、行き交うが、均等な情報は、知られ、例えばインターネット及び/または適切なデータベースをサーチすることによって、アクセスできる。それらへの参照は、そのような情報の利用可能性と普及を証明する。
【0017】
本明細書で用いられるように、例えば前の、後の、近位の、遠位の、側面の、中間の、矢状方向の、冠状の、横のなど、相対的な方向の用語は、本開示を通して用いられる。そのような用語は、装置及び装置の特徴を記載する目的のためであり、限定する意図はない。例えば、本明細書で用いられるように、一般に「近位の」は、装置を埋め込む使用者に最も近く、埋め込みの目標位置から最も遠いことを意味するが、「遠位の」は、患者に装置を埋め込む使用者から最も遠く、埋め込みの目標位置に最も近いことを意味する。
【0018】
本明細書で用いられるように、病気または疾患は、例えば炎症または遺伝的欠陥からもたらされる、及び識別可能な症状で特徴付けられる組織の病的な状態を指す。
【0019】
本明細書で用いられるように、処置は、状態、疾患、または病気の症状がよくなるまたはそうでなければ有益に変わる全ての方法を意味する。処置は、また本明細書で記載され、提供される装置の全ての調剤学の使用を含む。
【0020】
本明細書で用いられるように、例えば特定の調剤合成物の投与によって、特定の疾患の症状の改善または緩和は、合成物の投与に起因するまたは関連する永久または一時的、持続的なまたは一時の緩和を指す。
【0021】
本明細書で用いられるように、特定の病気を処置する化合物の効果的な量は、病気に関連する症状を緩和する、またはいくつかの方法において減らすのに十分な量である。そのような量は、一回の投与として投与されるまたは投薬計画に従って投与され、それにより効果がある。量は、病気を治すが、典型的に病気の症状を緩和するために投与される。繰り返し投与は、症状の所望の緩和を達成するために必要とされる。薬学的な効果量、治療的に効果的な量、生物学的に効果的な量及び治療学的な量は、所望の結果、すなわち量的または質的に治療効果を達成するのに十分な治療物の量を指すことが本明細書で言い換え可能に用いられる。特に、生体内の薬学的な効果の量は、対象者の望ましくない効果(例えば、病的な、臨床治療の、生化学的ななど)の減少、遅延、または排除をもたらす量である。
【0022】
本明細書で用いられるように、持続した放出は、長期間の治療薬の有効成分の効果的な量の放出を含む。持続した放出は、有効成分の一次放出、有効成分のゼロ次放出、または例えばゼロ次から一次の中間、またはその組み合わせなど、他の放出の動力学を含む。持続した放出は、多孔質構造に渡る集中勾配によって駆動される受動的分子拡散を通して治療薬の制御された放出を含む。
【0023】
本明細書で用いられるように、対象者は、診断、スクリーニング、モニタリングまたは処置が期待される全ての動物を含む。動物は、例えば霊長類などの哺乳類及び家畜化された動物を含む。典型的な霊長類はヒトである。患者は、例えば哺乳類、霊長類、ヒト、または病気状態に苦しめられるまたは病気状態が測定されるべきまたは病気状態のリスクが測定されるべき家畜対象などの対象者を指す。
【0024】
本明細書で用いられるように、商品名で言及される治療薬は、商品名の下で市販される治療薬、市販の製剤の有効成分、有効成分のジェネリック名、または有効成分を含む分子の製剤の1またはそれ以上を含む。本明細書で用いられるように、治療物または治療薬は、病気または疾患の症状を緩和するまたは病気または疾患を緩和する化学物質である。治療薬、治療化合物、治療投薬計画、または化学療法薬は、従来の薬及び薬物治療を含み、当業者に知られ、本明細書のどこかで記載されるワクチンを含む。治療薬は、これに限定されるものではないが、体に制御された持続した放出ができる部分を含む。
【0025】
本明細書で用いられるように、合成物は、任意の混合物を指す。そのような成分の溶液、懸濁液、乳液、液体、粉体、ペースト、水性、非水性またはそれらの組み合わせであることができる。
【0026】
本明細書で用いられるように、流体は、流れることができる全ての組成物を指す。流体はそれゆえ、準固体、ペースト、溶液、水性混合物、ゲル、ローション、クリームの形態の組成物またはその他のそのような組成物を含む。
【0027】
本明細書で用いられるように、キットは、パッケージされた組み合わせであり、任意に組み合わせの使用の指示及び/またはそのような使用の他の化学反応及び化学成分を含む。
【0028】
目の組織
【0029】
図1は、目の前室、後室及び硝子体を示す、ヒトの目10の一部の概略断面図である。目10は、一般的に球状で、強膜24によって外側を覆われる。目10の塊は、硝子体(vitreous body)30(本明細書で硝子体(vitreous humor)または単に硝子体(vitreous)と言う)、明確にレンズ22と網膜26の間に配置されたジェリ状の物質によって満たされ、支持される。網膜26は、目10の内側の後の部分を埋め尽くし、黄斑32を含む。網膜26は、光を記録し、視神経を通して脳に信号を送る。中心窩は、網膜26の黄斑32の中心に配置された目の一部であり、例えば読むまたは運転するために、シャープな中心視において反応できる領域である。視界の中間点から中心窩へ通る仮想線は、視軸27と呼ばれる。レンズ22の前と後の表面は、曲がりの中心を通る仮想のまっすぐな線は、光軸29である。
【0030】
弾力性のあるレンズ22は、目10の前の近くに配置される。レンズ22は、焦点の調節を提供し、レンズ22の焦点長さを変える筋肉を含む、毛様体20からカプセルのようなバッグ内にぶら下がる。レンズ22の前の体積は、レンズ22の開口部と網膜26を光が当たる量を制御する、虹彩18によって2つに分けられる。瞳孔は、前方で入射光が通る虹彩18の中心の穴である。虹彩18とレンズ22の間の体積は、後室である。虹彩18と角膜12の間の体積は、前室である。両方の室は、水性体液として知られるきれいな液体で満たされる。
【0031】
角膜12は、目の縁14と呼ばれる位置において強膜24に延在及び接続する。目の結膜16は、強膜24上に配置され、テノンのカプセルが、結膜16と強膜24の間に延在する。目10は、また強膜24の一部と網膜26の間に配置される脈絡膜28と呼ばれる血管組織層を含む。毛様体20は、虹彩18の基礎部と連続し、約4mm長の後平坦領域、パースプリカ及びパースプラナ25に解剖学的に分けられる。
【0032】
本明細書に記載される装置は、例えば上直筋の腱及び腱の後部、腱の前部、腱の下、または鼻の1またはそれ以上、または治療装置の一時的な設置から離れたパースプラナ領域における目10の多くの位置において配置されることができる。
図2に示されるように、本明細書で記載される装置は、パースプラナ領域において、強膜24を通る挿入軸Aに沿って配置され、装置が視界、及び時に視軸及び光軸27,29を邪魔することを避けるように延ばされる。
【0033】
埋め込み物のある領域が、パースプラナ領域において目の解剖学の強膜上、強膜横断、強膜下、及び硝子体内の側面を占めるように、球を貫通するように設計された強膜横断する目の埋め込み物の外科的配置は、外科手術に続いて急性硝子体出血(VH)のリスクを伴う。本明細書で記載される装置は、外科的埋め込みの時において、硝子体出血のリスクを軽減し、外科的手術に続いて改善された治癒につながる1またはそれ以上の特徴を含む。
【0034】
処置装置
【0035】
本明細書で記載される装置は、薬送達装置、処置装置、治癒装置、ポート送達装置などと言われる。これらの用語は、本明細書で相互に交換可能に用いられ、別の装置の特定の実施に限定される意図はないと理解されるべきである。本明細書で記載される装置及びシステムは、本明細書に記載される多様な特徴のいずれかを組み込むことができ、本明細書で記載される装置及びシステムの1つの実施の要素または特徴は、本明細書で記載される装置及びシステム及び様々な埋め込み物の別の実施の要素または特徴及び米国特許第8,399,006号、米国特許第8,623,395号、国際公開第WO2012/019136号、国際公開第WO2012/019047号、国際公開第WO2012/065006号、米国特許出願公開第2016/0128867号、米国仮特許出願第62/318,582号に記載された特徴の代わりにまたはそれらと組み合わせて組み込まれることができる。簡潔にするために、それらの組み合わせのそれぞれの明示的な記載は、様々な組み合わせが本明細書で考えられるべきであるが、除外されるであろう。例えば、本明細書で記載される装置は、例えば処置溶液で満たすことによって埋め込みに続いて拡大するように構成された非剛体壁リザーバを含むことができる。本明細書で記載される膨張可能なリザーバは、装置またはシステムの様々な実施のいずれかと用いられることができる。さらに、膨張可能なリザーバへの参照は、しなやかで、貫通の大きさを最小化する方法で目に挿入するのに適切な低いプロファイル形態に、折られる、圧縮される、縮められるなどできるリザーバの壁を含むことができる。膨張可能なリザーバの壁は、しなやかまたは柔軟であるが、処置溶液を保持するための大きさに拡大するために伸縮性または弾力性がある必要はない。膨張可能なリザーバは、挿入に適切な低いプロファイル形態と比較してリザーバの断面の全体の大きさを広げ、開き、拡張し、伸ばし、またはさもなければ拡大するリザーバ壁を含む。用語、開く、拡張する、拡大する、及び本明細書で記載されるリザーバのこの形状の変化を指すために用いられる他の用語は、相互に交換可能に用いられることが理解されるべきである。
【0036】
さらに、装置の埋め込み及びアクセスの異なる方法が本明細書で開示される。様々な埋め込み物は、様々な異なる方法によって、及び様々な異なる装置及びシステムを用いて、埋め込まれ、取り外され、満たされ、補充され、吸引され、及び/または流されることができる。様々な装置が埋め込まれ、アクセスされるいくつかの代表的な記載が提供され、しかしながら、簡潔にするためにそれぞれの埋め込み物またはシステムに対するそれぞれの方法の明示的な記載は、除外される。
【0037】
本明細書で記載されるように、多孔質構造(または本明細書で薬放出機構、薬放出要素、放出制御要素、RCE、またはフリットを指す)は、その開示の全てを本明細書に援用する、米国特許第8,399,006号、米国特許第8,623,395号、国際公開第WO2012/019136号、国際公開第WO2012/019047号、国際公開第WO2012/065006号に記載されるそれらの装置の1またはそれ以上を含む多くの様々に異なる埋め込み可能な治療装置で用いられることができる。
【0038】
図2及び3、並びに
図4-9は、目10の1またはそれ以上の領域に1またはそれ以上の治療薬を送達するように構成された膨張可能な処置装置100の実施を描く。装置100は、滑らかな突起またはフランジ要素110、多孔質薬放出要素120、及び膨張可能なリザーバ130を有する近位保持構造105を含むことができる。アクセスポート111は、保持構造105を通って延在し、貫通可能な要素115は、アクセスポート111の少なくとも一部内に配置されることができる。貫通可能な要素115及びアクセスポート111は、リザーバ130の材料を、例えば満たす、補充する、吸引する、及び/または流すために、リザーバ130の内部容積にアクセスすることを許容する。いくつかの実施において、アクセスポート111は、保持構造105を通るリザーバ130への開口によって形成され、貫通可能な材料及び/または貫通可能な要素115によって覆われる。貫通可能な要素115は、材料がリザーバ130の補充のインサイチュの間、材料の貫通に続いてリザーバ130の外の漏れないように、貫通され及び放出されるように構成されたセプタムであることができる。代わりに、フランジ要素110自体の1またはそれ以上の領域は、貫通可能な材料で形成される。
【0039】
薬放出要素120は、リザーバ130の容積が薬放出要素120と流体連絡するように、装置100内に様々な位置で配置されることができる。例えば、薬放出要素120は、目のリザーバ130内に含まれる1またはそれ以上の治療薬の放出のために、例えば装置100の排出口125内など、装置100の遠位端領域の近くに配置されることができる。薬放出要素120は、また遠位端領域の近位である装置の領域に配置されることができる。薬放出要素120は、また例えば網膜など、処置される特定の領域に向かって配置されることができる。
【0040】
装置100は、例えばリザーバ130、薬放出要素120及び1またはそれ以上の排出口125など、装置100の少なくとも一部が、眼内に配置されるように、目に埋め込まれることができる。いくつかの実施において、装置100は、硝子体30に治療薬を放出するようにパースプラナ領域から強膜24を通って延在するように配置されることができる。上記されたように、装置100は、挿入軸Aに沿って目に配置されることができる(
図6参照)。フランジ要素110は、強膜24に沿う設置のために構成された滑らかな突起を形成する。フランジ要素110は、装置100の残りの少なくとも一部が眼内に配置される間、一般に装置100の保持を助けるために目の外部に残る。フランジ要素110は、例えば、楕円形、卵形、楕円形、円形または以下にさらに詳細に議論されるであろう他の形状など、様々な形状のいずれかを有することができる。いくつかの実施において、フランジ要素110は、一般に球の表面に沿った輪郭を有するように曲げられる。フランジ要素110の外側に面する表面112は、凸形状を有し、内側に面する表面113は、フランジ要素110が目の曲率に合わせるように凹形状を有する。他の実施において、フランジ要素110は、一般に平坦であることができる。フランジ要素110の端部は、一般になめらかで、丸まっている。いくつかの実施において、フランジ要素110の内側に面する表面113が強膜24に接触するようにフランジ要素110が配置されるとき、フランジ要素110の外側に面する表面112は、結膜16の下に配置され(
図6に図示されず)、結膜16がフランジ要素110の外側に面する表面112を覆い、治療装置100を保護する。フランジ要素110の外側に面する表面112を覆う結膜16は、装置100にアクセスを許容する一方で、患者の感染症のリスクを下げる。治療薬がフランジ要素110のアクセスポートを通って装置100に挿入されまたは注入されるとき、結膜16は、治療装置100にアクセスするための針で、持ち上げられ、切開され、穴を開けられる。
【0041】
図7及び8で最もよく示されるように、保持構造105は、近位のフランジ要素110とフランジ要素110に隣接して配置される首部を含むことができる。首部は、近位領域116と遠位拡張部117を含む。首部の近位領域116は、例えば切開及び/または穴を開けるなど、強膜24を通った貫通部位に適合するように、断面に沿った大きさにされる。例えば、近位領域116は、強膜24の貫通部位内にさらにぴったりとして適合するように、フランジ要素110に対して狭くされる。
図7は、首部の狭くされた近位領域116の第1の断面図を示す。
図8は、第1の断面図に直交する平面に沿った首部の狭くされた近位領域116の第2の断面図を示す。首部の近位領域116は、第1の平面に沿ったときの第1の断面距離と、断面が第2の直交する平面に沿ったときの第2の断面距離を有し、第1の断面距離は、第2の断面距離と異なる。首部の近位領域116に渡る距離は、
図8(長軸)の図の首部の近位領域116に渡る距離と比較して
図7(短軸)の図で短い。いくつかの実施において、首部の近位領域116の断面形状は、装置100が挿入される切開、穿孔または他の貫通部位の形状を補完することができる。首部の近位領域116の断面形状は、引き延ばされ、これに限られないが、両凸レンズ状、卵形、及び楕円形の1つを含む。いくつかの実施において、首部の近位領域116の断面形状は、第1の軸に沿った第1の曲線及び第1の曲線と異なる第2の軸に沿った第2の曲線である。本明細書でその全てを援用する、米国特許第8,277,830号及び2016年4月5日に出願された米国仮特許出願第62/318,582号は、本明細書で記載される装置の近位領域の形状に関してさらに詳細に記載される。本明細書で記載される装置の首部または強膜横断領域の大きさは、変わり、以下にさらに詳細に記載されることが理解されるべきである。
【0042】
上記されるように、保持構造105の首部は、また遠位拡張部117を含むことができる。首部の遠位拡張部117は、貫通部位において強膜24の内側表面から離れて目の内側に延在する。上記されるように及び
図6に最もよく示されように、フランジ要素110は、強膜24に沿った設置のために構成されたなめらかな突起を形成する。首部の近位部116は、貫通される組織が首部の近位部116内にぴったりと受け入れられるように、強膜24の貫通部位内に適合する。遠位拡張部117は、装置の挿入軸Aと同軸に配置され、近位部116から離れて延在する。
【0043】
首部の遠位拡張部117は、装置100の貫通可能な領域に安定を提供しつつ、膨張可能なリザーバ130と装置100の近位端に隣接する目の内側表面の接触を排除する。
図2は、膨張形態において装置100の近位端に隣接する目の1またはそれ以上の内部表面と接触を作る、リザーバ130を有する装置100の実施を示す。リザーバ130の近位端は、強膜24を通る貫通部位を囲う内部組織表面に割り込み、装置100の貫通可能な領域を安定化するために作動することができる。いくつかの実施において、リザーバ130と内部組織表面の間の接触は、目の繊細な組織の炎症及び/または損傷を避けるために防がれる。例えば、
図3で示されるように、膨張形態のリザーバ130の近位端は、貫通部位を囲う1またはそれ以上の内部組織表面から距離D’離れるまたはオフセットできる。首部の遠位拡張部117は、装置100の一部と貫通部位と隣接する組織の接触を防ぐ助けになりつつ、また装置100の貫通可能な領域に安定化を提供する。例えば、首部の遠位拡張部117は、リザーバ130が膨張形態であるときでさえ、装置のリザーバ130は、貫通部位の隣接する組織層から離れて配置されるように、十分に長く、曲線をつけて作られる。いくつかの実施において、首部の遠位拡張部117は、拡張部117から遠位の装置100のいずれかの部分が、それが埋め込まれる硝子体30を除く目の内部表面のいずれかと接触することを防ぐように構成された長さ及び曲線を有する。いくつかの実施において、目に装置100が埋め込まれ膨張する際に、首部のフランジ要素110と近位領域116は、目の組織層(例えば結膜、強膜、毛様体、及び/または脈絡膜)と接触するようになる。例えばリザーバ130、薬放出要素120、及び拡張部117の遠位部など、装置100の遠位拡張部は、目の組織層との接触を避け、硝子体30のみと接触するようになる。膨張形態のリザーバ130の形状は、また以下でさらに詳細に議論されるように、この接触を防ぐ助けをする。
【0044】
上記されるように、本明細書で記載される装置は、1またはそれ以上の薬放出要素120を含む。薬放出要素120は、薬放出要素120がリザーバ130から1またはそれ以上の排出口125を通る1またはそれ以上の治療薬の送達を制御または調整できるように、1またはそれ以上の排出口125に隣接して及び/またはその内部に配置されることができる。リザーバ130の内容物は、流体の流れとして放出されるよりむしろ拡散によって次第に送達される。いくつかの実施において、1またはそれ以上の薬放出要素120は、例えば遠位端領域、または装置の遠位端領域に近位の領域など、リザーバ130の領域内に配置されることができる。いくつかの実施において、薬放出要素120は、送達される物質に特定の多孔を有するカバーまたは裏当てであり、物質の放出の特定の割合を提供するために用いられることができる。薬放出要素120は、放出制御要素であり、これに限定されるものではないが、芯材料、透過性シリコン、充填層、小多孔構造、多孔フリット、複数の多孔性コーティング、ナノコーティング、律速膜、マトリックス材料、焼結多孔質フリット、透過膜、半透過膜、キャピラリチューブまたは曲がりくねったチャネル、ナノ構造、ナノチャネル、焼結ナノ粒子など、を含む。薬放出要素120は、リザーバから長期間1またはそれ以上の治療薬を放出するための気孔率、断面領域、及び厚さを有する。薬放出要素120の多孔質材料は、材料を通って延在するチャネルによって形成されるほんのわずかの空間に対応する気孔率を有する。形成される空間は、約3%から約70%、約5%から約10%、約10%から約25%、または約15%から約20%、または他の割合の空間であることができる。薬放出要素120は、本明細書で援用する、米国特許第8,277,830号でさらに詳細に記載される放出制御要素のいずれかから選択されることができる。
【0045】
上記されたように、本明細書で記載される装置は、おおよそ最小侵襲挿入形態から増加した容積を備える膨張形態に膨張、広がる、またはそうでなければ拡大するように構成されたリザーバ130を含む。本明細書で記載される装置の挿入形態は、装置100が小さな測定装置を用いて目に少なくとも一部が、または小さな切開によって目に直接挿入されるように、比較的低いプロファイルである3次元形状を有する。本明細書で記載される装置の多くは、例えば、約1mmから約5mmの範囲の、最小侵襲である切開または穿孔を用いて挿入されることができる。いくつかの実施において、切開は、3.2mm切開である。いくつかの実施において、装置100は、装置100が内部構造支持部材または複数の部材なく、目の組織を通って穴を開けることをできるために十分な柱強さを有することが理解されるべきである。装置は、目になされた前の切開または穿孔なく、強膜24を通って挿入されることができる。例えば、装置は、装置の内部を通って延在する針カニューレ部材及びカニューレ部材の遠位先端において内側に押圧されまたは固定される薬放出要素120を用いて挿入されることができる。
【0046】
一般に、挿入形態において、目を貫通するように構成された装置100の一部(例えばリザーバ130)は、目の外側に残るように構成された装置100の一部(例えばフランジ要素110)の断面直径と比較して小さい断面直径を有する。いくつかの実施において、挿入形態の(以下でさらに詳細に記載されるように中心核要素135の周りでつぶされた)リザーバ130の断面直径は、直径で約1.3mmから約1.5mmであり、首部の近位部116の直径は、長さ約2.7mmで幅約1.5mmであり、フランジ要素110は、長さ約4.5mmであり、幅約3.8mmである。いくつかの実施において、装置100は、装置100が針穴を通って挿入されることができるように、約25ゲージである。この実施において、フランジ要素110は、実施の間、針穴に収納され、針穴の遠位端から解放され、その点においてフランジ要素110がその形状を取り戻すことができるように、弾性材料(例えば形状記憶または柔軟シリコン)であることができる。さらに、挿入形態時の装置100の目の貫通部の断面形状は、円、卵形、または他の断面形状を含んで変わる。また、挿入形態時、装置100は、その全体の長さまたは断面大きさに沿って実質的に均一な直径を有し、形状は、装置100の長さに沿って変化する。いくつかの実施において、挿入形態の装置100の形状は、目への容易な挿入を促進するために選択される。例えば、装置100は、近位端領域から遠位端領域に先細りされる。
【0047】
装置100の長さは、装置100が目に埋め込まれる場所及び方法に依存して変わる。一般に、長さは、装置100の埋め込み及び充填の際に中央視界または目の視軸27に渡って影響を与えるまたは入らないように選択される。いくつかの実施において、装置の総長さは、約2mmから約10mmである。いくつかの実施において、装置の総長さは、約3mmから約7mmである。いくつかの実施において、装置の目の内部の領域の長さは、約4mmから約5mm長である。
【0048】
本明細書で記載される装置のリザーバ130は、その全体の容量を最大にしつつ、目の内部組織への影響を最小にする特定の曲線または形状に拡大する。リザーバ130の挿入形態は、第1の3次元形状を有し、膨張形態は、第1とは異なる第2の3次元形状を有する。再び
図2及び3に関して、膨張形態のリザーバ130は、一般に挿入軸Aに対して対称である。この実施において、第1の3次元形状及び第2の3次元形状は、おおよそ装置100の長軸及び挿入軸Aと同心である。
図4-9に示される別の実施において、リザーバは、第1の3次元形状を有する挿入形態から第2の3次元形状を有する膨張形態に拡大するように構成され、第2の3次元形状は、挿入軸Aに対して偏心して配置されまたはおおよそ非対称である。この実施において、第1の3次元形状は、挿入軸Aとおおよそ同心で、第2の3次元形状は、挿入軸Aと偏心である。リザーバの低いプロファイルの挿入形態を得るために用いられる折り畳みアプローチに依存して、対称または偏心したリザーバの第1の3次元形状は、おおよそ同心ではなくオフセットされる。おおよそ対称なリザーバ130の第1の3次元形状は、リザーバがおおよそ対称な第2の3次元形状に膨張しても、第1の3次元形状が幾分同心でないように、装置の長軸及び挿入軸Aからわずかにオフセットしている。偏心して配置されたリザーバ130にも同じことがいえる。第1の3次元形状は、リザーバ130の全体の形状及び低プロファイルの挿入形態を得るために用いられる折り畳みアプローチに依存し、幾分同心でない。
【0049】
図9は、装置100の上面図を示し、挿入軸Aを描く。平面は、挿入軸Aと平行に、装置が挿入される強膜24の表面と直角に描かれる。いくつかの実施において、リザーバ130のより多くの膨張容積は、第1の側面の膨張容積が目の後部領域に延在し、レンズ22との接触が緩和されるように目のレンズ22から離れて拡大するようにこの平面の反対側よりこの平面の第1の側面に配置される(例えば
図5及び
図13参照)。その結果、膨張形態のリザーバ130の全体の容積の一部は、目のレンズから離れて拡大され、リザーバ130の容積の残りの部分より大きい。さらに膨張リザーバ130が、脈絡膜滲出、出血または例えば毛様体または脈絡膜など目と装置100の間の意図しない接触、損傷または炎症を引き起こす目の内部表面との接触を避けるように装置が強膜に挿入され、大部分のリザーバ容積が強膜の内部表面から離れて延在するように表面リザーバ130は拡大する。さらに、膨張形態時、全リザーバ130は、例えば目の視軸の外側など中央視界のおおよそ外側に残る。
【0050】
挿入のための低プロファイルの大きさから挿入後の膨張プロファイルの大きさへリザーバ130の膨張性は、装置が最小の侵襲性の方法で挿入され、増加したリザーバ容量を有することを可能にする。この増加したリザーバ容量により、装置から所定の放出制御要素への薬を送達する期間を増加させ、装置100が頻繁に補充される必要がなく、及び/または目に目標の治療濃度の薬物を届けることができるようにする。いくつかの実施において、リザーバ130の容積は、約0.5μLから約100μLである。いくつかの実施において、リザーバ130の容積は、少なくとも約1μL、2μL、3μL、4μL、5μL、10μL、15μL、20μL、25μL、30μL、35μL、40μL、45μL、50μL、55μL、60μL、65μL、70μL、75μL、80μL、85μL、90μL、95μL、96μL、97μL、98μL、99μL、100μL、105μL、110μL、115μL、120μL、125μL、または他の容積であることができる。
【0051】
リザーバ130の外壁は、膨張可能だが剛性及び/または非膨張性の材料である実質的に非適合材料で形成されることができる。そのようにリザーバ130は、膨張形態に満たされるが、リザーバ130の材料は、その形状を維持するように構成され、リザーバ130の壁材料の記憶によって作り出される意図しない駆動力を避けるように広げられない。他の実施において、リザーバ130の外壁は、適合材料であり、制御可能な圧力は、例えば、充填後リザーバから小さな最初の増加した薬送達を提供するために圧力平衡の点まで、リザーバ130の適合した壁によって提供される。膨張可能な、非膨張性の実質的に非適合材料の実施例は、これに限定されるものではないが、PET、ナイロン、及びアクリルを含んで本明細書に提供される。膨張可能な、適合材料の実施例は、またこれに限定されるものではないが、シリコン、ウレタン、及びアクリルを含んで本明細書に提供される。
【0052】
いくつかの実施において、膨張形態のリザーバ130の容積及びリザーバ130の形状は、ペイロード容量を最大にし、またレンズ22及び/または貫通部位と隣接する強膜24からの距離を最大にするように選択される。例えば、いくつかの実施において、リザーバ130の容積は、60μLであり、膨張形態のリザーバ130の形状は、D型、C型、楕円、偏心、または装置の挿入軸Aから延在する他の形状であることができる(
図6参照)。その結果、小さい容量の対称な膨張リザーバと比較して、偏心または非対称膨張リザーバ130は、レンズ22からより大きな距離Dを維持することができる。膨張形態のリザーバ130は、また距離D’を最大にするために近位端に先細りされ、膨張リザーバ130は、装置が延在する強膜24からオフセットする。より大きな距離D’を維持することにより、例えば膨張リザーバ130の近位端である、膨張リザーバ130と貫通部位及び例えば網膜26、脈絡膜28、強膜24、毛様体20、及び/またはレンズ22など目の他の隣接する組織層に囲まれた内部組織表面の間の接触を防ぐ手助けをする。リザーバ130の近位先細りにより、目から装置100の改善された取り外しができる。リザーバ130の形状は、代わりにまたは追加的に遠位端で先細りにされる。遠位端の先細りは、さらに装置が視軸に入ることを避けることを助け、例えばレンズなど、ある内部構造と接触することを避ける。さらに、装置の端部への滑らかな及び漸次的な遷移は、また以下でさらに詳細に記載されるように、挿入の容易性を改善する。
【0053】
図7及び8で最もよく示されるように、本明細書で記載される装置は、装置100の近位端領域と装置100の遠位端領域に延在する中心核要素135を含む。中心核要素135は、挿入軸Aとおおよそ同心であるように装置100の長軸の周りに配置された、おおよそ円筒形で、比較的剛性の要素である。中心核要素135は、内腔137と中心核要素135の壁を通って延在する1またはそれ以上の開口139を含むことができる。いくつかの実施において、中心核要素135は、以下でさらに詳細に記載されるように、装置に注入される材料を受け入れるためのアクセス部の貫通可能な要素115に対して配置される近位端の注入口138を含む。注入口138または注入口138の近くの中心核要素135の一部は、保持構造105の遠位拡張部117によって囲われる。中心核要素135は、また例えば中心核要素135の遠位端近くの、装置100から排出口125を形成できる注入口138から離れて配置される排出口を含むことができる。薬放出要素120は、排出口内に配置され、治療薬は、リザーバ130から目に放出されることができる。中心核要素135は、意図しない貫通または穿孔からリザーバ130の材料を保護することができる。例えば、充填の間、注入口138近くの中心核要素135は、装置に材料を注入するように構成された充填針を受け入れる。中心核要素135は、比較的硬く、リザーバ130の実質的に非適合だが薄い材料と比較して充填針の尖った先端に引っかからない材料で形成される。その結果、硬い核要素135は、充填の間、針による注入口138近くのリザーバ材料の貫通を防ぐことができる。核要素135は、また装置の長軸Aに沿った硬さを提供することによって挿入及び/または取り外しの間手術制御を助けることもできる。
【0054】
中心核要素135の壁の1またはそれ以上の開口139は、中心核要素135の内腔137とリザーバ130の間の流体連絡を許容する。例えば送達要素を通ってなど貫通可能な要素115を通って導入された材料は、内腔137内に注入され、流体の流れは、1またはそれ以上の開口139を通ってリザーバ130に案内される。リザーバ130への材料の導入により、リザーバ130の内部容積を拡張し、リザーバ130のしなやかな壁を装置の長軸から離れて動かし及び/または中心核要素135から離れて動かす。リザーバ容積の膨張は、以下にさらに詳細に記載されるように、最初の挿入形態から膨張形態にリザーバを変化させる。内腔137の直径に対して1またはそれ以上の開口139の大きさを最適化することは、中心核要素135を通って、1またはそれ以上の開口139を通って、リザーバ130に流れを導く助けをする。1またはそれ以上の開口139の大きさと数は、変えることができる。いくつかの実施において、中心核要素135の壁を通る開口139は、挿入道具1400の外径及び/または交換針器具200の針270の外径より小さい直径である。これにより、挿入道具1400または針270が不注意で開口139を通って挿入することを防ぐ。小さい大きさの開口139は、挿入道具1400及び/または針270の先端212から柔軟なリザーバ130への穿孔または他の損傷から保護する(
図16)。1またはそれ以上の開口139の小さい大きさは、存在する開口139の数を増加することによって補償される。いくつかの実施において、中心核要素135は、中心核要素135の壁を通って延在する少なくとも約2つの開口139、少なくとも約10の開口139、少なくとも約20,30,40,50から約100までの開口139を有することができる。いくつかの実施において、少なくとも約1000の開口139は、中心核要素135の壁を通って延在できる。開口139は、150μm未満の開口である。いくつかの実施において、開口139は、約10μmから約150μmまでである。小さい及びさらに多くの開口139は、使用の間、針270の先端212または挿入道具1400が開口139を通って中心核135の壁に突き出ることを防ぐ。開口139は、任意の幾何形状(または形状の組み合わせ)であり、中心核135の壁に、任意の配置またはパターンで分配される。いくつかの特定の形態は、例となる目的のためのみで、
図7、8、10及び11に示される。多くの他の形態は、当業者に理解されるように可能である。
【0055】
中心核要素135は、またリザーバ130の充填/補充を促進する及び充填/補充の効率を増加するフローディレクタ140を含むことができる(
図10参照)。
【0056】
いくつかの実施において、フローディレクタ140は、1またはそれ以上の開口139を通って流れを案内するための漏斗状領域146によって第2の円筒領域144に連結された第1の円筒領域142を含むことができる。第1の円筒領域142は、第2の円筒領域144の近位に配置される。第1の円筒領域142は、第2の円筒領域144よりも大きな断面直径を有することができる。さらに、フローディレクタ140の1またはそれ以上の開口139は、フローディレクタ140のない装置の実施の際より大きさが小さい。別の実施において、中心核要素135の内腔137内に配置されたフローディレクタ140は、例えば送達要素が延在する要素など、貫通可能な障壁であることができる(
図11参照)。この実施において、フローディレクタ140は、核要素135の内腔137内に割り込む大きさ及び形状にされた外径を有するシリコン要素であることができる。例えば、貫通可能な要素であるフローディレクタ140は、充填/補充針または他の送達要素によって貫通され、そのため装置100は、ボトムアップで充填/補充されることができる。材料は、装置の近位端領域がまた充填される及び膨張されるまで、装置の遠位端領域に最初に注入される。充填/補充針は、以下にさらに詳細に記載される。
【0057】
フローディレクタ140または最適化された開口139を備える他の核構造を有する本明細書で記載される装置は、充填される装置から既存の材料の排出のための最小抵抗の経路を利用することができる。これにより、次に、例えばバックフローを防ぐ及び/またはボトムアップを導くまたはボトムファーストで満たすことによって、低補充容積において補充効率を改善できる。ボトムアップで満たすことは、交換される液体の流体密度差を利用することによって、フローディレクタの存在がなくとも、改善される。装置に加えられる新しい溶液の流体密度は、装置の既存の材料の流体密度より大きい。交換される液体の温度差は、同様に流体密度に影響を与え、ボトムアップの充填の交換効率を改善するために利用されることができる。例えば、装置の既存の材料の温度は、体温であるが、新しい溶液の温度は、室温または低温であり、装置の温かい材料と比較して密度が高い。これらの密度差により、ボトムアップの充填/交換を、混合が少なく、さらに効率的な方法で起こすことができる。さらにまたは代わりに、高容積交換は、新しい溶液で装置を流す及び/または補充するために用いられることができる。
【0058】
いくつかの実施において、補充の間の埋め込み物の配向及び/またはチルト角度は、特に注入される流体と、補充される前のリザーバに残る埋め込み物の内容物との間に溶液密度差があるとき、リザーバの補充効率を改善する。患者は、補充手順の間、埋め込み物核の近位開口(すなわちセプタムに最も近い開口)の水位の下で埋め込みリザーバ(または大部分のリザーバ)を維持するように配置される。埋め込み物の補充は、硝子体内注入と同様に実行される。針経路貫通技術は、一般に内核上に針の先端を引っかけることを避けるため、埋め込み物の長軸に沿って用いられる。埋め込み物は、硝子体のパースプラナ領域から延在するように、パースプラナに沿った切開と位置合わせされた細長い断面プロファイルを備えた強膜を通って配置される。埋め込み物の補充は、装置の長軸に沿った補充針の挿入によって実行されることができる。リザーバが硝子体内に配置されるように、目の強膜を通って延在する埋め込み物を有する患者は、最もよい補充効率を達成するために核の近位開口の水位の下で、大部分のリザーバを維持するように、重力に対して配置される。
【0059】
いくつかの実施において、リザーバ130の制御された吸引は、補充効率を改善するために用いられる。吸引は、流体密度差、高容積交換、及び/またはフローディレクタに頼ることなく、補充効率を改善する。例えば、吸引は新しい溶液で装置を充填する前に、リザーバ室から材料を取り除くために適用されることができる。新しい溶液は、例えば注入内腔を通って正圧を与えることによってなど、吸引によって空にされたリザーバ室に注入される。任意にまたはさらに、新しい溶液は、リザーバ室から既存の材料を排出するために用いられる吸引の結果として、リザーバ室にくみ上げることができる。この排出と補充は、2ステッププロセスである(すなわち排出するための吸引ステップに続く充填するための注入ステップ)または本質的に1ステッププロセス(すなわちリザーバに流体をくみ上げることによって充填することにつながる排出するための吸引ステップ)で実行される。例えば、真空は、交換装置の第1の経路を通って与えられ、新しい溶液は、リザーバから交換装置の第2の経路を通って吸い込まれる。そのような交換装置の形態は変えることができる。
【0060】
フローディレクタ140の形態を変えることができる。中心核135は中心核135の内部の1またはそれ以上の方向性フィンまたは突起を含むことができる。中心核135の突起は、中心核135の開口から出る流れの方向を変えることができる。例えば、突起は、リザーバ130の壁の遠位端に向かって流れを案内するための開口に向かって傾斜することができる。突起は、注入される治療薬の流れのパターンを最適化し、装置の可能な低流領域に追加の混合を促進することができる。上記されたようなボトムアップのタイプの交換において、追加される新しい溶液と装置の既存の材料の間の混合を最小化することが望ましい。しかしながら、いくつかの場合において、既存の材料と新しい溶液のいくらかの混合は望ましい。装置は、交換の間、変位が装置の内部の形状(例えば角、端部)によって難しく、フローディレクタ140でいくらかの混合が交換の間、手助けする場合、領域を有する。
【0061】
上記されたように、本明細書で記載される処置装置は、挿入道具によって保持され、目標領域に穿孔または切開によって挿入される。そのように、装置の遠位端領域は、最初の傷口を容易にするための形状にされる。大きな直径及び/または平坦な遠位先端を有する装置の遠位端領域は、見つけることがさらに難しく、3.2mmの小さい切開または穿孔によって挿入する。さらに、装置の構造要素の間の接合による装置の外形の切り立った端部は(例えばリザーバ材料の遠位端が中心核要素と接合する場合)組織侵入に悪影響を及ぼすかもしれない。いくつかの実施において、処置装置の遠位端領域は、面取りされ、先細りにされ、または弾丸先端または埋め込みの間、滑らかに組織を貫通する他の要素を有する。
【0062】
上記されたように、中心核要素135は、近位端においてリザーバ130の上部へ、遠位端においてリザーバ130の下部に接合される。中心核要素135とリザーバ130の間及び中心核135と薬放出要素120の間の接合は、例えばEpotech301など2部のエポキシなどの接着剤により達成される。いくつかの実施において、部品の間の熱融着が用いられる。例えば、中心核要素135とリザーバ材料は、両方とも例えばナイロンまたはポリスルホン(PSU)など熱接合材料から作られ、2つは、熱と圧縮を用いて熱接合され、単純な製造プロセスと接着よりさらに信頼できる接合を提供する。中心核要素135は、また金属材料で形成でき、同じ熱接合材料で形成されないにもかかわらず、熱と圧縮を用いてリザーバと接合できるように、プラスチックの流れを受け入れるように設計される。いくつかの実施において、中心核要素135の遠位及び/または近位の領域は、例えば核にレーザドリルで開けられた小さな穴パターンなどポリマ材料の流れを受け入れるための複数の小さな穴を組み込むことができる。リザーバ材料と中心核要素が同じような材料から作られ、核がポリマ材料の流れを受け入れるように設計される特徴を有するならば、超音波溶着プロセスは、それらの間の接合を作り出すために必要とされるエネルギを提供するために用いられる。さらなる実施において、中心核要素135は、装置の遠位端において、薬放出要素120と中心核要素135の間の接合を作り出すために薬放出要素120の間でオーバモールドプロセスの進行ができる熱可塑性物質で作られることができる。
【0063】
本明細書で記載される装置は、フローディレクタ140または中心核要素135を含む必要がないことが理解されるべきである。例えば、
図12は、フランジ要素110、アクセスポート111内に配置された貫通可能な障壁115及び遠位拡張部117を有する保持構造105に近位端上で連結された膨張可能なリザーバ130を有する装置100の実施を示す。膨張可能なリザーバ130は、そこに配置される薬放出要素120を有する排出口125と遠位端領域上で連結される。しかしながら、中心核要素135またはフローディレクタ140は組み込まれていない。リザーバ130の材料は、それ自体つぶれ、挿入形態または挿入軸Aから離れてゆがむことなく、挿入軸Aに沿って貫通部位を通って挿入されるように装置に十分な剛性を提供する。いくつかの実施において、リザーバ130の材料は、ポリエチレンテレフタレート(PET)であり、約0.0005mmから約0.05mmの範囲の壁厚を有し、そのため装置は、円柱強度を有し、一般に中心核要素またはフローディレクタなしで目に挿入されるように十分硬い。いくつかの実施において、本明細書で記載される装置は、スタイレットまたは設置時においてリザーバの領域内に挿入され、その後必要とされる円柱強度が付与され、装置が強膜を通って貫通するとすぐに、取り外される他の硬い長軸要素を用いて埋め込まれる。リザーバ130の材料は、ウレタン、ナイロン、Pebax(登録商標)、ポリウレタン、架橋ポリエチレン、FEP、PTFE、及び同様な材料並びに複数の材料の混合を含むことができる。材料は、また上記材料及び膨張可能要素を製造するための当業者に既知の他の材料の複数の層を含むこともできる。
【0064】
上記で議論されたように、装置は、装置100の残りが眼内に埋め込まれたとき、装置100の保持を助けるほとんど目の外部に残るように構成された滑らかな突起またはフランジ要素110を有する近位保持構造105を含むことができる。いくつかの実施において、フランジ要素110は、偏心して膨張するリザーバ130の膨張の方向が、予測でき、所望の配向に従うように、目の埋め込みで装置100の識別できる配向を提供するように設計される。硝子体30内に埋め込まれるとすぐにリザーバ130は、直接見えない。その結果、例えばフランジ要素110など、目の外側から見ることができる装置100の一部に配向インジケータ150により、使用者は正しい平面であるであろうリザーバ130の膨張を知ることができる。例えば、
図9は、点である配向インジケータ150またはフランジ要素110の上面の他の目視によるインジケータを描く。
図13は、リザーバの偏心した容積の配向を示すフランジ要素110の形状である配向インジケータ150を描く。例えば、膨張可能なリザーバ130は、装置の長軸及び/または挿入軸Aに対して特定の配向に沿って拡大するように設計されるので、軸Aの周りの膨張可能なリザーバ130のその部分の相対配向は、装置がある眼内構造にぶつからないことを確実にする重要な意味を持つ。いくつかの実施において、フランジ要素110は、印または使用者が充填したリザーバの配向を示すことを見ることができる上面112上の他の配向インジケータ150を組み込むことができる。配向インジケータ150は、偏心した容積が配置される場合に関して、案内を提供する様々な形状、色または色と形状の組み合わせのいずれかであることができる。代わりにまたはさらに、配向インジケータ150は、フランジ要素110自体の形状であることができる。例えば、フランジ要素110は、装置の埋め込みにおいて使用者に方向性ガイダンスを提供するような方法の形状にされることができる。フランジ要素110は、例えば、卵形、楕円形、多角形、三角形、または菱形または例えばリザーバ130がリザーバ130の別の側面と比較して大きな膨張を有して設計される場合を示す側面または角度または部分を有する矢印などの他の形状など様々な形状を有することができる。
図13は、リザーバ130の偏心領域の配向を示す特定の形状を有するフランジ要素110を描く。充填する際に、配向インジケータ150は、使用者に例えばレンズ22など、1またはそれ以上の目の内部構造から離れて拡大するであろうリザーバ130の部分を示すであろう。フランジ要素110は、重要とされ、充填または補充する前の装置の偏心した容積の配向に関して、使用者に視覚的にフィードバックを提供する重要な特徴を有する充填装置と連結するように構成されることが理解されるべきである。
【0065】
貫通可能な要素115は、追加的にまたは代わりに、注入の間の案内を改善するための色または他のインジケータを含むことができる。貫通可能な要素115の材料の少なくとも一部は、色づけされるまたは貫通可能な要素115の外面に加えられた色づけされた要素である。選択される色は、変えることができ、これに限定されるものではないが、黒、白、赤、青、オレンジ、黄、緑、紫またはその間の他の変色を含む。貫通可能な要素115の材料は、またその下にあるリザーバ室によって上から暗く見えるように半透明であることができる。貫通可能な要素115の材料の色は、また例えばストライプまたはハッチ、または円またはターゲットなどの形状などのパターンで作られることができる。一般に、貫通可能な要素115の材料の色は、装置の残り及び埋め込む際、装置を囲う組織に対して強調されたコントラストを提供するように選択される。
【0066】
本明細書で記載された装置は、膨張形態で対称に分配される膨張するリザーバを組み込むことができる。
図2及び3に前に示されるように、リザーバ130は、挿入形態から膨張形態に拡大し、リザーバ130の容積は、装置の長軸及び挿入軸Aの周りに対称に分配される。別の実施において、本明細書で記載される装置は、対称に分配される膨張形態を有するが、装置自体の全体の形状は、曲線または挿入軸Aと並ばない他の形状で形成されることができる。
【0067】
本明細書で記載される処置装置は、目の長期滞留が長期間硝子体に薬を送達するように設計されることができる。本明細書で記載される処置装置が目に保持される方法は変えることができる。例えば、いくつかの実施において、処置装置は、強膜外に存在する、及び目に装置を貼り付ける及び使用の間、安定性を提供するための強膜を横断してまたは強膜下に存在する装置の一部と協働するように構成されたフランジ要素を有する近位保持構造を含むことができる。本明細書で記載される処置装置の他の実施は、それ自体強膜外保持構造を有さず、装置を目に貼り付けるための強膜への縫合に頼る。例えば、装置は、強膜に横断して及び/または強膜下に埋め込まれ、装置の近位領域が目に装置を貼り付けるために強膜に縫合される。さらなる実施において、本明細書で記載される処置装置は、さらに縫合によって強化された固定を提供する強膜外保持構造を有する。例えば、保持構造のフランジ要素は、目に装置を固定するまたは安定化することを強化するための1またはそれ以上のアンカ機構を組み込み、これに限定されるものではないが、穴、刻み目、または目に装置を縫合することにおいて位置を提供する他の機構を含む。処置装置で使用のためのいくつかの追加の保持及び安定化機構は、以下にさらに詳細に記載されるであろう。
【0068】
本明細書のどこかに記載さるように、埋め込み物の近位側面(ときどき、本明細書で「上側領域」または「強膜横断領域」または「首部」という)は、目の外側から埋め込み物の貯蔵庫/リザーバの再補充ができる。例えば、もし存在すれば、目の組織に対して保持構造を配置することは、貫通可能な要素が目の外側からアクセスできることを確実にし、そのため目の直接の硝子体内の注入において用いられる共通の技術は、埋め込み物のリザーバを補充及び/または流すために用いられることができる。以下にさらに詳細に記載されるように、本明細書で記載される埋め込み物の設置は、結膜の一時的な切除と続く平らな外科用メスを用いるパースプラナ領域の固定された長さ(例えば3.22mm)の切開の創造を含むことができる。例えば本明細書で記載されるそれらなど、埋め込み物は、例えば針タイプの付属品など、永続的な物理アクセスができ、物理的に強膜、強膜血管、脈絡膜、及び場合によっては隣接する網膜及び/または毛様体組織の1つまたはそれ以上を含む強膜横断組織と接触できる。強膜横断領域の埋め込み物の挿入は、埋め込み物と切開の端部を破壊し、組織が埋め込み物の周りのさらに自然なまたは緩和した状態に戻ることを防ぐことができる埋め込み部位に隣接する目の組織との間の物理境界の原因となる。さらに、脈絡膜は、外科的埋め込みの時において、強膜横断及び強膜下の部品の貫通時に乱され、組織層の急性剥離のリスクを増し、硝子体内出血につながる手術時の埋め込みの部位において出血するリスクに寄与する。本明細書で記載される装置は、それらが目の適切な埋め込みにおいて脈絡膜と境界の強膜を通るが、剥離と硝子体内出血のリスクを最小限にしながら、また目に十分な固定と、装置の長期治療おいて時間と共に複数回の針の貫通に続く効果的な封止を提供するための再封セプタム領域を提供する機構を組み込む。
【0069】
いくつかの実施において、装置の強膜横断領域の長直径(及び強膜を通る装置のいずれかの部分)は、切開の長さより大きくなく、好ましくは、切開の長さより小さく、約1mmから約5mmであることができる。本明細書で記載される処置装置の大きさは、一般に埋め込みと続く使用の間、切開の引き伸ばしを避ける。いくつかの実施において、最初に切開の組織端部を「適切に」開ける保持構造105の短軸は、最小化される。装置の強膜横断領域の最小化により装置は、切開を拡大しない方法で挿入されることができ、組織端部が、埋め込み物の首部または上端部の周りでさらなる緩和状態になり、目の壁組織構造(例えば脈絡膜)への乱れを最小化できる。いくつかの実施において、埋め込み物の強膜横断領域の最も大きい短軸は、3.3mm、3.2mm、3.1mm、3.0mm、2.9mm、2.8mm、2.7mm、2.6mm、または2.5mm以下であり、未満であることが好ましい。いくつかの実施において、強膜横断領域の最大短軸は、約1.0mmから約2.6mmである。
【0070】
本明細書で記載される処置装置のいずれかの貫通可能な障壁は、本明細書で援用する、米国特許出願公開第2014/0296800号、2016年4月5日に出願された米国仮特許出願第62/318,582号に記載されたそれらを含むことができる。貫通可能な障壁は、そこに記載されたように多くの特徴のいずれかを用いるアクセスポート内の貫通可能な障壁の強化した保持を提供する1またはそれ以上の特徴を組み込むことができる。例えば、貫通可能な障壁は、アクセスポート内の対応する領域と対になる形状にされることができる。貫通可能な障壁は、例えばさらに保持を支持するためのリザーバ容積にアクセスポートを超えて延在するように構成されたスカート領域など、1またはそれ以上の特徴を組み込むことができる。装置は、貫通可能な障壁の一体性とアクセスポートと封止係合を改善するためのカバーを含む。アクセスポートは、例えば、貫通可能な障壁及び/または一次貫通可能な障壁の上及び/または下に配置された二次貫通可能な障壁の少なくとも領域を取り囲むように構成されたドーナツ型要素など、内部アンカ特徴を含むことができる。本明細書で記載される貫通可能な障壁は、貫通可能な材料で形成されるセプタムである必要はない。例えば、本明細書で記載される処置装置のいずれかは、貫通可能な障壁としてのセプタムを備えるまたは備えないバルブ機構を組み込むことができる。バルブは、薬でリザーバを満たすための、例えば鈍針または細長いカニューレなど、それを通る細長い充填装置を受け入れるように構成される。バルブは、充填装置によって遠位方向に力を与える際に開くように構成される。バルブの開口により、充填装置は、液密係合を形成し、充填装置に取り付けられた流体容器と処置装置のリザーバの間の流体連通を許容することができる。バルブ及び充填装置は、流体がバルブと充填装置の境界の間から漏れることを防ぐ方法で、流体がリザーバに入るように、注入の間、封止するように構成されることができる。バルブの形態は変えることができ、これに限定されるものではないが、スプリットセプタム、チェックバルブ、ボールバルブ、フラップバルブ、ディスクバルブ、ダックビルバルブ、または他のバルブ形態を含む。いくつかの実施において、貫通可能な障壁は、ツイストバルブであることができる。ツイストバルブは、流体が装置から出入りすることを防ぐ曲がりくねった通路を含む。充填針は、曲がりくねった通路を通る挿入のための外セプタム材料及び鈍い栓塞子の貫通のための鋭い要素を含むことができる。栓塞子が曲がりくねった通路を通って挿入されるように材料がリザーバから挿入され/引き抜かれるように充填針の遠位先端が、リザーバ内に配置されるまで、通路をまっすぐにする。通路から充填針を除去すると、通路の蛇行性が戻り液密封止を維持する。
【0071】
本明細書で記載される装置実施のいずれかは、あらゆる組み合わせにおいて、目に装置の固定を提供する1またはそれ以上の特徴を組み込むことができる。特徴は、処置装置が使用されるとき、強膜上位置に配置されるように構成されたフランジ要素を有する近位保持構造を含むことができる。特徴は、また強膜横断及び/または強膜下の固定を改善するために、処置装置の上端部(すなわち近位領域及び遠位拡張部)の相対形状を含むことができる。特徴は、処置装置の縫合ができる特徴を含む。これらの特徴は、単独でまたは組み合わせて用いることができる。例えば、本明細書で記載される処置装置は、所定の位置の縫合または強化固定特徴として組み込まれることができる縫合を頼りにする。本明細書で記載される処置装置は、固定のための縫合に頼る必要がなく、所定の位置に装置を維持するために、処置装置の上端部の1またはそれ以上の特徴に頼ることができる。その結果、処置装置の固定の特徴は、強膜下、強膜内、及びまたは強膜上特徴である。
【0072】
本明細書で記載される処置装置は、様々な位置で用いられ、様々な方法で埋め込まれることができる。本明細書で記載される埋め込み方法と処置装置の使用は、埋め込まれる処置装置のタイプ、意図される位置及び処置のための薬に依存して変わる。以下にさらに詳細に記載されるように、本明細書で記載される処置装置は、1またはそれ以上の装置を用いてプライミングされ、埋め込まれ、充填され、補充され、吸引され、及び/または膨張される。処置装置が治療溶液で充填される前にプライミングされるとして記載される場合、装置は、プライミングすることなく埋め込まれる。例えば、装置は、「乾燥して」埋め込まれ、装置が治療溶液で満たされるまたは受動的に埋め込み後に溶解されるとき、空気は、装置から排出される。同様に、処置装置が目から取り外されるように本明細書で記載される場合、それらは、また治療材料を送達することなく無期限に埋め込まれたままであることもできる。
【0073】
処置装置埋め込みの1つの実施において、強膜切開は、従来の方法によって作り出される。強膜切開は、強膜24を通る処置装置の挿入部位の後に作り出されるまたは強膜切開は、強膜24を通った柱の挿入部位上に直接作り出される。結膜16は、強膜24の領域をさらすように、切断され、後退される。結膜16の切開は、処置装置の意図する挿入部位から離れてなされる。強膜切開または穿孔は形成される。強膜切開または穿孔は、上記されたように送達装置道具または処置装置の遠位先端を用いて作られる。いくつかの実施において、処置装置は、縫合のない手術方法及び装置を用いて埋め込まれる。他の実施において、処置装置は、例えば強膜フラップの下など、強膜下に配置される。柱は、排出口の少なくとも1つが目標送達部位の中または近くに配置されるまで、及びもしフランジ要素があるならば、フランジ要素の内側に面する表面が目の外面に当接するまで、目(例えば硝子体内または前室など)に挿入される。追加の固定要素は、例えば本明細書のいずれかで記載されるように縫合またはもし必要とされるならば目に処置装置の埋め込みに続く他の要素が用いられる。処置装置は、これに限定されるものではないが、1、2、3、4、5、10、15、20、25日または任意の数の日、月及び年、少なくとも約3年まで、を含む期間、目に1またはそれ以上の治療薬を送達するための適切な位置に残ることができる。治療薬が所望の期間送達された後、処置装置は、さらなる送達のために補充されるまたは取り除かれる。
【0074】
一般に、本明細書で記載される処置装置は、薬溶液、薬懸濁液及び/または薬マトリクスを含む。本明細書で記載される処置装置は、また長期間治療的に効果的な量において、1またはそれ以上の治療薬を送達するために処方された1またはそれ以上の固体薬物核またはペレットとして処方された治療薬を含むことができる。処置装置が治療的に効果的な量を送達する期間は変えることができる。いくつかの実施において、処置装置は、装置の補充が必要でないように、装置の効果寿命を通して治療を提供するために埋め込まれる。
【0075】
図14A-14Dは、本明細書で記載される処置装置をプライミングする、充填する及び/または補充するように設計された一般化された道具1400を示す。道具1400は、トロカール導入カニューレまたは内部充填カニューレまたは針270が延在する内腔を有する外シース280を含む。シース280は、シース280の遠位端がリザーバ130の近位端領域(
図14B参照)及び/またはもし存在するならば、中心核要素135の近位端に入るまで、貫通可能な要素115を通って装置100の近位領域に延在する。道具1400の領域は、遠位先端212がリザーバ130に遠すぎて延在しないように、ストッパ(図示せず)を有することができる。針270は、シース280の内腔を通り、リザーバ130の少なくとも近位端領域に延在する(
図14C参照)。針270は、リザーバ130の遠位端領域に向かってリザーバ130にさらに延在する。針270の全長は、針270がリザーバ130の遠位端領域またはもし存在するならば中心核要素135に向かって延在するように、それが用いられる処置装置に基づいて選択される。またはもし装置がフローディレクタ140を含むならば、針270は、フローディレクタ140の少なくとも領域を通って延在するように構成された長さを有することができる。針270は、材料が針270から流れ出る開口214を有する遠位先端212を含む(
図14D参照)。遠位先端212は、鋭くまたは鈍くされることができる。針270を通って遠位先端212近くの開口214から出る材料の流れは、ボトムアップ方式でリザーバ130を充填できる。シース280の遠位端領域は、リザーバ130から既存の材料を受け入れるように構成され、針270を通る新しい材料で充填するとリザーバ130から出て流されることができる。フローディレクタ140と組み合わせたこれは、補充効率を増加することができる。
【0076】
道具1400は、例えば本明細書で援用する米国特許第8,399,006号、米国特許第8,623,395号、米国特許出願公開第2013/0324918号、米国特許出願公開第2013/0165860号に記載された他の補充装置の1またはそれ以上の特徴を組み込むことができる。アクセス領域及び処置装置のアクセス領域に設置された貫通可能な障壁の全長に依存して、補充カニューレまたは針270は、様々な長さ及び/または補強構造のいずれかを有する。針及びシースがお互いに対して動作可能であるとして記載される場合、それらは固定された形態であることも理解されるべきである。本明細書のどこかに記載されているように、流体交換は、吸引及び容積式交換を組み込むことができる。
【0077】
リザーバ130は、装置の埋め込み及び取り付けに続いて充填され、膨張される。しかしながら、リザーバ130は、以下にさらに詳細に記載されるように、切開内で完全に処置装置100を取り付ける間またはその後、充填される。いくつかの実施において、充填針は、処置装置100が充填されたとき、その流体戻り経路によって視覚的なフィードバックを提供するハブを有する30ゲージ針である。例えば、充填針は、戻り流体を見るための透明または半透明の室を含む。充填針は、また1またはそれ以上の戻り流体経路穴を含む。充填針は、プライミング流体が処置装置100から取り除かれるまで、装置100に治療流体を注入するために用いられる。リザーバ130は、装置100が流体で満たされるとき膨張する。装置100は、最大膨張を確実にするためにわずかに過充填される。いくつかの実施において、充填針は、上記されたように処置装置から空気をプライミングする及びパージするために用いられるプライミング針と同じである。充填針は、また適所に処置装置を保持し送達するために用いられる挿入装置の一部である。
【0078】
図15は、目に埋め込まれる間、装置100を補充するための装置100の流体を交換するための交換針器具200の実施である。器具200は、装置100のリザーバ130に治療流体を注入するために容器310((
図18C参照)を有するシリンジ300と連結するまたは含むことができる。器具200は、装置100の少なくとも一部内に実質的に設置される細長い構造201を含むことができる。細長い構造201は、装置100のリザーバ130の治療流体を設置する少なくとも1つの開口214及び埋め込み可能な装置100のリザーバ130から流体を受け入れるための複数の開口236を含むことができる。
【0079】
また、
図15に関して、細長い構造201は、遠位部210、中間部220、及び近位部230を有することができる。遠位部210は、埋め込み可能な装置100の貫通可能な要素115を貫通するように構成された遠位先端212を含む。治療流体を埋め込み可能な装置100に注入するための少なくとも1つの開口214は、遠位先端212においてまたは近くに見つけられる。中間部220は、細長い構造201が貫通可能な要素115の一体性を維持し、貫通可能な要素115への損傷を緩和するように貫通可能な要素115を通って進められるとき、貫通可能な要素115に形成されるチャネルの大きさが次第に大きくなるように先細りされた部分224を含む。先細りされた部分224は、軸202に沿って延在し、そうでなければ穴の端部の近くに発生する貫通可能な要素115への圧力を減らすように穴をなくすることができる。近位部230は、埋め込み可能な装置100のリザーバ130から流体を受け入れるように複数の開口236を含む。細長い構造201は、装置100のリザーバ130に細長い構造201を挿入する深さを制限するストッパ240を含む。ストッパ240は、注入の間、組織と係合するための変形可能な材料であることができる。近位部230は、ストッパ240から延在する拡張部238を含む。拡張部238は、流体が交換されストッパ240が結膜16と係合するとき漏出を抑制するための穴がない。
【0080】
治療装置100に連結されるとき、ストッパ240は、結膜16と係合するために配置され、細長い構造201は、結膜16と装置100の貫通可能な要素115を通って延在する。細長い構造201は、ストッパ240の表面が、例えば結膜16と接触するとき、装置100内の位置において遠位先端212を設置するような大きさにされる。遠位先端212は、例えば埋め込み可能な装置100の長さの約3/4などの所望の長さ未満、いくつかの実施において、装置100の距離の約半分未満である、装置100内の貫通可能な要素115からの位置において遠位先端212を設置するように、細長い構造201に配置される。拡張部238は、例えば、貫通可能な要素115の外面から離れて複数の開口を配置し、漏出を抑制するように、貫通可能な要素115を通って少なくとも約半分など、実質的に貫通可能な要素115を通って延在する。
【0081】
図16は、
図15の器具200の細長い構造201の詳細図を示す。細長い構造201は、遠位先端212とストッパ240の間の軸202に沿って延在する。遠位部210は、組織を貫通する先端212と中間部220の間に延在する実質的に一定の大きさの断面を有する拡張部211を含む。本明細書のどこかに記載されるように、細長い構造201は、内部充填カニューレまたは針270及び外シース280を含む。針270は、シース280の内腔を通って延在する。針270は、針270の内腔を通って注入される材料が開口214から流出する少なくとも1つの開口214を有する遠位先端212を含む。遠位先端212は、鋭くまたは鈍くされる。シース280は、リザーバ130から既存の材料を受け入れるように構成され、そのため、それは、針270を通って新しい材料で満たされると、リザーバ130から流れ出る。その結果、シース280は、その内腔に少なくとも1つの開口を含む。開口は、針270の外面とシース280の内面の間に形成されるシース280の遠位端において形成されることができる。代わりに、または追加的に開口は、以下にさらに詳細に記載されるように、シース280の壁を通る複数の開口を含む。
【0082】
また
図16に関して、拡張部211は、ストッパ240から針270の先端部212に延在する針270の一部を含むことができる。先端部212は、例えば結膜組織を貫通するための針の先端部など、組織を貫通するように構成される。先端部212及び開口214は、埋め込まれた装置100のリザーバ130内の効率的な流体交換を提供するためにストッパ240及び複数の開口236から距離204を配置することができる。いくつかの実施において、開口214は、開口214が複数の開口236の遠位に配置されるように、複数の開口236より大きいストッパ240からの距離において設置される。開口214と複数の開口236の間の相対位置は、開口236を通ってリザーバ130から動いて出る埋め込まれた装置100内の流体と、開口214を通ってリザーバ130に動いて入る注入された治療流体の混合を抑制することができる。開口214は、距離208で複数の開口236から分離され、そのため開口214は、治療流体が注入されたとき、複数の開口236の下に配置される。
【0083】
治療流体は、埋め込まれた装置の流体より高い密度を有し、開口214は、治療流体が流体の(すなわち動いて出る流体から動いて入る流体の)混合を抑制するために注入されるとき、複数の開口236の下に設置されることができる。埋め込み可能な装置100の軸100A及びリザーバ130の対応する軸は、水平から離れて配向され、多孔質構造120は、治療流体が注入されたとき、貫通可能な要素115の下に配置される。軸202は、水平から離れて配向され、開口214は、複数の開口236の下に設置される。密度の高い治療流体は、治療装置の遠位端に向かって流れ、密度の低い埋め込み可能な装置からの置換流体は、開口214上に配置される複数の開口236によって受け入れられる。内針270は、外シース280に対して動作可能である、または2つの構成部品はお互いに対して固定された形態にあることが理解されるべきである。
【0084】
治療薬及び対応する処方及び埋め込まれる装置の室内の流体の密度より高い密度を有する流体は、本明細書で援用する米国特許公開公報第2016/0128867号として公開された米国特許出願第14/937,784号の表1に記載されている。例えば、治療薬または安定剤の1またはそれ以上は、治療流体の密度を増加する。多くの実施例において、高い密度を有する治療流体は、例えばトレハロースなどの安定剤、及び抗体フラグメントを含むタンパク質などの治療薬を含む。代わりにまたは組み合わせて、治療製剤は、埋め込まれる装置の流体より高い密度を提供するのに十分な薬剤の量を含むことができる。密度の差は、約1%から約10%の範囲内であり、治療装置のリザーバ室内の流体の密度と、交換装置を用いてリザーバ室に設置された治療流体の密度に依存する。治療流体の密度は、治療薬の密度と安定剤(存在する場合)の密度に対応する。多くの実施形態において、リザーバ室の流体密度は、例えばリン酸緩衝生理食塩水、または血漿の密度、または前の交換からリザーバに残る治療流体の量、またはその組み合わせに対応する。本明細書のどこかに記載されるように、交換流体の間の温度差の結果としての流体密度の差は、ボトムアップ充填効率を改善する。上記されたように、補充の間、埋め込み物の配向及び/または埋め込み物と交換針の間のチルト角度は、注入される流体と埋め込み物の内容物の間に異なる溶液密度がある場合、補充効率を改善する。吸引は、同様に交換の効率を助けるために組み込まれることができる。
【0085】
患者内に埋め込まれる装置に注入されたとき、距離204は、装置140の長さ程度に相当するだけである。距離204は、多孔質構造120に触るのではなく、近くの遠位先端212を設置するように、リザーバ130(またはもし存在するならば中心核135)の実質的な長さであり、交換器具200の細長い構造201は、埋め込み可能な装置100の細長い軸100Aと一列に並ぶ。多くの実施において、距離204は、リザーバ室の距離の約半分(または存在するならば中心核135の長さ)に相当するだけで、そのため細長い構造201は、埋め込み可能な装置と容易に一列に並ぶ。実施形態に関する作業は、軸202と軸100Aの角度配置誤差の許容を提供する距離は、交換を促進し、交換効率を改善することができることを示唆する。埋め込み可能な装置の軸距離の約半分未満のストッパ240から先端212への距離204は、注入の間、配置を促進する。
【0086】
中間部220は、先細りされた部分224及び遠位部210の間に延在する拡張部222を含むことができる。拡張部222は、先細りされた部分224より大きさの小さい断面を有することができる。拡張部222は、組織を貫通するために滑らかな外面を有する。先細りされた部分224は、組織と貫通可能な障壁を貫通するための滑らかな外面を有する。先細りされた部分224の外面は、軸に対して傾いた角度で延在し、先細りされた部分224は、外面が軸に対して傾いた角度で延在するように軸と角度を有する円錐部を含むことができる。先細りされた部分224の傾斜角度は、例えば25度未満である。傾斜角度は、例えば約1度、約2度、約5度、約10度、約15度、約20度、約25度未満である。拡張部216は、第1の大きさの断面を有し、複数の開口236を有する部分は、第1の大きさより大きい第2の大きさの断面を有し、そのため傾斜角度を有する先細りされた部分224は、拡張部216を複数の開口236を有する部分と接続するためにその間に延在する。
【0087】
また
図16に関して、近位部230は、軸202に沿って空間を空けられ、ストッパ240がリザーバ室内に複数の開口を設置するための結膜16と係合するとき、複数の円周及び軸の配置から流体を受け入れるため近位部の円周の周りに分配された複数の開口236を含む。複数の開口236の少なくとも1つの開口237は、貫通可能な障壁184の厚さに実質的に対応する距離206でストッパ240から離れ、そのため複数の開口236の少なくとも1つの開口237は、貫通可能な要素115の内面と接触する流体を受け入れるように貫通可能な要素115の内面の近くに設置される。いくつかの実施において、貫通可能な要素115の厚さは、例えば約0.5から約1.5mmの範囲内など、約0.25から約2mmの範囲内であり、貫通可能な要素115の厚さは、そのため実質的に約100μmである結膜の厚さより大きい。貫通可能な要素115の厚さと実質的に対応する距離206は、貫通可能な要素115及び患者の上皮の厚さと実質的に対応する。
【0088】
上述のように、外シース280は、針270の少なくとも一部を覆って延在するように構成される。シース280は、中間部220及び近位部230に沿って延在し、針270は、シース280を通って延在する。シース280は、複数の開口236を含み、セプタムに埋め込み可能な装置の流体を通すために針270に沿って延在する1またはそれ以上のチャネルを提供する。
【0089】
図17は、針270に渡って延在するシース280を有する交換器具200の細長い構造201の断面図を描く。針270は、例えば内腔などチャネル219を含む。チャネル219は、シリンジ300または装置に注入され、針270の遠位端領域において遠位開口214に延在する治療流体を保持する他の容器と近位端において連結される。シース280は、細長い構造201の中間及び近位部と対応する部分を含む。拡張部222は、針270の外面と係合するような大きさにされた内面を有するシース280の遠位部を含む。いくつかの実施において、拡張部222の直径は、針270を圧力または摩擦の少なくとも1つと係合するための針270の外径に近づく内径を有する。これにより、装置100に細長い構造201を挿入する際に貫通可能な障壁115のコアリングに寄与することができる針270とシース280の間の遠位に面する空間が最小化される。先細りされた部分224は、シース280が組織及び貫通可能な要素115を貫通するための先細りされた表面を有する、シース280の中間部を含む。近位部230は、複数の開口236と拡張部238を有するシース280の近位部を含む。
図17に最も示されるように、チャネル239は、複数の開口236へ針270の外面に沿って延在する。チャネル239は、埋め込み可能な装置100の流体を受け入れるために収集室250(
図18C参照)へ拡張部238に沿って近位に延在する。チャネル239は、以下にさらに詳細に記載されるように、埋め込み可能な装置100の流体を受け入れるように収集室250に複数の開口236を連結する。
【0090】
上述のように、交換器具200は、シリンジ300またはリザーバ130に送達される流体を保持するように構成された他の容器310を含む。
図18A-18Cは、シリンジ300に連結するためのロックコネクタ290を有する針基部アセンブリを有する交換器具200の実施を示す。コネクタ290は、例えばシリンジ300のコネクタ320のチャネルに適合するような大きさにされた拡張部292を有するロックコネクタである。交換器具200は、例えばLuer-Lok(登録商標)フィッティングまたは圧力フィットコネクタなど、標準ロック針など、標準ロック針アセンブリの部品を含む。代わりに、コネクタ290は、交換器具200へのアクセスを制限しないように非標準コネクタを含んでもよい。例えば、コネクタ290は、スターコネクタまたは他のコネクタであり、コネクタ290は、ロック及びキー機構を含んでもよい。ロック及びキー機構は、コネクタ290のロックが交換器具200にインジェクタを結合するためのコネクタ320のキーを受け入れ室310から開口214への注入を許容するように、インジェクタのキーを受け入れるように構成された交換器具200のロックを有する。代わりに、シリンジ300は、交換器具200に添付され、シリンジ300は、単一投与の治療薬が提供される。
【0091】
交換器具200は、またリザーバ130から流体を受け入れるように構成された収集室250を含む。収集室250は、シース280を通って延在する針270を囲うように構成された壁252によって画定される。壁252は、ストッパ240から実質的な距離延在し、大気圧に放出できる少なくとも1つの開口258を含む。以下にさらに詳細に記載されるように、排出チャネル254は、容器250から大気圧への少なくとも1つの排気開口258まで延在する。
【0092】
図18Dは、
図18A-18Cの交換器具200の細長い構造201及び収集室250を示す。壁252は、収集室250の遠位部の周りに延在する。針270及びシース280は、収集室250の壁を通って延在する。ストッパ240は、壁252の遠位部に配置され、例えばシリコンエラストマなど、柔らかい弾性材料などの柔らかい材料で形成される。ストッパ240は、壁252の表面に形成される凹部内に適合し、針270とシース280は、例えば柔らかい弾性ストッパ240を通って延在する。シース280は、複数の開口236の近位に先細りされた部分224を含む。針270は、例えば、先端212から収集室250を通ってコネクタ290に延在する(
図18A-18D参照)。シース280は、先細りされた部分224の遠位の第1の端部から第2の端部に延在する。第2の端部は、収集室250に開口285を含む。埋め込み可能な装置からの置換流体の流出経路は、複数の開口236を通ってチャネル239へ、チャネル239に沿って開口285へ、及び開口285を通り収集室250に延在する。
【0093】
図18Eは、
図18A-18Dの交換装置と組み合わせるのに適切な様々なシース形態を示す。シース280は、多くの方法で構成され(
図280Aから280Kを参照)、例えば約0.001インチ(1/1000インチ、25μm)など、約0.0001インチから約0.01インチの厚さの壁を有する。シース280は、複数の開口236から開口285へ、針270とシース280の間に軸方向に延在する環状チャネル239を提供するように、針270の外径より大きな大きさの内径を含む。開口236のそれぞれの直径は、例えば約0.001インチから約0.01インチの範囲内であり、約0.0001インチから約0.1インチの範囲内である。複数の開口236のそれぞれの直径は、大きさと形状が均一または変えることができる。複数の開口236は、多くの形状の1またはそれ以上であり、多くの方法で配置される。それぞれの列は、例えば約1から約20の穴を含み、例えば円形、卵形、楕円形または他の形状である。シース280は、円形の穴の4つの列を有するシース280Aを含む。穴のそれぞれは、例えばシース280の外径の厚さの約半分未満の直径を有し、例えばお互いに90度で円周方向に配置されることができる。4つの列のそれぞれはシース280に沿って軸方向に延在する。列は、例えばお互いに90度角度をつけて間隔を空けられる。シース280は、約2列有するシース280Bを含み、それぞれの列は、約4つの穴を備え、それぞれの穴は、シース280の外径の直径の約1/8未満の直径を有する。2つの列は、180度円周方向に間隔を空けられ、穴は、シース280の両面を通ってクロスドリルされた穴を含み、そのためそれぞれの穴は、シースの反対側の他の列に対応する穴を有する。シース280は、約4つのクロスドリル穴を有するシース280Cを含み、それぞれの穴は、例えばシース280の外径の直径の約3/4未満の直径を有する。穴は、1対の穴であり、それぞれの対の穴は、対応する軸配置を有する。穴は、180度円周方向に離れた2つの列に配置される。シース280は、少なくとも約3つの穴の少なくとも約3つの列を有するシース280Dを含み、それぞれの穴は、シース280の外径の直径の約1/4未満の直径を有する。列は、例えば約120度円周方向に間隔を空けられる。シース280は、少なくとも約40の穴を有するシース280Eを含み、それぞれの穴は、シース280の外径の直径の約1/10未満の直径を有する。シース280は、スロットを有するシース280Fを含む。スロットのそれぞれは、幅が狭く、長さが長い。長さは、シース280に沿って軸方向に延在し、幅の狭さより長い距離で延在する。長さは、例えば複数のスロットが配置される場合、シース280の外径より長い距離で延在する。それぞれのスロットの幅の狭さは、例えばシースの外径の約半分未満である。シース280は、穴が交互の列を有するシース280Gである。複数の開口236は、クロスドリル穴236Aの第1の列と第2の列を含み、第1の列の穴は、それぞれの対の共通軸方向位置で第2の列の穴と対になる。穴の第3の列と穴の第4の列は、お互いに180度、第1の列と第2の列に90度において配置されたクロスドリル穴236Bを含む。穴の第3及び第4の列の軸方向の位置は、穴の第1及び第2の列から交互にされ、そのため第1の列及び第2の列の穴236Aの軸方向の位置は、例えば第1の列及び第2の列の穴236Bから離れた軸方向の位置に対応する。シース280は、長さと短さを有する楕円形の穴を有し、長さはシース280の軸を横切って延在し、短さはシース280の軸に沿って延在するシース280Hを含む。楕円形の穴は、間隔をあけて、例えばシースの軸に沿って延在する列に配置される。シース280は、例えばシースの軸に沿って延在する楕円形の長軸とシースの長軸を横切って延在する楕円形の狭さを有する細長い楕円形の穴を有するシース280Iを含む。シース280は、少なくとも約3つの楕円形の穴の少なくとも約3つの列を有するシース280Jを含み、それぞれの楕円形の穴は、シース280の外径の直径の約1/4未満の最大の大きさを有する。列は、例えば本明細書で記載されるように約120度の円周方向に間隔を空けられる。シース280は、少なくとも約40の穴を有するシース280Kを含み、それぞれの穴は、シース280の外径の直径の約1/10未満の直径を有する。穴は、シース280の反対側に配置され、例えばクロスドリル穴を備える。
【0094】
内針270からの開口214の配置は、同様に変えることができる。例えば、開口214は、補充効率に影響を与えるために、針270からリザーバ130へ流れの方向を変えるように構成される。開口214は、例えば
図14C-14Dに示されるものと同様に針270の遠位先端212の近くに配置された1またはそれ以上の側面開口を含む。シース280の開口236、針270の開口214、注入される治療流体の密度/粘度、装置100内の1またはそれ以上のフローディレクタタイプの特徴の存在は、全て交換効率を改善するための装置内の効率的な流れパターンに影響を与える。
【0095】
再び
図18A-18Cに関して、交換針器具200の収集室250は、容積(例えば約200μL未満、約150μL未満、または100μL未満、または約50μL未満)、及び排出経路に沿う収集室250の少なくとも領域内に配置された多孔質構造256を有する。多孔質構造256は、空気に低抵抗な材料及び他の気体で形成されつつ例えば装置100からの液体など、液体の流れを実質的に抑制する。多孔質構造256の材料は、疎水性膜、織物、多孔質織物、半透過膜、通気性材料、水蒸気移動防水織物、親水性多孔質材料、または多孔質焼結材料である。多孔質構造256は、気体の流れに低抵抗を有し、液体に高抵抗を有する。液体抵抗は、また装置100の多孔質構造(すなわちRCE)を通る液体抵抗より大きい。その結果、治療流体の追加の容積が、交換液体が多孔質構造256と接触してすぐに注入されるならば、ボーラスは、多孔質構造装置を通って目に放出される。これにより、液体の最初の充填または交換に続いて、制御されたボーラスが目に運ばれる(もし望まれるならば)。
【0096】
しなやかで、膨張可能なリザーバ壁を有する装置は、埋め込まれるとすぐに眼内圧(IOP)の力によって直接影響される。例えば、目は、大気圧より大きい内部圧(眼内圧「IOP」)を有する平行な閉じた系として見ることができる。交換装置の遮るもののない排気口は、例えば治療物を硝子体内に配置されたリザーバに注入することによって、閉じた系を貫通する際に、目の内側(高圧)から大気(低圧)へ経路を作り出す。IOPの高圧は、大気へのこの遮るもののない排気口によって硝子体内に配置されたしなやかなリザーバ壁を押し、それにより内側につぶれるように壁を付勢する。その結果、装置の充填の間、IOPは、充填効率と全体のペイロードに影響を与える。
【0097】
図19A-19Cは、収集室250内に制限のない排気口258を有し、多孔質構造256のない交換器具200を用いる交換可能なリザーバ130を有する埋め込まれた装置100の流体交換を描く。膨張可能なリザーバ130の壁は、例えば、交換器具200の制限のない排気口258を通してなど、大気圧の経路が存在するとき、それらがIOPによってそれらの外面に与えられる力によって動かされるようにしなやかである。眼内圧は、患者ごとに変わるが、一般的に10mmHgから約21mmHgの範囲内であり、高眼圧症に苦しむ患者において21mmHgより高いこともある。埋め込まれたリザーバ130の壁に押しつけるIOPは、大気圧への制限のない経路が作り出されるので(
図19A)、リザーバ130の貫通可能な障壁115を通って細長い構造201を挿入すると、即座にリザーバ130の液体505を、開口236を通って、経路239を出て、空の室250に入るように促す。これにより、リザーバ130の壁は、わずかにつぶれる。空の収集室250内に存在する空気405は、液体505が追い出され、室250に集まり始まるときに、排気開口258を通って逃げる。リザーバ130に治療溶液を注入するために針270の内腔219を通る正圧の適用は、IOPより高くへリザーバ130内の内部圧力を増加する。リザーバ壁の内面への力は、リザーバ壁の外面に対するIOPの力に打ち勝ち、それによりリザーバ130が新しい溶液で満たされたとき(
図19B)、外側へ拡大するためにリザーバ130の壁を付勢する。室250の空気405は、排気開口258を通って逃げ続け、リザーバ130からの液体505は、さらに開口236へ、経路239から出て、室250に入るように促される。リザーバ130の治療物を注入するための針270の内腔219を通る正圧の適用が終端するとすぐに、リザーバ130内の圧力は落ちる。もう一度、リザーバ壁の内面への力が、リザーバ壁の外面へのIOPの力に接近し、IOPは、内側にリザーバ130の壁を付勢する。大気圧の経路が開いたまま(すなわち細長い構造201を通って)で、リザーバ壁の内側への動作は、少なくとも細長い構造201が取り除かれるまで(
図19C)、新しく加えられる液体を開口236に、経路239から出て、室250の中に押し進める。その結果、排気開口258を通る制限されない排気により、IOPは、新しく加えられた治療物をリザーバ130から出て収集室250内に運び、送達ペイロードの損失をもたらす。
【0098】
しなやかで膨張可能なリザーバ壁130へのIOPの力に反作用するために、室250は、制限されない排気よりむしろ多孔質構造256を含む(
図20A-20C参照)。多孔質構造256は、充填が完了し、リザーバ130内の増加圧力を維持するとすぐにIOPの力に反作用するのに十分な抵抗を有し、それにより壁の部分つぶれによる新しい溶液の損失を防ぐ。上記されたように、大気圧への経路は、リザーバ130の貫通可能な障壁115を通る交換針器具200に細長い構造201を挿入するとすぐに作り出される。埋め込まれたリザーバ130の壁を押すIOPは、リザーバ130の液体505を、装置100から開口236を通って、収集室250に流体連結された排出内腔239(
図20A)に付勢する。リザーバ130の壁は、わずかにつぶれる。空の収集室250内に存在する空気405は、多孔質構造256が空気に低抵抗を有するので、液体505が室250に集まり始めるとき、排出開口258及び多孔質構造256を通って逃げる。リザーバ130に治療溶液を注入するために針270の注入内腔219を通る正圧の適用により、IOPにまたはIOPより高くリザーバ130内の内部圧力を増加する。リザーバ壁の内面への力は、リザーバ壁の外面に対するIOPの力を超え、それによりリザーバ130が新しい溶液で満たされるとき、外側に拡大するためにリザーバ130の壁を付勢する(
図20B)。収集室250の空気405は、排気開口258及び多孔質構造256を通って逃げ続け、リザーバ130からの液体505は、さらに開口236に、経路239から出て、収集室250の中に促される。注入の間の増加圧力は、リザーバ壁の外面に対するIOP力に反作用し続け、リザーバを、充填の間、膨張させ続ける。既存の液体505が新しく注入された治療薬と交換されるとすぐに、収集室250の全ての空気405(すなわち液体でない既存の流体)は、多孔質構造256を通り、装置の排気開口258から出て、収集室250は、新しく注入された治療薬で実質的に充填される。液体505は、収集室250の多孔質構造256と接触し、ぬらす。ぬらされるとすぐに、多孔質構造256は、しなやかで、膨張可能なリザーバ壁130の外面に眼内圧(IOP)の力に反作用するのに十分な液体流れへの抵抗を有する。ぬれた多孔質構造256の液体抵抗は、多孔質構造256を通る液体505の流れを制限し、さらなる排気は、大きく減らされる。装置の内側の圧力は、IOPにおいて、またはより高く維持され、リザーバ壁は、針270の内腔219を通る正圧の適用が中断するときでさえ膨張され続ける。リザーバ130の内側の保持された増加圧力(すなわちIOPにおいてまたはより高い)は、リザーバ壁のIOPによるつぶれを防ぐ(
図20C)。その結果、多孔質構造256の液体抵抗は、さもなければ壁130の外面に対するIOPの力によって引き起こされるリザーバ壁130のつぶれを防ぎ、それによりリザーバの新しく追加された溶液が、ペイロード損失につながる埋め込み物から出て運ばれることを防ぐ。ぬれた多孔質構造256を通る液体流れへの抵抗は、装置の多孔質構造120を通る液体流れの抵抗より高い。そのため使用者が注入経路を通ってリザーバ130に治療薬を注入し続けるならば、新しく注入された治療薬の量は、装置100の多孔質構造120を通り目に入る。これは、装置を通るボーラス送達が望ましい処置に利点がある。
【0099】
埋め込み物が目に少なくとも一部が埋め込まれ、目に治療薬の流出へ少なくとも第1の抵抗を提供する、目の埋め込み物に治療薬を注入する装置は、注入内腔219、排出内腔239、及び収集室250を含む。注入内腔219は、目の埋め込み物のリザーバ130に治療薬を注入するための経路を提供するように構成される。排出内腔239は、目の埋め込み物の既存の流体505が目の埋め込み物から出る経路を提供するように構成される。目に少なくとも一部が埋め込まれる目の埋め込み物の既存の流体505は典型的に液体である。液体は、患者からの流体(例えば硝子体液)及び埋め込み物によって送達された治療製剤からの残った液体を含む。収集室250は、排出内腔239と流体連結される。収集室250は、排出内腔239を通って目の埋め込み物から出る既存の流体505を受け入れるように構成される。収集室250は、第1の流体流出抵抗及び第2の流体流出抵抗を提供する。第1の流体流出抵抗は、埋め込み物の流出への第1の抵抗より低い。第2の流体流出抵抗は、目の眼内圧(IOP)によって埋め込み物に与えられる力より大きい。例えば、新しい治療製剤で目の埋め込み物を再び満たす及び補充するために、注入内腔219を通って目の埋め込み物に治療薬を注入することにより、既存の流体505は、目の注入物から出て、排出内腔239を通って収集室250に入り、第2の既存の流体405は、収集室250から置換する。収集室の第2の既存の流体405は、例えば空気または真空下の空気など気体である。第2の既存の流体405の実質的に全てを収集室250から置換すると、収集室250の第2の流体流出抵抗により、新しく注入された治療薬の一部が目の注入物に治療薬の追加の量の注入の際、注入物から患者の目に通る。その結果、相対抵抗は、注入物の一回の貫通で流体の交換及び治療薬のボーラス量の送達ができる。補充のための装置は、埋め込み物が第1のつぶれた形態から第2の拡大した形態に膨張可能な場合特に有用で、排出された注入物がリザーバの内容物と流体連結するときIOPにさらされるとつぶれる傾向にある。第1の多孔質構造256は、収集室250と動作可能に連結され、第1の流体流出抵抗と第2の流体流出抵抗を提供する。収集室250と動作可能に連結された第1の多孔質構造256は、気体流出への第1の流体流出抵抗と液体流出への第2の流体流出抵抗を有する。埋め込み物は、流出に第1の抵抗を提供する第2の多孔質構造120を含む。収集室250の第1の多孔質構造256の第1の流体流出抵抗は、埋め込み物の第2の多孔質構造120によって提供される第1の抵抗より低い。収集室250の第1の多孔質構造256の第2の流体流出抵抗は、埋め込み物の流出の第1の抵抗より大きい。第2の既存の流体は、排気口またはバルブを通して収集室250から置換される。
【0100】
いくつかの実施において、リザーバ130の排出/充填は、吸引を含む。リザーバ130の液体505は、液体505がリザーバ130から出て室250にまで引かれるように、経路239を通る負力の適用によって排出される。リザーバ130から既存の液体505を排出すると、正圧は、上記されたように、新しい溶液でリザーバを満たすように適用される。代わりに、負圧は、新しい溶液が空にされたリザーバ130に引かれるように、経路239を通って適用され続ける。リザーバ130が新しい溶液で満たされるとき、流体充填によるリザーバの内面に対する力は、リザーバ壁の外面に対するIOPの力を超え、それにより外側へ拡大するためにリザーバ130の壁を付勢する。リザーバ内の圧力は、維持され、壁は、上記されたように多孔質構造256をぬらすと膨張され続ける。
【0101】
多孔質構造256は室250の壁252と共に、室250の容積を画定する一定の上限を作り出す。室250の容積は、装置100によって保持される液体の最大容積を集めるために十分である。室250の容積は、また装置100によって保持される液体の最大容積より小さく、流体交換の際に制御された量のボーラス発現は、装置100の多孔質構造120を通して起こる。多孔質構造256は、相対的に硬い構造であり、装置100から出る液体505と接触する際に、多孔質構造256は、室250の一定の容積を維持する変形に抵抗する。これにより、構造256が、追加の液体がペイロード損失につながる、充填後、室250に入ることができるようにゆがむことを防ぐ。一定の室容積により、制御されたボーラスが一定の注入容積と同時に用いられるとき送達されることができる。
【0102】
室250の形状と室250内の多孔質構造256の相対位置は変えることができる。一般に、(例えば、室250内の最も高い可能性のある点において)多孔質構造256の形状と相対位置は、室250からの気体のよい排出とボトムアップからの予測可能な液体の充填を提供するように設計される。一般に、収集室250の形状は、実質的に完全な空気排出と一致した液体容積が起きた後にのみ、多孔質構造256が排出液体によってぬらされることを確実にするための充填を導く。これにより、新しい溶液の適切な容積が注入されたのち「遮断」があることが確実にされる。重力及び/または毛細管現象が、以下にさらに詳細に記載されるように、一定の及び予測可能な充填ができ、気体の捕獲を最小化するために利用されることができる。
【0103】
いくつかの実施において(
図20A-20Cで示されるように)、多孔質構造256は、同心円状に針270(または針270の長軸)を取り囲み、室250の内側に面する壁と係合する。多孔質構造256は、それにより壁252と共に室250の容積を画定する室250の一定の上限を作り出すキャップを形成する。多孔質構造256は、また以下にさらに詳細に記載されるように、室250の領域内に配置された個別の構造である。
【0104】
図21は、シリンジ300とともに用いられるように構成された交換器具200またはリザーバ130に送達されるための流体を保持するように構成された他の容器310の実施の概略断面図である。交換器具200は、リザーバ130からの放出流体を受け入れるように構成された収集室250を含む。収集室250は、一般的な同心の方法で、針270を囲うように構成された壁252によって画定される。壁252は、例えば約200μLまでの大きな容積を集めるために、シリンジの直径を超えてラッパ状に広がる。室250の上端領域は、針ハブアセンブリ500を囲うような大きさにされた内径と壁252と係合するような大きさにされた外径を有するスペーサリング265と係合する。スペーサリング265は、壁252と共に室250の容積を画定する室250の一定の上限を作り出すキャップを形成する。多孔質構造256は、室250の上限近くのスペーサリング265の領域内に設置される。前に記載されたように、多孔質構造256は、気体流れ(例えば空気)に低抵抗を有し、液体に高抵抗を有する材料で形成される比較的硬い構造であり、それによってそこを通る液体の流れを実質的に抑制する。多孔質構造256は、充填後、つぶれを防ぐ装置のしなやかなリザーバ壁に加わるIOPの力のバランスを取るように構成され、それによりペイロード損失を防ぐ。
【0105】
図22は、針270の軸202(または針270の注入内腔)に対してオフセットする収集室250を有する交換器具200の別の実施の概略斜視図を示す。交換針270に対して同心円状に配置された収集室250は、特に室250が(例えば200μlより大きい)高容積容量を有する場合に、装置の使用者の視界に影響を与える。収集室250は、貫通の間、装置の使用者の視界を邪魔する室250に伴う問題を緩和するために、交換針270の軸202からオフセットする。さらに、収集室250の本体は、1またはそれ以上のグリップ特徴253を組み込み及び/または人間工学的にハンドリングを助ける形状にされる。他の実施と同様に、収集室250は、例えば収集室250の上限の近くに、多孔質構造256を組み込む。
【0106】
図23は、オフセット収集室250を有する交換器具200の別の実施の部分分解図を示す。針の先端(図示せず)の使用者の視界は、針カニューレ通路267の形状を改良することによって強化される。例えば、針カニューレ通路267は、近位端領域において第1の軸Aに沿って延在し、針の先端近くの遠位端領域において第2の軸Bに沿って延在する。そのように、針カニューレは、オフセット体251から離れて経路指定され、針の先端は、もはやハブアセンブリ500またはハブアセンブリ500と接続されたシリンジバレルと同心でないように、第1の軸Aから第2の軸Aまで経路指定される。装置から戻り経路に放出される流体は、開口285を通って狭い収集室250に案内される。この実施において、収集室250は、管状構造269の開口285と多孔質要素256における終端の間に延在する内腔を有する管状構造269である。装置から開口285を通って放出される流体は、管状構造269の内腔に入る。管状構造269は、その全体の長さを通して、比較的均一な内径を有する。管状構造269の内径と長さは、望まれる全体の容積容量に依存して変えることができる。管状構造269は、0.5インチから3.0インチの長さで、0.125インチから0.5インチの内径を有する。管状構造269は、毛細管現象が装置100のリザーバ130から内腔に及び内腔を通るまで放出される交換液体を引く助けをするような、内径を有する。管状構造269の長さに依存して、開口285から内腔(すなわち交換装置の本体内)に離れる管の端部は、コイル状である。コイルの数は、管の長さで変わる。そのため、コイル状管式収集室250は、広い範囲の容積容量を有しながら一般に同じフォームファクタを維持する。コイル状管式収集室250は、均一な制御された充填パターンを提供し、交換の間、室250内に空気を捕獲するリスクを最小化する。収集室250内に捕獲された空気は、装置のリザーバ内に得られる最終流体容積に影響を与える。
【0107】
図24A-24Dは、オフセット収集室250を有する交換器具200の別の実施を描く。
図24Aは、透視側面図であり、
図24Bは透視上面図であり、
図24Cは、側面図であり、
図24Dは、側面断面図である。収集室250は、収集室250の大きな直径の近位端領域277で近位に広がりまたは拡大する狭い、管状遠位端領域275を有する。狭い遠位端領域275は、少なくとも長さにおいておおよそ管状である。装置100のリザーバ130から放出される流体は、開口285を通って遠位端領域275に入る。開口285を通って収集室250の遠位端領域275に入る流体は、収集室250を通って、収集室250の上または近位端に取り付けられた多孔質要素256に向かって注がれる。多孔質構造256は、本明細書のどこかに記載されるように様々な形態に従って取り付けられる。本明細書のどこかに記載されるように、多孔質構造256は、充填後つぶれを防ぐ装置のしなやかなリザーバ壁に加わるIOPの力とバランスを取るように構成され、それによりペイロード損失を防ぐ。収集室250の遠位端領域275の内径は、交換の間、室250内で空気を捕獲するリスクを最小化する均一な制御された充填パターンを提供する大きさにされる。収集室250が収納される本体251のオフセット形態は、使用の間、処置装置の視認性を増加するために全体の大きさを最小化するために流線型にされ、シリンジバレルの周りに巻き付く。交換器具200の本体251は、使用の間、視認性を改善するカニューレの軸202に対してある角度で針の先端(図示せず)に向かって先細りする。針の先端は、本明細書のどこかに記載されるように、針ルアーまたはシリンジバレルと同心または偏心である。
【0108】
再び
図24A-24Dに関して、本体251は、針ハブアセンブリ500がシリンジバレル300と連結する領域を過ぎて第1の距離を伸ばす。収集室250の本体251は、シリンジバレル300と並んで配置される。収集室本体251の大きさは変えることができる。
図25は、例えば約200μl、300μlまたは400μlの容積の、大きな容量で設計されたオフセット収集室250を有する交換器具200の実施を描く。遠位端領域275が収集室250の開口258の近くにある収集室250の全体の形態は、狭く、室250の上限近くの多孔質構造256まで流体を案内する近位端領域277に向かって広がる。しかしながら、収集室250の大きな容量は、収集室250が収納される本体251の長さを延ばすことによって提供される。長い収集室本体251は、シリンジバレル300と並ぶ。様々な収集室容量のいずれかが、特に硝子体内の埋め込みに限定されない他のタイプの埋め込まれた薬送達装置を充填するために、本明細書で考慮されることが理解されるべきである。
【0109】
本明細書で記載される処置装置は、しばらくして補充される。処置装置のセプタムは、上記されたようにまたは例えば本明細書で援用する米国特許第9,033,911または米国特許公開公報第2013/0165860号で記載されるように、補充の間、補充針で貫通される。補充針及び充填針は、同じタイプの針であるまたはお互いから区別できる。例えば、充填針は、充填を見るための特徴を組み込むまたは組み込まないことができる一方で、補充針はそのような特徴を組み込む。
【0110】
本明細書で援用する2016年4月5日に出願された米国仮特許出願第62/318,582号に記載された細長い首領域及び/または冗長な貫通可能な障壁を有する装置実施と共に用いられる充填針及び/または補充針は、短い首領域を有する装置実施で用いられる針より長い。いくつかの実施において、冗長な障壁システムを組み込んだ場合など、針は、システムを効率的に補充するために補充針の遠位端近くのセプタムまたは集中した戻り穴を通って、長い運動距離を収容するために1またはそれ以上の補強構造を含む。例えば、細長い上端領域を有する、例えば首部の近位部内に存在しない冗長なセプタムまたは貫通可能な要素を組み込む装置のリザーバにアクセスするために、針は、これに限定されるものではないが、その長さの少なくとも領域を囲う長い補強構造及び/または針の遠位端近くの集中した戻り流体穴を含む、よい貫通を提供する1またはそれ以上の特徴を組み込むことができる。
【0111】
一度埋め込まれたリザーバの膨張容積が達成されると、装置は、予測可能な間隔(例えば3、4、5、6ヵ月ごとまたは12ヶ月ごとなど)で補充される。しかしながら、目に埋め込まれると、膨張装置の容積を変えることは、望ましくなく(例えば、埋め込まれると目の動きは周囲の構造への外傷をもたらす可能性または眼内圧の変動につながるかもしれない)そのため、避ける必要がある。一度埋め込まれ、膨張した本明細書で記載される処置装置は、リザーバの外径または外形が装置の使用を通して及び充填状態に関わらず実質的に変わらないように一貫した容積を維持する。さらに、本明細書で記載される処置装置は、実質的に同じ膨張形状を維持する。例えば、薬は、受動的に多孔質薬送達要素を通り、時間と共に膨張リザーバから出て拡散する。目へのこの薬の放出にもかかわらず、膨張リザーバは、例えば硝子体液からリザーバに入る流体及びリザーバに残る薬製剤流体などの流体で満たされたままである。リザーバ材料は、リザーバの内部が薬で満たされるかどうかにかかわらず、その物理構造を維持する傾向がある、実質的に非適合材料で形成される。さらに、本明細書で記載された処置装置の補充は、負圧及び/または超過した正圧がその中に作られないように実行される。
【0112】
図26A-26Cは、取り外し可能なシース280及び交換針器具200から取り外し可能な収集室250を通って延在する針270を有する細長い構造201を有する交換器具200の実施を示す。本明細書のどこかで記載されているように、交換針器具200は、シリンジ300と連結されるように構成された近位端近くのロックコネクタ290を含む。また、本明細書のどこかで記載されているように、針270とシース280は、装置100に新しい材料を注入するように構成されつつ、同時に正圧を用いて装置100から収集室250に既存の材料を導く。細長い構造201の針270は、シリンジ300または装置に注入される治療流体を保持する他の容器とその近位端において連結される内部チャネル219を含む。チャネル219は、治療流体が装置100の内腔から出る遠位開口214に延在する。1またはそれ以上の開口236を有するシース280は、収集室250に向かって案内する針270の外面の少なくとも一部に沿ってチャネル239を作り出す針270の少なくとも一部を囲う。
【0113】
収集室250は、室250の少なくとも一部の周りで不浸透壁252によって画定される。例えば弾性体セプタムなどの貫通可能な障壁で形成された第1のプラグ430は、室250の近位開口内に配置される。貫通可能な障壁材料で形成される第2のプラグ420は、室250がプラグ430,420によっていずれかの端が封止されるように、室250の遠位端に配置される(
図26C参照)。細長い構造201の少なくとも針270は、遠位プラグ420を通って延在する。シース280は、交換器具200から収集室250を取り外す際にシース280が壁252に取り付けられたままであるように、壁252の遠位端から延在し、遠位端によって支持される。プラグ420は、シース280及び針270の取り外しの前のシースを通って延在する針270を覆って設置される。プラグ420は、それにより室250の遠位開口からの埋め込み可能な装置流体262及びサンプル流体264の漏出を抑制する。キャップ435は、プラグ430の外面を覆って配置される(
図26C)。プラグ430及びキャップ435は、サンプル流体264を含む埋め込み可能な装置流体262の蒸発または漏出の1またはそれ以上を抑制する。
【0114】
図27A-27Dは、交換針器具200から取り外し可能な収集室250を有する交換針器具200の別の実施を描く。収集室250は、室250の少なくとも一部の周りで不浸透壁252によって画定される。室250がプラグ430,420によっていずれかの端が封止されるように、例えば弾性体セプタムなど、貫通可能な障壁材料で形成された第1のプラグ430は、室250の近位端において配置され、第2のプラグ420は、室250の遠位端において配置される。細長い構造201の少なくとも針270は、第1及び第2のプラグ430,420を通って延在する(
図27B参照)。本明細書のどこかに記載されるように、多孔質構造256は、膨張可能なリザーバ130の充填の間、交換針器具200の排出を制限するための近位キャップ特徴を形成する収集室250の近位端内に配置される。この多孔質構造256は、細長い構造201の少なくとも針270が、追加的に多孔質構造256を通って延在するように、近位プラグ430の遠位に配置される。
図27Cは、外シース280を通って延在し、遠位プラグ420に穴を開ける細長い構造201の針270を示す詳細図である。外シース280の及び外シースからの開口236により、交換流体は室250に排出できる。
【0115】
収集室250は、環状スナップフィットまたはねじ式連結を含む様々な機構のいずれかによって交換器具200に取り外し可能に連結される。いくつかの実施において、収集室250は、ねじ式連結を手段として交換器具200から取り外される。
図27Dは、細長い構造201とコネクタ290を含む針ハブアセンブリ500を通り過ぎる2つのプラグ430,420によって囲われた収集室250を有する分離容器400の図である。流体は、細長い構造201の引き抜き後、放出される両方のプラグ430,420によって室250内に含まれたままである。針ハブアセンブリ500の遠位端領域565は、ねじ山を付けられ、サンプル容器400の近位端領域465は、遠位端領域565と近位端領域465がねじ式係合で一緒に連結されるように、対応してねじ山を付けられる。針ハブアセンブリ500のねじ山は、遠位端領域565の外面にあり、容器400のねじ山は、近位端領域465がそこに針ハブアセンブリ500の遠位端領域565を受け入れるように、近位端領域465の内面にある。
【0116】
ハブアセンブリ500の残りから分離するとき(
図26B及び
図27Dに示されるように)、封止された収集室250を含むサンプル容器400は、例えばラボ施設またはさらなるプロセスのための他の立地に運ばれる。プラグ420,430の1つまたは両方は、例えば、シリンジ内の流体を回収するために、針でプラグ420,430に穴を開けられることによってなど、室250内のサンプル流体264を引き抜くために貫通される。代わりにまたは追加的にサンプル容器400は、例えば受容室250からサンプルをくみ上げるための針タイプの装置によって貫通される、室250の壁252など、他の領域内に貫通可能な構造259を含む。構造259は、例えばゴムまたはシリコンエラストマの1つまたはそれ以上など、針で貫通するのに適切な1またはそれ以上の再封止可能な材料を含むことができる。構造259は、また織物、多孔質織物、半透過膜、通気性材料、水蒸気移動防水織物、親水性多孔質材料、または多孔質材料または多孔質焼結材料などの1またはそれ以上の材料を含む。本明細書のどこかに記載されるように、収集室250の壁252は、収集室250内に保持される材料の容積が使用者に認識されるように透明または半透明である。サンプル容器400は、例えば環状、球形、正方形、楕円形、または卵形などの1またはそれ以上の形状を有する。
【0117】
症状
【0118】
本明細書で記載される処置装置は、これに限定されるものではないが、乾性または湿性の加齢性黄斑変性症(AMD)、網膜神経節細胞の神経保護、白内障または老眼の予防、癌、血管形成、血管新生、脈絡膜血管新生(CNV)病変、網膜剥離、増殖性網膜症、増殖性糖尿病性網膜症、変性疾患、血管疾患、閉塞、貫通性外傷によって起こる感染症、例えば内因性/全身性感染などの眼内炎、術後感染症、後部ブドウ膜炎、網膜炎、または脈絡膜炎などの炎症、及び新生物及び網膜芽細胞腫などの腫瘍を含む、緑内障以外の様々な他の目の状態を処置及び/または予防するために用いられる。本明細書で記載される装置及び方法を用いて処置される及び/または予防されるさらなる状態は、これに限定されるものではないが、血友病及び他の血液障害、成長障害、糖尿病、白血病、肝炎、腎不全、HIV感染、例えばセレブロシダーゼ欠乏症及びアデノシンデアミナーゼ欠乏症などの遺伝性疾患、高血圧、敗血性ショック、多発性硬化症、グレーブス病、全身性エリテマトーデス及び関節リウマチなどの自己免疫疾患、ショック及び消耗障害、嚢胞性線維症、乳糖不耐症、クローン病、炎症性腸疾患、胃腸または他の癌、変性疾患、外傷、貧血などの複数の全身状態を含む。
【0119】
治療物
【0120】
本明細書で記載される及び/または本明細書に援用する出願に記載された治療装置によって送達される治療薬の例は、以下及びその全てを本明細書に援用する米国特許公開第2016/0128867号として公開された米国特許出願第14/937,784号の表1に提供される。
【0121】
本明細書で記載される装置から送達される治療物は、これに限定されるものではないが、トリアムシノロンアセトニド、ビマトプロストまたはビマトプロストの遊離酸、ラタノプロストまたはラタノプロストの遊離酸または遊離酸の塩、ラニビズマブ、トラボプロストまたはトラボプロストの遊離酸または遊離酸の塩、チモロール、レボブナロール、ブリモニジン、ドルゾラミド、ブリンゾラミドを含む。治療装置によって、送達される治療薬の追加の実施例は、例えば、テトラサイクリン、クロルテトラサイクリン、バシトラシン、ネオマイシン、ポリミキシン、グラミシジン、セファレキシン、オキシテトラサイクリン、クロラムフェニコールカナマイシン、リファンピシン、シプロフロクサシン、トブラマイシン、ゲンタマイシン、エリスロマイシン及びペニシリンなどの抗生物質、例えば、アムホテリシンB及びミコナゾールなどの抗真菌剤、例えば、スルホンアミド、スルファジアジン、スルファセタミド、スルファメチゾール及びスルフィソキサゾール、ニトロフラゾン及びプロピオン酸ナトリウムなどの抗菌剤、イドクスウリジン、トリフルオロチミジン、アシクロビル、ガンシクロビル及びインターフェロンなどの抗ウイルス薬、クロモグリク酸ナトリウム、アンタゾリン、メタピリリン、クロルフェニラミン、ピリラミン、セチリジン及びプロフェンピリダミンなどの抗アレルギ薬、例えば、ヒドロコルチゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、デキサメタゾン、デキサメタゾン21-リン酸、フルオシノロン、メドリゾン、プレドニゾロン、プレドニゾロン21-リン酸、酢酸プレドニゾロン、フルオロメタロン、ベタメタゾン、及びトリアムシノロンなどの抗炎症薬、例えば、サリチル酸塩、インドメタシン、イブプロフェン、ジクロフェナク、フルルビプロフェン、ピロキシカムなどの非ステロイド系抗炎症薬、例えばフェニレフリン、ナファゾリン、テトラヒドロゾリンなどの充血除去剤、ピロカルピン、サリチル酸塩、塩化アセチルコリン、フィゾスチグミン、エセリン、カルバコール、フルオロリン酸ジイソプロピル、ヨウ化ホスホリン及び臭化デメカリウムなどの縮瞳薬及び抗コリンエステラーゼ、例えば、硫酸アトロピン、シクロペントレート、ホマトロピン、スコポラミン、トロピカミド、ユーカトロピン及びヒドロキシアンフェタミンなどの散瞳薬、エピネフリンなどの交感神経刺激薬、カルムスチン、シスプラチン及びフルオロウラシルなどの抗腫瘍薬、例えば、ワクチン及び免疫刺激剤などの免疫薬、例えば、エストロゲン、エストラジオール、プロゲステロン、プロゲステロン、インスリン、カルシトニン、副甲状腺ホルモン及びペプチド及びバソプレシン視床下部放出因子などのホルモン剤、例えば、マレイン酸チモロール、塩酸レボブノロール及び塩酸ベタキソールなどのベータアドレナリン遮断薬、例えば、上皮成長因子、線維芽細胞成長因子、血小板由来成長因子、トランスフォーミング成長因子ベータ、ソマトトロピン及びフィブロネクチンなどの成長因子、例えば、ジクロロフェラミド、アセタゾラミド、メタゾラミドなどの炭酸脱水酵素阻害剤、並びに例えばプロスタグランジン、抗プロスタグランジン及びプロスタグランジン前駆体などの他の薬を含む。本明細書で記載された方法で目に制御され、維持された放出ができる当業者に既知の他の治療薬は、本明細書で記載された装置の実施形態に従って使用することが適切である。
【0122】
治療薬は、次の1またはそれ以上を含む。アバレリクス、アバタセプト、アブシキシマブ、アダリムマブ、アルデスロイキン、アレファセプト、アレムツズマブ、アルファ-1-プロテイナーゼ阻害剤、アルテプラーゼ、アナキンラ、アニストレプラーゼ、抗血友病因子、抗胸腺細胞グロブリン、アプロチニン、アルシツモマブ、アスパラギナーゼ、バシリキシマブ、ベカプレミン、ベバシズマブ、ビバリルジン、ボツリヌス毒素A型、ボツリヌス毒素B型、ブロルシズマブ、カプロマブ、セトロレリックス、セツキシマブ、絨毛性ゴナドトロピンアルファ、凝固因子IX、凝固因子VIIa、コラゲナーゼ、コルチコトロピン、コシントロピン、シクロスポリン、ダクリズマブ、ダルベポエチンアルファ、デフィブロチド、デニロイキンジフチトックス、デスモプレシン、ドルナーゼアルファ、ドロトレコギンアルファ、エクリズマブ、エファリズマブ、エンフビルチド、エポエチンアルファ、エプチフィバチド、エタネルセプト、エクセナチド、フェリプレシン、フィルグラスチム、フォリトロピンベータ、ガルスルファーゼ、ゲムツズマブオゾガマイシン、酢酸グラチラマ、グルカゴン組換え体、ゴセレリン、ヒト血清アルブミン、ヒアルロニダーゼ、イブリツモマブ、イジスルファーゼ、免疫グロブリン、インフリキシマブ、インスリングラルギン組換え体、インスリンリスプロ組換え体、インスリン組換え体、ブタインスリン、インターフェロンアルファ-2a、組換えインターフェロンアルファ-2b、組換えインターフェロンアルファコン-1、インターフェロンアルファ-n1、インターフェロンアルファ-n3、インタフェロンベータ-1b、インターフェロンガンマ-1b、レピルジン、ロイプロリド、ルトロピンアルファ、メカセルミン、メノトロピン、ムロモナブ、ナタリズマブ、ネシリチド、オクトレオチド、オマリズマブ、オプレルベキン、ospAリポタンパク質、オキシトシン、パリフェルミン、パリビズマブ、パニツムマブ、ウシペガデマーゼ、ペガプタニブ、ペガスパルガーゼ、ペグフィルグラスチム、ペグインターフェロンアルファ-2a、ペグインターフェロンアルファ-2b、ペグビソマント、プラムリンチド、ラニビズマブ、ラスブリカーゼ、レテプラーゼ、リツキシマブ、サーモンカルシトシン、サルグラモスチム、セクレチン、セルモレリン、ヨウ化血清アルブミン、ソマトロピン組換え体、ストレプトキナーゼ、テネクテプラーゼ、テリパラチド、チロトロピンアルファ、トシツモマブ、トラスツヅマブ、ウロフォリトロピン、ウロキナーゼ、またはバソプレシン。
【0123】
治療薬は、細胞タンパク質のイムノフィリンファミリのメンバの結合によって行動する1またはそれ以上の化合物を含む。そのような化合物は、「イムノフィリン結合化合物」として知られ、イムノフィリン結合化合物は、これに限定されるものではないが、化合物の「リムス」ファミリを含む。用いられるリムス化合物の実施例は、これに限定されるものではないが、シロリムス(ラパマイシン)及びその水溶性類似SDZ-RAD、タクロリムス、エベロリムス、ピメクロリムス、CCI-779(Wyeth)、AP23841(Ariad)、及びABT-578(Abbott Laboratories)を含む、シクロフィリン及びFK506結合タンパク質(FKBP)を含む。化合物のリムスファミリは、脈絡膜血管新生を含む、目の血管新生媒介性疾患及び状態の処置、予防、抑制、発症の遅延、または軽減を引き起こすための組成物、装置及び方法で使用される。化合物のリムスファミリは、湿性AMDを含む、AMDの予防、処置、抑制、発症の遅延、または軽減を引き起こすために用いられる。ラパマイシンは、脈絡膜血管新生を含む、目の血管新生媒介性疾患及び状態の予防、処置、抑制、発症の遅延、または軽減を引き起こすために用いられる。ラパノマイシンは、湿性AMDを含む、AMDの予防、処置、抑制、発症の遅延、または軽減を引き起こすために用いられる。
【0124】
治療薬は、ピロリジン、ジチオカルバメート(NF-κB阻害剤);スクアラミン;TPN470類似体及びフマギリン;PKC(プロテインキナーゼC)阻害剤;Tie-1及びTie-2キナーゼ阻害剤;注射用のボルテゾミブなどのプロテアソーム阻害剤;ラニブズマブ及び同じ標的に導かれる他の抗体;ペガプタニブ;例えばビトロネクチン受容体型インテグリンの環状ペプチド拮抗薬などのビトロネクチン受容体型拮抗薬;アルファ-v/ベータ-3インテグリン拮抗薬;アルファ-v/ベータ-1インテグリン拮抗薬;例えばロシグリタゾンまたはトログリタゾンなどのチアゾリジンジオン、ガンマインターフェロンまたはデキストラン及び金属配位の使用によりCNVを標的とするインターフェロンを含むインターフェロン;色素上皮由来因子(PEDF);エンドスタチン;アンジオスタチン;ツミスタチン;カンスタチン;アネコルタブアセテート;アセトニド;トリアムシノロン;テトラチオモリブデート;VEGF発現を標的とするリボザイムを含む、血管新生因子のRNAサイレンシングまたはRNA干渉(RNAi);13-シスレチノイン酸;これに限定されるものではないが、キノプリル、カプトプリル、ペリンドズリルを含むACE阻害剤;mTOR(ラパマイシンの哺乳類標的)の阻害剤;3-アミノサリドマイド;ペントキシフィリン;2-メトキシエストラジオール;コルヒチン;AMG-1470;例えば、ネパフェナク、ロフェコキシブ、ジクロフェナク、ロフェコキシブ、NS398、セレコキシブ、ビオックス、及び(E)-2-アルキル-2(4-メタンスルホニルフェニル)-1-フェニルエテンなどのシクロオキシナーゼ阻害剤;t-RNAシンターゼモジュレータ;メタロプロテアーゼ13阻害剤;アセチルコリンエステラーゼ阻害剤;カリウムチャネル遮断薬;エンドレペリン;6-チオグアニンのプリン類似体;環状過酸化物ANO-2;(組換え)アルギニンデイミナーゼ;エピガロカテキン-3-ガレート;セリバスタチン;スラミンの類似体;VEGFトラップ分子;アポトーシス阻害剤;ベルテポルフィン;snET2及び光線力学療法(PDT)で用いられる他の光増感剤;肝細胞増殖因子の阻害剤(成長因子またはその受容体に対する抗体、c-metチロシンキナーゼの低分子阻害剤、例えばNK4などのHGFの短縮型)の1つまたはそれ以上を含む。
【0125】
治療薬は、VEGF受容体キナーゼの阻害剤;VEGFA、VEGFC、VEGFD、bFGF、PDGF、Ang-1、Ang-2、PDGFR、cKIT、FGF、BDGF、mTOR、αvβ3、αvβ5、α5β1インテグリン、及びアルファ2アドレナリン受容体の阻害剤;補体因子B(例えばTA106)、補体因子D(CFD)(ランパリズマブ/TNX-234)、C3(例えばAPL-2、新規コンプスタチン類似体)、C5(例えば、エクリズマブ、ARC1905、ALN-CC5)、C5a(例えばJPE-1375)、及びチューブリンの阻害剤;AAV-CD56の阻害剤を含む。治療薬は、また補体因子H(CFH)、操作されたミニCFH、または組換えCFH(rCFH)を含む。
【0126】
治療薬は、他の治療薬及びこれに限定されるものではないが、血管形成または血管新生、特にCNVの治療のために有用である物質及び治療物を含む治療物の組み合わせを含む。そのような追加の物質及び治療物の限定しない実施例は、ピロリジン、ジチオカルバメート(NF-κB阻害剤);スクアラミン;TPN470類似体及びフマギリン;PKC(プロテインキナーゼC)阻害剤;Tie-1及びTie-2キナーゼ阻害剤;VEGF受容体キナーゼの阻害剤;例えば注射用のボルテゾミブなどのプロテアソーム阻害剤;ラニビズマブ及び同じ標的に導かれる他の抗体;ペガプタニブ;例えばビトロネクチン受容体型インテグリンの環状ペプチド拮抗薬などのビトロネクチン受容体型拮抗薬;アルファ-v/ベータ-3インテグリン拮抗薬;アルファ-v/ベータ-1インテグリン拮抗薬;例えばロシグリタゾンまたはトログリタゾンなどのチアゾリジンジオン、ガンマインターフェロンまたはデキストラン及び金属配位の使用によりCNVを標的とするインターフェロンを含むインターフェロン;色素上皮由来因子(PEDF);エンドスタチン;アンジオスタチン;ツミスタチン;カンスタチン;アネコルタブアセテート;アセトニド;トリアムシノロン;テトラチオモリブデート;VEGF発現を標的とするリボザイムを含む、血管新生因子のRNAサイレンシングまたはRNA干渉(RNAi);13-シスレチノイン酸;これに限定されるものではないが、キノプリル、カプトプリル、ペリンドズリルを含むACE阻害剤;mTOR(ラパマイシンの哺乳類標的)の阻害剤;3-アミノサリドマイド;ペントキシフィリン;2-メトキシエストラジオール;コルヒチン;AMG-1470;例えば、ネパフェナク、ロフェコキシブ、ジクロフェナク、ロフェコキシブ、NS398、セレコキシブ、ビオックス、及び(E)-2-アルキル-2(4-メタンスルホニルフェニル)-1-フェニルエテンなどのシクロオキシナーゼ阻害剤;t-RNAシンターゼモジュレータ;メタロプロテアーゼ13阻害剤;アセチルコリンエステラーゼ阻害剤;カリウムチャネル遮断薬;エンドレペリン;6-チオグアニンのプリン類似体;環状過酸化物ANO-2;(組換え)アルギニンデイミナーゼ;エピガロカテキン-3-ガレート;セリバスタチン;スラミンの類似体;VEGFトラップ分子;肝細胞増殖因子の阻害剤(成長因子またはその受容体に対する抗体、c-metチロシンキナーゼの低分子阻害剤、例えばNK4などのHGFの短縮型);アポトーシス阻害剤;snET2及び光線力学療法(PDT)及びレーザ光凝固で用いられる他の光増感剤を含む。
【0127】
ポストグランジン類似体(PGA)は、毛様体及び/または小柱網を通る水分の流出の増加ために用いられ、トラバプロスト(0.004%)、ビマトプロスト(0.03%、0.01%)、タフルプロスト(0.0015%)、及びラタノプロスト(0.005%)を含む。ベータ遮断薬は、毛様体による水分流体の生産を減らすために用いられる。この種類の薬は、チモロール(0.5%)を含む。炭酸脱水酵素阻害剤は、同様に毛様体による水分流体の生産を減らすために用いられる。この種類の薬は、ブリンゾラミド(1%)、メタゾラミド、ドルゾラミド(2%)、及びアセタゾラミドを含む。アルファ拮抗薬は、毛様体による水分流体の生産を減らし、小柱網を通る流出を増加するために用いられる。そのため、薬は、前室及び後室の両方に配置された組織を標的にし、及びそのため装置は、治療結果を達成するためにいずれかの配置に埋め込まれる。この種類の薬は、ブリモニジン(0.1%、0.15%)及びアプラクロニジン(0.5%、1.0%)を含む。本明細書で考えられる治療物の市販で入手できる組み合わせは、酒石酸ブリモニジン/マレイン酸チモロール点眼液、及びドルゾラミド塩酸塩-マレイン酸チモロール点眼液を含む。さらに本明細書で考えられる他の持続する放出治療物は、結膜下ラタノプロスト、前房内ビマトプロスト、及び硝子体内ブリモニジンを含む。
【0128】
本明細書で記載される治療薬のための様々な薬学的に受容可能なキャリアは、例えば、デンプン、ゼラチン、糖等の固体、例えばアカシア、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースなどの天然増粘剤;例えばシリコンゴムなどのポリマ;例えば滅菌水、生理食塩水、ブドウ糖、水または生理食塩水中のブドウ糖などの液体;ひまし油とエチレンオキシドの縮合生成物、低分子量脂肪酸の液体グリセルトリエステル;低級アルカノール;例えば、脂肪酸のモノ-またはジ-グリセリドなどの乳化剤、またはレシチン、ポリソルベート80などのホスファチドを備える例えばとうもろこし油、落花生油、ごま油、ひまし油などの油;グリコール及びポリアルキレングリコール;例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウム、ポリ(ビニルピロリドン)及び類似の化合物の存在下で、単独で、またはレシチン、ポリオキシエチレンステアレートなどの適切な分配剤などを含む水性媒体を含む。キャリアは、また例えば物質または他の関連する材料を維持し、安定化し、ぬらし、乳化する補助薬を含む。
【0129】
材料
【0130】
一般に、本明細書で記載される装置の部品は、体液及び装置が接触する組織と生体適合し、好ましくは不溶性である材料で製造される。材料は、一般的にそれが接触する目の一部に炎症を起こさない。材料は、実施例を手段として、例えば、シリコンエラストマ及びゴム、ポリオレフィン、ポリウレタン、アクリレート、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、及びポリスルホンを含む様々なポリマを含む。本明細書で記載される装置の1またはそれ以上の部品は、これに限定されるものではないが、ポリカーボネート、ポリオレフィン、ポリウレタン、アクリロニトリルのコポリマ、ポリ塩化ビニルのコポリマ、ポリアミド、ポリスルホン、ポリスチレン、ポリフッ化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルエステル、ポリ酪酸ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、ポリイミド、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリエチレン、ポリエーテル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロエーテル、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ酢酸ビニル、ナイロン、セルロース、ゼラチン、シリコンゴム、多孔質ゴムを含む浸透性材料で製造される。本明細書で記載される装置の1またはそれ以上の部品は、これに限定されるものではないが、ポリメチルメタクリレート、シリコンエラストマ、またはシリコンゴムを含む非生分解性ポリマで製造される。本明細書で記載される装置を製造する際に用いられる他の適切な非浸食性生体適合性のポリマはポリプロピレン及びポリエチレンなどのポリオレフィン、エチレン酢酸ビニルコポリマなどの酢酸ビニルのホモポリマ及びコポリマ、ポリ塩化ビニル、ポリエチルメタクリレートなどのアクリレートのホモポリマ及びコポリマ、ポリウレタン、ポリビニルピロリドン、2-ピロリドン、ポリアクリロニトリルブタジエン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン及びポリフッ化ビニルなどのフルオロポリマ、ポリスチレン、スチレンアクリロニトリルのホモポリマ及びコポリマ、酢酸セルロース、アクリロニトリルブタジエンスチレンのホモポリマ及びコポリマ、ポリメチルペンテン、ポリスルホン、ポリエステル、ポリイミド、天然ゴム、ポリイソブチレン、ポリメチルスチレン及びその他同様の非浸食性生体適合性のポリマを含む。
【0131】
本明細書で記載される装置の1またはそれ以上の部品は、特定の形状に膨張される実質的に非適合材料で製造される。本明細書で記載される1またはそれ以上の部品は、硬く、しなやかでない材料で製造される。本明細書で記載される装置の1またはそれ以上の部品は、これに限定されるものではないが、ニチノール(Ni-Ti合金)などの形状記憶合金(SMA)、オリゴ(e-カプロラクトン)ジメタクリレート及びn-ブチルアクリレートに基づくABポリマネットワークなどの形状記憶ポリマ(SMP)を含む、形状記憶材料及び/または超弾性材料で製造される。形状記憶合金は、一般に少なくとも2つの相を有し(1)比較的低抗張力で比較的低温で安定なマルテンサイト相と(2)比較的高抗張力で、マルテンサイト相より高温で安定なオーステナイト相である。形状記憶特性は、オーステナイト相が安定な温度より高い温度へ材料を加熱することによって、材料に与えられる。材料がこの温度に加熱されつつ、装置は、「思い出される」ことが望まれる形状である、「記憶形状」に保持される。
【0132】
様々な実施において、図を参照して記載がなされる。しかしながら、ある実施は、これらの特定の詳細の1またはそれ以上なしで、他の既知の方法及び形態と組み合わせて実行される。記載において、多くの特定の詳細は、例えば実施の完全な理解を提供するために、特定の形態、大きさ、及びプロセスで記載される。他の場合では、周知のプロセスと製造技術が記載を不必要に不明瞭にしないため、特に詳細に記載された。この明細書を通して「1つの実施形態」、「実施形態」、「1つの実施」「実施」などへの参照は、記載される特定の特徴、構造、形態、または特性が、少なくとも1つの実施形態または実施に含まれることを意味する。その結果、本明細書を通して各所での語句「1つの実施形態」、「実施形態」、「1つの実施」、「実施」などの出現は、同じ実施形態または実施に必ずしも言及しない。さらに、特定の特徴、構造、形態、または特性は、1つまたはさらなる実施において任意の適切な方法と組み合わされる。
【0133】
記載を通して相対的な用語の使用は、相対的な位置または方向または配向を記載し、限定する意図はない。例えば、「遠位に」は、参照点から離れた第1の方向を示す。同様に「近位に」は、第1の方向とは反対の第2の方向の配置を示す。用語「前」、「側面」、「後」、及び「前部」、「後部」、「尾側」、「頭側」などの用語の使用は、参照の相対フレームを確立するために用いられ、様々な実施に記載される特定の形態に装置及び/またはシステムのいずれかの使用または配向を限定する意図はない。
【0134】
この明細書は、多くの仕様を含みつつ、これらは、請求されるまたは請求されるかもしれない範囲に限定すると解釈されるべきでなく、むしろ特定の実施形態に特定の特徴の記載として解釈される。単一の実施形態の内容の本明細書で記載されるある特徴は、また単一の実施形態と組み合わせて実施される。逆に、分離した実施形態の内容で本明細書に記載される様々な特徴は、また分離した多数の実施形態においてまたはいずれかの適切なサブコンビネーションにおいて実施される。さらに、特徴は、ある組み合わせで行動するとして上記され、最初においてさえ、そのように請求されるが、請求された組み合わせからの1つまたはそれ以上の特徴は、いくつかの場合において、組み合わせから削除されることができ、請求された組み合わせは、サブコンビネーションまたはサブコンビネーションのバリエーションに導かれる。同様に、操作が特定の順番で図に描かれるが、これは、望ましい結果を達成するために、そのような操作が示される特定の順番でまたは一連の順番で実行されるまたは全ての描かれた操作が実行される必要があるとして理解されるべきでない。わずかな実施例及び実施のみが記載される。記載された実施例及び実施及び他の実施へのバリエーション、改良、強化は、記載されたものに基づいてなされる。
【0135】
上の記載において及び請求項において、例えば「の少なくとも1つ」または「の1つまたはそれ以上」などの語句は、要素または特徴の連言リストが続く。用語「及び/または」は、また2またはそれ以上の要素または特徴のリストで起こる。そうでなければ、それが使用される内容によって暗黙の内にまたは明白に矛盾しない限り、そのような語句は、個々に列挙された要素または特徴のいずれかまたは列挙された要素または特徴のいずれかを、他の列挙された要素または特徴のいずれかと組み合わせて意味する意図がある。例えば、語句「A及びBの少なくとも1つ」、「A及びBの1つまたはそれ以上」、及び「A及び/またはB」は、「A単独、B単独、またはA及びBを一緒に」を意味する意図がある。同様の解釈は、また3またはそれ以上の品物を含むリストが意図される。例えば、「A、B、及びCの少なくとも1つ」、「A、B及びCの1またはそれ以上」、「A、B、及び/またはC」は、それぞれ「A単独、B単独、C単独、A及びBを一緒に、A及びCを一緒に、B及びCを一緒に、またはA及びB及びCを一緒に」を意味することを意図する。
【0136】
上及び請求項の用語「に基づく」の使用は、記載されてない特徴または要素がまた許容できるように「少なくとも部分的に基づいて」を意味することを意図する。