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特許7314157ペオノール及びアポシニンを含む液体製剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-14
(45)【発行日】2023-07-25
(54)【発明の名称】ペオノール及びアポシニンを含む液体製剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/121 20060101AFI20230718BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20230718BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20230718BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20230718BHJP
   A61K 47/10 20170101ALI20230718BHJP
【FI】
A61K31/121
A61P29/00
A61P25/00
A61K9/08
A61K47/10
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2020545869
(86)(22)【出願日】2018-11-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-15
(86)【国際出願番号】 EP2018082178
(87)【国際公開番号】W WO2019101842
(87)【国際公開日】2019-05-31
【審査請求日】2021-11-01
(31)【優先権主張番号】1719464.8
(32)【優先日】2017-11-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】520180459
【氏名又は名称】エーケーエル リサーチ アンド ディベロップメント リミティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100150810
【弁理士】
【氏名又は名称】武居 良太郎
(72)【発明者】
【氏名】ニコラス ジョン ラーキンズ
【審査官】高橋 樹理
(56)【参考文献】
【文献】英国特許出願公開第02547241(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2-ヒドロキシ-4-メトキシアセトフェノン(ペオノール)及び4-ヒドロキシ-3-メトキシアセトフェノン(アポシニン)を活性化合物として含む液体製剤であって、ここでペオノールとアポシニンとの質量比が3:2から9:1である液体製剤であって、少なくとも一つの賦形剤をさらに含み、その中で活性化合物の総量と賦形剤との質量比が2:3から19:1である液体製剤であって、かつ
ここで、前記賦形剤がグリコール多価アルコール、又はそのエステル及び/又はエーテルである液体製剤。
【請求項2】
前記賦形剤がグリコールである請求項1に記載の製剤。
【請求項3】
前記賦形剤がポリエチレングリコールである請求項2に記載の製剤。
【請求項4】
前記賦形剤がポリエチレングリコール400である請求項3に記載の製剤。
【請求項5】
ペオノールとアポシニンとの質量比が80:20から77.7:22.3である請求項1~4のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項6】
活性化合物の総量と賦形剤との質量比が64:36である請求項1~5のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項7】
前記製剤が室温で安定である請求項1~6のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項8】
2-ヒドロキシ-4-メトキシアセトフェノン(ペオノール)及び4-ヒドロキシ-3-メトキシアセトフェノン(アポシニン)の共融混合物を含む請求項1~7のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項9】
活性化合物であるペオノール及びアポシニンの共融混合物を含む液体製剤であって、前記液体製剤は、少なくとも1つの賦形剤をさらに含む製剤。
【請求項10】
前記賦形剤がグリコール多価アルコール、又はそのエステル及び/又はエーテルである請求項9に記載の製剤。
【請求項11】
前記賦形剤がグリコールである請求項10に記載の製剤。
【請求項12】
前記賦形剤がポリエチレングリコールである請求項11に記載の製剤。
【請求項13】
前記賦形剤がポリエチレングリコール400である請求項12に記載の製剤。
【請求項14】
活性化合物の総量と賦形剤との質量比が2:3から19:1で、好ましくは2:3から9:1である請求項9~13のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項15】
活性化合物の総量と賦形剤との質量比が64:36である請求項9~14のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項16】
ペオノールとアポシニンとの質量比が3:2から9:1である請求項9~15のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項17】
ペオノールとアポシニンとの質量比が80:20から77.7:22.3である請求項9~16のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項18】
前記製剤が室温で安定である請求項9~17のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項19】
炎症性疾患の治療のための請求項1~18のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項20】
神経変性疾患の治療のための請求項1~19のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項21】
(a)活性化合物であるペオノール及びアポシニンの共融混合物を形成することを含む、ペオノール及びアポシニンを含む液体製剤の製造方法。
【請求項22】
(b)賦形剤(例えばグリコール)を添加することをさらに含む請求項21に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はヒト又は動物の治療のための抗炎症性及び/又は鎮痛性の製剤に関する。前記製剤は神経変性疾患の治療においても用いられてもよい。
【背景技術】
【0002】
抗炎症薬として使用するための薬物療法を形成するための4-ヒドロキシ-3-メトキシアセトフェノン(アポシニン)及び2-ヒドロキシ-4-メトキシアセトフェノン(ペオノール)の有効成分の組み合わせは既知である。そのような製剤の一つはAPPAとして知られており、そして犬の変形性関節症の治療において肯定的な結果が得られている。前記APPA製剤はその有効成分と固体の賦形剤との組み合わせである。これらの固体剤形、例えば錠剤において、造粒工程中及び/又は打錠時に錠剤に誘発された熱は、低融点のペオノールの一過性の融解及びその後の有効成分の物理的性質の有害な変化を引き起しうる。固相製剤はまた、液体製剤よりもバイオアベイラビリティが劣っていることを示している。
【0003】
前記有効成分は適当な溶液において溶解又は懸濁されることにより液相にすることができ、そして次にカプセル化させることができるか、又は患者により経口投与されなければならない標準化された液体抽出の形の液相にすることができる。そのような液相調製物は有効成分の濃度低下を有する。これは投与される必要のあるカプセル数の増加又は服用しなければならない液体抽出物の量の増大をもたらす。前記剤形は味が良くなく、そして患者は多くのカプセルを服用したり、口当たりの良くない薬を多量に飲んだりしないことを好むため、これは望ましくない。これらの投与の容易さ及びコンプライアンスの問題は特に臨床的に脆弱な患者グループ、例えば神経変性疾患の患者において関連性がある。
【0004】
それゆえその有効成分を高濃度で有するアポシニン及びペオノールの液相製剤に対して需要がある。
【0005】
ペオノールは2-ヒドロキシ-4-メトキシアセトフェノンであり、そして以下の式により示される。
【化1】
【0006】
アポシニンは植物フェノールの4-ヒドロキシ-3-メトキシアセトフェノンであり、そして以下の式を有している。
【化2】
【発明の概要】
【0007】
我々の研究によるとペオノールは約49.7℃を有する低融点の固形である。我々の研究によるとアポシニンは約114.6℃のより高い融点を有する固形である。APPAは上記のようにペオノール及びアポシニンの混合物である。
【0008】
前記化合物はペオノール約3.5:アポシニン1の(質量)比で混合する時に炎症性疾患の治療において効果的であることが既知である。本出願人は驚くべきことに、この比率で(又はその付近で)共融混合物が形成され、ペオノール及びアポシニンの両方を組み合わせた融点よりも低い、44.7℃という顕著に低い組み合わされた融点をもたらすことを発見した。これは全ての混合比において、APPAシステムにとって考えられる最も低い融点である。
【0009】
本出願人はさらに共融APPA混合物への賦形剤の比較的少量の添加が室温で安定的な液体状態のAPPAを提供することを発見した。その賦形剤は任意の適当な低毒性の含酸素化合物でもよい。グリコール及びグリコール誘導体、多価アルコール、エステル及びエーテルを含む多くの賦形剤の材料が適切であり得る。調査によりマクロゴール(ポリエチレングリコール)400が最も効果的であることが明らかになった。これはPEG400と称する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
ペオノール3.5:アポシニン1の混合物と2.5部のPEG400とを組み合わせた場合、約3℃の温度で保存された時も凝固しない安定的な液体が形成される。
【0011】
少量の賦形剤物質のみが融点の実質的な低下の誘導のために要求されるので、得られる液体製剤は比較的高い活性化合物の濃度を有する。ペオノール3.5:アポシニン1の混合物と2.5部のPEG400とを組み合わせた場合、形成される安定的な液体はAPPAを64.3重量%で含む。1.1659g/mLの高密度を有した液体のため、これは単位体積当たりの質量に基づく74.5%のAPPAと同等である。従って、本発明の液体製剤はAPPAの高濃度の形態を提供しうる。
【0012】
APPAの共融混合物から作製されるそのような高濃度の液体製剤の製品は、患者の投与及びコンプライアンス(とその他のもの)の著しい改善を可能にする優れた発見として見られうる。
【0013】
アポシニン及びペオノールの異性体は当該技術分野で周知である。アポシニン及びペオノールの異性体は2-ヒドロキシ-3-メトキシアセトフェノン「オルトアセトバニロン」(CAS:703-98-0)、2-ヒドロキシ-5-メトキシアセトフェノン(CAS:705-15-7)、3-ヒドロキシ-4-メトキシアセトフェノン「イソアセトバニロン」(CAS:6100-74-9)及び4-ヒドロキシ-2メトキシアセトフェノン「イソペオノール」(CAS:493-33-4)を含む。
【0014】
本発明において、2-ヒドロキシ-4-メトキシアセトフェノン(ペオノール)又はその異性体及び4-ヒドロキシ-3-メトキシアセトフェノン(アポシニン)又はその異性体の活性化合物を含む液体製剤が提供され、その中でペオノールとアポシニンとの質量比は3:2から9:1である。
【0015】
本発明において、2-ヒドロキシ-4-メトキシアセトフェノン(ペオノール)又はその異性体及び4-ヒドロキシ-3-メトキシアセトフェノン(アポシニン)又はその異性体の活性化合物を含む液体製剤であって、その中でペオノールとアポシニンとの質量比は3:2から9:1であり、さらに少なくとも一つの賦形剤を含み、ここで活性化合物の総量(すなわちペオノール及びアポシニンの総質量)と賦形剤との質量比が2:3から19:1である液体製剤がさらに提供される。好ましくは、活性化合物の総量と賦形剤との質量比が2:3から9:1である。
【0016】
好ましくは、前記液体製剤は2-ヒドロキシ-4-メトキシアセトフェノン(ペオノール)又はその異性体及び4-ヒドロキシ-3-メトキシアセトフェノン(アポシニン)又はその異性体の共融混合物から作製される。
【0017】
好ましくは、前記液体製剤は2-ヒドロキシ-4-メトキシアセトフェノン(ペオノール)及び4-ヒドロキシ-3-メトキシアセトフェノン(アポシニン)の活性化合物を含み、その中でペオノールとアポシニンとの質量比が3:2から9:1であり、その製剤は少なくとも一つの賦形剤をさらに含み、ここで活性化合物の総量(すなわちペオノール及びアポシニンの総質量)と賦形剤との質量比が2:3から19:1である。好ましくは、活性化合物の総量と賦形剤との質量比が2:3から9:1である。
【0018】
アポシニン及びペオノールはお互いに異性体である。本発明において前記液体製剤が二つの異なる活性化合物(例えばアポシニンそれ自体及びペオノールそれ自体)を含むことが理解されるだろう。
【0019】
前記賦形剤は任意の適当な低毒性の含酸素化合物であってよい。本明細書において低毒性という用語はその毒性が有害事象を及ぼさずにヒトへAPPAとともに長期の経口投与に適している材料を意味してよいことが理解されるだろう。
【0020】
好ましくは前記賦形剤はグリコール又はグリコール誘導体、多価アルコール又はそのエステル及び/又はエーテルである。好ましくは前記賦形剤はグリコールである。好ましくは前記賦形剤はポリエチレングリコールである。さらに好ましくは前記賦形剤はポリエチレングリコール400である。好ましい製剤はペオノール又はその異性体とアポシニン又はその異性体との質量比が80:20から77.7:22.3であることを有する。好ましくは、活性化合物の総量と賦形剤との質量比は64:36である。
【0021】
好ましくは前記製剤は室温で安定の液体である(15から25℃)。
【0022】
高濃度のAPPA製剤は単一のソフトゲルカプセル内に含まれるために容認できる用量を可能にする。例えば、ペオノール3.5:アポシニン1と、2.5部のPEG400との0.533mLの混合物は400mgのAPPAを含む。これは、単一のソフトゲルカプセル内に適合する十分に少量の活性化合物の薬剤的に効果的な用量である。さらに、ペオノール3.5:アポシニン1と2.5等量のPEG400との1.07mLの混合物は800mgのAPPAを含む。これはまた、単一のソフトゲルカプセル内に適合する十分に少量の活性化合物の薬剤的に効果的な用量である。
【0023】
本発明によると、ペオノール又はその異性体及びアポシニン又はその異性体の活性化合物を含む共融混合物から作製された液体製剤が提供される。
【0024】
本発明によると、ペオノール又はその異性体及びアポシニン又はその異性体を含む共融混合物から作製された液体製剤がさらに提供され、その液体製剤はさらに少なくとも一つの賦形剤を含む。
【0025】
好ましくは、その液体製剤はペオノール及びアポシニンの活性化合物を含む共融混合物から作製され、その液体製剤はさらに少なくとも一つの賦形剤を含む。
【0026】
アポシニン及びペオノールはお互いに異性体である。本発明によれば、液体製剤は二つの異なる活性化合物(例えば、アポシニンそれ自体及びペオノールそれ自体)を含むことが理解されるだろう。
【0027】
前記賦形剤は任意の適当な低毒性の含酸素化合物であってもよい。本明細書において、低毒性という用語はその毒性が有害事象を及ぼさずにヒトへのAPPAとともに長期の経口投与に適している材料を意味してよいことが理解されるだろう。
【0028】
好ましくは前記賦形剤はグリコール又はグリコール誘導体、多価アルコール又はそのエステル及び/又はエーテルである。好ましくは前記賦形剤はグリコールである。好ましくは前記賦形剤はポリエチレングリコールである。より好ましくは前記賦形剤はポリエチレングリコール400である。
【0029】
好まれうる製剤は活性化合物の総量と賦形剤との質量比を2:3から19:1で有する。好ましくは、活性化合物の総量と賦形剤との質量比は2:3から9:1である。好ましくは、活性化合物の総量と賦形剤との質量比は64:36である。
【0030】
好ましくは、前記製剤は室温で安定な液体である(15から25℃)。
【0031】
アポシニンは植物性物質及び植物抽出物中に見られ、例えばピクロリザ・クルロオア、アポシナム・カンナビニウム、アポシナム・ベネタム、アポシナム・アンドロサエミフォリウム及びヴァニラ種例えばヴァニラ・プラニフォリアの植物の抽出物に見られる。
【0032】
本発明の製剤及び調製物には2-ヒドロキシ-4-メトキシアセトフェノン(アポシニン)を含む。好ましくは、アポシニンは植物及び精製物から合成され又は抽出される。これは単離されたアポシニンとして称されてよい。本明細書に記載の量及び比率は単離されたアポシニンに言及する。
【0033】
アポシニンは植物の直接的な抽出物、例えば上記に述べられたもの(例えば未精製の植物又は根の抽出物の形で化合物の不溶性混合物の一部)として本発明に係る製剤又は調製物に存在してよい。これらは「天然型の」アポシニン又は「天然のアポシニン」と称されるだろう。例えば、ピクロリザ・クルロオアの形で本発明に係る調製物内に存在するアポシニンは「天然のアポシニン」と称されるだろう。「天然のアポシニン」又は「天然型の」アポシニンという用語はアポシニンのグリコシド、例えばアポシニンの見出された植物種内で見出されたそれらをまた含む。そのようなグリコシドは例えば、アンドロシン及びその他のイリドイドグリコシドを含む。
【0034】
前記製剤は未精製の植物又は根の抽出物の形状で化合物の不溶性混合物の一部としてアポシニンを含んでもよく:それは「天然の」アポシニンである。ピクロリザ・クルロオアは標準化されたイリドイドグリコシド画分に基づいた標準化された形状である。;その形状は十分に知られている。標準化された形状のピクロリザ・クルロオアは、「クツキン min 4%」に標準化されたピクロリザ・クルオロアを含む。クツキンは結晶化で得られ、そして1:2のグルコシドピクロシドIとクトシド、及び他の少量のグルコシドからなる(Sing and Rastogi, 1972, Ansari et al.,1988)。
【0035】
天然のアポシニンと比較し、単離されたアポシニンはさらに一貫した品質のアポシニンを提供する。天然のアポシニンのスケールより大規模に生産できうる。結果的に、単離されたアポシニンは本発明において好まれて用いられる。
【0036】
上記のように、前記製剤は天然型のアポシニンを含んでもよいが、これはあまり好まれない。天然のアポシニンが用いられるなら、当業者は本発明の製剤の作製のための比率をどのように調製するかをすぐに理解するだろう。しかしながら、このような場合は、副作用(例えば、ピクロリザ・クルロオアの他の植物化学種によって起こりうる胃の不調)を防ぐためにピクロリザ・クルロオアの量を制限することが必要だろう。しかしながら、大半の被験者は不快感なく1日当たり最大2,000mgのピクロリザ・クルロオア(クツキン min 2%)を摂取できることが知られている。
【0037】
ペオノールは植物性物質及び植物抽出物に見出され得る。例えば、ペオノールは牡丹(Paeonia suffruticosa)、芍薬(Paeonia lactiflora)、赤芍(Paeonia veitchii)、紅花山芍薬(Paeonia obovata)、大黄根茎(Rheum palmatum(rhizome))及びオウゴン根エキス(Scutellaria baicalensis)に見出され得る。本発明の前記製剤及び調製物は2-ヒドロキシ-4-メトキシアセトフェノン(ペオノール)を含む。
【0038】
好ましくは、ペオノールは植物及び精製物から合成又は抽出される。これは単離されたペオノールとして称されうる。本明細書に従うその量及び比は単離されたペオノールに言及する。あまり好ましくないことに、ペオノールは植物(すなわち、未精製の植物又は根の抽出物の形状で不溶性混合物の一部)の直接的な抽出物として本発明に係る調製物内に存在しうる。これらは「天然型の」ペオノール又は「天然のペオノール」と称されるだろう。例えば、牡丹(Paeonia suffruticosa)の形状で本発明に係る調製液中に存在するペオノールは「天然のペオノール」と称されるだろう。「天然型の」ペオノール又は「天然のペオノール」という用語は、ペオノールのグリコシド、例えばペオノールが見つかった植物種内で見られたそれらをまた含む。そのようなグリコシドは例えばペオニン(Paeonin)、ペオノリド(Paeonolide)及びペオノシド(Paeonoside)を含む。天然のペオノールが用いられるなら、当業者は本発明の製剤の提供のために比率をどのように調節するかをすぐに理解するだろう。
【0039】
天然のペオノールと比較して単離されたペオノールはさらに一貫した品質のペオノールを提供する。結果的に、単離したペオノールは本出願で好まれて用いられる。本発明の製剤は、炎症性疾患の治療に用いられる。本開示の製剤はまた、神経変性疾患の治療に用いられうる。
【0040】
本発明によると、(a)ペオノール又はその異性体及びアポシニン又はその異性体の活性化合物の共融混合物を形成することを含む、ペオノール又はその異性体及びアポシニン又はその異性体の活性化合物を含む液体製剤の製造方法が提供される。
【0041】
本発明によると、(a)ペオノール又はその異性体及びアポシニン又はその異性体の活性化合物の共融混合物を形成すること;及び(b)賦形剤(例えばグリコール)を添加することを含む、ペオノール又はその異性体及びアポシニン又はその異性体の活性化合物を含む液体製剤の製造方法がさらに提供される。
【0042】
本発明によると、ペオノール又はその異性体及びアポシニン又はその異性体の活性化合物を含む共融混合物から作製された製剤が提供される。好ましくはその製剤は液体である。
【0043】
以下の実施を参照して、本発明を詳細に説明する。
【実施例
【0044】
実施例1:
室温で安定な液体の1000mgのAPPA製剤を製造するために、777.8mgのペオノールと222.2mgのアポシニンとを混合する。その混合物を加熱し、そして555.6mgのPEG400をその混合物を撹拌している間に加える。安定的な混合物は約3℃で一晩貯蔵された場合に凝固せず製造される。
【0045】
実施例2:400mgのAPPAカプセル
約400mgのAPPAを含む製剤を製造するために、311.1mgのペオノールを88.9mgのアポシニンに混合する。その混合物を加熱し、そして222.2mgのPEG400をその混合物を撹拌している間に加える。これは室温で安定な0.533mLのペオノール及びアポシニンの液体製剤を生じる。これをカプセルの形状の医薬品の提供のために当該技術分野で既知の方法でソフトゲルカプセル内にカプセル化してもよい。
【0046】
実施例3:800mgのAPPAカプセル
約800mgのAPPAを含む製剤の製造のために、622.2mgのペオノールを177.8mgのアポシニンに混合する。その混合物を加熱し、そして444.4mgのPEG400をその混合物を撹拌している間に加える。これは室温で安定な1.07mLのペオノール及びアポシニンの液体製剤を生じる。これをカプセルの形状の医薬品の提供のために当該技術分野で既知の方法でソフトゲルカプセル内にカプセル化してもよい。