(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-14
(45)【発行日】2023-07-25
(54)【発明の名称】セルロース材料を糖に変換するためのシステム及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
C12M 1/00 20060101AFI20230718BHJP
B02C 4/02 20060101ALI20230718BHJP
B02C 4/30 20060101ALI20230718BHJP
B02C 25/00 20060101ALI20230718BHJP
C13K 1/02 20060101ALI20230718BHJP
【FI】
C12M1/00 Z
B02C4/02
B02C4/30
B02C25/00 B
C13K1/02
(21)【出願番号】P 2020560121
(86)(22)【出願日】2019-01-16
(86)【国際出願番号】 US2019013869
(87)【国際公開番号】W WO2019143736
(87)【国際公開日】2019-07-25
【審査請求日】2022-01-12
(32)【優先日】2018-01-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520257463
【氏名又は名称】ベンジャミン スレイガー
(73)【特許権者】
【識別番号】520257474
【氏名又は名称】ピーター ジェームズ コーエン
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ベンジャミン スレイガー
(72)【発明者】
【氏名】ピーター ジェームズ コーエン
【審査官】山▲崎▼ 真奈
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0233307(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0024807(US,A1)
【文献】特表2015-524856(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0265999(US,A1)
【文献】特表2012-527243(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0024808(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12M
C13K
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の制御コンポーネントを備える反応チャンバと、
前記反応チャンバと前記制御コンポーネントのそれぞれとに動作可能に接続された制御アセンブリであって、前記制御コンポーネントが
制御信号を送信及び受信するように構成される、制御アセンブリと、
セルロース原料と固体酸触媒との混合物を受け取るように構成されたクラッシャアセンブリであって、前記クラッシャアセンブリが、前記セルロース原料と前記固体酸触媒との間において固固相互作用を引き起こし
て糖を生成する化学反応を引き起こすために、前記混合物を加圧下で粉砕するように構成される、クラッシャアセンブリと、
前記クラッシャアセンブリによって送達された前記粉砕された混合物中の物質の比率を判定するように構成された検出器を有する出口ホッパであって、前記制御アセンブリが、前記粉砕された混合物の再処理が必要か否かを判定し、前記再処理が必要である場合、糖生成を最適化するように前記制御コンポーネントを調整するように構成される、出口ホッパと
を備える、セルロースを
前記糖に変換するためのデバイスであって、
前記クラッシャアセンブリがローラを備える、デバイス。
【請求項2】
pHデータ、温度データ、酸素データ、水分データ、及び圧力データを含む、前記反応チャンバの1つ又は複数の条件を前記制御アセンブリに送信するように構成されたセンサアセンブリをさらに備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記反応チャンバ内の蒸気の流れを調整するように構成された蒸気入口と、前記反応チャンバ内の二酸化炭素の流れを調整するように構成された二酸化炭素入口とをさらに備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記ローラが一対のローラを含み、前記ローラが内側コアから外側コアまで複数の層を備え、前記複数の層のそれぞれが異なる材料で形成され、前記材料のそれぞれが異なる硬度を有する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項5】
前記ローラが、相対的に最も高い硬度を有する外側層と、相対的に最も低い硬度を有する内側層と、相対的に前記外側層の硬度と前記内側層の硬度との間にある硬度を有する中間層とを含む複数の層を備える、請求項4に記載のデバイス、
【請求項6】
原料触媒混合物中の物質の比率データを受信して分析するように構成された検出器を有する入口ホッパと、制御アセンブリと通信し、前記原料と触媒とを混合するように構成された混合装置とをさらに備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項7】
前記原料触媒混合物を前記反応チャンバ内に供給するために、前記混合装置と前記入口ホッパとを接続する供給ラインをさらに備える、請求項
6に記載のデバイス。
【請求項8】
前記クラッシャアセンブリが、少なくとも一対のロールアセンブリを備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項9】
前記クラッシャアセンブリが、複数対の噛み合う歯車アセンブリ又はローラアセンブリを備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項10】
前記制御アセンブリ、前記反応チャンバ、及び前記混合装置と通信する駆動アセンブリをさらに備える、請求項
6または7に記載のデバイス。
【請求項11】
前記制御アセンブリが、前記原料からの前記糖生成を最適化するために前記コンポーネント及び前記駆動アセンブリに対して調整を実行する必要があるか否かを判定するために、前記反応チャンバの前記制御コンポーネント及び前記駆動アセンブリからデータを受信するように構成される、請求項
10に記載のデバイス。
【請求項12】
前記反応チャンバ内に負又は正の圧力をかけるように構成されたポンプをさらに備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項13】
前記反応チャンバを加熱するように構成されたヒータをさらに備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項14】
前記反応チャンバを冷却するように構成されたヒートシンク又は冷却装置をさらに備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項15】
前記出口ホッパと前記入口ホッパとを接続し、前記粉砕された混合物を再処理のために前記反応チャンバに供給するように構成された戻り供給ラインをさらに備える、請求項
6または7に記載のデバイス。
【請求項16】
前記センサアセンブリが、pHセンサ、温度センサ、酸素センサ、水分センサ、及び圧力センサを含む、請求項
2に記載のデバイス。
【請求項17】
前記出口ホッパから前記粉砕された混合物を受け取るように構成された回収デバイスをさらに備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項18】
前記物質が、たんぱく質、セルロース、デンプン、単糖類、水、リグニン、灰、及び油を含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項19】
前記原料がバイオマスを含み、前記バイオマスの前記固体酸に対する比が、1:0.1~10kg/kgであり、前記固体酸が、カオリン、ベントナイト、及びモンモリロナイトを含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項20】
セルロースを糖に変換するための方法であって、
セルロース原料と固体酸触媒とを混合装置において混合
し、原料触媒混合物を提供するステップと、
前記原料触媒混合物を、検出器を備えた反応チャンバの入口ホッパに供給するステップであって、前記反応チャンバが複数の制御コンポーネントを備え、前記制御コンポーネントが、入口ホッパと、クラッシャアセンブリと、出口ホッパと、センサアセンブリと、蒸気入口と、二酸化炭素入口とを含む、ステップと、
前記検出器によって、原料触媒混合物中の物質の比率データを受信して分析するステップと、
前記反応チャンバによって、前記入口ホッパから前記原料触媒混合物を受け取るステップと、
前記セルロース原料と前記固体酸触媒との間に固固化学反応を引き起こして糖を生成するために、前記混合物を加圧下で粉砕するステップであって、前記クラッシャアセンブリが駆動アセンブリによって駆動され、前記クラッシャアセンブリが、前記セルロース原料と前記固体酸触媒との間の固固化学反応を引き起こして糖を生成するために、前記混合物を加圧下で粉砕するように構成される、ステップと、
前記クラッシャアセンブリによって送達された前記粉砕された混合物中の物質の比率データを
前記検出器により判定するステップと、
前記反応チャンバと通信する制御アセンブリにおいて、前記粉砕された混合物の再処理が必要であるか否かを判定するステップであって、前記制御アセンブリが、前記糖生成を最適化するために前記コンポーネント及び駆動アセンブリに対して調整を行う必要があるか否かを判定するために、前記反応チャンバの前記制御コンポーネント及び駆動アセンブリからデータを受信するように構成される、ステップと、
再処理の要求に応じて、前記粉砕された混合物を再処理のために供給ラインを介して前記反応チャンバに供給するステップと、
前記再処理を受けた生成された糖を、前記出口ホッパから回収デバイスによって受け取るステップと
を含む、方法。
【請求項21】
前記クラッシャアセンブリが一対のローラを備え、前記ローラが内側コアから外側コアまで単一の物質又は複数の層を備え、前記複数の層のそれぞれが異なる材料で形成され、前記材料のそれぞれが異なる硬度を有する、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、セルロース材料の加水分解に関する。より具体的には、本発明は、加水分解を引き起こしてセルロースのグリコシド結合を開裂して単糖類を生成するために使用され得るデバイスにおける、代替生成物の形成や単糖類の損失を減らしながら時間的に最大の収率をもたらす、特定の新しく有用な進歩に関する。本明細書の一部を構成する添付の図面を参照する。
【背景技術】
【0002】
セルロースは、一般式が(C6H10O5)nである有機化合物であり、数百から数千のβ(1→4)結合されたD-グルコース単位の線状鎖からなる多糖類であり、酸素(エーテル)結合によって結合されて実質的に直線状である長い分子鎖を形成する。これらの結合は、セルロースの結晶化度を高めるため、酵素や酸触媒へのアクセス性が低下する。この現象は、抵抗性として知られている。
【0003】
セルロースは、緑色植物、藻類の多くの形態、及び卵菌の一次細胞壁の重要な構造要素である。セルロースは、植物繊維細胞の主要な成分を共に構成するヘミセルロース及びリグニンのすぐ近くに存在する。加えて、いくつかの種の細菌はセルロースを分泌してバイオフィルムを形成する。植物によって天然に形成されるため、セルロースは、地球上で最も豊富な有機ポリマーである。
【0004】
加水分解を行うのは酵素である。酵素は、液体又は固体酸のような特定のタイプの触媒である。セルロースは、ナノセルロース、微結晶性セルロース、グルコースを含む多くの物質、エタノールを含むグルコースから作ることができる多くのもの、及び化学的な節約としてエタノールから作ることができる多くのものへの多くの経路を有する。
【0005】
加水分解、つまり水解は、水を用いて分子内の結合を切断することを含む反応である。セルロースの加水分解により、単糖の還元糖、主にグルコースの混合物が生成される。これらの加水分解生成物は、石油に取って代わる液体燃料として使用され得るエチルアルコールに変換でき、より完全でクリーンな燃焼をもたらし、他の燃料への経路において燃料又は中間体としても機能し得る。加えて、加水分解生成物は、現在石油から生産されている様々な有機化学物質の製造にも使用され得る。セルロース又はセルロースから理論的に得られるグルコース生成物の燃焼熱として表される利用可能なエネルギーに関して、1ポンドのセルロースは約0.35ポンドのガソリン又は他の燃料に相当する。
【0006】
地球上では、毎年約6.45×1011トンの炭素が光合成によって固定及び堆積されており、そのうち半分はセルロースの形であると考えられると推定されている。加えて、耕作地や草地で生成されたバイオマスの約3/4が現在廃棄物産出の一因となっていると推定されている。燃料、化学物質、及び他の有用な物質の代替源を開発するためにそのような廃棄物を利用することが長い間望まれてきた。しかしながら、セルロースを加水分解する試みは、主にセルロースの結晶構造及びセルロース中のリグニンの存在に起因して、糖を生成するための経済的に実行可能な方法を提供することにまだ成功していない。この潜在的な供給源の絶対的な大きさが、セルロース利用のための方法及びシステムを改善する必要性を決定づけている。
【0007】
さらに、既知のプロセス及び方法では、特に非常に粘性が高く置換度の高い物質を処理する場合、高分子に対する化学的又は熱的ストレスが非常に強いため、変換中に高分子が鎖切断の形で分解される場合があり、これは、程度の差はあるが粘度が出発物質と比べて大幅に低下することにより特に顕著である。また、予備脆化や乾燥工程で処理された物質の表面は粗くなる。さらに、既知のプロセスは、予備乾燥、脆化、又は圧縮後のセルロース誘導体の変換に費やされる大量のエネルギーを共通の特徴としている。
【0008】
したがって、本明細書でより詳細に説明するように、費用効果が高く、時間的に最大の糖収率をもたらす、セルロース材料を糖に変換するための改善されたデバイス、システム、及び方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0009】
以下の本発明の概要は、本発明のいくつかの態様及び特徴の基本的な理解を確実にするために提供される。本概要は、本発明の広範な概要ではなく、そのため、本発明の主要又は重要な要素を特に特定すること、又は本発明の範囲を線引きすることは意図されていない。本概要の唯一の目的は、その後に提示されるより詳細な説明の前置きとして、本発明のいくつかの概念を簡略化した形で提示することである。
【0010】
上述の態様及び他の態様を実現するために、また本発明の目的に従って、セルロース含有材料中のセルロースを糖に変換するためのデバイス並びにデバイスを使用するためのシステム及び方法が提示される。
【0011】
本発明は、セルロース含有材料の原料からの最適化された糖の生成量を実現するために少なくとも一組のローラを使用する、セルロースを糖に変換するために固固反応を利用するシステム、デバイス、及び方法に関する。本システム、デバイス、及び方法は、浪費されるエネルギーを低減しながら糖の生成量を最大化するために、雰囲気平衡センサ、セルロース原料、及び固体酸を使用して内部条件を最適化する。
【0012】
本発明は、一般には混合であるが、具体的にはマイクロ混合を利用して、セルロースの反応点を最大化しながら、原料が反応しなければならない時間を確実に増加させる。マイクロ混合により、反応サイトと触媒との相互作用が改善され、エネルギー性能が最適化される。ローラは十分に調整できるように設定できるため、機械的、温度、雰囲気、及び化学反応のパラメータが制御される。これは、反応速度及びプロセス効率を実現するための理想的な条件を確保するためである。
【0013】
したがって、本発明の目的は、糖を生成するためにセルロース材料を利用するための効率的かつ経済的な方法を提供することである。
【0014】
本発明の別の目的は、短時間に高収率で単糖類を作り出すことができる新しい改良されたデバイスを提供することである。
【0015】
本発明の別の目的は、代替物質の形成及び単糖類の損失をも削減する、新しい改良されたデバイスを提供することである。
【0016】
より具体的には、本発明の目的は、構築するのが容易かつ安価であり、セルロースの糖化プロセスで使用され得る同種のデバイスよりも持ち運びに適した、より小さなフットプリントを有する新しい改良されたデバイスを提供することである。
【0017】
例示的な実施形態では、セルロースを糖に変換するためのデバイス並びにデバイスを使用するためのシステム及び方法が提示される。本デバイスは、セルロースの糖化プロセスで使用されるように特に設計されたミルの形態をしている。
【0018】
本発明によれば、セルロースを糖に変換するためのデバイス/ミルが提示され、本デバイスは、複数の制御コンポーネントを備える反応チャンバと、反応チャンバと制御コンポーネントのそれぞれとに動作可能に接続された制御アセンブリであって、制御コンポーネントが相互運用性信号を送信及び受信するように構成され、複数の制御コンポーネントが、セルロース原料及び固体酸触媒の混合物を受け取るためのクラッシャアセンブリを備え、クラッシャアセンブリが、セルロース原料と固体酸触媒との間の固固化学反応を引き起こして糖を生成するために混合物を加圧下で粉砕するように構成される、制御アセンブリと、クラッシャアセンブリによって送達された粉砕された混合物中の物質の比率を判定するように構成された検出器を有する出口ホッパであって、制御アセンブリが、粉砕された混合物の再処理が必要か否かを判定し、再処理が必要である場合、糖生成を最適化するように制御コンポーネントを調整するように構成される、出口ホッパとを備える。
【0019】
一実施形態では、複数の制御コンポーネントが、入口ホッパと、クラッシャアセンブリと、出口ホッパと、センサアセンブリと、蒸気入口と、二酸化炭素入口とを含む。一実施形態では、入口ホッパが検出器をさらに備える。一実施形態では、入口ホッパは、原料触媒混合物中の元素又は物質の比率を受信して分析するように構成される。物質は、たんぱく質、セルロース、デンプン、単糖類、リグニン、灰、水若しくは油、又は任意の他の形態のセルロース物質から構成され得る。固体酸は、現在又は将来知られる任意のタイプの固体酸であり得る。一実施形態では、検出器はNIR検出器であるが、物質の特性及び組成を判定するために観測値を受動的又は能動的に検出することができる他の任意の検出器であってもよい。
【0020】
一実施形態では、クラッシャアセンブリは、原料触媒混合物を入口ホッパから受け取る。クラッシャアセンブリは、糖を生成するための化学反応を引き起こすために、混合物を粉砕する、又は混合物に極度の圧力を加えるように構成される。一実施形態では、クラッシャアセンブリは、様々な表面状態の少なくとも一対のローラを備える。別の実施形態では、クラッシャアセンブリは、歯(例えば、歯車の歯)を有する少なくとも一対の噛み合う又は相互に接続するローラアセンブリを備える。いくつかの実施形態では、クラッシャアセンブリは、複数組の噛み合う歯車又は略平滑な表面のローラアセンブリを備える。
【0021】
出口ホッパは検出器を備える。一実施形態では、出口ホッパは、反応進行度を判定し、クラッシャアセンブリによって送達されたクラッシャアセンブリの粉砕された混合物の条件をさらに調整するように制御システムに信号を送信するように構成される。このようにして、制御アセンブリは、粉砕された混合物の再処理が必要か否かを判定するように構成される。
【0022】
センサアセンブリは、pHデータ、温度データ、酸素データ、水分データ、及び圧力データを含むがこれらに限定されない反応チャンバの1つ又は複数の現象を制御アセンブリに送信するように構成される。センサアセンブリは、pHセンサ、温度センサ、酸素センサ、水分センサ、及び圧力センサを含むが、これらに限定されない。
【0023】
蒸気入口は、反応チャンバ内の蒸気の流れを調整するように構成され、二酸化炭素入口は、反応チャンバ内の二酸化炭素の流れを調整するように構成される。二酸化炭素は、窒素やアルゴンなどの酸化を防ぐための任意の他の物質、又は特定の特性や特定の組成を有することにより反応を促進するガスの追加を防ぐための任意の他の物質で置き換えられてもよい。
【0024】
本デバイスは、混合装置と供給ラインとをさらに備える。混合装置は、制御アセンブリと通信し、原料と触媒とを混合するように構成される。供給ラインは、原料触媒混合物を反応チャンバに供給するために、混合装置と入口ホッパとを接続する。
【0025】
本デバイスは、真空ポンプ及びヒータなどの雰囲気調整モジュール又は平衡装置と、半閉鎖式システムのための圧力バルブ又は圧力ポンプとをさらに備える。ポンプは、反応チャンバに正圧又は負圧をかけるように構成される。ヒータは、反応チャンバを加熱するように構成される。ヒートシンク又は冷却装置は、反応チャンバを冷却するように構成される。本デバイスは、粉砕された混合物を再処理のために反応チャンバに供給するように構成された、出口ホッパ及び入口ホッパに接続された戻り供給ラインをさらに備える。本デバイスは、粉砕された混合物を出口ホッパから受け取るように構成された回収デバイスをさらに備える。
【0026】
一実施形態では、セルロースを糖に変換するための方法は、原料と触媒とを混合装置において混合するステップと、原料触媒混合物を反応チャンバの入口ホッパに投入するステップとを含む。別のステップにおいて、原料触媒混合物中の物質の比率データが、少なくとも1つの検出器によって受信されて分析される。別のステップにおいて、原料触媒混合物が、糖を生成するための化学反応を引き起こすために混合物を粉砕するために、入口ホッパからクラッシャアセンブリに受け取られる。別のステップにおいて、クラッシャアセンブリによって送達された粉砕された混合物中の物質の比率データが判定される。別のステップにおいて、粉砕された混合物の再処理は、反応チャンバと通信する制御システムにおいて判定され、再処理を要求される。別のステップにおいて、再処理の要求に応じて、粉砕された混合物は、再処理のために供給ラインを介して反応チャンバに供給される。さらなるステップにおいて、再処理を受けた生成された糖は、出口ホッパから回収デバイスによって受け取られる。
【0027】
本発明の他の特徴、利点、及び態様は、添付の図面と併せて読まれるべき以下の詳細な説明からより明らかになり、より容易に理解されるはずである。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の一実施形態による、セルロースの糖化プロセスにおいて使用され得るデバイス、すなわちミルを示す一実施形態の正面斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態による、ミル内で使用されるクラッシャアセンブリの正面斜視図である。
【
図3】本発明の一実施形態による、3組の歯車を備えるミルの正面図である。
【
図4】本発明の一実施形態による、3組のローラを備えるミルの正面図である。
【
図5】本発明の実施形態による、セルロースの糖化プロセスにおいてミルを使用することにより、加水分解を引き起こしてセルロースのグリコシド結合を開裂させて単糖類を生成するシステム及び方法を示す、一実施形態の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明は、本明細書に記載されている詳細な図面及び説明を参照することによって最もよく理解される。
【0030】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。ただし、当業者であれば、これらの図面に関連して本明細書で与えられる詳細な説明は、これらの限定された実施形態を本発明の範囲が超えることから、説明目的のためであることを容易に理解するはずである。例えば、当業者は、本発明の教示に照らせば、本明細書で説明される任意の所与の詳細を有する機能を、説明及び図示される以下の実施形態における特定の実装の選択肢を超えて実施するために、特定の用途における必要性に応じて、多数の代替的かつ適切な手法を認識するはずであることを理解されたい。つまり、列挙するには数が多すぎるが、すべて本発明の範囲内に収まる、本発明の多数の修正及び変形が存在する。また、必要に応じて、単数形の単語は複数形として読まれるべきであり、またその逆も同じであり、男性形は女性形として読まれるべきであり、またその逆も同じであり、代替的な実施形態は、必ずしもこの2つが相互に排他的であることを意味しない。
【0031】
本明細書に記載される特定の方法論、化合物、材料、製造技法、使用法、及び用途は変わり得るため、本発明はこれらに限定されないことをさらに理解されたい。また、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明する目的でのみ使用され、本発明の範囲を限定することを意図するものではないことも理解されたい。本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈上明確に別段の規定をしているのでない限り、複数の指示対象を含むことに留意されたい。よって、例えば、「要素」への言及は、1つ又は複数の要素への言及であり、当業者に知られているその均等物を含む。同様に、別の例では、「ステップ」又は「手段」への言及は、1つ又は複数のステップ又は手段への言及であり、サブステップ及び従属的手段を含み得る。使用されるすべての接続詞は、可能な限り最も包括的な意味で理解されたい。よって、「又は」という語は、文脈上明確に別段の要請のない限り、論理的な「排他的論理和」の定義ではなく、論理的な「論理和」の定義を有するものとして理解されたい。本明細書に記載される構造は、そのような構造の機能的均等物を指すことも理解されたい。近似を表すと解釈され得る言葉は、文脈上明確に別段の指示のない限り、そのように理解されたい。
【0032】
本明細書で使用される場合、「材料」は、セルロースの糖化プロセスの一部として処理されるためにミルに導入される材料、並びにプロセスの完了後にミルを出る材料を指す。
【0033】
「相互作用」とは、原料と固体酸との間の相互作用が化学反応を起こして糖を形成することを意味する。
【0034】
別段の定義のない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語及び科学用語は、本発明が属する分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。好ましい方法、技法、デバイス、及び材料が記載されるが、本明細書に記載されているものと同様又は均等な任意の方法、技法、デバイス、又は材料を本発明の実施又は試験に使用することができる。本明細書に記載される構造は、そのような構造の機能的均等物を指すことも理解されたい。次に、添付の図面に示されているような本発明の実施形態を参照して、本発明を詳細に説明する。
【0035】
ここで
図1を参照すると、
図1は、本発明の一実施形態による、セルロースの糖化プロセスにおいて使用され得るデバイス、すなわちミルを示す一実施形態の正面斜視図が、概して参照番号100で示されている。本実施形態100は、本発明の一実施形態によるミルの機能コンポーネントを示す。ミル/デバイス100の様々なコンポーネント、及びセルロースの糖化プロセスにおけるそれらの役割について、
図1~
図3に関連して以下でさらに説明する。ミル/デバイス100は、複数の制御コンポーネントを備えた反応チャンバ102を備える。一実施形態では、複数の制御コンポーネントは、入口ホッパ120と、クラッシャアセンブリ128と、出口ホッパ122と、センサアセンブリと、蒸気入口118と、二酸化炭素入口124とを含む。
【0036】
さらに
図1を参照すると、制御システム/アセンブリ132は、駆動アセンブリ130に接続され、両方とも反応チャンバ102に接続される。一実施形態では、駆動アセンブリ130は、モータを備える。一実施形態では、モータ130は、電源を介して電力を供給される。制御アセンブリ132は、反応チャンバ102に接続されることにより、様々なセンサ104~112、真空ポンプ116、ヒータ126、クラッシャアセンブリ128、蒸気入口118、二酸化炭素(CO
2)入口124、及び検出器114A~114Bから情報を伝達及び受信することができる。その相互接続性を通じて、制御アセンブリ132は、プロセスが確実に最適化されるようにリアルタイムの監視、分析、及び調整を可能にする。上記は、デバイスの他のコンポーネントを説明するときに、本明細書においてさらに説明される。
【0037】
本開示では、クラッシャアセンブリ128は、原料と触媒(例えば、粘土)との間で固相での化学反応を引き起こすように構成される。一実施形態では、クラッシャアセンブリ128は、単一組の略平滑なローラ(例えば、円形のローラ)であり得るが、適切な圧力をもたらす限り、任意の形状のローラが使用され得る。別の実施形態では、クラッシャアセンブリ128は、高硬度の歯車の形態をした噛み合いローラの組であり得る。いくつかの実施形態では、クラッシャアセンブリ128は、極めて高い圧力で固体を圧縮するための任意の機構であり得る。クラッシャアセンブリ128は、極めて高い圧力及び所定の温度で固体を一緒に圧縮又は押すように構成されており、このことが、原料を利用して糖を生成又は合成するための原料と含水粘土との間の固固分子反応を助ける。一実施形態では、固体は、リグノセルロース系バイオマス及び固体酸を含むが、これらに限定されない。一実施形態では、バイオマスの固体酸に対する比は、1:0.1~10kg:kgであり得るが、これに限定されない。一実施形態では、固体酸は、カオリン、ベントナイト、及びモンモリロナイト、又は現在又は将来存在する任意の固体酸であり得るが、これらに限定されない。
【0038】
さらに
図1を参照すると、駆動アセンブリ130及び制御アセンブリ132はまた、原料と触媒とが混合される場所である混合装置134に接続され、材料は、混合されると、供給ライン138を介して入口ホッパ120に送られる。入口ホッパ120の内側に入ると、検出器114Aは他の必要なセンサ又は検出器と共に物質を分析し、たんぱく質含有量、セルロース、デンプン、及び単糖類、水、リグニン、灰、油、並びに機械的特性などのプロセスにおいて有用な情報を計算する。一実施形態では、検出器(114A及び114B)はNIR検出器であるが、混合物中の化合物及び物質を分析する任意の検出器又はセンサであってもよい。この情報は、材料を分析して、プロセスが確実に最適なレベルで実行されるようにして、一貫性及び最高の歩留まりを確保できるようにするために使用される。一実施形態では、検出器114Aからの読み値が、プロセスが確実に最適化されるようにクラッシャアセンブリ128の速度を調整するために、制御アセンブリ132によって利用され得る。材料が入口ホッパ120の内側で分析されると、供給バルブ144を用いて入口ホッパ120を開き、材料を入口ホッパ120から下方の供給ガイド140に通し、供給ガイドが材料を反応チャンバ102内に配置されたクラッシャアセンブリ128の間に案内する。上述のように、クラッシャアセンブリ128は、反応チャンバ102に接続された駆動アセンブリ130及び制御アセンブリ132を介して電力を供給される。一実施形態では、クラッシャアセンブリ128及び駆動アセンブリ130は、駆動シャフトを介して接続される。プロセスが完了すると、材料は出口ホッパ122を介して反応チャンバ102を出る。出口ホッパ122に入ると、検出器114A及び114Bは、他の必要なセンサ又は検出器と共に、材料を分析して、材料がミルに再び通されなければならないか否かを判定する。材料が再び通されなければならないと判定された場合、材料は戻り供給ライン142を介して入口ホッパ120に戻され、入口ホッパ120において、検出器114Aが材料を再度分析すると共に、材料を再処理するためにデバイスに対して行わなければならない調整を判定する。プロセスが完了し、材料がクラッシャアセンブリ128にこれ以上通される必要がなくなると、材料は出口供給ライン140を介して最終回収デバイス136に送られる。一実施形態では、出口弁が、材料の流れを制御するために、供給ガイド又はライン140に設けられ得る。一実施形態では、密封シールが、材料の漏出を防止するために、供給ライン140及び142に設けられる。2つ以上のクラッシャアセンブリ128がチャンバ102で使用され得ることに留意することが重要である。
【0039】
さらに
図1を参照すると、入口ホッパ120及び出口ホッパ122が、反応チャンバ102に接続され、それぞれ材料を回収デバイス102に導入するため、及び回収デバイス102から材料を出すために使用される。材料が反応チャンバ102に入ることができるように入口ホッパ120を開閉するために、供給バルブ144が使用される。本実施形態では、入口ホッパ120及び出口ホッパ122は、システム内の材料の搬送を向上するために反応チャンバ102内の圧力を調整する雰囲気制御システムに基づいて動作される。他の実施形態では、入口ホッパ120及び出口ホッパ122は、電子システムを介して制御され、制御アセンブリ132に接続されてもよい。
【0040】
さらに
図1を参照すると、制御アセンブリ132は駆動アセンブリ130に接続され、駆動アセンブリ130はクラッシャアセンブリ128にさらに接続され、クラッシャアセンブリ128は反応チャンバ102にさらに結合される。駆動アセンブリ130は、毎分所定の又は最適な回転数でクラッシャアセンブリ128を回転させるのに必要な十分な電力及びトルクを提供しなければならず、時間的に速度及び電力出力を変化させることができなければならない。実施形態では、クラッシャアセンブリ128のローラのそれぞれが、反応を最適化するために、異なるRPMで回転することができる。一実施形態では、制御アセンブリ132は、センサ104~112を読み取り、所定のパラメータに自動的に応答するプロセッサである。リアルタイム測定により、クラッシャアセンブリ128が最適に動作することを確保するためのリアルタイム調整が可能になる。一例として、駆動アセンブリ130及び制御アセンブリ132は、糖生成及びパラメータ監視からの応答に基づいて、クラッシャアセンブリ128のトルク及び出力を調整するために、必要に応じて毎分回転数を変えることができる。別の例では、温度センサ106が、温度が所定の範囲の外にあるという読み値を制御アセンブリ132に送信すると、制御アセンブリ132は、反応チャンバ102を加熱するために、対応する信号をヒータ126に送信する。
【0041】
さらに
図1を参照すると、ミル100は、センサアセンブリをさらに備える。一実施形態では、センサアセンブリは様々なセンサ104~112を備え、様々なセンサ104~112は、反応ミル102の内部に接続され、pHセンサ104、温度センサ106、酸素センサ108、水分センサ110、及び圧力センサ112を含み、これらのすべてについて、ここでさらに詳しく説明する。すべてのセンサ104~112はまた、セルロースの生成がその最適なレベルであることを確実にするために反応チャンバ102に接続され得る他のシステム及びデバイスと通信するために、制御アセンブリ132に接続され、これらのすべてについて、ここでさらに説明する。pHセンサ104は、反応チャンバ102に接続され、反応環境の実効酸性度を測定するのを助ける。pHセンサは、各サイト及びいくつかの酸性点の実効酸性度を確立するのを助ける、溶液の水素イオン濃度を測定するように構成される。加水分解は触媒上の酸性点によって触媒作用を受けるため、pHが低いほど酸性点が多くなり、加水分解が発生するための変化が大きくなる。加えて、pHレベルを監視し、特定のレベルが確実に満たされるようにすることも、反応チャンバ102プロセスに入れた材料の発酵及び/又は変換に影響を与える。温度センサ106は、反応チャンバ102に接続することができ、水とセルロースとの間で起こる加水分解反応を活性化して糖を作るのに十分高い温度に到達していると同時に、この温度は糖が分解する原因となる反応を避けるために十分低くなければならないことを確実にするために、反応チャンバ102内の摩擦熱温度を監視するために使用される。
【0042】
さらに
図1を参照すると、酸素センサ108は、反応チャンバ102に接続することができ、反応チャンバ102内の酸素レベルを監視するために使用される。酸素は糖生成物の酸化を引き起こす可能性があるため、セルロースの糖化プロセスが完了され得る前に、反応チャンバ102から酸素を除去しなければならない。上記を実現するために、酸素センサ108は、反応チャンバ102にこれも接続されている真空ポンプ116と連携して、酸素センサ108が反応チャンバ102内で酸素を検出すると、酸素センサ108が、酸素センサ108及び真空ポンプ116の両方が接続されている制御アセンブリ132を介して真空ポンプ116に伝達して、反応チャンバ102からそのような酸素を放出するように機能する。これらのセンサ/デバイスは、ミル100内の条件を最適化するために他者と連携して動作する雰囲気平衡センサ/デバイスと本明細書で呼ばれ得る。
【0043】
さらに
図1を参照すると、酸素センサ108はまた、CO
2入口124と連携して機能し、CO
2入口124もまた、反応チャンバ102及び制御アセンブリ132に接続される。よって、酸素センサ108が反応チャンバ102内の酸素を検出し、酸素を放出するように制御アセンブリ132を介して真空出口116に伝達する場合、二酸化炭素入口124は、反応チャンバ102内で正のCO
2圧力を維持するために、保護不活性二酸化炭素ガスを反応チャンバ102に自動的に追加する。
【0044】
さらに
図1を参照すると、水分センサ110が反応チャンバ102に接続され、反応チャンバ102内の水分量を監視するために使用される。本発明の一実施形態では、水分は、セルロースの糖化プロセス中に糖を生成するための反応物として作用し、反応によって消費される。糖が生成されると、反応チャンバ102内の水分レベルが低下し、水分が局所化して、生成されているより吸湿性の高い単糖類を水和する。したがって、本実施形態では、水分センサ110は、反応チャンバ102の水分レベルが最良の反応のための最適レベルに確実に留まるようにするために重要である。本実施形態では、水分レベルは、0.00質量%より高く、50質量%未満であり得る。上記の水分レベルが確実に維持されるようにするために、蒸気入口118も反応チャンバ102に結合され、追加の蒸気を反応チャンバ102内に分散させるために水分センサ110が制御アセンブリ132を介して蒸気入口118と通信し得るように、追加の蒸気を反応チャンバ102内に分散させるために使用される。
【0045】
さらに
図1を参照すると、スペクトル検出器114A~114Bは、任意の他の必要なセンサ又は検出器と共に、それぞれ入口ホッパ120及び出口ホッパ122に接続され、組成物がホッパを通過するときに組成物を分析するために使用され得る。検出器114A~114Bは、任意の他の必要なセンサ又は検出器と共に、たんぱく質含有量、セルロース、デンプン、水、単糖類、リグニン、灰分、及び油に関するデータを提供する。将来の実施形態では、制御アセンブリ134を介して応答を自動化するためのアルゴリズムを使用することができる。一実施形態では、出口ホッパ122に接続された検出器114Bは、材料をデバイスに再び通さなければならないか否かを判定し、スペクトル検出器114Bが、材料を再度通さなければならないと判定した場合、材料は戻り供給ライン142を介して入口ホッパ120に戻される。一実施形態では、材料を入口ホッパ120に戻すために、供給ライン142に供給ポンプが設けられる。
【0046】
さらに
図1を参照すると、圧力センサ112が反応チャンバ102に接続され、反応チャンバ102内の圧力を監視するために使用される。加水分解を引き起こすために必要な圧力は、反応チャンバ102内のクラッシャアセンブリ128によって作られるが、圧力が温度の変化に伴って増減するため、反応のための最適な圧力を維持するために、CO
2入口124を介して反応チャンバ102にCO
2を追加する必要があるため、反応チャンバ102の圧力を監視する必要がある。
【0047】
さらに
図1を参照すると、ヒータ126が反応チャンバ102の底部に接続される。セルロースの糖化プロセスが生じるために必要な熱は、プロセス中に反応チャンバ102内で作成された摩擦から得られるのが大半であるが、反応チャンバ102の最初の加熱はヒータ126を使用して行われる。他の任意の実施形態では、冷却プロセスが、反応チャンバ又は歯車又はロール自体102に接続され、制御アセンブリ132を介して制御されるヒートシンクと共にファンを使用して実行され得る。クラッシャアセンブリ自体はまた、内部の加熱若しくは冷却要素又は外部の加熱若しくは冷却要素のいずれかによって温度制御され得る。
【0048】
図2を参照すると、ミル内で使用されるクラッシャアセンブリ128の正面斜視図が、概して参照番号200で示されている。クラッシャアセンブリ128は、ばね204を使用して一緒に押し付けられた2つの個々の平滑なローラ202A~202Bを備えているが、高い圧力を生成し得る任意のデバイス、例えば油圧ピストン、ねじ、及び任意の他の圧力を生じるメカニズムを使用でき、また反応に必要な力を生み出し得る他の圧力付与部材をここでは使用できる。
図1を参照して本明細書で論じられているように、クラッシャアセンブリ128は、様々なセンサ104~112のすべてからの読み値を使用して最適速度を判定する駆動アセンブリ130によってある速度で回転される。平滑なローラは、高い圧力での長い稼働時間に耐える優れた摩耗特性を有する材料で作られ、実施形態では、異なる硬度を有する様々な材料を使用して製造される。
【0049】
ローラ202A及び202Bのそれぞれは、様々な程度の硬度を有する材料(すなわち、異なる材料で形成された層)で形成され得る。例示的な実施形態では、ローラ202A及び202Bは、3つの層206A及び206B、208A及び208B、並びに210A及び210Bを有する。外側層206A及び206Bは、相対的に最も高い硬度を有する。内側層210A及び210Bは、最も低い硬度を有し、中間層208A及び208Bは、外側層の硬度と内側層の硬度との間に入る硬度を有する。動作中、様々な硬度で形成されているローラ202A及び202Bを有することにより、材料のミクロ反応が増えるため、反応が最適化される。高い硬度を有する外側層206A及び206Bにより、材料に対する圧力が確実に高いままになり、異なる硬度(又はより軟硬度)を有する中間層により、外側層の圧縮力が高すぎること、またローラ材料の圧縮を防ぐことに起因してエネルギーが失われないことが確保される。ローラの深さにわたって圧力を変化させることにより、表面、ひいては反応空間を調整し、エネルギー効率を調整できる。層の数、厚さ、アスペクト比、長さ、直径、及び材料タイプは、原料に応じて最適化でき、硬度、靱性、圧縮強度、及び耐摩耗性の特性に影響を与える。
【0050】
一実施形態では、ローラは、硬い表面を有し、負荷応力を効果的に低下させる有益な圧縮残留応力を生じるため、歯車の歯で作られてもよく、他の実施形態では、ローラは、強い金属及び合金、タングステンカーバイド、ダイヤモンド、プラスチック、セラミック、及び複合材料などで作られてもよい。一実施形態では、ローラを回転させるために原動力を利用する軸は、適切な粘度を有する低温、清浄、かつ乾燥した潤滑剤の適切な供給によって供給され得、高い圧力-粘度係数が、ピッティング、すなわち歯車の歯の表面又は表面下のわずかな深さで疲労亀裂が発生したときに発生する疲労現象を防止するのを助けるために使用され得る。一実施形態では、軸受は、玉軸受であり得るが、これに限定されない。個々の歯車202A~202Bの歯も、最も効率的な摩耗特性並びに接触面積及び圧力に関する反応効率を考慮して設計されなければならない。2組のローラしか示されていないが、無数のローラが直列に存在し得る。ローラ及び歯車は、反応の目的のための表面で構成され、供給混合物と接触し、他方、ローラ又は歯車支持体の表面は、摩擦を減らし、耐摩耗性を高める表面で構成され、プーリ、ベルト、スプロケット、チェーン、カップリング、及びダイレクトドライブアタッチメントの使用のために駆動表面が強化される。
【0051】
図3を参照すると、クラッシャアセンブリ128の正面図は、3組の歯車ローラ302を備える。別の実施形態では、クラッシャアセンブリ128の歯車の組は、極めて高い圧力及び必要な温度で固体を一緒に効率的に圧縮又は押し付けるために使用され、このことが、原料から糖を生成又は合成するために原料と含水粘土との間の分子反応を助ける。3組の歯車ローラ302は、制御アセンブリ132を介して制御され得る。別の実施形態では、クラッシャアセンブリ128は、
図4に示すように、3組の平滑なローラ146をさらに備える。原料と粘土との混合物は、ローラ146によって掴まれ、強い力で一緒に押し付けられる。3組のローラ146は、制御アセンブリ132を介して制御され得る。当然のことながら、原料に応じて、平滑なローラ又は歯車ローラの追加の組を利用することもできる。
【0052】
次に
図5を参照すると、本発明の実施形態による、セルロースの糖化プロセスにおいてミルを使用することにより、加水分解を引き起こしてセルロースのグリコシド結合を開裂させて単糖類を生成するシステム及び方法を示す流れ図が、概して500で示されている。本方法は、セルロース含有材料306及び触媒302を混合装置130に加えることから始まる。セルロース含有材料306は、概して、緑色植物、多くの形態の藻類、及び卵菌の細胞壁、並びに任意の植物由来の材料を含む。セルロース含有材料306はまた、植物ベースの材料に加えて、植物の樹皮、木質、又は葉から取得され得る。
【0053】
さらに
図5を参照すると、混合装置130内に含まれる材料が混合されると、次に、材料は入口ホッパ120を介して反応チャンバ102に導入される。入口ホッパ120に接続された検出器114Aは、物質が入口ホッパ120を通過するときに物質の組成を監視する。検出器114Aによって収集された情報は、物質のリアルタイム分析のために制御アセンブリ132に伝達される。制御アセンブリ132は、システムに調整を加えて最適な糖生成を確実にするために、反応チャンバ102に接続されたセンサ104~112を自動的に読み取る。例えば、制御アセンブリ132は、温度が所定の範囲を超える場合に反応チャンバを加熱し得る、又は水分が低い場合に蒸気を追加し得る、又は歯車を加速又は減速させ得る。
【0054】
さらに
図5を参照すると、セルロースの糖化プロセスの終わりに、材料は、出口ホッパ122を介して反応チャンバ102から出る。出口ホッパ122に接続された検出器114Bは、材料が反応チャンバ102を出るときの材料の組成を監視する。物質がさらに処理されなければならないと検出器114Bが判定した場合、物質は再処理のために入口ホッパ120に送り返される。検出器114A~114Bによって収集された情報は、情報が分析されて、最適な性能を得るためにシステムに調整を加えるために、制御アセンブリ132に送り返される。物質が完成したと見なされると、物質は最終回収デバイス136に渡され、プロセスが完了する。物質は、たんぱく質、セルロース、水、デンプン、単糖類、リグニン、灰、及び油を含む。
【0055】
一実施形態では、セルロースを糖に変換するための方法は、一工程において、原料と触媒とが混合装置において混合されることを含む。別のステップにおいて、原料触媒混合物は、反応チャンバの入口ホッパに供給される。別のステップにおいて、原料触媒混合物中の物質の比率データが、検出器によって受信されて分析される。別のステップにおいて、原料触媒混合物が、糖を生成するための化学反応を引き起こすために混合物を粉砕するために、入口ホッパからクラッシャアセンブリに受け取られる。別のステップにおいて、クラッシャアセンブリによって送達された粉砕された混合物中の物質の比率データが判定される。別のステップにおいて、粉砕された混合物の再処理は、反応チャンバと通信する制御システムにおいて判定され、再処理を要求される。別のステップにおいて、再処理の要求に応じて、粉砕された混合物は、再処理のために供給ラインを介して反応チャンバに供給される。さらなるステップにおいて、再処理を受けた生成された糖は、出口ホッパから回収デバイスによって受け取られる。
【0056】
添付の図面を参照して上述した本発明の特定の構成及び配置は、例示のみを目的とする。本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、当業者の専門範囲内にある他の構成及び配置を作成、使用、又は販売することができる。例えば、「要素」への言及は、1つ又は複数の要素への言及であり、当業者に知られているその均等物を含む。使用されるすべての接続詞は、可能な限り最も包括的な意味で理解されたい。よって、「又は」という語は、文脈上明確に別段の要請のない限り、論理的な「排他的論理和」の定義ではなく、論理的な「論理和」の定義を有するものとして理解されたい。本明細書に記載される構造は、そのような構造の機能的均等物を指すことも理解されたい。
【0057】
本発明は、現在最も実用的で好ましい実施形態であると考えられるものに関連して説明されているが、本発明は、本明細書に開示されるこれらの実施形態に限定されないことを理解されたい。むしろ、本発明は、添付の特許請求の範囲の趣旨及び範囲内に含まれる様々な修正及び均等な構成を含むことが意図されている。
【0058】
本発明の様々な実施形態の特定の特徴は、いくつかの図面に示され、他の図面には示されない場合があるが、これは便宜上のものに過ぎない。本発明の原理によれば、1つの図面の特徴(複数可)は、他の図面のいずれかにおける特徴のいずれか又はすべてと組み合わせることができる。本明細書で使用される場合、「含む(including)」、「備える(comprising)」、「有する(having)」、及び「備える(with)」という用語は、広く包括的に解釈されるべきであり、いかなる物理的な相互接続にも限定されない。さらに、本明細書に開示されている実施形態は、唯一可能な実施形態として解釈されるべきではない。むしろ、修正及び他の実施形態は、添付の特許請求の範囲内に含まれることが意図されている。