(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-14
(45)【発行日】2023-07-25
(54)【発明の名称】ロボット対応の遠隔操作システムのためのコントローラ
(51)【国際特許分類】
A61B 34/35 20160101AFI20230718BHJP
【FI】
A61B34/35
(21)【出願番号】P 2020561060
(86)(22)【出願日】2019-05-16
(86)【国際出願番号】 US2019032653
(87)【国際公開番号】W WO2019222495
(87)【国際公開日】2019-11-21
【審査請求日】2022-05-13
(32)【優先日】2018-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518083032
【氏名又は名称】オーリス ヘルス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】フアン・ヤナン
(72)【発明者】
【氏名】ウィルソン・コリン・アレン
(72)【発明者】
【氏名】ミンツ・デビッド・スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】ウィルソン・ジェイソン・トーマス
【審査官】木村 立人
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-285099(JP,A)
【文献】特表2018-500054(JP,A)
【文献】国際公開第2008/108289(WO,A1)
【文献】国際公開第2010/025522(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0107666(US,A1)
【文献】国際公開第2014/156250(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0066051(US,A1)
【文献】国際公開第2017/210501(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 34/00 ― 34/37
B25J 1/00 ― 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボット対応の遠隔操作システムであって、
コントローラ及び前記コントローラによる操作が可能なロボットツールを備え、前記コントローラが、
操作者による作動のために構成されたハンドルと、
前記ハンドルに結合され、複数の自由度で前記ハンドルの前記操作を可能にするように構成されたジンバルであって、前記ハンドルの前記操作が前記ロボットツールの対応する前記操作を引き起こすようにインピーダンス制御するように構成されている、ジンバルと、
前記ジンバルに結合され、複数の自由度で前記ハンドルの前記操作を可能にするように構成された位置決めプラットフォームであって、前記ハンドルの前記操作が前記ロボットツールの対応する前記操作を引き起こすように、アドミタンス制御をするように構成されている、位置決めプラットフォームと、を備える、システム。
【請求項2】
前記ロボットツールが、医療用器具である、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記ジンバルが、回転関節を介して前記位置決めプラットフォームに結合されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記ジンバルが、少なくとも3つの回転自由度での前記ハンドルの前記操作を可能にする、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記位置決めプラットフォームが、少なくとも3つの位置自由度での前記ハンドルの前記操作を可能にする、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記ロボットツールに結合されたロボットアームを更に備え、前記ロボットツールが、カテーテル、スコープ、把持具、シーラー、又はカッターのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記ジンバル内に位置決めされ
、操作者によって前記コントローラに付与された力を測定するように構成されているロードセルを更に備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記位置決めプラットフォームの前記アドミタンス制御は、前記ロードセルの出力信号に基づく、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記ジンバルが、遠位から近位に配設され、関節によって接続された少なくとも第1のリンク、第2のリンク、及び第3のリンクを含み、前記ロードセルが、前記第1のリンク内に位置決めされている、請求項7に記載のシステム。
【請求項10】
前記関節が、外旋関節である、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記ジンバルが、遠位から近位に配設され、リンクによって接続された少なくとも第1の関節、第2の関節、及び第3の関節を含み、前記ロードセルが、前記第2の関節の遠位に位置決めされている、請求項7に記載のシステム。
【請求項12】
前記ジンバルが、遠位から近位に配設され、関節によって接続された少なくとも第1のリンク、第2のリンク、及び第3のリンクを含み、前記ロードセルが、前記第3のリンク内に位置決めされている、請求項7に記載のシステム。
【請求項13】
前記ジンバルが、遠位から近位に配設され、リンクによって接続された少なくとも第1の関節、第2の関節、及び第3の関節を含み、前記ロードセルが、前記第3の関節の近位に位置決めされている、請求項7に記載のシステム。
【請求項14】
前記ジンバルが、前記ロードセルの近位の構造を遮蔽し、それにより前記ロードセルの遠位端と遮蔽された前記構造との間の機械的短絡を防止するように構成された、前記ロードセルの前記遠位端に取り付けられたカバーを備える、請求項7に記載のシステム。
【請求項15】
前記ジンバルの関節を制御するために前記ジンバル内に位置決めされたモータを更に備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
前記モータが、ケーブルドライブによって前記関節に接続されている、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記モータが、前記関節の近位に位置する、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記位置決めプラットフォームが、少なくとも1つの直動関節を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項19】
前記直動関節の運動軸が、重力の方向と整列している、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記ジンバルが、関節によって前記位置決めプラットフォームに結合され、前記関節の軸が、前記重力の方向と整列している、請求項19に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、コントローラに関し、具体的には、医療システムを含むロボット対応の遠隔操作システムのためのコントローラに関する。
【背景技術】
【0002】
腹腔鏡検査などの医療処置は、患者の内部領域にアクセスし、可視化することを伴い得る。腹腔鏡手術では、腹腔鏡アクセスポートを通して医療用器具を内部領域に挿入することができる。
【0003】
特定の処置では、ロボット対応の医療システムを使用して、器具及びそのエンドエフェクタの挿入及び/又は操作を制御することができる。ロボット対応の医療システムは、ロボットアーム、又は他の器具位置決めデバイスを含んでもよい。ロボット対応の医療システムはまた、処置中の器具の位置決めを制御するために使用されるコントローラを含んでもよい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1の態様では、ロボット対応の遠隔操作システムが説明される。システムは、コントローラ、及びコントローラによる操作が可能なロボットツールと、を備える。コントローラは、操作者による作動のために構成されたハンドルと、ハンドルに結合され、複数の自由度でハンドルの操作を可能にするように構成されたジンバルであって、ハンドルの操作がロボットツールの対応する操作を引き起こすようにインピーダンス制御するように構成されている、ジンバルと、ジンバルに結合され、かつ複数の自由度でハンドルの操作を可能にするように構成された位置決めプラットフォームと、を備える。位置決めプラットフォームは、ハンドルの操作がロボットツールの対応する操作を引き起こすように、アドミタンス制御するように構成されている。
【0005】
システムは、以下の特徴のうちの1つ又は2つ以上を任意の組み合わせで含んでもよい:(a)ロボットツールは、医療用器具であること、(b)ジンバルは、回転関節を介して位置決めプラットフォームに結合されていること、(c)ジンバルは、少なくとも3つの回転自由度でのハンドルの操作を可能にすること、(d)位置決めプラットフォームは、少なくとも3つの位置自由度でのハンドルの操作を可能にすること、(e)ロボットアームは、ロボットツールに結合され、ロボットツールは、カテーテル、スコープ、グラスパー、シーラー、又はカッターのうちの少なくとも1つを含むこと、(f)ロードセルは、ジンバル内に位置決めされること、(g)位置決めプラットフォームのアドミタンス制御は、ロードセルの出力信号に基づくこと、(h)ジンバルは、遠位から近位に配設され、関節によって接続された少なくとも第1のリンク、第2のリンク、及び第3のリンクを含み、ロードセルは、第1のリンク内に位置決めされていること、(i)関節は、外旋関節であること、(j)ジンバルは、遠位から近位に配設され、リンクによって接続された少なくとも第1の関節、第2の関節、及び第3の関節を含み、ロードセルは、第2の関節の遠位に位置決めされていること、(k)ジンバルは、遠位から近位に配設され、関節によって接続された少なくとも第1のリンク、第2のリンク、及び第3のリンクを含み、ロードセルは、第3のリンク内に位置決めされていること、(l)ジンバルは、遠位から近位に配設され、リンクによって接続された少なくとも第1の関節、第2の関節、及び第3の関節を含み、ロードセルは、第3の関節の近位に位置決めされていること、(m)ジンバルは、ロードセルの近位の構造を遮蔽し、それによりロードセルの遠位端と遮蔽された構造との間の機械的短絡を防止する、ロードセルの遠位端に取り付けられたカバーを備えること、(n)ジンバルの関節を制御するためにジンバル内に位置決めされたモータ、(o)モータは、ケーブルドライブによって関節に接続されていること、(p)モータは、関節の近位に位置すること、(q)位置決めプラットフォームは、少なくとも1つの直動関節を含むこと、(r)直動関節の運動軸は、重力の方向と整列していること、及び/又は(s)ジンバルは、関節によって位置決めプラットフォームに結合されており、関節の軸は、重力の方向と整列していること。
【0006】
別の態様では、ロボット対応の遠隔操作システムは、コントローラ、及びコントローラによる操作が可能なロボットツールを備える。コントローラは、操作者による作動のために構成されたハンドルと、ハンドルに結合され、複数の自由度でハンドルの操作を可能にするように構成されたジンバルであって、ジンバルが、ロードセルを備え、ジンバルの少なくとも2つの軸の動作が、ロードセルのどの出力信号にも基づかない、ジンバルと、ジンバルに結合され、かつ複数の自由度でハンドルの操作を可能にするように構成された位置決めプラットフォームと、を備える。ハンドルは、ジンバル内のロードセルの出力信号に少なくとも部分的に基づいて、アドミタンス制御するように構成されている。
【0007】
システムは、以下の特徴のうちの1つ又は2つ以上を任意の組み合わせで含んでもよい:(a)ジンバルは、遠位から近位に配設され、関節によって接続された少なくとも第1のリンク、第2のリンク、及び第3のリンクを含み、ロードセルが、第1のリンク内に位置決めされていること、(b)ロードセルの近位の構造を遮蔽し、それによりロードセルの遠位端と遮蔽された構造との間の機械的短絡を防止する、ロードセルの遠位端に取り付けられたカバー、(c)ジンバルは、遠位から近位に配設され、リンクによって接続された少なくとも第1の関節、第2の関節、及び第3の関節を含み、ロードセルは、第2の関節の遠位に位置決めされていること、(d)ジンバルは、遠位から近位に配設され、関節によって接続された少なくとも第1のリンク、第2のリンク、及び第3のリンクを含み、ロードセルは、第3のリンク内に位置決めされていること、(e)ジンバルは、遠位から近位に配設され、リンクによって接続された少なくとも第1の関節、第2の関節、及び第3の関節を含み、ロードセルは、第3の関節の近位に位置決めされていること、(f)ジンバルの関節を制御するためにジンバル内に位置決めされたモータ、(g)モータは、ケーブルドライブによって関節に接続されていること、及び/又は(h)モータは、関節の近位に位置すること。
【0008】
別の態様では、遠隔操作方法であって、インピーダンス制御を介してコントローラの回転を駆動することと、アドミタンス制御を介してコントローラの並進を駆動することと、インピーダンス及び/又はアドミタンス制御に基づいてコントローラからの出力信号を送達することと、出力信号に基づいて遠隔操作ツールの運動を駆動することと、を伴うか、又はそれを含む、遠隔操作方法が提供される。
【0009】
本方法は、以下の特徴のうちの1つ又は2つ以上を任意の組み合わせで含んでもよい:(a)出力信号は、コントローラのハンドルの回転及び/又は位置に基づくこと、(b)インピーダンス制御を介してコントローラの回転を駆動することは、コントローラのハンドルを回転させることを含むこと、(c)ハンドルは、複数の自由度でハンドルの操作を可能にするように構成されたジンバルに取り付けられていること、(d)ジンバルは、ロードセルを備えること、(e)アドミタンス制御を介してコントローラの並進を駆動することは、コントローラのハンドルを並進させることを含み、アドミタンス制御は、ロードセルの出力に基づいていること、(f)ジンバルは、遠位から近位に配設され、関節によって接続された少なくとも第1のリンク、第2のリンク、及び第3のリンクを含み、ロードセルは、第1のリンク内に位置決めされていること、(g)ジンバルは、遠位から近位に配設され、リンクによって接続された少なくとも第1の関節、第2の関節、及び第3の関節を含み、ロードセルは、第2の関節の遠位に位置決めされていること、(h)ジンバルは、遠位から近位に配設され、関節によって接続された少なくとも第1のリンク、第2のリンク、及び第3のリンクを含み、ロードセルは、第3のリンク内に位置決めされていること、及び/又は(i)ジンバルは、遠位から近位に配設され、リンクによって接続された少なくとも第1の関節、第2の関節、及び第3の関節を含み、ロードセルは、第3の関節の近位に位置決めされていること。
【0010】
別の態様では、遠隔操作方法であって、遠隔操作されたロボットツールの対応する操作を引き起こすようにコントローラを操作することを含み、コントローラを操作することが、遠隔操作されたロボットツールの対応する操作を引き起こすために、コントローラのハンドルをインピーダンス制御を通して少なくとも3つの回転自由度で操作することと、遠隔操作されたロボットツールの対応する操作を引き起こすために、コントローラのハンドルをアドミタンス制御を通して少なくとも3つの位置自由度で操作することと、を含む、方法、が提供される。
【0011】
本方法は、以下の特徴のうちの1つ又は2つ以上を任意の組み合わせで含んでもよい:(a)ハンドルを少なくとも3つの回転自由度で操作することは、ジンバルを操作することを含むこと、(b)ハンドルを少なくとも3つの回転自由度で操作することは、ハンドルを少なくともピッチ、ロール、及びヨーで操作することを含むこと、(c)ハンドルを少なくとも3つの位置自由度で操作することは、位置決めプラットフォームを操作することを含むこと、及び/又は(d)ハンドルを少なくとも3つの位置自由度で操作することは、ハンドルを少なくともx方向、y方向、及びz方向で操作することを含むこと。
【0012】
別の態様では、ロボット対応の遠隔操作システムは、遠隔操作されたロボットツールを操作するためのマニピュレータであって、マニピュレータが、カラムに動作可能に結合された最近位リンクと、遠位リンクと、を含むリンクによって形成された複数の関節を備え、最近位リンクは、最遠位リンクよりもカラムに近接して位置決めされている、マニピュレータを含む。システムはまた、複数のリンクのうちの少なくとも1つの内部に位置決めされたロードセルを含む。複数の関節の第1の組は、ロードセルの近位に位置決めされ、複数の関節の第2の組は、ロードセルの遠位に位置決めされ、複数の関節の第2の組は、その移動がロードセルからの出力信号に基づかない少なくとも1つの関節を含む。
【0013】
システムは、以下の特徴のうちの1つ又は2つ以上を任意の組み合わせで含んでもよい:(a)マニピュレータは、シリアルリンクマニピュレータを備えること、(b)マニピュレータは、パラレルリンクマニピュレータを備えること、(c)マニピュレータは、複数のリンクによって形成されたハンドルと、ジンバルと、位置決めプラットフォームとを備えること、(d)ジンバルは、外旋関節によって位置決めプラットフォームに結合されていること、(e)ロードセルの近位にある複数の関節の第1の組は、位置決めプラットフォームの一部であること、(f)位置決めプラットフォームの操作は、ロードセルの出力信号に基づいていること、及び/又は(g)ロードセルの遠位にある複数の関節の第2の組は、ジンバルの一部であること。
【0014】
別の態様では、ロボット対応のシステムは、コントローラであって、操作者によって作動するように構成されたハンドルと、ハンドルに結合され、複数の自由度でハンドルの操作を可能にするように構成されたジンバルであって、インピーダンス制御するように構成されている、ジンバルと、ジンバルに結合され、複数の自由度でハンドルの操作を可能にするように構成された位置決めプラットフォームであって、アドミタンス制御するように構成されている、位置決めプラットフォームと、を備える、コントローラを含む。いくつかの実施形態では、コントローラは、遠隔操作されたロボットツールを操作する。いくつかの実施形態では、コントローラは、仮想環境内で物体を操作する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
開示される態様は、以下、添付の図面と併せて説明され、開示された態様を例示するが、これに限定するものではなく、同様の表記は同様の要素を示す。
【
図1】診断及び/又は治療用気管支鏡検査処置(複数可)のために配設されたカートベースのロボットシステムの実施形態である。
【
図2】
図1のロボットシステムの更なる態様である。
【
図3】尿管鏡検査のために配設された
図1のロボットシステムの実施形態である。
【
図4】血管処置のために配設された
図1のロボットシステムの実施形態である。
【
図5】気管支鏡検査処置のために配設されたテーブルベースのロボットシステムの実施形態である。
【
図6】
図5のロボットシステムの代替的な図である。
【
図7】ロボットアーム(複数可)を格納するように構成された例示的なシステムである。
【
図8】尿管鏡検査処置のために構成されたテーブルベースのロボットシステムの実施形態である。
【
図9】腹腔鏡処置のために構成されたテーブルベースのロボットシステムの実施形態である。
【
図10】ピッチ又は傾斜調整を備えた
図5~
図9のテーブルベースのロボットシステムの実施形態である。
【
図11】
図5~
図10のテーブルベースのロボットシステムのテーブルとカラムとの間のインターフェースの詳細な例示である。
【
図13】対の器具ドライバを備えた例示的な医療用器具である。
【
図14】駆動ユニットの軸が器具の細長いシャフトの軸に平行である、器具ドライバ及び器具の代替的な設計である。
【
図15】例示的な実施形態による、
図13及び
図14の器具の位置のような、
図1~
図10のロボットシステムの1つ又は2つ以上の要素の位置を推定する位置特定システムを示すブロック図である。
【
図16A】ロボット対応の医療用器具のためのコントローラを含むロボット対応の医療システムの一実施形態を示すブロック図である。
【
図16B】ハイブリッドインピーダンス及びアドミタンス制御のために構成され得る
図16Aのコントローラの一実施形態を示すブロック図である。
【
図16C】2つのジンバル及び位置決めプラットフォームを含むコントローラの一実施形態の等角図である。
【
図17】コントローラのためのジンバルの一実施形態の等角図である。
【
図18】第1の位置にロードセルを含むジンバルの第1の実施形態の等角断面図である。
【
図19A】第2の位置にロードセルを含むジンバルの第2の実施形態の等角断面図である。
【
図19B】ケーブル駆動システムの実施形態を示すための、透明カバーを備えた
図19Aの第2の実施形態の等角図である。
【
図20B】機械的短絡の可能性を低減するように構成されたジンバルのためのカバーの一例である。
【
図20C】一実施形態による、機械的短絡を引き起こすことなく接触させることができる
図18のジンバルの第1の実施形態におけるカバーの範囲を示す。
【
図20D】一実施形態による、機械的短絡を引き起こすことなく接触させることができる
図19A及び
図19Bのジンバルの第2の実施形態におけるカバーの範囲を示す。
【
図21】コントローラ方法の一実施形態を示すフローチャートである。
【
図22】コントローラ方法の別の実施形態を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
1.概論
本開示の態様は、腹腔鏡検査などの低侵襲性、及び内視鏡検査などの非侵襲性の両方の処置を含む、様々な医療処置を行うことができるロボット対応の医療システムに統合され得る。内視鏡検査処置のうち、システムは、気管支鏡検査、尿管鏡検査、胃鏡検査など行うことが可能であり得る。
【0017】
幅広い処置を実行することに加えて、システムは、医師を支援するための強調された撮像及び誘導などの追加の利益を提供することができる。加えて、システムは、厄介なアーム運動及び位置を必要とせずに、人間工学的位置から処置を行う能力を医師に提供することができる。また更に、システムは、システムの器具のうちの1つ又は2つ以上が単一のユーザによって制御され得るように、改善された使いやすさで処置を行う能力を医師に提供することができる。
【0018】
以下、説明を目的として、図面と併せて、様々な実施形態が説明される。開示された概念の多くの他の実施態様が可能であり、開示された実施態様で様々な利点が達成され得ることを理解されたい。見出しが、参照のために本明細書に含まれ、様々なセクションの位置を特定する支援となる。これらの見出しは、それに関して説明される概念の範囲を限定することを意図するものではない。そのような概念は、本明細書全体にわたって適用可能性を有し得る。
【0019】
A.ロボットシステム-カート
ロボット対応の医療システムは、特定の処置に応じて様々な方法で構成され得る。
図1は、診断及び/又は治療用気管支鏡検査処置のために配設された、カートベースのロボット対応のシステム10の実施形態を示す。気管支鏡検査の間、システム10は、気管支鏡検査のための処置特有の気管支鏡であり得る操縦可能な内視鏡13などの医療用器具を、診断及び/又は治療用具を送達するための自然オリフィスアクセスポイント(すなわち、本実施例ではテーブル上に位置決めされた患者の口)に送達するための1つ若しくは2つ以上のロボットアーム12を有するカート11を含み得る。図示のように、カート11は、アクセスポイントへのアクセスを提供するために、患者の上部胴体に近接して位置決めされ得る。同様に、ロボットアーム12は、アクセスポイントに対して気管支鏡を位置決めするために作動され得る。
図1の配置はまた、胃腸管(gastro-intestinal、GI)処置を胃鏡、GI処置のための特殊な内視鏡を用いて行うときに利用され得る。
図2は、カートの例示的な実施形態をより詳細に描画する。
【0020】
図1を引き続き参照すると、一旦カート11が適切に位置決めされると、ロボットアーム12は、操縦可能な内視鏡13をロボットで、手動で、又はそれらの組み合わせで患者内に挿入することができる。図示のように、操縦可能な内視鏡13は、内側リーダー部分及び外側シース部分などの少なくとも2つの入れ子式部品を含んでもよく、各部分は、器具ドライバのセット28とは別個の器具ドライバに結合され、各器具ドライバは、個々のロボットアームの遠位端に結合されている。リーダー部分をシース部分と同軸上に整列させるのを容易にする器具ドライバ28のこの直線配置は、1つ若しくは2つ以上のロボットアーム12を異なる角度及び/又は位置に操作することによって空間内に再位置決めされ得る「仮想レール」29を形成する。本明細書に記載される仮想レールは、破線を使用して図に示されており、したがって破線は、システムのいずれの物理的構造も示さない。仮想レール29に沿った器具ドライバ28の並進は、外側シース部分に対して内側リーダー部分を入れ子にするか、又は内視鏡13を患者から前進又は後退させる。仮想レール29の角度は、臨床用途又は医師の好みに基づいて調整、並進、及び枢動されてもよい。例えば、気管支鏡検査では、示されるような仮想レール29の角度及び位置は、内視鏡13を患者の口内に曲げ入れることによる摩擦を最小限に抑えながら内視鏡13への医師のアクセスを提供する妥協を表す。
【0021】
内視鏡13は、対象の目的地又は手術部位に到達するまで、ロボットシステムからの正確なコマンドを使用して挿入後に患者の気管及び肺の下流に指向されてもよい。患者の肺網を通したナビゲーションを高め、及び/又は所望の標的に到達するために、内視鏡13を操作して、内側リーダー部分を外側シース部分から入れ子状に延在させて、高められた関節運動及びより大きな曲げ半径を得てもよい。別個の器具ドライバ28の使用により、リーダー部分及びシース部分が互いに独立して駆動されることも可能にする。
【0022】
例えば、内視鏡13は、例えば、患者の肺内の病変又は小結節などの標的に生検針を送達するように指向されてもよい。針は、内視鏡の長さにわたる作業チャネルの下流に展開されて、病理医によって分析される組織試料を得てもよい。病理の結果に応じて、追加の生検のために追加のツールが内視鏡の作業チャネルの下流に展開されてもよい。小結節を悪性と特定した後、内視鏡13は、潜在的な癌組織を切除するために器具を内視鏡的に送達してもよい。場合によっては、診断及び治療的処置は、別個の処置で送達される必要があってもよい。これらの状況において、内視鏡13はまた、標的小結節の位置を「マーク」するために基準を送達するために使用されてもよい。他の例では、診断及び治療的処置は、同じ処置中に送達されてもよい。
【0023】
システム10はまた、支持ケーブルを介してカート11に接続されて、カート11への制御、電子機器、流体工学、光学系、センサ、及び/又は電力のためのサポートを提供し得る移動可能なタワー30を含んでもよい。タワー30内にこのような機能を置くことにより、動作を行う医師及びそのスタッフが容易に調整及び/又は再位置決めすることができるより小さいフォームファクタのカート11が可能となる。追加的に、カート/テーブルと支持タワー30との間の機能の分割は、手術室の乱雑さを低減し、臨床ワークフローの改善を促進する。カート11は患者に近接して位置決めされてもよいが、タワー30は、処置中に邪魔にならないように遠隔位置に収容されてもよい。
【0024】
上述のロボットシステムをサポートするために、タワー30は、例えば、永続的な磁気記憶ドライブ、ソリッドステートドライブなどの非一時的コンピュータ可読記憶媒体内にコンピュータプログラム命令を記憶するコンピュータベースの制御システムの構成要素(複数可)を含んでもよい。これらの命令の実行は、実行がタワー30内で行われるのか又はカート11内で行われるかにかかわらず、そのシステム又はサブシステム(複数可)全体を制御してもよい。例えば、コンピュータシステムのプロセッサによって実行される場合、命令は、ロボットシステムの構成要素に、関連するキャリッジ及びアームマウントを作動させ、ロボットアームを作動させ、医療用器具を制御させてもよい。例えば、制御信号を受信したことに応答して、ロボットアームの関節内のモータは、アームをある特定の姿勢に位置決めしてもよい。
【0025】
タワー30はまた、内視鏡13を通して展開され得るシステムに制御された灌注及び吸引能力を提供するために、ポンプ、流量計、弁制御、及び/又は流体アクセスを含んでもよい。これらの構成要素はまた、タワー30のコンピュータシステムを使用して制御されてもよい。いくつかの実施形態では、灌注及び吸引能力は、別個のケーブル(複数可)を介して内視鏡13に直接送達されてもよい。
【0026】
タワー30は、フィルタリングされ、保護された電力をカート11に提供するように設計された電圧及びサージ保護具を含んでもよく、それによって、カート11内に電力変圧器及び他の補助電力構成要素を配置を回避することが回避され、カート11はより小さく、より移動可能になる。
【0027】
タワー30はまた、ロボットシステム10全体に展開されたセンサのための支持機器を含んでもよい。例えば、タワー30は、ロボットシステム10を通して光センサ又はカメラから受信したデータを検出、受信、及び処理するためのオプトエレクトロニクス機器を含んでもよい。制御システムと組み合わせて、このようなオプトエレクトロニクス機器は、タワー30内を含むシステム全体に展開された任意の数のコンソール内に表示するためのリアルタイム画像を生成するために使用されてもよい。同様に、タワー30はまた、展開された電磁(electromagnetic、EM)センサから受信した信号を受信及び処理するための電子サブシステムを含んでもよい。タワー30はまた、医療用器具内又は医療用器具上のEMセンサによる検出のためにEM場発生器を収容し、位置決めするために使用されてもよい。
【0028】
タワー30はまた、システムの残りの部分で利用可能な他のコンソール、例えば、カートの上部に装着されたコンソールに追加して、コンソール31を含んでもよい。コンソール31は、医師操作者のためのユーザインターフェース及びタッチスクリーンなどの表示画面を含んでもよい。システム10内のコンソールは、一般に、ロボット制御、並びに内視鏡13のナビゲーション情報及び位置特定情報などの処置の術前及びリアルタイム情報の両方を提供するように設計される。コンソール31が医師に利用可能な唯一のコンソールではないと場合、コンソール31は、看護師などの第2の操作者によって使用されて、患者の健康又は生命及びシステムの動作を監視し、並びにナビゲーション及び位置特定情報などの処置固有のデータを提供してもよい。他の実施形態では、コンソール30は、タワー30とは別個の本体内に収容される。
【0029】
タワー30は、1つ又は2つ以上のケーブル又は接続(図示せず)を介してカート11及び内視鏡13に結合されてもよい。いくつかの実施形態では、タワー30からの支持機能は、単一ケーブルを通してカート11に提供されることにより、手術室を簡略化し、整理整頓することができる。他の実施形態では、特定の機能は、別個のケーブリング及び接続で結合されてもよい。例えば、単一の電力ケーブルを通してカートに電力が供給されてもよい一方、制御、光学、流体工学、及び/又はナビゲーションのためのサポートは、別個のケーブルを通して提供されてもよい。
【0030】
図2は、
図1に示されるカートベースのロボット対応のシステムからのカートの実施形態の詳細な図を提供する。カート11は、概して、細長い支持構造14(「カラム」と称されることが多い)、カート基部15、及びカラム14の頂部にあるコンソール16を含む。カラム14は、1つ又は2つ以上のロボットアーム12(
図2には3つ示されている)の展開を支持するためのキャリッジ17(代替的に「アーム支持体」)などの1つ又は2つ以上のキャリッジを含んでもよい。キャリッジ17は、患者に対してより良好に位置決めするために、ロボットアーム12の基部を調整する、垂直軸に沿って回転する個別に構成可能なアームマウントを含んでもよい。キャリッジ17はまた、キャリッジ17がカラム14に沿って垂直方向に並進することを可能にするキャリッジインターフェース19を含む。
【0031】
キャリッジインターフェース19は、キャリッジ17の垂直方向の並進を案内するためにカラム14の両側に位置決めされたスロット20などのスロットを通してカラム14に接続されている。スロット20は、カート基部15に対して様々な垂直方向の高さでキャリッジを位置決め及び保持するための垂直方向の並進インターフェースを含む。キャリッジ17の垂直方向の並進により、カート11は、様々なテーブルの高さ、患者のサイズ、及び医師の好みを満たすようにロボットアーム12の到達を調整することが可能となる。同様に、キャリッジ17上の個別に構成可能なアームマウントにより、ロボットアーム12のロボットアーム基部21を様々な構成で角度付けさすることが可能となる。
【0032】
いくつかの実施形態では、キャリッジ17が垂直方向に並進する際に、カラム14の内部チャンバ及び垂直方向の並進インターフェース内に汚れ及び流体が侵入するのを防止するために、スロット20には、スロット表面と同一平面及び平行であるスロットカバーが追加されてもよい。スロットカバーは、スロット20の垂直方向の頂部及び底部付近に位置決めされたばねスプールの対を通じて展開されてもよい。カバーは、スプール内でコイル巻きにされており、キャリッジ17が垂直方向に上下に並進して初めて展開して、それらのコイル状態から延伸及び後退する。スプールのばね荷重は、キャリッジ17がスプールに向かって並進するときにカバーをスプール内に後退させるための力を提供する一方で、キャリッジ17がスプールから離れるように並進するときに密封も維持する。カバーは、キャリッジ17が並進する際にカバーが適切に延伸及び後退するのを確実にするために、例えば、キャリッジインターフェース19内のブラケットを使用してキャリッジ17に接続されてもよい。
【0033】
カラム14は、例えば、コンソール16からの入力などのユーザ入力に応答して生成された制御信号に応答してキャリッジ17を機械的に並進させるために垂直方向に整列した主ねじを使用するように設計された、歯車及びモータなどの機構を内部的に含んでもよい。
【0034】
ロボットアーム12は、一般に、一連の関節24によって接続されている一連の連結部23によって分離されたロボットアーム基部21及びエンドエフェクタ22を含んでもよく、各関節は独立したアクチュエータを含み、各アクチュエータは、独立して制御可能なモータを含む。それぞれ独立して制御可能な関節は、ロボットアームが利用可能な独立した自由度を表す。アーム12の各々は、7つの関節を有し、したがって、7つの自由度を提供する。多数の関節は、多数の自由度をもたらし、「冗長」自由度を可能にする。冗長自由度は、ロボットアーム12が、異なる連結位置及び関節角度を使用して空間内の特定の位置、向き、及び軌道で、それらのそれぞれのエンドエフェクタ22を位置決めすることを可能にする。これにより、システムが空間内の所望のポイントから医療器具を配置及び指向させることが可能になると同時に、医師がアーム関節を患者から離れる臨床的に有利な位置へと移動させて、アームの衝突を回避しながら、よりよいアクセスを生み出すことを可能にする。
【0035】
カート基部15は、床の上のカラム14、キャリッジ17及びアーム12の重量の釣り合いをとる。したがって、カート基部15は、電子機器、モータ、電源、並びにカートの移動及び/又は固定化のいずれかを可能にする構成要素などの、より重い部品を収容する。例えば、カート基部15は、処置前にカートが部屋の中をあちこちに容易に移動することを可能にする、転動可能なホイール形状のキャスター25を含む。適切な位置に到達した後、キャスター25は、処置中にカート11を定位置に保持するためのホイールロックを使用して静止させられてもよい。
【0036】
カラム14の垂直方向の端部に位置決めされた、コンソール16は、ユーザ入力を受信するためのユーザインターフェース及び表示画面(又は、例えば、タッチスクリーン26などの二重目的デバイス)の両方を可能にして、術前データ及び術中データの両方を医師であるユーザに提供する。タッチスクリーン26上の潜在的な術前データは、術前計画、術前コンピュータ断層撮影(CT)スキャンから導出されたナビゲーション及びマッピングデータ、及び/又は術前の患者への問診からのメモを含んでもよい。ディスプレイ上の術中データは、ツールから提供される光学情報、センサからのセンサ及び座標情報、及び呼吸、心拍数、及び/又はパルスなどの不可欠な患者統計を含んでもよい。コンソール16は、医師が、キャリッジ17の反対側のカラム14側からコンソールにアクセスすることを可能にするように位置決めされ、傾斜が付けられてもよい。この位置から、医師は、コンソール16をカート11の背後から操作しながらコンソール16、ロボットアーム12及び患者を見ることができる。図示のように、コンソール16はまた、カート11の操作及び安定化を支援するハンドル27を含む。
【0037】
図3は、尿管鏡検査のために配されたロボット対応のシステム10の実施形態を示す。尿管鏡検査処置では、カート11は、患者の尿道及び尿管を横断するように設計された処置専用内視鏡である尿管鏡32を患者の下腹部領域に送達するように位置決めされてもよい。尿管鏡検査では、尿管鏡32が患者の尿道と直接整列して、領域内の敏感な解剖学的構造に対する摩擦及び力を低減することが望ましいことがある。図示のように、カート11は、ロボットアーム12が尿管鏡32を、患者の尿道に直接直線状にアクセスするように配置できるように、テーブルの脚部に整列されてもよい。テーブルの脚部から、ロボットアーム12は、尿道を通して患者の下腹部に直接、仮想レール33に沿って尿管鏡32を挿入してもよい。
【0038】
気管支鏡検査におけるのと同様の制御技法を使用して尿道に挿入した後、尿管鏡32は、診断及び/又は治療用途のために膀胱、尿管、及び/又は腎臓にナビゲートされてもよい。例えば、尿管鏡32は、尿管及び腎臓に指向され、尿管鏡32の作業チャネルの下方に展開されたレーザ又は超音波砕石デバイスを使用して、形成された腎臓結石を破壊することができる。砕石術が完了した後、得られた結石片は、尿管鏡32の下方に展開されたバスケットを使用して除去されてもよい。
【0039】
図4は、血管処置のために同様に配されたロボット対応のシステムの実施形態を示す。血管処置において、システム10は、カート11が、操縦可能なカテーテルなどの医療用器具34を、患者の脚内の大腿動脈内のアクセスポイントに送達することができるように構成され得る。大腿動脈は、ナビゲーションのためのより大きな直径と、患者の心臓への比較的迂回性及び蛇行性でない経路との両方を呈し、これによりナビゲーションが単純化する。尿管鏡処置のように、カート11は、患者の脚及び下腹部に向かって位置決めされて、ロボットアーム12が患者の大腿/腰領域内の大腿動脈アクセスポイントへの直接的な線形アクセスで仮想レール35を提供することを可能にしてもよい。動脈内への挿入後、器具ドライバ28を並進させることによって医療器具34が指向され、挿入されてもよい。代替的に、カートは、例えば、肩及び手首付近の頚動脈及び腕動脈などの代替的な血管アクセスポイントに到達するために、患者の上腹部の周囲に位置決めされてもよい。
【0040】
B.ロボットシステム-テーブル
ロボット対応の医療システムの実施形態はまた、患者テーブルを組み込んでもよい。テーブルの組み込みは、カートを除去することによって手術室内の資本設備の量を低減し、患者へのより大きなアクセスを可能にする。
図5は、気管支鏡検査処置のために配されたこのようなロボット対応のシステムの一実施形態を示す。システム36は、床の上にプラットフォーム38(「テーブル」又は「ベッド」として図示)を支持するための支持構造体又はカラム37を含む。カートベースのシステムと同様に、システム36のロボットアーム39のエンドエフェクタは、器具ドライバ42の線形整列から形成された仮想レール41を通して、又はそれに沿って、
図5の気管支鏡40などの細長い医療用器具を操作するように設計された器具ドライバ42を含む。実際には、X線透視撮像を提供するためのCアームは、放射器及び検出器をテーブル38の周囲に置くことによって、患者の上部腹部領域の上方に位置決めされてもよい。
【0041】
図6は、考察目的で患者及び医療用器具なしのシステム36の代替図を提供する。図示されるように、カラム37は、1つ又は2つ以上のロボットアーム39のベースとなり得る、システム36内でリング形状として図示される1つ又は2つ以上のキャリッジ43を含んでもよい。キャリッジ43は、カラム37の長さにわたる垂直方向のカラムインターフェース44に沿って並進して、ロボットアーム39が患者に到達するように位置決めされ得る異なるバンテージポイントを提供してもよい。キャリッジ(複数可)43は、カラム37内に位置決めされた機械的モータを使用してカラム37の周りを回転して、ロボットアーム39が、例えば、患者の両側などのテーブル38の複数の側面へのアクセスを有することを可能にしてもよい。複数のキャリッジを有する実施形態では、キャリッジはカラム上に個別に位置決めされてもよく、他のキャリッジとは独立して並進及び/又は回転してもよい。キャリッジ43はカラム37を取り囲む必要はなく、又は更には円形である必要はないが、図示されるようなリング形状は、構造的バランスを維持しながらカラム37の周りでのキャリッジ43の回転を容易にする。キャリッジ43の回転及び並進により、システムは、内視鏡及び腹腔鏡などの医療用器具を患者の異なるアクセスポイントに整列させることができる。他の実施形態(図示せず)では、システム36は、並行して延在するバー又はレールの形態の調節可能なアーム支持体を有する患者テーブル又はベッドを含むことができる。1つ又は2つ以上のロボットアーム39(例えば、肘関節を有する肩部を介して)を、垂直に調整することができる調節可能なアーム支持体に取り付けることができる。垂直調節を提供することによって、ロボットアーム39は、有利には、患者テーブル又はベッドの下にコンパクトに収容することができ、その後、処置中に上昇させることができる。
【0042】
アーム39は、ロボットアーム39に追加の構成可能性を提供するために個別に回転及び/又は入れ子式に延在し得る一連の関節を含むアームマウント45のセットを介してキャリッジに装着されてもよい。加えて、アームマウント45は、キャリッジ43が適切に回転されるとき、アームマウント45がテーブル38の片側(
図6に図示されるように)、テーブル38の両側(
図9に図示されるように)、又はテーブル38の隣接する側部(図示せず)のいずれかに位置決めされ得るように、キャリッジ43に位置決めされ得る。
【0043】
カラム37は、テーブル38の支持及びキャリッジの垂直方向の並進のための経路を構造的に提供する。内部に、カラム37は、キャリッジの垂直方向の並進を案内するための主ねじ、及び主ねじに基づくキャリッジの並進を機械化するためのモータが備えていてもよい。カラム37はまた、キャリッジ43及びその上に装着されたロボットアーム39に電力及び制御信号を伝達してもよい。
【0044】
テーブル基部46は、
図2に示すカート11のカート基部15と同様の機能を果たし、テーブル/ベッド38、カラム37、キャリッジ43し及びロボットアーム39の釣り合いをとるためにより重い構成要素を収容する。テーブル基部46はまた、処置中に安定性を提供するために剛性キャスターを組み込んでもよい。テーブル基部46の底部から展開されるキャスターは、基部46の両側で反対方向に延在し、システム36を移動させる必要があるときに後退してもよい。
【0045】
引き続き
図6によれば、システム36はまた、テーブルとタワーとの間でシステム36の機能を分割して、テーブルのフォームファクタ及びバルクを低減するタワー(図示せず)を含んでもよい。先に開示された実施形態と同様に、タワーは、処理、計算、及び制御能力、電力、流体光学、並びに/又は光学及びセンサ処理などの様々な支持機能をテーブルに提供してもよい。タワーはまた、医師のアクセスを改善し、手術室を整理整頓するために、患者から離れて位置決めされるように移動可能であってもよい。加えて、タワー内に構成要素を配置することにより、ロボットアームの潜在的な収納のために、テーブル基部内により多くの保管空間を可能にする。タワーはまた、キーボード及び/又はペンダントなどのユーザ入力のためのユーザインターフェース、並びにリアルタイム撮像、ナビゲーション、及び追跡情報などの術前及び術中情報のための表示画面(又はタッチスクリーン)の両方を提供する、マスタコントローラ又はコンソールを含んでもよい。いくつかの実施形態では、タワーはまた、吹送のために使用されるガスタンク用のホルダを含有してもよい。
【0046】
いくつかの実施形態では、テーブル基部は、使用されていないときにロボットアームを収容して格納してもよい。
図7は、テーブルベースのシステムの一実施形態におけるロボットアームを収容するシステム47を示す。システム47では、キャリッジ48は、ロボットアーム50、アームマウント51、及びキャリッジ48を基部49内に収容するために、基部49に垂直方向に並進されてもよい。基部カバー52は、並進及び後退して、キャリッジ48、アームマウント51、及びアーム50をカラム53の周りに展開させるように開き、使用されていないときにそれらを収容して保護するように閉じられてもよい。基部カバー52は、閉じたときに汚れ及び流体が侵入するのを防止するために、その開口部の縁部に沿って膜54で封止されてもよい。
【0047】
図8は、尿管鏡検査処置のために構成されたロボット対応のテーブルベースのシステムの一実施形態を示す。尿管鏡検査では、テーブル38は、患者をカラム37及びテーブル基部46からオフアングルに位置決めするためのスイベル部分55を含んでもよい。スイベル部分55は、スイベル部分55の底部をカラム37から離すように位置決めするために、旋回点(例えば、患者の頭部の下に位置)を中心に回転又は旋回してもよい。例えば、スイベル部分55の旋回により、Cアーム(図示せず)が、テーブル38の下のカラム(図示せず)との空間を奪い合うことなく、患者の下部腹部の上方に位置決めされることを可能にする。カラム37の周りにキャリッジ35(図示せず)を回転させることにより、ロボットアーム39は、尿道に到達するように、仮想レール57に沿って、鼠径部領域に直接尿管鏡56を挿入してもよい。尿管鏡検査では、処置中に患者の脚の位置を支持し、患者の鼠径部領域への明確なアクセスを可能にするために、テーブル38のスイベル部分55にあぶみ58が固定されてもよい。
【0048】
腹腔鏡処置では、患者の腹壁内の小さな切開部(複数可)を通して、低侵襲性器具を患者の解剖学的構造に挿入してもよい。いくつかの実施形態では、低侵襲性器具は、患者内の解剖学的構造にアクセスするために使用されるシャフトなどの細長い剛性部材を含む。患者の腹腔の膨張後、器具は、把持、切断、アブレーション、縫合などの外科的又は医療的タスクを行うように指向されてもよい。いくつかの実施形態では、器具は、腹腔鏡などのスコープを備えることができる。
図9は、腹腔鏡検査処置のために構成されたロボット対応のテーブルベースのシステムの一実施形態を示す。
図9に図示されるように、システム36のキャリッジ43は回転し、垂直方向に調整されて、器具59が患者の両側の最小切開部を通過して患者の腹腔に到達するようにアームマウント45を使用して位置決めされ得るように、ロボットアーム39の対をテーブル38の両側に位置決めしてもよい。
【0049】
腹腔鏡処置に対応するために、ロボット対応のテーブルシステムはまた、プラットフォームを所望の角度に傾斜させてもよい。
図10は、ピッチ又は傾斜調整を有するロボット対応の医療システムの実施形態を示す。
図10に図示されるように、システム36は、テーブル38の傾斜に適応して、テーブルの一方側の部分を他方側の部分よりも床から長い距離に位置決めすることができる。加えて、アームマウント45は、アーム39がテーブル38と同じ平面関係を維持するように、傾斜に一致するように回転してもよい。急角度に適応するために、カラム37はまた、テーブル38が床に接触するか又は基部46と衝突するのを防ぐためにカラム37が垂直方向に延びるのを可能にする入れ子部分60を含んでもよい。
【0050】
図11は、テーブル38とカラム37との間のインターフェースの詳細な図示を提供する。ピッチ回転機構61は、カラム37に対するテーブル38のピッチ角を複数の自由度で変更するように構成されてもよい。ピッチ回転機構61は、カラム-テーブルインターフェースでの直交軸1、2の位置決めによって可能にされてもよく、各軸は、電気ピッチ角コマンドに応答して別個のモータ3、4によって作動される。一方のねじ5に沿った回転は、一方の軸1における傾斜調整を可能にし、他方のねじ6に沿った回転は、他方の軸2に沿った傾斜調整を可能にする。いくつかの実施形態では、カラム37に対するテーブル38のピッチ角を複数の自由度で変更するために、玉継ぎ手を使用することができる。
【0051】
例えば、ピッチ調整は、テーブルをトレンデレンブルグ体位に位置決めしようとするときに、すなわち下腹部手術のために患者の下腹部よりも床からより高い位置に患者の下腹部を位置させようとするときに、特に有用である。トレンデレンブルグ体位は、患者の内臓を重力によって自分の上腹部に向かってスライドさせ、低侵襲性ツールが入って腹腔鏡前立腺切除術などの下腹部の外科処置又は医療処置を実施するために、腹腔を空にする。
【0052】
C.器具ドライバ及びインターフェース
システムのロボットアームのエンドエフェクタは、(i)医療用器具を作動させるための電気機械的手段を組み込む器具ドライバ(代替的に、「器具駆動機構」又は「器具デバイスマニピュレータ」と称される)と、(ii)モータなどの任意の電気機械的構成要素を欠いていてもよい除去可能な又は取り外し可能な医療用器具と、を含む。この二分法は、医療処置に使用される医療用器具を滅菌する必要性、それらの複雑な機械的アセンブリ及び敏感な電子機器により、高価な資本設備を十分に滅菌することができないことに牽引され得る。したがって、医療用器具は、医師又は医師のスタッフによる個々の滅菌又は廃棄のために、器具ドライバ(したがってそのシステム)から取り外し、除去、及び交換されるように設計され得る。対照的に、器具ドライバは交換又は滅菌される必要がなく、保護のために掛け布がされ得る。
【0053】
図12は、例示的な器具ドライバを示す。ロボットアームの遠位端に位置決めされる器具ドライバ62は、駆動シャフト64を介して医療用器具に制御トルクを提供するために平行軸を伴って配された1つ又は2つ以上の駆動ユニット63を含む。各駆動ユニット63は、器具と相互作用するための個々の駆動シャフト64と、モータシャフトの回転を所望のトルクに変換するためのギヤヘッド65と、駆動トルクを生成するためのモータ66と、モータシャフトの速度を測定し、制御回路にフィードバックを提供するエンコーダ67と、制御信号を受信し、駆動ユニットを作動させるための制御回路68と、を含む。各駆動ユニット63は独立して制御及び電動化され、器具ドライバ62は、複数(
図12に図示されるように4つ)の独立した駆動出力を医療用器具に提供してもよい。動作中、制御回路68は、制御信号を受信し、モータ66にモータ信号を送信し、エンコーダ67によって測定された得られたモータ速度を所望の速度と比較し、モータ信号を変調して所望のトルクを生成する。
【0054】
無菌環境を必要とする処置のために、ロボットシステムは、器具ドライバと医療用器具との間に位置する、無菌ドレープに接続された無菌アダプタなどの駆動インターフェースを組み込んでもよい。無菌アダプタの主な目的は、器具ドライバの駆動シャフトから器具の駆動入力に角度運動を伝達する一方で、駆動シャフトと駆動入力との間の物理的分離、したがって無菌性を維持することである。したがって、例示的な無菌アダプタは、器具ドライバの駆動シャフトと嵌合されることが意図された一連の回転入力部及び出力部と、器具に対する駆動入力部とで構成され得る。無菌アダプタに接続される無菌ドレープは、透明又は半透明プラスチックなどの薄い可撓性材料で構成され、器具ドライバ、ロボットアーム、及び(カートベースのシステムにおける)カート又は(テーブルベースのシステムにおける)テーブルなどの資本設備を覆うように設計される。ドレープの使用により、滅菌を必要としない領域(すなわち、非滅菌野)に依然として位置している間に、資本設備を患者に近接して位置決めすることが可能となる。滅菌ドレープの反対側では、医療用器具は、滅菌(すなわち、滅菌野)を必要とする領域において患者とインターフェースしてもよい。
【0055】
D.医療用器具
図13は、対の器具ドライバを備えた例示的な医療用器具を示す。ロボットシステムと共に使用するために設計された他の器具と同様に、医療用器具70は、細長いシャフト71(又は細長い本体)及び器具基部72を含む。医師による手動相互作用が意図されているその設計により「器具ハンドル」とも称される器具基部72は、概して、ロボットアーム76の遠位端において器具ドライバ75上の駆動インターフェースを通って延在する駆動出力部74と嵌合するように設計された、回転可能な駆動入力部73、例えば、レセプタクル、プーリ、又はスプールを含んでもよい。物理的に接続、ラッチ、及び/又は結合されるときに、器具基部72の嵌合された駆動入力部73は、器具ドライバ75における駆動出力部74と回転軸線を共有して、駆動出力部74から駆動入力部73へのトルクの伝達を可能にすることができる。いくつかの実施形態では、駆動出力部74は、駆動入力部73上のレセプタクルと嵌合するように設計されたスプラインを含んでもよい。
【0056】
細長いシャフト71は、例えば、内視鏡におけるような解剖学的開口部若しくは管腔、又は腹腔鏡検査におけるような低侵襲性切開部のいずれかを通して送達されるように設計されている。細長いシャフト71は、可撓性(例えば、内視鏡と同様の特性を有する)若しくは剛性(例えば、腹腔鏡と同様の特性を有する)であるか、又は可撓性部分及び剛性部分の両方のカスタマイズされた組み合わせを含む、のいずれかであってよい。腹腔鏡ために設計される場合、剛性の細長いシャフトの遠位端は、少なくとも1つの自由度を有するクレビスから形成された接合された手首から延在するエンドエフェクタ、及び駆動入力部が器具ドライバ75の駆動出力部74から受け取ったトルクに応答して回転する際に、腱からの力に基づいて作動され得る、例えば、把持具又ははさみである、手術用ツール又は医療用器具に接続され得る。内視鏡検査のために設計されると場合、可撓性の細長いシャフトの遠位端は、器具ドライバ75の駆動出力部74から受信したトルクに基づいて関節運動及び屈曲され得る操縦可能又は制御可能な屈曲部を含んでもよい。
【0057】
器具ドライバ75からのトルクは、シャフト71に沿う腱を使用して細長いシャフト71の下流に伝達される。プルワイヤなどのこれらの個々の腱は、器具ハンドル72内の個々の駆動入力部73に個別に固定されてもよい。ハンドル72から、腱は、細長いシャフト71に沿って1つ又は2つのプルルーメン(pull lumen)に向けられ、細長いシャフト71の遠位部分、又は細長いシャフトの遠位部分の手首に固定される。腹腔鏡、内視鏡又はハイブリッド処置などの外科手術中、これらの腱は、手首、把持具、又ははさみなどの遠位に装着されたエンドエフェクタに結合されてもよい。このような構成の下で、駆動入力部73に及ぼされるトルクは、腱に張力を伝達し、それによってエンドエフェクタを何らかの方法で作動させる。いくつかの実施形態では、外科処置中に、腱は、関節を軸の周りで回転させることができ、それによってエンドエフェクタを一方向又は別の方向に移動させる。代替的に、腱は、細長いシャフト71の遠位端で把持具の1つ又は2つ以上のジョーに接続されてもよく、腱からの張力によって把持具が閉鎖される。
【0058】
内視鏡検査では、腱は、接着剤、制御リング、又は他の機械的固定を介して、細長いシャフト71に沿って(例えば、遠位端に)位置決めされた屈曲部又は関節運動部に結合されてもよい。屈曲部の遠位端に固定的に取り付けられる場合、駆動入力部73に及ぼされるトルクは、腱の下流に伝達され、より軟質の屈曲部に(関節運動可能部又は領域と称されることがある)を屈曲又は関節運動させる。非屈曲部分に沿って、個々の腱を内視鏡シャフトの壁に沿って(又は内側に)指向する個々のプルルーメンを螺旋状又は渦巻状にして、プルワイヤにおける張力からもたらされる半径方向の力の釣り合いをとることが有利であり得る。これらの間の螺旋及び/又は間隔の角度は、特定の目的のために変更又は設計されてもよく、より狭い螺旋は負荷力下でより小さいシャフト圧縮を呈する一方で、より少ない量の螺旋は負荷力下でより大きなシャフト圧縮をもたらすが、屈曲制限も呈する。スペクトルのもう一方の端部では、プルルーメンは、細長いシャフト71の長手方向軸に平行に指向されて、所望の屈曲部又は関節運動可能部における制御された関節運動を可能にしてもよい。
【0059】
内視鏡検査では、細長いシャフト71は、ロボット処置を支援するいくつかの構成要素を収容する。シャフトは、シャフト71の遠位端における手術領域への手術ツール(又は医療用器具)の展開、灌注、及び/又は吸引を行うための作業チャネルを含んでもよい。シャフト71はまた、光学カメラを含んでもよい遠位先端部の光学アセンブリとの間で信号の授受を行うために、ワイヤ及び/又は光ファイバを収容してもよい。シャフト71はまた、発光ダイオードなどの近位に位置する光源からシャフトの遠位端に光を搬送するための光ファイバを収容してもよい。
【0060】
器具70の遠位端では、遠位先端はまた、診断及び/又は治療、灌注、及び吸引のためにツールを手術部位に送達するための作業チャネルの開口を含んでもよい。遠位先端はまた、内部解剖学的空間の画像を捕捉するために、繊維スコープ又はデジタルカメラなどのカメラのためのポートを含んでもよい。関連して、遠位先端はまた、カメラを使用するときに解剖学的空間を照明するための光源用ポートを含んでもよい。
【0061】
図13の例では、駆動シャフト軸、したがって駆動入力軸は、細長いシャフトの軸に直交する。しかしながら、この配設は、細長いシャフト71のロール能力を複雑にする。駆動入力部73を静止させながら、細長いシャフト71をその軸に沿ってロールさせることにより、駆動入力部73から延出し、細長いシャフト71内のプルルーメンに入る際に、腱の望ましくない絡まりをもたらす。結果として生じるそのような腱のもつれは、内視鏡処置中の可撓性の細長いシャフトの移動を予測することを意図した任意の制御アルゴリズムを妨害することがある。
【0062】
図14は、駆動ユニットの軸が器具の細長いシャフトの軸に平行である、器具ドライバ及び器具の代替的な設計を示す。図示のように、円形の器具ドライバ80は、ロボットアーム82の端部において平行に整列された駆動出力部81を備えた4つの駆動ユニットを含む。駆動ユニット及びそれらのそれぞれの駆動出力部81は、アセンブリ83内の駆動ユニットのうちの1つによって駆動される器具ドライバ80の回転アセンブリ83内に収容される。回転駆動ユニットによって提供されるトルクに応答して、回転アセンブリ83は、回転アセンブリ83を器具ドライバの非回転部分84に接続する円形ベアリングに沿って回転する。電力及び制御信号は、電気接点を通して器具ドライバ80の非回転部分84から回転アセンブリ83に伝達されてもよく、ブラシ付きスリップリング接続(図示せず)による回転を通して維持されてもよい。他の実施形態では、回転アセンブリ83は、非回転可能部分84に一体化され、したがって他の駆動ユニットと平行ではない別個の駆動ユニットに応答してもよい。回転機構83は、器具ドライバ80が、器具ドライバ軸85周りの単一ユニットとして、駆動ユニット及びそれらのそれぞれの駆動出力部81を回転させることを可能にする。
【0063】
先に開示した実施形態と同様に、器具86は、細長いシャフト部分88と、器具ドライバ80内の駆動出力部81を受容するように構成された複数の駆動入力部89(レセプタクル、プーリ、及びスプールなど)を含む器具基部87(説明目的で透明な外部スキンで示される)とを含んでもよい。先の開示した実施形態とは異なり、器具シャフト88は、器具基部87の中心から延在し、軸は、
図13の設計にあるように直交するのではなく、駆動入力部89の軸に実質的に平行である。
【0064】
器具ドライバ80の回転アセンブリ83に結合されると、器具基部87及び器具シャフト88を含む医療用器具86は、器具ドライバ軸85を中心にして回転アセンブリ83と一緒に回転する。器具シャフト88は器具基部87の中心に位置決めされているため、器具シャフト88は、取り付けられたときに器具ドライバ軸85と同軸である。したがって、回転アセンブリ83の回転により、器具シャフト88は、それ自体の長手方向軸を中心に回転する。更に、器具基部87が器具シャフト88と共に回転すると、器具基部87内の駆動入力部89に接続された任意の腱は、回転中に絡まらない。したがって、駆動出力部81、駆動入力部89及び器具シャフト88の軸の平行性は、任意の制御腱を絡めることなくシャフト回転を可能にする。
【0065】
E.ナビゲーション及び制御
従来の内視鏡検査は、操作者である医師に腔内誘導を提供するために、蛍光透視法(例えば、Cアームを通して送達され得るような)、及び他の形態の放射線ベースの撮像モダリティの使用を伴うことがある。対照的に、本開示によって企図されるロボットシステムは、放射線への医師の曝露を低減し、手術室内の機器の量を低減するために、非放射線ベースのナビゲーション及び位置特定手段を提供することができる。本明細書で使用するとき、「位置特定」という用語は、基準座標系内のオブジェクトの位置を判定及び/又は監視することを指すことがある。術前マッピング、コンピュータビジョン、リアルタイムEM追跡、及びロボットコマンドデータなどの技術は、放射線を含まない動作環境を達成するために個別に又は組み合わせて使用されてもよい。放射線ベースの撮像モダリティが依然として使用される場合、術前マッピング、コンピュータビジョン、リアルタイムEM追跡、及びロボットコマンドデータは、放射線ベースの撮像モダリティによってのみ取得される情報を改善するために、個別に又は組み合わせて使用されてもよい。
【0066】
図15は、例示的な実施形態による、器具の位置など、ロボットシステムの1つ又は2つ以上の要素の位置を推定する位置特定システム90を示すブロック図である。位置特定システム90は、1つ又は2つ以上の命令を実行するように構成されている1つ又は2つ以上のコンピュータデバイスのセットであってもよい。コンピュータデバイスは、上述の1つ又は2つ以上の構成要素内のプロセッサ(又は複数のプロセッサ)及びコンピュータ可読メモリによって具現化されてもよい。例として、限定するものではないが、コンピュータデバイスは、
図1に示されるタワー30内にあってもよく、
図1~
図4に示されるカート内にあってもよく、
図5~
図10に示されるベッド内にあってもよい。
【0067】
図15に図示されるように、位置特定システム90は、入力データ91~94を処理して医療用器具の遠位先端のための位置データ96を生成する位置特定モジュール95を含んでもよい。位置データ96は、基準系に対する器具の遠位端の位置及び/又は向きを表すデータ又は論理であってもよい。基準系は、患者の解剖学的構造、又はEM場発生器(EM場発生器についての以下の説明を参照)などの既知の物体に対する基準系とすることができる。
【0068】
ここで、様々な入力データ91~94についてより詳細に説明する。術前マッピングは、低用量CTスキャンの収集を利用して達成され得る。術前CTスキャンは、例えば、患者の内部解剖学的構造の切欠き図の「スライス」として可視化される3次元画像に再構成される。全体として分析される場合、患者の肺網などの患者の解剖学的構造の解剖学的空腔、空間、及び構造のための画像ベースのモデルが生成され得る。中心線形状(center-line geometry)などの手法をCT画像から決定及び近似して、モデルデータ91(術前CTスキャンのみを使用して生成された場合は「術前モデルデータ」とも称される)と称される患者の解剖学的構造の3次元ボリュームを作成することができる。中心線形状の使用は、米国特許出願第14/523,760号で考察されており、その内容はその全体が本明細書に組み込まれる。ネットワークトポロジックモデルはまた、CT画像から導出されてもよく、気管支鏡検査に特に適切である。
【0069】
いくつかの実施形態では、器具はカメラを装備して、視覚データ92を提供してもよい。位置特定モジュール95は、視覚データを処理して、1つ又は2つ以上の視覚ベースの位置追跡を可能にしてもよい。例えば、術前モデルデータは、医療用器具(例えば、内視鏡又は内視鏡の作業チャネルを通って前進する器具)のコンピュータビジョンベースの追跡を可能にするために、視覚データ92と共に使用されてもよい。例えば、術前モデルデータ91を使用して、ロボットシステムは、内視鏡の予想される移動経路に基づいてモデルから予測される内視鏡画像のライブラリを生成することができ、各画像はモデル内の位置にリンクされる。手術中に、このライブラリは、カメラ(例えば、内視鏡の遠位端でのカメラ)でキャプチャされたリアルタイム画像を画像ライブラリ内のものと比較して、位置特定を支援するために、ロボットシステムによって参照され得る。
【0070】
他のコンピュータビジョンベースの追跡技法は、カメラの動き、したがって内視鏡を判定するための特徴追跡を使用する。位置特定モジュール95のいくつかの特徴は、解剖学的管腔に対応する術前モデルデータ91内の円形幾何学形状を特定し、どの解剖学的管腔が選択されたか、並びにカメラの相対的な回転及び/又は並進運動を判定するために、それらの幾何学的形状の変化を追跡してもよい。位相マップの使用は、視覚ベースのアルゴリズム又は技法を更に向上させることがある。
【0071】
光学フロー、別のコンピュータビジョンベースの技法は、カメラの動きを推測するために、視覚データ92内のビデオシーケンス内の画像ピクセルの変位及び並進を分析してもよい。光学フロー技術の例としては、動作検出、物体分割計算、輝度、動作補償符号化、立体視差測定などを挙げることができる。複数の反復にわたって複数のフレームを比較することにより、カメラ(及びしたがって内視鏡)の移動及び位置を決定することができる。
【0072】
位置特定モジュール95は、リアルタイムEM追跡を使用して、術前モデルによって表される患者の解剖学的構造に位置合わせされ得るグローバル座標系内で内視鏡のリアルタイム位置を生成し得る。EM追跡では、医療用器具(例えば、内視鏡器具)内の1つ又は2つ以上の場所及び向きに埋め込まれた1つ又は2つ以上のセンサコイルを含むEMセンサ(又はトラッカー)は、既知の位置に位置決めされた1つ又は2つ以上の静的EM場発生器によって生成されるEM場の変動を測定する。EMセンサによって検出された位置情報は、EMデータ93として記憶される。EM場発生器(又は送信機)は、埋め込まれたセンサが検出し得る低強度磁場を生成するために、患者に近接して配置され得る。磁場はEMセンサのセンサコイル内に小さな電流を誘導し、EMセンサとEM場発生器との間の距離及び角度を判定するためにこの電流が分析され得る。これらの距離及び向きは、患者の解剖学的構造の術前モデル内の位置と座標系内の単一の位置を位置合わせする幾何学的変換を判定するために、患者の解剖学的構造(例えば、術前モデル)に術中「登録」され得る。一旦登録されると、医療用器具の1つ又は2つ以上の位置(例えば、内視鏡の遠位先端)に埋め込まれたEMトラッカーは、患者の解剖学的構造を通じた医療用器具の進行のリアルタイム表示を提供し得る。
【0073】
ロボットコマンド及び運動学データ94はまた、ロボットシステムのための位置特定データ96を提供するために、位置特定モジュール95によって使用されてもよい。関節運動コマンドから生じるデバイスピッチ及びヨーは、術前較正中に判定され得る。術中、これらの較正測定値は、既知の挿入深度情報と組み合わせて使用されて、器具の位置を推定し得る。代替的に、これらの計算は、ネットワーク内の医療用器具の位置を推定するために、EM、視覚、及び/又は位相モデリングと組み合わせて分析され得る。
【0074】
図15が図示するように、いくつかの他の入力データが位置特定モジュール95によって使用され得る。例えば、
図15には示されていないが、形状検知繊維を利用する器具は、位置特定モジュール95が器具の位置及び形状を判定するために使用することができる形状データを提供することができる。
【0075】
位置特定モジュール95は、入力データ91~94(複数可)を組み合わせて使用し得る。場合によっては、このような組み合わせは、位置特定モジュール95が入力データ91~94の各々から判定された位置に信頼重みを割り当てる確率的アプローチを使用し得る。したがって、EMデータが信頼できるとはいえないことがある場合(EM干渉が存在する場合など)、EMデータ93によって判定された位置の信頼性を低下させることができ、位置特定モジュール95は、視覚データ92並びに/又はロボットコマンド及び運動学データ94により重く依存してもよい。
【0076】
上で考察されるように、本明細書で考察されているロボットシステムは、上記の技術のうちの1つ又は2つ以上の組み合わせを組み込むように設計され得る。タワー、ベッド、及び/又はカートに基づいて、ロボットシステムのコンピュータベースの制御システムは、例えば、永続的な磁気記憶ドライブ、ソリッドステートドライブなどの非一時的コンピュータ可読記憶媒体内に、コンピュータプログラム命令を記憶してもよく、コンピュータプログラム命令は、実行されると、システムに、センサデータ及びユーザコマンドを受信及び分析させ、システム全体の制御信号を生成させ、グローバル座標系内の器具の位置、解剖学的マップなどのナビゲーション及び位置特定データを表示させる。
【0077】
2.ロボット対応の遠隔操作システムのためのコントローラ
上述のシステムなどのロボット対応の遠隔操作システムは、操作者(例えば、ロボット対応の医療処置を行う医師)が1つ又は2つ以上の器具を操作及び制御することを可能にするように構成された入力デバイス又はコントローラを含むことができる。いくつかの実施形態では、ロボット対応の遠隔操作システムは、1つ又は2つ以上の医療ツールを操作するためのコントローラを備える。当業者であれば、本明細書に記載されるコントローラは、非医療状況においても適用され得ることを理解するであろう。例えば、コントローラは、有害物質に関わるツールを操作するのに有用であり得る。加えて、いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるコントローラは、物理的環境及び/又は仮想環境においてオブジェクトを把持するのに有用であり得る。いくつかの実施形態では、コントローラは、人間の操作者と相互作用するサービスロボットとして、自足であり得る。いくつかの実施形態では、コントローラの操作が器具の対応する操作を引き起こすように、コントローラは、器具(例えば、医療用器具など)と結合(例えば、通信可能に、電子的に、電気的に、無線で、及び/又は機械的に)することができる。いくつかの実施形態では、コントローラ及び器具は、マスタスレーブ対内に配設される。いくつかの実施形態では、コントローラは、マニピュレータ、エミュレータ、マスター、インターフェースなどと称されてもよい。いくつかの実施形態では、コントローラは、並列又は直列に組み立てられた複数のリンクを備えることができる。
【0078】
コントローラは、内視鏡、腔内、腹腔鏡、又は開腹手術器具などの医療用器具の動作を制御するための、操作者のための入力デバイスとして機能することができる。操作者によるコントローラの移動は、医療用器具の移動を導き得る。例えば、操作者がコントローラを3次元空間内で並進させると(例えば、上、下、左、右、後方、前方)、システムは、医療用器具の対応する並進を引き起こすことができる。同様に、操作者がコントローラを回転させる場合(例えば、3つの直交軸のいずれかの周りで)、システムは、医療用器具の対応する回転運動を引き起こすことができる。コントローラはまた、操作者が医療用器具を作動させることを可能にする入力を含むことができる。一例として、医療用器具が把持具を含む場合、コントローラは、操作者が把持具を開閉することを可能にする入力を含むことができる。
【0079】
コントローラはまた、知覚フィードバックを操作者に提供することができる。例えば、いくつかの実施形態では、医療用器具に付与された力又はトルクは、コントローラを介して操作者に送り返され得る。いくつかの実施形態では、コントローラを介して知覚フィードバックを操作者に提供することにより、改善された動作、制御、又は駆動体験をユーザに提供する。いくつかの実施形態では、操作者がコントローラと相互作用し、システムを動作させるのを容易にするために、クリスピック触覚キュー(crisp haptic cues)を提供することができる。
【0080】
いくつかの実施形態では、コントローラはまた、例えば、医療用器具を切り替えるときに、操作者の手を医療用器具の向きと整列させるために使用される。例えば、医療用器具が医療処置中に患者内に位置決めされている場合、医療用器具が予期せず又は意図せずに移動しないことが重要である。したがって、操作者が身体内に既に位置決めされた医療用器具の制御を行うことを望む場合、コントローラは、器具が適所に留まっている間に、医療用器具の向きと一致するように最初に移動することができる。コントローラが医療用器具の向きと一致するように正確に方向付けられた状態で、操作者は、コントローラを使用して医療用器具を操作することができる。
【0081】
いくつかの実施形態では、ロボット対応の医療システムは、操作者の手の動きに追従する7つの自由度を有するコントローラを含み、7つの自由度は、3つの位置自由度(例えば、x、y、z空間での並進運動)、3つの回転自由度(ピッチ、ロール、及びヨー軸を中心とした回転運動)、及び1つ(又は2つ以上)の器具の作動自由度(例えば、角度の自由度)を含む。いくつかの実施形態では、器具の作動自由度は、物体を保持するためのグリッパー又は把持具などの、医療用器具のエンドエフェクタの開閉を制御することができる。いくつかの実施形態では、器具の作動自由度は省略されてもよい。いくつかの実施形態では、コントローラは、より多くの又はより少ない数の自由度を含んでもよい。例えば、いくつかの実施形態では、コントローラは、1つ又は2つ以上の冗長自由度を提供するために、3つを超える位置自由度又は3つを超える回転自由度を含んでもよい。いくつかの実施形態では、冗長自由度は、例えば、コントローラの機械的構造によって生じる特異点を回避するために、コントローラに更なる機械的柔軟性を提供することができる。
【0082】
図16Aは、コントローラ102の実施形態の概略図及びロボット対応の医療用器具310の実施形態の概略図を含むロボット対応の医療システム100の実施形態のブロック図を示す。上で簡単に述べたように、コントローラ102の操作が、ロボット対応の医療用器具310の実質的に対応する動きを引き起こし、ロボット対応の医療用器具310に付与された力が、コントローラに送り返され、操作者に知覚的に伝達され得るように、コントローラ102は、ロボット対応の医療用器具310と結合されることができる。いくつかの実施形態では、コントローラ102及びロボット対応の医療用器具310は、マスタスレーブ構成で配設される。
【0083】
システム100の図示された実施形態では、コントローラ102は、ハンドル104、ジンバル106、及び位置決めプラットフォーム108を含む。ハンドル104は、操作者によって保持されるように構成され得る。示されるように、いくつかの実施形態では、ハンドル104は、ジンバル106及び位置決めプラットフォーム108に結合される。上述したように、ハンドル104は、器具を作動させるための1つ又は2つ以上の自由度を含むことができる。ジンバル106は、操作者がハンドル104を回転させることを可能にする1つ又は2つ以上の回転自由度を提供するように構成され得る。いくつかの実施形態では、ジンバル106は、少なくとも3つの回転自由度を提供するように構成される。例えば、ジンバル106は、操作者がハンドル104をピッチ、ロール、及びヨー軸の周りで回転させることを可能にするように構成され得る。例示的なジンバル106を
図17~
図19Bに示し、以下により詳細に説明する。位置決めプラットフォーム108は、操作者がハンドル104を並進させることを可能にするために、1つ又は2つ以上の並進(本明細書では位置とも称される)自由度を提供するように構成され得る。いくつかの実施形態では、位置決めプラットフォーム108は、少なくとも3つの位置自由度を提供するように構成される。例えば、位置決めプラットフォーム108は、操作者が3次元空間内で(例えば、x方向、y方向、及びz方向に)ハンドル104を並進させることを可能にするように構成され得る。例示的な位置決めプラットフォーム108は、
図16Cに見ることができ、以下でより詳細に説明される。共に、ジンバル106及び位置決めプラットフォーム108は、ユーザがハンドル104を操作することを可能にすることができる。
【0084】
示された実施形態では、ロボット対応の医療用器具310は、器具又はツール312(エンドエフェクタを含んでもよい)、器具ドライバ314、及びロボットアーム316(又は他の器具位置決めデバイス)を含む。医療用器具312は、例えば、上記の
図9に示される腹腔鏡器具59、並びに本出願をとおして記載され、当業者に明らかである他のタイプの内視鏡又は腹腔鏡医療用器具であり得る。医療ツール312は、エンドエフェクタ又は複数のエンドエフェクタを含むことができる。エンドエフェクタは、医療ツール312の遠位端に位置決めされ得る。エンドエフェクタは、患者の身体に挿入するように構成され得る。いくつかの実施形態では、エンドエフェクタは、とりわけ、把持具、グリッパー、カッター、バスケット装置、又ははさみであり得る。いくつかの実施形態では、医療ツール312は、スコープ又はカメラを含むことができる。
【0085】
医療ツール312は、器具ドライバ314に取り付けられ得る。器具ドライバ314は、上述のように医療用器具312を作動させるように構成され得る。例えば、器具ドライバ314は、医療用器具312の1つ又は2つ以上のプルワイヤを引っ張り、医療用器具312を作動させるように構成され得る。いくつかの実施形態では、器具ドライバ314は、上述のような器具駆動機構であり得る。器具ドライバ314は、例えば、
図13に図示されるように、ロボットアーム316に取り付けられ得る。ロボットアーム316は、医療用器具312を更に操作し、位置決めするために関節運動又は移動するように構成され得る。例示的な医療用器具/ツール、器具ドライバ、及びロボットアームが、上記の
図1~
図15のシステムに示されている。
【0086】
ハンドル104の操作が、医療ツール312の実質的に対応する移動を引き起こし、医療ツール312に付与された力が、ハンドル104を通して操作者に知覚的に送信され得るように、コントローラ102は、ロボット対応の医療用器具310と結合され得る。ハンドル104の操作は、ジンバル106及び位置決めプラットフォーム108の力及び移動を測定することによって測定又は決定することができる。医療用器具312の移動は、器具ドライバ314及び/又はロボットアーム316の関節運動及び移動によって引き起こされ得る。したがって、ハンドル104を操作することによって、操作者は、医療用器具312を制御することができる。
【0087】
多くの例において、操作者が医療ツール312を微細かつ正確に制御し、過度に疲れることなくコントローラ102を使用することができるように、コントローラ102が操作者によって容易に操作されることが望まれている。コントローラの操作の容易さを測定するための1つのメトリックは、システムの知覚される慣性及び/又は知覚される質量である。いくつかの実施形態では、システムの知覚される慣性は、ユーザがハンドル104を操作する際に点質量であるかのように感じるシステムの質量である。一般に、より低い知覚される慣性を有するコントローラ102は、操作がより容易であり得る。他の実施形態では、知覚される慣性は、ハンドル104を操作する際にユーザが感じる慣性モーメントを含む。
【0088】
以下に記載されるように、本出願に記載されるコントローラは、既存のシステムに勝る利点を提供する、いくつかの新規かつ非自明の特徴を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるコントローラは、アドミタンス及びインピーダンス制御の両方で動作するように有利に構成される。以下に記載されるように、アドミタンス制御及びインピーダンス制御の両方を含むハイブリッドコントローラは、改善された操作経験を提供することができる。いくつかの実施形態では、アドミタンス制御及びインピーダンス制御の両方を含むハイブリッドコントローラは、他のコントローラと比較して、より低い又は低減された知覚された慣性を有利に提供することができる。いくつかの実施形態では、ハイブリッドコントローラは、改善された知覚フィードバック及び応答を提供することができる。更に、以下に記載されるように、いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるコントローラは、不規則かつ予測不可能な移動を引き起こす可能性がある機械的短絡(以下に記載される)の可能性を防止又は低減することができる。本出願に記載されるコントローラのこれら及び他の特徴及び利点は、以下の項で更に考察される。
【0089】
A.ハイブリッドコントローラ
図16Bは、インピーダンス制御及びアドミタンス制御の両方を使用して動作するように構成されたコントローラ102の一実施形態のブロック図である。かかるコントローラ102は、ハイブリッドコントローラと称されることがある。
【0090】
インピーダンス制御及びアドミタンス制御は、ロボットシステムを制御するための2つの制御スキームである。インピーダンス制御の下で、システムは、変位(例えば、位置及び速度の変化)を測定し、力を出力する。例えば、インピーダンス制御の場合、システムは、操作者がコントローラをどれだけ遠く又は速く移動させたかを測定し、その測定に基づいて、(例えば、モータを作動させることによって)器具に力を発生させることができる。インピーダンス制御の下で、コントローラの操作者の移動は、器具の一部をバックドライブ(back drive)することができる。多くの場合、インピーダンス制御の使用は、大きな知覚される慣性をもたらすことができる。これは、例えば、インピーダンス制御が、コントローラを動かす操作者に依存するためであり得る。インピーダンス制御の下では、操作者は、コントローラを動かすためにその知覚される質量又は慣性を克服して、コントローラに重く感じさせる必要がある場合がある。インピーダンス制御では、操作者は、コントローラを移動させるために、システム内の慣性の大部分又は全てを物理的に克服しなければならない。他のコントローラは、単にインピーダンス制御にのみ依存し、そのためシステムは、本明細書に記載されるコントローラと比較してより高い知覚された慣性又は質量を有し得る。より高い知覚された慣性のために、操作者は、そのような他のコントローラを使用するときに、疲れ果てる場合がある。
【0091】
アドミタンス制御下では、システムは、操作者によってコントローラに付与された力及び/又はトルクを測定し、コントローラの対応する速度及び/又は位置を出力する。いくつかの点では、アドミタンス制御は、インピーダンス制御の逆である。いくつかの実施形態では、アドミタンス制御の使用は、システムの知覚された慣性又は質量の減少を有利にもたらすことができる。アドミタンス制御を使用して、高い質量又は慣性を有すると知覚されるコントローラのダイナミクスを変更することができる。場合によっては、アドミタンス制御を使用することによって、操作者は、コントローラを移動させるためにシステム内の慣性の全てを克服する必要はない。例えば、アドミタンス制御下で、ユーザがコントローラに力を付与すると、システムは、力を測定し、コントローラに関連する1つ又は2つ以上のモータを駆動することによって、ユーザがコントローラを移動させることを支援し、それによってコントローラの所望の速度及び/又は位置をもたらすことができる。換言すれば、アドミッタンス制御では、力センサ又はロードセルは、操作者がコントローラに加える力を測定し、コントローラ並びに結合されたロボット対応の医療用器具310を、光を感じるように移動させる。アドミッタンス制御下では、コントローラ内のモータが質量を加速させる助けとなり得るため、コントローラの知覚された慣性を隠すことができるため、アドミッタンス制御は、インピーダンス制御よりも軽く感じることができる。対照的に、インピーダンス制御を用いると、ユーザは、全て又は実質的に全ての質量加速度に関与する。
【0092】
図16Bの図示された実施形態に示されるように、コントローラ102は、ハンドル104、ジンバル106、及び位置決めプラットフォーム108を含む。上述したように、ジンバル106は、1つ又は2つ以上の回転自由度(例えば、3つ又は4つ)を提供するように構成することができ、位置決めプラットフォーム108は、1つ又は2つ以上の回転自由度(例えば、3つ又は4つ)を提供するように構成され得る。ジンバル106及び位置決めプラットフォーム108は、ユーザがハンドル104を3次元空間内で移動させ、ハンドル104をピッチ軸、ロール軸、及びヨー軸の周りで回転させることができるようにする。ハンドル104の操作は、対応する医療用器具の移動をもたらす。更に、ハンドル104、ジンバル106、及び位置決めプラットフォーム108は、医療用器具に付与された力を表す知覚フィードバックを操作者に提供するように構成され得る。
【0093】
図16Bの破線のボックスによって示されるように、コントローラ102において、ジンバル106は、インピーダンス制御するように構成され、位置決めプラットフォーム108は、アドミタンス制御するように構成されている。したがって、いくつかの実施形態では、位置決めプラットフォーム108の並進又は位置自由度はアドミタンス制御に依存し、ジンバル106の回転自由度はインピーダンス制御に依存する。以下に更に記載されるように、このタイプのハイブリッドコントローラ102は、いくつかの利点を有することができる。他の実施形態(図示せず)では、ジンバル106は、アドミタンス制御するように構成され、位置決めプラットフォーム108は、インピーダンス制御するように構成される。いくつかの実施形態では、ジンバル106及び位置決めプラットフォームは、両方ともがアドミタンス制御するように構成されてもよく、又は両方ともがインピーダンス制御するように構成されてもよい。
【0094】
アドミタンス制御を利用するために、コントローラ102は、少なくとも1つの力センサ又はロードセル112を含む。ロードセル112は、操作者によってコントローラ102に付与された力(一般に、ハンドル104に付与された力)を測定するように構成される。ロードセル112の出力信号(力の尺度)は、位置決めプラットフォーム108などのコントローラ102の移動を制御する制御信号を提供するために使用される。ロボット対応の医療用器具310は、ハンドル104の運動に追随する(例えば、器具ドライバ314又はロボットアーム316内の1つ又は2つのモータを作動させることによって)。いくつかの実施形態では、ロードセル112は、3つの方向の力を測定する3つの自由度ロードセルであり得る。
【0095】
示された実施形態では、ロードセル112は、ジンバル106内に位置決めされている。以下に説明する
図18及び
図19Aは、ロードセル112がジンバル106内に位置決めされ得る2つの異なる実施形態を示す。ロードセル112の他の位置も可能である。いくつかの実施形態では、ロードセル112は位置決めプラットフォーム108内に位置決めされる。いくつかの実施形態では、2つ以上のロードセル112(例えば、2つ、3つ、4つ、又はそれ以上のロードセル)が含まれ、ハンドル104、ジンバル106、及び/又は位置決めプラットフォーム108内に位置決めされることができる。
【0096】
いくつかの実施形態では、ロードセル112は、有利には、コントローラ102内で遠位に(ハンドル104により近く)位置決めされる。これは、いくつかの実施形態では、アドミタンス制御を使用して、ロードセル112の近位に位置するコントローラ102の部分(例えば、ハンドル104から見てロードセル112の反対側に位置するコントローラ102の部分)の知覚された質量を隠すことができるためである。
【0097】
図16Cは、コントローラ102の実施形態の斜視図である。示された実施形態では、コントローラ102は、1つ又は2つ以上の医療用器具の操作を可能にするように構成されている。示されるように、コントローラ102は、一対のハンドル104を含むことができる。いくつかの実施形態では、一対のハンドル104は、単一の器具を動作させ、一方他の実施形態では、一対のハンドル104の各々は、各々それ自体の対応する器具を動作させる。各ハンドル104は、ジンバル106に接続されている。各ジンバルは、位置決めプラットフォーム108に接続されている。いくつかの実施形態では、ハンドル104は、位置決めプラットフォーム108に対して遠位にあると見なされるジンバル106から遠位にあると見なされる。ハンドル104及びジンバル106は、
図17により詳細に示され、以下に説明される。
【0098】
図16Cに図示されるように、図示の実施形態では、各位置決めプラットフォーム108は、直動関節116によってカラム114に結合された複数のリンクを有するSCARA(選択的コンプライアンスアセンブリロボットアーム、selective compliance assembly robot arm)アーム118を含む。直動関節116は、カラム114に沿って(例えば、レール117に沿って)並進して、ハンドル104をz方向に並進させ、第1の自由度を提供するように構成されている。SCARAアーム118は、x-y平面におけるハンドル104の運動を可能にし、2つの追加の自由度を提供するように構成されている。したがって、
図16Cに示される位置決めプラットフォーム108の各々は、3つの位置又は並進自由度を提供し、操作者が3次元(例えば、x、y、z)空間内の任意の位置(位置決めプラットフォームが届く範囲内)にハンドル104を位置決めすることを可能にするように構成されている。
【0099】
いくつかの実施形態では、カラム114(及びレール117)は、ワークスペースの垂直方向(例えば、示されるようなz方向)と整列する軸に沿って延在し、この軸は、重力の方向と整列させることができる。この位置決めプラットフォーム108の利点は、重力補償を提供することができることである。換言すれば、位置決めプラットフォーム108の直動関節116は、重力に対するジンバル106の一定の向きを維持することができる。
【0100】
いくつかの実施形態では、位置決めプラットフォーム108は、他の構成を有することができる。例えば、位置決めプラットフォーム108は、全ての実施形態において直動関節及び/又はSCARAアームを含む必要はない。
【0101】
いくつかの実施形態では、ロードセル112(
図16Cには示されていない)は、コントローラ102の一部内(例えば、ジンバル106内など)に提供され得る。ロードセル112の付加は、コントローラがインピーダンス制御に加えてアドミタンス制御を有することを可能にする。アドミタンス制御下では、コントローラ102の知覚された慣性を低減することができる。これは、ジンバル106及び/又は位置決めプラットフォームの質量がロードセル112を介して隠され得るためである。これは、ロードセル112がコントローラに付与された力を測定し、コントローラ102内のモータを駆動してコントローラ102の動作を支援する出力を提供するために使用され得るためであり得る。隠された質量の量は、ロードセル112の位置に依存する。いくつかの実施形態では、ロードセル112の近位の質量は、部分的に又は実質的に隠され得るが、ロードセル112に対して遠位の質量は隠されない。
【0102】
いくつかの実施形態では、ロードセル112をコントローラ102上に遠位に(例えば、
図16Cに示すジンバル106内に)位置決めすることによって、コントローラ102を動作させながらジンバル106の質量を部分的に又は実質的に隠すことができる。同様に、位置決めプラットフォーム108(ジンバル106よりも比較的高い質量を有する)の質量はまた、コントローラ102を動作させている間、部分的又は実質的に隠され得る。隠された質量は、有利には、臨床医によって知覚される慣性をより低くする。ロードセル112がなければ、ハンドル104をz方向に移動させるために、操作者は、ハンドル104に十分な力を供給して、ハンドル104、ジンバル106、及びSCARAアーム118を上方に持ち上げる必要がある。更に、z方向に移動するよりも、x-y平面内でハンドルを移動するために、より少ない力を必要とすることが想定され得る。この視差は、コントローラ102を使用することを困難にする不均一な操作経験を操作者にもたらす可能性が高い。したがって、本明細書に記載されるようなロードセル112を含むことにより、コントローラ102は、ユーザがハンドル104をx方向、y方向、及びz方向に並進させるのを支援することができ、はるかに均一で制御された操作経験を提供することができる。いくつかの実施形態では、ロードセル112は、位置決めプラットフォーム108が、アドミタンス制御下で実質的に又は完全に動作することを可能にする。位置決めプラットフォーム108とは対照的に、ジンバル106の慣性モーメントは比較的低くなり得る。これは、概して、ジンバル106が位置決めプラットフォーム108よりもはるかに小さいためであり得る。このため、ジンバル106の少なくとも一部は、インピーダンス制御に好適であり得る。
【0103】
本明細書に記載されるようなハイブリッドインピーダンス/アドミタンスコントローラ102の1つの利点は、システムの知覚された慣性が、インピーダンス制御に完全に依存するシステムよりも比較的低い場合があることである。更に、ハイブリッドコントローラ102の機械的構造は、アドミタンス制御を使用してシステムの移動を補い、平均化するために使用することができるため、より単純であり得る。対照的に、インピーダンスのみのシステムの機械的構造は、多くの場合、システムを異なる方向に移動させるのに必要な力を正規化し、知覚された慣性を最小化しようとするため、非常に複雑である。
【0104】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるようなハイブリッドコントローラ102を使用することによって、コントローラ102の総質量及び慣性の大部分が位置決めプラットフォームのアドミタンス制御によって隠され得るため、ジンバル106の質量及び慣性を、インピーダンスのみのコントローラのジンバルに対して、実際に増加させることが可能である。ジンバルのサイズを増大させることは、いくつかの実施形態では、より大きなモータの使用を可能にすることができ、それにより、コントローラは、全体の質量と慣性の増加を避けるために軽量のジンバルとモータを使用する必要がある他のシステムと比較したときに、より強い知覚フィードバック力を提供することが可能となり得る。
【0105】
図16Cに図示されるように、ハイブリッドコントローラ102は、例えば、シリアルリンクマニピュレータとして、連続して複数のリンク及び関節として見ることができる。ハンドル104、ジンバル106、及び位置決めプラットフォーム108は各々、動作可能に結合された1つ又は2つ以上のリンクを備え、最も近位のリンクは、位置決めプラットフォーム108のカラム114に隣接し、最も遠位側リンクは、ハンドル104自体の一部である。いくつかの実施形態では、コントローラ102の少なくとも一部のアドミタンス制御を提供するために、コントローラ102に1つ又は2つ以上のロードセル112(
図16Cには示さず)を挿入することができる。コントローラ102の他の部分は、臨床医又は操作者によるインピーダンス制御(又は場合によっては、受動制御)によって制御することができる。いくつかの実施形態では、ロードセル112の近位にあるリンク及び関節は、ロードセル112によって直接的又は間接的に影響を受け得る。したがって、これらの近位リンク及び関節の操作は、アドミタンス制御を支援することができる。いくつかの実施形態では、ロードセル112の遠位にあるリンク及び関節は、ロードセル112の直接的又は間接的な影響を受けない場合がある。したがって、これらの遠位リンク及び関節の操作は、インピーダンス制御の支援を受けることができる。例えば、(以下でより詳細に考察される)
図19Aの実施形態では、遠位関節128、130、132(
図17に示される)がロードセル112の直接的又は間接的な影響を受け得ないように、ロードセル112はジンバル106内に位置決めされる。換言すれば、これらの関節におけるジンバル106の軸の操作は、ロードセル112の出力に直接又は間接的に基づくものではない。これらの遠位リンク及び関節は、インピーダンス制御によって移動され得る。対照的に、ロードセル112の近位のリンク及び関節(位置決めプラットフォーム108内のものなど)は、ロードセル112の影響を直接的又は間接的に受け得る。換言すれば、これらの関節における軸の操作は、ロードセル112の出力に直接的又は間接的に基づく。これらの近位リンク及び関節は、アドミタンス制御によって動かされ得る。
【0106】
B.ロードセルの位置決めの例
上述したように、いくつかの実施形態では、ロードセル112(又は力センサ)は、ジンバル106内に位置決めされる。いくつかの実施形態では、ジンバル106は、インピーダンス制御を有するコントローラ102の回転自由度を提供し、一方、位置決めプラットフォーム108は、(例えば、ジンバル106内に位置決めされたロードセル112の出力に基づいて)アドミタンス制御を有するコントローラ102の位置自由度を提供することができる。ロードセル112をジンバル106内に位置決めすることができる多くの方法が存在する。コントローラ102の知覚された慣性が低減される程度は、ジンバル106内のロードセル112の位置に部分的に基づくことができる。ジンバル106の2つの異なる部分に位置決めされたロードセル112を示す2つの例示的な実施形態が、このセクションで説明される。他の実施例もまた可能である。
【0107】
図17は、ジンバル106の一実施形態の等角図である。示されるように、いくつかの実施形態では、ジンバル106は、位置決めプラットフォーム108の遠位端に位置決めされる(位置決めプラットフォーム108の最後のリンクのみが
図17に示されている)。本出願で使用するとき、コントローラ102との関連において、遠位という用語は、ハンドル104に向かう方向を指し(例えば、ハンドル104はコントローラ102最遠位構成要素である)、近位という用語は、反対方向(例えば、カラム114に向かう方向、
図16Cを参照のこと)を指す。したがって、ジンバル106の近位端は、位置決めプラットフォーム108の遠位端に取り付けられ得る。更に、ハンドル104は、ジンバル106の遠位端に位置決めされ得る。
【0108】
いくつかの実施形態では、ハンドル104は、操作者によって保持されるように構成される。ハンドル104は、コントローラ102が制御に使用される医療用器具をシミュレート又は模倣するように構成され得る。いくつかの実施形態では、ハンドルは、把持具ハンドル(例えば、半径方向に対称な把持具ハンドル)、スタイラス、パドル型ハンドルなどを含む。示された実施形態では、ハンドル104は、上で考察した器具作動自由度を提供するように構成された2つの作動アーム120を含む。ハンドル104を保持している間、操作者は、作動アーム120間の角度を調節して、制御された医療用器具と関連付けられた対応する角度を制御することができる。例えば、医療用器具が把持具、剪断具などである場合、作動アーム120間の角度を使用して把持具の2つのジョー間の角度を制御することができる。
【0109】
示された実施形態では、ジンバル106は、関節によって接続された3つのアーム又はリンクを備える。遠位から近位に配設され、
図17に示されるように、ジンバル106は、第1のリンク122、第2のリンク124、及び第3のリンク126を備える。遠位から近位に配設され、
図17に示されるように、ジンバル106は、第1の関節128、第2の関節130、第3の関節132、及び第4の関節134を備える。関節は、様々なリンクが回転することを可能にし、ジンバル106に上述した回転自由度を提供する。
【0110】
ハンドル104は、第1の関節128によって第1のリンク122の遠位端に接続される。第1の関節128は、ハンドル104が第1のリンク122に対して回転することを可能にするように構成され得る。示された実施形態では、第1の関節128は、ハンドル104がロール軸136の周りを回転することを可能にする。いくつかの実施形態では、ロール軸136は、ハンドル104の長手方向軸と整列される。第1の関節128は、外旋関節であり得る。
【0111】
第1のリンク122の近位端は、第2の関節130によって第2のリンク124の遠位端に接続される。第2の関節130は、ハンドル104及び第1のリンク122が第2のリンク124に対して回転することを可能にするように構成され得る。示された実施形態では、第2の関節130は、ハンドル104及び第1のリンク122がヨー軸138の周りを回転することを可能にする。いくつかの実施形態では、ヨー軸138は、第2の関節130を通って延在し、ハンドル104の中心点でロール軸136と交差する。第2の関節130は、外旋関節であり得る。図示されるように、いくつかの実施形態では、第1のリンク122は、L字形状を含む。いくつかの実施形態では、第1のリンク122は、第2のリンク124を受け入れるためにその中に形成された凹部を有し、第2のリンク124が第1のリンク122に対して回転することを可能にするように構成される。
【0112】
第2のリンク124の近位端は、第3の関節132によって第3のリンク126の遠位端に接続される。第3の関節132は、ハンドル104、第1のリンク122、及び第2のリンク124が第3のリンク126に対して回転することを可能にするように構成され得る。示された実施形態では、第3の関節132は、ハンドル104、第1のリンク122、及び第2のリンク124がピッチ軸140の周りで回転することを可能にする。いくつかの実施形態では、ピッチ軸140は、第3の関節132を通って延在し、ハンドル104の中心点でロール軸136及びヨー軸138と交差する。第3の関節132は、外旋関節であり得る。図示されるように、いくつかの実施形態では、第2のリンク124は、L字形状を含む。いくつかの実施形態では、L字形状の第2のリンク124は、L字形状の第1のリンク122の凹部内に受け入れられる(
図17に図示されるように)。他の実施形態では、L字形状の第1のリンク122は、L字形状の第2のリンク124の凹部内に受け入れられ得る。
【0113】
示された実施形態では、第1の関節128、第1のリンク122、第2の関節130、第2のリンク124、及び第3の関節132は、3つの回転自由度を提供し、ハンドル104の回転をピッチ、ロール、及びヨーで調整できるようにする。示された実施形態では、ジンバル106は、冗長な回転自由度を提供する第3のリンク126及び第4の関節134を更に含む。これは全ての実施形態に含まれる必要はないが、より大きな機械的柔軟性をジンバル106に提供することができる。
【0114】
図示されるように、第3のリンク126の遠位端は、第3の関節132によって第2のリンク124の近位端に接続される。第3のリンク126の近位端は、第4の関節134によって位置決めプラットフォーム108の遠位端に接続される。第4の関節134は、ハンドル104、第1のリンク122、第2のリンク124、及び第3のリンク126が位置決めプラットフォーム108に対して回転することを可能にするように構成することができる。示された実施形態では、第4の関節134は、ハンドル104、第1のリンク122、第2のリンク124、及び第3のリンク126が軸142の周りで回転することを可能にする。いくつかの実施形態では、軸142は、ヨー軸138に平行である。一部の実施形態では、ヨー軸138及び軸142は同軸であるが、示されるように、これは全ての実施形態でそうである必要はない。軸142(及びヨー軸138)は、重力の方向に平行であり、上記のように重力の方向に対するジンバルの向きを維持することができる。第4の関節134は、外旋関節であり得る。図示されるように、いくつかの実施形態では、第3のリンク126は、L字形状を含む。
【0115】
図18及び
図19Aは、ジンバル106の内部構造のいくつかを示すために、ジンバル106のリンクの断面図で示されるジンバル106の2つの実施形態を示す。以下により詳細に記載されるように、これら2つの実施形態は、ロードセル112がジンバル106内に位置決めされ得る場所についての実施例を提供する。2つの実施例が示されているが、ロードセル112の他の配置が可能である。いくつかの実施形態では、ロードセル112という用語は、単一のロードセル又は複数のサブロードセルを包含し得る。
【0116】
図18は、ジンバル106の第1の実施形態の断面図を示している。図示されるように、第1の実施形態では、ロードセル112は第1のリンク122内に位置決めされる。別の言い方をすれば、ロードセル112は、第1の関節128と第2の関節130との間に位置決めされる。ジンバル106の第1の実施形態では、ロードセル112は、コントローラ102の遠位端の近くに位置決めされる。具体的には、この実施形態では、ロードセル112は、ハンドル104の前のジンバル106の最後のリンクであるジンバル106の最遠位リンク内に位置決めされる。この実施形態では、ロードセル112の遠位位置決めにより、ロードセル112の遠位には非常に小さい質量が存在する。したがって、ジンバル106のこの実施形態を含むコントローラ102の知覚される慣性は、大幅に低減され得る。
【0117】
図18の示された実施形態では、関節に関連するモータが見える。例えば、図示されるように、第1のモータ144は、第1の関節128内に位置決めされ、第2のモータ146は、第2の関節130内に位置決めされ、第3のモータ148は、第3の関節132内に位置決めされ、第4のモータ150は、第4の関節134内に位置決めされる。いくつかの実施形態では、モータは、ジンバル106を介して知覚フィードバックを提供するために使用され得る。いくつかの実施形態では、モータと同じ位置に配置されたエンコーダは、ジンバル106のインピーダンス制御のために関節の移動の測定値(例えば、変位及び位置)を提供するように構成することができる。
【0118】
図18に図示されるように、第2、第3、及び第4のモータ146、148、150は全て、ロードセル112に対して近位に位置決めされる。したがって、いくつかの実施形態では、知覚される慣性を低減することができるように、これらのモータの質量を隠すことができる。いくつかの実施形態では、これにより、より大きなモータを使用することを可能にすることができ、より大きなモータはジンバル106を介してより強い知覚フィードバックを提供することができる。
【0119】
図19Aは、ジンバル106の第2の実施形態の断面図を示す。図示されるように、第2の実施形態では、ロードセル112は、第3のリンク126内に位置決めされる。別の言い方をすれば、ロードセル112は、第3の関節132と第4の関節134との間に位置決めされる。ジンバル106(
図18)の第1の実施形態と比較して、第2の実施形態では、ロードセル112はより近位に位置決めされる。したがって、第2の実施形態では、ロードセル112の遠位により多くの質量(例えば、ハンドル104、第1のリンク122、及び第2のリンク124の質量)があり、これは、システム全体のより高い知覚された慣性に寄与することができ、したがって、ジンバル106の第2の実施形態を含むコントローラ102は、ジンバル106の第1の実施形態を含むコントローラ102(
図18)よりも重い(より高い知覚された慣性)と知覚されることができる。しかしながら、ジンバル106の第2の実施形態は、上記のようにハイブリッドコントローラ102に含めることができるので、インピーダンス制御に完全に依存する他のコントローラと比較した場合、知覚された慣性の全体的な低減は依然として達成される。更に、いくつかの点では、ジンバル106の第2の実施形態は、いくつかの固有の利点を提供することができる。例えば、ジンバル106の第2の実施形態は、ロードセル112を第3のリンク126内に位置決めすることによってジンバル106の回転慣性を低減する。ハイブリッドコントローラでは、ジンバル106がインピーダンス制御され得るため、操作者は、ジンバル106の全ての回転慣性を感じることになる。したがって、慣性を低く保つことは、ユーザ経験にとって有益であり得る。加えて、
図18の第1の実施形態と比較した場合、ジンバル106の第2の実施形態は、次のセクションで考察されるように、低減された機械的短絡のリスクを提供することができる。
【0120】
図19Aの示された実施形態では、関節に関連するモータが見える。例えば、図示されるように、第1のモータ144は、第1の関節128内に位置決めされ、第3のモータ146は、第3の関節132内に位置決めされ、第4のモータ150は、第4の関節134内に位置決めされる。ジンバル106はまた、第2の関節130の回転に関連する第2のモータ148を含む。しかしながら、
図19Aに図示されるように、第2のモータ148は第2の関節130に位置決めされていない。むしろ、第2のモータ148は、第3の関節132内に位置決めされ、第2の関節130に機械的に接続されることができる。これは、
図19Bに最良に示される。
【0121】
図19Bは、ジンバル106の第2の実施形態の追加の図を提供する。この図では、リンクのカバーは、ジンバル106の内部構成要素の一部を明らかにするために、透明として示されている。図示されるように、第2のモータ148は、第3の関節132内に位置決めされ、新規ケーブル駆動システム152によって第2の関節130に接続される。ケーブル駆動システム152は、有利には、第2の関節130と第2のモータ148との間の伝動部として機能する。ケーブル駆動システムは、ジンバル106の第2のリンク124内の1つ又は2つ以上のケーブルプーリーを通して経路指定される1つ又は2つ以上のケーブルを含むことができる。
【0122】
この実施形態では、ジンバル106は、遠隔に位置する第2のモータ148によって制御された第2の関節130を有するという追加の利点を有する。遠隔に位置する第2のモータ148の利点は、モータ148が、第2の関節130自体の近くではなく、ジンバル106の近位部分の近くに定置され得ることである。第2のモータ146を第3のリンク126内に(第2のリンク124とは反対に)位置決めすることにより、ジンバルの回転慣性が低減される。上記のように、回転慣性を低減することは、ジンバル106がインピーダンス制御され、ユーザがコントローラを操作するためにジンバル106の慣性を克服することを必要とするので、有益であり得る。
【0123】
前述のように、モータを使用して、ジンバル106を介して知覚フィードバックを提供することができる。更に、いくつかの実施形態では、モータは、ジンバル106のインピーダンス制御のために関節の移動の測定値(例えば、変位及び位置)を提供するように構成することができる。
【0124】
ロードセル112を含むジンバル106の2つの実施形態について、
図17~
図19Bを参照して説明してきたが、他の実施形態もまた可能である。他の実施形態では、ジンバル106は、2つ又は3つ以上のロードセル112を含み得る。
【0125】
C.機械的短絡の低減
インピーダンス制御とアドミタンス制御の両方を含むハイブリッドコントローラ102の使用は、上で考察されるようにいくつかの注目すべき利点(コントローラの知覚された慣性を低減し、改善された操作経験を提供することを含む)を提供するが、いくつかの実施形態では、アドミタンス制御の使用は、力を測定するためのロードセル112の使用を含む。ロードセル112を含む実施形態を実装する場合、機械的短絡のリスクを考慮すべきである。機械的短絡は、操作者の手、手首、腕、又は任意の組み合わせが、ロードセル112の近位にあるコントローラの部分とロードセル112の遠位にあるコントローラの部分との間に剛性又は物理的なブリッジを作るときに発生する可能性がある。機械的短絡の影響は、操作者が制御するのが困難である意図しない運動であり得る。
【0126】
図20Aは、機械的短絡の一例を示す画像である。示された例では、操作者は、ロードセル112の遠位に位置するハンドル104を保持している。操作者は、ロードセル112によって測定され、位置決めプラットフォーム(図示せず)内のアドミタンス制御に使用される力をハンドル104に付与する(ハンドル104を移動させることによって)。しかしながら、示されるように、操作者はまた、ロードセル112に対して近位に位置するジンバルの部分153に接触し、機械的短絡を引き起こす。部分153に付与される力はまた、ロードセル112によって測定され、意図せずかつ制御不能な運動を引き起こす。
【0127】
いくつかの実施形態では、システムは、操作者がハンドル104に全ての力を付与していると想定するため、このことが、例えば、ロードセル112の近位の接触に起因しており、実際には真実ではない場合には、機械的短絡は望ましくない運動を生成する。操作者は、ロードセル112の遠位に位置するコントローラ又はジンバルの任意の部分に安全に接触することができる。ロードセル112の近位のコントローラとの接触は、望ましくない機械的短絡を引き起こす可能性がある。
【0128】
機械的短絡のリスクを低減し、機械的短絡を引き起こさずに操作者が安全に接触できるコントローラの部分を増加させるために、いくつかの実施形態では、シェル又はカバーをロードセル112の上に設けることができる。例えば、ロードセル112を含むリンクの場合、カバーは、ロードセル112の遠位でのみリンクに取り付けることができるが、ロードセル112の近位に位置するリンクの部分にわたって(接触することなく)延在することができる。カバーは、ロードセル112の遠位にのみ接続されているため、カバーとの接触が機械的短絡を引き起こす可能性は低い。いくつかの実施形態では、カバーは、下にある構成要素の上に成形することができる。他の実施形態では、カバーは、下にある構成要素の上に形成されたスリップであり得る。
【0129】
図20Bは、ジンバル106の第2の実施形態の実施形態を示し(例えば、
図19A及び
図19Bに図示されるように)、ロードセル112を含む第3のリンク126のカバー154の切欠版を示している。図示されるように、ロードセル112は、第3のリンク126内に位置決めされる。したがって、第3のリンク126の一部は、ロードセル112の遠位に位置決めされ、第3のリンク126の一部126Pは、ロードセル112の近位に位置決めされる。第3のリンク126の近位部分126Pとの接触は、機械的短絡を引き起こすことになる。機械的短絡の可能性を低減するために、カバー154は、近位部分126Pの上に延在し、そこを覆う。同様のカバーを、ジンバル106の第1の実施形態の第1のリンク122上に実装することができる(
図18)。
【0130】
図20C及び
図20Dは、機械的短絡を引き起こすことなく接触させることができる、ジンバル106の第1の実施形態及び第2の実施形態の部分を示す(
図18及び
図19Aにそれぞれ示されている)。これらの図では、より暗い陰影部分を、機械的短絡を引き起こすことなく接触させることができる。
図20Cに図示されるように、ジンバル106の第1の実施形態では、ハンドル104と第1のリンク122とを、機械的短絡を引き起こすことなく接触させることができる。これは、ロードセル112を含む第1のリンク122の上に、カバーが延在することができるためであり得る。
図20Dに図示されるように、ジンバル106の第2の実施形態では、ハンドル104、第1のリンク122、第2のリンク124、及び第3のリンク126は、機械的短絡を引き起こすことなく接触することができる。これは、ロードセル112を含む第3のリンク123の上に、カバーが延在することができるためであり得る。
図20Cと
図20Dを比較すると、第2の実施形態(
図20D)は、第1の実施形態(
図20C)よりも大きな機械的短絡に対する保護領域を提供することができる。これは、2つの設計間のトレードオフを反映することができる。第1の実施形態(
図20D)は、(ロードセル112がジンバルの遠位リンクの近くに位置決めされているため)より軽いと知覚することができるが、短絡の対象となる可能性のあるより多くの領域を有する場合もある。対照的に、第2の実施形態(
図20D)は、(ロードセル112がジンバルの近位リンクに近接して位置決めされているため)より重いと知覚することができるが、短絡からより保護される領域を有することができる。それにかかわらず、これらの設計の両方は、インピーダンス制御のみに依存するものよりも軽く知覚されるコントローラを提供し、機械的短絡のリスクから保護する新規なカバーを有する。当業者は、両方の実施形態が特定の利点を提供し、様々な状況での使用に好適であり得ることを理解するであろう。
【0131】
D.例示的なコントローラ方法
図21は、コントローラ(例えば、マスター)が医療用器具(例えば、スレーブ)を制御する例示的な方法210を示すフローチャートである。方法210は、インピーダンス制御及びアドミタンス制御の両方を使用してハイブリッド制御のために構成することができる。連続的に示されているが、方法210のブロックは、他の順序で実施することができ、又はブロックのうちの1つ又は2つ以上を実質的に同時に発生させることができる。方法210は、ブロック212において開始し、ユーザは、インピーダンス制御を介してコントローラの回転を駆動することができる。ブロック214において、ユーザはまた、アドミッタンス制御を介してコントローラの並進を駆動することができ、いくつかの実施形態では、アドミッタンス制御は、コントローラのジンバル内に位置決めされた1つ又は2つ以上のロードセルを介して有効にすることができる。
【0132】
ブロック216において、コントローラからの出力信号がプロセッサを介して送達される。出力信号は、コントローラのインピーダンス制御及び/又はアドミタンス制御に基づくことができる。ブロック218において、ロボット医療用器具の運動は、出力信号に基づいて駆動される。
【0133】
図22は、例としてコントローラ方法220を示しているフローチャートである。方法220は、インピーダンス制御及びアドミタンス制御の両方を使用するハイブリッド制御のために構成することができる。連続的に示されているが、方法220のブロックは、逆の順に実施されてもよく、又は実質的に同時に発生してもよい。方法220は、コントローラのハンドルがインピーダンス制御を介して操作されてロボット医療用器具の対応する操作を引き起こす、ブロック222で開始する。いくつかの実施形態では、ハンドルは、1つ又は2つ以上の回転自由度で操作される。いくつかの実施形態では、ハンドルは、少なくとも3つの回転自由度で操作される。いくつかの実施形態では、ハンドルは、少なくともピッチ、ロール、及びヨーで操作される。いくつかの実施形態では、ハンドルを操作することは、ジンバルを操作することを含む。
【0134】
ブロック224では、ハンドルをアドミタンス制御を介して操作して、ロボット医療用器具の対応する操作を引き起こす。いくつかの実施形態では、ハンドルは、1つ又は2つ以上の位置自由度又は並進自由度で操作される。いくつかの実施形態では、ハンドルは、少なくとも3つの位置自由度又は並進自由度で操作される。いくつかの実施形態では、ハンドルは、x方向、y方向、及びz方向に操作される。いくつかの実施形態では、ハンドルを操作することは、位置決めプラットフォームを操作することを含む。
【0135】
E.自由度制約を有するハイブリッドコントローラ
上記のハイブリッドコントローラは、概して、インピーダンス制御されたジンバル及びアドミタンス制御された位置決めプラットフォームを使用することができる。すなわち、上述のハイブリッドコントローラでは、ジンバルの3つの回転自由度は全て、インピーダンス制御を使用することができ、位置決めプラットフォームの3つの位置自由度全ては、アドミタンス制御を使用することができる。
【0136】
このセクションでは、インピーダンス制御されたジンバル(例えば、3つの回転自由度を有する)と、1つの自由度(例えば、垂直方向並進軸上)に対するアドミタンス制御下にある位置決めプラットフォームと、他の2つの自由度のためのインピーダンス制御とを含むことができる、追加のタイプのハイブリッドコントローラが記載される。したがって、このタイプのハイブリッドコントローラでは、アドミタンス制御に対する1つの自由度制約が存在し得る。すなわち、アドミタンス制御は、垂直並進自由度などの1つの自由度のみに限定又は制約される。
【0137】
本明細書に記載されるように、これは、(上述の3つの自由度のロードセル112とは対照的に)ジンバル内に1つの自由度のロードセルを提供することによって達成することができる。自由度制約を有するハイブリッドコントローラは、安定性、堅牢性、及びコスト低減などの多くの利点をもたらし得る。
【0138】
いくつかの実施形態では、1つの自由度のみに制約されたハイブリッドコントローラは、上述のコントローラ102と同じ又は類似の運動学的構造を含むことができる。例えば、1つの自由度のみに制約されたハイブリッドコントローラは、関節によって接続された複数のリンクを含む、上述のようなジンバル106及び位置決めプラットフォーム108を含み得る。しかしながら、1つの自由度のみに制約されたハイブリッドコントローラでは、ロードセル112は、単一方向のみの力を測定する1つの自由度ロードセルである。いくつかの実施形態では、ロードセル112は、重力方向のみの、又はカラム114の軸に沿って、力を測定するように構成される(
図16Cを参照)。
【0139】
一実施形態では、
図18に示すロードセル112は、1つの自由度のロードセルであり得る。別の実施形態では、
図19A及び
図19Bに示されるロードセル112は、1つの自由度のロードセルであり得る。別の実施形態では、ロードセル112をジンバル106の第4の関節134の後方に(例えば、近位に)定置することが可能である(
図18及び
図19Aを参照)。この実施形態は、(上述の実施形態と比較して)ロードセル112の遠位の質量を増加させることができる。いくつかの実施形態では、ロードセル112のより遠位の質量及び/又はロードセル112のより低い剛性は、導入される機械的振動周波数を低下させ、したがって、アドミタンス制御性能及び/又は安定性を悪化させる。1つの自由度ロードセル112に切り替えることにより、このタイプのハイブリッドコントローラは、ロードセル112の剛性、範囲、及び精度を増加させながら、パッケージサイズ、質量、及びコストを低減する可能性を有する一方で、より良好なアドミタンス性能及び/又は安定性をもたらすことができる。
【0140】
いくつかの実施形態では、自由度制約を有するハイブリッドコントローラの位置決めプラットフォーム108は、
図16に示される位置決めプラットフォーム102と同様であり得る。例えば、位置決めプラットフォームは、ワークスペースの垂直方向と整列された直動ベース軸を含んでもよい。位置決めプラットフォームはまた、SCARA構成に配設された2つの回転関節を含んでもよく、直動関節に対して垂直な平面運動を提供してもよい。いくつかの実施形態では、直動軸は、送りねじアクチュエータ又は線形アクチュエータのいずれかで実装され得る。いくつかの実施形態では、線形アクチュエータの使用は、バックラッシュを移動させることができ、駆動中のノイズを低減し、より少ないモータ慣性を有することができる。
【0141】
更に、いくつかの実施形態では、直接駆動電流はまた、より正確な垂直力測定及び/又は推定に使用され得る。平面SCARA部分上のインピーダンス制御を向上させるために、SCARA部分を駆動するモータは、高度に逆駆動可能にすることができる。いくつかの実施形態では、SCARの肘に関連するモータは、カラム114内に遠隔的に位置決めすることができる。これらの改善は、インピーダンス制御された平面位置決め自由度に対する質量を低減するために、位置決めプラットフォームの平面リンクの慣性を低減することができる。
【0142】
機械的振動周波数は、垂直アドミタンス制御の性能及び/又は安定性も同様に改善するために、慣性を低減させること及びギヤボックスコンプライアンスを除去又は低減することによって向上される。知覚された質量に関して、位置決めプラットフォーム(例えば、SCARA)の平面自由度上で、それらは同様かつ比較的均一であり、ジンバルの質量によって支配される。垂直軸に沿った原質量はより高くすることができるが、アドミタンス制御は、ワークスペース全体におけるより均一な性能のために、他の自由度の知覚された質量に一致するように調整することができる。1つの自由度のロードセル112を使用して、電流ベースの力測定の精度が十分でない場合に、直動作動の位置における垂直力を測定することができる。較正及びジンバル遠位力測定と組み合わされたこの情報は、垂直作動の遠位の任意の点における追加の垂直外力を推定することができる。したがって、安全性の向上のために全ての機械的短絡及び予期せぬ衝突を検出し、防止することができる。
【0143】
3.システムの実施及び用語
本明細書に開示される実装形態は、ロボット対応の医療システムのためのシステム、方法、及び装置を提供する。本明細書に記載される様々な実施形態は、ロボット対応の医療システムのためのコントローラを含む。
【0144】
本明細書で使用するとき、「結合する」、「結合している」、「結合された」という用語、又は単語結合の他の変形は、間接的接続又は直接的接続のいずれかを示し得ることに留意されたい。例えば、第1の構成要素が第2の構成要素に「結合される」場合、第1の構成要素は、別の構成要素を介して第2の構成要素に間接的に接続されるか、又は第2の構成要素に直接的に接続されてもよい。
【0145】
本明細書に記載の位置推定及びロボット運動作動機能は、プロセッサ可読媒体又はコンピュータ可読媒体上の1つ又は2つ以上の命令として記憶されてもよい。「コンピュータ可読媒体」という用語は、コンピュータ又はプロセッサによってアクセスすることができる任意の利用可能な媒体を指す。一例として、限定するものではないが、このような媒体は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、電気的消去可能プログラム可能読み出し専用メモリ(EEPROM)、フラッシュメモリ、コンパクトディスク読み出し専用メモリ(CD-ROM)、又は他の光ディスク記憶装置、磁気ディスク記憶装置若しくは他の磁気記憶デバイス、又は命令若しくはデータ構造の形態で所望のプログラムコードを記憶するために使用することができ、コンピュータによってアクセスすることができる任意の他の媒体を含んでもよい。コンピュータ可読媒体は、有形であり、非一時的であってもよいことに留意されたい。本明細書で使用するとき、「コード」という用語は、コンピューティングデバイス又はプロセッサによって実行可能であるソフトウェア、命令、コード、又はデータを指し得る。
【0146】
本明細書に開示される方法は、記載される方法を達成するための1つ若しくは2つ以上の工程又は行為を含む。方法工程及び/又は行為は、特許請求の範囲から逸脱することなく互いに交換されてもよい。換言すれば、記載されている方法の適切な動作のために特定の順序の工程又は行為が必要とされない限り、請求項の範囲から逸脱することなく、特定の工程及び/又は行為の順序及び/又は使用を修正してもよい。
【0147】
本明細書で使用するとき、「複数」という用語は、2つ又は3つ以上を示す。例えば、複数の構成要素は、2つ又は3つ以上の構成要素を示す。「判定する」という用語は、多種多様な行為を包含し、したがって、「判定する」は、計算する、演算する、処理する、導出する、調査する、ルックアップする(例えば、テーブル、データベース又は別のデータ構造を見ること)、確認することなどを含むことができる。また、「判定する」は、受信すること(例えば、情報を受信すること)、アクセスすること(例えば、メモリ内のデータにアクセスすること)などを含むことができる。また、「判定する」は、解決する、選択する、選出する、確立するなどを含むことができる。
【0148】
「基づく」という句は、別途明示的に指定されない限り、「のみに基づく」ことを意味しない。換言すれば、「基づく」という句は、「のみに基づく」及び「少なくとも基づく」の両方を記載する。
【0149】
本明細書で使用するとき、「およそ」又は「約」という用語は、長さ、厚さ、量、期間、又は他の測定可能な値の測定範囲を指す。このような測定範囲は、開示される装置、システム、及び技術において機能するためにかかる変形が適切である限り、指定された値の+/-10%以下、好ましくは+/-5%以下、より好ましくは+/-1%以下、更により好ましくは+/-0.1%以下の変動を包含する。
【0150】
開示される実施形態の前述の説明は、任意の当業者が本発明を製造すること、又は使用することを可能にするために提供される。これらの実施態様に対する種々の修正は、当業者には容易に明らかになり、かつ、本明細書で規定される一般的な原理は、本発明の範囲から逸脱することなく、他の実施態様に適用され得る。例えば、当業者であれば、締結、装着、結合、又は係合ツール構成要素の均等の方法、特定の作動運動を生み出すための均等の機構、及び電気エネルギーを送達するための均等の機構など、多くの対応する代替的かつ均等の構造的詳細を使用することができると理解されるであろう。したがって、本発明は、本明細書に示される実施形態に限定されることを意図するものではなく、本明細書に開示される原則及び新規な特徴と一致する最も広い範囲が与えられるものである。
【0151】
〔実施の態様〕
(1) ロボット対応の遠隔操作システムであって、
コントローラ及び前記コントローラによる操作が可能なロボットツールを備え、前記コントローラが、
操作者による作動のために構成されたハンドルと、
前記ハンドルに結合され、複数の自由度で前記ハンドルの操作を可能にするように構成されたジンバルであって、前記ハンドルの操作が前記ロボットツールの対応する操作を引き起こすようにインピーダンス制御するように構成されている、ジンバルと、
前記ジンバルに結合され、複数の自由度で前記ハンドルの操作を可能にするように構成された位置決めプラットフォームであって、前記ハンドルの操作が前記ロボットツールの対応する操作を引き起こすように、アドミタンス制御するように構成されている、位置決めプラットフォームと、を備える、システム。
(2) 前記ロボットツールが、医療用器具である、実施態様1に記載のシステム。
(3) 前記ジンバルが、回転関節を介して前記位置決めプラットフォームに結合されている、実施態様1に記載のシステム。
(4) 前記ジンバルが、少なくとも3つの回転自由度での前記ハンドルの操作を可能にする、実施態様1に記載のシステム。
(5) 前記位置決めプラットフォームが、少なくとも3つの位置自由度での前記ハンドルの操作を可能にする、実施態様1に記載のシステム。
【0152】
(6) 前記ロボットツールに結合されたロボットアームを更に備え、前記ロボットツールが、カテーテル、スコープ、把持具、シーラー、又はカッターのうちの少なくとも1つを含む、実施態様1に記載のシステム。
(7) 前記ジンバル内に位置決めされたロードセルを更に備える、実施態様1に記載のシステム。
(8) 前記位置決めプラットフォームの前記アドミタンス制御は、前記ロードセルの出力信号に基づく、実施態様7に記載のシステム。
(9) 前記ジンバルが、遠位から近位に配設され、関節によって接続された少なくとも第1のリンク、第2のリンク、及び第3のリンクを含み、前記ロードセルが、前記第1のリンク内に位置決めされている、実施態様7に記載のシステム。
(10) 前記関節が、外旋関節(revolute joints)である、実施態様9に記載のシステム。
【0153】
(11) 前記ジンバルが、遠位から近位に配設され、リンクによって接続された少なくとも第1の関節、第2の関節、及び第3の関節を含み、前記ロードセルが、前記第2の関節の遠位に位置決めされている、実施態様7に記載のシステム。
(12) 前記ジンバルが、遠位から近位に配設され、関節によって接続された少なくとも第1のリンク、第2のリンク、及び第3のリンクを含み、前記ロードセルが、前記第3のリンク内に位置決めされている、実施態様7に記載のシステム。
(13) 前記ジンバルが、遠位から近位に配設され、リンクによって接続された少なくとも第1の関節、第2の関節、及び第3の関節を含み、前記ロードセルが、前記第3の関節の近位に位置決めされている、実施態様7に記載のシステム。
(14) 前記ジンバルが、前記ロードセルの近位の構造を遮蔽し、それにより前記ロードセルの遠位端と遮蔽された前記構造との間の機械的短絡を防止するように構成された、前記ロードセルの前記遠位端に取り付けられたカバーを備える、実施態様7に記載のシステム。
(15) 前記ジンバルの関節を制御するために前記ジンバル内に位置決めされたモータを更に備える、実施態様1に記載のシステム。
【0154】
(16) 前記モータが、ケーブルドライブによって前記関節に接続されている、実施態様15に記載のシステム。
(17) 前記モータが、前記関節の近位に位置する、実施態様16に記載のシステム。
(18) 前記位置決めプラットフォームが、少なくとも1つの直動関節を含む、実施態様1に記載のシステム。
(19) 前記直動関節の運動軸が、重力の方向と整列している、実施態様18に記載のシステム。
(20) 前記ジンバルが、関節によって前記位置決めプラットフォームに結合され、前記関節の軸が、前記重力の方向と整列している、実施態様19に記載のシステム。
【0155】
(21) ロボット対応の遠隔操作システムであって、
コントローラ及び前記コントローラによる操作が可能なロボットツールを備え、前記コントローラが、
操作者による作動のために構成されたハンドルと、
前記ハンドルに結合され、複数の自由度で前記ハンドルの操作を可能にするように構成されたジンバルであって、前記ジンバルが、ロードセルを備え、前記ジンバルの少なくとも2つの軸の動作が、前記ロードセルのどの出力信号にも基づかない、ジンバルと、
前記ジンバルに結合され、複数の自由度で前記ハンドルの操作を可能にするように構成された位置決めプラットフォームと、を備え、
前記ハンドルが、前記ジンバル内の前記ロードセルの出力信号に少なくとも部分的に基づいて、アドミタンス制御するように構成されている、システム。
(22) 前記ジンバルが、遠位から近位に配設され、関節によって接続された少なくとも第1のリンク、第2のリンク、及び第3のリンクを含み、前記ロードセルが、前記第1のリンク内に位置決めされている、実施態様21に記載のシステム。
(23) 前記ロードセルの近位の構造を遮蔽し、それにより前記ロードセルの遠位端と遮蔽された前記構造との間の機械的短絡を防止するように構成された、前記ロードセルの前記遠位端に取り付けられたカバーを更に備える、実施態様22に記載のシステム。
(24) 前記ジンバルが、遠位から近位に配設され、リンクによって接続された少なくとも第1の関節、第2の関節、及び第3の関節を含み、前記ロードセルが、前記第2の関節の遠位に位置決めされている、実施態様21に記載のシステム。
(25) 前記ジンバルが、遠位から近位に配設され、関節によって接続された少なくとも第1のリンク、第2のリンク、及び第3のリンクを含み、前記ロードセルが、前記第3のリンク内に位置決めされている、実施態様21に記載のシステム。
【0156】
(26) 前記ジンバルが、遠位から近位に配設され、リンクによって接続された少なくとも第1の関節、第2の関節、及び第3の関節を含み、前記ロードセルが、前記第3の関節の近位に位置決めされている、実施態様21に記載のシステム。
(27) 前記ジンバルの関節を制御するために前記ジンバル内に位置決めされたモータを更に備える、実施態様21に記載のシステム。
(28) 前記モータが、ケーブルドライブによって前記関節に接続されている、実施態様27に記載のシステム。
(29) 前記モータが、前記関節の近位に位置する、実施態様28に記載のシステム。
(30) 遠隔操作方法であって、
インピーダンス制御を介してコントローラの回転を駆動することと、
アドミタンス制御を介してコントローラの並進を駆動することと、
インピーダンス及び/又はアドミタンス制御に基づいて前記コントローラからの出力信号を送達することと、
前記出力信号に基づいて前記遠隔操作ツールの運動を駆動することと、を含む、方法。
【0157】
(31) 前記出力信号が、前記コントローラのハンドルの前記回転及び/又は位置に基づいている、実施態様30に記載の方法。
(32) インピーダンス制御を介して前記コントローラの回転を駆動することが、前記コントローラのハンドルを回転させることを含む、実施態様30に記載の方法。
(33) 前記ハンドルが、複数の自由度で前記ハンドルの操作を可能にするように構成されたジンバルに取り付けられている、実施態様32に記載の方法。
(34) 前記ジンバルが、ロードセルを備える、実施態様33に記載の方法。
(35) アドミタンス制御を介してコントローラの並進を駆動することが、前記コントローラの前記ハンドルを並進させることを含み、前記アドミタンス制御が、前記ロードセルの出力に基づいている、実施態様34に記載の方法。
【0158】
(36) 前記ジンバルが、遠位から近位に配設され、関節によって接続された少なくとも第1のリンク、第2のリンク、及び第3のリンクを含み、前記ロードセルが、前記第1のリンク内に位置決めされている、実施態様35に記載の方法。
(37) 前記ジンバルが、遠位から近位に配設され、リンクによって接続された少なくとも第1の関節、第2の関節、及び第3の関節を含み、前記ロードセルが、前記第2の関節の遠位に位置決めされている、実施態様35に記載の方法。
(38) 前記ジンバルが、遠位から近位に配設され、関節によって接続された少なくとも第1のリンク、第2のリンク、及び第3のリンクを含み、前記ロードセルが、前記第3のリンク内に位置決めされている、実施態様35に記載の方法。
(39) 前記ジンバルが、遠位から近位に配設され、リンクによって接続された少なくとも第1の関節、第2の関節、及び第3の関節を含み、前記ロードセルが、前記第3の関節の近位に位置決めされている、実施態様35に記載の方法。
(40) 遠隔操作方法であって、
遠隔操作されたロボットツールの対応する操作を引き起こすようにコントローラを操作することを含み、前記コントローラを操作することが、
前記遠隔操作されたロボットツールの対応する操作を引き起こすために、前記コントローラのハンドルをインピーダンス制御を通して少なくとも3つの回転自由度で操作することと、
前記遠隔操作されたロボットツールの対応する操作を引き起こすために、前記コントローラの前記ハンドルをアドミタンス制御を通して少なくとも3つの位置自由度で操作することと、を含む、方法。
【0159】
(41) 前記ハンドルを前記少なくとも3つの回転自由度で操作することが、ジンバルを操作することを含む、実施態様40に記載の方法。
(42) 前記ハンドルを前記少なくとも3つの回転自由度で操作することが、前記ハンドルを少なくともピッチ、ロール、及びヨーで操作することを含む、実施態様40に記載の方法。
(43) 前記ハンドルを前記少なくとも3つの位置自由度で操作することが、位置決めプラットフォームを操作することを含む、実施態様40に記載の方法。
(44) 前記ハンドルを前記少なくとも3つの位置自由度で操作することが、前記ハンドルを少なくともx方向、y方向、及びz方向で操作することを含む、実施態様40に記載の方法。
(45) ロボット対応の遠隔操作システムであって、
遠隔操作されたロボットツールを操作するためのマニピュレータであって、前記マニピュレータが、カラムに動作可能に結合された最近位リンクと、最遠位リンクと、を含むリンクによって形成された複数の関節を備え、前記最近位リンクが、前記最遠位リンクよりも前記カラムに近接して位置決めされている、マニピュレータと、
前記複数のリンクのうちの少なくとも1つの内部に位置決めされたロードセルであって、前記複数の関節の第1の組が、前記ロードセルの近位に位置決めされ、前記複数の関節の第2の組が、前記ロードセルの遠位に位置決めされ、前記複数の関節の前記第2の組は、その移動が前記ロードセルからの出力信号に基づかない少なくとも1つの関節を含む、ロードセルと、を備える、システム。
【0160】
(46) 前記マニピュレータが、シリアルリンクマニピュレータを備える、実施態様45に記載のシステム。
(47) 前記マニピュレータが、パラレルリンクマニピュレータを備える、実施態様45に記載のシステム。
(48) 前記マニピュレータが、前記複数のリンクによって形成されたハンドルと、ジンバルと、位置決めプラットフォームと、を備える、実施態様45に記載のシステム。
(49) 前記ジンバルが、外旋関節によって前記位置決めプラットフォームに結合されている、実施態様48に記載のシステム。
(50) 前記ロードセルの近位にある前記複数の関節の前記第1の組が、位置決めプラットフォームの一部である、実施態様45に記載のシステム。
【0161】
(51) 前記位置決めプラットフォームの前記操作が、前記ロードセルの出力信号に基づいている、実施態様50に記載のシステム。
(52) 前記ロードセルの遠位にある前記複数の関節の前記第2の組が、ジンバルの一部である、実施態様45に記載のシステム。
(53) ロボット対応のシステムであって、
コントローラであって、
操作者による作動のために構成されたハンドルと、
前記ハンドルに結合され、複数の自由度で前記ハンドルの操作を可能にするように構成されたジンバルであって、インピーダンス制御するように構成されている、ジンバルと、
前記ジンバルに結合され、複数の自由度で前記ハンドルの操作を可能にするように構成された位置決めプラットフォームであって、アドミタンス制御するように構成されている、位置決めプラットフォームと、を備える、コントローラを備える、システム。
(54) 前記コントローラが、遠隔操作されたロボットツールを操作する、実施態様53に記載のシステム。
(55) 前記コントローラが、仮想環境内で物体を操作する、実施態様53に記載のシステム。