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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-14
(45)【発行日】2023-07-25
(54)【発明の名称】僧帽弁アセンブリ
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/24 20060101AFI20230718BHJP
【FI】
A61F2/24
【請求項の数】 15
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021096572
(22)【出願日】2021-06-09
(62)【分割の表示】P 2018518615の分割
【原出願日】2016-10-01
(65)【公開番号】P2021166717
(43)【公開日】2021-10-21
【審査請求日】2021-07-09
(31)【優先権主張番号】14/880,836
(32)【優先日】2015-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517334285
【氏名又は名称】杭州啓明医療器械股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】VENUS MEDTECH (HANGZHOU),INC.
【住所又は居所原語表記】Room 311,Floor 3,Building 2,No.88 Jiangling Road,Xixing Street,Binjiang District Hangzhou,Zhejiang 310052(CN)
(74)【代理人】
【識別番号】100109634
【弁理士】
【氏名又は名称】舛谷 威志
(74)【代理人】
【識別番号】100129263
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 洋之
(72)【発明者】
【氏名】ソウ,ミン,フランク
(72)【発明者】
【氏名】ロウ,ファム
【審査官】寺澤 忠司
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-539985(JP,A)
【文献】特表2013-516198(JP,A)
【文献】特表2013-540467(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の列のセルによって画定された固定部と、前記固定部から延びた一対のレッグとを備えるフレームと、
前記フレームに縫合された複数の小葉を有する小葉アセンブリと、を備え、
前記複数の小葉は、第一小葉と、第二小葉と、を備え、
前記第一小葉および前記第二小葉の各々は、スカート部と、小葉洞部と、を備え、
前記スカート部は、対向する二つの側縁を有する本体部と、第一縫合縁によって画定された開口と、前記本体部に接続されるフランジ部と、を有し、
前記第一小葉の前記二つの側縁は各々対応する前記第二小葉の前記二つの側縁と縫合されて前記小葉アセンブリが組み立てられて、前記スカート部により、自然弁輪の上部にある楕円形の部位が形成され、
前記小葉洞部は、流出縁と湾曲した第二縫合縁とを有し、前記第二縫合縁に沿って対応する前記本体部の前記第一縫合縁に縫合され、血流は、前記楕円形の部位から前記小葉洞部の前記流出縁に流入することを特徴とする心臓弁アセンブリ。
【請求項2】
前記本体部の半径は前記フランジ部の半径より小さいことを特徴とする請求項1に記載の心臓弁アセンブリ。
【請求項3】
前記第一縫合縁によって画定された開口は、前記本体部の中央U字状開口であることを特徴とする請求項1に記載の心臓弁アセンブリ。
【請求項4】
前記小葉洞部は略半円形を有することを特徴とする請求項1に記載の心臓弁アセンブリ。
【請求項5】
前記小葉アセンブリは、別々の第一小葉および第二小葉で構成され、前記第一小葉の前記本体部の前記対向する二つの側縁は、それぞれ前記第二小葉の前記本体部の対応する側縁に縫合されることを特徴とする請求項1に記載の心臓弁アセンブリ。
【請求項6】
前記固定部は、ピーク及びバレイを規定する環状のジグザグ配列が設けられた流入端と、ピーク及びバレイを規定する環状のジグザグ配列が設けられた流出端と、を有することを特徴とする請求項1に記載の心臓弁アセンブリ。
【請求項7】
前記固定部は、環状の第一列のセルおよび環状の第二列のセルによって画定され、
前記第一列のセルの環状のジグザグ配列の頂点は、前記固定部の流入端に位置する環状の第一開口を画定し、
前記第二列のセルの環状のジグザグの頂点は、前記固定部の流出端に位置する環状の第二開口を画定することを特徴とする請求項6に記載の心臓弁アセンブリ。
【請求項8】
前記固定部の前記第二列のセルの各々は、前記固定部の前記第一列のセル中の二つの隣接するセルに隣接され、前記第一列のセルの各々は、前記第二列のセルの各々より大きいことを特徴とする請求項7に記載の心臓弁アセンブリ。
【請求項9】
前記一対のレッグは、互いに独立し、それぞれ前記固定部の一列のセル中の二つの対向するセルから延在し、前記小葉アセンブリは、前記一対のレッグに縫合されることを特徴とする請求項1に記載の心臓弁アセンブリ。
【請求項10】
前記一対のレッグは第一レッグ及び第二レッグを含み、
前記第一レッグは、二つの対向する前記セルのうちの一つから延びる第一湾曲部から始まり、直線部に沿って第二湾曲部に移行し、次に、もう一つの直線部に沿ってチップに鉛直に延び、
前記第二レッグは、前記二つの対向する前記セルのうちのもう一つから延びる第三湾曲部から始まり、直線部に沿って第四湾曲部に移行し、次に、もう一つの直線部に沿ってチップに鉛直に延び、
前記第一湾曲部および前記第三湾曲部が半径方向に外向きに突出しており、前記第二湾曲部および前記第四湾曲部が半径方向に内向きに凹んでいることを特徴とする請求項1に記載の心臓弁アセンブリ。
【請求項11】
前記レッグは、送達システムのイアハブに合わせるためのイアを備えることを特徴とする請求項1に記載の心臓弁アセンブリ。
【請求項12】
前記固定部と前記レッグは、ワンピースで設けられることを特徴とする請求項1に記載の心臓弁アセンブリ。
【請求項13】
前記複数の小葉は、2つ、3つまたは4つの小葉を備えることを特徴とする請求項1に記載の心臓弁アセンブリ。
【請求項14】
前記心臓弁アセンブリは僧帽弁アセンブリであり、前記固定部の高さは15~40mmであり、前記固定部の最も広い点における直径は20~50mmであることを特徴とする請求項1に記載の心臓弁アセンブリ。
【請求項15】
前記レッグの長さは、10~30mm、または、10~20mmであることを特徴とする請求項1に記載の心臓弁アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者の僧帽弁機能を回復させるための僧帽弁の経カテーテル設置のための方法、システム及び装置に関するに関する。
【背景技術】
【0002】
人工心臓弁は、心臓弁膜症を治療するために長年使用される。自然心臓弁(例えば、大動脈弁、肺動脈弁及び僧帽弁)は、心血管系を通す充分な血液の供給の順方向流れを確保する重要な機能を果たす。これらの心臓弁は、先天性、炎症性、または感染性の状況によって、あまり有効にならない。このような状況は、結局、重い心血管系異常または死亡を引き起こす恐れがある。このような病気の最終的治療は、長年、心臓切開手術期間の弁の外科的修復または置換であるが、そのような外科手術は、危険であり、合併症を引き起こす傾向がある。
つい最近、侵襲性が心臓切開手術よりも低いように可撓性カテーテルを使用して人工心臓弁を導入し、埋め込むための経血管技術が開発される。この技術では、人工弁は、可撓性カテーテルの端部にクリンピング状態で取り付けられており、また、弁が埋め込み部位に到達するまで、患者の血管を通して進められる。次に、カテーテルのチップに位置する弁は、例えば、弁が取り付けられたバルーンを膨張させることにより、欠陥自然弁の位置でその機能的サイズに拡張される。あるいは、弁は、カテーテルの遠位端に位置する送達シースから進められるときに弁を機能的サイズに拡張する弾性の自己拡張式ステントまたはフレームを有することができる。
しかしながら、大動脈弁とは異なり、僧帽弁輪は、置換僧帽弁の位置決めのための良い目印を提供しない。置換大動脈弁を必要とする患者では、大動脈弁輪の高さ及び幅は、一般的に、カルシウム形成に関連する変性疾患の存在で増加する。組織におけるこれらの変化は、大動脈弁輪の断面積の低減のため、置換大動脈弁を適所に適切に固定することを容易にする。しかしながら、大動脈弁における普通見られる退行性変化は、逆流がある僧帽弁に存在しないため、僧帽弁輪は、一般的に、罹病大動脈弁の弁輪よりも薄い。この薄い僧帽弁輪は、置換僧帽弁を自然僧帽弁輪内に適切に着席させることを比較的に困難にする。僧帽弁輪の一般的な解剖的構造は、置換僧帽弁を適所に適切に固定することを一層困難にする。僧帽弁輪は、大動脈弁輪が提供する大動脈から左心室への移行よりも円滑な左心房から左心室への移行を提供する。大動脈弁輪は、解剖的に一層顕著であり、置換大動脈弁が適所に一層容易に固定されることができる一層大きい「バンプ」を提供する。
従って、一層大きい僧帽弁輪は、従来の経皮的に送達される弁を自然僧帽弁の位置に確実に埋め込むことを困難にする。ワンピースの置換僧帽弁を弁輪にクリンピングし、または、腱に掛止し、且つ、インプラントフレームを拡張して弁輪内にタイトフィットを達成することにより、ワンピースの置換僧帽弁を送達し、埋め込む工夫が若干ある。これらの方法は、患者の解剖的構造を多かれ少なかれ変化させ、大動脈弁の機能および血流に影響を及ぼす。
その結果、患者の解剖的構造を歪めることなく、経皮的送達によって、自然僧帽弁の位置に確実に埋め込まれることができる置換僧帽弁が必要とされる。
【発明の概要】
【0003】
本発明は、患者の自然僧帽弁位置における自己拡張式ステント内の生物弁の経皮的経カテーテル設置を可能にする僧帽弁アセンブリ及びこれに関連する送達システムを提供する。
本発明は、複数の列のセルによって画定された固定部と、固定部から延びた一対のレッグとを備え、各セルが、各セルを取り囲む複数のストラットによって画定されるフレームを有する心臓弁アセンブリを提供する。このアセンブリは、レッグに縫合された複数の小葉を有する小葉アセンブリをさらに有する。固定部は、左心房の形態に類似した形態を有する。
本発明は、人間の心臓の僧帽弁位置に心臓弁アセンブリを固定するための方法をされに提供する。心臓弁アセンブリが自然僧帽弁輪の位置に送達されており、固定部が左心房内に完全に保持され、レッグおよび小葉が自然僧帽弁輪を貫いて延びるように、固定部が左心房内に展開される。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1図1は、本発明の一実施形態による、拡張形態で示された僧帽弁アセンブリの斜視側面図である。
図2図2は、図1のアセンブリの側面図である。
図3図3は、図1のアセンブリの平面図である。
図4図4は、図1のアセンブリのフレームの斜視図である。
図5図5は、図4のフレームの側面図である。
図6図6は、図1のアセンブリの小葉アセンブリの分解図である。
図7A図7Aは、図6の小葉アセンブリの正面図である。
図7B図7Bは、図6の小葉アセンブリの背面図である。
図8図8は、図6の小葉アセンブリの斜視図である。
図9図9は、図1のアセンブリを展開するために用いられることができる送達システムを示す。
図10A図10Aは、患者の心臓の僧帽弁位置への図1のアセンブリの経心尖的な送達を示す。
図10B図10Bは、患者の心臓の僧帽弁位置における図1のアセンブリの部分的な展開を示す。
図11A図11Aは、人間の心臓の僧帽弁位置における開状態での図1のアセンブリを示す。
図11B図11Bは、人間の心臓の僧帽弁位置における閉状態での図1のアセンブリを示す。
【発明を実施するための形態】
【0005】
以下の詳細な説明は、本発明を実施するための現在考えられる好適な形態に関するものである。この説明は、限定的な意味で理解されるべきではないが、本発明の実施形態の一般原則を説明するために行われるにすぎないものである。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって規定されることが好ましい。
本発明は、完全に組み立てられた形態で図1~8に示された僧帽弁アセンブリ100を提供する。アセンブリ100は、自然僧帽弁輪に効果的に固定されることができる簡単な小葉弁支持構造を有するフレーム101(図4~5を参照)を有する。さらに、小葉アセンブリ104(図6~8を参照)は、弁小葉の迅速な開閉を提供し且つ大きい有効開口オリフィス面積を有する新型の小葉形態を提供する。装置100の構造全体は簡単であり、適切な僧帽弁機能を促進する効果がある。
図1~5に示すように、フレーム101は、患者の心臓の左心房内に位置するように構成されるボール状の固定部109を有する。二つのレッグ17,18は、固定部109の下流端から自然僧帽弁輪を介して左心室内に延びる。レッグ17,18及び固定部109は、1本の連続ワイヤから製造されることができ、薄壁の生体適合性の金属元素(例えば、ステンレス鋼、Co―Cr系合金、ニチノール(登録商標)、Ta及びTiなど)から製造されることができる。一例としては、ワイヤは、当分野において周知されたニチノール(登録商標)ワイヤから製造されることができ、0.2インチ~0.4インチの直径を有する。固定部109は、フレーム101内の開放セル103を画定する。各セル103は、セル103を取り囲む複数のストラット103によって画定されることができる。
固定部109は、アセンブリ100、特にフレーム101を左心房内に固定するように機能する。固定部109は、2つの環状列のセル103によって画定された略ボール状の形態を有し、第1列21のセル103が流入端にある頂点20を有し、第2列22のセル103が流出端にある頂点8を有する。各列のセル103は、ピークとバレイを規定するストラットの環状のジグザグ配列を有する。「ボール状」という用語は、自然左心房の形状に類似した略球形または楕円球形を意味することを図る。したがって、固定部109は、拡張形態または展開形態でやや球形のボール状の形態を有し、且つ、頂点20が流入端にある環状開口を画定し、頂部8が流出端にある環状開口を画定するよう形成される。さらに、セル103の形状及びサイズは、固定部109に亘って変わることができる。例えば、セル103は、ややダイヤモンド形であるように示され、且つ、列21のセル103は、通常、列22のセル103よりも大きいことができる。
レッグ17,18は、2つの対向するセル103から延びる。具体的には、レッグ17は、セル103の1つから延びる湾曲部10から始まり、直線部に沿って第2湾曲部11に移行し、次に、もう1つの直線部に沿ってチップまたはロッキングイア13に鉛直に延びる。同様に、レッグ18は、対向するセル103から延びる湾曲部9から始まり、直線部に沿って第2湾曲部12に移行し、次に、もう1つの直線部に沿ってチップまたはロッキングイア14に鉛直に延びる。レッグ17、18は、後述する小葉部1a、1bを支持且つ保持するように機能する。図1に示すように、小葉部1a、1bは、レッグ17、18に直接縫着されることができる。ロッキングイア13、14は、図9に示される送達システムのイアハブ2014内にあるものに合わせるように、例えば、リング状、T字状または正方状で設けられる。ロッキングイア13、14は、送達システム内にバルブアセンブリ100を固定するためのものである。
以下は、フレーム101の若干の例示的で非限定的な寸法である。例えば、図5を参照すると、固定部109の高さHは、15~40mmであることができる。固定部109の最も広い点における直径Dは、20~50mmであることができる。
また、レッグ17、18の長さは、そこに支持された小葉部1a、1bのに応じて変わることができる。例えば、図1~8に示される、小葉部1a、1bが2つ設けられる実施形態において、レッグ17、18の長さは、略10~30mmであることができる。小葉部1a、1bが4つ設けられる実施形態において、レッグ17、18の長さは、例えば、10~20mmであるように短くされることができる。これらの例示的な寸法は、普通の大人のために自然僧帽弁の位置で用いられるように構成されたアセンブリ100のために用いられることができる。
図6図8を参照すると、本発明は、小葉間の一層良い接合を提供する新型の小葉アセンブリを提供する。この小葉アセンブリ104は、2015年1月13日に出願され且つ全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願第11/595,433号に示され且つ説明されたものと同様であることができる。
小葉アセンブリ104は、2つの別々の小葉を提供する。各小葉は、上側のスカート部1a又は1bと下側の小葉洞部2aまたは2bとから構成される。すなわち、スカート部1aと1bは、一方の小葉を構成し、小葉洞部2aと2bは、他方の小葉を構成する。図6、7A及び7Bによく示されるように、スカート部1aと1bは同様であり、それぞれが大径の半楕円形のフランジ部6aまたは6bと、小径の本体部4aまたは4bとを有する。各本体部4aまたは4bは、交連折り畳みラインとして機能する対向する側縁26aを有し、側縁26aがこの交連折り畳みラインに沿って縫合されることにより、単一の小葉アセンブリ104が2つの別々の小葉から組み立てられる。各本体部4a、4bも、縫合縁29によって画定された中央U字状開口を有し、この​縫合縁29は、対応する小葉洞部2aまたは2bの湾曲した縁を受けるように構成される。各スカート部1a、1bは、自然弁輪の上部にある楕円形の部位を形成する。
各小葉洞部2a、2bは略半円形を有し、流出縁3aまたは3bと、縫合縁31によって画定された湾曲した縁とを備える。各小葉洞部2a、2bは、縫合縁31に沿って、対応する本体部4aまたは4bの縫合縁29に縫合される。
小葉材料は、心膜などの処理された動物組織、または、生体適合性ポリマー材料(例えば、PTFE、ダクロン、ウシ、ブタなど)からのものであることができる。小葉部1a、1b、2a及び2bには、性能を向上させ、血栓形成を防止し、内皮化を促進するように薬物膜または生物薬剤膜が設けられることができ、また、石灰化を防止するように表面層/表面膜が設けられることもできる。
本発明のアセンブリ100は、低プロファイルに圧縮され、送達システムに載置され、次に、非侵襲性の医療処置、例えば、経心尖的、経大腿的または経中隔的な処置によっての送達カテーテルの使用によって、目標位置に送達されることができる。アセンブリ100は、目標埋め込み部位に到達すると、送達システムから放されることができ、バルーンの膨張(バルーン拡張可能なワイヤフレーム101の場合)またはフレーム101に蓄えられた弾性エネルギー(フレーム101が自己拡張可能な材料から製造された装置の場合)によって、正常な(拡張の)プロファイルに拡張されることができる。
図9図11Bは、どのように経心尖的な送達を用いることによりアセンブリ100が患者の心臓の肺動脈幹に展開されることができるかを示す。図9を参照すると、送達システムは、外部シャフト2013と、外部シャフト2013の内腔を貫いて延びる内部コア2012とを有する送達カテーテルを備える。イアハブ2011は内部コア2012から延び、且つ、イアハブ2011は遠位チップ2015に接続される。イアハブ2011には、ロッキングイア13、14(図1~5)に合わせるイア2014がある。カプセル2010は、外部シャフト2013の遠位端に接続され、且つ、外部シャフト2013の遠位端から延びており、アセンブリ100を取り囲み、封入するように構成される。シャフトは、レッグ17、18からアセンブリ100の内腔を介して遠位チップ2015に延びる。装置100は、クリンピングされ、内部コア2012に載置され、次に、イア2014(図9)内にロッキングされたロッキングイア13、14(図1~5)によって、イアハブ2011にあるイア2014に圧縮される。ロッキングされたアセンブリ100及びイアハブ2011は、次に、カプセル2010によって覆われる。
図10Aを参照すると、アセンブリ100は、カプセル2010内に押し縮められた形態で示され、経心尖的な送達の技術を介して僧帽弁位置に送達される。図10Bにおいては、カプセル2010は、アセンブリ100を部分的に露出するように部分的に引き出されることにより、自己拡張式フレーム101は、左心房内に固定部109を展開する。図10Bに示すように、固定部109は、自然左心房の形状及び形態と一致するように形成されるため、フック、バーブまたは他の組織穿刺機構を使用する必要がなく、固定部109がアセンブリ100全体を多少固定された位置に保持するように固定部109を左心房内に着席させることが可能である。
カプセル2010が完全に引き出されると、図11A及び図11Bに示すように、レッグ17、18は、自然弁輪を貫いて延び、且つ、固定部109が左心房内に完全に位置する。小葉部1a、1bは、自然僧帽弁輪を貫いて延びる。図11Aは、開位置での小葉アセンブリ100を示し、図11Bは、閉位置での小葉アセンブリ100を示す。これらの図に示すように、アセンブリ100は、自然小葉が正常のように機能することを可能にし、且つ、小葉部1a、1bは、自然小葉の欠陥機能(例えば、僧帽弁逆流-僧帽弁漏れ)を補償するように機能する。
従って、アセンブリ100が展開され且つ自然僧帽弁に合わせると、固定部109のボール状の形態は、フック、バーブまたは他の類似の固定機構を使用することなく、アセンブリ100の大部分が左心房10内に保持され、且つ、小葉部1a、1bが僧帽弁輪内に、これらが押し込まれ且つ押しのけられる位置に確実に位置することを可能にする。小葉部1a、1bは、自然欠陥僧帽弁漏れを補償するように機能するため、漏れや逆流(即ち、左心室から左心房への血液逆流)を防止するための「シール」を形成するように一緒に機能する。
本発明のアセンブリ00は、若干の利点がある。第一、固定部109が左心房内に保持される様態は、フック、バーブまたは他の侵襲性の固定機構を使用することなく、効果的な固定を提供する。この固定は、アセンブリ100の上下移動を低減するため、有効である。第二、固定部109の形態は、アセンブリ100が異なるサイズや形状を有する左心房に適合することを可能にするため、各モデル又はサイズのアセンブリ100が一層広い範囲の患者のために用いられることを可能にすることにより、サイズや形状の問題を低減する。第三、このアセンブリ100は、弁輪を拡張したり大動脈弁機能に影響を及ぼしたりすることなく、患者の解剖学的構造の最小変化を引き起こす。左心室内の固定部109は、自然腱または弁を変えない簡単な構造を有し、血流動力に及ぼされる影響を最小にする。
上記の説明は、本発明の特定の実施形態を参照したが、本発明の要旨を逸脱することなく、多くの変更が可能であると理解されたい。添付の特許請求の範囲は、本発明の範囲及び要旨に含まれる変更を含むことを意図する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10A
図10B
図11A
図11B