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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-14
(45)【発行日】2023-07-25
(54)【発明の名称】チェーン付きコンベヤーベルト
(51)【国際特許分類】
   B65G 15/54 20060101AFI20230718BHJP
   B65G 17/12 20060101ALN20230718BHJP
【FI】
B65G15/54
B65G17/12 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021148019
(22)【出願日】2021-09-10
(65)【公開番号】P2023040840
(43)【公開日】2023-03-23
【審査請求日】2021-09-13
(73)【特許権者】
【識別番号】591254291
【氏名又は名称】関西金網株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101409
【弁理士】
【氏名又は名称】葛西 泰二
(74)【代理人】
【氏名又は名称】葛西 さやか
(72)【発明者】
【氏名】奥田 翔
(72)【発明者】
【氏名】丸尾 貴史
【審査官】寺川 ゆりか
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-031372(JP,A)
【文献】特開2013-49516(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 15/54
B65G 17/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スプロケット間に架け渡された一対のローラチェーンと、
前記一対のローラチェーンの間に架け渡される複数本の支軸体と、
前記支軸体を介して前記一対のローラチェーンの間に架け渡される搬送体とを備える、チェーン付きコンベヤーベルトであって、
前記搬送体は、前記一対のローラチェーンのリンク間隔に対応した所定のロッドピッチにて形成される複数本のラセン線条と前記ラセン線条と同数の力骨とを組み合わせ、前記ラセン線条の両端部と前記力骨の両端部との当接箇所の各々を固着して形成される、少なくとも1つの帯状の積載部と、
前記積載部の進行方向側の一方端部の前記力骨に連続して取り付けられ、前記所定のロッドピッチと異なるロッドピッチで形成され、両端部がループ部を有する第1のラセン線条と、前記積載部の進行方向側の他方端部の前記ラセン線条に通した連結部力骨に連続して取り付けられ、前記異なるロッドピッチで形成され、両端部が前記連結部力骨の両端部に固着される第2のラセン線条とを備える、少なくとも1つの連結部とを備え、
前記支軸体は、対向位置にあるローラ、ローラリンク及びピンリンクの各々とに挿通されると共に、前記ラセン線条の1つの内方であって前記ラセン線条に隣接する前記力骨の進行方向の中間位置に、前記ラセン線条の折り曲げ端部が絡まないように挿通され、前記積載部を支持して前記一対のローラチェーンに取り付けられる、少なくとも1本のステーピンと、
前記連結部の両端に対向するローラ、ローラリンク及びピンリンクの各々と、前記第1のラセン線条及び前記ループ部の内方と、前記第2のラセン線条の内方とに挿通され、前記第1のラセン線条の折り曲げ端部及び前記第2のラセン線条の折り曲げ端部が絡み、前記連結部を連結及び支持して前記一対のローラチェーンに脱着自在に取り付けられる、前記連結部の数に対応する本数の連結ステーピンとを備える、チェーン付きコンベヤーベルト。
【請求項2】
前記異なるロッドピッチは、前記所定のロッドピッチの0.5倍である、請求項1記載のチェーン付きコンベヤーベルト。
【請求項3】
前記異なるロッドピッチは、前記所定のロッドピッチの1.5倍である、請求項1記載のチェーン付きコンベヤーベルト。
【請求項4】
前記連結ステーピンの少なくとも一方の端部側には、段落としが形成されている、請求項1から請求項3のいずれかに記載のチェーン付きコンベヤーベルト。
【請求項5】
前記連結ステーピンは、前記一対のローラチェーンの外方にて前記連結ステーピンに脱着可能、且つ、前記連結ステーピンへの装着時において前記ローラチェーンに係止可能なピンを備える、請求項1から請求項4のいずれかに記載のチェーン付きコンベヤーベルト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はチェーン付きコンベヤーベルトに関し、特に資材の運搬に用いられるチェーン付きコンベヤーベルトに関するものである。
【背景技術】
【0002】
資材の運搬に用いられる搬送コンベヤとして、特許文献1に示すものが存在している。
【0003】
図11は、特許文献1に示す従来の搬送コンベヤの斜視図であり、図12は、図11で示した搬送コンベヤの部分拡大図であり、図13は、図11で示した搬送コンベヤのコンベヤチェーンの一部を示す斜視図であり、図14は、図13で示したコンベヤチェーンのアタッチメントの取付方法を示す斜視図である。
【0004】
まず、図11を参照して、搬送コンベヤ81は、野菜や肉などの洗浄、殺菌、加熱、冷却と言った処理を流れ作業で連続的に行うときの搬送ラインに用いられるものであって、電動源89によって回転駆動され、左右対称に二組設けられる駆動スプロケット82及び従動スプロケット83と、各組の駆動スプロケット82と従動スプロケット83間に平行に掛け渡されるコンベヤチェーン84と、金属の無端のネット86及び支軸87からなる積載部85等を組み合わせて構成されている。
【0005】
次に、図12図13及び図14の各々を参照して、コンベヤチェーン84は、チェーンリンク84aに軸受部90を設けたローラチェーンが用いられている。搬送路の内側に置かれるチェーンリンク84aには、リンクの下縁(コンベヤの往路で下になる側の縁)から内側に張り出して上に向けて屈曲・起立するアタッチメント84bがチェーンピッチPの整数倍のピッチで設けられている。例示の軸受部90は、そのアタッチメント84bに形成された軸受溝90aによって構成されている。
【0006】
積載部85は、搬送面がネット86によって構成される。ネット86は、網目の位置が3次元的に変位しており、その網目に支軸87が挿通され、その支軸の両端が、左右のコンベヤチェーンの軸受溝90aに落とし込まれて支軸がアタッチメント84bに保持されるようになっている。
【0007】
このような搬送コンベヤ81は、支軸87をアタッチメント84bから外すと搬送面を構成するネット86も外れる。これにより、コンベヤチェーン84を残したまま積載部85を取り除いて搬送面の裏側も支障なく洗浄することが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2013-49516号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1に示す上述のような従来の搬送コンベヤ81は、積載部85を構成するネット86が無端の環状形状であるため、洗浄の際にネット86の一部が重なったり、ネット86の網目の密度が不均一になったりして、洗いムラが生じる虞があった。尚、洗いムラを無くすためにネット86を帯状に開放して洗浄したいとの要望に対しては、ネット86の一部の破断、及び、ネット86の再設置にあたって破断部分の再溶接が必要であった。
【0010】
すなわち、特許文献1に示す従来の搬送コンベヤ81は積載部85の搬送面の裏側も洗浄できるとしつつも、搬送面の裏側を容易に、又、洗いムラ無く洗浄できるとまでは言い難いものであった。この点は例えば、常に清潔さを保つ必要があり、定期的洗浄が要求される食品の搬送用コンベヤにとっては好ましく無い。
【0011】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、搬送体の洗浄がより容易となるチェーン付きコンベヤーベルトを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するために、請求項1記載の発明は、スプロケット間に架け渡された一対のローラチェーンと、一対のローラチェーンの間に架け渡される複数本の支軸体と、支軸体を介して一対のローラチェーンの間に架け渡される搬送体とを備える、チェーン付きコンベヤーベルトであって、搬送体は、一対のローラチェーンのリンク間隔に対応した所定のロッドピッチにて形成される複数本のラセン線条とラセン線条と同数の力骨とを組み合わせ、ラセン線条の両端部と力骨の両端部との当接箇所の各々を固着して形成される、少なくとも1つの帯状の積載部と、積載部の進行方向側の一方端部の力骨に連続して取り付けられ、所定のロッドピッチと異なるロッドピッチで形成され、両端部がループ部を有する第1のラセン線条と、積載部の進行方向側の他方端部のラセン線条に通した連結部力骨に連続して取り付けられ、異なるロッドピッチで形成され、両端部が連結部力骨の両端部に固着される第2のラセン線条とを備える、少なくとも1つの連結部とを備え、支軸体は、対向位置にあるローラ、ローラリンク及びピンリンクの各々とに挿通されると共に、ラセン線条の1つの内方であってラセン線条に隣接する力骨の進行方向の中間位置に、ラセン線条の折り曲げ端部が絡まないように挿通され、積載部を支持して一対のローラチェーンに取り付けられる、少なくとも1本のステーピンと、連結部の両端に対向するローラ、ローラリンク及びピンリンクの各々と、第1のラセン線条及びループ部の内方と、第2のラセン線条の内方とに挿通され、第1のラセン線条の折り曲げ端部及び第2のラセン線条の折り曲げ端部が絡み、連結部を連結及び支持して一対のローラチェーンに脱着自在に取り付けられる、連結部の数に対応する本数の連結ステーピンとを備えるものである。
【0013】
このように構成すると、連結ステーピンの脱着により搬送体が展開又は再連結自在となる。又、積載部と連結部との違いが外観に現れる。
【0014】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の構成において、異なるロッドピッチは、所定のロッドピッチの0.5倍であるものである。
【0015】
このように構成すると、積載部のロッドピッチの調整が不要となる。又、積載部よりも連結部が密となる。
【0016】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明の構成において、異なるロッドピッチは、所定のロッドピッチの1.5倍であるものである。
【0017】
このように構成すると、積載部のロッドピッチの調整が不要となる。
【0018】
請求項4記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれかに記載の発明の構成において、連結ステーピンの少なくとも一方の端部側には、段落としが形成されているものである。
【0019】
このように構成すると、ローラチェーン及びループ部への挿通が容易となる。
【0020】
請求項5記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれかに記載の発明の構成において、連結ステーピンは、一対のローラチェーンの外方にて連結ステーピンに脱着可能、且つ、連結ステーピンへの装着時においてローラチェーンに係止可能なピンを備えるものである。
【0021】
このように構成すると、ピンにより連結ステーピンの抜けが防止される。
【発明の効果】
【0022】
以上説明したように、請求項1記載の発明は、連結ステーピンの脱着により搬送体が展開又は再連結自在となる。又、積載部と連結部との違いが外観に現れるので、搬送体の洗浄がより容易となる。
【0023】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の効果に加えて、積載部のロッドピッチの調整が不要となるので、搬送体の作成が容易となる。又、積載部よりも連結部が密となるので、連結部においても積載物が落下しにくい。
【0024】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明の効果に加えて、積載部のロッドピッチの調整が不要となるので、搬送体の作成が容易となる。又、網目の細かい搬送体においても連結部を形成することができる。
【0025】
請求項4記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれかに記載の発明の効果に加えて、ローラチェーン及びループ部への挿通が容易となるので、脱着しやすい連結ステーピンとなる。
【0026】
請求項5記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれかに記載の発明の効果に加えて、ピンにより連結ステーピンの抜けが防止されるので、チェーン付きコンベヤーベルトの動作がより安定する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】この発明の第1の実施の形態によるチェーン付きコンベヤーベルトの部分拡大平面図である。
図2図1で示したII-IIラインの断面模式図である。
図3図1で示したIII(a)-III(a)ライン及びIII(b)-III(b)ラインの端面図である。
図4図1で示したチェーン付きコンベヤーベルトの連結ステーピンを取り外した状態の部分拡大平面図である。
図5図1で示したチェーン付きコンベヤーベルトの分解状態の部分拡大平面図である。
図6】この発明の第2の実施の形態によるチェーン付きコンベヤーベルトの部分拡大平面図であって、第1の実施の形態の図1に対応する図面である。
図7図6で示したVII-VIIラインの断面模式図である。
図8図6で示したVIII(a)-VIII(a)ライン及びVIII(b)-VIII(b)ラインの端面図である。
図9】この発明の第3の実施の形態によるチェーン付きコンベヤーベルトの部分拡大平面図であって、第1の実施の形態の図1に対応する図面である。
図10図9で示したX-Xラインの断面模式図である。
図11】特許文献1に示す従来の搬送コンベヤの斜視図である。
図12図11で示した搬送コンベヤの部分拡大図である。
図13図11で示した搬送コンベヤのコンベヤチェーンの一部を示す斜視図である。
図14図13で示したコンベヤチェーンのアタッチメントの取付方法を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1は、この発明の第1の実施の形態によるチェーン付きコンベヤーベルトの部分拡大平面図であり、図2は、図1で示したII-IIラインの断面模式図であり、図3は、図1で示したIII(a)-III(a)ライン及びIII(b)-III(b)ラインの端面図である。
【0029】
これらの図を参照して、チェーン付きコンベヤーベルト1は、図示しないスプロケット間に架け渡された一対のローラチェーン2と、一対のローラチェーン2の間に架け渡される複数本の支軸体3と、支軸体3を介して一対のローラチェーン2の間に架け渡される搬送体4とを備える。尚、説明の便宜上、図1ではチェーン付きコンベヤーベルト1の部分のうち、一対のローラチェーン2の一方の一部周辺を拡大して図示している。図示しないローラチェーン2の他方側は、チェーン付きコンベヤーベルト1の構成においてローラチェーン2の一方側と対称である。ローラチェーン2及び搬送体4は紙面の上下方向において連続し、環状に形成されている。又、支軸体3の各々は所定間隔にて架け渡される。所定間隔については後述する。
【0030】
搬送体4は、帯状の積載部41と、積載部41の進行方向端部の各々に連続する連結部46とを備える。尚、搬送体4は、積載部41及び連結部46を一つずつ備える。
【0031】
積載部41は、ローラチェーン2のリンク間隔に対応した所定のロッドピッチにて形成される複数本のラセン線条42とラセン線条42と同数の波型の力骨43との各々を組み合わせ、ラセン線条42の両端部と力骨43の両端部との当接箇所の各々を溶接にて固着して形成されている。尚、図示の便宜上図2では、ラセン線条42と、詳細を後述する第1のラセン線条47及び第2のラセン線条49との各々をリング状に描画しているが、これらはいずれも螺旋形状の線条体である。
【0032】
尚、ローラチェーン2のリンク間隔及びラセン線条42のロッドピッチD(力骨43の山谷の中間位置同士の間隔)はいずれも、31.75mmに設定されている。又、ローラチェーン2のリンク数は188リンクに、積載部41と連結部46とを合わせた搬送体4の進行方向長さは5969mmに、それぞれ設定されている。
【0033】
連結部46は、積載部41の進行方向側の一方端部の力骨44に連続して取り付けられる第1のラセン線条47と、積載部41の進行方向側の他方端部のラセン線条42に通した連結部力骨45に連続して取り付けられ、両端部が連結部力骨45の両端部に固着される第2のラセン線条49とを備える。
【0034】
第1のラセン線条47及び第2のラセン線条49はいずれも所定のロッドピッチDの0.5倍で形成されている。第1のラセン線条47は、両端部にループ部48を有する。ループ部48は、第1のラセン線条47の端部を巻回して第1のラセン線条47の線条に溶接し、環状に形成されている。このように構成したことによる効果は後述する。又、第1のラセン線条47及び第2のラセン線条49のロッドピッチの詳細も後述する。
【0035】
支軸体3は、複数本のステーピン31と、1本の連結ステーピン35とを備える。
【0036】
ステーピン31は、略円柱形状であって、一対のローラチェーン2において対向位置にあるローラ21a、ローラリンク22a及びピンリンク23aの各々と、ラセン線条42の1つの内方であってラセン線条42に隣接する力骨43の各々の中間位置とに挿通され、積載部41を支持した状態で一対のローラチェーン2に取り付けられている。尚、ステーピン31の端部32側から、ローラ21a、ローラリンク22a及びピンリンク23aの各々に挿通している部分にかけては、ローラ21a等の内径よりも小さい直径4.85mmに設定されている。一方で、ラセン線条42に挿通している部分、すなわち一対のローラチェーン2間の部分は、ローラ21a等の内径よりも大きい直径6mmに設定されている。又、ステーピン31の端部32はローラチェーン2の各々の外方側に突出しており、端部32の各々に形成された軸方向に直交する貫通孔33のそれぞれに、貫通孔33よりも長い割ピン34が挿入されている。このようにして、ステーピン31とローラチェーン2とは、ローラチェーン2がステーピン31に対して脱着自在、且つ、抜け止め状態であると共に、ステーピン31がローラチェーン2の側に抜き取れないように取り付けられている。又、ステーピン31は、後述するように連結部46に配置される連結ステーピン35を基準に、4リンク毎に同様の構成で配置される。
【0037】
連結ステーピン35は、ステーピン31よりも小さい径の略円柱形状であって、連結部46の両端に対向するローラ21b、ローラリンク22b及びピンリンク23bの各々と、第1のラセン線条47と第2のラセン線条49とを繋ぐ力骨のように第1のラセン線条47及びループ部48の内方と、第2のラセン線条49の内方とに挿通され、連結部46を連結及び支持した状態で、一対のローラチェーン2に取り付けられている。尚、連結ステーピン35は、ローラ21b等の内径よりも小さい直径5mmに設定されている。又、第1のラセン線条47の端部はループ部48が形成されているため連結ステーピン35に固着されておらず、連結ステーピン35は第1のラセン線条47に対して摺動自在である。更に、連結ステーピン35の端部36もローラチェーン2の各々の外方側に突出しており、端部36の各々に形成された軸方向に直交する貫通孔37のそれぞれに、貫通孔37よりも長い割ピン38が挿入されている。すなわち連結ステーピン35は、一対のローラチェーン2の外方にて連結ステーピン35に脱着可能、且つ、連結ステーピン35への装着時においてローラチェーン2に係止可能な割ピン38を備えるものとなっている。このように構成すると、割ピン38によりローラチェーン2からの連結ステーピン35の抜けが防止されるので、チェーン付きコンベヤーベルト1の動作がより安定する。
【0038】
ここで、連結部46におけるロッドピッチは、連結ステーピン35の軸と一方端部の力骨44の山谷の中間位置との間隔D、及び、連結ステーピン35の軸と連結部力骨45の山谷の中間位置との間隔Dとするところ、間隔D及びDはいずれも15.875mmに設定されている。すなわち、ロッドピッチD及びDの各々は15.875mmであり、いずれも上述の所定のロッドピッチDの0.5倍に設定されている。
【0039】
このように構成すると、連結部46の幅、すなわち一方端部の力骨44の山谷の中間位置と連結部力骨45の山谷の中間位置との間隔が所定のロッドピッチDと一致するため積載部41のロッドピッチの調整が不要となるので、搬送体4の作成が容易となる。又、積載部41よりも連結部46が密となるので、連結部46においても積載物が落下しにくい。
【0040】
更に、積載部41と連結部46との違いが搬送体4の外観に現れる。このように構成したことによる効果は後述する。
【0041】
図4は、図1で示したチェーン付きコンベヤーベルトの連結ステーピンを取り外した状態の部分拡大平面図であり、図5は、図1で示したチェーン付きコンベヤーベルトの分解状態の部分拡大平面図である。
【0042】
まず、図1及び図4を参照して、図4ではチェーン付きコンベヤーベルト1から連結ステーピン35が取り外されている。
【0043】
連結ステーピン35の取り外しに当たってはまず、割ピン38を抜き取り、連結ステーピン35の抜け止め状態を解除する。
【0044】
次に、一対のローラチェーン2の外方側に連結ステーピン35を抜き取る。すると、連結ステーピン35により連結されていた連結部46の連結が解かれ、又、ローラ21b、ローラリンク22b及びピンリンク23bを境に一対のローラチェーン2の連結も解かれる。すなわち、無端の環状に形成されていた搬送体4が、第1のラセン線条47と第2のラセン線条49とを端部とする帯状に展開される。
【0045】
このように帯状に展開された搬送体4は、表裏に関係なく洗浄できるものとなる。
【0046】
尚、帯状に展開された搬送体4は、連結ステーピン35により第1のラセン線条47と第2のラセン線条49とを再連結することで容易に無端の環状に戻すことができる。又、上述した手順を遡れば、洗浄が済んだ搬送体4等を容易に図1に示した元の状態に戻すことができる。
【0047】
このように構成すると、連結ステーピン35の脱着により搬送体4が展開又は再連結自在となる。尚、上述したように積載部41と連結部46との違いが搬送体4の外観に現れているので、連結部46及び連結ステーピン35を判別することは容易である。よって、搬送体4の洗浄がより容易となる。
【0048】
尚、図1及び図5を参照して、チェーン付きコンベヤーベルト1を更に分解することも可能である。
【0049】
チェーン付きコンベヤーベルト1の分解に当たっては、支軸体3であるステーピン31及び連結ステーピン35の各々の割ピン34及び割ピン38を抜き取り、ステーピン31及び連結ステーピン35の抜け止め状態を解除する。
【0050】
次に、ステーピン31及び連結ステーピン35の各々から一対のローラチェーン2を外す。すると、一対のローラチェーン2の各々が搬送体4から分離すると共に、4リンク毎に分解される。このようにすると、一対のローラチェーン2の交換が全体でも部分でも容易となり、メンテナンスし易いチェーン付きコンベヤーベルト1となる。
【0051】
尚、更にステーピン31及び連結ステーピン35の各々を搬送体4から抜き取り、搬送体4から支軸体3の全てを取り除くと、搬送体4のみが帯状に展開されるので、搬送体4の洗浄が更に容易となる。又、上述した手順を遡れば、分解された搬送体4等も容易に図1に示した元の状態に戻すことができる。
【0052】
図6は、この発明の第2の実施の形態によるチェーン付きコンベヤーベルトの部分拡大平面図であって、第1の実施の形態の図1に対応する図面であり、図7は、図6で示したVII-VIIラインの断面模式図であり、図8は、図6で示したVIII(a)-VIII(a)ライン及びVIII(b)-VIII(b)ラインの端面図である。
【0053】
これらの図を参照して、チェーン付きコンベヤーベルト51は、第1の実施の形態によるチェーン付きコンベヤーベルト1における連結ステーピン35を、連結ステーピン55に置き換えたものよりなる。尚、他の構成要素は第1の実施の形態によるチェーン付きコンベヤーベルト1と同様であるため、ここでの説明は繰り返さない。又、図7における描画方法は図2と同様である。
【0054】
連結ステーピン55は、一方端部56側から少なくともループ部48の挿通箇所までの範囲の各々に段落とし59が形成されたものである。ここで段落とし59は、連結ステーピン55の主軸部57の直径8mmよりも、軸径を細くした直径4.85mmの略円柱形状に形成されている。すなわち段落とし59は、連結ステーピン55の軸方向に投影してなる投影部の径が、主軸部57の径よりも小さくなるように形成されている。
【0055】
このように構成すると、ローラチェーン2及びループ部48への挿通が容易となるので、脱着しやすい連結ステーピン55となる。又、支軸体53(ステーピン31と連結ステーピン55)の中から連結ステーピン55を判別し易い。
【0056】
図9は、この発明の第3の実施の形態によるチェーン付きコンベヤーベルトの部分拡大平面図であって、第1の実施の形態の図1に対応する図面であり、図10は、図9で示したX-Xラインの断面模式図である。
【0057】
これらの図を参照して、チェーン付きコンベヤーベルト61は、第1の実施の形態によるチェーン付きコンベヤーベルト1におけるローラチェーン2をローラチェーン62に、搬送体4を搬送体64に、それぞれ置き換えたものよりなる。尚、他の構成要素は第1の実施の形態によるチェーン付きコンベヤーベルト1と同様であるため、ここでの説明は繰り返さない。又、図10における描画方法は図2と同様である。
【0058】
ローラチェーン62は、リンク間隔が38.1mmに、リンク数が360リンクに設定されているものである。
【0059】
搬送体64は、積載部71と連結部76とを備える。
【0060】
積載部71は、所定のロッドピッチdにて形成される複数本のラセン線条72と同数の波型の力骨73とを組み合わせ溶接して形成されたものであり、ラセン線条72の所定のロッドピッチd(力骨73の山谷の中間位置同士の間隔)は19.05mmに設定されている。尚、ラセン線条72のロッドピッチdはローラチェーン62のリンク間隔の0.5倍であってローラチェーン62のリンク間隔に対応したものとなっている。積載部71と連結部76とを合わせた搬送体64の進行方向長さは13716mmに設定されている。
【0061】
連結部76は、積載部71の進行方向側の一方端部の力骨74に連続して取り付けられる、両端部にループ部78を有する第1のラセン線条77と、積載部71の進行方向側の他方端部のラセン線条72に通した連結部力骨75に連続して取り付けられ、両端部が連結部力骨75の両端部に固着される第2のラセン線条79とを備える。第1のラセン線条77及び第2のラセン線条79は、連結ステーピン35により連結されている。
【0062】
連結部76におけるロッドピッチは、連結ステーピン35の軸と一方端部の力骨74の山谷の中間位置との間隔d、及び、連結ステーピン35の軸と連結部力骨75の山谷の中間位置との間隔dとするところ、これらの間隔はいずれも28.575mmに設定されている。すなわち、第1のラセン線条77及び第2のラセン線条79はいずれも所定のロッドピッチdの1.5倍で形成されている。
【0063】
このように構成すると、連結部76の幅が所定のロッドピッチdの3倍、すなわち整数倍に相当するため積載部71のロッドピッチの調整が不要となるので、搬送体64の作成が容易となる。又、網目の細かい搬送体64においても連結部76を形成することができる。
【0064】
尚、上記の各実施の形態では、ステーピン及び連結ステーピンは割ピンにより抜け止め状態にされていたが、割ピン以外のピンや、ピン以外の抜け止め手段によって抜け止め状態にされてもよい。
【0065】
又、上記の各実施の形態では、ステーピンはローラチェーンから脱着自在であったが、ローラチェーンに固着されていてもよい。この場合、ローラチェーンと搬送体とが一体化した状態で帯状に展開することができる。
【0066】
更に、上記の各実施の形態では、ステーピンの各々は両端部が抜け止め状態にされていたが、いずれか一方の端部側の全てを抜け止め状態にして、他方の端部側の全てをローラチェーンに固着してもよい。
【0067】
更に、上記の各実施の形態では、ステーピンを複数本備えていたが、少なくとも1本備えていればよい。
【0068】
更に、上記の各実施の形態では、搬送体は積載部、連結部及び連結ステーピンを一つずつ備えるものであったが、複数ずつ備えた積載部及び連結部の各々を、連結部の数に対応する本数の連結ステーピンで繋ぎ合わせるものであってもよい。
【0069】
更に、上記の各実施の形態では、ステーピン及び連結ステーピンは略円柱形状であったが、棒形状であればよい。
【0070】
更に、上記の第1の実施の形態及び第2の実施の形態では、第1のラセン線条及び第2のラセン線条のロッドピッチは所定のロッドピッチの0.5倍に、上記の第3の実施の形態では、第1のラセン線条及び第2のラセン線条のロッドピッチは所定のロッドピッチの1.5倍に、それぞれ形成されていたが、所定のロッドピッチと異なるロッドピッチで形成されていればよい。
【0071】
更に、上記の各実施の形態では、ループ部は第1のラセン線条の端部を溶接して形成されていたが、端部を何重かに巻回してピッグテール型の形状(豚のしっぽ状)にしたもので形成してもよい。
【0072】
更に、上記の第2の実施の形態では、連結ステーピンの一方端部側に段落としが形成されていたが、両端部側の各々に段落としが形成されていてもよく、又、無くてもよい。
【0073】
更に、上記の各実施の形態では、ラセン線条、力骨、ローラチェーンの各々は所定寸法及び所定形状にて形成されていたが、他の寸法及び形状にて形成されてもよい。
【符号の説明】
【0074】
1…チェーン付きコンベヤーベルト
2…ローラチェーン
3…支軸体
4…搬送体
21…ローラ
22…ローラリンク
23…ピンリンク
31…ステーピン
35…連結ステーピン
36…端部
37…貫通孔
38…割ピン
41…積載部
42…ラセン線条
43…力骨
44…一方端部の力骨
45…連結部力骨
46…連結部
47…第1のラセン線条
48…ループ部
49…第2のラセン線条
51…チェーン付きコンベヤーベルト
53…支軸体
55…連結ステーピン
56…一方端部
59…段落とし
61…チェーン付きコンベヤーベルト
62…ローラチェーン
64…搬送体
71…積載部
72…ラセン線条
73…力骨
74…一方端部の力骨
75…連結部力骨
76…連結部
77…第1のラセン線条
78…ループ部
79…第2のラセン線条
尚、各図中同一符号は同一又は相当部分を示す。
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