(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-14
(45)【発行日】2023-07-25
(54)【発明の名称】サブサンプリング/円形測距光コヒーレンストモグラフィーのためのアクティブ直交復調
(51)【国際特許分類】
G01N 21/17 20060101AFI20230718BHJP
【FI】
G01N21/17 630
(21)【出願番号】P 2021505427
(86)(22)【出願日】2019-07-30
(86)【国際出願番号】 US2019044111
(87)【国際公開番号】W WO2020028346
(87)【国際公開日】2020-02-06
【審査請求日】2022-06-07
(32)【優先日】2019-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】592017633
【氏名又は名称】ザ ジェネラル ホスピタル コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】ヴァコック ベンジャミン ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】リポック ノーマン
【審査官】古川 直樹
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/139760(WO,A1)
【文献】特開平07-077425(JP,A)
【文献】特開2006-201087(JP,A)
【文献】Tapio E. J. FABRITIUS et al.,“Complex Conjugate Resolved Retinal Imaging by One-micrometer Spectral Domain Optical Coherence Tomography Using an Electro-optical Phase Modulator”,Journal of the Optical Society of Korea,2011年06月,Vol. 15, No. 2,pp.111-117,DOI: 10.3807/JOSK.2011.15.2.111
【文献】Reza KHAZAEINEZHAD et al.,“16MHz wavelength-swept and wavelength-stepped laser architectures based on stretched-pulse active mode locking with a single continuously chirped fiber Bragg grating”,Optics Letters,2017年05月15日,Vol. 42, No. 10,p.2046-2049,DOI: 10.1364/OL.42.002046
【文献】Meena SIDDIQUI et al.,“Compensation of spectral and RF errors in swept-source OCT for high extinction complex demodulation”,Optics Express,2015年02月23日,Vol. 23, No. 5,p.5508-5520,DOI: 10.1364/OE.23.005508
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00 - G01N 21/01
G01N 21/17 - G01N 21/61
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光干渉計システムのサンプルアーム内のサンプルに向けられるサンプル部分と、前記光干渉計システムのリファレンスアームに向けられるリファレンス部分と、を有する電磁放射線源を用いて、第1の期間及び第2の期間を含む期間にわたって、サンプルを走査する工程と、
位相変調器を用いて、前記電磁放射線源の前記リファレンス部分及び前記サンプル部分のうちの少なくとも1つに、前記第1の期間中に与えられる第1の位相シフトと、前記第2の期間中に与えられる第2の位相シフトであって前記第1の位相シフトとの差が90度である第2の位相シフトと、を含む位相シフトを与える工程と、
前記第1の期間中の第1の後方散乱電磁放射線と、前記第1の位相シフトにさらされた前記リファレンス部分及び前記サンプル部分のうちの少なくとも1つと、の間の第1の干渉に基づき、同相データを取得する工程と、
前記第2の期間中の第2の後方散乱電磁放射線と、前記第2の位相シフトにさらされた前記リファレンス部分及び前記サンプル部分のうちの少なくとも1つと、の間の第2の干渉に基づき、直交データを取得する工程と、
を有する方法であって、
前記同相データを取得する工程が、前記第1の位相シフトに関連する同相フレームを取得する工程を有し、
前記直交データを取得する工程が、前記第2の位相シフトに関連する直交フレームを取得する工程を有し、
前記方法が、
前記同相フレームと前記直交フレームの間の位相差に基づいて位相差フレームを生成する工程と、
前記位相差フレームに基づいて補正係数を決定する工程と、
前記同相フレームと前記直交フレームとに前記補正係数を適用する工程と、
補正された前記同相フレームと補正された前記直交フレームとに基づき、複素干渉フレームを決定する工程と、をさらに有する、方法。
【請求項2】
前記第1の位相シフトは前記第1の期間中に0度であり、前記第2の位相シフトは前記第2の期間中に90度である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記位相シフトを与える工程が、前記電磁放射線源の前記リファレンス部分に前記位相シフトを与える工程をさらに有し、
前記同相データを取得する工程が、前記第1の期間中の前記第1の後方散乱電磁放射線と、前記第1の位相シフトにさらされた前記リファレンス部分と、の間の前記第1の干渉に基づき、前記同相データを取得する工程をさらに有し、
前記直交データを取得する工程が、前記第2の期間中の前記第2の後方散乱電磁放射線と、前記第2の位相シフトにさらされた前記リファレンス部分と、の間の前記第2の干渉に基づき、前記直交データを取得する工程をさらに有し、
前記複素干渉
フレームを決定する工程が、前記同相データ及び前記直交データに基づき前記複素干渉
フレームを決定する工程をさらに有する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記電磁放射線源が、複数の電磁放射パルスを放出するよう構成され、
前記複数の電磁放射パルスは、
前記第1の期間中に放出される前記複数の電磁放射パルスの第1のサブセットを含む第1のAラインと、
前記第2の期間中に放出される前記複数の電磁放射パルスの第2のサブセットを含む第2のAラインと、を含み、
前記サンプルを走査する工程が、前記第1の期間中に前記第1のAラインを用いて、そして前記第2の期間中に前記第2のAラインを用いて、前記サンプルを走査する工程を、さらに有する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記複数の電磁放射パルスの前記第1のサブセットは、特定の波数シーケンスに対応し、
前記複数の電磁放射パルスの前記第2のサブセットは、前記特定の波数シーケンスに対応する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記特定の波数シーケンスのなかの第1の波数は、前記特定の波数シーケンスのなかの第2の波数とは異なる、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第1のAラインで、前記サンプルにおける第1の位置にて走査が行われ、
前記第2のAラインで、前記サンプルにおける前記第1の位置とは異なる第2の位置にて走査が行われる、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記電磁放射線源は、第3の期間中に放出される前記複数の電磁放射パルスの第3のサブセットを含む第3のAラインを放射するよう構成され、
前記第3のサブセットは、前記特定の波数シーケンスに対応し、
前記サンプルを走査する工程が、前記第3の期間中に前記第3のAラインを用いて前記サンプルを走査する工程をさらに有し、
前記位相シフトを与える工程が、前記第3の期間中に前記電磁放射線源の前記リファレンス部分に0度の位相シフトを与える工程をさらに有し、
前記同相データは第1の同相データを含み、
前記直交データは第2の直交データを含み、
前記同相データを取得する工程が、前記第3の期間中の第3の後方散乱電磁放射線と、前記0度の位相シフトが与えられた前記リファレンス部分と、の間の第3の干渉に基づき、第3の同相データを取得する工程をさらに有し、
前記複素干渉
フレームを決定する工程が、
前記第1の同相データと前記第3の同相データの間の補間に基づき、第2の同相データを決定する工程と、
前記第2の同相データ及び前記第2の直交データに基づき、前記複素干渉
フレームを決定する工程と、をさらに有する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記電磁放射線源は、ビーム径を有するビームを放出するよう構成されており、
前記第1の位置と前記第2の位置の間の距離は、前記ビーム径の4分の1以下である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記電磁放射線源は複数の電磁放射パルスを放出するよう構成されており、
前記複数の電磁放射パルスは、各々、前記第1の期間及び前記第2の期間に対応する2つの期間に分けられる、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記複数の電磁放射パルスと前記複数の電磁放射パルスの遅延したコピーとを組み合わせることに基づき、変更された電磁放射線源を提供する工程をさらに有し、
前記サンプルを走査する工程が、前記変更された電磁放射線源を用いて前記サンプルを走査する工程をさらに有し、
前記変更された電磁放射線源は、各々が前記第1の期間中に生じる前記複数の電磁放射パルスを、前記第2の期間中に生じる前記複数の遅延したパルスのそれぞれと交互となるように放出する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記変更された電磁放射線源を提供する工程が、前記複数の電磁放射パルスと前記複数の電磁放射パルスの前記遅延したコピーとを組み合わせることに基づき、前記変更された電磁放射線源を提供する工程をさらに有し、
前記複数の電磁放射パルスの前記遅延したコピーは、前記複数の電磁放射パルスのうちの1つの時間よりも短い時間だけ遅延している、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記補正係数を決定する工程が、
前記位相差フレームに基づき平均位相差を決定する工程と、
前記平均位相差と90度の位相シフトとの間の差に基づいて、前記補正係数を決定する工程と、をさらに有する、請求項
1に記載の方法。
【請求項14】
前記平均位相差を決定する工程が、
前記位相差フレームにおける位相差のヒストグラムを決定する工程と、
前記位相差のヒストグラムに基づき、前記平均位相差を特定する工程と、をさらに有する、請求項
13に記載の方法。
【請求項15】
前記電磁放射線源は、光サブサンプリング波長ステップ源(OSWSS)を備える、請求項1~
14の何れか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記電磁放射線源は、チャープファイバブラッググレーティングストレッチパルスモードロック(CFBG-SPML)レーザを備える、請求項1~
14の何れか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記CFBG-SPMLレーザは、1.3μmのイメージングバンドを備える、請求項
16に記載の方法。
【請求項18】
前記位相変調器は、ニオブ酸リチウム位相変調器を備える、請求項1~
14の何れか一項に記載の方法。
【請求項19】
サンプルアーム及びリファレンスアームを備える光干渉計システムと、
前記光干渉計システムの前記リファレンスアーム及び前記サンプルアームのうちの少なくとも1つと関連付けられた少なくとも1つの位相変調器と、
前記光干渉計システムに接続された電磁放射線源と、
前記位相変調器と前記電磁放射線源とに接続されたマイクロプロセッサと、を備える装置であって、
前記電磁放射線源は、第1の期間及び第2の期間を含む期間にわたってサンプルを走査するよう構成され、
前記電磁放射線源のサンプル部分は、前記光干渉計システムのサンプルアーム内のサンプルに向けられ、
前記電磁放射線源のリファレンス部分は、前記光干渉計システムのリファレンスアームに向けられ、
前記少なくとも1つの位相変調器によって、前記第1の期間中に与えられる第1の位相シフトと、前記第2の期間中に与えられる第2の位相シフトであって前記第1の位相シフトとの差が90度である第2の位相シフトと、を含む位相シフトを、前記電磁放射線源の前記リファレンス部分及び前記サンプル部分のうちの少なくとも1つに与えるよう構成され、
前記マイクロプロセッサは、
前記第1の期間中の第1の後方散乱電磁放射線と、前記第1の位相シフトにさらされた前記リファレンス部分及び前記サンプル部分のうちの少なくとも1つと、の間の第1の干渉に基づき、同相データを取得し、
前記第2の期間中の第2の後方散乱電磁放射線と、前記第2の位相シフトにさらされた前記リファレンス部分及び前記サンプル部分のうちの少なくとも1つと、の間の第2の干渉に基づき、直交データを取得し、
前記マイクロプロセッサは、前記同相データを取得する際に、前記第1の位相シフトに関連する同相フレームを取得するよう構成され、
前記マイクロプロセッサは、前記直交データを取得する際に、前記第2の位相シフトに関連する直交フレームを取得するよう構成され、
前記マイクロプロセッサは、前記同相フレームと前記直交フレームの間の位相差に基づいて位相差フレームを生成し、
前記位相差フレームに基づいて補正係数を決定し、
前記同相フレームと前記直交フレームとに前記補正係数を適用し、
補正された前記同相フレームと補正された前記直交フレームとに基づき、複素干渉フレームを決定するよう、構成されている、装置。
【請求項20】
前記第1の位相シフトは前記第1の期間中に0度であり、前記第2の位相シフトは前記第2の期間中に90度である、請求項
19に記載の装置。
【請求項21】
前記位相シフトは、前記少なくとも1つの位相変調器によって、前記電磁放射線源の前記リファレンス部分に与えられ、
前記マイクロプロセッサは、前記同相データを取得する際に、前記第1の期間中の前記第1の後方散乱電磁放射線と、前記第1の位相シフトにさらされた前記リファレンス部分と、の間の前記第1の干渉に基づき、前記同相データを取得するよう構成され、
前記マイクロプロセッサは、前記直交データを取得する際に、前記第2の期間中の前記第2の後方散乱電磁放射線と、前記第2の位相シフトにさらされた前記リファレンス部分と、の間の前記第2の干渉に基づき、前記直交データを取得するよう構成され、
前記マイクロプロセッサは、前記複素干渉
フレームを決定する際に、前記同相データ及び前記直交データに基づき前記複素干渉
フレームを決定するよう構成されている、請求項
20に記載の装置。
【請求項22】
前記電磁放射線源は、複数の電磁放射パルスを放出するよう構成され、
前記複数の電磁放射パルスは、
前記第1の期間中に放出される前記複数の電磁放射パルスの第1のサブセットを含む第1のAラインと、
前記第2の期間中に放出される前記複数の電磁放射パルスの第2のサブセットを含む第2のAラインと、を含み、
前記電磁放射線源は、前記第1の期間中に前記第1のAラインを用いて、そして前記第2の期間中に前記第2のAラインを用いて、前記サンプルを走査するよう構成されている、請求項
19に記載の装置。
【請求項23】
前記複数の電磁放射パルスの前記第1のサブセットは、特定の波数シーケンスに対応し、
前記複数の電磁放射パルスの前記第2のサブセットは、前記特定の波数シーケンスに対応する、請求項
22に記載の装置。
【請求項24】
前記特定の波数シーケンスのなかの第1の波数は、前記特定の波数シーケンスのなかの第2の波数とは異なる、請求項
23に記載の装置。
【請求項25】
前記第1のAラインで、前記サンプルにおける第1の位置にて走査が行われ、
前記第2のAラインで、前記サンプルにおける前記第1の位置とは異なる第2の位置にて走査が行われる、請求項
24に記載の装置。
【請求項26】
前記電磁放射線源は、第3の期間中に放出される前記複数の電磁放射パルスの第3のサブセットを含む第3のAラインを放射するよう構成され、
前記第3のサブセットは、前記特定の波数シーケンスに対応し、
前記電磁放射線源は、前記第3の期間中に前記第3のAラインを用いて前記サンプルを走査するよう構成され、
前記位相変調器は、前記第3の期間中に前記電磁放射線源の前記リファレンス部分に0度の位相シフトを与えるよう構成され、
前記同相データは第1の同相データを含み、
前記直交データは第2の直交データを含み、
前記マイクロプロセッサは、前記同相データを取得する際に、前記第3の期間中の第3の後方散乱電磁放射線と、前記0度の位相シフトが与えられた前記リファレンス部分と、の間の第3の干渉に基づき、第3の同相データを取得するよう構成され、
前記マイクロプロセッサは、前記複素干渉
フレームを決定する際に、
前記第1の同相データと前記第3の同相データの間の補間に基づき、第2の同相データを決定し、
前記第2の同相データ及び前記第2の直交データに基づき、前記複素干渉
フレームを決定するよう構成されている、請求項
25に記載の装置。
【請求項27】
前記電磁放射線源は、ビーム径を有するビームを放出するよう構成されており、
前記第1の位置と前記第2の位置の間の距離は、前記ビーム径の4分の1以下である、請求項
26に記載の装置。
【請求項28】
前記電磁放射線源は、複数の電磁放射パルスを放出するよう構成されており、
前記複数の電磁放射パルスは、各々、前記第1の期間及び前記第2の期間に対応する2つの期間に分けられる、請求項
19に記載の装置。
【請求項29】
前記マイクロプロセッサは、前記複数の電磁放射パルスと前記複数の電磁放射パルスの遅延したコピーとを組み合わせることに基づき、変更された電磁放射線源を提供するよう構成され、
前記電磁放射線源は、前記変更された電磁放射線源を用いて前記サンプルを走査するよう構成され、
前記変更された電磁放射線源は、各々が前記第1の期間中に生じる前記複数の電磁放射パルスを、前記第2の期間中に生じる前記複数の遅延したパルスのそれぞれと交互となるように放出するよう構成されている、請求項
28に記載の装置。
【請求項30】
前記マイクロプロセッサは、前記変更された電磁放射線源を提供する際に、前記複数の電磁放射パルスと前記複数の電磁放射パルスの前記遅延したコピーとを組み合わせることに基づき、前記変更された電磁放射線源を提供するよう構成され、
前記複数の電磁放射パルスの前記遅延したコピーは、前記複数の電磁放射パルスのうちの1つの時間よりも短い時間だけ遅延している、請求項
29に記載の装置。
【請求項31】
前記マイクロプロセッサは、前記補正係数を決定する際に、
前記位相差フレームに基づき平均位相差を決定し、
前記平均位相差と90度の位相シフトとの間の差に基づいて、前記補正係数を決定するよう構成されている、請求項
19に記載の装置。
【請求項32】
前記マイクロプロセッサは、前記平均位相差を決定する際に、
前記位相差フレームにおける位相差のヒストグラムを決定し、
前記位相差のヒストグラムに基づき、前記平均位相差を特定するよう構成されている、請求項
31に記載の装置。
【請求項33】
前記電磁放射線源は、光サブサンプリング波長ステップ源(OSWSS)を備える、請求項
19~32の何れか一項に記載の装置。
【請求項34】
前記電磁放射線源は、チャープファイバブラッググレーティングストレッチパルスモードロック(CFBG-SPML)レーザを備える、請求項
19~32の何れか一項に記載の装置。
【請求項35】
前記CFBG-SPMLレーザは、1.3μmのイメージングバンドを備える、請求項
34に記載の装置。
【請求項36】
前記少なくとも1つの位相変調器は、ニオブ酸リチウム位相変調器を備える、請求項
19~32の何れか一項に記載の装置。
【請求項37】
光干渉計システムのサンプルアーム内のサンプルに向けられるサンプル部分と、前記光干渉計システムのリファレンスアームに向けられるリファレンス部分と、を有する電磁放射線源を用いて、第1の期間及び第2の期間を含む期間にわたって、サンプルを走査する工程と、
位相変調器を用いて、前記電磁放射線源の前記リファレンス部分及び前記サンプル部分のうちの少なくとも1つに、前記第1の期間中に与えられる第1の位相シフトと、前記第2の期間中に与えられる第2の位相シフトであって前記第1の位相シフトとの差が90度である第2の位相シフトと、を含む位相シフトを与える工程と、
前記第1の期間中の第1の後方散乱電磁放射線と、前記第1の位相シフトにさらされた前記リファレンス部分及び前記サンプル部分のうちの少なくとも1つと、の間の第1の干渉に基づき、同相フレームデータを取得する工程と、
前記第2の期間中の第2の後方散乱電磁放射線と、前記第2の位相シフトにさらされた前記リファレンス部分及び前記サンプル部分のうちの少なくとも1つと、の間の第2の干渉に基づき、直交フレームデータを取得する工程と、
前記同相フレームデータと前記直交フレームデータの間の位相差に基づいて位相差フレームを生成する工程と、
前記位相差フレームに基づいて補正係数を決定する工程と、
前記同相フレームデータと前記直交フレームデータとに前記補正係数を適用する工程と、
補正された前記同相フレームデータと補正された前記直交フレームデータとに基づき、複素干渉フレームを決定する工程と、を有する、方法。
【請求項38】
前記補正係数を決定する工程が、
前記位相差フレームに基づき平均位相差を決定する工程と、
前記平均位相差と90度の位相シフトとの間の差に基づいて、前記補正係数を決定する工程と、をさらに有する、請求項
37に記載の方法。
【請求項39】
前記平均位相差を決定する工程が、
前記位相差フレームにおける位相差のヒストグラムを決定する工程と、
前記位相差のヒストグラムに基づき、前記平均位相差を特定する工程と、をさらに有する、請求項
38に記載の方法。
【請求項40】
前記電磁放射線源は、チャープファイバブラッググレーティングストレッチパルスモードロック(CFBG-SPML)レーザを備える、請求項
37~39の何れか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記CFBG-SPMLレーザは、1.3μmのイメージングバンドを備える、請求項
40に記載の方法。
【請求項42】
前記位相変調器は、ニオブ酸リチウム位相変調器を備える、請求項
41に記載の方法。
【請求項43】
サンプルアーム及びリファレンスアームを備える光干渉計システムと、
前記光干渉計システムの前記リファレンスアーム及び前記サンプルアームのうちの少なくとも1つと関連付けられた少なくとも1つの位相変調器と、
前記光干渉計システムに接続された電磁放射線源と、
前記位相変調器と前記電磁放射線源とに接続されたマイクロプロセッサと、を備える装置であって、
前記電磁放射線源は、第1の期間及び第2の期間を含む期間にわたってサンプルを走査するよう構成され、
前記電磁放射線源のサンプル部分は、前記光干渉計システムのサンプルアーム内のサンプルに向けられ、
前記電磁放射線源のリファレンス部分は、前記光干渉計システムのリファレンスアームに向けられ、
前記少なくとも1つの位相変調器によって、前記第1の期間中に与えられる第1の位相シフトと、前記第2の期間中に与えられる第2の位相シフトであって前記第1の位相シフトとの差が90度である第2の位相シフトと、を含む位相シフトを、前記電磁放射線源の前記リファレンス部分及び前記サンプル部分のうちの少なくとも1つに与えるよう構成され、
前記マイクロプロセッサは、
前記第1の期間中の第1の後方散乱電磁放射線と、前記第1の位相シフトにさらされた前記リファレンス部分及び前記サンプル部分のうちの少なくとも1つと、の間の第1の干渉に基づき、同相フレームデータを取得し、
前記第2の期間中の第2の後方散乱電磁放射線と、前記第2の位相シフトにさらされた前記リファレンス部分及び前記サンプル部分のうちの少なくとも1つと、の間の第2の干渉に基づき、直交フレームデータを取得し、
前記同相フレームデータと前記直交フレームデータの間の位相差に基づいて位相差フレームを生成し、
前記位相差フレームに基づいて補正係数を決定し、
前記同相フレームデータと前記直交フレームデータとに前記補正係数を適用し、
補正された前記同相フレームデータと補正された前記直交フレームデータとに基づき、複素干渉フレームを決定するよう構成されている、装置。
【請求項44】
前記マイクロプロセッサは、補正係数を決定する際に、
前記位相差フレームに基づき平均位相差を決定し、
前記平均位相差と90度の位相シフトとの間の差に基づいて、前記補正係数を決定するよう構成されている、請求項
43に記載の装置。
【請求項45】
前記マイクロプロセッサは、前記平均位相差を決定する際に、
前記位相差フレームにおける位相差のヒストグラムを決定し、
前記位相差のヒストグラムに基づき、前記平均位相差を特定するよう構成されている、請求項
44に記載の装置。
【請求項46】
前記電磁放射線源は、チャープファイバブラッググレーティングストレッチパルスモードロック(CFBG-SPML)レーザを備える、請求項
43~45の何れか一項に記載の装置。
【請求項47】
前記CFBG-SPMLレーザは、1.3μmのイメージングバンドを備える、請求項
46に記載の装置。
【請求項48】
前記少なくとも1つの位相変調器は、ニオブ酸リチウム位相変調器を備える、請求項
47に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<関連出願の相互参照>
本出願は、2018年7月30日に出願された米国仮出願第62/711,728号及び2019年1月31日に出願された米国仮出願第62/799,582号に基づくものであり、その利益を主張するとともにその優先権を主張し、上記の各仮出願の全内容は引用によりあらゆる目的のために盛り込まれているものとする。
【0002】
<連邦政府の支援による研究に関する言明>
本発明は、米国国立衛生研究所(NIH)により付与されたP41EB015903の下で政府の支援を受けてなされた。米国政府は本発明において一定の権利を有する。
【背景技術】
【0003】
周波数領域での取得により、光コヒーレンストモグラフィー技術の感度及びイメージング速度は数桁向上したが、イメージング距離(imaging range)、光バンド幅又はその両方を制限する取得バンド幅に制約が課される。コヒーレント円形測距(circular ranging)(CR)により、高速の、そして長距離かつ軸方向高解像度でのイメージングを同時に行うことができる。光周波数コムを使用することにより、干渉信号の深度空間が折りたたまれ、はるかに狭いRFバンド幅でイメージング距離を長くすることが可能になる。CRでは、フーリエ領域手法の高いイメージング速度と感度が、時間領域OCTで知られている長いイメージング距離と組み合わされる。残念ながら、周波数コムを使用するとRFエラーが発生し、これにより周波数コム自由スペクトル領域(free spectral range)(FSR)の主要測定範囲の倍数でイメージングする際にアーティファクトが発生する。全深度範囲にアクセスするには、解析(別称:複素)干渉信号を取得するための効率的で、高速かつ安定した方法を実行することが有益である。CRに関するある報告によれば、これはパッシブ偏光ベースの光直交復調によって達成されている。この方法ではアーティファクトが50dB以上減少したものの、比較的複雑な光学回路が使用されており、頻繁な再キャリブレーションルーチンと組み合わされたときに最高のパフォーマンスが得られる。復調を実行するためのよりロバストな方法によって、これらのCRシステムの構築及び動作を簡素化できる。
【発明の概要】
【0004】
したがって、種々の実施形態において、本発明はアクティブ位相変調方法を開示し、この方法は、位相変調器(PM)を使用して検出信号の安定したI/Q復調を提供し、これにより、実同相(I)信号成分及び虚直交(Q)信号成分の両方を含む複素信号が、最大1MHz又はこれ以上の高いレーザ繰り返しレートで取得できるため、CRを臨床及び産業用途に使用することが可能となる。
【0005】
本発明の一実施形態に係る方法は、光干渉計システムのサンプルアーム内のサンプルに向けられるサンプル部分と、光干渉計システムのリファレンスアームに向けられるリファレンス部分と、を有する電磁放射線源を用いて、第1の期間及び第2の期間を含む期間にわたって、サンプルを走査する工程と、位相変調器を用いて、電磁放射線源のリファレンス部分及びサンプル部分のうちの少なくとも1つに、第1の期間中に与えられる第1の位相シフトと、第2の期間中に与えられる第2の位相シフトであって第1の位相シフトとの差が90度である第2の位相シフトと、を含む位相シフトを与える工程と、第1の期間中の第1の後方散乱電磁放射線と、第1の位相シフトにさらされたリファレンス部分及びサンプル部分のうちの少なくとも1つと、の間の第1の干渉に基づき、同相データを取得する工程と、第2の期間中の第2の後方散乱電磁放射線と、第2の位相シフトにさらされたリファレンス部分及びサンプル部分のうちの少なくとも1つと、の間の第2の干渉に基づき、直交データを取得する工程と、同相データ及び直交データに基づき、複素干渉信号を決定する工程と、を有する。
【0006】
いくつかの実施形態では、第1の位相シフトは第1の期間中に0度であり、第2の位相シフトは第2の期間中に90度である。
【0007】
いくつかの実施形態では、位相シフトを与える工程が、電磁放射線源のリファレンス部分に位相シフトを与える工程をさらに有し、同相データを取得する工程が、第1の期間中の第1の後方散乱電磁放射線と、第1の位相シフトにさらされたリファレンス部分と、の間の第1の干渉に基づき、同相データを取得する工程をさらに有し、直交データを取得する工程が、第2の期間中の第2の後方散乱電磁放射線と、第2の位相シフトにさらされたリファレンス部分と、の間の第2の干渉に基づき、直交データを取得する工程をさらに有し、複素干渉信号を決定する工程が、同相データ及び直交データに基づき複素干渉信号を決定する工程をさらに有する。
【0008】
いくつかの実施形態では、電磁放射線源が、複数の電磁放射パルスを放出するよう構成され、複数の電磁放射パルスは、第1の期間中に放出される複数の電磁放射パルスの第1のサブセットを含む第1のAラインと、第2の期間中に放出される複数の電磁放射パルスの第2のサブセットを含む第2のAラインと、を含み、サンプルを走査する工程が、第1の期間中に第1のAラインを用いて、そして第2の期間中に第2のAラインを用いて、サンプルを走査する工程を、さらに有する。
【0009】
いくつかの実施形態では、複数の電磁放射パルスの第1のサブセットは、特定の波数シーケンスに対応し、複数の電磁放射パルスの第2のサブセットは、前記特定の波数シーケンスに対応する。
【0010】
いくつかの実施形態では、前記特定の波数シーケンスのなかの第1の波数は、前記特定の波数シーケンスのなかの第2の波数とは異なる。
【0011】
いくつかの実施形態では、第1のAラインでサンプルにおける第1の位置にて走査が行われ、第2のAラインで、サンプルにおける前記第1の位置とは異なる第2の位置にて走査が行われる。
【0012】
いくつかの実施形態では、電磁放射線源は、第3の期間中に放出される複数の電磁放射パルスの第3のサブセットを含む第3のAラインを放射するよう構成され、第3のサブセットは、前記特定の波数シーケンスに対応し、サンプルを走査する工程が、第3の期間中に第3のAラインを用いてサンプルを走査する工程をさらに有し、位相シフトを与える工程が、第3の期間中に電磁放射線源のリファレンス部分に0度の位相シフトを与える工程をさらに有し、同相データは第1の同相データを含み、直交データは第2の直交データを含み、同相データを取得する工程が、第3の期間中の第3の後方散乱電磁放射線と、0度の位相シフトが与えられたリファレンス部分と、の間の第3の干渉に基づき、第3の同相データを取得する工程をさらに有し、複素干渉信号を決定する工程が、第1の同相データと第3の同相データの間の補間に基づき、第2の同相データを決定する工程と、第2の同相データ及び第2の直交データに基づき複素干渉信号を決定する工程と、をさらに有する。
【0013】
いくつかの実施形態では、電磁放射線源は、ビーム径を有するビームを放出するよう構成されており、第1の位置と第2の位置の間の距離は、ビーム径の4分の1以下である。
【0014】
いくつかの実施形態では、電磁放射線源は複数の電磁放射パルスを放出するよう構成されており、複数の電磁放射パルスは、各々、第1の期間及び第2の期間に対応する2つの期間に分けられる。
【0015】
いくつかの実施形態では、上記方法は、複数の電磁放射パルスと複数の電磁放射パルスの遅延したコピーとを組み合わせることに基づき、変更された電磁放射線源を提供する工程をさらに有し、サンプルを走査する工程が、変更された電磁放射線源を用いてサンプルを走査する工程をさらに有し、変更された電磁放射線源は、各々が第1の期間中に生じる複数の電磁放射パルスを、第2の期間中に生じる前記複数の遅延したパルスのそれぞれと交互となるように放出する。
【0016】
いくつかの実施形態では、変更された電磁放射線源を提供する工程が、複数の電磁放射パルスと複数の電磁放射パルスの遅延したコピーとを組み合わせることに基づき、変更された電磁放射線源を提供する工程をさらに有し、複数の電磁放射パルスの遅延したコピーは、複数の電磁放射パルスのうちの1つの時間よりも短い時間だけ遅延している。
【0017】
いくつかの実施形態では、複素干渉信号を決定する工程が、検出システムから生じる追加の位相シフトを補正するために、深度依存キャリブレーションを適用することに基づいて、複素干渉信号を決定する工程をさらに有する。
【0018】
いくつかの実施形態では、同相データを取得する工程が、第1の位相シフトに関連する同相フレームを取得する工程をさらに有し、直交データを取得する工程が、第2の位相シフトに関連する直交フレームを取得する工程をさらに有し、上記の方法は、同相フレームと直交フレームの間の位相差に基づいて位相差フレームを生成する工程と、位相差フレームに基づいて補正係数を決定する工程と、同相フレームと直交フレームとに補正係数を適用する工程と、補正された同相フレームと補正された直交フレームとに基づき、複素干渉フレームを決定する工程と、をさらに有する。
【0019】
いくつかの実施形態では、補正係数を決定する工程が、位相差フレームに基づき平均位相差を決定する工程と、平均位相差と90度の位相シフトとの間の差に基づいて、補正係数を決定する工程と、をさらに有する。
【0020】
いくつかの実施形態では、平均位相差を決定する工程が、位相差フレームにおける位相差のヒストグラムを決定する工程と、位相差のヒストグラムに基づき、平均位相差を特定する工程と、をさらに有する。
【0021】
いくつかの実施形態では、電磁放射線源は、光サブサンプリング波長ステップ源(OSWSS)を備える。
【0022】
いくつかの実施形態では、電磁放射線源は、チャープファイバブラッググレーティングストレッチパルスモードロック(CFBG-SPML)レーザを備える。
【0023】
いくつかの実施形態では、CFBG-SPMLレーザは、1.3μmのイメージングバンドを備える。
【0024】
いくつかの実施形態では、位相変調器は、ニオブ酸リチウム位相変調器を備える。
【0025】
本発明の別の実施形態に係る装置は、サンプルアーム及びリファレンスアームを備える光干渉計システムと、光干渉計システムのリファレンスアーム及びサンプルアームのうちの少なくとも1つと関連付けられた少なくとも1つの位相変調器と、光干渉計システムに接続された電磁放射線源と、位相変調器と電磁放射線源とに接続されたマイクロプロセッサと、を備える装置であって、電磁放射線源は、第1の期間及び第2の期間を含む期間にわたってサンプルを走査するよう構成され、電磁放射線源のサンプル部分は、光干渉計システムのサンプルアーム内のサンプルに向けられ、電磁放射線源のリファレンス部分は、光干渉計システムのリファレンスアームに向けられ、少なくとも1つの位相変調器によって、第1の期間中に与えられる第1の位相シフトと、第2の期間中に与えられる第2の位相シフトであって第1の位相シフトとの差が90度である第2の位相シフトと、を含む位相シフトを、電磁放射線源のリファレンス部分及びサンプル部分のうちの少なくとも1つに与えるよう構成され、マイクロプロセッサは、第1の期間中の第1の後方散乱電磁放射線と、第1の位相シフトにさらされたリファレンス部分及びサンプル部分のうちの少なくとも1つと、の間の第1の干渉に基づき、同相データを取得し、第2の期間中の第2の後方散乱電磁放射線と、第2の位相シフトにさらされたリファレンス部分及びサンプル部分のうちの少なくとも1つと、の間の第2の干渉に基づき、直交データを取得し、同相データ及び直交データに基づき、複素干渉信号を決定するよう、構成されている。
【0026】
いくつかの実施形態では、第1の位相シフトは第1の期間中に0度であり、第2の位相シフトは第2の期間中に90度である。
【0027】
いくつかの実施形態では、位相シフトは、少なくとも1つの位相変調器によって、電磁放射線源のリファレンス部分に与えられ、マイクロプロセッサは、同相データを取得する際に、第1の期間中の第1の後方散乱電磁放射線と、第1の位相シフトにさらされたリファレンス部分と、の間の第1の干渉に基づき、同相データを取得するよう構成され、マイクロプロセッサは、直交データを取得する際に、第2の期間中の第2の後方散乱電磁放射線と、第2の位相シフトにさらされたリファレンス部分と、の間の第2の干渉に基づき、直交データを取得するよう構成され、マイクロプロセッサは、複素干渉信号を決定する際に、同相データ及び直交データに基づき複素干渉信号を決定するよう構成されている。
【0028】
いくつかの実施形態では、電磁放射線源は、複数の電磁放射パルスを放出するよう構成され、複数の電磁放射パルスは、第1の期間中に放出される複数の電磁放射パルスの第1のサブセットを含む第1のAラインと、第2の期間中に放出される複数の電磁放射パルスの第2のサブセットを含む第2のAラインと、を含み、電磁放射線源は、第1の期間中に第1のAラインを用いて、そして第2の期間中に第2のAラインを用いて、サンプルを走査するよう構成されている。
【0029】
いくつかの実施形態では、複数の電磁放射パルスの第1のサブセットは、特定の波数シーケンスに対応し、複数の電磁放射パルスの第2のサブセットは、前記特定の波数シーケンスに対応する。
【0030】
いくつかの実施形態では、前記特定の波数シーケンスのなかの第1の波数は、前記特定の波数シーケンスのなかの第2の波数とは異なる。
【0031】
いくつかの実施形態では、第1のAラインで、サンプルにおける第1の位置にて走査が行われ、第2のAラインで、サンプルにおける第1の位置とは異なる第2の位置にて走査が行われる。
【0032】
いくつかの実施形態では、電磁放射線源は、第3の期間中に放出される複数の電磁放射パルスの第3のサブセットを含む第3のAラインを放射するよう構成され、第3のサブセットは、前記特定の波数シーケンスに対応し、電磁放射線源は、第3の期間中に第3のAラインを用いてサンプルを走査するよう構成され、位相変調器は、第3の期間中に電磁放射線源のリファレンス部分に0度の位相シフトを与えるよう構成され、同相データは第1の同相データを含み、直交データは第2の直交データを含み、マイクロプロセッサは、同相データを取得する際に、第3の期間中の第3の後方散乱電磁放射線と、0度の位相シフトが与えられたリファレンス部分と、の間の第3の干渉に基づき、第3の同相データを取得するよう構成され、マイクロプロセッサは、複素干渉信号を決定する際に、第1の同相データと第3の同相データの間の補間に基づき、第2の同相データを決定し、第2の同相データ及び第2の直交データに基づき、複素干渉信号を決定するよう構成されている。
【0033】
いくつかの実施形態では、電磁放射線源は、ビーム径を有するビームを放出するよう構成されており、第1の位置と第2の位置の間の距離は、ビーム径の4分の1以下である。
【0034】
いくつかの実施形態では、電磁放射線源は、複数の電磁放射パルスを放出するよう構成されており、複数の電磁放射パルスは、各々、第1の期間及び第2の期間に対応する2つの期間に分けられる。
【0035】
いくつかの実施形態では、マイクロプロセッサは、複数の電磁放射パルスと複数の電磁放射パルスの遅延したコピーとを組み合わせることに基づき、変更された電磁放射線源を提供するよう構成され、電磁放射線源は、変更された電磁放射線源を用いてサンプルを走査するよう構成され、変更された電磁放射線源は、各々が第1の期間中に生じる複数の電磁放射パルスを、第2の期間中に生じる複数の遅延したパルスのそれぞれと交互となるように放出するよう構成されている。
【0036】
いくつかの実施形態では、マイクロプロセッサは、変更された電磁放射線源を提供する際に、複数の電磁放射パルスと複数の電磁放射パルスの遅延したコピーとを組み合わせることに基づき、変更された電磁放射線源を提供するよう構成され、複数の電磁放射パルスの遅延したコピーは、複数の電磁放射パルスのうちの1つの時間よりも短い時間だけ遅延している。
【0037】
いくつかの実施形態では、マイクロプロセッサは、複素干渉信号を決定する際に、検出システムから生じる追加の位相シフトを補正するために、深度依存キャリブレーションを適用することに基づいて、複素干渉信号を決定するよう構成されている。
【0038】
いくつかの実施形態では、マイクロプロセッサは、同相データを取得する際に、第1の位相シフトに関連する同相フレームを取得するよう構成され、マイクロプロセッサは、直交データを取得する際に、第2の位相シフトに関連する直交フレームを取得するよう構成され、マイクロプロセッサは、同相フレームと直交フレームの間の位相差に基づいて位相差フレームを生成し、位相差フレームに基づいて補正係数を決定し、同相フレームと直交フレームとに補正係数を適用し、補正された同相フレームと補正された直交フレームとに基づき、複素干渉フレームを決定するように構成されている。
【0039】
いくつかの実施形態では、マイクロプロセッサは、補正係数を決定する際に、位相差フレームに基づき平均位相差を決定し、平均位相差と90度の位相シフトとの間の差に基づいて、補正係数を決定するよう構成されている。
【0040】
いくつかの実施形態では、マイクロプロセッサは、平均位相差を決定する際に、位相差フレームにおける位相差のヒストグラムを決定し、位相差のヒストグラムに基づき、平均位相差を特定するよう構成されている。
【0041】
いくつかの実施形態では、電磁放射線源は、光サブサンプリング波長ステップ源(OSWSS)を備える。
【0042】
いくつかの実施形態では、電磁放射線源は、チャープファイバブラッググレーティングストレッチパルスモードロック(CFBG-SPML)レーザを備える。
【0043】
いくつかの実施形態では、CFBG-SPMLレーザは、1.3μmのイメージングバンドを備える。
【0044】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの位相変調器は、ニオブ酸リチウム位相変調器を備える。
【0045】
本発明のさらに別の実施形態に係る方法は、光干渉計システムのサンプルアーム内のサンプルに向けられるサンプル部分と、光干渉計システムのリファレンスアームに向けられるリファレンス部分と、を有する電磁放射線源を用いて、第1の期間及び第2の期間を含む期間にわたって、サンプルを走査する工程と、位相変調器を用いて、電磁放射線源のリファレンス部分及びサンプル部分のうちの少なくとも1つに、第1の期間中に与えられる第1の位相シフトと、第2の期間中に与えられる第2の位相シフトであって第1の位相シフトとの差が90度である第2の位相シフトと、を含む位相シフトを与える工程と、第1の期間中の第1の後方散乱電磁放射線と、第1の位相シフトにさらされたリファレンス部分及びサンプル部分のうちの少なくとも1つと、の間の第1の干渉に基づき、同相フレームデータを取得する工程と、第2の期間中の第2の後方散乱電磁放射線と、第2の位相シフトにさらされたリファレンス部分及びサンプル部分のうちの少なくとも1つと、の間の第2の干渉に基づき、直交フレームデータを取得する工程と、同相フレームデータと直交フレームデータの間の位相差に基づいて位相差フレームを生成する工程と、位相差フレームに基づいて補正係数を決定する工程と、同相フレームデータと直交フレームデータとに補正係数を適用する工程と、補正された同相フレームと補正された直交フレームとに基づき、複素干渉フレームを決定する工程と、を有する。
【0046】
いくつかの実施形態では、補正係数を決定する工程が、位相差フレームに基づき平均位相差を決定する工程と、平均位相差と90度の位相シフトとの間の差に基づいて、補正係数を決定する工程と、をさらに有する。
【0047】
いくつかの実施形態では、平均位相差を決定する工程が、位相差フレームにおける位相差のヒストグラムを決定する工程と、位相差のヒストグラムに基づき、平均位相差を特定する工程と、をさらに有する。
【0048】
いくつかの実施形態では、電磁放射線源は、チャープファイバブラッググレーティングストレッチパルスモードロック(CFBG-SPML)レーザを備える。
【0049】
いくつかの実施形態では、CFBG-SPMLレーザは、1.3μmのイメージングバンドを備える。
【0050】
いくつかの実施形態では、位相変調器は、ニオブ酸リチウム位相変調器を備える。
【0051】
本発明のさらに別の実施形態に係る装置は、サンプルアーム及びリファレンスアームを備える光干渉計システムと、光干渉計システムのリファレンスアーム及びサンプルアームのうちの少なくとも1つと関連付けられた少なくとも1つの位相変調器と、光干渉計システムに接続された電磁放射線源と、位相変調器と電磁放射線源とに接続されたマイクロプロセッサと、を備える装置であって、電磁放射線源は、第1の期間及び第2の期間を含む期間にわたってサンプルを走査するよう構成され、電磁放射線源のサンプル部分は、光干渉計システムのサンプルアーム内のサンプルに向けられ、電磁放射線源のリファレンス部分は、光干渉計システムのリファレンスアームに向けられ、少なくとも1つの位相変調器によって、第1の期間中に与えられる第1の位相シフトと、第2の期間中に与えられる第2の位相シフトであって第1の位相シフトとの差が90度である第2の位相シフトと、を含む位相シフトを、電磁放射線源のリファレンス部分及びサンプル部分のうちの少なくとも1つに与えるよう構成され、マイクロプロセッサは、第1の期間中の第1の後方散乱電磁放射線と、第1の位相シフトにさらされたリファレンス部分及びサンプル部分のうちの少なくとも1つと、の間の第1の干渉に基づき、同相フレームデータを取得し、第2の期間中の第2の後方散乱電磁放射線と、第2の位相シフトにさらされたリファレンス部分及びサンプル部分のうちの少なくとも1つと、の間の第2の干渉に基づき、直交フレームデータを取得し、同相フレームデータと直交フレームデータの間の位相差に基づいて位相差フレームを生成し、位相差フレームに基づいて補正係数を決定し、同相フレームデータと直交フレームデータとに補正係数を適用し、補正された同相フレームデータと補正された直交フレームデータとに基づき、複素干渉フレームを決定するよう構成されている。
【0052】
いくつかの実施形態では、マイクロプロセッサは、補正係数を決定する際に、位相差フレームに基づき平均位相差を決定し、平均位相差と90度の位相シフトとの間の差に基づいて、補正係数を決定するよう構成されている。
【0053】
いくつかの実施形態では、マイクロプロセッサは、平均位相差を決定する際に、位相差フレームにおける位相差のヒストグラムを決定し、位相差のヒストグラムに基づき、平均位相差を特定するよう構成されている。
【0054】
いくつかの実施形態では、電磁放射線源は、チャープファイバブラッググレーティングストレッチパルスモードロック(CFBG-SPML)レーザを備える。
【0055】
いくつかの実施形態では、CFBG-SPMLレーザは、1.3μmのイメージングバンドを備える。
【0056】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの位相変調器は、ニオブ酸リチウム位相変調器を備える。
【0057】
本開示の上記の及び他の態様及び利点は、以下の説明から明らかになるであろう。以下の説明において、本明細書の一部を形成し、説明のために1つ又は複数の例示的なバージョンを示す添付の図面を参照する。これらのバージョンは、必ずしも本発明の全範囲を表すものではない。
【0058】
以下の図面は、本開示の例示的な実施形態のさまざまな特徴を説明するのを助けるために提供されるものであって、本開示の範囲を限定したり、代替的な実施形態を除外したりすることを意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【
図1】光サブサンプリング波長ステップ源(OSWSS)(上)、一連のパルスts_iからts_i+12についてのOSWSSの経時的なパワー出力の概略的なグラフ(中央)、一連のパルスts_iからts_i+12の各々についてのOSWSSに関する波数の構成(下)、及びそのような波数のうちの2つ、k_2及びk_1の拡大図(下の挿入図)である。
【
図2】OSWSSを使用する干渉計システムの実施形態を示す。
【
図3】位相が、偶数番号のタイムスロットの0度と奇数番号のタイムスロットの90度との間で切り替えられる(上の)、又は、位相が、6番目のタイムスロットごとに0度と90度の間で切り替えられる(下の)実施形態のパワー及び位相変調レベルを示す。
【
図4A】波数k_1からk_5が5つのタイムスロットごとに繰り返され、位相が、5つのタイムスロットごとに0度と90度の間で交互になる実施形態の波数、パワー及び位相変調レベルを示す。
【
図4B】位相が、タイムスロット内で0度と90度の間で切り替えられる実施形態の、パワー及び位相変調レベルを示す。
【
図5】干渉計システムの実施形態であって、当該実施形態は、リファレンスアームに位相変調器を含むとともに、OSWSS、位相変調器、(複数の)検出器及びコンピューティングシステムのうちの1つ又は複数の機能を調整するためのコントローラを有する。
【
図6】AラインA1及びA3に対応する2つの位置での走査ビームの位置を示すとともに、他のAラインの位置と、位相変調状態と、Aライン間で実行され得る補間と、を示す。
【
図7】一連のフレームi-1からi+8(フレームは一連のAライン走査を含み得る)の位相変調パターンに重ね合わされたビーム走査パターン(左)の実施形態を示し、ここで、交互のフレームは、各々、異なる位相(例えば、0度又は90度)を有し、また、時間の関数としての走査のx位置とy位置の概略図も示す(右)。
【
図8】
図7に示す実施形態の代替実施形態のx位置及びy位置を示し、ここで、正しく登録された複素復調データを得るために、2つのフレーム走査(例えば、1つは位相が0度、もう1つは位相が90度)の後にy位置が段階的に移動する。
【
図9】ゲイン媒体Gによって増幅され出力ビームB8として放出されるビームB1を生成する波長掃引周波数コムを生成する波長ステップ光源(S)を示す。
【
図10】
図9に示すような光源LSを使用して本発明の実施形態を実施するためのマッハ・ツェンダー干渉計の実施形態を示す。(A)は自由空間光通信(free space optics)に基づく実施形態を示し、(B)は光ファイバに基づく実施形態を示す。
【
図11】連続波(CW)又は準CWレーザと組み合わせて使用するための位相変調パターンの実施形態を示す。
【
図12】パルスレーザ出力と組み合わせて使用するための位相変調パターンの実施形態を示す。(A)はパルスレーザ出力に関するサンプリングパターンを示し、(B)はパルスレーザ出力とパルスレーザ出力の遅延したコピーとに関するサンプリング及び位相変調パターンを示し、(C)はパルスレーザ出力とパルスレーザ出力のさらに遅延したコピーとに関するサンプリング及び位相変調パターンを示す。
【
図13】光源Sの出力を光源Sの遅延したコピーと組み合わせる光学部品に結合された波長ステップ光源(S)の実施形態を示す。
【
図14】SPMLレーザ及び円形測距イメージングシステムの概略図であり、LDはレーザダイオードドライバ、DDGはデジタル遅延ジェネレータ、PGはパターンジェネレータ、Aはアンプ、EOMは電気光学変調器、PCは偏光コントローラ、CFBGは連続ファイバブラッググレーティング、SOAは半導体光増幅器、FPはファブリーペロー・エタロンスペクトルフィルタ、Cはサーキュレータ、PZTはピエゾアクチュエータ、PMは部分反射ミラー、OSAは光スペクトルアナライザ、VDは可変遅延ライン、ISOは光アイソレータ、FGは信号生成器、Dは分散補償、LOはローカルオシレータ、CALはキャリブレーション信号、FCはファイバコリメータ、Gはガルバノミラー、Lはレンズ、Sはサンプル、BDはバランス型フォトダイオード、DAQはデータ取得ボードである。
【
図15】測定されたSPMLレーザ性能を示し、(a)は光スペクトル、(b)は拡大された光スペクトル、(c)は260psの電気パルスを使用した単掃引の時間トレース、(d)はパルスを示す拡大された時間トレース、(e)は5回掃引を示す時間トレース、(f)は測定されたコヒーレンス長を示す。
【
図16】フレーム復調を示し、(a)はフレーム復調の概略図、(b)及び(c)はベースバンドにわたるミラー信号のアーティファクト抑制を示し、(b)は生の分散補償信号、(c)はI、Q復調信号を示す。FSR=150GHz。-1次信号、ベースバンド信号及び1次信号が示されている。(d)及び(e)はIRカードのイメージングであり、(d)は生の分散補償画像、(e)はIQ復調画像を示す。(f)及び(g)は粘着テープのイメージングであり、(f)は生の分散補償画像、(g)はIQ復調画像を示す。イメージングの際に100GHzのFSRを使用した。スケールバーは1mmに対応する。
【
図17】IRカード(上段)及び粘着テープ(下段)を使用した位相補正を説明する図であり、(a)及び(b)はIQ復調後にアーティファクトが残っている画像(黄色の矢印)である。(c)及び(d)は位相変調フレーム間の位相差、φ(x,z)=arg{S
I(x,z)S
*
Q'(x,z)}である。(e)及び(f)は、(c)及び(d)に示したデータからのφ発生を示す位相ヒストグラムである。ヒストグラムは、直交点からグローバル位相オフセットΔφを取得するために用いられた。(g)及び(h)は位相補正された画像である。(i)は251個の連続して記録されたフレームについての理想的な直交点からの位相エラー(オフセット)である。(j)は、位相補正の前(下の黒い線)と後(上の赤い線)における(i)の位相エラーに起因する対応する測定された抑制を示す。太線は5個のフレームを使用した平均抑制を示す。スケールバーは1mmに対応する。
【
図18】フレーム復調を使用したイメージングの例を示し、(a)は人間の爪郭のイメージングであり、生の分散補償画像とIQ復調画像を示す。復調された画像は、ベースバンド範囲を超える構造のフチなしラッピングをより明確にするためにスティッチングされた。(b)はiPhone(登録商標)7のディスプレイのイメージングであり、生のIQ復調画像と体積測定ビューを示す。上部のガラス板の下にある別個の層が見える。スケールバーは1mmに対応する。
【
図19】Aライン復調を示し、(a)はAライン復調の概略図である。(b)及び(c)はベースバンドにわたるミラー信号についてのアーティファクト抑制であり、(b)は生の分散補償信号、(c)はI、Q復調信号を示す。FSR=100GHz。-1次信号、ベースバンド信号及び1次信号が示されている。(d)は1時間の期間にわたるミラー信号の測定された複素共役抑制である。
【
図20】複素補間を示し、(a)はビームスポットサイズδxに正規化されたビームステップサイズΔxの関数としての複素補間の前(円)と後(四角)の測定された抑制である。(b)は複素補間を示すIRカードのイメージングの例である。生の画像とIQ復調画像が示されている。復調された画像は、ベースバンド範囲を超えるサンプル構造のフチなしラッピングを明確にするために3回スティッチングされた。FSRは100GHz(L
B=1.5mm)であった。スケールバーは1mmに対応する。
【
図21】Aライン復調を使用したイメージングの例であり、(a)は人間の爪郭の断面画像であり、生の分散補償画像(左上)と、IQ復調画像(左下)を示す。復調された画像は、周波数コムの主要な測定範囲を超える構造のフチなしのラッピングを明確にするために2回スティッチングされた(右)。(b)はエナメル質(1)、象牙質(2)及び歯茎(3)を示す人間の歯のIQ復調画像である。説明のために、ここでは取得範囲全体を示し、ベースバンド範囲は黄色の破線で示されている。(c)は50mmレンズ(左)と150mmレンズ(右)を使用した、毎秒15ボリュームでの人間の歯を示す体積深度投影である。スケールバーは1mmに対応する。
【
図22】開示された主題のいくつかの実施形態による円形測距光コヒーレンストモグラフィーのためのアクティブ直交復調のためのシステムの例を示す。
【
図23】開示された主題のいくつかの実施形態によるコンピューティングデバイス及びサーバを実現するために使用することができるハードウェアの例を示す。
【
図24】開示された主題のいくつかの実施形態による円形測距光コヒーレンストモグラフィーのためのアクティブ直交復調のためのプロセスの例を示す。
【
図25】開示された主題のいくつかの実施形態による円形測距光コヒーレンストモグラフィーのためのアクティブ直交復調のための別のプロセスの例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0060】
発明の実施形態を詳細に説明する前に、本発明は、その用途に関し、本明細書において以下に記載されている又は図面に示されている構造の細部及びコンポーネントセットの配置に限定されないことは理解されるべきである。本発明は、他の実施形態とすることが可能であり、又はさまざまな方法で実施することが可能である。また、本明細書において使用されているフレーズ及び用語は、説明を目的とするものであり、限定的なものとみなすべきではないことは理解されるべきである。例えば、本明細書における「含む」、「備える」又は「有する」及びその変形例の使用は、その後に列挙される項目、その等価物及び追加の項目を包含することを意味する。
【0061】
種々の実施形態において、本発明は、複素干渉信号を生成し、その信号を使用して、サブサンプリング/円形測距光コヒーレンストモグラフィーを用いて得られたデータを復調するための方法及び装置を提供する。非常に高速のイメージング速度(例えば、MHzのレーザ繰り返しレート)にて複素干渉信号を得るため及びイメージングアーティファクトを緩和するために、干渉信号の位相をアクティブ(電子的)に制御することによって(互いに対してπ/2、即ち90度位相シフトされた)直交電場コンポーネントを得るためのさまざまな手法が開示されている。
【0062】
特定の実施形態において、位相変調についての好ましい実例では、電圧信号を光位相シフトに変換するニオブ酸リチウム(LiNbO3)位相変調装置を使用するが、光ビームを位相変調する他の方法を使用することもできる。光ビームに位相シフトを生じさせる他の方法も使用することができ、これには、ケイ素又は半導体材料に基づくものなどの他の電気光学位相変調器、温度を使用して光ビーム位相に影響を与える熱位相変調器、音波又は音響エネルギーを光位相シフトに変える音響光学位相変調器などが含まれるが、これらに限定されない。位相変調器が組み込まれたアーキテクチャの例を後述する。
【0063】
したがって、本明細書に開示される手法は、干渉計システムのサンプルアーム及びリファレンスアームのいずれか一方又は両方においてアクティブ位相シフト(例えば位相変調)を使用して、光サブサンプリング波長ステップ源(Optically Subsampled Wavelength-Stepped Source;以下、「OSWSS」とも称する)の各期間(本明細書では「タイムスロット」と称する。以下参照)に関連する複素干渉信号を生成するための手法である。この手法は、干渉計における位相シフト構成の配置及び駆動を記述するハードウェア実施形態、位相シフト信号をOSWSS及び/又は検出構成及び/又は顕微鏡に同期させるための構成、測定された信号から複素信号を生成するための信号処理方法、並びに種々の光源からの復調エラーをキャリブレート及び補償するための信号処理方法及び構成を含むことができる。
【0064】
本手法は、「パルス間(inter-pulse)」の形態又は「パルス内(intra-pulse)」の形態で実施することができる。パルス間手法は、単一の波数に関連する複素干渉信号を生成するために、少なくとも2つの異なるパルス(同一の波数であってもなくてもよい。波数の議論については以下を参照)を使用する。パルス内手法は、単一パルスでの測定を使用して、そのパルスの波数に関連する複素信号を生成する。パルス間方法は、実行がより簡単であるが、複雑な測定ごとにより多くの追加パルスを必要とし、その結果、イメージング速度が遅くなる可能性がある。パルス内方法は、実行がより複雑であるが、複素信号(即ち、互いに90度位相シフトされた2つの信号)の生成に必要なデータを取得するために単一パルスのみを必要とすることで、最速のイメージングを可能にすることができる。
【0065】
光サブサンプリング波長ステップ源(OSWSS)
本明細書において、特定の光源、即ち光サブサンプリング波長ステップ源(OSWSS)を使用する干渉測定システムの文脈において、直交復調(同相(I)/直交(Q)復調、又はI/Q復調とも称される)を実行するための装置及び方法が開示される。以下は、本明細書に開示されるI/Q復調の実施形態の実例において使用され得るOSWSS源の概要である。
【0066】
図1(上部)に図式的に示すOSWSSは、以下の特性及びパラメータのうちの1つ又は複数を有する特定の光出力信号を提供する。
・ OSWSSは、時間経過とともに光波長(光波数(即ち、波の空間周波数)又は光周波数とも称される)間で離散的に段階的となる光出力を提供する。
・ OSWSS出力は連続したタイムスロットのセットに分けることができ、ここでts_iはi番目のタイムスロット(
図1の中央)を指す。
・ 各タイムスロットts_iは特定の持続期間を有する。タイムスロットは大抵の場合同じ持続期間を有するが、必ずしもそうである必要はなく、種々の実施形態において異なる持続期間を有する。
・ タイムスロットは、レーザが特定の光波数の光を提供する期間として定義され、タイムスロットは、レーザが異なる光波数の光を提供し始めたときに終了する。レーザ波数は、タイムスロット間の遷移中に波数間を離散的に遷移する。これは
図1(底部)に示されており、同図では例示的な時間と波数の関係が示されている。ここで、ts_iは波数k_2を生成し、ts_i+1は波数k_4を生成し、等々である。
・ OSWSS出力は、
図1(底部、挿入図)に示されるように、ある有限の線幅Δkを有する。ここで、この線幅は、隣接するタイムスロット間の平均波数差よりも小さく、これは、光源が各タイムスロットについて別個の波数出力を提供することを示している。これは、このレーザと連続掃引波数出力を伴う光源との明らかな違いを示している。
・ タイムスロット内の光はパルスと称される。パルスは、
図1(中央)に示すように、各タイムスロット中に上昇及び下降する変動パワーを有することができ、あるいは一定パワーを有することができる。両シナリオにおいて、タイムスロット内の光は、関連する波数における光の有限の持続期間を表すので、本明細書ではパルスと称される。
【0067】
OSWSS源の例には、波数空間で等間隔に配置された波数を生成するように設計された光源、例えば周波数コム光源が含まれる。
【0068】
OSWSSを用いる干渉測定
図2は、OSWSSを使用して干渉測定を行うための一般化された設定を示す。コンポーネントとしては、OSWSSのような光源と、サンプルアーム及びリファレンスアームを含む干渉計と、干渉計出力と、検出器と、種々の実施形態においてプロセッサ/マイクロプロセッサを含む信号処理コンピュータ/構成体と、を含む。干渉計とOSWSSを併用することにより、光サブサンプリング光コヒーレンストモグラフィーで実行されるような測距が可能となり、あるいはより一般的には、干渉法を使用してサンプルアーム内の物体を調べることが可能になる。I/Q復調は、以下に説明するように干渉計からの複素出力信号を測定するために使用される。
【0069】
I/Q復調なしの場合、(非複素)干渉信号が測定される場合がある。この信号は、サンプルアームの光とリファレンスアームの光の位相差の正弦に比例する。一方、I/Q復調を使用すると、上記の位相差の正弦に比例する実数コンポーネントと、上記の位相差の余弦に比例する虚数コンポーネントと、を有する複素干渉信号を測定することができる。I/Q復調を使用すると、干渉測距システムにおいて与えられた正の光遅延(+d)から生じる複素干渉信号は、同じ大きさ(-d)の負の光遅延によって与えられるものと区別可能であり、この区別は非複素干渉信号を測定するときには不可能な区別である。サブサンプリングOCTでは、正と負の遅延を識別するこの能力により、大きな物理的遅延空間を縮小円形遅延空間に縮小する円形測距(CR)が可能になる。
【0070】
図2に示すような干渉計の最もシンプルな実例において、そしてI/Q復調がない場合には、出力信号1及び2の両方は、サンプルアームの光とリファレンスアームの光との間の位相差の正弦に比例するであろう。I/Q復調は、上記のシステムにおいて、サンプルアームの光とリファレンスアームの光が組み合わされるやり方を再設計する(例えば、偏光ベースの光復調を使用する)ような方法を使用するか、あるいは本明細書に開示されているように、サンプルアーム及びリファレンスアームの一方又は両方における光の位相を異なる時点で変調することにより、1つの時点において、出力は位相差の正弦に比例し、後の時点において、出力は位相差の余弦に比例するようにすることで、行うことができる。より一般的には、経時的に取得された測定値は、例えば、コンピュータプロセッサを使用して結合され、これにより、追加の信号処理を用いて複素干渉縞(complex fringe)を生成することができる。
【0071】
種々の実施形態において、パルス間位相変調は、例えば、パルス間(又は等価的にタイムスロット間)でリファレンスアーム又はサンプルアーム内の光の位相を変調することを含み、これにより、第1のパルスが正弦コンポーネントを生じさせ、第2のパルスが余弦コンポーネントを生じさせるような、2つのパルスからなるパルスセットから得られたデータを使用して複素信号を生成することができるよう構成されている。
【0072】
図3に示す例(上側の図)では、偶数番号のタイムスロット/パルス(例えば、ts_i、ts_i+2など)では0度であり、奇数番号のタイムスロット/パルス(例えば、ts_i+1、ts_i+3など)では90度である位相変調がなされた。位相は、本明細書に開示する実施形態の多くにおいて0度~90度の間でさまざまであることが示されているが、種々の実施形態においては、位相は、角度間の差異が90度(π/2)であるならば、他の角度の間でさまざまであってもよい。この例では、タイムスロット/パルスts_i及びi_3が同じ波数kを有すると仮定すると、パルスts_iは、波数kに関連する正弦干渉信号を測定するために使用することができ、パルスts_i+3は、波数kに関連する余弦干渉信号(パルスts_i+3に関連するデータに導入された90度の位相シフトに起因する)を測定するために使用することができる。
図3の下側の図に示す例では、位相変調は6パルスごとに変化する。ここで、タイムスロット/パルスts_i及びts_i+6が同じ波数kを有すると仮定すると、タイムスロット/パルスts_i及びts_i+6を使用して、正弦干渉信号及び余弦干渉信号をそれぞれ決定して、波数kに関連する複素干渉縞信号を生成することができる。
【0073】
連続するAライン間の位相変調
いくつかの実施形態では、連続するAライン間で位相変調が行われてもよい。ある特定の実施形態では、Aラインは、特定の波数シーケンスを有する1セットのパルスを含み、この波数シーケンスは後続のAラインごとに繰り返される。これは
図4Aに示されており、同図では繰り返されるk_1~k_5の番号が付けられた5つの波数を有するOSWSSの出力が示されており、ここで、k_1~k_5からなる各セットは、1つのAラインを示す。したがって、AラインyとAラインy+1は(同じ波数シーケンスを使って)同じ特性を測定するが、測定する時点が異なっている。この実施形態では、隣接の/順次的なAラインは、
図4Aに示すように90度の関連性を有するように位相シフトされる。Aラインyからの信号を使用して正弦(実数)干渉縞信号が形成され、Aラインy+1からの信号を使用して余弦(虚数)干渉縞信号が形成される。AラインyとAラインy+1は、組み合わされると、I/Q復調を実行するために使用できる1つの複素Aラインを形成する。
【0074】
いくつかの実施形態では、位相変調はタイムスロット内で実行されてもよく、これには、位相変調が1つのパルス内で生じるような実施形態が含まれる。これは
図4Bに示されている。同図において、1つのタイムスロットは少なくとも2つのより小さなタイムスロットに分割されており、このうちの第1のタイムスロット中に第1の位相信号が印加され、第2のタイムスロット中に第2の位相信号が印加される。
図4Bでは、これらのより小さなタイムスロット間で90度の位相シフトが生じている。したがって、同相コンポーネント及び直交コンポーネントの両方を1つのレーザパルス/タイムスロットについて測定することができる。ここでは、タイムスロットあたり少なくとも2つの測定が用いられる。
【0075】
図5に、位相変調器(例えば、ニオブ酸リチウム(LiNbO
3)位相変調装置)が組み込まれた例示的なアーキテクチャを示す。
図5に示す干渉計システムの実施形態は、リファレンスアーム内に位相変調器を含むとともに、OSWSS、位相変調器、(複数の)検出器及びコンピューティングシステムのうちの1つ又は複数の機能を調整するためのコントローラ(プロセッサ/マイクロプロセッサを含むことができる電子制御装置及び信号生成器)を有する。
【0076】
特定の実施形態では、一連のAライン(それぞれが同じ波数のシーケンスを含む)を放射するビームをサンプルに当て、ビームによりサンプル上が走査されるにつれてデータを得ることができる。このような、ビームによりサンプル上が走査されるOCTシステムでは、本明細書に記載される複素干渉縞を構築するために使用される2つのAラインは、サンプルにおける異なる部分の走査からのものであってもよく、したがって、場合によっては、一対のデータポイント間でのサンプルの差異を考慮するために、データに補正を加えなければならないことがある。
【0077】
この現象は
図6に示されており、同図では、AラインA1とAラインA3とについてのビームプロファイル(円形)が示されている。ここで、AラインA1及びAラインA3は、同相(I又は正弦)干渉縞を提供し、Aライン2は、直交(Q又は余弦)干渉縞を提供する。理想的なケースでは、IのAライン及びQのAラインは、同一のサンプル位置で測定されるであろう。しかしながら、この例におけるAラインA1及びAラインA2が複素干渉縞を構成するために使用される場合、Aライン間のビームのずれによって位相関係におけるエラーが生じる場合があり、同様の事態がAラインA2及びAラインA3が使用されるときにも生じる場合がある。このエラーを減らすために、補間によって、新しい(I)Aラインを、測定したAラインA1及びAラインA3から構築してもよい。この補間されたAラインは、位置A2(
図6において、「Aライン補間」と示されている)においてIのAラインについて測定されたであろうものを近似する。その後、測定されたQのAライン(A2)と、A1及びA3から形成された補間されたIのAラインから、複素干渉縞が生成される。
【0078】
Aライン補間を実行するために、種々の実施形態において、Aライン同士が位相安定となるように、OSWSSとデータ取得システムが互いに同期されてもよい。位相安定でないと、AラインA1とAラインA3の間の未知の位相シフトが原因でAラインA1とAラインA3の間の補間によりエラーが生じかねない。位相同期により、Aラインの位相補償なしで直接補間が可能である。位相同期スキームの1つの実施形態が
図5に示されており、同図は、OSWSS、位相変調器、(複数の)検出器及びコンピュータ(例えば、データ取得及び/又は分析に使用され得る)に電子的に結合されたコントローラ/信号生成器を示す。
【0079】
Aライン補間は、干渉縞領域(即ち、捕捉された干渉縞データ上)において決定されてもよく、あるいは個々の測定されたAライン干渉縞のFFT後(即ち、FFT演算によって生成された複素データ上)において決定されてもよい。
【0080】
連続するフレーム間の位相変調
上で開示した位相変調アプローチは、必ずしも隣接するAラインで行う必要はない。いくつかのイメージングシステムについては、フレーム間での位相変調を行うことが最適である場合があり、この場合、フレームは、例えば、x方向などの特定の方向に沿ったAラインの集まりであってもよく、これを連続的な画像を生成するために使用することができる。したがって、ビームを用いて、サンプル上を第1の方向(例えば、x方向)に沿って繰り返し走査してもよく、また第2の方向、典型的には直交する方向(例えば、y方向)に移してもよい。
【0081】
図7の左側の図に示すように、x方向における正弦波走査が使用され、ここでは、フレームは1つおきに、同相(I)データを生成するために適用される0度の位相シフトを有し、他のAラインは、直交(Q)データを生成するために適用される90度の位相シフトを有する。一定速度でのy方向に沿った走査が十分に遅い場合、隣接するフレームは、これらのフレームからのデータを組み合わせて複素フレーム(complex frame)を生成できるように、十分に類似した位置をサンプリングする。例えば、位置b及び位置cがx位置は同じだがy位置が僅かにずれているような位置b及び位置cにおけるAラインを使用することができる。
図7の右側の図は、x走査位置対時間とy走査位置対時間を表している。
【0082】
あるいは、
図8に示すように、y走査は、2フレーム取得中にy位置を一定に維持するように変更されてもよく、これによりこれらの2つのフレームからのAラインが同じy位置を有するように構成されてもよく、したがって、Aラインは同じx位置及びy位置を有し、このことは、複素Aライン/フレームを構築するのに有益である。これは
図8に示されており、同図において、x及びyにおける位置が時間に対して示されている。ここで、フレームi及びフレームi+1は、それぞれ0度及び90度の位相シフトを有することができるとともに、全データが同じy位置を有するような複素干渉縞/Aライン/フレームデータを生成するために使用することができる。
【0083】
以下の非限定的な例は、本明細書に開示される本発明の実施形態をさらに説明する。
【0084】
交互Aライン復調
図9は波長ステップ光源(S)を示し、この波長ステップ光源は、周波数コム自由スペクトル領域(FSR)を有する波長掃引周波数コムを生成し、また、FSR及び掃引速度に応じたパルス繰り返しレート(f
P)を有する時間領域でパルスを有していても有さなくてもよい。光源SはビームB1を生成し、ビームB1は、半導体光増幅器、ブースタ光増幅器又は別の種類のゲイン媒体からなるゲイン媒体(G)を用いて増幅され、これにより出力ビームB8が得られる。
【0085】
図10は自由空間光通信の構成(
図10の(A))又はファイバ構成(
図10の(B))を用いて実施され得るマッハ・ツェンダー型干渉計を示す。他の干渉計タイプ(マイケルソンなど)も適用することができる。
図10の(A)又は(B)の光源LSはどちらも
図9の出力ビームB8を表す。LSから放射されるビームB9は干渉計の入力に向けられ、この入力において、ビームB9はビームスプリッタ(BS3)を使用して、ほぼ等しい長さの2つの経路へと分けられる。B10はサンプルSの方に向けられる。その後、関心対象からの後方散乱光は、干渉計出力(B11)に向けられる。リファレンスアームでは、ビームB12は位相変調器(PM)の方に向けられる。この例では、PMは、レーザ繰り返し(Aライン)速度の半分の周波数で、ゼロ又はπ/2(90度)の位相シフトを与え、つまり、Aラインに対応するパルスのグループは、1つおきに、リファレンスアーム内で与えられる0度又は90度の位相シフトを有する。あるいは、レーザ繰り返しレートは、PM周波数であるf
L=nf
PM(n≧2)の整数倍であってもよい(例えば、位相は、3番目、4番目、5番目、…又はn番目のAラインごとに変化してもよい)。PMの後のビーム(即ち、ビームB13)は、干渉計の出力に向けられ、BS4によって結合された後、ビームB11と干渉する。その後、出力ビームB14は、フォトダイオードDによって検出される。あるいは、
図2に示すファイバベースの干渉計によって、出力ビームB14と出力ビームB15との間のπの位相シフトにより、バランスの取れた検波が容易に可能となる。検出された信号は、サンプリングレートf
Sでデータ取得ボード又はリアルタイムオシロスコープ(DAQ)を用いてデジタル化される。いくつかの波長掃引(A1、A2、...、An)を取得して、2次元画像又は3次元画像を形成するようにしてもよい。
【0086】
取得中、サンプルアームビームB10により、例えば
図6に示すように、2次元画像を形成するために側面方向又は横方向にわたって走査が行われる(B走査)。この場合の位相変調器PMは、交互のAラインの間に、複素干渉信号のI成分とQ成分をそれぞれ形成するゼロとπ/2(90度)の位相シフトを与える。特定の実施形態では、ビーム走査速度は、連続するAラインが、ビーム径の1/4以下のビームステップサイズによって空間的に分離されるように調整される。ビーム径よりもはるかに小さいビームステップサイズの場合、複素干渉信号(解析信号)は次のように取得することができる。
【数1】
これにより、深度領域におけるフーリエ変換後に抑制された複素共役項が得られる。
【0087】
ビーム径に近いビームステップサイズの場合、検出された信号はますます無相関になり、複素共役項の減少が小さくなる場合がある。上述のように、AnとAn+2の間(つまり、隣り合うI Aラインの間及び/又は隣り合うQ Aラインの間)に複素数値補間を適用することで、補正された(補間された)I’コンポーネント又はQ’コンポーネントを、これらのQ又はI対応部分の空間位置にて、それぞれ取得することができる。この場合、その後、複素干渉信号が次のように形成される。
【数2】
【0088】
連続波(CW)又は準CWレーザ動作のための交互サンプルポイント復調
この実施形態では、
図9に示すような光源が、
図10の(A)又は(B)に示すような干渉計に入力される。上述のとおり、出力ビームB14は、
図10の(B)に示すフォトダイオードD、あるいはファイバベースの干渉計によって検出され、B14とB15の間のπの位相シフトによりバランスのとれた検出が容易に可能となる。検出された信号は、データ取得ボード又はリアルタイムオシロスコープ(DAQ)を使用して、サンプリングレートf
Sでデジタル化される。種々の実施形態において、サンプリングレートは、パルス繰り返しレートの2倍、f
S=2f
P=2ν/FSRに調整されてもよく、ここで、νは、Hz/秒単位の掃引速度である。位相変調器PMは、パルス繰り返しレート及びデジタイザ(DAQ)サンプリング周波数の半分に等しい速度で、ゼロとπ/2(90度)の間で、干渉信号の位相を変調するように設定されている。
【0089】
パルスに関するサンプリング及び位相変調の相対的な位相は、
図11に示すように調整することができる。この実施形態では、λ
n(n=1、2、3、4、5…)は、スペクトル領域における個々の「潜在的な」狭い線幅のコム線を表す。2つのポイントが、パルスごとに取得され、互いに対してπ/2位相シフトされて、以下の複素干渉信号のI成分とQ成分が形成される。
【数3】
【0090】
パルスレーザ出力の交互サンプリングポイント復調
パルスレーザ出力の場合、パルス間のサンプリングは、
図12の(A)に示すように、無効なI/Q成分をもたらす可能性があり、これは、デューティサイクルが低いパルスでより顕著となる場合がある。
図12において、λ
nは、スペクトル領域における個々の「潜在的な」狭い線幅のコム線を表す。この実施形態では、パルス間のサンプリングの問題は、
図12の(B)に示すように、パルス列レプリカを生成し、このレプリカを元のパルス列の低デューティサイクル領域に貼り付けることによって、対処することができる。換言すると、同じコム線(λ
n)とパルスが、コピーされ、遅延を伴って貼り付けられ(λ’
n)、したがってこれらは、交互のサンプリングポイントによりサンプリングされ、各々が互いに対してπ/2位相シフトされている。
【0091】
図13は、光学部品に結合された波長ステップ光源(S)の実施形態を示し、光学部品は、光源Sの出力を光源Sの遅延したコピーと組み合わせて、
図12の(B)又は(C)に示されるような信号出力を生成するように構成されている。
図13の波長ステップ光源Sは、周波数コム自由スペクトル領域(FSR)を有する波長掃引周波数コムを生成する。光源Sのパルスは、FSR及び掃引速度に依存するパルス幅及びパルス繰り返しレートを有する。光源SはビームB1を生成し、ビームB1はビームスプリッタ/カプラ(BS1)によって2つの経路(P1、P2)に分けられる。ビームB2は、P1とP2の間で等しい偏光を保証する偏光コントローラ(PC1)に向けられる。PC1の後、ビームB3はP1とP2を組み合わせるビームスプリッタ(BS2)に向けられる。ビームB4は、P1とP2の間に時間遅延を生じさせる遅延ライン(DL)に向けられる。遅延ラインDLがない場合、経路P1及びP2は同じ長さになるため、コピーされたパルスは単純に再結合されて、光源Sの出力と同等のパルス列を形成することとなる。
【0092】
種々の実施形態において、DLによってもたらされた時間遅延は、パルス繰り返しレートの逆数の半分、1/(2f
P)、に対応し得、コピーされたパルス列(
図12の(B)の破線)をパルスサイクルの半分だけ遅延させる。この原理は、
図12の(C)に示すように、(パルス間の)信号がない他の領域にλ’
nを貼り付けることによって、より一般的に適用することができる(同図ではパルスが1.5パルスサイクルだけ遅延している)。適用可能な時間遅延は、より一般的にはn/(2f
P)と表すことができ、ここで、nは奇数の整数である。遅延ループDLの後、ビームB5はビームスプリッタBS2に向けられ、ビームスプリッタBS2はビームB3とビームB5を結合させる。これにより、BS2の出力において2つのインターリーブされたパルス列が生成される。両方のビームは、ゲイン媒体Gによって増幅される前に偏光コントローラ(PC2)を通過する。次に、出力ビームB8は、イメージングのために
図10の(A)及び(B)に示すような干渉計に向けられ、
図13の構成は、
図10においてビームB9を放出する光源LSである。種々の実施形態において、サンプリングレートは、パルス繰り返しレートの2倍、f
S=2f
P=2ν/FSRに調整されてもよく、ここで、νは、Hz/秒単位の掃引速度である。位相変調器PMは、パルス繰り返しレートの周波数及びデジタイザ(DAQ)のサンプリングレートの半分で、干渉信号の位相をゼロとπ/2の間で変調する。I成分及びQ成分は、個別にサンプリングされたパルスから抽出されて、以下の複素干渉信号を形成する。
【数4】
【0093】
連続波(CW)若しくは準CWレーザ動作の実施形態の交互サンプルポイント復調、又はパルスレーザ出力の実施形態の交互サンプリングポイント復調では、位相変調周波数及びサンプリングレートは、フォトダイオードD及びデジタイザDAQのアナログバンド幅と類似している又は同じでもよい。しかしながら、バンド幅限界に近い周波数は、追加の周波数依存位相シフトの影響を受け、干渉信号がPMからの位相シフトと検出電子機器からの深度依存位相シフトにさらされるため、I成分及びQ成分が誤って測定される可能性がある。これにより、複素共役アーティファクトの抑制が不十分となる可能性がある。特定の実施形態では、この追加の位相シフトに関する補正は、深度依存キャリブレーションを含むことで行うことができる。補正された直交成分(I及びQ)は次のように表すことができる。
【数5】
式中、Q’は複素干渉縞の測定された位相シフトされた成分であり、αは、0=I+Q’αの条件を適用することによって残余複素共役成分の位置で得られる複素補正係数である。
【0094】
位相エラーの補正
円形測距光コヒーレンストモグラフィー(CR-OCT)システムの特定の実施形態は、ほとんどの用途において拡張深度範囲にわたってイメージングを行うために必要な測定の数を減らすのに役立つ。しかしながら、特定の場合においては、これらの実施形態で使用されるイメージングシステムアーキテクチャは、CRアプローチのコア原理を実証するのに十分であるが、不安定であり、1.55μmでの動作に制限される場合がある。したがって、動作安定性を改善する及び/又はより一般的な1.3μm範囲のイメージングバンドを含む他の波長バンドに手法を移す、修正されたCR-OCTアーキテクチャの実施形態が提示される。種々の実施形態において、ストレッチパルスモードロック(SPML)レーザ源を使用するときに用いられる長さが長い色分散性ファイバを、1つの連続チャープファイバブラッググレーティング(chirped fiber Bragg grating)(CFBG)設計で置き換えることができ、この変更により、1260~1360nmのウィンドウまで動作波長がシフトされるだけでなく、レーザ動作が大幅に安定する。さらに、ニオブ酸リチウム位相変調器を使用するアクティブ直交復調スキームの実施形態が、環境要因に敏感な場合がある偏光ベースの光直交復調回路の代わりに実装される。これらの変更されたシステムの性能は、定量化され、7.6MHzの動作速度、100nmの掃引バンド幅、4cmのコヒーレンス長、及び広範囲にわたって調整可能な円形測距深度(いくつかの実施形態では、100μm~4mmの範囲であってもよい)を有するイメージングの例が示されている。種々の実施形態において、CFBG-SPMLレーザの安定性、シンプルさ、1.3μmでの動作及び/又はアクティブ直交復調スキームのうちの1つ又は複数の組み合わせにより、よりコンパクトで、安定した、そして動作が簡単なCR-OCTシステムが示され、このシステムは、医療用途及び非医療用途の両方についてCR-OCT手法の開発を拡大するのに役立つ可能性がある。
【0095】
円形測距光コヒーレンストモグラフィー(CR-OCT)は、従来のフーリエ領域(FD)OCTアプローチが直面する2つの技術的ハードルを解決することができる。第1に、FD-OCT法を使用して高深度走査速度で拡張深度範囲を調査しようとすると、短期間で多数の測定(つまり、デジタル化されたサンプル)が必要である。これにより、OCTシステム内の検出、デジタル化、転送及び処理モジュールの電子バンド幅について、高い、多くの場合到達不可能な要件が課される可能性がある。これは、(バーストモードではなく)連続イメージングを必要とする用途では特に困難である。CR-OCTは、ほとんどの用途で深度分解プロファイルに固有のスパース性を活用することにより、この障壁を克服する。具体的には、深度空間は円形に折りたたまれているため、小さな円形の深度範囲を取得するだけでよい。この円形の深度範囲は、サンプルから反射された信号の深度範囲、通常は0.5~2mmの範囲であるがこの範囲に限定されない、を概算するように設定できる。なおかつサンプルは、数センチメートルに及ぶ可能性のある、より広い物理的深度範囲にわたって配置することができる。つまり、CR-OCTは、サンプルの絶対位置情報を破棄することにより、サンプル信号の効率的なサンプリングを可能にする。
【0096】
CR-OCT法の採用によって克服できる第2の技術的ハードルは、イメージング光源速度に関するものである。従来のフーリエ領域OCTレーザは、100~400kHzの範囲で快適に使用され、重要な掃引波長フィルタの機械的限界に対する回避策として、光バッファリングによって1MHzを超えて動作させることができる。CR-OCTは、周波数コム光源の使用に基づいている。連続掃引波長ではなく離散的ステップ波長を使用する機能は、非常に高速な10MHzを超える光源設計において新たな機会をもたらす。従来のCR-OCTイメージングの結果は、キャビティ内分散に基づくストレッチパルスモードロック設計を使用して得られた。これらのような光源は、CRのコア原理を実証するのに役立つが、複雑で不安定であり、その一方で、シータキャビティアーキテクチャ(theta-cavity architecture)を備えるチャープファイバブラッググレーティング(CFBG)に基づくより洗練された周波数コムレーザ光源が報告されているが、周波数コムCFBG-SPML光源を使用したイメージングは、これまで示されていない。これまでの研究では、CR-OCTは、最大22MHzのA走査速度で10~42の範囲の測定圧縮率で組織信号をキャプチャするのに使用されていた。
【0097】
CR-OCTシステムの特定の実施形態では、光源及び干渉計は、高性能を維持するために頻繁な調整及びキャリブレーションを必要とする場合がある。光源の不安定性の原因には、長さが長い(10kmを超える)分散ファイバの使用が含まれる。長い分散ファイバを使用すると、レーザキャビティの共振周波数が温度の影響を受けやすくなる可能性があり、また、システム全体が位相ロックされているため、レーザ駆動周波数に関する変更を、ビーム走査及びデジタル化クロックソースに伝える必要がある場合がある。より安定したレーザ設計により、研究環境及び前臨床/臨床環境の両方での動作が劇的に簡素化されると考えられる。本手法を定義する深度空間の円形折りたたみを実現するために、同相信号及び直交信号を含む複素干渉縞信号が検出される。特定の実施形態では、特定の偏光ベースの直交復調回路を使用することができる。この回路を補正アルゴリズムと組み合わせると、高性能の復調が可能になるが、かなり複雑なキャリブレーション手順を介して補正パラメータを頻繁に再測定する必要がある。最後に、安定性とは関係のない特定の設計の第3の欠点は、これらの設計では1.3μm又は1.0μmなどの他のイメージング波長に置き換えることができないことである。これは、1.5μmを超える波長のみが広く入手可能な、一致した正及び負の分散ファイバの使用によって、課せられている。本手法を臨床現場で研究できるようにし、CR手法をより確実に採用できるようにするには、従来のイメージング波長で動作する、簡素化された、より安定したレーザ及び干渉計アーキテクチャが必要である。
【0098】
CR-OCT手法/システムは、複素干渉縞に関し動作して、円形測距を実現する。残念ながら、周波数コムを使用すると、周波数コムの自由スペクトル領域(FSR)の主要な測定範囲の倍数でイメージングするときにアーティファクトを引き起こすRFエラーが発生する可能性がある。全深度範囲にアクセスするには、一般に、解析(つまり複素)干渉信号を使用する必要がある。アーティファクトの重なりを回避するために、信号の折りたたみは、円形に、周波数コム光源と複素復調の使用の組み合わせ、つまり、本明細書に開示されるように測定された遅延の符号を解く同相(I)及び直交(Q)干渉縞信号の検出により、実行される。従来のフーリエ領域OCTにおいて複素復調方法(complex demodulation methods)が、正と負の遅延空間を使用してイメージング範囲を2倍に拡張するために検討されてきた。光直交回路に基づくパッシブ方式及び動的位相変調に基づくアクティブ方式が実証されている。従来のOCTの場合、深度信号全体を正又は負の遅延空間に配置できるため、複素復調はオプションである。同じストラテジーを光サブサンプリングに適用できるものの、主要な測定範囲を超えるエイリアシングにより、深度範囲が基本周波数コムオーダに制限される。したがって、円形測距は、光サブサンプリングと複素復調の組み合わせによって可能となる。つまり、CR-OCTの場合、複素信号はオプションではなく必須である。特定のCR-OCT実証では、パッシブ方式が採用されている。これにより必要な性能が得られると同時に、アクティブ方式の方法においては、デジタイザのチャネル数が減少すること及び環境の安定性の必要性が回避されることといった利点がある。我々は、音響光学変調器及びフーリエ領域モードロック周波数コムレーザを使用した周波数シフトによる円形測距を実証した。この方法は、安定した、単一チャネルの、Aライン内の複素復調を提供できるが、最大約3MHzのレーザ繰り返しレートに制限される場合がある。したがって、本明細書に記載されているのは、アクティブ復調方式のCR-OCTシステムへの拡張である。特に、強調されているのは、2つのAライン間復調手法を記載することによるLiNbO3電気光学変調器(EOM)に基づく効率的で、高速で、かつ安定した方法のためのCR固有の代替的実施形態である。さらに、CFBGベースのSPMLアーキテクチャの高い速度をより適切なOCT波長に移行するために、1.3μmのSPMLレーザが初めて実証され、これにより、OCTイメージングのためのコンパクトで安定したSPMLベースの円形測距システムが提供される。
【0099】
セットアップ
図14は、SPMLレーザ及びマッハ・ツェンダー型干渉計を含む光学構成を示す。電気光学変調器EOM(MX1300-LN-10、Photline)は、3.87GHzのキャビティ往復時間の高調波での共振で駆動された。アンプA(DR-PL-10-MO、iXblue)によって増幅されたパターンジェネレータPG(PAT5000、SYMPULS)を使用して、1024ビット(32ワード)で構成される電気信号で、520psパルスが生成され、ここでシングルビットは260psのパルスに対応する。追加の信号生成器(SG384、Stanford Research Systems、Inc.)を使用して、パターンジェネレータのための外部クロック信号が生成された。連続ファイバブラッググレーティング(CFBG、Proximion)を、2つのサーキュレータの間に配置して、正常分散と異常分散の両方にアクセスするようにした。1240nm~1340nm(Δλ=100nm)の連続波長範囲にわたって光周波数に対して線形群遅延を生成するために、9.5mの回折格子を設計した。1290nmでの分散は±930ps/nm(98,000ps/nm/km)で、93nsの掃引時間に対応する。両方向からCFBGを使用することにより、同じ装置から、一致する正常分散及び異常分散を生成した。CFBGベースのSPML設計は、標準SMFの分散がゼロである1.3μm範囲での実装に不可欠である。レーザ出力は、SOA後に20%出力タップカプラ(
図14において「80/20」と示す)を使用して取得された。周波数コム出力を生成するために、固定ファブリーペローエタロンが、12のシングルパスフィネス及び連続調整可能な自由スペクトル領域(FSR)を有するキャビティ内で使用された。エタロンは、2枚のガラス板(Korea Electro-Optics Co.、LTD)を使用して構成された。両方のプレートが、片面に85%の反射率を有する平面を有するとともに、反対側の面に逆反射を軽減するために角度の付いた表面を有している。測定されたシングルパスフィネスは、表面の不規則性及び/又は設定された反射率からの逸脱といった考えられる原因により、予想されたフィネスの18よりも低かった。この周波数コムは、アクティブモードロックレーザキャビティの約3.8MHz周波数コムの上に「ネスト(nested)」され、ここでは、「ネスト」された周波数コムのみがイメージングに適切であることに注意されたい。CFBGパスバンド内では、光の約30%が透過し、3つの光キャビティ(A、B、AB)が生成される。キャビティA及びキャビティB内を循環する光を抑制するために、CFBG分散(93ns)によって決定されるオン状態で、キャビティAB往復移動時間によって与えられる周波数で、SOA変調(T160、Highland Technology)を使用した。変調は、パターンジェネレータによってトリガーされたデジタル遅延ジェネレータDDG(DG645、Stanford Research Systems)を使用して適用された。外部クロックジェネレータ、パターンジェネレータ、及びデジタル遅延ジェネレータは、10MHzのリファレンス信号を使用して位相同期され、クロックジェネレータがマスタークロックとして機能する。実現された構成のデューティサイクルは38%で、レーザ出力にて3.8MHzの繰り返しレートが得られた。27mのSMF28で構成された遅延ラインを使用して、繰り返しレートを2倍の7.6MHz(76%デューティサイクル)にした後、後増幅を行った。キャビティ長又はパターンジェネレータが使用するビット数を減らすことにより、繰り返しレートを最大値10MHzにさらに最適化することができる。レーザの繰り返しレートは、デューティサイクルと掃引バンド幅に依存する相対的なパラメータである。掃引速度は194THz/μsであり、これはレーザ性能の絶対的な尺度である。
【0100】
干渉計は、ローカルオシレータを提供し、LiNbO3電気光学位相変調器(EO Space)を収容するリファレンスアームから構成される。EOMは、1.3μmの波長領域用に設計され、偏光導波路(偏光子が内蔵されていない)で構成され、バンド幅は10GHzであり、挿入損失は3dBであり、π電圧は5.3Vである。30kHzを超える変調については、電気信号は、ブロードバンド増幅器(MTC5515、Multi-Link Techn.Corp.)を使用して増幅された。位相変調器はπ電圧の波長依存性を有すると予想されるものの、掃引バンド幅にわたって直交検出に目立った影響(つまり抑制)はなかった。サンプルアームでは、ガルバノメータ(504Hz、Thorlabs又は4kHz、EOPC)により、2次元走査が可能となった(以下を参照)。イメージングは、41μmのスポットサイズを提供する焦点距離50mmのレンズを使用して実行された。サンプルアームにおける分散マッチングによりEOMからの導波路分散が考慮された。信号は、1.6GHzバランスディテクタと、4GS/sの12ビットデータ取得ボード(AlazarTech、ATS9373)を使用して取得された。
【0101】
結果
図15の(a)は、スペクトル領域での後増幅の後のレーザ出力を示し、周波数コム構造をはっきりと見ることができる。
図15の(b)は、FSRが200GHzの周波数コムを示すスペクトルの拡大図である。エタロンFSRは、連続的に調整でき、450GHzまで良好なパフォーマンスを示した。
図15の(c)は、260ps(1ビット)の電気パルスと100GHzのFSRを使用した単掃引の時間トレースを示す。
図15の(d)に時間トレースの拡大図を示す。トレースは35GHz光検出器(1474-A、New Focus)及び20GHzサンプリングスコープ(HP 54120B)を使用して記録された。周波数コムの潜在的構造をパルスの形ではっきりと見ることができる。CFBGによって課せられる大きな線形チャープにより、パルスは、スペクトル領域の周波数コムの対応する光周波数を直接マッピングする。
図15の(c)及び(d)はまた、掃引全体にわたって0.52nsの一定のパルス分離時間を示す。これは、f
p=ν/FSRで与えられる理論上のパルス繰り返しレートの逆数と非常によく一致し、ここで、νは掃引速度(つまり、194THz/μs)である。これは、線形化や取得クロックを必要としない線形スイープを示す。さらに、測定された光パルス幅は300ps~470psの範囲であり、これはパターンジェネレータの260psの電気パルス幅よりも広い。このことは、キャリア寿命に匹敵するゲイン飽和及びパルス幅に起因する光パルスのスペクトルの広がりを示唆している。
図15(e)は、5つの掃引の列を示しており、同図は194THz/μsの掃引速度で、76%のデューティサイクルで、7.6MHzの繰り返しレートを示している。トレースは、EOMにて520psの電気パルスと2GHzのリアルタイムオシロスコープ(Tektronix、MSO5204)を使用して記録された。この際、パルス繰り返しレートの逆数に類似したパルス幅とデジタイザバンド幅の減少により、パルスは観察されなかった。最後に、
図15の(f)に、後増幅の後のレーザの測定されたコヒーレンス長を示す。同図において、光路差4cmにて6dBの信号減衰が示されている。
【0102】
アクティブ高速複素復調
以下では、LiNbO3位相変調器を使用した2つのアクティブAライン間復調手法について説明する。導波路ベースのニオブ酸リチウム装置に基づくアクティブ位相変調は、位相を変調するための簡単でかつ設定変更可能な方法を提供するとともに、GHz範囲で快適に動作する。
【0103】
フレーム復調
Aライン間フレーム復調は、
図16(a)に示すように、交互のB走査を位相変調することによって、2つのフレームから直交成分を取得する。この方法は、イメージング速度が遅くフレームレートが100Hz未満であること及び高い位相安定性が必要なことから、これまでは困難であった。SPMLレーザの高い繰り返しレートにより、顕微鏡からの環境によるゆらぎ及び振動が低減され、より管理しやすいキロヘルツ範囲のフレームレートが可能となる。直交成分は、記録された奇数及び偶数のB走査から抽出されて、次のような複素信号を形成する。
【数6】
ここで、A
I,Q(ω)はI及びQ B走査内のAラインであり、ωは光角周波数である。
【0104】
共振周波数が3908.45Hzのレゾナントスキャナー(PLD-1S、EOPC)を採用した。レゾナントスキャナーの周波数は、同期のためにレーザ繰り返しレートの整数に一致させるためにその機械的共振から3908.17Hzにわずかにデチューンされ、これにより走査サイクルごとに1932個のAラインが提供された。位相変調周波数は、フレームレートの半分、f
PM=1.95kHzに調整された。サンプリングレートはf
S=3.87GS/sに調整され、これは、パターンジェネレータのクロックレートと便宜上一致させられ、これにより、Aラインあたり389ポイントが得られ、z
NQ=cfs/(4ν)で与えられるナイキスト深度は1.5mmが得られた。
図16の(b)及び(c)は、ベースバンド範囲における点拡がり関数(PSF)を示す。150GHzのFSRが使用され、その主要測定範囲、L
B=c/(2FSR)は、±0.5mmであった。理論的には、f
S=2νL
B/cを考慮すると、これにはf
S=1.29GS/sのサンプリングレートしか必要ではない。しかしながら、一次アーティファクト抑制も実証するために、光ナイキスト周波数を意図的にオーバーサンプリングした。
図16の(b)は、数値分散補償後の生信号を示し、
図16(c)は、IQ復調後の深度信号を示す。ベースバンド及び±1次の周波数コムオーダについて約40dBの抑制が見られる。ここで留意すべきなのは、測定された抑制がシステムのノイズフロアによって制限されるということである。IRカード(
図16の(d)及び(e))及び粘着テープ(
図16の(f)及び(g))をイメージングすることによって複素復調を実証した。イメージングの際に100GHz(L
B=1.5mm)のFSRが使用された。ベースバンド範囲のみが画像にプロットされている。テープのサンプルは非常に透明であった。
図16(g)においてサンプル表面の上に見られる構造は、サンプルの下のサンプル構造を示す1次の周波数コムオーダに対応し、これがベースバンドに折り返されている。同様に、
図16の(e)における画像の右下隅に見られるIRカード構造は、ベースバンド範囲の上限を超えるサンプル構造であり、-1次の周波数コムオーダに対応する。重要なことであるため言及しておくが、レゾナントスキャナーの走査機能は対称的(正弦関数的)であるため、特定の実施形態では、順方向及び逆方向の走査を位相変調して直交フレームを取得し、それによって取得時間を2分の1に短縮することができる。その場合、スキャナーの位相は重要であると予想され、フレーム相関を保証するために注意深く調整する必要があるであろう。
【0105】
位相補正
レゾナントスキャナーの高いフレームレート及びSPMLレーザの位相安定性により、フレーム間の位相ノイズは大幅に減少するものの、それでも小さな位相変動が観察され、これにより目に見える複素共役アーティファクトが残る可能性がある。わずかな軸方向の動き(例えば、1.3μmのイメージングバンドを使用する場合の約40nmの動きなど、波長の約3%に相当するほど小さい動き)であっても、アーティファクトを生じさせる可能性がある。残りのアーティファクトの例は、
図17の(a)及び(b)(「cc」が付された矢印)において、IRカード及びテープのサンプルについて示されている。位相変動は周期的であり、機械的な顕微鏡の不安定性に起因している。EOM変調(フレームレートの半分)よりも高い周波数の振動源から顕微鏡を隔離することにより、ロバストなサンプルアームを慎重に構築する必要がある。不完全なI成分及びQ成分は軸方向の動きによるものであり、これらは補正可能である。
【0106】
複素Iフレーム及びQフレームの間の位相差φ(x,z)=arg{S
I(x,z)S
*
Q'(x,z)}を、IRカードとテープサンプルの両方について、それぞれ
図17の
(c)及び(d)に示し、ここで、S
*
Q'(x,z)は、位相エラーを含む誤ったQ値
フレームである。位相マップは一定の位相差を示し、これによりB走査にわたるグローバルな位相エラーが確認される。これは、例えば、
図17の(c)及び(d)に見られるような位相差画像から、位相差のヒストグラムをプロットすることによって(
図17の(e)及び(f))、よりよく理解することができる。ヒストグラムにより、平均位相差が、IRカードの場合は理想的な直交位相差π/2よりも高く、粘着テープの場合はπ/2よりも低いことが、はっきりと確認される。直交点からの平均位相差のオフセットΔφは、直交検出を妨げるグローバルな位相エラーを表す。イメージングの際に、この位相エラーは各フレームの片側ヒストグラム(正又は負の側)から取得でき、グローバル位相補正係数S
Q'(x,z)=S
Q'(x,z)exp(-iΔφ)として適用することができる。
【0107】
したがって、位相補正スキームの実施形態を要約すると、複素Iフレーム及びQフレームの間の位相差は、φ(x,z)=arg{SI(x,z)S*
Q'(x,z)}によって与えられ、ここで、SI,Q'(z)=FFT{AI,Q'(ω)}で、AI(ω)はI値のAラインであり、AQ'(ω)はフレーム内の不正確なQ値のAラインである。この位相マップは、B走査(フレーム)にわたるグローバルな位相エラーを取得するために使用される。まず、位相ヒストグラムが位相マップからプロットされる。次に、片側ヒストグラム(正又は負の側)を使用して、位相差の平均値又は最大値が取得される。そして、理想的な直交位相差(±π/2)からの位相差の平均値又は最大値のオフセットが抽出される。直交点からのオフセットは、グローバルな位相エラーΔφを表す。グローバルな位相エラーは、複素数値フレームに、グローバル位相補正係数SQ(x,z)=SQ'(x,z)exp(-iΔφ)として適用される。補正されたアーティファクトのないフレームは、S(x,z)=SI(x,z)+SQ(x,z)で計算される。
【0108】
複素フレームはフーリエ変換後に直接取得可能であるため、追加の計算時間は最小限に抑えらる。補正された画像を
図17の(g)及び(h)に示す。複素共役アーティファクトのかなり重なった構造及びテープのサンプルの1次信号は、特に困難なシナリオを表している。これにより、ヒストグラムの位相の標準偏差が大きくなる。重要なのは、位相エラーが特定され、補正されたことです。
図17の(i)は位相エラーΔφを示し、また、対応する抑制(
図17(j))が、補正前(黒線)及び補正後(赤線)における128msの期間にわたる250フレームについて、示されている。重ねられた太い線は、5フレームを使用した平均抑制を示す。位相エラーが0.2ラジアン(中心波長の3%)を超える3つのポイントは、青い縦の破線で強調表示されている。時間変化する位相エラーにより、I成分及びQ成分が不完全となり、これにより抑制が20dBまで減少した。グローバル位相補正により、約40dBの減少の抑制が得られ、これはシステムのノイズフロアに対応する。
【0109】
大きな位相エラー(π/2のオーダ)の場合、検出されたフレームが劣化し、位相補正が不可能となることに留意することが重要である。顕微鏡の不安定性から観察された位相変動は0.4ラジアンを超えず、劣化に近づくことはなかった。しかしながら、サンプルの動きは大きな位相エラー及び劣化フレームにつながる可能性がある。サンプルの動きには、補正できない横方向の成分(lateral component)が含まれる場合もあるため、本明細書に記載する補正方法は、静止した又は動きが遅いサンプルに適している。
【0110】
イメージング
人間の爪郭のイメージングの例が
図18の(a)に示されている。生の分散補償画像と、アーティファクトのないIQ復調画像が示されている。位相補正は不要であった。100GHzのFSRが使用され、ベースバンド範囲のみが示されており、つまりL
B=1.5mmである。IQ復調画像は、ベースバンドを超えるサンプル構造のフチなしラッピングをより明確にするために、それ自体の上にスティッチングされている。さらに、
図18の(b)は、iPhone(登録商標)ディスプレイのイメージングを示す。生のIQ復調画像と、目に見えるかたちにされた体積画像(volumetric image)が示され、表面下の多数の別個の層が明確に強調して示されている。文献が不足しているため、iPhone(登録商標)7のディスプレイの層を確実に特定することは困難ではあったが、この層には、偏光層、液晶タッチパネル、可能性として第2の偏光層、指向性拡散層、バックライト付き導光板及びエンドリフレクタが含まれていることが知られている。このことは、体積ビデオレート及び長距離イメージングが有益である可能性がある、広フィールド・オブ・ビュー材料、ディスプレイ又は塗料検査などを含む産業用途に対するフレーム復調によるSPMLベースの円形測距の適合性が高いことも示す。
【0111】
重要なことであるため言及しておくが、10MHzのAラインレート及び4cmのイメージング範囲を備える連続掃引レーザを使用する従来のOCTでは、100GS/sのオーダのサンプリングレートが必要である。我々はこれを、FSRが100GHz(LB=1.5mm)で掃引速度が194THz/μs(つまり、Δλ=100nmの10MHzAラインレート、フルデューティサイクル)である、コヒーレンス長(つまり、イメージング範囲)に依存しないために2GS/sのサンプリングレートしか必要としない円形測距と比較する。この比較によれば、サンプリング速度が50倍遅く、データの負荷によって信号と画像の処理が遅くなる。用途によっては、FSRを200GHz(LB=750μm)に上げることができ、これにより圧縮率をさらに100に上げることができる。さらに、デューティサイクルが100%の場合、レゾナントスキャナーの走査レートは4kHzから少なくとも6kHzまで上げることができ、これにより位相エラーをさらに減少させることができる。
【0112】
Aライン復調
Aライン間復調のコンセプトを
図19の(a)に示す。この方法では、リファレンスアーム内の位相変調器によって、横方向走査中に交互のAライン間で位相がシフトされた。奇数と偶数のAラインは、I成分とQ直交位相成分、A
I,Qを、それぞれ表しており、これらは以下の解析深度信号を形成するために使用された。
【数7】
【0113】
Aライン復調では、サンプルの動きによる位相ノイズを回避するために、Aライン間の高い位相安定性と高いAラインレートが必要となる。SPMLレーザは、分散ベースの掃引による高い位相安定性と高い繰り返しレートにより、Aライン復調に非常に適応している。ビームスポットサイズよりもはるかに小さいAライン分離の場合、Aラインは相関しており、有効なI成分及びQ成分が提供される。ステップサイズが大きい場合、取得された複数のAラインは異なる空間位置に対応し、徐々に無相関となり、抑制が減少する。その場合、抑制は複素Aライン補間によって取り戻すことができる。
【0114】
ガルボスキャナー(Thorlabs)を504.3Hzの高速軸周波数で使用した。周波数はマスタークロック(パターンジェネレータ外部クロック)の整数倍に設定された。位相変調周波数は、Aラインレートの半分、fPM=3.7MHzに調整された。これは、同期のためにレーザ繰り返しレートの整数倍に一致するように、慎重に選択する必要があった。サンプリングレートはfS=3.87GS/sに調整され、これは、パターンジェネレータのクロックレートに便宜上一致させられ、これにより、Aラインあたり389ポイントが得られ、ナイキスト深度は1.5mmが得られた。
【0115】
図19の(b)及び(c)は、100GHzのFSR(L
B=1.5mm)を使用した、IQ復調の前(
図19の(b))及び後(
図19の(c))の主要測定範囲にわたるAラインをPSF(点拡がり関数)で示す。100GHzのFSRは、f
S=1.94GS/sのサンプリングレートしか必要としない。一次アーティファクト抑制も実証するために、我々は、光ナイキスト周波数を意図的にオーバーサンプリングした。この場合は横方向のビーム走査は適用されず、複素補間が適用されたことに留意されたい。ベースバンド及び±1次のオーダにおける複素共役項の抑制は明確であり、約40dBである。抑制の測定は、システムのノイズフロアに制限された。コヒーレント平均化(100個のAライン)により、-50dBのノイズフロアまでの抑制が明らかとなった。復調は非常に安定していて永続的であり、何日間も再調整する必要は全くなかった。実証のために、抑制は、干渉なしに1時間連続的に測定された(
図19の(d))。
【0116】
複素平均化
横方向ビームステップサイズがビームスポットサイズよりも大きい場合、位相変調されたAラインはますます無相関になり、IのAラインとQのAラインが異なる空間位置に対応するため、複素共役項抑制が減少する。横方向ビームステップサイズは、複素補間(又は複素平均化)によってビームスポットサイズの4分の1にまで緩和させることができる。Q直交成分は、フーリエ変換後に深度領域内の隣接するQのAライン空間位置を補間する(及びその逆)ことにより、対応するIの空間位置で取得される。
【0117】
図20の(a)は、ビーム径Δx/δxに正規化されたビームステップサイズの関数として測定された複素共役項抑制を示し、δxはガウスビームウエストパラメータの2倍に対応し、δx=4λ
0F/(πD)であり、Fはレンズの焦点距離、Dはコリメートされたビーム径である。この作業では、走査周波数を維持しながら走査振幅を変更することによって、ビームステップサイズを調整した。緑の領域は、隣接するAラインが十分に相関している有効なビームステップサイズを示す(Δx≦1/4δx)。複素補間により、ビームスポットサイズの4分の1より小さいステップサイズについて約10dB抑制が増進された。これは、空間的なオーバーサンプリングと複素補間により、35dBよりも良い抑制が得られることを示す。小さいステップサイズについて抑制が40dBに制限されたのは、システムノイズフロアが原因であり、この手法のハードリミットを表すものではないことに留意すべきである。Δx/δx=0.1より小さいビームステップサイズの場合、補間後の抑制は約40dBで水平状態となり、このことは、より優れたノイズ性能を提供するシステムについては抑制が40dBよりも良い可能性があることを示している。要約すると、この手法の適用は、横方向の走査速度(B走査レート)又は走査振幅(フィールド・オブ・ビュー)のいずれかを損なうビームステップサイズによって制限される。
図20の(b)は、Δx/δx=0.23のビームステップサイズを使用してIRカードをイメージングすることによる複素補間の例を示す。生の画像は、複素共役項を明確に示している(
図20の(b)で「cc」が付されている)。IQ復調により抑制が得られたが、アーティファクトは見えたまま残っている。複素補間により抑制がさらに改善され、これによりアーティファクトがイメージング中に通常観察される-30dBのノイズフロアまで減少した。最後に、復調及び補正された画像が3回スティッチングされて、ベースバンド範囲を超えたサンプル構造のフチなしラッピングがより明確となった。
【0118】
イメージング
図21の(a)に人間の爪郭のイメージングの例を示す。示されているのは、生の分散補償画像と、アーティファクトのないIQ復調画像である。ビームステップサイズはΔx/δx=0.15であった。複素補間は適用していない。100GHzのFSRが使用され、画像はベースバンド範囲、つまりL
B=1.5mmのみを示している。IQ復調画像は、ベースバンドを超えるサンプル構造のフチなしラッピングをより明確にするために、それ自体の上に2回スティッチングされた。さらに、
図21の(b)及び(c)は、100GHzのFSRを使用した人間の歯のイメージングを示す。エナメル質(1)、象牙質(2)及び歯茎(3)を示す別個の層が
図21の(b)において見ることができる。複素補間は不要であった。ここでは説明のために、これまでの全ての画像で見られたようなベースバンド範囲のみではなく、取得深度範囲全体が例外なくプロットされている。ベースバンドは黄色の破線で示されている。ベースバンド(上の黄色の線)を超えて1次に及ぶサンプル構造は、ベースバンドの下部に折り返され、-1次(下の黄色の線)に達する構造は、ベースバンドの上部に折り返される。したがって、エナメル質表面の上方の構造は、ベースバンドの上部に折りたたまれた歯の下部である。歯のイメージング深度が高いことは、構造の重なり合いを回避するために、ベースバンドがより大きい(FSRがより小さい)ことを示唆している。最後に、SPMLベースの円形測距を使用して、50mmレンズ(
図21の(c)、左)と200mmレンズ(
図1の(c)、右)を使用する、毎秒15ボリュームで、歯の、体積表示の、ビデオカメラ的なイメージングを示す。フレーム復調手法に関しては、これは、同様の性能を有する連続掃引レーザと比較して、信号及び画像処理に関するデジタイザバンド幅及びデータ負荷における50倍の圧縮係数を表す。
図21の(b)に示す層のイメージングと合わせて、これは、高速であると同時に長距離の円形測距により提供される医療及び産業用途の多用途性を示す。
【0119】
このように、1.3μmのCFBGベースのSPMLレーザが初めて示され、この設計がOCTのより適切な波長領域で利用できるようになった。レーザは、Aラインレートが7.6MHzであり、デューティサイクルが76%であった。掃引速度は194THz/μsで、フルデューティサイクルにて最大10MHzが可能である。掃引範囲は100nmで、コヒーレンス長は4cmであり、FSR、つまり主要な測定範囲は継続的に調整可能であった。円形測距OCTは、LiNbO3位相変調器を使用するAライン間位相変調を伴う複素復調により実現された。フレーム復調は、速度制限がなく、原則としてB走査レートによってのみ制限される。復調は、4kHzレゾナントスキャナーからの2つの位相変調フレームを使用して2kHzで実証された。サンプルアームの顕微鏡における軸方向の光路変化による小さな位相変動は、グローバル位相補正を適用することによって補正された。この位相ノイズをさらに最小限に抑えるには、6~10kHzの範囲のB走査レートが望ましい。
【0120】
Aライン復調は、3.7MHz(Aラインレートの半分)で位相変調された2つのAラインから複素解析信号を構築する第2のAライン間復調手法として実証された。この手法の適用は、空間的なオーバーサンプリングを必要とするビームステップサイズの使用によって制限され、これにより横方向走査速度(B走査レート)又は走査振幅(フィールド・オブ・ビュー)が損なわれる。十分なオーバーサンプリングのために、隣接するAラインが相関されて最大40dBの抑制が提供され、これはシステムのノイズフロアによってのみ制限される。ステップサイズが大きくなると抑制が犠牲になる。この場合、複素補間により、ビームスポットサイズの4分の1よりも小さいステップサイズで約10dB抑制が増進された。本明細書に記載のアクティブ復調方法は、非常に安定しており、後処理を最小限に抑えるか又は全く必要とせず、波長に依存せず、単一の取得チャネルを使用して実行することができる。このアクティブ復調方法は、CFBGベースのSPMLと合わせて、コンパクトで安定した円形測距イメージングシステムの実施形態を提供することができる。
【0121】
図22を参照すると、開示された主題のいくつかの実施形態に係る、円形測距光コヒーレンストモグラフィーのためのアクティブ直交復調のためのシステムの例2200が示されている。
図22に示すように、コンピューティングデバイス2210は、光干渉計システム2200から同相データ及び/又は直交データを受信することができる。いくつかの実施形態では、コンピューティングデバイス2210は、アクティブ直交復調のためのシステム2204の少なくとも一部を実行して、光干渉計システム2200から受信した同相データ及び/又は直交データに基づき複素干渉信号を決定することができる。追加的又は代替的に、いくつかの実施形態では、コンピューティングデバイス2210は、光干渉計システムから受信した同相データ及び/又は直交データに関する情報を、通信ネットワーク2206を介してサーバ2220に通信することができ、サーバ2220は、同相データ及び/又は直交データに基づき複素干渉信号を決定するためにアクティブ直交復調のためのシステム2204の少なくとも一部を実行することができる。いくつかのそのような実施形態では、サーバ2220は、複素干渉信号などのアクティブ直交復調のためのシステム2204の出力を示す情報を、コンピューティングデバイス2210(及び/又は任意の他の適切なコンピューティングデバイス)に戻すことができる。この情報は、ユーザ(例えば、研究者、操作者、臨床医など)に送信及び/若しくは提示されてもよく、並びに/又は(例えば、研究データベース又は対象に関連する医療記録の一部として)保存されてもよい。
【0122】
いくつかの実施形態では、コンピューティングデバイス2210及び/又はサーバ2220は、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、スマートフォン、タブレットコンピュータ、ウェアラブルコンピュータ、サーバコンピュータ、物理的なコンピューティングデバイスにより実行されるバーチャルマシンなどの任意の適切なコンピューティングデバイス又はデバイスの組み合わせであってもよい。本明細書で説明するように、アクティブ直交復調のためのシステム2204は、同相データ、直交データ及び/又は複素干渉信号に関する情報をユーザ(例えば、研究者及び/又は専門家)に提示することができる。
【0123】
いくつかの実施形態では、電磁放射線源2202は、CR-OCTなどの光干渉法に適した任意の線源であってもよい。いくつかの実施形態では、電磁放射線源2202は、コンピューティングデバイス2210の近くに配置されてもよい。例えば、電磁放射線源2202は、コンピューティングデバイス2210に組み込まれてもよい(例えば、コンピューティングデバイス2210は、光干渉情報の取り込み及び/又は保存をするためのデバイスの一部として構成されてもよい)。別の例として、電磁放射線源2202は、ケーブル、直接無線リンクなどによってコンピューティングデバイス2210に接続されてもよい。追加的又は代替的に、いくつかの実施形態では、電磁放射線源2202は、コンピューティングデバイス2210から局所的及び/又は遠隔的に配置されてもよく、通信ネットワーク(例えば、通信ネットワーク2206)を介してコンピューティングデバイス2210(及び/又はサーバ2220)に情報を通信することができる。
【0124】
いくつかの実施形態では、通信ネットワーク2206は、任意の適切な通信ネットワーク又は通信ネットワークの組み合わせであってもよい。例えば、通信ネットワーク2206は、Wi-Fiネットワーク(1つ又は複数の無線ルータ、1つ又は複数のスイッチなどを含むことができる)、ピアツーピアネットワーク(例えば、Bluetooth(商標)ネットワーク)、セルラーネットワーク(例えば、CDMA、GSM、LTE、LTE Advanced、WiMAXなどの任意の適切な規格に準拠する3Gネットワーク、4Gネットワークなど)、有線ネットワークなどを含むことができる。いくつかの実施形態では、通信ネットワーク2206はローカルエリアネットワーク、ワイドエリアネットワーク、パブリックネットワーク(例:インターネット)、プライベート又はセミプライベートネットワーク(例:企業又は大学のイントラネット)、その他の適切なタイプのネットワーク又は任意の適切なネットワークの組み合わせとすることができる。
図22に示す通信リンクは、各々、有線リンク、光ファイバリンク、Wi-Fi(商標)リンク、Bluetooth(商標)リンク、セルラーリンクなどのような任意の適切な通信リンク又は通信リンクの組み合わせであってもよい。
【0125】
図23は、開示された主題のいくつかの実施形態に係る、コンピューティングデバイス2210及びサーバ2220を実現するために使用することができるハードウェアの例2300を示す。
図23に示すように、いくつかの実施形態では、コンピューティングデバイス2210は、プロセッサ2302、ディスプレイ2304、1つ以上の入力2306、1つ以上の複数の通信システム2308及び/又はメモリ2310を含むことができる。いくつかの実施形態では、プロセッサ2302は、中央処理装置、グラフィックス処理装置などの任意の適切なハードウェアプロセッサ又はハードウェアプロセッサの組み合わせとすることができる。いくつかの実施形態では、ディスプレイ2304は、コンピュータモニタ、タッチスクリーン、テレビなどの任意の適切な表示装置を含むことができる。いくつかの実施形態では、入力2306は、キーボード、マウス、タッチスクリーン、マイクなどの、ユーザ入力を受信するために使用することができる任意の適切な入力デバイス及び/又はセンサを含むことができる。
【0126】
いくつかの実施形態では、通信システム2308は、通信ネットワーク2206及び/又は任意の他の適切な通信ネットワークを介して情報を通信するための任意の適切なハードウェア、ファームウェア及び/又はソフトウェアを含むことができる。例えば、通信システム2308は、1つ又は複数のトランシーバ、1つ又は複数の通信チップ及び/若しくはチップセットなどを含むことができる。より具体的な例では、通信システム2308は、Wi-Fi(商標)接続、Bluetooth(商標)接続、セルラー接続、イーサネット(商標)接続などを設置するために使用できるハードウェア、ファームウェア及び/又はソフトウェアを含むことができる。
【0127】
いくつかの実施形態では、メモリ2310は、例えば、プロセッサ2302がディスプレイ2304を使用してコンテンツを提示するためや通信システム2308などを介してサーバ2220と通信するためなどに使用できる命令や値などを格納するために使用できる任意の適切な記憶装置を含むことができる。メモリ2310は、任意の適切な揮発性メモリ、非揮発性メモリ、ストレージ又はそれらの任意の適切な組み合わせを含むことができる。例えば、メモリ2310は、RAM、ROM、EEPROM、1つ以上のフラッシュドライブ、1つ以上のハードディスク、1つ以上のソリッドステートドライブ、1つ以上の光学ドライブなどを含むことができる。いくつかの実施形態では、メモリ2310において、コンピューティングデバイス2210の動作を制御するためのコンピュータプログラムが符号化されていてもよい。そのような実施形態では、プロセッサ2302は、コンピュータプログラムの少なくとも一部を実行して、コンテンツ(例えば、画像、ユーザインターフェース、グラフィックス、テーブルなど)の提示、サーバ2220からのコンテンツの受信、サーバ2220などへの情報の送信などを行うことができる。
【0128】
いくつかの実施形態では、サーバ2220は、プロセッサ2312、ディスプレイ2314、1つ以上の入力2316、1つ以上の通信システム2318及び/又はメモリ2320を含むことができる。いくつかの実施形態では、プロセッサ2312は、中央処理装置やグラフィックス処理装置などの任意の適切なハードウェアプロセッサ又はハードウェアプロセッサの組み合わせとすることができる。いくつかの実施形態では、ディスプレイ2314は、コンピュータモニタ、タッチスクリーン、テレビなどの任意の適切な表示デバイスを含むことができる。いくつかの実施形態では、入力2316は、キーボード、マウス、タッチスクリーン、マイクなど、ユーザ入力を受信するために使用できる任意の適切な入力デバイス及び/又はセンサを含むことができる。
【0129】
いくつかの実施形態では、通信システム2318は、通信ネットワーク2206及び/又は任意の他の適切な通信ネットワークを介して情報を通信するための任意の適切なハードウェア、ファームウェア及び/又はソフトウェアを含むことができる。例えば、通信システム2318は、1つ以上のトランシーバ、1つ以上の通信チップ及び/又はチップセットなどを含むことができる。より具体的な例では、通信システム2318は、Wi-Fi(商標)接続、Bluetooth(商標)接続、セルラー接続、イーサネット(商標)接続などを設置するために使用できるハードウェア、ファームウェア及び/又はソフトウェアを含むことができる。
【0130】
いくつかの実施形態では、メモリ2320は、例えば、プロセッサ2312がディスプレイ2314を使用してコンテンツを提示するためや1つ又は複数のコンピューティングデバイス2210と通信するためなどに使用することができる命令や値などを保存するのに使用できる任意の適切なストレージデバイス又は複数のストレージデバイスを含むことができる。メモリ2320は、任意の適切な揮発性メモリ、不揮発性メモリ、ストレージ、又はそれらの任意の適切な組み合わせを含むことができる。例えば、メモリ2320は、RAM、ROM、EEPROM、1つ以上のフラッシュドライブ、1つ以上のハードディスク、1つ以上のソリッドステートドライブ、1つ以上の光学ドライブなどを含むことができる。いくつかの実施形態では、メモリ2320において、サーバ2220の動作を制御するためのサーバプログラムが符号化されていてもよい。このような実施形態では、プロセッサ2312は、サーバプログラムの少なくとも一部を実行して、情報及び/又はコンテンツ(例えば、組織の識別及び/又は分類の結果やユーザインターフェースなど)を1つ又は複数のコンピューティングデバイス2210に送信する、1つ又は複数のコンピューティングデバイス2210から情報及び/又はコンテンツを受信する、1つ又は複数のデバイス(例えば、パーソナルコンピュータ、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、スマートフォンなど)から命令を受信することなどを、行うことができる
【0131】
いくつかの実施形態では、任意の適切なコンピュータ可読媒体を使用して、本明細書に記載の機能及び/又は処理を実行するための命令を格納することができる。例えば、いくつかの実施形態では、コンピュータ可読媒体は、一時的又は非一時的なものであってもよい。例えば、非一時的なコンピュータ可読媒体には、磁気媒体(ハードディスク、フロッピーディスクなど)、光学媒体(コンパクトディスク、デジタルビデオディスク、ブルーレイディスク(商標)など)、半導体媒体(RAM、フラッシュメモリ、電気的にプログラム可能な読み取り専用メモリ(EPROM)、電気的に消去可能なプログラム可能な読み取り専用メモリ(EEPROM)など)、送信中に一時的でない若しくは永続性の類似性を欠いていない任意の適切な媒体及び/又は任意の適切な有形媒体などの媒体を含むことができる。別の例として、一時的なコンピュータ可読媒体は、ネットワーク上の、ワイヤ内の、導体内の、光ファイバ内の、回路内の若しくは送信中の永続性の類似性を欠く一時的な任意の適切な媒体内の信号を含むことができ、及び/又は任意の適切な無形媒体を含むことができる。
【0132】
いくつかの実施形態では、光信号はフォトダイオードによって検出される。この検出機能を実行するために、光検出器、フォトダイオード、ライン走査及び二次元カメラ、並びにフォトダイオードアレイを含む、しかしこれらに限定されない、任意のオプションの電子変換デバイスを使用できることは認識されるべきである。
【0133】
上記の実施形態は、複素信号を生成するために測定間において90度の位相シフトを与えることを説明しているが、これらの複素信号は、例えば後処理の補正ルーチンを使用して90度以外の値によって位相シフトされた測定から生成できることが知られていることに留意されたい。したがって、上記の実施形態は、複素信号を生成するために、ゼロ以外の、必ずしも90度ではない位相シフトを生成するように構成することもできる。
【0134】
本明細書で使用される場合、メカニズムという用語は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア又はそれらの任意の適切な組み合わせを包含できることに留意されたい。
【0135】
図24は、開示された主題のいくつかの実施形態に係る、円形測距光コヒーレンストモグラフィーのためのアクティブ直交復調のためのプロセスの例2400を示す。
図24に示すように、2402において、プロセス2400は、電磁放射線源を使用して、ある期間にわたってサンプルを走査することができる。この期間は、第1の期間及び第2の期間を含むことができ、電磁放射線源のサンプル部分は、光干渉計システムのサンプルアーム内のサンプルに向けることができ、電磁放射線源のリファレンス部分は、光干渉計システムのリファレンスアームに向けることができる。2404において、プロセス2400は、電磁放射線源のリファレンス部分及びサンプル部分のうちの少なくとも1つに、第1の位相シフト及び第2の位相シフトを含む位相シフトを与えることができる。位相シフトは、位相変調器を使用して与えることができ、第1の位相シフトは第1の期間中に与えることができ、第2の位相シフトは第2の期間中に与えることができ、第2の位相シフトは、第1の位相シフトとの差が90度であってもよい。2406において、プロセス2400は、第1の期間中の第1の後方散乱電磁放射と、第1の位相シフトにさらされたリファレンス部分及びサンプル部分のうちの少なくとも1つとの間の第1の干渉に基づいて、同相データを取得することができる。2408において、プロセス2400は、第2の期間中の第2の後方散乱電磁放射と、第2の位相シフトにさらされたリファレンス部分及びサンプル部分のうちの少なくとも1つとの間の第2の干渉に基づいて、直交データを取得することができる。最後に、2410において、プロセス2400は、同相データ及び直交データに基づいて複素干渉信号を決定することができる。
【0136】
図25は、開示された主題のいくつかの実施形態に係る、円形測距光コヒーレンストモグラフィーのためのアクティブ直交復調のための別のプロセスの例2500を示す。
図25に示すように、2502において、プロセス2500は、電磁放射線源を使用して、ある期間にわたってサンプルを走査することができる。この期間は、第1の期間及び第2の期間を含んでもよく、電磁放射線源のサンプル部分は光干渉計システムのサンプルアーム内のサンプルに向けられてもよく、電磁放射線源のリファレンス部分は光干渉計システムのリファレンスアームに向けられてもよい。2504において、プロセス2500は、電磁放射線源のリファレンス部分及びサンプル部分のうちの少なくとも1つに、第1の位相シフト及び第2の位相シフトを含む位相シフトを与えることができる。位相シフトは、位相変調器を使用して与えることができ、第1の位相シフトは、第1の期間中に与えることができ、第2の位相シフトは、第2の期間中に与えることができ、第2の位相シフトは、第1の位相シフトとの差が90度であってもよい。2506において、プロセス2500は、第1の期間中の第1の後方散乱電磁放射と、第1の位相シフトにさらされたリファレンス部分及びサンプル部分のうちの少なくとも1つとの間の第1の干渉に基づいて、同相フレームデータを取得することができる。2508において、プロセス2500は、第2の期間中の第2の後方散乱電磁放射と、第2の位相シフトにさらされたリファレンス部分及びサンプル部分のうちの少なくとも1つとの間の第2の干渉に基づいて、直交フレームデータを取得することができる。2510において、プロセス2500は、同相フレームデータと直交フレームデータとの間の位相差に基づいて位相差フレームを生成することができる。2512において、プロセス2500は、位相差フレームに基づいて補正係数を決定することができる。2514において、プロセス2500は、補正係数を同相フレームデータ及び直交フレームデータに適用することができる。最後に、2516において、プロセス2500は、補正された同相フレームデータ及び補正された直交フレームデータに基づいて、複素干渉フレームを決定することができる。
【0137】
図24及び
図25のプロセスの上記のステップは、図示の順番及びシーケンスに限定されない任意の順番又はシーケンスで実行又は遂行することができる。また、
図24及び
図25のプロセスの上記のステップのいくつかは、待ち時間及び処理時間を短縮するために、必要に応じて実質的に同時に又は並行して実行又は遂行することができる。
【0138】
したがって、本発明について特定の実施形態及び例に関連して記載したが、本発明は必ずしもこれらに限定されず、多くの他の実施形態、例、使用、改良物並びに実施形態、例、使用からの改良物の発展形態が特許請求の範囲に含まれることを意図している。