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特許7314268インプラント、システムおよびそれを使用する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-14
(45)【発行日】2023-07-25
(54)【発明の名称】インプラント、システムおよびそれを使用する方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/40 20060101AFI20230718BHJP
【FI】
A61F2/40
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2021527033
(86)(22)【出願日】2019-07-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-11
(86)【国際出願番号】 US2019043990
(87)【国際公開番号】W WO2020023975
(87)【国際公開日】2020-01-30
【審査請求日】2021-07-28
(31)【優先権主張番号】62/711,449
(32)【優先日】2018-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521040499
【氏名又は名称】イグナイト・オーソペディックス・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】Ignite Orthopedics LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100131808
【弁理士】
【氏名又は名称】柳橋 泰雄
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン・シー・ホドレック
(72)【発明者】
【氏名】マシュー・ジェイ・パーディ
(72)【発明者】
【氏名】ジェイ・マイケル・ウィアター
(72)【発明者】
【氏名】アナンド・エム・ムルティ
(72)【発明者】
【氏名】マシュー・ジェイ・スミス
(72)【発明者】
【氏名】デレク・ジェイ・カフ
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー・ジャワ
(72)【発明者】
【氏名】ルーク・オースティン
【審査官】齊藤 公志郎
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第01656910(EP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0305877(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0282129(US,A1)
【文献】特表2003-518408(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a) 円筒形のベースプレートであって、
上面と、
下面と、
前記上面から前記下面に配置された中央ボアと、
前記中央ボアの周りに配置された複数の周囲ボアと
前記ベースプレートの底面から延びる複数の弧状キールとを含み、
前記中央ボアが近位内側ねじ部分と遠位非ねじ部分とを備えた、ベースプレートと、
(b)中央のねじであって、
中心軸と、
円筒形の近位非ねじ部分と、
遠位ねじ部分と、
前記遠位ねじ部分と反対の方向に増加する表面積を有する近位ヘッド部分と、
トルク装置と係合するための近位部分、中央ねじ部分、及び遠位非ねじ部分を有する窪みであって、前記近位ヘッド部分を貫通して配置された凹部とを有し、
前記中央のねじは、前記ベースプレートの前記中央ボアを通って配置され、
前記近位ヘッド部分の直径は、前記中央のねじが前記ベースプレートの中央ボアによって捕捉されるように、前記ベースプレートの前記中央ボアの前記遠位非ねじ部分の直径よりも大きく、
前記中央のねじは骨にねじ込むのに適している、中央のねじと、
(c)周囲の圧縮ねじであって、前記周囲の圧縮ねじは前記周囲ボアを通って配置され、骨にねじ込むのに適している、周囲の圧縮ねじと、
(d)モジューラテーパであって、
テーパの付いた円筒形であり、
遠位ねじ部分と、
トルク装置と係合するための近位凹部と、
中央ボアとを備えており、
前記モジューラテーパは、前記ベースプレートの前記中央ボアにねじで接続され、前記中央のねじを前記ベースプレートにロックする、モジューラテーパと、
(e)グレノスフィアであって、
半球形状を有し、
遠位テーパ部分と、中央ねじ部分と、近位円筒部分とを有する中央ボアを有し、
前記モジューラテーパの外側および前記中央ボアの遠位テーパ部分はそれぞれのテーパ面が機械的に接合されて前記モジューラテーパの上に配置される、グレノスフィアと、
(f)支柱であって、
直径およびトルク装置と係合するための近位凹部を有する円筒形の近位ヘッド部分と、
前記近位ヘッド部分の前記直径よりも小さい直径を有する中央部分と、
前記近位ヘッド部分の前記直径よりも小さい直径を有する遠位部分と、
前記中央部分と前記遠位部分との間の前記支柱の一部に沿って配置された外側ねじ部分とを含み、
前記支柱は、前記グレノスフィアの前記中央ボアを通して配置され、前記モジューラテーパの前記中央ボアを通してさらに配置され、前記中央のねじの前記凹部にさらに配置され、ねじで接続されている、支柱と、
を備えた整形外科インプラントアセンブリ。
【請求項2】
前記中央のねじの前記近位非ねじ部分は、多孔質、テクスチャード加工、インデント、およびスプレーされた部材からなる群から構成された表面を含む、請求項1に記載の整形外科インプラントアセンブリ。
【請求項3】
(a) 円筒形のベースプレートであって、
上面と、
下面と、
前記上面から前記下面に配置された中央ボアと、
前記中央ボアの周りに配置された複数の周囲ボアと
前記ベースプレートの底面から延びる複数の弧状キールとを含み、
前記中央ボアが近位内側ねじ部分と遠位非ねじ部分とを備えた、ベースプレートと、
(b)中央のねじであって、
中心軸と、
円筒形の近位非ねじ部分と、
遠位ねじ部分と、
前記遠位ねじ部分と反対の方向に増加する表面積を有する近位ヘッド部分と、
トルク装置と係合するための近位部分、中央ねじ部分、及び遠位非ねじ部分を有する凹部であって、前記近位ヘッド部分を貫通して配置された凹部とを有し、
前記中央のねじは、前記ベースプレートの前記中央ボアを通って配置され、
前記近位ヘッド部分の直径は、前記中央のねじが前記ベースプレートの中央ボアによって捕捉されるように、前記ベースプレートの前記中央ボアの前記遠位非ねじ部分の直径よりも大きく、
前記中央のねじは骨にねじ込むのに適している、中央のねじと、
(c)モジューラテーパであって、
テーパの付いた円筒形であり、
遠位ねじ部分と、
トルク装置と係合するための近位凹部と、
中央ボアとを備えており、
前記モジューラテーパは、前記ベースプレートの前記中央ボアにねじで接続される、モジューラテーパと、
(d)グレノスフィアであって、
半球形状を有し、
遠位テーパ部分と、中央ねじ部分と、近位円筒部分とを有する中央ボアを有し、
前記モジューラテーパの外側および前記中央ボアの遠位テーパ部分はそれぞれのテーパ面が機械的に接合されて前記モジューラテーパの上に配置されるグレノスフィアと、
(e)支柱であって、
直径およびトルク装置と係合するための近位凹部を有する円筒形の近位ヘッド部分と、
前記近位ヘッド部分の前記直径よりも小さい直径を有する中央部分と、
前記近位ヘッド部分の前記直径よりも小さい直径を有する遠位部分と、
前記中央部分と前記遠位部分との間の前記支柱の一部に沿って配置された外側ねじ部分とを含み、
前記支柱は、前記グレノスフィアの前記中央ボアを通して配置され、前記モジューラテーパの前記中央ボアを通してさらに配置され、前記中央のねじの前記凹部にさらに配置され、ねじで接続されている、支柱と、
を備えた整形外科インプラントアセンブリ。
【請求項4】
前記中央のねじの前記近位非ねじ部分は、多孔性、テクスチャード加工、インデント、およびスプレーされた部材からなる群から選択された表面を含む、請求項3に記載の整形外科インプラントアセンブリ。
【請求項5】
(a) 少なくとも1つの円筒形のベースプレートであって、前記ベースプレートは、
上面と、
下面と、
前記上面から前記下面に配置された中央ボアと、
前記中央ボアの周りに配置された複数の周囲ボアと
前記ベースプレートの底面から延びる複数の弧状キールとを含み、
前記中央ボアが近位内側ねじ部分と遠位非ねじ部分とを備えた、少なくとも1つのベースプレートと、
(b)複数の中央のねじであって、前記中央のねじは、
中心軸と、
円筒形の近位非ねじ部分と、
遠位ねじ部分と、
前記遠位ねじ部分と反対の方向に増加する表面積を有する近位ヘッド部分と、
トルク装置と係合するための近位部分、中央ねじ部分、及び遠位非ねじ部分を有する窪みであって、前記近位ヘッド部分を貫通して配置された凹部とを有し、
前記中央のねじは、前記ベースプレートの前記中央ボアを通って配置され、
前記近位ヘッド部分の直径は、前記中央のねじが前記ベースプレートの中央ボアによって捕捉されるように、前記ベースプレートの前記中央ボアの前記遠位非ねじ部分の直径よりも大きく、
前記中央のねじは骨にねじ込むのに適している、複数の中央のねじと、
(c)少なくとも1つの周囲の圧縮ねじであって、前記周囲の圧縮ねじは前記周囲ボアを通って配置され、骨にねじ込むのに適している、少なくとも1つの周囲の圧縮ねじと、
(d)少なくとも1つのモジューラテーパであって、前記モジューラテーパは、
テーパの付いた円筒形であり、
遠位ねじ部分と、
トルク装置と係合するための近位凹部と、
中央ボアとを備えており、
前記モジューラテーパは、前記ベースプレートの前記中央ボアにねじで接続され、前記中央のねじを前記ベースプレートにロックする、少なくとも1つのモジューラテーパと、
(e)複数のグレノスフィアであって、前記グレノスフィアは、
半球形状を有し、
遠位テーパ部分と、中央ねじ部分と、近位円筒部分とを有する中央ボアを有し、
前記モジューラテーパの外側および前記中央ボアの遠位テーパ部分はそれぞれのテーパ面が機械的に接合されて前記モジューラテーパの上に配置される、複数のグレノスフィアと、
(f)少なくとも1つの支柱であって、前記支柱は、
直径およびトルク装置と係合するための近位凹部を有する円筒形の近位ヘッド部分と、
前記近位ヘッド部分の前記直径よりも小さい直径を有する中央部分と、
前記近位ヘッド部分の前記直径よりも小さい直径を有する遠位部分と、
前記中央部分と前記遠位部分との間の前記支柱の一部に沿って配置された外側ねじ部分とを含み、
前記支柱は、前記グレノスフィアの前記中央ボアを通して配置され、前記モジューラテーパの前記中央ボアを通してさらに配置され、前記中央のねじの前記凹部にさらに配置され、ねじで接続されている、少なくとも1つの支柱と、
を備えた整形外科インプラントアセンブリ。
【請求項6】
前記複数の中央のねじはそれぞれ、固有のねじ部分の長さを含む、請求項5に記載の整形外科インプラントアセンブリシステム。
【請求項7】
前記複数の中央のねじはそれぞれ、固有の非ねじ部分の長さを含む、請求項5に記載の整形外科インプラントアセンブリシステム。
【請求項8】
前記複数の中央のねじはそれぞれ、前記近位非ねじ部分が、多孔性、テクスチャード加工、インデント、およびスプレーされた部材からなる群から構成された表面を含む、請求項5に記載の整形外科インプラントアセンブリシステム。
【請求項9】
前記複数の中央のねじはそれぞれ、固有のねじ部分の長さを含む、請求項8に記載の整形外科インプラントアセンブリシステムシステム。
【請求項10】
前記複数の中央のねじはそれぞれ、固有の非ねじ部分の長さを含む、請求項8に記載の整形外科インプラントアセンブリシステム。
【請求項11】
(a)ベースプレートであって、前記ベースプレートの底面から離れる方向に延びる複数の突起を有する、ベースプレートと、
(b)前記ベースプレートの中央のボアを貫通する中央のねじであって、
ヘッド部分と、
前記ヘッド部分の第2の端部から離れる方向に延びる近位非ねじ部分と、
前記近位非ねじ部分の第2の端部から離れる方向に延びる遠位ねじ部分と、
第1の端部から前記ヘッド部分を貫通して前記近位非ねじ部分を通るように、前記中央のねじに延在する凹部であって、
前記凹部は、前記第2の端部に向かって前記中央のねじの前記第1の端部から延在する第1の部分と、前記第1の部分の第2の端部から前記凹部の底部に延在する、ねじの付いた第2の部分とを含む、中央のねじと、
(c)前記ベースプレートの前記中央のボアの一部と係合する結合部材と、
(d)前記結合部材に結合されるグレノスフィアと、
(e)前記グレノスフィアと前記結合部材を貫通して前記中央のねじの凹部に入る支柱と、
(f)前記ベースプレートの複数の周囲のボアの中に収容される少なくとも1つの周囲のねじとを備えており、
(g)前記ベースプレートの前記中央のボアは、
前記ベースプレートの第1の端部から第2の端部に延在する近位内側ねじ部分と、
前記近位内側ねじ部分から前記ベースプレートの前記第2の端部に延在する遠位非ねじ部分とを有する、インプラント。
【請求項12】
前記複数の突起はそれぞれ、前記複数の周囲ボアのそれぞれの周囲ボアに隣接して配置される、請求項11に記載のインプラント。
【請求項13】
前記ベースプレートは、前記第1の端部から前記第2の端部まで前記ベースプレートを通って延びる複数の貫通開口部をさらに備え、
前記複数の貫通開口部は、前記複数の突起の少なくとも1つの突起に隣接して配置される、請求項11又は12に記載のインプラント。
【請求項14】
前記結合部材は、
遠位外側ねじ部分と、
前記結合部材を通って、第1の端部から第2の端部まで延びる中央ボアと、
前記結合部材の前記第1の端部へ延び、前記中央ボアに重なる近位凹部と、
を備える、請求項11又は12に記載のインプラント。
【請求項15】
前記結合部材は、前記結合部材の前記第1の端部から離れて延びる複数の突起をさらに備える、請求項14に記載のインプラント。
【請求項16】
前記グレノスフィアは、
前記グレノスフィアを通って第1の端部から第2の端部まで延びる中央ボアと、
前記グレノスフィアの前記第2の端部から前記グレノスフィアの中に伸びる凹状領域と、
前記グレノスフィアの前記第2の端部から離れて伸び、前記凹状領域を囲む第1のリップと、
前記グレノスフィアの前記第2の端部から離れて伸び、前記中央ボアを囲む突起と、
を含む、請求項11,12,14、又は15のいずれかに記載のインプラント。
【請求項17】
前記中央ボアは、
前記グレノスフィアの前記第1の端部から前記第2の端部に向かって延びる近位円筒部分と、
前記グレノスフィアの前記第2の端部から前記第1の端部に向かって延びる遠位テーパ部分と、
前記近位円筒部分と遠位テーパ部分との間に配置された中央ねじ部分と、
を含む、請求項16に記載のインプラント。
【請求項18】
前記支柱は、
ヘッド部分と、
前記ヘッド部分から離れて延びるステムと、
を備え、
前記ヘッド部分は、前記支柱の第1の端部から前記ヘッド部分へ延びる係合凹部を含む、請求項16又は17に記載のインプラント。
【請求項19】
前記支柱は、
前記ヘッド部分の底面から前記第2の端部に向かって延びる中央部分と、
前記第2の端部から前記中央部分に向かって延びる遠位部分と、
前記中央部分と前記遠位部分との間に配置された外側ねじ部分と、
を備える、請求項18に記載のインプラント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願の特許請求の範囲は、2018年7月27日に出願された米国仮出願第62/711449号の米国特許法第119条(e)に基づく優先権を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【0002】
本発明は、通常、関節の関節面、例えば、肩プロテーゼを置換するために使用される一般外科、整形外科用インプラントに関する。より具体的には、排他的ではないが、本発明は、解剖学的肩関節炎のための関節窩インプラント、ならびにそれを使用するための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
肩関節置換術は、肩甲上腕関節の全部または一部が補綴インプラントによって置き換えられる外科的処置である。このような関節置換術は、一般的に関節炎の痛みを和らげたり、重度の関節の損傷を修復したりするために行われる。
【0004】
肩関節置換術は、肩関節の重度の関節炎の治療のための選択肢である。関節炎は、関節の軟骨に影響を与える状態である。軟骨の表層がすり減ると、骨の間の保護表層が失われる。これが起こると、痛みを伴う骨対骨関節炎が発症する。重度の肩関節炎は非常に痛みを伴い、運動の制限を引き起こし得る。これは薬やライフスタイルの調整で我慢し得るが、外科的治療が必要になる時が来得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
肩関節にアクセスするためのいくつかの主要なアプローチがある。1つ目は三角胸筋アプローチであり、それは三角筋を保存するが、肩甲下筋を切断する必要がある。2つ目は、関節窩でまっすぐなアプローチを提供する三角筋横断アプローチである。しかしながら、このアプローチの間、三角筋は潜在的な損傷のリスクにさらされる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
肩関節形成術または肩関節形成術としても知られる肩関節置換術は、1893年にフランスの外科医ジュール・エミール・ピーンによって最初に開発された。彼の手順は、肩関節を物理的に滑らかにし、プラチナとゴムの材料を移植することで構成されていた。肩関節置換術の進歩における次の注目すべき事例は、チャールズ・ニールが実質上、上腕骨頭のみを置換し、天然の肩のソケットまたは関節窩を無傷のままにして、最初の半関節形成術を行った1995年のことである。この手順は時間の経過とともに指数関数的に有名になったが、患者はしばしば関節窩表面でも軟骨の喪失を発症し、痛みと関節窩の侵食を引き起こした。これは、上腕骨コンポーネントだけでなく、関節窩コンポーネントも置換する手順の開発を促進した。
【0007】
該手順の開発を通して、回旋腱板の筋肉が、強度、可動域、および痛みの減少に関して最良の結果を生み出すために不可欠であることが広く受け入れられるようになった。この発見に加えて、肩の通常の球関節の解剖学的構造の物理的制約は、何らかの形でほとんどの発達を制限しました。たとえば、厳しく制限されたシステムは、可動領域を限定し、関節窩の固有の解剖学的構造は補綴物を固定すること、及びコンポーネントを破砕することなく固定することが困難であることを明らかにした。これらの課題と高い失敗率は、天然の肩の解剖学的構造によって課せられた制限を克服するための逆全肩関節形成術の開発につながった。
【0008】
1970年代は、この方法論を使用する外科的アプローチの指数関数的な増加があり、外科的技術の数およびバリエーションは多い。しかしながら、1985年にポールグラムモントは、今日のほとんどの逆肩関節置換術の基礎となる優れた技術と共に登場した。
【0009】
従来の人工肩関節全置換術では、該アプローチは、三角筋を胸筋から分離することから始まり、比較的神経のない通路を介した肩(肩甲上腕)関節へのアクセスを容易にする。肩関節は、最初は回旋腱板の筋肉(肩甲下筋、棘上筋、棘下筋、小円筋)と関節嚢(肩甲上筋靭帯)で覆われている。通常、単一の回旋腱板の筋肉が識別され、肩関節に直接アクセスできるように切断される。この時点で、外科医は関節の関節炎部分を取り除き、次に球関節とソケットプロテーゼを関節内に固定することができる。
【0010】
より安全でより効果的な技術の開発は、逆全肩関節形成術の使用の増加をもたらした。逆全肩関節形成術は、通常、回旋腱板の筋肉がひどく損傷している場合に適応される。
【0011】
多くの既存のリバースショルダーシステムは、ベースプレートおよびグレノスフィアを必要とする。これらのシステムは、一般に、ベースプレートが関節窩に固定される方法、およびグレノスフィアがベースプレートに係合する方法のそれぞれと異なる。いくつかのシステムでは、ベースプレートは、複数のねじによって肩甲骨の関節窩に固定され得、凸状の関節面を有するグレノスフィアは、ベースプレートの一部である、軸方向のねじ特徴および/またはテーパを使用して、ベースプレートにねじ込まれ得る。他のシステムでは、グレノスフィアは、テーパ接続を介してのみベースプレートと係合し得る。
【0012】
グレノスフィアがねじ接続またはテーパ接続のいずれかを介してベースプレートに係合する場合、グレノスフィアとベースプレートは、一定の時間の後に分離し得る。これにより、グレノスフィアがベースプレートに対して傾き、場合によってはベースプレートから離れる。いずれの状況でも、ベースプレートとグレノスフィアの位置がずれる。
【0013】
いくつかのシステムは、最初に中央のねじをグレノスフィアに固定し、次に中央ねじを介してベースプレートとグレノスフィアとの間の接続をガイドすることを含む。ベースプレートとグレノスフィアとの間の接続をガイドする工程は、逆肩の工程中に外科医が有し得る最小限のアクセスと可視性のために、通常、重要な考慮事項である。ベースプレートへのアクセスは一般に狭く、外科医がベースプレートとグレノスフィアの間の係合を正しく調整するために必要な可視性を得るのは比較的困難である。
【0014】
当技術分野で必要とされるのは、より少ない骨損失、改善された骨移植片保持、およびより大きな初期および長期のインプラント固定をもたらす設計上の利点を提供することによって従来技術の装置を改善する肩インプラントである。
【0015】
本開示の態様は、解剖学的肩関節形成術のための関節窩インプラントを提供する。本発明はまた、関節窩インプラントを使用するための方法を提供する。
【0016】
一態様では、本明細書で提供されるのは、ベースプレート、ベースプレートの中央ボアを通って延びる中央ねじ、およびベースプレートの中央ボアの一部と係合する結合部材を含むインプラントである。
【0017】
別の態様では、本明細書で提供されるのは、インプラントを挿入するための外科的方法である。
【0018】
本発明のこれらの、および他の目的、特徴、および利点は、添付の図面と併せて取られる本発明の様々な態様の以下の詳細な説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本明細書の一部を構成し、本明細書の一部を構成する添付図面は、本発明の実施形態を例示し、本明細書の詳細な説明と共に、本発明の原理を説明するのに役立つ。図面は、好ましい実施形態を説明するためだけであり、本発明を限定するものと解釈されるべきではない。産業上の標準的な実施に従って、様々な特徴が縮尺通りに描かれていないことが強調される。実際に、様々な特徴の寸法は、説明を明確にするために、任意に増減されてもよい。本発明の上記及び他の目的、特徴及び利点は、添付の図面を参照して以下の詳細な説明から明らかである。
図1図1は、本開示の一態様に係る、関節窩インプラントの一実施形態の第1の斜視図である。
図2図2は、本開示の一態様に係る、図1の関節窩インプラントの第2の斜視図である。
図3図3は、本開示の一態様に係る、図1の関節窩インプラントの第1の側面図である。
図4図4は、本開示の一態様に係る、図1の関節窩インプラントの第2の側面図である。
図5図5は、本開示の一態様に係る、図1の関節窩インプラントの上面図である。
図6図6は、本開示の一態様に係る、図1の関節窩インプラントの底面図である。
図7図7は、本開示の一態様に係る、図5の7-7線に沿った図1の関節窩インプラントの第1の断面図である。
図8図8は、本開示の一態様に係る、図5の8-8線に沿った図1の関節窩インプラントの第2の断面図である。
図9図9は、本開示の一態様に係る、図1の関節窩インプラントの分解された第1の斜視図である。
図10図10は、本開示の一態様に係る、図1の関節窩インプラントの分解された第2の斜視図である。
図11図11は、本開示に係る、図1の関節窩インプラントの分解された第1の側面図である。
図12図12は、本開示の一態様に係る、図1の関節窩インプラントの分解された第2の側面図である。
図13図13は、本開示の一態様に係る、図1の関節窩インプラントの外側図である。
図14図14は、本開示の一態様に係る、図1の関節窩インプラントの内側図である。
図15図15は、本開示の一態様に係る、図1の関節窩インプラントのコンポーネントの分解された断面図である。
図16図16は、本開示の一態様に係る、別の関節窩インプラントの側面組立図である。
図17図17は、本開示の一態様に係る、図16の関節窩インプラントの別の側面図である。
図18図18は、本開示の一態様に係る、図16の関節窩インプラントのさらに別の側面図である。
図19図19は、本開示の一態様に係る、図16の関節窩インプラントの上面斜視図である。
図20図20は、本開示の一態様に係る、図16の関節窩インプラントの底面斜視図である。
図21図21は、本開示の一態様に係る、図16の関節窩インプラントの側面断面図である。
図22図22は、本開示の一態様に係る、図16の関節窩インプラントの分解された側面図である。
図23図23は、本開示の一態様に係る、図16の関節窩インプラントのベースプレートの上面斜視図である。
図24図24は、本開示の一態様に係る、図23のベースプレートの底面図である。
図25図25は、本開示の一態様に係る、図23のベースプレートの側面図である。
図26図26は、本開示の一態様に係る、図23のベースプレートの別の側面図である。
図27図27は、本開示の一態様に係る、図23のベースプレートの別の側面図である。
図28図28は、本開示の一態様に係る、図23のベースプレートの断面図である。
図29図29は、本開示の一態様に係る、図16の関節窩インプラントとともに使用するための中央ねじの上面斜視図である。
図30図30は、本開示の一態様に係る、図29の中央ねじの側面図である。
図31図31は、本開示の一態様に係る、図29の中央ねじの断面図である。
図32図32は、本開示の一態様に係る、図16の関節窩インプラントとともに使用するための周囲圧縮ねじの上面斜視図である。
図33図33は、本開示の一態様に係る、図32の周囲圧縮ねじの側面図である。
図34図34は、本開示の一態様に係る、図32の周囲圧縮ねじの断面図である。
図35図35は、本開示の一態様に係る、図32図16の関節窩インプラントとともに使用するためのモジューラロッキングテーパの上面斜視図である。
図36図36は、本開示の一態様に係る、図35のモジューラロッキングテーパの側面図である。
図37図37は、本開示の一態様に係る、図35のモジューラロッキングテーパの断面図である。
図38図38は、本開示の一態様に係る、図16の関節窩インプラントのグレノスフィアの上面斜視図である。
図39図39は、本開示の一態様に係る、図38のグレノスフィアの底面斜視図である。
図40図40は、本開示の一態様に係る、図38のグレノスフィアの上面図である。
図41図41は、本開示の一態様に係る、図38のグレノスフィアの側面図である。
図42図42は、本開示の一態様に係る、図38のグレノスフィアの断面図である。
図43図43は、本開示の一態様に係る、図16の関節窩インプラントとともに使用するための支柱の上面斜視図である。
図44図44は、本開示の一態様に係る、図43の支柱の側面図である。
図45図45は、本開示の一態様に係る、図43の支柱の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
一般的に述べられているように、本明細書に開示されているのは、肩プロテーゼ用の関節窩インプラントである。さらに、関節窩インプラントを使用するための外科的方法が説明される。
【0021】
本発明の詳細な説明および以下の特許請求の範囲において、近位、遠位、前方、後方、内側、外側、上方、および下方という用語言葉は、天然の骨の相対的配置又は参照の方向的用語に従って、骨またはインプラントの特定の部分を示すために、それらの用語の標準的な使用によって定義される。例えば、「近位」は、胴体に最も近いデバイスまたはインプラントの部分を意味し、一方、「遠位」は、デバイスまたはインプラントの胴体から最も遠い部分を示す。方向の用語に関して、「前方」は体の正面に向かう方向であり、「後方」は体の裏側に向かう方向を意味し、「内側」は体の正中線に向かう方向を意味し、「外側」は体の側方に向かう方向または体の正中線から離れる方向を意味し、「上方」は別の物体または構造の上の方向を意味し、「下方」とは、別の物体または構造の下の方向を意味する。
【0022】
本明細書で使用される用語「典型的な」または「例示的な」は、一例、実例、または例示として機能する。本明細書に「一例」又は「例示」として記載されている任意の実施形態は、必ずしも他の実施態様よりも好ましいまたは有利であると解釈される必要はない。また、本説明では、「上」、「下」「左」、「後」、「右」、「前」、「垂直」、「水平」、及びそれらと類似する用語は、各実施形態の第1の図に向けられた本発明に関連する。
【0023】
同様に、位置または方向は、解剖学的構造または表面を参照して本明細書で使用され得る。例えば、現在のインプラント、デバイス、システム、および方法が、肩の骨との使用に関して本明細書に記載されているので、肩および上腕の骨は、インプラント、デバイス、システムおよび方法の表面、位置、方向または向きを記述するために使用され得る。さらに、本明細書に開示されるインプラント、デバイス、システムおよび方法、ならびにそれらの態様、構成要素、特徴などは、簡潔にするために、身体の一側面に関して説明される。しかしながら、人体は対称線(正中線)を中心として比較的、対称または鏡像なので、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、同じまたは同様の目的のために身体の別の側と使用または関連付けるため、本明細書に記載および/または図示されているインプラント、デバイス、システムおよび方法、ならびにそれらの態様、構成要素、特徴などが変更、され得ることが明確に期待される。本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、同じまたは類似の目的のために、身体の別の側面との使用または関連のために変更、修正、再構成、またはその他の方法で変更される。例えば、右肩に関して本明細書に記載されている、インプラント、デバイス、システムおよび方法、ならびにそれらの態様、構成要素、特徴などは、それらが同様に左肩に機能するように鏡像にされてもよく、その逆も同様である。さらに、本明細書に開示されるインプラント、デバイス、システムおよび方法、ならびにそれらの態様、構成要素、特徴などは、簡潔な目的のために肩に関して説明されるが、インプラント、デバイス、システムおよび方法は、例えば、下肢、より具体的には、足首、足、足の骨等の類似の構造を有する身体の他の骨に使用され得ることが理解されるべきである。
【0024】
図面を参照すると、同様の参照番号が、いくつかの図全体にわたって同様のまたは類似の構成要素を示すために使用され、特に図1図15を参照すると、関節窩インプラントまたは逆関節窩インプラント100の実施形態が示されている。関節窩インプラント100は、第1の端部または外側端部102と、第2の端部または中間端部104とを含む。第1の端部102は、第2の端部104の反対側に配置される。関節窩インプラント100はまた、ベースプレート110、中央ねじ130、少なくとも1つの周囲ねじ150、結合部材160、グレノスフィア180、および支柱200を含む。中央ねじ130は、ベースプレート110のボア116を通して挿入される。次に、結合部材160は、第の端部でベースプレート110と係合して、中央ねじ130をボア116内に固定する。結合部材160の第の端部は、グレノスフィア180内に受け入れられる。次に、支柱200は、グレノスフィア180および結合部材160を通って、中央ねじ130の凹部136内に延び得る。少なくとも1つの周囲ねじ150は、グレノスフィア180を支柱200で結合部材160に固定する前に、少なくとも1つの周囲ボア122を通して挿入され得る。
【0025】
引き続き図7図15を参照すると、ベースプレート110は、円筒形であり、上面112と下面または底面114とを含む。ベースプレート110は、例えば、ボア122およびキール124を取り囲む一定または連続の外部リングを含み得る。ベースプレート110はまた、ベースプレート110を通って上面112から下面114まで延びる中央ボア116を含み得る。図7図8及び図15に示すように、中央ボア116は、例えば、上面112からベースプレート110内に延びる第1の部分または近位内側ねじ部分118を含み得る。さらに、中央ボア116は、例えば、第1の部分118からベースプレート110の下面114まで延びる第2の部分または遠位非ねじ部分120を含み得る。ベースプレート110はまた、ベースプレート110を通って上面112から下面114まで延びる複数の周囲ボア122を含み得る。ボア122は、例えば、ベースプレート110の円周の周りに等間隔に配置されてもよく、あるいは、ベースプレート110の円周の周りに等間隔に配置されなくてもよい。図示の実施形態では、複数の周囲ボア122は、3つの周囲ボア122を含む。ベースプレート110の底面114は、例えば、湾曲または弧状であり得る。ベースプレート110はまた、複数の個別の弧状のキール、隆起、または突起124を含み得る。突起124は、ベースプレート110の底面114から離れて延びることができる。ベースプレート110はまた、ベースプレート110を通って上面112から下面114まで延びる複数の貫通開口部126を含み得る。貫通開口部126は、例えば、複数の周囲ボア122の間に配置され、ベースプレート110の下面114上の複数の突起124に隣接して配置され得る。
【0026】
図7図15に示されるような中央ねじ130は、近位非ねじ部分132および遠位ねじ部分142を含み得る。遠位ねじ部分142は、近位非ねじ部分132の底部から離れて延び得る。近位部分132は、中央ねじ130の第1の端部に配置されたヘッド部分134を含み得る。ヘッド部分134は、例えば、中央ねじ130の近位部分132の主要部分の直径よりも大きい直径を有し得る。近位部分132はまた、中央ねじ130の第1の端部から近位部分132に延びる凹部136を含み得る。凹部136は、第1の部分または近位雌セクション138および第2の部分またはねじ部分140を含み得る。第1の部分138は、中央ねじ130の第1の端部から第2の端部に向かって延び得、第2の部分140は、第1の部分138の底部から凹部136の底部まで延び得る。第1の部分138は、例えば、中央ねじ130を挿入または除去するためのツールと係合するための駆動機能であり得る。第2の部分140は、例えば、支柱200の対応するねじ210を受け入れるためにねじ付けされ得る。近位部分132は、例えば、多孔質固定を提供するためのテクスチャまたはコーティングを有し得る。近位部分132は、例えば、骨を保存するように構成またはサイズ決定され、成形され得る。遠位ねじ部分142は、例えば、患者の骨と係合してベースプレート110を関節窩などの患者の骨に固定するようにねじを付けられ得る。
【0027】
引き続き図7図15を参照すると、少なくとも1つの周囲ねじ150が示されている。少なくとも1つの周囲ねじ150は、周囲ねじ150の第1の端部からヘッド部分152に埋め込まれた駆動開口部154を備えたヘッド部分152を含み得る。少なくとも1つの周囲ねじ150はまた、周囲ねじ150の第2の端部までヘッド部分152の底面から離れて延びるねじ部分156を含み得る。少なくとも1つの周囲ねじ150は、例えば、図示の実施形態に示されるような3つの周囲ねじ150であり得る。周囲ねじ150の代替数もまた、ベースプレート110の周囲ボア122の数に対応すると考えられる。周囲ねじ150は、ベースプレート110の周囲ボア122を通して挿入されて、ベースプレート110を患者の骨に固定することを補助するために、関節窩等の患者の骨と係合することができる。
【0028】
結合部材またはモジューラテーパ160が、図7図15に示されている。結合部材160は、結合部材160の遠位端または第2の端部に外側ねじ部分162を含み得る。結合部材160はまた、第1の端部から結合部材160内に延びる近位凹部164を含み得る。結合部材160はまた、結合部材160を通って第1の端部から第2の端部まで延びる中央ボア166を含み得る。近位凹部164は、例えば、結合部材160の第1の端部で中央ボア166と重なることができる。
【0029】
引き続き図7図15を参照すると、グレノスフィア180は、グレノスフィア180を通って第1の端部から第2の端部まで延びる中央ボア182を含み得る。中央ボア182は、遠位テーパ部分184、中央ねじ部分186、および近位円筒部分188を含み得る。遠位テーパ部分184は、グレノスフィア180の第2の端部から第1の端部に向かって延び得る。中央ねじ部分186は、遠位テーパ部分184と近位円筒部分188との間に配置され得る。近位円筒形部分188は、グレノスフィア180の第1の端部まで中央ねじ部分186から延び得る。図7図8および図15に示すように、遠位テーパ部分184の直径は、例えば、近位円筒部分188の直径よりも大きくてもよい。さらに、中央ねじ部分186の直径は、近位円筒部分188および遠位テーパ部分184の直径よりも小さくてもよい。遠位テーパ部分184は、それらがグレノスフィア180の第2の端部から中央ねじ部分186まで延びるにつれて先細りになる側壁を含み得る。グレノスフィア180の第2の端部は、第1のリップまたは外側リップ192と突起194との間に配置された凹状領域190を含み得る。第1のリップ192は、グレノスフィア180の第2の端部の円周を取り囲んでもよい。第1のリップ192は、例えば、凹状領域190を取り囲む一定または連続のリングであり得る。突起194は、グレノスフィア180の第2の端部の中央ボア182を取り囲み得る。
【0030】
支柱200は、図7図15に示される。支柱200は、支柱200の第1の端部に配置された円筒形の近位ヘッド202を含み得る。円筒形近位ヘッド202は、例えば、第1および支柱200から近位ヘッド202内に延びる近位凹部204を含み得る。支柱200はまた、近位ヘッド202の第2の端部から離れて延びる中央部分206を含み得る。さらに、支柱200は、支柱200の第2の端部に配置された遠位部分208を含み得る。支柱200はまた、中央部分206と遠位部分208との間に配置された外側ねじ部分210を含み得る。ねじ部分210は、例えば、中央ねじ130の第2のねじ部分140と係合するように構成またはサイズ決定され、成形され得る。
【0031】
図1図6に示されるように、インプラント100は、例えば、中央ねじ130をベースプレート110の中央ボア116を通して挿入することによって組み立てられ得る。次に、結合部材160のねじ部分162を、ベースプレート110の近位内側ねじ部分118にねじ込んで、中央ねじ130をベースプレート110に固定し得る。ベースプレート110、中央ねじ130、および結合部材160が一緒に固定された後、それらは、例えば、一緒に結合された患者に挿入され得る。次に、少なくとも1つの周囲ねじ150を、ベースプレート110の複数の周囲ボア122を通して挿入し得る。次に、グレノスフィア180の遠位テーパ部分184は、結合部材160の近位端に結合され得る。結合部材160は、例えば、結合部材160が取り付けられる前に周囲ねじ150の角度付けを可能にして、グレノスフィア180が取り付けられたときに中央ねじ130が抜けるのを防ぐことを補助し得る。次に、支柱200は、支柱200のねじ部分210が中央ねじ130のねじ部分140と係合するように、グレノスフィア180の中央ボア182、及び結合部材160の中央ボア166を通って、中央ねじ130の凹部136に挿入され得る。
【0032】
関節窩インプラント100、300を移植するための外科的方法は、寸法決めおよび整列ステップを実行することによって患者の関節を準備することを含み得る。次に、骨をリーマ加工してチャネルおよび凹部を形成し、関節窩インプラント100、300を受け入れることができる。次に、選択された関節窩インプラント100、300が挿入され、骨に結合され得る。最後に、外科的処置が完了し、患者の切開が閉じられ得る。
【0033】
図16図45を参照すると、関節窩インプラントまたは逆関節窩インプラント300の別の実施形態が示されている。図21図22に示されるように、関節窩インプラント300は、ベースプレート310、中央ねじ330、周囲圧縮ねじ350、モジューラテーパ260、グレノスフィア380、および支柱390を含む。
【0034】
図23図28を参照すると、ベースプレート310は、円筒形であり、上面312、および下面または底面314を含む。ベースプレート310はまた、上面312と下面314との間に延びる中央ボア316を含む。ベースプレート310はまた、中央ボア316の周りに配置された複数の周囲ボア322を含む。さらに、ベースプレートは、ベースプレート310の底面314から離れて延びる複数の個別の弧状キール324を含む。図27に示されるように、ベースプレート310の中央ボア316は、近位内側ねじ部分318および遠位非ねじ部分320を含む。
【0035】
図29図31を参照すると、中央ねじ330は、中心軸、円筒形を有する近位非ねじ部分332、および遠位ねじ部分344を含む。中央ねじ330は、近位非ねじ部分332および/または遠位ねじ部分344と同様に、任意の所望の長さまたは幅を含むことができる。有利には、逆関節窩システムは、様々な全長および様々な部分長さを有する複数の中央ねじ330を含み得る。中央ねじ330の非ねじ部分332は、テクスチャリング、細孔、穴を含む骨内部成長表面、および/または機械的または生物学的骨内部成長促進材料に噴霧された骨内部成長表面をさらに含み得る。中央ねじ330はまた、近位ヘッド部分334を含む。ヘッド部分334は、非ねじ部分332と反対の方向に増加する表面積を有する。中央ねじ330のヘッド部分334は、トルク装置(ねじ回し等)と係合するための近位雌セクション338を含む凹部336を含む。凹部336は、中央ねじ部分340、および遠位非ねじ部分342を含む。凹部336は、近位ヘッド334を通して配置される。図31および32に示されるように、中央ねじ330は、ベースプレート310の中央ボア316を通してスライド可能に配置される。中央ねじ330がベースプレートの中央ボア316によって捕捉されるように、ヘッド334の直径は、ベースプレート310の中央ボア316の非ねじ部分320の直径よりも大きい。中央ねじ330は、例えば、骨にねじ込むのに適している。
【0036】
図32図34には、周囲ねじ350が示されている。ねじ350は、例えば、整形外科インプラント技術において知られているタイプの標準的な圧縮ねじであり得る。周囲ねじ350は、ヘッド部分352、ねじ350の第1の端部でヘッド部分352に挿入された駆動開口354、およびヘッド部分352から離れて延びるねじ部分356を含み得る。各ねじ350は、ベースプレート310の周囲ボア322の少なくとも1つを通って所望の骨に挿入可能であり、インプラント300を骨に圧縮する。
【0037】
図35図37を参照すると、結合部材またはモジューラテーパ360が示されている。モジューラテーパ360は、外側テーパ円筒形を含む。モジューラテーパ360は、スクリュードライバー等のトルク装置と係合するための遠位外側ねじ部分362および近位凹部364をさらに含む。モジューラテーパ360はまた、モジューラテーパ360を通して配置された中央ボア366を含む。図21および図22に示されるように、モジューラテーパ360は、ベースプレート310の中央ボア316内にねじで接続される。
【0038】
図38図42を参照すると、グレノスフィア380が示されている。グレノスフィア380は、半球形であり、遠位テーパ部分384、中央ねじ部分386、および近位円筒部分388を有する中央ボア382を含む。図21および図22において、グレノスフィア380は、モジューラテーパ360の外側およびグレノスフィアボア382の遠位テーパ部分384が機械的テーパ接続を形成するように、モジューラテーパ360の上に配置される。
【0039】
43~図45を集約的に参照すると、支柱390が示されている。支柱390は、トルク装置と係合するための直径および近位凹部394を有する円筒形近位ヘッド392を含む。支柱390はさらに、支柱近位ヘッド392の直径よりも小さい直径を有する中央部分396と、支柱近位ヘッド392の直径よりも小さい直径を有する遠位部分398とを含む。支柱390はまた、中央支柱部分396と遠位支柱部分398との間の支柱390の一部に沿って配置された外側ねじ部分400を含む。組み立てられたとき、図21および図22に示されるように、支柱390は、グレノスフィア380の中央ボア382を通して、モジューラテーパ360の中央ボア366を通して配置され、中央ねじ330の凹部336にねじで接続される。
【0040】
本開示によるインプラント300は、他の既知の逆関節窩デバイスに勝るいくつかの利点を提供する。ベースプレート310は、圧縮を提供するために中央ロッキングねじ330を受け入れることができ、次に、グレノスフィア380を受け入れるテーパーキャップ360を介して構造を剛性化するために所定の位置にロックされる。この構築物は、外科医がロックされた構築物300全体を一体として挿入して、工程を合理化するか、または修正手術を単純化することを可能にするために、事前に組み立てることができる。テーパは後で追加でき、かつ/または偏心を可能にする組み込まれたオフセットを有し、若しくは側方に組み込むためのより長いテーパーオプションを有する。
【0041】
ねじ330は、ベースプレートの遠位支柱を本質的に置き換える支柱部分を有し、その形状をねじに伝達し、ねじがそれを通過する必要がなく、最終的に骨を保存するので、支柱の直径をはるかに小さくすることができる。さらに、ねじ330はベースプレートを通過し、ねじ部分を介して圧縮を提供するとともに、近位部分を介して長期間固定する。
【0042】
整形外科用インプラントアセンブリ300を使用する例示的な方法は、ベースプレート310を骨に配置する工程、ベースプレート310を介して中央ねじ330を骨に挿入する工程、ベースプレート310の周囲ボア322を介して周囲圧縮ねじ350を挿入する工程、及びモジューラテーパ360をベースプレート310の中央ボア316にねじ込む工程を含む。これらの工程は、開腹手術中に実行することも、手術前に事前に組み立てることもできる。
【0043】
次に、本開示のインプラント300を使用する例示的な方法は、グレノスフィア380をモジューラテーパ360上に配置する工程、支柱390をグレノスフィア380およびテーパ360に挿入する工程、そして同じものを中央ねじ330にねじ込む工程を含む。
【0044】
本明細書の教示に基づいて当業者によって認識され得るように、本開示の範囲から逸脱することなく、本開示の上記および他の実施形態に対して多数の変更および修正を行うことができる。添付の要約および図面を含む、本明細書に開示されるインプラント、デバイス、および/またはシステムの構成要素は、別の実施形態に開示されるものなどの代替の構成要素または特徴によって置き換えられ得、意図された目的のために同様の機能を提供するために、そのような代替の構成要素または特徴によって同じ、同等または同様の結果を達成するために当業者によって知られているのと同じ、同一または同様の目的を提供する。さらに、インプラント、デバイス、および/またはシステムは、本明細書に記載および図示される実施形態よりも多いまたは少ない構成要素または特徴を含み得る。例えば、インプラント100、300の構成要素および特徴は、当業者によって修正または変更されるように、交換可能に、および代替の組み合わせで使用され得る。さらに、インプラント100、300に関連する外科的方法のステップは、当業者によって修正または変更されるように、互換的に、および代替の組み合わせで使用することができる。したがって、現在好ましい実施形態のこの詳細な説明は、本開示の限定とは対照的に、例示的に解釈されるべきである。
【0045】
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、本発明を限定することを意図するものではない。本明細書で使用される場合、単数形「1つの」、および「その」は、文脈が明らかに他のことを示さない限り、複数形も含むことを意図している。さらに、「構成する」(および「構成している」などの「構成する」任意の形態)、「有する」(および「有している」などの「有する」任意の形態)、「備える」(および「備えている」などの「備える」の任意の形態)という用語は、制限のない連結動詞です。結果として、1つまたは複数のステップまたは構成部材を「構成する」、「有する」、「備える」、または「含む」方法またはデバイスは、それらの1つまたは複数のステップまたは構成要素を所有するが、それらの1つまたは複数のステップまたは構成要素のみを所有することに限定されない。同様に、1つまたは複数の特徴を「構成する」、「有する」、「備える」、または「含む」方法の工程またはデバイスの構成要素は、それらの1つまたは複数の特徴を所有するが、それらの1つのみを所有することに限定されない。さらに、特定の方法で構成されたデバイスまたは構造は、少なくともその方法で構成されるが、記載されていない方法で構成されてもよい。
【0046】
本発明は、好ましい実施形態を参照して説明されてきた。本明細書に記載の使用できる実施形態は、同じ一般的な特徴、特性、および一般的なシステム動作を提供するための複数の可能な構成の例示であることが理解される。上記の詳細な説明を読んで理解すると、第3者は修正や変更を思いつくであろう。本発明は、そのようなすべての修正および変更を含むと解釈されることが意図される。
図1
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