(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-14
(45)【発行日】2023-07-25
(54)【発明の名称】環状アミドを含むレオロジー制御添加剤
(51)【国際特許分類】
C09K 3/00 20060101AFI20230718BHJP
C09D 7/43 20180101ALI20230718BHJP
C09D 201/00 20060101ALI20230718BHJP
【FI】
C09K3/00 103H
C09K3/00 103N
C09D7/43
C09D201/00
(21)【出願番号】P 2021555210
(86)(22)【出願日】2020-03-12
(86)【国際出願番号】 EP2020056659
(87)【国際公開番号】W WO2020182944
(87)【国際公開日】2020-09-17
【審査請求日】2021-11-12
(32)【優先日】2019-03-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】598067245
【氏名又は名称】ベーイプシロンカー ヘミー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクター ハフトゥング
(74)【代理人】
【識別番号】110002620
【氏名又は名称】弁理士法人大谷特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チャイダ ドミニカ ベータ
(72)【発明者】
【氏名】ナゲルスディイク レネ
(72)【発明者】
【氏名】ビューネ シルビア
(72)【発明者】
【氏名】モールヘン ビアンカ
(72)【発明者】
【氏名】ティーマン アンドレ
【審査官】中田 光祐
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-518398(JP,A)
【文献】国際公開第2019/005596(WO,A1)
【文献】特開2012-092330(JP,A)
【文献】特表2021-519365(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K 3/00;
3/20- 3/32
C09D 1/00- 10/00;
101/00-201/00
JSTPlus/JST7580/JSTChina(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲル浸透クロマトグラフィーによってDIN 55672 パート2(2016年)に従って測定される650g/molから8000g/molの間の数平均分子量(Mn)を有する1種以上の尿素ベースの化合物(A)と、
式(I)
【化1】
(式中、R
1は、1個~2個の炭素原子を有する有機基であり、かつR
1は、単結合によって連結された酸素原子を含まない)による1種以上の窒素置換カプロラクタム誘導体(B)と、
を含む組成物であって、
前記尿素ベースの化合物は、式
【化2】
(式中、
AMは、2個~50個のC原子を有する直鎖状または分岐状の、飽和または不飽和の、脂肪族、環状脂肪族、芳香族、または脂肪族-芳香族の有機基から選択され、AMが複数存在する場合に、AMは、独立して、2個~50個のC原子を有する直鎖状または分岐状の、飽和または不飽和の、脂肪族、環状脂肪族、芳香族、または脂肪族-芳香族の有機基から選択され、AM1およびAM2は、互いに独立して、1個~50個のC原子を有する直鎖状または分岐状の、飽和または不飽和の、脂肪族、芳香族、または脂肪族-芳香族の有機基を表し、AM1およびAM2が複数存在する場合に、AM1およびAM2は、独立して前記有機基を表し、
IC1およびIC2は、互いに独立して、2個~40個のC原子を有する直鎖状または分岐状の、飽和または不飽和の、脂肪族、芳香族、または脂肪族-芳香族の炭化水素基を表し、IC1およびIC2が複数存在する場合に、IC1およびIC2は、独立して前記炭化水素基を表し、
IC3は、2個~24個の炭素原子を有する直鎖状または分岐状の、飽和または不飽和の、脂肪族、芳香族、または脂肪族-芳香族の炭化水素基を表し、IC3が複数存在する場合に、IC3は、独立して、2個~24個の炭素原子を有する直鎖状または分岐状の、飽和または不飽和の、脂肪族、芳香族、または脂肪族-芳香族の炭化水素基を表し、
IC4は、IC1およびIC2について記載された基、または構造-[IC2-NH-(C=O)-O-RP3-O-(C=O)-NH-IC2]-を有するウレタン基含有セグメントから選択され、式中、IC2は、(U-2a)について記載された通りに規定され、かつRP3は、(U-2b)について記載された通りに規定され、
RP1およびRP2は、互いに独立して、1個~24個のC原子を有する直鎖状もしくは分岐状の、飽和もしくは不飽和の、脂肪族、芳香族、もしくは脂肪族-芳香族の有機基、および/または1個~120個のエーテル酸素原子を有するポリエーテル基、および/または1個~100個のエステル基を有し、任意にエーテル基を含むポリエステル基、および/または1個~100個のアミド基を有するポリアミド基、および/または3個~100個のケイ素原子を有するポリシロキサン基を表し、RP1およびRP2が複数存在する場合に、RP1およびRP2は、独立して前記有機基、前記ポリエーテル基、前記ポリエステル基、前記ポリアミド基、及び前記ポリシロキサン基からなる群から選択される基を表し、
RP3は、2個~24個のC原子を有する直鎖状もしくは分岐状の、飽和もしくは不飽和の、脂肪族、芳香族、もしくは脂肪族-芳香族の有機基、および/または1個~120個のエーテル酸素原子を有する(ポリ)エーテル基、および/または1個~100個のアミド基を有するポリアミド基、および/または3個~100個のケイ素原子を有するポリシロキサン基、および/または1個~100個のエステル基を有し、任意にエーテル基を含むポリエステル基を表し、RP3が複数存在する場合に、RP3は、独立して前記有機基、前記(ポリ)エーテル基、前記ポリアミド基、前記ポリシロキサン基、前記ポリエステル基からなる群から選択される基を表し、かつ、mは、1~5の整数であり、pは、0および/または1を表し、qは、0~20の整数である)から選択され、かつ前記組成物が、式(U-2a)の尿素ベースの化合物を含む場合に、
前記組成物中の全ての尿素ベースの化合物の少なくとも50重量%が式(U-2a)によるものであり、かつ、
前記窒素置換カプロラクタム誘導体(B)は、N-メチルカプロラクタム、N-エチルカプロラクタム、N-アセチルカプロラクタム、およびそれらの混合物のうちの少なくとも1種を含む、
組成物。
【請求項2】
前記組成物は、1種以上の塩(D)を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記塩は、塩化物、酢酸塩、および/または硝酸塩の形のリチウム塩、アンモニウム塩、またはカルシウム塩である、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
3重量%~75重量%の650g/molから8000g/molの間の数平均分子量(Mn)を有し、かつ更に請求項1に規定される通りの前記1種以上の尿素ベースの化合物(A)と、
25重量%~97重量%の前記1種以上の窒素置換カプロラクタム誘導体(B)と、
を含み、ここで、前記重量%は、(A)および(B)の合計に対して計算される、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
液体組成物のレオロジーを制御するための、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項6】
非水性組成物のレオロジーを制御するための、請求項5に記載の組成物の使用。
【請求項7】
水性組成物のレオロジーを制御するための、請求項5に記載の組成物の使用。
【請求項8】
コーティング組成物および/またはペイント組成物のレオロジーを制御するための、請求項5~7のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項9】
請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物を含む、23℃で液体である液体組成物。
【請求項10】
0.02重量%~6.00重量%の成分(A)と、0.05重量%~8.00重量%の成分(B)とを含み、ここで、前記重量%は、液体組成物の重量に対して計算される、請求項9に記載の液体組成物。
【請求項11】
前記液体組成物は、コーティング組成物、クリアコート組成物、ラッカー、ワニス、プラスチック配合物、顔料ペースト、エフェクト顔料ペースト、ポリマー配合物、シーラント配合物、化粧品配合物、ホームケア配合物もしくはインダストリアルケア配合物(香水配合物およびフレグランス配合物を含む)、セラミック配合物、接着剤配合物、採ガスおよび採油で使用するための液体配合物、電機部品および回路の製造用の組成物、エネルギー貯蔵媒体で使用するための液体配合物、洗浄剤、ポッティング用コンパウンド、建材配合物、潤滑剤、充填用コンパウンド、ワックスエマルジョン、金属加工液、金属加工用製品、スプレー剤の形の液体組成物、沈着助剤、インキ、印刷インキおよびインクジェットインキ、または船舶コーティングおよび保護コーティングの分野における腐食防止として使用され得る組成物、ならびにそれらの混合物から選択される、請求項9または10に記載の液体組成物。
【請求項12】
液体組成物のレオロジーを制御する方法であって、
請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物を準備する工程、
液体組成物を準備する工程、
前記請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物および前記液体組成物を混合する工程、
を含む、方法。
【請求項13】
物品の表面の少なくとも一部が請求項9~11のいずれか一項に記載の液体組成物でコーティングされている、コーティングされた物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、尿素ベースの化合物と環状アミド化合物とを含む組成物、およびレオロジー制御剤としてのその使用に関する。本発明は更に、尿素ベースの化合物と環状アミド化合物とを含む液体組成物、および液体組成物のレオロジーを制御する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液体系のレオロジーは、しばしば、任意に有機変性され得る粘土、例えばベントナイトおよび/またはシリカ、硬化ひまし油、ならびにポリアミドワックスを使用して制御される。これらのレオロジー制御助剤の不利点は、これらのほとんどが乾燥した固体であることから、溶剤および剪断力を使用して半完成品に加工し、および/または狙い通りの温度制御によって液体系へと導入しなければならないことである。これらの温度を遵守しないと、粗悪なレオロジー性能だけでなく、生成物の有害な特性がもたらされることもある。
【0003】
液体系がコーティング組成物である場合に、これらのレオロジー制御助剤は頻繁に、明澄透明なコーティングに曇りおよびヘイズの事態を招く。さらに、加工の間に粉塵を引き起こす乾燥粉末状製品を用いて作業するのは、技術的に好ましくない場合がある。
【0004】
これらのレオロジー制御助剤に代わる液体の利用は、例えば特許文献1に記載される特定の尿素成分の溶液によって提供される。典型的には、極性/非プロトン性溶剤が、溶剤および/またはキャリア媒体として機能する。あるいは、古典的な有機希釈剤の代わりに、特許文献2に記載されるようにイオン液体が使用され得る。これらは80℃を下回る中程度の温度で流体である溶融塩である。
【0005】
これらの液体レオロジー制御助剤は、多様な要件に適合していることが必要である。これらは、改善されたレオロジー活性を示すだけでなく、同様に塗布関連の配合物(例えば、バインダー)においても幅広い適合性を示す必要がある。
【0006】
液体形で提供されるレオロジー制御助剤に関連して留意されるべき更なる態様は、その貯蔵安定性である。例えば、例えば温度変化を伴う貯蔵の場合の長期の貯蔵時間または高まった貯蔵ストレスは、対象の系での効力の低下に伴い、貯蔵安定性の低下をもたらす場合がある。尿素成分は、塗布系において、例えばこれらの系における結晶化によってそれらのレオロジー制御効果を示すと想定されているが、尿素調製物の貯蔵形では、尿素成分の何らかの増粘効果またはそれどころか結晶化は極めて不所望である。したがって、レオロジー制御助剤は、良好な貯蔵安定性を有し、貯蔵時に容易に沈殿しないことが望ましい。別の関連する要因は、人間および環境の曝露に関するそれらの毒性学的評価である。上述の全てのこのパラメーターは、適切な調製物を選択することの制限となる。したがって、適切なレオロジー制御助剤の選択が困難であるのは、これらが特に後の塗布系と適合性であることに加えて、更なる要求(例えば、溶剤がレオロジー制御成分または塗布系の他の成分と反応しない)も満たす必要があるからである。したがって、レオロジー的な効力の点だけでなく他のパラメーターに関しても改善されたレオロジー制御助剤が必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】欧州特許出願公開第1188779号明細書
【文献】独国特許出願公開第102008059702号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明の特定の目的は、多くの塗布系で使用可能である優れた効果の高品質なレオロジー制御剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
驚くべきことに、これらの目的は、350g/molから30000g/molの間の数平均分子量(Mn)を有する1種以上の尿素ベースの化合物(A)と、式(I)
【化1】
(式中、R
1は、1個~2個の炭素原子を有する有機基であり、かつR
1は、単結合によって連結された酸素原子を含まない)による1種以上の窒素置換カプロラクタム誘導体(B)とを含む組成物を提供することによって達成され得ることが判明した。
【0010】
1種以上の尿素ベースの化合物(A)は、少なくとも1個の尿素基を含む化合物である。一実施形態では、尿素ベースの化合物は、尿素-ウレタン化合物である。別の実施形態では、尿素成分は、少なくとも1個の尿素基および少なくとも1個のウレタン基を含む分子を含む。別の実施形態では、尿素成分は、少なくとも1個の尿素基および少なくとも2個のウレタン基を含む分子を含む。別の実施形態では、尿素成分は、少なくとも2個の尿素基を含む分子を含み、更に別の実施形態では、尿素成分は、少なくとも4個の尿素基または5個以上の尿素基を含む分子を含む。異なる実施形態では、尿素成分は、少なくとも2個の尿素基および少なくとも2個のウレタン基を含む分子を含む。本発明の異なる実施形態では、ウレタン基が存在しない場合さえもある。
【0011】
適切には、国際公開第2015/158407号パンフレットの請求項11、国際公開第2015/158407号パンフレットの請求項13、国際公開第2015/158407号パンフレットの請求項16、および欧州特許出願公開第1396510号明細書の請求項1による尿素ベースの化合物が使用される。
【0012】
好ましい種類の尿素ベースの化合物(A)は、以下の一般式(U-1)
R31-[R33-Z-R34-W-]n-R32 (U-1)
(式中、R31およびR32は、互いに独立して、かつ各場合に独立して、1個~100個の炭素原子を含み、かつそれぞれ1個以下の尿素基およびそれぞれ1個以下のウレタン基を有する分岐状または非分岐状の飽和または不飽和の有機基を表し、R33およびR34は、互いに独立して、かつ各場合に独立して、1個~300個の炭素原子を含み、任意にエーテル基を含む分岐状もしくは非分岐状のポリエステル基、2個~300個の炭素原子を含む分岐状もしくは非分岐状のポリエーテル基、1個~300個の炭素原子を含む分岐状もしくは非分岐状のポリアミド基、3個~100個のケイ素原子を含むポリシロキサン基、分岐状もしくは非分岐状のC2~C22アルキレン基、分岐状もしくは非分岐状のC2~C22シクロアルキレン基、分岐状もしくは非分岐状のC2~C18アルケニレン基、C6~C12アリーレン基、および/または分岐状もしくは非分岐状のC7~C22アリールアルキレン基を表し、ZおよびWは、互いに独立して、NH-CO-Oおよび/またはNH-CO-NHを表し、ZおよびWが複数存在する場合に、ZおよびWは、独立して上記の基を表し、nは、1~150、好ましくは2~150の整数を表し、nが複数存在する場合に、nは、独立して1~150、好ましくは2~150の整数を表す)により記載され得る。
【0013】
別の好ましい実施形態では、尿素ベースの化合物(A)は、一般式(U-2a)、一般式(U-2b)、一般式(U-2c)、一般式(U-2d)、および一般式(U-2e)
【化2】

(式中、AMは、2個~50個のC原子を有する直鎖状または分岐状の、飽和または不飽和の、脂肪族、環状脂肪族、芳香族、または脂肪族-芳香族の有機基から選択され、AMが複数存在する場合に、AMは、独立して、2個~50個のC原子を有する直鎖状または分岐状の、飽和または不飽和の、脂肪族、環状脂肪族、芳香族、または脂肪族-芳香族の有機基から選択され、AM1およびAM2は、互いに独立して、1個~50個のC原子を有する直鎖状または分岐状の、飽和または不飽和の、脂肪族、芳香族、または脂肪族-芳香族の有機基を表し、AM1およびAM2が複数存在する場合に、AM1およびAM2は、独立して上記の基を表し、IC1およびIC2は、互いに独立して、2個~40個のC原子を有する直鎖状または分岐状の、飽和または不飽和の、脂肪族、芳香族、または脂肪族-芳香族の炭化水素基を表し、IC1およびIC2が複数存在する場合に、IC1およびIC2は、独立して上記の基を表し、IC3は、2個~24個の炭素原子を有する直鎖状または分岐状の、飽和または不飽和の、脂肪族、芳香族、または脂肪族-芳香族の炭化水素基を表し、IC3が複数存在する場合に、IC3は、独立して、2個~24個の炭素原子を有する直鎖状または分岐状の、飽和または不飽和の、脂肪族、芳香族、または脂肪族-芳香族の炭化水素基を表し、RP1およびRP2は、互いに独立して、1個~24個のC原子を有する直鎖状もしくは分岐状の、飽和もしくは不飽和の、脂肪族、芳香族、もしくは脂肪族-芳香族の有機基、および/または1個~120個のエーテル酸素原子を有するポリエーテル基、および/または1個~100個のエステル基を有し、任意にエーテル基を含むポリエステル基、および/または1個~100個のアミド基を有するポリアミド基、および/または3個~100個のケイ素原子を有するポリシロキサン基を表し、RP1およびRP2が複数存在する場合に、RP1およびRP2は、独立して上記の基を表し、RP3は、2個~24個のC原子を有する直鎖状もしくは分岐状の、飽和もしくは不飽和の、脂肪族、芳香族、もしくは脂肪族-芳香族の有機基、および/または1個~120個のエーテル酸素原子を有する(ポリ)エーテル基、および/または1個~100個のアミド基を有するポリアミド基、および/または3個~100個のケイ素原子を有するポリシロキサン基、および/または1個~100個のエステル基を有し、任意にエーテル基を含むポリエステル基を表し、RP3が複数存在する場合に、RP3は、独立して上記の基を表し、かつ、mは、0~20、好ましくは1~20、より好ましくは1~5の整数であり、pは、0および/または1を表し、qは、0~20の整数である)から選択される。
【0014】
好ましくは、1種以上の尿素ベースの化合物(A)は、式(U-2a)による構造を有し、式中、RP1は、4個~24個の炭素原子を有するヒドロカルビル基、または最大50個のアルキレンオキシド繰返単位を有するポリエーテルセグメント、好ましくはセグメントQ-(O-AO)
r(式中、Qは、C
1~C
18アルキルまたはアルケニル基であり、AOは、基C
2H
4または基C
3H
6であり、かつrは、2~35の整数である)から選択され、IC1およびIC2は、好ましくは、以下の二価の基(ここで、「
*」は接続部位を示す)
【化3】
.
の1つから選択され、かつ、
AMは、基C
2H
4、基C
3H
6、基C
4H
8、基C
5H
10、基C
6H
12、基C
6H
10、-CH
2-C
6H
4-CH
2-、または基
【化4】
(式中、R
xおよびR
yは、HまたはCH
3を表す)から選択される。
【0015】
(U-2a)の非常に好ましい実施形態では、IC1は、
【化5】
から選択される。
【0016】
更により好ましくは、IC1およびIC2は、
【化6】
から選択される。
【0017】
(U-2a)の非常に好ましい実施形態では、AMは、C2H4および-CH2-C6H4-CH2-から選択される。
【0018】
(U-2a)の非常に好ましい実施形態では、mは、0~10の整数である。特定の実施形態では、mは、1~5の整数である。
【0019】
別の好ましい実施形態では、1種以上の尿素ベースの化合物(A)は、式(U-2b)による構造を有し、式中、IC1およびIC2の好ましい実施形態は、(U-2a)について記載された通りであり、特に、基C7H6、または基-C6H4-CH2-C6H4-であり、AM1およびAM2は、直鎖状もしくは分岐状の、飽和もしくは不飽和のC1~C24アルキル基もしくはアルケニル基、または基C6H5-CH2-であり、かつ、RP3は、2個~20個の炭素原子を有するヒドロカルビル基、または1個~40個のエーテル酸素原子を有するポリエーテルセグメント、好ましくは1個~30個のエチレンオキシドベースおよび/またはプロピレンオキシドベースの繰返単位を含むポリエーテルセグメントから選択される。
【0020】
更なる好ましい実施形態では、1種以上の尿素ベースの化合物(A)は、式(U-2c)による構造を有し、式中、AM1およびAM2の好ましい実施形態は、(U-2b)について記載された通りであり、AMの好ましい実施形態は、(U-2a)について記載された通りであり、かつ、IC4は、IC1およびIC2について記載された基、または構造-[IC2-NH-(C=O)-O-RP3-O-(C=O)-NH-IC2]-を有するウレタン基含有セグメントから選択され、式中、IC2は、(U-2a)について記載された通りに規定され、かつRP3は、(U-2b)について記載された通りに規定される。
【0021】
(U-2c)については、IC4が、基C7H6、基-C6H4-CH2-C6H4-、および基-[IC2-NH-(C=O)-O-RP3-O-(C=O)-NH-IC2]-から選択されることが特に好ましく、式中、IC2は、基C7H6、または基-C6H4-CH2-C6H4-を表し、かつRP3は、1個~30個のエチレンオキシドベースおよび/またはプロピレンオキシドベースの繰返単位を含むポリエーテルセグメントを表す。
【0022】
(U-2c)の好ましい実施形態では、qは、0~15、更により好ましくは0~7、最も好ましくは0~4、例えば1~4の整数である。
【0023】
好ましい実施形態では、本発明の組成物の全ての尿素ベースの化合物(A)の少なくとも50重量%は、式(U-2a)または式(U-2c)による構造を有する。
【0024】
非常に好ましい実施形態では、本発明による組成物の全ての尿素ベースの化合物(A)の少なくとも50重量%は、式(U-2a)による構造を有し、かつmは0であるか、またはmは1~5であり、非常に好ましくは、mは0である。
【0025】
好ましい実施形態では、1種以上の尿素ベースの化合物(A)は、尿素ウレタンであり、かつ(A)の95重量%~100重量%は、一般式(U-3a)
-O-CO-NH-Y1-NH-CO-NH- (U-3a)
(式中、Y1は、6個~20個の炭素原子を含む飽和または不飽和の、分岐状または非分岐状の炭化水素基を表し、Y1が複数存在する場合に、Y1は、独立して、6個~20個の炭素原子を含む飽和または不飽和の、分岐状または非分岐状の炭化水素基を表す)の少なくとも1個の分子セグメントを含み、かつ、それぞれの場合に、一般式(U-3b)
-O-CO-NH-Y2-NH-CO-O- (U-3b)
(式中、Y2は、6個~20個の炭素原子を含む飽和または不飽和の、分岐状または非分岐状の炭化水素基を表す)の分子セグメントを含まない。Y2が複数存在する場合に、Y2は、独立して、6個~20個の炭素原子を含む飽和または不飽和の、分岐状または非分岐状の炭化水素基を表す。
【0026】
尿素ベースの化合物は、対応するイソシアネートと、アミン、例えば国際公開第2015/158407号パンフレットの請求項14に記載されるアミンまたはイソシアネートとの反応によって既知のように調製され得る。この種類の尿素化合物についての調製方法は、例えば、米国特許第7250487号明細書、米国特許第7348397号明細書、欧州特許出願公開第1396510号明細書、欧州特許出願公開第2292675号明細書においてより詳細に記載されている。
【0027】
好ましくは、尿素ベースの化合物は、少なくとも400g/molの数平均分子量(Mn)を有する。より好ましくは、数平均分子量は、500g/molを上回り、更により好ましくは650g/molを上回り、最も好ましくは800g/molを上回る。さらに、1種以上の尿素ベースの化合物の数平均分子量(Mn)は、好ましくは20000g/molを下回り、より好ましくは10000g/molを下回り、最も好ましくは8000g/molを下回る。好ましくは、数平均分子量(Mn)は、500g/molから30000g/molの間、より好ましくは650g/molから20000g/molの間、更により好ましくは800g/molから8000g/molの間、最も好ましくは800g/molから5000g/molの間である。
【0028】
更なる好ましい実施形態では、数平均分子量は、少なくとも1500g/mol、好ましくは1500g/molから20000g/molの間、より好ましくは1500g/molから8000g/molの間、更により好ましくは1500g/molから5000g/molの間である。
【0029】
数平均分子量および重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(溶離液:ジメチルアセトアミド中の臭化リチウムの溶液(含有量5g/l)、標準:ポリメチルメタクリレート、カラム温度:50℃)によってDIN 55672 パート2(2016年)に従って測定され得る。あるいは、数平均分子量は計算によって求められ得る。さらに、1000g/molまでの小分子についての数平均分子量は、質量分光測定法または核磁気共鳴分光測定法などの他の方法によって測定され得る。多分散性Dは、重量平均分子量Mwを数平均分子量Mnで割ることによって計算される。
【0030】
式(I)による1種以上の窒素置換カプロラクタム誘導体(B)のR1は、1個~2個の炭素原子を有する有機基であり、かつ単結合によって連結された酸素原子を含まない。一実施形態では、R1は、ヘテロ原子を一切含まない。異なる実施形態では、R1は、ヘテロ原子を含む。この場合に、R1が、二重結合によって連結された酸素原子を含むことが好ましい。R1が、二重結合によって連結された1個の酸素原子を含むことが最も好ましい。適切には、二重結合によって連結された1個の酸素原子は、カルボニル基の一部である。
【0031】
別の実施形態では、R1は、1個の炭素原子を有する有機基である。更に異なる実施形態では、R1は、2個の炭素原子を有する有機基である。好ましい実施形態では、R1は、1個の炭素原子または2個の炭素原子を有するヒドロカルビル基である。
【0032】
好ましい実施形態では、カプロラクタム誘導体(B)は、N-メチルカプロラクタム、N-エチルカプロラクタム、N-ビニルカプロラクタム、N-アセチルカプロラクタム、およびそれらの混合物のうちの少なくとも1種を含む。
【0033】
上記組成物は、適切には、3重量%~75重量%の350g/molから30000g/molの間の数平均分子量(Mn)を有する1種以上の尿素ベースの化合物(A)と、25重量%~97重量%の1種以上の窒素置換カプロラクタム誘導体(B)とを含み、ここで、重量%は、(A)および(B)の合計に対して計算される。好ましくは、上記組成物は、10重量%~65重量%、より好ましくは15重量%~60重量%、最も好ましくは20重量%~55重量%の1種以上の尿素ベースの化合物(A)を含む。1種以上の窒素置換カプロラクタム誘導体(B)は、(A)および(B)の合計に対して計算して、好ましくは35重量%~90重量%、より好ましくは40重量%~85重量%、最も好ましくは45重量%~80重量%の量で存在する。
【0034】
上記組成物は、適切には、3重量%~75重量%の350g/molから30000g/molの間の数平均分子量(Mn)を有する1種以上の尿素ベースの化合物(A)と、10重量%~97重量%の1種以上の窒素置換カプロラクタム誘導体(B)とを含み、ここで、重量%は、組成物全体の合計に対して計算される。好ましくは、上記組成物は、5重量%~60重量%、より好ましくは10重量%~55重量%、最も好ましくは15重量%~50重量%の1種以上の尿素ベースの化合物(A)を含む。1種以上の窒素置換カプロラクタム誘導体(B)は、組成物全体の合計に対して計算して、好ましくは15重量%~90重量%、より好ましくは20重量%~85重量%、更により好ましくは25重量%~80重量%、更に最も好ましくは40重量%~75重量%の量で存在する。
【0035】
一実施形態では、上記組成物は、窒素置換カプロラクタム誘導体(B)とは異なる1種以上の有機希釈剤(C)を更に含む。有機希釈剤(C)は尿素基を含まず、かつ典型的には非プロトン性極性希釈剤を含む。有機希釈剤には、揮発性有機溶剤だけでなく、不揮発性有機溶剤も含まれる。
【0036】
適切な希釈剤の例には、アミド、好ましくは(B)の定義に含まれるものを除く環状アミド(すなわちラクタム)、一官能性および二官能性のカルボン酸の非環状ジアルキルアミド、スルホキシド、好ましくはジメチルスルホキシド、および/またはイオン液体が含まれる。特に適切なのは、N-アルキル-ラクタム、好ましくはN-アルキルブチロラクタム、および更により好ましくはN-アルキル置換されたブチロラクタムの群から選択される希釈剤であり、ここで、アルキル基は、C1~C12アルキル基から選択される。
【0037】
N-アルキルブチロラクタムの例は、N-メチルブチロラクタム、N-エチルブチロラクタム、N-ブチルブチロラクタム、N-オクチルブチロラクタム、およびN-ヒドロキシエチルブチロラクタムである。線状アミドの例は、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジアルキルアミドアルキルエステル、N,N-ジアルキルアミドアルキルエーテル、ヘキサメチルリン酸トリアミド、およびアシルモルホリンである。これらの好ましい例はまた、N,N-ジメチルアミドアルキルエステル、N,N-ジメチルアミドアルキルエーテル、N-ホルミルモルホリン、およびN-アセチルモルホリンである。
【0038】
別の好ましい実施形態では、上記組成物の1種以上の有機希釈剤(C)はイオン液体である。本発明の文脈において、いわゆるイオン液体は、80℃を下回るまたは80℃と等しい融点を有する有機塩である。
【0039】
イオン液体の例は、置換イミダゾリウム塩、例えば、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム酢酸塩、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム酢酸塩、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムエチル硫酸塩、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムエチル硫酸塩、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムチオシアン酸塩、および1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムチオシアン酸塩である。イオン液体を上述の非イオン性有機希釈剤と組み合わせることができる。
【0040】
一般に、上記組成物は1種以上の塩を含み得る。幾つかの実施形態では、本発明による組成物は、イオン液体とは異なり、かつ80℃より高い融点を有する1種以上の塩(D)を含む。
【0041】
本発明による塩は、元素の周期律表の第I主族および第II主族の元素(アルカリ金属およびアルカリ土類金属)のカチオンまたはアンモニウムイオン(置換アンモニウムイオン、例えば、アルキルアンモニウムイオンを含む)、およびそれらの混合物を含んでいる。好ましい塩は、リチウムカチオン、カルシウムカチオン、またはマグネシウムカチオン、特に好ましくはリチウムカチオンおよびカルシウムカチオンを、好ましくは塩化物、酢酸塩、および/または硝酸塩の形で含む塩である。幾つかの実施形態では、上記塩は、アニオンとして、好ましくは一価のアニオン、特に好ましくはハロゲン化物イオン、疑ハロゲン化物イオン、ギ酸イオン、酢酸イオン、および/または硝酸イオン、最も特に好ましくは塩化物イオン、酢酸イオン、および/または硝酸イオンを含む。
【0042】
塩として特に好ましいのは、塩化リチウムまたは硝酸リチウムなどの無機リチウム塩、ならびにアンモニウム塩、例えばアルキルアンモニウム塩、特にテトラアルキルアンモニウムハロゲン化物などの第四級アンモニウム塩である。
【0043】
上記組成物は、適切には、0重量%~70重量%の1種以上の有機希釈剤(C)と、0重量%~15重量%の1種以上の塩(D)とを含み、ここで、重量%は、組成物の重量に対して計算される。好ましくは、上記組成物は、0重量%~50重量%、より好ましくは0重量%~30重量%、最も好ましくは0重量%~20重量%、または0重量%~10重量%の1種以上の有機希釈剤(C)含む。一実施形態では、上記組成物は、有機希釈剤(C)を含まない。上記組成物は、適切には、0重量%~15重量%、より好ましくは0重量%~8重量%、更により好ましくは0重量%~5重量%、最も好ましくは0重量%~3重量%の量で1種以上の塩(D)を含む。一実施形態では、上記組成物は、塩(D)を含まない。
【0044】
一般に、上記組成物は溶液である。
【0045】
好ましくは、(A)および(B)ならびに任意に(C)および/または(D)を含む組成物は、液体配合物のレオロジーを制御するのに適した組成物である。
【0046】
更なる実施形態では、本発明は、液体組成物のレオロジーを制御するための上記組成物の使用に関する。本発明による「液体組成物」という用語は、23℃および100kPaで液体である組成物を意味する。
【0047】
本発明の組成物は、様々な種類の液体組成物のレオロジーを制御するのに使用され得る。したがって、一実施形態では、液体組成物は水性組成物であり得る。液体水性組成物の主要な、またはそれどころか唯一の液体希釈剤は水である。さらに、水性組成物は、或る特定量の有機希釈剤を含み得る。この有機希釈剤は、有機希釈剤(C)と同じまたは異なる。液体水性組成物は、液体組成物の総重量に対して計算して、35重量%未満、好ましくは25重量%未満、より好ましくは20重量%未満、最も好ましくは10重量%未満、またはそれどころか5重量%未満の有機希釈剤を含むことが好ましい。特定の実施形態では、液体水性組成物は、有機希釈剤を全く含まない。
【0048】
一般に、液体水性組成物は、少なくとも10重量%、好ましくは少なくとも15重量%、より好ましくは少なくとも20重量%の水を含む。或る特定の場合には、液体水性組成物は、少なくとも25重量%、より好ましくは少なくとも30重量%の水を含み得る。一般に、液体水性組成物は、最大で90重量%、例えば、最大80重量%または最大70重量%の水を含む。特定の実施形態では、液体水性組成物は、最大95重量%、またはそれどころか最大97重量%、98重量%、もしくは99重量%の水を含む。
【0049】
別の実施形態では、液体組成物は、非水性組成物であり得る。非水性組成物は、実質的に水を含まない。これは、液体組成物の総重量に対して計算して、適切には0.0重量%から10.0重量%未満の間の水、好ましくは0.0重量%から7.0重量%の間の水を含む液体組成物を意味する。より好ましくは、非水性液体組成物は、5.0重量%未満の水を含む。例えば、液体組成物は、液体組成物の総重量に対して計算して、3.0重量%未満、または1.0重量%未満の水を含む。
【0050】
適切には、液体組成物は、コーティング組成物、クリアコート組成物、ラッカー、ワニス、プラスチック配合物、顔料ペースト、エフェクト顔料ペースト、ポリマー配合物、シーラント配合物、化粧品配合物、ホームケア配合物もしくはインダストリアルケア配合物(香水配合物およびフレグランス配合物を含む)、セラミック配合物、接着剤配合物、採ガスおよび採油で使用するための液体配合物、電機部品および回路の製造用の組成物、エネルギー貯蔵媒体で使用するための液体配合物、洗浄剤、ポッティング用コンパウンド、建材配合物、潤滑剤、充填用コンパウンド、ワックスエマルジョン、金属加工液、金属加工用製品、スプレー剤の形の液体組成物、いわゆる沈着助剤(例えば、植物保護剤で使用するため、またはドリフト低減の一般的な目的のため)、インキ、印刷インキおよびインクジェットインキ、または船舶コーティングおよび保護コーティングの分野における腐食防止として使用され得る組成物、ならびにそれらの混合物から選択される。
【0051】
本発明による組成物を使用することができる更なる液体組成物は、溶剤系または無溶剤のペイント、印刷インキ、ならびに例えばプラスチックのワニス処理用ラッカー、ワイヤエナメル、床用コーティング、食品および種子をコーティングするためのコーティング組成物、ならびに例えば液晶ディスプレイ等のフラットパネルディスプレイにおけるカラーフィルターのために使用される、いわゆるカラーレジストのようなインキおよびラッカーである。ラッカーの利用分野には、一般に非常に高い割合の固形分と少ない割合の液体成分とを有するペースト状材料、例えばいわゆる顔料ペースト、または更にエフェクト顔料、例えば金属エフェクト顔料、例えば、アルミニウム顔料、銀顔料、真鍮顔料、亜鉛顔料、銅顔料、青銅顔料、例えばゴールドブロンズ、ファイヤーダイドブロンズ(fire-dyed bronze)または酸化鉄アルミニウム顔料を基礎とするペーストが含まれる。エフェクト顔料には、例えば、干渉顔料または真珠光沢顔料、例えば、金属酸化物マイカ顔料、フィッシュシルバー(fish silver)、酸化ビスマス塩化物、または塩基性炭酸鉛も含まれる。
【0052】
プラスチック配合物は、好ましくは、化学的架橋過程(「硬化」)によって熱硬化性樹脂へと変換されるプラスチック材料を製造するための液体または非液体の出発材料であり得る。好ましいプラスチック調製物は、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、アクリレート樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ホルムアルデヒド樹脂(例えば、メラミン-ホルムアルデヒドまたは尿素-ホルムアルデヒド)である。これらは、非常に様々な条件下で、例えば、室温(低温硬化系)または高温(高温硬化系)で、任意に圧力を加えて(「密閉型」用途、シート成形コンパウンドまたはバルク成形コンパウンド)硬化させることができる。プラスチック配合物には、PVCプラスチゾルも含まれる。
【0053】
化粧品調製物は、いわゆるパーソナルケア分野またはヘルスケア分野で使用される様々な液体組成物、例えば、ローション、クリーム、練り歯磨き等のペースト、例えばシェービングフォーム等のフォーム、例えばシェービングジェル、シャワージェル等のジェルまたはジェル配合物中の活性成分、ヘアシャンプー、液体石鹸、マニキュア、リップスティック、および染髪剤であり得る。
【0054】
いわゆるワックスエマルジョンは、好ましくは、水または有機媒体中の室温で粒状形の固体ワックスの分散液である。
【0055】
建材配合物は、建築分野で使用され、かつ硬化後に固化する液体またはペースト状の材料であり得る。例えば、コンクリート、セメント、モルタル、タイル用接着剤およびプラスター等の水硬性バインダーである。
【0056】
金属加工液は、一般に切削液、穿孔液(例えば、金属加工で使用される)、または鍛造液もしくは潤滑剤であり得る。潜在的な他の分野は、離型剤(しばしば、水性エマルジョンの形で、例えばアルミニウムダイカストおよび鋳造用途)、鋳物洗浄(鋳物コーティング)および金属の表面処理用の液体(例えば「表面仕上げ」、表面処理およびメッキ)である。
【0057】
潤滑剤は、潤滑用に使用される、すなわち、摩擦および摩耗を軽減するだけでなく、動力、冷却、振動減衰、密閉作用および腐食防止をもたらすために用いられる手段であり、ここでは、液体潤滑剤が好ましい。
【0058】
洗浄剤は、例えばホームケアまたはインダストリアルケアの分野において広範囲の物体を洗浄するために使用することができる。洗浄剤は、不純物、残留物および付着物の除去に影響し、またはそれらを補助する。洗浄剤には、洗剤(主に、テキスタイル、その前駆物質、皮革および食器の洗浄用)およびパーソナルケア製品も含まれる。香水および他のフレグランス(液体原材料として、またはカプセル化された形態のいずれかで)を含む配合物、例えばジェル香水もこの適用分野に属する。
【0059】
採ガスおよび採油に使用される液体配合物は、鉱床の開発および採鉱に使用される配合物である。掘削液または「掘削泥水」が好ましい例である。別の適用例は、水圧破砕法を準備または実施するのに使用される液体である。
【0060】
接着剤は、処理条件下で液体であり、かつ表面接着および内部強度によって部材を接合することができるあらゆる接着剤材料であり得る。
【0061】
本発明の液体組成物は、慣用の添加剤を更に含み得る。添加剤の例は、粘着防止剤、安定剤、酸化防止剤、顔料、湿潤剤、分散剤、乳化剤、追加のレオロジー添加剤、UV吸収剤、フリーラジカルスカベンジャー、スリップ添加剤、消泡剤、接着促進剤、レベリング剤、ワックス、ナノ粒子、被膜形成助剤、および難燃剤である。好ましい添加剤は、湿潤剤、分散剤および/または乳化剤ならびに(有機粘土を含む)粘土ベースの増粘剤、(ポリ)アミド、(セルロース誘導体、グアー、キサンタンのような)多糖類、ポリアクリレートまたは会合性増粘剤などの本発明の組成物とは異なるレオロジー添加剤である。一例では、本発明による組成物は、そのレオロジー挙動に関して変更が必要である液体組成物の低剪断性能、中剪断性能および/または高剪断性能に影響を与える他の増粘剤と組み合わせて使用され得る。
【0062】
好ましい実施形態では、本発明はまた、23℃で液体であり、かつ本発明による組成物を含む液体組成物についても言及している。
【0063】
液体組成物は、適切には、0.02重量%~6.00重量%の1種以上の尿素ベースの化合物(A)と、0.05重量%~8.00重量%の1種以上の窒素置換カプロラクタム誘導体(B)とを含み、ここで、重量%は、液体組成物の重量に対して計算される。好ましくは、液体組成物は、0.05重量%~4.00重量%、より好ましくは0.10重量%~3.00重量%、最も好ましくは0.20重量%~2.50重量%の1種以上の尿素ベースの化合物(A)を含む。1種以上の窒素置換カプロラクタム誘導体(B)は、好ましくは0.05重量%~6.00重量%、より好ましくは0.10重量%~5.00重量%、最も好ましくは0.20重量%~4.00重量%の量で、例えば0.40重量%~3.00重量%の量で存在する。
【0064】
液体組成物は、適切には、0.0重量%~6.0重量%の1種以上の有機希釈剤(C)と、0.0重量%~1.5重量%の1種以上の塩(D)とを含み、ここで、重量%は、液体組成物の重量に対して計算される。好ましくは、上記組成物は、0.0重量%~4.0重量%、より好ましくは0.0重量%~2.5重量%、最も好ましくは0.0重量%~1.5重量%、または0.0重量%~1.0重量%の1種以上の有機希釈剤(C)を含む。一実施形態では、上記組成物は、有機希釈剤(C)を含まない。
【0065】
液体組成物において、1種以上の塩(D)は、好ましくは0.0重量%~1.0重量%、より好ましくは0.0重量%~0.8重量%、更により好ましくは0.0重量%~0.6重量%、最も好ましくは0.0重量%~0.4重量%、または0.0重量%~0.2重量%の量で存在する。一実施形態では、上記組成物は、塩(D)を含まない。
【0066】
さらに、上記組成物は、適切には、コーティング組成物および/またはペイント組成物のレオロジーを制御するのに使用され得る。異なる実施形態では、本発明は、上述の液体組成物のレオロジーを制御するための上記組成物の使用に関する。
【0067】
更なる実施形態では、本発明はまた、液体組成物のレオロジーを制御する方法であって、本発明による組成物を準備する工程と、液体組成物を準備する工程と、本発明による組成物および液体組成物を混合する工程とを含む、方法に関する。適切な液体組成物は、とりわけ上述のような液体組成物である。成分を混合する工程は、当業者に知られる現在の方法に従って実施され得る。これには、とりわけ手動手段または電気的手段による混合が含まれ得る。混合とは、組成物を混ぜ合わせ、混ぜ合わせられた組成物に剪断力を加えることである。
【0068】
別の実施形態では、本発明は、表面の少なくとも一部が本発明による液体組成物でコーティングされている、コーティングされた物品に関する。異なる実施形態では、コーティングされた物品は、物品を準備する工程と、本発明による液体組成物を準備する工程と、物品の表面の少なくとも一部を液体組成物でコーティングする工程とによって得ることが可能である。
【0069】
さらに、更に異なる実施形態では、本発明は、物品の表面の少なくとも一部が本発明による液体組成物でコーティングされ、かつ液体組成物が硬化されている、コーティングされた物品に関する。別の実施形態では、コーティングされた物品は、物品を準備する工程と、本発明による液体組成物を準備する工程と、物品の表面の少なくとも一部を液体組成物でコーティングする工程と、液体組成物を硬化させる工程とによって得ることが可能である。
【0070】
適切な物品は、それらのサイズおよび体積にかかわらず、かつそれらが可動または不動であるかにかかわらず、あらゆる3次元物体である。例示的なものであって、限定するものではない例は、建物の内装および外装、床、家具、輸送に使用される(自動車、自転車、ボート、航空機、農業機械、およびあらゆる種類の貨物車両のような)車両、橋およびトンネル、機械および生産設備、電気装置、缶、金属コイル、ワイヤ、容器、家庭用品および金物、パルプおよび紙、ならびに木材、金属、プラスチックまたはガラスで作られた(例えば、機能的使用または装飾的使用のための)あらゆる種類の物品である。「コーティング」という用語の意味は、当業者によく知られている。この文脈において、コーティングは、上記物品の表面または他の領域に液体組成物を塗布して、それを少なくとも部分的に覆うまたはそれどころか物品の全体を包み込むことに関連している。この場合に、液体組成物は、これが上記物品に塗布された後に強靭化または硬化する。硬化は、液体組成物を固体状態に変えることを意味する。これは、液体希釈剤の蒸発(物理的乾燥)または化学的架橋反応(硬化)、およびそれらの組合せによって達成され得る。
【実施例】
【0071】
N-アセチルカプロラクタム、N-メチルカプロラクタム、N-エチルカプロラクタム、およびN-ビニルカプロラクタムは、Sigma-Aldrich社から購入され得るか、または技術水準の文献、例えば、独国特許第2015172号明細書、「オーストラリアン・ジャーナル・オブ・ケミストリー(Aust. J. Chem.)」1976年,第29巻,第2651頁、「ARKIVOC」2002年(第ii巻)第56頁~第63頁(F.クイバンら(F. Cuiban et al)著,「ε-カプロラクタムの窒素置換誘導体ならびにそれらの熱的挙動および化学的挙動(N-Substituted derivatives of ε-caprolactam and their thermal and chemical behavior)」)、および「チャイニーズ・ジャーナル・オブ・ケミストリー(Chin. J. Chem.)」,2006年,第24巻(第1号),第17頁に従って合成され得る。
【0072】
本発明による実施例
中間体の調製
中間体I1の調製
0.25mol(53g)のブチルトリグリコールを、23℃で2時間かけて0.625mol(108.75g)のトルエンジイソシアネート(TDI T65、2,4-トルイレンジイソシアネートと2,6-トルイレンジイソシアネートとの65/35混合物、Covestro AG社)に添加する。温度を45℃未満に保持する。添加終了後に、2.5時間撹拌を続ける。過剰のイソシアネートを、150℃~170℃で真空(0.1mbar)蒸留によって除去する。NCO含有量は10.9重量%である。
【0073】
中間体I2の調製
アルコール成分として0.4mol(74.53g)のラウリルアルコールを使用し、かつイソシアネート成分として0.8mol(139.2g)のトルエンジイソシアネート(TDI T100、2,4-トルイレンジイソシアネート、Covestro AG社)を使用して、中間体I1について記載された手順を繰り返した。温度を60℃未満に保持する。添加終了後に、3時間撹拌を続ける。過剰のイソシアネートを、150℃~170℃で真空(0.1mbar)蒸留によって除去する。得られた反応生成物はワックス状の固体である。NCO含有量は11.2重量%である。
【0074】
中間体I3の調製
アルコール成分として0.4mol(179.52g)の125mgKOH/gのヒドロキシル価を有するポリエチレングリコールモノメチルエーテルを使用し、かつイソシアネート成分として0.8mol(139.2g)のトルエンジイソシアネート(TDI T80、2,4-トルイレンジイソシアネートと2,6-トルイレンジイソシアネートとの80/20混合物、Covestro AG社)を使用して、中間体I1について記載された手順を繰り返した。温度を50℃から55℃の間で保持する。添加終了後に、3時間撹拌を続ける。過剰のイソシアネートを、150℃~170℃で真空(0.1mbar)蒸留によって除去する。NCO含有量は7.0重量%である。
【0075】
ピリジン溶剤中の無水酢酸による物質の遊離ヒドロキシル基のアセチル化によって、ヒドロキシル価を決定した。反応完了後に、水を添加し、残留している未反応の無水酢酸を酢酸に変換し、水酸化カリウムでの滴定によって測定した。
【0076】
尿素ベースの化合物の溶液の調製
実施例E1
尿素ベースの化合物の溶液の調製E1
撹拌機を備えた4ツ口フラスコにおいて、1.90gの塩化リチウムを53.10gのN-メチルカプロラクタムに撹拌しながら添加した。混合物を窒素雰囲気下で80℃まで加熱した。塩化リチウムを撹拌しながら30分以内に溶解させた。6.68gのm-キシリレンジアミンを添加し、混合物を均質化した。温度が85℃を超えないように、38.32gの中間体I1を撹拌しながら30分以内に滴加した。その後に、混合物を80℃で3時間撹拌した。透明な帯黄色の生成物が得られる(GPC:Mn=2069g/mol;D=1.15)。
【0077】
実施例E2
尿素ベースの化合物の溶液の調製E2
撹拌機を備えた4ツ口フラスコにおいて、1.65gの塩化リチウムを75.00gのN-メチルカプロラクタムに撹拌しながら添加した。混合物を窒素雰囲気下で80℃まで加熱した。塩化リチウムを撹拌しながら30分以内に溶解させた。3.55gのm-キシリレンジアミンを添加し、混合物を均質化した。温度が85℃を超えないように、19.80gの中間体I2を撹拌しながら30分以内に滴加した。その後に、混合物を80℃で3時間撹拌した。透明な帯黄色の生成物が得られる(GPC:Mn=2386g/mol;D=1.14)。
【0078】
実施例E3
尿素ベースの化合物の溶液の調製E3
撹拌機を備えた4ツ口フラスコにおいて、1.32gの塩化リチウムを48.00gのN-メチルカプロラクタムに撹拌しながら添加した。混合物を窒素雰囲気下で80℃まで加熱した。塩化リチウムを撹拌しながら30分以内に溶解させた。5.66gのm-キシリレンジアミンを添加し、混合物を均質化した。温度が85℃を超えないように、10.82gの中間体I1と34.2gの中間体I3との均質な混合物を撹拌しながら30分以内に滴加した。その後に、混合物を80℃で3時間撹拌した。透明な帯黄色の生成物が得られる(GPC:Mn=2401g/mol;D=1.13)。
【0079】
実施例E4
尿素ベースの化合物の溶液の調製E4
撹拌機を備えた4ツ口フラスコにおいて、2.30gの塩化リチウムを57.70gのN-メチルカプロラクタムに撹拌しながら添加した。混合物を窒素雰囲気下で80℃まで加熱した。塩化リチウムを撹拌しながら30分以内に溶解させた。5.94gのm-キシリレンジアミンを添加し、混合物を均質化した。温度が85℃を超えないように、34.06gの中間体I1を撹拌しながら30分以内に滴加した。その後に、混合物を80℃で3時間撹拌した。透明な帯黄色の生成物が得られる(GPC:Mn=2081g/mol;D=1.16)。
【0080】
実施例E5
尿素ベースの化合物の溶液の調製E5
撹拌機を備えた4ツ口フラスコにおいて、1.90gの塩化リチウムを53.10gのN-エチルカプロラクタムに撹拌しながら添加した。混合物を窒素雰囲気下で80℃まで加熱した。塩化リチウムを撹拌しながら30分以内に溶解させた。6.68gのm-キシリレンジアミンを添加し、混合物を均質化した。温度が85℃を超えないように、38.32gの中間体I1を撹拌しながら30分以内に滴加した。その後に、混合物を80℃で3時間撹拌した。透明な帯黄色の生成物が得られる(GPC:Mn=2108g/mol;D=1.14)。
【0081】
実施例E6
尿素ベースの化合物の溶液の調製E6
撹拌機を備えた4ツ口フラスコにおいて、1.32gの塩化リチウムを48.00gのN-エチルカプロラクタムに撹拌しながら添加した。混合物を窒素雰囲気下で80℃まで加熱した。塩化リチウムを撹拌しながら30分以内に溶解させた。5.66gのm-キシリレンジアミンを添加し、混合物を均質化した。温度が85℃を超えないように、10.82gの中間体I1と34.20gの中間体I3との均質な混合物を撹拌しながら30分以内に滴加した。その後に、混合物を80℃で3時間撹拌した。透明な帯黄色の生成物が得られる(GPC:Mn=2417g/mol;D=1.13)。
【0082】
実施例E7
尿素ベースの化合物の溶液の調製E7
撹拌機を備えた4ツ口フラスコにおいて、1.90gの塩化リチウムを35.4gのN-メチルカプロラクタムおよび17.7gのN-ビニルカプロラクタムに撹拌しながら添加した。混合物を窒素雰囲気下で80℃まで加熱した。塩化リチウムを撹拌しながら30分以内に溶解させた。6.68gのm-キシリレンジアミンを添加し、混合物を均質化した。温度が85℃を超えないように、38.32gの中間体I1を撹拌しながら30分以内に滴加した。その後に、混合物を80℃で3時間撹拌した。透明な帯黄色の生成物が得られる(GPC:Mn=2170g/mol;D=1.12)。
【0083】
実施例E8
尿素ベースの化合物の溶液の調製E8
撹拌機を備えた4ツ口フラスコにおいて、1.65gの塩化リチウムを25gのN-ビニルカプロラクタムおよび50gのN-メチルカプロラクタムに撹拌しながら添加した。混合物を窒素雰囲気下で80℃まで加熱した。塩化リチウムを撹拌しながら30分以内に溶解させた。3.55gのm-キシリレンジアミンを添加し、混合物を均質化した。温度が85℃を超えないように、19.8gの中間体I2を撹拌しながら30分以内に滴加した。その後に、混合物を80℃で3時間撹拌した。透明な帯黄色の生成物が得られる(GPC:Mn=1910g/mol;D=1.26)。
【0084】
実施例E9
尿素ベースの化合物の溶液の調製E9
撹拌機を備えた4ツ口フラスコにおいて、1.32gの塩化リチウムを16gのN-ビニルカプロラクタムおよび32gのN-メチルカプロラクタムに撹拌しながら添加した。混合物を窒素雰囲気下で80℃まで加熱した。塩化リチウムを撹拌しながら30分以内に溶解させた。5.66gのm-キシリレンジアミンを添加し、混合物を均質化した。温度が85℃を超えないように、10.82gの中間体I1と34.20gの中間体I3との均質な混合物を撹拌しながら30分以内に滴加した。その後に、混合物を80℃で3時間撹拌した。透明な帯黄色の生成物が得られる(GPC:Mn=2419g/mol;D=1.14)。
【0085】
実施例E10
尿素ベースの化合物の溶液の調製E10
撹拌機を備えた4ツ口フラスコにおいて、1.65gの塩化リチウムを19.2gのN-ビニルカプロラクタムおよび38.5gのN-メチルカプロラクタムに撹拌しながら添加した。混合物を窒素雰囲気下で80℃まで加熱した。塩化リチウムを撹拌しながら30分以内に溶解させた。5.94gのm-キシリレンジアミンを添加し、混合物を均質化した。温度が85℃を超えないように、34.06gの中間体I1を撹拌しながら30分以内に滴加した。その後に、混合物を80℃で3時間撹拌した。透明な帯黄色の生成物が得られる(GPC:Mn=2118g/mol;D=1.13)。
【0086】
比較例(本発明によるものではない)
比較例C1
実施例E1に従って調製を行ったが、N-メチルカプロラクタムの代わりに同じ重量のN-メチルブチロラクタムを使用した。
【0087】
比較例C2
実施例E1に従って調製を行ったが、N-メチルカプロラクタムの代わりに同じ重量のジメチルスルホキシドを使用した。
【0088】
比較例C3
実施例E3に従って調製を行ったが、N-メチルカプロラクタムの代わりに同じ重量のN-メチルブチロラクタムを使用した。
【0089】
比較例C4
実施例E3に従って調製を行ったが、N-メチルカプロラクタムの代わりに同じ重量のジメチルスルホキシドを使用した。
【0090】
比較例C5
実施例E3に従って調製を行ったが、N-メチルカプロラクタムの代わりに同じ重量のN-ブチルブチロラクタムを使用した。
【0091】
比較例C6
実施例E2に従って調製を行ったが、N-メチルカプロラクタムの代わりに同じ重量のN-メチルブチロラクタムを使用した。
【0092】
比較例C7
実施例E2に従って調製を行ったが、N-メチルカプロラクタムの代わりに同じ重量の5-(ジメチルアミノ)-2-メチル-5-オキソペンタン酸メチルを使用した。
【0093】
【0094】
試験系1:ポリエステル-メラミン白色コーティング組成物
表2における配合を使用したポリエステル-メラミン白色コーティング組成物の製造。成分1~成分5を、1mmのガラスビーズ(ガラスビーズ対ミルベースの重量比1:1)とともにDispermat CVを用いて18m/sで40℃にて30分間粉砕した。その後、成分6~成分12を添加し、23℃で手動にて撹拌することにより均質化した。引き続き、100gの配合物を150mLのガラス瓶に充填した。配合物を室温(23℃)に冷やした後に、0.3gの尿素ベースの化合物に対応する量の尿素ベースの化合物の溶液を、Dispermat CV(Getzmann社)を用いて直径4cmの歯付きプレートを使用して1000rpmで2分間撹拌しながら配合物中に混和させた。その後に、試料を23℃で24時間貯蔵した。その後、23℃にて0.1 1/sの剪断速度で2.5cm直径の1゜コーンを備えたAnton Paar社製のレオメーターPhysica MCR 301において、試料の低剪断粘度を測定した。
【0095】
【0096】
【0097】
表3から、比較試料は、概念に対する主題の試料(the subject to concept sample)よりも低い低剪断速度範囲での粘度を示すことが明らかである。
【0098】
概念の主題(subject of concept)に関連する試料は明らかにより効果的であるため、低剪断粘度が大きく影響する沈降防止またはタレ防止のような特性を改善するのにより適している。
【0099】
試験系2:アクリル分散液白色ペイント
表4における配合を使用したアクリル分散液白色ペイントの製造。成分1~成分4を、1mmのガラスビーズ(ガラスビーズ対ミルベースの重量比1:1)とともにDispermat CVを用いて18m/sで40℃にて30分間粉砕した。その後、成分6~成分8を添加し、23℃で手動にて撹拌することにより均質化した。引き続き、100gの配合物を150mLのガラス瓶に充填した。配合物を室温(23℃)に冷却した後に、0.8%のそれぞれのレオロジー添加剤の活性物質を、Dispermat CV(Getzmann社)を用いて直径4cmの歯付きプレートを使用して1000rpmで5分間撹拌しながら配合物中に混和させた。その後に、試料を23℃で24時間貯蔵した。塗布のために、均質化用のスパチュラで試料を撹拌した後に、段付きドクターブレードモデル421/S(Erichsen GmbH&Co KG社)を用いて30μm~300μmの湿式膜厚で塗布した。コントラストカード2801(BYK-Gardner GmbH社)上で、自動アプリケーターbyko-drive XL(BYK-Gardner GmbH社)を使用して50mm/sの塗布速度で塗布が行われる。塗布直後に、ドローダウンを乾燥するまで23℃で垂直に吊るした。乾燥後に、タレ抵抗性の視覚的な評価を行う。したがって、乾燥後にドローダウンの明確な分離を示し、ランナーを示さず、そしてまた塗布された膜厚の間に膨れの形成を示さない湿式膜厚を調べる。
【0100】
【0101】
【0102】
表5から、比較試料は、概念に対する主題の試料よりも低いタレ抵抗性により判断されるレオロジー効果を示すことが明らかである。概念の主題に関連する試料は、タレ抵抗性を改善するのに比較試料よりも明らかに適している。
【0103】
試験系3:長油性アルキドクリアコート
表6における配合を使用した長油性アルキドクリアコートの製造。引き続き、100gの配合物を150mlのガラス瓶に充填し、0.8%のそれぞれのレオロジー添加剤の活性物質を、Dispermat CV(Getzmann社)を用いて直径4cmの歯付きプレートを使用して1000rpmで5分間撹拌しながら配合物中に混和させた。試料を23℃で24時間貯蔵した。その後、23℃にて0.1 1/sの剪断速度で2.5cm直径の1゜コーンを備えたAnton Paar社製のレオメーターPhysica MCR 301において、試料の低剪断粘度を測定した。
【0104】
【0105】
【0106】
表7から、比較試料は、概念に対する主題の試料よりも低い低剪断速度範囲での粘度を示すことが明らかである。概念の主題に関連する試料は明らかにより効果的であるため、低剪断粘度が大きく影響する沈降防止またはタレ防止のような特性を改善するのにより適している。