(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-14
(45)【発行日】2023-07-25
(54)【発明の名称】接地係合摩耗部材用の位置付勢された固定ピン組立体
(51)【国際特許分類】
E02F 9/28 20060101AFI20230718BHJP
【FI】
E02F9/28 A
(21)【出願番号】P 2021561010
(86)(22)【出願日】2020-04-14
(86)【国際出願番号】 US2020028111
(87)【国際公開番号】W WO2020214590
(87)【国際公開日】2020-10-22
【審査請求日】2021-12-13
(32)【優先日】2019-04-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-04-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517165405
【氏名又は名称】ヘンズリー インダストリーズ,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】モハマド ヨセフ ビラル
【審査官】吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0013635(US,A1)
【文献】特開2017-203365(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
接地係合部材を支持構造に固定するための固定ピン組立体において、
前記固定ピン組立体は、
前記支持構造の開口の中に選択的に突出するように回転不能に配置された本体部であって、その内部に形成された開口を有する本体部と、
遠位端と近位
部とを備える軸部材であって、前記遠位端は第1の係合機構を有し、前記遠位端は前記本体部の中に配置されている、軸部材と、
前記軸部材の前記近位
部から前記本体部の外側に半径方向に延在する中子部であって、前記軸部材は、前記中子部が前記接地係合部材を前記支持構造に固定するように位置決めされたときに前記中子部が前記接地係合部材からの前記固定ピン組立体の取り外しを機械的に阻止するように位置決めできる第1の位置と、前記中子部が前記接地係合部材を前記支持構造に固定するように位置決めされたときに前記中子部が前記接地係合部材からの前記固定ピン組立体の取り外しを可能にするように位置決めできる第2の位置との間において、前記本体部に対して回転可能である、中子部と、
前記本体部の中に配置された付勢部材と、
前記付勢部材と前記軸部材の前記遠位端との間に配置されたプランジャであって、前記プランジャは、前記軸部材の前記第1の係合機構と選択的に係合するように構成された第2の係合機構を備え、前記付勢部材により、前記プランジャを前記軸部材に向かって付勢し、前記第2の係合機構は、対向する2つの方向のそれぞれにおける前記プランジャに対する前記軸部材の回転中に抵抗を提供するように、前記第1の係合機構と係合するように構成されている、プランジャとを備える、固定ピン組立体。
【請求項2】
前記第1の係合機構及び前記第2の係合機構は、前記軸部材に加えられる回転力が、前記付勢部材によって加えられる回転に対する抵抗の大きさを超えると、前記軸部材を前記第1の位置及び前記第2の位置の一方から前記第1の位置及び前記第2の位置の他方へ回転させるように、互いに対して回転するように構成されている、請求項1に記載の固定ピン組立体。
【請求項3】
前記第1の係合機構、前記第2の係合機構、及び、前記付勢部材は、前記付勢部材によって加えられる回転に対する抵抗が、回転移動の第1部分中に生じ、回転移動の第2部分中に生じないように構成されている、請求項2に記載の固定ピン組立体。
【請求項4】
前記第1の係合機構及び第2の係合機構の一方は、抵抗ピークによって分離された、隣接する2つの切り欠きを備え、前記第1の係合機構及び第2の係合機構の他方は、前記2つの切り欠きのそれぞれの中に選択的に着座するように構成された歯を備える、請求項3に記載の固定ピン組立体。
【請求項5】
前記抵抗ピークは、第1の傾斜面と第2の傾斜面との間に延在する平面を備え、前記第1
の傾斜面及び前記第2
の傾斜面は、前記第1の係合機構及び第2の係合機構の内の一方の係合機構の対向する側面を画定する、請求項4に記載の固定ピン組立体。
【請求項6】
前記第1の傾斜面及び第2の傾斜面は、約60度~80度の範囲で、前記軸部材の回転方向に対して角度を付けられる、請求項5に記載の固定ピン組立体。
【請求項7】
前記抵抗ピークは、前記隣接する2つの切り欠きのほぼ中間に配置されている、請求項4に記載の固定ピン組立体。
【請求項8】
前記隣接する2つの切り欠きは、ほぼ90度離れた位置に中心合わせされる、請求項7に記載の固定ピン組立体。
【請求項9】
前記第1の係合機構及び第2の係合機構の他方は、第3の切り欠きを備え、前記抵抗ピークは、前記歯が前記隣接する2つの切り欠きの内の一方内に着座したときに、前記第3の切り欠きに篏合するように寸法決めされかつ成形されている、請求項8に記載の固定ピン組立体。
【請求項10】
前記第1の係合機構、前記第2の係合機構、及び、前記付勢部材は、前記軸部材が前記隣接する2つの切り欠きの間で回転することにより、前記第1の位置から前記第2の位置への移行を確認する触覚フィードバックを利用者に提供するように構成されている、請求項8に記載の固定ピン組立体。
【請求項11】
前記第1の係合機構、前記第2の係合機構、及び前記付勢部材は、前記隣接する2つの切り欠きの間の前記軸部材の回転が、前記第2の位置から前記第1の位置への移行を確認する触覚フィードバックを利用者に提供するように構成されている、請求項10に記載の固定ピン組立体。
【請求項12】
前記固定ピン組立体は回転停止要素を更に備え、前記軸部材は、その中に形成された部分的に周方向の溝を備え、前記回転停止要素は、前記溝の対向する複数の
端部と機械的に干渉して前記本体部に対する前記軸部材の回転の範囲を制限するように構成された、請求項1に記載の固定ピン組立体。
【請求項13】
前記溝は、前記回転停止要素と前記溝との係合が、前記軸部材の回転を前記本体部に対する前記軸部材の軸線方向変位に変換するように螺旋状に延在する、請求項12に記載の固定ピン組立体。
【請求項14】
前記
複数の端部と干渉する前記回転停止要素は、前記本体部に対して約90度の範囲で前記軸部材の回転を制限する、請求項13に記載の固定ピン組立体。
【請求項15】
前記回転停止要素は、前記本体部の一部を貫通して延在するダボを備える、請求項14に記載の固定ピン組立体。
【請求項16】
前記固定ピン組立体は、前記プランジャから延在し、かつ、前記プランジャの軸線方向変位を可能にしつつ前記プランジャの回転を阻止するように構成された、第2の回転停止要素を更に備える、請求項1に記載の固定ピン組立体。
【請求項17】
前記第2の回転停止要素は、前記本体部に対して固定された第2のダボを備え、前記プランジャは、前記第2のダボがその中に延在する細長い凹部を備える、請求項16に記載の固定ピン組立体。
【請求項18】
前記第2の回転停止要素は、前記プランジャから延在しかつ前記プランジャに関連して固定される突出部を備え、前記突出部は、前記本体部の内壁面に形成された長手方向チャネル内に延在する、請求項16に記載の固定ピン組立体。
【請求項19】
前記軸部材及び前記プランジャは、長手方向に延在する基準軸線を規定し、前記本体部の近位端に隣接する前記基準軸線に垂直な前記本体部の第1断面は、第1断面積を備え、前記本体部の遠位端に隣接する前記基準軸線に垂直な前記本体部の第2断面は、前記第1断面積よりも小さい第2断面積を備え、前記本体部は、前記基準軸線に平行な1つの側面のみに沿った係合面を備える、請求項1に記載の固定ピン組立体。
【請求項20】
前記固定ピン組立体は、前記係合面の少なくとも一部
がボアの内壁によって画定される前記支持構造の負荷支持面と係合するように、前記接地係合部材を通って前記支持構造内に延在する
前記ボア内で配向されるように構成されている、請求項19に記載の固定ピン組立体。
【請求項21】
前記負荷支持面は、前記固定ピン組立体が、前記支持構造から前記接地係合部材を取り外すのに役立つ力に応答して力を及ぼす、前記ボアの一側面に配置されている、請求項20に記載の固定ピン組立体。
【請求項22】
接地係合部材を支持構造に固定するための固定ピン組立体において、
前記固定ピン組立体は、
前記支持構造の開口の中に選択的に突出するように回転不能に配置された本体部であって、その内部に形成された開口を有する本体部と、
遠位端と近位
部とを備える軸部材であって、前記
遠位端は第1の係合機構を有し、前記
遠位端は本体部の中に配置されており、前記軸部材は長手方向に延在する基準軸線を規定する軸部材と、
前記固定ピン組立体から半径方向に延在する固定機構であって、前記軸部材は、前記固定機構が前記接地係合部材を前記支持構造に固定するように位置決めされたときに前記固定機構が前記固定ピン組立体の接地係合部材からの取り外しを機械的に阻止するように位置決めできる第1の位置と、前記固定機構が前記接地係合部材を前記支持構造に固定するように位置決めされたときに前記接地係合部材から前記固定ピン組立体を取り外すことを可能にするように位置決めされたときに前記接地係合部材からの前記固定ピン組立体の取り外しを可能にするように位置決めできる第2の位置との間において、前記本体部に対して回転可能である、固定機構と、
前記本体部の中に配置された付勢部材と、
前記付勢部材と前記軸部材の前記遠位端との間に配置されたプランジャであって、前記プランジャは、前記軸部材の前記第1の係合機構と選択的に係合するように構成された第2の係合機構を備え、前記付勢部材により、前記プランジャを前記軸部材に向かって付勢し、前記第2の係合機構は、対向する2つの方向のそれぞれにおける前記プランジャに対する前記軸部材の回転中に抵抗を提供するために、前記第1の係合機構と係合するように構成されている、プランジャとを備え、
前記本体部は、前記接地係合部材を通って前記支持構造内に延在するボア内に受け入れられるように成形されており、取り付けられるときに、前記固定ピン組立体は前記接地係合部材に対して固定されつつ前記支持構造に対して移動可能である、固定ピン組立体。
【請求項23】
接地係合部材を支持構造に固定するための固定ピン組立体において、
前記固定ピン組立体は、
前記支持構造の開口の中に選択的に突出するように配置された本体部と、
遠位端と近位
部とを備える軸部材であって、前記遠位端は第1の係合機構を有し、前記遠位端は本体部の中に配置されており、前記軸部材は、前記接地係合部材を支持構造に固定するための固定位置と、前記接地係合部材を前記支持構造から取り外すことを可能にする固定解除位置との間において、前記本体部に対して回転可能である、軸部材と、
前記本体部の中に配置された付勢部材と、
前記付勢部材と前記軸部材の前記遠位端との間に配置されたプランジャであって、前記プランジャは、前記軸部材の前記第1の係合機構と選択的に係合するように構成された第2の係合機構を備え、前記付勢部材により、前記プランジャを前記軸部材に向かって付勢し、前記第2の係合機構は、対向する2つの方向のそれぞれにおける前記プランジャに対する前記軸部材の回転中に抵抗を提供するように前記第1の係合機構と係合するように構成されている、プランジャとを備える、固定ピン組立体。
【請求項24】
前記第1の係合機構、前記第2の係合機構、及び、前記付勢部材は、前記付勢部材によって及ぼされる回転に対する抵抗が、回転移動の第1部分中に生じかつ前記回転移動の第2部分中に生じないように構成されており、前記第1の係合機構及び第2の係合機構の内の一方は、抵抗ピークによって分離された隣接する2つの切り欠きを備え、前記第1の係合機構及び第2の係合機構の内の他方は、前記2つの切り欠きのそれぞれの内部に選択的に着座するように構成された歯を備える、請求項2
3に記載の固定ピン組立体。
【請求項25】
固定ピン組立体を用いて接地係合装置上に担持されたノーズに摩耗部材を固定するか又は摩耗部材を取り外すための方法において、前記方法は、
前記固定ピン組立体が前記摩耗部材及び前記ノーズを通過するボアの中に配置されつつ、前記固定ピン組立体の軸部材を前記固定ピン組立体の本体部に対して第1の方向に、前記軸部材の歯の第1の表面が前記本体部の中に配置されたプランジャの切り欠きの対応する第1の表面と係合する第1の可動範囲を通して回転させる、第1の回転段階であって、前記プランジャが、前記本体部に対して実質的に回転固定され、前記第1の可動範囲を通した前記軸部材の回転により、付勢部材を前記プランジャを初期位置から圧縮位置に向かって軸線方向に変位させる、第1の回転段階と、
前記軸部材を前記本体部に対して前記第1の方向に、前記歯の第2の表面が
第2の切り欠きの対応する第2の表面に対して摺動する第2の可動範囲を通して回転させる第2の回転段階であって、前記第2の可動範囲を通した前記軸部材の回転中に、前記付勢部材が前記プランジャを前記初期位置に戻し、
前記第1の回転段階と前記第2の回転段階により、前記固定ピン組立体から延在する固定機構を第1の構成から第2の構成へ移動させ、
前記固定機構が前記第1の構成及び前記第2の構成の一方にある場合、前記固定機構は、前記固定ピン組立体の前記摩耗部材からの引き抜きを阻止するように前記摩耗部材又は前記
ノーズと接続し、
前記固定機構が前記第1の構成及び前記第2の構成の他方にある場合、前記固定ピン組立体は前記摩耗部材から取り外し可能である、第2の回転段階とを備える、方法。
【請求項26】
前記第1の可動範囲は、0度~180度の範囲を備え、前記第2の可動範囲は、0度~180度の範囲を備える、請求項
25に記載の方法。
【請求項27】
接地係合部材を支持構造に固定するための固定ピン組立体において、
前記固定ピン組立体は、
前記支持構造の開口の中に選択的に突出するように回転不能に配置された本体部であって、その内部に形成された開口を有する本体部と、
第1の軸線を有しかつ遠位端と近位部とを備える軸部材であって、前記遠位端は第1の複数の等距離間隔の歯を有し、前記第1の複数の等距離間隔の歯は、約30度~120度の間の範囲で、前記第1の軸線を中心に半径方向に離間されており、前記遠位端は、前記本体部の中に配置されている、軸部材と、
前記軸部材の近位
部から前記本体部の外側に半径方向に延在する中子部であって、前記軸部材が、前記中子部が前記接地係合部材を前記支持構造に固定するように位置決めされたときに前記中子部が前記固定ピン組立体の前記接地係合部材からの取り外しを機械的に阻止するように位置決めできる第1の位置と、前記中子部が前記接地係合部材を前記支持構造に固定するように位置決めされたときに前記固定ピン組立体の前記接地係合部材からの取り外しを可能にするように位置決めできる第2の位置との間において、前記本体部に対して回転可能である、接地係合部材と、
前記本体部の中に配置されている付勢部材と、
前記付勢部材と前記軸部材の前記遠位端との間に配置されているプランジャであって、前記プランジャは第2の軸線を有しかつ第2の複数の等距離間隔の歯を備え、前記第2の複数の等距離間隔の歯は、約30度~120度の間の範囲で前記第2の軸線の周りに半径方向に離間されており、かつ、対向する2つの方向への回転に対する抵抗を提供するために、前記軸部材の前記第1の複数の等距離間隔の歯に選択的に係合するように成形されている、プランジャと、を備え、
前記第1の複数の等距離間隔の歯と前記第2の複数の等距離間隔の歯は、前記軸部材に加えられる回転力が、前記付勢部材によって加えられる回転に対する抵抗の大きさを超えて、前記軸部材を前記第1の位置及び前記第2の位置の一方から前記第1の位置及び前記第2の位置の他方へ回転させるときに、互いに対して回転するように構成されている、固定ピン組立体。
【請求項28】
前記第1の複数の等距離間隔
の歯と前記第2の複数の等距離間隔
の歯は、2つの方向の回転に対してほぼ等しい抵抗を提供するように成形されている、請求項
27に記載の固定ピン組立体。
【請求項29】
前記第1の複数の等距離間隔の歯、前記第2の複数の等距離間隔の歯、及び前記付勢部材は、前記付勢部材によって加えられる回転に対する抵抗が、回転移動の第1の部分中に生じかつ前記回転移動の第2の部分中に生じないように構成されている、請求項
28に記載の固定ピン組立体。
【請求項30】
接地係合部材を支持構造に固定するための固定ピン組立体において、
前記固定ピン組立体は、
前記支持構造の開口の中に選択的に突出するように回転不能に配置された本体部であって、その内部に形成された開口を有する本体部と、
第1の軸線を有しかつ遠位端及び近位部を備える軸部材であって、前記遠位端は、軸線方向に延在しかつ前記第1の軸線からオフセットしている、第1の歯を有し、前記遠位端は前記本体部の中に配置されている、軸部材と、
前記軸部材の前記近位
部から前記本体部の外側に半径方向に延在する中子部であって、前記軸部材が、前記中子部が前記接地係合部材を前記支持構造に固定するように位置決めされたときに前記中子部が前記固定ピン組立体の前記接地係合部材からの取り外しを機械的に阻止するように位置決めできる第1の位置と、前記中子部が前記接地係合部材を前記支持構造に固定するように位置決めされたときに前記中子部が前記固定ピン組立体の前記接地係合部材からの取り外しを可能にするように位置決めできる第2の位置との間において、前記本体部に対して回転可能である、接地係合部材と、
前記本体部の中に配置された付勢部材と、
前記付勢部材と前記軸部材の前記遠位端との間に配置されたプランジャであって、前記プランジャは、第2の軸線を有し、かつ近位方向に延在しかつ前記第2の軸線からオフセットした第2の歯を備え、前記第2の歯が前記第1の歯と係合し、対向する2つの方向への回転中に抵抗を提供する、プランジャと、を備える、固定ピン組立体。
【請求項31】
前記軸部材及び前記プランジャの内の一方は、それぞれの前記第1の歯又は第2の歯に隣接する切り欠きを備え、前記第1の歯及び前記第2の歯のそれぞれは、それぞれ、前記第1の軸線及び前記第2の軸線を中心として約30度~120度の間の範囲内の放射状の円弧を形成するように寸法決めされる、請求項3
0に記載の固定ピン組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2020年4月8日付け出願の米国非仮特許出願第16/843,623号、及び、発明の名称が「接地係合摩耗部材用の位置付勢された固定ピン組立体」である、2019年4月15日付け出願の米国仮特許出願第62/834,214号について優先権を主張し、参照することによりそれらの全体が本明細書に組み込まれている。
【0002】
本開示は、一般に、掘削歯組立体の構成要素を固定する固定ピン組立体を備える掘削歯組立体に関する。より詳細には、本開示は、不用意による固定解除を阻止するように、回転干渉を伴う改良された固定構造を有する解除可能な固定ピン組立体によって固定された掘削歯組立体に関する。
【背景技術】
【0003】
これらは、しばしば、掘削バケットなどの、より大きな基礎構造によって取り外し可能に担持されており、配置された土又は他の材料と摩耗してすり減って接触する。例えば、掘削バケット等の掘削装置上に設けられた掘削歯組立体は、典型的には、前方バケットリップなどの装置の構造体に適切に固着される比較的大きなアダプタ部分を備える。アダプタ部分は、典型的には、縮小された断面を有する、前方に突出するノーズを備える。交換可能な刃先は、通常、アダプタノーズを解放可能に受け入れる開口を備える。アダプタノーズ上の刃先を保持するために、ほぼ位置合わせした横方向開口が刃先とアダプタノーズの両方に形成され、適切なコネクタ構造が、交換可能な刃先をその関連するアダプタノーズ上に解放可能に固定するために、位置合わせした開口内に駆動され、位置合わせした開口内に強制的に保持されている。
【0004】
建設、採掘、及び他の土移動装置上に見られる掘削バケットなどの材料置換装置は、しばしば、土係合歯などの交換可能な摩耗部分を備える。従来のコネクタ構造には、多くの異なるタイプがある。1つのタイプのコネクタ構造は、例えば、スレッジハンマーを用いて、位置合わせされた刃先及びアダプタノーズ開口内に強制的に駆動されなければならないのが典型的である。続いて、挿入されたコネクタ構造は、すり減った刃先をアダプタノーズから取り外して交換できるようにするために、刃先開口及びアダプタノーズ開口から強制的に強打して外す必要がある。このコネクタ構造を強打で取り付けて後に強打で取り外すという従来の必要性により、取り付け及び取り外しを行う人員に対する安全上の危険を容易にもたらすことができる。
【0005】
ポンドインコネクタ構造に対する種々の代替例が、交換可能な刃先をアダプタノーズ上に解放可能に保持するために、以前に提案されている。これらの代替のコネクタ構造は、望ましくは、コネクタ構造をアダプタノーズに強打で取り付けたりアダプタノーズから強打で取り外したりする必要性を排除するが、典型的には、これらに限定されないが、構造及び使用の複雑さ又は望ましくない高コストを含む、種々の他のタイプの問題、制限、及び欠点を呈する。
【0006】
いくつかのタイプのコネクタ構造は、固定位置と固定解除位置との間で回転可能である。しかしながら、刃先の連続的な振動、高い衝撃及び繰り返し負荷により、コネクタ構造を固定位置から固定解除位置へ不慮の回転をもたらす可能性がある。これにより、コネクタ構造及び刃先の界面に過剰な摩耗を引き起こし、コネクタ構造及び刃先の両方の耐用年数に影響を及ぼす可能性がある。
【0007】
したがって、改良されたコネクタ構造が必要とされる。
【発明の概要】
【0008】
1つの例示的な態様によれば、本開示は、側面開口を有する接地係合部材を、側面開口と位置合わせ可能な支持構造に固定するための、位置付勢された固定ピン組立体を対象とする。
【0009】
本開示の一態様では、接地係合部材を支持構造に固定するための固定ピン組立体は、本体部と、軸部材と、固定機構と、付勢部材と、プランジャとを備える。本体部は、支持構造内の開口の中に選択的に回転不能に突出するように配置され、また、その中に形成された開口を有しうる。軸部材は、遠位端及び近位部を有することができ、遠位端は、第1の係合機構を有し、かつ本体部の中に配置されている。固定機構は、本体部の外側の軸部材の近位部から半径方向に延在する、中子部を備えうる。軸部材は、固定機構が接地係合部材を支持構造に固定するように位置決めされたときに固定機構が固定ピン組立体の接地係合部材からの取り外しを機械的に阻止するように位置決めできる、第1の位置と、固定機構が接地係合部材を支持構造に固定するように位置決めされたときに固定機構が固定ピン組立体の接地係合部材からの取り外しを可能にするように位置決めできる、第2の位置との間で、本体部に対して回転可能としうる。付勢部材は、本体部の中に配置されうる。プランジャは、付勢部材と軸部材の遠位端との間に配置することができ、軸部材の第1の係合機構と選択的に係合するように構成された第2の係合機構を有しうる。付勢部材は、プランジャを軸部材に向かって付勢することができる。第2の係合機構は、対向する2つの方向のそれぞれにおけるプランジャに対する軸部材の回転中に抵抗を提供するために、第1の係合機構と係合するように構成されうる。
【0010】
一実施形態では、第1の係合機構及び第2の係合機構は、軸部材に加えられる回転力が、付勢部材によって加えられる回転に対する抵抗の大きさを超えると、軸部材を第1の位置及び第2の位置の一方から第1の位置及び第2の位置の他方へ回転させるために、互いに対して回転するように構成されうる。第1の係合機構、第2の係合機構及び付勢部材は、付勢部材によって加えられる回転に対する抵抗が回転移動の第1の部分中に生じかつ回転移動の第2の部分中に生じないように構成されうる。第1の係合機構及び第2の係合機構の一方は、抵抗ピークによって分離された隣接する2つの切り欠きを有し、第1の係合機構及び第2の係合機構の他方は、2つの切り欠きのそれぞれの内部に選択的に着座するように構成された歯を有しうる。抵抗ピークは、隣接する2つの切り欠きのほぼ中間に配置することができる。隣接する2つの切り欠きは、ほぼ90度離れた位置に中心合わせされうる。第1の係合機構及び第2の係合機構の他方は、第3の切り欠きを有することができ、抵抗ピークは、歯が隣接する2つの切り欠きの内の一方内に着座したときに、第3の切り欠き内に篏合するように寸法決めされかつ成形されうる。第1の係合機構、第2の係合機構及び付勢部材は、隣接する2つの切り欠き間の軸部材の回転が、第1の位置から第2の位置へ及び第2の位置から第1の位置への移行を確認する触覚フィードバックを利用者に提供するように構成されうる。
【0011】
いくつかの実施形態では、固定ピン組立体は回転停止要素を有しうる。軸部材は、その中に形成された部分的に周方向の溝を備えうる。回転停止要素は、本体部に対する軸部材の回転の範囲を制限するために、溝の対向する先端と機械的に干渉するように構成することができる。溝は、回転停止要素と溝との係合により、軸部材の回転を軸部材の本体部に対する軸線方向変位に変換するように螺旋状に延在しうる。端部と干渉する回転停止要素は、本体部に対して約90度の範囲で軸部材の回転を制限することができる。回転停止要素は、例えば、本体部の一部を貫通して延在するダボとしうる。
【0012】
いくつかの実施形態では、固定ピン組立体は、プランジャから延在し、かつ、プランジャの軸線方向変位を可能にしつつプランジャの回転を阻止するように構成された、第2の回転停止要素を有しうる。第2の回転停止要素は、本体部に対して固定された第2のダボを備えうる。プランジャは、第2ダボが延在する細長い凹部を有しうる。代替的又は付加的に、第2の回転停止要素は、プランジャから延在しかつプランジャに関連して固定された突出部を有しうる。突出部は、本体部の内壁面に形成された長手方向チャネル内に延在しうる。
【0013】
いくつかの実施形態では、軸部材及びプランジャは、長手方向に延在する基準軸線を規定しうる。本体部の近位端に隣接する基準軸線に垂直な本体部の第1の断面は、第1の断面積を有することができ、本体部の遠位端に隣接する基準軸線に垂直な本体部の第2の断面は、第1の断面積よりも小さい第2の断面積を有しうる。本体部は、基準軸線に平行な1つの側面のみに沿った係合面を有しうる。この点に関し、固定ピン組立体は、接地係合部材を通って支持構造内に延在するボア内に配向され、係合面の少なくとも一部がボアの内壁によって画定される支持構造の負荷支持面と係合するように構成することができる。負荷支持面は、固定ピン組立体が、摩耗部材を支持構造から取り外すのに役立つ力に応答して力を及ぼす、ボアの一側面に配置されうる。
【0014】
さらに、いくつかの実施形態では、本体部は、摩耗部材を貫通して支持構造内に延在するボア内に受け入れられるように成形することができ、これにより、取り付けられると、固定ピン組立体は、摩耗部材に対して固定されるが、支持構造に対して移動可能である。本体部はヘッドを備えることができ、軸部材はヘッドを貫通して延在しうる。ヘッドは、周辺部を有することができ、周辺部の一部は、ヘッドと凹部の壁との係合によって本体部の回転を阻止するように、摩耗部材の壁内の対応する形状の凹部内に受け入れられるように構成された非円形形状を有しうる。
【0015】
いくつかの実施形態では、接地係合部材を支持構造に固定するための固定ピン組立体は、本体部とヘッドと先端とを有しうる。本体部は、近位端及び遠位端を有する外面を有しうる。ヘッドは、近位端に配置され、周辺部を有することができ、周辺部の一部は、接地係合部材の壁内の対応する形状の近位凹部内に受け入れられるように構成された非円形形状を有する。先端は、遠位端に配置することができ、先端の一部は、少なくとも1つの平坦な側面を有しており、第1の凹部に対向する接地係合部材の一部において対応する形状の遠位凹部内に受け入れられるように構成された非円形の周辺プロファイルを有しうる。ヘッドと近位凹部の係合と、先端と遠位凹部の係合により、本体部の接地係合部材に対する回転を阻止することができる。
【0016】
基準軸線は、本体部を通って長手方向に延在しうる。外面は、基準軸線に平行な1つの側面に沿った係合面を有しうる。係合面とは反対の外面の少なくとも一部は、基準軸線に対して非平行である。例えば、本体部の上側面、下側面及び後側面は、前側面に対して非平行としうる。固定ピン組立体は、係合面の少なくとも一部がボアの内壁によって画定される支持構造の負荷支持面と係合可能であるように、接地係合部材を通って支持構造内に延在するボア内に配向されるように構成することができる。負荷支持面は、接地係合部材を支持構造から取り外すのに役立つ力に応答して、固定ピン組立体が力を及ぼすボアの一側面に配置されうる。
【0017】
本開示の別の態様では、固定ピン組立体を用いて、接地係合装置上に担持されたアダプタ上に取り付けるための摩耗部材は、外面と、内面と、ボアと、取り付け用傾斜部と、取り外し用傾斜部とを有しうる。内面は、摩耗部材内に空洞を画定することができる。前記ボアは、前記第1の壁の前記外面から前記第1の壁とは反対の第2の壁の前記外面に前記摩耗部材を貫通しうる。取り付け用傾斜部は、ボアに隣接して配置され、中子部が固定解除構成から固定構成に第1の方向に回転させられるときに、固定ピン組立体がボアの中に配置されている場合に、固定ピン組立体の中子部の第1の表面と係合するように構成されうる。また、取り外し用傾斜部は、ボアに隣接して配置され、中子部が固定構成から固定解除構成に向けて第1の方向と反対の第2の方向に回転させられるときに、中子部の第1の表面と反対の中子部の第2の表面と係合するように構成されうる。いくつかの実施形態では、取り付け用傾斜部と取り外し用傾斜部は、第1の壁に一体化されている。取り付け用傾斜部は、取り付け用傾斜部と第1の表面との係合により、中子部の第1の方向の回転を固定ピン組立体の軸線方向変位に変換し、摩耗部材内の固定ピン組立体の着座を容易にするように構成されうる。同様に、取り外し用傾斜部は、第2の表面との取り外し用傾斜部の係合により、中子部の第2の方向における回転を固定ピン組立体の軸線方向変位に変換し、固定ピン組立体の摩耗部材からの取り外しを容易にするように構成されうる。
【0018】
本開示のさらに別の態様では、固定ピン組立体を用いて接地係合装置上に担持されているアダプタに摩耗部材を固定するか又は摩耗部材を取り外すための方法は、固定ピン組立体が摩耗部材及びアダプタを通過するボアの中に配置されつつ、固定ピン組立体の本体部に対して第1の方向に、固定ピン組立体の本体部に対して、軸部材の歯の第1の表面が、本体部の中に配置されているプランジャの切り欠きの対応する第1の表面に係合する第1の可動範囲(又は「移動の一部」)を通して回転させる、第1の回転段階を備えうる。プランジャは、本体部に対して実質的に回転固定することができ、第1の可動範囲を通る軸部材の回転により、付勢部材をプランジャを初期位置から圧縮位置に向かって軸線方向に変位させる。本方法は、本体部に対して第1の方向に、歯の第2の表面が切欠きの対応する第2の表面に対して摺動する第2の可動範囲を通して軸線部材を回転させる、第2の回転段階をさらに備えうる。第2の可動範囲を通した軸の回転中に、付勢部材は、プランジャを初期位置に戻しうる。第1の回転段階及び第2の回転段階により、軸部材から延在する中子部などの固定ピン組立体の固定機構を第1の構成から第2の構成に移動させることができる。固定機構が第1の構成及び第2の構成の内の一方にある場合、固定機構は、固定ピン組立体の摩耗部材からの引き抜きを阻止するように摩耗部材又はアダプタと接続し、固定機構が第1の構成及び第2の構成の他方にある場合、固定ピン組立体は、摩耗部材から取り外し可能である。
【0019】
いくつかの実施形態では、第1の可動範囲は0度~180度の範囲を備え、第2の可動範囲は0度~180度の範囲を備える。例えば、いくつかの実施形態では、第1可動範囲及び第2可動範囲の一方又は両方は、20度~160度の間、40度~140度の間、70度~100度の間などの範囲を有しうる。
【0020】
さらなる実施例では、本開示は、接地係合部材を支持構造に固定するための固定ピン組立体を対象とする。固定ピン組立体は、支持構造内の開口に回転不能に選択的に突出するように配置された本体部を有しうる。また、本体部は、その内部に形成された開口を有する。軸部材は、第1の軸線を有し、遠位端と近位部とを備え、この遠位端は、第1の複数の等距離間隔の歯を備えうる。第1の複数の等距離間隔の歯は、約30度~120度の間の範囲で、第1の軸線を中心に半径方向に離間することができ、遠位端は、本体部の中に配置されている。中子部は、本体部の外側の軸部材の近位部から半径方向に延在しうる。軸部材は、中子部が接地係合部材を支持構造に固定するように位置決めされたときに、中子部が固定ピン組立体の接地係合部材からの取り外しを機械的に阻止するように中子部が位置決めできる第1の位置と、中子部が接地係合部材を支持構造に固定するように位置決めされたときに、中子部が固定ピン組立体の接地係合部材からの取り外しを可能にするように中子部が位置決めできる第2の位置との間で、本体部に対して回転可能としうる。付勢部材は、本体部の中に配置されうる。プランジャは、付勢部材と軸部材の遠位端との間に配置することができ、プランジャは、第2の軸線を有し、第2の複数の等距離間隔の歯を備える。第2の複数の等距離間隔の歯は、約30度~120度の間の範囲で第2の軸線を中心に半径方向に離間され、軸部材の第1の複数の等距離間隔の歯と選択的に係合して、対向する2つの方向への回転に対する抵抗をもたらすように成形されている。いくつかの態様において、第1の複数等距離間隔の歯と第2の複数の等距離間隔の歯は、2つの方向の回転に対してほぼ等しい抵抗を提供するように成形されている。
【0021】
さらに別の例示的な態様では、本開示は、接地係合部材を支持構造に固定するための固定ピン組立体を対象とする。固定ピン組立体は、その内部に形成された開口を有する本体部を有することができ、かつ、第1の軸線を有しかつ遠位端及び近位部を備える軸部材を有しうる。遠位端は、軸線方向に延在しかつ第1の軸線からオフセットする突出歯を有することができ、遠位端は本体部の中に配置されうる。中子部は、本体部の外側の軸部材の近位部から半径方向に延在しうる。軸部材は、中子部が接地係合部材を支持構造に固定するように位置決めされたときに中子部が固定ピン組立体の接地係合部材からの取り外しを機械的に阻止するように中子部が位置決めできる第1の位置と、中子部が接地係合部材を支持構造に固定するように位置決めされたときに中子部が固定ピン組立体の接地係合部材からの取り外しを可能にするように中子部が位置決めできる第2の位置との間で、本体部に対して回転可能としうる。付勢部材は、本体部の中に配置されうる。プランジャが付勢部材と軸部材の遠位端との間に配置されうる。プランジャは、第2の軸線を有することができ、近位方向に延在しかつ第2の軸線からオフセットした第2の歯を備えうる。第2の歯は、第1の歯と係合して、対向する2つの方向への回転に対する抵抗を提供しうる。いくつかの態様において、軸部材及びプランジャの内の一方は、それぞれの第1の歯又は第2の歯に隣接する切り欠きを備え、第1の歯及び第2の歯のそれぞれは、第1の軸線及び第2の軸線の周りでそれぞれ約30度~120度の間の範囲の放射状の円弧を形成するように寸法決めされている。
【0022】
前述の一般的な説明及び以下の図面及び詳細な説明の両方が、本質的に例示的かつ説明的であり、本開示の技術的範囲を限定することなく、本開示の理解を提供することを意図していることを理解されたい。その点に関し、本開示のさらなる態様、特徴及び利点は、以下の記載から当業者には明らかであろう。
【0023】
添付図面は、本明細書に開示されるシステム、装置及び方法の実施例を図示し、説明と共に、本開示の原理を説明する役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1は本開示の原理を具現化する掘削歯組立体の組み立てられた斜視図である。
【
図3A】
図3Aは本開示による固定ピン組立体の分解された斜視図である。
【
図4D】
図4Dは細長いプロファイルを有する代替の固定ピン組立体の断面図である。
【
図5A】
図5Aは固定解除位置にある固定ピン組立体の部分側面図である。
【
図5B】
図5Bは固定位置にある固定ピン組立体の部分側面図である。
【
図6】
図6は本開示による軸部材における溝と相互作用する回転停止要素を示す断面図である。
【
図9】
図9は固定ピン組立体と摩耗部材の相互作用を示す、
図1の組立体の部分左側面図である。
【
図10】
図10は、固定ピン組立体と摩耗部材の相互作用を示す、
図1の組立体の右側断面図である。
【
図11】
図11は、本開示の原理を具現化する摩耗部材の右側斜視図である。
【
図12】
図12は、摩耗部材を貫通するボアの近位開口を示す、
図11の摩耗部材の部分的な左側斜視図である。
【
図16】
図16は、本開示による固定ピン組立体を用いて摩耗部材をアダプタ上に固定するための方法のフローチャートである。
【
図17】
図17は、固定ピン組立体で固定された摩耗部材をアダプタから取り外す方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
これらの図は、以下の詳細な説明を参照することによってより良く理解されるであろう。
【0026】
本開示の原理の理解を促進する目的で、次に、図面に示されている実施例が参照され、当該実施例を記載するために特定の言語が使用されてうる。それにもかかわらず、本開示の範囲を制限することは意図されていないことは理解されよう。本開示の原理の記載された装置、器具、方法、及び、任意のさらなる適用に対するいかなる変更及びさらなる修正も、本開示が関連する当業者に通常生じるであろうように、十分に考えられる。さらに、本開示は、1つ以上の実施例又は図に関して、いくつかの要素又は特徴を詳細に記載し、それらの同じ要素又は特徴が後続の図に現れる場合には高度な詳細を伴わずに記載する。1つ以上の実施例又は図に関して記載される特徴、構成要素、及び/又は、段階は、本開示の他の実施例又は図に関して記載される特徴、構成要素、及び/又は、段階と組み合わせてもよいことが十分に考えられる。簡単のために、いくつかの例では、同一又は類似の部分を参照するために、同じ又は類似の参照番号が図面全体に用いられる。
【0027】
本開示は、アダプタを掘削歯などの摩耗部材に取り外し可能に固定するように配置された固定ピン組立体を備える掘削歯組立体に関する。固定ピン組立体は、摩耗部材の内面に係合し、固定ピン組立体が不用意に取り外されるのを機械的に阻止する、半径方向に延在する回転可能な固定要素(又は「中子部」)を備える。付勢部材は、固定位置から固定解除位置への中子部の回転と機械的干渉を引き起こす。中子部が固定ピン組立体の本体部に対する固定位置から固定解除位置への回転及び固定解除位置から固定位置への回転中において、回転対する抵抗が第1の可動範囲中に提供され、第2の可動範囲中には抵抗は提供されない。この特徴により、利用者に、固定ピン組立体が、固定から固定解除へ又は固定解除から固定へ適切に移行されたことを保証するという触覚フィードバックを提供する。さらに、回転に対する抵抗により、不用意による回転の機会を減少又は最小化するのに役立ちうる。
【0028】
固定ピン組立体は、固定ピン組立体の構成要素の不用意な回転を阻止するように機械的干渉を採用しているので、固定ピン組立体は、不用意に固定解除される機会を最小限に抑えながら、振動、高い衝撃、及び繰り返し負荷に耐えることができる。さらに、固定ピン組立体のいくつかの実施形態は、固定ピン組立体が固定状態を達成するときに、カチッという音などの可聴ノイズを発するように配置されうる。このため、機械オペレータなどの利用者は、新しい摩耗部材を取り付けかつ古い摩耗部材を交換する時間が、従来のコネクタピンで行うことができる時間よりも容易である場合がある。
【0029】
図1及び
図2は、本開示による組立体の例示的実施形態を示す。図示の実施形態では、掘削歯組立体100は、固定ピン組立体106を備えたアダプタ102(又は「支持構造」)に取り付けられた交換可能な刃先の形態を代表する摩耗部材104(又は「接地係合部材」)を備える。本開示による組立体は、任意の種類の接地係合部材と、接地係合部材がピンで固定される対応する支持構造とを有しうることが理解されるべきである。掘削歯組立体100は、設置可動装置において特定の有用性を見出すことができる。例えば、掘削歯組立体100は、建設、採鉱、掘削及び他の産業で使用されうる。アダプタ102は、フォークを有する後側基部を有し、この基部は、例えばバケットのリップに接合(溶接)されるか又は他の方法で固定されうる。摩耗部材104を受け入れるために前方に突出するノーズ部は、後側基部から延在している。横断ボア160が摩耗部材及びノーズ部の両方の反対側の垂直側面を通って延在しており、摩耗部材104をアダプタ102上に保持するように固定ピン組立体106が横断ボア160に挿入されうる。掘削歯組立体100は1つ又は複数の中間アダプタを有することができ、固定ピン組立体106は、摩耗部材としてアダプタ102上に中間アダプタを保持するように挿入することができ、又は、摩耗部材104を中間アダプタ上に保持するために使用されうることに留意すべきである。代替の実施形態では、ボアがアダプタを完全に貫通していなくてもよいことが理解されるべきである。さらに、いくつかの実施形態では、第1のボアがアダプタの第1の側面に延在し、第2のボアがアダプタの第2の側面に延在しうる。上記実施形態では、2つの固定ピン組立体を利用することができる。
【0030】
固定ピン組立体106は、摩耗部材104及びアダプタ102のボア160内に受け入れられるような形状及び寸法である。本明細書に記載されるように、固定ピン組立体106は、摩耗部材104をアダプタ102上の所定の位置に取り外し可能に固定することができる。さらに、固定ピン組立体106の少なくとも一部は、固定解除位置と固定位置との間で操作されうる。摩耗部材104がアダプタ102上に適切に配置されていると、固定ピン組立体106を固定解除位置から固定位置に操作することができる。固定ピン組立体106は、固定位置にあるとき、摩耗部材104がアダプタ102から分離するのを機械的に遮断することによって、摩耗部材104がアダプタ102から取り外されるのを阻止することができる。必要に応じて、オペレータなどの利用者は、固定ピン組立体106を固定位置から固定解除位置に操作しうる。これにより、利用者はボア160から固定ピン組立体106を取り外し、続いてアダプタ102から摩耗部材104を取り外すことができる。
【0031】
図3Aの分解図を参照すると、固定ピン組立体106は、特に、本体部110と、軸部材112とを備える。本体部110は、ボア160の形状に対応する外面146を有する本体としうる。軸部材112は、ヘッド124を通る本体部110の開口である固定空洞125内に部分的に配置されておりかつそこから延在している。
図3Aに例を含むいくつかの例では、固定空洞125は、本体部110を途中まで延在する略円柱状のボアである。軸部材112の遠位部は、固定空洞125内に篏合するように寸法決めされ配置された筒状の外面を有する。この実施形態では、軸部材112は、固定空洞125内で回転することができるようにすきま嵌合を有している。
【0032】
軸部材112は、軸部材112から本体部110の外側に半径方向に突出した中子部126を備えている。中子部126は、固定ピン組立体106が固定位置でボア160から取り出されるのを阻止するように、摩耗部材104と機械的干渉を与える機構である。工具係合機構128を用いて、軸部材112を回転させ、中子部126を回転させることで、固定ピン組立体106を、中子部126が挿入及び取り外しの際に摩耗部材104の一部を通過する固定解除位置から、中子部126が摩耗部材104の一部と係合する固定位置に移行させうる。この実施形態では、工具係合機構128は、六角レンチなどの六角形状の工具を受け入れるように構成された六角形状の工具用凹部を備え、また、モンキーレンチ又はソケットによって係合するように構成された六角形状の外面を備える。当業者には明らかなように、他の工具界面及び工具を使用することができる。
【0033】
工具係合機構128は、利用者が取り扱うことができる作業工具(図示せず)を受け入れるように寸法決めされかつ配置されている。作業工具は、工具係合機構128内に挿入され、軸部材112を回転させるように回転させられ、固定ピン組立体106を固定位置から固定解除位置へ及び固定解除位置から固定位置へ操作することができる。
【0034】
軸部材112は、回転中にプランジャ116及び付勢部材118と相互作用して、回転に対する抵抗を提供し、これによって不用意による固定解除を阻止し、利用者に触覚フィードバックを提供する。軸部材112は、軸部材112を軸線方向に変位させることなく両方向に回転させることができることが理解されるべきである。この点に関し、軸部材112は、軸部材112とプランジャ116との間の連続的な接触によるその回転に対する抵抗を受けながら、時計回り及び反時計回りの両方に回転することができる。
【0035】
図示の実施形態では、付勢部材118はコイルばねであるが、任意の適切なばね又は付勢機構とすることができ、付勢部材118は、一方の端部で固定空洞125の遠位壁に当接して載置され、他方の端部でプランジャ116と係合する。この点に関し、プランジャ116は、軸部材112に向かって付勢され、プランジャ116を更に固定空洞125内に押し込むのに役立つ軸線方向の移動に抵抗しうる。
【0036】
プランジャ116の回転を阻止して、軸部材112の回転に対する抵抗がプランジャ116によって提供されることを保証することが望ましい場合がある。その点に関して、プランジャ116は、回転停止要素を有しうる。図示の実施形態では、回転停止要素は、固定空洞125と交差するダボ凹部123に配置されたプランジャダボ122を備える。プランジャダボ122は、プランジャ116の細長い開口134を通過する。細長い開口134の細長い形状により、プランジャ116が固定空洞125内で軸線方向に摺動することを可能にするが、本体部110に対しては回転しない。プランジャダボ122は、例えば、洗浄又は修理のために、固定ピン組立体106の分解を容易にするために、ダボ凹部123から取り外し可能であるが、プランジャダボ122又は別の回転停止要素が本体部110と一体的に形成されうることが考慮されるべきである。
【0037】
代替的な実施形態では、回転停止要素は、プランジャから延在する突出部を有しうる。この突出部は、固定空洞125の内壁面に形成された長手方向チャネル内に配置することができる。この点に関し、プランジャ116は、突出部が長手方向チャネル内で摺動するときに、固定空洞125内で軸線方向に自由に摺動することができる。しかしながら、プランジャ116の回転は、突出部と長手方向チャネルの側壁との機械的干渉によって阻止されるであろう。
【0038】
軸ダボ120は、固定空洞125と交差して軸部材112上の溝130と係合するダボ凹部121の中に配置することができる。プランジャダボ122と同様に、軸ダボ120は、取り外し可能とすることができ、又は、本体部110に永久的に固着されうる。溝130は、長手方向ではなく軸部材112に対して実質的に横方向に延在するように配置されている。この点に関し、軸部材112は回転可能であるが、軸線方向の移動は、
図5A~
図6を参照してより詳細に後述するように、軸ダボ120と溝130との間の干渉によって実質的に制限される。この軸ダボ120によって生じる軸線方向の移動の制限により、軸部材112を固定空洞125内に保持し、軸部材112の回転中にプランジャ116によって軸部材112に加えられる力に応じて軸部材112が変位するのを阻止する。軸ダボ120及び溝130は、軸部材112の軸線方向の移動を制限する例示的な手段に過ぎず、回転を可能にしつつ軸部材112の軸線方向の移動を制限する他の適切な手段が本開示の範囲内であると考えられることを理解されたい。
【0039】
軸部材112とプランジャ116との間の界面は、軸部材112から延在する対応する歯を把持する回転不能なプランジャ116から延在する歯として、軸部材112の回転抵抗を容易にするクラウン状の特徴を有しうる。本明細書に記載されるように、軸部材112の隣接する各対の歯は、プランジャ116の対応する歯を受け入れるように構成された切り欠きを形成し、その逆も同様である。歯の最も遠い範囲は、歯のこの最も狭い点が、付勢部材118の最大圧縮により抵抗が最大に達する回転位置に対応し得るとして、抵抗ピークと呼ぶことができる。一方の部材(軸部材112又はプランジャ116)の歯が他方の部材の抵抗ピークを乗り越えると、歯が摺動し始めて着座位置に嵌め込まれるときに抵抗がゼロに落ちることがある。複数のギザギザの歯として図示されているが、歯及び切り欠きは、滑らかで波状の曲線から形成されうることが理解されるべきである。このようなプロファイルは、図示された実施形態よりも回転抵抗を少なくすることができ、長い耐用年数又は他の利点を有しうる。いくつかの実施例形態では、歯は、対向する2つの方向における回転に対してほぼ等しい抵抗を提供するように成形されている。
【0040】
好ましい実施形態において、軸部材112及びプランジャ116の各々は、4つの等距離間隔の歯を有しうる。この点に関し、軸部材112の固定位置から固定解除位置への回転は、プランジャ116の切り欠き136aから隣接する切り欠き136bへの軸部材112の歯138の再位置合わせに対応するほぼ90度の回転を含むことになる。軸部材112を固定位置に戻すには、回転が逆になることがある。当然のことながら、1つの係合機構上の1つの歯と他の係合機構上の2つの切り欠きなどの、より多い又は少ない歯を設けうる。あるいは、各係合機構は、5つの歯、10つの歯、又は、それ以上の歯を有しうる。隣接する歯や切り欠き対の間の回転範囲は、歯数及び切り欠き数の減少又は増加に対応して、増加又は減少し得る。
【0041】
いくつかの実施形態では、歯は、約30度~120度の間に選択される。例えば、いくつかの実施形態は、約120度離間した3つの歯を利用する。いくつかの実施形態は、約30度離間した12個の歯を利用する。
【0042】
図3Bに見られるように、各歯は、2つの切り欠き136a、136bの間に延在する抵抗ピーク137によって画定され、各歯は、軸部材112の回転方向に対して角度αで配向されている。角度αは、依然として軸部材112の回転を可能にしつつ回転に対する抵抗を提供する任意の適切な角度としうると考えられる。図示の実施形態では、角度αは、約45度~75度としうる。一例では、角度αは、例えば、約59度としうる。軸部材112の各歯とプランジャ116の対応する歯との間の相互作用により、回転を回転方向に対して横断方向の成分を有する軸線方向の力に変換する。軸部材112の軸線方向の移動は軸ダボ120によって制限されるため、この力は、各歯の1つの傾斜面の上方傾斜に対応する移動の第1の部分の間、付勢部材118に対するプランジャ116の軸線方向の変位を引き起こす。軸部材112の各歯138の抵抗ピークが、プランジャ116の対応する歯の抵抗ピーク137を通過すると、回転に対する抵抗がない、移動の第2の部分が始まる。実際、いくつかの実施形態では、軸部材112の各歯の抵抗ピークがプランジャ116の各歯の対応する第2の表面の下向きの傾斜にわたって摺動するので、移動の第2の部分の間に回転が付勢され、プランジャ116が付勢部材118によってその初期位置に押し戻されるので、軸部材112をプランジャ116に対して完全に着座された位置に嵌め込む。いくつかの実施形態では、同様の傾斜及び同様の長さの隣接する2つの表面で各歯を形成することによって、軸部材112のプランジャ116に対する固定位置と固定解除位置との間の往復運動は、クラウン状の界面によって提供される抵抗と同様の程度の抵抗で促進することができ、両方向の回転において、利用者に対して、1つの切り欠きから隣接する切り欠きへの歯の完全な移行を確認する、同様の触覚フィードバックをもたらす。隣接する歯が90度離れている図示の例では、歯138の1つの切り欠き136aから隣接する切り欠き136bへの移行は、固定位置と固定解除位置との間の90度の回転に対応する。
【0043】
図3Cは代替実施形態の
図3Bのプランジャの先端を示す図である。この代替の実施形態では、プランジャ116の各歯は、抵抗ピーク137における平面を備えるほぼ平坦なセグメントと、切り欠き136a、136bの基部における対応する平坦なセグメントとを有しうる。平面は、プランジャの歯を画定する、第1の傾斜面と第2の傾斜面との間に延在しうる。軸部材112は、
図3Cのプランジャの歯に対応する形状の歯を有しうる。角度βは、依然として軸部材112の回転を可能にしつつ、回転に対する抵抗を提供する任意の適切な角度としうると考えられる。図示の実施形態では、角度βは、約60度~80度とすることができ、いくつかの例では、約72度~73度としうる。角度αと比較して大きい角度βにより、回転に対する抵抗を増し、また、完全な軸線方向変位を達成するために必要な回転距離に影響を与える可能性がある。例えば、
図3Bでは、完全な軸線方向変位(4つの歯の例を用いて)は、約90度の回転で達成されうる。
図3Cの例では、完全な軸線方向変位(4つの歯の例を用いて)は、約60度~85度の回転で達成されうる。しかし、付勢部材118のバネ定数などの他の要因も、提供される回転抵抗に影響を与え得ることが理解されるべきである。
【0044】
クラウン状界面に関連して上述した機能性は、軸部材112から延在する単一の歯138とプランジャ116内に形成された2つの切り欠きを設けることによって、又は、その逆によって促進され得ることが理解されるべきである。しかし、複数の歯及び複数の切り欠きは、プランジャ116と軸部材112との間の力を複数の歯の界面にわたって分布させることによって、固定ピン組立体106の耐用年数を延ばすために望ましい場合がある。さらに、複数の歯及び切り欠きを界面の周囲に対称に分布させることは、プランジャ116及び軸部材112の直線状の位置合わせを維持するのを助け得、それによって、固定空洞125内の構成要素の結合を阻止し、軸部材112の回転に対する予測可能かつ一貫した抵抗を提供し得る。
【0045】
Oリング114は、軸部材112の全周溝132に嵌合されうる。固定ピン組立体106が組み立てられると、Oリング114は、軸部材112と固定空洞125の内壁との間にシールを提供することができる。このシールは、破片が固定空洞125に入り込み、プランジャ116及び付勢部材118の移動を邪魔するのを阻止するのに有効となりうる。
【0046】
図4A及び
図4Bを参照すると、組み立てられた固定ピン組立体106が、それぞれ上面図及び正面図で示されている。基準軸線140は、固定空洞125、軸部材112及びプランジャ116の中心を通って長手方向に延在する。図示の実施形態では、本体部110の前側面150は、基準軸線140に平行に延在する外面146の一部によって画定されうる。外面146のこの部分は、
図4Cに示されるように、本体部110を通る各横断面が円形であるように、前側面150にわたって長手方向に延在する微小の狭い線を有しうる。この点に関し、円形断面の一部か又は全ては、基準軸線140からオフセットしうる。あるいは、基準軸線140に平行な外面146の部分は、断面の内の一又は複数がD字形であるように、平坦としうる、平坦な表面を有しうる。
【0047】
対照的に、後側面151、底側面152及び上側面153の各々は、基準軸線140と平行でない外面146の部分によって画定されうる。これらの後側面151、底側面152及び上側面153は、本体部110の近位端142から本体部110の遠位端144まで延在するテーパを有しうる。すなわち、ヘッド124を無視した本体部110の最大外径が近位端142にあり、先端168を無視した本体部110の最小外径が遠位端144にある。本体部110のテーパ形状により、固定ピン組立体106をボア160から取り外すことができる容易さを改善することができる。すなわち、使用中に固定ピン組立体106が受けうる極端な圧縮力及びねじり力のために、筒状である本体部がボア160内で楔状になり、取り外しが困難になる可能性がある。しかしながら、固定ピン組立体106などのテーパを有するピンは、この課題に対してより耐性がある。最大外径と最小外径との間のテーパは、直線状でも非直線状でもよい。さらに、後側面151、底側面152及び上側面153の内の一方又は複数の上のテーパは、1つ又は複数の他の側面に対して非対称としうる。
【0048】
本体部110の非対称設計は、少なくとも2つの利点を提供し得る。第一に、アダプタ102内又はそれを貫通するボア160が、本体部110の外面146と同様に成形されている場合、固定ピン組立体106の回転を阻止することができる。換言すれば、ボアが非円形である場合、前側面150から後側面151までの本体部110の幅がボア160の高さを超えてもよく、本体部110はボア160に着座すると回転できなくなる。この構成は、例えば、
図4Dの代替断面図で見ることができる。
【0049】
第二に、特に、基準軸線140に平行な外面146の部分が平面を備える場合には、掘削歯組立体100の耐荷力を向上させることができる。すなわち、摩耗部材104に加えられて固定ピン組立体106及びアダプタ102に移送される負荷によって、負荷が十分に分布されていない場合に、固定ピン組立体106及び/又はアダプタ102に過剰な摩耗又は破損を生じさせ得る。例えば、全ての側面にテーパが付けられかつ筒状のボア内に取り付けられた本体部は、本体部の一方の先端付近に本体部の他方の先端の方よりも大きな負荷を受けることになる。しかしながら、基準軸線140に対してテーパ状ではなく平行である本体部110上に面を設けることによって、負荷が前側面150にわたって均等に分布されうる。更に又は代替的に、摩耗部材104がアダプタ102の後部に向かって押圧されたときに掘削中に負荷を均等に分布させるために、外面146の後側面151に平行な部分を設けることができると考えられる。
【0050】
図5A及び
図5Bを参照すると、軸部材112は、
図5Aにおいて固定解除構成で示され、
図5Bにおいて固定解除構成で示されている。図示のように、中子部126は、軸部材112が固定解除位置にあるときに、距離L
2だけ本体部110のヘッド124から分離されうる。軸部材112が固定位置まで回転させられると、軸部材112は、中子部126が距離L
1だけヘッド124から分離されるように軸線方向に変位することができ、これは0としうる。この運動は、わずかに螺旋方向を有する溝130(
図3A参照)を形成することによって促進される。これにより、軸ダボ120は静止して本体部110に対して定位置に固定されたままであるので、軸部材112の回転によって、軸部材112に形成された螺旋状の溝130の側部が軸ダボ120から押し出され、それによって、軸部材112を軸線方向に変位させる。この特徴により、利用者に触覚フィードバックを提供するのにさらに寄与し得る。好ましくは、溝130の幅は、きついすきま嵌めのために軸ダボ120の幅と一致する。しかしながら、溝130の幅は軸ダボ120よりも広くてもよいと考えられる。
【0051】
図6は、
図4Aの線6-6に沿って見た断面であり、溝130と例えば軸ダボ120の回転停止要素との相互作用をさらに示す。溝130は、部分的に円周状であってもよく、その長さは、溝130の対向する端部によって制限されかつ規定される。次に、溝130の制限された長さによって、軸部材112の回転範囲が制限される。この点、ダボ凹部121内に位置する軸ダボ120は、軸部材112が回転するにつれて溝130の複数の端部が接触することにより、軸部材112の回転と機械的に干渉し、それ以上の回転を阻止することができる。図示の実施形態では、溝130は、軸部材112上の4つの等距離の歯とプランジャ116によって促進される90度の回転に対応する、ほぼ90度の回転を可能にする弧の長さを有するように構成されている。この90度の回転範囲は、中子部126を固定解除位置から固定位置にかつ中子部126を固定位置から固定解除位置にかつ移行させるのに十分である。しかしながら、溝130は、任意の所望の可動範囲を容易にするために任意の長さに構成することができる。
【0052】
図7~
図10を参照すると、
図7及び
図8は、それぞれ、
図1の掘削歯組立体の線7-7に沿って見た正面断面図及び線8-8に沿って見た上面断面図を示す。
図9は、掘削歯組立体のボア160の左側面図を示し、
図10は、
図8の線10-10に沿った断面図を示す。
【0053】
ボア160は、摩耗部材104の第1の壁の近位開口162から、摩耗部材104の対向する第2の壁の遠位開口164まで、摩耗部材104及びアダプタ102を貫通して延在する。しかしながら、上述したように、ボア160は、代替的に、アダプタ102を完全に通過するのではなく、アダプタ102内に部分的にのみ延在することができ、比較的に短いボア長に対応する比較的に短い固定ピン組立体を設けることができる。
【0054】
図8~
図10に最もよく示されるように、本体部110、具体的にはヘッド124は、本体部の近位端の近位開口162と機械的に接続するように寸法決めされかつ成形することができ、本体部110、具体的には先端168は、遠位開口164と機械的に接続するように寸法決めされかつ成形されうる。したがって、本体部110は、少なくともこれらの位置において、本体部110の摩耗部材104に対する回転を阻止する、非円形の周辺プロファイル又は形状を有する。さらに、本体部110と近位開口162及び遠位開口164の間のぴったりの篏合により、固定ピン組立体106を摩耗部材104と一体で移動させる。有利には、これは、摩耗部材104が使用中にアダプタ102に対して移動するので、摩耗部材104が中子部126に力を加えることを阻止することができ、これは望ましくない固定解除を行うことができる。
【0055】
図10に最もよく示されているように、近位開口162は、非対称プロファイルを有することができ、その少なくとも一部は非円形としうる。この点に関し、非対称形状により、利用者が固定ピン組立体106を正しい向きでボア160内に挿入するのを補助することができる。すなわち、対称的なヘッドにより、利用者が固定ピン組立体を逆向きに挿入しようとすることなり、基準軸線140に平行である外面の部分をボア160の間違った領域に位置決めすることによって、本体部にわたって不適切な負荷分布をもたらす可能性がある。さらに、ヘッド124のプロファイルの非円形部分によって、ヘッド124は、固定ピン組立体106の摩耗部材104に対する回転を阻止する方法で、近位開口162の少なくとも一部内にきつく着座することができる。
【0056】
図8に示すように、アダプタ102を通過するボア160の部分に負荷支持面166を設けることができる。この負荷支持面は、
図4Aに関連して上述したように基準軸線140と平行としうる、本体部110の外面146の前側面150に密接に対応するように寸法決めされかつ成形されうる。アダプタ102は、摩耗部材104及び固定ピン組立体106によって及ぼされる負荷を全ての方向において対処するように設計されることが好ましいが、負荷支持面166は、特に、本体部110にわたる負荷の均等な分布を保証するように適合されうる。
【0057】
遠位開口164は、本体部110の一部の直径よりも小さい寸法にされ、固定ピン組立体106がボア160の遠位端から滑り出るのを阻止し、かつ、固定ピン組立体106がボア160内にそれほど深く着座してくることがなく、それが楔状になり、容易に取り外すことができないことを保証する。代替の実施形態では、遠位開口164は、壁を完全に通過するのではなく、摩耗部材104の内壁上の遠位凹部と置き換えることができるが、図示の実施形態では、遠位開口164は、固定ピン組立体106がボア160内に固着された場合にそれを外すように、穿孔器などの工具のためのアクセス地点として設けられている。先端168は、本体部110が固着した場合に利用者が本体部110に容易にアクセスできるように、遠位開口164内に十分に延在しうる。
【0058】
図7及び
図8において、中子部126は固定位置にあり、近位開口162の上方の摩耗部材104の壁と中子部126の機械的干渉により、固定ピン組立体がボア160内に固定される。摩耗部材104の壁の特徴部に関する中子部126の位置決めは、
図12~
図15に関連して以下により詳細に論じられる。
【0059】
図3に関連して上述したように、
図8は、プランジャダボ122、それが配置されている細長い開口134、並びに、軸ダボ120、及び、軸部材112及び溝130に対する軸ダボ120の位置の付加的な図を提供する。
【0060】
図11~
図15は、ボア160の近位開口162に関連する特徴部に特に注意を払った摩耗部材104の様々な例示を提供する。
図11は摩耗部材の右側斜視図である。
図12は摩耗部材の近位開口の部分的な左側斜視図である。
図13は、摩耗部材の空洞内部から見た、
図12の近位開口の斜視図である。
図14は近位開口の断面図であり、
図15は摩耗部材の空洞を通る右側断面図である。
【0061】
摩耗部材104は、外面170及び内面172を備える。内面172は、アダプタ102が挿入され得る空洞174を画定する。摩耗部材104は、第1の壁176と、第1の壁とは反対の第2の壁178とから構成されている。ボア160は、第1の壁176及び第2の壁178の両方を通って近位開口162から遠位開口164まで延在する。
【0062】
図12に最もよく示されているように、図示の実施形態では、近位開口162は、実質的にD形状である摩耗部材104の外面170においてプロファイルを有する。このD形状の平坦な壁は、回転に対する抵抗を提供する、ヘッド124の同様の平坦な表面と係合する。近位開口162は、さらに、平坦な壁から離れたその周囲の一部において、第1の壁176内に延在するローブを有する。このローブは、ヘッド124が正しい向きで挿入され、摩耗部材104に対して回転しないことをさらに保証しうる。
【0063】
第1の壁176内には、固定ピン組立体106の取り付け及び取り外しを補助することを意図した、2つの傾斜した面がある。取り付け用傾斜部182は、固定解除位置から固定位置に回転させられるときに、中子部126の近位側と係合するように構成されている。取り付け用傾斜部182は、第1の壁176の近位領域に配置されうる。中子部126が固定位置に向かって回転させられると、中子部126が、ボア160内に角度付けされた取り付け用傾斜部182にわたって摺動する。この点に関し、軸部材112の回転は、取り付け用傾斜部182にわたって摺動する中子部126によって軸線方向の移動に変換され、固定ピン組立体106をボア160内の着座位置に強いる。固定位置への回転中の中子部126の最後の移動部分は、傾斜しているのではなく、平坦であり、ボア160に対して横方向に配向されている、取り付け用傾斜部182の一部に対応しうる。この取り付け用傾斜部182の横方向端部は、約5~30回転度にわたって延在することができ、固定ピン組立体106の完全に着座された状態に対応しうる。すなわち、固定ピン組立体106がボア160内に完全に挿入された時、中子部126は横方向端部に到達するだけでよい。図示の実施形態では、中子部126は、約45回転度に達するまで、取り付け用傾斜部182と係合しない。この点に関し、利用者が中子部126を固定解除位置から固定位置まで90度回転させると、中子部は最初の45度の回転中に係合せずに回転することができる。その時点で、中子部126の近位側は、取り付け用傾斜部182と係合しかつ取り付け用傾斜部182にわたって摺動し始めることができる。取り付け用傾斜部182は、中子部126の回転範囲のわずかな部分(例えば、5度)にわたって延在してもよく、又は、中子部126の回転範囲全体にわたって延在しうることが理解されるべきである。
【0064】
取り付け用傾斜部182の向きにより、中子部126が取り付け用傾斜部182にわたって摺動するとき、固定ピン組立体106は、中子部126が完全に着座した状態に達するまで、さらにボア160内に付勢される。その時点で、中子部126は、中子部126が垂直になるまで、取り付け用傾斜部182の横方向部分にわたって別の5度~25度だけ回転させられうる。この時点で、中子部126は、摩耗部材104の内壁と接触し、中子部126が好ましい位置決めを超えて過回転するのを阻止することができる。ボア160からの固定ピン組立体106の取り外し方向に対して垂直である、取り付け用傾斜部182の横方向端部上に中子部126を当接させて位置決めすることは、固定ピン組立体106をボア160内に保持するのを助けうる。
【0065】
取り外し用傾斜部184が取り付け用傾斜部182に隣接して配置されている。取り外し用傾斜部184は、取り付け用傾斜部182と同様に機能しうるが、固定位置から固定解除位置に回転させられるにつれて、中子部126の遠位側と係合しうる。すなわち、固定ピン組立体106を完全に着座した状態にして、軸部材112を固定位置から固定解除位置に回転させうる。最初に、中子部126は、取り外し用傾斜部184に接触することなく、ある範囲の回転にわたって移動することができる。固定位置から固定解除位置への90度までの例えば約10度~70度の回転中のある時点において、中子部126は、中子部126の遠位側と接続する取り外し用傾斜部184と係合し、固定ピン組立体106をボア160から出すことができる。これは、破片又は応力によって固定ピン組立体106がボア160内に挟まった場合の取り外しに特に有利である場合がある。
【0066】
いくつかの実施形態では、取り付け用傾斜部182の傾斜及び取り外し用傾斜部184の傾斜は、異なるものであってもよく、又は、中子部126の回転範囲に沿った特定の位置で異なるものとしうる。取り付け用傾斜部182及び取り外し用傾斜部184に関して使用される「傾斜(Slope)」は、それぞれの傾斜部の指定された距離にわたって移動する中子部126によって生じる中子部126の軸線方向変位の大きさを指す。すなわち、より大きな傾斜は、より小さな傾斜よりも固定ピン組立体106のより大きな軸線方向変位を引き起こす傾斜の表面の向きを指す。例えば、取り付け用傾斜部の横方向端部は、実質的にゼロの傾斜を有しうる。図示の実施形態では、取り付け用傾斜部182は、取り外し用傾斜部184よりも小さな傾斜を有しうる。いくつかの実施形態では、傾斜の差は、傾斜部の長さの差に対応し得る。例えば、長い取り付け用傾斜部182は、固定ピン組立体106の軸線方向変位をより大きな距離にわたって分布させるために、より小さな傾斜を有しうる。対照的に、取り外し用傾斜部184は、望ましくは、破片又は変形によって楔状になった場合、固定ピン組立体106を取り外すのを助けるためにより大きな傾斜を有しうる。
【0067】
図示されるように、間隙186は、取り付け用傾斜部182の一部と取り外し用傾斜部184の一部との間に配置されうる。間隙186は、中子部126が回転中に間隙186を通過できるように寸法決めされている。取り外し用傾斜部184は、中子部126の回転の全範囲にわたって延在せず、むしろ、いくつかの実施形態では、それらのそれぞれの回転範囲のわずかな部分にわたって、取り付け用傾斜部182と重複していることが理解されるべきである。この特徴部は、中子部126が取り外し用傾斜部184に係合して近位開口162を通って外側に押し始める前に、取り付け用傾斜部182を備える第1の壁176の部分によって取り外しが妨げられないことが明らかな位置まで中子部126を回転させることを有利に可能にし得る。取り付け用傾斜部と取り外し用傾斜部との重複(そのような重複が存在する場合)は、間隙186が、近位開口162の長手軸線に実質的に平行な方向に存在することを可能にし得る。
【0068】
図16は、本開示の固定ピン組立体を用いて、摩耗部材をアダプタに固定する方法200を図示する。当然のことながら、摩耗部材及びアダプタについての記載で説明されているが、本方法は、中間アダプタをアダプタに固定するために、又は摩耗部材を中間構成要素に固定するためにも適用可能としうる。本方法は、ボアが摩耗部材とアダプタの両方を通して位置合わせされるように、摩耗部材をアダプタにわたって位置決めする工程202を備えうる。いくつかの実施形態では、ボアは、アダプタの一部のみを通過することができ、他の実施形態では、ボアは、摩耗部材及びアダプタを完全に通過することができる。
【0069】
本方法は、固定解除位置にある固定ピン組立体を摩耗部材のボアの近位開口を通してボア内に挿入する工程204を備えうる。固定ピン組立体を固定解除位置に配置することにより、中子部は近位開口の壁面を通過し、固定ピン組立体を挿入することができる。本方法は、通常、利用者によって操作される工具を用いて工具係合機構を介して軸部材と係合させ、軸部材を固定位置に向かって付勢する方向に回転力を加える工程206をさらに備えうる。本方法は、中子部がボア内又はボアに隣接して配置された取り付け用傾斜部に接触するときに、軸部材を回転させる工程208を備えうる。中子部の回転が続くにつれて、回転を固定ピン組立体の軸線方向変位に変換し、固定ピン組立体をボア内の所望の位置に着座させることができる。
【0070】
本方法は、さらに、固定ピン組立体の本体部に対して固定ピン組立体の軸部材を、抵抗が提供される第1の可動範囲を通して第1の方向に回転させる第1の回転工程210を備え、いくつかの実施形態では、この抵抗は、プランジャの第2の係合機構と相互作用する軸部材の第1の係合機構によって増す。例えば、軸部材の歯の第1の表面は、本体部の中に配置されたプランジャの切り欠きの対応する第1の表面と係合することができつつ、プランジャが本体部に対して実質的に回転固定され、第1の可動範囲を通した軸部材の回転によりプランジャを初期位置から圧縮位置に付勢部材に向かって軸線方向に変位させ、それによって回転に対する抵抗をもたらす。
【0071】
本方法は、軸部材を本体部に対して第2の可動範囲を通して第1の方向に回転させる第2の回転工程212をさらに備えうる。第2の可動範囲の間、第1の係合機構及び第2の係合機構は、提供される抵抗を実質的に減少させるように一時的に係合解除又は係合することができる。例えば、歯の第2の表面は、第2の可動範囲を通した軸の回転中に切り欠きの対応する第2の表面に対して摺動することができ、付勢部材は、プランジャを初期位置に戻しうる。第2の回転の間、利用者は、第1の方向に回転力を加え続けることができ、又は、単に、第1の係合機構及び第2の係合機構が、固定ピン組立体をボアから引き出すことに関連する方向への中子部の軸線方向変位と摩耗部材の壁の一部が干渉する固定位置に中子部を嵌め込むことを可能にすることができる。
【0072】
例示的な実施形態において、固定解除位置と固定位置との間の回転は、約90度に及びうる。第1の可動範囲は、10度~80度の範囲を有することができ、第2の可動範囲は、10度~80度の範囲を有しうる。好ましい実施形態では、第1の可動範囲及び第2の可動範囲は、それぞれ約45度を備える。
【0073】
図17を参照すると、摩耗部材が固定ピンで固定されているアダプタから摩耗部材を取り外す方法300が図示されている。本方法は、例えば、軸部材を工具と係合させ、付勢部材及びプランジャが軸部材の回転と干渉することによって生じる抵抗よりも大きい回転力を加える工程302を備えうる。回転力は、中子部を固定位置から固定解除位置に移動させるのに役立つ方向に加えられうる。軸部材が取り外し用傾斜部に対して接触して摺動するときに軸部材を回転させる工程304を備えうる。この中子部と取り外し用傾斜部の間の相互作用により、軸部材の回転を、ボアからの取り外し方向における固定ピン組立体の軸線方向変位に変換することができる。
【0074】
本方法は、中子部の移動の第1の部分を通して回転力を加え続ける工程306をさらに備える。移動の第1の部分の間、第1の係合機構と第2の係合機構が相互作用して、回転に対する抵抗を与え続けることができる。いくつかの実施形態では、この抵抗は、移動の第1の部分の間に増加し得る。本方法はまた、回転に対する抵抗が設けられていない第2の移動部分の間に、軸部材が固定解除位置に嵌め込むことを可能にする工程308を備えることができ、実際、このような回転は、プランジャが付勢部材によってその初期位置に押し戻されるときに付勢されうる。
【0075】
中子部が固定解除位置にある状態では、本方法の工程310は、固定ピン組立体を近位開口を通してボアから取り外す段階を備えうる。本方法は、摩耗部材をアダプタから取り外す工程312をさらに備えうる。
【0076】
好ましい実施形態において、移動の第1の部分及び第2の部分は、それぞれ、約45度の回転範囲を有しうる。
【0077】
本明細書に記載される可動範囲は、例示的実施形態を説明する目的のためにのみ例示的であることを意図している。当業者であれば、種々の可動範囲が所望の実施のために増減され得ることを理解すべきである。例えば、固定位置と固定解除位置との間の中子部の回転範囲は、実質的に90度よりも大きいか又は実質的に小さい。ボアの近位開口は、回転中に固定ピン組立体の所望のレベルの軸線方向変位を達成するために、より長い又はより短い距離にわたって延在する必要がある取り付け用傾斜部及び/又は取り外し用傾斜部を有することに応じて幾何学的に再構成することができる。
【0078】
本明細書に記載される固定ピン組立体は、従来の装置にはない利点及び利点を提供し得る。例えば、いくつかの従来のピン組立体よりも、不用意による固定解除、ボア内の詰まりの発生、負荷による損傷に対する耐性を高くしうる。摩耗部材及びアダプタを参照して説明したが、固定ピン組立体は他の用途での使用を見出すことができることを理解すべきである。例えば、これに制限されないが、固定ピン組立体は、アダプタをバケット又は地面係合工具産業における他の構造に取り付けるために使用されうる。
【0079】
当業者であれば、本開示によって包含される実施例は、上述の特定の例示的実施例に限定されないことを理解されたい。その点に関し、例示的な実施例が示され、説明されているが、前述の開示では、広範囲の修正、変更、組み合わせ及び置換が考えられる。上記の変動は、本開示の技術的範囲から逸脱することなく、前述になされうることが理解される。したがって、添付の請求項は、広範に、かつ、本開示と一致するように解釈されることが適切である。
また、本開示は以下の発明を含む。
第1の態様は、
接地係合部材を支持構造に固定するための固定ピン組立体において、
前記固定ピン組立体は、
前記支持構造の開口の中に選択的に突出するように回転不能に配置された本体部であって、その内部に形成された開口を有する本体部と、
遠位端と近位部とを備える軸部材であって、前記遠位端は第1の係合機構を有し、前記遠位端は前記本体部の中に配置されている、軸部材と、
前記軸部材の前記近位部から前記本体部の外側に半径方向に延在する中子部であって、前記軸部材は、前記中子部が前記接地係合部材を前記支持構造に固定するように位置決めされたときに前記中子部が前記接地係合部材からの前記固定ピン組立体の取り外しを機械的に阻止するように位置決めできる第1の位置と、前記中子部が前記接地係合部材を前記支持構造に固定するように位置決めされたときに前記中子部が前記接地係合部材からの前記固定ピン組立体の取り外しを可能にするように位置決めできる第2の位置との間において、前記本体部に対して回転可能である、中子部と、
前記本体部の中に配置された付勢部材と、
前記付勢部材と前記軸部材の前記遠位端との間に配置されたプランジャであって、前記プランジャは、前記軸部材の前記第1の係合機構と選択的に係合するように構成された第2の係合機構を備え、前記付勢部材により、前記プランジャを前記軸部材に向かって付勢し、前記第2の係合機構は、対向する2つの方向のそれぞれにおける前記プランジャに対する前記軸部材の回転中に抵抗を提供するように、前記第1の係合機構と係合するように構成されている、プランジャとを備える、固定ピン組立体である。
第2の態様は、
前記第1の係合機構及び前記第2の係合機構は、前記軸部材に加えられる回転力が、前記付勢部材によって加えられる回転に対する抵抗の大きさを超えると、前記軸部材を前記第1の位置及び前記第2の位置の一方から前記第1の位置及び前記第2の位置の他方へ回転させるように、互いに対して回転するように構成されている、第1の態様における固定ピン組立体である。
第3の態様は、
前記第1の係合機構、前記第2の係合機構、及び、前記付勢部材は、前記付勢部材によって加えられる回転に対する抵抗が、回転移動の第1部分中に生じ、回転移動の第2部分中に生じないように構成されている、第2の態様における固定ピン組立体である。
第4の態様は、
前記第1の係合機構及び第2の係合機構の一方は、抵抗ピークによって分離された、隣接する2つの切り欠きを備え、前記第1の係合機構及び第2の係合機構の他方は、前記2つの切り欠きのそれぞれの中に選択的に着座するように構成された歯を備える、第3の態様における固定ピン組立体である。
第5の態様は、
前記抵抗ピークは、第1の傾斜面と第2の傾斜面との間に延在する平面を備え、前記第1の傾斜面及び前記第2の傾斜面は、前記第1の係合機構及び第2の係合機構の内の一方の係合機構の対向する側面を画定する、第4の態様における固定ピン組立体である。
第6の態様は、
前記第1の傾斜面及び第2の傾斜面は、約60度~80度の範囲で、前記軸部材の回転方向に対して角度を付けられる、第5の態様における固定ピン組立体である。
第7の態様は、
前記抵抗ピークは、前記隣接する2つの切り欠きのほぼ中間に配置されている、第4の態様における固定ピン組立体である。
第8の態様は、
前記隣接する2つの切り欠きは、ほぼ90度離れた位置に中心合わせされる、第7の態様における固定ピン組立体である。
第9の態様は、
前記第1の係合機構及び第2の係合機構の他方は、第3の切り欠きを備え、前記抵抗ピークは、前記歯が前記隣接する2つの切り欠きの内の一方内に着座したときに、前記第3の切り欠きに篏合するように寸法決めされかつ成形されている、第8の態様における固定ピン組立体である。
第10の態様は、
前記第1の係合機構、前記第2の係合機構、及び、前記付勢部材は、前記軸部材が前記隣接する2つの切り欠きの間で回転することにより、前記第1の位置から前記第2の位置への移行を確認する触覚フィードバックを利用者に提供するように構成されている、第8の態様における固定ピン組立体である。
第11の態様は、
前記第1の係合機構、前記第2の係合機構、及び前記付勢部材は、前記隣接する2つの切り欠きの間の前記軸部材の回転が、前記第2の位置から前記第1の位置への移行を確認する触覚フィードバックを利用者に提供するように構成されている、第10の態様における固定ピン組立体である。
第12の態様は、
前記固定ピン組立体は回転停止要素を更に備え、前記軸部材は、その中に形成された部分的に周方向の溝を備え、前記回転停止要素は、前記溝の対向する複数の先端と機械的に干渉して前記本体部に対する前記軸部材の回転の範囲を制限するように構成された、第1の態様における固定ピン組立体である。
第13の態様は、
前記溝は、前記回転停止要素と前記溝との係合が、前記軸部材の回転を前記本体部に対する前記軸部材の軸線方向変位に変換するように螺旋状に延在する、第12の態様における固定ピン組立体である。
第14の態様は、
前記複数の先端と干渉する前記回転停止要素は、前記本体部に対して約90度の範囲で前記軸部材の回転を制限する、第13の態様における固定ピン組立体である。
第15の態様は、
前記回転停止要素は、前記本体部の一部を貫通して延在するダボを備える、第14の態様における固定ピン組立体である。
第16の態様は、
前記固定ピン組立体は、前記プランジャから延在し、かつ、前記プランジャの軸線方向変位を可能にしつつ前記プランジャの回転を阻止するように構成された、第2の回転停止要素を更に備える、第1の態様における固定ピン組立体である。
第17の態様は、
前記第2の回転停止要素は、前記本体部に対して固定された第2のダボを備え、前記プランジャは、前記第2のダボがその中に延在する細長い凹部を備える、第16の態様における固定ピン組立体である。
第18の態様は、
前記第2の回転停止要素は、前記プランジャから延在しかつ前記プランジャに関連して固定される突出部を備え、前記突出部は、前記本体部の内壁面に形成された長手方向チャネル内に延在する、第16の態様における固定ピン組立体である。
第19の態様は、
前記軸部材及び前記プランジャは、長手方向に延在する基準軸線を規定し、前記本体部の近位端に隣接する前記基準軸線に垂直な前記本体部の第1断面は、第1断面積を備え、前記本体部の遠位端に隣接する前記基準軸線に垂直な前記本体部の第2断面は、前記第1断面積よりも小さい第2断面積を備え、前記本体部は、前記基準軸線に平行な1つの側面のみに沿った係合面を備える、第1の態様における固定ピン組立体である。
第20の態様は、
前記固定ピン組立体は、前記係合面の少なくとも一部が前記ボアの内壁によって画定される前記支持構造の負荷支持面と係合するように、前記接地係合部材を通って前記支持構造内に延在するボア内で配向されるように構成されている、第19の態様における固定ピン組立体である。
第21の態様は、
前記負荷支持面は、前記固定ピン組立体が、前記支持構造から前記接地係合部材を取り外すのに役立つ力に応答して力を及ぼす、前記ボアの一側面に配置されている、第20の態様における固定ピン組立体である。
第22の態様は、
接地係合部材を支持構造に固定するための固定ピン組立体において、
前記固定ピン組立体は、
前記支持構造の開口の中に選択的に突出するように回転不能に配置された本体部であって、その内部に形成された開口を有する本体部と、
遠位端と近位部とを備える軸部材であって、前記遠位端は第1の係合機構を有し、前記遠位端は本体部の中に配置されており、前記軸部材は長手方向に延在する基準軸線を規定する軸部材と、
前記固定ピン組立体から半径方向に延在する固定機構であって、前記軸部材は、前記固定機構が前記接地係合部材を前記支持構造に固定するように位置決めされたときに前記固定機構が前記固定ピン組立体の接地係合部材からの取り外しを機械的に阻止するように位置決めできる第1の位置と、前記固定機構が前記接地係合部材を前記支持構造に固定するように位置決めされたときに前記接地係合部材から前記固定ピン組立体を取り外すことを可能にするように位置決めされたときに前記接地係合部材からの前記固定ピン組立体の取り外しを可能にするように位置決めできる第2の位置との間において、前記本体部に対して回転可能である、固定機構と、
前記本体部の中に配置された付勢部材と、
前記付勢部材と前記軸部材の前記遠位端との間に配置されたプランジャであって、前記プランジャは、前記軸部材の前記第1の係合機構と選択的に係合するように構成された第2の係合機構を備え、前記付勢部材により、前記プランジャを前記軸部材に向かって付勢し、前記第2の係合機構は、対向する2つの方向のそれぞれにおける前記プランジャに対する前記軸部材の回転中に抵抗を提供するために、前記第1の係合機構と係合するように構成されている、プランジャとを備え、
前記本体部は、前記接地係合部材を通って前記支持構造内に延在するボア内に受け入れられるように成形されており、取り付けられるときに、前記固定ピン組立体は前記接地係合部材に対して固定されつつ前記支持構造に対して移動可能である、固定ピン組立体である。
第23の態様は、
接地係合部材を支持構造に固定するための固定ピン組立体において、
前記固定ピン組立体は、
近位端及び遠位端を有する外面を備える本体部と、
前記近位端に配置されたヘッドであって、前記ヘッドは周辺部を有し、前記周辺部の一部が、前記接地係合部材の壁内の対応する形状の近位凹部内に受け入れられるように構成された非円形形状を有する、ヘッドと、
前記遠位端に配置された先端であって、前記先端の一部は、前記近位凹部とは反対の前記接地係合部材の一部内の対応する形状の遠位凹部内に受け入れられるように構成された非円形の周辺プロファイルを有し、前記ヘッドが前記近位凹部と係合しかつ前記先端が前記遠位凹部と係合することによって、前記本体部の前記接地係合部材に対する回転を阻止する、先端とを備える、固定ピン組立体である。
第24の態様は、
前記先端の前記非円形周辺プロファイルは、少なくとも1つの平坦な側面を有する、第23の態様における固定ピン組立体である。
第25の態様は、
固定ピン組立体を用いて接地係合装置に担持されたアダプタ上に取り付けるための摩耗部材において、
前記摩耗部材は、
外面と、
空洞を画定する内面と、
第1の壁の外面から前記第1の壁とは反対の第2の壁の外面まで前記摩耗部材を通過しているボアと、
前記ボアに隣接して配置されている取り付け用傾斜部であって、前記固定ピン組立体の中子部が固定解除構成から固定構成へ第1の方向に回転させられるときに、前記固定ピン組立体が前記ボアの中に配置されているときに、前記固定ピン組立体の中子部の第1の表面と係合するように構成されている取り付け用傾斜部と、
前記ボアに隣接して配置されている取り外し用傾斜部であって、前記固定ピン組立体の中子部が前記固定構成から前記固定解除構成へ前記第1の方向と反対の第2の方向に回転させられるときに、前記中子部の前記第1の表面と反対の前記中子部の第2の表面と係合するように構成されている取り外し用傾斜部とを備える、摩耗部材である。
第26の態様は、
前記取り付け用傾斜部及び取り外し用傾斜部は、前記第1の壁に一体化されている、第25の態様における摩耗部材である。
第27の態様は、
前記取り付け用傾斜部は、前記取り付け用傾斜部が前記第1の表面と係合することによって、前記中子部の前記第1の方向における回転を前記固定ピン組立体の軸線方向変位に変換し、前記摩耗部材における前記固定ピン組立体の着座を容易にするように構成されている、第26の態様における摩耗部材である。
第28の態様は、
前記取り外し用傾斜部は、前記取り外し用傾斜部を前記第2の表面と係合させることによって、前記中子部の前記第2の方向における回転を前記固定ピン組立体の軸線方向変位に変換し、前記固定ピン組立体の前記摩耗部材からの取り外しを容易にするように構成されている、第27の態様における摩耗部材である。
第29の態様は、
接地係合部材を支持構造に固定するための固定ピン組立体において、
前記固定ピン組立体は、
前記支持構造の開口の中に選択的に突出するように配置された本体部と、
遠位端と近位部とを備える軸部材であって、前記遠位端は第1の係合機構を有し、前記遠位端は本体部の中に配置されており、前記軸部材は、前記接地係合部材を支持構造に固定するための固定位置と、前記接地係合部材を前記支持構造から取り外すことを可能にする固定解除位置との間において、前記本体部に対して回転可能である、軸部材と、
前記本体部の中に配置された付勢部材と、
前記付勢部材と前記軸部材の前記遠位端との間に配置されたプランジャであって、前記プランジャは、前記軸部材の前記第1の係合機構と選択的に係合するように構成された第2の係合機構を備え、前記付勢部材により、前記プランジャを前記軸部材に向かって付勢し、前記第2の係合機構は、対向する2つの方向のそれぞれにおける前記プランジャに対する前記軸部材の回転中に抵抗を提供するように前記第1の係合機構と係合するように構成されている、プランジャとを備える、固定ピン組立体である。
第30の態様は、
前記第1の係合機構、前記第2の係合機構、及び、前記付勢部材は、前記付勢部材によって及ぼされる回転に対する抵抗が、回転移動の第1部分中に生じかつ前記回転移動の第2部分中に生じないように構成されており、前記第1の係合機構及び第2の係合機構の内の一方は、抵抗ピークによって分離された隣接する2つの切り欠きを備え、前記第1の係合機構及び第2の係合機構の内の他方は、前記2つの切り欠きのそれぞれの内部に選択的に着座するように構成された歯を備える、第29の態様における固定ピン組立体である。
第31の態様は、
固定ピン組立体を用いて接地係合装置上に担持されたアダプタに摩耗部材を固定するか又は摩耗部材を取り外すための方法において、前記方法は、
前記固定ピン組立体が前記摩耗部材及び前記アダプタを通過するボアの中に配置されつつ、前記固定ピン組立体の軸部材を前記固定ピン組立体の本体部に対して第1の方向に、前記軸部材の歯の第1の表面が前記本体部の中に配置されたプランジャの切り欠きの対応する第1の表面と係合する第1の可動範囲を通して回転させる、第1の回転段階であって、前記プランジャが、前記本体部に対して実質的に回転固定され、前記第1の可動範囲を通した前記軸部材の回転により、付勢部材を前記プランジャを初期位置から圧縮位置に向かって軸線方向に変位させる、第1の回転段階と、
前記軸部材を前記本体部に対して前記第1の方向に、前記歯の第2の表面が前記切り欠きの対応する第2の表面に対して摺動する第2の可動範囲を通して回転させる第2の回転段階であって、前記第2の可動範囲を通した前記軸部材の回転中に、前記付勢部材が前記プランジャを前記初期位置に戻し、
前記第1の回転段階と前記第2の回転段階により、前記固定ピン組立体から延在する固定機構を第1の構成から第2の構成へ移動させ、
前記固定機構が前記第1の構成及び前記第2の構成の一方にある場合、前記固定機構は、前記固定ピン組立体の前記摩耗部材からの引き抜きを阻止するように前記摩耗部材又は前記アダプタと接続し、
前記固定機構が前記第1の構成及び前記第2の構成の他方にある場合、前記固定ピン組立体は前記摩耗部材から取り外し可能である、第2の回転段階とを備える、方法である。
第32の態様は、
前記第1の可動範囲は、0度~180度の範囲を備え、前記第2の可動範囲は、0度~180度の範囲を備える、第31の態様における方法である。
第33の態様は、
接地係合部材を支持構造に固定するための固定ピン組立体において、
前記固定ピン組立体は、
前記支持構造の開口の中に選択的に突出するように回転不能に配置された本体部であって、その内部に形成された開口を有する本体部と、
第1の軸線を有しかつ遠位端と近位部とを備える軸部材であって、前記遠位端は第1の複数の等距離間隔の歯を有し、前記第1の複数の等距離間隔の歯は、約30度~120度の間の範囲で、前記第1の軸線を中心に半径方向に離間されており、前記遠位端は、前記本体部の中に配置されている、軸部材と、
前記軸部材の近位部から前記本体部の外側に半径方向に延在する中子部であって、前記軸部材が、前記中子部が前記接地係合部材を前記支持構造に固定するように位置決めされたときに前記中子部が前記固定ピン組立体の前記接地係合部材からの取り外しを機械的に阻止するように位置決めできる第1の位置と、前記中子部が前記接地係合部材を前記支持構造に固定するように位置決めされたときに前記固定ピン組立体の前記接地係合部材からの取り外しを可能にするように位置決めできる第2の位置との間において、前記本体部に対して回転可能である、接地係合部材と、
前記本体部の中に配置されている付勢部材と、
前記付勢部材と前記軸部材の前記遠位端との間に配置されているプランジャであって、前記プランジャは第2の軸線を有しかつ第2の複数の等距離間隔の歯を備え、前記第2の複数の等距離間隔の歯は、約30度~120度の間の範囲で前記第2の軸線の周りに半径方向に離間されており、かつ、対向する2つの方向への回転に対する抵抗を提供するために、前記軸部材の前記第1の複数の等距離間隔の歯に選択的に係合するように成形されている、プランジャと、を備える、固定ピン組立体である。
第34の態様は、
前記第1の複数の等距離間隔の歯と前記第2の複数の等距離間隔の歯は、2つの方向の回転に対してほぼ等しい抵抗を提供するように成形されている、第33の態様における固定ピン組立体である。
第35の態様は、
前記第1の複数の等距離間隔の歯と前記第2の複数の等距離間隔の歯は、前記軸部材に加えられる回転力が、前記付勢部材によって加えられる回転に対する抵抗の大きさを超えて、前記軸部材を前記第1の位置及び前記第2の位置の一方から前記第1の位置及び前記第2の位置の他方へ回転させるときに、互いに対して回転するように構成されている、第33の態様における固定ピン組立体である。
第36の態様は、
前記第1の複数の等距離間隔の歯、前記第2の複数の等距離間隔の歯、及び前記付勢部材は、前記付勢部材によって加えられる回転に対する抵抗が、回転移動の第1の部分中に生じかつ前記回転移動の第2の部分中に生じないように構成されている、第35の態様における固定ピン組立体である。
第37の態様は、
接地係合部材を支持構造に固定するための固定ピン組立体において、
前記固定ピン組立体は、
前記支持構造の開口の中に選択的に突出するように回転不能に配置された本体部であって、その内部に形成された開口を有する本体部と、
第1の軸線を有しかつ遠位端及び近位部を備える軸部材であって、前記遠位端は、軸線方向に延在しかつ前記第1の軸線からオフセットしている、第1の歯を有し、前記遠位端は前記本体部の中に配置されている、軸部材と、
前記軸部材の前記近位部から前記本体部の外側に半径方向に延在する中子部であって、前記軸部材が、前記中子部が前記接地係合部材を前記支持構造に固定するように位置決めされたときに前記中子部が前記固定ピン組立体の前記接地係合部材からの取り外しを機械的に阻止するように位置決めできる第1の位置と、前記中子部が前記接地係合部材を前記支持構造に固定するように位置決めされたときに前記中子部が前記固定ピン組立体の前記接地係合部材からの取り外しを可能にするように位置決めできる第2の位置との間において、前記本体部に対して回転可能である、接地係合部材と、
前記本体部の中に配置された付勢部材と、
前記付勢部材と前記軸部材の前記遠位端との間に配置されたプランジャであって、前記プランジャは、第2の軸線を有し、かつ近位方向に延在しかつ前記第2の軸線からオフセットした第2の歯を備え、前記第2の歯が前記第1の歯と係合し、対向する2つの方向への回転に対する抵抗を提供する、プランジャと、を備える、固定ピン組立体である。
第38の態様は、
前記軸部材及び前記プランジャの内の一方は、それぞれの前記第1の歯又は第2の歯に隣接する切り欠きを備え、前記第1の歯及び前記第2の歯のそれぞれは、それぞれ、前記第1の軸線及び前記第2の軸線を中心として約30度~120度の間の範囲内の放射状の円弧を形成するように寸法決めされる、第37の態様における固定ピン組立体である。