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特許7314319CDK9阻害剤の結晶多形体及びその製造方法と用途
<図1>
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-14
(45)【発行日】2023-07-25
(54)【発明の名称】CDK9阻害剤の結晶多形体及びその製造方法と用途
(51)【国際特許分類】
   C07D 417/14 20060101AFI20230718BHJP
   A61K 31/4439 20060101ALI20230718BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230718BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20230718BHJP
【FI】
C07D417/14 CSP
A61K31/4439
A61P35/00
A61P35/02
【請求項の数】 26
(21)【出願番号】P 2021572289
(86)(22)【出願日】2020-06-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-10
(86)【国際出願番号】 CN2020094527
(87)【国際公開番号】W WO2020244612
(87)【国際公開日】2020-12-10
【審査請求日】2022-01-19
(31)【優先権主張番号】201910489946.1
(32)【優先日】2019-06-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】518444314
【氏名又は名称】▲勁▼方医▲薬▼科技(上海)有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】521438032
【氏名又は名称】浙江▲勁▼方▲薬▼▲業▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジュオ、フーシェン
(72)【発明者】
【氏名】チャオ、ジンジュウ
(72)【発明者】
【氏名】ラン、ジオン
【審査官】神野 将志
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第108727363(CN,A)
【文献】特表2013-542967(JP,A)
【文献】特表2014-520824(JP,A)
【文献】特表2003-519698(JP,A)
【文献】川口洋子ら,医薬品と結晶多形,生活工学研究,2002年,Vol.4, No.2,p.310-317
【文献】高田則幸,創薬段階における原薬Formスクリーニングと選択,PHARM STAGE,Vol.6, No.10,2007年01月15日,p.20-25
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61K
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬学的に許容される塩がマレイン酸塩又はフマル酸塩であることを特徴とする、式(I)の化合物の薬学的に許容される塩の結晶
【化1】
【請求項2】
式(I)の化合物のマレイン酸塩であって、式(I)の化合物とマレイン酸とのモル比が1:2であることを特徴とする、請求項1に記載の結晶
【請求項3】
(I)の化合物のマレイン酸塩の結晶形1であり、
前記結晶形1のX線粉末回折パターンが、5.48±0.2°、14.26±0.2°、19.68±0.2°、及び22.44±0.2°からなる群より選択される回折角2θ(°)値を含むことを特徴とする、請求項2に記載の結晶
【請求項4】
前記結晶形1の示差走査熱量測定分析チャートが162.45±5℃に特徴的なピークを有することを特徴とする、請求項3に記載の結晶
【請求項5】
(I)の化合物のマレイン酸塩の結晶形2であり、
前記結晶形2のX線粉末回折パターンが、5.02±0.2°、5.36±0.2°、14.04±0.2°、20.96±0.2°、21.42±0.2°、及び23.00±0.2°からなる群より選択される回折角2θ(°)値を含むことを特徴とする、請求項2に記載の結晶
【請求項6】
前記結晶形2の示差走査熱量測定分析チャートが159.25±5℃に特徴的なピークを有することを特徴とする、請求項5に記載の結晶
【請求項7】
(I)の化合物のマレイン酸塩の結晶形3であり、
前記結晶形3のX線粉末回折パターンが、5.64±0.2°、11.28±0.2°、16.96±0.2°、及び24.92±0.2°からなる群より選択される回折角2θ(°)値を含むことを特徴とする、請求項2に記載の結晶
【請求項8】
前記結晶形3の示差走査熱量測定分析チャートが114.72±5℃に特徴的なピークを有することを特徴とする、請求項7に記載の結晶
【請求項9】
(I)の化合物のマレイン酸塩の結晶形4であり、
前記結晶形4のX線粉末回折パターンが、5.08±0.2°、5.62±0.2°、13.98±0.2°、及び22.72±0.2°からなる群より選択される回折角2θ(°)値を含むことを特徴とする、請求項2に記載の結晶
【請求項10】
前記結晶形4の示差走査熱量測定分析チャートが175.74±5℃に特徴的なピークを有することを特徴とする、請求項9に記載の結晶
【請求項11】
(I)の化合物のマレイン酸塩の結晶形Iであり、
前記結晶形IのX線粉末回折パターンが、5.00±0.2°、5.40±0.2°、14.23±0.2°、22.40±0.2°、及び23.28±0.2°からなる群より選択される回折角2θ(°)値を含むことを特徴とする、請求項2に記載の結晶
【請求項12】
前記結晶形Iの示差走査熱量測定分析チャートが159.91±5℃に特徴的なピークを有することを特徴とする、請求項11に記載の結晶
【請求項13】
式(I)の化合物のフマル酸塩であって、式(I)の化合物とフマル酸とのモル比が2:1であることを特徴とする、請求項1に記載の結晶
【請求項14】
(I)の化合物のフマル酸塩の結晶形Aであり、
前記結晶形AのX線粉末回折パターンが、14.24±0.2°、19.44±0.2°、21.24±0.2°、23.77±0.2°、及び24.57±0.2°からなる群より選択される回折角2θ(°)値を含むことを特徴とする、請求項13に記載の結晶
【請求項15】
前記結晶形Aの示差走査熱量測定分析チャートが218.67±5℃に特徴的なピークを有することを特徴とする、請求項14に記載の結晶
【請求項16】
請求項1~15のいずれか一項に記載の結晶と、薬学的に許容される担体とを含むことを特徴とする、医薬組成物。
【請求項17】
CDK9関連疾患を予防又は治療する薬物の製造に用いられることを特徴とする、請求項1~15のいずれか一項に記載の結晶又は請求項16に記載の医薬組成物の使用
【請求項18】
前記CDK19関連疾患が癌であることを特徴とする、請求項17に記載の使用
【請求項19】
前記癌が、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、肺腺癌、肺扁平上皮癌、膵臓癌、前立腺癌、膀胱癌、肝臓癌、皮膚癌、グリオーマ、乳癌、メラノーマ、悪性神経膠腫、横紋筋肉腫、卵巣癌、星状細胞腫、ユーイング肉腫、網膜芽細胞腫、上皮癌、結腸癌、腎臓癌、消化管間質腫瘍、白血病、組織球性リンパ腫及び上咽頭癌からなる群より選ばれる1種又は複数種である、請求項18に記載の使用
【請求項20】
前記癌が、急性骨髄性白血病である、請求項19に記載の使用
【請求項21】
請求項11に記載の塩の結晶の製造方法であって、
前記方法が、式(I)の化合物とマレイン酸とを有機溶媒中で撹拌して式(I)の化合物のマレイン酸塩の結晶形Iを形成するステップであって、式(I)の化合物とマレインとのモル比が1:2であるステップを備える方法
【請求項22】
請求項3に記載の塩の結晶の製造方法であって、
前記方法が、
(1)式(I)の化合物とマレイン酸とを有機溶媒中で撹拌して式(I)の化合物のマレイン酸塩を形成するステップであって、式(I)の化合物とマレインとのモル比が1:2であるステップ、
(2a)ステップ(1)で得られた式(I)の化合物のマレイン酸塩を第1の結晶化溶媒に溶解して式(I)の化合物のマレイン酸塩を含有する溶液を得るステップ、
(3a)ステップ(2a)で得られた溶液を晶析し、晶析後に濾過して固体を回収し、式(I)の化合物のマレイン酸塩の結晶形1を得るステップを備える方法
【請求項23】
請求項5に記載の塩の結晶の製造方法であって、
前記方法が、
(1)式(I)の化合物とマレイン酸とを有機溶媒中で撹拌して式(I)の化合物のマレイン酸塩を形成するステップであって、式(I)の化合物とマレインとのモル比が1:2であるステップ、
(2b)0~50℃で、ステップ(1)で得られた式(I)の化合物のマレイン酸塩を第2の結晶化溶媒中で撹拌し、その後、濾過して固体を回収し、式(I)の化合物のマレイン酸塩の結晶形2を得るステップを備える方法
【請求項24】
請求項7に記載の塩の結晶の製造方法であって、
前記方法が、
(1)式(I)の化合物とマレイン酸とを有機溶媒中で撹拌して式(I)の化合物のマレイン酸塩を形成するステップであって、式(I)の化合物とマレインとのモル比が1:2であるステップ、
(2c)45~55℃で、ステップ(1)で得られた式(I)の化合物のマレイン酸塩を第3の結晶化溶媒中で撹拌し、その後、濾過して固体を回収し、式(I)の化合物のマレイン酸塩の結晶形3を得るステップを備える方法
【請求項25】
請求項9に記載の塩の結晶の製造方法であって、
前記方法が、
(1)式(I)の化合物とマレイン酸とを有機溶媒中で撹拌して式(I)の化合物のマレイン酸塩を形成するステップであって、式(I)の化合物とマレインとのモル比が1:2であるステップ、
(2d)20~60℃で、ステップ(1)で得られた式(I)の化合物のマレイン酸塩を第4の結晶化溶媒中で撹拌し、その後、濾過して固体を回収し、式(I)の化合物のマレイン酸塩の結晶形4を得るステップを備える方法
【請求項26】
請求項14に記載の塩の結晶の製造方法であって、
前記方法が、
(a)40~60℃で、式(I)の化合物とフマル酸とを有機溶媒中で撹拌して、混合系を形成させるステップ、
(b)その後、混合系を10~30℃に冷却して撹拌した後、濾過して固体を回収し、式(I)の化合物のフマル酸塩の結晶形Aを得るステップを備えることを特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は医薬技術分野に属し、具体的には、CDK9阻害剤の結晶多形体及びその製造方法と用途に関する。
【背景技術】
【0002】
真核細胞の増殖及び分裂は、正確で複雑な調節プロセスである。増殖プロセスは、細胞周期によって達成され、細胞周期は、その厳密な分子制御機構によって秩序正しく進行する。現在知られている細胞周期の制御に関与する分子として、主に、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)、サイクリン、及びサイクリン依存性キナーゼ阻害剤(CKI)という3種類の分子があり、その中に、CDKが中心的である。CDKファミリーは、13個のメンバー(CDK1~CDK13)が見出されており、細胞内機能の違いに応じて、細胞周期を制御するCDK及び細胞転写を制御するCDKという2種類に分けられる。CDK9は、セリン型キナーゼに属し、CDK9と対応するサイクリンとが結合して形成される複合物は、正の転写伸長因子b(P-TEFb)と呼ばれ、RNAポリメラーゼII及びいくつかの負の転写伸長因子(NELF及びN-TEF)をリン酸化して起始部から転写を伸長させることができ、転写を伸長させるコア分子である(Sims RJ3rd等Genes Dev,2004,18:2437-68;Yamaguchi Y等Mol Cell Biol,2002,22:2918-27)。研究により、CDK9の発現レベル又は/及びキナーゼ活性の異常は、細胞内の複数のタンパク質の発現又は/及びそのmRNAレベルの異常を引き起こすことがわかった。抗アポトーシスタンパク質(例えば、Bcl-2)、細胞周期関連調節タンパク質(例えば、サイクリンD1)、p53経路関連タンパク質、NF-κB経路の特定のタンパク質、及び腫瘍微小環境に関連するタンパク質(例えば、VEGF)などが、腫瘍に密接に関連することが実証されている。CDK9は、腫瘍の発生及び進展における最も重要な分子の一つであることがわかった。
【0003】
したがって、CDK9を調節するための医薬の開発は、CDK9関連疾患の予防及び治療にとって極めて重要である。
【発明の概要】
【発明が解決するための課題】
【0004】
本発明の目的は、より安定的で、より製薬に適するCDK9阻害剤を提供することである。具体的に、本発明の目的は、化合物4-(((4-(5-クロロ-2-(((1R,4r)-4-(((R)-1-メトキシプロピル-2-イル)アミノ)シクロヘキシル)アミノ)ピリジン-4-イル)チアゾール-2-イル)アミノ)メチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-4-カルボニトリルの塩及びその一連の安定な結晶多形体、並びに当該結晶多形体の製造方法及び用途を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の態様において、本発明は、式(I)の化合物の薬学的に許容される塩又はその結晶多形体を提供し、当該薬学的に許容される塩は、マレイン酸塩又はフマル酸塩である。
【化1】
【0006】
別の好ましい例において、前記式(I)の化合物の薬学的に許容される塩は、式(I)の化合物のマレイン酸塩である。
別の好ましい例において、前記式(I)の化合物の薬学的に許容される塩は、式(I)の化合物のフマル酸塩である。
別の好ましい例において、式(I)の化合物のマレイン酸塩において、式(I)の化合物とマレイン酸とのモル比は1:2である。
別の好ましい例において、式(I)の化合物のフマル酸塩において、式(I)の化合物とフマル酸とのモル比は2:1である。
【0007】
別の好ましい例において、前記結晶多形体は、式(I)の化合物のマレイン酸塩の結晶形1であり、前記結晶形1のX線粉末回折パターンは、5.48±0.2°、14.26±0.2°、19.68±0.2°、及び22.44±0.2°からなる群より選択される回折角2θ(°)値を含む。
別の好ましい例において、前記結晶形1のX線粉末回折パターンは、5.02±0.2°、9.86±0.2°、10.88±0.2°、11.22±0.2°、15.06±0.2°、16.82±0.2°、17.48±0.2°、18.18±0.2°、20.50±0.2°、23.24±0.2°、24.90±0.2°、26.76±0.2°、27.16±0.2°、28.48±0.2°、及び30.86±0.2°からなる群より選択される1個又は複数個(例えば、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個又は全て)の回折角2θ(°)値をさらに含む。
【0008】
別の好ましい例において、前記結晶形1のX線粉末回折パターンは、9.86±0.2°、11.22±0.2°、15.06±0.2°、23.24±0.2°、及び24.90±0.2°からなる群より選択される回折角2θ(°)値をさらに含む。
別の好ましい例において、前記結晶形1のX線粉末回折パターンは、5.02±0.2°、16.82±0.2°、26.76±0.2°、及び27.16±0.2°からなる群より選択される回折角2θ(°)値をさらに含む。
別の好ましい例において、前記結晶形1のX線粉末回折パターンは、18.18±0.2°、及び20.50±0.2°からなる群より選択される回折角2θ(°)値をさらに含む。
【0009】
別の好ましい例において、前記結晶形1のX線粉末回折パターンは、表2から選択される1個又は複数個(例えば、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、それ以上又は全て)の回折角2θ(°)値をさらに含む。
別の好ましい例において、前記結晶形1のX線粉末回折パターンは基本的に図1に示すとおりである。
別の好ましい例において、前記結晶形1の示差走査熱量測定分析チャートは、162.45±5℃に特徴的なピークを有する。
別の好ましい例において、前記結晶形1の示差走査熱量測定分析チャートは、162.45±2℃(又は162.45±1℃)に特徴的なピークを有する。
別の好ましい例において、前記結晶形1の示差走査熱量測定分析チャートは基本的に図2に示すとおりである。
【0010】
別の好ましい例において、前記結晶形1の熱重量分析チャートは、179.19±5℃及び366.44±5℃に特徴的なピークを有する。
別の好ましい例において、前記結晶形1の熱重量分析チャートは、179.19±2℃及び366.44±2℃に特徴的なピークを有する。
別の好ましい例において、前記結晶形1の熱重量分析チャートは、基本的に図3に示すとおりである。
【0011】
別の好ましい例において、前記結晶形1の赤外スペクトルは以下の位置に特徴的なピークを有する:3423.90±5cm-1、2956.16±5cm-1、2854.93±5cm-1、1647.45±5cm-1、1565.70±5cm-1、1491.36±5cm-1、1384.83±5cm-1、1365.96±5cm-1、1179.36±5cm-1、1105.37±5cm-1、1013.09±5cm-1、875.53±5cm-1、865.08±5cm-1、177.45±5cm-1、568.10±5cm-1
別の好ましい例において、前記結晶形1の赤外スペクトルは、基本的に図4に示すとおりである。
【0012】
別の好ましい例において、前記結晶多形体は、式(I)の化合物のマレイン酸塩の結晶形2であり、前記結晶形2のX線粉末回折パターンは、5.02±0.2°、5.36±0.2°、14.04±0.2°、20.96±0.2°、21.42±0.2°、及び23.00±0.2°からなる群より選択される回折角2θ(°)値を含む。
【0013】
別の好ましい例において、前記結晶形2のX線粉末回折パターンは、8.56±0.2°、9.00±0.2°、15.16±0.2°、17.40±0.2°、18.10±0.2°、19.22±0.2°、21.96±0.2°、24.46±0.2°、26.90±0.2°、27.34±0.2°、28.02±0.2°、31.40±0.2°、及び32.08±0.2°からなる群より選択される1個又は複数個(例えば、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個又は全て)の回折角2θ(°)値をさらに含む。
別の好ましい例において、前記結晶形2のX線粉末回折パターンは、8.56±0.2°、9.00±0.2°、17.40±0.2°、19.22±0.2°、24.46±0.2°、27.34±0.2°、28.02±0.2°、及び32.08±0.2°からなる群より選択される回折角2θ(°)値をさらに含む。
【0014】
別の好ましい例において、前記結晶形2のX線粉末回折パターンは、15.16±0.2°、及び18.10±0.2°からなる群より選択される回折角2θ(°)値をさらに含む。
別の好ましい例において、前記結晶形2のX線粉末回折パターンは、表3から選択される1個又は複数個(例えば、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、それ以上又は全て)の回折角2θ(°)値をさらに含む。
別の好ましい例において、前記結晶形2のX線粉末回折パターンは基本的に図5に示すとおりである。
【0015】
別の好ましい例において、前記結晶形2の示差走査熱量測定分析チャートは159.25±5℃に特徴的なピークを有する。
別の好ましい例において、前記結晶形2の示差走査熱量測定分析チャートは159.25±2℃(又は159.25±1℃)に特徴的なピークを有する。
別の好ましい例において、前記結晶形2の示差走査熱量測定分析チャートは基本的に図6に示すとおりである。
【0016】
別の好ましい例において、前記結晶形2の熱重量分析チャートは174.38±5℃及び366.44±5℃に特徴的なピークを有する。
別の好ましい例において、前記結晶形2の熱重量分析チャートは174.38±2℃及び366.44±2℃に特徴的なピークを有する。
【0017】
別の好ましい例において、前記結晶形2の赤外スペクトルは以下の位置に特徴的なピークを有する:3382.52±5cm-1、2960.69±5cm-1、2850.44±5cm-1、1647.70±5cm-1、1560.25±5cm-1、1474.41±5cm-1、1354.95±5cm-1、1202.41±5cm-1、1178.29±5cm-1、1106.85±5cm-1、1012.71±5cm-1、867.82±5cm-1、712.49±5cm-1、663.08±5cm-1、570.85±5cm-1
別の好ましい例において、前記結晶形2の熱重量分析チャートは基本的に図7に示すとおりである。
別の好ましい例において、前記結晶形2の赤外スペクトルは基本的に図8に示すとおりである。
【0018】
別の好ましい例において、前記結晶多形体は、式(I)の化合物のマレイン酸塩の結晶形3であり、前記結晶形3のX線粉末回折パターンは、5.64±0.2°、11.28±0.2°、16.96±0.2°、及び24.92±0.2°からなる群より選択される回折角2θ(°)値を含む。
別の好ましい例において、前記結晶形3のX線粉末回折パターンは、8.26±0.2°、12.21±0.2°、16.22±0.2°、18.52±0.2°、19.18±0.2°、21.28±0.2°、22.40±0.2°、22.98±0.2°、23.54±0.2°、24.50±0.2°、26.62±0.2°、29.42±0.2°、及び37.48±0.2°からなる群より選択される1個又は複数個(例えば、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個又は全て)の回折角2θ(°)値をさらに含む。
【0019】
別の好ましい例において、前記結晶形3のX線粉末回折パターンは、19.18±0.2°、26.62±0.2°、及び29.42±0.2°からなる群より選択される回折角2θ(°)値をさらに含む。
別の好ましい例において、前記結晶形3のX線粉末回折パターンは、8.26±0.2°、16.22±0.2°、18.52±0.2°、23.54±0.2°、及び24.50±0.2°からなる群より選択される回折角2θ(°)値をさらに含む。
別の好ましい例において、前記結晶形3のX線粉末回折パターンは、表4から選択される1個又は複数個(例えば、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、それ以上又は全て)の回折角2θ(°)値を含む。
【0020】
別の好ましい例において、前記結晶形3のX線粉末回折パターンは基本的に図9に示すとおりである。
別の好ましい例において、前記結晶形3の示差走査熱量測定分析チャートは114.72±5℃に特徴的なピークを有する。
別の好ましい例において、前記結晶形3の示差走査熱量測定分析チャートは114.72±2℃(又は114.72±1℃)に特徴的なピークを有する。
別の好ましい例において、前記結晶形3の示差走査熱量測定分析チャートは基本的に図10に示すとおりである。
【0021】
別の好ましい例において、前記結晶多形体は、式(I)の化合物のマレイン酸塩の結晶形4であり、前記結晶形4のX線粉末回折パターンは、5.08±0.2°、5.62±0.2°、13.98±0.2°、及び22.72±0.2°からなる群より選択される回折角2θ(°)値を含む。
別の好ましい例において、前記結晶形4のX線粉末回折パターンは、8.54±0.2°、11.32±0.2°、15.78±0.2°、17.08±0.2°、18.10±0.2°、20.66±0.2°、21.56±0.2°、23.50±0.2°、25.76±0.2°、27.08±0.2°、28.02±0.2°、28.45±0.2°、28.55±0.2°、32.16±0.2°、及び34.48±0.2°からなる群より選択される1個又は複数個(例えば、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個又は全て)の回折角2θ(°)値をさらに含む。
【0022】
別の好ましい例において、前記結晶形4のX線粉末回折パターンは、8.54±0.2°、11.32±0.2°、17.08±0.2°、18.10±0.2°、20.66±0.2°、及び25.76±0.2°からなる群より選択される回折角2θ(°)値をさらに含む。
別の好ましい例において、前記結晶形4のX線粉末回折パターンは、表5から選択される1個又は複数個(例えば、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、それ以上又は全て)の回折角2θ(°)値を含む。
別の好ましい例において、前記結晶形4のX線粉末回折パターンは基本的に図11に示すとおりである。
別の好ましい例において、前記結晶形4の示差走査熱量測定分析チャートは175.74±5℃に特徴的なピークを有する。
別の好ましい例において、前記結晶形4の示差走査熱量測定分析チャートは175.74±2℃(又は175.74±1℃)に特徴的なピークを有する。
別の好ましい例において、前記結晶形4の示差走査熱量測定分析チャートは基本的に図12に示すとおりである。
【0023】
別の好ましい例において、前記結晶多形体は、式(I)の化合物のマレイン酸塩の結晶形Iであり、前記結晶形IのX線粉末回折パターンは、5.00±0.2°、5.40±0.2°、14.23±0.2°、22.40±0.2°、及び23.28±0.2°からなる群より選択される回折角2θ(°)値を含む。
別の好ましい例において、前記結晶形IのX線粉末回折パターンは、8.64±0.2°、9.80±0.2°、15.04±0.2°、16.60±0.2°、17.40±0.2°、18.13±0.2°、19.64±0.2°、20.41±0.2°、24.72±0.2°、27.09±0.2°、及び28.40±0.2°からなる群より選択される回折角2θ(°)値をさらに含む。
【0024】
別の好ましい例において、前記結晶形IのX線粉末回折パターンは11.16±0.2°、及び31.00±0.2°からなる群より選択される回折角2θ(°)値をさらに含む。
別の好ましい例において、前記結晶形IのX線粉末回折パターンは、表1から選択される1個又は複数個(例えば、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、それ以上又は全て)の回折角2θ(°)値を含む。
別の好ましい例において、前記結晶形IのX線粉末回折パターンは基本的に図17に示すとおりである。
別の好ましい例において、前記結晶形Iの示差走査熱量測定分析チャートは159.91±5℃に特徴的なピークを有する。
【0025】
別の好ましい例において、前記結晶形Iの示差走査熱量測定分析チャートは159.91±2℃(又は159.91±1℃)に特徴的なピークを有する。
別の好ましい例において、前記結晶形Iの示差走査熱量測定分析チャートは基本的に図18に示すとおりである。
別の好ましい例において、式(I)の化合物のフマル酸塩において、式(I)の化合物とフマル酸とのモル比は2:1である。
【0026】
別の好ましい例において、前記結晶多形体は、式(I)の化合物のフマル酸塩の結晶形Aであり、前記結晶形AのX線粉末回折パターンは、14.24±0.2°、19.44±0.2°、21.24±0.2°、23.77±0.2°、及び24.57±0.2°からなる群より選択される回折角2θ(°)値を含む。
別の好ましい例において、前記結晶形AのX線粉末回折パターンは、10.60±0.2°、12.95±0.2°、14.72±0.2°、15.88±0.2°、16.79±0.2°、17.93±0.2°、18.41±0.2°、18.93±0.2°、20.67±0.2°、22.16±0.2°、22.80±0.2°、24.88±0.2°、25.32±0.2°、26.13±0.2°、27.24±0.2°、27.64±0.2°、28.15±0.2°、28.64±0.2°、29.33±0.2°、29.64±0.2°、32.08±0.2°、32.73±0.2°、33.36±0.2°、35.36±0.2°、35.96±0.2°、38.28±0.2°、及び38.64±0.2°からなる群より選択される回折角2θ(°)値を1個又は複数個(例えば、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、26個又は全て)さらに含む。
【0027】
別の好ましい例において、前記結晶形AのX線粉末回折パターンは、10.60±0.2°、12.95±0.2°、15.88±0.2°、16.79±0.2°、17.93±0.2°、18.41±0.2°、20.67±0.2°、22.80±0.2°、29.64±0.2°、及び33.36±0.2°からなる群より選択される回折角2θ(°)値をさらに含む。
別の好ましい例において、前記結晶形AのX線粉末回折パターンは、14.72±0.2°、22.16±0.2°、24.88±0.2°、28.15±0.2°、28.64±0.2°、29.33±0.2°、32.08±0.2°、及び35.36±0.2°からなる群より選択される回折角2θ(°)値をさらに含む。
【0028】
別の好ましい例において、前記結晶形AのX線粉末回折パターンは、表6から選択される1個又は複数個(例えば、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、それ以上又は全て)の回折角2θ(°)値を含む。
別の好ましい例において、前記結晶形AのX線粉末回折パターンは基本的に図13に示すとおりである。
別の好ましい例において、前記結晶形Aの示差走査熱量測定分析チャートは218.67±5℃に特徴的なピークを有する。
別の好ましい例において、前記結晶形Aの示差走査熱量測定分析チャートは218.67±2℃(又は218.67±1℃)に特徴的なピークを有する。
別の好ましい例において、前記結晶形Aの示差走査熱量測定分析チャートは基本的に図14に示すとおりである。
【0029】
第2の態様において、本発明は、本発明の第1の態様に係る式(I)の化合物の薬学的に許容される塩又はその結晶多形体と、薬学的に許容される担体とを含む、医薬組成物を提供する。
【0030】
第3の態様において、本発明は、CDK9関連疾患を予防又は治療するための医薬の製造における、第1の態様に係る式(I)の化合物の薬学的に許容される塩若しくはその結晶多形体又は第2の態様に係る医薬組成物の使用を提供する。
別の好ましい例において、前記CDK9関連疾患は癌である。
別の好ましい例において、前記癌は、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、肺腺癌、肺扁平上皮癌、膵臓癌、前立腺癌、膀胱癌、肝臓癌、皮膚癌、グリオーマ、乳癌、メラノーマ、悪性神経膠腫、横紋筋肉腫、卵巣癌、星状細胞腫、ユーイング肉腫、網膜芽細胞腫、上皮癌、結腸癌、腎臓癌、消化管間質腫瘍、白血病、組織球性リンパ腫及び上咽頭癌からなる群より選ばれる1種又は複数種である。
【0031】
第4の態様において、本発明は、第1の態様に係る式(I)の化合物の薬学的に許容される塩又はその結晶多形体の製造方法を提供し、前記結晶多形体は式(I)の化合物のマレイン酸塩の結晶形Iであり、前記方法は以下のステップを含む:
(1)式(I)の化合物とマレイン酸とを有機溶媒中で撹拌することにより、式(I)の化合物のマレイン酸塩の結晶形Iを形成するステップであって、式(I)の化合物とマレイン酸塩とのモル比は1:2であるステップ。
別の好ましい例において、ステップ(1)では、前記撹拌は、まず50~85℃(好ましくは70~85℃又は75~80℃)で撹拌し(例えば1~4時間又は1~2時間)、その後、混合系を0~35℃(好ましくは10~25℃)に冷却して撹拌を継続する(例えば1~4時間又は2~3時間)ことである。
別の好ましい例において、ステップ(1)では、前記有機溶媒はアセトニトリル、エタノール、又はそれらの組み合わせである。
【0032】
別の好ましい例において、ステップ(1)は以下のステップを含む:
(1-1)式(I)の化合物を有機溶媒に溶解し、式(I)の化合物の溶液1を得るステップ;
(1-2)マレイン酸を有機溶媒に溶解し、マレイン酸の溶液2を得るステップ;
(1-3)50~85℃(好ましくは70~85℃又は75~80℃)で式(I)の化合物の溶液1をマレイン酸の溶液2に滴下して撹拌し(例えば1~4時間又は1~2時間)、その後、混合系を0~35℃(好ましくは10~25℃)に冷却して撹拌を継続し(例えば1~4時間又は2~3時間)、濾過し、固体を回収して、式(I)の化合物のマレイン酸塩の結晶形Iを得るステップ。
【0033】
別の好ましい例において、ステップ(1)では、式(I)の化合物とマレイン酸とのモル比は1:(1.5~3)である。
別の好ましい例において、ステップ(1)では、式(I)の化合物とマレイン酸とのモル比は1:(2~3)であり、好ましくは1:(2.1~2.2)である。
別の好ましい例において、ステップ(1-3)では、濾過後に回収された固体をアセトニトリルで洗浄して乾燥させることにより、前記式(I)の化合物のマレイン酸塩の結晶形Iを得る。
【0034】
第5の態様において、本発明は、第1の態様に係る式(I)の化合物の薬学的に許容される塩又はその結晶多形体の製造方法を提供し、前記結晶多形体は式(I)の化合物のマレイン酸塩の結晶形1であり、前記方法は以下のステップを含む:
(1)式(I)の化合物とマレイン酸とを有機溶媒中で撹拌することにより、式(I)の化合物のマレイン酸塩を形成するステップであって、式(I)の化合物とマレイン酸塩とのモル比は1:2であるステップ;
(2a)ステップ(1)で得られた式(I)の化合物のマレイン酸塩を第1の結晶化溶媒に溶解することにより、式(I)の化合物のマレイン酸塩を含有する溶液を得るステップ;
(3a)ステップ(2a)で得られた溶液を晶析し、晶析後に濾過し、固体を回収して式(I)の化合物のマレイン酸塩の結晶形1を得るステップ。
【0035】
別の好ましい例において、ステップ(3a)は、ステップ(2a)で得られた溶液を0~25℃で晶析し、晶析後に濾過し、固体を回収して式(I)の化合物のマレイン酸塩の結晶形1を得るステップである。
別の好ましい例において、ステップ(3a)は、ステップ(2a)で得られた溶液を70~80℃(好ましくは75℃)で晶析し、晶析後に混合物を冷却して濾過し、固体を回収して式(I)の化合物のマレイン酸塩の結晶形1を得るステップである。
別の好ましい例において、ステップ(3a)は、ステップ(2a)で得られた溶液を70~80℃(好ましくは75℃)で晶析し、晶析後に混合物を0~30℃(好ましくは0~15℃又は2~10℃)に冷却して濾過し、固体を回収して式(I)の化合物のマレイン酸塩の結晶形1を得るステップである。
【0036】
別の好ましい例において、ステップ(3a)では、濾過後に回収された固体を55~65℃(好ましくは60℃)で乾燥させて、式(I)の化合物のマレイン酸塩の結晶形1を得る。
別の好ましい例において、ステップ(3a)では、濾過後に回収された固体をさらに1回又は2回再結晶させることにより、前記結晶形1を得ることができる。結晶形1の種晶は、再結晶の間に任意に添加され得る。
別の好ましい例において、ステップ(1)で得られた式(I)の化合物のマレイン酸塩は、ステップ(1)で得られた式(I)の化合物のマレイン酸塩の結晶形Iである。
【0037】
別の好ましい例において、ステップ(1)では、前記撹拌は、まず50~85℃(好ましくは70~85℃又は75~80℃)で撹拌し(例えば1~4時間又は1~2時間)、その後、混合系を0~35℃(好ましくは10~25℃)に冷却して撹拌を継続する(例えば1~4時間又は2~3時間)ことである。
別の好ましい例において、ステップ(1)では、前記有機溶媒は、アセトニトリル、エタノール、又はこれらの組み合わせである。
別の好ましい例において、前記第1の結晶化溶媒は、アセトニトリル又はアセトニトリルと水との混合溶媒である。
別の好ましい例において、前記第1の結晶化溶媒は、アセトニトリルと水との混合溶媒である。
【0038】
別の好ましい例において、前記第1の結晶化溶媒は、アセトニトリルと水との混合溶媒であって、アセトニトリルと水との体積比は50:1~1:1(好ましくは50:1~10:1)であり、より好ましくは40:1~1:1(好ましくは40:1~10:1)であり、より好ましくは30:1~1:1(好ましくは30:1~10:1)又は25:1~1:1(好ましくは25:1~4:1又は25:1~15:1)である。
別の好ましい例において、ステップ(2a)は、窒素ガスの保護下で式(I)の化合物のマレイン酸塩と第1の結晶化溶媒とを混合した後に還流温度で溶解することにより、式(I)の化合物のマレイン酸塩を含有する溶液を得るステップを含む。
別の好ましい例において、ステップ(3a)は窒素ガスの保護下で行われる。
【0039】
別の好ましい例において、ステップ(1)は以下のステップを含む:
(1-1)式(I)の化合物を有機溶媒に溶解して式(I)の化合物の溶液1を得るステップ;
(1-2)マレイン酸を有機溶媒に溶解してマレイン酸の溶液2を得るステップ;
(1-3)まず50~85℃(好ましくは70~85℃又は75~80℃)で式(I)の化合物の溶液1をマレイン酸の溶液2に滴下して撹拌し(例えば1~4時間又は1~2時間)、その後、混合系を0~35℃(好ましくは10~25℃)に冷却して撹拌を継続し(例えば1~4時間又は2~3時間)、濾過して固体を回収し、前記式(I)の化合物のマレイン酸塩の結晶形Iを得るステップ。
【0040】
別の好ましい例において、ステップ(1)では、式(I)の化合物とマレイン酸とのモル比は1:(1.5~3)である。
別の好ましい例において、ステップ(1)では、式(I)の化合物とマレイン酸とのモル比は1:(2~3)であり、好ましくは1:(2.1~2.2)である。
別の好ましい例において、ステップ(1-3)では、濾過後に回収された固体をアセトニトリルで洗浄して乾燥させることにより、前記式(I)の化合物のマレイン酸塩の結晶形Iを得る。
【0041】
第6の態様において、本発明は、第1の態様に係る式(I)の化合物の薬学的に許容される塩又はその結晶多形体の製造方法を提供し、前記結晶多形体は式(I)の化合物のマレイン酸塩の結晶形2であり、前記方法は以下のステップを含む:
(1)式(I)の化合物とマレイン酸とを有機溶媒中で撹拌して式(I)の化合物のマレイン酸塩を形成するステップであって、式(I)の化合物とマレイン酸塩とのモル比は1:2であるステップ;
(2b)0~50℃(好ましくは10~30℃又は20~25℃)で、ステップ(1)で得られた式(I)の化合物のマレイン酸塩を第2の結晶化溶媒中で撹拌し(例えば6~36時間又は8~24時間)、その後、濾過して固体を回収し、式(I)の化合物のマレイン酸塩を含む結晶形2を得るステップ。
【0042】
別の好ましい例において、ステップ(2b)では、濾過後に回収された固体を35~55℃(好ましくは40~50℃)で乾燥させて、式(I)の化合物のマレイン酸塩を含む結晶形2を得る。
別の好ましい例において、ステップ(1)で得られた式(I)の化合物のマレイン酸塩は、ステップ(1)で得られた式(I)の化合物のマレイン酸塩の結晶形Iである。
別の好ましい例において、ステップ(1)では、前記撹拌は、まず50~85℃(好ましくは70~85℃又は75~80℃)で撹拌し(例えば1~4時間又は1~2時間)、その後混合系を0~35℃(好ましくは10~25℃)に冷却して撹拌を継続する(例えば1~4時間又は2~3時間)ことである。
別の好ましい例において、ステップ(1)では、前記有機溶媒はアセトニトリル、エタノール、又はこれらの組み合わせである。
別の好ましい例において、前記第2の結晶化溶媒はメチルt-ブチルエーテル、酢酸エチル又はこれらの組み合わせである。
【0043】
別の好ましい例において、ステップ(1)は以下のステップを含む:
(1-1)式(I)の化合物を有機溶媒に溶解して式(I)の化合物の溶液1を得るステップ;
(1-2)マレイン酸を有機溶媒に溶解してマレイン酸の溶液2を得るステップ;
(1-3)まず50~85℃(好ましくは70~85℃又は75~80℃)で、式(I)の化合物の溶液1をマレイン酸の溶液2に滴下して撹拌し(例えば1~4時間又は1~2時間)、その後、混合系を0~35℃(好ましくは10~25℃)に冷却して撹拌を継続し(例えば1~4時間又は2~3時間)、濾過して固体を回収し、前記式(I)の化合物のマレイン酸塩の結晶形Iを得るステップ。
【0044】
別の好ましい例において、ステップ(1)では、式(I)の化合物とマレイン酸とのモル比は1:(1.5~3)である。
別の好ましい例において、ステップ(1)では、式(I)の化合物とマレイン酸とのモル比は1:(2~3)であり、好ましくは1:(2.1~2.2)である。
別の好ましい例において、ステップ(1-3)では、濾過後に回収された固体をアセトニトリルで洗浄して乾燥させ、前記式(I)の化合物のマレイン酸塩の結晶形Iを得る。
【0045】
第7の態様において、本発明は、第1の態様に係る式(I)の化合物の薬学的に許容される塩又はその結晶多形体の製造方法を提供し、前記結晶多形体は式(I)の化合物のマレイン酸塩の結晶形3であり、前記方法は以下のステップを含む:
(1)式(I)の化合物とマレイン酸とを有機溶媒中で撹拌して式(I)の化合物のマレイン酸塩を形成するステップであって、式(I)の化合物とマレイン酸塩とのモル比は1:2であるステップ;
(2c)45~55℃(好ましくは50℃)で、ステップ(1)で得られた式(I)の化合物のマレイン酸塩を第3の結晶化溶媒中で撹拌し(例えば、6~48時間又は12~36時間)、その後、濾過して固体を回収し、式(I)の化合物のマレイン酸塩を含む結晶形3を得るステップ。
【0046】
別の好ましい例において、ステップ(2c)では、濾過後に回収された固体を乾燥させて、式(I)の化合物のマレイン酸塩を含む結晶形3を得る。
別の好ましい例において、ステップ(1)で得られた式(I)の化合物のマレイン酸塩は、ステップ(1)で得られた式(I)の化合物のマレイン酸塩の結晶形Iである。
別の好ましい例において、ステップ(1)では、前記撹拌は、まず50~85℃(好ましくは70~85℃又は75~80℃)で撹拌し(例えば1~4時間又は1~2時間)、その後、混合系を0~35℃(好ましくは10~25℃)に冷却して撹拌を継続する(例えば1~4時間又は2~3時間)ことである。
【0047】
別の好ましい例において、ステップ(1)では、前記有機溶媒は、アセトニトリル、エタノール、又はこれらの組み合わせである。
別の好ましい例において、前記第3の結晶化溶媒は、アセトンと水との混合溶媒である。
別の好ましい例において、前記第3の結晶化溶媒は、アセトンと水との混合溶媒であって、アセトンと水との体積比は20:1~5:1であり、好ましくは15:1~10:1である。
【0048】
別の好ましい例において、ステップ(1)は以下のステップを含む:
(1-1)式(I)の化合物を有機溶媒に溶解して式(I)の化合物の溶液1を得るステップ;
(1-2)マレイン酸を有機溶媒に溶解してマレイン酸の溶液2を得るステップ;
(1-3)50~85℃(好ましくは70~85℃又は75~80℃)で式(I)の化合物の溶液1をマレイン酸の溶液2に滴下して撹拌し(例えば1~4時間又は1~2時間)、その後、混合系を0~35℃(好ましくは10~25℃)に冷却して撹拌を継続し(例えば1~4時間又は2~3時間)、濾過して固体を回収し、式(I)の化合物のマレイン酸塩の結晶形Iを得るステップ。
【0049】
別の好ましい例において、ステップ(1)では、式(I)の化合物とマレイン酸とのモル比は1:(1.5~3)である。
別の好ましい例において、ステップ(1)では、式(I)の化合物とマレイン酸とのモル比は1:(2~3)であり、好ましくは1:(2.1~2.2)である。
別の好ましい例において、ステップ(1-3)では、濾過後に回収された固体をアセトニトリルで洗浄して乾燥させ、前記式(I)の化合物のマレイン酸塩の結晶形Iを得る。
【0050】
第8の態様において、本発明は、第1の態様に係る式(I)の化合物の薬学的に許容される塩又はその結晶多形体の製造方法を提供し、前記結晶多形体は式(I)の化合物のマレイン酸塩の結晶形4であり、前記方法は以下のステップを含む:
(1)式(I)の化合物とマレイン酸とを有機溶媒中で撹拌して式(I)の化合物のマレイン酸塩を形成するステップであって、式(I)の化合物とマレイン酸塩とのモル比は1:2であるステップ;
(2d)20~60℃(好ましくは25~50℃)で、ステップ(1)で得られた式(I)の化合物のマレイン酸塩を第4の結晶化溶媒中で撹拌し(例えば、6~48時間又は12~36時間)、その後、濾過して固体を回収し、式(I)の化合物のマレイン酸塩を含む結晶形4を得るステップ。
【0051】
別の好ましい例において、ステップ(2d)では、濾過後に回収された固体を乾燥させて、式(I)の化合物のマレイン酸塩を含む結晶形4を得る。
別の好ましい例において、ステップ(1)で得られた式(I)の化合物のマレイン酸塩は、ステップ(1)で得られた式(I)の化合物のマレイン酸塩の結晶形Iである。
別の好ましい例において、ステップ(1)では、前記撹拌は、まず50~85℃(好ましくは70~85℃又は75~80℃)で撹拌し(例えば1~4時間又は1~2時間)、その後、混合系を0~35℃(好ましくは10~25℃)に冷却して撹拌を継続する(例えば1~4時間又は2~3時間)ことである。
【0052】
別の好ましい例において、ステップ(1)では、前記有機溶媒は、アセトニトリル、エタノール、又はこれらの組み合わせである。
別の好ましい例において、前記第4の結晶化溶媒は、エタノール、イソプロパノール、エタノールと水との混合溶媒、又はイソプロパノールと水との混合溶媒である。
別の好ましい例において、前記第4の結晶化溶媒は、エタノールと水との混合溶媒であって、エタノールと水との体積比は20:1~5:1であり、好ましくは15:1~10:1である。
別の好ましい例において、前記第4の結晶化溶媒は、イソプロパノールと水との混合溶媒であって、イソプロパノールと水との体積比は20:1~5:1であり、好ましくは15:1~10:1である。
【0053】
別の好ましい例において、ステップ(1)は以下のステップを含む:
(1-1)式(I)の化合物を有機溶媒に溶解して式(I)の化合物の溶液1を得るステップ;
(1-2)マレイン酸を有機溶媒に溶解してマレイン酸の溶液2を得るステップ;
(1-3)50~85℃(好ましくは70~85℃又は75~80℃)で、式(I)の化合物の溶液1をマレイン酸の溶液2に滴下して撹拌し(例えば1~4時間又は1~2時間)、その後、混合系を0~35℃(好ましくは10~25℃)に冷却して撹拌を継続し(例えば1~4時間又は2~3時間)、濾過して固体を回収し、式(I)の化合物のマレイン酸塩の結晶形Iを得るステップ。
【0054】
別の好ましい例において、ステップ(1)では、式(I)の化合物とマレイン酸とのモル比は1:(1.5~3)である。
別の好ましい例において、ステップ(1)では、式(I)の化合物とマレイン酸とのモル比は1:(2~3)であり、好ましくは1:(2.1~2.2)である。
別の好ましい例において、ステップ(1-3)では、濾過後に回収された固体をアセトニトリルで洗浄して乾燥させ、前記式(I)の化合物のマレイン酸塩の結晶形Iを得る。
【0055】
第9の態様において、本発明は、第1の態様に係る式(I)の化合物の薬学的に許容される塩又はその結晶多形体の製造方法を提供し、前記結晶多形体は式(I)の化合物のフマル酸塩の結晶形Aであり、前記方法は以下のステップを含む:
(a)40~60℃(好ましくは45~55℃)で、式(I)の化合物とフマル酸とを有機溶媒中で撹拌する(例えば、0.1~2時間又は0.5~1時間)ステップ。
(b)次いで、混合系を10~30℃(好ましくは20~25℃)に冷却して撹拌し(例えば、0.5~3時間又は1~2時間)、その後、濾過して固体を回収し、式(I)の化合物のフマル酸塩の結晶形Aを得るステップ。
【0056】
別の好ましい例において、前記方法は以下のステップを含む:
(i)式(I)の化合物を有機溶媒(例えば、アセトニトリル)に溶解して、式(I)の化合物の溶液1'を得るステップ;
(ii)フマル酸を有機溶媒(例えばエタノール)に溶解して、フマル酸の溶液2'を得るステップ:
(iii)40~60℃(好ましくは45~55℃)で、式(I)の化合物の溶液1'をフマル酸の溶液2'に滴下して撹拌し(例えば、1~4時間又は1~2時間)、その後、混合系を10~30℃(好ましくは20~25℃)に冷却して撹拌を継続し(例えば、1~4時間又は2~3時間)、濾過して固体を回収し、前記式(I)の化合物のフマル酸塩の結晶形Aを得るステップ。
【0057】
別の好ましい例において、各ステップでは、前記有機溶媒は、それぞれ独立してアセトニトリル、エタノール、又はこれらの組み合わせである。
別の好ましい例において、式(I)の化合物とフマル酸との使用量のモル比は1:(0.5~0.7)であり、好ましくは1:(0.5~0.6)である。
別の好ましい例において、濾過後に回収された固体をアセトニトリルで洗浄して乾燥させ(例えば、45~55℃又は50℃で)、前記式(I)の化合物のフマル酸塩の結晶形Aを得る。
【発明の効果】
【0058】
本発明の主な利点は以下を含む。
本発明者らは、長期間にわたって鋭意研究した結果、驚くべきことに、多くの塩の中から、式(I)の化合物のマレイン酸塩又はフマル酸塩が良好な物理化学的特性を有することを見出した。これに基づいて、本発明は、式(I)の化合物のマレイン酸塩又はフマル酸塩の種々の結晶多形体、具体的には式(I)の化合物のマレイン酸塩の結晶形I、結晶形1、結晶形2、結晶形3及び結晶形4、並びに式(I)の化合物のフマル酸塩の結晶形Aを提供する。本発明に係る結晶多形体は、安定性がよく、溶解性がよく、そして吸湿しにくいので、遊離塩基化合物の溶解性が悪く、吸湿性が強く、安定性が悪いという欠陥を解決できるとともに、本発明の結晶多形体は、CDK9に対する良好な抑制活性を保持し、CDK9関連疾患の予防及び治療用の薬物の開発に用いることができる。
【0059】
当然のことながら、本発明の範囲内において、本発明の上記各技術的特徴と以下(例えば実施例)に具体的に説明する各技術的特徴とは互いに組み合わせることができ、それにより新しい又は好ましい技術的解決手段を構成することができる。紙面の都合上、詳細に説明することを省略させる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
図1図1は、実施例2で製造された式(I)の化合物のマレイン酸塩の結晶形1のXRPDパターンである。
図2図2は、実施例2で製造された式(I)の化合物のマレイン酸塩の結晶形1のDSCチャートである。
図3図3は、実施例2で製造された式(I)の化合物のマレイン酸塩の結晶形1のTGAチャートである。
図4図4は、実施例2で製造された式(I)の化合物のマレイン酸塩の結晶形1のIRスペクトルである。
図5図5は、実施例3で製造された式(I)の化合物のマレイン酸塩の結晶形2のXRPDパターンである。
図6図6は、実施例3で製造された式(I)の化合物のマレイン酸塩の結晶形2のDSCチャートである。
図7図7は、実施例3で製造された式(I)の化合物のマレイン酸塩の結晶形2のTGAチャートである。
図8図8は、実施例3で製造された式(I)の化合物のマレイン酸塩の結晶形2のIRスペクトルである。
図9図9は、実施例4で製造された式(I)の化合物のマレイン酸塩の結晶形3のXRPDパターンである。
図10図10は、実施例4で製造された式(I)の化合物のマレイン酸塩の結晶形3のDSCチャートである。
図11図11は、実施例5で製造された式(I)の化合物のマレイン酸塩の結晶形4のXRPDパターンである。
図12図12は、実施例5で製造された式(I)の化合物のマレイン酸塩の結晶形4のDSCチャートである。
図13図13は、実施例9で製造された式(I)の化合物のフマル酸塩の結晶形AのXRPDパターンである。
図14図14は、実施例9で製造された式(I)の化合物のフマル酸塩の結晶形AのDSCチャートである。
図15図15は、実施例2で製造された式(I)の化合物のマレイン酸塩の結晶形1のDVSプロットである。
図16図16は、実施例9で製造された式(I)の化合物のフマル酸塩の結晶形AのDVSプロットである。
図17図17は、実施例1で製造された式(I)の化合物のマレイン酸塩の結晶形IのXRPDパターンである。
図18図18は、実施例1で製造された式(I)の化合物のマレイン酸塩の結晶形IのDSCチャートである。
図19図19は、式(I)の化合物の遊離塩基のXRPDパターンである。
図20図20は、式(I)の化合物の遊離塩基のDVSプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0061】
本発明の式(I)の化合物
本発明に係る式(I)の化合物は、以下の式に示されるとおりである。
【化2】
【0062】
この化合物は、4-(((4-(5-クロロ-2-(((1R,4r)-4-(((R)-1-メトキシプロピル-2-イル)アミノ)シクロヘキシル)アミノ)ピリジン-4-イル)チアゾール-2-イル)アミノ)メチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-4-カルボニトリルと命名されてもよく、4-[[[4-[5-クロロ-2-[[トランス-4-[[(1R)-2-メトキシ-1-メチルエチル]アミノ]シクロヘキシル]アミノ]-4-ピリジニル]-2-チアゾリル]アミノ]メチル]-テトラヒドロ-2H-ピラン-4-シアノ基とも命名されてもよい。当該化合物の具体的な製造方法は、CN108727363Aの実施例1の製造方法を参照することができ、当該化合物は、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)及びサイクリンの活性、特にCDK9の活性を抑制することに用いることができる。
本発明において、「式(I)の化合物」と「式(I)の化合物の遊離塩基」とは、交互に使用することが可能である。
【0063】
本発明の結晶多形体
固体は、無定形の形態又は結晶の形態で存在する。結晶形態の場合、分子は、三次元格子サイトに位置する。化合物が溶液又はスラリーから結晶化する場合、異なる空間的格子配置で結晶化して(この特性を「結晶多形性」と呼ばれる)、異なる結晶形態を有する結晶を形成することができる。これら様々な結晶形態を「結晶多形体」と呼ばれる。所定の物質の異なる結晶多形体は、1つ又は複数の物理的特性(例えば溶解度、溶解速度、真比重、結晶形、積み重ね方式、流動性及び/又は固体状態安定性等)において互いに異なり得る。
【0064】
「結晶化」は、目的化合物の溶解度の限度を超えるように溶液を操作することにより、製造規模での結晶化を達成することができる。これは、様々な方法によって達成することができる。例えば、比較的高温で化合物を溶解した後、飽和限界以下に溶液を冷却する方法、又は沸騰、常圧蒸発、真空乾燥若しくはその他の方法によって液体の体積を減少させる方法、又は貧溶媒若しくは化合物に対し低い溶解度を有する溶媒若しくはそのような溶媒の混合物を添加することによって目的化合物の溶解度を減少させる方法が挙げられる。別の方法として、pHを調整して溶解度を低下させる方法も選択され得る。結晶化に関する詳細な説明については、Crystallization,第3版,J W Mullens,Butterworth-Heineman Ltd.,1993,ISBN0750611294を参照されたい。
【0065】
「結晶化」は、式(I)の化合物と対応する酸又は対応する酸の溶液とを適切な溶媒中で混合して懸濁液を形成し、又は式(I)の化合物と適切な溶媒とを混合して懸濁液を形成した後、撹拌して結晶を得ることができる。適切な溶媒は、水又は有機溶媒であってもよい。
「結晶化」は、式(I)の化合物の溶液又は式(I)の化合物及び対応する酸を含む溶液を、所定の温度に置いて溶媒をゆっくりと揮発させることにより、結晶を得ることができる。
【0066】
本発明に記載の「貧溶媒の添加」又は「逆溶媒の添加」は、式(I)の化合物の溶液に別の適切な溶媒を添加した後に析出することにより結晶を得る方法を指す。
目的の塩の形成が結晶化と同時に生じる場合、反応媒体中における塩の溶解度が原料より低い場合、適切な酸又は塩基を添加することにより、目的の塩の直接結晶化をもたらし得る。同様に、最終の所望の形態が反応物よりも溶解性が低い媒体中で、合成反応の完了により、最終生成物の直接結晶化を可能にする。
結晶化の最適化は、所望の形態の結晶を種晶として結晶化媒体に接種することを含んでもよい。さらに、多くの結晶化方法は、上記の戦略の組合せを使用する。1つの例は、目的化合物を高温で溶媒に溶解した後、系がちょうど飽和レベル以下になるように制御された方法で適切な体積の貧溶媒を添加することである。この場合、所望の形態の種晶を添加し(種晶の完全性を維持しながら)、系を冷却して結晶化を完了させることができる。
本明細書において、「本発明の結晶」、「本発明の結晶形」、「本発明の結晶多形体」などは、交互に使用することが可能である。
【0067】
本明細書中で使用される用語「本発明の結晶多形体」は、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩(例えば、マレイン酸塩、フマル酸塩)の結晶多形体、並びに同じ塩の異なる結晶多形体を包含する。
好ましくは、本発明の結晶多形体は、式(I)の化合物のマレイン酸塩の結晶形I、結晶形1、結晶形2、結晶形3又は結晶形4;式(I)の化合物のフマル酸塩の結晶形Aを含むが、これらに限定されない。
本発明において、特定の結晶形は互いに変換することができるので、本発明の一側面は、結晶形を互いに変換する方法も提供する。
【0068】
結晶多形体の同定及び特性
本発明は、式(I)の化合物の結晶多形体を調製した後、その特性を、例えばX線粉末回折(XRPD)、示差走査熱量測定分析(DSC)、TGA、IRなどの様々な方法及び装置を用いて調べた。
X線粉末回折:結晶形のX線粉末回折を測定する方法は、本技術分野において公知である。例えば、X線粉末回折計を用いて、2°/分の走査速度で、銅照射ターゲットを用いて回折パターンを取得する。
【0069】
本発明の式(I)の化合物の塩の結晶多形体は、特定の結晶形態を有し、X線粉末回折(XRPD)パターンにおいて特定の特徴的なピークを有する。
示差走査熱量測定分析:「示差熱量測定走査分析」(DSC)とも呼ばれ、加熱過程において、測定対象物質と参照物質との間のエネルギー差と温度との間の関係を測定する技術である。DSCチャートにおけるピークの位置、形状及び数は、物質の性質に関連しているので、定性的に物質を同定するために使用することができる。本技術分野では、よく該方法を用いて物質の相転移温度、ガラス転移温度、反応熱等の様々なパラメータを検出する。
【0070】
医薬組成物及びその応用
本発明の活性成分は、本発明の結晶多形体、例えば式(I)の化合物のマレイン酸塩若しくはその結晶多形体、又は式(I)の化合物のフマル酸塩若しくはその結晶多形体である。
本発明の活性成分は、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)及びサイクリンの活性、特にCDK9の活性を阻害するのに有用である。したがって、本発明の活性成分及び本発明の活性成分を含む医薬組成物は、CDK9関連疾患の治療又は予防に有用である。CDK9関連疾患は、例えば、癌であり、癌は、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、肺腺癌、肺扁平上皮癌、膵臓癌、前立腺癌、膀胱癌、肝臓癌、皮膚癌、グリオーマ、乳癌、メラノーマ、悪性神経膠腫、横紋筋肉腫、卵巣癌、星状細胞腫、ユーイング肉腫、網膜芽細胞腫、上皮癌、結腸癌、腎臓癌、消化管間質腫瘍、白血病、組織球性リンパ腫及び上咽頭癌からなる群より選択される1つ以上の疾患を含むが、これらに限定されない。
【0071】
本発明の医薬組成物は、本発明の活性成分及び薬学的に許容される担体を含む。本発明の医薬組成物は、任意のその他の治療剤をさらに含んでもよい。
本明細書において、「薬学的に許容される担体」とは、非毒性の、不活性な、固体の、半固体の物質又は液体の充填機、希釈剤、封入材料、補助剤若しくは任意の添加剤であって、患者、好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒトとの適合性を有し、そして薬剤の活性を阻害させることなく活性薬剤を標的部位に送達するために適切なものである。
【0072】
治療の過程において、本発明の医薬は、状況に応じて、単独で使用してもよく、1種以上のその他の治療剤と組み合わせて使用してもよい。このような併用は、本発明の医薬の使用と同時に1種以上のその他の治療剤を一緒に投与してもよく、本発明の医薬の使用前に1種以上のその他の治療剤を投与してもよく、又は、本発明の医薬の使用後に1種以上のその他の治療剤を投与してもよい。
【0073】
通常、本発明の活性成分は、1種以上の薬学的に許容される担体と共に適切な剤形を形成して投与することができる。これらの剤形は、経口、直腸、局所、口腔内及びその他の非経口投与(例えば、皮下、筋肉内、静脈内など)に適している。上記剤形は、本発明の活性成分と、1種以上の担体又は添加剤とを使用して、通常の薬剤学の方法により製造することができる。上記担体は、本発明の活性成分又はその他の添加剤と適合性を有する必要がある。固体製剤の場合、一般的に使用される非毒性担体としては、マンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、セルロース、グルコース、スクロース等が挙げられるが、これらに限定されない。液体製剤に使用される担体としては、水(好ましくは、注射用無菌水)、生理食塩水、グルコース水溶液、エチレングリコール、ポリエチレングリコール等が挙げられる。本発明の活性成分は、上記担体と共に溶液又は懸濁液を形成することができる。
【0074】
本発明の医薬組成物の製剤化、定量及び投与は、医療ガイドラインに適合する方法で行われる。本発明の活性成分の「治療有効量」の投与は、治療される具体的な症状、治療される個体、症状の原因、薬物の標的、及び投与方式などの要因によって決定される。
【0075】
本明細書において、「治療有効量」は、患者(例えば、ヒト及び/又は動物)に対して機能的又は活性的であって、且つヒト及び/又は動物に許容される量を意味する。
【0076】
本発明の医薬組成物又は当該医薬組成物に含まれる活性成分の治療有効量は、好ましくは0.1mg~5g/kg(体重)である。一般的に、成人の治療に使用される用量に関して、投与される用量は、通常、0.02~5000mg/日、例えば約1~1500mg/日の範囲内である。この用量は、単回の用量であっても、同時投与の用量であっても、又は適切な間隔で分割された用量であってもよく、例えば、1日あたり2回、3回、4回又はそれ以上の分割用量であってもよい。当業者は、上記の用量範囲が与えられているが、具体的な有効量は、患者の状態に応じて、医師の診断と組み合わせて適切に調節可能であることを理解できる。
【0077】
本明細書において、「患者」は、動物、好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒトを意味する。「哺乳動物」という用語は、例えば、ネコ、イヌ、ウサギ、クマ、キツネ、オオカミ、サル、シカ、マウス、ブタ及びヒトを含む、温血脊椎動物を意味する。
本明細書において、「治療」は、既存の疾患又は状態(例えば、癌)を軽減、進行遅延、減弱、予防又は維持することを指す。「治療」は、疾患又は状態の1つ又は複数の症状を治癒すること、その進行を予防すること、又はある程度までに軽減することをも含む。
本発明の活性成分は、当業者に周知の種々の合成方法によって調製することができ、以下に列挙される具体的な実施形態、その他の化学的合成方法と組み合わせて形成される実施形態、及び当業者に周知の同等である代替的方式が挙げられ、好ましい実施形態としては、本発明の実施例が挙げられるが、これらに限定されない。
【0078】
以下、具体的な実施例を参照しながら、本発明をさらに説明する。これらの実施例は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではないことを理解されたい。以下の実施例において具体的な条件が明記されていない実験方法は、一般的に通常の条件又は製造業者が推奨する条件に従う。特に明記されない限り、%及び部は重量基準である。
【0079】
特に定義されない限り、本明細書で使用される用語は、当業者が周知しているのと同じ意味を有する。
特に定義されない限り、本明細書で使用される任意の試薬又は機器は、市販されているものである。
記載されたものと類似又は同等の任意の方法及び材料が、本発明において使用され得る。
本明細書で使用される用語「室温」は、一般に4~30℃、好ましくは25±5℃を意味する。
略語の説明:ACNはアセトニトリルを表す。
【0080】
CN108727363Aにおける実施例1の製造方法に従って、式(I)の化合物の遊離塩基を製造し、純度99.99%の式(I)の化合物の遊離塩基を得た。XRPDに供し、式(I)の化合物の遊離塩基が無定形物であることが確認された。XRPDを図19に示す。
【実施例
【0081】
実施例1 式(I)の化合物のマレイン酸塩の調製
34.4gの式(I)の化合物遊離塩基を150mLのアセトニリルで溶解し、遊離塩基溶液として用意した。反応フラスコにアセトニトリル300mLを加え、反応フラスコにマレイン酸16.9g(2.2eq)を加え、75~80℃に昇温して溶解した後、上記遊離塩基溶液を滴下し、滴下完了後、1~2時間撹拌し、室温に冷却し、2時間撹拌し続け、吸引濾過し、濾過ケーキを300mLのアセトニトリルで洗浄し、乾燥させて44gの式(I)の化合物のマレイン酸塩の結晶形Iを得た。ここで、式(I)の化合物とマレイン酸塩とのモル比は1:2であった。XRPD、DSCに供した。結晶形IのXRPDを図17及び表1に示し、結晶形IのDSCを図18に示す。
【0082】
【表1】
【0083】
実施例1.1 式(I)の化合物のマレイン酸塩の調製
200mgの式(I)の化合物遊離塩基を秤取して反応フラスコに入れ、10mLのアセトニトリルを加えて溶解した。その後、50℃に加熱し、撹拌しながら0.33Mマレイン酸(2.1eq)のアセトニトリル溶液を滴下し、1時間撹拌した後、室温までに自然冷却し、1時間撹拌し続け、濾過し、濾過ケーキを少量のアセトニトリルで洗浄し、乾燥させて255mgのオフホワイト固体を得た。収率は88.2%であった。生成物をXRPD及びDSCに供し、式(I)の化合物のマレイン酸塩の結晶形Iであることが確定された。式(I)の化合物とマレイン酸塩とのモル比は1:2であった。そのXRPDは基本的に図17及び表1に示され、DSCは基本的に図18に示される。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ8.35 (s, 1H), 8.22 (s, 1H), 8.12 (t, J = 6.3 Hz, 1H), 7.99 (s, 1H), 7.36 (s, 1H), 7.05 (s, 1H), 6.77 (d, J = 7.4 Hz, 1H), 6.15 (s, 4H), 3.92 (m, 2H), 3.67 (d, J = 6.3 Hz, 2H), 3.60 (s, 1H), 3.57-3.41 (m, 5H), 3.35 (s, 3H), 3.13 (s, 1H), 2.05 (d, J = 10.9 Hz, 4H), 1.87 (d, J = 13.5 Hz, 2H), 1.73-1.66 (m, 2H), 1.50-1.37 (m, 2H), 1.28 (m, 2H), 1.21(d, J = 6.4 Hz , 3H).
【0084】
実施例2 式(I)の化合物のマレイン酸塩の結晶形1の調製
34gの実施例1で製造された式(I)の化合物のマレイン酸塩を反応フラスコに加え、反応フラスコにアセトニトリルと水(体積比20:1)との混合溶媒340mlを加え、反応系を窒素ガスの保護下で還流(80~85℃)までに昇温して溶解させた。反応系を75℃までに冷却させ、1~2時間結晶化させた。その後、反応系を2~10℃までに自然冷却させ、吸引濾過し、固体を60℃で真空乾燥させ、生成物である式(I)の化合物のマレイン酸塩の結晶形1を得た。収率は、80%であった。融点は156~160℃であった。純度は、99.91%であった。XRPD、DSC、TGA及びIRに供した。結晶形1のXRPDを図1及び表2に示し、結晶形1のDSCを図2に示し、結晶形1のTGAを図3に示し、結晶形1のIRを図4に示す。
1H NMR (600 MHz, DMSO-d6) δ8.38 (s, 1H), 8.25 (s, 1H), 8.12 (t, J = 6.3 Hz, 1H), 8.00 (s, 1H), f7.37 (s, 1H), 7.06 (s, 1H), 6.78 (s, 1H), 6.16 (s, 4H), 3.92 (m, 2H), 3.67 (d, J = 6.1 Hz, 2H), 3.62 (s, 1H), 3.56-3.42 (m, 5H), 3.35 (s, 3H), 3.14 (s, 1H), 2.05 (m, 4H), 1.87 (d, J = 13.8 Hz, 2H), 1.73-1.68 (m, 2H), 1.53-1.39 (m, 2H), 1.28 (m, 2H), 1.22 (d, J = 6.5 Hz , 3H).
【0085】
【表2】
【0086】
実施例2.1 式(I)の化合物のマレイン酸塩の結晶形1の調製
200mgの実施例1で製造された式(I)の化合物のマレイン酸塩を反応フラスコに加え、反応フラスコにアセトニトリルと水(体積比4:1)との混合溶媒10mLを加え、反応系を窒素ガスの保護下で還流(80~85℃)までに昇温して溶解させた。反応系を75℃までに冷却させ、1~2時間結晶化させた。その後、反応系を室温までに自然冷却させ、吸引濾過し、イソプロパノールで濾過ケーキを洗浄した。濾過ケーキを45℃で真空乾燥して、生成物を収率81%で得た。生成物をXRPD及びDSCに供し、式(I)の化合物のマレイン酸塩の結晶形1であることが確定された。そのXRPDは基本的に図1及び表2に示され、DSCは基本的に図2に示される。
【0087】
実施例2.2 式(I)の化合物のマレイン酸塩の結晶形1の調製
実施例1.1で製造された式(I)の化合物のマレイン酸塩100mgをアセトニトリル1~2mlに加え、温度を0℃にコントロールして24時間撹拌した後、反応液を濾過し、固体を回収して乾燥させ、純度99.99%の生成物を得た。生成物をXRPD及びDSCに供し、式(I)の化合物のマレイン酸塩の結晶形1であることが確定された。そのXRPDは基本的に図1及び表2に示され、DSCは基本的に図2に示される。
【0088】
実施例2.3 式(I)の化合物のマレイン酸塩の結晶形1の調製
実施例1.1で製造された式(I)の化合物のマレイン酸塩100mgをアセトニトリル1~2mlに加え、温度を25℃にコントロールして24時間撹拌した後、反応液を濾過し、固体を回収して乾燥させ、純度99.99%の生成物を得た。生成物をXRPD及びDSCに供し、式(I)の化合物のマレイン酸塩の結晶形1であることが確定された。そのXRPDは、基本
的に図1及び表2に示され、DSCは基本的に図2に示される。
【0089】
実施例2.4 式(I)の化合物のマレイン酸塩の結晶形1の調製
実施例1.1で製造された式(I)の化合物のマレイン酸塩100mgをアセトニトリルと水(体積比10:1)との混合溶媒1~2mlに加え、温度を0℃にコントロールして24時間撹拌した後、反応液を濾過し、固体を回収して乾燥させ、純度99.91%の生成物を得た。生成物をXRPD及びDSCに供し、式(I)の化合物のマレイン酸塩の結晶形1であることが確定された。そのXRPDは、基本的に図1及び表2に示され、DSCは基本的に図2に示される。
【0090】
実施例3 式(I)の化合物のマレイン酸塩の結晶形2の調製
10gの実施例1で製造された式(I)の化合物のマレイン酸塩を100mlのメチルt-ブチルエーテルに加え、窒素ガスの保護下で温度を25℃にコントロールして一晩反応させた後、反応液を濾過し、固体を回収して40~50℃で回転乾燥させ、生成物である式(I)の化合物のマレイン酸塩の結晶形2を得た。収率は70%であり、融点は152~156℃であり、純度は99.13%であった。XRPD、DSC、TGA及びIRに供した。結晶形2のXRPDを図5及び表3に示し、結晶形2のDSCを図6に示し、結晶形2のTGAを図7に示し、結晶形2のIRを図8に示す。
【0091】
【表3】
【0092】
実施例3.1 式(I)の化合物のマレイン酸塩の結晶形2の調製
実施例1.1で製造された式(I)の化合物のマレイン酸塩100mgをメチルt-ブチルエーテル1~2mlに加え、温度を0℃にコントロールして24時間撹拌した後、反応液を濾過し、固体を回収して乾燥させ、純度99.99%の生成物を得た。生成物をXRPD及びDSCに供し、式(I)の化合物のマレイン酸塩の結晶形2であることが確定された。そのXRPDは基本的に図5及び表3に示され、DSCは基本的に図6に示される。
【0093】
実施例3.2 式(I)の化合物のマレイン酸塩の結晶形2の調製
実施例1.1で製造された式(I)の化合物のマレイン酸塩100mgをメチルt-ブチルエーテル1~2mlに加え、温度を50℃にコントロールして24時間撹拌した後、反応液を濾過し、固体を回収して乾燥させ、純度99.88%の生成物を得た。生成物をXRPD及びDSCに供し、式(I)の化合物のマレイン酸塩の結晶形2であることが確定された。そのXRPDは基本的に図5及び表3に示され、DSCは基本的に図6に示される。
【0094】
実施例3.3 式(I)の化合物のマレイン酸塩の結晶形2の調製
実施例1.1で製造された式(I)の化合物のマレイン酸塩100mgを酢酸エチル1~2mlに加え、温度を50℃にコントロールして24時間撹拌した後、反応液を濾過し、固体を回収して乾燥させ、純度99.81%の生成物を得た。生成物をXRPD及びDSCに供し、式(I)の化合物のマレイン酸塩の結晶形2であることが確定された。そのXRPDは基本的に図5及び表3に示され、DSCは基本的に図6に示される。
【0095】
実施例4 式(I)の化合物のマレイン酸塩の結晶形3の調製
100mgの実施例1.1で製造された式(I)の化合物のマレイン酸塩をアセトンと水との混合溶媒(アセトンと水のと体積比10:1)1~2mlに入れ、50℃で24時間撹拌した。その後、濾過し、固体を回収して乾燥させ、生成物である式(I)の化合物のマレイン酸塩の結晶形3を得た。収率は50%であり、純度は99.99%であった。XRPD及びDSCに供した。結晶形3のXRPDを図9及び表4に示し、結晶形3のDSCを図10に示す。
【0096】
【表4】
【0097】
実施例5 式(I)の化合物のマレイン酸塩の結晶形4の調製
実施例1で製造された式(I)の化合物のマレイン酸塩100mgをエタノールと水との混合溶媒(エタノールと水との体積比10:1)1~2mlに入れ、25℃で24時間撹拌した。その後、濾過し、固体を回収して乾燥させ、生成物である式(I)の化合物のマレイン酸塩の結晶形4を得た。収率は45%であり、純度は99.99%であり、融点は171~176℃であった。XRPD及びDSCに供した。結晶形4のXRPDを図11及び表5に示し、結晶形4のDSCを図12に示す。
【0098】
【表5】
【0099】
実施例6 式(I)の化合物のマレイン酸塩の結晶形4の調製
100mgの実施例1で製造された式(I)の化合物のマレイン酸塩をイソプロパノールと水との混合溶媒(イソプロパノールと水との体積比10:1)1~2mlに入れ、25℃で24時間撹拌した。その後、濾過し、固体を回収して乾燥させ、生成物である式(I)の化合物のマレイン酸塩の結晶形4を得た。収率は38%であり、純度は99.92%であった。XRPD及びDSCに供した。結果として、XRPDは基本的に図11に示され、DSCは基本的に図12に示される。
【0100】
実施例7 式(I)の化合物のマレイン酸塩の結晶形4の調製
100mgの実施例1で製造された式(I)の化合物のマレイン酸塩をエタノール1~2mlに入れ、50℃で24時間撹拌した。その後、濾過し、固体を回収して乾燥させ、生成物である式(I)の化合物のマレイン酸塩の結晶形4を得た。収率は42%であり、純度は99.97%であった。XRPD及びDSCに供した。結果として、XRPDは基本的に図11に示され、DSCは基本的に図12に示される。
【0101】
実施例8 式(I)の化合物のマレイン酸塩の結晶形4の調製
100mgの実施例1で製造された式(I)の化合物のマレイン酸塩をイソプロパノール1~2mlに入れ、50℃で24時間撹拌した。その後、濾過し、固体を回収して乾燥させ、生成物である式(I)の化合物のマレイン酸塩の結晶形4を得た。収率は35%であり、純度は99.99%であった。XRPD及びDSCに供した。結果として、XRPDは基本的に図11に示され、DSCは基本的に図12に示される。
【0102】
実施例9 式(I)の化合物のフマル酸塩の結晶形Aの調製
2gの式(I)の化合物遊離塩基を30mLのアセトニトリルに溶解し、遊離塩基のアセトニトリル透明溶液を得た。50℃の水浴に入れ、撹拌しながら9.236mLの0.25Mフマル酸(268mg、0.6eq)のエタノール溶液を滴下した。徐々に固体が析出してきた。50℃で保温しながら0.5時間撹拌し、加熱を停止して室温までに自然冷却し、1時間撹拌した。濾過し、40mLのアセトニトリルで濾過ケーキを洗浄した。50℃で真空乾燥し、生成物である式(I)の化合物のフマル酸塩の結晶形Aを得た。ここで、式(I)の化合物とフマル酸とのモル比は1:0.5であり、収率は94.0%であり、融点は217~218℃であり、純度は99.38%であった。XRPD及びDSCに供した。結晶形AのXRPDを図13及び表6に示し、結晶形AのDSCを図14に示す。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ8.10 (t, J = 6.4 Hz 1H), 7.95 (s, 1H), 7.31 (s, 1H), 6.99 (s, 1H), 6.65 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 6.39 (s, 1H), 3.90 (m, 2H), 3.62(d, J = 6.1 Hz, 2H) ,3.55 (s, 1H), 3.47-3.39(m, 2H), 3.31-3.25 (m, 2H), 3.23 (s, 3H), 3.13 (m, 1H), 2.70 (s, 1H), 1.95-1.82 (m, 6H), 1.66-1.62 (m, 2H), 1.26-1.17 (m, 4H), 1.00 (d, J = 6.4 Hz , 3H).
【0103】
【表6】
【0104】
実施例10 安定性試験
実施例9で製造された式(I)の化合物のフマル酸塩の結晶形A及び実施例2で製造された式(I)の化合物のマレイン酸塩の結晶形1を60℃の乾燥ボックスに入れ、異なる日数(0日、7日、21日)でサンプリングして測定し、結晶形の安定性を評価した。結果を下記表7に示す。
【0105】
【表7】
【0106】
結果から、式(I)の化合物のフマル酸塩の結晶形Aと式(I)の化合物のマレイン酸塩の結晶形1は、高温で21日間経過しても、含有量がほとんど変化せず、XRPDパターンの特徴的なピークがほとんど変化せず、結晶形が非常に安定していることがわかった。
式(I)の化合物の遊離塩基無定形物について同様な安定性試験を行った。結果から、式(I)の化合物の遊離塩基無定形物は、安定性が悪く、7日目と14日目に無定形物の性状が明らかに変化し、黄色固体から硬いゲル状物になり、不純物の種類が多くなり、不純物の含有量が増大することがわかった。
【0107】
実施例11:溶解性試験
各フラスコに約50mgの実施例2で製造された式(I)の化合物のマレイン酸塩の結晶形1を秤量し、異なるpH値のPBS緩衝液を調製した。室温で、異なるフラスコに異なる溶媒を、ちょうど溶解するまで少しずつで複数回加え、溶媒の使用量を記録し、溶解度を計算した。結果を下記表8に示す。
【0108】
【表8】
式(I)の化合物の遊離塩基無定形物について同様な溶解性試験を行った。結果から、式(I)の化合物の遊離塩基は、同じ試験条件下で著しく低い溶解度を有し、特に水への溶解度が非常に低いことがわかった。表9に示すとおりである。
【0109】
【表9】
結果から、式(I)の化合物のマレイン酸塩の結晶形1は、上記溶媒における溶解度が明らかに向上し、溶解度が30~60mg/mlに達することができ、式(I)化合物の溶解度を大幅に改善したことがわかった。
【0110】
実施例12 吸湿性試験
実験方法:動的水分吸着測定装置にて検測した。10mgの固体サンプルを秤量して天秤に置き、プログラムでサンプル室内の湿度をコントロールし、同じ温度で異なる湿度の条件下で7日間放置した後、試験サンプルの相対湿度に伴う質量変化を測定した。検測プログラム:湿度変化0%~95%~0%;試験温度25℃。
【0111】
実験結果を図15(実施例2で製造された式(I)の化合物のマレイン酸塩の結晶形1)及び図16(実施例9で製造された式(I)の化合物のフマル酸塩の結晶形A)に示す。結果から、2種類の塩型の吸湿性は同等であり、環境湿度RH=60%の場合、吸湿による重量増加は約1%であり、吸湿性が低く、遊離型より明らかに優れていることがわかった。
【0112】
式(I)の化合物の遊離塩基無定形物についても同様な吸湿性試験を行った。結果から、式(I)の化合物の遊離塩基無定形物の安定性が悪く、環境湿度RHが60%より高い場合、強い吸湿性を示し、且つ吸湿後のサンプルの性状が著しく変化した(凝集現象があった)ことがわかった。DVSに供し、その結果を図20に示す。以上から、式(I)の化合物の遊離塩基無定形物は強い吸湿性を有し、環境湿度の増大に伴って継続的に吸湿することがわかった。相対湿度が95%の場合、吸湿による重量増加は9.5%に達することができ、かつ吸湿後のサンプルは脱着しにくかった。
【0113】
実施例13 安定性研究
実施例3で製造された式(I)の化合物のマレイン酸塩の結晶形2を60℃の乾燥ボックスに入れ、異なる日(0日、7日、14日及び30日)にサンプリングして測定することにより、結晶形の安定性を調べた。表10に示すとおりである。
【0114】
【表10】
結果から、結晶形2は高温下で14日間経過した後、XRPDパターンの特徴的なピークがほとんど変化せず、結晶形も非常に安定しており、元の結晶形であったことがわかった。
【0115】
実施例14 バイオ試験
実施例2で製造された式(I)の化合物のマレイン酸塩の結晶形1を5.61mg秤取し、それを74.7μLのDMSOに溶解し、濃度を100mMに調製した後、-20℃の冷蔵庫に保存した。
1000×化合物ストックプレート(1000×薬物ストックプレートとも呼ばれる)を用意し、100mMの化合物ストック液をDMSOで希釈した。出発濃度は10mMであり、9つの濃度勾配は、それぞれ10mM、3mM、1mM、0.3mM、0.1mM、0.03mM、0.01mM、0.001mM及び0.0001mMのストック液濃度であった。化合物ストックプレートを密封テープで密封し、使用に備えるために-20℃の冷蔵庫に入れて保存した。
【0116】
急性骨髄性白血病細胞MV-4-11(ATCCから購入)を選択し、5000/ウェルの密度で96ウェルプレートに接種し(各ウェルの体積:140μL)、37℃で5%COのインキュベーターに入れて一晩培養した。
1000×薬物ストックプレートを取り出し、室温で遮光して融解した後、15×中間薬物プレート(78.8μLの培地に1.2μLの薬物含有DMSOストック液を加えた)を用意し、均一に混合した。10μLの薬物含有培地(15×)を96ウェル細胞プレートに移し(最終濃度は10μM、3μM、1μM、0.3μM、0.1μM、0.03μM、0.01μM、0.001μM及び0.0001μMであり、DMSOの最終濃度は0.01%であった)、軽く叩いて均一に混合した後、37℃で5%COのインキュベーターに入れて24時間培養を続けた。
【0117】
その後、CellTiter-Glo法を用いて各薬物濃度条件下での細胞生存性を測定し、対応条件下での細胞増殖阻害率を計算した。
MV-4-11細胞について、式(I)の化合物のマレイン酸塩の結晶形1の場合、0.0001μMから0.01μMの濃度範囲内で、細胞増殖に著しい変化がなく、0.03μMから10μMの濃度範囲内で、細胞増殖に著しい抑制作用を有し、式(I)の化合物のマレイン酸塩の結晶形1のMV-4-11細胞に対する絶対半数阻害濃度(ABsIC50)は0.032μMであった。
【0118】
比較例1
実施例1又は実施例9に記載の方法と同様の方法を用いて、マレイン酸又はフマル酸を、クエン酸、L-酒石酸、硫酸又はリン酸に置き換えて、式(I)の化合物と塩を形成した。その結果、クエン酸、酒石酸、硫酸又はリン酸を用いて式(I)の化合物と塩を形成した後、結晶形態の固体を得ることができなかった。
【0119】
比較例2
実施例1又は実施例9に記載の方法と同様の方法を用いて、マレイン酸又はフマル酸を塩酸に置き換えて、式(I)の化合物と塩を形成した。結果から、塩酸は式(I)の化合物と塩を形成した後結晶形態の固体を得ることができるが、式(I)の化合物の塩酸塩は吸湿性が非常に強く、その後の応用が困難であることがわかった。
【0120】
比較例3
式(I)の化合物の遊離塩基無定形物を、揮発、冷却、溶出等の方法で結晶化させたところ、いずれも良好な結晶形態が得られなかった。
揮発:表11に示す溶媒を用いて式(I)の化合物の遊離塩基を完全に溶解した後の溶液を、25℃の真空オーブンに入れて真空(0.1MPa)で7日間揮発させた。その結果、得られた物質はいずれも油ゲル状物であった。これらの物質に、対応する等量の同種溶媒を加えて再溶解し、室温(T=20±2℃)下で自然に揮発させた。その結果、いずれも良好な固形サンプルが得られなかった。
【0121】
【表11】
【0122】
冷却:各フラスコに約50mgの式(I)の化合物遊離塩基を秤量し、それぞれ表12の異なる溶媒1mLを添加し、室温(T=20℃)で溶解し、0℃で2時間放置した後、析出の有無を記録した。その後、-20℃までに冷却し、一晩放置した後、析出の有無を記録した。結果を表12に示す。その結果から、冷却後に良好な固形サンプルが得られないことがわかった。
【0123】
【表12】
溶出:各フラスコに約50mgの式(I)の化合物遊離塩基を秤量し、それぞれ表12の異なる溶媒1mLを添加し、室温(T=20℃)で溶解し、その中に所定量の逆溶媒を加え(ゆっくり滴下)、固体の析出の有無を観察した。結果を表13に示す。その結果から、逆溶媒の添加後に良好な固形サンプルが得られないことがわかった。
【0124】
【表13】
【0125】
発明者は、大量の実験研究により、いくつか式(I)の化合物に関連し且つ各性能がいずれも非常に安定している良好な結晶形、すなわちマレイン酸塩の結晶形I、結晶形1、結晶形2、結晶形3、結晶形4及びフマル酸塩の結晶形Aを発見した。
【0126】
実施例15 医薬組成物
以下の成分から、結晶形1の錠剤を調製した。
実施例2で製造された式(I)の化合物のマレイン酸塩の結晶形1 20g
澱粉 20g
ラクトース 20g
PVPP 3g
PVP 3g
タルク 1.6g
ドデシル硫酸ナトリウム 5g
通常の方法で、式(I)の化合物のマレイン酸塩の結晶形1と澱粉とを混合して篩にかけた後、その他の成分と均一に混合し、直接打錠した。
【0127】
実施例16 医薬組成物
以下の成分から、結晶形Aの錠剤を調製した。
実施例9で製造された式(I)の化合物のフマル酸塩の結晶形A 20g
澱粉 20g
ラクトース 20g
PVPP 3g
PVP 3g
タルク 1.6g
ドデシル硫酸ナトリウム 5g
通常の方法に従って、式(I)の化合物のフマル酸塩の結晶形Aを澱粉と混合して篩にかけた後、その他の成分と均一に混合し、直接打錠した。
【0128】
本明細書で言及される全ての文献は、各文献が参照により個々に援用されるかのように、参照により本明細書に援用される。また、本明細書の上記記載内容を読んだ後、当業者は本発明に対して様々な変更又は修正を行うことができ、これらのような同等の形態は、同様に本出願に添付された特許請求の範囲に定義された範囲内であることを理解すべきである。
図1
図2
図3
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図7
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図10
図11
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