IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 阿波▲羅▼智▲聯▼(北京)科技有限公司の特許一覧

<>
  • 特許-冷却設備及び車両 図1
  • 特許-冷却設備及び車両 図2
  • 特許-冷却設備及び車両 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-14
(45)【発行日】2023-07-25
(54)【発明の名称】冷却設備及び車両
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/38 20060101AFI20230718BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20230718BHJP
【FI】
H01L23/38
H05K7/20 S
H05K7/20 B
H05K7/20 H
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022020287
(22)【出願日】2022-02-14
(65)【公開番号】P2022062237
(43)【公開日】2022-04-19
【審査請求日】2022-02-14
(31)【優先権主張番号】202110680036.9
(32)【優先日】2021-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521208273
【氏名又は名称】阿波▲羅▼智▲聯▼(北京)科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】APOLLO INTELLIGENT CONNECTIVITY(BEIJING)TECHNOLOGY CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】101, 1st Floor, Building 1, Yard 7, Ruihe West 2nd Road, Beijing Economic and Technological Development Zone, Beijing 100176, China
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】リアン シン
(72)【発明者】
【氏名】シュチン ソン
(72)【発明者】
【氏名】イー ウ
(72)【発明者】
【氏名】ウェンタオ ヤン
(72)【発明者】
【氏名】シュアイシュアイ ジャオ
(72)【発明者】
【氏名】チョンファ ルオ
(72)【発明者】
【氏名】リーフォン ワン
(72)【発明者】
【氏名】ユンチャン フォン
(72)【発明者】
【氏名】タオ ワン
(72)【発明者】
【氏名】シャオチェン ツァオ
(72)【発明者】
【氏名】フチュアン ウ
【審査官】佐藤 靖史
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-257165(JP,A)
【文献】実開昭60-065573(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2019/0045670(US,A1)
【文献】特開2006-292269(JP,A)
【文献】特開2006-269995(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/38
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のトランク内に設置される冷却設備であって、
対向設置された冷端と熱端とを有し、前記熱端が前記トランクの内壁に密着して設けられ、前記冷端が前記トランクの内部空間に向けて設けられている半導体冷却シートを備え
前記トランク内に冷却対象物が載置され、前記半導体冷却シートの冷端が前記冷却対象物の少なくとも一部に密着して設けられている、
冷却設備。
【請求項2】
前記半導体冷却シートの熱端が前記トランクの底壁に密着して設けられている、
請求項1に記載の冷却設備。
【請求項3】
前記半導体冷却シートは、複数であり、
複数の前記半導体冷却シートは、予め設定された方向に間隔をおいて設けられている、
請求項1に記載の冷却設備。
【請求項4】
前記半導体冷却シートは、前記車両の電力供給系統に電気的に接続されている、
請求項1から請求項までのいずれか1項に記載の冷却設備。
【請求項5】
前記半導体冷却シートに電気的に接続された直流電力供給装置をさらに備える、
請求項1から請求項までのいずれか1項に記載の冷却設備。
【請求項6】
請求項1から請求項までのいずれか1項に記載の冷却設備を備える車両。
【請求項7】
車両のトランク内に設けられ、前記冷却設備に対応する冷却対象物である車載スマートデバイスをさらに備える、
請求項に記載の車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両の技術分野に関し、特に冷却設備の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
自動運転車両の車載スマートデバイスは通常トランク内に設置されている。車載スマートデバイスの動作中に発熱量が大きいため、車載スマートデバイスの動作安定性を高めるために、トランク内に補助放熱設備を追加して車載スマートデバイスを放熱する必要がある。
【0003】
関連技術では、補助放熱設備は通常ファンを採用しており、ファンによって形成された気流を利用して車載スマートデバイスを空冷放熱するものである。しかし、この放熱方式は放熱効率が低く、放熱効果が悪く、車体に通気孔を設けてトランク内の熱を排出する必要があるため、車体の変更が大きく、加工コストが高くなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、冷却設備及び車両を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の1つの態様では、車両のトランク内に設置される冷却設備を提供し、該冷却設備は、対向設置された冷端と熱端とを有し、前記熱端が前記トランクの内壁に密着して設けられ、前記冷端が前記トランクの内部空間に向けて設けられている半導体冷却シートを備える。
【0006】
本開示のもう1つの様態では、車両を提供し、該車両は、本開示の上述の実施形態の冷却設備を備える。
【0007】
本開示の技術によれば、トランク内に取り付けられた冷却対象の特定の冷却需要を満たすことができ、さらに半導体冷却シートは冷却過程において騒音がなく、運転者の乗車体験を向上するのに有利であると共に、車体に対する二次加工にかかるコストを低減することができ、トランク内への冷却設備の設置の利便性を向上させることができる。
【0008】
ここに記載された内容は、本開示の実施形態のキーポイント又は重要な特徴を記述することを意図せず、また、本開示の範囲を制限することにも用いられないことを理解すべきである。本開示の他の特徴については、下記の明細書を通して説明を促す。
【図面の簡単な説明】
【0009】
添付図面は、本方案をより良く理解するためのものであり、本開示を限定するものではない。
【0010】
図1】本開示の実施形態に係るトランク内の冷却設備の設置の概略図である。
図2】本開示の実施形態に係るトランク内の冷却設備の設置の概略図である。
図3】本開示の実施形態に係る冷却設備の半導体冷却シートの構造を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下では、本開示の例示的な実施形態を、理解を容易にするために本開示の実施形態の様々な詳細を含む添付の図面に関連して説明するが、これらは単に例示的なものであると考えるべきである。したがって、当業者は、本開示の範囲及び精神を逸脱することなく、本明細書に記載された実施形態に様々な変更及び修正を加えることができることを認識すべきである。同様に、以下の説明では、周知の機能及び構成については、明確化及び簡明化のために説明を省略する。
【0012】
以下、図1及び図2を参照しながら、本開示の実施形態に係る冷却設備100について説明する。
【0013】
図に示すように、本発明の実施形態に係る冷却設備100は、車両1のトランク1a内に設置されている。
【0014】
具体的には、冷却設備100は、半導体冷却シート10を備え、当該半導体冷却シート10は、対向設置された冷端10aと熱端10bとを有し、半導体冷却シート10の熱端10bは、トランク1aの内壁に密着して設けられ、半導体冷却シート10の冷端10aは、トランク1aの内部空間に向けて設けられている。
【0015】
本開示の実施形態では、トランク1a内に冷却対象物200を載置することができ、冷却対象物200は、任意の設備、例えばトランク1a内に設置された車載スマートデバイス等であってもよい。
【0016】
半導体冷却シート10は、N型半導体材料とP型半導体材料とを含み、N型半導体材料とP型半導体材料とが接合されて熱電対を形成していることが理解される。熱電対に電流が流れると、半導体冷却シート10の両端部において熱移動が行われ、すなわち熱電対の一端部から他端部へ熱が移動され、半導体冷却シート10の両端部に温度差が生じ、半導体冷却シート10の両端部にそれぞれ冷端10aと熱端10bが形成される。
【0017】
図3に示すように、1つの具体例では、半導体冷却シート10は、間隔をおいて設けられた2枚の絶縁性熱伝導シートを備えており、2枚の絶縁性熱伝導シートの間に複数のN型半導体素子121と複数のP型半導体素子122とが設けられ、N型半導体素子121とP型半導体素子122とが交互に配置されて、隣接するN型半導体素子121とP型半導体素子122とがその端部を金属導体で接続することにより、複数の半導体素子を順次電気的に導通させて完全な線路を形成する。ここで、金属導体の材質は銅、アルミニウムなどのその他の金属材質であってもよい。
【0018】
より具体的に、複数の金属導体は、第1金属導体131と第2金属導体132とを含む。電流の流れ方向において、第1金属導体131は、N型半導体素子121の第1端部とP型半導体素子122の第1端部との間に接続され、複数の第1金属導体131は、第1絶縁性熱伝導シート111に密着されており、第2金属導体132は、P型半導体素子122の第2端部とN型半導体素子121の第2端部との間に接続され、複数の第2金属導体132は、第2絶縁性熱伝導シート112に密着されている。N型半導体素子121からP型半導体素子122へ、その間の第1金属導体131を介して電流が流れる過程で、第1金属導体131は吸熱し、P型半導体素子122からN型半導体素子121へ、その間の第2金属導体132を介して電流が流れる過程で、第2金属導体132が放熱する。これにより、半導体冷却シート10の通電時に、複数の第1金属導体131に密着された第1絶縁熱伝導シート111が半導体冷却シート10の冷端10aを形成し、複数の第2金属導体132に密着された第2絶縁熱伝導シート112が半導体冷却シート10の熱端10bを形成する。
【0019】
また、半導体冷却シート10の冷却効果は、オン電流の大きさや、N型半導体素子121とP型半導体素子122とからなる熱電対の数に依存している。オン電流の大きさやN型半導体素子121とP型半導体素子122とからなる熱電対の数は、実際の冷却要求に応じて設定することができ、本実施形態では特に限定しない。
【0020】
半導体冷却シート10の冷端10a及び熱端10bはそれぞれ、半導体冷却シート10の対向設置される2つの外面に形成されている。半導体冷却シート10の冷端10aは、トランク1aの内部空間に向けて設けられ、冷却対象物200とともにトランク1aの内部空間を冷却する。
【0021】
車両1のトランク1aは通常、車体によって規定されており、車体の材質は通常、金属であり、半導体冷却シート10の熱端10bは、トランク1aの内壁を形成する金属製の車体に直接密着させて設けることができることが理解される。ここで、トランク1aの内壁は、トランク1aの底壁1bであってもよく、トランク1aの側壁又は頂壁であってもよい。
【0022】
本開示の実施形態に係る冷却設備100によれば、車両1のトランク1a内に冷却設備100を設置し、半導体冷却シート10を設けてトランク1a内の冷却対象物200を冷却し、特にトランク1a内に取り付けられた車載用スマートデバイスに対して冷却することにより、半導体冷却シート10が、無騒音、無振動、冷媒不要、小型、軽量などの特徴があり、また、作動信頼性が高く、操作が簡便で、冷熱量の調節が便利な利点があるため、トランク1a内に取り付けられた冷却対象200の特定の冷却要求を満たすことができ、さらに半導体冷却シート10は冷却過程において騒音がなく、運転者の乗車体験を向上するのに有利である一方、冷却設備100の外形寸法を小さくすることが容易であるため、トランク1a内での占有スペースを小さくすることができ、トランク1aのスペース利用率を確保することができる。
【0023】
また、半導体冷却シート10の熱端10bをトランク1aの内壁に密着させて設けることにより、半導体冷却シート10の熱端10bから放出された熱を、トランク1aの内壁を形成する車体に直接伝導させ、金属製の車体を介して外部に放出させることができるので、半導体放熱シートの熱放散の効果を高めることができ、冷却設備100の冷却効率を高めることができる。他方、トランク1a内にファン20を設けて冷却設備100を冷却する従来技術と比較して、本発明の実施形態に係る冷却設備100は、冷却対象物200を冷却する際に、トランク1aに通気孔等の他の構造を設ける必要がないので、車体に対する二次加工にかかるコストを低減することができ、トランク1a内への冷却設備100の設置の利便性を向上させることができる。
【0024】
図1及び図2に示すように、1つの実施形態では、半導体冷却シート10の熱端10bがトランク1aの底壁1bに密着して設けられている。
【0025】
例示的に、半導体冷却シート10の熱端10bとトランク1aの底壁1bとの間には、半導体冷却シート10とトランク1aの底壁1bとの間の熱伝導性及び熱伝導効率を向上するため、熱伝導シリカゲルが設けられてもよい。
【0026】
本実施形態では、トランク1aの底壁1bに対する半導体冷却シート10の連結固定手段について特に限定せず、例えば、トランク1aの底壁1bに連結された固定台によって半導体冷却シート10をトランク1aの底壁1bに固定することができる。
【0027】
半導体冷却シート10の冷端10aと熱端10bとを対向させ、半導体冷却シート10の冷端10aを下に向いてトランク1aの底壁1bに密着させて設けて、これに対応して、半導体冷却シート10の熱端10bがトランク1aの内部空間に向けて上向きに配置され、半導体冷却シート10の冷端10aから発生する冷熱量でトランク1aの内部空間を冷却することが理解される。
【0028】
上記実施形態によれば、半導体冷却シート10の熱端10bをトランク1aの底壁1bに密着して設けることにより、半導体冷却シート10の熱端10bとトランク1aの内壁との接触面積を大きく確保することができる一方、半導体冷却シート10のトランク1a内での固定効果を向上させ、構造的安定性を確保することができる。
【0029】
図1に示すように、1つの実施形態では、半導体冷却シート10の冷端10aは、冷却対象物200から予め設定された距離だけ離間して設けられている。
【0030】
すなわち、半導体冷却シート10の冷端10aと冷却対象物200とが非接触に設けられ、半導体冷却シート10の冷端10aがトランク1aの内部空間全体を冷却することにより冷却対象物200の使用環境の温度を低下させて、冷却対象物200を冷却するようになっている。
【0031】
なお、半導体冷却シート10の冷端10aと被冷却物200との間の予め設定された距離は、実際の状況に応じて調整することができる。半導体冷却シート10の冷熱量を冷却対象物200の冷却需要を満たすことができれば、例えば、トランク1aの実際の大きさや、冷却対象物200に必要な冷却能力、冷却設備100の冷却効果を総合的に考慮して両者間の距離を設定することができる。
【0032】
以上の実施形態によれば、半導体冷却シート10がトランク1aの内部空間全体を冷却することができ、ひいては冷却対象物200の作動環境を冷却することができ、冷却対象物200の作動環境を長期にわたって安定した作動温度に確保することに有利であり、冷却対象物200の作動安定性を向上させることができる。
【0033】
図1に示すように、1つの実施形態では、冷却設備100はファン20をさらに備える。ファン20は、半導体冷却シート10の冷端10aに隣接して設けられ、ファン20の吹出方向が冷却対象物200に向けられている。
【0034】
例示的に、冷却設備100はさらに熱伝導フィン30を備え、熱伝導フィンは、半導体冷却シート10の冷端10aに取り付けられ、半導体冷却シート10の冷熱量を伝導するために用いられている。ファン20は、熱伝導フィンに取り付けられ、ファン20の吹出方向が冷却対象物200に向けて設けられている。
【0035】
これにより、半導体冷却シート10の冷端10aで発生する冷熱量を、ファン20で形成される空気流によって駆動されて冷風とすることができ、冷風の流れを冷却対象200に向けて設定することで、冷却対象200の特定の冷却需要を満たすことができ、冷却対象200に対する冷却効果を向上させることができる。
【0036】
図2に示すように、1つの実施形態では、半導体冷却シート10の冷端10aは、冷却対象物200の少なくとも一部に密着して設けられている。
【0037】
例示的に、半導体冷却シート10の熱端10bがトランク1aの底壁1bに密着して設けられ、半導体冷却シート10の冷端10aの上方に冷却対象物200が取り付けられ、すなわち、冷却対象物200の下面が半導体冷却シート10の冷端10aの外面に密着している。ここで、半導体冷却シート10の冷端10aと冷却対象物200との密着領域には、半導体冷却シート10の冷端10aと冷却対象物200との間の熱伝導性を向上するために、熱伝導シリカゲルが設けられている。
【0038】
また、半導体冷却シート10の冷端10aと冷却対象物200との間を締結具または他の方法等により固定して連結させることができ、両者間の接続安定性を向上させ、両者間の安定した密着性を確保することができる。
【0039】
以上の実施形態によれば、半導体冷却シート10の冷端10aを冷却対象物200に密着させて設けることにより、半導体冷却シート10の冷端10aが冷却対象物200から放出される熱を直接吸収することができ、もって冷却対象物200の急速冷却を実現することができ、冷却設備100による、冷却対象物200に対する冷却効果を確保し、冷却対象物200に対する特定の冷却を実現することができる。また、冷却設備100と冷却対象物200とを一体的に設けることができるので、トランク1a内での占有スペースを小さくすることができ、トランク1aのスペース利用率を確保することができる。
【0040】
1つの実施形態では、半導体冷却シート10は複数であり、複数の半導体冷却シート10は、予め設定された方向に間隔をおいて設けられている。
【0041】
例示的に、複数の半導体冷却シート10の熱端10bが全てトランク1aの底壁1bに密着して設けられ、複数の半導体冷却シート10が均一な冷却効果を形成するように、複数の半導体冷却シート10をアレイ状に配置することができる。冷却対象物200の外面には、複数の半導体冷却シート10の冷端10aが共に密着して配置されることができる。
【0042】
他の例では、複数の半導体冷却シート10の冷端10aが冷却対象物200の外面に密着して設置されている。ここで、複数の半導体冷却シート10のうち、一部の半導体冷却シート10の熱端10bがトランク1aの内壁に密着させて設けられていると共に、他の半導体冷却シート10の熱端10bがトランク1aの内部空間で空中に設けられている。これにより、複数の半導体冷却シート10の冷端10aが冷却対象物200から放出される熱を十分に吸収することができ、もって冷却対象物200に対する冷却効果を向上させることができる。
【0043】
なお、複数の半導体冷却シート10の冷却対象物200の外表面への配置態様は、冷却対象物200の異なる領域における発熱量に応じて、対応して配置されることができる。例えば、冷却対象物200の発熱量が大きい領域ほど半導体冷却シート10の配置密度を大きくし、冷却対象物200の発熱量が少ない領域ほど半導体冷却シート10の配置密度を小さくする。
【0044】
1つの実施形態では、半導体冷却シート10は、車両1の電力供給系統に電気的に接続されている。
【0045】
例示的に、半導体冷却シート10は、車両1の電力供給系統における直流電力供給モジュールに電気的に接続され、直流電力供給モジュールを介して半導体冷却シート10に電力を供給する。
【0046】
さらに、車両1の制御装置は、直流電力供給モジュールが冷却シートに供給する電流の大きさを調整することにより、半導体冷却シート10の冷却能力を調整することができる。
【0047】
これにより、異なる温度条件に対して冷却設備100の冷却能力を調整することができ、冷却対象物200に温度の比較的安定した作動環境を提供することができる。
【0048】
1つの実施形態では、冷却設備100は、半導体冷却シート10に電気的に接続された直流電力供給装置をさらに含む。
【0049】
例示的に、直流電力供給装置は、半導体冷却シート10に直流電力を供給する要件を満たせば、例えば、一次電池、亜鉛マンガン乾電池、リチウム電池などの任意の種類の電池であってもよい。
【0050】
以上の実施形態によれば、外部電源を必要とせずに冷却設備100を単独で作動させることができるので、冷却設備100の使い勝手を向上させることができ、冷却設備100の適用シーン及び適用範囲を広げることに有利である。
【0051】
本開示の別の実施形態によれば、車両1も提供される。
【0052】
図1及び図2に示すように、本開示の実施形態に係る車両1は、本開示の上述の実施形態に係る冷却設備100を備える。
【0053】
例示的に、本開示の実施形態の車両1は、通常の車両、自動運転車両、または自動車教習所の教習車両などの任意の車両であってもよい。
【0054】
本開示の実施形態に係る車両1は、本開示の上述の実施形態に係る冷却設備100を利用することにより、トランク1a内に取り付けられた冷却対象物200の特定の冷却需要を満たすことができ、半導体冷却シート10が、冷却する過程中に騒音が発生しないので、運転者の乗車体験を向上するのに有利である一方、冷却設備100の外形寸法を小さくすることが容易であるため、トランク1aの占有スペースを小さくすることができ、トランク1aのスペース利用率を確保することができる。また、本発明に係る車両1は、トランク1a内にファン20を設けて冷却設備100を冷却する従来技術に比べて、トランク1aに換気孔等の他の構造を設ける必要がないので、車体に対する二次加工にかかるコストを低減することができ、トランク1a内への冷却設備100の設置の利便性を向上させることができる。
【0055】
1つの実施形態では、該車両1は、車両1のトランク1a内に設置された車載スマートデバイスをさらに含み、車載スマートデバイスは、冷却設備100に対応する冷却対象200である。
【0056】
具体的な例では、車両1は自動運転車両であってもよく、車載スマートデバイスは車載計算ユニットであってもよい。車載計算ユニットは、車両1の自動運転機能を実現するための関連する演算処理を実行するために用いられる。具体的に、車載計算ユニットは、中央処理装置、グラフィックス処理装置及びフィールドプログラマブル論理ゲートアレイなどのコンピュータハードウェアを含むことができ、各コンピュータハードウェアは、高負荷で動作する場合に大量の熱を発生する。車載演算ユニットは、冷却設備100と一体的に設けられてもよく、例えば、車載演算ユニットの特定の冷却需要を満たすように、冷却設備100の半導体冷却シート10の冷端10aに密着させて設けてもよい。
【0057】
本開示の実施形態に係る車両1の他の構成は、当業者が現在及び将来に知りえる様々な技術案を採用することができ、ここでは詳細に説明しない。
【0058】
本願の説明において、「中心」、「縦方向」、「横方向」、「長さ」、「幅」、「厚み」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「鉛直」、「水平」、「頂」、「底」、「内」、「外」、「時計回り」「反時計回り」「軸方向」、「径方向」、「周方向」などの用語が示す方位又は位置関係は、図面に示す方位又は位置関係に基づき、本発明を便利又は簡単に説明するために使用されるものであり、指定された装置又は部品が特定の方位や、特定の方位において構造され操作されると指示又は暗示するものではないため、本発明を限定するものと理解してはならない。
【0059】
また、「第1」、「第2」の用語は説明に用いられるものであり、比較的重要であることを指示又は暗示するか、或いは示された技術的特徴の数を黙示的に指示すると理解してはならない。「第1」、「第2」が限定されている特徴は1つ又はより多くの前記特徴を含むことを明示又は暗示するものである。本発明の説明において、明確且つ具体的な限定がない限り、「複数」とは、例えば、2つ、3つなど、2つ以上を意味する。
【0060】
なお、本願の説明において、明確な規定と限定がない限り、「取り付け」、「互いに接続」、「接続」、「固定」の用語の意味は広く理解されるべきである。例えば、固定接続や、着脱可能な接続、あるいは一体化が可能である。機械的接続や、電気的接続や、通信も可能である。直接的に接続することや、中間媒体を介して間接的に接続すること、二つの部品の内部が連通することや、二つの素子の相互作用の関係も可能である。当業者にとって、具体的な場合に応じて上記用語の本発明の具体的な意味を理解することができる。
【0061】
本願では、特に明確な規定と限定がない限り、第1特徴が第2特徴の「上」または「下」に直接接触するか、第1特徴と第2特徴が中間メディアを介して間接的に接触するかのいずれかである。また、第1特徴は第2特徴の「上」、「上方」及び「上面」にあるとは、第1特徴が第2特徴の真上または斜め上にあること、或いは第1特徴の水平高さが第2特徴よりも高いことを示す。第1特徴は、第2特徴の「下」、「下方」及び「下面」にあるのは、第1特徴が第2特徴の直下または斜め下にあること、或いは第1特徴の水平高さが第2特徴よりも小さいことを示す。
【0062】
上記の開示は、本願の異なる構造を実現するための多くの異なる実施形態または例を提供する。本願の開示を簡略化するために、特定の例の構成要素及び設置を上記にて説明している。当然ながら、これらは一例にすぎず、本願を制限することを目的としていない。さらに、本願は、異なる例において数字及び/又はアルファベットを繰り返し参照することができ、このような繰り返しは、簡略化と明瞭化の目的を実現するためであり、その自体が検討する各種の実施形態及び/又は設置の間の関係を示していない。
【0063】
上記の具体的な実施形態は、本願の保護範囲に対する制限にならない。当業者が、設計要件と他の要因に基づいて、改修、組合、サブ組合、代替を行うことができることは明らかである。本願の思想と原理における変更、均等な置換及び改善等は、いずれも本発明の保護の範囲内に含まれるべきである。
【符号の説明】
【0064】
1 車両、1a トランク、1b 底壁、
100 冷却設備、
10 半導体冷却シート、10a 冷端、10b 熱端、111 第1絶縁性熱伝導シート、112 第2絶縁性熱伝導シート、121 N型半導体素子、122 P型半導体素子、131 第1金属導体、132 第2金属導体、
20 ファン、
30 熱伝導フィン、
200 被冷却物。
図1
図2
図3