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特許7314364有機エレクトロルミネセント化合物及びこれを含む有機エレクトロルミネセントデバイス
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  • 特許-有機エレクトロルミネセント化合物及びこれを含む有機エレクトロルミネセントデバイス 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-14
(45)【発行日】2023-07-25
(54)【発明の名称】有機エレクトロルミネセント化合物及びこれを含む有機エレクトロルミネセントデバイス
(51)【国際特許分類】
   H10K 85/60 20230101AFI20230718BHJP
   C09K 11/06 20060101ALI20230718BHJP
   H10K 50/11 20230101ALI20230718BHJP
   H10K 50/16 20230101ALI20230718BHJP
【FI】
H10K85/60
C09K11/06 690
H10K50/11
H10K50/16
【請求項の数】 8
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022115131
(22)【出願日】2022-07-19
(62)【分割の表示】P 2019544046の分割
【原出願日】2018-02-26
(65)【公開番号】P2022141829
(43)【公開日】2022-09-29
【審査請求日】2022-07-20
(31)【優先権主張番号】10-2017-0026014
(32)【優先日】2017-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2017-0124285
(32)【優先日】2017-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2017-0180988
(32)【優先日】2017-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2018-0021961
(32)【優先日】2018-02-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】509266480
【氏名又は名称】ローム・アンド・ハース・エレクトロニック・マテリアルズ・コリア・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000589
【氏名又は名称】弁理士法人センダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、チョンウン
(72)【発明者】
【氏名】オ、ホンセ
(72)【発明者】
【氏名】カン、ヒリョン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ヨンキル
(72)【発明者】
【氏名】チョ、サンヒ
【審査官】岩井 好子
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-160813(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2015-0121337(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0143557(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0308146(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第104829626(CN,A)
【文献】特表2011-528033(JP,A)
【文献】特開2014-232858(JP,A)
【文献】特開2013-188742(JP,A)
【文献】特許第7184785(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10K 85/60
C09K 11/06
H10K 50/11
H10K 50/16
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式1:
【化1】
(式中、
Mは、
【化2】
、O又はSを表し;
~X12は、それぞれ独立して、N又はCRを表すが、ただし、
MがO又はSを表すときは、X~X12の全てがCRであるか、又はX~Xのいずれか1つがNを表し、及び、
Mが、
【化3】
を表すときは、X~X のいずれか1つがNを表し;
Laは、単結合、置換若しくは非置換(C6~C30)アリーレン、又は置換若しくは非置換(3~30員)ヘテロアリーレンを表し;
Arは、置換若しくは非置換(C6~C30)アリール又は置換若しくは非置換(3~30員)ヘテロアリールを表し;
は、それぞれ独立して、水素、重水素、置換若しくは非置換(C1~C30)アルキル、置換若しくは非置換(C6~C30)アリール、置換若しくは非置換(3~30員)ヘテロアリール、置換若しくは非置換(C3~C30)シクロアルキル、置換若しくは非置換(C1~C30)アルコキシ、置換若しくは非置換トリ(C1~C30)アルキルシリル、置換若しくは非置換ジ(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは非置換(C1~C30)アルキルジ(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは非置換トリ(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは非置換モノ-若しくはジ-(C1~C30)アルキルアミノ、置換若しくは非置換モノ-若しくはジ-(C6~C30)アリールアミノ、又は置換若しくは非置換(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールアミノを表すか;或いは、2つの隣接するRが互いに結合して置換もしくは非置換のベンゼン環を形成しても良く、その1つの炭素原子は、1つの窒素原子で置き換えられてもよく、ただしXとXのRが互いに結合して環を形成することはなく、及びXとX10のRが互いに結合して環を形成することはなく;
前記ヘテロアリール(エン)は、B、N、O、S、Si、及びPから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含有し;
aは、1又は2の整数を表し、ここで、aが2である場合、Arのそれぞれは、同じ又は異なるものであり得、並びに、
La、Ar、及びRにおける前記置換された基の置換基が、それぞれ独立して、重水素;ハロゲン;シアノ;カルボキシル;ニトロ;ヒドロキシル;(C1~C30)アルキル;ハロ(C1~C30)アルキル;(C2~C30)アルケニル;(C2~C30)アルキニル;(C1~C30)アルキルチオ;(C3~C30)シクロアルキル;(C3~C30)シクロアルケニル;(3~7員)ヘテロシクロアルキル;(C6~C30)アリールオキシ;(C6~C30)アリールチオ;非置換の若しくは(C6~C30)アリールで置換された(5~30員)ヘテロアリール;非置換の若しくは(5~30員)ヘテロアリールで置換された(C6~C30)アリール;アミノ;モノ-若しくはジ-(C1~C30)アルキルアミノ;非置換の若しくは(C1~C30)アルキルで置換されたモノ-若しくはジ-(C6~C30)アリールアミノ;(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールアミノ;(C1~C30)アルキルカルボニル;(C1~C30)アルコキシカルボニル;(C6~C30)アリールカルボニル;ジ(C6~C30)アリールボロニル;ジ(C1~C30)アルキルボロニル;(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールボロニル;(C6~C30)アリール(C1~C30)アルキル;及び(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールからなる群から選択される少なくとも1つである。)
で表される有機エレクトロルミネセント化合物。
【請求項2】
Arが、置換若しくは非置換フェニル、置換若しくは非置換ナフチル、置換若しくは非置換ビフェニル、置換若しくは非置換ターフェニル、置換若しくは非置換フルオレニル、置換若しくは非置換フルオランテニル、置換若しくは非置換トリアジニル、置換若しくは非置換ピリジル、置換若しくは非置換ピリミジニル、置換若しくは非置換ベンゾチエノピリミジニル、置換若しくは非置換アセナフトピリミジニル、置換若しくは非置換キナゾリニル、置換若しくは非置換ベンゾキナゾリニル、置換若しくは非置換キノキサリニル、置換若しくは非置換ベンゾキノキサリニル、置換若しくは非置換ジベンゾキノキサリニル、置換若しくは非置換キノリル、置換若しくは非置換ベンゾキノリル、置換若しくは非置換イソキノリル、置換若しくは非置換ベンゾイソキノリル、置換若しくは非置換ベンゾチエノキノリル、置換若しくは非置換ベンゾフロキノリル、置換若しくは非置換トリアゾリル、置換若しくは非置換ピラゾリル、置換若しくは非置換カルバゾリル、置換若しくは非置換ジベンゾチオフェニル、置換若しくは非置換ベンゾチオフェニル、置換若しくは非置換ジベンゾフラニル、置換若しくは非置換ベンゾフラニル、置換若しくは非置換ナフチリジニル、置換若しくは非置換ベンゾチアゾリニルまたは置換若しくは非置換フェナントロイミダゾリルを表す、請求項1に記載の有機エレクトロルミネセント化合物。
【請求項3】
式1が、以下の式7~10のいずれか1つで表される、請求項1に記載の有機エレクトロルミネセント化合物:
【化4】
(式中、
Mは、請求項1において定義された通りであり、及び、
~X12は、それぞれ独立して、N又はCRを表すが、ただし、
MがO又はSを表すときは、式1は式7~10のいずれか1つで表され、X~Xは全てCRを表すか、又はX~XはCRを表し及びXはNを表し;X~Xは全てCRを表すか又はX~XはCRを表し及びXはNを表し;並びに、X10~X12は全てCRを表し、
Mが
【化5】
を表すときは、式1は式8又は9で表され、X~XはCRを表し及びXはNを表し;並びにX~XはCRを表し及びXはNを表す)。
【請求項4】
式1で表される前記化合物が、以下の化合物:
【化6】
から選択される、請求項1に記載の有機エレクトロルミネセント化合物。
【請求項5】
請求項1に記載の式1で表される化合物と、少なくとも1つの有機エレクトロルミネセント化合物とを含む、有機エレクトロルミネセントデバイス用の複合材料。
【請求項6】
請求項5に記載される有機エレクトロルミネセントデバイス用の複合材料であって、前記少なくとも1つの有機エレクトロルミネセント化合物が、以下の式11:
【化7】
(式中、
及びAは、それぞれ独立して、置換若しくは非置換(C6~C30)アリールを表し;
は、単結合、又は置換若しくは非置換(C6~C30)アリーレンを表し;
11~X26は、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、シアノ、置換若しくは非置換(C1~C30)アルキル、置換若しくは非置換(C2~C30)アルケニル、置換若しくは非置換(C2~C30)アルキニル、置換若しくは非置換(C3~C30)シクロアルキル、置換若しくは非置換(C6~C60)アリール、置換若しくは非置換(3~30員)ヘテロアリール、置換若しくは非置換トリ(C1~C30)アルキルシリル、置換若しくは非置換トリ(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは非置換ジ(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは非置換(C1~C30)アルキルジ(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは非置換モノ-若しくはジ-(C1~C30)アルキルアミノ、又は置換若しくは非置換モノ-若しくはジ-(C6~C30)アリールアミノを表すか;或いは隣接置換基と結合して置換若しくは非置換の、単環式若しくは多環式の、(C3~C30)脂環式環若しくは芳香環、又はそれらの組み合わせを形成し、ここで、前記脂環式環若しくは芳香環、又はそれらの組み合わせの炭素原子は、窒素、酸素、及び硫黄から選択される少なくとも1つのヘテロ原子で置き換えられてもよい)
で表される化合物の少なくとも1つである、複合材料。
【請求項7】
請求項1に記載の有機エレクトロルミネセント化合物を含む、有機エレクトロルミネセントデバイス。
【請求項8】
前記有機エレクトロルミネセント化合物が、発光層及び電子緩衝層の少なくとも1つに含まれる、請求項7に記載の有機エレクトロルミネセントデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、有機エレクトロルミネセント化合物及びこれを含む有機エレクトロルミネセントデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
エレクトロルミネセントデバイス(ELデバイス)は、より広い視野角、より大きいコントラスト比、及びより速い応答時間を提供するという利点を有する自発光ディスプレイデバイスである。1987年にEastman Kodakによって、発光層を形成するための材料として小さい芳香族ジアミン分子とアルミニウム錯体とを使用することによって、最初の有機ELデバイスが開発された[Appl.Phys.Lett.51,913,1987]。
【0003】
有機ELデバイス(OLED)は、有機発光材料に電気を印加することによって電気エネルギーを光に変換し、通常、アノードと、カソードと、2つの電極間に形成された有機層とを含む。OLEDの有機層は、必要に応じて、正孔注入層、正孔輸送層、正孔補助層、発光補助層、電子阻止層、発光層(ホスト材料及びドーパント材料を含有する)、電子緩衝層、正孔阻止層、電子輸送層、電子注入層等を含み得る。有機層に使用される材料は、機能に応じて、正孔注入材料、正孔輸送材料、正孔補助材料、発光補助材料、電子阻止材料、発光材料、電子緩衝材料、正孔阻止材料、電子輸送材料、電子注入材料等へ分類することができる。OLEDにおいて、アノードからの正孔とカソードからの電子とが、電圧の印加によって発光層へ注入され、高エネルギーを有する励起子が、正孔と電子との再結合によって生成する。有機発光化合物は、有機発光化合物が励起状態から基底状態に戻るときのエネルギーによって励起状態に移行し、エネルギーから発光する。
【0004】
有機ELデバイスにおける発光効率を決定する最も重要な要因は発光材料である。発光材料は、次の特徴:高い量子効率、電子及び正孔の高い移動度、並びに形成された発光材料層の一様性及び安定性を有することを要求される。発光材料は、発光色によって青色、緑色、及び赤色発光材料へ分類され、黄色又は橙色発光材料を更に含む。更に、発光材料は、機能面でホスト材料とドーパント材料とへ分類される。近年、緊急の課題は、高効率及び長寿命を有する有機ELデバイスの開発である。特に、中型及び大型のOLEDパネルに必要なEL特性を考慮すると、従来の材料を凌ぐ非常に優れた発光材料の開発が緊急に必要とされている。このために、好ましくは、固体状態での溶媒及びエネルギー伝達物質として、ホスト材料は、真空下で蒸着されるために、高純度及び好適な分子量を有するべきである。更に、ホスト材料は、熱安定性を達成するための高いガラス転移温度及び熱分解温度、長い寿命を達成するための高い電気化学的安定性、非晶質薄膜の容易な成形性、隣接層との良好な接着性、並びに層間移動なしを有することが必要とされる。
【0005】
加えて、正孔輸送層、緩衝層、電子輸送層等において、優れた熱安定性を有する、且つ、駆動電圧、発光効率、及び寿命特性などの、有機エレクトロルミネセントデバイスの性能を向上させることができる材料が開発されることが必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示の目的は、優れた熱安定性、低い駆動電圧、高い発光効率、及び/又は改善された寿命特性を有する有機エレクトロルミネセントデバイスを製造するために有効な有機エレクトロルミネセント化合物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
低いTgを有する化合物は、薄膜における電荷移動度を低下させ得、OLEDデバイスの性能を劣化させ得る。発明研究の結果として、本発明者らは、真空蒸着層においてパイ-パイスタッキングを支援して迅速な電荷移動度をもたらすことができる、平面の主コアを有し、且つ、優れた形状安定性を提供することができる、その比較的低い分子量にもかかわらず高いガラス転移温度(Tg)を有する新規有機エレクトロルミネセント化合物を開発した。具体的には、本発明者らは、上記の目的が以下の式1:
【化1】
(式中、
Mは、
【化2】
、O又はSを表し;
~X12は、それぞれ独立して、N又はCRを表し;
Laは、単結合、置換若しくは非置換(C1~C30)アルキレン、置換若しくは非置換(C6-C30)アリーレン、置換若しくは非置換(3~30員)ヘテロアリーレン、又は置換若しくは非置換(C3~C30)シクロアルキレンを表し;
Ar及びRは、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、シアノ、置換若しくは非置換(C1~C30)アルキル、置換若しくは非置換(C6~C30)アリール、置換若しくは非置換(3~30員)ヘテロアリール、置換若しくは非置換(C3~C30)シクロアルキル、置換若しくは非置換(C1~C30)アルコキシ、置換若しくは非置換トリ(C1~C30)アルキルシリル、置換若しくは非置換ジ(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは非置換(C1~C30)アルキルジ(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは非置換トリ(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは非置換のモノ-若しくはジ-(C1~C30)アルキルアミノ、置換若しくは非置換モノ-若しくはジ-(C6~C30)アリールアミノ、又は置換若しくは非置換(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールアミノを表すか;或いは、隣接置換基と結合して置換若しくは非置換の、単環式又は多環式の、(C3~C30)脂環式環若しくは芳香環、又はそれらの組み合わせを形成してもよく、その炭素原子は、窒素、酸素、及び硫黄から選択される少なくとも1つのヘテロ原子で置き換えられてもよく;
ヘテロアリール(エン)は、B、N、O、S、Si、及びPから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含有し;
aは、1又は2の整数を表し、ここで、aが2である場合、Arのそれぞれは、同じ若しくは異なるものであり得る)
で表される有機エレクトロルミネセント化合物によって達成できることを見いだした。
【0008】
発明の有利な効果
本開示による有機エレクトロルミネセント化合物は、低い駆動電圧、高い発光効率、及び/又は改善された寿命特性を有する有機エレクトロルミネセントデバイスを提供することができる。加えて又は代替として、本開示による有機エレクトロルミネセント化合物は、類似の分子量を有する他の有機エレクトロルミネセント化合物と比べて優れた熱安定性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示による有機エレクトロルミネセント化合物の代表的な式である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書では以下、本開示が詳細に説明される。しかしながら、以下の説明は、本発明を説明することを意図し、決して本発明の範囲を限定することを意味しない。
【0011】
本開示における用語「有機エレクトロルミネセント化合物」は、有機エレクトロルミネセントデバイスに使用され得る、必要に応じて、有機エレクトロルミネセントデバイスを構成する任意の層に含まれ得る化合物を意味する。
【0012】
本開示における用語「有機エレクトロルミネセント材料」は、有機エレクトロルミネセントデバイスに使用され得る、少なくとも1つの化合物を含み得る材料を意味する。有機エレクトロルミネセント材料は、必要に応じて、有機エレクトロルミネセントデバイスを構成する任意の層に含まれ得る。例えば、有機エレクトロルミネセント材料は、正孔注入材料、正孔輸送材料、正孔補助材料、発光補助材料、電子阻止材料、発光材料、電子緩衝材料、正孔阻止材料、電子輸送材料、又は電子注入材料であり得る。
【0013】
本開示の有機エレクトロルミネセント材料は、式1で表される少なくとも1つの化合物を含み得る。それに限定されないが、式1の化合物は、発光層に含まれ得る。この場合には、式1の化合物は、ホストとして含まれ得る。また、式1の化合物は、電子輸送帯に含まれ得、それに限定されずに、式1の化合物は、電子緩衝層に含まれ得る。
【0014】
本開示における用語「有機エレクトロルミネセントデバイス用の複合材料」は、有機エレクトロルミネセントデバイスに使用できる2つ以上の材料が一緒に存在するか又は一緒に存在するように調製されることを意味し、ここで、「一緒に存在する」は、2つ以上の材料が混合されている状態のみならず、それらが互いに分離している状態をも意味する。加えて、有機エレクトロルミネセントデバイス用の複合材料は、有機エレクトロルミネセントデバイスに含まれる前の(例えば、蒸着前の)材料のみならず、有機エレクトロルミネセントデバイスに含まれる(例えば、蒸着後の)材料をも包含するコンセプトである。例えば、有機エレクトロルミネセントデバイス用の複合材料は、正孔注入材料、正孔輸送材料、正孔補助材料、発光補助材料、電子阻止材料、発光材料(ホスト材料及びドーパント材料)、電子緩衝材料、正孔阻止材料、電子輸送材料及び電子注入材料の少なくとも2つを含み得、又は少なくとも2つの正孔注入材料、少なくとも2つの正孔輸送材料、少なくとも2つの正孔補助材料、少なくとも2つの発光補助材料、少なくとも2つの電子阻止材料、少なくとも2つの発光材料(ホスト材料及びドーパント材料)、少なくとも2つの電子緩衝材料、少なくとも2つの正孔阻止材料、少なくとも2つの電子輸送材料、又は少なくとも2つの電子注入材料を含み得る。本開示の有機エレクトロルミネセントデバイス用の複合材料は、有機エレクトロルミネセントデバイスを構成する任意の層に含まれ得る。複合材料に含まれる2つ以上の材料は、1つの層に一緒に含まれ得、又は、それぞれ、異なる層に含まれ得る。2つ以上の材料が1つの層に含まれる場合、それらは層を形成するために混合蒸着され得、又はそれらは層を形成するために別々に共蒸着され得る。
【0015】
本明細書では以下、式1で表される有機エレクトロルミネセント化合物がより詳細に説明される。
【0016】
式1において、Mは、
【化3】
、O又はSを表す。
【0017】
式1において、X~X12は、それぞれ独立して、N又はCRを表す。本開示の一実施形態によれば、X~X12の全ては、CRを表してもよい。本開示の別の実施形態によれば、X~X12のいずれか1つは、Nを表してもよい。本開示のさらなる実施形態によれば、X~X12の2つは、Nを表してもよい。
【0018】
式1において、Laは、単結合、置換若しくは非置換(C1~C30)アルキレン、置換若しくは非置換(C6~C30)アリーレン、置換若しくは非置換(3~30員)ヘテロアリーレン、又は置換若しくは非置換(C3~C30)シクロアルキレン;好ましくは、単結合、置換若しくは非置換(C6~C25)アリーレン、又は置換若しくは非置換(5~25員)ヘテロアリーレン;より好ましくは、単結合、非置換(C6~C18)アリーレン、又は非置換(5~18員)ヘテロアリーレンを表す。ヘテロアリーレンは、N、O、及びSの少なくとも1つ、好ましくはN及びSの少なくとも1つを含み得る。本開示の一実施形態によれば、Laは、単結合、フェニレン、ナフチレン、ビフェニレン、ピリジレン、ピリミジニレン、トリアジニレン、イソキノリニレン、キナゾリニレン、ナフチリジニレン、キノキサリニレン、ベンゾキノキサリニレン、インドロキノキサリニレンン、ベンゾチエノピリミジニレン、又はベンゾキナゾリニレンを表してもよい。
【0019】
式1において、Ar及びRは、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、シアノ、置換若しくは非置換(C1~C30)アルキル、置換若しくは非置換(C6~C30)アリール、置換若しくは非置換(3~30員)ヘテロアリール、置換若しくは非置換(C3~C30)シクロアルキル、置換若しくは非置換(C1~C30)アルコキシ、置換若しくは非置換トリ(C1~C30)アルキルシリル、置換若しくは非置換ジ(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは非置換(C1~C30)アルキルジ(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは非置換トリ(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは非置換のモノ-若しくはジ-(C1~C30)アルキルアミノ、置換若しくは非置換のモノ-若しくはジ-(C6~C30)アリールアミノ、又は置換若しくは非置換(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールアミノを表すか;或いは、隣接置換基と結合して置換若しくは非置換の、単環式又は多環式の、(C3~C30)脂環式環若しくは芳香環、又はそれらの組み合わせを形成してもよく、その炭素原子は、窒素、酸素、及び硫黄から選択される少なくとも1つのヘテロ原子で置き換えられてもよい。
【0020】
上記のArは、好ましくは、置換若しくは非置換(C6~C25)アリール、置換若しくは非置換(5~25員)ヘテロアリール、又は置換若しくは非置換ジ(C6~C25)アリールアミノ、より好ましくは、非置換(C6~C18)アリール、非置換の若しくは(C1~C10)アルキル及び/若しくは(C6~C12)アリールで置換された(5~25員)ヘテロアリール、又は非置換の若しくは(C1~C6)アルキルで置換されたジ(C6~C25)アリールアミノを表してもよい。本開示の一実施形態によれば、Arは、置換若しくは非置換フェニル、置換若しくは非置換ナフチル、置換若しくは非置換ビフェニル、置換若しくは非置換ターフェニル、置換若しくは非置換フルオレニル、置換若しくは非置換フルオランテニル、置換若しくは非置換トリアジニル、置換若しくは非置換ピリジル、置換若しくは非置換ピリミジニル、置換若しくは非置換ベンゾチエノピリミジニル、置換若しくは非置換アセナフトピリミジニル、置換若しくは非置換キナゾリニル、置換若しくは非置換ベンゾキナゾリニル、置換若しくは非置換キノキサリニル、置換若しくは非置換ベンゾキノキサリニル、置換若しくは非置換ジベンゾキノキサリニル、置換若しくは非置換キノリル、置換若しくは非置換ベンゾキノリル、置換若しくは非置換イソキノリル、置換若しくは非置換ベンゾイソキノリル、置換若しくは非置換ベンゾチエノキノリル、置換若しくは非置換ベンゾフロキノリル(benzofuroquinolyl)、置換若しくは非置換トリアゾリル、置換若しくは非置換ピラゾリル、置換若しくは非置換カルバゾリル、置換若しくは非置換ジベンゾチオフェニル、置換若しくは非置換ベンゾチオフェニル、置換若しくは非置換ジベンゾフラニル、置換若しくは非置換ベンゾフラニル、置換若しくは非置換ナフチリジニル、置換若しくは非置換ベンゾチアゾリニル、置換若しくは非置換フェナントロイミダゾリル、置換若しくは非置換ジフェニルアミノ、置換若しくは非置換フェニルビフェニルアミノ、置換若しくは非置換フルオレニルフェニルアミノ、置換若しくは非置換ジベンゾチオフェニルフェニルアミノ、又は置換若しくは非置換ジベンゾフラニルフェニルアミノを表してもよい。本開示の別の実施形態によれば、Arは、非置換の若しくは重水素及びナフチルの少なくとも1つで置換されたフェニル、非置換ナフチル、非置換ビフェニル、非置換の若しくは少なくとも1つのメチルで置換されたフルオレニル、非置換フルオランテニル、非置換の若しくはフェニル及びナフチルの少なくとも1つで置換されたトリアジニル、非置換の若しくは少なくとも1つのフェニルで置換されたピリジル、非置換の若しくは少なくとも1つのフェニルで置換されたピリミジニル、非置換の若しくは少なくとも1つのフェニルで置換されたキナゾリニル、非置換の若しくは少なくとも1つのフェニルで置換されたイソキノリル、非置換の若しくは少なくとも1つのフェニルで置換されたカルバゾリル、非置換ジベンゾチオフェニル、非置換ジベンゾフラニル、非置換の若しくは少なくとも1つのフェニルで置換されたナフチリジニル、非置換ジフェニルアミノ、非置換のフェニルビフェニルアミノ、ジメチルフルオレニルフェニルアミノ、少なくとも1つのフェニルで置換されたベンゾチエノピリミジニル、非置換ベンゾチエノキノリル、非置換ベンゾフロキノリル、少なくとも1つのフェニルで置換されたベンゾキナゾリニル、少なくとも1つのフェニルで置換されたベンゾチアゾリニル、少なくとも1つのフェニルで置換されたベンゾキノキサリニル、非置換ジベンゾキノキサリニル、少なくとも1つのフェニルで置換されたフェナントロイミダゾリル、非置換ジベンゾチオフェニルフェニルアミノ、非置換ジベンゾフラニルフェニルアミノ、少なくとも1つのメチルで置換された窒素含有17員ヘテロアリール、窒素及び酸素を含有する25員ヘテロアリール、又は少なくとも1つのフェニルで置換されたアセナフトピリミジニルを表してもよい。
【0021】
上記のRは、好ましくは、置換若しくは非置換(C6~C25)アリール、又は置換若しくは非置換(3~25員)ヘテロアリールを表してもよいか;或いは隣接置換基と結合して置換若しくは非置換の、単環式若しくは多環式の、(C3~C25)脂環式環若しくは芳香環、又はそれらの組み合わせを形成してもよく、その炭素原子は、窒素、酸素、及び硫黄から選択される少なくとも1つのヘテロ原子で置き換えられてもよく;より好ましくは、置換若しくは非置換(C6~C18)アリール、又は置換若しくは非置換(5~18員)ヘテロアリールを表してもよいか;或いは隣接置換基と結合して置換若しくは非置換の、単環式若しくは多環式の、(C3~C18)脂環式環若しくは芳香環、又はそれらの組み合わせを形成してもよく、その炭素原子は、窒素、酸素、及び硫黄から選択される少なくとも1つのヘテロ原子で置き換えられてもよく;最も好ましくは、非置換の若しくは(5~18員)ヘテロアリールで置換された(C6~C12)アリール、又は非置換の若しくは(C6~C18)アリールで置換された(5~13員)ヘテロアリールを表してもよいか、或いは隣接置換基と結合して置換若しくは非置換の、単環式若しくは多環式の、(C3~C10)芳香環を形成してもよく、その炭素原子は、窒素、酸素、及び硫黄から選択される少なくとも1つのヘテロ原子で置き換えられてもよい。本開示の一実施形態によれば、Rは、非置換の若しくはジフェニルトリアジニルで置換されたフェニル、ジフェニルトリアジニル、フェニルで置換されたキナゾリニル、又は非置換ピリジルを表してもよいか;或いは隣接置換基と結合して非置換ベンゼン環、メチル及びフェニルの少なくとも1つで置換されたインデン環、非置換ピリジン環、非置換ベンゾチオフェン環、非置換ベンゾフラン環、又はフェニル若しくはフェニルキノキサリニルで置換されたインドール環を形成してもよい。
【0022】
本開示の一実施形態によれば、式1における2つの隣接X~X12はCRであり、2つの隣接Rは、以下の式2~6のいずれか1つに縮合して環を形成してもよく、環の1つ以上は、式1で表される1つの化合物中に形成されてもよい。例えば、環は、ジベンゾチオフェン環、ジベンゾフラン環、ナフタレン環、フェナントレン環、又は置換若しくは非置換カルバゾール環であり得る。
【化4】
【0023】
式2~6において、
【化5】
は、CとCR中のRとの間の連結サイトを表す。
【0024】
式4において、Xは、N又はCHを表す。本開示の一実施形態によれば、Xの全てがCHを表してもよい。本開示の別の実施形態によれば、Xのいずれか1つはNを表してもよい。
【0025】
式5において、Rは、水素、重水素、ハロゲン、シアノ、置換若しくは非置換(C1~C30)アルキル、置換若しくは非置換(C6~C30)アリール、置換若しくは非置換(3~30員)ヘテロアリール、置換若しくは非置換(C3~C30)シクロアルキル、置換若しくは非置換(C1~C30)アルコキシ、置換若しくは非置換トリ(C1~C30)アルキルシリル、置換若しくは非置換ジ(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは非置換(C1~C30)アルキルジ(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは非置換トリ(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは非置換のモノ-若しくはジ-(C1~C30)アルキルアミノ、置換若しくは非置換のモノ-若しくはジ-(C6~C30)アリールアミノ、又は置換若しくは非置換(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールアミノ;好ましくは、置換若しくは非置換(C6~C25)アリール、又は置換若しくは非置換(5~25員)ヘテロアリール;より好ましくは、非置換(C6~C18)アリール、又は非置換の若しくは(C6~C18)アリールで置換された(5~18員)ヘテロアリールを表す。本開示の一実施形態によれば、Rは、非置換フェニル、又はフェニルで置換されたキノキサリニルを表してもよい。
【0026】
式6において、R11及びR12は、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、シアノ、置換若しくは非置換(C1~C30)アルキル、置換若しくは非置換(C6~C30)アリール、置換若しくは非置換(3~30員)ヘテロアリール、又は置換若しくは非置換(C3~C30)シクロアルキルを表すか;或いは互いに結合して置換若しくは非置換の、単環式若しくは多環式の、(C3~C30)脂環式環若しくは芳香環、又はそれらの組み合わせを形成してもよく、その炭素原子は、窒素、酸素、及び硫黄から選択される少なくとも1つのヘテロ原子で置き換えられてもよく;好ましくは、水素、置換若しくは非置換(C1~C6)アルキル、又は置換若しくは非置換(C6~C12)アリールを表すか;或いは互いに結合して置換若しくは非置換の、単環式若しくは多環式の、(C5~C10)脂環式環若しくは芳香環、又はそれらの組み合わせを形成してもよく;より好ましくは、水素、非置換(C1~C6)アルキル、又は非置換(C6~C12)アリールを表すか;或いは互いに結合してスピロ環を形成してもよい。
【0027】
式1において、aは、1又は2の整数を表し、ここで、aが2である場合、Arのそれぞれは、同じ若しくは異なるものであり得る。
【0028】
ヘテロアリール(エン)は、B、N、O、S、Si、及びPから選択される少なくとも1つのヘテロ原子、好ましくは少なくとも1つのNを含有する。
【0029】
式1で表される化合物は、以下の式7~10:
【化6】
(式中、X~X12、及びMは、式1において定義された通りである)
のいずれか1つで表されてもよい。
【0030】
本明細書において、用語「(C1~C30)アルキル(エン)」は、鎖を構成する1~30個の炭素原子を有する線状若しくは分岐状アルキル(エン)であることを意味し、ここで、炭素原子の数は、好ましくは1~20、より好ましくは1~10である。上記アルキルとしては、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、イソ-ブチル、tert-ブチル等が挙げられ得る。用語「(C2~C30)アルケニル」は、鎖を構成する2~30個の炭素原子を有する線状若しくは分岐状アルケニルであることを意味し、ここで、炭素原子の数は、好ましくは2~20、より好ましくは2~10である。上記アルケニルとしては、ビニル、1-プロペニル、2-プロペニル、1-ブテニル、2-ブテニル、3-ブテニル、2-メチルブタ-2-エニル等が挙げられ得る。用語「(C2~C30)アルキニル」は、鎖を構成する2~30個の炭素原子を有する線状若しくは分岐状アルキニルであることを意味し、ここで、炭素原子の数は、好ましくは2~20、より好ましくは2~10である。上記アルキニルとしては、エチニル、1-プロピニル、2-プロピニル、1-ブチニル、2-ブチニル、3-ブチニル、1-メチルペンタ-2-イニル等が挙げられ得る。用語「(C3~C30)シクロアルキル(エン)」は、3~30個の環骨格炭素原子を有する単環式若しくは多環式炭化水素であることを意味し、ここで、炭素原子の数は、好ましくは3~20、より好ましくは3~7である。上記シクロアルキルとしては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等が挙げられ得る。用語「(3~7員)ヘテロシクロアルキル」は、3~7個、好ましくは5~7個の環骨格原子を有し、且つ、B、N、O、S、Si及びPからなる群、好ましくはO、S及びNからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含むシクロアルキルであることを意味する。上記ヘテロシクロアルキルとしては、テトラヒドロフラン、ピロリジン、チオラン、テトラヒドロピラン等が挙げられ得る。用語「(C6~C30)アリール(エン)」は、6~30個の環骨格炭素原子を有する芳香族炭化水素から誘導される単環式環若しくは縮合環ラジカルであることを意味し、ここで、環骨格炭素原子の数は、好ましくは6~25、より好ましくは6~18である。上記アリール(エン)は、部分的に飽和されていてもよいし、スピロ構造を含み得る。上記アリールとしては、フェニル、ビフェニル、ターフェニル、ナフチル、ビナフチル、フェニルナフチル、ナフチルフェニル、フェニルターフェニル、フルオレニル、フェニルフルオレニル、ベンゾフルオレニル、ジベンゾフルオレニル、フェナントレニル、フェニルフェナントレニル、アントラセニル、インデニル、トリフェニレニル、ピレニル、テトラセニル、ペリレニル、クリセニル、ナフタセニル、フルオランテニル、スピロビフルオレニル等を挙げられ得る。用語「(3~30員)ヘテロアリール(エン)」は、3~30個の環骨格原子を有し、且つ、B、N、O、S、Si及びPからなる群から選択される少なくとも1つ、好ましくは1~4つのヘテロ原子を含むアリールである。上記ヘテロアリール(エン)は、単環式環、又は少なくとも1つのベンゼン環と縮合した縮合環であり得るし;部分的に飽和されても、単結合を介して少なくとも1つのヘテロアリール基又はアリール基をヘテロアリール基に結合することによって形成されるものであり得るし;スピロ構造を含み得る。上記ヘテロアリールとしては、フリル、チオフェニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、トリアジニル、テトラジニル、トリアゾリル、テトラゾリル、フラザニル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、及びピリダジニルなどの単環型ヘテロアリール、並びにベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、イソベンゾフラニル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチオフェニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾイソキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、イソインドリル、インドリル、ベンゾインドリル、インダゾリル、ベンゾチアジアゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリニル、キナゾリニル、ベンゾキナゾリニル、キノキサリニル、ベンゾキノキサリニル、ナフチリジニル、カルバゾリル、ベンゾカルバゾリル、ジベンゾカルバゾリル、フェノキサジニル、フェノチアジニル、フェナントリジニル、ベンゾジオキソリル、及びジヒドロアクリジニルなどの縮合環型ヘテロアリールが挙げられ得る。更に、「ハロゲン」は、F、Cl、Br、及びIを含む。
【0031】
本明細書において、表現「置換若しくは非置換」における「置換」は、特定の官能基中の水素原子が別の原子又は別の官能基、すなわち置換基で置き換えられていることを意味する。式1~7のLa、Ar、及びRにおける置換(C1~C30)アルキル(エン)、置換(C6~C30)アリール(エン)、置換(3~30員)ヘテロアリール(エン)、置換(C3~C30)シクロアルキル(エン)、置換(C1~C30)アルコキシ、置換トリ(C1~C30)アルキルシリル、置換ジ(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールシリル、置換(C1~C30)アルキルジ(C6~C30)アリールシリル、置換トリ(C6~C30)アリールシリル、置換モノ-若しくはジ-(C1~C30)アルキルアミノ、置換モノ-若しくはジ-(C6~C30)アリールアミノ、置換(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールアミノ、及び置換された単環式若しくは多環式の、(C3~C30)脂環式環若しくは芳香環、又はそれらの組み合わせの置換基は、それぞれ独立して、重水素、ハロゲン、シアノ、カルボキシル、ニトロ、ヒドロキシル、(C1~C30)アルキル、ハロ(C1~C30)アルキル、(C2~C30)アルケニル、(C2~C30)アルキニル、(C1~C30)アルコキシ、(C1~C30)アルキルチオ、(C3~C30)シクロアルキル、(C3~C30)シクロアルケニル、(3~7員)ヘテロシクロアルキル、(C6~C30)アリールオキシ、(C6~C30)アリールチオール、非置換の若しくは(C6~C30)アリールで置換された(5~30員)ヘテロアリール、非置換の若しくは(5~30員)ヘテロアリールで置換された(C6~C30)アリール、トリ(C1~C30)アルキルシリル、トリ(C6~C30)アリールシリル、ジ(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールシリル、(C1~C30)アルキルジ(C6~C30)アリールシリル、アミノ、モノ-若しくはジ-(C1~C30)アルキルアミノ、非置換の若しくは(C1~C30)アルキルで置換されたモノ-若しくはジ-(C6~C30)アリールアミノ、(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールアミノ、(C1~C30)アルキルカルボニル、(C1~C30)アルコキシカルボニル、(C6~C30)アリールカルボニル、ジ(C6~C30)アリールボロニル、ジ(C1~C30)アルキルボロニル、(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールボロニル、(C6~C30)アリール(C1~C30)アルキル、及び(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールからなる群から選択される少なくとも1つ;好ましくは、(C1~C20)アルキル、非置換(C6~C25)アリール、及び非置換の若しくは(C6~C25)アリールで置換された(5~25員)ヘテロアリールからなる群から選択される少なくとも1つ;より好ましくは、(C1~C10)アルキル、非置換(C6~C18)アリール、及び(C6~C18)アリールで置換された(5~18員)ヘテロアリールからなる群から選択される少なくとも1つ;例えば、メチル、フェニル、ジフェニルトリアジニル、及びフェニルキノキサリニルからなる群から選択される少なくとも1つである。
【0032】
式1で表される化合物としては、以下の化合物が挙げられるが、それらに限定されない。
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
【化12】
【化13】
【化14】
【化15】
【化16】
【化17】
【0033】
本開示による式1の化合物は、当業者に公知の合成方法によって、例えば、以下の反応スキーム1~7に示されるように製造され得るが、それらに限定されない。
[反応スキーム1]
【化18】
[反応スキーム2]
【化19】
[反応スキーム3]
【化20】
[反応スキーム4]
【化21】
[反応スキーム5]
【化22】
[反応スキーム6]
【化23】
[反応スキーム7]
【化24】
【0034】
反応スキーム1~7において、X~X12、R、La、Ar、及びaは、式1において定義された通りであり;R、R11、及びR12は、式5及び6において定義された通りであり;Zは、Rについて定義されたものと同じものであり、OTfは、トリフルオロメタンスルホネートを表す。
【0035】
本開示は、式1で表される有機エレクトロルミネセント化合物を含み、少なくとも1つの他の有機エレクトロルミネセント化合物を更に含む、有機エレクトロルミネセントデバイス用の複合材料を提供し得る。例えば、本開示の有機エレクトロルミネセントデバイス用の複合材料は、式1で表される少なくとも1つの化合物と、以下の式11:
【化25】
(式中、
及びAは、それぞれ独立して、置換若しくは非置換(C6~C30)アリールを表し;
は、単結合、又は置換若しくは非置換(C6~C30)アリーレンを表し;
11~X26は、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、シアノ、置換若しくは非置換(C1~C30)アルキル、置換若しくは非置換(C2~C30)アルケニル、置換若しくは非置換(C2~C30)アルキニル、置換若しくは非置換(C3~C30)シクロアルキル、置換若しくは非置換(C6~C60)アリール、置換若しくは非置換(3~30員)ヘテロアリール、置換若しくは非置換トリ(C1~C30)アルキルシリル、置換若しくは非置換トリ(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは非置換ジ(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは非置換(C1~C30)アルキルジ(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは非置換のモノ-若しくはジ-(C1~C30)アルキルアミノ、又は置換若しくは非置換のモノ-若しくはジ-(C6~C30)アリールアミノを表すか;或いは隣接置換基と結合して置換若しくは非置換の、単環式若しくは多環式の、(C3~C30)脂環式環若しくは芳香環、又はそれらの組み合わせを形成し、ここで、脂環式環若しくは芳香環の炭素原子は、窒素、酸素、及び硫黄から選択される少なくとも1つのヘテロ原子で置き換えられてもよい)
で表される少なくとも1つの化合物とを含み得る。
【0036】
式11で表される化合物は、以下の式12~15:
【化26】
(式中、A、A、L、及びX11~X26は、式11において定義された通りである)
のいずれか1つで表されてもよい。
【0037】
式11~15において、A1及びA2は、それぞれ独立して、好ましくは、置換若しくは非置換(C6~C18)アリール;より好ましくは、非置換の若しくは(C1~C6)アルキル、(C6~C18)アリール、(5~20員)ヘテロアリール、若しくはトリ(C6~C12)アリールシリルで置換された(C6-C18)アリールを表す。具体的には、A及びAは、それぞれ独立して、置換若しくは非置換フェニル、置換若しくは非置換ビフェニル、置換若しくは非置換ターフェニル、置換若しくは非置換ナフチル、置換若しくは非置換フルオレニル、置換若しくは非置換ベンゾフルオレニル、置換若しくは非置換フェナントレニル、置換若しくは非置換アントラセニル、置換若しくは非置換インデニル、置換若しくは非置換トリフェニレニル、置換若しくは非置換ピレニル、置換若しくは非置換テトラセニル、置換若しくは非置換ペリレニル、置換若しくは非置換クリセニル、置換若しくは非置換フェニルナフチル、置換若しくは非置換ナフチルフェニル、及び置換若しくは非置換フルオランテニルからなる群から選択され得る。
【0038】
式11~15において、Lは、好ましくは、単結合、又は置換若しくは非置換(C6~C18)アリーレン;より好ましくは、単結合、又は非置換(C6~C18)アリーレンを表す。具体的には、Lは、単結合、置換若しくは非置換フェニレン、置換若しくは非置換ナフチレン、又は置換若しくは非置換ビフェニレンを表してもよい。
【0039】
式11~15において、X11~X26は、それぞれ独立して、好ましくは、水素、又は置換若しくは非置換(5~20員)ヘテロアリールを表すか;或いは隣接置換基と結合して置換若しくは非置換の、単環式若しくは多環式の、(C6~C12)脂環式環若しくは芳香環を形成し;より好ましくは、水素、又は非置換(5~20員)ヘテロアリールを表すか;或いは隣接置換基と結合して非置換の単環式若しくは多環式(C6~C12)芳香環を形成する。
【0040】
式11で表される化合物としては、以下の化合物が挙げられるが、それらに限定されない。
【化27】
【0041】
本開示の一実施形態によれば、有機エレクトロルミネセントデバイス用の複合材料に含まれる材料において、式1で表される化合物は、第1ホスト材料であり得、式11で表される化合物は、第2ホスト材料であり得る。本明細書において、第1及び第2ホスト材料は、1つの発光層に含まれ得、又は別々に、複数の発光層の異なるものに含まれ得る。本開示の有機エレクトロルミネセントデバイス用の複合材料は、1:99~99:1、好ましくは10:90~90:10、より好ましくは30:70~70:30の比での式1で表される化合物対式11で表される化合物を含み得る。また、式1で表される化合物及び式11で表される化合物は、振盪機においてそれらを混合することによって、ガラス管にそれらを入れ、熱でそれらを溶融させ、その後それらを集めることによって、又は溶媒にそれらを溶解させることによって所望の比の量で混合され得る。
【0042】
本開示は、式1で表される化合物、又は本開示の一実施形態による有機エレクトロルミネセントデバイス用の複合材料を含む有機エレクトロルミネセントデバイスを提供し得る。具体的には、有機エレクトロルミネセントデバイスは、式1で表される化合物を含み得、少なくとも1つの他の有機エレクトロルミネセント化合物を更に含み得る。例えば、有機エレクトロルミネセントデバイスは、式1で表される少なくとも1つの化合物と、式11で表される少なくとも1つの化合物とを含み得る。
【0043】
加えて、本開示は、式1の有機エレクトロルミネセント化合物を含む有機エレクトロルミネセント材料、及びこの材料を含む有機エレクトロルミネセントデバイスを提供し得る。有機エレクトロルミネセント材料は、唯一の化合物としての本開示の有機エレクトロルミネセント化合物からなり得、又は有機エレクトロルミネセント材料に一般に使用される従来の材料を更に含み得る。
【0044】
その一方で、本開示の有機エレクトロルミネセントデバイスは、第1電極、第2電極、及び第1電極と第2電極との間の少なくとも1つの有機層を含み得る。有機層は、式1の少なくとも1つの有機エレクトロルミネセント化合物を含み得る。有機層は、アリールアミン系化合物及びスチリルアリールアミン系化合物からなる群から選択される少なくとも1つの化合物を更に含み得る。また、有機層は、周期表の1族の金属、2族の金属、第4周期の遷移金属、第5周期の遷移金属、ランタニド、及びd-遷移元素の有機金属、又は金属を含む少なくとも1つの錯体化合物からなる群から選択される少なくとも1つの金属を更に含み得る。
【0045】
第1及び第2電極のうちの1つはアノードであり得、他はカソードであり得る。有機層は、発光層を含み得、正孔注入層、正孔輸送層、正孔補助層、発光補助層、電子輸送層、電子注入層、中間層、正孔阻止層、電子阻止層、及び電子緩衝層から選択される少なくとも1つの層を更に含み得る。
【0046】
本開示は、アノードと発光層との間に正孔輸送帯を含み得、正孔輸送帯は、正孔注入層、正孔輸送層、正孔補助層、発光補助層及び電子阻止層の少なくとも1つを含み得る。正孔注入層、正孔輸送層、正孔補助層、発光補助層及び電子阻止層は、それぞれ、単層又は2つ以上の層がスタックされている複数の層であり得る。正孔注入層は、アノードから正孔輸送層又は電子阻止層への正孔注入障壁(又は正孔注入電圧)を下げるために多層であり得、ここで、多層のそれぞれは、2つの化合物を同時に使用し得る。電子阻止層は、正孔輸送層(又は正孔注入層)と発光層との間に配置され得、発光層からの電子のオーバーフローを阻止することによって励起子を発光層内に閉じ込めて発光漏れを防止することができる。
【0047】
加えて、正孔輸送帯は、p型トープ正孔注入層、正孔輸送層、及び発光補助層を含み得る。本明細書において、p型ドープ正孔注入層は、p型ドーパントでドープされた正孔注入層を意味する。p型ドーパントは、p型半導体特性を付与することができる材料である。p型半導体特性は、HOMOエネルギー準位で正孔を注入する又は輸送する特性、すなわち、高い正孔伝導度を有する材料の特性を意味する。
【0048】
本開示は、発光層とカソートとの間に電子輸送帯を含み得る。電子輸送帯は、正孔阻止層、電子輸送層、電子緩衝層及び電子注入層の少なくとも1つを含み得る。正孔阻止層、電子輸送層、電子緩衝層、及び電子注入層は、それぞれ、単層又は2つ以上の層がスタックされている複数の層であり得る。電子緩衝層は、電子の注入を制御し、且つ、発光層と電子注入層との間の界面特性を改善するために多層であり得、ここで、多層のそれぞれは、2つの化合物を同時に使用し得る。正孔阻止層又は電子輸送層はまた、多層であり得、ここで、各層は、複数の化合物を使用し得る。
【0049】
発光補助層は、アノードと発光層との間、又はカソードと発光層との間に配置され得る。発光補助層がアノードと発光層との間に配置される場合、それは、正孔注入及び/若しくは正孔輸送を促進するために、又は電子のオーバーフローを防止するために使用することができる。発光補助層がカソードと発光層との間に配置される場合、それは、電子注入及び/若しくは電子輸送を促進するために、又は正孔のオーバーフローを防止するために使用することができる。また、正孔補助層は、正孔輸送層(又は正孔注入層)と発光層との間に配置され得、正孔輸送速度(又は正孔注入速度)を促進する又は阻止するのに有効であり得、それによって電荷のバランスが制御されるのを可能にする。有機エレクトロルミネセントデバイスが2つ以上の正孔輸送層を含む場合、更に含まれる正孔輸送層は、正孔補助層又は電子阻止層として使用され得る。発光補助層、正孔補助層又は電子阻止層は、有機エレクトロルミネセントデバイスの効率及び/又は寿命を向上させる効果を有し得る。
【0050】
本開示の有機エレクトロルミネセントデバイスにおいて、好ましくは、カルコゲナイド層、金属ハロゲン化物層、及び金属酸化物層から選択される少なくとも1つの層(本明細書では以下、「表面層」)が、1つの又は両方の電極の内面上に配置され得る。具体的には、シリコン又はアルミニウムのカルコゲナイド(酸化物を含む)層が、エレクトロルミネセント媒体層のアノード表面上に好ましくは配置され、金属ハロゲン化物層又は金属酸化物層が、エレクトロルミネセント媒体層のカソード表面上に好ましくは配置される。有機エレクトロルミネセントデバイスについての動作安定性は、表面層によって得られ得る。好ましくは、カルコゲナイドとしては、SiO(1≦X≦2)、AlO(1≦X≦ 1.5)、SiON、SiAlON等が挙げられ;ハロゲン化金属としては、LiF、MgF、CaF、希土類金属フッ化物等が挙げられ;金属酸化物としては、CsO、LiO、MgO、SrO、BaO、CaO等が挙げられる。
【0051】
本開示の有機エレクトロルミネセントデバイスにおいて、電子輸送化合物と還元性ドーパントとの混合領域、又は正孔輸送化合物と酸化性ドーパントとの混合領域は、一対の電極の少なくとも1つの表面上に配置され得る。この場合、電子輸送化合物はアニオンに還元され、こうして混合領域からエレクトロルミネセント媒体へ電子を注入する及び輸送することがより容易になる。更に、正孔輸送化合物はカチオンに酸化され、こうして混合領域からエレクトロルミネセント媒体へ正孔を注入する及び輸送することがより容易になる。好ましくは、酸化性ドーパントは、種々のルイス酸及びアクセプター化合物を含み、還元性ドーパントは、アルカリ金属、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属、希土類金属、及びそれらの混合物を含む。還元性ドーパント層を電荷発生層として用いて、2つ以上の発光層を有し、白色光を発する有機エレクトロルミネセントデバイスを調製し得る。
【0052】
式1で表される有機エレクトロルミネセント化合物は、発光層に含まれ得る。発光層に使用される場合、式1の有機エレクトロルミネセント化合物は、ホスト材料として含まれ得る。好ましくは、発光層は、少なくとも1つのドーパントを更に含み得る。必要に応じて、式1の有機エレクトロルミネセント化合物に加えて別の化合物が、第2ホスト材料として更に含まれ得る。本明細書において、第1ホスト材料対第2ホスト材料の重量比は、1:99~99:1の範囲にある。
【0053】
第2ホスト材料は、公知のリン光性ホストのいずれかを使用することができる。発光効率の観点から、第2ホスト材料は、式11で表される化合物を好ましくは使用し得るが、それに限定されない。
【0054】
本開示の有機エレクトロルミネセントデバイスに含まれるドーパントは、少なくとも1つのリン光性又は蛍光性ドーパントであり得、好ましくは少なくとも1つのリン光性ドーパントである。本開示の有機エレクトロルミネセントデバイスに適用されるリン光性ドーパント材料は、特に限定されないが、好ましくは、イリジウム(Ir)、オスミウム(Os)、銅(Cu)、及び白金(Pt)の金属化錯体化合物から選択され得、より好ましくは、イリジウム(Ir)、オスミウム(Os)、銅(Cu)、及び白金(Pt)のオルト金属化錯体化合物から選択され得、更により好ましくはオルト金属化イリジウム錯体化合物であり得る。
【0055】
本開示の有機エレクトロルミネセントデバイスに含まれるドーパントは、以下の式101で表される化合物を含み得るが、それに限定されない。
【化28】
【0056】
式101において、Lは、次の構造1及び2:
【化29】
から選択され、
100~R103、及びR104~R107は、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、非置換の若しくは重水素若しくはハロゲンで置換された(C1~C30)アルキル、置換若しくは非置換(C3~C30)シクロアルキル、置換若しくは非置換(C6~C30)アリール、シアノ、置換若しくは非置換(3~30員)ヘテロアリール、又は置換若しくは非置換(C1~C30)アルコキシを表すか;或いはR100~R103は、隣接するR100~R103と結合して置換若しくは非置換の縮合環を形成してもよく、例えば、置換若しくは非置換の、キノリン、ベンゾフロピリジン、ベンゾチエノピリジン、インデノピリジン、ベンゾフロキノリン、ベンゾチエノキノリン又はインデノキノリン環を形成してもよく;R104~R107は、隣接するR104~R107と結合して置換若しくは非置換の縮合環、例えば、置換若しくは非置換の、ナフチル、フルオレン、ジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、インデノピリジン、ベンゾフロピリジン又はベンゾチエノピリジン環を形成してもよく;
201~R211は、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、非置換の若しくは重水素若しくはハロゲンで置換された(C1~C30)アルキル、置換若しくは非置換(C3~C30)シクロアルキル、又は置換若しくは非置換(C6~C30)アリールを表すか;或いは隣接するR201~R211と結合して置換若しくは非置換の縮合環を形成してもよく;
nは、1~3の整数を表す。
【0057】
ドーパント化合物の具体的な例は、以下の通りであるが、それらに限定されない。
【化30】
【化31】
【化32】
【0058】
本開示の有機エレクトロルミネセントデバイスの各層を形成するために、真空蒸着、スパッタリング、プラズマ、イオンプレーティング方法等などの乾式膜形成法、又はインクジェット印刷、ノズル印刷、スロットコーティング、スピンコーティング、ディップコーティング、フローコーティング方法等などの湿式膜形成法を用いることができる。本開示の第1及び第2ホスト化合物は、共蒸着法又は混合蒸着法によって膜形成され得る。
【0059】
湿式膜形成法を用いる場合、各層を形成する材料を、エタノール、クロロホルム、テトラヒドロフラン、ジオキサン等などの任意の好適な溶媒へ溶解させる又は拡散させることによって薄膜を形成することができる。各層を形成する材料を溶解させる又は拡散させることができる場合、及び膜形成能力に問題がない場合、溶媒は、任意の溶媒であり得る。
【0060】
また、本開示の有機エレクトロルミネセントデバイスは、ディスプレイデバイス又は照明デバイスの製造のために使用することができる。
【0061】
また、本開示の有機エレクトロルミネセントデバイスを用いることによって、ディスプレイシステム、例えば、スマートフォン、タブレット、ノートブック、PC、TV、若しくは自動車用のディスプレイシステム;又は、照明システム、例えば、屋外若しくは屋内の照明システムを製造することができる。
【0062】
本明細書では以下、本開示の化合物の調製方法、及びその特性が、本開示の代表的な化合物に関して詳細に説明される。しかしながら、本開示は、以下の実施例によって限定されない。
【実施例
【0063】
実施例1:化合物C-8の調製
【化33】
化合物1の合成
70gの2-ニトロ-1-ナフトール(370ミリモル)及び4.5gの4-(ジメチルアミノ)ピリジン(DMAP)(37ミリモル)を、フラスコ中の1800mLの塩化メチレン(MC)に溶解させた。62mLのトリエチルアミン(TEA)(444ミリモル)を0℃で滴加し、20分間攪拌した。125.3gのトリフルオロメタンスルホン酸無水物(444ミリモル)を同じ温度で反応物にゆっくり滴加し、1時間攪拌した。反応が完了した後、有機層をMCで抽出し、硫酸マグネシウムを使用することによって残存水を除去した。残渣を乾燥させ、カラムクロマトグラフィーによって精製して96.2gの化合物1(収率:81%)を得た。
【0064】
化合物2の合成
96.2gの化合物1(299ミリモル)、72.1gの2-ブロモフェニルボロン酸(359ミリモル)、17.3gのテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(15ミリモル)、及び79.3gの炭酸ナトリウム(749ミリモル)を、フラスコ中の1400mLのトルエン、350mLのエタノール、及び350mLの水に溶解させ、1時間還流させた。反応が完了した後、有機層を酢酸エチルで抽出し、硫酸マグネシウムを使用することによって残存水を除去した。残渣を乾燥させ、カラムクロマトグラフィーによって精製して98gの化合物2(収率:99%)を得た。
【0065】
化合物3の合成
98gの化合物2(299ミリモル)、78.5gの2-アミノフェニルボロン酸ピナコールエステル(358ミリモル)、17.2gのテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(15ミリモル)、及び103gの炭酸カリウム(747ミリモル)を、フラスコ中の1300mLのトルエン、350mLのエタノール及び350mLの水に溶解させ、20時間還流させた。反応が完了した後、有機層を酢酸エチルで抽出し、硫酸マグネシウムを使用することによって残存水を除去した。残渣を乾燥させ、カラムクロマトグラフィーによって精製して54gの化合物3(収率:53%)を得た。
【0066】
化合物4の合成
25gの化合物3(73ミリモル)を、フラスコ中の250mLの酢酸及び25mLの硫酸に溶解させ、6.5gの亜硝酸ナトリウム(95ミリモル)を0℃でゆっくり滴加し、40分間攪拌した。反応が完了した後、反応生成物を水に滴加し、濾過して水を除去した。残渣を乾燥させ、カラムクロマトグラフィーによって精製して2gの化合物4(収率:8.4%)を得た。
【0067】
化合物5の合成
4.7gの化合物4(15ミリモル)を、フラスコ中の48mLのトリエチルホスファイト及び48mLの1,2-ジクロロベンゼンに溶解させ、3時間還流させた。反応が完了した後、減圧下での蒸留後に有機層を酢酸エチルで抽出し、硫酸マグネシウムを使用することによって残存水を除去した。残渣を乾燥させ、カラムクロマトグラフィーによって精製して2.7gの化合物5(収率:63%)を得た。
【0068】
化合物C-8の合成
2.1gの化合物5(7ミリモル)、3.1gの2-(3-ブロモフェニル)-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン(8ミリモル)、0.81gの酢酸パラジウム(II)(0.36ミリモル)、0.3gの2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,6’-ジメトキシビフェニル(S-Phos)(0.7ミリモル)、及び1.7gのナトリウムtert-ブトキシド(18ミリモル)を、フラスコ中の72mLの1,2-キシレンに溶解させ、4時間還流させた。反応が完了した後、減圧下での蒸留後に有機層を酢酸エチルで抽出し、硫酸マグネシウムを使用することによって残存水を除去した。残渣を乾燥させ、カラムクロマトグラフィーによって精製して2.5gの化合物C-8(収率:58%)を得た。
【0069】
【表1】
【0070】
実施例2:化合物C-301の調製
【化34】
5.0gの化合物5(17ミリモル)、7.08gの2-([1,1’-ビフェニル]-4-イル)-4-クロロ-6-フェニル-1,3,5-トリアジン(21ミリモル)、105mgのDMAP(0.858ミリモル)、及び7.1gの炭酸カリウム(51ミリモル)を、フラスコ中の85mLのジメチルホルムアミド(DMF)に溶解させ、3時間還流させた。反応が完了した後、減圧下での蒸留後に有機層を酢酸エチルで抽出し、硫酸マグネシウムを使用することによって残存水を除去した。残渣を乾燥させ、カラムクロマトグラフィーによって精製して4.8gの化合物C-301(収率:47%)を得た。
H NMR(600MHz,CDCl3)9.09-9.07(d,J=12Hz,1H),8.93-8.91(d,J=12Hz,1H),8.74-8.73(d,J=6Hz,2H),8.71-8.69(d,J=12Hz,2H),7.80-7.75(m,6H),7.73-7.69(m,3H),7.64-7.57(m,3H),7.52-7.38(m,8H)
【0071】
【表2】
【0072】
実施例3:化合物C-10の調製
【化35】
5.0gの化合物5(17ミリモル)、11.28gの2-(4-ブロモナフタレン-1-イル)-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン)(21ミリモル)、625mgのトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(0.686ミリモル)、565mgのS-Phos(1ミリモル)、及び4.9gのナトリウムtert-ブトキシド(51ミリモル)を、フラスコ中の100mLのo-キシレンに溶解させ、3時間還流させた。反応が完了した後、減圧下での蒸留後に有機層を酢酸エチルで抽出し、硫酸マグネシウムを使用することによって残存水を除去した。残渣を乾燥させ、カラムクロマトグラフィーによって精製して3.6gの化合物C-10(収率:32%)を得た。
H NMR(600MHz,CDCl3)9.25-9.24(d,J=6Hz,1H),8.85-8.83(sd,J=12Hz,4H),8.68-8.67(d,J=6Hz,1H),7.94-7.92(m,1H),7.82-7.79(m,3H),7.74-7.61(m,10H),7.49-7.42(m,5H),7.31-7.29(t,J=6Hz,1H),7.16-7.15(d,J=6Hz,1H),6.96-6.94(d,J=12Hz,1H)
【0073】
【表3】
【0074】
実施例4:化合物C-7の調製
【化36】
5gの化合物5(17.1ミリモル)、5.5gの2-クロロ-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン(20.5ミリモル)、0.1gのDMAP(0.85ミリモル)、及び7.1gの炭酸カリウム(51.4ミリモル)を、フラスコ中の85mLのDMFに溶解させ、3時間還流させた。反応が完了した後、反応生成物を冷却し、メタノール及び水をそれに添加し、混合物を濾過した。残渣を乾燥させ、カラムクロマトグラフィーによって精製して4.4gの化合物C-7(収率:49%)を得た。
H NMR(600MHz,CDCl3)9.13-9.11(d,J=12Hz,1H),8.97-8.95(d,J=12Hz,1H),8.75-8.73(d,J=12Hz,4H),7.83-7.75(m,5H),7.64-7.59(m,6H),7.54-7.51(m,3H),7.48-7.45(t,J=12Hz,3H),7.40-7.39(m,2H)
【0075】
【表4】
【0076】
実施例5:化合物C-302の調製
【化37】
4.5gの化合物5(15.4ミリモル)、5.4gの2-クロロ-4-(ナフタレン-2-イル)キナゾリン(18.5ミリモル)、0.09gのDMAP(0.7ミリモル)、及び6.4gの炭酸カリウム(46.3ミリモル)を、フラスコ中の77mLのDMFに溶解させ、1.5時間還流させた。反応が完了した後、反応生成物を濾過し、乾燥させ、カラムクロマトグラフィーによって精製して7.5gの化合物C-302(収率:80%)を得た。
H NMR(600MHz,CDCl3)9.03-9.02(d,J=6Hz,1H),8.88-8.86(d,J=12Hz,1H),8.39(s,1H),8.22-8.21(d,J=6Hz,1H),8.20-8.17(d,J=18Hz,1H),8.15-8.05(m,2H),8.00-7.98(t,J=6Hz,2H),7.91-7.89(m,1H),7.76-7.72(m,5H),7.63-7.61(m,2H),7.54-7.52(m,2H),7.43-7.36(m,4H)
【0077】
【表5】
【0078】
実施例6:化合物C-9の調製
【化38】
5.0gの化合物5(17.16ミリモル)、6.6gの2-(4-ブロモフェニル)-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン(17.16ミリモル)、0.6gのトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(0.686ミリモル)、0.7gのS-Phos(1.176ミリモル)、及び4.0gのナトリウムtert-ブトキシド(42.9ミリモル)を、フラスコ中の90mLのo-キシレンに溶解させ、4時間還流させた。反応が完了した後、減圧下での蒸留後に有機層を酢酸エチルで抽出し、硫酸マグネシウムを使用することによって残存水を除去した。残渣を乾燥させ、カラムクロマトグラフィーによって精製して6.2gの化合物C-9(収率:62%)を得た。
H NMR(600MHz,CDCl3,δ)9.06-9.05(d,J=6.0Hz,2H),8.85-8.83(d,J=12Hz,4H),7.90-7.89(m,1H),7.82-7.78(m,4H),7.74-7.72(m,2H),7.66-7.58(m,8H),7.45-7.43(m,3H),7.42-7.39(m,2H)
【0079】
【表6】
【0080】
実施例7:化合物C-303の調製
【化39】
4.3gの化合物5(14.83ミリモル)、4.7gの6-クロロ-2,4-ジフェニルキナゾリン(14.83ミリモル)、0.5gのPd(dba)(0.593ミリモル)、0.6gのS-Phos(1.483ミリモル)、及び3.6gのナトリウムtert-ブトキシド(37.07ミリモル)を、フラスコ中の80mLのo-キシレンに溶解させ、4時間還流させた。反応が完了した後、減圧下での蒸留後に有機層を酢酸エチルで抽出し、硫酸マグネシウムを使用することによって残存水を除去した。残渣を乾燥させ、カラムクロマトグラフィーによって精製して1.8gの化合物C-303(収率:21%)を得た。
H NMR(600MHz,CDCl,δ)8.74-8.73(d,J=6.0Hz,2H),8.37-8.36(d,J=6.0Hz,1H),8.28-8.27(d,J=6.0Hz,1H),8.05-8.04(d,J=6.0Hz,1H),7.89-7.88(d,J=6.0Hz,2H),7.85-7.83(m,1H),7.75-7.73(d,J=12Hz,2H),7.69-7.67(m,2H),7.57-7.50(m,7H),7.42-7.37(m,4H),7.34-7.31(m,1H),7.22-7.21(m,1H)
【0081】
【表7】
【0082】
実施例8:化合物C-307の調製
【化40】
5.4gの化合物5(18.53ミリモル)、4.5gの2-クロロ-3-ナフチルキノキサリン(15.44ミリモル)、2.1gの炭酸カリウム(15.44ミリモル)、及び0.9gのDMAP(7.72ミリモル)を、フラスコ中の80mLのDMFに溶解させ、4時間還流させた。反応が完了した後、反応生成物を室温まで冷却し、蒸留水をそれに添加した。有機層をMCで抽出し、硫酸マグネシウムを使用することによって残存水を除去した。残渣を減圧下で蒸留し、カラムクロマトグラフィーによって精製して2.3gの化合物C-307(収率:47%)を得た。
H NMR(600MHz,CDCl3,δ)8.36-8.34(d,J=6.0Hz,1H),8.23(s,1H),8.17-8.16(d,J=6.0HZ,1H),7.90-7.86(m,3H),7.73-7.71(d,J=12Hz,1H),7.68-7.63(m,4H),7.50-7.48(m,2H),7.40-7.35(m,6H),7.32-7.24(m,2H)
【0083】
【表8】
【0084】
実施例9:化合物C-13の調製
【化41】
4.0gの化合物5(13.73ミリモル)、4.0gの2-クロロ-3-フェニルキノキサリン(16.47ミリモル)、3.8gの炭酸カリウム(27.46ミリモル)、及び0.84gのDMAP(6.87ミリモル)を、フラスコ中の68mLのDMFに溶解させ、18時間還流させた。反応が完了した後、反応生成物を室温まで冷却し、蒸留水をそれに添加した。有機層をMCで抽出し、硫酸マグネシウムを使用することによって残存水を除去した。残渣を減圧下で蒸留し、カラムクロマトグラフィーによって精製して2.3gの化合物C-13(収率:33.8%)を得た。
H NMR(600MHz,CDCl3,δ)8.32-8.30(m,1H),8.16-8.15(m,1H),7.89-7.83(m,3H),7.73(d,J=7.38Hz,1H),7.69-7.68(m,2H),7.60-7.54(m,2H),7.50(d,J=9.00Hz,1H),7.42-7.37(m,3H),7.29-7.27(m,3H),7.21-7.15(m,4H)
【0085】
【表9】
【0086】
実施例10:化合物C-304の調製
【化42】
化合物10-1の合成
9gの化合物5(30.89ミリモル)、10.6gの1-ブロモ-3-ヨードベンゼン(61.78ミリモル)、3gのCuI(15.44ミリモル)、1.8gのEDA(30.89ミリモル)、及び16.4gのKPO(77.22ミリモル)を、155mLのトルエンに添加し、1日間還流下で攪拌した。反応が完了した後、反応生成物を室温まで冷却し、結果として生じた固体を減圧下で濾過した。固体をCHClに溶解させ、MC/Hexを使用するカラムクロマトグラフィーによって精製して10gの化合物10-1(収率:75%)を得た。
【0087】
化合物C-304の合成
5.7gの化合物10-1(12.77ミリモル)、0.73gのPd(PPh(0.638ミリモル)、及び3.5gのKCO(25.54ミリモル)を、50mLのトルエン、13mLのEtOH、及び13mLの精製水に添加し、2時間還流下で攪拌した。反応が完了した後、反応生成物を室温まで冷却し、結果として生じた固体を減圧下で濾過した。固体をCHClに溶解させ、MC/Hexを使用するカラムクロマトグラフィーによって精製して2.9gの化合物C-304(収率:43%)を得た。
H NMR(600MHz,DMSO-d6,δ)8.232-8.206(m,3H),8.111-8.098(d,1H),7.962-7.946(m,1H),7.929-7.903(m,3H),7.896-7.882(d,1H),7.806-7.802(d,2H),7.783-7.759(t,2H),7.738-7.723(d,1H),7.635-7.620(m,1H),7.581-7.548(m,2H),7.513-7.440(m,6H)
【0088】
【表10】
【0089】
実施例11:化合物C-306の調製
【化43】
5.0gの化合物10-1(11.2ミリモル)、3.0gのN-フェニル-[1,1’-ビフェニル]-4-アミン(12.3ミリモル)、0.51gのPd(dba)(0.56ミリモル)、0.46gのS-Phos(1.12ミリモル)、及び2.7gのナトリウムtert-ブトキシド(28ミリモル)を、フラスコ中の60mLのトルエンに添加し、4時間還流させた。反応が完了した後、減圧下での蒸留後に有機層を酢酸エチルで抽出し、硫酸マグネシウムを使用することによって残存水を除去した。残渣を乾燥させ、カラムクロマトグラフィーによって精製して2.3gの化合物C-306(収率:34%)を得た。
H NMR(600MHz,DMSO-d6,δ)7.896-7.880(m,1H),7.863-7.850(d,1H),7.805-7.790(d,1H),7.758-7.745(d,1H),7.733-7.720(d,1H),7.669-7.650(m,2H),7.640-7.627(d,1H),7.604-7.566(m,2H),7.522-7.507(d,1H),7.447-7.384(m,7H),7.373-7.347(t,1H),7.335-7.311(t,1H),7.269-7.237(m,6H),7.175-7.156(d,1H),7.147-7.122(t,1H),7.069-7.062(t,1H)
【0090】
【表11】
【0091】
実施例12:化合物C-333の調製
【化44】
2.6gの化合物12(7.6ミリモル)、2.95gの2-(3-ブロモフェニル)-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン(7.6ミリモル)、0.27gのトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(0.3ミリモル)、0.3gの2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,6’-ジメトキシビフェニル(0.7ミリモル)、及び1.8gのナトリウムtert-ブトキシド(19ミリモル)を、フラスコ中の50mLの1,2-ジメチルベンゼンに溶解させ、12時間還流させた。反応が完了した後、減圧下での蒸留後に有機層を酢酸エチルで抽出し、硫酸マグネシウムを使用することによって残存水を除去した。残渣を乾燥させ、カラムクロマトグラフィーによって精製して1.9gの化合物C-333(収率:38%)を得た。
H NMR(600MHz,DMSO-d6,δ)9.086-9.072(d,1H),8.887-8.882(t,1H),8.821-8.807(d,1H),8.714-8.699(d,4H),8.676-8.663(d,1H),8.014-7.988(t,1H),7.883-7.833(m,3H),7.781-7.768(d,1H),7.691-7.665(t,2H),7.640-7.575(m,6H),7.540-7.485(m,3H),7.399-7.343(m,3H),6.982-6.968(d,1H)
【0092】
【表12】
【0093】
実施例13:化合物C-372の調製
【化45】
化合物13-1の合成
70gの化合物5(240モル)、及び40.6gのN-ブロモスクシンイミド(255ミリモル)を、フラスコ中の1200mLのジメチルホルムアミドに溶解させ、0℃で3時間攪拌した。反応が完了した後、有機層を酢酸エチルで抽出し、硫酸マグネシウムを使用することによって残存水を除去した。残渣を乾燥させ、カラムクロマトグラフィーによって精製して68gの化合物13-1(収率:76%)を得た。
【0094】
化合物13-2の合成
47.3gの化合物13-1(127ミリモル)、42gのビス(ピナコラト)ジボロン(166ミリモル)、4.5gのビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(6.4ミリモル)、及び25gの酢酸カリウム(255ミリモル)を、フラスコ中の635mLの1,4-ジオキサンに溶解させ、4時間還流させた。反応が完了した後、減圧下での蒸留後に有機層を酢酸エチルで抽出し、硫酸マグネシウムを使用することによって残存水を除去した。残渣を乾燥させ、カラムクロマトグラフィーによって精製して31.5gの化合物13-2(収率:59%)を得た。
【0095】
化合物13-3の合成
4.5gの化合物13-2(10.7ミリモル)、1.9gの1-ブロモベンゼン(11.85ミリモル)、0.63gのテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.54ミリモル)、及び3.7gの炭酸カリウム(26.95ミリモル)を、フラスコ中の54mLのトルエン、13mLのエタノール、及び13mLの水に溶解させ、12時間還流させた。反応が完了した後、有機層を酢酸エチルで抽出し、硫酸マグネシウムを使用することによって残存水を除去した。残渣を乾燥させ、カラムクロマトグラフィーによって精製して2.2gの化合物13-3(収率:56%)を得た。
【0096】
化合物C-372の合成
2.2gの化合物13-3(5.9ミリモル)、1.58gの2-クロロ-3-フェニルキノキサリン(6.57ミリモル)、3.89gの炭酸セシウム(11.96ミリモル)、及び0.36gの4-ジメチルアミノピリジン(2.99ミリモル)を、フラスコ中の30mLのジメチルスルホキシドに溶解させ、100℃で4時間攪拌した。反応が完了した後、反応生成物を室温まで冷却し、蒸留水をそれに添加した。有機層を酢酸エチルで抽出し、硫酸マグネシウムを使用することによって残存水を除去した。残渣を乾燥させ、カラムクロマトグラフィーによって精製して2.9gの化合物C-372(収率:85%)を得た。
【0097】
【表13】
【0098】
実施例14:化合物C-334の調製
【化46】
化合物14-1の合成
27gの化合物13-2(64.7ミリモル)、14.4gの1-ブロモ-2-ニトロベンゼン(71.2ミリモル)、3.7gのテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(3.2ミリモル)、及び22.4gの炭酸カリウム(162ミリモル)を、フラスコ中の320mLのトルエン、80mLのエタノール、及び80mLの水に溶解させ、12時間還流させた。反応が完了した後、有機層を酢酸エチルで抽出し、硫酸マグネシウムを使用することによって残存水を除去した。残渣を乾燥させ、カラムクロマトグラフィーによって精製して26.7gの化合物14-1(収率:100%)を得た。
【0099】
化合物14-2の合成
26.7gの化合物14-1(64.7ミリモル)、18mLの1-ヨードベンゼン(162ミリモル)、18.5gのヨウ化銅(CuI)(97ミリモル)、13mLのエチレンジアミン(194ミリモル)、及び27.4gのリン酸カリウム(129ミリモル)を、フラスコ中の325mLのトルエンに溶解させ、2時間還流させた。反応が完了した後、有機層を酢酸エチルで抽出し、硫酸マグネシウムを使用することによって残存水を除去した。残渣を乾燥させ、カラムクロマトグラフィーによって精製して15.7gの化合物14-2(収率:49%)を得た。
【0100】
化合物14-3の合成
13.1gの化合物14-2(26.8ミリモル)を、フラスコ中の180mLのトリエチルホスファイト及び180mLの1,2-ジクロロベンゼンに添加し、200℃で2時間攪拌した。反応が完了した後、溶媒を減圧下で留去し、反応生成物を室温まで冷却し、ヘキサンをそれに添加して固体を得た。結果として生じた固体を、フィルターを通して濾過して溶媒を除去し、カラムクロマトグラフィーによって精製して0.71gの化合物14-3(収率:5.8%)を得た。
【0101】
化合物C-334の合成
0.71gの化合物14-3(1.56ミリモル)、0.45gの2-クロロ-3-フェニルキノキサリン(1.87ミリモル)、1.01gの炭酸セシウム(3.12ミリモル)、及び0.095gの4-ジメチルアミノピリジン(0.78ミリモル)を、フラスコ中の30mLのジメチルスルホキシドに溶解させ、100℃で4時間攪拌した。反応が完了した後、反応生成物を室温まで冷却し、蒸留水及びメタノールをそれに添加した。結果として生じた固体を、フィルターを通して濾過して溶媒を除去し、カラムクロマトグラフィーによって精製して0.50gの化合物C-334(収率:49%)を得た。
H NMR(600MHz,CDCl3,δ)8.333-8.248(m,3H),8.192-8.099(m,1H),7.911-7.820(m,3H),7.767-7.754(d,1H),7.613-7.526(m,5H),7.488-7.410(m,4H),7.395-7.347(m,3H),7.329-7.296(m,2H),7.230-7.205(m,2H),7.179-7.153(m,1H),7.130-7.075(m,1H),7.056-7.030(m,1H),6.874-6.688(m,1H)
【0102】
【表14】
【0103】
実施例15:化合物C-197の調製
【化47】
化合物15-1の合成
40gの化合物13-1(108ミリモル)、25.4gの(2-メチルチオフェニル)ボロン酸(153.5ミリモル)、6.26gのテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(5.40ミリモル)、及び26.3gの炭酸カリウム(272.0ミリモル)を、フラスコ中の536mLのテトラヒドロフラン及び134mLの蒸留水に溶解させ、100℃で18時間還流させた。反応が完了した後、有機層を酢酸エチルで抽出し、硫酸マグネシウムを使用することによって残存水を除去した。残渣を乾燥させ、カラムクロマトグラフィーによって精製して40gの化合物15-1(収率:89%)を得た。
【0104】
化合物15-2の合成
40gの化合物15-1(96.8ミリモル)を、フラスコ中の400mLのテトラヒドロフラン、200mLの酢酸及び12.6mLの34.5%過酸化水素(145.2ミリモル)に溶解させ、室温で20時間攪拌した。反応が完了した後、混合物を濃縮し、有機層を塩化メチレン及び炭酸水素ナトリウムの水溶液で抽出し、次に硫酸マグネシウムを使用することによって残存水を除去した。残渣を乾燥させ、カラムクロマトグラフィーによって精製して42gの化合物15-2(収率:100%)を得た。
【0105】
化合物15-3の合成
42gの化合物15-2(96.4ミリモル)を、190mLのトリフルオロメタンスルホン酸に溶解させ、室温で3日間攪拌した。反応が完了した後、50mLのピリジン及び1MのNaOH水溶液を0℃で混合物に添加してpHを7~8に調整し、混合物を100℃で1時間還流させた。結果として生じた固体を、フィルターを通して濾過して溶媒を除去し、カラムクロマトグラフィーによって精製して9.1gの化合物15-3(収率:24%)を得た。
【0106】
化合物C-197の合成
4gの化合物15-3(10.1ミリモル)、3gの2-クロロ-3-フェニルキノキサリン(12.1ミリモル)、6.6gの炭酸セシウム(20.2ミリモル)、及び0.62gの4-ジメチルアミノピリジン(5.1ミリモル)を、フラスコ中の50mLのジメチルスルホキシドに溶解させ、100℃で4時間攪拌した。反応が完了した後、反応生成物を室温まで冷却し、蒸留水及びメタノールをそれに添加した。結果として生じた固体を、フィルターを通して濾過して溶媒を除去し、カラムクロマトグラフィーによって精製して4.8gの化合物C-197(収率:79%)を得た。
H NMR(600MHz,CDCl,δ)8.337-8.310(m,1H),8.247-8.202(m,1H),8.196-8.151(m,1H),7.957-7.945(m,1H),7.928(s,1H),7.912-7.837(m,3H),7.794-7.728(m,3H),7.685-7.672(d,1H),7.531-7.498(m,1H),7.469-7.414(m,2H),7.348-7.300(m,2H),7.262-7.173(m,4H),7.102-7.087(d,1H),7.036-6.955(m,1H)
【0107】
【表15】
【0108】
実施例16:化合物C-339の調製
【化48】

化合物16-1の合成
15.6gの化合物5(53.5ミリモル)、20gの2,3-ジクロロベンゾ[f]キノキサリン(80.3ミリモル)、15gの炭酸カリウム(107.0ミリモル)、及び3.3gのN,N-ジメチル-4-ピリジンアミン(26.7ミリモル)を、270mLのN,N-ジメチルホルムアミドに添加し、150℃で4時間攪拌した。反応が完了した後、反応生成物を室温まで冷却し、溶媒をロータリーエバポレーターによって除去した。残渣をカラムクロマトグラフィーによって精製して2.2gの化合物16-1(収率:8%)を得た。
【0109】
化合物C-339の合成
2.2gの化合物16-1(4.4ミリモル)、800mgのフェニルボロン酸(6.6ミリモル)、250mgのテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0.2ミリモル)、1.2gの炭酸ナトリウム(10.9ミリモル)、20mLのトルエン、及び5mLのエタノールを、反応容器に添加し、混合物を130℃で3時間攪拌した。反応が完了した後、反応生成物を室温まで冷却し、溶媒をロータリーエバポレーターによって除去した。残渣をカラムクロマトグラフィーによって精製して1.8gの化合物C-339(収率:76%)を得た。
H NMR(600MHz,CDCl,δ)9.403-9.390(d,1H),8.119-8.105(d,1H),8.012-7.997(d,1H),7.994-7.979(d,1H),7.867-7.851(m,1H),7.847-7.822(td,1H),7.815-7.788(td,1H),7.734-7.722(d,1H),7.686-7.656(m,4H),7.600-7.585(m,1H),7.509-7.494(d,1H),7.404-7.389(m,2H),7.385-7.359(t,1H),7.295-7.264(m,2H),7.250-7.219(t,1H),7.208-7.182(m,3H)
【0110】
【表16】
【0111】
実施例17:化合物C-338の調製
【化49】
化合物17-1の合成
15.6gの化合物5(53.5ミリモル)、20gの2,3-ジクロロベンゾ[f]キノキサリン(80.3ミリモル)、15gの炭酸カリウム(107.0ミリモル)、及び3.3gのN,N-ジメチル-4-ピリジンアミン(26.7ミリモル)を、270mLのN,N-ジメチルホルムアミドに添加し、150℃で4時間攪拌した。反応が完了した後、反応生成物を室温まで冷却し、溶媒をロータリーエバポレーターによって除去した。残渣をカラムクロマトグラフィーによって精製して2.8gの化合物17-1(収率:10%)を得た。
【0112】
化合物C-338の合成
2.7gの化合物17-1(5.4ミリモル)、1gのフェニルボロン酸(8.0ミリモル)、310mgのテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0.3ミリモル)、1.4gの炭酸ナトリウム(13.4ミリモル)、28mLのトルエン、及び7mLのエタノールを、反応容器に添加し、130℃で3時間攪拌した。反応が完了した後、反応生成物を室温まで冷却し、溶媒をロータリーエバポレーターによって除去した。残渣をカラムクロマトグラフィーによって精製して2.5gの化合物C-338(収率:86%)を得た。
H NMR(600MHz,CDCl,δ)9.119-9.106(d,1H),8.160-8.125(dd,2H),8.001-7.988(d,1H),7.878-7.862(m,1H),7.782-7.755(td,1H),7.748-7.726(m,2H),7.709-7.685(t,2H),7.623-7.594(m,3H),7.518-7.503(d,1H),7.418-7.371(m,4H),7.305-7.271(m,2H),7.200-7.182(m,3H)
【0113】
【表17】
【0114】
実施例18:化合物C-379の調製
【化50】
4.0gの化合物5(13.73ミリモル)、5.2gの5-クロロ-2,3-ジフェニルキノキサリン(16.47ミリモル)、0.629gのトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(0.686ミリモル)、0.564mgのS-Phos(1.0ミリモル)、及び3.9gのナトリウムtert-ブトキシド(41ミリモル)を、フラスコ中の80mLの1,2-ジメチルベンゼンに溶解させ、4時間還流させた。反応が完了した後、反応生成物を室温まで冷却し、蒸留水をそれに添加した。有機層をMCで抽出し、硫酸マグネシウム上で乾燥させた。残渣を減圧下で蒸留し、カラムクロマトグラフィーによって精製して2.8gの化合物C-379(収率:35.67%)を得た。
H NMR(600MHz,CDCl3,δ)8.323-8.307(d,J=7.2Hz,1H),7.947-7.935(m,2H),7.883-7.867(m,1H),7.762-7.749(d,J=7.2Hz,2H),7.686-7.673(d,J=7.8Hz,1H),7.633-7.603(m,2H),7.568-7.556(d,J=7.2Hz,2H),7.404-7.337(m,6H),7.307-7.281(t,J=7.8Hz,1H),7.195-7.281(m,3H),7.144-7.110(t,J=7.2HZ,1H),7.087-7.074(d,J=7.8HZ,1H),7.010-6.990(m,2H)
【0115】
【表18】
【0116】
実施例19:化合物C-389の調製
【化51】
6.0gの化合物5(21ミリモル)、7.8gの2-([1,1’-ビフェニル]-3-イル)-3-クロロキノキサリン(25ミリモル)、8.5gの炭酸カリウム(62ミリモル)、及び0.126gの4-ジメチルアミノピリジン(1ミリモル)を、フラスコ中の100mLのジメチルホルムアミドに溶解させ、4時間還流させた。反応が完了した後、反応生成物を室温まで冷却し、蒸留水をそれに添加した。有機層をMCで抽出し、硫酸マグネシウム上で乾燥させた。残渣を減圧下で蒸留し、カラムクロマトグラフィーによって精製して8.8gの化合物C-389(収率:74%)を得た。
H NMR(600MHz,CDCl3,δ)8.338-8.325(d,J=7.8HZ,1H),8.228-8.212(d,J=8.7HZ,1H),7.907-7.877(m,3H),7.783-7.758(m,2H),7.686-7.683(d,J=7.8Hz,2H),7.630-7.590(m,1H),7.523-7.508(d,J=9Hz,2H),7.447-7.390(m,3H),7.341-7.332(m,2H),7.284-7.236(m,3H),7.205(s,1H),7.088-7.066(m,1H),7.016-7.002(d,J=7.8Hz,2H),6.903-6.877(m,2H)
【0117】
【表19】
【0118】
実施例20:化合物C-395の調製
【化52】
7.9gの化合物5(27ミリモル)、7.9gの2-クロロ-3-(フェニル-D5)キノキサリン(33ミリモル)、11.24gの炭酸カリウム(81ミリモル)、及び0.166gの4-ジメチルアミノピリジン(1ミリモル)を、フラスコ中の135mLのジメチルホルムアミドに溶解させ、4時間還流させた。反応が完了した後、反応生成物を室温まで冷却し、蒸留水をそれに添加した。有機層をMCで抽出し、硫酸マグネシウム上で乾燥させた。残渣を減圧下で蒸留し、カラムクロマトグラフィーによって精製して3.2gの化合物C-395(収率:23.7%)を得た。
H NMR(600MHz,CDCl3,δ)8.318-8.305(d,J=7.8Hz,1H),8.164-8.151(d,J=7.8Hz,1H),7.892-7.834(m,3H),7.740-7.728(d,J=7.2Hz,1H),7.691-7.679(d,J=7.2Hz,2H),7.603-7.587(m,1H),7.508-7.493(d,J=9Hz,1H),7.413-7.370(m,3H),7.291-7.250(m,2H),7.212-7.197(d,J=9Hz,1H)
【0119】
【表20】
【0120】
実施例21:化合物C-380の調製
【化53】
10gの化合物5(28.82ミリモル)、7.0gの2-クロロ-3-(4-(ナフタレン-2-イル)フェニル)キノキサリン(24.02ミリモル)、1.5gの4-(ジメチルアミノ)ピリジン(12.01ミリモル)、及び3.3gの炭酸カリウム(24.02ミリモル)を、フラスコ中の130mLのジメチルホルムアミドに溶解させ、3時間還流させた。反応が完了した後、減圧下での蒸留後に有機層を酢酸エチルで抽出し、硫酸マグネシウムを使用することによって残存水を除去した。残渣を乾燥させ、カラムクロマトグラフィーによって精製して8.8gの化合物C-380(収率:59%)を得た。
H NMR(600MHz,CDCl3,δ)8.33-8.32(d,J=6.0Hz,1H),8.16-8.15(d,J=6.0Hz,1H),7.88-7.84(m,4H),7.80-7.77(m,3H),7.74-7.73(d,J=6.0Hz,1H),7.69-7.66(m,4H),7.57-7.56(m,2H),7.53-7.50(m,3H),7.43-7.37(m,5H),7.32-7.23(m,3H)
【0121】
【表21】
【0122】
実施例22:化合物C-394の調製
【化54】
6gの化合物5(20.59ミリモル)、9.1gの2-(3-クロロキノキサリン-2-イル)-9-フェニル-9H-カルバゾール(22.65ミリモル)、1.2gの4-(ジメチルアミノ)ピリジン(10.29ミリモル)、及び2.8gの炭酸カリウム(20.59ミリモル)を、フラスコ中の100mLのジメチルホルムアミドに溶解させ、3時間還流させた。反応が完了した後、減圧下での蒸留後に有機層を酢酸エチルで抽出し、硫酸マグネシウムを使用することによって残存水を除去した。残渣を乾燥させ、カラムクロマトグラフィーによって精製して9.6gの化合物C-394(収率:70%)を得た。
H NMR(600MHz,CDCl3,δ)8.31-8.30(d,J=6.0Hz,1H),8.13-8.11(d,J=12.0Hz,1H),8.04-8.03(d,J=6.0Hz,1H),7.94-7.93(d,J=6.0Hz,1H),7.86-7.81(m,3H),7.74-7.73(d,J=6.0Hz,1H),7.65-7.63(d,J=12.0Hz,2H),7.61-7.60(m,1H),7.44-7.36(m,4H),7.30-7.28(m,1H),7.23-7.15(m,6H),6.98-6.93(m,3H),6.88-6.87(m,2H)
【0123】
【表22】
【0124】
実施例23:化合物C-346の調製
【化55】
6.0gの化合物5(20.59ミリモル)、9.1gの2-(2-クロロキナゾリン-4-イル)-9-フェニル-9H-カルバゾール(22.65ミリモル)、1.2gの4-(ジメチルアミノ)ピリジン(10.29ミリモル)、及び2.8gの炭酸カリウム(20.59ミリモル)を、フラスコ中の100mLのジメチルホルムアミドに溶解させ、3時間還流させた。反応が完了した後、減圧下での蒸留後に有機層を酢酸エチルで抽出し、硫酸マグネシウムを使用することによって残存水を除去した。残渣を乾燥させ、カラムクロマトグラフィーによって精製して10gの化合物C-346(収率:77%)を得た。
H NMR(600MHz,CDCl3,δ)9.01-9.00(d,J=6.0Hz,1H),8.85-8.84(d,J=6.0Hz,1H),8.34-8.33(d,J=6.0Hz,1H),8.23-8.22(d,J=6.0Hz,2H),8.11-8.10(d,J=6.0Hz,1H),8.05(s,1H),7.86-7.82(m,2H),7.79-7.77(m,1H),7.75-7.71(m,3H),7.67-7.64(m.3H),7.59-7.57(m,2H),7.53-7.52(m,1H),7.50-7.47(m,3H),7.43-7.37(m,2H),7.36-7.35(m,4H)
【0125】
【表23】
【0126】
実施例24:化合物C-388の調製
【化56】
12gの化合物5(41.1ミリモル)、14.8gの2-(4-ブロモフェニル)-4-フェニルキナゾリン(41.1ミリモル)、1.5gのトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(1.6ミリモル)、1.7gのS-Phos(4.1ミリモル)、及び9.8gのナトリウムtert-ブトキシド(102.9ミリモル)を、フラスコ中の274mLのo-キシレンに溶解させ、4時間還流させた。反応が完了した後、反応生成物を冷却し、カラムクロマトグラフィーによって精製して1.1gの化合物C-388(収率:4.7%)を得た。
H NMR(600MHz,CDCl3,δ)8.927-8.912(d,J=7.8Hz,2H),8.199-8.160(m,2H),7.925-7.910(m,3H),7.865-7.855(m,1H),7.759-7.672(m,6H),7.620-7.587(m,5H),7.540-7.525(d,J=9Hz,1H),7.401-7.375(m,3H),7.339-7.328(m,2H)
【0127】
【表24】
【0128】
実施例25:化合物C-381の調製
【化57】
5.7gの化合物5(19.5ミリモル)、7.7gの2-クロロ-3-(ジベンゾ[b,d]フラン-1-イル)キノキサリン(23.2ミリモル)、0.1gの4-(ジメチルアミノ)ピリジン(0.9ミリモル)、及び8.1gの炭酸カリウム(58.5ミリモル)を、フラスコ中の99mLのジメチルホルムアミドに溶解させ、3時間30分間還流させた。反応が完了した後、反応生成物を冷却し、メタノール及び水を添加し、濾過した。残渣を乾燥させ、カラムクロマトグラフィーによって精製して6gの化合物C-381(収率:52%)を得た。
H NMR(600MHz,CDCl3,δ)8.324-8.271(m,2H),7.962-7.942(m,2H),7.867-7.855(d,J=7.2Hz,1H),7.821-7.805(m,1H),7.705-7.693(d,J=7.2Hz,1H),7.655-7.595(m,3H),7.567-7.537(m,2H),7.394-7.272(m,8H),7.124-7.155(m,1H),6.984-6.958(t,J=7.2Hz,1H),6.830-6.817(d,J=7.8Hz,1H)
【0129】
【表25】
【0130】
実施例26:化合物C-378の調製
【化58】
3.8gの化合物5(13ミリモル)、5.0gの2-([1,1’-ビフェニル]-4-イル)-3-クロロキノキサリン(16ミリモル)、800mgのDMAP(7ミリモル)、及び3.6gの炭酸カリウム(26ミリモル)を、フラスコ中の55mLのジメチルホルムアミドに溶解させ、18時間還流させた。反応が完了した後、減圧下での蒸留後に有機層を酢酸エチルで抽出し、硫酸マグネシウムを使用することによって残存水を除去した。残渣を乾燥させ、カラムクロマトグラフィーによって精製して1.4gの化合物C-378(収率:19%)を得た。
H NMR(600MHz,CDCl3,δ)8.33-8.32(m,1H),8.17-8.16(m,1H),7.90-7.84(m,3H),7.74(d,J=7.50Hz,1H),7.69(t,J=6.72Hz,2H),7.63(d,J=8.4Hz,2H),7.61-7.59(m,1H),7.51(d,J=9.00Hz,1H),7.45-7.37(m,7H),7.35-7.27(m,5H),7.23(d,J=8.79Hz,1H)
【0131】
【表26】
【0132】
実施例27:化合物C-386の調製
【化59】
5.1gの化合物5(17ミリモル)、5.0gの6-クロロ-2,3-ジフェニルキノキサリン(16ミリモル)、578mgのトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(0.631ミリモル)、648mgのS-Phos(2ミリモル)、及び3.8gのナトリウムtert-ブトキシド(39ミリモル)を、フラスコ中の100mLのトルエンに溶解させ、16時間還流させた。反応が完了した後、減圧下での蒸留後に有機層を酢酸エチルで抽出し、硫酸マグネシウムを使用することによって残存水を除去した。残渣を乾燥させ、カラムクロマトグラフィーによって精製して7.6gの化合物C-386(収率:84%)を得た。
H NMR(600MHz,CDCl3,δ)8.01(s,1H),8.40(d,J=5.4Hz,1H),7.99(dd,J=5.4Hz;2.22Hz,1H),7.89-7.87(m,1H),7.79-7.77(m,2H),7.74-7.70(m,2H),7.63-7.60(m,2H),7.59-7.56(m,4H),7.44-7.34(m,11H)
【0133】
【表27】
【0134】
実施例28:化合物C-387の調製
【化60】
6.6gの化合物10-1(14.78ミリモル)、3.4gのジベンゾ[b,d]フラン-1-イルボロン酸(16.24ミリモル)、0.85gのテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.739ミリモル)、及び4gの炭酸カリウム(29.57ミリモル)を、60mLのトルエン、15mLのエタノール、及び15mLの精製水に添加し、1日間還流下で攪拌した。反応が完了した後、反応生成物を室温まで冷却し、結果として生じた固体を減圧下で濾過した。固体をCHCl3に溶解させ、MC/Hexを使用するカラムクロマトグラフィーによって精製して3.5gの化合物C-387(収率:45%)を得た。
H NMR(600MHz,DMSO,δ)7.953-7.927(m,2H),7.896-7.872(t,2H),7.848-7.810(m,3H),7.793-7.746(m,4H),7.656-7.601(m,4H),7.539-7.511(t,1H),7.485-7.443(m,4H),7.419-7.393(t,1H),7.369-7.356(d,1H),7.294-7.269(t,1H)
【0135】
【表28】
【0136】
実施例29:化合物C-393の調製
【化61】
4.4gの化合物5(15.16ミリモル)、5.0gの9-クロロ-6-フェニル-6H-インドロ[2,3,b]キノキサリン(15.16ミリモル)、0.5gのトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(0.606ミリモル)、0.6gのS-Phos(1.516ミリモル)、及び12gのナトリウムtert-ブトキシド(37.90ミリモル)を、フラスコ中の100mLの1,2-ジメトキシベンゼンに溶解させ、4時間還流させた。反応が完了した後、減圧下での蒸留後に有機層を酢酸エチルで抽出し、硫酸マグネシウムを使用することによって残存水を除去した。残渣を乾燥させ、カラムクロマトグラフィーによって精製して1.9gの化合物C-393(収率:21%)を得た。
H NMR(600MHz,CDCl3,δ)8.74(s,1H),8.33-8.32(d,J=6.0Hz,1H),8.15-8.14(d,J=6.0Hz,1H),7.91-7.90(m,1H),7.84-8.73(m,2H),7.80-7.78(m,5H),7.77-7.69(m,5H),7.64-7.63(m.1H),7.60-7.59(m,1H),7.50-7.49(d,J=6.0Hz,1H),7.43-7.41(m,3H),7.36-7.34(t,J=6.0Hz,1H),7.28-7.27(m,1H)
【0137】
【表29】
【0138】
実施例30:化合物C-447の調製
【化62】
化合物30-1の合成
8.0gの化合物13-1(21.6ミリモル)、12.1gの4-ヨードビフェニル(43.2ミリモル)、1.0gのトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(1.08ミリモル)、0.87mLのトリ-tert-ブチルホスフィン(2.16ミリモル、50%トルエン溶液)、及び5.2gのナトリウムtert-ブトキシド(54.0ミリモル)を、フラスコ中の216mLのトルエンに溶解させ、18時間還流させた。反応が完了した後、反応生成物を室温まで冷却し、溶媒をロータリーエバポレーターによって除去した。残渣をカラムクロマトグラフィーによって精製して7.5gの化合物30-1(収率:66%)を得た。
【0139】
化合物30-2の合成
7.5gの化合物30-1(14.4ミリモル)、4.5gの2-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキシルボレン(dioxylboren)-2-イル)安息香酸メチル(17.3ミリモル)、323mgの酢酸パラジウム(Pd(OAc))(1.44ミリモル)、1.2gの配位子(2-ジシクロヘキシルホスホニウム-2’,6’-ジメトキシビフェニル)(2.88ミリモル)、14gの炭酸セシウム(43.2ミリモル)、80mLのキシレン、40mLのエタノール、及び40mLの蒸留水をフラスコに添加し、18時間還流下で攪拌した。混合物を室温まで冷却し、蒸留水をそれに添加した。有機層をMCで抽出し、硫酸マグネシウム上で乾燥させた。残渣を減圧下で蒸留し、カラムクロマトグラフィーによって精製して2.2gの化合物30-2(収率:27%)を得た。
【0140】
化合物30-3の合成
2.2gの化合物30-2(3.8ミリモル)、2mLのイートン試薬、及び13mLのベンゼンクロリドをフラスコに添加し、18時間還流下で攪拌した。混合物を室温まで冷却し、炭酸水素ナトリウムの水溶液をそれに添加した。有機層を酢酸エチル(EA)で抽出し、硫酸マグネシウム上で乾燥させた。残渣を減圧下で蒸留し、カラムクロマトグラフィーによって精製して1.5gの化合物30-3(収率:71%)を得た。
【0141】
化合物C-447の合成
244mgのヨウ素(0.96ミリモル)、0.48mLの次亜リン酸(4.4ミリモル、50%水溶液)、及び14mLの酢酸を、フラスコに添加し、80℃で30分間攪拌した。1.5gの化合物30-3(2.75ミリモル)をそれにゆっくり滴加し、4時間還流下で攪拌した。反応溶液を室温まで冷却し、沈澱した固体を濾過し、大量の水及びエタノールで洗浄した。結果として生じた固体を、フィルターを通して濾過して溶媒を除去した。残渣をカラムクロマトグラフィーによって精製して270mgの化合物C-447(収率:18%)を得た。
H NMR(600MHz,CDCl3,δ)8.051-8.036(dd,1H),7.967-7.953(m,1H),7.920-7.909(d,1H),7.857-7.843(d,2H),7.797-7.784(d,1H),7.720-7.698(m,2H),7.669-7.643(m,3H),7.562-7.500(m,5H),7.463-7.416(m,5H),7.217-7.190(m,2H),4.153-4.188(d,1H),3.949-3.913(d,1H)
【0142】
本明細書では以下、本開示の化合物を含む有機発光ダイオード(OLED)デバイスの特性を詳細に説明するが、以下の実施例によって限定されない。
【0143】
デバイスの実施例1~16:本開示による化合物をホストとして含むOLEDデバイスの製造
本開示による有機エレクトロルミネセント化合物を使用することによってOLEDデバイスを製造した。OLEDデバイス用のガラス基板(ジオマテック株式会社、日本国)上の透明な電極酸化インジウムスズ(ITO)薄膜(10Ω/sq)を、順次、アセトン、エタノール、及び蒸留水での超音波洗浄にかけ、次に、イソプロパノール中に貯蔵した。次に、ITO基板を真空蒸着装置の基板ホルダーに取り付けた。化合物HI-1を真空蒸着装置のセルへ導入し、次に装置のチャンバー内の圧力を10-6トールに制御した。その後、セルに電流を流して上記導入された物質を蒸発させ、それによってITO基板上に80nmの厚さを有する第1正孔注入層を形成した。次に、化合物HI-2を真空蒸着装置の別のセルへ導入し、セルに電流を流すことにより蒸発させ、それによって第1正孔注入層上に5nmの厚さを有する第2正孔注入層を形成した。次に、化合物HT-1を真空蒸着装置のセルへ導入し、セルに電流を流すことにより蒸発させ、それによって第2正孔注入層上に10nmの厚さを有する第1正孔輸送層を形成した。次に、化合物HT-2を真空蒸着装置の別のセルへ導入し、セルに電流を流すことにより蒸発させ、それによって第1正孔輸送層上に60nmの厚さを有する第2正孔輸送層を形成した。正孔注入層及び正孔輸送層を形成した後、以下の通り発光層をその上に形成した:表1に示されるホスト材料をホストとして真空蒸着装置の1つのセルへ導入し、化合物D-39をドーパントとして別のセルへ導入した。2つの物質を異なる速度で蒸発させ、ホストの量を基準として3重量%のドープ量でドーパントを蒸着させて第2正孔輸送層上に40nmの厚さを有する発光層を形成した。次に、化合物ET-1及び化合物EI-1を他の2つのセルへ導入し、同時に蒸着させて発光層上に35nmの厚さを有する電子輸送層を形成した。電子輸送層上に2nmの厚さを有する電子注入層として化合物EI-1を蒸着させた後、別の真空蒸着装置によって電子注入層上に80nmの厚さを有するAlカソードを蒸着させた。このようにして、OLEDデバイスを製造した。
【0144】
比較例1:ホストとして従来の化合物を含むOLEDデバイスの製造
ホストとして化合物Aを使用することを除いて、デバイス実施例1におけるのと同じ方法でOLEDデバイスを製造した。
【0145】
製造された赤色OLEDデバイスの1,000ニットの輝度を基準とした駆動電圧及び発光効率、並びに5,000ニットの輝度を基準とした輝度を100%から99%まで低下させるのに要した時間(寿命;T99)を下の表1に示す。
【0146】
【表30】
【0147】
上の表1から、本開示の有機エレクトロルミネセント化合物を含むOLEDデバイスが、従来の有機エレクトロルミネセント化合物を含むOLEDデバイスと比べて低い駆動電圧、高い発光効率、及び/又は改善された寿命特性を有することを理解することができる。加えて、本開示の有機エレクトロルミネセント化合物は、高融合構造を有し、したがって、類似の分子量を有する他の有機エレクトロルミネセント化合物と比べて比較的高いガラス転移温度(Tg)を有し、それによって優れた熱安定性を示す。
【0148】
比較例2:電子緩衝層を含まないOLEDデバイスの製造
本開示による有機エレクトロルミネセント化合物を使用することによって電子緩衝層を含まないOLEDデバイスを製造した。OLEDデバイス用ガラス基板(ジオマテック株式会社、日本国)上の透明電極酸化インジウム錫(ITO)薄膜(10Ω/sq)を、順次、アセトン及びイソプロピルアルコールでの超音波洗浄にかけ、次にイソプロパノール中に保存した。次に、ITO基板を真空蒸着装置の基板ホルダーに取り付けた。化合物HI-1を真空蒸着装置のセルへ導入し、次に、装置のチャンバー内の圧力を10-7トールに制御した。その後、セルに電流を流して上記導入された物質を蒸発させ、それによってITO基板上に60nmの厚さを有する第1正孔注入層を形成した。次に、化合物HI-2を真空蒸着装置の別のセルへ導入し、セルに電流を流すことにより蒸発させ、それによって第1正孔注入層上に5nmの厚さを有する第2正孔注入層を形成した。次に、化合物HT-1を真空蒸着装置のセルへ導入し、セルに電流を流すことにより蒸発させ、それによって第2正孔注入層上に20nmの厚さを有する第1正孔輸送層を形成した。次に、化合物HT-3を真空蒸着装置の別のセルへ導入し、セルに電流を流すことにより蒸発させ、それによって第1正孔輸送層上に5nmの厚さを有する第2正孔輸送層を形成した。正孔注入層及び正孔輸送層を形成した後、以下の通り発光層をその上に形成した:化合物FH-1をホストとして真空蒸着装置の1つのセルへ導入し、化合物FD-1をドーパントとして別のセルへ導入した。2つの物質を異なる速度で蒸発させ、ホストとドーパントとの総量を基準として2重量%のドープ量でドーパントを蒸着させて第2正孔輸送層上に20nmの厚さを有する発光層を形成した。次に、化合物ET-1及び化合物EI-1を他の2つのセルへ導入し、同時に蒸着させ、発光層上に35nmの厚さを有する電子輸送層を形成した。電子輸送層上に2nmの厚さを有する電子注入層として化合物EI-1を蒸着させた後、別の真空蒸着装置によって電子注入層上に80nmの厚さを有するAlカソードを蒸着させた。このようにして、OLEDデバイスを製造した。OLEDデバイスを製造するために使用された全ての物質は、10-6トールでの真空昇華によって精製した。
【0149】
デバイスの実施例17:電子緩衝層として本開示により化合物を含むOLEDデバイスの製造
電子輸送層の厚さを30nmまで減らしたこと、及び化合物C-8を含む電子緩衝層を発光層と電子輸送層との間に挿入したことを除いて、比較例2におけるのと同じ方法でOLEDデバイスを製造した。
【0150】
比較例2及びデバイス実施例17によって製造されたOLEDデバイスの1mA/cmの輝度を基準とした駆動電圧及び色座標、並びに2,000ニットの輝度を基準とした輝度を100%から90%まで低下させるのに要した時間(寿命;T90)を下の表2に示す。
【0151】
【表31】
【0152】
上の表2から、本開示の化合物が電子緩衝層に含まれる、デバイス実施例17のOLEDデバイスが、比較例2のOLEDデバイスと比べて低い駆動電圧及び改善された寿命特性を有することを理解することができる。
【0153】
デバイスの実施例18:本開示による化合物を含むOLEDデバイスの製造
発光層を次の通り形成したことを除いて、デバイス実施例1におけるのと同じ方法でOLEDデバイスを製造した:化合物C-8を第1ホストとして真空蒸着装置の1つのセルへ導入し、化合物H2-6を第2ホストとして別のセルへ導入した。2つの物質を同じ速度で蒸発させ、化合物D-39をドーパントとして別のセルへ導入した。3つの物質を蒸発させ、ホストとドーパントの総量を基準として3重量%のドープ量でドーパントを蒸着させて第2正孔輸送層上に40nmの厚さを有する発光層を形成した。
【0154】
結果として、効率は、4.3Vの電圧で20.8cd/Aであり、5000cd/mの赤色発光が確認され、5,000ニットを基準とした輝度を100%から97%まで低下させるのに要した最小時間は137時間であった。
【0155】
比較例及びデバイス実施例に使用した化合物を下の表3に示す。
【0156】
【表32】
図1