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特許7314391リゾチームを含む医薬組成物およびその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-14
(45)【発行日】2023-07-25
(54)【発明の名称】リゾチームを含む医薬組成物およびその使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 38/47 20060101AFI20230718BHJP
   A61P 17/06 20060101ALI20230718BHJP
   A61K 9/22 20060101ALI20230718BHJP
【FI】
A61K38/47 ZMD
A61P17/06
A61K9/22
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2022502175
(86)(22)【出願日】2020-05-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-22
(86)【国際出願番号】 CN2020093314
(87)【国際公開番号】W WO2021012789
(87)【国際公開日】2021-01-28
【審査請求日】2022-01-13
(31)【優先権主張番号】201910656136.0
(32)【優先日】2019-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521387833
【氏名又は名称】広州新創憶薬物臨床研究有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】521387844
【氏名又は名称】広州新創意生物医薬有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】519144495
【氏名又は名称】広州威爾曼新薬研発有限公司
【氏名又は名称原語表記】GUANGZHOU WELMAN NEW DRUG R&D CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Room 1608,No.116,TiYuDong Road,Tianhe District,Guangzhou,Guangdong 510620,China
(73)【特許権者】
【識別番号】520253328
【氏名又は名称】湘北威爾曼制薬股▲ふん▼有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】519144509
【氏名又は名称】南京康福順薬業有限公司
【氏名又は名称原語表記】NANJING KANGFUSHUN PHARMACEUTICAL CO.,LTD
【住所又は居所原語表記】E3 Building,No.9,Weidi Road,Xianlin Street,Qixia District Nanjing,Jiangsu 210046,China
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】孫明傑
(72)【発明者】
【氏名】孫天宇
【審査官】六笠 紀子
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第105561302(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第105770869(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第1663610(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0329995(US,A1)
【文献】特表2002-516087(JP,A)
【文献】皮膚,1967年,9(3),pp.432-447
【文献】Global Veterinaria,2016年,16(4),pp.378-388
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 38/00-38/58
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤製造におけるリゾチームの使用であって、前記薬剤は乾癬の予防、乾癬の治療、および/または乾癬の再発予防のために用いられ、前記乾癬のPASIスコアは5以上であり、前記薬剤は腸溶性製剤である使用。
【請求項2】
前記乾癬のPASIスコアは8以上であることを特徴とする請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記乾癬は薬剤耐性乾癬であることを特徴とする請求項1に記載の使用。
【請求項4】
前記薬剤耐性乾癬は、抗炎症剤、抗細胞増殖剤、および/または免疫調節剤による治療が無効であることを特徴とする請求項に記載の使用。
【請求項5】
記腸溶性製剤は結腸腸溶性製剤であることを特徴とする請求項1または2に記載の使用。
【請求項6】
前記薬剤中のリゾチームの力価は20000U/mgより大きいことを特徴とする請求項1に記載の使用。
【請求項7】
前記薬剤の投与量は0.3~20g/日であり、さらに、前記薬剤投与量を決定した後、1日に1~3回投与することを特徴とする請求項に記載の使用。
【請求項8】
前記薬剤の投与量は0.5~15g/日であることを特徴とする請求項7に記載の使用。
【請求項9】
前記薬剤の投与量は1~6g/日であることを特徴とする請求項7に記載の使用。
【請求項10】
疾患の予防または治療のための医薬組成物であって、前記組成物はリゾチームを含み、前記疾患の予防または治療は、乾癬の予防、乾癬の治療、および/または乾癬の再発予防を指し、前記医薬組成物は腸溶性製剤であり、前記乾癬のPASIスコアは5以上であることを特徴とする医薬組成物。
【請求項11】
記乾癬のPASIスコアは8以上であことを特徴とする請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項12】
乾癬は薬剤耐性乾癬であることを特徴とする請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記薬剤耐性乾癬は、抗炎症剤、抗細胞増殖剤、および/または免疫調節剤による治療が無効であることを特徴とする請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項14】
記腸溶性製剤は結腸溶性製剤であることを特徴とする請求項10または11に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は医薬分野に関し、具体的にはリゾチームを含む医薬組成物およびその使用に関し、特に乾癬の予防と治療、および乾癬の再発予防における使用に関する。
【背景技術】
【0002】
乾癬はよく見られる慢性皮膚疾患である。乾癬は、病理学的特徴から分類すると、尋常性乾癬、滴状乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症などに大別することができる。尋常性乾癬は最もよく見られ、乾癬の約90%以上を占め、主な特徴は赤く隆起した皮膚の上に銀白の鱗片を覆うことである。滴状乾癬は細菌感染によるものであり、皮膚に小滴状の紅斑を特徴としている。膿疱性乾癬の主な特徴は皮膚上の無菌性膿瘍である。乾癬性紅皮症は広範囲の皮膚にびまん性炎症性紅斑と皮膚鱗屑が出現し、発熱と高熱を伴うことが多い。乾癬はまた、関節炎、心血管疾患、代謝障害、悪性腫瘍などの他の合併症を生じる可能性がある。世界範囲内での乾癬の発病率はすでに2~3%に達し、数億単位の患者の生活の質に深刻な影響を与えている。
【0003】
乾癬の薬剤治療手段は主に局所治療と全身性治療の2種類があり、主に局所抗細胞増殖または免疫応答の抑制によって皮膚症状を改善する。局所治療は最も一般的な方法であり、副腎皮質ホルモン、ビタミンD類似体、ビタミンA酸類似体などは広く使用されている薬剤である。それは、初発の乾癬または軽度の乾癬に対して有効であることが多く、かつ外用薬剤の使用が容易であり、患者は受け入れやすい。また滴状型乾癬については、その病因が主に細菌感染であることから、外用殺菌剤や外用抗菌薬が一般的に有効に治療できる。しかし、外用薬は局所的に対症処置しかできず、全身の罹患範囲が広い乾癬に対して効果に劣っていた。全身性治療は主に中度と重度の乾癬を対象とし、例えば、よく使われているのはメトトレキサート、シクロスポリンなどの免疫阻害剤を経口投与もしくは注射し、または標的生物製剤を注射することである。全身性治療は全身免疫を調節することができ、強い効果がある。しかし、全身的に免疫阻害剤を使用する場合、毒性が大きく、患者は長期に耐えることが困難である。また、生物製剤は注射を必要とし、作用標的は単一であり、高価であり、特に、疾患の再発をより早くもたらすことが多い。
【0004】
臨床的には、従来の薬剤に対して耐性を示す乾癬患者が多く存在している。ある患者自身は従来の薬剤に対する応答度が非常に悪く、病状は緩和しにくい。ある患者は薬剤を使用した後、かえって病気をもっと深刻にさせる。ある患者は、従来の薬剤を使用して病状が緩和した後にすぐに再発し、再発後の病状はさらに深刻になり、元の治療方法を連続して使用するのは臨床的に有用ではない。これらの患者はより効果的な治療手段を求めなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、リゾチームの、乾癬の予防、乾癬の治療、および/または乾癬の再発予防のための薬剤の製造における使用である。
【0006】
本発明の別の目的は、乾癬の予防、乾癬の治療、および/または乾癬の再発予防のための医薬組成物を提供することである。
【0007】
本発明のさらに別の目的は、乾癬の予防または治療、および乾癬の再発予防のための方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
薬剤製造におけるリゾチームの使用であって、前記薬剤は乾癬の予防、乾癬の治療、および/または乾癬の再発予防のために用いられる。乾癬は、尋常性乾癬、膿疱性乾癬または乾癬性紅皮症を含むがこれらに限定されない任意の種類の乾癬であってもよく、前記乾癬のPASIスコアは5以上である。
【0009】
いくつかのリゾチームの使用の例では、前記乾癬のPASIスコアは5以上である。
【0010】
好ましくは、前記乾癬のPASIスコアは8以上である。
【0011】
いくつかの使用の例では、乾癬は薬剤耐性乾癬である。
【0012】
好ましくは、前記薬剤耐性乾癬は、抗炎症剤、抗細胞増殖剤、および/または免疫調節剤による治療が無効である。
【0013】
より好ましくは、前記薬剤耐性乾癬は、副腎皮質ホルモン、ビタミンD類似体、ビタミンA酸類似体、カルシニューリン阻害剤、アントラリン、コールタール、サリチル酸、メトトレキサート、ホスホジェステラーゼ阻害剤、芳香族炭化水素受容体アゴニスト、ヤヌスキナーゼ阻害剤、腫瘍壊死因子阻害剤およびインターロイキン阻害剤の薬剤による治療が無効である。
【0014】
いくつかの使用の例では、前記薬剤は経口製剤である。
【0015】
好ましくは、前記経口製剤は腸溶性製剤であり、腸溶性製剤は小腸または大腸で薬剤を放出する製剤であり、具体的には、小腸は十二指腸、空腸および/または回腸であり、大腸は盲腸、結腸および/または直腸であり得る。
【0016】
より好ましくは、前記腸溶性製剤は、大腸で薬剤を放出する製剤、特に結腸で薬剤を放出する製剤、すなわち結腸腸溶性製剤である。
【0017】
いくつかの使用の例では、前記薬剤は、腸溶性錠剤、腸溶性カプセル、腸溶性ソフトカプセル、腸溶性ペレット、腸溶性滴丸、腸溶性粒子、腸溶性ナノ粒子、腸溶性徐放性製剤、腸溶性制御放出製剤のいずれか一つの剤形であり得る。
【0018】
いくつかの使用の例では、前記薬剤は、薬学的に許容される補助剤をさらに含み、薬学的に許容される補助剤は、腸溶性マトリックス材料、腸溶性コーティング材料、希釈剤、充填剤、滑沢剤、崩壊剤、流動促進剤、吸収促進剤、または矯味剤を含むが、これらに限定されない。
【0019】
いくつかの使用の例では、前記薬剤中のリゾチームの力価は、20000U/mgより大きい。
【0020】
いくつかの使用の例では、前記薬剤の投与量は0.3~20g/日であり、好ましくは、前記薬剤の投与量は0.5~15g/日であり、より好ましくは、前記薬剤の投与量は1~6g/日である。
【0021】
さらに、前記薬剤は、用量分割後、1日に1~3回投与することができる。
【0022】
疾患の予防または治療のための医薬組成物であって、前記組成物はリゾチームを含み、前記疾患の予防または治療は、乾癬の予防、乾癬の治療、および/または乾癬の再発予防を指し、乾癬は、尋常性乾癬、膿疱性乾癬または乾癬性紅皮症を含むがこれらに限定されない任意の種類の乾癬であり得る。
【0023】
いくつかの医薬組成物の例では、前記乾癬のPASIスコアは5以上である。
【0024】
好ましくは、前記乾癬のPASIスコアは8以上である。
【0025】
いくつかの医薬組成物の例では、乾癬は薬剤耐性乾癬である。
【0026】
好ましくは、前記薬剤耐性乾癬は、抗炎症剤、抗細胞増殖剤、および/または免疫調節剤による治療が無効である。
【0027】
より好ましくは、前記薬剤耐性乾癬は、副腎皮質ホルモン、ビタミンD類似体、ビタミンA酸類似体、カルシニューリン阻害剤、アントラリン、コールタール、サリチル酸、メトトレキサート、ホスホジェステラーゼ阻害剤、芳香族炭化水素受容体アゴニスト、ヤヌスキナーゼ阻害剤、腫瘍壊死因子阻害剤およびインターロイキン阻害剤の薬剤による治療が無効である。
【0028】
いくつかの医薬組成物の例では、前記医薬組成物は経口製剤である。
【0029】
好ましくは、前記経口製剤は腸溶性製剤であり、腸溶性製剤は小腸または大腸で薬剤を放出する製剤であり、具体的には、小腸は十二指腸、空腸および/または回腸であり、大腸は盲腸、結腸および/または直腸であり得る。
【0030】
より好ましくは、前記腸溶性製剤は、大腸で薬剤を放出する製剤、特に結腸で薬剤を放出する製剤、すなわち結腸腸溶性製剤である。
【0031】
いくつかの医薬組成物の例では、前記医薬組成物は、腸溶性錠剤、腸溶性カプセル、腸溶性ソフトカプセル、腸溶性ペレット、腸溶性滴丸、腸溶性粒子、腸溶性ナノ粒子、腸溶性徐放性製剤、腸溶性制御放出製剤のいずれか一つの剤形であり得る。
【0032】
いくつかの医薬組成物の例では、前記医薬組成物は、薬学的に許容される補助剤をさらに含み、薬学的に許容される補助剤は、腸溶性マトリックス材料、腸溶性コーティング材料、希釈剤、充填剤、滑沢剤、崩壊剤、流動促進剤、吸収促進剤、または矯味剤を含むが、これらに限定されない。
【0033】
いくつかの医薬組成物の例では、前記医薬組成物中のリゾチームの力価は、20000U/mgより大きい。
【0034】
いくつかの医薬組成物の例では、前記医薬組成物の投与量は0.3~20g/日であり、好ましくは、前記医薬組成物の投与量は0.5~15g/日であり、より好ましくは、前記医薬組成物の投与量は1~6g/日である。
【0035】
さらに、前記薬剤用量を決定した後、1日に1~3回投与する。
【0036】
乾癬の予防または治療のための方法であって、乾癬患者に有効量のリゾチームを投与することを含み、乾癬は、尋常性乾癬、膿疱性乾癬または乾癬性紅皮症を含むがこれらに限定されない任意の種類の乾癬であり得る。
【0037】
いくつかの乾癬の予防または治療の例では、前記乾癬のPASIスコアは5以上である。
【0038】
好ましくは、前記乾癬のPASIスコアは8以上である。
【0039】
いくつかの乾癬の予防または治療の例では、前記乾癬は薬剤耐性乾癬である。
【0040】
好ましくは、前記薬剤耐性乾癬は、抗炎症剤、抗細胞増殖剤、および/または免疫調節剤による治療が無効である。
【0041】
より好ましくは、前記薬剤耐性乾癬は、副腎皮質ホルモン、ビタミンD類似体、ビタミンA酸類似体、カルシニューリン阻害剤、アントラリン、コールタール、サリチル酸、メトトレキサート、ホスホジェステラーゼ阻害剤、芳香族炭化水素受容体アゴニスト、ヤヌスキナーゼ阻害剤、腫瘍壊死因子阻害剤およびインターロイキン阻害剤の薬剤による治療が無効である。
【0042】
いくつかの乾癬の予防または治療の例では、前記リゾチームは経口製剤を介して投与される。
【0043】
好ましくは、前記経口製剤は腸溶性製剤であり、腸溶性製剤は小腸または大腸で薬剤を放出する製剤であり、具体的には、小腸は十二指腸、空腸および/または回腸であり、大腸は盲腸、結腸および/または直腸であり得る。
【0044】
より好ましくは、前記腸溶性製剤は、大腸で薬剤を放出する製剤、特に結腸で薬剤を放出する製剤、すなわち結腸腸溶性製剤である。
【0045】
いくつかの乾癬の予防または治療の例では、前記経口製剤は、腸溶性錠剤、腸溶性カプセル、腸溶性ソフトカプセル、腸溶性ペレット、腸溶性滴丸、腸溶性粒子、腸溶性ナノ粒子、腸溶性徐放性製剤、腸溶性制御放出製剤のいずれか一つの剤形であり得る。
【0046】
いくつかの乾癬の予防または治療の例では、前記経口製剤は、薬学的に許容される補助剤をさらに含み、薬学的に許容される補助剤は、腸溶性マトリックス材料、腸溶性コーティング材料、希釈剤、充填剤、滑沢剤、崩壊剤、流動促進剤、吸収促進剤、または矯味剤を含むが、これらに限定されない。
【0047】
いくつかの乾癬の予防または治療の例では、前記経口製剤中のリゾチームの力価は、20000U/mgより大きい。
【0048】
いくつかの乾癬の予防または治療の例では、前記経口製剤の投与量は0.3~20g/日であり、好ましくは、前記経口製剤の投与量は0.5~15g/日であり、より好ましくは、前記経口製剤の投与量は1~6g/日である。
【0049】
いくつかの乾癬の予防または治療の例では、前記経口製剤の用量を決定した後、1日に1~3回投与する。
【0050】
乾癬の再発予防のための方法であって、乾癬患者に有効量のリゾチームを投与することを含み、乾癬は、尋常性乾癬、膿疱性乾癬または乾癬性紅皮症を含むがこれらに限定されない任意の種類の乾癬であり得る。
【0051】
いくつかの乾癬の再発予防の例では、前記乾癬のPASIスコアは5以上である。
【0052】
好ましくは、前記乾癬のPASIスコアは8以上である。
【0053】
いくつかの乾癬の再発予防の例では、前記乾癬は薬剤耐性乾癬である。
【0054】
好ましくは、前記薬剤耐性乾癬は、抗炎症剤、抗細胞増殖剤、および/または免疫調節剤による治療が無効である。
【0055】
より好ましくは、前記薬剤耐性乾癬は、副腎皮質ホルモン、ビタミンD類似体、ビタミンA酸類似体、カルシニューリン阻害剤、アントラリン、コールタール、サリチル酸、メトトレキサート、ホスホジェステラーゼ阻害剤、芳香族炭化水素受容体アゴニスト、ヤヌスキナーゼ阻害剤、腫瘍壊死因子阻害剤およびインターロイキン阻害剤の薬剤による治療が無効である。
【0056】
いくつかの乾癬の再発予防の例では、前記リゾチームは経口製剤を介して投与される。
【0057】
好ましくは、前記経口製剤は腸溶性製剤であり、腸溶性製剤は小腸または大腸で薬剤を放出する製剤であり、具体的には、小腸は十二指腸、空腸および/または回腸であり、大腸は盲腸、結腸および/または直腸であり得る。
【0058】
より好ましくは、前記腸溶性製剤は、大腸で薬剤を放出する製剤、特に結腸で薬剤を放出する製剤、すなわち結腸腸溶性製剤である。
【0059】
いくつかの乾癬の再発予防の例では、前記経口製剤は、腸溶性錠剤、腸溶性カプセル、腸溶性ソフトカプセル、腸溶性ペレット、腸溶性滴丸、腸溶性粒子、腸溶性ナノ粒子、腸溶性徐放性製剤、腸溶性制御放出製剤のいずれか一つの剤形であり得る。
【0060】
いくつかの乾癬の再発予防の例では、前記経口製剤は、薬学的に許容される補助剤をさらに含み、薬学的に許容される補助剤は、腸溶性マトリックス材料、腸溶性コーティング材料、希釈剤、充填剤、滑沢剤、崩壊剤、流動促進剤、吸収促進剤、または矯味剤を含むが、これらに限定されない。
【0061】
いくつかの乾癬の再発予防の例では、前記経口製剤中のリゾチームの力価は、20000U/mgより大きい。
【0062】
いくつかの乾癬の再発予防の例では、前記経口製剤の投与量は0.3~20g/日であり、好ましくは、前記経口製剤の投与量は0.5~15g/日であり、より好ましくは、前記経口製剤の投与量は1~6g/日である。
【0063】
いくつかの乾癬の再発予防の例では、前記経口製剤の用量を決定した後、1日に1~3回投与する。
【0064】
本発明の有益な効果は以下のとおりである。
【0065】
出願人は驚くべきことに、リゾチームが薬剤耐性乾癬の治療または予防に優れた臨床効果を有し、従来の経口薬、免疫阻害剤、生物製剤などを用いることに比べて、疾患の再発時間を著しく延長し、疾患の再発率を著しく低下させることができることを発見した。リゾチーム自体は安全性に優れた物質であるため、本発明が提供する方法は児童、妊婦および免疫力が低下したまたは肝腎機能が低下した薬剤耐性乾癬患者に非常に適する。
【発明を実施するための形態】
【0066】
以下、さらに実施例を挙げて本発明を詳細に説明する。また、以下の実施例は、本発明をさらに例示するためのものに過ぎず、本発明の保護範囲を限定するものと解釈されるべきではなく、本発明に記載の原理に基づいて当業者によってなされるいくつかの非本質的な改良および調整はいずれも本発明の保護範囲に属することを理解されたい。以下の例における特定のプロセスパラメータなどは、適切な範囲における一例に過ぎず、当業者は、本明細書の説明から適切な範囲での選択を行うことができ、以下の例の特定のデータに限定されるものではない。
【0067】
定義
リゾチーム:すなわちLysozymeであり、本発明のリゾチームは、動物、植物、微生物由来のリゾチーム、または天然リゾチームの組換え体であってもよい。例えば、ニワトリ卵白リゾチーム、ヒトリゾチーム、組換えヒトリゾチーム、ファージリゾチームなどであってもよい。本発明におけるリゾチームとしては、その薬学的に許容される塩、例えば塩酸塩、塩化物、硫酸塩またはアミノ酸塩などが挙げられる。リゾチームは、最も早くは、フレミングによって発見された生体内に広く存在する内因性酵素である。リゾチームは、世界的に食用または医薬として認可されている。米国では安全に使用できる物質とされている。WHO、欧州諸国、日本及び中国は、食品添加物としての使用を許可している。中国、日本、シンガポールなどでは、鼻炎、咽頭炎、口腔潰瘍、水痘、帯状疱疹、扁平いぼなどの治療のために、薬用が認可されている。市販されている製品には、Neuzym(登録商標)、Mucozome(登録商標)、来索鋭(登録商標)などが含まれる。リゾチームが抗菌作用を発揮するメカニズムは主に細菌細胞壁中のペプチドグリカンを加水分解することであり、抗ウイルス作用のメカニズムは主に負に帯電したウイルスとの電荷相互作用である。
腸溶性製剤:腸溶性製剤とは、胃では薬剤が放出されないか、ほとんど放出されないが、腸に入り、腸のある部位では薬剤の大部分または全部が放出される製剤をいう。人体の腸管は小腸と大腸を含み、その中で小腸は十二指腸、空腸、回腸、大腸は盲腸、結腸、直腸に分けられる。消化管の異なる部位は異なるpH値を有し、例えば胃のpH値は約1~3であり、小腸のpH値は約4~7であり、大腸のpH値は約7~8である。pH依存性分解材料を製剤補助材料として用いることにより、消化管の特定部位に薬剤を指向的に放出する製剤、例えば小腸腸溶性製剤または大腸腸溶性製剤を製造することができる。具体的には、十二指腸腸溶性製剤、空腸腸溶性製剤、回腸腸溶性製剤、盲腸腸溶性製剤、結腸腸溶性製剤または直腸腸溶性製剤などを含むことができる。
乾癬:すなわちPsoriasisであり、標準的な医学診断の方法に従って判定することができる。乾癬はいろいろな分類があり得る。乾癬は、病理学的特徴から分類すると、滴状乾癬、尋常性乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症などに大別することができ、具体的な区別方法は医学診断分野でよく知られている。乾癬は、重症度によって軽度、中等度、重度に分けることができ、重症度はPASI(Psoriasis Area Severity Index、乾癬皮膚損傷面積及び重症度指数)スコアで区分することができる。PASIは国際的に広く採用されている乾癬の重症度を反映する一つのスコア指標であり、このスコアシステムは頭部、上肢、体幹、下肢の四部位の紅斑、落屑、浸潤、罹患面積などの指標の等級を用いて総合スコアを行い、スコアが高いほど、乾癬の重症度が重いことを示し、具体的なスコア規則は医学診断分野でよく知られている。また発症部位によっては、乾癬は、頭皮乾癬、間擦性乾癬、指/爪先乾癬などに分類することができる。
薬剤耐性乾癬:特定の薬剤に対して耐性を有する乾癬を意味し、これらの乾癬は、これらの薬剤を用いる治療が無効である。これらの薬剤は外用治療薬剤及び全身性治療薬剤を含み、外用治療薬剤は、副腎皮質ホルモン、ビタミンD類似体、ビタミンA酸類似体、カルシニューリン阻害剤、芳香族炭化水素受容体アゴニスト、アントラリン、コールタール、サリチル酸などの局所的に乾癬治療作用を発揮する薬剤を含むが、これらに限定されず、全身性治療薬剤は、ビタミンA酸類似体、メトトレキサート、カルシニューリン阻害剤、ホスホジェステラーゼ阻害剤、ヤヌスキナーゼ阻害剤、腫瘍壊死因子阻害剤およびインターロイキン阻害剤などの全身的に乾癬治療作用を発揮する薬剤を含むが、これらに限定されない。
有効:治療後の乾癬PASIスコアは治療前のスコアの50%以下であり、すなわち治療後のPASIスコアは50%以上低下した。
無効:治療後の乾癬PASIスコアは治療前のスコアの50%より大きく、すなわち:治療後のPASI÷治療前のPASI×100%>50%。
再発:治療効果のある患者は、治療を一定時間停止した後、PASIスコアは治療前のPASIスコアの50%以上に上昇した。
【0068】
本発明において、イミキモドに誘導された乾癬モデル動物を採用し、そのうち局所薬剤に対する効果が悪い個体を選別し、低用量のイミキモドを採用し、動物は炎症因子レベルが全体的に高くない場合、乾癬病変を維持する。それぞれリゾチーム普通経口製剤と腸溶性製剤で処理し、結果は腸溶性製剤の効果が良いことを示した。種々の製剤で処置された動物の腸管樹状細胞(特に結腸樹状細胞)は、数において有意な差を示したことが観察された。また、過敏反応に関連する免疫グロブリンEは顕著に上昇し、腸管樹状細胞数が増加する傾向と一致する。結果から、腸管樹状細胞の過剰増殖と身体感受性の過剰増加は、特定の薬剤耐性乾癬の薬剤に対する耐性の原因の一つであるかもしれないことが示唆された。リゾチーム腸溶性製剤による薬剤耐性乾癬の治療及び再発防止のメカニズムは腸管樹状細胞に対する抑制作用と関係がある可能性がある。薬剤耐性を有するこれらの乾癬の場合、従来の治療方法に従って炎症因子のレベルを単純に調節することは、治療および再発防止効果を達成することができない可能性がある。
【0069】
以下、動物実験と症例を用いて本発明を具体的に説明する。
【0070】
使用される試験動物、試薬等は、いずれも市販で得られる。試験に使用される関連試験方法および関連機器の具体的な操作方法などは、当業者に周知である。
【0071】
使用されるリゾチーム粒子、リゾチーム腸溶性粒子、プラセボ腸溶性粒子は自製されたものであり、製造方法は以下のとおりである:力価が20000U/mgより大きいリゾチームを原料とし、等量の澱粉を加え、均一に混合し、結合剤(水)を加えて造粒し、乾燥し、リゾチーム粒子を得る。調製したリゾチーム粒子に腸溶性コーティング(HPMC)を施し、リゾチーム腸溶性粒子を得る。プラセボ腸溶性粒子はリゾチームを使用せずに澱粉のみを原料とし、リゾチーム腸溶性粒子と同じ工程を用いて調製する。使用されるリゾチームトローチは、湘北威爾曼製薬有限公司が生産した「新溶君美」であり、主に普通の錠剤の補助材料に矯味剤を加えて調製したものである。使用されるリゾチーム腸溶性錠剤は湘北威爾曼製薬有限公司が生産した「来索鋭」であり、主に普通の錠剤の補助材料に腸溶コーティング材料を添加して製造され、薬剤が主に小腸内に放出されることに有利である。使用されるリゾチーム結腸腸溶性錠剤は湘北威爾曼製薬有限公司により製造され、リゾチームを原料とし、普通の錠剤の補助材料を用いて打錠し、市販の結腸腸溶性コーティング材料でコーティングして製造され、薬剤が主に結腸部位で放出されることに有利である。
【0072】
実施例1 リゾチーム粒子と腸溶性粒子のイミキモドに誘導された乾癬様動物モデルに対する作用
試験薬剤:リゾチーム粒子、リゾチーム腸溶性粒子、プラセボ腸溶性粒子。
試験動物:体重18~22gのBALB/Cマウス。
モデル化:イミキモドで、マウスの皮膚に乾癬様病変を誘導した。マウスの背部を脱毛して約3cm×2cmの皮膚露出領域を形成し、モデル群動物はこの皮膚露出領域に毎日5%のイミキモドクリームを約60mg塗布し、正常対照群動物は等量のワセリンを塗布し、7日間連続した。2日目にモデル群動物の皮膚に紅斑が出現し、3~4日目に鱗屑が出現し、皮膚の顕著な肥厚、および紅斑の色が徐々に濃くなったことが観察された。これらの変化は人の乾癬による皮膚損傷と非常に類似しており、同時にTNF-α、IL-17などの因子レベルは正常対照群マウスより顕著に高かったことは、モデル化に成功したことを示す。ヒトPASIの評価基準を参考にしてマウス乾癬重症度評価方法を確立し、紅斑、鱗屑、皮膚厚の3項目を指標とし、症状の程度に応じて0~4点でスコアし、3項目の指標の得点を合計して総得点mPASIを得て、スコア基準は以下のとおりである:無症状を0点、軽度を1点、中等度を2点、重度を3点、極重度を4点と表記する。
選別:7日間のモデル化の完了後、モデル化に成功したマウスをそれぞれmPASIスコア化した。イミキモドの投与中止はマウスの乾癬様症状を経時的且つ徐々に軽減させるため、モデル化が完了した後も毎日10mgの低用量のイミキモドを塗布して維持した。また、毎日、約30mgの0.005%カルシトリオール軟膏で病変領域に塗布し、1日に1回、連続して3日間塗布した。カルシポトリオールを使用して3日後、mPASIスコアの50%未満の改善を有する動物を選別して、合計24匹で次の操作に進める。
群分けと投与:選別した24匹のマウスを無作為に3群、すなわちリゾチーム粒子群、リゾチーム腸溶性粒子群、プラセボ腸溶性粒子群に分け、各群は8匹である。また、モデル化段階の正常対照群マウス8匹を正常対照群とした。各群はそれぞれ対応する薬剤を投与し、リゾチーム粒子群はリゾチーム粒子を投与し、リゾチーム腸溶性粒子群はリゾチーム腸溶性粒子を投与し、プラセボ腸溶性粒子群と正常対照群はプラセボ腸溶性粒子を投与し、投与量は20mg/kgで、毎日1回投与し、7日間連続投与した。期間中、正常対照群を除いた各群は毎日連続して10mgの低用量で5%イミキモドを塗布した。実験中、プラセボ群の1匹のマウスが死亡した以外、残りの動物は実験過程を完成した。
結果収集および分析処置:投与完了後に生存マウスをmPASIスコア化し、投与前のものに対するmPASI改善率を計算した。mPASI改善率=(投与前mPASI-投与後mPASI)÷投与前mPASI。マウスの静脈血を採取し、酵素結合免疫吸着法を用いて血清TNF-α、IFN-γ、IL-17、IgEレベルを測定した。動物を屠殺した後、小腸および結腸を分離し、それぞれ小腸単一細胞懸濁液および結腸単一細胞懸濁液を作製し、マウスCD11cマブで標識し、フローサイトメトリーにより、それぞれ小腸単一細胞懸濁液および結腸単一細胞懸濁液中の樹状細胞の数(パーセント)を測定した。表1~3は実験データを統計分析した結果であり、記号*はプラセボ群と比較してp<0.05であることを示し、記号**はプラセボ群と比較してp<0.01であることを示し、符号#は一般粒子群と比較してp<0.05であることを示し、符号##は一般粒子群と比較してp<0.01であることを示し、記号&は正常対照群と比較してp<0.05であることを示し、記号&&は正常対照群と比較してp<0.01であることを示す。
【0073】
実施例2 リゾチーム腸溶性錠剤の、ハロメタゾン、カルシポトリオールベタメタゾンが無効な乾癬に対する作用
48歳の女性患者で、10年間の乾癬歴があった。患者はハロメタゾンクリーム、カルシポトリオールベタメタゾンを交互に使用し、効果がよくなく、PASIスコアは6.8であった。その後、リゾチーム腸溶性錠剤を一日2回、毎回100mgで服用し、2ヶ月連続服用後に明らかな改善は見られず、PSAIは6.5であった。その後、リゾチーム腸溶性錠剤を一日2回、毎回250mgで服用するように調整し、2ヶ月連続服用後にPASIスコアは52%低下し、さらに一日2回、毎回1000mgで3ヶ月服用すると、PASIスコアは90%低下し、鱗屑はほぼ消失し、少量の紅斑があった。続いて、一日2回、毎回500mgで継続して2ヶ月服用し、皮膚損傷と紅斑はすべて消失し、皮膚は正常な状態に回復し、投薬を停止した。1年後に患者を訪ね、患者の乾癬の症状は見られなかった。3年後に患者は、状況がよいと訴え、乾癬は再発せず、期間中に他の乾癬治療薬を使用しなかった。
【0074】
実施例3 リゾチームトローチと腸溶性錠剤の、カルシポトリオールが無効な乾癬に対する作用
58歳の男性乾癬患者で、4年間乾癬を罹患し、罹患部位は主に腕、大腿、下腿であった。患者はカルシポトリオール軟膏を1ヶ月使用し、皮膚刺激性が大きく、病状の軽減の兆候はなく、PASIスコアは5.3であり、治療前より10%しか改善しなかった。その後、リゾチームトローチを一日に2回、毎回500mgで服用し、2ヶ月連続服用後に疾患の軽減は見られず、続いて一日2回、毎回1000mgの用量で1ヶ月間服用しても改善せず、投薬を停止した。2年後に患者を訪ね、患者は投薬を停止した後、メトトレキサート錠剤で治療し、乾癬は緩和されたが、その後2回再発し、現在まだ大腿部に大量の紅斑があったと訴えた。この患者は、リゾチーム腸溶性錠剤を試すことが推奨された。その後、患者は一日3回、毎回1000mgでリゾチーム腸溶性錠剤を服用し、6ヶ月連続服用した後、皮膚は徐々に正常状態に戻った。
【0075】
実施例4 リゾチーム腸溶性錠剤の、メトトレキサートが無効な乾癬に対する作用
41歳女性患者で、3年間の乾癬歴があった。かつて、トレチノインクリーム、カルシポトリオール軟膏などを用いた治療で好転し、投薬を停止して3ヶ月後に再発し、メトトレキサートを経口服用して治療した後、病状は軽減されず、PASIスコアは9.3であり、前胸と背中の多くの部位は落屑と皮膚浸潤があった。その後、1日3回、毎回2000mgでリゾチーム腸溶性錠剤を服用した。4ヶ月連続服用後に状況が好転し、罹患部位の皮膚損傷と落屑が明らかに軽減し、PASIは60%低下し、続いて3ヶ月服用し、少量の紅斑しか残っておらず、PASIは1.7であった。引き続き1日2回、1回に1000mgの用量で3ヶ月間治療を継続し、皮膚は正常に回復し、投薬を停止した。投薬停止3年後に患者を訪ね、患者は再発しなかったと訴えた。
【0076】
実施例5 リゾチーム結腸腸溶性錠剤の、シクロスポリンが無効な乾癬に対する作用
52歳女性患者で、6年間の乾癬歴があった。タザロテンクリームで2ヶ月治療後にも無効であり、代わりにシクロスポリンカプセルを投与し、10日後に多くの皮膚に小膿瘍が密集して出現し始め、膿疱性乾癬と診断され、PASIスコアは11.7に達した。その後、1日に3回、毎回2000mgでリゾチーム結腸腸溶性錠剤を服用した。2ヶ月連続服用後に大面積膿瘍は消失し、PASIは85%低下し、続いて1ヶ月連続服用後に膿瘍は完全に消失した。続いて1日に2回、毎回1000mgの用量で1ヶ月間連続服用後、皮膚は正常に回復し、投薬を停止した。投薬を停止してから5年が経過し、患者は正常に食事をして、生活しており、乾癬の再発はなかった。
【0077】
実施例6 リゾチーム結腸腸溶性錠剤の、TNF-α阻害剤が無効な乾癬に対する作用
37歳の男性で、5年間の乾癬歴があり、前胸と背中に多くの落屑と皮膚浸潤があった。かつて、トレチノインクリーム、カルシポトリオール軟膏、メトトレキサート錠剤などを用いて治療したが、病状は軽減せず、重度に変わり、PASIは13.8であった。アダリムマブを用いて治療したが、1コース後にPASIは32%しか改善されなかった。その後、1日2回、毎回2000mgでリゾチーム結腸腸溶性錠剤を服用した。1ヶ月半連続服用した後の状況は明らかに好転し、上肢の罹患部位はすでに気が付きにくくなり、引き続き1ヶ月間服用し、大腿、前胸と背中の部位は明らかに減少し、PASIは1.1であった。続いて1日2回、毎回1000mgの用量で1ヶ月間治療を維持し、皮膚はほぼ正常に回復し、投薬を停止した。投薬停止3年後に患者を訪ね、患者は再発しなかったと訴えた。
【0078】
実施例7 リゾチーム結腸腸溶性錠剤の、IL-17阻害剤が無効な乾癬に対する作用
62歳女性患者で、15年の乾癬歴があった。直前の乾癬治療ではセクキヌマブが使用されたが、非寛容状態が出現し、PASIは10%のみ低下したと評価され、まだ高くも8.7に達した。その後、1日2回、毎回1000mgでリゾチーム結腸腸溶性錠剤を投与した。2ヶ月連続投与後にPASIは2.0に低下し、続いて1日2回、毎回500mgの用量で2ヶ月間治療を維持し、患者の皮膚は正常に回復し、投薬を停止した。投薬を停止してから3年後に患者を訪ね、患者は体が健康であり、乾癬の再発はなかったと訴えた。
【0079】
上記の症例研究は、既存の薬剤による治療が無効であった乾癬患者の一部は、それらのPASIスコアが一般的に5以上であり、リゾチーム製剤を使用した後、驚くべきことに非常に良好な結果が得られたことを示している。長期の服用を経て、疾患は基本的に完全に緩和され、特に、投薬を停止してから数年後に、乾癬の再発が出現せず、かつリゾチームと関連する不良反応が出現しなかった。リゾチーム製剤を服用しているこれらの薬剤耐性乾癬患者からは、リゾチームの一般的な経口製剤(例えば、トローチ)の効果がよくではなく、腸溶性製剤(例えば、腸溶性錠剤)の効果が良好であったと認められる。結腸溶解性製剤(例えば、結腸腸溶性錠剤)は、最も効果的であり、迅速に作用することができる。
【0080】
以上、一般的な説明及び具体的な実施形態を用いて本発明を詳細に説明してきたが、当業者には明らかなように、本発明に基づいていくつかの変更又は修正を加えることができる。従って、本発明の精神から逸脱することなくなされたこれらの修正又は改良は、本発明の範囲内にあるものとする。