(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-14
(45)【発行日】2023-07-25
(54)【発明の名称】金属セラミック基板および該金属セラミック基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
H05K 7/20 20060101AFI20230718BHJP
H01L 23/13 20060101ALI20230718BHJP
H05K 1/02 20060101ALI20230718BHJP
H05K 3/00 20060101ALI20230718BHJP
【FI】
H05K7/20 B
H01L23/12 C
H05K1/02 F
H05K3/00 X
(21)【出願番号】P 2022531608
(86)(22)【出願日】2020-10-19
(86)【国際出願番号】 EP2020079346
(87)【国際公開番号】W WO2021121728
(87)【国際公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-05-27
(31)【優先権主張番号】102019135146.4
(32)【優先日】2019-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】515063390
【氏名又は名称】ロジャーズ ジャーマニー ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Rogers Germany GmbH
【住所又は居所原語表記】Am Stadtwald 2, D-92676 Eschenbach, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100116322
【氏名又は名称】桑垣 衛
(72)【発明者】
【氏名】ギル、ビタリ
(72)【発明者】
【氏名】マチュー、オリヴィエ
(72)【発明者】
【氏名】ポルスター、セバスチャン
【審査官】齊藤 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-22914(JP,A)
【文献】特開2004-115337(JP,A)
【文献】特開2008-218938(JP,A)
【文献】特開2011-166122(JP,A)
【文献】特開2013-62506(JP,A)
【文献】特表2014-534946(JP,A)
【文献】特表2015-534280(JP,A)
【文献】国際公開第2019/166259(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/13―23/15
H01L 23/36―23/373
H05K 1/00―3/46
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気部品用のキャリア基板(1)であって、
セラミックを含む材料または1つ以上のセラミック層を含む複合材料を好ましくは有する絶縁層(10)と、
部品側(BS)に形成されて第1の一次構造(21)を有する部品メタライゼーション(20)と、
前記部品側(BS)の反対の冷却側(KS)に形成されて第2の一次構造(31)を有する冷却部メタライゼーション(30)と
を備え、
前記絶縁層(10)、前記部品メタライゼーション(20)、および前記冷却部メタライゼーション(30)は、積層方向(S)に沿って上下に配置され、
前記第1の一次構造(21)および前記第2の一次構造(31)は、前記積層方向(S)から見て、少なくとも部分的に一致して延びている、
キャリア基板(1)において、
前記冷却部メタライゼーション(30)は、前記冷却構造の特に一部である第2の二次構造(32)を有し、
前記第2の一次構造(31)は、第2の深さ(T2)および第2の幅(B2)を有し、前記第2の二次構造(32)は、別の第2の深さ(T2’)および別の第2の幅(B2’)を有し、前記第2の深さ(T2)は、前記別の第2の深さ(T2’)よりも大きいかまたは小さいことと、
前記第2の幅(B2)は、前記別の第2の幅(B2’)よりも大きいかまたは小さいことと
のうち少なくとも一方を備えることを特徴とするキャリア基板(1)。
【請求項2】
前記第2の一次構造(31)は冷却構造の一部である、請求項1に記載のキャリア基板(1)。
【請求項3】
前記部品メタライゼーション(20)は、前記積層方向(S)に寸法が定められた第1の厚さ(D1)を有し、前記第1の厚さ(D1)は少なくとも1mm、好ましくは1.3mmより大きく、より好ましくは1.5mmから3mmの間である、請求項1
または2に記載のキャリア基板(1)。
【請求項4】
前記冷却部メタライゼーション(20)は第2の厚さ(D2)を有し、前記第2の厚さ(D2)に対する前記第1の厚さ(D1)の比は、0.2から0.9、好ましくは0.5から0.8、より好ましくは0.6から0.75の値をとる、請求項1乃至
3のいずれか一項に記載のキャリア基板(1)。
【請求項5】
前記第2の一次構造(31)は残留金属厚さ(RD)を有し、前記第2の厚さ(D2)に対する前記残留金属厚さ(RD)の比は、0.01から0.7の間、好ましくは0.05から0.4の間、より好ましくは0.1から0.3の間の値を好ましくはとる、請求項1乃至
4のいずれか一項に記載のキャリア基板(1)。
【請求項6】
前記第2の厚さ(D2)と前記第2の深さ(T2)との間の差は第1の厚さ(D1)に実質的に等しい、請求項1乃至
5のいずれか一項に記載のキャリア基板(1)。
【請求項7】
前記冷却部メタライゼーション(30)は、前記絶縁層(10)に対して直接的に接合されている、請求項1乃至
6のいずれか一項に記載のキャリア基板(1)。
【請求項8】
前記第1の一次構造(21)および前記第2の一次構造(31)間の前記積層方向(S)に寸法が定められた一致部分に対する、前記積層方向(S)に寸法が定められた非一致部分の第1の割合の比は、0.6未満、好ましくは0.4未満、より好ましくは0.2未満である、請求項1乃至
7のいずれか一項に記載のキャリア基板(1)。
【請求項9】
前記第2の一次構造(31)は、前記絶縁層(10)に面する端部が角形、例えば矩形状もしくは三角形状、放物線状、または円形の終端を有する、請求項1乃至
8のいずれか一項に記載のキャリア基板(1)。
【請求項10】
前記第2の一次構造(31)は、該第2の一次構造(31)の延在方向に沿って、主延長面(HSE)に垂直に延びる方向に少なくとも部分的に変化し、特に周期的に調整されている、請求項1乃至
9のいずれか一項に記載のキャリア基板(1)。
【請求項11】
前記キャリア基板は、電気部品用の金属セラミック基板である、請求項1乃至
10のいずれか一項に記載のキャリア基板(1)。
【請求項12】
部品メタライゼーション(20)は、前記第1の一次構造(21)に加えて、例えば、接続および導体トラックのうち少なくとも一方が前記部品側で選択的に形成される第1の二次構造を有する、請求項1乃至
11のいずれか一項に記載のキャリア基板。
【請求項13】
請求項1乃至
12のいずれか一項に記載のキャリア基板(1)を製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属セラミック基板および該金属セラミック基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば金属セラミック基板の形状の電気部品用のキャリア基板は、例えば、プリント回路基板または回路基板として、例えば、特許文献1、特許文献2、および特許文献3により、従来から公知である。通常、電気部品と導体トラックとの接続領域は、金属セラミック基板の部品側に配置され、電気回路を形成するように電気部品と導体トラックを相互に接続することが可能である。金属セラミック基板の実質的な構成要素は、好ましくはセラミック製の絶縁層と、絶縁層に対して接合された金属層および/または部品メタライゼーションとを含む。比較的高い絶縁強度により、セラミック製の絶縁層は、パワーエレクトロニクスにおいて特に効果的である。金属層を構造化すると、電気部品用の導体トラックおよび/または接続領域を実現することができる。
【0003】
このようなキャリア基板、特に金属セラミック基板に関しては、一方の絶縁層と他方のメタライゼーションとの材料選択が異なることにより熱膨張係数が異なるという問題がある。これは、例えば、キャリア基板の動作中または製造中に熱が発生した際に熱機械的応力を誘発または引き起こすため、キャリア基板の曲がり又は損傷につながりかねない。したがって、従来技術では、積層方向の熱膨張係数に関して対応する対称性で曲げを打ち消すために、部品メタライゼーションとは反対側の絶縁層の側に裏面メタライゼーションを提供することが確立されている。しかしながら、部品メタライゼーションは一般に0.8mmより厚くならないため、裏面メタライゼーションの対称的な設計では、対応して形成された裏面のメタライゼーションが非常に薄くなるため、過負荷の状況においてバッファを提供するよう特に所望されるような必要な熱容量を提供しない結果となる。これにもかかわらず、先行技術では、裏面メタライゼーションを構造化しないのは、銅の含有量が減少するために、主延長面に平行な方向および垂直な方向の熱流路を妨害または劣化させ、その後、空気またはフィラーで置換しなければならないためである。さらに、キャリア基板の裏面にある絶縁トレンチが満たされずに絶縁層まで伸びている場合、電気的な問題が発生し得る。
【0004】
さらに、従来技術には、冷却構造、例えばフィン状のヒートシンクがあり、これは、通常、裏面メタライゼーションに対して接合されることで、動作中または製造中に適切な放熱を提供する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】独国特許出願公開第102013104739号明細書
【文献】独国特許発明第19927046号明細書
【文献】独国特許出願公開第102009033029号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来技術に関して、本発明は、特に熱またはエネルギの除去の効率に関して、および熱機械的に誘発された歪みを打ち消す手段に関して、従来技術で周知のキャリア基板から改善されたキャリア基板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本目的は、請求項1に記載の電気部品用のキャリア基板および請求項15に記載のキャリア基板の製造方法によって達成される。本発明のさらなる効果および特性は、詳細な説明および添付の図面と共に、従属請求項によりもたらされる。
【0008】
本発明の第1の態様によれば、電気部品用のキャリア基板、特に電気部品用の金属セラミック基板が提供される。キャリア基板は、
好ましくはセラミックを含む材料または1つ以上のセラミック層を含む複合材料を有する絶縁層と、
部品側に形成されて第1の一次構造を有する部品メタライゼーションと、
部品側の反対の冷却側に形成されて第2の一次構造を有する冷却部メタライゼーションと、を備え、
絶縁層、部品メタライゼーション、および冷却部メタライゼーションは、積層方向に沿って上下に配置され、第1の一次構造および第2の一次構造は、積層方向から見て、少なくとも部分的に一致して延びる。
【0009】
従来技術から周知のキャリア基板と比較して、本発明は、第1の一次構造および第2の一次構造が、積層方向から見て少なくとも部分的に一致する。これにより部品メタライゼーションと冷却部メタライゼーションとの間の対称的な設計が大幅に向上し、キャリア基板の歪みを有利に打ち消す。換言すれば、部品メタライゼーションと裏面メタライゼーションとの間の対称的な設計は、それぞれの厚さの対応する設計に排他的に限定されるのではなく、好ましくは、第1および第2の一次構造の一致配置を設定することによって具体的に実施されるかまたは支持される。これは、部品メタライゼーションと冷却部メタライゼーションとの間の対称性を有利に増大させ、歪みを効果的に打ち消し得る。
【0010】
ここで、構造、特に第1の一次構造および第2の一次構造は、それぞれのメタライゼーション、すなわち、冷却側メタライゼーションまたは部品メタライゼーションの外側に形成される凹部または窪みを意味する。ここで、対応する凹部、すなわち、第1の一次構造および/または第2の一次構造は、主延長面に実質的に平行な延長方向に沿って延びることが好ましい。さらに、絶縁層、部品メタライゼーション、および冷却部メタライゼーションは、それぞれ主延長面に沿って延び、また主延長面に垂直な積層方向に上下に配置される。特に、冷却部メタライゼーションは、例えば、DCBまたはAMBプロセスを介して、絶縁層、特に絶縁層の冷却側に対して直接的に接合される。冷却メタライゼーションは、例えば、その後に形成されてもよい。例えば、裏面メタライゼーションは、例えば、DCBまたはAMBプロセスによってこの目的のために形成され、その後、網状のピン要素が裏面メタライゼーションに接合されることで、冷却部メタライゼーションを形成するフィン構造を形成する。部分的に一致した経路を参照する限り、特に第1の一次構造および第2の一次構造のそれぞれの延在方向に沿って少なくとも部分的に一致した配置が理解される。例えば、第1の一次構造、第2の一次構造、第1の二次構造、および/または第2の二次構造の構造は、エッチング、フライス加工、スタンピング、押出成形、押出し、冷間押出し、またはこれらのプロセスの組み合わせによって形成される。
【0011】
構造、すなわち第1および第2の一次構造の一致配置によって、積層方向から見た場合、構造、すなわち、冷却側メタライゼーションおよび部品メタライゼーションにおける凹部または窪みは、少なくとも部分的に重なって配置されていると理解されることが好ましい。換言すれば、積層方向から見た場合、第1の一次構造および第2の一次構造の突部が重なる。ここでは、第1の一次構造および第2の一次構造は実質的に同じ幅を有し、積層方向から見た場合に構造は完全に重なる、すなわち、第1の一次構造および第2の一次構造の境界も互いに一致するよう配置されるとも考えられる。第1の一次構造および第2の一次構造の一致配置は、第1および第2の一次構造が積層方向で部分的にのみ互いに重なり合って配置されているものとしても理解され得る。例えば、第1の一次構造および第2の一次構造の中心点または中心は、積層方向から見た場合に、上下に配置されているか、または互いにずれているとも考えられる。好ましくは、中心が互いにずれる距離は、2つの構造(すなわち、第1の一次構造または第2の一次構造)の狭い方の幅よりも小さく、好ましくは、2つの構造の狭い方の幅の50%未満であり、より好ましくは2つの構造の狭い方の幅の25%未満である。中心点は、冷却側メタライゼーションおよび/または部品メタライゼーションにおける構造の横方向の境界の間の中心として理解される。
【0012】
さらに、第1の一次構造または第2の一次構造の幅、好ましくは、2つの構造(すなわち、第1の一次構造および第2の一次構造)のより狭いほうまたはより広いほうに対する、積層方向から見た第1の一次構造および第2の一次構造の重なり合う領域の割合は、50%を超える、好ましくは75%を超える、より好ましくは90%を超えるとも考えられる。
【0013】
さらに、積層方向から見た場合に、複数の第1の一次構造は第2の一次構造に一致して配置されるか、または積層方向で見た場合に、複数の第2の一次構造は第1の一次構造に一致して配置されることが考えられる。
【0014】
さらに、絶縁層は、セラミック層、特に単一のセラミック層で形成されることが好ましい。絶縁層は多層であり、例えば、セラミックで形成された一次層および二次層を有し、一次層と二次層との間に金属中間層が配置され、積層方向で計測した場合に、金属中間層は、一次層および/または二次層よりもより厚い、および/または1mmより大きいことが考えられる。この場合、熱の分割はすでに絶縁層でサポートされ得るため放熱が促進される。したがって、本出願の趣旨の範囲内における絶縁層は、複数層から形成され得る複合体であると当業者によって理解される。また、絶縁層は、第1のセラミック材料の第1の層と第2のセラミック材料の第2の層とが積層方向に沿って上下に配置されて絶縁層を形成するハイブリッドセラミック層であるとも考えられる。
【0015】
さらに、部品メタライゼーションおよび/または冷却部メタライゼーションは、例えば、DCBプロセス、AMBプロセスによって、または薄膜技術によって、直接的にそのまま絶縁層に接合される。さらに、金属セラミック基板は、例えば、冷却側メタライゼーションまたは部品メタライゼーションの一部として、セラミック層の外側に接合される、1つ以上の金属層または金属部分を含む。金属層およびセラミック層は、主延長面に沿って延在しかつ主延長面に垂直に延在する積層方向に沿って上下に配置される。メタライゼーションまたは金属部分の材料としては、銅、アルミニウム、モリブデン、および/またはそれらの合金およびCuW、CuMo、CuAl、AlCuおよび/またはCuCuなどのラミネート、特に第1の銅層および第2の銅層を有しかつ第1の銅層の粒径が第2の銅層とは異なる銅サンドイッチ構造が考えられる。さらに、1つ以上のメタライゼーション、特に部品メタライゼーションが表面改質されていることが好ましい。考えられる表面改質は、例えば、貴金属、特に銀および/もしくは金、もしくはENIG(「無電解ニッケル置換金メッキ」)によるシーリング、または亀裂の形成または膨張を抑制するための第1または第2のメタライゼーション層のエッジカプセル化である。
【0016】
好ましくは、セラミック層は、Al2O3、Si3N4、AlN、HPSXセラミック(すなわち、ZrO2のxパーセント部分を含むAl2O3基質を有するセラミック、例えば、9%のZrO2=HPS9を有するAl2O3または25%のZrO2=HPS25を有するAl2O3)、SiC、BeO、MgO、高密度MgO(理論密度の90%以上)、TSZ(正方安定化酸化ジルコニウム(tetragonally stabilized zirconium oxide))、またはZTAをセラミックの材料として含む。また、さまざまな所望の特性を組み合わせるために、材料組成が異なる複数のセラミック層を重ね合わせて接合することで絶縁層を形成する複合セラミックまたはハイブリッドセラミックとして絶縁層を設計することも考えられる。好ましくは、可能な限り低い熱抵抗のために、可能な限り伝熱性を有するセラミックが使用される。
【0017】
好ましくは、メタライゼーションは、AMBプロセスおよび/またはDCBプロセスによって絶縁層に接合される。
「DCBプロセス」(銅直接接合技術(direct copper bond technology))または「DABプロセス」(アルミニウム直接接合技術(direct aluminum bond technology))は、表面側に層またはコーティング(融合層)を有する金属もしくは銅のシートまたは金属もしくは銅の箔を使用して、例えば、金属層またはシート(例えば、銅のシートもしくは箔またはアルミニウムのシートもしくは箔)を互いにおよび/またはセラミックあるいはセラミック層に接合するために使用されるようなプロセスであると当業者に理解されている。このプロセスでは、例えば米国特許第3744120号明細書または独国特許発明第2319854号明細書に記載されているように、この層またはコーティング(融合層)は、金属(例えば銅)の溶融温度より低い溶融温度で共晶を形成するため、セラミック上に箔を載せて全ての層を加熱することによって、すなわち、実質的に融合層または酸化物層の領域だけで金属または銅を溶融させることで、それらを互いに接合できる。
【0018】
特に、DCBプロセスは例えば以下の工程を有する。
・均一な酸化銅層が形成されるように銅箔を酸化する工程と、
・銅箔をセラミック層上に載せる工程と、
・複合物を1025°Cから1083°Cの間のプロセス温度、例えば約1071℃まで加熱する工程と、
・室温まで冷却する工程。
【0019】
例えば金属層または金属箔、特に銅層または銅箔をセラミック材料に接合するアクティブはんだ付けプロセスは、特に金属セラミック基板の製造にも使用されるプロセスを意味する。接合は、銅、銀、および/または金などの主成分に加えて活性金属も含むろう付け合金を使用して、約600から1000°Cの間の温度で金属箔(例えば銅箔)とセラミック基板(例えば窒化アルミニウムセラミック)との間に発生する。例えばHf、Ti、Zr、Nb、Ceのうちの1つ以上の元素であるこの活性金属は、化学反応によってろう付け合金とセラミックとの間の連結を確立する一方、ろう付け合金と金属との間の連結は金属ろうによる連結である。あるいは、厚膜プロセスも接合のために考えられる。
【0020】
特に好ましい実施形態によれば、第2の一次構造は冷却構造の一部である。これにより、第2の一次構造に二重の機能が与えられる。つまり、一方ではキャリア基板の対称性を増加させ、他方では冷却流体、例えば冷却液や冷却ガスを絶縁層に比較的近くに案内することで冷却流体と冷却部メタライゼーションとの間の接触面積も増加させる。これは、冷却部メタライゼーションの冷却効率に良い影響を与える。
【0021】
本発明の別の実施形態によれば、冷却部メタライゼーションは、冷却構造の特に一部である第2の二次構造を有し、第2の一次構造は、第2の深さおよび第2の幅を有し、第2の二次構造は、別の第2の深さおよび別の第2の幅を有し、
第2の深さは、別の第2の深さよりも大きいかまたは小さく、
第2の幅は、別の第2の幅よりも大きいかまたは小さい。
【0022】
特に、冷却部メタライゼーションにおける第2の二次構造は、動作中に冷却流体によって囲まれるフィン構造を提供する。第2の一次構造および第2の二次構造は、冷却流体が両方に供給される、および/またはそれに沿って冷却流体が案内される共通の冷却構造を形成することが特に好ましい。あるいは、第2の一次構造および第2の二次構造には、それぞれ、別個に冷却流体が供給されることも考えられる。第2の二次構造の別の第2の深さよりも大きい第2の深さを形成することにより、第2の一次構造は、冷却部メタライゼーションに深く突出するため、冷却流体を絶縁層の非常に近くに案内する。さらに、第2の二次構造、すなわち、第2の二次構造によって形成される特にフィン構造が、積層方向から見て、部品メタライゼーションの金属部分の下に配置されることが特に好ましく、部品メタライゼーションの金属部分は、第1の一次構造によって固定されおよび/または区切られる。各構造が深さおよび/または幅に関して調節および/または変化する限り、有効な深さまたは幅は、好ましくは、延在方向または延在方向に垂直な方向に沿ったその平均をとる。さらに、第2の深さは、10mmよりも小さい、好ましくは8mmよりも小さい、特に好ましくは7.5mmよりも小さい、あるいは1から5mmの間の値をとることが考えられる。好ましくは、第2の深さは、1から20mmの間、好ましくは1.5から15mmの間、より好ましくは3.5から10mmの間の値をとる。
【0023】
さらに、部品メタライゼーションは、第1の一次構造に加えて、例えば、接続および/または導体トラックが部品側で選択的に生成される第1の二次構造を有することが考えられる。したがって、第2の一次構造および第2の二次構造について説明したように、第1の一次構造および第1の二次構造の深さおよび幅に関する比がここで適用される。したがって、第1の一次構造および第1の二次構造は、特に、電子モジュールおよび/またはキャリア基板内の個々のモジュール部分を互いに分離するのに役立つ。
【0024】
好ましくは、第1の一次構造は第1の幅を有し、第2の幅は第1の幅よりも大きく、特に第1の幅と第2の幅の比は、0.6から1の間、好ましくは0.7から1の間、より好ましくは、0.8から1の間の値をとる。第1の幅よりも大きい第2の幅の対応する設計により、第1の一次構造によって分離および/または制限された金属部分の真下の第2の一次構造の部分においても、冷却流体を案内することが可能である。これにより、冷却効率を上げることが可能である。あるいは、第2の幅は第1の幅よりも小さいことも考えられる。好ましくは、第2の幅と第1の幅の比は、0.6から1の間、好ましくは0.7から1の間、より好ましくは、0.8から1の間の値をとる。特に、0.8から1の間の比において、効果的な放熱および歪みに対する効果的な打ち消しの両方を誘発できるおよび/または条件付けられると分かった。好ましくは、第1の幅および/または第2の幅は、1から10mmの間、好ましくは1から8mmの間、より好ましくは1から2mmの間の値をとる。例えば、第1の幅および/または第2の幅は、1.4mmの値をとる。好ましくは、別の第2の幅は、1mmよりも大きい、好ましくは1.2よりも大きい、より好ましくは1.5mmよりも大きい値をとる。
【0025】
特に好ましくは、部品メタライゼーションは、積層方向に寸法が定められた第1の厚さを有し、第1の厚さは少なくとも1mm、好ましくは1.3mmより大きく、より好ましくは1.5mmから3mmの間または2mmから4mmの間である。例えば、第1の厚さは2mmである。対応する比較的大きい第1の厚さにより、熱拡散は、部品メタライゼーションにおいてすでに起こり得るが、これは、キャリア基板の全体的な冷却効率に有利な効果を有する。対応する厚さ比の対称性からの逸脱は、比較的迅速におよび/または容易にキャリア基板の歪みにつながり得るため、部品メタライゼーションの対応する比較的厚い第1の厚さにより、一致する第1および第2の一次構造の設計は、特に有利である。したがって、一方での第1および第2の一次構造の一致配置と、他方での比較的大きい第1の厚さとの組み合わせは、特に有利である。
【0026】
好ましくは、冷却部メタライゼーションは第2の厚さを有し、好ましくは、第1の厚さと第2の厚さの比は、0.2から0.9の間、好ましくは0.5から0.8の間、より好ましくは0.5から0.75の間の値をとる。および/または、第2の一次構造は、残留金属厚さを有し、第2の厚さに対する残留金属厚さの比は、0.01から0.7の間、好ましくは0.05から0.4の間、より好ましくは0.1から0.3の間の値をとる。第2の厚さに対する第1の厚さの比は、少なくとも1、好ましくは1から15の間、より好ましくは1から10の間、特に好ましくは1.5から7の間の値をとることも考えられる。
【0027】
好ましくは、残留金属厚さは、0.1から1.5mmの間、好ましくは0.2から0.7の間、より好ましくは0.3から0.5mmの間の値をとる。ここで、残留金属の厚さは、好ましくは、第2の厚さと別の第2の深さとの間の差とちょうど同じ厚さかまたは薄い。第2の厚さと別の第2の深さとの間の差は、第2の二次構造の領域における冷却構造の連続的に延在する部分を決定するため、絶縁層と第2の二次構造の終端との間の距離によって決定される。好ましくは、第2の厚さと別の第2の深さとの間の差は、1mmよりも大きい、および/または第1の厚さよりも大きいかまたは小さい。第2の厚さと第2の深さとの間の差は第1の厚さに実質的に等しいことも考えられる。好ましくは、第2の厚さと別の第2の深さとの間の差は、0.2mmから5mmの間、好ましくは0.5から3.5mmの間、より好ましくは1.5から2.5mmの間の値をとる。
【0028】
特に、冷却部メタライゼーションにおける第2の一次構造の領域に残留金属厚さを形成することにより、冷却側の対応する熱容量を増加させることが考えられる。同時に、一致して配置された第1の一次構造および第2の一次構造の領域において、冷却側および部品側の分離が、絶縁層のみを通して行われることが回避される。これは、一致して配置されたの一次構造、すなわち第1の一次構造および第2の一次構造の領域において基板を有利に強化する。
【0029】
さらに、第2の深さと別の第2の深さとの間の差は、0.5から1.9mmの間、好ましくは1.3から1.8mmの間、より好ましくは1.5から1.7の間の値をとると考えられる。第2の深さと別の第2の深さとの差は、特に2つの第1の二次構造の間で連続的に延びる、冷却構造および/または冷却側メタライゼーションの固体部分の厚さを表す。
【0030】
好ましくは、別の第2の深さおよび残留厚さの合計に対する第1の厚さの比は、少なくとも0.75、好ましくは少なくとも1、より好ましくは少なくとも2の値をとる。さらに、好ましくは、別の第2の深さおよび残留厚さの合計に対する第1の厚さの比は、0.75から10の間、好ましくは1から8の間、より好ましくは1.5から5の間の値をとる。
【0031】
別の第2の深さは、例えば、0.5mmから30mmの間、好ましくは2から15mmの間、より好ましくは3mmから10mmの間、さらには1から5mmの間の値をとる。ここで、別の第2の深さは、好ましくは、フィンおよび/またはピンの長さによって決定される。別の第2の深さが10mmよりも大きいことも考えられる。
【0032】
冷却部メタライゼーションは、絶縁層に対して直接的に接合されることが好ましい。例えば、冷却部メタライゼーションの直接的な適用は、DCBまたはAMBプロセスによって実施される。対応する方法で、裏面メタライゼーションが省略され、第2の一次構造および第2の二次構造を有する冷却部メタライゼーションが絶縁層に直接的に接合される。
【0033】
好ましくは、第1の一次構造および第2の一次構造間の積層方向に寸法が定められた一致部分に対する、積層方向に寸法が定められた非一致部分の第1の割合の比は、0.6未満、好ましくは0.4未満、より好ましくは0.2未満である。一致部分の対応する大部分は、キャリア基板全体にわたって対称設計を有利に支持し、それにより、キャリア基板の広い領域にわたる歪みを回避することができる。
【0034】
好ましくは、第2の一次構造は、絶縁層に面する端部が角形、例えば矩形状もしくは三角形状、放物線状、波状、または円形の終端を有する。特に、キャリア基板の意図される用途に具体的に応じて、終端が対応して形成されることが考えられる。したがって、例えば、終端の形状は、歪みおよび/または放熱効率の特性に影響を与える可能性がある。
【0035】
好ましくは、第2の一次構造は、その延在方向に沿って、主延長面に垂直に延びる方向、すなわち、延長方向に沿って少なくとも部分的に変化し、特に周期的に調整(periodisch moduliert)されている。このようにして別の措置をとることで、熱容量および/または歪みに対する特定の適応および/または歪みの低減を行うことができ、好ましくは、キャリア基板の計画された使用に応じて実施される。
【0036】
第2の一次構造および/または第2の二次構造は、好ましくは、例えば、絶縁層に接合する前または後に、メタライゼーションおよび/または金属部分を機械加工することによって実施することができる。構造は、エッチング、フライス加工、スタンピング、押出し、冷間押出し等により製造されると考えられる。
【0037】
本発明の別の目的は、本発明によるキャリア基板、特に電気部品用の金属セラミック基板を製造するための方法である。キャリア基板について説明した全ての特徴は、同様に方法にも当てはまり、方法について説明した全ての特徴は、同様にキャリア基板にも当てはまる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】従来技術の実施形態によるキャリア基板の図。
【
図2】別の従来技術の実施形態によるキャリア基板の図。
【
図3】本発明の第1実施形態よるキャリア基板の図。
【
図4】
図3のキャリア基板を部品側および冷却側において上面図で見た図。
【
図5a】本発明の別の例示的な実施形態による、別のキャリア基板の図。
【
図5b】本発明の別の例示的な実施形態による、別のキャリア基板の図。
【
図5c】本発明の別の例示的な実施形態による、別のキャリア基板の図。
【
図5d】本発明の別の例示的な実施形態による、別のキャリア基板の図。
【
図5e】本発明の別の例示的な実施形態による、別のキャリア基板の図。
【
図5f】本発明の別の例示的な実施形態による、別のキャリア基板の図。
【
図5g】本発明の別の例示的な実施形態による、別のキャリア基板の図。
【
図5h】本発明の別の例示的な実施形態による、別のキャリア基板の図。
【
図6a】本発明の別の例示的な実施形態による、別のキャリア基板の図。
【
図6b】本発明の別の例示的な実施形態による、別のキャリア基板の図。
【
図6c】本発明の別の例示的な実施形態による、別のキャリア基板の図。
【
図6d】本発明の別の例示的な実施形態による、別のキャリア基板の図。
【
図7】本発明の例示的な第2実施形態よるキャリア基板の図。
【
図8】本発明の例示的な第3実施形態よるキャリア基板の図。
【発明を実施するための形態】
【0039】
さらなる効果および特徴は、添付の図面を参照に、本発明の対象の好ましい実施形態の以下の説明から明らかになる。ここで、個々の実施形態の個々の特徴は、本発明の範囲内で互いに組み合わせることができる。
【0040】
図1は、従来技術の実施形態によるキャリア基板1を示している。電気または電子部品用のこのようなキャリア基板1の実質的な構成要素は、絶縁層10である。絶縁層10は、部品メタライゼーション20が接続されている部品側BSまで、実質的に主延長面HSEに沿って延びる。特に第1の一次構造21の形状で部品メタライゼーション20に対応する構造によって、部品メタライゼーション20が、特に金属表面および/または導体トラックの形状で、互いに絶縁された個々の金属部分を有することが確実になる。この目的のために、一次構造21は、絶縁層10まで延在する。特に、第1の一次構造21、または一般的な用語である構造は、対応するメタライゼーションにおける凹部または溝の形成を意味すると当業者によって理解される。部品メタライゼーション20内の第1の一次構造21の場合、第1の一次構造21は、一次構造21によって互いに離間されている個々の金属部分を互いに絶縁する絶縁トレンチである。次に、電気または電子部品を、部品メタライゼーション層21の個々の金属部分に接続することができる。
【0041】
特に絶縁層10および部品メタライゼーション20に起因する異なる熱膨張係数のために、例えば、キャリア基板1の製造プロセス中および/または動作中に起こる熱発生の場合に、歪みが発生する可能性がある。これは、キャリア基板1の歪みにつながる可能性があり、場合によってはキャリア基板1の損傷または破損にさえつながる可能性がある。これを防ぐために、対応する曲がりを打ち消す裏面メタライゼーション25を適用することが従来技術から知られている。部品メタライゼーション20に通常使用される第1の厚さD1、例えば最大0.8mmで、特に厚さに関して部品メタライゼーション20に対称に裏面メタライゼーション25を設計することが特に有利である。キャリア基板1の製造プロセス中および/または動作中に発生する熱は、特に例えばAMBプロセスまたはDCBプロセスによって裏面メタライゼーション25に接続された冷却構造を介して、最終的に部品側BSから伝導される。さらに、部品メタライゼーション20、絶縁層10、および冷却部メタライゼーション30は、特に主延長面HSEに対して垂直である積層方向Sに沿って上下に配置される。ただし、対称性に必要な裏面メタライゼーション25は、特に裏面メタライゼーション25がバッファ層として機能することを目的とした過負荷の場合、厚みが薄いために熱インピーダンスに対する熱容量の点で不十分であることが多い。
【0042】
図2は、別の先行技術の実施形態による別のキャリア基板1を示す。
図2に示される例示的な実施形態は、部品メタライゼーション20および冷却部メタライゼーション30が、絶縁層10の両側で絶縁層10に対して直接的にまたは垂直に接合されたキャリア基板1を示している。ここでは、部品メタライゼーション20は、少なくとも1mm、好ましくは1.3mmを超える、より好ましくは1.5から3mmの値をとる第1の厚さD1を有する。さらに、部品側BSの反対側のキャリア基板1の冷却側KSにおいて、冷却部メタライゼーション30は、
図1の例示的な実施形態における裏面メタライゼーション25よりも大きく、好ましくは第1の厚さD1に実質的に相当する第2の厚さD2を有する。この比較的大きな冷却側メタライゼーション30は、十分なバッファおよび所望の熱容量を提供するが、部品メタライゼーション20および冷却側メタライゼーション30のこのような実施形態では、キャリア基板1全体の歪みを回避するための対称性の要件が増大する。
【0043】
図3は、本発明の第1の例示的な実施形態によるキャリア基板1を示す。図示された実施形態において、キャリア基板1は、部品側BS上の第1の一次構造21に加えて、キャリア基板1の冷却側KS上の第2の一次構造31を有する。特に、第1の一次構造21および第2の一次構造31は、積層方向Sから見て、少なくとも部分的に、例えば、積層方向Sに対して垂直に延びる方向に沿って、互いに一致するよう配置される。
図3に示される実施形態では、冷却部メタライゼーション30は、第2の一次構造31に加えて第2の二次構造32を有する。特に、第2の二次構造32は、金属部分の下に第1の一次構造21によって区画され、および/または少なくとも部分的に境界が定められたフィン構造を形成する。ここでは、第2の二次構造32は別の第2の深さT2’を有し、第2の一次構造31は第2の深さT2を有し、第2の深さT2は別の第2の深さT2’よりも大きい。換言すれば、第2の一次構造31は、第2の二次構造32よりも冷却部メタライゼーション30の奥深くまで延びる。
【0044】
さらに、第2の一次構造31は第2の幅B2を有し、第2の二次構造32は別の第2の幅B2’を有し、第2の幅B2は別の第2の幅B2’よりも大きい。さらに、特に好ましくは、部品メタライゼーション20とは対照的に、冷却部メタライゼーション30において、第2の一次構造31は、絶縁層10まで突出および/または延在しない。換言すれば、第1の一次構造21および第2の一次構造31の一致領域または部分において、絶縁層10に面する第2の一次構造31の端部に残留メタライゼーションが形成される。結果として、冷却部メタライゼーションの第2の深さT2は、冷却部メタライゼーション30の第2の厚さD2よりも小さい。好ましくは、第2の厚さD2と第2の深さT2との間の差は、残留金属厚さRDに一致し、第2の厚さD2に対する残留金属厚さRDの比は、0.01から0.7の間、好ましくは0.05から0.4の間、より好ましくは、0.1から0.3の間の値をとる。
【0045】
特に、残留金属厚さRDを選択的に調整することにより、キャリア基板1の冷却側KSの冷却効率をキャリア基板1の計画された要件に適合させることができる。第1の一次構造21および第2の一次構造31の一致配置により、有利な方法で、特に比較的大きな第1の厚さD1、すなわち、第1の厚さD1が1mmより大きく、好ましくは1.3mmより大きく、より好ましくは1.5から3mmの間を有するそのようなキャリア基板1の場合、対応する歪みを打ち消すように、部品側BSと冷却側KSとの間の対称性を改善することがさらに可能である。
【0046】
特に、部品メタライゼーション20において、第1の厚さD1は、第1の一次構造21の第1の深さT1に一致する。さらに、部品メタライゼーション20は、第1の一次構造21に加えて、第1の二次構造(図示せず)も有することも考えられる。この場合、特に、第2の一次構造31および第2の二次構造32について説明した幅と深さとの比は、第1の一次構造21および第1の二次構造に同様に適用される。
【0047】
特に、第2の一次構造31は、キャリア基板1を冷却するために使用される冷却構造の一部である。ここで、特に第2の一次構造31は、第2の二次構造32と共に共通の冷却構造を形成する。ここで、動作中に、冷却構造、すなわち、特に第2の一次構造31は、適切な放熱を与えるよう冷却流体を案内するために使用される。特に別の第2の深さT2’よりも大きい第2の深さT2を有する第2の一次構造31を冷却部メタライゼーション30に導入することにより、キャリア基板1の歪みを打ち消す、必要な対称性を実現することと、同時に、放熱流体と冷却部メタライゼーション20との間の接触面積が増加することを確実にすることの両方が有利な方法で可能になる。これは、キャリア基板1の冷却効率に良い影響を与える。
【0048】
さらに、いわゆる「プルバック」、すなわち、主延長面HSEに平行に延びる方向における部品メタライゼーション20または冷却部メタライゼーション30の最外縁に対する絶縁層10の突部が提供される。ここで、部品側BSの突起は、冷却部側KSの突起と異なってもよい。好ましくは、特に部品側BSの突部は、0.5mmを超える第1の長さL1にわたって延在する。これにより、部品側BSと冷却部側KSの間の電気的フラッシュオーバーが防止される。
【0049】
図4では、
図3のキャリア基板1が、部品側BS(上)および冷却側KS(下)の上面図に示される。部品メタライゼーション20は、第1の一次構造21によって矩形状の金属部分に分割されることが分かる。ここで、部品メタライゼーション20の金属部分は、大きな表面積を有するが第1の二次構造を有さない。さらに、第2の二次構造32を有する部分は、第1の一次構造21によって互いに離間されている金属部分の積層方向Sから見て下に配置される。さらに、第2の一次構造31は、冷却部メタライゼーション30の全幅にわたって、積層方向Sに対して垂直な短手方向に延在することが分かる。
【0050】
図5A乃至5Hは、本発明の別の例示的な実施形態による別のキャリア基板1を示す。例えば、
図5Aは、第1の一次構造21および第2の一次構造31の両方がそれぞれ絶縁層10まで延在および/または到達するキャリア基板1を示す。すなわち、この例示的な実施形態では、第2の一次構造31の第2の深さT2は、冷却部メタライゼーション30の第2の厚さD2に一致する。
【0051】
これに対して、
図5Bでは、残留金属厚さRDが、図示の実施形態の第2の一次構造31に与えられている。例えば
図5Aに示すように、残留金属厚さRDを完全に無くした場合、特に対称度が比較的大きくなる。第2の一次構造31の残留金属厚さRDにより、対応する残留金属厚さRDもまた、キャリア基板1の冷却効率に寄与することができる。
【0052】
図5Cでは、残留金属厚さRDは
図5Aよりも大きい。これにより、冷却部メタライゼーション30の冷却効率および/または熱容量特性が向上する。そのような例では、対称性の喪失を適切に補償するために、第2の厚さD2が減少し、および/または別の第2の深さT2’が減少することが特に好ましい。
【0053】
図5Dの例示的な実施形態では、第2の一次構造31の第2の幅B2は、第1の一次構造21の第1の幅B1よりも大きいが、
図5Eの例示的な実施形態では、第2の幅B2は、第1の幅B1よりも小さい。
【0054】
図5Fは、特に絶縁層10の方向に先細りになる第2の一次構造31を示す。例えば、絶縁層10に面する端部は、三角形および/または先細端部を形成する。特にこの場合、積層方向Sから見て、別の第2の深さT2’の後またはそれと共に、すなわちフィン構造の後で先細りが始まる。さらに、終端が直線および/または湾曲した部分を有することも考えられる。
【0055】
図5Gでは、第2の一次構造31は、絶縁層10に面するその端部が放物線状および/または円形である。
図5Hでは、冷却側KSに面する第2の一次構造31に加えて、冷却部メタライゼーション30と絶縁層10との間に自由空間または自由領域28が与えられている。特に、示される実施形態では、自由領域28は、積層方向Sに平行および、特に、第2の一次構造31の延長方向に垂直な断面において三角形の断面を有する。そのような自由領域28は、特に冷却部メタライゼーション30の接合前に冷却メタライゼーション30に入れることができ、その結果、冷却部メタライゼーション30の絶縁層10への接合プロセスの後に、対応する自由領域28が冷却部メタライゼーション30と絶縁層10との間に形成される。自由領域28に関連する断面は、第2の一次構造31に関連する断面よりも小さいまたは大きい。
【0056】
図6A乃至6Dは、本発明の別の例示的な実施形態による別のキャリア基板1を示す。特に、異なる実施形態においては、積層方向Sに垂直なその延在方向に沿った第2の一次構造31の構成が異なる。例えば、
図6Aの部品側BSおよび/または部品側BSの上面図は、第2の一次構造31がその延在長さおよび/または方向に沿って中断することなく、特に冷却部メタライゼーション30の全幅(ここでは第1の一次構造21の延在長さに沿って測定される)にわたる第2の幅B2(一般的な延在方向に垂直に測定される)を変更することなく延在し、および/または冷却部メタライゼーション30の全長にわたって延在することを示す。
【0057】
図6Bに示される実施形態では、第2の一次構造31は、その延在長さに沿って、特に積層方向Sに垂直に延びる方向に沿って中断される。これにより、第2の一次構造31の比較的短い領域を形成し、延長方向に対して垂直に寸法が定められた第2の幅B2は、延長方向に対して平行に寸法が定められた長さよりも大きい。これにより、冷却部メタライゼーション20の割合が増加し、冷却部メタライゼーション20の熱容量が増加する。
【0058】
図6Cおよび
図6Dでは、第2の一次構造31は周期的に調整されており、主延長面HSEに平行な面において、
図6Cにおいては円形または楕円形の断面を形成し、および/または
図6Dにおいては菱形の断面を形成する。第2の一次構造31の幾何学的形状が異なることによって、特に、キャリア基板1の意図された使用のための対称性および熱容量に関する所望の要件へ簡単に適応することが可能になる。
【0059】
図7は、本発明の第2の例示的な実施形態によるキャリア基板1を示す。
図7に示す例示的な実施形態は、主延長面HSEに平行に延びる方向において、裏面メタライゼーション25または冷却部メタライゼーション30が絶縁層10に対して突出している点で異なる。ここで、裏面メタライゼーション25または冷却部メタライゼーション30は、構造、特に、絶縁層10に対して部分が突出および/または張り出している裏面メタライゼーション25または冷却部メタライゼーション30の第2の一次構造31および第2の一次構造32を継続することが好ましい。このような張り出しは、特にキャリア基板1の縁領域において、熱拡散に有利な効果を有し、また流体案内を裏面メタライゼーション25または冷却部メタライゼーション30に接続することが可能なシーリング要素、例えばシールリングを封止または受容するために使用可能であることが好ましい。さらに、主延長平面HSEに平行な方向において、突出する第2の二次構造32を有する部分は、2つの第2の一次構造31の間の非突出の第2の二次構造32よりも短い。
【0060】
第2の一次構造31の1つは、主延長面HSEに垂直な方向で部品メタライゼーション20の最外縁と一致および/または面一になるように設計されることが好ましい。これにより、例えば、部品メタライゼーション20の最外縁領域に誘発された応力を、裏面メタライゼーション25または冷却部メタライゼーション30および/またはキャリア基板1から分離するまたは弱めることが可能になる。
【0061】
図8は、本発明の第3の例示的な実施形態によるキャリア基板1を示す。ここで、
図8の実施形態は、絶縁層10がマルチパートである、すなわち、主延長面HSEに平行に延在する平面に互いに隣接して配置された複数の絶縁層10であるという点で、特に
図2または7の実施形態とは異なる。例えば、連続する絶縁層10は、この目的のために複数の別個の部分に分割される。さらに、第2の三次構造33は、2つの隣接する、特に直接的に隣接する別個の絶縁層10の間の分離領域の下に一致するよう設けられる。ここで、第2の三次構造33は、第2の深さT2に一致する深さを有する。第2の三次構造33の深さは、第2の深さT2または別の第2の深さT2’よりも大きいかまたは小さいことも考えられる。同じことが、第2の三次構造33に与えられる幅にも同様に当てはまる。さらに、第2の三次構造33の幅は、2つの隣接する絶縁層10の間の距離よりも小さい。
【符号の説明】
【0062】
1 キャリア基板
10 絶縁層
20 部品メタライゼーション
21 第1の一次構造
25 裏面メタライゼーション
28 自由領域
30 冷却部メタライゼーション
31 第2の一次構造
32 第2の二次構造
33 第2の三次構造
KS 冷却側
BS 部品側
D1 第1の厚さ
D2 第2の厚さ
RD 残留金属厚さ
B1 第1の幅
B2 第2の幅
B2’ 別の第2の幅
T1 第1の深さ
T2 第2の深さ
T2’ 別の第2の深さ
L1 第1の長さ
S 積層方向
HSE 主延長面