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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-14
(45)【発行日】2023-07-25
(54)【発明の名称】蒸気ポンプの性能を評価するための方法
(51)【国際特許分類】
   G01M 13/00 20190101AFI20230718BHJP
   B01D 53/26 20060101ALI20230718BHJP
   F04B 51/00 20060101ALI20230718BHJP
【FI】
G01M13/00
B01D53/26 200
F04B51/00
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2022535892
(86)(22)【出願日】2019-12-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-14
(86)【国際出願番号】 US2019065712
(87)【国際公開番号】W WO2021118558
(87)【国際公開日】2021-06-17
【審査請求日】2022-07-05
(73)【特許権者】
【識別番号】391028362
【氏名又は名称】ダブリュ.エル.ゴア アンド アソシエイツ,インコーポレイティド
【氏名又は名称原語表記】W.L. GORE & ASSOCIATES, INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100144417
【弁理士】
【氏名又は名称】堂垣 泰雄
(74)【代理人】
【識別番号】100147212
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 直樹
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ピー.コラルッソ
(72)【発明者】
【氏名】カイル ドス
【審査官】福田 裕司
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-525210(JP,A)
【文献】国際公開第2018/107019(WO,A1)
【文献】特開平05-126692(JP,A)
【文献】特開平06-273290(JP,A)
【文献】特表2019-529102(JP,A)
【文献】特開2005-305415(JP,A)
【文献】実開平05-073474(JP,U)
【文献】国際公開第2019/010433(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 13/00
B01D 53/26
F04B 51/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
湿分ポンプがエンクロージャ及び外部環境と流体連通するように、前記湿分ポンプを部分的に前記エンクロージャ内に配置すること、
ここで、前記エンクロージャは、
水蒸気、及び、
過飽和塩溶液
を含む、
前記湿分ポンプを用いて、前記水蒸気の一部を、少なくとも1つの期間にわたって前記エンクロージャから前記外部環境に移送すること、
前記少なくとも1つの期間にわたって前記過飽和塩溶液の質量の変化を測定すること、及び、
前記少なくとも1つの期間にわたって、前記湿分ポンプを用いて前記エンクロージャから前記外部環境に移送される前記水蒸気の一部の速度を計算すること、
ここで、前記湿分ポンプを用いて前記エンクロージャから前記外部環境に移送される水蒸気の速度は、前記過飽和塩溶液の質量の変化に基づいて計算される、
を含む、方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つの期間にわたって少なくとも1つのポンプ曲線を生成することをさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記方法は前記エンクロージャ内の平衡相対湿度及び一定の温度で行われる、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
前記方法は、前記外部環境において平衡相対湿度で行われる、請求項1~3のいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記エンクロージャ又は前記外部環境のうちの少なくとも1つの平衡相対湿度は、0℃~100℃の温度範囲にわたって2%~98%の範囲である、請求項3又は4記載の方法。
【請求項6】
前記湿分ポンプは連続的に作動する、請求項1~5のいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記湿分ポンプは周期的に作動する、請求項1~5のいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つの期間は少なくとも1つの第一の期間及び少なくとも1つの第二の期間を含む複数の期間であり、前記湿分ポンプを用いて、前記少なくとも1つの期間にわたって、前記水蒸気の一部を前記エンクロージャから前記外部環境に移送する工程は、
前記少なくとも1つの第一の期間に、前記エンクロージャ内から水蒸気の一部を前記湿分ポンプで吸収又は吸着させて、前記エンクロージャの相対湿度を平衡相対湿度より低くすること、及び、
前記過飽和塩溶液から水を蒸発させて、相対湿度を平衡相対湿度に回復させること、及び、
前記少なくとも1つの第二の期間に、
水蒸気を前記湿分ポンプから前記外部環境に脱着させること、
を含み、前記少なくとも1つの第一の期間と前記少なくとも1つの第二の期間の合計はポンプサイクルを規定する、請求項1~7のいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
前記湿分ポンプを用いて前記エンクロージャから前記外部環境に移送される水蒸気の一部の速度は、前記少なくとも1つの第一の期間、前記少なくとも1つの第二の期間又はそれらの任意の組み合わせにわたる前記過飽和塩溶液の質量の変化に基づいて計算される、請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記少なくとも1つの第一の期間、前記少なくとも1つの第二の期間又はそれらの任意の組み合わせにわたって少なくとも1つのポンプ曲線を生成することをさらに含む、請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記方法は、前記エンクロージャと前記外部環境との間の一定の湿分勾配で行われる、請求項1~10のいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
前記方法は、前記エンクロージャと前記外部環境との間の一連の一定の湿分勾配で間隔を置いて行われる、請求項1~11のいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
前記一定の湿分勾配又は前記一連の一定の湿分勾配は、0℃~100℃の範囲にわたって一定である、請求項11又は12記載の方法。
【請求項14】
前記外部環境は、第二のエンクロージャの形態であり、前記第二のエンクロージャは平衡温度に維持される、請求項1~13のいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
前記少なくとも1つの塩は、臭化リチウム、塩化リチウム、炭酸カリウム、硝酸カリウム、硫酸カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム六水和物、硝酸マグネシウム六水和物、亜硝酸ナトリウム又は任意の組み合わせから選ばれる、請求項1~14のいずれか1項記載の方法。
【請求項16】
前記少なくとも1つの塩は、塩化マグネシウム、フッ化セシウム、臭化リチウム、臭化亜鉛、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、塩化リチウム、臭化カルシウム、ヨウ化リチウム、酢酸カリウム、フッ化カリウム、塩化マグネシウム、ヨウ化ナトリウム、炭酸カリウム、硝酸マグネシウム、臭化ナトリウム、塩化コバルト、ヨウ化カリウム、塩化ストロンチウム、硝酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化アンモニウム、臭化カリウム、硫酸アンモニウム、塩化カリウム、硝酸ストロンチウム、硝酸カリウム、硫酸カリウム、クロム酸カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム六水和物、硝酸マグネシウム六水和物、亜硝酸ナトリウム又はそれらの任意の組み合わせから選ばれる、請求項1~15のいずれか1項記載の方法。
【請求項17】
複数のポンプ曲線は前記間隔の間に生成され、各ポンプ曲線は前記一連の湿分勾配の特定の湿分勾配に対応する、請求項12~16のいずれか1項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
分野
本開示は、湿分ポンプなどの蒸いきゅう気ポンプの性能を評価するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
多くの物品は、過度の蒸気又は湿分によって損傷を受けやすい。例えば、電気及び電子物品は、過度の蒸気又は湿気のために駄目になり又は変更されうる。同様に、熱サイクルを受ける密閉された構成要素、例えば、ハウジングに含まれた構成要素は、蒸気又は湿分に関連する問題の影響を受けやすい。望ましくない蒸気又は湿分の影響を受けやすいエンクロージャの例としては、例えば、自動車のヘッドランプユニット、ソーラインバータ、密閉されたハウジングに含まれた電子機器、及びエンクロージャ内の熱源のオン/オフサイクルによって蒸気又は湿分が蓄積される他のシステムが挙げられる。
【0003】
蒸気ポンプ又は湿分ポンプを使用して、この過剰な蒸気又は湿分によって引き起こされる損傷を排除又は軽減することができる。しかしながら、このような蒸気ポンプ又は湿分ポンプの性能を測定するための方法が必要である。
【発明の概要】
【0004】
要旨
対象となる実施形態は、この要旨ではなく、特許請求の範囲によって規定される。この要旨は、様々な態様の高レベルの概要であり、以下の「詳細な説明」セクションでさらに記載される幾つかの概念を紹介する。この要旨は、特許請求される主題の重要な又は本質的な特徴を特定することが意図されず、また、特許請求される主題の範囲を決定するために単独で使用されることが意図された要旨でもない。主題は、明細書全体、一部又はすべての図面及び各特許請求の範囲の適切な部分を参照することによって理解されるべきである。
【0005】
本開示の幾つかの実施形態は、蒸気ポンプがエンクロージャ及び外部環境と流体連通するように、蒸気ポンプを部分的にエンクロージャ内に配置することを含む方法であって、前記エンクロージャは少なくとも1つの蒸気を含む、方法に関する。幾つかの実施形態において、少なくとも1つの蒸気の一部は、蒸気ポンプを用いて、エンクロージャから外部環境に移送される。幾つかの実施形態において、エンクロージャ内の少なくとも1つの蒸気の質量に関連する少なくとも1つのパラメータの変化は測定される。幾つかの実施形態において、蒸気ポンプを用いてエンクロージャから外部環境に移送される少なくとも1つの蒸気の一部の速度は計算される。幾つかの実施形態において、蒸気ポンプを用いてエンクロージャから外部環境に移送される少なくとも1つの蒸気の一部の速度は、少なくとも1つのパラメータの変化に基づいて計算される。
【0006】
本開示の幾つかの実施形態は、湿分ポンプがエンクロージャ及び外部環境と流体連通するように、湿分ポンプを部分的にエンクロージャ内に配置することを含む方法に関する。幾つかの実施形態において、エンクロージャは、水蒸気及び過飽和塩溶液を含む。幾つかの実施形態において、この方法は、湿分ポンプを用いて、水蒸気の一部を、少なくとも1つの期間にわたってエンクロージャから外部環境に移送することを含む。幾つかの実施形態において、この方法は、少なくとも1つの期間にわたって過飽和塩溶液の質量の変化を測定することを含む。幾つかの実施形態において、この方法は、少なくとも1つの期間にわたって、湿分ポンプを用いてエンクロージャから外部環境に移送される水蒸気の一部の速度を計算することを含む。幾つかの実施形態において、湿分ポンプでエンクロージャから外部環境に移送される水蒸気の速度は、少なくとも1つの期間にわたる過飽和塩溶液の質量の変化に基づいて計算される。
【0007】
幾つかの実施形態において、少なくとも1つのポンプ曲線は、少なくとも1つの期間にわたって生成される。
【0008】
幾つかの実施形態において、本開示の非限定的な例示的な方法は、エンクロージャ内の平衡相対湿度及び一定の温度で行われる。
【0009】
幾つかの実施形態において、本開示の非限定的な例示的な方法は、外部環境において平衡相対湿度で行われる。
【0010】
幾つかの実施形態において、エンクロージャ又は外部環境のうちの少なくとも1つの平衡相対湿度は、0℃~100℃の温度範囲にわたって2%~98%の範囲である。
【0011】
幾つかの実施形態において、湿分ポンプは連続的に作動する。
【0012】
幾つかの実施形態において、湿分ポンプは周期的に作動する。
【0013】
幾つかの実施形態において、湿分ポンプを用いて、水蒸気の一部をエンクロージャから外部環境に移送する非限定的な工程は、複数の期間にわたって行われ、この工程は、第一の期間に、エンクロージャ内から水蒸気の一部を湿分ポンプで吸収又は吸着させて、エンクロージャの相対湿度を平衡相対湿度より低くすること、及び、過飽和塩溶液から水を蒸発させて、相対湿度を平衡相対湿度に回復させること、及び、第二の期間に、水蒸気を湿分ポンプから外部環境に脱着させることを含むことができる。幾つかの実施形態において、第一の期間と第二の期間の合計はポンプサイクルを規定する。
【0014】
幾つかの実施形態において、湿分ポンプを用いてエンクロージャから外部環境に移送する水蒸気の一部の速度は、ポンプサイクルにわたる過飽和塩溶液の質量の変化に基づいて計算される。
【0015】
幾つかの実施形態において、少なくとも1つのポンプ曲線はポンプサイクルにわたって生成される。
【0016】
幾つかの実施形態において、この方法は、エンクロージャと外部環境との間の一定の湿分勾配で行われる。
【0017】
幾つかの実施形態において、この方法は、エンクロージャと外部環境との間の一連の一定の湿分勾配で間隔を置いて行われる。
【0018】
幾つかの実施形態において、複数のポンプ曲線は間隔中に生成される。幾つかの実施形態において、各ポンプ曲線は、一連の湿分勾配の特定の湿分勾配に対応する。
【0019】
幾つかの実施形態において、一定の湿分勾配又は一連の一定の湿分勾配は、0℃~100℃の範囲にわたって一定である。
【0020】
幾つかの実施形態において、外部環境は、第二のエンクロージャの形をとる。幾つかの実施形態において、第二のエンクロージャは平衡温度に維持される。
【0021】
幾つかの実施形態において、過飽和塩溶液の少なくとも1つの塩は、臭化リチウム、塩化リチウム、炭酸カリウム、硝酸カリウム、硫酸カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム六水和物、硝酸マグネシウム六水和物、亜硝酸ナトリウム又は任意の組み合わせから選ばれる。
【0022】
幾つかの実施形態において、過飽和塩溶液の少なくとも1つの塩は、塩化マグネシウム、フッ化セシウム、臭化リチウム、臭化亜鉛、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、塩化リチウム、臭化カルシウム、ヨウ化リチウム、酢酸カリウム、フッ化カリウム、塩化マグネシウム、ヨウ化ナトリウム、炭酸カリウム、硝酸マグネシウム、臭化ナトリウム、塩化コバルト、ヨウ化カリウム、塩化ストロンチウム、硝酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化アンモニウム、臭化カリウム、硫酸アンモニウム、塩化カリウム、硝酸ストロンチウム、硝酸カリウム、硫酸カリウム、クロム酸カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム六水和物、硝酸マグネシウム六水和物、亜硝酸ナトリウム又はそれらの任意の組み合わせから選ばれる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図面
本開示の幾つかの実施形態は、添付の図面を参照して、例としてのみ本明細書に記載されている。ここで詳細に図面を具体的に参照すると、示されている実施形態は、例として、及び、本開示の実施形態の例示的な議論の目的のために示されることが強調される。これに関して、図面とともになされる説明は、本開示の実施形態がどのように実施されうるかを当業者に明らかにする。
【0024】
図1図1は、本開示による例示的な蒸気ポンプの非限定的な実施形態を示している。
【0025】
図2図2は、本開示による試験設備の非限定的な例を示している。
【0026】
図3図3は、幾つかの非限定的な実施形態によるポンプ曲線の例を示している。
図4図4は、幾つかの非限定的な実施形態によるポンプ曲線の例を示している。
【発明を実施するための形態】
【0027】
詳細な説明
開示されたこれらの利点及び改善の中で、本開示の他の目的及び利点は、添付の図面と併せて以下の説明から明らかになるであろう。本開示の詳細な実施形態は、本明細書に開示されている。しかしながら、開示された実施形態は、様々な形態で具体化されうる開示の単なる例示であることが理解されるべきである。さらに、本開示の様々な実施形態に関して与えられた実施例のそれぞれは、例示的であり、限定的ではないことが意図されている。
【0028】
明細書及び特許請求の範囲を通して、文脈が明確に別段の指示をしない限り、以下の用語は本明細書に明示的に関連付けられた意味をとる。本明細書で使用されるときに、「1つの実施形態において」、「実施形態において」及び「幾つかの実施形態において」という句は、必ずしも同じ実施形態を指すとは限らないが、そうである場合もある。さらに、本明細書で使用されるときに、「別の実施形態において」及び「幾つかの他の実施形態において」という句は、必ずしも異なる実施形態を指すとは限らないが、そうである場合もある。本開示のすべての実施形態は、本開示の範囲又は主旨から逸脱することなく組み合わせることができることが意図されている。
【0029】
本明細書で使用されるときに、「に基づく」という用語は排他的ではなく、文脈が明らかに別段の指示をしない限り、記載されていない追加の要因に基づくことを可能にする。さらに、本明細書全体を通して、「a」、「an」及び「the」の意味は、複数形の参照を含む。「in」の意味には、「in」及び「on」が含まれる。
【0030】
本明細書で参照されるすべての以前の特許、刊行物及び試験方法は、それらの全体が参照により組み込まれる。
【0031】
本明細書で定義されているように、「過飽和溶液」は、所与の温度で可能な最も濃縮された溶液である。
【0032】
本明細書で定義されるときに、「過飽和塩溶液」は、過飽和溶液の少なくとも1つの溶質が塩である「過飽和溶液」である。幾つかの実施形態において、過飽和溶液は、少なくとも1つの溶媒を含み、ここで、少なくとも1つの溶媒は水を含む。幾つかの実施形態において、水は液体水である。
【0033】
本明細書で使用されるときに、第一の容器が液体、気体又はそれらの任意の組み合わせのうちの少なくとも1つを第二の容器に輸送するように構成されているならば、第一の容器は第二の容器と「流体連通」している。
【0034】
本明細書で使用されるときに、「一定の」値は、固定された値又は不変の値である。
【0035】
本明細書で使用されるときに、「平衡」値は、一定の設定値の周りで変動する値である。一定の設定値は、制御された条件下で平衡値がとる値である。制御された条件の非限定的な例としては、限定するわけではないが、一定の温度、一定の圧力、一定の湿分含有量及びそれらの組み合わせが挙げられる。例えば、例として、限定することなく、エンクロージャの温度は、環境条件に応じて、95℃~105℃の範囲であることができる。しかしながら、環境条件(例えば、温度、圧力、湿分含有量及びそれらの組み合わせ)が一定に保たれているならば、エンクロージャは100℃の一定温度に保たれる。したがって、この非限定的な例において、「平衡」温度は100℃である。
【0036】
本明細書で使用されるときに、「湿分」は、水と少なくとも1つのガスとを含む混合物である。幾つかの実施形態において、少なくとも1つのガスは空気である。
【0037】
本明細書で使用されるときに、「蒸気ポンプ」は、少なくとも1つの蒸気を輸送するように構成されたポンプである。
【0038】
本明細書で使用されるときに、「湿分ポンプ」は、湿分を輸送するように構成された蒸気ポンプの一種である。
【0039】
本明細書で使用されるときに、「加熱湿分ポンプ」(本明細書において「HMP」とも略される)は、少なくとも1つの熱源を含む湿分ポンプの1種である。幾つかの実施形態において、熱源はヒータである。
【0040】
本開示の幾つかの実施形態は、蒸気ポンプ性能の評価に関する。
【0041】
幾つかの実施形態において、蒸気ポンプは、少なくとも部分的に少なくとも1つのエンクロージャ内に配置される。幾つかの実施形態において、蒸気ポンプは、少なくとも1つのエンクロージャ内に完全に配置されている。
【0042】
幾つかの実施形態において、蒸気ポンプは湿分ポンプである。幾つかの実施形態において、湿分ポンプは、加熱湿分ポンプである。
【0043】
加熱湿分ポンプ20の形態の本開示による蒸気ポンプの非限定的な例示的な実施形態は図1に示されている。示されているように、図1の加熱湿分ポンプ20はハウジング25を含む。幾つかの実施形態において、ハウジング25は、加熱チャンバ30及び凝縮チャンバ35を画定する。幾つかの実施形態において、示されるように、乾燥剤26、ヒータ27及びヒートシンク28はハウジング25内に配置される。幾つかの実施形態において、加熱湿分ポンプ20は、ヒータ27がオフのときに加熱チャンバ30から湿分を選択的に吸着するように構成され、ヒータ27がオンのときに加熱チャンバ30から湿分を脱着するように構成されている。幾つかの実施形態では、弁アセンブリ29もまた、ハウジング25内に配置される。幾つかの実施形態において、弁アセンブリ29は、吸着位置(図示せず)と脱着位置(図示せず)との間で遷移するように構成されている。
【0044】
本開示による蒸気ポンプの追加の非限定的な例は、米国特許第10,156,372号明細書及び米国特許出願公開第2019/0255482号明細書に記載されており、これらのそれぞれは、それぞれの全体が参照により組み込まれる。
【0045】
幾つかの実施形態において、蒸気ポンプは、エンクロージャ及び外部環境と流体連通している。幾つかの実施形態において、エンクロージャはボックスである。幾つかの実施形態において、エンクロージャは、少なくとも1つの金属を含むボックスである。幾つかの実施形態において、少なくとも1つの金属はスチールである。幾つかの実施形態において、外部環境は制御された環境である。幾つかの実施形態において、制御された環境は実験室環境である。幾つかの実施形態において、外部環境は第二のエンクロージャであり、その結果、第一のエンクロージャ及び第二のエンクロージャが存在する。幾つかの実施形態において、第一のエンクロージャ及び第二のエンクロージャは同じである。幾つかの実施形態において、第一のエンクロージャ及び第二のエンクロージャは異なる。
【0046】
幾つかの実施形態において、第一のエンクロージャ又は外部環境のうちの少なくとも1つは、蒸気ポンプによってポンプ送りされる少なくとも1つの蒸気を含む。幾つかの実施形態において、少なくとも1つの蒸気は水蒸気を含む。幾つかの実施形態において、少なくとも1つの蒸気は、水蒸気及び空気を含むガス混合物の形態をとる。
【0047】
幾つかの実施形態において、少なくとも1つの蒸気の少なくとも一部は、蒸気ポンプを用いて、エンクロージャから外部環境に移送される。幾つかの実施形態では、少なくとも1つの蒸気のすべては、蒸気ポンプを用いて、エンクロージャから外部環境に移送される。
【0048】
幾つかの実施形態において、エンクロージャ内の少なくとも1つの蒸気の質量に関連する少なくとも1つのパラメータの変化は少なくとも1つの期間にわたって測定される。幾つかの実施形態において、エンクロージャ内の少なくとも1つの蒸気の質量に関連する少なくとも1つのパラメータの変化は複数の期間にわたって測定される。
【0049】
少なくとも1つの期間又は複数の期間は任意の長さであることができ、幾つかの要因に基づいて変化しうる。幾つかの実施形態において、少なくとも1つの期間又は複数の期間は、6時間~24時間の範囲である。幾つかの実施形態において、少なくとも1つの期間又は複数の期間は、12~24時間の範囲である。幾つかの実施形態において、少なくとも1つの期間又は複数の期間は、6時間~12時間の範囲である。幾つかの実施形態において、少なくとも1つの期間又は複数の期間は、6時間、12時間又は24時間のうちの少なくとも1つである。
【0050】
幾つかの実施形態において、エンクロージャは過飽和塩溶液を含む。幾つかの実施形態において、エンクロージャは、液体水及び過飽和塩溶液を過飽和状態に維持するのに十分な濃度の少なくとも1つの塩を含む過飽和塩溶液を含む。そのような実施形態において、変化が測定される少なくとも1つのパラメータは、過飽和塩溶液の質量を含むことができる。幾つかの実施形態において、蒸気ポンプを用いてエンクロージャから外部環境に移送される少なくとも1つの蒸気の一部の速度は、少なくとも1つの期間又は複数の期間にわたって計算される。幾つかの実施形態において、蒸気ポンプを用いてエンクロージャから外部環境に移送される少なくとも1つの蒸気の一部の速度は、少なくとも1つの期間又は複数の期間にわたる少なくとも1つのパラメータの変化に基づいて計算される。少なくとも1つのパラメータが過飽和塩溶液の質量を含む幾つかの実施形態において、少なくとも1つのパラメータの変化は、過飽和塩溶液の質量の変化であることができる。言い換えると、少なくとも1つのパラメータが過飽和塩溶液の質量を含む幾つかの実施形態において、湿分ポンプを用いてエンクロージャから外部環境に移送される水蒸気の速度は、少なくとも1つの期間又は複数の期間にわたる過飽和塩溶液の質量の変化に基づいて計算することができる。
【0051】
幾つかの実施形態において、過飽和塩溶液は、過飽和塩浴の形態をとる。幾つかの実施形態において、エンクロージャは天びんを含むことができ、前記天びんは、少なくとも1つの期間又は複数の期間にわたるエンクロージャ内の過飽和塩浴の質量の変化を測定するように構成されている。
【0052】
幾つかの実施形態において、過飽和塩溶液の少なくとも1つの塩は、臭化リチウム、塩化リチウム、炭酸カリウム、硝酸カリウム、硫酸カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム六水和物、硝酸マグネシウム六水和物、亜硝酸ナトリウム又はそれらの任意の組み合わせから選ばれる。幾つかの実施形態において、過飽和塩溶液の少なくとも1つの塩は、臭化リチウム、塩化リチウム、炭酸カリウム、硝酸カリウム、硫酸カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム六水和物、硝酸マグネシウム六水和物、亜硝酸ナトリウム及びそれらの任意の組み合わせからなる群より選ばれる。
【0053】
幾つかの実施形態において、過飽和塩溶液の少なくとも1つの塩は、塩化マグネシウム、フッ化セシウム、臭化リチウム、臭化亜鉛、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、塩化リチウム、臭化カルシウム、ヨウ化リチウム、酢酸カリウム、フッ化カリウム、塩化マグネシウム、ヨウ化ナトリウム、炭酸カリウム、硝酸マグネシウム、臭化ナトリウム、塩化コバルト、ヨウ化カリウム、塩化ストロンチウム、硝酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化アンモニウム、臭化カリウム、硫酸アンモニウム、塩化カリウム、硝酸ストロンチウム、硝酸カリウム、硫酸カリウム、クロム酸カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム六水和物、硝酸マグネシウム六水和物、亜硝酸ナトリウム又はそれらの任意の組み合わせから選ばれる。幾つかの実施形態において、過飽和塩溶液の少なくとも1つの塩は、塩化マグネシウム、フッ化セシウム、臭化リチウム、臭化亜鉛、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、塩化リチウム、臭化カルシウム、ヨウ化リチウム、酢酸カリウム、フッ化カリウム、塩化マグネシウム、ヨウ化ナトリウム、炭酸カリウム、硝酸マグネシウム、臭化ナトリウム、塩化コバルト、ヨウ化カリウム、塩化ストロンチウム、硝酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化アンモニウム、臭化カリウム、硫酸アンモニウム、塩化カリウム、硝酸ストロンチウム、硝酸カリウム、硫酸カリウム、クロム酸カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム六水和物、硝酸マグネシウム六水和物、亜硝酸ナトリウム及びそれらの任意の組み合わせからなる群より選ばれる。
【0054】
幾つかの実施形態において、本開示の非限定的な例示的な方法は、エンクロージャ、外部環境又はそれらの任意の組み合わせの少なくとも1つにおいて平衡相対湿度で行われる。幾つかの実施形態において、本開示の非限定的な例示的な方法は、エンクロージャ、外部環境又はそれらの任意の組み合わせのうちの少なくとも1つにおいて一定の温度で行われる。
【0055】
幾つかの実施形態において、外部環境が第二のエンクロージャの形をとる場合に、第二のエンクロージャは、平衡温度、一定圧力、平衡相対湿度又はそれらの任意の組み合わせに維持されうる。
【0056】
幾つかの実施形態において、エンクロージャ、外部環境又はそれらの任意の組み合わせの少なくとも1つは、エンクロージャ、外部環境又はそれらの任意の組み合わせの少なくとも1つの温度を測定するように構成された温度センサを含むことができる。幾つかの実施形態において、エンクロージャ、外部環境又はそれらの任意の組み合わせの少なくとも1つは、エンクロージャ、外部環境又はそれらの任意の組み合わせの少なくとも1つの圧力を測定するように構成された圧力センサを含むことができる。幾つかの実施形態において、エンクロージャ、外部環境又はそれらの任意の組み合わせの少なくとも1つは、エンクロージャ、外部環境又はそれらの任意の組み合わせの少なくとも1つの湿度を測定するように構成された湿度センサを含むことができる。幾つかの実施形態において、温度センサ及び湿度センサは、限定するわけではないが、温度湿度プローブを含む、単一のデバイスの形態であることができる。
【0057】
幾つかの実施形態において、外部環境が第二のエンクロージャの形態をとる場合に、第二のエンクロージャは、本明細書に記載の任意のセンサ、プローブ又はそれらの組み合わせを含むことができる。
【0058】
幾つかの実施形態において、エンクロージャ又は外部環境の少なくとも1つの平衡相対湿度は、0℃~100℃の温度範囲にわたって2%~98%の範囲である。幾つかの実施形態において、エンクロージャ又は外部環境の少なくとも1つの平衡相対湿度は、0℃~100℃の温度範囲にわたって5%~98%の範囲である。幾つかの実施形態において、エンクロージャ又は外部環境の少なくとも1つの平衡相対湿度は、0℃~100℃の温度範囲にわたって10%~98%の範囲である。幾つかの実施形態において、エンクロージャ又は外部環境の少なくとも1つの平衡相対湿度は、0℃~100℃の温度範囲にわたって25%~98%の範囲である。幾つかの実施形態において、エンクロージャ又は外部環境の少なくとも1つの平衡相対湿度は、0℃~100℃の温度範囲にわたって50%~98%の範囲である。幾つかの実施形態において、エンクロージャ又は外部環境の少なくとも1つの平衡相対湿度は、0℃~100℃の温度範囲にわたって75%~98%の範囲である。幾つかの実施形態において、エンクロージャ又は外部環境の少なくとも1つの平衡相対湿度は、0℃~100℃の温度範囲にわたって90%~98%の範囲である。
【0059】
幾つかの実施形態において、エンクロージャ又は外部環境の少なくとも1つの平衡相対湿度は、0℃~100℃の温度範囲にわたって2%~90%の範囲である。幾つかの実施形態において、エンクロージャ又は外部環境の少なくとも1つの平衡相対湿度は、0℃~100℃の温度範囲にわたって2%~75%の範囲である。幾つかの実施形態において、エンクロージャ又は外部環境の少なくとも1つの平衡相対湿度は、0℃~100℃の温度範囲にわたって2%~50%の範囲である。幾つかの実施形態において、エンクロージャ又は外部環境の少なくとも1つの平衡相対湿度は、0℃~100℃の温度範囲にわたって2%~25%の範囲である。幾つかの実施形態において、エンクロージャ又は外部環境の少なくとも1つの平衡相対湿度は、0℃~100℃の温度範囲にわたって2%~10%の範囲である。幾つかの実施形態において、エンクロージャ又は外部環境の少なくとも1つの平衡相対湿度は、0℃~100℃の温度範囲にわたって2%~5%の範囲である。
【0060】
幾つかの実施形態において、エンクロージャ又は外部環境の少なくとも1つの平衡相対湿度は、0℃~100℃の温度範囲にわたって5%~90%の範囲である。幾つかの実施形態において、エンクロージャ又は外部環境の少なくとも1つの平衡相対湿度は、0℃~100℃の温度範囲にわたって10%~75%の範囲である。幾つかの実施形態において、エンクロージャ又は外部環境の少なくとも1つの平衡相対湿度は、0℃~100℃の温度範囲にわたって25%~50%の範囲である。
【0061】
幾つかの実施形態において、エンクロージャ又は外部環境の少なくとも1つの平衡相対湿度は、0℃~75℃の温度範囲にわたって2%~98%の範囲である。幾つかの実施形態において、エンクロージャ又は外部環境の少なくとも1つの平衡相対湿度は、0℃~50℃の温度範囲にわたって2%~98%の範囲である。幾つかの実施形態において、エンクロージャ又は外部環境の少なくとも1つの平衡相対湿度は、0℃~25℃の温度範囲にわたって2%~98%の範囲である。
【0062】
幾つかの実施形態において、エンクロージャ又は外部環境の少なくとも1つの平衡相対湿度は、25℃~100℃の温度範囲にわたって2%~98%の範囲である。幾つかの実施形態において、エンクロージャ又は外部環境の少なくとも1つの平衡相対湿度は、50℃~100℃の温度範囲にわたって2%~98%の範囲である。幾つかの実施形態において、エンクロージャ又は外部環境の少なくとも1つの平衡相対湿度は、75℃~100℃の温度範囲にわたって2%~98%の範囲である。
【0063】
幾つかの実施形態において、エンクロージャ又は外部環境の少なくとも1つの平衡相対湿度は、25℃~50℃の温度範囲にわたって2%~98%の範囲である。幾つかの実施形態において、エンクロージャ又は外部環境の少なくとも1つの平衡相対湿度は、25℃~75℃の温度範囲にわたって2%~98%の範囲である。幾つかの実施形態において、エンクロージャ又は外部環境の少なくとも1つの平衡相対湿度は、50℃~75℃の温度範囲にわたって2%~98%の範囲である。
【0064】
幾つかの実施形態において、この方法は、エンクロージャと外部環境との間で一定の湿分勾配で行われる。幾つかの実施形態において、この方法は、エンクロージャと外部環境との間で一連の一定の湿分勾配で間隔を置いて行われる。幾つかの実施形態において、複数のポンプ曲線は間隔中に生成される。幾つかの実施形態において、各ポンプ曲線は、一連の湿分勾配の特定の湿分勾配に対応する。
【0065】
幾つかの実施形態において、一定の湿分勾配又は一連の一定の湿分勾配は、0℃~100℃の範囲にわたって一定である。幾つかの実施形態において、一定の湿分勾配又は一連の一定の湿分勾配は、25℃~100℃の範囲にわたって一定である。幾つかの実施形態において、一定の湿分勾配又は一連の一定の湿分勾配は、50℃~100℃の範囲にわたって一定である。幾つかの実施形態において、一定の湿分勾配又は一連の一定の湿分勾配は、75℃~100℃の範囲にわたって一定である。
【0066】
幾つかの実施形態において、一定の湿分勾配又は一連の一定の湿分勾配は、0℃~75℃の範囲にわたって一定である。幾つかの実施形態において、一定の湿分勾配又は一連の一定の湿分勾配は、0℃~50℃の範囲にわたって一定である。幾つかの実施形態において、一定の湿分勾配又は一連の一定の湿分勾配は、0℃~25℃の範囲にわたって一定である。
【0067】
幾つかの実施形態において、一定の湿分勾配又は一連の一定の湿分勾配は、25℃~75℃の範囲にわたって一定である。幾つかの実施形態において、一定の湿分勾配又は一連の一定の湿分勾配は、50℃~75℃の範囲にわたって一定である。幾つかの実施形態において、一定の湿分勾配又は一連の一定の湿分勾配は、25℃~50℃の範囲にわたって一定である。
【0068】
幾つかの実施形態において、外部環境が第二のエンクロージャの形態をとる場合に、第二のエンクロージャは、本明細書に記載の任意の温度範囲にわたって、本明細書に記載の任意の一定の湿分勾配又は一連の一定の湿分勾配を有することができる。
【0069】
幾つかの実施形態において、蒸気ポンプは連続的に作動する。幾つかの実施形態において、蒸気ポンプは周期的に作動する。
【0070】
少なくとも1つの蒸気が水蒸気を含む幾つかの実施形態において、水蒸気の少なくとも一部は、エンクロージャの相対湿度を平衡相対湿度より低くするように、湿分ポンプによって、エンクロージャ内からの水蒸気の一部を吸収又は吸着することによって、湿分ポンプを用いて、少なくとも1つの第一の期間にわたって、エンクロージャから外部環境に移送されうる。幾つかの実施形態において、少なくとも1つの第一の期間にわたって、相対湿度を平衡相対湿度に回復するように、水を過飽和塩溶液から蒸発させることができる。
【0071】
少なくとも1つの第一の期間は任意の長さにすることができ、幾つかの要因に基づいて変化することができる。幾つかの実施形態において、少なくとも1つの第一の期間は3~12時間の範囲である。幾つかの実施形態において、少なくとも1つの第一の期間は5.5~12時間の範囲である。幾つかの実施形態において、少なくとも1つの第一の期間は、11.5~12時間の範囲である。幾つかの実施形態において、少なくとも1つの第一の期間は3~5.5時間の範囲である。幾つかの実施形態において、少なくとも1つの第一の期間は、3~11.5時間の範囲である。幾つかの実施形態において、少なくとも1つの第一の期間は、5.5~11.5時間の範囲である。幾つかの実施形態において、少なくとも1つの第一の期間は3時間である。幾つかの実施形態において、少なくとも1つの第一の期間は5.5時間である。幾つかの実施形態において、少なくとも1つの第一の期間は11.5時間である。幾つかの実施形態において、少なくとも1つの第一の期間は12時間である。
【0072】
少なくとも1つの蒸気が水蒸気を含む幾つかの実施形態において、水蒸気の少なくとも一部は、湿分ポンプを用いて、少なくとも1つの第二の期間にわたってエンクロージャから外部環境に移送されうる。
【0073】
少なくとも1つの第二の期間は任意の長さにすることができ、幾つかの要因に基づいて変化することができる。幾つかの実施形態において、少なくとも1つの第二の期間は、0.25~4時間の範囲である。幾つかの実施形態において、少なくとも1つの第二の期間は、0.5~4時間の範囲である。幾つかの実施形態において、少なくとも1つの第二の期間は2~4時間の範囲である。幾つかの実施形態において、少なくとも1つの第二の期間は、0.25~2時間の範囲である。幾つかの実施形態において、少なくとも1つの第二の期間は、0.25~0.5時間の範囲である。幾つかの実施形態において、少なくとも1つの第二の期間は、0.5~2時間の範囲である。幾つかの実施形態において、少なくとも1つの第二の期間は0.25時間である。幾つかの実施形態において、少なくとも1つの第二の期間は0.5時間である。幾つかの実施形態において、少なくとも1つの第二の期間は2時間である。幾つかの実施形態において、少なくとも1つの第二の期間は4時間である。
【0074】
幾つかの実施形態において、湿分ポンプを用いて少なくとも1つの第二の期間にわたって水蒸気の少なくとも一部を移送することは、湿分ポンプから外部環境への水蒸気の脱着も含むことができる。幾つかの実施形態において、少なくとも1つの第一の期間及び少なくとも1つの第二の期間の合計はポンプサイクルを規定する。幾つかの実施形態において、湿分ポンプを用いてエンクロージャから外部環境に移送される水蒸気の一部の速度は、ポンプサイクルにわたる過飽和塩溶液の質量の変化に基づいて計算される。
【0075】
湿分ポンプが連続的に作動する実施形態などの幾つかの実施形態において、少なくとも1つの第一の期間及び少なくとも1つの第二の期間は重複することができる。湿分ポンプが連続的に作動する実施形態などの幾つかの実施形態において、湿分ポンプを用いてエンクロージャ内からの水蒸気の一部を吸収又は吸着する工程は、水蒸気を湿分ポンプから外部環境に脱着する工程と重複することができる。
【0076】
少なくとも1つの蒸気が水蒸気を含み、外部環境が第二のエンクロージャの形態をとる幾つかの実施形態において、水蒸気の少なくとも一部は、第一のエンクロージャの相対湿度を平衡相対湿度より低くするように、第一のエンクロージャ内からの水蒸気の一部を湿分ポンプで吸収又は吸着することにより、少なくとも1つの第一の期間にわたって、湿分ポンプを用いて、第一のエンクロージャから第二のエンクロージャに移送されうる。幾つかの実施形態において、少なくとも1つの第一の期間にわたって、第一のエンクロージャの相対湿度を平衡相対湿度に回復するように、水を過飽和塩溶液から蒸発させることができる。少なくとも1つの蒸気が水蒸気を含み、外部環境が第二のクロージャの形態をとる幾つかの実施形態において、水蒸気の少なくとも一部は、少なくとも1つの第二の期間にわたって、湿分ポンプを用いて、第一のエンクロージャから第二のエンクロージャに移送されうる。幾つかの実施形態において、少なくとも1つの第二の期間にわたって湿分ポンプを用いて水蒸気の少なくとも一部を移送することはまた、湿分ポンプから第二のエンクロージャへの水蒸気の脱着を含むことができる。幾つかの実施形態において、少なくとも1つの第一の期間及び少なくとも1つの第二の期間の合計はポンプサイクルを規定する。幾つかの実施形態において、湿分ポンプを用いて第一のエンクロージャから第二のエンクロージャに移送される水蒸気の一部の速度は、ポンプサイクルにわたる過飽和塩溶液の質量の変化に基づいて計算される。
【0077】
幾つかの実施形態において、少なくとも1つのポンプ曲線は、少なくとも1つの期間にわたって生成される。少なくとも1つのポンプ曲線を生成するための非限定的な手順は、本明細書の例1に記載されている。幾つかの実施形態において、本明細書に記載の少なくとも1つのポンプ曲線は、ポンプサイクルにわたって生成される。
【0078】

例1:
【0079】
以下は、本開示による方法を使用して少なくとも1つのポンプ曲線を生成することを示す非限定的な例である。
【0080】
以下でさらに詳細に記載されるように、図2に示すような試験設備を組み立てた。示されているように、試験設備は、スチールボックスの形のエンクロージャ、過飽和塩浴及び加熱湿分ポンプ(HMP)の形の蒸気ポンプを含んだ。外部環境は環境チャンバの形をとった。さらに、本発明の非限定的な例において、環境チャンバは、一定の温度及び一定の相対湿度(RH)に維持された。
【0081】
図2に示されるように、データキャプチャ/ロギング機能を備えた天びんをエンクロージャ内に配置した。次に、天びんを含むエンクロージャを35℃及び65%RHに設定された環境チャンバに装填した。エンクロージャのすべてのアクセスパネルを開放し、その結果、エンクロージャの内部はチャンバ環境にさらされた。エンクロージャの内部状態をモニタリングするために、第一の湿度-温度プローブを、密閉されたフィッティングを介してエンクロージャの内部に接続した。チャンバの状態をモニタリングするために、第二の湿度-温度プローブを環境チャンバ内に配置した。温度-湿度プローブ及び天びんをデータロガーに接続し、データロギングを開始した。この非限定的な例において、エンクロージャ及び天びんをチャンバに67時間浸した。
【0082】
この非限定的な例において、過飽和塩溶液は、35℃で65%RHを維持するのに十分な量で提供され、直径14cmペトリ皿で混合された。67時間の浸漬後に、天びんをゼロにし、ペトリ皿を天びんに置いた。エンクロージャのすべてのエンクロージャアクセスパネルを閉止し、密閉された環境を作成した。環境チャンバを引き続き35℃及び65%RHに設定し、データロギングを継続した。天びん及び過飽和塩溶液を含むエンクロージャを70時間平衡化させた。
【0083】
天びん及び過飽和塩水溶液を含むエンクロージャが平衡状態になった後に、HMPをエンクロージャの内部に配置し、HMPをエンクロージャの内部及び環境チャンバ環境と流体連通させた。エンクロージャの他のすべてのアクセスパネルを閉止し、密閉された内部環境を作成した。HMPを電源に接続した。電源供給器を、次の24時間のシーケンスに従って電源供給器のオンとオフをサイクルさせるコントローラに接続した。
【0084】
2時間オン
【0085】
3時間オフ
【0086】
2時間オン
【0087】
3時間オフ
【0088】
2時間オン
【0089】
12時間オフ
【0090】
過飽和塩浴の質量を記録した。環境チャンバを引き続き35℃及び65%RHに設定した。データロギングを継続した。
【0091】
湿分ポンプの循環を開始した。湿分ポンプの循環を5日間続けた。
【0092】
湿分ポンプを5日間作動した後に、試験を停止し、図3に示されるように、過飽和塩溶液の質量を時間に対してプロットすることによってデータを分析した。次に、過飽和塩溶液の質量の変化をそれぞれ24時間のシーケンスに対して見つけた。チャンバドアを開いて試験を準備しそして開始することにより引き起こされる非定常状態の状態を計算に入れるために、最初の24時間シーケンスからのデータを分析から削除した。この非限定的な例において、残りの4つの24時間シーケンスにわたる過飽和塩溶液の質量の平均変化を計算し、24時間あたり577mgHOの例示的な平均水蒸気ポンピング速度を得た。この平均水蒸気ポンプ速度は、図3に示すように、ポンプ曲線上の1つのポイントである。ここで、35℃では、内部%RHは65%であり、外部%RHは65%であり、エンクロージャの内部環境と環境チャンバの外部環境の間の湿分勾配は0%RHであった。
【0093】
幾つかの実施形態において(例えば、時間データに対する過飽和塩溶液の質量が高度に線形である場合)、線形最小二乗線をデータに適合させることができる。図4に示されるように、適合した線の傾きは平均水蒸気ポンピング速度である。
【0094】
幾つかの実施形態において、この一連の工程は、ポンプ曲線の個々の点を開発するために、内部及び外部の温度及び湿度条件の幾つかの組み合わせに対して繰り返されることができる。
【0095】
上記の本開示の好ましい実施形態に対する変形、改変及び変更は、当業者に明らかになるであろう。そのようなすべての変形、改変、変更などは、本開示の主旨及び範囲内に含まれることが意図されており、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
【0096】
本開示の幾つかの実施形態が記載されてきたが、記載された幾つかの実施形態は例示にすぎず、限定的ではなく、多くの変更が当業者に明らかになるであろう。例えば、本明細書で論じられるすべての寸法は、例としてのみ提供されており、例示的であり、限定的ではないことが意図されている。
【0097】
本明細書で積極的に特定される任意の特徴又は要素はまた、特許請求の範囲で規定される本発明の実施形態の特徴又は要素として具体的に除外されうる。
【0098】
本明細書に記載の開示は、本明細書に具体的に開示されていない1つ以上の任意の要素、1つ以上の限定がない状態で実施することができる。したがって、例えば、本明細書の各場合において、「含む」、「から本質的になる」及び「からなる」という用語のいずれかを、他の2つの用語のいずれかで置き換えることができる。使用されている用語及び表現は、説明の用語として使用され、限定ではなく、示されそして記載されている特徴の同等物又はその一部を除外する意図はなく、様々な変更が本開示の範囲内で可能であることは認識される。
図1
図2
図3
図4