(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-18
(45)【発行日】2023-07-26
(54)【発明の名称】ビタミンAを含む押出し物
(51)【国際特許分類】
A61K 31/23 20060101AFI20230719BHJP
A23L 33/155 20160101ALI20230719BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20230719BHJP
A61K 9/10 20060101ALI20230719BHJP
A61K 31/355 20060101ALI20230719BHJP
A61K 31/593 20060101ALI20230719BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20230719BHJP
A61P 3/02 20060101ALI20230719BHJP
【FI】
A61K31/23
A23L33/155
A61K9/08
A61K9/10
A61K31/355
A61K31/593
A61K47/36
A61P3/02 102
A61P3/02 109
(21)【出願番号】P 2020544786
(86)(22)【出願日】2019-03-14
(86)【国際出願番号】 EP2019056448
(87)【国際公開番号】W WO2019175326
(87)【国際公開日】2019-09-19
【審査請求日】2021-11-11
(32)【優先日】2018-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】503220392
【氏名又は名称】ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ.
【氏名又は名称原語表記】DSM IP ASSETS B.V.
【住所又は居所原語表記】Het Overloon 1, NL-6411 TE Heerlen,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(72)【発明者】
【氏名】アッカー, ジハネ
(72)【発明者】
【氏名】ブルバレッロ, アンドレア
(72)【発明者】
【氏名】コノリー, アラン
(72)【発明者】
【氏名】カーチェン, ステファニー
(72)【発明者】
【氏名】リーガー, ヘンリー
(72)【発明者】
【氏名】スプレイター, シモン
(72)【発明者】
【氏名】アーバン, カイ
【審査官】内藤 康彰
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-058945(JP,A)
【文献】特表2016-514951(JP,A)
【文献】特表2019-517604(JP,A)
【文献】特表2020-528746(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0071563(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00-33/44
A61K 9/00- 9/72
A61K 47/00-47/69
A61P 1/00-43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マトリックス及びビタミンAパルミチン酸エステルを含む押出し物であって、前記マトリックスは、オクテニルコハク酸デンプン及びデキストリ
ンからなる
、押出し物。
【請求項2】
オクテニルコハク酸デンプンとデキストリンとの間の重量比は、1.5:1~1:1.5である、請求項1に記載の押出し物。
【請求項3】
前記押出し物は、水溶性又は水分散性である、請求項1又は2に記載の押出し物。
【請求項4】
前記押出し物は、少なくとも1つの脂溶性酸化防止剤を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の押出し物。
【請求項5】
前記押出し物は、α-トコフェロール及びδ-トコフェロールを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の押出し物。
【請求項6】
前記押出し物は、α-トコフェロール、β-トコフェロール、γ-トコフェロール、及びδ-トコフェロールを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の押出し物。
【請求項7】
-前記押出し物の、いかなる残留水分も含んでいない総重量に基づいて、1~2重量%のビタミンAパルミチン酸エステル、
-前記押出し物の、いかなる残留水分も含んでいない総重量に基づいて、0.001~0.02重量%のビタミンD3、
-前記押出し物の、いかなる残留水分も含んでいない総重量に基づいて、8~15重量%のdl-α-酢酸トコフェロール、
-前記押出し物の、いかなる残留水分も含んでいない総重量に基づいて、少なくとも30重量%のオクテニルコハク酸デンプン、
-前記押出し物の、いかなる残留水分も含んでいない総重量に基づいて、少なくとも30重量%のデキストリン、及び
-少なくとも1つの酸化防止剤
を含み、オクテニルコハク酸デンプンとデキストリンとの間の重量比は、1.5:1~1:1.5である、請求項1~6のいずれか一項に記載の押出し物。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の押出し物の複数を含む容器。
【請求項9】
前記容器は、サッシェ、バッグ、若しくはスティックパックである及び/又は前記押出し物のそれぞれは、前記押出し物の、いかなる残留水分も含んでいない総重量に基づいて、少なくとも1重量%のビタミンAパルミチン酸エステルを含む、請求項8に記載の容器。
【請求項10】
オクテニルコハク酸デンプン及びデキストリンからなるマトリックス、並びに少なくとも1つの脂溶性ビタミンを含む押出し物を製造するための方法であって、
-押出し機の第1のバレルの中にオクテニルコハク酸デンプン及びデキストリンの混合物を供給するステップ
-前記第1のバレルの下流に位置している第2のバレルの中に水を注入するステップ
-前記第1のバレル及び前記第2のバレルの下流に位置している第3のバレルの中に前記少なくとも1つの脂溶性ビタミンを注入するステップ
を含
み、前記少なくとも1つの脂溶性ビタミンがビタミンAパルミチン酸エステルである、方法。
【請求項11】
オクテニルコハク酸デンプンとデキストリンとの間の重量比は、1.5:1~1:1.5である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
ビタミンAパルミチン酸エステル、ビタミンD3、dl-α-酢酸トコフェロール、及び任意選択で少なくとも1つの脂溶性酸化防止剤の混合物は、前記第3のバレルの中に注入される前に融解される、請求項10
又は11に記載の方法。
【請求項13】
押出し物を製造するためのビタミンAパルミチン酸エステルの使用であって、前記押出し物は、オクテニルコハク酸デンプン及びデキストリン
からなるマトリックスを含む使用。
【請求項14】
オクテニルコハク酸デンプンとデキストリンとの間の重量比は、2:1~1:2である、請求項
13に記載の使用。
【請求項15】
オクテニルコハク酸デンプンとデキストリンとの間の重量比は、1.5:1~1:1.5である、請求項
13又は
14に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[技術分野]
本発明は、ビタミンAを含む経口製剤の安定性に関する。
【0002】
[発明の背景]
ビタミンA及び他の脂溶性ビタミンを含む経口製剤は、液剤、錠剤、カプセル剤、粉剤、又は押出し物であってもよい。
【0003】
有効期間は、どんなビタミンサプリメントにとっても重要な特色となる。6か月未満の有効期間を有する製品は、多くの場合、商業的価値がない。
【0004】
ビタミンAは、酸素に対して感受性である。そのため、ビタミンA押出し物は、徹底的な包装を必要とすることが多い。
【0005】
ビタミン粉剤は、バッグ又はスティックパックで販売されている。そのような包装システムはまた、押出し物にも適している。
【0006】
バッグ及びスティックパックは、1回分を含有することが多い。摂取の後、空のバッグは捨てられる。これは、特にそのような容器がアルミ箔の層を含有する場合、かなりの廃棄物となる。
【0007】
下記の特色のすべて又は少なくともいくつかを有する経口製剤の必要性がある。
・ビタミンAの原料を含有する
・他の脂溶性ビタミンを含有する(ビタミンAに加えて)
・良好な貯蔵安定性/長い有効期間を有する
・高価で持続不可能な包装材料を必要としない
・生産費用が低い
【0008】
[発明の概要]
商品の費用を低減させるために、ペレット剤、錠剤、カプセル剤などの代わりに押出し物が生産される。押出し物によって、効果的に費用が低減され、それらを継続して製造することができる。
【0009】
商品の費用は、比較的小さな体積を有する濃縮押出し物を提供することによってさらに低減される。そのような押出し物は、それほど包装を必要としない。これは、費用及び廃棄物を低減させるのを可能にする。
【0010】
包装のための費用は、それ自体が高い安定性を有する押出し物を提供することによって、さらに低減させることができる。
【0011】
ビタミンAを含む押出し物は、ビタミンAパルミチン酸エステルがビタミンAの原料として使用される場合、より安定している。驚いたことに、安定性は、ビタミンAパルミチン酸エステルがオクテニルコハク酸デンプン及びデキストリンから本質的になるマトリックス中に埋め込まれている場合、さらに改善させることができる。
【0012】
理論によって束縛されることを望むものではないが、ビタミンAパルミチン酸エステルは、オクテニルコハク酸デンプン及びデキストリンから本質的になるマトリックス内でビタミンA酢酸エステルよりも結晶化を受けにくいことが仮定されてきた。ビタミンAパルミチン酸エステルが、結晶化を予防するのを助けるデキストリンのOH基に結合するといった確かな手がかりがある。
【0013】
ビタミンAを含む押出し物の安定性は、α-トコフェロール、β-トコフェロール、γ-トコフェロール、及びδ-トコフェロールを含む混合物の追加によって、さらに改善させることができる。
【0014】
好ましい実施形態では、本発明の押出し物は、
-押出し物の、いかなる残留水分も含んでいない総重量に基づいて、1~2重量%のビタミンAパルミチン酸エステル、
-押出し物の、いかなる残留水分も含んでいない総重量に基づいて、0.001~0.02重量%のビタミンD3、
-押出し物の、いかなる残留水分も含んでいない総重量に基づいて、8~15重量%のdl-α-酢酸トコフェロール、
-押出し物の、いかなる残留水分も含んでいない総重量に基づいて、少なくとも30重量%のオクテニルコハク酸デンプン、
-押出し物の、いかなる残留水分も含んでいない総重量に基づいて、少なくとも30重量%のデキストリン、及び
-好ましくは、少なくとも1つの酸化防止剤
を含み、オクテニルコハク酸デンプンとデキストリンとの間の重量比は、2:1~1:2である、好ましくは1:1である。
【0015】
そのような押出し物を製造するための方法は、
-押出し機の第1のバレルの中にオクテニルコハク酸デンプン及びデキストリンの混合物を供給するステップ
-前記第1のバレルの下流に位置している第2のバレルの中に水を注入するステップ
-前記第1のバレル及び前記第2のバレルの下流に位置している第3のバレルの中に脂溶性ビタミンを注入するステップ
を含む。
【0016】
[発明の詳細な説明]
本発明は、押出し物に関する。
【0017】
本発明に関して、用語「押出し物」は、好ましくは水溶性又は水分散性である固体粒子を指す。「水溶性の」又は「水分散性の」押出し物は、60rpm(毎分回転数)でさじで撹拌中の30℃の温度の2dlの水の中に入れると、2分未満で崩壊する。本発明の好ましい実施形態では、「水分散性の」及び「水溶性の」は、押出し物が、60rpm(毎分回転数)でさじで撹拌中の22℃の温度の2dlの水の中に入れると、2分未満で崩壊することを意味する。
【0018】
本発明の押出し物は、好ましくは、50μm~2000μmの長さを有し、「長さ」は、測定することができる最も長い直線距離を指している。この長さについての定義は、粒子が、ジャガイモの形状などのようなでこぼこした形状を有するかもしれないことを考慮する。球状の押出し物の場合、球体の直径が、粒子の長さに相当する。球状の押出し物は、たとえば、円筒形の押出し物の球形化によって得られる。本発明の好ましい実施形態では、押出し物は、規格1000μm>サイズ>212μmを満たす。前記規格を満足するかどうかは、ふるい分けによって測定される。
【0019】
ビタミンA酢酸エステル及びビタミンAパルミチン酸エステルなどのようなビタミンAの複数の原料が知られている。驚いたことに、ビタミンAパルミチン酸エステルは、ビタミンA酢酸エステルよりも押出し物を調製するのにより適していることが証明された。
【0020】
したがって、本発明はまた、押出し物を製造するためのビタミンAパルミチン酸エステルの使用にも関し、前記押出し物は、好ましくは、本明細書において記載されるようなマトリックスを含む。
【0021】
驚いたことに、ビタミンAパルミチン酸エステルがビタミンAの原料として使用される場合、「回収率」及び「安定性」が改善される。
【0022】
本発明に関して、「ビタミンAの回収率」は、押出し後12時間以内にHPLCによって測定され、且つ算出(すなわち理論的)ビタミンA含有率に対するパーセンテージで示されるビタミンA含有率である。本発明による押出し物からのビタミンAの回収率は、算出ビタミンA含有率の好ましくは80%超、より好ましくは90%超、最も好ましくは95%超である。
【0023】
本発明に関して、「ビタミンAの安定性」は、押出しの4週間後又は押出しの12週間後にHPLCによって測定されるビタミンA含有率を指す。安定性は、HPLCによって押出し後12時間以内に測定されたビタミンA含有率に対するパーセンテージで示される。
【0024】
[マトリックス]
本発明の押出し物のマトリックスは、1つの化合物だけからなってもよい又は1つを超える化合物を含んでいてもよい。驚いたことに、ビタミンAパルミチン酸エステルの回収率は、本発明の押出し物のマトリックスが、オクテニルコハク酸デンプン及びデキストリンの混合物から本質的になる場合、特に良好である。
【0025】
本出願に関して、押出し物の総重量(いかなる残留水分も含んでいない)の少なくとも10重量%の量で押出し物中に存在する任意の化合物は、本発明の特許出願の定義によって、押出し物のマトリックスの一部となる。したがって、用語「マトリックス」は、押出し物の総重量(いかなる残留水分も含んでいない)の少なくとも10重量%の量で存在する、押出し物の化合物を指す。
【0026】
そのため、例として、
-5重量%のX
-70重量%のY、及び
-25重量%のZ
を含む、押出し物のマトリックスは、化合物Y及びZからなる。
【0027】
押出し物の1つの化合物だけが押出し物の総重量(いかなる残留水分も含んでいない)の少なくとも10重量%の量で存在する場合、用語「マトリックス」は、この化合物を指す。したがって、
-5重量%のX
-90重量%のY、及び
-5重量%のZ
を含む、押出し物のマトリックスは、化合物Yからなる。
【0028】
本発明に関して、ビタミンA、ビタミンD、及びα-酢酸トコフェロール(ビタミンEの好ましい原料である)などのようなビタミンは、それらが押出し物の総重量(いかなる残留水分も含んでいない)の少なくとも10重量%の量で存在しても、押出し物のマトリックスの一部ではない。ビタミンは、押出し物のマトリックス中に埋め込まれている活性剤である。
【0029】
本発明に関して、別段の指示がない限り、「重量%」は、いかなる残留水分も含まない、押出し物の総重量を常に指す(すなわち、押出し物の乾燥重量に基づく)。
【0030】
本発明の好ましい実施形態では、押出し物は、少なくとも10重量%の乳化剤を含む。したがって、そのような実施形態では、押出し物のマトリックスは、乳化剤を含む。好ましい乳化剤は、市販で入手可能なHiCap(登録商標)などのようなオクテニルコハク酸デンプンである。
【0031】
本発明に関して、用語「デキストリン」は、デンプン又はグリコーゲンの加水分解によって得られる炭水化物の混合物を指す。本発明に関して、混合物であるにもかかわらず、「デキストリン」は、押出し物の総重量のうちの重量%でその量を算出する場合、単一の化合物として扱われる。
【0032】
本発明の好ましい実施形態では、押出し物は、少なくとも10重量%のデキストリンを含む。したがって、そのような実施形態では、押出し物のマトリックスは、デキストリンを含む。様々な種類のデキストリンが、知られており、市販で入手可能である。市販で入手可能なブランドは、Crystal Tex(登録商標)である。
【0033】
理論によって束縛されることを望むものではないが、ビタミンAパルミチン酸エステルは、結晶化を予防するのを助けるデキストリンのOH基に結合すると考えられる。
【0034】
オクテニルコハク酸デンプン及びデキストリン以外の化合物を含むマトリックスが試験された。驚いたことに、オクテニルコハク酸デンプン及びデキストリンに加えてアラビアゴムを含むマトリックスは、オクテニルコハク酸デンプン及びデキストリンからなる二成分のマトリックスと同じくらい良好には機能しない。驚いたことに、オクテニルコハク酸デンプン及びデキストリンに加えてマトリックスがセモリナを含む場合、同じことが当てはまる。そのようなマトリックスを含む押出し物は、マトリックスがオクテニルコハク酸デンプン及びデキストリンからなる押出し物よりも、表面の油がかなり多い。
【0035】
したがって、本発明の押出し物のマトリックスは、好ましくは、オクテニルコハク酸デンプン及びデキストリンからなる。そのような押出し物では、押出し物の総重量(いかなる残留水分も含んでいない)の少なくとも10重量%の量で存在する化合物(ビタミンとは別に)は、オクテニルコハク酸デンプン及びデキストリンだけである。
【0036】
そのため、本発明の好ましい実施形態は、マトリックス及びビタミンAパルミチン酸エステルを含む押出し物に関し、前記マトリックスは、オクテニルコハク酸デンプン及びデキストリンからなる。
【0037】
本発明の好ましい実施形態では、オクテニルコハク酸デンプンとデキストリンとの間の重量比は、2:1~1:2である。1.5:1~1:1.5の重量比が、特に好ましい。最も好ましい重量比は、1:1である。
【0038】
そのため、本発明の好ましい実施形態は、マトリックス及びビタミンAパルミチン酸エステルを含む押出し物に関し、前記マトリックスは、オクテニルコハク酸デンプン及びデキストリンからなり、前記オクテニルコハク酸デンプンと前記デキストリンとの間の重量比は、2:1~1:2であり、好ましくは1.5:1~1:1.5である。
【0039】
典型的に、本発明の押出し物は、少なくとも30重量%のオクテニルコハク酸デンプン及び好ましくは少なくとも30重量%のデキストリンを含み、オクテニルコハク酸デンプンとデキストリンとの間の前述の重量比が適用される。
【0040】
そのため、本発明の好ましい実施形態は、マトリックス及びビタミンAパルミチン酸エステルを含む押出し物に関し、押出し物は、少なくとも30重量%のオクテニルコハク酸デンプン及び少なくとも30重量%のデキストリンを含み、前記オクテニルコハク酸デンプンと前記デキストリンとの間の重量比は、2:1~1:2であり、好ましくは1.5:1~1:1.5であり、最も好ましくは1:1である。
【0041】
当業者は、この教示の適用の仕方を知っている。当業者は、たとえば、すべての重量パーセンテージが合計して100重量%以下にならなければならないことを知っている(別段の定めのない限り、いかなる残留水分も考慮に入れない)。したがって、当業者は、重量パーセンテージ及び/又は重量比を不適切に選ぶことを避けるであろう。
【0042】
[酸化防止剤]
本発明の押出し物は、少なくとも1つの酸化防止剤を含んでいてもよい。好ましくは、酸化防止剤は、押出し物の総重量(いかなる残留水分も含んでいない)の10重量%未満の量で存在する。したがって、本発明の定義に従って、酸化防止剤は、典型的に、押出し物のマトリックスの一部ではない。
【0043】
本発明の押出し物は、脂溶性酸化防止剤を含んでいてもよい。
【0044】
したがって、本発明の一実施形態では、押出し物は、
-ビタミンAパルミチン酸エステルなどのようなビタミンAの原料
-少なくとも1つの酸化防止剤、及び
-マトリックス
を含み、前記マトリックスは、オクテニルコハク酸デンプン及びデキストリンからなり、前記オクテニルコハク酸デンプンと前記デキストリンとの間の重量比は、2:1~1:2である。
【0045】
好ましくは、押出し物は、押出し物の総重量(いかなる残留水分も含んでいない)に基づいて、0.01重量%~5重量%の1つ又は複数の脂溶性酸化防止剤を含む。押出し物の総重量(いかなる残留水分も含んでいない)に基づいて、0.05重量%~3重量%の1つ又は複数の脂溶性酸化防止剤を含む押出し物が、さらにより好ましい。
【0046】
好ましい脂溶性酸化防止剤は、α-トコフェロール、β-トコフェロール、γ-トコフェロール、及びδ-トコフェロールである。α-トコフェロール、β-トコフェロール、γ-トコフェロール、及びδ-トコフェロールを含む混合物が特に好ましい。そのような混合物は、「混合トコフェロール」と呼ばれ、「Mixed Tocopherols 95」というブランドでDSM(登録商標)Nutritional Productsで市販で入手可能である。
【0047】
DSM(登録商標)Nutritional Productsで入手可能な「Mixed tocopherols 95」は、α-トコフェロール、β-トコフェロール、γ-トコフェロール、及びδ-トコフェロールを含む。前記トコフェロールは、典型的に、(R,R,R)-トコフェロールである。対照的に、all-racトコフェロールは、dl-トコフェロールと表される。
【0048】
「mixed tocopherols 95」の総トコフェロール含有率は、製品の総重量に基づいて、少なくとも95重量%である。それは、α-トコフェロールよりも多くのδ-トコフェロールを含む、すなわち、「mixed tocopherols 95」中のα-トコフェロール:δ-トコフェロールの重量比は1未満である。それはまた、α-トコフェロールよりも多くのγ-トコフェロールをも含む、すなわち、「mixed tocopherols 95」中のα-トコフェロール:γ-トコフェロールの重量比は1未満である。「mixed tocopherols 95」中のα-トコフェロール:非α-トコフェロールの重量比は1未満であり、用語「非α-トコフェロール」は、β-トコフェロール、γ-トコフェロール、及びδ-トコフェロールについて集計した重量を指している。
【0049】
驚いたことに、本発明の押出し物は、α-トコフェロール、β-トコフェロール、γ-トコフェロール、及び/又はδ-トコフェロールを含む混合物が追加される場合、特に安定している。
【0050】
したがって、本発明の一実施形態では、押出し物は、
-ビタミンAパルミチン酸エステルなどのようなビタミンAの原料
-少なくとも1つの酸化防止剤、及び
-マトリックス
を含み、前記マトリックスは、オクテニルコハク酸デンプン及びデキストリンからなり、前記オクテニルコハク酸デンプンと前記デキストリンとの間の重量比は、2:1~1:2であり、
押出し物は、α-トコフェロール、β-トコフェロール、γ-トコフェロール、及び/又はδ-トコフェロールを含み、押出し物は、好ましくは、α-トコフェロール、β-トコフェロール、γ-トコフェロール、及びδ-トコフェロールを含む。
【0051】
本発明の好ましい実施形態では、α-トコフェロールとδ-トコフェロールとの間の重量比の比は、0.5:1~2:1、より好ましくは0.5:1~1:1、最も好ましくは0.5:1~0.9:1である。本発明のさらに好ましい実施形態では、α-トコフェロールとγ-トコフェロールとの間の重量比の比は、0.5:1~2:1、より好ましくは0.5:1~1:1、最も好ましくは0.5:1~0.9:1である。
【0052】
本発明はまた、ビタミンAパルミチン酸エステルなどのようなビタミンAの原料を含む押出し物を製造するためのα-トコフェロール、β-トコフェロール、γ-トコフェロール、及びδ-トコフェロールを含む混合物の使用にも関する。
【0053】
[脂溶性ビタミン]
本発明の好ましい実施形態では、押出し物は、1つを超える脂溶性ビタミンを含む。追加することができる他の脂溶性ビタミンは、たとえばビタミンD及びビタミンEである。ビタミンEの好ましい原料は、dl-α-酢酸トコフェロールなどのようなα-酢酸トコフェロールである。ビタミンDの好ましい原料は、ビタミンD3である。
【0054】
したがって、本発明の一実施形態は、
-ビタミンAパルミチン酸エステル、
-ビタミンD3、
-α-酢酸トコフェロールなどのようなビタミンEの原料、
-少なくとも1つの脂溶性酸化防止剤、及び
-マトリックス
を含む押出し物に関し、前記マトリックスは、オクテニルコハク酸デンプン及びデキストリンからなり、オクテニルコハク酸デンプンとデキストリンとの間の重量比は、好ましくは2:1~1:2であり、
前記少なくとも1つの脂溶性酸化防止剤は、α-トコフェロール、β-トコフェロール、γ-トコフェロール、及びδ-トコフェロールを含む混合物である。
【0055】
本発明のさらにより好ましい実施形態は、
-ビタミンAパルミチン酸エステル、
-ビタミンD3、
-押出し物の総重量(いかなる残留水分も含んでいない)に基づいて、α-酢酸トコフェロールなどのような少なくとも5重量%のビタミンEの原料、
-少なくとも1つの酸化防止剤、
-押出し物の総重量(いかなる残留水分も含んでいない)に基づいて、40~45重量%のオクテニルコハク酸デンプン、及び
-押出し物の総重量(いかなる残留水分も含んでいない)に基づいて、40~45重量%のデキストリン
を含む押出し物に関する。
【0056】
本発明の最も好ましい実施形態は、
-ビタミンAパルミチン酸エステル、
-ビタミンD3、
-押出し物の総重量(いかなる残留水分も含んでいない)に基づいて、少なくとも5重量%のα-酢酸トコフェロール、
-押出し物の総重量(いかなる残留水分も含んでいない)に基づいて、40~45重量%のオクテニルコハク酸デンプン、
-押出し物の総重量(いかなる残留水分も含んでいない)に基づいて、40~45重量%のデキストリン、並びに
-α-トコフェロール、β-トコフェロール、γ-トコフェロール、及びδ-トコフェロールを含む混合物
を含む押出し物に関する。
【0057】
[残留水分]
典型的に、本発明の押出し物は、湿性混合物を押出すことによって得られる。そのため、押出し機を出るストランドは、ある一定の量の水を含有する。前記ストランドは、次いで、細かく切断される。これらの細かくなったものもまた、水を含有し、乾燥を必要としてもよい。ほぼ完全に乾燥させることができる。したがって、本発明の押出し物は、残留水分を含んでいても、含んでいなくてもよい。用語「残留水分」は、前記残留水分を含む押出し物の総重量の10重量%を超過しない水の量を指す。典型的な残留水分レベルは、前記残留水分を含む押出し物の総重量の4~6重量%の間にある。過剰な乾燥は、それによって熱及び酸化によるビタミンの損失に至り得るので、回避されるべきである。
【0058】
[製造方法]
本発明はまた、本明細書において記載される押出し物を製造するための方法にも関する。
【0059】
本発明の一実施形態では、前記方法は、
-押出し機の第1のバレルの中にオクテニルコハク酸デンプン及びデキストリンの混合物を供給するステップ
-前記第1のバレルの下流に位置している第2のバレルの中に水を注入するステップ
-前記第1のバレル及び前記第2のバレルの下流に位置している第3のバレルの中に少なくとも1つの脂溶性ビタミンを注入するステップ
を含む。
【0060】
典型的に、さらに3つのバレルを有する押出し機が、使用される。したがって、前記第1のバレルは、1つ又は複数のバレルによって、前記第2のバレルと隔てられていても、隔てられていなくてもよい。同様に、前記第2のバレルは、1つ又は複数のバレルによって、前記第3のバレルから隔てられていても、隔てられていなくてもよい。
【0061】
本発明の別の実施形態は、ビタミンAの原料を含む押出し物を製造するための方法であって、
-押出し機の第1のバレルの中に粉状の混合物を供給するステップ
-前記第1のバレルの下流に位置している第2のバレルの中に水を注入するステップ、並びに
-前記第1のバレル及び前記第2のバレルの下流に位置している第3のバレルの中にビタミンAパルミチン酸エステルを含む組成物を注入するステップ
を含む方法に関する。
【0062】
本発明の好ましい実施形態では、前記方法は、
-押出し機の第1のバレルの中にオクテニルコハク酸デンプン及びデキストリンの混合物を供給するステップ
-前記第1のバレルの下流に位置している第2のバレルの中に水を注入するステップ、並びに
-前記第1のバレル及び前記第2のバレルの下流に位置している第3のバレルの中にビタミンAパルミチン酸エステルを含む組成物を注入するステップ
を含む。
【0063】
本発明の方法において使用される押出し機は、少なくとも3つのバレル、好ましくは少なくとも4つのバレル、及び最も好ましくは少なくとも6つのバレルを有する。好ましくは、第3のバレルは、少なくとも1つのバレルによって、第2のバレルから隔てられる。したがって、本発明の好ましい実施形態では、乾燥粉状マトリックス材料は、バレル1の中に供給され、蒸留水は、バレル2の中に供給され、脂溶性ビタミンは、バレル4の中に供給される。
【0064】
好ましくは、本発明の方法において使用される押出し機は、15~40、好ましくは20~30、及び最も好ましくは22~26のl/d比を有し、「l」は、スクリューの長さを意味し、「d」は、スクリューの直径を意味する。
【0065】
一実施形態では、本発明の押出し物は、複数の脂溶性ビタミンを含む。混合物の融点に依存して、押出し機の中に混合物を注入する前に混合物を融解することが好ましい。したがって、本発明の一実施形態は、複数の脂溶性ビタミンを含む押出し物を製造するための方法に関し、前記脂溶性ビタミン及び任意選択で少なくとも1つの脂溶性酸化防止剤は、前述の第1のバレル及び前述の第2のバレルの下流に位置している前述の第3のバレルの中に注入される前に融解される。この方法は、ビタミンDの原料としてビタミンD3を含む押出し物を製造するのに特に好ましい。
【0066】
本発明の別の実施形態は、ビタミンD3の原料を含む押出し物を製造するための方法であって、
-押出し機の第1のバレルの中に粉状の混合物を供給するステップ
-前記第1のバレルの下流に位置している第2のバレルの中に水を注入するステップ、並びに
-前記第1のバレル及び前記第2のバレルの下流に位置している第3のバレルの中にビタミンD3及び任意選択でビタミンAパルミチン酸エステルを含む組成物を注入するステップ
を含み、ビタミンD3及び任意選択でビタミンAパルミチン酸エステルを含む前記組成物は、前記第1のバレル及び前記第2のバレルの下流に位置している前記第3のバレルの中に注入される前に融解され、前記第3のバレルは、好ましくは、前記第2のバレルから、少なくとも1つのバレルによって隔てられている方法に関する。
【0067】
好ましくは、押出し機は、複数の穴を有するダイが取り付けられており、前記穴は、0.2mm~1.5mm、好ましくは0.5mm~1mmの直径を有する。
【0068】
押出しの間に、押出し機は、それ自体加熱も冷却もされない、すなわち、押出しは、断熱条件下で行われる。スクリュー、スクリュー速度、供給速度、及び注入される組成物の温度は(適用可能な場合)、好ましくは、約60分間の連続押出しの後に、ダイの温度が、好ましくは60℃~95℃、より好ましくは70℃~90℃の温度でほぼ一定のままであるように選ばれる。
【0069】
好ましくは、ダイフェースカッティング(die face cutting)は、一旦ダイの温度が前述の範囲でほぼ一定のままになったら行われる。押出し物は、次いで、必要とされる又は所望される場合、たとえば流動層乾燥機で乾燥させてもよい。
【0070】
好ましい実施形態では、得られる押出し物は、次いで、次いで、大きすぎる又は小さすぎる粒子を除外するために、ふるい分けられる(1000μm>サイズ>212μm)。
【0071】
[実施例1(ビタミンAパルミチン酸エステル対ビタミンA酢酸エステル)]
ビタミンAパルミチン酸エステルを含む押出し物の貯蔵安定性を、ビタミンA酢酸エステルを含む押出し物の貯蔵安定性と比較する。異なる2つのマトリックスを使用した。両方のマトリックスは、オクテニルコハク酸デンプン(HiCap(登録商標)100)及びデキストリン(重量比=1:1)からなった。しかしながら、異なる種類のデキストリン(それぞれCrystaltex(登録商標)644及びマルトデキストリンDE0508)を使用した。デキストリンは、DE(デキストロース当量)値を示すことによって特徴付けられてもよい。マルトデキストリンDE0508は、Glucidex6(Roquette)として市販で入手可能である。
【0072】
押出し物は、15穴からなる0.8mmダイが取り付けられた25のl/d比を有するRheomex PTW16/25 OS Twin Screw押出し機(Thermo Fischer、Karlsruhe)に接続されたHaake Polylabドライブ(Thermo Fischer、Karlsruhe)ユニットで生成した。
【0073】
押出し機は、バレル1、バレル2など、バレル6まで番号を付けられた6つのバレルを有した。乾燥粉状マトリックス材料は、Brabender Gravimetricフィーダー(Thermo Fischer、Karlsruhe)を使用して、バレル1の中に供給した。蒸留水は、インラインフィルターを有するHPLCポンプによって、バレル1の下流に位置しているバレル2の中に供給した。それぞれのビタミンAエステル(パルミチン酸又は酢酸)、dl-α-酢酸トコフェロール(ビタミンEの原料として)、ビタミンD3、及びdl-α-トコフェロール(脂溶性酸化防止剤として)の融解混合物を、バレル1及び2の下流に位置しているバレル4の中に80℃で供給した。サーマルヒーティングは、温度が維持されることを確実にするために油供給ラインに適用した。油供給ラインは、それ自体、押出し機の一部とは見なされない。
【0074】
押出しの間に、押出し機は、それ自体加熱も冷却もしなかった、すなわち、押出しは、断熱条件下で行った。約60分間の連続押出しの後に、押出し機のダイの温度は、ほぼ80℃で安定したままであった。
【0075】
一旦ストランドがダイに現われたら、ダイフェースカッティングが開始した。押出し物は、次いで、流動層乾燥機で乾燥させた。乾燥させた押出し物は、典型的に、4~6重量%の残留水分を含有した。押出し物は、次いで、212μm~1000μmの粒径を有する押出し物を保持し、且つ保管するためにふるい分けた。
【0076】
【0077】
【0078】
【0079】
実施例1は、ビタミンAパルミチン酸エステルを含む押出し物が、ビタミンA酢酸エステルを含む押出し物よりも安定していることを明確に示す。実施例1はまた、異なる種類のデキストリンを使用することができることを示す。
【0080】
[実施例2(二成分対三成分のマトリックス)]
ビタミンAパルミチン酸エステルを含む押出し物の安定性に対する異なるマトリックスの効果について試験した。
【0081】
異なる2つの押出し物は、実施例1において記載されるように製造した。
【0082】
押出し物#70のマトリックスは、オクテニルコハク酸デンプン及びデキストリンからなった、すなわち、押出し物#70は、二成分のマトリックスを有した。
【0083】
押出し物#83のマトリックスは、オクテニルコハク酸デンプン、デキストリン、及びアラビアゴムからなった、すなわち、押出し物#83は、三成分のマトリックスを有した。本発明の定義によれば、押出し物#83が、いかなる残留水分も含んでいない、押出し物の総重量に基づいて、10重量%超のアラビアゴムを含むので、アラビアゴムは、押出し物#83のマトリックスの一部となる。
【0084】
Glucidex(登録商標)6として市販で入手可能なマルトデキストリンを、デキストリンとして使用した。
【0085】
【0086】
押出し物#70と押出し物#83との間の比較は、押出し物のマトリックスがオクテニルコハク酸デンプン及びデキストリンからなる場合、非常に良好な貯蔵安定性が実現されることを示す。
【0087】
[実施例3(表面の油)]
ビタミンAパルミチン酸エステルを含むいくつかの押出し物の表面の油について試験した。押出し物は、実施例1において記載されるように製造した。しかしながら、1つの脂溶性ビタミンだけ(すなわちビタミンAパルミチン酸エステル)を追加した。
【0088】
3つの異なるマトリックス材料について試験した。それぞれのマトリックスの組成物を表5に示す。本発明の定義によれば、セモリナは、押出し物#102及び#108のマトリックスの一部となり、それは、前記押出し物が、いかなる残留水分も含んでいない、押出し物の総重量に基づいて、10重量%超のセモリナを含むからである。
【0089】
表面の油は、次いで、以下のように決定した:1gの押出し物を、40mLのシクロヘキサンに追加した。結果として生じる懸濁液を、次いで、任意の表面の油を溶解するために30分間、振とう機で撹拌した。懸濁液を、次いで、10分間、4000rpmで遠心分離し、結果として生じる上清を、エタノールで100mLまで希釈した。混合した後、結果として生じる溶液を、次いで、RP-HPLCによって分析した。
【0090】
少量の表面の油は、良好な乳化特性を示すのに対して、大量の表面の油は、不良な乳化特性を示す。特に、押出し物が、ビタミンAなどのような酸化する活性剤を含む場合、表面の油は、通常、貯蔵安定性に対して有害作用を有する。
【0091】
【0092】
表5は、押出し物のマトリックスがオクテニルコハク酸デンプン及びデキストリンからなる場合に、非常に少ない表面の油を有する押出し物を実現することができることを示す。
【0093】
少量の表面の油を有する押出し物は、一般に、多量の表面の油を有する押出し物よりも貯蔵が安定している。
【0094】
[実施例4(脂溶性酸化防止剤)]
ビタミンAパルミチン酸エステルを含む4つの異なる種類の押出し物を、前の実施例において記載されるように製造した。
【0095】
前記4つの異なる種類の押出し物は、脂溶性酸化防止剤の含有率以外は同一とした。
【0096】
酸化防止剤の効果について試験するために、ビタミンAパルミチン酸エステルの含有率を、40℃及び75%相対湿度での4週間の貯蔵の後に測定した(1本のプラスチックチューブ当たり1つの押出し物;プラスチックチューブは、酸素及び水分の両方に対して特定の透過性を有する)。前記試験の結果を表6に示す。
【0097】
【0098】
実施例4は、特にトコフェロールが追加された場合に、脂溶性酸化防止剤の追加が有益であることを示す。
【0099】
[実施例5(押出し物の応用)]
押出し物は、15穴からなる0.8mmダイが取り付けられたl/d比25を有するRheomex PTW16/25 OS Twin Screw押出し機(Thermo Fischer、Karlsruhe)に接続されたHaake Polylabドライブ(Thermo Fischer、Karlsruhe)ユニットで生成した。
【0100】
押出し機は、バレル1、バレル2など、バレル6まで番号を付けられた6つのバレルを有した。
【0101】
乾燥粉状マトリックス材料は、Brabender Gravimetricフィーダー(Thermo Fischer、Karlsruhe)を使用して、バレル1の中に供給した。蒸留水は、インラインフィルターを有するHPLCポンプによって、バレル1の下流に位置しているバレル2の中に供給した。それぞれのビタミンAエステル、ビタミンD3、及びdl-α-酢酸トコフェロールの融解混合物を、バレル1及び2の下流に位置しているバレル4の中に80℃で供給した。サーマルヒーティングは、温度が維持されることを確実にするために油供給ラインに適用した。
【0102】
バレル4は、1つのバレルによってバレル2から隔てた。(すなわち、バレル3によって隔てた)
【0103】
押出しの間に、押出し機は、それ自体加熱も冷却もしなかった、すなわち、押出しは、断熱条件下で行った。約60分間の連続押出しの後に、ダイの温度は、ほぼ80℃で安定したままであった。
【0104】
一旦ダイの温度が80℃に達したら、ダイフェースカッティングが開始した。押出し物は、次いで、流動層乾燥機で乾燥させた。乾燥させた押出し物は、典型的に、押出し物の総重量の4~6重量%の残留水分を含有した。押出し物を、次いで、ふるい分け、212μm~1000μmの粒径を有する押出し物を保持し、且つ保管した。
【0105】
【0106】
表7に示す実施例では、押出し物のマトリックスは、オクテニルコハク酸デンプン及びデキストリンからなる。ビタミンE酢酸エステルは、活性剤であるので、マトリックスの一部ではない(本発明に関して使用される「マトリックス」の定義を参照)。押出し物は、次いで、212μm~1000μmの粒径を有する押出し物を保持し、且つ保管するためにふるい分けた。
【0107】
1つの押出し物を、およそ22℃の温度の2dlの水の中に入れると、60rpm(毎分回転数)でのさじでの撹拌下で2分未満で崩壊した。したがって、実施例5のマルチビタミン押出し物は、冷水分散性であった。