IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社マツモト精密工業の特許一覧 ▶ 学校法人 東洋大学の特許一覧

<>
  • 特許-牛乳の検査装置 図1
  • 特許-牛乳の検査装置 図2
  • 特許-牛乳の検査装置 図3
  • 特許-牛乳の検査装置 図4
  • 特許-牛乳の検査装置 図5
  • 特許-牛乳の検査装置 図6
  • 特許-牛乳の検査装置 図7
  • 特許-牛乳の検査装置 図8
  • 特許-牛乳の検査装置 図9
  • 特許-牛乳の検査装置 図10
  • 特許-牛乳の検査装置 図11
  • 特許-牛乳の検査装置 図12
  • 特許-牛乳の検査装置 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-18
(45)【発行日】2023-07-26
(54)【発明の名称】牛乳の検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/49 20060101AFI20230719BHJP
   G01N 21/64 20060101ALI20230719BHJP
   G01N 33/06 20060101ALI20230719BHJP
   G01N 33/68 20060101ALI20230719BHJP
【FI】
G01N21/49 Z
G01N21/64 Z
G01N33/06
G01N33/68
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2018240254
(22)【出願日】2018-12-06
(65)【公開番号】P2020091270
(43)【公開日】2020-06-11
【審査請求日】2021-11-30
(73)【特許権者】
【識別番号】515219377
【氏名又は名称】株式会社マツモト精密工業
(73)【特許権者】
【識別番号】501061319
【氏名又は名称】学校法人 東洋大学
(72)【発明者】
【氏名】勝亦 徹
(72)【発明者】
【氏名】相沢 宏明
(72)【発明者】
【氏名】小室 修二
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 繁夫
(72)【発明者】
【氏名】松元 健
【審査官】横尾 雅一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2004/0179194(US,A1)
【文献】特開平02-173553(JP,A)
【文献】特開平03-186766(JP,A)
【文献】特開平04-310850(JP,A)
【文献】特開2000-146832(JP,A)
【文献】特開2001-091458(JP,A)
【文献】特開2018-084539(JP,A)
【文献】特開2002-156326(JP,A)
【文献】特表2017-506912(JP,A)
【文献】特表2009-524832(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0227511(US,A1)
【文献】国際公開第95/011445(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第1392401(CN,A)
【文献】米国特許第05172193(US,A)
【文献】特表平11-503236(JP,A)
【文献】特表2011-516879(JP,A)
【文献】実開平05-047850(JP,U)
【文献】特表2013-528814(JP,A)
【文献】特開2001-194308(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00 - G01N 21/83
G01N 33/00 ー G01N 33/98
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
牛乳または乳製品に光源からの光を照射し、散乱光または蛍光を生じさせるための光源用光ファイバと、散乱光の強度または蛍光の強度を測定するための検出器用光ファイバを備え、測定した散乱光強度または蛍光強度をあらかじめ作成した検量線を使って脂肪含有量またはたんぱく質含有量またはビタミン含有量に換算することを特徴とする牛乳または乳製品の品質検査装置であって、被検査試料に光を照射するための光源用光ファイバおよび散乱光または蛍光を測定するための検出器用光ファイバの両方の先端をファイバの中心間距離が10mm以下になるようにかつ平行に設置して、容器に密着するか、直接牛乳試料に接触させるか、あるいは、牛乳試料中に浸漬することを特徴とし、かつ、光源用光ファイバおよび検出器用光ファイバの直径は3.2mm以上6.4mm以下、中心間距離は10mm以下、光源の波長は350~1000nmであることを特徴とする牛乳または乳製品の品質検査装置。
【請求項11】
牛乳または乳製品に光源からの光を照射するための光源用光ファイバとして使用する光ファイバまたは光ファイババンドルの直径が散乱光または蛍光を検出するための検出器用光ファイバとして使用する光ファイバまたは光ファイババンドルの直径よりも小さいことを特徴とする請求項10のいずれかに記載の牛乳または乳製品の品質検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、牛乳に光を照射した際に生じる後方散乱光の強度または蛍光の強度を測定することにより牛乳の脂肪含有量、たんぱく質含有量またはビタミンB2含有量を検査する検査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
牛乳では、脂肪含有量、たんぱく質含有量またはビタミンB2含有量が重要な成分である。牛乳の品質検査は、脂肪含有量、たんぱく質含有量、Ca含有量、体細胞含有量などの検査によって行われている。これらの品質検査は、牛乳の一部を試料として使い、検査機関による破壊検査によって行われている。このため試料の検査機関への輸送を含めて品質検査には長時間を要し、しかも製品すべてを非破壊で検査することは不可能であった。従来の牛乳の非破壊検査技術としては、容器の外から牛乳に光を照射して散乱強度を測定する特許文献1および、牛乳からの前方散乱光強度を測定する非特許文献1、非特許文献2がある。牛乳は不透明であり入射光を強く散乱するため、これらの従来技術では牛乳内部の品質を検査するために強力な光源が必要であった。一方で牛乳の重要な成分であるビタミンB2などのビタミン類は光照射によって分解してしまうため、強力な光源を使った検査は実用的ではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特願2018-119306 青果物および果汁の品質検査装置
【非特許文献】
【0004】
【文献】
【文献】Andrey Bogomolov,Stefan Dietrich,Barbara Boldrini,Rudolf W.Kessler,“Quantitative determination of fat and total protein in milk based on visible light scatter”,Food Chemistry 134(2012)412-418.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
光を使った牛乳の品質検査が実用化されない原因は、牛乳が光を強く散乱し不透明であるため強力な光源が必要であることに加え、その光散乱メカニズムの複雑さにある。牛乳には光を散乱する脂肪粒子とタンパク質粒子の両方が高濃度で含まれるため入射した光を強く散乱し、透明度はきわめて低い。牛乳に含まれる大きな脂肪粒子はミー散乱体、小さなタンパク質粒子はレイリー散乱体となり、しかも高濃度のこれらの散乱体による多重散乱のため光散乱メカニズムも複雑である。また検査のために強力な光源を用いると牛乳の重要な成分であるビタミンB2などのビタミン分子が光分解してしまうという欠点があった。さらに、牛乳には光学的な性質に影響を与える可能性のあるさまざまな成分が含まれているため、検量線作成用の標準試料の取得が困難であり、定量性の確保に問題があった。
【0006】
光を用いたその他の検査法としては牛乳に含まれるビタミンB2からの蛍光を測定する方法があるが、牛乳の強い光散乱の影響を受けずに蛍光を測定することは困難であった。また強い光源で蛍光を励起すると牛乳の重要な成分であるビタミンB2などのビタミン分子が光分解してしまうという欠点があった。これらのことが蛍光を使った牛乳の非破壊検査を困難にしていた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
被検査試料に光を照射するための光源用光ファイバおよび散乱光または蛍光を測定するための検出器用光ファイバの両方の先端をファイバの中心間距離が10mm以下になるようにかつ平行に設置して、容器に密着するか、直接牛乳試料に接触させるか、あるいは、牛乳試料中に浸漬することを特徴とし、かつ、光源用光ファイバおよび検出器用光ファイバの直径は3.2mm以上6.4mm以下、中心間距離は10mm以下、光源の波長は350~1000nmを特徴とすることにより容器および試料の表面反射および表面散乱による照射光強度の損失および測定に与える外乱に加えて、外部からの外乱光の影響を低減することができた。
光源用光ファイバおよび検出器用光ファイバの両方を試料中に浸漬することによって、光源からの光を効率よく試料内部に照射することに成功した。検出器用光ファイバを用いて後方散乱光を測定することによって、強度の強い後方散乱光を測定に利用することができ、測定に必要な光源強度を低減することが可能になった。このことにより、長波長の光源だけでなく、短波長光を光源として使用した場合でも牛乳に含まれるビタミン類の分解を低減して測定することが可能になった。後方散乱光の強度は牛乳の脂肪含有量またはたんぱく質含有量に対して直線的に変化するため、本発明の検査装置を使って牛乳の脂肪含有量またはたんぱく質含有量の光を使った非破壊検査が可能になった。
【0008】
従来は、強い光散乱の影響で牛乳からの蛍光測定は困難であったが、被検査試料に光を照射するための光源用光ファイバおよび散乱光または蛍光を測定するための検出器用光ファイバの両方の先端をファイバの中心間距離が10mm以下になるようにかつ平行に設置して、容器に密着するか、直接牛乳試料に接触させるか、あるいは、牛乳試料中に浸漬することを特徴とし、かつ、光源用光ファイバおよび検出器用光ファイバの直径は3.2mm以上6.4mm以下、中心間距離は10mm以下、光源の波長が350~1000nmを特徴とした後方散乱光の強度を測定することによって、弱い励起光を使って光散乱の影響の少ない蛍光測定が可能になった。このため紫色LED(波長405nm)や青色LED(波長450nm)を光源として使用し、牛乳に含まれるビタミンB2による緑色の蛍光(545nm)を測定することが可能になった。牛乳または乳製品に光を照射するために用いる光源として、周期的に点滅する光源(パルス光源)を使用することによって、被測定物である牛乳または乳製品に照射する光の照射時間を短縮でき、牛乳に含まれるビタミンB2の光分解を低減することが可能になった。さらに、周期的に点滅する光源(パルス光源)からの光を照射した際に発生する散乱光および蛍光と外乱光とを交互に測定し補正することによって、測定結果に与える外乱光の影響を除去することが可能になった。
【発明の効果】
【0009】
この発明の検査装置では、光ファイバを使って牛乳の後方散乱を測定し、被検査試料に光を照射するための光源用光ファイバおよび散乱光または蛍光を測定するための検出器用光ファイバの両方の先端をファイバの中心間距離が10mm以下になるようにかつ平行に設置して、容器に密着するか、直接牛乳試料に接触させるか、あるいは、牛乳試料中に浸漬することを特徴とし、かつ、光 源用光ファイバおよび検出器用光ファイバの直径は3.2mm以上6.4mm以下、中心間距離は10mm以下、光源の波長は350~1000nmを特徴とするため、送液配管に光ファイバを設置する簡単な構造の装置を使って牛乳の検査が可能になった。また、強い後方散乱を利用して測定するため、測定用の光源強度を弱くすることができ、光照射に伴う牛乳の重要な成分であるビタミンB2などのビタミン類の光分解を低減できるとともに省エネルギーな検査が可能になった。さらに、紫色LED(波長405nm)や青色LED(波長450nm)を光源として使用した場合には、光散乱強度を使った脂肪含有量の検査に加えて、蛍光を使ったビタミンB2の検査が同じ検査装置を使って同時に実施できた。牛乳を長期間保存すると、光分解によってビタミンB2含有量が減少する。このためビタミンB2含有量の初期値をあらかじめ測定しておけば、蛍光測定を使って牛乳の鮮度を検査することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】牛乳に浸漬した光ファイバを用いて光散乱および蛍光を測定する検査装置
図2】牛乳に浸漬した複数の光ファイバを使用する検査装置
図3】牛乳を送液する管に設置した光ファイバを使用する検査装置
図4】牛乳を送液する管に設置した複数の光ファイバを使用する検査装置
図5】牛乳に含まれる気泡を除去するためのバイパス管に設置した光ファイバを使用する検査装置
図6】牛乳に含まれる気泡を除去するためのバイパス管に設置した2本の光ファイバを使用する検査装置
図7】定量化に使用した検量線作成用の標準試料の組成
図8】牛乳の後方散乱光強度の脂肪含有量による変化(直径6.4mmファイバ使用)
図9】牛乳の蛍光スペクトル(紫色LED励起、直径6.4mmファイバ使用)
図10】牛乳の蛍光強度の時間変化(紫色LED励起、直径6.4mmファイバ使用)
図11】牛乳の蛍光スペクトル(青色LED励起、直径6.4mmファイバ使用)
図12】牛乳の蛍光強度の時間変化(青色LED励起、直径6.4mmファイバ使用)
図13】牛乳の蛍光強度の脂肪含有量による変化(紫色LED励起)
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の検査装置は、図1に示したように、光源1、光源用光ファイバ2、光検出器3、検出器用光ファイバ4、ガラス製円筒容器5、牛乳又は乳製品6からなる。光源用と検出器用のファイバを束ねて一体とした光ファイババンドルを試料に浸漬する光ファイバとして用いた図1の検査装置や、複数の光ファイバを任意の間隔で平行に設置したものを使用した図2の検査装置、あるいは、図3および図4のように送液配管7に光源用と検出器用の光ファイバを設置した検査装置が使用できる。さらに牛乳に含まれる気泡を除去するために設けられたバイパス管に光ファイバを設置した図5または図6の検査装置を使用すれば、送液中の牛乳に含まれる気泡の影響なしに検査することが可能である。
【0012】
光源1から発生した光は牛乳又は乳製品6に浸漬された光源用光ファイバ2を通じて、ガラス製円筒容器5に充填された牛乳又は乳製品6に照射される。牛乳又は乳製品6から生じた後方散乱光は、牛乳又は乳製品6に浸漬された検出器用光ファイバ4を通じて散乱光検出器3に導かれて散乱光強度が測定できる。牛乳の後方散乱光を測定するための光源としては、波長350nm以上かつ波長1000nm以下の範囲の波長の光を発することが出来るLEDが使用できる。ハロゲンランプも光源として使用可能である。蛍光を使った牛乳の品質検査のためには、紫色LEDおよび青色LEDが励起光源として使用可能である。
【0013】
本発明の検査装置の光源用光ファイバおよび検出器用光ファイバとしては、複数の光ファイバを束ねた光ファイババンドルまたは単芯の光ファイバあるいは光ファイババンドルと単芯の光ファイバを組み合わせて使用することができる。本発明の検査装置に用いる光源用光ファイバおよび検出器用光ファイバとして、直径の同じ光ファイババンドルまたは直径の同じ単芯の光ファイバを使用することができるが、直径の異なる単芯の光ファイバや、直径が異なる光ファイババンドルを組み合わせて使用することもできる。光ファイババンドルを使用する場合には、光ファイババンドルの直径が異なる光源用光ファイババンドルと検出器用光ファイババンドルを組み合わせて使用することも可能である。光源用光ファイバとして直径の小さな光ファイバや、バンドルの直径の小さい光ファイババンドルを用いた場合、被検査試料への光照射量を少なくできるため、被検査試料の光分解を低減することができる。測定時の光照射量が少ない場合、散乱強度や蛍光強度も低下してしまうが、直径の大きな光ファイバやバンドルの直径の大きな光ファイババンドルを検出器用光ファイバとして使用することによって被検査試料からの弱い光散乱や弱い蛍光を高い検出感度で測定することが可能である。直径の小さな光源用光ファイバと直径の大きな検出器用光ファイバを組み合わせて使用することによって、光照射による被検査試料の品質変化を低減することができる。
【実施例1】
【0014】
市販の全乳、低脂肪乳、無脂肪乳を組み合わせて、図7に示した検量線作成用の標準試料を調製した。標準試料としては、たんぱく質含有量が一定で脂肪含有量が異なるものおよび、脂肪含有量が一定でたんぱく質含有量が異なるものをそれぞれ調製した。図1の検査装置を用いて牛乳の後方散乱光のスペクトルと強度を測定した。光源として、白色LED、紫色LED、青色LED、緑色LED、黄色LED、赤色LED、近赤外LED(波長850nm、940nm)を使用した。検出器として光ファイバ分光器を用いた。光ファイバとしては、直径6.4mmおよび直径3.2mmの光ファイババンドルを使用した。牛乳に光ファイバを浸漬した後に光源からの光を照射したところ、光ファイバの先端を中心として牛乳内部に球状に広がった光散乱画像が観察できた。この結果から、測定中の散乱光は浸漬した光ファイバ先端を中心としてほぼ球状に広がることがわかった。白色LED、紫色LED、青色LED、緑色LED、黄色LED、赤色LED、近赤外LED(波長850nm、940nm)を用いて、たんぱく質含有量が一定で、脂肪含有量の異なる試料を測定したところ、直系6.4mmの光ファイバを用いた場合には図7のように光散乱強度が脂肪含有量の変化に対して直線的に変化した。また、直系3.2mmの光ファイバを用いた場合にも光散乱強度が脂肪含有量の変化に対して直線的に変化することが確認できた。脂肪含有量が一定でたんぱく質含有量が異なる試料を用いて同様の光散乱強度の測定を行ったところ、光散乱強度がたんぱく質含有量に対して直線的に変化することが確認できた。この光散乱強度と脂肪含有量との間の直線関係および、光散乱強度とたんぱく質含有量との間の直線関係を使って、後方散乱光強度を測定することによって牛乳の脂肪含有量およびたんぱく質含有量を検査することが可能になった。
【実施例2】
【0015】
市販の全乳、低脂肪乳、無脂肪乳を用いて蛍光スペクトルおよび蛍光強度を測定した。図1の検査装置を用いて、光源1としては紫色LEDおよび青色LEDを使用した。光検出器3として光ファイバ分光器を用いた。検出器用の光ファイバ4は、直径6.4mmおよび直径3.2mmの光ファイババンドルを使用した。紫色LED、青色LEDを光源として用いた場合、図9,11に示したように、散乱光とともに波長545nm付近にピークを持つ蛍光が測定できた。また、図10、12に示したように、光照射時間とともに蛍光強度が徐々に低下した。これは、測定のための光照射によって、浸漬した光ファイバ近傍のビタミンB2が光分解したためと考えられる。図10、12に示したように、測定中の牛乳試料を撹拌することにより、浸漬した光ファイバ近傍の牛乳が取り去られるため蛍光強度が増加する現象が確認できた。特に、光ファイバ直径の小さい、直径3.2mmの光ファイババンドルを使用した場合には、測定のための光源強度が低減できるため光照射範囲が狭くでき、脂肪粒子による光散乱の影響の無い蛍光測定が可能になった。紫色LEDを励起光源として直径3.2mmの光ファイババンドルを用いて蛍光測定を行った場合には脂肪による光散乱の影響がきわめて少ないことがわかった。さらに、紫色LEDを励起光源として直径3.2mmの光ファイババンドルを用いた場合、蛍光強度の時間変化が低減できることが確認でき、測定中の光照射によるビタミンB2の光分解が低減可能なことがわかった。紫色LEDを励起光源として直径3.2mmの光ファイババンドルを用いて蛍光強度を測定することにより光散乱の影響が無くしかも光照射によるビタミンB2の分解を低減可能な測定条件で、ビタミンB2含有量の検査が可能になる。
【産業上の利用可能性】
【0016】
本発明の検査装置は、牛乳の非破壊品質検査に利用できる。従来のように試料の抜き取りと検査機関による破壊測定を組み合わせた品質検査に加えて非破壊かつ迅速な全数検査が可能になる。検査には、後方散乱光の強度と蛍光の強度を利用しているため、光ファイバを試料に浸漬するだけで測定でき、簡便な装置を使って迅速な検査が可能である。強力な光源を使用する必要が無く、電池駆動も可能であり、可搬性能にすぐれた検査装置としてさまざまな場所で使用できるとともに、光を散乱する被測定物であれば、牛乳や乳製品以外の食品やさまざまな工業製品などの非破壊品質検査装置として使用可能である。
【符号の説明】
【0017】
1 光源
2 光源用光ファイバ
3 光検出器
4 検出器用光ファイバ
5 ガラス製円筒容器
6 牛乳又は乳製品
7 送液配管
8 バルブ
9 バルブ
10 気泡除去用バイパス管
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13