(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-18
(45)【発行日】2023-07-26
(54)【発明の名称】画像生成装置、画像生成方法、及び画像生成プログラム
(51)【国際特許分類】
G06T 15/50 20110101AFI20230719BHJP
【FI】
G06T15/50
(21)【出願番号】P 2018109021
(22)【出願日】2018-06-06
【審査請求日】2021-05-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000000192
【氏名又は名称】岩崎電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西嶋 慶
(72)【発明者】
【氏名】山田 哲司
【審査官】粕谷 満成
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-210727(JP,A)
【文献】特開2018-036803(JP,A)
【文献】特開2001-005997(JP,A)
【文献】特開2002-208030(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 15/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
調光可能な
複数の照明器具を含む仮想空間の
前記それぞれの照明器具を調光して行われる演出照明の演出効果を表現する仮想空間画像を生成する仮想空間画像生成部を備えた仮想空間画像生成装置において、
前記照明器具が放射する光を表現する円錐状の円錐オブジェクトを、前記仮想空間画像における前記
それぞれの照明器具の発光面に、当該照明器具の光軸に合わせて合成する円錐オブジェクト合成部を備え
、前記円錐オブジェクト合成部は、前記照明器具ごとに当該照明器具の出力光量の増加に応じて前記円錐オブジェクトのそれぞれの頂点の角度を大きくすることを特徴とする画像生成装置。
【請求項2】
前記円錐オブジェクト合成部は、
前記円錐オブジェクトの色を前記照明器具が放射する光の色に合わせる
ことを特徴とする請求項1に記載の画像生成装置。
【請求項3】
調光可能な複数の照明器具を含む仮想空間の
前記それぞれの照明器具を調光して行われる演出照明の演出効果を表現する仮想空間画像を生成する画像生成方法において、
前記照明器具が放射する光を表現する円錐状の円錐オブジェクトを、前記仮想空間画像における前記それぞれの照明器具の発光面に、当該照明器具の光軸に合わせて合成し、
前記照明器具ごとに当該照明器具の出力光量の増加に応じて前記円錐オブジェクトのそれぞれの頂点の角度を大きくすることを特徴とする画像生成方法。
【請求項4】
コンピュータを、
調光可能な
複数の照明器具を含む仮想空間の
前記それぞれの照明器具を調光して行われる演出照明の演出効果を表現する仮想空間画像を生成する仮想空間画像生成部として機能させる画像生成プログラムにおいて、
前記コンピュータを、
前記照明器具が放射する光を表現する円錐状の円錐オブジェクトを、前記仮想空間画像における前記
それぞれの照明器具の発光面に、当該照明器具の光軸に合わせて合成する円錐オブジェクト合成部として機能させ、
前記円錐オブジェクト合成部は、前記照明器具ごとに当該照明器具の出力光量の増加に応じて前記円錐オブジェクトのそれぞれの頂点の角度を大きくすることを特徴とする画像生成プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像生成装置、画像生成方法、及び画像生成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、照明器具を仮想空間に配置し、当該仮想空間での照明器具による照明効果をシミュレーションし、擬似的に表示する技術が知られている(例えば、特許文献1、特許文献2、及び特許文献3参照)。
一方、現実空間をシミュレーションによってリアルに再現した仮想空間の画像を表示し、ユーザの目の前に、現実空間が実在しているかような感覚(実在感)を与える、いわゆる仮想現実(VR:Virtual Reality)技術も知られている(例えば、特許文献4参照)。
近年では、仮想現実技術は、アミューズメントやエンターテインメントの分野だけではなく、照明設計の分野でも活用されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2017/171005号
【文献】特開2014-71692号公報
【文献】特開2010-97423号公報
【文献】特開2017-138907号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、スポットライト等の照明器具で舞台やスタジアムを演出照明する際の演出効果の確認に仮想現実技術を用いようとした場合、照明器具の数が多いと、仮想空間における演出効果を擬似的に表現するための計算負荷が高まり、動的に変化する演出効果をリアルタイムに確認することができなかった。
【0005】
本発明は、演出照明の演出効果の表現に要する処理負荷を抑えることができる画像生成装置、画像生成方法、及び画像生成プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、調光可能な照明器具を含む仮想空間の仮想空間画像を生成する仮想空間画像生成部を備えた画像生成装置において、前記照明器具が放射する光を表現する円錐状の円錐オブジェクトを、前記仮想空間画像における前記照明器具の発光面に、当該照明器具の光軸に合わせて合成する円錐オブジェクト合成部を備えることを特徴とする。
【0007】
本発明は、上記画像生成装置において、前記円錐オブジェクト合成部は、前記照明器具の出力光量の増加に応じて前記円錐オブジェクトの頂点の角度を大きくすることを特徴とする。
【0008】
本発明は、上記画像生成装置において、前記円錐オブジェクト合成部は、前記円錐オブジェクトの色を前記照明器具が放射する光の色に合わせることを特徴とする。
【0009】
本発明は、調光可能な照明器具を含む仮想空間の仮想空間画像を生成する画像生成方法において、前記照明器具が放射する光を表現する円錐状の円錐オブジェクトを、前記仮想空間画像における前記照明器具の発光面に、当該照明器具の光軸に合わせて合成することを特徴とする。
【0010】
本発明は、コンピュータを、調光可能な照明器具を含む仮想空間の仮想空間画像を生成する仮想空間画像生成部として機能させる画像生成プログラムにおいて、前記コンピュータを、前記照明器具が放射する光を表現する円錐状の円錐オブジェクトを、前記仮想空間画像における前記照明器具の発光面に、当該照明器具の光軸に合わせて合成する円錐オブジェクト合成部として機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、演出照明の演出効果の表現に要する処理負荷が抑えられる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施形態に係る仮想空間提供システムの概略構成を示す図である。
【
図5】仮想空間画像生成装置による仮想空間画像の生成処理を示すフローチャートである。
【
図6】演出効果が付与された仮想空間画像の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は本実施形態に係る仮想空間提供システム1の概略構成を示す図であり、
図2は仮想空間画像5の一例を示す図である。
仮想空間提供システム1は、仮想空間4(
図2)において、仮想的な観測者が視認する仮想空間画像5(
図2)を生成して表示することで、現実空間のユーザ6が視覚を通じて仮想空間4を実感できるようにするシステムである。
また、この仮想空間提供システム1では、現実空間のユーザ6の視線方向の変化、及び移動に追従して、仮想空間4における観測者6vの視線方向(以下、「仮想視線方向」と言う)Dv、及び視点の位置(以下、「仮想視点位置」と言う)Pvを変化させて仮想空間画像5を生成する。かかる仮想空間画像5がユーザ6の動きに追従して表示されることで、ユーザ6は、あたかも仮想空間4の中に居るかのような体験ができる。
さらに、本実施形態の仮想空間提供システム1では、仮想空間4に多数の調光可能な照明器具Ivが配置されており、これらの照明器具Ivを調光して行われる動的な演出照明の照明効果が仮想空間画像5にリアルタイムに再現されて表示されるようになっている。
【0014】
かかる仮想空間提供システム1は、
図1に示すように、ヘッドマウントディスプレイ8と、仮想空間画像生成装置10と、を備え、これらが有線通信または無線通信により互いにデータを送受する。
ヘッドマウントディスプレイ8は、仮想空間画像5を表示する表示装置の一態様であり、ユーザ6の頭部に装着して使用される、いわゆるウェアラブルデバイスである。ヘッドマウントディスプレイ8は、ユーザ6の眼前に配置されるディスプレイ12を備え、このディスプレイ12に仮想空間画像5が表示される。
【0015】
またヘッドマウントディスプレイ8は、現実空間におけるユーザ6の視線方向の変化を検出するための姿勢センサ14と、当該ユーザ6の移動を検出するための位置センサ15と、を備える。
姿勢センサ14は、ユーザ6の視線方向の変化として、ヘッドマウントディスプレイ8の向きや傾きなどの姿勢の変化を検出し、位置センサ15は、ユーザ6の移動としてヘッドマウントディスプレイ8の位置の変化を検出する。ヘッドマウントディスプレイ8の姿勢の変化、及び位置の変化は、それぞれ姿勢情報16、及び位置情報17として仮想空間画像生成装置10に逐次に送信される。
姿勢センサ14には、例えばジャイロセンサや、加速度センサ、角加速度センサ等を用いることができ、また位置センサ15にはGPSセンサ等を用いることができる。
【0016】
仮想空間画像生成装置10は、仮想空間4における仮想空間画像5を生成し、ヘッドマウントディスプレイ8に送信する装置であり、受信部20と、視点位置算出部22と、視線方向算出部24と、仮想空間情報記憶部25と、3次元レンダリング部26と、調光データ入力部27と、送信部30と、を備える。
【0017】
仮想空間画像生成装置10は、CPUやMPUなどのプロセッサと、ROMやRAMなどのメモリデバイスと、HDDやSSDなどのストレージ装置と、周辺機器などを接続するためのインターフェース回路と、外部と通信する通信装置と、を備えたコンピュータを備え、プロセッサがメモリデバイス又はストレージ装置に記憶されているプログラムを実行することで、
図1に示す各部の機能が実現される。
【0018】
なお、仮想空間画像生成装置10の各部を実現するコンピュータは、インターネットを介してヘッドマウントディスプレイ8と通信するサーバーコンピュータであってもよい。この場合において、サーバーコンピュータが仮想空間画像生成装置10の機能を提供する方式には、いわゆるクラウドコンピューティング技術を用いることができる。
【0019】
図1において、受信部20は、ヘッドマウントディスプレイ8から位置情報17、及び姿勢情報16を通信によって受信し、位置情報17を視点位置算出部22に出力し、姿勢情報16を視線方向算出部24に出力する。
【0020】
視点位置算出部22は、仮想空間4における観測者6vの仮想視点位置Pvを、位置情報17に基づいて求め、3次元レンダリング部26に出力する。具体的には、視点位置算出部22は、仮想空間画像5の生成当初、仮想視点位置Pvに初期値を設定する。その後、視点位置算出部22は、現実空間でのユーザ6の移動を位置情報17に基づいて特定し、当該移動に応じて仮想空間4における観測者6vの仮想視点位置Pvを変更する。
【0021】
視線方向算出部24は、仮想空間4における観測者6vの仮想視線方向Dvを、姿勢情報16に基づいて求め、3次元レンダリング部26に出力する。具体的には、視線方向算出部24は、仮想空間画像5の生成当初、仮想視線方向Dvに初期値を設定する。その後、視線方向算出部24は、姿勢情報16によってヘッドマウントディスプレイ8の姿勢の変化が検出されるごとに、当該姿勢の変化に応じて仮想空間4における観測者6vの仮想視線方向Dvを変更する。
【0022】
仮想空間情報記憶部25は、仮想空間4のレンダリングによる描画に要する各種のデータを記憶するものであり、建築3Dモデル33、照明器具データ34、及び照明設計データ35を記憶する。
【0023】
建築3Dモデル33は、仮想空間4において建物の3次元形状、及び構造を再現するためのデータである。
照明器具データ34は、仮想空間4に配置され、当該仮想空間4を照明する複数の調光可能な照明器具Ivの各々のデータである。照明器具データ34は、発光面Ev(
図3参照)の大きさや放射光の色といった、仮想空間画像5において照明器具Ivを描画するための情報の他に、演出照明のための調光に係るデータを含み、例えば、照明器具Ivごとに割り当てられたアドレスである器具ID情報34Aを含んでいる。
照明設計データ35は、仮想空間4における照明器具Ivの配置位置、及び取付角度(すなわち、仮想空間4における照明器具Ivの光軸J(
図4)の角度)を示すデータである。
【0024】
調光データ入力部27は、照明器具Ivの各々の調光を指示する調光指示データKを3次元レンダリング部26に入力するものである。調光指示データKのデータ形式は任意であり、調光制御に一般に用いられる任意の信号規格を用いることができる。本実施形態では、調光指示データKには、DMX512-Aに沿った信号形式が用いられており、調光指示データKでは、照明器具Ivのアドレスである上記器具ID情報34Aに、この照明器具Ivに対する調光指示値(256階調で示された値)が対応付けられている。
なお、調光指示データKは、外部の装置で生成され調光データ入力部27に入力されてもよいし、仮想空間画像生成装置10が調光指示データKを、例えばユーザ6の操作に基づいて生成する機能を備えてもよい。
【0025】
3次元レンダリング部26は、仮想空間情報記憶部25に格納されている各データと、仮想視点位置Pv、及び仮想視線方向Dvとに基づいて、仮想空間4において観測者6vが仮想視点位置Pvから仮想視線方向Dvを見たときの仮想空間画像5を3次元のレンダリングによって生成する。3次元レンダリング部26は、この仮想空間画像5に後述の円錐オブジェクト5Gを合成し、当該仮想空間画像5を送信部30に出力する。なお、仮想空間画像5を生成するためのレンダリング手法には、周知又は公知の任意の手法を用いることができる。
【0026】
送信部30は、当該仮想空間画像5をヘッドマウントディスプレイ8に送信する。
【0027】
また3次元レンダリング部26は、仮想空間4における演出照明による演出効果を仮想空間画像5に付与するために、円錐オブジェクト5Gを生成して仮想空間画像5に合成する円錐オブジェクト合成部28を備える。
【0028】
図3、及び
図4は、円錐オブジェクト5Gの模式図である。
図3に示すように、円錐オブジェクト5Gは、照明器具Ivの発光面Evから放射される光を円錐状のオブジェクトによって擬似的に表現した画像オブジェクトであり、円錐オブジェクト合成部28は、円錐オブジェクト5Gの中心軸を仮想空間画像5における照明器具Ivの光軸Jに合わせて当該仮想空間画像5と合成する。
【0029】
円錐オブジェクト合成部28は、照明器具Ivごとに円錐オブジェクト5Gを生成するときには、円錐の頂点の角度αを、
図4に示すように、0度~所定の最大角度(例えば、最大角度=180度)の範囲で、その照明器具Ivに調光指示データKによって与えられる調光指示値に応じて大きくする。
具体的には、調光指示値がゼロである場合(すなわち、照明器具Ivの出力光量がゼロである場合)、円錐の角度αがゼロとなり、この場合、円錐オブジェクト合成部28は円錐オブジェクト5Gを生成しない。
一方、調光指示値がゼロより大きくなると(すなわち、照明器具Ivの出力光量がゼロより大きくなると)、円錐オブジェクト合成部28は、調光指示値の増加に合わせ、円錐の角度αを、上記最大角度の範囲で大きくする。
図4に示すように、円錐の角度αが大きくなるほど、円錐オブジェクト5Gの面積が増え、仮想空間画像5において当該円錐オブジェクト5Gが目立つようになり、出力光量の増加が表現される。
【0030】
したがって、照明器具Ivごとに放射光の光束等を正確に求める光学的な計算を行うことなく、上述の円錐オブジェクト5Gを合成するだけで、調光指示値に基づく照明器具Ivの出力光量の増減を表現することが可能となる。これにより、仮想空間4での演出照明による演出効果の再現に要する計算負荷が抑えられ、多数の照明器具Ivを動的に調光して演出照明が行われる場合でも、演出照明による演出効果をリアルタイムに仮想空間画像5で再現することができる。
【0031】
なお、本実施形態では、円錐オブジェクト5Gにおける円錐の角度αを大きくする際には、出力光量に正比例して円錐の角度αを大きくさせているが、必ずしも、これに限定されるものではない。
また、照明器具Ivの発光面Evの明るさは、各照明器具Ivの調光指示値に基づいて3次元レンダリング部26がレンダリングすることで、仮想空間画像5に予め表現される。
また、3次元レンダリング部26は、照明器具Ivの照明器具データ34に基づいて、照明器具Ivが放射する光に合わせた色の発光面Evを描画し、また円錐オブジェクト合成部28も、照明器具データ34に基づいて、照明器具Ivが放射する光に合わせた色の円錐オブジェクト5Gを生成する。これにより、照明器具Ivが放射する光が、よりリアルに表現される。
【0032】
図5は、仮想空間画像生成装置10による仮想空間画像5の生成処理を示すフローチャートである。
仮想空間画像生成装置10は、仮想空間画像5の生成開始の指示を、例えばヘッドマウントディスプレイ8等から受け付けると(ステップS1:Yes)、仮想空間画像5を生成するために次の処理を開始する。
すなわち、仮想空間画像生成装置10は、ヘッドマウントディスプレイ8の位置情報17、及び姿勢情報16に基づいて、仮想視点位置Pv、及び仮想視線方向Dvのそれぞれを算出する(ステップS2)。なお、このステップS2において、仮想空間画像5の生成開始時には、仮想視点位置Pv、及び仮想視線方向Dvに所定の初期値が設定される。
【0033】
次いで仮想空間画像生成装置10は、3次元レンダリング部26が仮想空間情報記憶部25のデータに基づいて3Dレンダリング処理を行い、照明器具Ivが配置された仮想空間4の仮想空間画像5を生成する(ステップS3)。この3Dレンダリングにおいては、調光指示データKで指示された階調指示値に応じて照明器具Ivの発光面Evの明るさが描画される。
【0034】
次に仮想空間画像生成装置10では、円錐オブジェクト合成部28が、照明器具Ivごとに、調光指示データKで指示された階調指示値に応じた角度αで円錐オブジェクト5Gを生成する(ステップS4)。そして円錐オブジェクト合成部28が、これらの円錐オブジェクト5Gを仮想空間画像5における各照明器具Ivの発光面Evに光軸Jに合わせて合成することで、演出照明による演出効果が付与された仮想空間画像5を生成する(ステップS5)。かかる仮想空間画像5がヘッドマウントディスプレイ8に送信され、ディスプレイ12に表示される。
【0035】
仮想空間画像生成装置10は、仮想空間画像5の生成終了の指示を、例えばヘッドマウントディスプレイ8等から受け付けるまで(ステップS6:Yes)、ステップS2からステップS5の処理を繰り返し実行する。これにより、ユーザ6の動きに合わせて動的に変化し、仮想空間画像5が順次に生成されてディスプレイ12に表示される。
【0036】
加えて、調光指示データKに基づく各照明器具Ivの調光制御によって演出照明が動的に行われた場合には、照明器具Ivの調光指示値に基づいて円錐オブジェクト5Gも動的にリアルタイムに変化し、演出照明による演出効果をリアルタムが再現されることとなる。
【0037】
図6は、演出効果が付与された仮想空間画像5の一例を示す図である。
同図に示すように、照明器具Ivの各々に円錐オブジェクト5Gが合成されることで、各照明器具Ivが放射する光が表示され、これらの光による演出照明の演出効果がリアルに表現されていることが分かる。
【0038】
本実施形態によれば、次のような効果を奏する。
【0039】
本実施形態の仮想空間画像生成装置10では、照明器具Ivが放射する光を表現する円錐状の円錐オブジェクト5Gを、仮想空間画像5における照明器具Ivの発光面Evに、当該照明器具Ivの光軸Jに合わせて合成する構成とした。
これにより、照明器具Ivの放射光の光束等を正確に求める光学的な計算を行うことなく、円錐オブジェクト5Gを合成するだけで、照明器具Ivの放射光を表現することが可能となる。したがって、仮想空間4での演出照明による演出効果の再現に要する計算負荷が抑えられ、多数の照明器具Ivを動的に調光して演出照明が行われる場合でも、演出照明による演出効果をリアルタイムに仮想空間画像5で再現することができる。
【0040】
本実施形態の仮想空間画像生成装置10では、照明器具Ivの出力光量の増加に応じて円錐オブジェクト5Gの頂点の角度αを大きくするようにした。
これにより、調光時の照明器具Ivの放射光を、計算負荷を抑えて高速、かつリアルに表現できる。
【0041】
本実施形態の仮想空間画像生成装置10では、円錐オブジェクト5Gの色を照明器具Ivが放射する光の色に合わせるようにした。
これにより、照明器具Ivが放射する光を、よりリアルに表現することができる。
【0042】
上述した実施形態は、あくまでも本発明の一態様を例示したものであって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において任意に変形及び応用が可能である。
【0043】
上述した実施形態において、円錐オブジェクト5Gの角度αの最大角度を、照明器具Ivの配光に応じて決定してもよい。例えば、照明器具Ivがダウンライトの場合は、当該照明器具Ivの1/2ビーム角を最大角度とし、照明器具Ivが投光器の場合は1/10ビーム角を最大角度とする。
なお、発明者らは、前掲
図6に示すように、多数の照明器具Ivによって空間を演出照明する場合、最大角度が10度を越えると、円錐オブジェクト5Gによる光の明るさの変化が、出力光量の増加に対して緩慢になり、光の再現性が低下する、との知見を得た。したがって、このような演出照明の場合には、最大角度は10度以下であることが好ましい。
【0044】
上述した実施形態において、3次元レンダリング部26が円錐オブジェクト合成部28を備える構成を例示したが、これに限らず、円錐オブジェクト合成部28を3次元レンダリング部26と別体に設けてもよい。
【0045】
上述した実施形態において、ヘッドマウントディスプレイ8に仮想空間画像5を表示する構成としたが、これに限らず、任意の表示装置に仮想空間画像5を表示することができる。
また、ユーザ6の頭の動きに合わせて仮想視点位置Pv、及び仮想視線方向Dvのそれぞれを変更したが、これに限らず、任意の操作デバイスを用いて、仮想視点位置Pv、及び仮想視線方向Dvのそれぞれの変更をユーザ6が指示してもよい。
【符号の説明】
【0046】
1 仮想空間提供システム
4 仮想空間
5 仮想空間画像
5G 円錐オブジェクト
10 仮想空間画像生成装置(画像生成装置)
25 仮想空間情報記憶部
26 3次元レンダリング部(仮想空間画像生成部)
27 調光データ入力部
28 円錐オブジェクト合成部
Ev 発光面
Iv 照明器具
J 光軸
K 調光指示データ
α 頂点の角度