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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-18
(45)【発行日】2023-07-26
(54)【発明の名称】呈味付与食品
(51)【国際特許分類】
   A23L 5/00 20160101AFI20230719BHJP
   A23L 27/00 20160101ALI20230719BHJP
   A23G 3/54 20060101ALI20230719BHJP
【FI】
A23L5/00 H
A23L27/00 C
A23G3/54
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018247203
(22)【出願日】2018-12-28
(65)【公開番号】P2020103217
(43)【公開日】2020-07-09
【審査請求日】2021-11-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000004341
【氏名又は名称】日油株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002826
【氏名又は名称】弁理士法人雄渾
(72)【発明者】
【氏名】國重 由花
【審査官】戸来 幸男
(56)【参考文献】
【文献】特開昭63-313599(JP,A)
【文献】特開2001-017093(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 5/00
A23L 27/00
A23G 3/54
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(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水分含有量5~60質量%の食品の表面に油脂被覆呈味粉末がまぶされた呈味付与食品であって、
前記油脂被覆呈味粉末は、下記に示した油脂(A)40~60質量%、乳化剤(B)2.5~13質量%及び水溶性糖質(C)30~40質量%を含有する油脂含有粉末によって、呈味粉末が被覆された粉末であることを特徴とする、呈味付与食品。
油脂(A) 融点が40~55℃、
35℃における固体脂含有量(SFC)が0~100%。
【請求項2】
呈味粉末と、その表面を被覆する油脂含有粉末とからなる油脂被覆呈味粉末の製造方法であって、油脂含有粉末が下記に示した油脂(A)40~60質量%、乳化剤(B)2.5~13質量%及び水溶性糖質(C)30~40質量%を含有する乳化液を噴霧乾燥することにより得られた油脂含有粉末を用い、高速攪拌機で呈味粉末と油脂含有粉末を均質に分散させて呈味粉末の表面に油脂含有粉末を被覆することを特徴とする油脂被覆呈味粉末の製造方法。
油脂(A) 融点が40~55℃、
35℃における固体脂含有量(SFC)が0~100%。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水分含有量の多い食品からの水分移行を抑制しながらも呈味には影響を与えず、口どけの良好な呈味付与食品に関する。より詳しくは、食品の表面に呈味粉末をまぶした食品に関する。
【背景技術】
【0002】
食品の表面に対して粉糖、塩、果汁粉末、抹茶パウダー、酸味パウダーなど呈味粉末をまぶした商品は市場に多く存在し、シリーズ品の多様化に貢献している。
例えば、グミキャンディでは強い酸味を発現させるため、グミキャンディの表面に有機酸をまぶした商品が販売されている。しかし、水分含有量が高いグミから有機酸への水分移行によって経時的に有機酸が吸湿してべたつく「なき」という現象が起こるために、製品としては十分な安定性が得られにくい。
【0003】
例えば、特許文献1ではグミキャンディの原料を特定の割合で配合することで、グミキャンディ本体の経時的安定性が向上すると報告されている。しかし、グミの組成改変だけでは水分移行の抑制効果は弱く、不十分であった。また、特許文献2、3では空気中の水分が原因となる、粉末食品の吸湿防止を目的として、芯材を油脂や脂肪酸エステルで被覆する手法が開示されている。これらの手法は、芯材の味をマスキングするための手法であり、食品に呈味性を付与すること、食品等の直接接触しているものからの水分移行を抑制することについては検討されていない。
そして、これらの事情から、食品からの水分移行を抑制しながらも呈味には影響を与えず口どけの良好な粉末をまぶした食品を得ることは困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-094114号公報
【文献】特開2007-261985号公報
【文献】特開2003-235477号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明の課題は、水分移行抑制と良好な呈味を両立した呈味付与食品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、前記の課題に鑑み、鋭意検討した結果、油脂(A)と乳化剤(B)、及び、水溶性糖質(C)を特定の割合で組み合わせた油脂含有粉末で呈味粉末を被覆した油脂被覆呈味粉末を、一定の水分含有量の食品にまぶすことで上記の課題を解決できることの知見を得て、本発明を完成するに至った。本発明は以下の[1]である。
【0007】
[1]水分含有量5~60質量%の食品の表面に油脂被覆呈味粉末がまぶされた呈味付与食品であって、
前記油脂被覆呈味粉末は、下記に示した油脂(A)40~75質量%、乳化剤(B)2.5~13質量%及び水溶性糖質(C)22.5~45質量%を含有する油脂含有粉末によって、水分含有量が5質量%以下の呈味粉末が被覆された粉末であることを特徴とする、呈味付与食品。
油脂(A)融点が40~60℃
35℃における固体脂含有量(SFC)が50~100%。
[2]呈味粉末と、その表面を被覆する油脂含有粉末とからなる油脂被覆呈味粉末の製造方法であって、油脂含有粉末が下記に示した油脂(A)40~75質量%、乳化剤(B)2.5~13質量%及び水溶性糖質(C)22.5~45質量%を含有する乳化液を噴霧乾燥することにより得られた油脂含有粉末を用い、高速攪拌機で呈味粉末と油脂含有粉末を均質に分散させて呈味粉末の表面に油脂含有粉末を被覆することを特徴とする油脂被覆呈味粉末の製造方法。
油脂(A)融点が40~60℃
35℃における固体脂含有量(SFC)が50~100%。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、水分移行抑制と良好な呈味性を両立した呈味付与食品を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[呈味付与食品]
本発明の呈味付与食品は、水分含有量5~60質量%の食品の表面に油脂被覆呈味粉末がまぶされた呈味付与食品である。
以下、各成分等について詳述する。
【0010】
<食品>
本発明の呈味付与食品において、油脂被覆呈味粉末がまぶされる前の食品の水分含有量は5~60質量%である。水分含有量が5~60質量%の食品としては、例えば、グミキャンディ(16質量%)、団子(25質量%)、まんじゅう(41質量%)、大福もち(43質量%)、ういろう(55質量%)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。括弧内は水分含有量の一例を示すもので、これらの食品であっても水分含有量が5~60質量%でない場合は適切ではない。水分含有量が5質量%未満であれば、水分移行自体が起こりにくいが、食品の食感等が悪く、水分含有量が60質量%よりも高ければ水分移行を抑制しにくい。
【0011】
<油脂被覆呈味粉末>
本発明の呈味付与食品は、水分含有量が5~60質量%の食品に、油脂被覆呈味粉末がまぶされたものである。油脂被覆呈味粉末とは、呈味粉末が下記油脂含有粉末で被覆されたものであり、呈味粉末としては、例えば、粉糖、グラニュー糖、三温糖、黒糖などの糖質、クエン酸、アスコルビン酸、フマル酸、コハク酸などの有機酸類、果汁粉末、食品粉砕物、粉末コーヒー、ココアパウダー、粉末調味料、精製塩などが挙げられる。これらの呈味粉末の平均粒径は特に限定されないが、通常10μm~3mm、好ましくは100μm~1mmの範囲である。
【0012】
呈味粉末の水分含有量水は5質量%以下であることが好ましい。水分含有量の上限値としては、さらに好ましくは3質量%以下であり、最も好ましくは、1質量%以下である。
呈味粉末の水分含有量を5質量%以下とすることで、呈味に影響を与えず口どけの良好な呈味付与食品を得ることができる。
【0013】
<油脂含有粉末>
本発明の呈味粉末を被覆する油脂含有粉末は、油脂(A)、乳化剤(B)、及び水溶性糖質(C)を含有した乳化液を噴霧乾燥することにより得ることができる。
【0014】
<油脂(A)>
本発明の油脂含有粉末に用いる油脂(A)は、好ましくは融点が40~60℃である。下限値としては、好ましくは45℃以上である。上限値としては、好ましくは55℃以下であり、より好ましくは50℃以下である。融点が40℃を下回ると、油性成分粉末で呈味粉末を被覆する混合工程において、製品温度が35℃程度となるため油性成分の油脂が滲み出し、被覆性能が悪くなる。よって、十分に水分移行を抑えることができなくなる。一方、上昇融点が60℃を上回ると、口溶けが悪くなり呈味粉末自体の味を感じにくくなる。
油脂(A)の融点は、基準油脂分析試験法「2.2.4.2 融点(上昇融点)」に準じて測定することができる。
【0015】
また、本発明の油脂含有粉末に用いる油脂(A)は、好ましくは35℃における固体脂含量(SFC)が50~100質量%であり、より好ましくは70~100質量%である。35℃における固体脂含量が50質量%未満であると、混合によるコーティング処理で良好な呈味粉末の被覆物を得ることが困難になり、良好な加工適性が得られなくなる。
【0016】
本発明の油脂含有粉末に用いる油脂(A)としては、上記の性質を有する食用油脂であれば、特に限定されない。具体的にはパーム油、ナタネ油、大豆油、綿実油、コーン油、ヤシ油、パーム核油、米油、ゴマ油、オリーブ油、カカオ脂、サフラワー油、ヒマワリ油、月見草油、ボラージ油、ホホバ油、シソ油、エゴマ油、落花生油、米油等の天然の植物油脂;牛脂、豚脂、魚油、乳脂、鶏油、鯨油、マグロ油、イワシ油、サバ油、サンマ油、カツオ油、ニシン油、肝油、バター等の天然の動物油脂;またはこれら単独あるいは組み合わせの硬化油、極度硬化油、分別油、エステル交換油が挙げられ、さらに、中鎖脂肪酸トリグリセリドなどの合成トリグリセリドなどを配合した油脂が挙げられる。例えば、固体脂含量や融点の低い油脂は、前記の油脂成分と混合して固体脂含量を50~100%、上昇融点を40~60℃と調製し、使用することもできる。さらに油脂(A)としては、パーム油、ナタネ油などの植物油を用いた硬化油を用いることが好ましい。
【0017】
本発明の油脂含有粉末に用いる油脂(A)の含有量は、40~75質量%である。下限値としては、好ましくは45質量%以上であり、より好ましくは50質量%以上である。上限値としては、好ましくは70質量%以下であり、より好ましくは60質量%以下である。油性成分中の油脂の含有量が上記の範囲内のとき、水分移行抑制効果及び呈味性が良好になる。一方、40質量%より低い場合は、水分移行抑制効果が弱く、75質量%より高い場合は呈味粉末の味が感じにくくなる。
【0018】
<乳化剤(B)>
本発明の油脂含有粉末に用いる乳化剤(B)は、油脂(A)、乳化剤(B)、及び水溶性糖質(C)を含有した乳化液の乳化状態を安定化できるもので、味が呈味粉末の味に影響を与えないものであれば特に限定されない。乳化剤の例としては、オクテニルコハク酸デンプンナトリウム、グリセリン脂肪酸ナトリウム、カゼインナトリウム、モノグリセライド、有機酸モノグリセライド等のグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノール酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、レシチン、サポニンなどが挙げられ、好ましくはオクテニルコハク酸デンプンナトリウム、カゼインナトリウム、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルが挙げられる。
これらの乳化剤は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0019】
本発明の油脂含有粉末に用いる乳化剤(B)の含有量は、2.5~13質量%である。下限値としては、好ましくは4質量%以上であり、より好ましくは5質量%以上である。上限値としては、好ましくは10量%以下であり、より好ましくは8質量%以下である。
油脂含有粉末における乳化剤の含有量が上記の範囲内のとき、水分移行抑制効果及び呈味性が良好になる。一方、2.5質量%より低い場合は、油脂(A)を十分に乳化できず、13質量%より高い場合は味に影響を及ぼすことがある。
【0020】
<水溶性糖質(C)>
本発明の油脂含有粉末に用いる糖質(C)は、油脂(A)を高濃度で分散する作用を有するものが用いられる。その中でも、喫食時の味とくちどけの影響の観点から水溶性の糖質を使用するものである。
ここで、水溶性とは、25℃の水溶液100mlに対して、前記糖質が15g以上溶解することをいう。
水溶性の糖質としては、乳化工程中の温水に溶解するもので、噴霧乾燥時に粉末状になるものであれば特に限定されないが、例えば、乳糖、トレハロース、麦芽糖やデキストリンなどが挙げられる。
【0021】
本発明の油脂含有粉末に用いる水溶性糖質(C)の含有量は、好ましくは22.5~45質量%である。下限値としては、好ましくは30質量%以上であり、より好ましくは35質量%以上である。上限値としては、好ましくは、44質量%以下であり、より好ましくは40質量%以下である。
油脂含有粉末中の水溶性糖質の含有量が上記の範囲内とすることで、粉末化の際に十分に油脂(A)が包括でき、油脂が滲み出しを抑制することができ、さらに水分移行抑制効果及び呈味性が良好になる。一方、22.5質量%より低い場合は、粉末化の際に十分に油脂(A)が包括されないため、油性成分粉末で呈味性粉末を被覆する混合工程において、油脂が滲み出し被覆性能が悪くなる。また、45質量%より高い場合は油脂(A)の含有量が低くなり、水分抑制効果が弱くなる。
【0022】
<その他の成分>
本発明の呈味付与食品において、呈味粉末を被覆するために油脂含有粉末中には、上記の成分に加えて、その他の成分を配合することできる。
その他の成分としては、本発明の油脂含有粉末の性能を損なわない成分であればよく、例えば、酸化防止剤、安定剤、無機塩等が挙げられる。
【0023】
本発明の呈味粉末の被覆に用いる油脂含有粉末の平均粒子径としては好ましくは10~150μmである。下限値としては、より好ましくは50μm以上であり、さらに好ましくは60μm以上である。上限値としては、より好ましくは100μm以下であり、さらに好ましくは80μm以下である。
油脂含有粉末の平均粒子径を、上記の範囲内とすることで、呈味粉末へ満遍なく被覆することができ、食品からの水分移行を効率良く抑制することができる。
平均粒子径の測定は、レーザー回折式粒度分布測定装置を用いて測定することができる
【0024】
[油脂含有粉末の製造方法]
本発明の油脂含有粉末は乳化工程及び乾燥工程を経て、製造することができる。
【0025】
<乳化工程>
油脂(A)と乳化剤(B)、及び、水溶性糖質(C)の混合液を乳化する工程である。
例えば、温水に乳化剤と水溶性糖質を攪拌しながら投入し、溶解したあとで、攪拌を続けながら油脂を投入し粗乳化させ、次いで、この粗乳化液を均質化機で乳化させる。
【0026】
<乾燥工程>
乾燥工程は、乳化工程により乳化された乳化液を乾燥させる工程である。例えば、乳化工程により乳化された乳化液をスプレードライヤーなどの噴霧乾燥機にて水分を蒸発させ乾燥させる。
【0027】
[油脂被覆呈味粉末の製造方法]
本発明の呈味付与食品における油脂被覆呈味粉末は、前記油脂含有粉末と前記呈味粉末を攪拌・混合することにより得ることができる。混合時の温度は20~45℃の温度が好ましく、20℃未満では、油性成分と呈味成分が効率よく混合できず、45℃を超えると、油脂含有粉末から油脂の滲み出しが生じやすくなり、水分移行抑制効果が低下する。
混合には、公知のミキサー、高速攪拌機、高能率粉体混合装置、高速気流の対流により粉体を混合接触させる装置などを使うことが出来る。また、油脂被覆呈味粉末における油脂含有粉末の割合は10~50質量%が好ましい。油脂含有粉末の割合を前記範囲内とすることで、水分移行抑制効果及び呈味性が良好な食品を得ることができる。
【0028】
[呈味付与食品の製造方法]
本発明の呈味付与食品は、前記油脂被覆呈味粉末を食品にまぶすことで製造することができる。まぶす方法としては、油脂被覆呈味粉末が食品の表面に覆いかぶさるよう付着できれば特に限定されない。例えば、食品に油脂被覆呈味粉末を振りかける、食品を油脂被覆呈味粉末中にくぐらせる、又は袋に食品と油脂被覆呈味粉末を入れ、一緒に混合するなどの方法が挙げられる。
【実施例
【0029】
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
[油脂含有粉末の製造]
温水(80℃)に、乳化剤(B)、水溶性糖質(C)を溶解し、水相を攪拌しながら油脂(A)を投入して、粗乳化液を製造した。さらに、この粗乳化液をマントンゴーリン型ホモジナイザー(25MPa)で乳化液とした。乳化液をスプレードライヤー(熱風温度160℃、排風温度90℃)で乾燥させた。得られた乾燥物を粉砕、篩過をして、油脂含有粉末を得た。
上記方法により表1に示す油脂含有粉末A~Fを製造した。
【0030】
ここで、油脂(A)の融点の測定は基準油脂分析試験法(日本油化学会編 2.2.4.2 融点(上昇融点))に準じて測定した。
油脂(A)の固体脂含有量(SFCは)、基準油脂分析試験法(日本油化学会編 2.2.9-2003)に準じ、NMR装置PRAXIS MODEL SFC-900Aを使用し測定した。
【0031】
【表1】
【0032】
<油脂含有粉末A>
油脂(A)としてパーム硬化油(SPF1W、不二製油(株)製、上昇融点44.8℃、35℃におけるSFC79.7%)、乳化剤(B)としてグリセリン脂肪酸エステル(エマルジーMS、理研ビタミン(株)製)、カゼインナトリウム(Sodium Caseinate 180、FonteraLimited製)、水溶性糖質としてデキストリン(パインデックスNo2、松谷化学工業(株)製)、乳糖(ラクトース Leprino 100、Leprino Foods製)、その他の成分としてメタリン酸ナトリウム(ヘキサメタリン酸ナトリウム、米山化学工業(株)製)を用いた。
<油脂含有粉末
油脂(A)としてパーム極度硬化油(パーム極度硬化油、横浜油脂工業(株)製、上昇融点57.4℃、35℃におけるSFC98.3%)、乳化剤(B)としてオクテニルコハク酸デンプンナトリウム(Nクリーマー46、ピュリティガムBE、どちらもNational Starch LLC製)、水溶性糖質としてデキストリン、乳糖を用いた。
<油脂含有粉末
油脂(A)としてパーム硬化油を用いた以外は、油脂含有粉末Bと同様の原料を用いた。
<油脂含有粉末
油脂(A)としてナタネ極度硬化油(TP-9、日油(株)製、上昇融点67.9℃、35℃におけるSFC98.3%)を用いた。
<油脂含有粉末
油脂含有粉末Aと同様の原料を用いた。
<油脂含有粉末
油脂(A)としてパーム極度硬化油を用いた以外は、油脂含有粉末Aと同様の原料を用いた
【0033】
(実施例1)
高速攪拌機(バーチカルグラニュレーターVG-05型、(株)パウレック製)を用い、前記油脂含有粉末(A)20質量%とクエン酸(水分含有量0.5%、クエン酸扶桑無水MS、扶桑化学工業(株)製)80質量%を投入し、主軸550rpm、副軸1500rpm、製品温度20~35℃で20分間攪拌混合して、クエン酸を呈味粉末とする油脂被覆呈味粉末を得た。得られた油脂被覆呈味粉末をグミキャンディ(水分含有量:16%)の表面が覆いかぶさるように均一に付着させた。
【0034】
(実施例3、4、比較例1~
表2に示す組成にて、実施例1と同様の条件で処理してグミキャンディを得た。
【0035】
(実施例
高速攪拌機(バーチカルグラニュレーターVG-05型、株式会社パウレック製)に表3に示した配合の油脂含有粉末とグラニュー糖(水分含有量:0.4%)を投入し、主軸600rpm、副軸2000rpm、製品温度20~35℃で20分間攪拌混合し、グラニュー糖を呈味粉末とした油脂被覆呈味粉末を得た。得られた油脂被覆呈味粉末を大福もち(水分含有量:43%)の表面が覆いかぶさるように均一に付着させた。
【0036】
(実施例7、8、比較例
表3に示す組成に変更した以外は、実施例5と同様の条件で処理してグラニュー糖大福もちを得た。
【0037】
水分移行の程度はグミキャンディ及びグラニュー糖大福もちをシャーレにて温度40℃・湿度75%で24時間保存した後、以下の基準で評価した。
<水分移行抑制評価>
下記に示す基準をもとに5人のパネラーに目視により外観を評価してもらい、5人のパネラーの平均点を◎:2.6~3.0点、〇:2.1~2.5点、△:1.6~2.0点、×:1.0~1.5点として比較した。
3点:保存前と状態が変わらない
2点:白色粉末が透明になる
1点:表面の粒が見えなくなり液状になる
【0038】
呈味性はグミキャンディ及びグラニュー糖大福もちをシャーレにて温度40℃・湿度75%で24時間保存した後、以下の基準で評価した。
<呈味性評価>
5人のパネラーに、摂食による官能評価により、下記に示す基準で評価してもらい、その平均点を◎:2.6~3.0点、〇:2.1~2.5点、△:1.6~2.0点、×:1.0~1.5点として比較した。
3点:原末と同じ味を感じる
2点:原末よりも弱く味を感じる
1点:原末の味を感じない
【0039】
上記実施例及び比較例の結果を、以下の表2、3に示した。
【表2】
【0040】
【表3】
【0041】
表2、3に示す結果の通り、実施例1、3~5、7、8については、水分移行を抑制し、なおかつ呈味性の良好なグミキャンディ及び大福もちを得ることが出来た。一方、比較例1、は、融点67.9℃のナタネ極度硬化油を用いた油脂含有粉末で呈味粉末を被覆しているため、呈味性が非常に劣る結果となった。比較例3、においても、乳化剤(B)の含有量が13.0質量%より多い油脂含有粉末で呈味粉末を被覆しているため、呈味性が悪い結果となった。また、比較例2、は、油脂(A)の含有量が40質量%より少なく、水溶性糖質(C)の含有量が45質量%より多い油脂含有粉末で呈味粉末を被覆しているため、水分移行抑制効果は不十分であった。比較例4、は、油脂含有粉末によって被膜されておらず、水分移行抑制効果は著しく低かった。