(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-18
(45)【発行日】2023-07-26
(54)【発明の名称】情報コード読取システム
(51)【国際特許分類】
G06K 19/06 20060101AFI20230719BHJP
G06K 7/10 20060101ALI20230719BHJP
G06K 7/14 20060101ALI20230719BHJP
【FI】
G06K19/06 112
G06K19/06 037
G06K7/10 372
G06K7/10 464
G06K7/14 017
G06K7/14 091
G06K19/06 093
(21)【出願番号】P 2019038499
(22)【出願日】2019-03-04
【審査請求日】2022-01-19
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】501428545
【氏名又は名称】株式会社デンソーウェーブ
(74)【代理人】
【識別番号】100095795
【氏名又は名称】田下 明人
(72)【発明者】
【氏名】中山 晋
(72)【発明者】
【氏名】牛嶋 隆雄
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 雅彦
【審査官】松平 英
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-062260(JP,A)
【文献】特開2006-195912(JP,A)
【文献】特開2007-049584(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0065803(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 7/00-7/14
17/00-19/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報コード表示装置及び情報コード読取装置を備える情報コード読取システムであって、
前記情報コード表示装置は、
表示すべき情報コードの画像から当該情報コードのコード領域を構成する一部のセルが除かれた一部コード画像を、セルを除く範囲が画像ごとに変わり、それぞれのセルが少なくともいずれか1つの画像に含まれるように、複数種類生成する一部コード画像生成部と、
前記一部コード画像生成部にて生成された複数の前記一部コード画像を、前記コード領域を基準として表示画面にサイクリックに表示する表示部と、
を備え、
前記一部コード画像生成部は、前記一部コード画像を、前記表示すべき情報コードにおける所定範囲のセルが2以上の画像に含まれるように、複数種類生成し、
前記情報コード読取装置は、
前記サイクリックの周期よりも長くなる露光時間にて前記表示画面を撮像することで、全ての一部コード画像が重複するような撮像画像を撮像する撮像部と、
前記撮像部により撮像された情報コードを解読する解読部と、
前記撮像部にて撮像された前記情報コードのセル単位の明度を算出する明度算出部と、
前記所定範囲のセルに関する情報を取得する取得部と、
前記明度算出部により算出された明度と前記取得部により取得された前記所定範囲のセルに関する情報とに基づいて、前記撮像部にて撮像された前記情報コードに関して真贋判定を行う真贋判定部と、
を備
えることを特徴とする情報コード読取システム。
【請求項2】
前記所定範囲のセルに関する情報は、前記情報コードに記録されており、
前記取得部は、前記解読部による解読結果から前記所定範囲のセルに関する情報を取得することを特徴とする請求項1に記載の情報コード読取システム。
【請求項3】
情報コード表示装置及び情報コード読取装置を備える情報コード読取システムであって、
前記情報コード表示装置は、
表示すべき情報コードと同じセル配列構造のコード領域であって一部のセルの明暗がそれぞれ異なるように、第1の明度の暗色系セルと第2の明度の明色系セルとを配列した類似コードの画像を複数種類生成する類似コード画像生成部と、
前記類似コード画像生成部にて生成された複数の前記類似コード画像を、前記コード領域を基準として表示画面にサイクリックに表示する表示部と、
を備え、
前記類似コード画像生成部は、複数の前記類似コードをそれぞれ構成するセルのうち、前記表示すべき情報コードの暗色系セルの位置に対応するセルを暗色形成用セル、明色系セルの位置に対応するセルを明色形成用セルとするとき、前記コード領域を基準に同じ位置となる前記暗色形成用セルについて、前記第1の明度の暗色系セルとなる前記類似コードの数が前記第2の明度の明色系セルとなる前記類似コードの数よりも多くなり、前記コード領域を基準に同じ位置となる前記明色形成用セルについて、前記第2の明度の明色系セルとなる前記類似コードの数が前記第1の明度の暗色系セルとなる前記類似コードの数
よりも多くなるように、前記類似コード画像を生成し、
前記情報コード読取装置は、
前記サイクリックの周期よりも長くなる露光時間にて前記表示画面を撮像する撮像部と、
前記撮像部により撮像された情報コードを解読する解読部と、
を備えることを特徴とする情報コード読取システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報コード表示装置に画面表示される情報を利用して情報コード読取装置にて情報コードを読み取る情報コード読取システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、バーコードやQRコード(登録商標)などの情報コードが様々な用途で使用されており、その使用目的も多様化しつつある。例えば、画面表示された情報コードをカメラ付きの携帯端末にて撮像して光学的に読み取ることで、その情報コードに応じた所定の情報を容易に取得する事ができる。さらに、暗号化等された情報コードをユーザに配信し、ユーザが配信された情報コードを画面表示して提示することで、店舗等の提示先では、その情報コードに応じたサービスの提供や本人認証、バリュー提示を行うシステムを構築することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述のように情報コードを表示した画面が不正に撮影されると、その情報コードが容易に複製されてしまい、セキュリティ面や運用安全面で問題がある。例えば、金銭的情報が付与されたQRコードが撮像されて複製されると、その金銭的情報が不正に使用されるおそれがある。また、例えば、認証用のQRコードが撮像されて複製されると、その認証情報が不正に使用されるおそれがある。
【0005】
この問題を解決するため、例えば、特許文献1に開示される分割表示方法のように、2次元コードを複数の分割2次元コードに分割して表示することで、表示された1つの分割2次元コードを撮像しただけでは2次元コードの情報を取得できなくすることができる。しかしながら、単に1つの情報コードを複数の分割コードに分割しただけでは、分割した全ての分割コードをそれぞれ撮像して合成するだけで元の情報コードを復元できてしまうという問題がある。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、画面表示される情報コードの複製を防止し得る構成を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、特許請求の範囲の請求項1に記載の発明は、
情報コード表示装置(20)及び情報コード読取装置(30)を備える情報コード読取システム(10)であって、
前記情報コード表示装置は、
表示すべき情報コード(C)の画像から当該情報コードのコード領域を構成する一部のセルが除かれた一部コード画像(P11~P13,P21~P23,P31~P33)を、セルを除く範囲が画像ごとに変わり、それぞれのセルが少なくともいずれか1つの画像に含まれるように、複数種類生成する一部コード画像生成部(21,23)と、
前記一部コード画像生成部にて生成された複数の前記一部コード画像を、前記コード領域を基準として表示画面(24a)にサイクリックに表示する表示部(24,25)と、
を備え、
前記一部コード画像生成部は、前記一部コード画像を、前記表示すべき情報コードにおける所定範囲のセルが2以上の画像に含まれるように、複数種類生成し、
前記情報コード読取装置は、
前記サイクリックの周期よりも長くなる露光時間にて前記表示画面を撮像することで、全ての一部コード画像が重複するような撮像画像を撮像する撮像部(32)と、
前記撮像部により撮像された情報コードを解読する解読部(31)と、
前記撮像部にて撮像された前記情報コードのセル単位の明度を算出する明度算出部と、
前記所定範囲のセルに関する情報を取得する取得部と、
前記明度算出部により算出された明度と前記取得部により取得された前記所定範囲のセルに関する情報とに基づいて、前記撮像部にて撮像された前記情報コードに関して真贋判定を行う真贋判定部と、
を備えることを特徴とする。
なお、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の発明では、情報コード表示装置において、一部コード画像生成部は、表示すべき情報コードの画像から当該情報コードのコード領域を構成する一部のセルが除かれた一部コード画像を、セルを除く範囲が画像ごとに変わり、それぞれのセルが少なくともいずれか1つの画像に含まれるように、複数種類生成し、表示部は、生成された複数の一部コード画像を、コード領域を基準として表示画面にサイクリックに表示する。そして、情報コード読取装置において、撮像部は、サイクリックの周期よりも長くなる露光時間にて表示画面を撮像することで、全ての一部コード画像が重複するような撮像画像を撮像し、解読部は、撮像部により撮像された情報コードを解読する。
【0009】
これにより、情報コード表示装置の表示画面を単に撮影しても、1つの一部コード画像が撮像されるだけで、表示すべき情報コードが撮像されることもない。一方、上記情報コード読取装置では、サイクリックの周期よりも長くなる露光時間にて表示画面を撮像することで、全ての一部コード画像が重複するような撮像画像が得られる。この撮像画像のコード領域に、表示すべき情報コードが形成されるため、サイクリックの表示速度に関係なく、当該情報コードを解読することができる。したがって、画面表示される情報コードの複製を防止することができる。
【0010】
さらに、一部コード画像生成部は、一部コード画像を、表示すべき情報コードにおける所定範囲のセルが2以上の画像に含まれるように、複数種類生成する。
【0011】
例えば、セルが重複しないように表示すべき情報コードを分割した分割画像を複数生成し、この分割画像をサイクリックに表示した場合、長い露光時間で撮像した画像では、分割数が多くなるほど、暗色系セルの明度が高くなる(暗色系セルの明度が明色系セルの明度に近くなる)。このため、暗色系セルと明色系セルとのコントラストが低下することから、読み取りに失敗してしまう可能性がある。これに対して、表示すべき情報コードにおける所定範囲のセルが2以上の画像に含まれるように一部コード画像を生成することで、長い露光時間で撮像した画像であっても、少なくとも上記所定範囲のセルでは暗色系セルの明度が高くなりにくい。これにより、暗色系セルと明色系セルとのコントラストが低下することに起因する読み取りの失敗を抑制することができる。
【0012】
さらに、情報コード読取装置において、撮像部にて撮像された情報コードのセル単位の明度が明度算出部により算出され、上記所定範囲のセルに関する情報が取得部により取得される。そして、真贋判定部により、明度算出部により算出された明度と取得部により取得された所定範囲のセルに関する情報とに基づいて、撮像部にて撮像された情報コードに関して真贋判定が行われる。
【0013】
これにより、上記情報コード表示装置にて各一部コード画像がサイクリックに表示される表示画面を長い露光時間で撮像した画像では、上記所定範囲における暗色系セルの明度とコード領域における他の範囲の暗色系セルの明度とに明度差が生じやすくなる。一方、正規の情報コードに記録される情報を不正に取得して生成等した偽造コードを長い露光時間で撮像した画像では、上記所定範囲における暗色系セルの明度とコード領域における他の範囲の暗色系セルの明度とに明度差が生じることもない。したがって、明度算出部により算出された明度と取得部により取得された所定範囲のセルに関する情報とに基づいて、撮像部にて撮像された情報コードに関して真贋判定を行うことができる。
【0014】
請求項2の発明では、上記所定範囲のセルに関する情報は、情報コードに記録されており、取得部は、解読部による解読結果から上記所定範囲のセルに関する情報を取得する。これにより、上記所定範囲のセルに関する情報を予め取得するような処理が不要になるだけでなく、表示すべき情報コードごとに上記所定範囲を変えることができるので、情報コードの偽造がより困難になり、真贋判定精度を向上させることができる。
【0015】
請求項3の発明では、情報コード表示装置において、類似コード画像生成部は、表示すべき情報コードと同じセル配列構造のコード領域であって一部のセルの明暗がそれぞれ異なるように、第1の明度の暗色系セルと第2の明度の明色系セルとを配列した類似コードの画像を複数種類生成するもので、複数の類似コードをそれぞれ構成するセルのうち、表示すべき情報コードの暗色系セルの位置に対応するセルを暗色形成用セル、明色系セルの位置に対応するセルを明色形成用セルとするとき、コード領域を基準に同じ位置となる暗色形成用セルについて、第1の明度の暗色系セルとなる類似コードの数が第2の明度の明色系セルとなる類似コードの数よりも多くなり、コード領域を基準に同じ位置となる明色形成用セルについて、第2の明度の明色系セルとなる類似コードの数が第1の明度の暗色系セルとなる類似コードの数よりも多くなるように、類似コード画像を生成する。表示部は、生成された複数の類似コード画像を、コード領域を基準として表示画面にサイクリックに表示する。そして、情報コード読取装置において、撮像部は、サイクリックの周期よりも長くなる露光時間にて表示画面を撮像し、解読部は、撮像部により撮像された情報コードを解読する。
【0016】
これにより、情報コード表示装置の表示画面を単に撮影しても、1つの類似コード画像が撮像されるだけで、表示すべき情報コードが撮像されることもない。一方、上記情報コード読取装置では、サイクリックの周期よりも長くなる露光時間にて表示画面を撮像することで、全ての類似コード画像が重複するような撮像画像が得られる。この撮像画像のコード領域において上記第1の明度及び第2の明度に基づいて明暗を区別することで表示すべき情報コードが形成されるため、サイクリックの表示速度に関係なく、当該情報コードを解読することができる。したがって、画面表示される情報コードの複製を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】第1実施形態に係る情報コード読取システムの概略構成を示す説明図である。
【
図2】
図1の情報コード表示装置の電気的構成を概略的に示すブロック図である。
【
図3】QRコードと各一部コードとの関係を示す説明図である。
【
図4】第1実施形態における各一部コード画像を説明する説明図であり、
図4(A)は、一部コードC1を含めた一部コード画像P11を示し、
図4(B)は、一部コードC2を含めた一部コード画像P12を示し、
図4(C)は、一部コードC3を含めた一部コード画像P13を示す。
【
図5】
図1の情報コード読取装置の電気的構成を概略的に示すブロック図である。
【
図6】第1実施形態における情報コード読取装置の読取処理の流れを例示するフローチャートである。
【
図7】一部コード画像P11~P13がサイクリックに表示される表示画面を撮像した撮像画像を示す説明図である。
【
図8】第2実施形態における各一部コード画像を説明する説明図であり、
図8(A)は、一部コードC1,C2を含めた一部コード画像P21を示し、
図8(B)は、一部コードC2,C3を含めた一部コード画像P22を示し、
図8(C)は、一部コードC3,C1を含めた一部コード画像P23を示す。
【
図9】一部コード画像P21~P23がサイクリックに表示される表示画面を撮像した撮像画像を示す説明図である。
【
図10】第3実施形態における各一部コード画像を説明する説明図であり、
図10(A)は、一部コードC4を含めた一部コード画像P31を示し、
図10(B)は、一部コードC5を含めた一部コード画像P32を示し、
図10(C)は、一部コードC6を含めた一部コード画像P33を示す。
【
図11】
図10に示す各一部コード画像がサイクリックに表示される表示画面を撮像した撮像画像を示す説明図である。
【
図12】第3実施形態における情報コード読取装置の読取処理の流れを例示するフローチャートである。
【
図13】第3実施形態の第1変形例に係る一部コード画像がサイクリックに表示される表示画面を撮像した撮像画像を説明する説明図である。
【
図14】第3実施形態の第2変形例に係る一部コード画像がサイクリックに表示される表示画面を撮像した撮像画像を説明する説明図である。
【
図15】第4実施形態において表示すべき情報コードを説明する説明図である。
【
図16】第4実施形態における各類似コード画像を説明する説明図であり、
図16(A)は、類似コードCbを含めた類似コード画像P41を示し、
図16(B)は、類似コードCcを含めた類似コード画像P42を示し、
図16(C)は、類似コードCdを含めた類似コード画像P43を示す。
【
図17】
図16に示す各類似コード画像がサイクリックに表示される表示画面を撮像した撮像画像を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[第1実施形態]
以下、本発明の情報コード読取システムを具現化した第1実施形態について、図面を参照して説明する。
本実施形態に係る情報コード読取システム10は、画面表示される情報コードの複製を防止するためのシステムである。この情報コード読取システム10は、情報コードを表示するための情報コード表示装置20と、情報コード表示装置20に表示された情報を利用して情報コードを読み取る情報コード読取装置30とを備えている。
【0019】
まず、情報コード表示装置20について、
図2~
図4を参照して説明する。
本実施形態に係る情報コード表示装置20は、ユーザによって携帯されて様々な場所で後述する各一部コード画像等を表示するために用いられる携帯型の情報端末であり、例えば、所定のアプリケーションプログラムがインストールされたスマートフォン等により構成することができる。この情報コード表示装置20は、
図2に示すように、全体制御を司る制御部21と、RAM22aやROM22b等からなる記憶部22と、描画コマ作成モジュール23と、表示モジュール24と、表示コントローラ25等を備えるように構成されている。
【0020】
制御部21は、情報コード表示装置20全体を制御可能なマイコンで、CPU、システムバス、入出力インタフェース等からなるもので、ROM22bに記憶される所定のプログラムに基づいて算術演算や論理演算、後述する表示処理等の各種演算処理を行うことで各種電気部品を制御するように構成されている。
【0021】
RAM22aは、制御部21が算術演算や論理演算等の各処理時に利用する作業領域や後述する一部コード画像などが記憶される画像データ記憶領域等を確保可能に構成されている。またROM22bには、後述するように一部コード画像をサイクリックに表示する表示処理等を実行可能な所定プログラムや各ハードウェアを制御可能なシステムプログラム等が予め格納されている。
【0022】
描画コマ作成モジュール23は、制御部21により制御されて、表示すべき情報コードの画像から当該情報コードのコード領域を構成する一部のセルが除かれた一部コードの画像(以下、単に、一部コード画像ともいう)を複数種類生成するモジュールとして構成されている。本実施形態では、描画コマ作成モジュール23は、上記一部コード画像を、セルを除く範囲が画像ごとに変わり、それぞれのセルが少なくともいずれか1つの画像に含まれるように、複数種類生成する。
【0023】
具体的には、描画コマ作成モジュール23は、
図3に例示するQRコードCが表示すべき情報コードとしてRAM22aに記憶される場合、このQRコードCを、例えば、上下に三等分するように3つの一部コードC1~C3を生成する。すなわち、一部コードC1は、QRコードCから一部コードC2,C3が除かれるように生成され、一部コードC2は、QRコードCから一部コードC1,C3が除かれるように生成され、一部コードC3は、QRコードCから一部コードC1,C2が除かれるように生成される。このため、QRコードCが有する3つのファインダパターン(位置検出パターン)FP1~FP3のうち、ファインダパターンFP1,FP3は一部コードC1に含まれ、ファインダパターンFP2は一部コードC3に含まれることとなる。なお、
図3では、三等分する線を符号L1,L2にて示している。
【0024】
特に、本実施形態では、表示すべき情報コードとして、一般的な誤り訂正機能を有するQRコードが採用される。誤り訂正機能を有するようにQRコードが生成されているため、そのQRコードのデータ部分を構成する各セルのうち誤り訂正可能な範囲の領域(例えば30%)のセルが欠損等しても、誤り訂正により欠損等した領域を読み取り可能に復元することができる。このため、各一部コードC1~C3は、1つの一部コードから読み取り可能にQRコードが復元されることを防止するために、誤り訂正不能な大きさに分割される。
【0025】
そして、描画コマ作成モジュール23は、上述のように生成された各一部コードのそれぞれについて、一部コードの1つを含めた一部コード画像を生成する。例えば、上述のようにQRコードCが三等分されて3つの一部コードC1~C3が生成される場合には、描画コマ作成モジュール23により、一部コードC1を含めた一部コード画像P11(
図4(A)参照)と、一部コードC2を含めた一部コード画像P12(
図4(B)参照)と、一部コードC3を含めた一部コード画像P13(
図4(C)参照)と、が生成される。
【0026】
特に、各一部コード画像P11~P13は、
図4(A)~(C)からわかるように、QRコードCのコード領域の位置が一致するように生成される。すなわち、
図4(A)に示すように、一部コード画像P11は、表示すべき情報コードを基準位置(例えば画面中央)に配置するときに、この表示すべき情報コードに対して一部コードC1が占める位置に当該一部コードC1が配置されるように生成される。また、
図4(B)に示すように、一部コード画像P12は、表示すべき情報コードを上記基準位置に配置するときに、この表示すべき情報コードに対して一部コードC2が占める位置に当該一部コードC2が配置されるように生成される。また、
図4(C)に示すように、一部コード画像P13は、表示すべき情報コードを上記基準位置に配置するときに、この表示すべき情報コードに対して一部コードC3が占める位置に当該一部コードC3が配置されるように生成される。このように生成された各一部コード画像は、RAM22aの所定の画像データ記憶領域に記憶される。なお、制御部21及び描画コマ作成モジュール23は、「一部コード画像生成部」の一例に相当し得る。
【0027】
表示モジュール24は、例えば、表示画面24aを備える液晶表示器であって、制御部21から指示を受けた表示コントローラ25によりその表示内容が制御されるように構成されている。なお、表示モジュール24および表示コントローラ25は、「表示部」の一例に相当し得る。
【0028】
また、情報コード表示装置20は、
図2の符号26にて示すように、所定の情報を入力操作するためのキー操作部や外部装置と通信するためのインタフェースとして構成される外部通信部(入出力手段)、制御部21や各種電気部品に電力を供給する電源部等を備えている。
【0029】
次に、上述のように構成される情報コード表示装置20の制御部21により実行される表示処理について説明する。
本実施形態では、制御部21により表示処理が実行されると、描画コマ作成モジュール23により、表示すべき情報コードから一部のセルが除かれた一部コード画像が複数種類生成される。そして、上述のように生成された各一部コード画像は、表示コントローラ25により制御される表示モジュール24により、所定の表示間隔で表示画面24aにサイクリックに表示される。
【0030】
具体的には、例えば、上述のように一部コード画像P11~P13が生成される場合には、表示画面24aにおいて、一部コード画像P11のみが表示される表示状態(
図4(A)参照)と、一部コード画像P12のみが表示される表示状態(
図4(B)参照)と、一部コード画像P13のみが表示される表示状態(
図4(C)参照)とが、上記所定の表示間隔で繰り返される。
【0031】
特に、本実施形態では、上記所定の表示間隔は、残像現象が生じる程度の時間、例えば、20ms~30ms程度に設定することができ、3つの一部コード画像P11~P13を20ms程度の表示間隔でサイクリックに表示する場合には、サイクリックの周期が60ms程度となる。各一部コードC1~C3は、一部コード画像P11~P13において表示すべき情報コードに対して占める位置にそれぞれ表示されるため、各一部コード画像P11~P13がサイクリックに表示される表示画面24aを見た者は、残像現象により1つの情報コードとしてQRコードCが表示されているものと視認する。一方で、各一部コード画像P11~P13がサイクリックに表示される表示画面24aを撮影すると、一部コード画像P11~P13のいずれか1つが撮像されることとなる。
【0032】
なお、上記表示処理では、所定の操作に応じて所定の時間、表示すべき情報コード(QRコードC)を表示画面24aに表示してもよい。
【0033】
次に、情報コード読取装置30について、
図5を参照して説明する。
本実施形態に係る情報コード読取装置30は、情報コードを光学的に読み取る装置であって、情報コードを利用して所定のサービスを提供する店舗等に設置されている。この情報コード読取装置30は、
図5に示すように、CPUからなる制御部31、撮像部32、液晶表示器などからなる表示部33、LEDなどからなる発光部34、各種操作キー(図示略)によって構成される操作部35、ROM,RAM、不揮発性メモリなどからなる記憶部36、上位端末等の外部機器と有線通信或いは無線通信を行うための通信インタフェースとして構成される通信部37、制御部31や各種電気部品に電力を供給する電源部38などを備えている。
【0034】
撮像部32は、C-MOSやCCD等の固体撮像素子を二次元に配列したエリアセンサを備えるカメラとして構成されるもので、制御部31により露光時間が制御された状態で、撮像面上に結像された情報コード等の被写体の光学像を電気信号に変換して画像データを取得するように機能する。
【0035】
図1に示すように、情報コード読取装置30の外郭を構成するケース39の上面には、情報コード等がかざされる略矩形状の読取口39aが設けられており、撮像部32は、読取口39aにかざされた情報コード等からの反射光を受光して撮像するようにケース39内に収容されている。
【0036】
上述のように構成される情報コード読取装置30の記憶部36には、後述する読取処理に関するアプリケーションプログラムが制御部31により実行可能に予め格納されており、このアプリケーションプログラムが実行されることで、光学的に読み取った情報コードに記録される所定の情報を利用した処理が実行される。この読取処理の詳細な説明については後述する。
【0037】
次に、上述のように構成される情報コード読取装置30の制御部31において、情報コード表示装置20に表示される各一部コード画像を撮影して1つの情報コードを読み取る際に実行される読取処理について、
図6に示すフローチャートを参照して説明する。なお、情報コード表示装置20の表示画面24aでは、上述のように生成された各一部コード画像P11~P13がサイクリックに表示されているものとする。
【0038】
操作部35に対して所定の操作がなされることで、制御部31にて読取処理が開始されると、
図6のステップS101に示す第1撮像処理がなされる。この処理では、撮像タイミングが10回/s程度となる通常の露光時間にて読取口39aにかざされた情報コード等を撮像部32にて撮像するための処理がなされる。続いて、ステップS103の判定処理にて、撮像画像から情報コードを構成する特定パターンが検出されるか否かについて判定される。本実施形態では、上記特定パターンとしてQRコードのファインダパターン(位置検出パターン)が採用されており、1つでもファインダパターンが撮像されていない場合にはステップS103にてNoと判定されて、上記ステップS101からの処理が繰り返される。
【0039】
そして、第1撮像処理中に、利用者により情報コード表示装置20の表示画面24aが読取口39aにかざされることで、一部コード画像P11または一部コード画像P13が撮像されて、ファインダパターンFP1~FP3の少なくとも1つが検出されると、ステップS103にてYesと判定される。
【0040】
この場合には、ステップS105の第2撮像処理がなされる。この処理では、第1撮像処理よりも露光時間が長くなるように制御されて、撮像部32にて読取口39aにかざされた情報コード等が撮像される。本実施形態では、上記第2撮像処理での露光時間は、サイクリックの周期(60ms)の整数倍よりも十分に長い時間、例えば、撮像タイミングが1回/s程度となる露光時間に設定される。
【0041】
このように露光時間が長くなった状態で、各一部コード画像P11~P13がサイクリックに表示される表示画面24aを撮像部32にて撮像すると、
図7に示すように、各一部コード画像P11~P13が重複するように撮像されることで各一部コードC1~C3が連結するようにしてQRコードCが撮像される。この第2撮像処理により得られたQRコードCの暗色系セルの明度は、実質的に他の2つの画像の明色部分が重複されるように撮像されることため、通常の露光時時間で単に撮像したQRコードCの暗色系セルの明度よりも高くなる(明色系セルの明度に近くなる)。その一方で、一部コード画像の数が3つと少ないため、暗色系セルと明色系セルとのコントラストがデコード可能となる状態でQRコードCを撮像することができる。
【0042】
上述のように長い露光時間に設定された状態で撮像がなされると、ステップS107のデコード処理にて、上記第2撮像処理にて撮像された情報コードをデコードするための処理がなされる。上述した
図7のようにQRコードCが撮像されている場合には、このQRコードCに記録された文字データ等がデコードされて解読される。なお、ステップS107に示す処理を実行する制御部31は、「解読部」の一例に相当し得る。
【0043】
以上説明したように、本実施形態に係る情報コード読取システム10では、情報コード表示装置20において、描画コマ作成モジュール23は、表示すべき情報コードの画像から当該情報コードのコード領域を構成する一部のセルが除かれた一部コード画像(P1~P3)を、セルを除く範囲が画像ごとに変わり、それぞれのセルが少なくともいずれか1つの画像に含まれるように、複数種類生成し、表示モジュール24は、生成された複数の一部コード画像を、コード領域を基準として表示画面24aにサイクリックに表示する。そして、情報コード読取装置30において、撮像部32にて、サイクリックの周期よりも長くなる露光時間にて表示画面24aが撮像され、制御部31にてなされるデコード処理では、撮像部32により撮像された情報コードが解読される。
【0044】
これにより、情報コード表示装置20の表示画面24aを単に撮影しても、1つの一部コード画像が撮像されるだけで、表示すべき情報コードが撮像されることもない。一方、上記情報コード読取装置30では、サイクリックの周期よりも長くなる露光時間にて表示画面24aを撮像することで、全ての一部コード画像が重複するような撮像画像が得られる。この撮像画像のコード領域に、表示すべき情報コードが形成されるため、サイクリックの表示速度に関係なく、当該情報コードを解読することができる。したがって、画面表示される情報コードの複製を防止することができる。
【0045】
なお、描画コマ作成モジュール23は、表示すべき情報コードを三等分するように3つの一部コードC1~C3を生成することに限らず、表示すべき情報コードを2つまたは4つ以上に分割するようにして複数の一部コードを生成してもよい。
【0046】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態に係る情報コード読取システムについて、図面を参照して説明する。
本第2実施形態では、一部コード同士が一部重なるように生成される点が、上記第1実施形態と主に異なる。したがって、第1実施形態と実質的に同一の構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0047】
上記第1実施形態のように、セルが重複しないように表示すべき情報コードを分割したように一部コード画像を複数種類生成し、この一部コード画像をサイクリックに表示した場合、上記第2撮像処理にて長い露光時間で撮像した画像では、一部コード画像の数(分割数)が多くなるほど、暗色系セルの明度が高くなる(暗色系セルの明度が明色系セルの明度に近くなる)。このため、一部コード画像の数(分割数)が多くなり過ぎたために暗色系セルと明色系セルとのコントラストが低下することから、読み取りに失敗してしまう可能性がある。
【0048】
そこで、本実施形態では、表示すべき情報コードにおける所定範囲のセルが2以上の画像に含まれるように一部コード画像を生成することで、長い露光時間で撮像した画像であっても、少なくとも上記所定範囲のセルでは暗色系セルの明度が高くなりにくくして、コントラストの低下を抑制する。
【0049】
具体的には、例えば、一部コードC1と一部コードC2とを含めた一部コード画像P21(
図8(A)参照)と、一部コードC2と一部コードC3とを含めた一部コード画像P22(
図8(B)参照)と、一部コードC3と一部コードC1とを含めた一部コード画像P23(
図8(C)参照)とを生成することができる。この場合には、上記第2撮像処理において露光時間が長くなった状態で、各一部コード画像P21~P23がサイクリックに表示される表示画面24aを撮像部32にて撮像すると、
図9に示すようにQRコードCが撮像される。
【0050】
上述のように、各一部コード画像P21~P23がサイクリックに表示される状態では、一部コード画像P21の一部コードC1と一部コード画像P23の一部コードC1とが重複するように撮像され、一部コード画像P21の一部コードC2と一部コード画像P22の一部コードC2とが重複するように撮像され、一部コード画像P22の一部コードC3と一部コード画像P23の一部コードC3とが重複するように撮像されることとなる。このため、各一部コード画像P21~P23がサイクリックに表示される表示画面24aを撮像して得られるQRコードCの暗色系セルの明度(
図9参照)を、各一部コード画像P11~P13がサイクリックに表示される表示画面24aを撮像して得られるQRコードCの暗色系セルの明度(
図7参照)よりも低く抑えることができる。
【0051】
以上説明したように、本実施形態に係る情報コード読取システム10では、表示すべき情報コードにおける所定範囲のセルが2以上の画像に含まれるように一部コード画像を生成することで、長い露光時間で撮像した画像であっても、少なくとも上記所定範囲のセルでは暗色系セルの明度が高くなりにくい。これにより、暗色系セルと明色系セルとのコントラストが低下することに起因する読み取りの失敗を抑制することができる。
【0052】
なお、本実施形態において、表示画面24aにてサイクリックに表示される各一部コード画像は、3つの一部コード画像P21~P23のように生成されることに限らず、2つ又は4つ以上の一部コード画像として、一部コードを構成する全てのセルが他の一部コードを構成する少なくともいずれか1つのセルのいずれかと重なるように生成されてもよい。
【0053】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態に係る情報コード読取システムについて、図面を参照して説明する。
本第3実施形態では、一部コード同士が重なる所定範囲を利用して真贋判定を行う点が、上記第2実施形態と主に異なる。したがって、第2実施形態と実質的に同一の構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0054】
上記第2実施形態の一部コード画像P21~P23は、一部コードを構成する全てのセルが他の一部コードを構成するセルのいずれかと重なるように生成されることで、
図9からわかるように、情報コード読取装置30にて撮像されたQRコードCにおいて各暗色系セルがほぼ同じ明度となる。
【0055】
これに対して、本実施形態では、一部コードを、他の一部コードに対して、セルが重なる範囲とセルが重ならない範囲との双方が生じるように生成する。すなわち、一部コード画像を、表示すべき情報コードにおける所定範囲のみのセルが2以上の画像に含まれるように、複数種類生成する。
【0056】
具体的には、例えば、
図10(A)に示すように、一部コードC1に対して三等分の線L1を超えるように一部コードC4を生成し、
図10(B)に示すように、一部コードC2に対して三等分の線L1,L2の双方を超えるように一部コードC5を生成し、
図10(C)に示すように、一部コードC3に対して三等分の線L2を超えるように一部コードC6を生成することができる。このため、一部コードC4を含めた一部コード画像P31と、一部コードC5を含めた一部コード画像P32と、一部コードC6を含めた一部コード画像P33とが生成される。
【0057】
この場合には、上記第2撮像処理において露光時間が長くなった状態で、各一部コード画像P31~P33がサイクリックに表示される表示画面24aを撮像部32にて撮像すると、
図11に示すようにQRコードCが撮像される。
【0058】
図11からわかるように、一部コード画像P31の一部コードC4と一部コード画像P32の一部コードC5とが三等分の線L1の近傍の範囲(以下、第1重複範囲Sa1ともいう)にて重複するように撮像される。すなわち、QRコードCにおける第1重複範囲Sa1のセルが一部コード画像P31と一部コード画像P32との双方に含まれることとなる。また、一部コード画像P32の一部コードC5と一部コード画像P33の一部コードC6とが三等分の線L2の近傍の範囲(以下、第2重複範囲Sa2ともいう)にて重複するように撮像される。すなわち、QRコードCにおける第2重複範囲Sa2のセルが一部コード画像P32と一部コード画像P33との双方に含まれることとなる。このため、第1重複範囲Sa1及び第2重複範囲Sa2における暗色系セルの明度は、他の範囲の暗色系セルの明度よりも低くなる。なお、第1重複範囲Sa1及び第2重複範囲Sa2は、「所定範囲」の一例に相当し得る。
【0059】
そして、本実施形態では、上述した第1重複範囲Sa1及び第2重複範囲Sa2のセルを利用して真贋判定を行う。各一部コード画像P31~P33がサイクリックに表示される表示画面24aを長い露光時間で撮像した画像では、第1重複範囲Sa1及び第2重複範囲Sa2における暗色系セルの明度とコード領域における他の範囲の暗色系セルの明度とに所定の明度差が生じやすくなる。一方、正規の情報コードであるQRコードCに記録される情報を不正に取得して生成等した偽造コードを長い露光時間で撮像した画像では、第1重複範囲Sa1及び第2重複範囲Sa2における暗色系セルの明度とコード領域における他の範囲の暗色系セルの明度とに上述のような所定の明度差が生じることもない。このため、第1重複範囲Sa1及び第2重複範囲Sa2における暗色系セルの明度を基準に、他の範囲の暗色系セルに対して所定の明度差がある情報コードを正規の情報コード、他の範囲の暗色系セルに対して所定の明度差がない情報コードを偽造コード(偽造された可能性がある情報コード)として真贋判定を行うことができる。
【0060】
以下、本実施形態において、真贋判定をも含めるようになされる読取処理において、
図12のフローチャートを参照して詳述する。なお、本実施形態では、第1重複範囲Sa1及び第2重複範囲Sa2のセルに関する位置や明度(所定の明度差)などの情報(以下、単に、重複情報ともいう)は、暗号化等されてQRコードCに記録されているものとする。ここで、上記所定の明度差としては、例えば、第1重複範囲Sa1及び第2重複範囲Sa2における暗色系セルの明度がグレースケールの256階調で150~255、コード領域における他の暗色系セルの明度がグレースケールの256階調で70~90となることを前提に設定することができる。
【0061】
上記第1実施形態と同様に、
図12のステップS101の第1撮像処理中にファインダパターンFP1~FP3の少なくとも1つが検出されると(S103でYes)、第2撮像処理が開始される(S105)。そして、上述のように長い露光時間に設定された状態で撮像がなされると、ステップS107のデコード処理にて、上記第2撮像処理にて撮像された情報コードをデコードするための処理がなされる。上記重複情報が記録されていない通常の情報コードがデコードされた場合には(S109でNo)、真贋判定を行うことなく、デコードにより得られた文字データ等を利用した処理がなされる。
【0062】
一方、デコード結果(解読結果)に上記重複情報が含まれる場合には(S109でYes)、ステップS111に示す明度算出処理がなされる。この処理では、読み取った重複情報から特定される第1重複範囲Sa1及び第2重複範囲Sa2における暗色系セルを含めたコード領域における各セル単位の明度が算出される。なお、デコード処理によるデコード結果(解読結果)から上記重複情報を取得する制御部31は、「取得部」の一例に相当し、上記明度算出処理を行う制御部31は、「明度算出部」の一例に相当し得る。
【0063】
続いて、ステップS113に示す判定処理にて、所定範囲となる第1重複範囲Sa1及び第2重複範囲Sa2における暗色系セルの明度と、コード領域における他の範囲の暗色系セルの明度とについて、所定の明度差が生じているか否かについて判定される。なお、上記ステップS113の判定処理を行う制御部31は、「真贋判定部」の一例に相当し得る。
【0064】
ここで、各一部コード画像P31~P33がサイクリックに表示される表示画面24aを上記第2撮像処理にて撮像していることから、
図11に示すようにQRコードCが撮像されると、第1重複範囲Sa1及び第2重複範囲Sa2における暗色系セルの明度とコード領域における他の範囲の暗色系セルの明度とに所定の明度差が生じるため、ステップS113の判定処理にてYesと判定される。具体的には、例えば、第1重複範囲Sa1及び第2重複範囲Sa2における暗色系セルの明度がグレースケールの256階調で200と算出され、コード領域における他の範囲の暗色系セルの明度がグレースケールの256階調で80と算出されることで、上記所定の明度差が生じており、ステップS113の判定処理にてYesと判定される。この場合には、ステップS115に示す第1報知処理がなされ、正規の情報コードを読み取っている旨が表示部33による表示や発光部34による発光等を利用して報知されて、デコード結果を利用した処理がなされる。
【0065】
一方、上述のような偽造コードを上記第2撮像処理にて撮像していると、第1重複範囲Sa1及び第2重複範囲Sa2における暗色系セルの明度とコード領域における他の範囲の暗色系セルの明度とに所定の明度差が生じないため、ステップS113の判定処理にてNoと判定される。具体的には、例えば、第1重複範囲Sa1及び第2重複範囲Sa2における暗色系セルの明度がグレースケールの256階調で80と算出され、コード領域における他の範囲の暗色系セルの明度もグレースケールの256階調で80と算出されることで、上記所定の明度差が生じておらず、ステップS113の判定処理にてNoと判定される。この場合には、ステップS117に示す第2報知処理がなされ、偽造された可能性がある情報コードを読み取っている旨が表示部33による表示や発光部34による発光等を利用して報知される。
【0066】
以上説明したように、本実施形態に係る情報コード読取システム10では、情報コード読取装置30において、撮像部32にて撮像された情報コードのセル単位の明度が算出され(S111)、上記重複情報(所定範囲のセルに関する情報)がデコード処理のデコード結果から取得される。そして、算出された明度と取得された所定範囲のセルに関する情報とに基づいて、撮像部32にて撮像された情報コードに関して真贋判定が行われる。
【0067】
これにより、画面表示される情報コードの複製を防止できるだけでなく、撮像部32にて撮像された情報コードに関して真贋判定を行うことができる。
【0068】
特に、上記重複情報(所定範囲のセルに関する情報)は、読取対象となる情報コードに暗号化等されて記録されており、デコード処理によるデコード結果から上記重複情報が取得される。これにより、上記重複情報を予め取得するような処理が不要になるだけでなく、表示すべき情報コードごとに上記所定範囲を変えることができるので、情報コードの偽造がより困難になり、真贋判定精度を向上させることができる。
【0069】
なお、表示画面24aにてサイクリックに表示される複数の一部コード画像は、上述した一部コード画像P31~P33のように生成されることに限らず、長い露光時間で撮像された際に他の所定範囲にて所定の明度差を生じさせるように生成されてもよい。例えば、
図13に例示する第1変形例のように、コード領域を中心とする円環状の範囲における暗色系セルとコード領域における他の範囲における暗色系セルとで所定の明度差が生じるように、各一部コード画像が生成されてもよい。また、
図14に例示する第2変形例のように、複数の斜線状範囲における暗色系セルとコード領域における他の範囲における暗色系セルとで所定の明度差が生じるように、各一部コード画像が生成されてもよい。
【0070】
また、上記重複情報(第1重複範囲Sa1及び第2重複範囲Sa2のセルに関する位置や明度などの情報)は、暗号化等されてQRコードCに記録されることに限らず、情報コード読取装置30の記憶部36に予め記憶されてもよい。この場合には、上記読取処理では、ステップS109の判定処理をなくし、ステップS113の判定処理にて、記憶部36に記憶される上記重複情報から所定範囲として特定される第1重複範囲Sa1及び第2重複範囲Sa2における暗色系セルの明度とコード領域における他の範囲の暗色系セルの明度とに所定の明度差が生じているか否かについて判定することができる。
【0071】
[第4実施形態]
次に、第4実施形態に係る情報コード読取システムについて、図面を参照して説明する。
本第4実施形態では、情報コード表示装置において、一部コード画像に代えて類似コード画像をサイクリックに表示する点が、上記第1実施形態と主に異なる。したがって、第1実施形態と実質的に同一の構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0072】
本実施形態では、上述した一部コードに代えて類似コードが採用されており、情報コード表示装置20の制御部21では、サイクリックに表示する各類似コードを、表示すべき情報コードと同じセル配列構造のコード領域であって一部のセルの明暗がそれぞれ異なるように、第1の明度の暗色系セルと第2の明度の明色系セルとを配列して生成する。すなわち、各類似コードは、セルサイズ及びセル配列が同一で、全ての暗色系セルが同じ第1の明度であって全ての明色系セルが同じ第2の明度となるように生成される。
【0073】
そして、制御部21は、複数の類似コードをそれぞれ構成するセルのうち、表示すべき情報コードの暗色系セルの位置に対応するセルを暗色形成用セル、明色系セルの位置に対応するセルを明色形成用セルとするとき、以下のようにして類似コード画像を生成する。すなわち、制御部21は、コード領域を基準に同じ位置となる暗色形成用セルについて、第1の明度の暗色系セルとなる類似コードの数が第2の明度の明色系セルとなる類似コードの数よりも多くなり、コード領域を基準に同じ位置となる明色形成用セルについて、第2の明度の明色系セルとなる類似コードの数が第1の明度の暗色系セルとなる類似コードの数よりも多くなるように、各類似コード画像を生成する。換言すると、制御部21は、所定の明暗判定用の閾値を基準に、コード領域を基準に同じ位置となる暗色形成用セルについて、各暗色形成用セルをサイクリックに表示して撮像されたセル部分が暗色系セルと判定され、コード領域を基準に同じ位置となる明色形成用セルについて、各明色形成用セルをサイクリックに表示して撮像されたセル部分が明色系セルと判定されるように、各類似コード画像を生成する。なお、類似コード画像を生成する制御部21は、「類似コード画像生成部」の一例に相当し得る。
【0074】
以下、表示すべき情報コードである
図15に示すQRコードCaに対して、コード領域の一部の領域の各セルをQRコードCaのセルと同じにして、残部の領域(以下、変更領域Sbともいう)の各セルをQRコードCaのセルと異なる可能性があるように、3つの類似コードCb~Cdを生成する場合を例に、
図16(A)~(C)を参照して説明する。
【0075】
類似コードCbは、
図16(A)に示す類似コード画像P41からわかるように、
図15のQRコードCaの変更領域Sbにおける暗色系セルM1aに対して、第1の明度の暗色系セルからなる暗色形成用セルM1bにて対応するように生成される。また、類似コードCbは、
図16(B)に示す類似コード画像P42からわかるように、上記暗色系セルM1aに対して、第1の明度の暗色系セルからなる暗色形成用セルM1cにて対応するように生成される。また、類似コードCdは、
図16(C)に示す類似コード画像P43からわかるように、上記暗色系セルM1aに対して、第2の明度の明色系セルからなる暗色形成用セルM1dにて対応するように生成される。同様に、各類似コードCb~Cdは、QRコードCaの変更領域Sbにおける他の暗色系セルについても、少なくとも2つの類似コードの対応する暗色形成用セルが第1の明度の暗色系セルとなるように生成される。
【0076】
すなわち、コード領域を基準に同じ位置となる暗色形成用セルについては、第1の明度の暗色系セルとなる類似コードの数が第2の明度の明色系セルとなる類似コードの数よりも多くなる。具体的には、上述した暗色系セルM1aに対して、3つの暗色形成用セルM1b~M1dのうち、2つの暗色形成用セルM1b,M1cが第1の明度の暗色系セルからなり、1つの暗色形成用セルM1dが第2の明度の明色系セルからなる。
【0077】
また、類似コードCbは、
図16(A)に示す類似コード画像P41からわかるように、
図15のQRコードCaの変更領域Sbにおける明色系セルM2aに対して、第2の明度の明色系セルからなる明色形成用セルM2bにて対応するように生成される。また、類似コードCbは、
図16(B)に示す類似コード画像P42からわかるように、上記明色系セルM2aに対して、第1の明度の暗色系セルからなる明色形成用セルM2cにて対応するように生成される。また、類似コードCdは、
図16(C)に示す類似コード画像P43からわかるように、上記明色系セルM2aに対して、第2の明度の明色系セルからなる明色形成用セルM2dにて対応するように生成される。同様に、各類似コードCb~Cdは、QRコードCaの変更領域Sbにおける他の明色系セルについても、少なくとも2つの類似コードの対応する明色形成用セルが第2の明度の明色系セルとなるように生成される。
【0078】
すなわち、コード領域を基準に同じ位置となる明色形成用セルについては、第2の明度の明色系セルとなる類似コードの数が第1の明度の暗色系セルとなる類似コードの数よりも多くなる。具体的には、上述した明色系セルM2aに対して、3つの明色形成用セルM2b~M2dのうち、2つの明色形成用セルM2b,M2dが第2の明度の明色系セルからなり、1つの明色形成用セルM2cが第1の明度の暗色系セルからなる。
【0079】
そして、上述のように生成される各類似コード画像P41~P43をサイクリックに表示画面24aに表示し、この表示画面24aをサイクリックの周期よりも長くなる露光時間にて撮像部32にて撮像することで(S105)、全ての類似コード画像P41~P43が重複するように撮像されて、
図17に示すようなQRコードCaの撮像画像が得られる。なお、
図17では、2つの第1の明度の暗色系セルと1つの第2の明度の明色系セルとが重複するように撮像されるセルをグレー色で示し、1つの第1の明度の暗色系セルと2つの第2の明度の明色系セルとが重複するように撮像されるセルをクロスハッチングで示している。
【0080】
この
図17からわかるように、撮像されたQRコードCaの変更領域Sbでは、暗色系セルM1aなどの各暗色形成用セルが重複するように撮像されることで形成されるセルは、その明度が第1の明度に近くなる。これに対して、明色系セルM2aなどの各明色形成用セルが重複するように撮像されることで形成されるセルは、その明度が第2の明度に近くなる。このため、各暗色形成用セルが重複するように撮像されることで形成されるセルの明度と各明色形成用セルが重複するように撮像されることで形成されるセルの明度との間となるように明暗判定用の閾値を設定する。これにより、上記ステップS107のデコード処理では、
図17に示すように撮像されたQRコードCaを
図15に示すように明暗が明確に区別(二値化)されたQRコードCaとして認識でき、そのQRコードCaに記録された文字データ等をデコードして解読することができる。例えば、明暗判定用の閾値をグレースケールの256階調で128と設定すると、上述した暗色系セルM1aでは256階調で85(67%)程度となり暗色系セルと判定され、上述した明色系セルM2aでは256階調で170(33%)程度となり明色系セルと判定される。
【0081】
以上説明したように、本実施形態に係る情報コード読取システム10では、情報コード表示装置20において、制御部21は、表示すべき情報コードと同じセル配列構造のコード領域であって一部のセルの明暗がそれぞれ異なるように、第1の明度の暗色系セルと第2の明度の明色系セルとを配列した類似コード(Cb~Cd)の画像として類似コード画像(P41~P43)を複数種類生成するもので、複数の類似コードをそれぞれ構成するセルのうち、表示すべき情報コードの暗色系セルの位置に対応するセルを暗色形成用セル(M1b~M1d)、明色系セルの位置に対応するセルを明色形成用セル(M2b~M2d)とするとき、コード領域を基準に同じ位置となる暗色形成用セルについて、第1の明度の暗色系セルとなる類似コードの数が第2の明度の明色系セルとなる類似コードの数よりも多くなり、コード領域を基準に同じ位置となる明色形成用セルについて、第2の明度の明色系セルとなる類似コードの数が第1の明度の暗色系セルとなる類似コードの数よりも多くなるように、類似コード画像を生成する。表示モジュール24は、生成された複数の類似コード画像を、コード領域を基準として表示画面24aにサイクリックに表示する。そして、情報コード読取装置30において、撮像部32にて、サイクリックの周期よりも長くなる露光時間にて表示画面24aが撮像され、制御部31にてなされるデコード処理では、撮像部32により撮像された情報コードが解読される。
【0082】
これにより、情報コード表示装置20の表示画面24aを単に撮影しても、1つの類似コード画像が撮像されるだけで、表示すべき情報コードが撮像されることもない。一方、上記情報コード読取装置30では、サイクリックの周期よりも長くなる露光時間にて表示画面24aを撮像することで、全ての類似コード画像が重複するような撮像画像が得られる。この撮像画像のコード領域において上記第1の明度及び第2の明度に基づいて明暗を区別することで表示すべき情報コードが形成されるため、サイクリックの表示速度に関係なく、当該情報コードを解読することができる。したがって、画面表示される情報コードの複製を防止することができる。
【0083】
なお、表示すべき情報コードに対して、コード領域の一部の領域の各セルを同じにして、残部の領域の各セルを異なるように、3つの類似コードCb~Cdを生成することに限らず、4つ以上(好適には奇数個)の類似コードを生成してもよい。また、変更領域Sbを設けることなく、各類似コード画像を生成してもよい。
【0084】
本実施形態の変形例として、各類似コードを第1の明度の暗色系セルと第2の明度の明色系セルとを配列して生成することに限らず、加法混色(RGBカラー)のセルを配列して生成してもよい。例えば、同じ位置となる各暗色形成用セルが、それぞれ、赤色セル、緑色セル、青色セルのいずれかで統一され、同じ位置となる各明色形成用セルが、赤色セル、緑色セル、青色セルの少なくとも2つの混在となるように、各類似コードを生成する。そして、サイクリックに表示する各類似コード画像を上記第2撮像処理にて撮像した撮像画像について、赤色セル、緑色セル、青色セルを暗色系セルとし、その他の混在色のセルを明色系セルとするように区別(二値化)することで、表示すべき情報コードを生成することができる。このようにすることで、情報コード表示装置20の表示画面24aを単に撮影しても、1つの類似コード画像が撮像されるだけで、表示すべき情報コードが撮像されることもないため、画面表示される情報コードの複製を防止することができる。なお、各暗色形成用セルが、それぞれ、赤色セル、緑色セル、青色セルのいずれかで統一されることに限らず、赤色セル及び緑色セルのみの組み合わせや緑色セル及び青色セルのみの組み合わせ等、所定色の組み合わせも含まれるように、各類似コードが生成されてもよい。この場合には、サイクリックに表示する各類似コード画像を上記第2撮像処理にて撮像した撮像画像について、上記所定色の組み合わせのセルを暗色系セルとするように、表示すべき情報コードを生成することができる。
【0085】
なお、本発明は上記各実施形態及び変形例等に限定されるものではなく、例えば、以下のように具体化してもよい。
(1)上記読取処理では、上記ステップS101,S103の処理をなくすことで、上記第1撮像処理を行うことなく上記第2撮像処理を行うようにしてもよい。
【0086】
(2)上記第2撮像処理での露光時間は、撮像タイミングが1回/s程度となる露光時間に設定されることに限らず、一部コード画像又は類似コード画像の枚数や周囲環境などに応じて、例えば、サイクリックの周期の数倍程度に設定されてもよいし、サイクリックの周期の数十倍程度に設定されてもよい。
【0087】
(3)上述したステップS113の判定処理では、各暗色系セルの明度を基準に所定の明度差が生じているか否かについて判定されることに限らず、各明色系セルの明度を基準に所定の明度差が生じているか否かについて判定されてもよい。
【0088】
(4)表示すべき情報コードは、QRコードとして構成されることに限らず、暗色系セル及び明色系セルを有する他のコード種別の情報コード、例えば、データマトリックスコード、マキシコード等の二次元コードとして構成されてもよいし、バーコード等の一次元コードとして構成されてもよい。
【0089】
(5)本発明は、所定のサービスを提供する店舗等が情報コード読取装置30を所有し、サービスを受ける消費者等のユーザが情報コード表示装置20を所有するように構成されることに限らず、店舗等が情報コード表示装置20を所有し、ユーザが情報コード読取装置30を所有するように構成されてもよい。この場合、店舗等の情報コード表示装置20にてそのサービスに応じた一部コード画像や類似コード画像等がサイクリックに表示される。そして、ユーザは、上述のようにサイクリックに表示される表示画面を、所有する情報コード読取装置30にて長い露光時間で撮像することで、情報コード表示装置20から所望の情報コードを読み取ることができ、この読取結果を用いた認証やサービス等を受けることができる。
【符号の説明】
【0090】
10…情報コード読取システム
20…情報コード表示装置
21…制御部(一部コード画像生成部,類似コード画像生成部)
23…描画コマ作成モジュール(一部コード画像生成部)
24…表示モジュール(表示部)
24a…表示画面
25…表示コントローラ(表示部)
30…情報コード読取装置
31…制御部(解読部,取得部,明度算出部,真贋判定部)
32…撮像部
C,Ca…QRコード(表示すべき情報コード)
C1~C6…一部コード
Cb~Ce…類似コード
P11~P13,P21~P23,P31~P33…一部コード画像
P41~P43…類似コード画像