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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-18
(45)【発行日】2023-07-26
(54)【発明の名称】設備管理システム
(51)【国際特許分類】
   H04Q 9/00 20060101AFI20230719BHJP
   G01J 1/42 20060101ALI20230719BHJP
【FI】
H04Q9/00 311J
G01J1/42 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019074105
(22)【出願日】2019-04-09
(65)【公開番号】P2020174244
(43)【公開日】2020-10-22
【審査請求日】2022-03-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】弁理士法人あいち国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】弁理士法人 共立特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】荻 智成
(72)【発明者】
【氏名】村山 左近
【審査官】吉江 一明
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-200673(JP,A)
【文献】特開2000-092083(JP,A)
【文献】特開2013-192173(JP,A)
【文献】特開2018-096701(JP,A)
【文献】特開2005-123081(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0273303(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0151660(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第109195133(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04Q 9/00
G01J 1/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
設備状態の表示が可能な表示灯に対向配置され前記表示灯からの光を検知する光検知センサ、及び、前記光検知センサに接続された第一光検知センサ端子を備える光検知センサユニットと、
設備に関する事項を検知する設備事項検知センサ、及び、前記設備事項検知センサに接続された設備事項検知センサ端子を備える設備事項検知センサユニットと、
前記表示灯に配置される本体部、前記第一光検知センサ端子及び前記設備事項検知センサユニットと着脱可能な通信ユニット端子、並びに、前記光検知センサ及び前記設備事項検知センサと接続が可能であり前記光検知センサによる光検知信号及び前記設備事項検知センサによる設備事項検知信号の無線通信が可能な通信処理部を備える通信ユニットと、
前記通信処理部と無線通信可能な管理用通信部、並びに、前記管理用通信部を介して通信する前記光検知センサによる光検知信号の情報及び前記設備事項検知センサによる設備事項検知信号の情報を表示する情報表示部を備える設備状態管理装置と、
を備え
前記光検知センサユニットは、さらに、他の前記光検知センサユニットの前記第一光検知センサ端子とシリアルバス接続可能な第二光検知センサ端子を有し、
前記通信ユニット端子には、複数の前記光検知センサユニットがデイジーチェーン接続される、設備管理システム。
【請求項2】
前記設備事項検知センサは、光電センサ、距離センサ、圧力センサ、近接スイッチ、湿度センサ、CO センサ、画像処理カメラの少なくとも1つである、請求項1に記載の設備管理システム。
【請求項3】
前記通信処理部は、前記設備状態管理装置の前記管理用通信部の問い合わせに応じて、前記光検知センサの識別のためのアドレス及び前記光検知センサの動作のためのコマンドを、前記第一光検知センサ端子を介して前記光検知センサに送信する、請求項1又は2に記載の設備管理システム。
【請求項4】
前記通信ユニットの前記通信処理部は、前記光検知センサによる光検知信号に基づいて前記表示灯の点滅を判断する、請求項1-3の何れか一項に記載の設備管理システム。
【請求項5】
前記通信ユニットの前記通信処理部は、前記表示灯の点滅を検知するための前記光検知センサの光検知信号の閾値を超える前記光検知信号と、前記閾値以下の前記光検知信号とが一定時間内に存在するとき、前記表示灯が点滅していると判断する、請求項4に記載の設備管理システム。
【請求項6】
前記通信ユニットの前記通信処理部は、前記設備状態管理装置の前記管理用通信部から受信する閾値設定変更信号に基づいて、前記光検知信号の閾値を設定変更する、請求項5に記載の設備管理システム。
【請求項7】
前記設備管理システムは、
複数の前記光検知センサユニットと、
複数の前記通信ユニットと、
少なくとも一つの前記設備状態管理装置と、
を備え、
一の前記通信ユニットと前記設備状態管理装置との通信は、他の前記通信ユニットを中継させて行うことが可能である、請求項1-6の何れか一項に記載の設備管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、設備管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
設備管理システムにおいては、設備状態を当該設備から外部へ発信できるようにすることで、作業者や管理者が容易に把握でき生産効率の向上に繋げることができる。しかし、設備状態を当該設備から外部へ発信させるには、当該設備の制御コントローラ(PLC)のソフト(ラダー回路)変更等の既存制御機器の変更や、PLCへ入力信号を取り入れるためのリレー部品の追加等の既存制御盤内への新規制御機器の追加が必要となる。よって、コストや工数が増大する。
【0003】
特許文献1には、設備状態の表示が可能な表示灯に設けられ、設備状態を当該設備から外部へ発信できる光検知センサを備える装置が記載されている。すなわち、この装置は、表示灯の光を光検知センサで検知し、設備状態を表す光検知信号を無線通信装置で当該設備から外部へ発信する。この装置によれば、既存制御機器の変更や既存制御盤内への新規制御機器の追加は不要となる。よって、コストや工数の増大を抑制できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2004-6291号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載の光検知センサを備える装置は、設備の表示灯に予め組み込まれた構成となっている。このため、表示灯が変更になった場合、変更になった表示灯に対応する新たな光検知センサを備える装置を組み込む必要がある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、設備状態の表示が可能な表示灯に対し、光検知センサを備える装置を簡易に設置できる設備管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、設備状態の表示が可能な表示灯に対向配置され前記表示灯からの光を検知する光検知センサ、及び、前記光検知センサに接続された第一光検知センサ端子を備える光検知センサユニットと、
設備に関する事項を検知する設備事項検知センサ、及び、前記設備事項検知センサに接続された設備事項検知センサ端子を備える設備事項検知センサユニットと、
前記表示灯に配置される本体部、前記第一光検知センサ端子及び前記設備事項検知センサユニットと着脱可能な通信ユニット端子、並びに、前記光検知センサ及び前記設備事項検知センサと接続が可能であり前記光検知センサによる光検知信号及び前記設備事項検知センサによる設備事項検知信号の無線通信が可能な通信処理部を備える通信ユニットと、
前記通信処理部と無線通信可能な管理用通信部、並びに、前記管理用通信部を介して通信する前記光検知センサによる光検知信号の情報及び前記設備事項検知センサによる設備事項検知信号の情報を表示する情報表示部を備える設備状態管理装置と、
を備え
前記光検知センサユニットは、さらに、他の前記光検知センサユニットの前記第一光検知センサ端子とシリアルバス接続可能な第二光検知センサ端子を有し、
前記通信ユニット端子には、複数の前記光検知センサユニットがデイジーチェーン接続され、設備管理システムにある。
【0008】
この設備管理システムの通信ユニットは、光検知センサユニットの第一光検知センサ端子が着脱可能な通信ユニット端子を備えている。このため、表示灯が変更になっても、変更になった表示灯に対応する新たな光検知センサユニットに交換するのみで対応できる。よって、簡易な設置が可能となり、設置コストの上昇を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態の設備管理システムの概略図である。
図2A】設備の表示灯に配置される設備管理システムの通信ユニット及び通信ユニットに接続される光検知センサユニットの詳細を示す図である。
図2B図2Aを表示灯の垂直軸線回りに90度旋回して見た図である。
図3A】光検知センサユニットの詳細を示す図である。
図3B】3つの光検知センサユニットを接続した状態を示す図である。
図4】設備事項検知センサを通信ユニットに接続するための設備事項検知センサユニットを示す図である。
図5A】設備管理システムの前半の動作を説明するためのフローチャートである。
図5B】設備管理システムの後半の動作を説明するためのフローチャートである。
図6】携帯端末ユニットの携帯用情報表示部に表示される設備選択画面を示す図である。
図7】携帯端末ユニットの携帯用情報表示部に表示される設備に関する設備状態選択画面を示す図である。
図8】設備状態管理装置の管理用情報表示部(携帯端末ユニットの携帯用情報表示部)に表示される設備に関する統合情報を示す図である。
図9】設備状態管理装置の管理用情報表示部(携帯端末ユニットの携帯用情報表示部)に表示される計画生産個数と実績生産個数を示す図である。
図10】設備状態管理装置の管理用情報表示部(携帯端末ユニットの携帯用情報表示部)に表示される計画可動率と実績可動率を示す図である。
図11】設備状態管理装置の管理用情報表示部(携帯端末ユニットの携帯用情報表示部)に表示される計画稼働時間と実績稼働時間を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(1.設備管理システムの構成)
本発明の実施形態の設備管理システムについて図を参照して説明する。図1に示すように、設備管理システム1は、複数の設備Mを管理するシステムである。設備管理システム1は、各設備Mの表示灯Lの光を検知する光検知センサユニット25a,25b,25cと、光検知センサユニット25a,25b,25cからの光検知信号の無線通信が可能な通信ユニット2と、各通信ユニット2と無線通信し、各設備Mの設備状態を一括で管理する設備状態管理装置3と、設備状態管理装置3と無線通信し、作業者等が設備状態を確認できる携帯可能な携帯端末ユニット4等とを備える。
【0011】
設備Mは、例えば工作物を切削もしくは研削可能な加工装置である。通信ユニット2は、各設備Mの上部に設けられて設備状態を発光により表示する表示灯Lに着脱可能に取り付けられる。設備状態管理装置3は、複数の設備Mから離間した位置に設置される。携帯端末ユニット4は、作業者等が持ち運び可能なスマートフォンやタブレットPC等である。
【0012】
ここで、図2A及び図2Bに示すように、表示灯Lは、一般的なものであり、中空円筒状の半透明のプラスチックケースLa,Lb,Lcを3段に積層し、各プラスチックケースLa,Lb,Lcの内部にLED等の光源LLa,LLb,LLcを配置した構成となっている。
【0013】
各プラスチックケースLa,Lb,Lcは、例えば上層から順に緑色、黄色、赤色に着色され、各光源LLa,LLb,LLcの発光により緑色、黄色、赤色に点灯もしくは点滅する。表示灯Lは、3色が単独で点灯する場合と、2色が同時に点灯する場合と、3色が同時に点灯する場合と、3色が同時に消灯する場合と、3色が単独で点滅する場合のパターンがある。
【0014】
各パターンが意味する設備状態は、設置側で自由に設定可能である。例えば、3色が単独で点灯する場合、緑色に点灯したときは設備Mの設備状態が正常(生産中)であることを意味し、黄色に点灯したときは設備Mの設備状態が段取であることを意味し、赤色に点灯したときは設備Mの設備状態が異常(故障)であることを意味し、緑色に点滅したときは設備Mの設備状態が生産完了(一生産物)であることを意味するように設定する。その他のパターンも任意に設定可能である。
【0015】
図2A及び図2Bに示すように、通信ユニット2は、通信ユニット端子21、通信処理部22、検出用電源部23等を備える。そして、通信処理部22及び検出用電源部23等は、円盤状の本体部24aに配置され、円筒状のカバー24bで覆われる。通信ユニット端子21は、カバー24bの外周下部から外方へ突出するように設けられる。
【0016】
通信ユニット2は、表示灯Lの上部に載置され必要に応じて固定される。そして、通信ユニット2の通信ユニット端子21には、詳細は後述するが、光検知センサユニット25a,25b,25cが着脱可能にシリアルバス接続されて垂下される。そして、光検知センサユニット25a,25b,25cは、表示灯Lの光源LLa,LLb,LLcの光をそれぞれ検知可能なプラスチックケースLa,Lb,Lcの周面に配置される。
【0017】
そして、光検知センサユニット25a,25b,25cは、表示灯Lの光源LLa,LLb,LLcの点灯・消灯及び点滅をそれぞれ検知する。光検知センサユニット25a,25b,25cは、点滅も検知できるので、通信ユニット2は、多様な設備状態を検出できる。
【0018】
なお、通信ユニット端子21には、光検知センサユニット25a,25b,25cの代わりに、詳細は後述するが、設備Mに関する事項を検知する設備事項検知センサ51(図4参照)も設備事項検知センサユニット5(図4参照)を介して着脱可能にシリアルバス接続可能である。これにより、設備事項検知センサ51の設置コストの上昇を抑制できる。
【0019】
通信処理部22は、ワイヤレスモジュール22a及び内臓アンテナ22b等を有する。ワイヤレスモジュール22aは、設備状態管理装置3との間で、光検知センサユニット25a,25b,25cに関する信号や設備事項検知センサ51に関する信号等を無線通信する。
【0020】
ここで、通信ユニット2は、設備Mに設置されるので、設備Mが複数台設置される工場では、設備状態管理装置3から遠隔に位置する場合もある。そして、遠隔に位置する通信ユニット2の通信処理部22は、設備状態管理装置3との間でスムーズに無線通信できないおそれがある。
【0021】
そこで、一の通信ユニット2の通信処理部22と設備状態管理装置3との通信は、他の通信ユニット2の通信処理部22を中継させて行うことが可能に構成される。この中継は、必要とする通信ユニット2の通信処理部22のみが起動して行い、中継後は自動的にスリープする。これにより、消費電力を抑制できる。
【0022】
検出用電源部23は、乾電池もしくは充電式電池であり、光検知センサユニット25a,25b,25c及びワイヤレスモジュール22aの作動に用いる駆動電流を供給する。通信ユニット2は、電池駆動であるため、設備Mにおける工事は不要であり、簡易に後付け可能となる。
【0023】
ここで、通信ユニット2の通信ユニット端子21に接続可能な光検知センサユニット25a,25b,25cは、デジタルセンサである。アナログセンサは、駆動電流が常時必要であり、そもそも消費電流が大きい(例えば、100μA)ため、検出用電源部23のメンテナンスが煩雑となる。しかし、デジタルセンサは、検知時のみ駆動電流が必要であり、そもそも消費電流が小さい(例えば、検知時1.8μA、不検知時0.3μA)ため、検出用電源部23のメンテナンスは容易となる。
【0024】
光検知センサユニット25a,25b,25cは、各光源LLa,LLb,LLcからの光の光束(単位時間当たりに通過する光量(lm(ルーメン))又は照度(単位面積(1m2)当たりに入射する光束(lx(ルクス)))を検知し、オンオフ信号(光検知信号)を出力するフォトダイオードである。
【0025】
図3Aに示すように、光検知センサユニット25aは、光検知センサ250の一端側に設けられる通信ケーブル251に第一光検知センサ端子252がシリアスバス接続され、また光検知センサ250の他端側に設けられる第二光検知センサ端子253が通信ケーブル251にシリアスバス接続される。他の光検知センサユニット25b,25cも同一構造である。
【0026】
図3Bに示すように、光検知センサユニット25aの第一光検知センサ端子252は、通信ユニット端子21に着脱可能にシリアスバス接続される。これにより、表示灯Lが変更になっても、変更になった表示灯に対応する新たな光検知センサユニットに交換するのみで対応できる。よって、簡易な設置が可能となり、設置コストの上昇を抑制できる。
【0027】
そして、光検知センサユニット25bの第一光検知センサ端子252は、光検知センサユニット25aの第二光検知センサ端子253にシリアスバス接続され、光検知センサユニット25cの第一光検知センサ端子252は、光検知センサユニット25bの第二光検知センサ端子253にシリアスバス接続される。
【0028】
つまり、3つの光検知センサユニット25a,25b,25cは、デイジーチェーン接続される。これにより、光検知センサユニット25a,25b,25cからの配線数を減少させることができる。そして、光検知センサユニット25cの第二光検知センサ端子253には、さらに別の光検知センサユニットの第一光検知センサ端子をシリアスバス接続可能であり、同様に複数の光検知センサユニットをシリアスバス接続可能である。これにより、表示灯の態様の変更、例えば4灯以上の多灯の表示灯に対しコストや工数の増大を抑制して対応できる。
【0029】
また、通信ユニット2の通信ユニット端子21に接続可能な設備Mに関する事項を検知する設備事項検知センサ51は、オンオフ信号(設備事項検知信号)を出力するセンサもしくはオンオフ以外の信号(設備事項検知信号)を出力するセンサである。具体的には、例えば、光電センサ、距離センサ、圧力センサ、近接スイッチ、湿度センサ、CO2センサ、画像処理カメラ等がある。設備事項検知センサ51を接続することで、設備状態管理装置3で以下の処理を行うことができる。
【0030】
例えば、設備状態管理装置3は、コンベア上を搬送されてくる工作物で遮光される光量の変化を光電センサで読み取ることで、工作物の生産数の計測を行うことができる。また、コンベア上を搬送されてくる工作物までの距離の変化を距離センサで読み取ることで、複数種類の工作物の種類の判別を行うことができる。また、エア配管内に圧力センサを設置することで、エアの圧力変化の計測を行うことができる。
【0031】
図4に示すように、設備事項検知センサユニット5は、設備事項検知センサ端子52、センサコネクタ53、シリアル変換部54、電源コネクタ55、電源供給部56等を備える。設備事項検知センサ端子52は、通信ユニット2の通信ユニット端子21に着脱可能にシリアルバス接続される。これにより、設備事項検知センサ51は、通信ユニット端子21を光検知センサユニット25a,25b,25cと共用できる。
【0032】
センサコネクタ53には、設備事項検知センサ51が接続される。シリアル変換部54は、設備事項検知センサ51からの設備事項検知信号をシリアル変換し、設備事項検知センサ端子52を介して通信ユニット2の通信ユニット端子21と通信する。シリアル変換部54には、トランジスタ(フォトカプラ)が用いられているためプルアップ抵抗が設けられているが、必要なときのみプルアップ抵抗をオンし、不要なときはオフにして消費電力を低減するように構成される。
【0033】
電源コネクタ55には、設備Mの制御盤の電源MEに接続されるACアダプタ、クランプ式交流電流センサ(2線式)、NPN(3線式)型のセンサ、PNP(3線式)型のセンサ等が接続される。クランプ式交流電流センサを接続することで、設備Mが稼働しているか否かを判定できる。電源供給部56は、電源コネクタ55からの駆動電流をシリアル変換部54及び設備事項検知センサ51に供給する。
【0034】
なお、上述の通信ユニット2は、1つの通信ユニット端子21を有し、この通信ユニット端子21には、光検知センサユニット25a,25b,25cと設備事項検知センサ51(設備事項検知センサユニット5)を択一的に接続する構成を説明した。しかし、複数の通信ユニット端子21を有し、光検知センサユニット25a,25b,25cと設備事項検知センサ51(設備事項検知センサユニット5)を同時に接続する構成としてもよい。これにより、設備状態管理装置3での設備Mの管理をきめ細かく行うことができる。
【0035】
図1に示すように、設備状態管理装置3は、管理用通信部31、管理用制御部32、管理用情報表示部33、管理用電源部34等を備える。管理用通信部31は、ワイヤレスモジュール31a及び内臓アンテナ31b等を有する。ワイヤレスモジュール31aは、通信ユニット2及び携帯端末ユニット4との間で、光検知センサユニット25a,25b,25cに関する信号や設備事項検知センサに関する信号等を無線通信する。
【0036】
管理用制御部32は、光検知センサユニット25a,25b,25cに関する信号や設備事項検知センサに関する信号等を処理し、処理した情報を管理用情報表示部33に表示する。また、管理用制御部32は、通信タイミングを通信ユニット2に割り当てるため、同じタイマーが設けられている全ての通信ユニット2に対し時間情報を送信する。なお、管理用情報表示部33の表示例については後述する。管理用電源部34は、ワイヤレスモジュール31a、管理用制御部32及び管理用情報表示部33の作動に用いる駆動電流を供給する。
【0037】
図1に示すように、携帯端末ユニット4は、携帯用通信部41、携帯用制御部42、携帯用情報表示部43、携帯用電源部44等を備える。携帯用通信部41は、ワイヤレスモジュール41a及び内臓アンテナ42b等を有する。ワイヤレスモジュール41aは、設備状態管理装置3との間で、光検知センサユニット25a,25b,25cに関する信号や設備事項検知センサに関する信号等を無線通信する。
【0038】
携帯用制御部42は、設備状態管理装置3から受信した光検知センサユニット25a,25b,25cに関する信号や設備事項検知センサに関する信号等を処理した情報を、携帯用情報表示部43に表示する。なお、携帯用情報表示部43の表示例については後述する。携帯用電源部44は、充電式電池を備え、ワイヤレスモジュール41a、携帯用制御部42及び携帯用情報表示部43の作動に用いる駆動電流を供給する。
【0039】
(2.設備管理システムの動作)
次に、設備管理システム1の動作について図を参照して説明する。ここで、通信ユニット2は、設備状態管理装置3から設備状態に関する問い合わせがあったときに検出を開始する場合と、通信ユニット2の検出用電源部23がオンになったときに検出を開始する場合がある。
【0040】
通信ユニット2の通信処理部22は、設備状態管理装置3から受信した設備状態に関する問い合わせに応じて、もしくは検出用電源部23がオンになったら、設備状態の検出を開始する(図5AのステップS1)。通信処理部22は、通信ユニット端子21を介してセンサ接続状態確認信号を送信する(図5AのステップS2)。これにより、設備状態の検出動作を確実に行うことができる。
【0041】
通信処理部22は、センサ接続状態確認信号に対し、光検知センサ接続信号が返信されてきたか否かを判断し(図5AのステップS3)、光検知センサ接続信号が返信されてこないときは、設備事項検知センサ接続信号が返信されてきたかを判断する(図5AのステップS4)。そして、設備事項検知センサ接続信号が返信されてきたときは、設備事項検知センサ51が接続されていると判断する(図5AのステップS5)。
【0042】
そして、通信処理部22は、検知した設備事項に関する信号を設備状態管理装置3に無線送信する(図5AのステップS6)。設備状態管理装置3の管理用制御部32は、管理用通信部31で受信した設備事項に関する信号に基づいて、管理用情報表示部33に設備事項に関する情報を表示し(図5AのステップS7)、処理を終了する。
【0043】
一方、ステップS4において、通信処理部22は、設備事項検知センサ接続信号が返信されてこないときは、光検知センサユニット25a,25b,25c及び設備事項検知センサ51が非接続であると判断する(図5AのステップS8)。そして、通信処理部22は、センサが非接続である旨の信号を設備状態管理装置3に無線送信する(図5AのステップS9)。設備状態管理装置3の管理用制御部32は、管理用通信部31で受信したセンサが非接続である旨を管理用情報表示部33に表示し(図5AのステップS10)、処理を終了する。
【0044】
一方、ステップS3において、通信処理部22は、光検知センサ接続信号が返信されてきたときは、返信された光検知センサ接続信号に基づいて、接続されている光検知センサユニット25a,25b,25cを特定する(図5BのステップS11)。すなわち、光検知センサユニット25a,25b,25cからの光検知センサ接続信号(接続時は「1」の信号、非接続時は「0」の信号)が時間差を付けて返信されてくるので、接続されている光検知センサユニット25a,25b,25cを特定できる。
【0045】
本例では、光検知センサユニット25a,25b,25cが接続されているので、ワイヤレスモジュール22aは、光検知センサユニット25a,25b,25cの識別のためのアドレスに対し、光検知センサユニット25a,25b,25cの動作のためのコマンドを、通信ユニット端子21を介して光検知センサユニット25a,25b,25cに送信する(図5BのステップS12)。これにより、所定の光検知センサユニットの光検知信号を確実に取得できる。なお、以下の説明では、便宜上、光検知センサユニット25aが、緑色の光源LLaの変化を検知する場合について説明する。
【0046】
通信処理部22は、光検知センサユニット25aから通信ユニット端子21を介して光検知信号(点灯時は「1」の信号、消灯時は「0」の信号)を取得する(図5BのステップS13)。そして、通信処理部22は、所定のサンプル時間が経過したか否かを判断し(図5BのステップS14)、所定のサンプル時間が経過したら、光検知センサユニット25aから通信ユニット端子21を介して光検知信号を再取得する(図5BのステップS15)。
【0047】
このサンプル時間は、本例のように点滅及び点灯・消灯を検知するモードのときは、例えば250μsecに設定される。なお、点滅を検知せず点灯・消灯のみを検知するモードのときは、例えば1secに設定される。このモード切替は、設備状態管理装置3からのモード切替信号で可能である。
【0048】
そして、通信処理部22は、前回取得した光検知信号と今回取得した光検知信号を比較して、予め設定されている閾値を境とした変化の有無、すなわち閾値を超える光検知信号と閾値以下の光検知信号であるか否かを判断する(図5BのステップS16)。この閾値は、光源LLaの製造ばらつきによる誤検知や、太陽光等による誤検知を防止するために設定されるもので、設備状態管理装置3から閾値設定変更信号により設定変更可能である。
【0049】
そして、通信処理部22は、前回取得した光検知信号と今回取得した光検知信号が、閾値を境として変化していると判断したときは、点滅の有無の判断のための光検知信号の取得時間が一定時間経過したか否かを判断する(図5BのステップS17)。そして、通信処理部22は、光検知信号の取得時間が一定時間経過していないときは、ステップS14に戻って上述の処理を繰り返す。
【0050】
一方、光検知信号の取得時間が一定時間経過したときは、閾値を超える光検知信号と閾値以下の光検知信号とが一定時間内に存在するので、表示灯Lの光源LLaが点滅していると判断する(図5BのステップS18)。この判断方法によれば、オンオフの光検知信号を送信すればよいので、センサ消費電力を抑制できる。そして、通信処理部22は、設備Mの表示灯Lの緑色の光源LLaが点滅していることを報知する信号を設備状態管理装置3へ無線送信する(図5BのステップS19)。
【0051】
設備状態管理装置3の管理用制御部32は、管理用通信部31で受信した設備Mの表示灯Lの緑色の光源LLaが点滅していることを報知する信号に基づいて、管理用情報表示部33に設備Mにおいて設備状態が生産完了(一生産物)である旨を表示し(図5BのステップS20)、処理を終了する。これにより、管理者は、設備Mにおいて設備状態が生産完了(一生産物)であることを認識できる。
【0052】
一方、ステップS16において、通信処理部22は、前回取得した光検知信号と今回取得した光検知信号が、閾値を境として変化していないと判断したときは、今回取得した光検知信号が、閾値以下であるか否かを判断する(図5BのステップS21)。
【0053】
通信処理部22は、今回取得した光検知信号が、閾値を超えていると判断したときは、表示灯Lの光源LLaが点灯していると判断する(図5BのステップS22)。そして、通信処理部22は、設備Mの表示灯Lの光源LLaが緑色に点灯していることを報知する信号を設備状態管理装置3に無線送信する(図5BのステップS23)。
【0054】
設備状態管理装置3の管理用制御部32は、管理用通信部31で受信した設備Mの表示灯Lの光源LLaが緑色に点灯していることを報知する信号に基づいて、管理用情報表示部33に設備Mが正常(生産中)である旨を表示し(図5BのステップS24)、処理を終了する。これにより、管理者は、設備Mが正常(生産中)であることを認識できる。
【0055】
一方、ステップS21において、通信処理部22は、今回取得した光検知信号が、閾値以下であると判断したときは、表示灯Lの光源LLaが消灯していると判断し(図5BのステップS25)、処理を終了する。
【0056】
(3.表示装置の表示例)
次に、管理用情報表示部33及び携帯用情報表示部43の表示例について図を参照して説明する。第一の表示例は、通信ユニット2において光検知センサユニット25a,25b,25cで検知した設備Mの設備状態が正しいか否かを、設備状態管理装置3及び携帯用情報表示部43で確認できる表示である。以下、第一の表示例について説明する。
【0057】
工場内には、1号機から50号機までの設備Mが設置されているものとする。例えば1号機の設備Mの通信ユニット2は、表示灯Lが赤色に点灯したことを光検知センサユニット25bで検知したら、1号機の設備Mの表示灯Lが赤色に点灯したことを報知する信号を設備状態管理装置3に無線送信する。
【0058】
一方、作業者は、1号機の設備Mの表示灯Lが赤色に点灯したことを視認したら、図6に示すように、携帯端末ユニット4の携帯用情報表示部43に設備選択画面VSを表示させる。この設備選択画面VSには、1号機から50号機までの全設備Mのアイコンが表示される。そして、設備選択画面VSの中から1号機の設備Mのアイコンをタッチし、図7に示すように、1号機の設備Mに関する設備状態選択画面VSSを表示させる。
【0059】
この設備状態選択画面VSSには、「1」段取、「2」生産中、「3」故障、「4」生産開始(一生産物)、「5」生産完了(一生産物)が表示される。そして、設備状態選択画面VSSの中から「3」故障の表示をタッチする。これにより、携帯端末ユニット4は、1号機の設備Mが故障であることを報知する信号を設備状態管理装置3に無線送信する。
【0060】
設備状態管理装置3は、通信ユニット2から受信した1号機の設備Mの表示灯Lが赤色に点灯したことを報知する信号の情報及び携帯端末ユニット4から受信した1号機の設備Mが故障であることを報知する信号の情報を統合する。そして、図8に示すように、統合情報TIとして管理用情報表示部33に表示するとともに、統合情報TIを携帯用通信部41に送信し、統合情報TIを携帯用情報表示部43に表示させる。
【0061】
図8において、「A-H」は、1号機の設備Mの表示灯Lの緑色、黄色、赤色のパターンを示す。黒丸は点灯、白丸は消灯を表す。なお、点滅のパターンは省略する。設備状態管理装置3は、通信ユニット2から1号機の設備Mの表示灯Lが赤色に点灯(異常(故障))したことを報知する信号を受信しているので、該当する「C」パターンを枠で囲んでいる。
【0062】
また、設備状態管理装置3は、携帯端末ユニット4から1号機の設備Mが故障であることを報知する信号を受信しているので、該当する「3」故障を枠で囲んでいる。これにより、管理者は、通信ユニット2の検知情報と作業者(携帯端末ユニット4)の視認情報を突き合わせることができ、1号機の設備Mの設備状態を確実に把握でき、作業者への対応を指示できる。
【0063】
第二の表示例は、通信ユニット2において光検知センサユニット25a,25b,25cで検知した設備Mの設備状態に基づいて、設備状態管理装置3及び携帯用情報表示部43で設備Mの生産進捗状況を確認できる表示である。以下、第二の表示例について説明する。
【0064】
例えば1号機の設備Mの通信ユニット2は、1号機の設備Mにおいて品番1の一生産物の生産が完了し、表示灯Lが緑色に点滅したことを光検知センサユニット25cで検知したら、1号機の設備Mの表示灯Lが緑色に点滅したことを報知する信号を設備状態管理装置3に無線送信する。
【0065】
設備状態管理装置3は、通信ユニット2から受信した1号機の設備Mの表示灯Lが緑色に点滅したことを報知する信号により、品番1の一生産物の生産が完了したことを認識する。以降、上記処理を繰り返し、品番1の生産個数をカウントする。そして、予め記憶している1号機の設備Mにおける品番1の計画生産時間に達したら、その時点での品番1の生産個数を実績生産個数として求める。
【0066】
そして、図9に示すように、設備状態管理装置3は、上記品番1の計画生産時間での計画生産個数と実績生産個数とを管理用情報表示部33に表示する。なお、設備状態管理装置3は、品番1の計画生産個数と実績生産個数とを携帯用通信部41に送信し、携帯用情報表示部43に表示させるようにしてもよい。これにより、管理者及び作業者は、生産遅れを把握できる。
【0067】
また、設備状態管理装置3は、品番1の計画生産個数と品番1のマシンサイクルタイムの積算値を、品番1の計画生産時間で除算した値、すなわち品番1の計画可動率を求める。さらに、品番1の実績生産個数と品番1のマシンサイクルタイムの積算値を、品番1の実績生産時間で除算した値、すなわち品番1の実績可動率を求める。
【0068】
そして、図10に示すように、設備状態管理装置3は、品番1の計画可動率と品番1の実績可動率とを管理用情報表示部33に表示する。なお、品番1の計画可動率と品番1の実績可動率とを携帯用通信部41に送信し、携帯用情報表示部43に表示させるようにしてもよい。これにより、管理者及び作業者は、生産の改善を図れる。
【0069】
また、設備状態管理装置3は、1号機の設備Mにおける品番1の生産時間が所定時間(実績稼働時間)に達したら、その時点での品番1の生産個数を求める。そして、求めた品番1の生産個数と品番1のマシンサイクルタイムに基づいて、計画稼働時間を求める。
【0070】
そして、図11に示すように、設備状態管理装置3は、品番1の計画稼働時間と品番1の実績稼働時間とを管理用情報表示部33に表示する。なお、品番1の計画稼働時間と品番1の実績稼働時間とを携帯用通信部41に送信し、携帯用情報表示部43に表示させるようにしてもよい。これにより、管理者及び作業者は、実績稼働時間と計画稼働時間との差dから、品番1の生産遅れを直接的に把握できる。
【0071】
また、管理用情報表示部33及び携帯用情報表示部43には、光検知センサユニット25a,25b,25cの光検知信号、表示灯Lの点灯継続時間、表示灯Lの消灯から点灯に変化したときの時刻、通信ユニット2の内部温度、設備MのID、検出用電源部23の電池残量、ワイヤレスモジュール22aの電波強度等が表示される。そして、検出用電源部23の電池残量やワイヤレスモジュール22aの電波強度が低下した場合は、警告等を合わせて表示する。
【0072】
(4.その他)
なお、上述の実施形態では、光検知センサユニット25a,25b,25cは、各光源23a,23b,23cからの光の光束又は照度を検知するデジタルセンサとしたが、各プラスチックケースLa,Lb,Lcを透過する赤色、黄色、緑色の光の色を検知するデジタルセンサとしてもよい。また、通信ユニット2の適用可能な表示灯Lは、3色の光源に限定されるものではなく、任意の色数の光源や発光色が変化する1つの光源であっても対応可能である。
【符号の説明】
【0073】
1:設備管理システム、 2:通信ユニット、 21:通信ユニット端子、 22:通信処理部、 23:検出用電源部、 25a,25b,25c:光検知センサユニット、 250:光検知センサ、 251:通信ケーブル、 252:第一光検知センサ端子、 253:第二光検知センサ端子253、 3:設備状態管理装置、 31:管理用通信部、 32:管理用制御部、 33:管理用情報表示部、 34:管理用電源部、 4:携帯端末ユニット、 41:携帯用通信部、 42:携帯用制御部、 43:携帯用情報表示部、 44:携帯用電源部、 5:設備事項検知センサユニット、 51:設備事項検知センサ、 52:設備事項検知センサ端子、 53:センサコネクタ、 54:シリアル変換部、 55:電源コネクタ、 56:電源供給部、 M:設備、 L:表示灯、 LLa,LLb,LLc:光源
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10
図11