(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-18
(45)【発行日】2023-07-26
(54)【発明の名称】モータ、および駆動装置
(51)【国際特許分類】
H02K 9/19 20060101AFI20230719BHJP
【FI】
H02K9/19 A
(21)【出願番号】P 2019075876
(22)【出願日】2019-04-11
【審査請求日】2022-03-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】ニデック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100188673
【氏名又は名称】成田 友紀
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【氏名又は名称】古都 智
(72)【発明者】
【氏名】津田 圭一
(72)【発明者】
【氏名】中松 修平
(72)【発明者】
【氏名】川島 彰太
(72)【発明者】
【氏名】白石 剛士
(72)【発明者】
【氏名】木村 悠一
(72)【発明者】
【氏名】松尾 秀明
【審査官】中島 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-116101(JP,A)
【文献】特開2014-225939(JP,A)
【文献】特開2019-050707(JP,A)
【文献】特開2014-158400(JP,A)
【文献】特開2018-027003(JP,A)
【文献】特開2014-225969(JP,A)
【文献】特開2011-135698(JP,A)
【文献】特開2019-013101(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 9/00- 9/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉛直方向と直交する水平方向に延びるモータ軸を中心として回転するロータと、
前記ロータと径方向に隙間を介して対向するステータと、
内部に前記ロータおよび前記ステータを収容し、かつ、内部にオイルが収容されるモータ収容部と、
前記ステータの鉛直方向上側に位置し、前記オイルを貯留するリザーバと、
前記リザーバに前記オイルを供給する供給油路と、
を備え、
前記ステータは、
ステータコアと、
周方向に沿って前記ステータコアに取り付けられる複数のコイルと、
を有し、
前記リザーバは、
軸方向に延びる第1油路部と、
軸方向に延び、鉛直方向に沿って視て前記第1油路部との間で前記モータ軸を挟む第2油路部と、
前記第1油路部と前記第2油路部とを繋ぐ第3油路部と、
を有し、
前記第1油路部は、前記ステータに鉛直方向上側から前記オイルを供給する第1オイル供給口を有し、
前記第2油路部は、前記ステータに鉛直方向上側から前記オイルを供給する第2オイル供給口を有
し、
前記第3油路部は、
軸方向に延び、鉛直方向に沿って視て、前記第1油路部と前記第2油路部との間に位置する第4油路部と、
前記第4油路部の軸方向一方側の端部と前記第1油路部の軸方向一方側の端部とを繋ぐ第5油路部と、
前記第4油路部の軸方向一方側の端部と前記第2油路部の軸方向一方側の端部とを繋ぐ第6油路部と、
を有する、
モータ。
【請求項2】
鉛直方向と直交する水平方向に延びるモータ軸を中心として回転するロータと、
前記ロータと径方向に隙間を介して対向するステータと、
内部に前記ロータおよび前記ステータを収容し、かつ、内部にオイルが収容されるモータ収容部と、
前記ステータの鉛直方向上側に位置し、前記オイルを貯留するリザーバと、
前記リザーバに前記オイルを供給する供給油路と、
を備え、
前記ステータは、
ステータコアと、
周方向に沿って前記ステータコアに取り付けられる複数のコイルと、
を有し、
前記リザーバは、
軸方向に延びる第1油路部と、
軸方向に延び、鉛直方向に沿って視て前記第1油路部との間で前記モータ軸を挟む第2油路部と、
前記第1油路部と前記第2油路部とを繋ぐ第3油路部と、
を有し、
前記第1油路部は、前記ステータに鉛直方向上側から前記オイルを供給する第1オイル供給口を有し、
前記第2油路部は、前記ステータに鉛直方向上側から前記オイルを供給する第2オイル供給口を有し、
前記リザーバは、軸方向に間隔を空けて配置される一対の前記第3油路部を有し、
前記一対の第3油路部のうち一方の第3油路部は、前記第1油路部の軸方向一方側の端部と前記第2油路部の軸方向一方側の端部とを繋ぎ、
前記一対の第3油路部のうち他方の第3油路部は、前記第1油路部の軸方向他方側の端部と前記第2油路部の軸方向他方側の端部とを繋ぐ、
モータ。
【請求項3】
前記第1オイル供給口および前記第2オイル供給口は、前記ステータコアに鉛直方向上側から前記オイルを供給する、請求項
1または2に記載のモータ。
【請求項4】
前記第1オイル供給口は、前記第1油路部が延びる方向に沿って複数設けられ、
前記第2オイル供給口は、前記第2油路部が延びる方向に沿って複数設けられる、請求項
1から3のいずれか一項に記載のモータ。
【請求項5】
前記ステータは、前記複数のコイルを有するコイルアセンブリを有し、
前記コイルアセンブリは、前記ステータコアから軸方向に突出するコイルエンドを有し、
前記第3油路部は、前記コイルエンドに鉛直方向上側から前記オイルを供給する第3オイル供給口を有する、請求項1から
4のいずれか一項に記載のモータ。
【請求項6】
前記第3オイル供給口は、前記第3油路部が延びる方向に沿って複数設けられる、請求項
5に記載のモータ。
【請求項7】
前記モータ収容部の内側面のうち鉛直方向上側に位置する部分には、鉛直方向下側に突
出する突出壁部が設けられ、
前記突出壁部は、前記第3油路部の鉛直方向上側に位置する部分を有し、
前記第3オイル供給口は、前記第3油路部が延びる方向に沿って延びる延伸供給口を含み、
前記延伸供給口は、前記第3油路部内におけるオイルの流れ方向において、前記突出壁部よりも上流側に位置する、請求項
5または6に記載のモータ。
【請求項8】
前記第3油路部の底壁部は、
第1部分と、
前記流れ方向において前記第1部分の下流側に繋がる第2部分と、
を有し、
前記第2部分は、前記コイルエンドの鉛直方向上側において前記コイルエンドの外周面に沿って湾曲し、
前記第2部分のうち前記第1部分と繋がる部分は、前記流れ方向の下流側に向かうに従って鉛直方向上側に位置し、
前記延伸供給口は、前記第1部分と前記第2部分とに跨って設けられる、請求項
7に記載のモータ。
【請求項9】
前記供給油路は、前記第4油路部に前記オイルを供給する、請求項
1に記載のモータ。
【請求項10】
前記第4油路部は、前記ステータコアに鉛直方向上側から前記オイルを供給する第4オイル供給口を有する、請求項9に記載のモータ。
【請求項11】
前記供給油路は、前記第4油路部の軸方向他方側の端部に前記オイルを供給し、
前記第4油路部は、軸方向に延びる仕切壁部を有し、
前記仕切壁部は、前記第4油路部のうち前記オイルが供給される軸方向他方側の端部よりも軸方向一方側に位置する部分の内部を、軸方向および鉛直方向の両方と直交する方向に仕切る、請求項9または10に記載のモータ。
【請求項12】
前記ロータを回転可能に支持するベアリングをさらに備え、
前記リザーバは、前記ベアリングの鉛直方向上側に位置する第5オイル供給口を有する、請求項1から11のいずれか一項に記載のモータ。
【請求項13】
前記リザーバは、鉛直方向上側に開口する樋状である、請求項1から12のいずれか一項に記載のモータ。
【請求項14】
請求項1から
13のいずれか一項に記載のモータと、
前記モータに接続される伝達装置と、
を備え、車両に搭載される駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータ、および駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ステータを冷却する構造を有するモータが知られる。例えば、特許文献1には、オイルをコイルに供給してステータを冷却するモータが記載される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなステータを冷却する構造を有するモータにおいては、ステータの冷却効率のさらなる向上が求められていた。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みて、ステータの冷却効率を向上できる構造を有するモータおよび駆動装置を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のモータの一つの態様は、鉛直方向と直交する水平方向に延びるモータ軸を中心として回転するロータと、前記ロータと径方向に隙間を介して対向するステータと、内部に前記ロータおよび前記ステータを収容し、かつ、内部にオイルが収容されるモータ収容部と、前記ステータの鉛直方向上側に位置し、前記オイルを貯留するリザーバと、前記リザーバに前記オイルを供給する供給油路と、を備える。前記ステータは、ステータコアと、周方向に沿って前記ステータコアに取り付けられる複数のコイルと、を有する。前記リザーバは、軸方向に延びる第1油路部と、軸方向に延び、鉛直方向に沿って視て前記第1油路部との間で前記モータ軸を挟む第2油路部と、前記第1油路部と前記第2油路部とを繋ぐ第3油路部と、を有する。前記第1油路部は、前記ステータに鉛直方向上側から前記オイルを供給する第1オイル供給口を有する。前記第2油路部は、前記ステータに鉛直方向上側から前記オイルを供給する第2オイル供給口を有する。
【0007】
本発明のモータの一つの態様は、鉛直方向と直交する水平方向に延びるモータ軸を中心として回転するロータと、前記ロータと径方向に隙間を介して対向するステータと、内部に前記ロータおよび前記ステータを収容し、かつ、内部にオイルが収容されるモータ収容部と、前記ステータの鉛直方向上側に位置し、前記オイルを貯留するリザーバと、前記リザーバに前記オイルを供給する供給油路と、を備える。前記ステータは、ステータコアと、周方向に沿って前記ステータコアに取り付けられる複数のコイルと、を有する。前記リザーバは、軸方向に延びる第1油路部を有する。前記第1油路部は、前記ステータコアに鉛直方向上側から前記オイルを供給する第1オイル供給口を有する。前記第1オイル供給口は、前記第1油路部が延びる方向に沿って複数設けられる。
【0008】
本発明の駆動装置の一つの態様は、上記のモータと、前記モータに接続される伝達装置と、を備える。本発明の駆動装置の一つの態様は、車両に搭載される。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一つの態様によれば、モータおよび駆動装置において、ステータの冷却効率を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、第1実施形態の駆動装置を模式的に示す概略構成図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態のモータの一部を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態のモータの一部を上側から視た図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態の第2のリザーバを示す斜視図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態のモータの一部を示す断面図であって、
図3におけるV-V断面図である。
【
図6】
図6は、第1実施形態のモータの一部を示す断面図であって、
図3におけるVI-VI断面図である。
【
図7】
図7は、第1実施形態の変形例におけるモータの一部を示す斜視図である。
【
図8】
図8は、第1実施形態の変形例におけるモータの一部を示す図であって、
図7におけるVIII-VIII断面図である。
【
図9】
図9は、第2実施形態のモータの一部を示す斜視図である。
【
図10】
図10は、第2実施形態のモータの一部を上側から視た図である。
【
図11】
図11は、第2実施形態の第2のリザーバを示す斜視図である。
【
図12】
図12は、第2実施形態のモータの一部を示す断面図であって、
図10におけるXII-XII断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の説明では、各図に示す実施形態の駆動装置が水平な路面上に位置する車両に搭載された場合の位置関係を基に、鉛直方向を規定して説明する。また、図面においては、適宜3次元直交座標系としてXYZ座標系を示す。XYZ座標系において、Z軸方向は、鉛直方向である。+Z側は、鉛直方向上側であり、-Z側は、鉛直方向下側である。以下の説明では、鉛直方向上側を単に「上側」と呼び、鉛直方向下側を単に「下側」と呼ぶ。X軸方向は、Z軸方向と直交する方向であって駆動装置が搭載される車両の前後方向である。以下の実施形態において、+X側は、車両の前側であり、-X側は、車両の後側である。Y軸方向は、X軸方向とZ軸方向との両方と直交する方向であって、車両の左右方向、すなわち車幅方向である。以下の実施形態において、+Y側は、車両の左側であり、-Y側は、車両の右側である。以下の実施形態において右側は、軸方向一方側に相当し、左側は、軸方向他方側に相当する。前後方向および左右方向は、鉛直方向と直交する水平方向である。
【0012】
なお、前後方向の位置関係は、以下の実施形態の位置関係に限られず、+X側が車両の後側であり、-X側が車両の前側であってもよい。この場合には、+Y側は、車両の右側であり、-Y側は、車両の左側である。
【0013】
各図に適宜示すモータ軸J1は、Y軸方向、すなわち車両の左右方向に延びる。以下の説明においては、特に断りのない限り、モータ軸J1に平行な方向を単に「軸方向」と呼び、モータ軸J1を中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、モータ軸J1を中心とする周方向、すなわち、モータ軸J1の軸回りを単に「周方向」と呼ぶ。なお、本明細書において、「平行な方向」は略平行な方向も含み、「直交する方向」は略直交する方向も含む。
【0014】
<第1実施形態>
図1に示す本実施形態の駆動装置1は、ハイブリッド自動車(HEV)、プラグインハイブリッド自動車(PHV)、電気自動車(EV)等、モータを動力源とする車両に搭載され、その動力源として使用される。
図1に示すように、駆動装置1は、モータ2と、減速装置4および差動装置5を含む伝達装置3と、ハウジング6と、インバータユニット8と、を備える。
【0015】
ハウジング6は、モータ収容部81と、ギヤ収容部82と、隔壁61cと、を有する。モータ収容部81は、内部に後述するロータ20およびステータ30を収容する部分である。ギヤ収容部82は、内部に伝達装置3を収容する部分である。ギヤ収容部82は、モータ収容部81の左側に位置する。モータ収容部81の底部81aは、ギヤ収容部82の底部82aより上側に位置する。隔壁61cは、モータ収容部81の内部とギヤ収容部82の内部とを軸方向に区画する。隔壁61cには、隔壁開口68が設けられる。隔壁開口68は、モータ収容部81の内部とギヤ収容部82の内部とを繋ぐ。
【0016】
モータ収容部81の内部およびギヤ収容部82の内部には、オイルOが収容される。ギヤ収容部82の内部における下部領域には、オイルOが溜るオイル溜りPが設けられる。オイル溜りPのオイルOは、後述する油路90によってモータ収容部81の内部に送られる。モータ収容部81の内部に送られたオイルOは、モータ収容部81の内部における下部領域に溜まる。モータ収容部81の内部に溜まったオイルOの少なくとも一部は、隔壁開口68を介してギヤ収容部82に移動し、オイル溜りPに戻る。
【0017】
なお、本明細書において「ある部分の内部にオイルが収容される」とは、モータが駆動している最中の少なくとも一部において、ある部分の内部にオイルが位置していればよく、モータが停止している際には、ある部分の内部にオイルが位置していなくてもよい。例えば、本実施形態においてモータ収容部81の内部にオイルOが収容されるとは、モータ2が駆動している最中の少なくとも一部において、モータ収容部81の内部にオイルOが位置していればよく、モータ2が停止している際においては、モータ収容部81の内部のオイルOがすべて隔壁開口68を通ってギヤ収容部82に移動してしまっていてもよい。なお、後述する油路90によってモータ収容部81の内部へと送られたオイルOの一部は、モータ2が停止した状態において、モータ収容部81の内部に残っていてもよい。
【0018】
オイルOは、後述する油路90内を循環する。オイルOは、減速装置4および差動装置5の潤滑用として使用される。また、オイルOは、モータ2の冷却用として使用される。オイルOとしては、潤滑油および冷却油の機能を奏するために、比較的粘度の低いオートマチックトランスミッション用潤滑油(ATF:Automatic Transmission Fluid)と同等のオイルを用いることが好ましい。
【0019】
本実施形態においてモータ2は、インナーロータ型のモータである。モータ2は、ロータ20と、ステータ30と、モータ収容部81と、ベアリング26,27と、を備える。ロータ20は、水平方向に延びるモータ軸J1を中心として回転する。ロータ20は、シャフト21と、ロータ本体24と、を有する。図示は省略するが、ロータ本体24は、ロータコアと、ロータコアに固定されるロータマグネットと、を有する。ロータ20のトルクは、伝達装置3に伝達される。
【0020】
シャフト21は、モータ軸J1を中心として軸方向に沿って延びる。シャフト21は、モータ軸J1を中心として回転する。シャフト21は、内部に中空部22が設けられた中空シャフトである。シャフト21には、連通孔23が設けられる。連通孔23は、径方向に延びて中空部22とシャフト21の外部とを繋ぐ。
【0021】
シャフト21は、ハウジング6のモータ収容部81とギヤ収容部82とに跨って延びる。シャフト21の左側の端部は、ギヤ収容部82の内部に突出する。シャフト21の左側の端部には、伝達装置3の後述する第1のギヤ41が固定される。シャフト21は、ベアリング26,27により回転可能に支持される。
【0022】
ステータ30は、ロータ20と径方向に隙間を介して対向する。より詳細には、ステータ30は、ロータ20の径方向外側に位置する。ステータ30は、ステータコア32と、コイルアセンブリ33と、を有する。ステータコア32は、モータ収容部81の内周面に固定される。
図2および
図3に示すように、ステータコア32は、ステータコア本体32aと、固定部32bと、を有する。図示は省略するが、ステータコア本体32aは、軸方向に延びる円筒状のコアバックと、コアバックから径方向内側に延びる複数のティースと、を有する。
【0023】
固定部32bは、ステータコア本体32aの外周面から径方向外側に突出する。固定部32bは、モータ収容部81に固定される部分である。
図2に示すように、固定部32bは、周方向に沿って間隔を空けて複数設けられる。固定部32bのうちの1つは、ステータコア本体32aから上側に突出する。固定部32bは、固定部32bを軸方向に貫通する貫通孔32cを有する。図示は省略するが、ステータ30は、貫通孔32cに通されたネジがモータ収容部81に締め込まれることで、ハウジング6に固定される。
【0024】
図1に示すように、コイルアセンブリ33は、周方向に沿ってステータコア32に取り付けられる複数のコイル31を有する。複数のコイル31は、図示しないインシュレータを介してステータコア32の各ティースにそれぞれ装着される。複数のコイル31は、周方向に沿って配置される。より詳細には、複数のコイル31は、周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置される。図示は省略するが、コイルアセンブリ33は、各コイル31を結束する結束部材等を有してもよいし、各コイル31同士を繋ぐ渡り線を有してもよい。
【0025】
コイルアセンブリ33は、ステータコア32から軸方向に突出するコイルエンド33a,33bを有する。コイルエンド33aは、ステータコア32から右側に突出する部分である。コイルエンド33bは、ステータコア32から左側に突出する部分である。コイルエンド33aは、コイルアセンブリ33に含まれる各コイル31のうちステータコア32よりも右側に突出する部分を含む。コイルエンド33bは、コイルアセンブリ33に含まれる各コイル31のうちステータコア32よりも左側に突出する部分を含む。本実施形態においてコイルエンド33a,33bは、モータ軸J1を中心とする円環状である。図示は省略するが、コイルエンド33a,33bは、各コイル31を結束する結束部材等を含んでもよいし、各コイル31同士を繋ぐ渡り線を含んでもよい。
【0026】
ベアリング26,27は、ロータ20を回転可能に支持する。ベアリング26,27は、例えば、ボールベアリングである。
図1に示すように、ベアリング26は、ロータ20のうちステータコア32よりも右側に位置する部分を回転可能に支持するベアリングである。本実施形態においてベアリング26は、シャフト21のうちロータ本体24が固定される部分よりも右側に位置する部分を支持する。ベアリング26は、モータ収容部81のうちロータ20およびステータ30の右側を覆う壁部に保持される。
【0027】
ベアリング27は、ロータ20のうちステータコア32よりも左側に位置する部分を回転可能に支持するベアリングである。本実施形態においてベアリング27は、シャフト21のうちロータ本体24が固定される部分よりも左側に位置する部分を支持する。ベアリング27は、隔壁61cに保持される。
【0028】
伝達装置3は、ハウジング6のギヤ収容部82に収容される。伝達装置3は、モータ2に接続される。より詳細には、伝達装置3は、シャフト21の左側の端部に接続される。伝達装置3は、減速装置4と、差動装置5と、を有する。モータ2から出力されるトルクは、減速装置4を介して差動装置5に伝達される。
【0029】
減速装置4は、モータ2に接続される。減速装置4は、モータ2の回転速度を減じて、モータ2から出力されるトルクを減速比に応じて増大させる。減速装置4は、モータ2から出力されるトルクを差動装置5へ伝達する。減速装置4は、第1のギヤ41と、第2のギヤ42と、第3のギヤ43と、中間シャフト45と、を有する。
【0030】
第1のギヤ41は、シャフト21の左側の端部における外周面に固定される。第1のギヤ41は、シャフト21とともに、モータ軸J1を中心に回転する。中間シャフト45は、モータ軸J1と平行な中間軸J2に沿って延びる。中間シャフト45は、中間軸J2を中心として回転する。第2のギヤ42および第3のギヤ43は、中間シャフト45の外周面に固定される。第2のギヤ42と第3のギヤ43は、中間シャフト45を介して接続される。第2のギヤ42および第3のギヤ43は、中間軸J2を中心として回転する。第2のギヤ42は、第1のギヤ41に噛み合う。第3のギヤ43は、差動装置5の後述するリングギヤ51と噛み合う。
【0031】
モータ2から出力されるトルクは、シャフト21、第1のギヤ41、第2のギヤ42、中間シャフト45および第3のギヤ43をこの順に介して差動装置5のリングギヤ51へ伝達される。各ギヤのギヤ比およびギヤの個数等は、必要とされる減速比に応じて種々変更可能である。本実施形態において減速装置4は、各ギヤの軸芯が平行に配置される平行軸歯車タイプの減速機である。
【0032】
差動装置5は、減速装置4を介しモータ2に接続される。差動装置5は、モータ2から出力されるトルクを車両の車輪に伝達するための装置である。差動装置5は、車両の旋回時に、左右の車輪の速度差を吸収しつつ、左右両輪の車軸55に同トルクを伝える。差動装置5は、リングギヤ51と、図示しないギヤハウジングと、図示しない一対のピニオンギヤと、図示しないピニオンシャフトと、図示しない一対のサイドギヤと、を有する。リングギヤ51は、モータ軸J1と平行な差動軸J3を中心として回転する。リングギヤ51には、モータ2から出力されるトルクが減速装置4を介して伝えられる。
【0033】
モータ2には、ハウジング6の内部においてオイルOが循環する油路90が設けられる。油路90は、オイル溜りPからオイルOをモータ2に供給し、再びオイル溜りPに導くオイルOの経路である。油路90は、モータ収容部81の内部とギヤ収容部82の内部とに跨って設けられる。
【0034】
なお、本明細書において「油路」とは、オイルの経路を意味する。したがって、「油路」とは、定常的に一方向に向かうオイルの流動を作る「流路」のみならず、オイルを一時的に滞留させる経路およびオイルが滴り落ちる経路をも含む概念である。オイルを一時的に滞留させる経路とは、例えば、オイルを貯留するリザーバ等を含む。
【0035】
油路90は、第1の油路91と、第2の油路92と、を有する。第1の油路91および第2の油路92は、それぞれハウジング6の内部でオイルOを循環させる。第1の油路91は、かき上げ経路91aと、シャフト供給経路91bと、シャフト内経路91cと、ロータ内経路91dと、を有する。また、第1の油路91の経路中には、第1のリザーバ93が設けられる。第1のリザーバ93は、ギヤ収容部82内に設けられる。
【0036】
かき上げ経路91aは、差動装置5のリングギヤ51の回転によってオイル溜りPからオイルOをかき上げて、第1のリザーバ93でオイルOを受ける経路である。第1のリザーバ93は、上側に開口する。第1のリザーバ93は、リングギヤ51がかき上げたオイルOを受ける。また、モータ2の駆動直後などオイル溜りPの液面が高い場合等には、第1のリザーバ93は、リングギヤ51に加えて第2のギヤ42および第3のギヤ43によってかき上げられたオイルOも受ける。
【0037】
シャフト供給経路91bは、第1のリザーバ93からシャフト21の中空部22にオイルOを誘導する。シャフト内経路91cは、シャフト21の中空部22内をオイルOが通過する経路である。ロータ内経路91dは、シャフト21の連通孔23からロータ本体24の内部を通過して、ステータ30に飛散する経路である。
【0038】
シャフト内経路91cにおいて、ロータ20の内部のオイルOには、ロータ20の回転に伴い遠心力が付与される。これにより、オイルOは、ロータ20から径方向外側に連続的に飛散する。また、オイルOの飛散に伴い、ロータ20内部の経路が負圧となり、第1のリザーバ93に溜るオイルOが、ロータ20の内部に吸引され、ロータ20内部の経路にオイルOが満たされる。
【0039】
ステータ30に到達したオイルOは、ステータ30から熱を奪う。ステータ30を冷却したオイルOは、下側に滴下され、モータ収容部81内の下部領域に溜る。モータ収容部81内の下部領域に溜ったオイルOは、隔壁61cに設けられた隔壁開口68を介してギヤ収容部82に移動する。以上のようにして、第1の油路91は、オイルOをロータ20およびステータ30に供給する。
【0040】
第2の油路92においてオイルOは、オイル溜りPからステータ30の上側まで引き上げられてステータ30に供給される。すなわち、第2の油路92は、オイルOをステータ30の上側からステータ30に供給する。第2の油路92には、オイルポンプ96と、クーラー97と、第2のリザーバ10と、が設けられる。第2の油路92は、第1の流路92aと、第2の流路92bと、第3の流路92cと、を有する。
【0041】
第1の流路92a、第2の流路92bおよび第3の流路92cは、ハウジング6の壁部に設けられる。第1の流路92aは、オイル溜りPとオイルポンプ96とを繋ぐ。第2の流路92bは、オイルポンプ96とクーラー97とを繋ぐ。第3の流路92cは、クーラー97から上側に延びる。第3の流路92cは、モータ収容部81の壁部に設けられる。すなわち、モータ2は、第3の流路92cを備える。
図2および
図3に示すように、第3の流路92cは、ステータ30の上側においてモータ収容部81の内部に開口する供給口92caを有する。供給口92caは、モータ収容部81の内部にオイルOを供給する。
【0042】
オイルポンプ96は、電気により駆動する電動ポンプである。
図1に示すように、オイルポンプ96は、第1の流路92aを介してオイル溜りPからオイルOを吸い上げて、第2の流路92b、クーラー97、第3の流路92cおよび第2のリザーバ10を介して、オイルOをモータ2に供給する。
【0043】
クーラー97は、第2の油路92を通過するオイルOを冷却する。クーラー97には、第1の流路92aおよび第2の流路92bが接続される。第1の流路92aおよび第2の流路92bは、クーラー97の内部流路を介して繋がる。クーラー97には、図示しないラジエータで冷却された冷却水を通過させる冷却水用配管97jが接続される。クーラー97の内部を通過するオイルOは、冷却水用配管97jを通過する冷却水との間で熱交換されて冷却される。なお、冷却水用配管97jの経路中には、インバータユニット8が設けられる。冷却水用配管97jを通過する冷却水は、インバータユニット8を冷却する。
【0044】
第2のリザーバ10は、第2の油路92の一部を構成する。第2のリザーバ10は、モータ収容部81の内部に位置する。第2のリザーバ10は、ステータ30の上側に位置する。
図2に示すように、第2のリザーバ10は、ステータ30によって下側から支持され、モータ2に設けられる。すなわち、モータ2は、第2のリザーバ10を備える。第2のリザーバ10は、例えば、樹脂材料から構成される。
【0045】
なお、以下の説明においては、ある対象に対して、軸方向におけるステータ30の中心に近い側を「軸方向内側」と呼ぶ場合があり、軸方向におけるステータ30の中心から遠い側を「軸方向外側」と呼ぶ場合がある。
【0046】
本実施形態において第2のリザーバ10は、上側に開口し、鉛直方向に沿って視て略矩形枠状に延びる樋状である。第2のリザーバ10は、オイルOを貯留する。本実施形態において第2のリザーバ10は、第3の流路92cを介してモータ収容部81内に供給されたオイルOを貯留する。すなわち、本実施形態において第3の流路92cは、第2のリザーバ10にオイルOを供給する供給油路に相当する。本実施形態において第2のリザーバ10は上側に開口する樋状であるため、第2のリザーバ10の上側において第3の流路92cからオイルOを流出させることで、第2のリザーバ10に容易にオイルOを供給できる。
図2から
図4に示すように、第2のリザーバ10は、第1油路部11と、第2油路部12と、一対の第3油路部13A,13Bと、第1固定部18と、支持リブ16a,16bと、を有する。
【0047】
第1油路部11および第2油路部12は、軸方向に延びる。第1油路部11と第2油路部12とは、前後方向に間隔を空けて配置される。
図3に示すように、第2油路部12は、鉛直方向に沿って視て第1油路部11との間でモータ軸J1を挟む。第1油路部11は、モータ軸J1よりも前側に位置する。第2油路部12は、モータ軸J1よりも後側に位置する。
【0048】
一対の第3油路部13A,13Bは、前後方向に延びる。一対の第3油路部13A,13Bは、軸方向に間隔を空けて配置される。一対の第3油路部13A,13Bは、それぞれ第1油路部11と第2油路部12とを繋ぐ。本実施形態において一対の第3油路部13A,13Bのうち一方の第3油路部13Aは、第1油路部11の右側の端部と第2油路部12の右側の端部とを繋ぐ。本実施形態において一対の第3油路部13A,13Bのうち他方の第3油路部13Bは、第1油路部11の左側の端部と第2油路部12の左側の端部とを繋ぐ。第1油路部11、第2油路部12および一対の第3油路部13A,13Bは、それぞれ上側に開口する横断面略U字状の樋状である。
【0049】
第1油路部11は、ステータコア32の上側に位置する。本実施形態において第1油路部11は、固定部32bのうち上側に突出する固定部32bの前側に位置する。第1油路部11は、第1底壁部11aと、一対の第1側壁部11b,11cと、を有する。
【0050】
第1底壁部11aは、軸方向に延びる。第1底壁部11aは、板面が鉛直方向を向く板状である。
図5に示すように、第1底壁部11aは、ステータコア本体32aの外周面と隙間を介して対向する。第1底壁部11aの上側の面は、平坦部11aaと、傾斜部11ab,11acと、を有する。平坦部11aaは、鉛直方向と直交する平坦な部分である。平坦部11aaは、第1底壁部11aの上側の面のうち軸方向の中心よりも左側寄りの部分に設けられる。
【0051】
傾斜部11ab,11acは、平坦部11aaに対して傾いた部分である。傾斜部11abは、平坦部11aaから右側に延びる。傾斜部11abは、平坦部11aaから右側に向かうに従って下側に位置する。傾斜部11acは、平坦部11aaから左側に延びる。傾斜部11acは、平坦部11aaから左側に向かうに従って下側に位置する。傾斜部11abの軸方向の寸法は、傾斜部11acの軸方向の寸法よりも大きい。
【0052】
図2に示すように、第1側壁部11bは、第1底壁部11aの後側の縁部から上側に突出する。第1側壁部11cは、第1底壁部11aの前側の縁部から上側に突出する。一対の第1側壁部11b,11cは、軸方向に延びる。一対の第1側壁部11b,11cは、板面が前後方向を向く板状である。第1側壁部11bの上側の端部は、第1側壁部11cの上側の端部よりも上側に位置する。
【0053】
第1油路部11は、供給口92caの下側に位置する。これにより、第1油路部11は、供給口92caからモータ収容部81内に供給されるオイルOを受ける。本実施形態において供給口92caは、第1油路部11の軸方向両側の端部よりも軸方向内側に離れた位置に配置される。
図3に示すように、供給口92caは、鉛直方向に沿って視て、第1底壁部11aの左側寄りの部分と重なる。より詳細には、供給口92caは、鉛直方向に沿って視て、平坦部11aaと重なる。
【0054】
図3から
図5に示すように、第1油路部11は、ステータ30に上側からオイルOを供給する第1オイル供給口17aを有する。本実施形態において第1オイル供給口17aは、第1底壁部11aを軸方向に貫通する貫通孔である。第1オイル供給口17aは、例えば、円形状である。第1オイル供給口17aは、ステータ30の上側に位置する。より詳細には、第1オイル供給口17aは、ステータコア32の上側に離れて位置する。
図5に示すように、第1油路部11に供給されたオイルOの一部は、第1オイル供給口17aを介して第1油路部11の下側に流出し、ステータコア32に上側から供給される。このように本実施形態において第1オイル供給口17aは、ステータコア32に上側からオイルOを供給する。
【0055】
本実施形態において第1オイル供給口17aは、第1油路部11が延びる方向である軸方向に沿って複数設けられる。本実施形態において第1オイル供給口17aは、例えば、3つ設けられる。より詳細には、第1オイル供給口17aは、平坦部11aaに1つ、および傾斜部11abに2つ、それぞれ設けられる。
図3に示すように、平坦部11aaに設けられた第1オイル供給口17aは、鉛直方向に沿って視て、供給口92caと重なる。
【0056】
図2に示すように、第2油路部12は、ステータコア32の上側に位置する。本実施形態において第2油路部12は、固定部32bのうち上側に突出する固定部32bの後側に位置する。そのため、第1油路部11と第2油路部12とは、固定部32bのうち上側に突出する固定部32bを前後方向に挟んで配置される。第2油路部12の前後方向の寸法は、第1油路部11の前後方向の寸法よりも小さい。第2油路部12の下側の端部は、第1油路部11の下側の端部よりも下側に位置する。第2油路部12は、第2底壁部12aと、一対の第2側壁部12b,12cと、を有する。
【0057】
第2底壁部12aは、軸方向に延びる。第2底壁部12aの上側の面は、第1底壁部11aの上側の面よりも下側に位置する。第2底壁部12aの上側の面のうち右側の端部は、軸方向内側に向かうに従って下側に位置する傾斜面12dである。
図6に示すように、第2底壁部12aは、ステータコア本体32aの外周面と隙間を介して対向する。軸方向と直交する断面において第2底壁部12aの形状は、傾斜面12dが設けられる部分を除いて、上側に開口する略V字状である。そのため、第2底壁部12a上にオイルOを保持しやすく、第2油路部12に流入したオイルOが第2油路部12の外部に漏れることを抑制できる。
【0058】
第2底壁部12aは、前側部分12aaと、後側部分12abと、を有する。軸方向と直交する断面において前側部分12aaの形状は、ステータコア本体32aの外周面に沿って、後側部分12abから前側斜め上方に延びる形状である。後側部分12abは、前側部分12aaの後側の端部に繋がる。軸方向と直交する断面において後側部分12abの形状は、前側部分12aaの後側の端部から後側斜め上方に延びる形状である。
【0059】
第2側壁部12bは、第2底壁部12aの前側の縁部から上側に突出する。より詳細には、第2側壁部12bは、前側部分12aaの前側の縁部から上側に突出する。第2側壁部12cは、第2底壁部12aの後側の縁部から上側に突出する。より詳細には、第2側壁部12cは、後側部分12abの後側の縁部から上側に突出する。第2側壁部12cの上側の端部は、第2側壁部12bの上側の端部よりも上側に位置する。
図2に示すように、一対の第2側壁部12b,12cは、軸方向に延びる。一対の第2側壁部12b,12cは、板面が前後方向を向く板状である。
【0060】
第2油路部12には、第1固定部18が設けられる。第1固定部18は、第2油路部12のうち軸方向の中心よりも左側寄りの部分に設けられる。第1固定部18は、第2油路部12から上側に突出する。第1固定部18の後側の端部は、第2油路部12よりも後側に突出する。本実施形態において第1固定部18は、略直方体状である。第1固定部18は、第1固定部18を軸方向に貫通する貫通孔18aを有する。図示は省略するが、貫通孔18aには、モータ収容部81に締め込まれるネジが通される。貫通孔18aに通されるネジによって、第1固定部18は、ハウジング6に固定される。なお、貫通孔18aには、軸方向両側に開口する円筒状の金属部材が埋め込まれてもよい。この場合、第1固定部18を固定するネジは、当該金属部材に通される。
【0061】
図6に示すように、第1固定部18の下側の端部は、第2側壁部12bと第2側壁部12cとに跨って繋がる。第1固定部18は、第2油路部12の上側の開口の一部を塞ぐ。第1固定部18の下側の端部は、第2油路部12の内部に位置する部分を有する。第1固定部18のうち第2油路部12の内部に位置する部分には、上側に窪む凹部18bが設けられる。そのため、第2油路部12における第1固定部18が設けられた部分において、内部の流路面積を確保しやすい。
【0062】
図3および
図4に示すように、第2油路部12は、ステータ30に上側からオイルOを供給する第2オイル供給口17b,17eを有する。本実施形態において第2オイル供給口17b,17eは、第2底壁部12aを軸方向に貫通する貫通孔である。第2オイル供給口17b,17eは、前側部分12aaと後側部分12abとの接続部分に設けられる。第2オイル供給口17bは、例えば、円形状である。第2オイル供給口17eは、例えば、矩形状である。
【0063】
第2オイル供給口17b,17eは、ステータ30の上側に位置する。より詳細には、第2オイル供給口17b,17eは、ステータコア32の上側に位置する。第2油路部12に供給されたオイルOの少なくとも一部は、第2オイル供給口17b,17eを介して第2油路部12の下側に流出し、ステータコア32に上側から供給される。このようにして本実施形態において第2オイル供給口17b,17eは、ステータコア32に上側からオイルOを供給する。
【0064】
本実施形態において第2オイル供給口17bは、第2油路部12が延びる方向である軸方向に沿って複数設けられる。本実施形態において第2オイル供給口17bは、例えば、5つ設けられる。より詳細には、第2オイル供給口17bは、第2底壁部12aのうち第1固定部18よりも右側に位置する部分に3つ、および第2底壁部12aのうち第1固定部18よりも左側に位置する部分に2つ、それぞれ設けられる。
図4に示すように、第2オイル供給口17eは、第2底壁部12aのうち第1固定部18の下側に位置する部分に設けられる。
【0065】
図3に示すように、第3油路部13Aは、ステータコア32よりも右側に位置する。第3油路部13Aは、コイルエンド33aの上側に位置する。第3油路部13Bは、ステータコア32よりも左側に位置する。第3油路部13Bは、コイルエンド33bの上側に位置する。本実施形態において、第3油路部13Aと第3油路部13Bとは、軸方向において略対称に配置される点を除いて、ほぼ同様の構成である。そのため、以下の説明においては、第3油路部13Aと第3油路部13Bとを代表して、第3油路部13Aについてのみ説明する場合がある。
【0066】
第3油路部13Aは、第3底壁部13Aaと、一対の第3側壁部13Ab,13Acと、を有する。第3底壁部13Aaは、前後方向に延びる。第3底壁部13Aaは、板面が鉛直方向を向く板状である。第3底壁部13Aaの前側の端部は、第1底壁部11aの右側の端部に繋がる。第3底壁部13Aaの後側の端部は、第2底壁部12aの右側の端部に繋がる。
図2および
図4に示すように、第3底壁部13Aaのうち前後方向の中央部は、コイルエンド33aの上側の外周面に沿って上側に凸となる円弧状に湾曲する。第3底壁部13Aaの後側の端部は、第3底壁部13Aaの前側の端部よりも下側に位置する。
【0067】
図2に示すように、第3側壁部13Abは、第3底壁部13Aaの軸方向内側(左側)の縁部から上側に突出する。第3側壁部13Acは、第3底壁部13Aaの軸方向外側(右側)の縁部から上側に突出する。一対の第3側壁部13Ab,13Acは、前後方向に延びる。一対の第3側壁部13Ab,13Acは、板面が軸方向を向く板状である。第3側壁部13Abの前側の端部は、第1側壁部11bの右側の端部と繋がる。第3側壁部13Abの後側の端部は、第2側壁部12bの右側の端部と繋がる。
【0068】
第3側壁部13Abは、前後方向の中央部に第2固定部13Adを有する。第2固定部13Adは、上側に突出する。第2固定部13Adは、第2固定部13Adを軸方向に貫通する貫通孔13Agを有する。貫通孔13Agは、軸方向に沿って視て、固定部32bのうち上側に突出する固定部32bの貫通孔32cと重なる。貫通孔32cと貫通孔13Agとは、同心に配置される。貫通孔13Agの内径は、貫通孔32cの内径よりも大きい。
【0069】
図示は省略するが、第2固定部13Adは、貫通孔13Agに埋め込まれる金属部材を有する。当該金属部材は、軸方向両側に開口する円筒状の部材である。当該金属部材の内側および貫通孔13Agには、ステータコア32をモータ収容部81に固定するネジが右側から通される。ステータコア32をモータ収容部81に固定するネジは、ステータコア32とともに、第2固定部13Adをモータ収容部81に共締めして固定する。このように本実施形態では、第1固定部18および第2固定部13Adがモータ収容部81に対してネジ止めされることで、第2のリザーバ10がハウジング6に固定される。これにより、第2のリザーバ10を強固に固定できる。
【0070】
第3側壁部13Acの前側の端部は、第1側壁部11cの右側の端部と繋がる。第3側壁部13Acの後側の端部は、第2側壁部12cの右側の端部と繋がる。第3側壁部13Acの前側の端部は、第1側壁部11cに向かって湾曲して滑らかに繋がる湾曲部13Aiである。第3側壁部13Acの後側の端部は、第2側壁部12cに向かって湾曲して滑らかに繋がる湾曲部13Ajである。本実施形態において湾曲部13Ai,13Ajは、鉛直方向に沿って視て、一様な曲率半径で湾曲する。
【0071】
湾曲部13Aiは、上側に突出する凸部13Aeを有する。図示は省略するが、凸部13Aeの上側の端部は、例えば、モータ収容部81の内壁面のうち上側に位置する面と接触する。これにより、第3油路部13Aに流入するオイルOが湾曲部13Aiを乗り越えることを抑制でき、オイルOが第3油路部13Aから漏れることを抑制できる。
【0072】
図3および
図4に示すように、第3油路部13Aは、ステータ30に上側からオイルOを供給する第3オイル供給口17cを有する。本実施形態において第3オイル供給口17cは、第3底壁部13Aaを軸方向に貫通する貫通孔である。第3オイル供給口17cは、例えば、円形状である。第3オイル供給口17cは、ステータ30の上側に位置する。より詳細には、第3オイル供給口17cは、コイルエンド33aの上側に位置する。第3油路部13Aに供給されたオイルOの一部は、第3オイル供給口17cを介して第3油路部13Aの下側に流出し、コイルエンド33aに上側から供給される。このようにして本実施形態において第3オイル供給口17cは、コイルエンド33aに上側からオイルOを供給する。
【0073】
本実施形態において第3オイル供給口17cは、第3油路部13Aが延びる方向、すなわち前後方向に沿って複数設けられる。本実施形態において第3オイル供給口17cは、第3油路部13Aに、例えば、6つ設けられる。より詳細には、第3油路部13Aには、前後方向に間隔を空けて並ぶ3つの第3オイル供給口17cが軸方向に2列に並んで合計6つ設けられる。
【0074】
図3に示すように、第3油路部13Aは、軸方向外側(右側)に突出するベアリングオイル供給部13Afを有する。ベアリングオイル供給部13Afは、第3油路部13Aの前後方向の中央部に位置する。ベアリングオイル供給部13Afは、ベアリング26の上側に位置する。ベアリングオイル供給部13Afは、凹溝部13Ahと、第5オイル供給口17dと、を有する。すなわち、第2のリザーバ10は、凹溝部13Ahと、第5オイル供給口17dと、を有する。凹溝部13Ahは、第3底壁部13Aaの上側の面のうち軸方向外側の縁部に設けられる。凹溝部13Ahは、下側に窪み、前後方向に延びる。第5オイル供給口17dは、凹溝部13Ahの溝底面に設けられる。第5オイル供給口17dは、第3底壁部13Aaを軸方向に貫通する貫通孔である。第5オイル供給口17dは、ベアリング26の上側に位置する。第5オイル供給口17dは、凹溝部13Ah内のオイルOをベアリング26に上側から供給する。そのため、第2のリザーバ10を介して、ベアリング26に潤滑油としてオイルOを供給できる。
【0075】
図2に示すように、第3油路部13Bは、第3底壁部13Baと、一対の第3側壁部13Bb,13Bcと、を有する。第3側壁部13Bbは、第3側壁部13Abと異なり第2固定部13Adを有しない。第3側壁部13Bcの前側の端部は、第1側壁部11cに向かって湾曲して滑らかに繋がる湾曲部13Biである。第3側壁部13Bcの後側の端部は、第2側壁部12cに向かって湾曲して滑らかに繋がる湾曲部13Bjである。湾曲部13Biは、上側に突出する凸部13Beを有する。凸部13Beの上側の端部は、凸部13Aeの上側の端部よりも下側に位置する。図示は省略するが、凸部13Beの上側の端部は、例えば、モータ収容部81の内壁面のうち上側に位置する面と接触する。これにより、第3油路部13Bに流入するオイルOが湾曲部13Biを乗り越えることを抑制でき、オイルOが第3油路部13Bから漏れることを抑制できる。
【0076】
第3油路部13Bは、ベアリングオイル供給部13Bfを有する。
図3に示すように、ベアリングオイル供給部13Bfは、凹溝部13Bhと、第5オイル供給口17dと、を有する。ベアリングオイル供給部13Bfの第5オイル供給口17dは、ベアリング27に上側からオイルOを供給する。そのため、第2のリザーバ10を介して、ベアリング27に潤滑油としてオイルOを供給できる。第3油路部13Bは、第3油路部13Aと同様に、複数の第3オイル供給口17cを有する。第3油路部13Bに設けられた第3オイル供給口17cは、コイルエンド33bに上側からオイルOを供給する。
【0077】
図2および
図3に示すように、第3油路部13Bは、ガイド壁部13Bdを有する。ガイド壁部13Bdは、第3底壁部13Baの上側の面から上側に突出する。より詳細には、ガイド壁部13Bdは、第3底壁部13Baの上側の面のうち凹溝部13Bhの軸方向内側(右側)の縁部から上側に突出する。ガイド壁部13Bdは、湾曲部13Biから後側に直線状に延びる。
図3に示すように、ガイド壁部13Bdの後側の端部は、ベアリングオイル供給部13Bfの第5オイル供給口17dよりも前側に位置する。ガイド壁部13Bdは、第1油路部11から第3油路部13Bに流入したオイルOを後側に案内する。
【0078】
図2および
図4に示すように、支持リブ16aは、第1底壁部11aから下側に突出する。本実施形態において支持リブ16aは、軸方向に間隔を空けて複数設けられる。支持リブ16aは、例えば、3つ設けられる。支持リブ16aは、下側を向く支持面16cを有する。支持面16cは、ステータコア本体32aの外周面に沿って湾曲し、ステータコア本体32aの外周面に接触する。
【0079】
支持リブ16bは、第2底壁部12aから下側に突出する。本実施形態において支持リブ16bは、軸方向に間隔を空けて複数設けられる。支持リブ16bは、例えば、3つ設けられる。支持リブ16bは、下側を向く支持面16dを有する。支持面16dは、ステータコア本体32aの外周面に沿って湾曲し、ステータコア本体32aの外周面に接触する。これにより、第2のリザーバ10は、支持リブ16a,16bを介して、ステータコア32の上側に支持される。
【0080】
図2および
図5において破線の矢印で示すように、第3の流路92cから供給口92caを介して第1油路部11に供給されたオイルOは、第1油路部11の長さ方向両側、すなわち軸方向両側に分岐して流れる。より詳細には、供給口92caから平坦部11aaに供給されたオイルOは、平坦部11aaの軸方向両側に位置する傾斜部11ab,11acに沿って流れる。傾斜部11ab,11acは平坦部11aaから軸方向に離れるに従って下側に位置するため、平坦部11aaに供給されたオイルOを傾斜部11ab,11acに沿って好適に軸方向両側に流すことができる。
【0081】
第1油路部11に供給されたオイルOの一部は、第1オイル供給口17aを介してステータコア32に上側から供給される。第1油路部11に供給されたオイルOの他の一部は、第3油路部13A,13Bに流入する。
【0082】
第3油路部13A,13Bに流入したオイルOの一部は、第3オイル供給口17cを介してコイルエンド33a,33bに上側から供給される。第3油路部13A,13Bに流入したオイルOの他の一部は、凹溝部13Ah,13Bhに流入し、第5オイル供給口17dを介してベアリング26,27に上側から供給される。第3油路部13A,13Bに流入したオイルOのさらに他の一部は、軸方向両側から第2油路部12に流入する。
【0083】
ここで、第2底壁部12aの右側の端部には、左側に向かうに従って下側に位置する傾斜面12dが設けられる。そのため、第3油路部13Aの後側の端部から第2油路部12に流入するオイルOを傾斜面12dに沿って流すことができる。これにより、第3油路部13A内のオイルOを第2油路部12へと流入させやすい。
【0084】
また、第3油路部13Bには、第1油路部11から第3油路部13Bに流入したオイルOを後側に案内するガイド壁部13Bdが設けられる。そのため、第3油路部13Bに流入したオイルOを第3油路部13Bに沿って前後方向に流しやすく、第3油路部13Bから第2油路部12へとオイルOを流しやすい。
【0085】
第2油路部12に流入したオイルOは、第3油路部13A,13Bのそれぞれから軸方向内側に流れる。第2油路部12に流入したオイルOは、第2オイル供給口17b,17eを介してステータコア32に上側から供給される。
【0086】
第2のリザーバ10からステータ30およびベアリング26,27に供給されたオイルOは、下側に滴下され、モータ収容部81内の下部領域に溜る。モータ収容部81内の下部領域に溜ったオイルOは、隔壁61cに設けられた隔壁開口68を介してギヤ収容部82に移動する。以上のようにして、第2の油路92は、オイルOをステータ30およびベアリング26,27に供給する。
【0087】
本実施形態によれば、第2のリザーバ10は、鉛直方向に沿って視てモータ軸J1を挟んで配置される第1油路部11と第2油路部12とを有する。第1油路部11はステータ30に上側からオイルOを供給する第1オイル供給口17aを有し、第2油路部12はステータ30に上側からオイルOを供給する第2オイル供給口17b,17eを有する。そのため、第1オイル供給口17aおよび第2オイル供給口17b,17eを介して、ステータ30の前後方向の両側部分にオイルOを好適に供給することができる。これにより、ステータ30を好適に冷却できる。したがって、本実施形態によれば、ステータ30の冷却効率を向上できる。
【0088】
また、第2のリザーバ10は、第1油路部11と第2油路部12とを繋ぐ第3油路部13A,13Bを有する。そのため、第2のリザーバ10に対して、第1油路部11、第2油路部12、および第3油路部13A,13BのいずれからオイルOを供給しても、オイルOを第1油路部11と第2油路部12とに流すことができる。本実施形態では、第1油路部11に供給されたオイルOを第3油路部13A,13Bを介して第2油路部12に流すことができる。これにより、第1油路部11と第2油路部12とに個別にオイルOを供給することなく、第1オイル供給口17aと第2オイル供給口17b,17eとからステータ30にオイルOを供給することができる。したがって、第2の油路92が複雑化することを抑制できる。
【0089】
また、本実施形態によれば、第1オイル供給口17aおよび第2オイル供給口17b,17eは、ステータコア32に上側からオイルOを供給する。そのため、第1オイル供給口17aおよび第2オイル供給口17b,17eを介してステータコア32を好適に冷却することができる。
【0090】
また、本実施形態によれば、第1オイル供給口17aは、第1油路部11が延びる軸方向に沿って複数設けられ、第2オイル供給口17b,17eは、第2油路部12が延びる軸方向に沿って複数設けられる。そのため、複数の第1オイル供給口17aおよび複数の第2オイル供給口17b,17eを介して、ステータ30のうち軸方向に沿った複数箇所にオイルOを供給できる。これにより、軸方向に沿った広範囲において、ステータ30にオイルOを供給できる。したがって、ステータ30全体を冷却しやすく、ステータ30の冷却効率をより向上できる。
【0091】
また、本実施形態によれば、第3油路部13A,13Bは、コイルエンド33a,33bに上側からオイルOを供給する第3オイル供給口17cを有する。そのため、第2のリザーバ10に供給されたオイルOをコイルエンド33a,33bに供給することができる。これにより、ステータ30をより好適に冷却でき、ステータ30の冷却効率をより向上できる。
【0092】
また、本実施形態によれば、第3オイル供給口17cは、第3油路部13A,13Bが延びる方向である前後方向に沿って複数設けられる。そのため、複数の第3オイル供給口17cを介して、コイルエンド33a,33bのうち前後方向に沿った複数箇所にオイルOを供給できる。これにより、前後方向に沿った広範囲において、コイルエンド33a,33bにオイルOを供給できる。したがって、コイルエンド33a,33b全体を冷却しやすく、ステータ30の冷却効率をより向上できる。
【0093】
また、本実施形態によれば、第2のリザーバ10は、軸方向に間隔を空けて配置される一対の第3油路部13A,13Bを有する。そのため、一対の第3油路部13A,13Bを介して、第1油路部11と第2油路部12との間でオイルOを移動させやすい。これにより、例えば本実施形態のように第1油路部11にオイルOが供給される場合に、第1油路部11から第2油路部12へとオイルOを流入させやすい。したがって、第1油路部11の第1オイル供給口17aと第2油路部12の第2オイル供給口17b,17eとからステータ30にオイルOをより好適に供給できる。そのため、ステータ30の冷却効率をより向上できる。
【0094】
また、第3油路部13Aは、第1油路部11の右側の端部と第2油路部12の右側の端部とを繋ぎ、第3油路部13Bは、第1油路部11の左側の端部と第2油路部12の左側の端部とを繋ぐ。そのため、第2のリザーバ10の形状を略矩形枠状にできる。これにより、第1油路部11内のオイルOを好適に第2油路部12へと流しやすく、第2のリザーバ10内の全体において好適にオイルOを流しやすい。
【0095】
(第1実施形態の変形例)
図7に示すように、本変形例のモータ202の第2のリザーバ210において、第3油路部213Aの第3側壁部213Abは、上述した第3側壁部13Abと異なり第2固定部13Adを有しない。第3側壁部213Abは、下側に窪む凹部213Agを有する。凹部213Agは、第3側壁部213Abを軸方向に貫通する。凹部213Agの内縁は、軸方向に沿って視て、下側に凹となる円弧状である。凹部213Agは、第3側壁部213Abの前後方向の中央部に設けられる。凹部213Agの内部は、軸方向に沿って視て、貫通孔32cと重なる。
【0096】
第3底壁部213Aaは、第1部分213Apと、第2部分213Aqと、第3部分213Arと、を有する。第1部分213Apと第2部分213Aqと第3部分213Arとは、前側から後側に向かって、この順に配置される。第1部分213Apは、第1底壁部11aと繋がる部分である。
図8に示すように、第1部分213Apは、第1底壁部11aの右側の端部から後側に延びる板状である。第1部分213Apの上側の面は、鉛直方向と直交する平坦面である。
【0097】
第2部分213Aqは、第1部分213Apに繋がる。第2部分213Aqは、第1部分213Apの後側の端部から後側に延びる板状である。ここで、第3油路部213A内におけるオイルOの流れ方向は前後方向であり、第3油路部213A内においてオイルOは前側から後側に流れる。すなわち、第3油路部213A内のオイルOの流れる方向において、前側は上流側であり、後側は下流側である。したがって、本実施形態において第2部分213Aqは、第3油路部213A内におけるオイルOの流れ方向において第1部分213Apの下流側に繋がる。
【0098】
第2部分213Aqは、コイルエンド33aの上側においてコイルエンド33aの外周面に沿って湾曲する。第2部分213Aqの上側の面は、コイルエンド33aの外周面に沿った円弧状の曲面である。第2部分213Aqのうち前側の部分は、第1部分213Apと繋がる接続部分213Asであり、第1部分213Apから後側に向かうに従って上側に位置する。すなわち、第2部分213Aqのうち第1部分213Apと繋がる部分は、オイルOの流れ方向における下流側に向かうに従って上側に位置する。第2部分213Aqのうち後側の部分は、後側に向かうに従って下側に位置する。
【0099】
第3部分213Arは、第2部分213Aqの後側の端部から後側に延びる板状である。第3部分213Arの上側の面は、鉛直方向と直交する平坦面である。第3部分213Arは、第1部分213Apよりも下側に位置する。
【0100】
図7に示すように、本変形例において第3油路部213Aは、第3オイル供給口として、円形供給口217cと、延伸供給口217fと、を有する。円形供給口217cは、上述した第3オイル供給口17cと同様に、円形状である。円形供給口217cは、第1部分213Apと第2部分213Aqとのそれぞれに2つずつ設けられる。第1部分213Apに設けられた2つの円形供給口217cは、軸方向に並んで配置される。第2部分213Aqに設けられた2つの円形供給口217cは、軸方向に並んで配置される。
【0101】
延伸供給口217fは、第3油路部213Aが延びる前後方向に沿って延びる。延伸供給口217fは、第3底壁部213Aaを鉛直方向に貫通する。延伸供給口217fは、例えば、前後方向に長い長方形状の孔である。本変形例において延伸供給口217fは、固定部32bのうち上側に突出する固定部32bと前後方向において同じ位置に位置する。延伸供給口217fは、第1部分213Apと第2部分213Aqとに跨って設けられる。延伸供給口217fは、第1部分213Apに設けられた2つの円形供給口217cと、第2部分213Aqに設けられた2つの円形供給口217cとの前後方向の間に位置する。
【0102】
延伸供給口217fの開口面積は、円形供給口217cの開口面積よりも大きい。延伸供給口217fの軸方向の寸法は、円形供給口217cの内径の2倍以上である。延伸供給口217fの前後方向の寸法は、円形供給口217cの内径の4倍以上である。
図8に示すように、延伸供給口217fの後側の端部は、接続部分213Asの後側の端部に位置する。言い換えれば、延伸供給口217fの後側の端部は、第3底壁部213Aaのうち最も上側に位置する部分に位置する。延伸供給口217fは、モータ収容部81に設けられた突出壁部81bよりも前側、すなわち第3油路部213A内におけるオイルOの流れ方向における上流側に位置する。
【0103】
突出壁部81bは、モータ収容部81の内側面のうち上側に位置する部分に設けられる。突出壁部81bは、下側に突出する壁部である。図示は省略するが、突出壁部81bは、軸方向に延びる。突出壁部81bは、第3油路部213Aの上側に位置する部分を有する。より詳細には、突出壁部81bは、第2部分213Aqのうち後側の部分の上側に位置する。突出壁部81bは、第2部分213Aqのうち後側の部分と隙間を介して鉛直方向に対向する。
【0104】
突出壁部81bが設けられた部分においては、モータ収容部81と第2のリザーバ210との軸方向の隙間が狭くなる。そのため、突出壁部81bによってオイルOの一部が堰き止められ、第3油路部213Aのうち突出壁部81bと対向する部分においてオイルOが流れにくくなる。突出壁部81bによって堰き止められたオイルOは、第3油路部213Aから軸方向両側に溢れ、ステータ30に供給されにくい場合がある。そのため、第2のリザーバ210に供給されたオイルOの一部がステータ30に供給されず、ステータ30の冷却効率が低下する虞があった。
【0105】
これに対して、本変形例によれば、延伸供給口217fは、第3油路部213A内におけるオイルOの流れ方向において、突出壁部81bよりも上流側に位置する。延伸供給口217fは、第3油路部213Aが延びる方向に沿って延びる。そのため、
図8に示すように、第3油路部213A内を流れるオイルOのうち比較的多量のオイルOを、突出壁部81bの位置まで流れる前に延伸供給口217fを介して下側に流出させることができ、コイルエンド33aに供給できる。これにより、延伸供給口217fよりも下流側に流れるオイルOの量を比較的少なくできる。したがって、第3油路部213Aのうち突出壁部81bの下側に位置する部分に流れ込むオイルOの流量を比較的少なくできる。そのため、第3油路部213A内を流れるオイルOが突出壁部81bによって堰き止められにくくなり、オイルOが第3油路部213Aの軸方向両側に溢れることを抑制できる。これにより、第2のリザーバ210に供給されたオイルOの一部がステータ30に供給されないことを抑制でき、ステータ30の冷却効率が低下することを抑制できる。
【0106】
また、オイルOが突出壁部81bに堰き止められることを抑制できるため、第3油路部213Aから第2油路部12に流れるオイルOの流れを円滑にしやすい。これにより、第3油路部213Aから第2油路部12へとオイルOを流しやすくできる。したがって、第2油路部12に設けられた第2オイル供給口17b,17eを介して、ステータコア32にオイルOを好適に供給できる。
【0107】
本変形例において第2部分213Aqのうち第1部分213Apと繋がる接続部分213Asは、オイルOの流れ方向の下流側に向かうに従って上側に位置する。そのため、第1部分213Ap上から第2部分213Aq上に流れるオイルOは、第2部分213Aqのうち第1部分213Apと繋がる接続部分213Asを乗り越える必要がある。したがって、接続部分213AsからオイルOが前側に抵抗を受け、第3油路部213A内のオイルOの流れが阻害される虞がある。
【0108】
これに対して、本変形例によれば、延伸供給口217fは、第1部分213Apと第2部分213Aqとに跨って設けられる。そのため、第2部分213Aqのうち第1部分213Apと繋がる接続部分213Asの一部に延伸供給口217fの一部が設けられる。これにより、接続部分213AsからオイルOが受ける抵抗を小さくできる。したがって、第3油路部213A内のオイルOの流れが阻害されることを抑制できる。
【0109】
また、延伸供給口217fのうち接続部分213Asに設けられた部分は、オイルOの流れ方向の下流側に向かうに従って上側に位置する。そのため、第1部分213Ap上から下流側に流れるオイルOが、接続部分213Asに設けられた延伸供給口217fの部分から流出しやすい。したがって、延伸供給口217fから流出するオイルOの量を好適に多くしやすく、突出壁部81bによってオイルOが堰き止められることをより抑制できる。
【0110】
第3油路部213Bは、軸方向に対称である点を除いて、第3油路部213Aと同様の構成である。第3油路部213Bは、第3オイル供給口として、延伸供給口217gを有する。延伸供給口217gの構成は、第3油路部213Bの第3底壁部213Baに設けられる点を除いて、延伸供給口217fの構成と同様である。
【0111】
なお、第3油路部213Aに設けられた延伸供給口217fは、突出壁部81bよりも上流側に位置するならば、第1部分213Apと第2部分213Aqとに跨って設けられなくてもよい。延伸供給口217fは、全体が第1部分213Apに設けられてもよい。これらについては、第3油路部213Bに設けられた延伸供給口217gについても同様である。
【0112】
また、第3油路部213A,213Bには、複数ずつ延伸供給口217f,217gが設けられてもよい。延伸供給口217f,217gの形状は、第3油路部213A,213Bが延びる方向に沿って延びるならば、特に限定されない。延伸供給口217f,217gは、楕円形状であってもよいし、長円形状であってもよいし、四角形状以外の多角形状であってもよい。延伸供給口217f,217gは、いずれか一方が設けられなくてもよい。
【0113】
<第2実施形態>
図9から
図11に示すように、本実施形態のモータ102において第2のリザーバ110は、第1油路部111と、第2油路部112と、第3油路部113と、支持リブ118a,118b,118cと、を有する。本実施形態において第3油路部113は、第4油路部114と、第5油路部115と、第6油路部116と、を有する。第1油路部111、第2油路部112および第4油路部114は、上側に開口し、軸方向に延びる樋状である。第5油路部115および第6油路部116は、上側に開口し、前後方向に延びる樋状である。
【0114】
第4油路部114は、鉛直方向に沿って視て、第1油路部111と第2油路部112との間に位置する。本実施形態において第4油路部114は、鉛直方向に沿って視て、モータ軸J1と重なる。第5油路部115は、第4油路部114の右側の端部と第1油路部111の右側の端部とを繋ぐ。第6油路部116は、第4油路部114の右側の端部と第2油路部112の右側の端部とを繋ぐ。本実施形態において第2のリザーバ110は、鉛直方向に沿って視て、E字形状である。
【0115】
第1油路部111は、ステータコア32およびコイルエンド33a,33bの上側に跨って位置する。より詳細には、第1油路部111の軸方向両側の端部は、それぞれコイルエンド33a,33bの上側に位置する。第1油路部111のうち軸方向両側の端部を除く部分は、ステータコア32の上側に位置する。第1油路部111は、第1底壁部111aと、一対の第1側壁部111b,111cと、閉塞壁部111d,111eと、挿込部111fと、を有する。
【0116】
第1底壁部111aは、軸方向に延び、板面が鉛直方向を向く板状である。第1底壁部111aの上側の面は、平坦な面である。第1側壁部111bは、第1底壁部111aの後側の縁部から上側に突出する。第1側壁部111cは、第1底壁部111aの前側の縁部から上側に突出する。一対の第1側壁部111b,111cは、軸方向に延びる。一対の第1側壁部111b,111cは、板面が前後方向を向く板状である。
図12に示すように、第1側壁部111bの上側の端部は、第1側壁部111cの上側の端部よりも上側に位置する。
【0117】
図9に示すように、閉塞壁部111dは、第1油路部111の左側の端部を閉塞する。閉塞壁部111dは、板面が軸方向を向く板状である。閉塞壁部111dは、第1底壁部111aの左側の端部から上側に延びる。閉塞壁部111dは、第1側壁部111bの左側の端部と第1側壁部111cの左側の端部とを繋ぐ。閉塞壁部111eは、第1油路部111の右側の端部を閉塞する。閉塞壁部111eは、板面が軸方向を向く板状である。閉塞壁部111eは、第1底壁部111aの右側の端部から上側に延びる。閉塞壁部111eは、第1側壁部111cの右側の端部と後述する第5側壁部115cの前側の端部とを繋ぐ。
【0118】
挿込部111fは、閉塞壁部111dの上側の端部から左側に突出する。挿込部111fは、板面が鉛直方向を向く板状である。図示は省略するが、挿込部111fは、モータ収容部81の内壁面に設けられた凹部に挿し込まれる。
【0119】
図10に示すように、第1油路部111は、ステータ30に上側からオイルOを供給する第1オイル供給口117aを有する。複数の第1オイル供給口117aは、第1底壁部111aに設けられる。
図12に示すように、第1オイル供給口117aは、凹部117fと、孔部117gと、を有する。凹部117fは、第1底壁部111aの上側の面から下側に窪む。凹部117fは、例えば、板状の第1底壁部111aの一部をプレス加工等によって下側に塑性変形させることで作られる。そのため、第1底壁部111aのうち凹部117fが設けられた部分の下側の面には、下側に突出する凸部117eが設けられる。孔部117gは、凹部117fの底面に設けられる。孔部117gは、第1底壁部111aを鉛直方向に貫通する。孔部117gは、凸部117eの下側の面に開口する。
【0120】
図10に示すように、本実施形態において第1オイル供給口117aは、第1油路部111が延びる方向である軸方向に沿って複数設けられる。第1オイル供給口117aは、例えば、4つ設けられる。4つの第1オイル供給口117aのうち2つの第1オイル供給口117aは、それぞれ、第1底壁部111aの軸方向両側の端部に設けられ、コイルエンド33a,33bの上側に位置する。そのため、第1底壁部111aの軸方向両側の端部に設けられた2つの第1オイル供給口117aは、コイルエンド33a,33bに上側からオイルOを供給する。4つの第1オイル供給口117aのうち他の2つの第1オイル供給口117aは、ステータコア32の上側に位置し、ステータコア32に上側からオイルOを供給する。
【0121】
第2油路部112は、ステータコア32およびコイルエンド33a,33bの上側に跨って位置する。より詳細には、第2油路部112の軸方向両側の端部は、それぞれコイルエンド33a,33bの上側に位置する。第2油路部112のうち軸方向両側の端部を除く部分は、ステータコア32の上側に位置する。第2油路部112は、第2底壁部112aと、一対の第2側壁部112b,112cと、閉塞壁部112d,112eと、挿込部112fと、を有する。第2底壁部112aは、軸方向に延び、板面が鉛直方向を向く板状である。第2底壁部112aの上側の面は、平坦な面である。
図12に示すように、第2底壁部112aは、第1底壁部111aよりも上側に位置する。第2底壁部112aの前後方向の寸法は、例えば、第1底壁部111aの前後方向の寸法と同じである。
【0122】
第2側壁部112bは、第2底壁部112aの前側の縁部から上側に突出する。第2側壁部112cは、第2底壁部112aの後側の縁部から上側に突出する。
図9に示すように、一対の第2側壁部112b,112cは、軸方向に延びる。一対の第2側壁部112b,112cは、板面が前後方向を向く板状である。
図12に示すように、第2側壁部112bの上側の端部は、第2側壁部112cの上側の端部よりも上側に位置する。第2側壁部112b,112cの上側の端部は、第1側壁部111b,111cの上側の端部よりも上側に位置する。
【0123】
図9に示すように、閉塞壁部112dは、第2油路部112の左側の端部を閉塞する。閉塞壁部112dは、板面が軸方向を向く板状である。閉塞壁部112dは、第2底壁部112aの左側の端部から上側に延びる。閉塞壁部112dは、第2側壁部112bの左側の端部と第2側壁部112cの左側の端部とを繋ぐ。閉塞壁部112eは、第2油路部112の右側の端部を閉塞する。閉塞壁部112eは、板面が軸方向を向く板状である。閉塞壁部112eは、第2底壁部112aの右側の端部から上側に延びる。閉塞壁部112eは、第2側壁部112cの右側の端部と後述する第6側壁部116cの後側の端部とを繋ぐ。
【0124】
挿込部112fは、閉塞壁部112dの上側の端部から左側に突出する。挿込部112fは、板面が鉛直方向を向く板状である。図示は省略するが、挿込部112fは、モータ収容部81の内壁面に設けられた凹部に挿し込まれる。
【0125】
図10に示すように、第2油路部112は、ステータ30に上側からオイルOを供給する第2オイル供給口117bを有する。第2オイル供給口117bは、第2底壁部112aに設けられる。第2オイル供給口117bは、第1オイル供給口117aと同様の形状である。本実施形態において第2オイル供給口117bは、第2油路部112が延びる方向である軸方向に沿って複数設けられる。第2オイル供給口117bは、例えば、4つ設けられる。4つの第2オイル供給口117bのうち2つの第2オイル供給口117bは、それぞれ、第2底壁部112aの軸方向両側の端部に設けられ、コイルエンド33a,33bの上側に位置する。そのため、第2底壁部112aの軸方向両側の端部に設けられた2つの第2オイル供給口117bは、コイルエンド33a,33bに上側からオイルOを供給する。4つの第2オイル供給口117bのうち他の2つの第2オイル供給口117bは、ステータコア32の上側に位置し、ステータコア32に上側からオイルOを供給する。
【0126】
第4油路部114は、ステータコア32およびコイルエンド33a,33bの上側に跨って位置する。より詳細には、第4油路部114の軸方向両側の端部は、それぞれコイルエンド33a,33bの上側に位置する。第4油路部114のうち軸方向両側の端部を除く部分は、ステータコア32の上側に位置する。第4油路部114は、第4底壁部114aと、一対の第4側壁部114b,114cと、閉塞壁部114d,114eと、挿込部114fと、仕切壁部114iと、を有する。
【0127】
第4底壁部114aは、軸方向に延びる。第4底壁部114aは、板面が鉛直方向を向く板状である。第4底壁部114aの上側の面は、平坦な面である。
図12に示すように、第4底壁部114aは、第1底壁部111aおよび第2底壁部112aよりも上側に位置する。第4底壁部114aの前後方向の寸法は、第1底壁部111aの前後方向の寸法および第2底壁部112aの前後方向の寸法よりも大きい。
【0128】
図9に示すように、第4側壁部114bは、第4底壁部114aの後側の縁部から上側に突出する。第4側壁部114cは、第4底壁部114aの前側の縁部から上側に突出する。一対の第4側壁部114b,114cは、軸方向に延びる。一対の第4側壁部114b,114cは、板面が前後方向を向く板状である。
図12に示すように、第4側壁部114bの上側の端部と第4側壁部114cの上側の端部とは、軸方向において同じ位置に位置する。第4側壁部114b,114cの上側の端部は、第1側壁部111b,111cおよび第2側壁部112b,112cよりも上側に位置する。
【0129】
図9に示すように、閉塞壁部114dは、第4油路部114の左側の端部を閉塞する。閉塞壁部114dは、板面が軸方向を向く板状である。閉塞壁部114dは、第4底壁部114aの左側の端部から上側に延びる。閉塞壁部114dは、第4側壁部114bの左側の端部と第4側壁部114cの左側の端部とを繋ぐ。閉塞壁部114dは、閉塞壁部114dの上側の端部から下側に窪む凹部114hを有する。
図12に示すように、凹部114hの内縁は、軸方向に沿って視て、下側に窪む円弧状である。
【0130】
閉塞壁部114dには、第3の流路192cの供給口192caが接続される。本実施形態において供給口192caは、軸方向のうち右側に開口する。供給口192caの下側の端部は、凹部114hを介して第4油路部114の内部に開口する。第3の流路192cの供給口192caから右側に排出されたオイルOは、第4油路部114に供給される。すなわち、本実施形態において第3の流路192cは、第2のリザーバ110にオイルOを供給する供給油路に相当し、第4油路部114にオイルOを供給する。より詳細には、第3の流路192cは、第4油路部114の左側の端部にオイルOを供給する。
【0131】
図9に示すように、閉塞壁部114eは、第4油路部114の右側の端部を閉塞する。閉塞壁部114eは、板面が軸方向を向く板状である。閉塞壁部114eは、第4底壁部114aの右側の端部から上側に延びる。閉塞壁部114eは、後述する第5側壁部115cの後側の端部と後述する第6側壁部116cの前側の端部とを繋ぐ。
【0132】
挿込部114fは、閉塞壁部114dの下側の端部から左側に突出する。挿込部114fは、板面が鉛直方向を向く板状である。図示は省略するが、挿込部114fは、モータ収容部81の内壁面に設けられた凹部に挿し込まれる。このように、挿込部111f,112f,114fがモータ収容部81の内壁面に設けられた凹部に挿し込まれることで、第2のリザーバ110における左側の端部をハウジング6に支持させることができる。したがって、第2のリザーバ110を安定してステータ30の上側に保持できる。
【0133】
仕切壁部114iは、第4底壁部114aの前後方向の中央部から上側に突出する。仕切壁部114iは、板面が前後方向を向く板状である。仕切壁部114iは、軸方向に延びる。より詳細には、仕切壁部114iは、閉塞壁部114dよりも右側に離れた位置から閉塞壁部114eまで軸方向に直線状に延びる。
図12に示すように、仕切壁部114iの上側の端部は、第4側壁部114b,114cの上側の端部よりも下側に位置する。仕切壁部114iの上側の端部は、凹部114hの内縁の下端部よりも上側に位置する。
【0134】
図9に示すように、仕切壁部114iの上側の縁部のうち左側の端部は、左側に向かうに従って下側に位置する傾斜部である。すなわち、仕切壁部114iの左側の端部は、左側に向かうに従って第4底壁部114aからの突出高さが小さくなる部分である。仕切壁部114iは、第4油路部114のうちオイルOが供給される左側の端部よりも右側に位置する部分の内部を、軸方向および鉛直方向の両方と直交する前後方向に仕切る。
【0135】
以下の説明においては、仕切壁部114iによって仕切られた第4油路部114の部分のうち前側に位置する部分を前側油路部114jと呼ぶ。また、仕切壁部114iによって仕切られた第4油路部114の部分のうち後側に位置する部分を後側油路部114kと呼ぶ。前側油路部114jの前後方向の寸法と後側油路部114kの前後方向の寸法とは、例えば、互いに同じである。前側油路部114jの前後方向の寸法および後側油路部114kの前後方向の寸法は、例えば、第1油路部111の前後方向の寸法、および第2油路部112の前後方向の寸法と同じである。
【0136】
図10に示すように、第4油路部114は、第3オイル供給口117cと、第4オイル供給口117dと、を有する。すなわち、第3油路部113は、第3オイル供給口117cと、第4オイル供給口117dと、を有する。第3オイル供給口117cおよび第4オイル供給口117dは、第4底壁部114aに設けられる。第3オイル供給口117cおよび第4オイル供給口117dは、第1オイル供給口117aと同様の形状である。
【0137】
本実施形態において第3オイル供給口117cは、複数設けられる。第3オイル供給口117cは、例えば、3つ設けられる。より詳細には、第3オイル供給口117cは、第4底壁部114aのうち仕切壁部114iの左側に位置する部分に1つ、前側油路部114jの第4底壁部114aにおける右側の端部に1つ、および後側油路部114kの第4底壁部114aにおける右側の端部に1つ、それぞれ設けられる。仕切壁部114iの左側に設けられた第3オイル供給口117cは、コイルエンド33bの上側に位置し、コイルエンド33bに上側からオイルOを供給する。前側油路部114jに設けられた第3オイル供給口117cおよび後側油路部114kに設けられた第3オイル供給口117cは、コイルエンド33aの上側に位置し、コイルエンド33aに上側からオイルOを供給する。
【0138】
第4オイル供給口117dは、ステータコア32の上側に位置し、ステータコア32に上側からオイルOを供給する。本実施形態において第4オイル供給口117dは、複数設けられる。第4オイル供給口117dは、例えば、4つ設けられる。より詳細には、第4オイル供給口117dは、前側油路部114jの第4底壁部114aに2つ、および後側油路部114kの第4底壁部114aに2つ、それぞれ設けられる。前側油路部114jに設けられた2つの第4オイル供給口117dは、前側油路部114jが延びる軸方向に沿って間隔を空けて配置される。後側油路部114kに設けられた2つの第4オイル供給口117dは、後側油路部114kが延びる軸方向に沿って間隔を空けて配置される。
【0139】
前側油路部114jに設けられた第4オイル供給口117dのうちの1つと、後側油路部114kに設けられた第4オイル供給口117dのうちの1つとは、軸方向において互いに同じ位置に配置され、かつ、第1オイル供給口117aのうちの1つおよび第2オイル供給口117bのうちの1つと軸方向において同じ位置に配置される。前側油路部114jに設けられた第4オイル供給口117dのうちの他の1つと、後側油路部114kに設けられた第4オイル供給口117dのうちの他の1つとは、軸方向において互いに同じ位置に配置され、かつ、第1オイル供給口117aのうちの他の1つおよび第2オイル供給口117bのうちの他の1つと軸方向において同じ位置に配置される。
【0140】
本実施形態において第5油路部115は、前側油路部114jの右側の端部から第1油路部111の右側の端部まで延びる。第5油路部115は、コイルエンド33aの上側に位置する。第5油路部115は、ステータコア32よりも軸方向外側(右側)に位置する。第5油路部115の軸方向の寸法は、第1油路部111の前後方向の寸法、第2油路部112の前後方向の寸法、前側油路部114jの前後方向の寸法、および後側油路部114kの前後方向の寸法よりも大きい。
【0141】
第5油路部115は、第5底壁部115aと、一対の第5側壁部115b,115cと、を有する。第5底壁部115aは、前後方向に延びる。第5底壁部115aは、板面が鉛直方向を向く板状である。第5底壁部115aの後側の端部は、前側油路部114jにおける第4底壁部114aの右側の端部に繋がる。第5底壁部115aの前側の端部は、第1底壁部111aの右側の端部に繋がる。
図9に示すように、第5底壁部115aの上側の面は、前側油路部114jから前側に向かうに従って下側に位置する傾斜面である。第5底壁部115aの軸方向の寸法は、第1底壁部111aの前後方向の寸法および第2底壁部112aの前後方向の寸法よりも大きい。
【0142】
第5側壁部115bは、第5底壁部115aの軸方向内側(左側)の縁部から上側に突出する。第5側壁部115cは、第5底壁部115aの軸方向外側(右側)の縁部から上側に突出する。一対の第5側壁部115b,115cは、前後方向に対して鉛直方向に僅かに斜めに傾いた方向に延びる。より詳細には、一対の第5側壁部115b,115cは、前側に向かうに従って下側に位置する向きに延びる。一対の第5側壁部115b,115cは、板面が軸方向を向く板状である。第5側壁部115bは、第4側壁部114cの右側の端部と第1側壁部111bの右側の端部とを繋ぐ。第5側壁部115cは、閉塞壁部114eの前側の端部と閉塞壁部111eの後側の端部とを繋ぐ。
【0143】
第5側壁部115bには、第3固定部115dが設けられる。第3固定部115dは、第5側壁部115bのうち前側の端部から上側に突出する。第3固定部115dは、前後方向に間隔を空けて配置される一対の柱部115e,115fを有する。一対の柱部115e,115fは、他方の柱部が位置する側に開口する凹部を有する。第3固定部115dには、ワッシャ100が保持される。ワッシャ100は、前後方向両側の縁部が柱部115e,115fの凹部に嵌め合わされて保持される。ワッシャ100には、ワッシャ100をハウジング6に固定するネジが通される。これにより、第3固定部115dは、ワッシャ100を介してハウジング6に固定される。
【0144】
本実施形態において第6油路部116は、後側油路部114kの右側の端部から第2油路部112の右側の端部まで延びる。第6油路部116は、コイルエンド33aの上側に位置する。第6油路部116の軸方向の寸法は、第1油路部111の前後方向の寸法、第2油路部112の前後方向の寸法、前側油路部114jの前後方向の寸法、および後側油路部114kの前後方向の寸法よりも大きい。第6油路部116の軸方向の寸法は、例えば、第5油路部115の軸方向の寸法と同じである。
【0145】
第6油路部116は、第6底壁部116aと、一対の第6側壁部116b,116cと、を有する。第6底壁部116aは、前後方向に延び、板面が鉛直方向を向く板状である。第6底壁部116aの前側の端部は、後側油路部114kにおける第4底壁部114aの右側の端部に繋がる。第6底壁部116aの後側の端部は、第2底壁部112aの右側の端部に繋がる。
図9に示すように、第6底壁部116aの上側の面は、後側油路部114kから後側に向かうに従って下側に位置する傾斜面である。第6底壁部116aの軸方向の寸法は、第1底壁部111aの前後方向の寸法および第2底壁部112aの前後方向の寸法よりも大きい。第6底壁部116aの軸方向の寸法は、例えば、第5底壁部115aの軸方向の寸法と同じである。
【0146】
第6側壁部116bは、第6底壁部116aの軸方向内側(左側)の縁部から上側に突出する。第6側壁部116cは、第6底壁部116aの軸方向外側(右側)の縁部から上側に突出する。一対の第6側壁部116b,116cは、前後方向に対して鉛直方向に僅かに斜めに傾いた方向に延びる。より詳細には、一対の第6側壁部116b,116cは、後側に向かうに従って下側に位置する向きに延びる。一対の第6側壁部116b,116cは、板面が軸方向を向く板状である。第6側壁部116bは、第4側壁部114bの右側の端部と第2側壁部112bの右側の端部とを繋ぐ。第6側壁部116cは、閉塞壁部114eの後側の端部と閉塞壁部112eの前側の端部とを繋ぐ。
【0147】
第6側壁部116bには、第4固定部116dが設けられる。第4固定部116dは、第6側壁部116bのうち前側の端部から上側に突出する。第4固定部116dは、第3固定部115dと同様の形状である。第4固定部116dは、ワッシャ100を保持する一対の柱部116e,116fを有する。本実施形態の第2のリザーバ110は、第3固定部115dおよび第4固定部116dを介してハウジング6にネジ止めされることで、ハウジング6に固定される。そのため、第2のリザーバ110を安定してハウジング6に固定できる。
【0148】
図11に示すように、支持リブ118aは、第1底壁部111aから下側に突出する。支持リブ118aは、例えば、軸方向に間隔を空けて2つ設けられる。支持リブ118bは、第2底壁部112aから下側に突出する。支持リブ118bは、例えば、軸方向に間隔を空けて2つ設けられる。支持リブ118cは、第4底壁部114aから下側に突出する。支持リブ118cは、例えば、4つ設けられる。より詳細には、支持リブ118cは、前後方向に間隔を空けて配置される一対の支持リブ118cが軸方向に間隔を空けて2組設けられる。
図12に示すように、支持リブ118a,118b,118cは、ステータコア本体32aの外周面に接触する。これにより、第2のリザーバ110は、支持リブ118a,118b,118cを介して、ステータコア32の上側に支持される。
【0149】
図9において破線の矢印で示すように、第3の流路192cから供給口192caを介して第4油路部114の左側の端部に供給されたオイルOは、前側油路部114jと後側油路部114kとに分岐して、軸方向に沿って右側に流れる。第4油路部114に供給されたオイルOの一部は、第3オイル供給口117cを介してコイルエンド33a,33bに上側から供給される。第4油路部114に供給されたオイルOの他の一部は、第4オイル供給口117dを介してステータコア32に上側から供給される。第4油路部114に供給されたオイルOのさらに他の一部は、第5油路部115および第6油路部116に流入する。
【0150】
第5油路部115には、前側油路部114jからオイルOが流入する。第5油路部115に流入したオイルOは、第5油路部115に沿って前側に流れ、第1油路部111に流入する。ここで、第5油路部115における第5底壁部115aの上側の面は、前側に向かうに従って下側に位置する傾斜面であるため、第5油路部115に流入したオイルOを第1油路部111へと流しやすい。
【0151】
第5油路部115から第1油路部111に流入したオイルOは、第1油路部111に沿って左側に流れる。第1油路部111に流入したオイルOは、第1オイル供給口117aを介して、コイルエンド33a,33bおよびステータコア32に上側から供給される。
【0152】
第6油路部116には、後側油路部114kからオイルOが流入する。第6油路部116に流入したオイルOは、第6油路部116に沿って後側に流れ、第2油路部112に流入する。ここで、第6油路部116における第6底壁部116aの上側の面は、後側に向かうに従って下側に位置する傾斜面であるため、第6油路部116に流入したオイルOを第2油路部112へと流しやすい。
【0153】
第6油路部116から第2油路部112に流入したオイルOは、第2油路部112に沿って左側に流れる。第2油路部112に流入したオイルOは、第2オイル供給口117bを介して、コイルエンド33a,33bおよびステータコア32に上側から供給される。
【0154】
本実施形態によれば、第3油路部113は、鉛直方向に沿って視て第1油路部111と第2油路部112との間に位置する第4油路部114を有する。そのため、第4油路部114にオイル供給口を設けることで、第4油路部114を介して、鉛直方向に沿って視て第1油路部111と第2油路部112との間に位置するステータ30の部分にもオイルOを上側から供給できる。そのため、ステータ30の冷却効率をより向上できる。
【0155】
本実施形態では、第4油路部114は、第3オイル供給口117cを有する。そのため、第3オイル供給口117cを介して、第4油路部114に流れるオイルOの一部をコイルエンド33a,33bに上側から供給できる。また、本実施形態では、第4油路部114は、第4オイル供給口117dを有する。そのため、第4オイル供給口117dを介して、第4油路部114に流れるオイルOの一部をステータコア32に上側から供給できる。
【0156】
また、本実施形態によれば、第4油路部114のうちオイルOが供給される左側の端部よりも右側に位置する部分の内部を前後方向に仕切る仕切壁部114iが設けられる。そのため、第4油路部114にオイルOが供給された直後に、オイルOの流れを、前側油路部114jを通って第5油路部115および第1油路部111に向かう流れと、後側油路部114kを通って第6油路部116および第2油路部112に向かう流れと、に分岐させることができる。そのため、第4油路部114に供給されたオイルOを、第1油路部111と第2油路部112との両方に流しやすく、ステータ30をより好適に冷却しやすい。したがって、ステータ30の冷却効率をより向上できる。
【0157】
本発明は上述の実施形態に限られず、他の構成を採用することもできる。第2のリザーバは、オイルを貯留でき、オイルをステータに上側から供給できるならば、樋状でなくてもよい。第2のリザーバは、例えば、管路状であってもよい。第2のリザーバには、いずれの部分からオイルが供給されてもよい。第2のリザーバの形状は、第1油路部と第2油路部と第3油路部とを有する形状ならば、特に限定されない。
【0158】
第2のリザーバは、第2油路部と第3油路部との少なくとも一方を有しなくてもよい。この場合、第2のリザーバの第1油路部には、第1油路部が延びる方向に沿って複数の第1オイル供給口が設けられ、複数の第1オイル供給口は、ステータコアに上側からオイルを供給する。この構成によれば、第1オイル供給口を介してステータコアにオイルを直接供給でき、かつ、第1オイル供給口が複数設けられることでステータコアの広範囲にオイルを供給しやすい。そのため、ステータを好適に冷却しやすい。したがって、ステータの冷却効率を向上できる。
【0159】
第1油路部に設けられる第1オイル供給口の数は、限定されず、1つのみであってもよい。第1オイル供給口は、ステータに上側からオイルを供給できるならば、特に限定されない。第2油路部に設けられる第2オイル供給口の数は、限定されず、1つのみであってもよい。第2オイル供給口は、ステータに上側からオイルを供給できるならば、特に限定されない。
【0160】
第3油路部は、第1油路部と第2油路部とを繋ぐならば、特に限定されない。例えば、第1実施形態において第3油路部13A,13Bの少なくとも一方は、第1油路部11の軸方向の中央部分と第2油路部12の軸方向の中央部分とを繋いでもよい。また、例えば、第2実施形態において第3油路部113における第4油路部114は、仕切壁部114iを有しなくてもよい。第3油路部には、第3オイル供給口および第4オイル供給口が設けられなくてもよい。第5オイル供給口は、設けられなくてもよい。
【0161】
上述した駆動装置およびモータの用途は、特に限定されない。モータは、駆動装置に設けられなくてもよい。モータは、車両以外の機器に設けられてもよい。本明細書において説明した構成は、相互に矛盾しない範囲内において、適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0162】
1…駆動装置、2,102…モータ、3…伝達装置、10,110…第2のリザーバ(リザーバ)、11,111…第1油路部、12,112…第2油路部、13A,13B,113…第3油路部、17a,117a…第1オイル供給口、17b,17e,117b…第2オイル供給口、17c,117c…第3オイル供給口、17d…第5オイル供給口、20…ロータ、26,27…ベアリング、30…ステータ、31…コイル、32…ステータコア、33…コイルアセンブリ、33a,33b…コイルエンド、81…モータ収容部、81b…突出壁部、92c,192c…第3の流路(供給油路)、114…第4油路部、114i…仕切壁部、115…第5油路部、116…第6油路部、117d…第4オイル供給口、213Ap…第1部分、213Aq…第2部分、217c…円形供給口(第3オイル供給口)、217f,217g…延伸供給口(第3オイル供給口)、J1…モータ軸、O…オイル