IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 大正製薬株式会社の特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-18
(45)【発行日】2023-07-26
(54)【発明の名称】毛髪用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/9789 20170101AFI20230719BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20230719BHJP
   A61K 8/41 20060101ALI20230719BHJP
   A61K 8/46 20060101ALI20230719BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20230719BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20230719BHJP
   A61K 8/92 20060101ALI20230719BHJP
   A61Q 5/00 20060101ALI20230719BHJP
   A61Q 5/12 20060101ALI20230719BHJP
【FI】
A61K8/9789
A61K8/34
A61K8/41
A61K8/46
A61K8/73
A61K8/81
A61K8/92
A61Q5/00
A61Q5/12
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019170241
(22)【出願日】2019-09-19
(65)【公開番号】P2020055801
(43)【公開日】2020-04-09
【審査請求日】2022-06-17
(31)【優先権主張番号】P 2018182429
(32)【優先日】2018-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002819
【氏名又は名称】大正製薬株式会社
(72)【発明者】
【氏名】清水 友里
(72)【発明者】
【氏名】谷村 淳一
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 一裕
【審査官】▲高▼橋 明日香
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-124341(JP,A)
【文献】特開2007-161605(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00-8/99
A61Q 1/00-90/00
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)カチオン性界面活性剤を1~3%、(b)カチオン化グアーガム、ポリクオタニウム-7、及びポリクオタニウム-10からなる群から選ばれる少なくとも1種のカチオン化高分子を0.2~0.5%、(c)セチルアルコール、ステアリルアルコール、水添ナタネ油アルコール、及びベヘニルアルコールからなる群から選ばれる少なくとも1種の高級アルコールを2~6%、(d)タウリンを0.001~0.5%、並びに(e)オウレン抽出物、及び/又はオウバク抽出物を0.001~0.5%を含有することを特徴とする毛髪用組成物。
【請求項2】
(a)カチオン性界面活性剤が、セトリモニウムクロリド、ステアルトリモニムクロリド、ベヘントリモニウムクロリド、及びステアラミドプロピルジメチルアミンからなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載の毛髪用組成物。
【請求項3】
シリコン類を含有しない請求項1又は2に記載の毛髪用組成物。
【請求項4】
毛髪用リンス、毛髪用トリートメント、又は毛髪用コンディショナーである、請求項1~3のいずれかに記載の毛髪用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は製剤の伸びが改善された毛髪用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
毛髪は、へアカラーによる化学処理や、洗髪、ドライヤーの熱による物理処理によってダメージを受ける。毛髪はダメージを受けると、パサつく、まとまりが悪い、つやがなくなるといった様に美的観点においても負要素が発生することはよく知られている。そのため、ダメージを受けた毛髪をケアし、また毛髪に滑らかさ、しっとり感を付与する目的で、コンディショニング剤が広く用いられてきた。今までに、ダメージケア効果やしっとり感などを毛髪に付与することを目的として、コンディショニング剤は例えばジメチコンやアモジメチコンなどのシリコン類が用いられている(特許文献1)。しかし、シリコン類は吸着性が高いため、洗浄後の髪の触感として毛髪が重く感じられたり、べたつきを感じたりするケースがある。通常、さらさら感やさっぱり感を望む場合は、ノンシリコンタイプを使用するのが適している。
【0003】
カチオン性界面活性剤はアミン塩型と4級アンモニウム塩型に大別され、毛髪にコンディショニング効果を付与する目的で用いられている(特許文献2~3)。カチオン性界面活性剤を配合した毛髪化粧料は仕上がり感に優れているものの、毛髪に塗布した際の毛髪全体への伸ばしやすさに関しては未だ解決の余地がある。毛髪に塗布した際に毛髪用組成物の伸びが不十分であると、使用時に十分な満足感が得られないことから1回あたりの使用量が多くなってしまい、経済的な負担が大きくなってしまう懸念がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-24167号公報
【文献】特開2013-249281公報
【文献】特開平11-228358号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
カチオン性界面活性剤を含有し、毛髪に塗布した際に毛髪全体への伸ばしやすさを改善した毛髪用組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、特定のカチオン化高分子、特定の高級アルコール、タウリン、及びオウレン抽出物又はオウバク抽出物を組み合わせると、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち本発明は、
(1)(a)カチオン性界面活性剤、(b)カチオン化グアーガム、ポリクオタニウム-7、及びポリクオタニウム-10からなる群から選ばれる少なくとも1種のカチオン化高分子(c)セチルアルコール、ステアリルアルコール、水添ナタネ油アルコール、及びベヘニルアルコールからなる群から選ばれる少なくとも1種の高級アルコール、(d)タウリン、並びに(e)オウレン抽出物、及び/又はオウバク抽出物を含有することを特徴とする毛髪用組成物、
(2)(a)カチオン性界面活性剤が、セトリモニウムクロリド、ステアルトリモニムクロリド、ベヘントリモニウムクロリド、及びステアラミドプロピルジメチルアミンからなる群から選ばれる少なくとも1種である、(1)に記載の毛髪用組成物、
(3)シリコン類を含有しない(1)又は(2)に記載の毛髪用組成物、
(4)毛髪用リンス、毛髪用トリートメント、又は毛髪用コンディショナーである、(1)~(3)のいずれかに記載の毛髪用組成物、
である。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、製剤の伸びが改善された毛髪用組成物を提供することが可能になった。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の毛髪用組成物において用いる各成分は、通常医薬品、医薬部外品、又は化粧品に用いられる品質のものを適宜使用することができる。
【0010】
本発明のカチオン性界面活性剤は、4級アンモニウム塩としては、例えばセトリモニウムクロリド、ステアルトリモニムクロリド、及びベヘントリモニウムクロリドが挙げられ、アミン塩型の例としては、例えばステアラミドプロピルジメチルアミンが挙げられ、これらを1種又は2種以上組み合わせてもよい。本発明の毛髪用組成物中におけるカチオン性界面活性剤の含有量は、合計量として0.01~10w/w%が好ましく、0.1~7w/w%がより好ましい。
【0011】
本発明のカチオン化高分子は、カチオン化グアーガム、ポリクオタニウム-7及びポリクオタニウム-10から選ばれる少なくとも1種である。本発明の毛髪用組成物中におけるこれらの含有量は、合計量として0.001~10w/w%が好ましく、0.01~1w/w%がより好ましい。
【0012】
本発明の高級アルコールは、セチルアルコール、ステアリルアルコール、水添ナタネ油アルコール、及びベヘニルアルコールから選ばれる少なくとも1種である。本発明の毛髪用組成物中におけるこれらの含有量は、合計量として0.1~40w/w%が好ましく、1~20w/w%がより好ましい。
【0013】
本発明の毛髪用組成物には、本発明の効果の点からタウリンが必須である。本発明の毛髪用組成物中におけるタウリン量は、本発明の毛髪用組成物中0.0001~5w/w%が好ましく、0.001~1w/w%がより好ましい。
【0014】
また、本発明の毛髪用組成物には、本発明の効果の点からオウレン抽出物及びオウバク抽出物から選ばれる少なくとも1種の配合が必須である。オウレン抽出物は、オウレン(学名Coptis japonica Makino)又はその他同属植物の根茎から得られる抽出物である。オウバク抽出物は、キハダ(学名Phellodendron amurense Ruprecht)又はその他同属植物の周皮を除いた樹皮から得られる抽出物である。上記抽出物の抽出方法は特に限定されず、常法に従って行うことができる。抽出に用いられる抽出溶媒としては、極性溶媒、非極性溶媒のいずれも使用することができ、例えば水、エタノール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、及びこれらの混液を用いることができる。上記抽出物は、抽出した溶液のまま用いても良く、必要に応じて、濃縮、希釈、濾過、活性炭等による脱色、脱臭、エタノール沈殿等の処理したものを用いても良い。さらには、抽出した溶液を濃縮乾固、噴霧乾燥、凍結乾燥等の処理を行い、乾燥物としたものとして用いても良い。また市販品を用いることもできる。
本発明の毛髪用組成物中におけるオウレン抽出物又はオウバク抽出物の含有量は、本発明の毛髪用組成物中0.0001~5w/w%が好ましく、0.001~1w/w%がより好ましい。
【0015】
本発明の毛髪用組成物は、更に必要により油剤を配合することができる。油剤の例としては、流動パラフィン、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル、イソオクタン酸セチル、パルミチン酸2-エチルヘキシル等が挙げられ、これらを1種又は2種以上組み合わせてもよい。油剤の配合量は、全本発明の毛髪用組成物中、好ましくは0.5~20w/w%であり、より好ましくは1~10w/w%未満である。
【0016】
本発明の毛髪用組成物は、更に必要により多価アルコール又は水を配合することができる。多価アルコールの例としては、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン(例えば、濃グリセリン)等が挙げられ、これらを1種又は2種以上組み合わせてもよい。多価アルコールの配合量は、本発明の毛髪用組成物中好ましくは1~50w/w%であり、より好ましくは2~30w/w%未満である。
【0017】
本発明の毛髪用組成物は、更に必要によりpH調整剤を配合することができる。pH調製剤の例としては、酒石酸、リン酸、クエン酸、乳酸、塩酸、グルコン酸、酢酸、硫酸、ホウ酸、硝酸、マレイン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸からなる群から選
ばれる酸及び/又はこれらの塩、水酸化ナトリウム、リジン、アルギニン、ヒスチジンが挙げられ、これらを1種又は2種以上組み合わせてもよい。pH調整剤配合量は、本発明の毛髪用組成物中好ましくは0.0001~20w/w%であり、より好ましくは0.0005~10w/w%未満である。
【0018】
本発明の毛髪用組成物は、上記した各成分の他に、本発明の効果を損なわない範囲で、通常の化粧料、医薬部外品、医薬品などに用いられる各種成分を加えることができる。例えば、賦形剤、香料、清涼化剤(メントール、ハッカ油、カンフル等)、抗炎症剤(グアイアズレン、サリチル酸、グリチルリチン酸塩、グリチルレチン酸等)、殺菌剤(グルコン酸クロルヘキシジン、イソプロピルメチルフェノール、第4級アンモニウム塩、ピロクトンオラミン等)、防腐剤(パラベン類(メチルパラベン、エチルパラベン、ブチルパラベン、プロピルパラベン等)、安息香酸又はその塩、デヒドロ酢酸ナトリウム、フェノキシエタノール、ヒノキチオール等、保湿剤(ヒアルロン酸又はその塩、コンドロイチン硫酸等)、各種動植物(イチイ、ボタンピ、カンゾウ、オトギリソウ、附子、ビワ、カワラヨモギ、コンフリー、アシタバ、サフラン、サンシシ、ローズマリー、セージ、モッコウ、セイモッコウ、ホップ、プラセンタ、ノコギリヤシ、パンプキンシード等)の抽出物、ビタミン類(酢酸レチノール、アスコルビン酸、硝酸チアミン、シアノコバラミン、ビオチン、リボフラビン等)、抗酸化剤(ジブチルヒドロキシトルエン、ピロ亜硫酸ナトリウム、トコフェロール、エデト酸ナトリウム、アスコルビン酸、イソプロピルガレート等)、溶解補助剤(各種植物油、各種動物油、アルキルグリセリルエーテル、炭化水素類等)、代謝賦活剤、ゲル化剤(水溶性高分子等)、粘着剤から成る群より選ばれた成分が挙げられる。
【0019】
本発明の毛髪用組成物中におけるシリコン類の配合は、ダメージケア効果や洗浄後の髪の触感としてしっとり感を毛髪に付与できる効果が高いものの、その高吸着性により毛髪が重く感じられ、時にはべたつき感もあるという課題がある。よって、さっぱり感やさらさら感を付与したい場合は、シリコン類を含まないものとすることが好ましい。
【0020】
本発明の毛髪用組成物は化粧料、医薬部外品、医薬品などの用途に使用できる。また、本発明の毛髪用組成物は、毛髪用シャンプー、毛髪用リンス、毛髪用コンディショナー及び毛髪用トリートメント等のコンディショニング剤として使用すること好ましい。
【0021】
本発明の毛髪用組成物の調製は、常法に従い、上記各成分を含有することにより調製される。
【0022】
以下に、実施例、比較例及び試験例を記載し、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例等により何ら制約されるものではない。
【実施例
【0023】
以下表1、2に示す処方に従い、実施例1~8、比較例1~7、及び処方例1の毛髪用組成物を常法により調製した。また、実施例、比較例に使用したオウバク抽出物はオウバク抽出液BG-J(丸善製薬製)、オウレン抽出物はオウレン抽出液BG30(丸善製薬製)である。
【0024】
(実施例1)
約80℃の湯浴中で、ベヘントリモニウムクロリド3g、カチオン化グアーガム0.2g、1,3-ブチレングリコール4g、濃グリセリン4g、精製水70g、pH調整剤を混合した後、セチルアルコール3g、水添ナタネ油アルコール3g、流動パラフィン3gを加え混合し、約40℃まで冷却を行い、pH4.0の毛髪用組成物を得た。さらにタウリン0.001g、オウレン抽出物0.001g、pH調整剤を加え、精製水で全量を100gとして、pH4.2の毛髪用組成物を得た。
【0025】
(実施例2)
約80℃の湯浴中で、ベヘントリモニウムクロリド3g、カチオン化グアーガム0.2g、1,3-ブチレングリコール4g、濃グリセリン4g、精製水70g、pH調整剤を混合した後、セチルアルコール3g、水添ナタネ油アルコール3g、流動パラフィン3gを加え混合し、約40℃まで冷却を行い、pH4.0の毛髪用組成物を得た。さらにタウリン0.001g、オウバク抽出物0.001g、pH調整剤を加え、精製水で全量を100gとして、pH4.2の毛髪用組成物を得た。
【0026】
(実施例3)
約80℃の湯浴中で、ベヘントリモニウムクロリド3g、カチオン化グアーガム0.2g、1,3-ブチレングリコール4g、濃グリセリン4g、精製水70g、pH調整剤を混合した後、セチルアルコール3g、水添ナタネ油アルコール3g、流動パラフィン3gを加え混合し、約40℃まで冷却を行い、pH4.0の毛髪用組成物を得た。さらにタウリン0.5g、オウレン抽出物0.5g、pH調整剤を加え、精製水で全量を100gとして、pH4.2の毛髪用組成物を得た。
【0027】
(実施例4)
約80℃の湯浴中で、ベヘントリモニウムクロリド1g、カチオン化グアーガム0.5g、1,3-ブチレングリコール2g、濃グリセリン2g、精製水70g、pH調整剤を混合した後、セチルアルコール1g、水添ナタネ油アルコール1g、流動パラフィン1gを加え混合し、約40℃まで冷却を行い、pH4.0の毛髪用組成物を得た。さらにタウリン0.5g、オウバク抽出物0.5g、pH調整剤を加え、精製水で全量を100gとして、pH4.2の毛髪用組成物を得た。
【0028】
(実施例5)
約80℃の湯浴中で、セトリモニウムクロリド2g、ポリクオタニウム-10 0.1g、ポリクオタニウム-7 0.1g、1,3-ブチレングリコール3g、濃グリセリン3g、タウリン0.1g、精製水70g、pH調整剤を混合した後、ステアリルアルコール2g、ベヘニルアルコール2g、イソオクタン酸セチル3g、パルミチン酸2-エチルヘキシル3g、精製水10gを加え混合し、約40℃まで冷却を行い、pH調整剤を加えpH4.0の毛髪用組成物を得た。さらにオウレン抽出物0.3gを加え、精製水で全量を100gとして、pH3.9の毛髪用組成物を得た。
【0029】
(実施例6)
約80℃の湯浴中で、セトリモニウムクロリド2g、ポリクオタニウム-10 0.1g、ポリクオタニウム-7 0.1g、1,3-ブチレングリコール3g、濃グリセリン3g、タウリン0.1g、精製水70g、pH調整剤を混合した後、ステアリルアルコール2g、ベヘニルアルコール2g、イソオクタン酸セチル3g、パルミチン酸2-エチルヘキシル3g、精製水10gを加え混合し、約40℃まで冷却を行い、pH調整剤を加えpH4.0の毛髪用組成物を得た。さらにオウバク抽出物0.3gを加え、精製水で全量を100gとして、pH3.9の毛髪用組成物を得た。
【0030】
(実施例7)
約80℃の湯浴中で、ステアラミドプロピルジメチルアミン2g、ポリクオタニウム-10 0.1g、ポリクオタニウム-7 0.1g、1,3-ブチレングリコール3g、濃グリセリン3g、タウリン0.1g、精製水70g、pH調整剤を混合した後、ステアリルアルコール2g、ベヘニルアルコール2g、イソオクタン酸セチル3g、パルミチン酸2-エチルヘキシル3g、精製水10gを加え混合し、約40℃まで冷却を行い、pH調整剤を加えpH4.0の毛髪用組成物を得た。さらにオウレン抽出物0.3gを加え、精製水で全量を100gとして、pH4.1の毛髪用組成物を得た。
【0031】
(実施例8)
約80℃の湯浴中で、ステアラミドプロピルジメチルアミン2g、ポリクオタニウム-10 0.1g、ポリクオタニウム-7 0.1g、1,3-ブチレングリコール3g、濃グリセリン3g、タウリン0.1g、精製水70g、pH調整剤を混合した後、ステアリルアルコール2g、ベヘニルアルコール2g、イソオクタン酸セチル3g、パルミチン酸2-エチルヘキシル3g、精製水10gを加え混合し、約40℃まで冷却を行い、pH調整剤を加えpH4.0の毛髪用組成物を得た。さらにオウバク抽出物0.3gを加え、精製水で全量を100gとして、pH4.0の毛髪用組成物を得た。
【0032】
(比較例1)
約80℃の湯浴中で、ベヘントリモニウムクロリド3g、カチオン化グアーガム0.2g、1,3-ブチレングリコール4g、濃グリセリン4g、精製水70g、pH調整剤を混合した後、セチルアルコール3g、水添ナタネ油アルコール3g、流動パラフィン3gを加え混合し、約40℃まで冷却を行い、pH4.0の毛髪用組成物を得た。さらにタウリン0.001g、pH調整剤を加え、精製水で全量を100gとして、pH4.2の毛髪用組成物を得た。
【0033】
(比較例2)
約80℃の湯浴中で、ベヘントリモニウムクロリド3g、カチオン化グアーガム0.2g、1,3-ブチレングリコール4g、濃グリセリン4g、精製水70g、pH調整剤を混合した後、セチルアルコール3g、水添ナタネ油アルコール3g、流動パラフィン3gを加え混合し、約40℃まで冷却を行い、pH4.0の毛髪用組成物を得た。さらにオウレン抽出物0.001g、pH調整剤を加え、精製水で全量を100gとして、pH4.2の毛髪用組成物を得た。
【0034】
(比較例3)
約80℃の湯浴中で、ベヘントリモニウムクロリド3g、カチオン化グアーガム0.2g、1,3-ブチレングリコール4g、濃グリセリン4g、精製水70g、pH調整剤を混合した後、セチルアルコール3g、水添ナタネ油アルコール3g、流動パラフィン3gを加え混合し、約40℃まで冷却を行い、pH4.0の毛髪用組成物を得た。さらにオウバク抽出物0.001g、pH調整剤を加え、精製水で全量を100gとして、pH4.2の毛髪用組成物を得た。
【0035】
(比較例4)
約80℃の湯浴中で、ベヘントリモニウムクロリド3g、カチオン化グアーガム0.2g、1,3-ブチレングリコール4g、濃グリセリン4g、精製水70g、pH調整剤を混合した後、セチルアルコール3g、水添ナタネ油アルコール3g、流動パラフィン3gを加え混合し、約40℃まで冷却を行い、pH4.0の毛髪用組成物を得た。さらにpH調整剤を加え、精製水で全量を100gとして、pH4.1の毛髪用組成物を得た。
【0036】
(比較例5)
約80℃の湯浴中で、ベヘントリモニウムクロリド1g、カチオン化グアーガム0.5g、1,3-ブチレングリコール2g、濃グリセリン2g、精製水70g、pH調整剤を混合した後、セチルアルコール1g、水添ナタネ油アルコール1g、流動パラフィン1gを加え混合し、約40℃まで冷却を行い、pH4.0の毛髪用組成物を得た。さらにpH調整剤を加え、精製水で全量を100gとして、pH4.1の毛髪用組成物を得た。
【0037】
(比較例6)
約80℃の湯浴中で、セトリモニウムクロリド2g、ポリクオタニウム-10 0.1g、ポリクオタニウム-7 0.1g、1,3-ブチレングリコール3g、濃グリセリン3g、タウリン0.1g、精製水70g、pH調整剤を混合した後、ステアリルアルコール2g、ベヘニルアルコール2g、イソオクタン酸セチル3g、パルミチン酸2-エチルヘキシル3g、精製水10gを加え混合し、約40℃まで冷却を行い、pH調整剤にて調整しpH4.0の毛髪用組成物を得た。さらに精製水で全量を100gとして、pH3.9の毛髪用組成物を得た。
【0038】
(比較例7)
約80℃の湯浴中で、ステアラミドプロピルジメチルアミン2g、ポリクオタニウム-10 0.1g、ポリクオタニウム-7 0.1g、1,3-ブチレングリコール3g、濃グリセリン3g、タウリン0.1g、精製水70g、pH調整剤を混合した後、ステアリルアルコール2g、ベヘニルアルコール2g、イソオクタン酸セチル3g、パルミチン酸2-エチルヘキシル3g、精製水10gを加え混合し、約40℃まで冷却を行い、pH調整剤にて調整しpH4.0の毛髪用組成物を得た。さらに精製水で全量を100gとして、pH4.0の毛髪用組成物を得た。
【0039】
(処方例1)
約80℃の湯浴中で、ベヘントリモニウムクロリド3g、カチオン化グアーガム0.1g、ポリクオタニウム-10 0.1g、1,3-ブチレングリコール2g、濃グリセリン2g、ジプロピレングリコール2g、精製水70g、pH調整剤を混合した後、セチルアルコール1.5g、ステアリルアルコール1.5g、水添ナタネ油アルコール1.5g、ベヘニルアルコール1.5g、流動パラフィン1g、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル1g、イソオクタン酸セチル1gを加え混合し、約40℃まで冷却を行い、pH4.0の毛髪用組成物を得た。さらにタウリン0.001g、オウレン抽出物0.001g、オウバク抽出物0.001g、pH調整剤を加え、精製水で全量を100gとして、pH4.1の毛髪用組成物を得た。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】
(試験例1)
実施例1~4、及び比較例1~5で調製した製剤を平滑な板の上に0.05ml滴下し 、SA204 マイクロメーター付フィルムアプリケーター(テスター産業株式会社製、塗布厚0.1mm)を用い、直線方向に製剤を伸ばし、製剤の伸びを評価した。
実施例1~3、比較例2~4の製剤が、比較例1と比較して何%伸びたかを「改善率(%)」とした。結果を表3に示す。
【0043】
【表3】
【0044】
表3の結果から、比較例1に、オウレン抽出物又はオウバク抽出物を加えた実施例1~3の毛髪用組成物は製剤の伸び改善率が上昇した。一方、比較例2~4については製剤の伸びは改善しなかった。
【0045】
(試験例2)
試験例1と同様に、実施例4の製剤が比較例5と比較して何%伸びたかを「改善率(%)」とした。結果を表4に示す。
【0046】
【表4】
【0047】
表4の結果から、比較例5に、タウリン及び、オウバク抽出物を加えた実施例4の毛髪用組成物は製剤の伸び改善率が上昇した。
【0048】
(試験例3)
試験例1と同様の方法で、実施例5~8、及び比較例6~7の製剤の伸びを評価した。実施例5及び6が比較例6と、実施例7及び8が比較例7と比較して何%伸びたかを「改善率(%)」とした。結果を表5及び6に示す。
【0049】
【表5】
【0050】
【表6】
【0051】
表5及び6の結果から、比較例6及び7に、オウレン抽出物又はオウバク抽出物を加えた実施例5~8の毛髪用組成物は製剤の伸び改善率が上昇した。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明により、製剤の伸びを改善した毛髪用組成物を提供することが可能になった。製剤の伸びが良くなれば一回あたりの使用量を減らしても満足した使用感が期待できるため、一回あたりの毛髪用組成物の使用量を減らせる可能性がある。