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特許7314776車載情報処理装置、プログラム実行制限方法及びコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-18
(45)【発行日】2023-07-26
(54)【発明の名称】車載情報処理装置、プログラム実行制限方法及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   B60R 16/02 20060101AFI20230719BHJP
   G06Q 50/30 20120101ALI20230719BHJP
   G06F 21/10 20130101ALI20230719BHJP
【FI】
B60R16/02 660T
G06Q50/30
G06F21/10
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019209733
(22)【出願日】2019-11-20
(65)【公開番号】P2021082064
(43)【公開日】2021-05-27
【審査請求日】2022-02-28
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】尾野 紀博
【審査官】菅 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-212784(JP,A)
【文献】特開2011-121553(JP,A)
【文献】特開2010-205185(JP,A)
【文献】特開2004-234094(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 16/02
G06F 21/10
G06Q 50/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載され、体験版のプログラムを実行する車載情報処理装置であって、
処理部を備え、
前記処理部は、
前記プログラムの利用を開始してからの前記車両の走行距離が閾値を超えるか否かを判定し、
前記車両の位置情報が特定位置であるか否かを判定し、
前記走行距離が前記閾値を超えると判定した時点からの経過時間が所定時間を超えるか否かを判定し、
前記走行距離が前記閾値を超えると判定し、且つ、前記位置情報が前記特定位置であると判定した場合に、以後の前記プログラムの実行を制限し、
前記位置情報が前記特定位置であると判定しない場合であっても、前記経過時間が前記所定時間を超えると判定した場合には、以後の前記プログラムの実行を制限する、
車載情報処理装置。
【請求項2】
前記処理部は、前記車両の外部に設けられた装置から前記プログラム及び前記閾値に関する情報を取得する、
請求項1に記載の車載情報処理装置。
【請求項3】
前記処理部は、前記プログラムが利用不可能となるように制限する、
請求項1又は請求項に記載の車載情報処理装置。
【請求項4】
車両に搭載された車載情報処理装置による体験版のプログラムの実行を制限するプログラム実行制限方法であって、
前記プログラムの利用を開始してからの前記車両の走行距離が閾値を超えるか否かを判定し、
前記車両の位置情報が特定位置であるか否かを判定し、
前記走行距離が前記閾値を超えると判定した時点からの経過時間が所定時間を超えるか否かを判定し、
前記走行距離が前記閾値を超えると判定し、且つ、前記位置情報が前記特定位置であると判定した場合に、以後の前記プログラムの実行を制限し、
前記位置情報が前記特定位置であると判定しない場合であっても、前記経過時間が前記所定時間を超えると判定した場合には、以後の前記プログラムの実行を制限する、
プログラム実行制限方法。
【請求項5】
車両に搭載されたコンピュータに、
体験版のアプリケーションプログラムの利用を開始してからの前記車両の走行距離が閾値を超えるか否かを判定し、
前記車両の位置情報が特定位置であるか否かを判定し、
前記走行距離が前記閾値を超えると判定した時点からの経過時間が所定時間を超えるか否かを判定し、
前記走行距離が前記閾値を超えると判定し、且つ、前記位置情報が前記特定位置であると判定した場合に、以後の前記アプリケーションプログラムの実行を制限し、
前記位置情報が前記特定位置であると判定しない場合であっても、前記経過時間が前記所定時間を超えると判定した場合には、以後の前記アプリケーションプログラムの実行を制限する
処理を実行させる、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両におけるプログラムの実行を制限する車載情報処理装置、プログラム実行制限方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両に搭載される車載情報処理装置は高機能化しており、例えばユーザがアプリケーションプログラムを自分の好みで選択して車載情報処理装置にインストールすることが可能となってきている。アプリケーションプログラムの製作及び提供等を行う企業又は団体等は、アプリケーションプログラムの購入をユーザに対して促すために、アプリケーションプログラムの体験版をユーザに対して提供することがある。従来、アプリケーションプログラムの体験版は、本来のアプリケーションプログラムに対して、例えば利用期間に制限を設ける、又は、一部の機能に制限を設ける等の方法でユーザの利用に制限が設けられている。
【0003】
特許文献1においては、実行するソフトウェアの使用期間を、車両のイグニッションスイッチのオフ操作信号のカウント回数に基づいて制限する車載端末装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平11-212784号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
アプリケーションプログラムの体験版について利用期間の制限を設ける場合、ユーザが十分にアプリケーションプログラムを利用する前に利用期間が経過する可能性がある。アプリケーションプログラムの体験版について一部の機能に制限を設ける場合、ユーザが全機能を利用することができない。また特許文献1に係る車載端末装置のようにイグニッションスイッチのオフ回数に基づいてアプリケーションプログラムの体験版を制限する場合、例えば運転中に頻繁に休憩を取るユーザほど体験版の利用機会が少なくなり、ユーザが十分にアプリケーションプログラムを体験することができない。
【0006】
本開示は、斯かる事情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、アプリケーションプログラムの体験版をユーザが十分に利用できる機会を提供することが期待できる車載情報処理装置、プログラム実行制限方法及びコンピュータプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本態様に係る車載情報処理装置は、車両に搭載され、体験版のプログラムを実行する車載情報処理装置であって、処理部を備え、前記処理部は、前記プログラムの利用を開始してからの前記車両の走行距離が閾値を超えるか否かを判定し、前記車両の位置情報が特定位置であるか否かを判定し、前記走行距離が前記閾値を超えると判定した時点からの経過時間が所定時間を超えるか否かを判定し、前記走行距離が前記閾値を超えると判定し、且つ、前記位置情報が前記特定位置であると判定した場合に、以後の前記プログラムの実行を制限し、前記位置情報が前記特定位置であると判定しない場合であっても、前記経過時間が前記所定時間を超えると判定した場合には、以後の前記プログラムの実行を制限する。
【0008】
本願は、このような特徴的な処理部を備える車載情報処理装置等の装置として実現することができるだけでなく、かかる特徴的な処理をステップとするプログラム実行制限方法として実現したり、かかるステップをコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムとして実現したりすることができる。これらの装置の一部又は全部を実現する半導体集積回路として実現したり、これらの装置を含むその他の装置又はシステムとして実現したりすることができる。
【発明の効果】
【0009】
上記によれば、アプリケーションプログラムの体験版をユーザが十分に利用できる機会を提供することが期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施の形態に係る車載情報処理システムの構成を説明するための模式図である。
図2】実施の形態1に係る車載情報処理装置の構成を示すブロック図である。
図3】実施の形態1に係る車載情報処理装置が行う処理の手順を示すフローチャートである。
図4】実施の形態2に係る車載情報処理装置の構成を示すブロック図である。
図5】実施の形態2に係る車載情報処理装置が行う処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[本開示の実施の形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。以下に記載する実施形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0012】
(1)本態様に係る車載情報処理装置は、車両に搭載され、プログラムを実行する車載情報処理装置であって、処理部を備え、前記処理部は、前記プログラムの利用を開始してからの前記車両の走行距離が閾値を超えるか否かを判定し、前記走行距離が前記閾値を超えると判定した場合に、以後の前記プログラムの実行を制限する。
【0013】
本態様にあっては、アプリケーションプログラムの体験版等のプログラムを実行する車載情報処理装置が、プログラムの利用開始からの車両の走行距離を取得し、取得した走行距離が閾値を超えるか否かを判定し、走行距離が閾値を超えると判定した場合に、以後のプログラムの実行を制限する。これにより車載情報処理装置は、車両の走行距離が閾値を超えるまでプログラムをユーザに利用させることができる。車両の走行距離を制限の条件とすることで、車両が使用されていない期間等にプログラムの制限条件に至ることがない。車両の走行距離が増えている状態は、ユーザが車両を使用している状態であり、このプログラムを利用することができる状態である。よって車載情報処理装置は、プログラムをユーザが十分に利用できる機会を提供することができる。
【0014】
(2)前記処理部は、前記車両の外部に設けられた装置から前記プログラム及び前記閾値に関する情報を取得することが好ましい。
【0015】
本態様にあっては、車両の外部に設けられた装置から車載情報処理装置がプログラム及び制限条件となる閾値に関する情報を取得する。これにより車載情報処理装置は、例えばユーザの好み等に応じて車外の装置からプログラムを取得して実行すると共に、プログラムと共に取得した閾値に関する情報を用いてこのプログラムの実行を制限することができる。
【0016】
(3)前記処理部は、前記車両の位置情報が特定位置であるか否かを判定し、前記走行距離が前記閾値を超えると判定し、且つ、前記位置情報が前記特定位置であると判定した場合に、以後の前記プログラムの実行を制限することが好ましい。
【0017】
本態様にあっては、車載情報処理装置が車両の位置情報を取得し、取得した位置情報が特定位置であるか否かを判定する。車載情報処理装置は、走行距離が閾値を超えると判定し、且つ、位置情報が特定位置であると判定した場合に、以後のプログラムの実行を制限する。プログラムの実行の制限に対して、走行距離の条件のみでなく、位置情報の条件を加えることによって、例えば車両の走行中に走行距離が閾値を超えてプログラムの実行が制限されることを防止できる。特定位置は、例えばユーザの自宅位置、カーナビゲーション装置に設定された目的位置、又は、プログラムの取得が行われた位置等が採用され得る。
【0018】
(4)前記処理部は、前記走行距離が前記閾値を超えると判定した時点からの経過時間が所定時間を超えるか否かを判定し、前記位置情報が前記特定位置であると判定しない場合であっても、前記経過時間が前記所定時間を超えると判定した場合には、以後の前記プログラムの実行を制限することが好ましい。
【0019】
本態様にあっては、走行距離が閾値を超えると判定した時点からの経過時間を車載情報処理装置が取得し、取得した経過時間が所定時間を超えるか否かを判定する。車載情報処理装置は、車両の位置情報が特定位置でない場合であっても、走行距離が閾値を超えてからの経過時間が所定時間を超えた場合には、以後のプログラムの実行を制限する。これにより車載情報処理装置は、車両が特定位置へ至らないことでプログラムの実行を制限することができない状態が必要以上に長期間に亘って継続されることを防止できる。
【0020】
(5)前記処理部は、前記プログラムが利用不可能となるように制限することが好ましい。
【0021】
本態様にあっては、車載情報処理装置は、制限の条件が満たされた場合に、プログラムをユーザが利用不可能となるように制限する。例えば車載情報処理装置は、プログラムを実行しない事で制限を行ってもよい。これにより車載情報処理装置は、制限の条件に達したプログラムを利用不可能とすることができ、このプログラムを利用条件に制限のある体験版としてユーザに提供することができる。
【0022】
(6)本態様に係るプログラム実行制限方法は、車両に搭載された車載情報処理装置によるプログラムの実行を制限するプログラム実行制限方法であって、前記プログラムの利用を開始してからの前記車両の走行距離が閾値を超えるか否かを判定し、前記走行距離が前記閾値を超えると判定した場合に、以後の前記プログラムの実行を制限する。
【0023】
本態様にあっては、態様(1)と同様に、プログラムをユーザが十分に利用できる機会を提供することができる。
【0024】
(7)本態様に係るコンピュータプログラムは、車両に搭載されたコンピュータに、アプリケーションプログラムの利用を開始してからの前記車両の走行距離が閾値を超えるか否かを判定し、前記走行距離が前記閾値を超えると判定した場合に、以後の前記アプリケーションプログラムの実行を制限する処理を実行させる。
【0025】
本態様にあっては、態様(1)と同様に、プログラムをユーザが十分に利用できる機会を提供することができる。
【0026】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の実施形態に係る車載情報処理装置の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0027】
<実施の形態1>
図1は、本実施の形態に係る車載情報処理システムの構成を説明するための模式図である。本実施の形態に係る車載情報処理システムは、車両1に搭載された車載情報処理装置2、GW(ゲートウェイ)4、無線通信装置5及び走行距離計6等を備えて構成されている。車載情報処理装置2は、例えば車両1の運転席近傍に設けられ、車両1のユーザに対する種々のサービスを提供する装置である。
【0028】
GW4は、車両1内の通信を中継する装置である。本実施の形態においてはGW4に車載情報処理装置2、無線通信装置5及び走行距離計6等の装置がそれぞれ接続されており、これらの複数の装置間の通信をGW4が中継する。無線通信装置5は、例えば携帯電話通信網又は無線LAN(Local Area Network)等の無線通信により、車両1の外部に設けられたサーバ装置9との間で通信を行う。走行距離計6は、車両1の走行距離を計測する装置である。サーバ装置9は、車載情報処理装置2が実行する様々なアプリケーションプログラム(以下、アプリという)を配信する装置である。
【0029】
本実施の形態に係る車載情報処理システムでは、車両1のユーザが車載情報処理装置2を操作してサーバ装置9から種々のアプリをダウンロードし、ダウンロードしたアプリを車載情報処理装置2にて実行して利用することができる。サーバ装置9が配信するアプリは、有料又は無料のいずれであってもよい。本実施の形態においてサーバ装置9は、有料のアプリについて利用条件を限定した体験版アプリを配信することができる。
【0030】
本実施の形態に係る車載情報処理システムでは、体験版アプリに対して車両1の走行距離を条件とする制限が設けられる。例えば、体験版アプリは、アプリのインストールから車両1が100kmを走行するまでの間はユーザが自由に全機能を利用することができ、走行距離が100kmに達した段階でアプリが利用不可能となる。車載情報処理装置2は、インストールされた体験版アプリについて、走行距離計6から取得する車両1の走行距離が所定の閾値に達した場合に、それ以後のアプリの利用を不可能とする(アプリを停止する、又は、アプリを起動しない)。
【0031】
図2は、実施の形態1に係る車載情報処理装置2の構成を示すブロック図である。本実施の形態に係る車載情報処理装置2は、処理部(プロセッサ)21、記憶部(ストレージ)22、通信部(トランシーバ)23、表示部(ディスプレイ)24、操作部25及びGPS(Global Positioning System)受信部26等を備えて構成されている。
【0032】
処理部21は、例えばCPU(Central Processing Unit)又はMPU(Micro-Processing Unit)等の演算処理装置を用いて構成されている。処理部21は、記憶部22に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、種々の処理を行うことができる。本実施の形態において処理部21は、記憶部22に記憶されたアプリ22bを読み出して実行することにより、車両1のユーザに対して種々のサービスを提供する。また処理部21は、記憶部22に記憶されたプログラム22aを読み出して実行することにより、サーバ装置9からアプリを取得する処理、及び、体験版のアプリの利用を制限する処理等の種々の処理を行う。
【0033】
記憶部22は、例えばフラッシュメモリ又はEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等の不揮発性のメモリ素子を用いて構成されている。記憶部22は、処理部21が実行する各種のプログラム、及び、処理部21の処理に必要な各種のデータを記憶する。本実施の形態において記憶部22は、処理部21が実行するプログラム22a及びアプリ22bと、アプリ22bの利用条件情報22cとを記憶している。
【0034】
本実施の形態においてプログラム22aは、例えばオペレーティングシステム又はファームウェア等のように、アプリケーションプログラムよりも下位レベルでの処理を行うコンピュータプログラムである。プログラム22aは、車載情報処理装置2のハードウェアとアプリ22bとの間に介在し、アプリ22bの実行環境を提供する。なおプログラム22aは、例えば車載情報処理装置2の製造段階において記憶部22に書き込まれてもよく、また例えば遠隔のサーバ装置などが配信するものを車載情報処理装置2が通信にて取得してもよく、また例えばメモリカード又は光ディスク等の記録媒体99に記録されたプログラムを車載情報処理装置2が読み出して記憶部22に記憶してもよく、また例えば記録媒体99に記録されたものを書込装置が読み出して車載情報処理装置2の記憶部22に書き込んでもよい。プログラム22aは、ネットワークを介した配信の態様で提供されてもよく、記録媒体99に記録された態様で提供されてもよい。
【0035】
アプリ22bは、車両1のユーザに対するサービスの提供又は車両1の走行制御等の処理を行うアプリケーションプログラムであり、プログラム22aよりも上位レベルでの処理を行うコンピュータプログラムである。図示の例では記憶部22にアプリ22bが1つ記憶されているが、車載情報処理装置2の記憶部22には複数種類のアプリ22bが記憶されてよい。
【0036】
利用条件情報22cは、アプリ22bの利用を制限するための条件に関する情報である。本実施の形態においては体験版のアプリ22bに対して車両1の走行距離に応じた利用制限が行われる。体験版のアプリに対して利用が許可される走行距離の情報、即ち体験版アプリの利用を制限する閾値となる走行距離の情報が、記憶部22に利用条件情報22cとして記憶される。
【0037】
本実施の形態において車載情報処理装置2は、アプリ22b及び利用条件情報22cを車両1の外部のサーバ装置9から取得(ダウンロード)して記憶部22に記憶する。車載情報処理装置2からGW4及び無線通信装置5を介して車外のサーバ装置9へアプリ22bの取得要求が送信される。この取得要求に応じてサーバ装置9は、要求されたアプリ22bを車両1へ送信すると共に、このアプリ22bに関する利用条件情報22cを車両1へ送信する。サーバ装置9から送信されたアプリ22b及び利用条件情報22cは、無線通信装置5及びGW4を介して車載情報処理装置2にて受信され、記憶部22に記憶される。なお、アプリ22b及び利用条件情報22cは、車載情報処理装置2が通信によりサーバ装置9から取得するのではなく、記録媒体に記録された態様で提供されてもよい。
【0038】
通信部23は、車両1内のネットワークを構成する通信線に接続され、車内ネットワークを介してGW4等の車載機器との間で通信を行う。本実施の形態において通信部23は、例えばイーサネット(登録商標)又はCAN(Controller Area Network)等の通信規格に従って、メッセージの送受信を行う。通信部23は、例えばイーサネットPHY(PHYsical layer)又はCANコントローラ等のIC(Integrated Circuit)を用いて構成され得る。通信部23は、処理部21から与えられたデータを電気信号として通信線へ出力することによりデータ送信を行う。また通信部23は、通信線の電位をサンプリングして取得することにより、通信線上の電気信号をデジタルデータに変換し、変換したデータを受信データとして処理部21へ与える。
【0039】
表示部24は、例えば液晶パネルなどの表示デバイスを用いて構成されており、処理部21からの指示に従って種々の画像を表示する。表示部24は、ユーザが操作を行うためのメニュー又はアイコン等の表示、及び、ユーザに対するメッセージの表示等を行う。
【0040】
操作部25は、例えばタッチパネル又は機械式のボタン等を用いて構成されている。操作部25は、ユーザによる操作を受け付け、受け付けた操作に応じた情報を処理部21に与える。
【0041】
GPS受信部26は、GPSの人工衛星から送信される電波を受信し、受信した電波に含まれる情報を処理部21へ与える。処理部21は、GPS受信部26から与えられた情報に基づいて、車両1の位置(例えば緯度及び経度)を特定する処理を行うことができる。なお本実施の形態においては、処理部21がGPS受信部26による受信情報に基づいて車両1の位置を特定する構成とするが、これに限るものではなく、例えば処理部21はGPSの受信情報に加えて車速センサ、加速度センサ及びジャイロセンサ等のセンサから得られる情報を用いて車両1の位置を特定してもよい。
【0042】
また本実施の形態に係る車載情報処理装置2は、記憶部22に記憶されたプログラム22aを処理部21が読み出して実行することにより、アプリ取得部21a、アプリ実行部21b、走行距離取得部21c、走行距離判定部21d及び制限部21e等が処理部21にソフトウェア的な機能部として実現される。ただし、走行距離取得部21c、走行距離判定部21d及び制限部21eは、アプリ22bの実行により実現される機能部であってもよい。
【0043】
アプリ取得部21aは、車両1に搭載された無線通信装置5を利用して車外のサーバ装置9との通信を行うことにより、サーバ装置9が配信するアプリ22bを取得(ダウンロード)する処理を行う。アプリ取得部21aは、サーバ装置9との通信を行うことにより、サーバ装置9が配信するアプリの一覧情報等を取得し、表示部24にアプリ一覧を表示すると共に、操作部25にてダウンロードするアプリの選択をユーザから受け付ける。アプリ取得部21aは、選択されたアプリの送信要求をサーバ装置9へ与え、この要求に応じてサーバ装置9から送信されるアプリ22bを受信して記憶部22に記憶する。またアプリ取得部21aは、体験版のアプリ22bについて、サーバ装置9からアプリ22bと共に送信される利用条件情報22cを取得して記憶部22に記憶する。
【0044】
アプリ実行部21bは、記憶部22に記憶したアプリ22bの実行に係る処理を行う。アプリ実行部21bは、例えばアプリ22bの起動及び停止等の処理、並びに、複数のアプリ22bの実行スケジュールの管理等を行う。
【0045】
走行距離取得部21cは、通信部23にて車両1の走行距離計6との通信を行うことにより、車両1の走行距離を取得する処理を行う。なお本実施の形態において走行距離取得部21cは車両1の総走行距離を取得するものとするが、これに限るものではなく、例えばアプリ22bをダウンロード又は初回実行等した時点(即ちアプリ22bの利用を開始した時点)からの走行距離を取得してもよい。走行距離取得部21cは、アプリ22bをダウンロード又は初回実行等した時点での走行距離を取得し、少なくともこの時点以降は所定の周期(例えば数秒~数十秒)で走行距離の取得を繰り返し行い、取得した走行距離を走行距離判定部21dへ与える。
【0046】
走行距離判定部21dは、体験版のアプリ22bの利用を制限する車両1の走行距離に関する条件が見たされたか否かを判定する処理を行う。走行距離判定部21dは、体験版のアプリ22bの利用を開始した時点(体験版のアプリ22bのダウンロード又は初回実行等した時点)での車両1の走行距離を初期値とする。記憶部22の利用条件情報22cには、アプリ22b毎の利用可能な距離が条件として記憶されており、走行距離判定部21dは、走行距離の初期値に対して利用条件となる距離を加算したものを制限の閾値として算出する。以後、走行距離判定部21dは、走行距離取得部21cが周期的に取得する車両1の走行距離がこの閾値を超えるか否かを判定することで、体験版のアプリ22bの利用を制限するか否かの判定を行う。
【0047】
制限部21eは、車両1の走行距離が閾値を超えると走行距離判定部21dが判定した場合に、アプリ22bの利用を制限する処理を行う。制限部21eは、例えばアプリ22bの起動を禁止することで制限を行ってもよく、また例えばアプリ22bを記憶部22から消去(アンインストール)することで制限を行ってもよく、これら以外の方法で制限を行ってもよい。制限部21eによるアプリ22bの実行の制限はどのような方法で行われてもよい。本実施の形態において制限部21eは、アプリ22bの全ての機能がユーザに利用できなくなるよう制限を行う者とするが、これに限るものではなく、アプリ22bの一部の機能のみを利用できないように制限してもよい。また制限部21eは、車両1の走行距離が閾値を超えたことによりアプリ22bの利用が制限された旨を表示部24にメッセージとして表示し、体験版のアプリ22bの正式な購入等をユーザに促してもよい。
【0048】
図3は、実施の形態1に係る車載情報処理装置2が行う処理の手順を示すフローチャートである。本実施の形態に係る車載情報処理装置2の処理部21のアプリ取得部21aは、例えばユーザの操作に基づいてサーバ装置9との通信を行い、サーバ装置9から体験版のアプリ22b及びこのアプリ22bの利用条件情報22cを取得する(ステップS1)。アプリ22b及び利用条件情報22cは、記憶部22に記憶される。
【0049】
処理部21の走行距離取得部21cは、体験版のアプリ22bを取得した時点における車両1の走行距離を、車両1の走行距離計6から取得する(ステップS2)。処理部21の走行距離判定部21dは、ステップS2にて取得された走行距離を初期値とし、利用条件情報22cに定められたアプリ22bの利用可能な距離を初期値に加える事で、利用制限に係る走行距離の判定を行うための閾値を算出する(ステップS3)。
【0050】
その後、走行距離判定部21dは、走行距離計6から車両1の走行距離を取得する(ステップS4)。走行距離判定部21dは、ステップS4にて取得された走行距離が、ステップS3にて算出した閾値を超えるか否かを判定する(ステップS5)。走行距離が閾値を超えない場合(S5:NO)、処理部21はステップS4へ処理を戻し、走行距離取得部21cによる走行距離の取得と走行距離判定部21dによる走行距離の判定とを繰り返して行う。
【0051】
走行距離が閾値を超えた場合(S5:YES)、処理部21の制限部21eは、ステップS1にて取得した体験版のアプリ22bの利用を制限し(ステップS6)、処理を終了する。このときに制限部21eは、アプリ22bが実行中であれば実行を停止し、以後の起動を禁止する。また制限部21eは、体験版のアプリ22bが利用不可能となった旨のメッセージを表示部24に表示してもよい。
【0052】
なお図示の処理は、例えば車両1のイグニッションスイッチがオフ状態に切り替えられることで中断される可能性がある。このような中断が発生した場合、車載情報処理装置2は、例えばイグニッションスイッチがオン状態へ切り替えられた場合に処理を再開すればよく、処理の再開は図示のフローチャートのステップS4から行うことができる。
【0053】
以上の構成の本実施の形態に係る車載情報処理装置2は、体験版のアプリ22bの利用開始から車両1の走行距離を取得し、取得した走行距離が閾値を超えるか否かを判定する。車載情報処理装置2は、車両1の走行距離が閾値を超えると判定した場合、以後のアプリ22bの利用を制限する。これにより車載情報処理装置2は、車両1の走行距離が閾値を超えるまでアプリ22bをユーザに利用させることができる。車両1の走行距離を制限の条件とすることで、車両1が使用されていない期間等にアプリ22bの利用が制限されることがない。車両1の走行距離が増えている状態は、ユーザが車両1を使用している状態であり、ユーザがアプリ22bを利用することができる状態である。よって車載情報処理装置2は、アプリ22bをユーザが十分に利用できる機会を提供することができる。
【0054】
また本実施の形態に係る車載情報処理装置2は、車両1の外部に設けられたサーバ装置9からアプリ22b及び利用条件情報22cを取得して記憶部22に記憶する。これにより車載情報処理装置2は、例えばユーザの好み等に応じたアプリ22bを車外のサーバ装置9から取得して実行することができる。また車載情報処理装置2は、利用条件情報22cにて定められたアプリ22bを利用できる走行距離の条件に基づいて、走行距離判定部21dが走行距離との判定を行う閾値を算出することができ、この閾値を用いてアプリ22bの実行を制限するか否かを判定することができる。
【0055】
また本実施の形態に係る車載情報処理装置2は、車両1の走行距離が閾値を超えた場合に、アプリ22bをユーザが利用不可能となるように制限を行う。これにより車載情報処理装置2は、制限の条件に達したアプリ22bを利用不可能とし、アプリ22bを利用条件に制限のある体験版としてユーザに提供することができる。
【0056】
なお本実施の形態においては、車載情報処理装置2が走行距離の判定及びアプリ22bの制限等の処理を行ったが、例えば車載情報処理システムに含まれるGW4等の別の装置が走行距離の判定及びアプリ22bの制限等の処理を行ってもよい。また本実施の形態においては、車載情報処理装置2のプログラム22aが走行距離の判定及びアプリ22bの制限等を行う構成としたが、これに限るものではなく、アプリ22bが走行距離の判定及び自身の実行の制限等を行ってもよい。また車載情報処理装置2は、車両1の走行距離が閾値を超えた時点でアプリ22bの制限を行っているが、走行距離が閾値を超える手前の時点で、ユーザに対する警告メッセージの表示等を行ってもよい。
【0057】
また本実施の形態に係る車載情報処理装置2は、アプリ22bが実行されているか否かに関わらず、車両1の走行距離が閾値を超えた場合にアプリ22bの制限を行っているが、これに限るものではない。車載情報処理装置2は、例えばアプリ22bが実行されている場合にのみ車両1の走行距離を加算し、この走行距離の合計値がアプリ22b毎に設定された所定の距離を超えた場合にアプリ22bの制限を行ってもよい。
【0058】
また本実施の形態において車載情報処理装置2は、アプリ22bと共に取得した利用条件情報22cに基づいて、走行距離と比較する閾値を算出しているが、これに限るものではない。車載情報処理装置2は、例えばアプリ22bの利用開始時に、ユーザに目的地及び経由地等の情報入力を求め、現在地から目的地までの走行距離の予測値を算出し、この予測値に基づいて閾値を算出してもよい。走行距離の予測値は、例えばカーナビゲーション装置により導出された経路等から算出することができ、ユーザによる寄り道等を考慮してある程度の余裕を持たせた値とすることが好ましい。また走行距離の予測値は、現在地から目的地までの片道ではなく、往復の走行距離であってもよい。
【0059】
<実施の形態2>
実施の形態2に係る車載情報処理装置2は、車両1の走行距離に基づく制限に加えて、車両1の位置情報及び時間経過に基づく制限を行う。実施の形態2に係る車載情報処理装置2は、実施の形態1に係る車載情報処理装置2と同様に、車両1の走行距離が閾値を超えるか否かの判定を行う。ただし実施の形態2に係る車載情報処理装置2は、走行距離が閾値を超えた際にアプリ22bの利用を制限するのではなく、走行距離が閾値を超え且つ車両1が所定位置に存在する場合にアプリ22bの利用を制限する。なお所定位置は、例えばユーザの自宅として登録された位置又はアプリ22bの利用を開始した位置等とすることができ、これらの特定の位置を含むその周辺の位置範囲であってよい。
【0060】
走行距離が閾値を超えた判定した後、車載情報処理装置2は、車両1の位置情報を繰り返し取得し、車両1の位置が所定位置であるか否かの判定を繰り返し行う。車載情報処理装置2は、車両1の位置が所定位置であると判定した場合に、アプリ22bの利用を制限する。これにより、走行距離が閾値を超えたことによって例えば車両1の走行中にアプリ22bが利用不可能となることを防止することができる。
【0061】
ただし、車両1の位置が所定位置とならない状態が長期間に亘って続く場合には、ユーザが体験版のアプリ22bを必要以上に長期間に亘って利用可能となる。そこで実施の形態2に係る車載情報処理装置2は、走行距離が閾値を超えた時点からタイマによる経過時間の計測を開始し、経過時間が所定時間を超えた場合には、車両1の位置に関わらず、アプリ22bの利用を制限する。所定時間は、例えば24時間又は1週間等の時間が設定され得る。
【0062】
図4は、実施の形態2に係る車載情報処理装置2の構成を示すブロック図である。実施の形態2に係る車載情報処理装置2は、図2に示した実施の形態1に係る車載情報処理装置2の構成に対して、位置情報取得部21f、位置判定部21g、経過時間取得部21h及び時間判定部21iを追加した構成である。位置情報取得部21f、位置判定部21g、経過時間取得部21h及び時間判定部21iは、実施の形態2に係るプログラム22a又はアプリ22bを処理部21が実行することにより実現されるソフトウェア的な機能部である。
【0063】
位置情報取得部21fは、GPS受信部26が受信するGPSの信号に基づいて、車両1の位置(例えば緯度及び経度)を取得する処理を行う。なお位置情報取得部21fは、GPS信号の情報に加えて車速センサ、加速度センサ及びジャイロセンサ等のセンサから得られる情報を用いて車両1の位置を取得してもよい。また車両1の位置情報は、車両1に搭載された他の装置により特定されてもよく、この場合に車載情報処理装置2は通信により他の装置から位置情報を取得する。位置情報取得部21fは、少なくとも車両1の走行距離が閾値を超えると走行距離判定部21dが判定した後に、位置情報の取得を周期的に繰り返し行い、取得した位置情報を位置判定部21gへ与える。
【0064】
位置判定部21gは、位置情報取得部21fが取得した車両1の位置情報と、予め設定された特定の位置情報とが一致するか否かを判定する処理を行う。特定の位置情報は、例えばユーザの自宅の位置が用いられる。位置判定部21gは、例えばカーナビゲーション装置に設定された自宅位置を取得して判定のための特定の位置情報としてもよく、また例えばアプリ22bを取得した時点でユーザに自宅の住所又は郵便番号等の入力を要求し、入力された住所又は郵便番号に基づいて特定の位置情報を決定してもよい。また位置判定部21gは、ユーザの自宅位置ではなく、例えばアプリ22bを取得した位置等を特定の位置情報としてもよい。位置判定部21gは、車両1の走行距離が閾値を超えると走行距離判定部21dが判定した後、車両1の位置情報が設定された特定の位置情報と一致するか否かを判定する。ただし両位置情報が一致するか否かの判定には、ある程度の誤差の範囲が考慮されてよい。
【0065】
経過時間取得部21hは、車両1の走行距離が閾値を超えると走行距離判定部21dが判定した時点からの経過時間を取得する処理を行う。経過時間取得部21hは、例えば処理部21が備えるタイマ機能を用いて経過時間の計測を行う。経過時間取得部21hは、車両1の走行距離が閾値を超えると走行距離判定部21dが判定した場合にタイマによる経過時間の計測を開始する。経過時間取得部21hは、タイマによる経過時間の計測結果を取得し、時間判定部21iに経過時間を与える。
【0066】
時間判定部21iは、経過時間取得部21hが取得した経過時間が所定時間を超えるか否かを判定する処理を行う。判定のための所定時間は、例えば24時間又は1週間等の時間が予め設定される。所定時間は、利用条件情報22cに含まれる情報であってよく、アプリ22bと共にサーバ装置9から取得される。
【0067】
実施の形態2に係る制限部21eは、車両1の走行距離が閾値を超えると走行距離判定部21dが判定した後、車両1の位置情報が特定の位置情報と一致すると位置判定部21gが判定するか、又は、経過時間が所定時間を超えると時間判定部21iが判定した場合に、アプリ22bの利用を制限する。
【0068】
図5は、実施の形態2に係る車載情報処理装置2が行う処理の手順を示すフローチャートである。実施の形態2に係る車載情報処理装置2の処理部21のアプリ取得部21aは、例えばユーザの操作に基づいてサーバ装置9との通信を行い、サーバ装置9から体験版のアプリ22b及びこのアプリ22bの利用条件情報22cを取得する(ステップS11)。
【0069】
次いで処理部21の位置判定部21gは、アプリ22bの利用を制限するか否かを判定する際に用いる特定の位置情報を決定する(ステップS12)。このときに位置判定部21gは、例えば車両1のカーナビゲーション装置に設定された自宅位置を取得して特定の位置情報としてもよく、また例えばユーザから自宅の位置情報の入力を受け付けて特定の位置情報としてもよく、また例えばこの時点においてGPS受信部26が受信したGPS信号に基づく位置情報を特定の位置情報としてもよい。
【0070】
処理部21の走行距離取得部21cは、体験版のアプリ22bを取得した時点における車両1の走行距離を、車両1の走行距離計6から取得する(ステップS13)。処理部21の走行距離判定部21dは、ステップS13にて取得された走行距離を初期値とし、利用条件情報22cに定められたアプリ22bの利用可能な距離を初期値に加える事で、利用制限に係る走行距離の判定を行うための閾値を算出する(ステップS14)。
【0071】
その後、走行距離判定部21dは、走行距離計6から車両1の走行距離を取得する(ステップS15)。走行距離判定部21dは、ステップS15にて取得された走行距離が、ステップS14にて算出した閾値を超えるか否かを判定する(ステップS16)。走行距離が閾値を超えない場合(S16:NO)、処理部21はステップS15へ処理を戻し、走行距離取得部21cによる走行距離の取得と走行距離判定部21dによる走行距離の判定とを繰り返して行う。走行距離が閾値を超えた場合(S16:YES)、処理部21の経過時間取得部21hは、タイマによる経過時間の計測を開始する(ステップS17)。
【0072】
処理部21の位置情報取得部21fは、GPS受信部26が受信したGPS信号に基づく車両1の位置情報を取得する(ステップS18)。位置判定部21gは、ステップS18にて所得した車両1の位置情報と、ステップS12にて決定した特定の位置情報とを比較し、車両1の位置が特定の位置であるか否かを判定する(ステップS19)。車両1の位置が特定の位置である場合(S19:YES)、処理部21の制限部21eは、ステップS11にて取得した体験版のアプリ22bの利用を制限し(ステップS22)、処理を終了する。
【0073】
車両1の位置が特定の位置でない場合(S19:NO)、経過時間取得部21hは、タイマにより計測される経過時間を取得する(ステップS20)。処理部21の時間判定部21iは、ステップS20にて取得した経過時間が、利用条件情報22cに定められた所定時間を超えるか否かを判定することにより、走行距離が閾値を超えてから所定時間が経過したか否かを判定する(ステップS21)。所定時間が経過していない場合(S21:NO)、処理部21は、ステップS18へ処理を戻し、車両1の位置情報に基づく判定及び経過時間に基づく判定を繰り返し行う。所定時間が経過した場合(S21:YES)、制限部21eは、ステップS11にて取得した体験版のアプリ22bの利用を制限し(ステップS22)、処理を終了する。
【0074】
以上の構成の実施の形態2に係る車載情報処理装置2は、車両1の位置情報を取得し、取得した位置情報が特定の位置であるか否かを判定する。車載情報処理装置2は、車両1の走行距離が閾値を超えると判定し、且つ、車両1の位置情報が特定の位置であると判定した場合に、以後のアプリ22bの利用を制限する。アプリ22bの利用制限に対して、走行距離の条件のみでなく、位置情報の条件を加える事によって、例えば車両1の走行中に走行距離が閾値を超えてアプリ22bの利用が制限されることを防止できる。
【0075】
また実施の形態2に係る車載情報処理装置2は、車両1の走行距離が閾値を超えると判定した時点からの経過時間を取得し、取得した経過時間が所定時間を超えるか否かを判定する。車載情報処理装置2は、車両1の位置情報が特定の位置でない場合であっても、走行距離が閾値を超えてからの経過時間が所定時間を超えた場合には、以後のアプリ22bの利用を制限する。これにより車載情報処理装置2は、車両1が特定位置へ至らない事でアプリ22bの利用を制限することができない状態が必要維持に長期間に亘って継続されることを防止できる。
【0076】
なお、車載情報処理装置2は、走行距離が閾値を超えてからの経過時間に基づくアプリ22bの利用制限を行わない構成であってもよい。車載情報処理装置2は、経過時間に基づく制限に代えて、例えば更に車両1の走行距離が第2の閾値を超えた場合にアプリ22bの利用を制限してもよい。
【0077】
また、実施の形態2に係る車載情報処理システムのその他の構成は、実施の形態1に係る車載情報処理システムと同様であるため、同様の箇所には同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0078】
車載情報処理システムにおける各装置は、マイクロプロセッサ、ROM及びRAM等を含んで構成されるコンピュータを備える。マイクロプロセッサ等の演算処理部は、図3及び図5に示すような、シーケンス図又はフローチャートの各ステップの一部又は全部を含むコンピュータプログラムを、ROM、RAM等の記憶部からそれぞれ読み出して実行してよい。これら複数の装置のコンピュータプログラムは、それぞれ、外部のサーバ装置等からインストールすることができる。また、これら複数の装置のコンピュータプログラムは、それぞれ、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等の記録媒体に格納された状態で流通する。
【0079】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0080】
1 車両
2 車載情報処理装置
4 GW
5 無線通信装置
6 走行距離計
9 サーバ装置
21 処理部
21a アプリ取得部
21b アプリ実行部
21c 走行距離取得部
21d 走行距離判定部
21e 制限部
21f 位置情報取得部
21g 位置判定部
21h 経過時間取得部
21i 時間判定部
22 記憶部
22a プログラム
22b アプリ
22c 利用条件情報
23 通信部
24 表示部
25 操作部
26 GPS受信部
99 記録媒体
図1
図2
図3
図4
図5