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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-18
(45)【発行日】2023-07-26
(54)【発明の名称】エアクリーナ
(51)【国際特許分類】
   F02M 35/024 20060101AFI20230719BHJP
【FI】
F02M35/024 511A
F02M35/024 511C
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019221163
(22)【出願日】2019-12-06
(65)【公開番号】P2021092152
(43)【公開日】2021-06-17
【審査請求日】2022-06-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】森田 明司
(72)【発明者】
【氏名】猪飼 克尚
(72)【発明者】
【氏名】後村 卓嗣
【審査官】池田 匡利
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-155671(JP,A)
【文献】特開2018-204529(JP,A)
【文献】特開平11-229979(JP,A)
【文献】特開2015-090126(JP,A)
【文献】特開2017-145779(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 35/024
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インレット及びアウトレットを有するハウジングと、前記ハウジングの内部に収容され、吸気を濾過するとともに前記ハウジングの内部を前記インレットに連なるダスティ室と前記アウトレットに連なるクリーン室とに区画するフィルタエレメントと、を備えるエアクリーナであって、
前記ハウジングは、前記フィルタエレメントを収容する本体部と、前記本体部を挟んで設けられ、互いに近づく側に折り返されて延在する第1折り返し部及び第2折り返し部と、を有しており、
前記第1折り返し部は、前記インレットを有し、
前記第2折り返し部は、前記アウトレットを有し、
前記本体部の内面のうち前記第2折り返し部のコーナーの内側に連なる部分には、前記本体部の内側に向かって突出するとともに、前記吸気を、前記第2折り返し部から離れる側に向けて案内する案内壁が設けられており、
前記第2折り返し部は、前記本体部から外方に向かって膨出する膨出部と、前記膨出部に接続される前記アウトレットと、を有しており、
前記膨出部と前記アウトレットとの接続部分には、前記第2折り返し部の内部を前記本体部に近い内側と前記本体部から離れた外側とに隔てるとともに、当該外側に向かう吸気の流れを規制する規制壁が設けられている、
エアクリーナ。
【請求項2】
インレット及びアウトレットを有するハウジングと、前記ハウジングの内部に収容され、吸気を濾過するとともに前記ハウジングの内部を前記インレットに連なるダスティ室と前記アウトレットに連なるクリーン室とに区画するフィルタエレメントと、を備えるエアクリーナであって、
前記ハウジングは、前記フィルタエレメントを収容する本体部と、前記本体部を挟んで設けられ、互いに近づく側に折り返されて延在する第1折り返し部及び第2折り返し部と、を有しており、
前記第1折り返し部は、前記インレットを有し、
前記第2折り返し部は、前記アウトレットを有し、
前記本体部の内面のうち前記第2折り返し部のコーナーの内側に連なる部分には、前記本体部の内側に向かって突出するとともに、前記吸気を、前記第2折り返し部から離れる側に向けて案内する案内壁が設けられており、
前記本体部は、前記フィルタエレメントを収容するとともに前記第1折り返し部が接続される第1本体部と、前記第1本体部と前記第2折り返し部との間に位置するとともに前記第2折り返し部が接続される第2本体部と、を有しており、
前記第2本体部は、前記フィルタエレメントの周縁を含む面方向において前記第1本体部と並んで設けられており、
前記第1折り返し部は、前記第2本体部に向けて折り返されており、
前記第2折り返し部は、前記第1本体部に向けて折り返されている、
エアクリーナ。
【請求項3】
前記案内壁を第1案内壁とするとき、
前記本体部は、前記フィルタエレメントに対向するとともに前記クリーン室を形成する対向壁を有しており、
前記対向壁には、前記本体部の内側に向かって突出するとともに、前記吸気を、前記対向壁から離れる側に向けて案内する第2案内壁が設けられている、
請求項2に記載のエアクリーナ。
【請求項4】
前記第2案内壁は、前記対向壁における前記第1折り返し部側から前記第2折り返し部側に向かって延在しており、
前記第2案内壁のうち前記第2折り返し部に近い側の部分には、その他の部分よりも前記本体部の内側に向かって突出するとともに、前記対向壁から離れる側に向かう前記吸気の案内を促進する案内促進部が設けられている、
請求項3に記載のエアクリーナ。
【請求項5】
前記第2折り返し部は、前記本体部から外方に向かって膨出する膨出部と、前記膨出部に接続される前記アウトレットと、を有しており、
前記膨出部と前記アウトレットとの接続部分には、前記第2折り返し部の内部を前記本体部に近い内側と前記本体部から離れた外側とに隔てるとともに、当該外側に向かう吸気の流れを規制する規制壁が設けられている、
請求項~請求項4のいずれか一項に記載のエアクリーナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアクリーナに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内燃機関の吸気通路には、吸気を濾過するエアクリーナが設けられている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載のエアクリーナは、上部開口を有する下部ハウジングと、下部開口を有するとともに下部ハウジングに取り付けられる上部ハウジングとを備えている。
【0003】
下部ハウジングの内部空間は、隔壁によってエア導入室とエア導出室とに区画されている。
エア導入室及びエア導出室には、エア導入室内にエアを導入するエア導入口及びエア導出室からエアを導出するエア導出口がそれぞれ連通されている。上部ハウジングは、下部ハウジングの上部開口を覆っている。
【0004】
上部ハウジングと下部ハウジングとの間には、これらの間をシールするシール部材が設けられている。
下部ハウジングと上部ハウジングとの間には、エア導入室の上部開口を塞ぐようにしてフィルタエレメントが設けられている。したがって、上部ハウジングの内部空間のうちフィルタエレメントよりも吸気の下流側に位置する部分は、下部ハウジングのエア導出室と共にエア導出室を構成している。
【0005】
こうしたエアクリーナにおいては、エア導入口から下部ハウジングのエア導入室に導入された吸気は、フィルタエレメントを通過することで濾過される。フィルタエレメントを通過した空気は、エア導出室、すなわち、上部ハウジングの内部及び下部ハウジングの内部を通過してエア導出口から排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2007-100568号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、この種のエアクリーナにおいては、吸気の流量を測定するためのエアフローメータがエア導出口(以下、アウトレット)に設けられている。上記エアクリーナでは、エア導入口から導入された吸気がエア導入室及びエア導出室において蛇行しながらアウトレットから排出される。そのため、アウトレット内を流れる吸気は偏在しやく、吸気の流速分布にばらつきが生じやすい。その結果、エアフローメータの測定値がばらつくなどの問題が生じるおそれがある。
【0008】
本発明の目的は、アウトレット内を流れる吸気が偏在することを抑制できるエアクリーナを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するためのエアクリーナは、インレット及びアウトレットを有するハウジングと、前記ハウジングの内部に収容され、吸気を濾過するとともに前記ハウジングの内部を前記インレットに連なるダスティ室と前記アウトレットに連なるクリーン室とに区画するフィルタエレメントと、を備えるエアクリーナであって、前記ハウジングは、前記フィルタエレメントを収容する本体部と、前記本体部を挟んで設けられ、互いに近づく側に折り返されて延在する第1折り返し部及び第2折り返し部と、を有しており、前記第1折り返し部は、前記インレットを有し、前記第2折り返し部は、前記アウトレットを有し、前記本体部の内面のうち前記第2折り返し部のコーナーの内側に連なる部分には、前記本体部の内側に向かって突出するとともに、前記吸気を、前記第2折り返し部から離れる側に向けて案内する案内壁が設けられている。
【0010】
同構成によれば、インレット及びアウトレットをそれぞれ有する第1折り返し部及び第2折り返し部が、ハウジングの本体部を挟んで設けられ、互いに近づく側に折り返されて延在している。こうしたエアクリーナにおいては、インレットから第1折り返し部内に流入した吸気は、折り返されて本体部内に流入してフィルタエレメントを通過する。そして、フィルタエレメントを通過した吸気は、第2折り返し部内において再び折り返されて流れることでアウトレットから流出する。したがって、吸気は、インレットから流入してアウトレットから流出されるまでの間に2度にわたって折り返される。
【0011】
ところで、第1折り返し部内を流れる吸気は、第1折り返し部のコーナーの外側に偏在しやすい。このため、本体部内を流れる吸気は、本体部のうち第1折り返し部のコーナーの外側に連なる部分の近傍に偏在しやすくなり、第2折り返し部内を流れる吸気は、同第2折り返し部のコーナーの外側に偏在しやすくなる。
【0012】
上記構成によれば、本体部の内面のうち第2折り返し部のコーナーの内側に連なる部分に案内壁が設けられている。このため、本体部内において、第2折り返し部のコーナーの内側に連なる部分の近傍を流れる吸気が、案内壁によって第2折り返し部から離れる側に向けて案内されるようになる。これにより、案内壁を有していない構成に比べて、第2折り返し部内への吸気の流入角度が小さくなる。したがって、アウトレット内を流れる吸気が偏在することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】一実施形態におけるエアクリーナの斜視図。
図2】同実施形態のエアクリーナの平面図。
図3】同実施形態のエアクリーナの分解斜視図。
図4図2の4-4線に沿った断面図。
図5】同実施形態のケースの一部を破断して示す斜視図。
図6】同実施形態のキャップの斜視図。
図7】同実施形態のキャップを図6とは異なる向きから視た斜視図。
図8】同実施形態のエアクリーナ内部における吸気の流れを模式的に示す図であって、キャップの一部を破断して示すエアクリーナの断面図。
図9】同実施形態のエアクリーナの内部において第2案内壁により案内される吸気の流れを模式的に示す断面図。
図10】同実施形態のエアクリーナ内部において案内促進部により案内される吸気の流れを模式的に示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図1図10を参照して、エアクリーナの一実施形態について説明する。
<エアクリーナの全体構成>
本実施形態のエアクリーナは、車載用内燃機関の吸気通路に設けられ、吸気を濾過するものである。
【0015】
図1図4に示すように、エアクリーナは、筒状のインレット20及び筒状のアウトレット40を有するハウジング100と、ハウジング100の内部に収容され、吸気を濾過するとともにハウジング100の内部をダスティ室Dとクリーン室Cとに区画するフィルタエレメント50とを備えている。ハウジング100は、全体として扁平形状をなしている。図3に示すように、フィルタエレメント50は、平面視において長辺及び短辺を有する略矩形状をなしている。
【0016】
以降において、フィルタエレメント50の長辺が延びる方向を第1方向Xと称し、フィルタエレメント50の短辺が延びる方向を第2方向Yと称し、第1方向Xと第2方向Yとの双方に直交する方向を第3方向Zと称する。また、図2における右側及び左側をそれぞれ第1方向Xの一方側及び第1方向Xの他方側とし、同図における上側及び下側をそれぞれ第2方向Yの一方側及び第2方向Yの他方側として説明する。また、図1における上側及び下側をそれぞれ第3方向Zの一方側及び第3方向Zの他方側として説明する。また、インレット20からアウトレット40に向かう吸気の流れ方向における上流側及び下流側をそれぞれ単に上流側及び下流側と称する。
【0017】
ハウジング100は、フィルタエレメント50を収容する本体部110と、第1方向Xにおいて本体部110を挟んで設けられ、互いに近づく側に折り返されて延在する第1折り返し部120及び第2折り返し部130とを有している。
【0018】
本体部110は、第1折り返し部120が接続される第1本体部111と、フィルタエレメント50の周縁を含む面方向において第1本体部111と並んで設けられた第2本体部112とを有している。本実施形態では、第1本体部111と第2本体部112とが、第2方向Yにおいて並んで設けられている。
【0019】
第2本体部112には、第2折り返し部130が接続されている。したがって、第2本体部112は、第1本体部111と第2折り返し部130との間に位置している。
第1折り返し部120は、第2本体部112に向けて折り返されている。また、第2折り返し部130は、第1本体部111に向けて折り返されている。
【0020】
ダスティ室Dは、第1本体部111のうちフィルタエレメント50の上流側の部分と、第1折り返し部120とにより構成されている。また、クリーン室Cは、第1本体部111のうちフィルタエレメント50の下流側の部分と、第2本体部112と、第2折り返し部130とにより構成されている。
【0021】
こうしたエアクリーナのハウジング100は、インレット20を有するケース10と、アウトレット40を有するキャップ30とを備えている。ケース10とキャップ30とは第3方向Zにおいて対向している。ケース10及びキャップ30は、共にポリプロピレンなどの樹脂材料により形成されている。ケース10とキャップ30とは、キャップ30に取り付けられた一対のクランプ70がケース10に係止することで締結されている。
【0022】
<ケース10>
図5に示すように、ケース10は、第3方向Zの一方側に開口する第1開口11を有している。また、ケース10は、第1開口11を囲む周壁12と、第1開口11に対向する底壁13とを有している。
【0023】
ケース10の内部には、底壁13の内面から突出するとともに第1方向Xに沿って延在する区画壁14が設けられている。区画壁14は、第1方向Xの両側において周壁12の内面に連結されている。区画壁14の端面は、周壁12の端面と面一に設けられている。区画壁14により、ケース10の内部が第1室10aと第2室10bとに区画されている。
【0024】
第1開口11は、第1室10aに開口する主開口11aと、第2室10bに開口する副開口11bとにより構成されている。主開口11aと副開口11bとは、第2方向Yに隣り合って形成されている。
【0025】
図4に示すように、フィルタエレメント50は、主開口11aを覆うように配置される。したがって、第1室10aは、第1本体部111におけるフィルタエレメント50よりも上流側の部分を構成している。また、第2室10bは、第2本体部112の一部を構成している。
【0026】
図5に示すように、第1室10aには、上述した第1折り返し部120が接続されている。第1折り返し部120は、第1室10aにおける第1方向Xの一方側の部分から突出するとともに第2室10b側に屈曲している。第1折り返し部120は、第2室10bよりも第1方向Xの一方側に突出している。第1折り返し部120は、底壁13に対向する頂壁21を有している。
【0027】
上述したインレット20は、頂壁21に接続されており、第2方向Yの一方側に向かって延在している。インレット20は、先端側ほど本体部110から離れるように第2方向Yに対して傾斜して延在している。更に、インレット20は、先端側ほど底壁13から離れるように第2方向Yに対して傾斜して延在している。したがって、インレット20は、先端側ほど第1方向Xの一方側に位置するとともに第3方向Zの一方側に位置するように第2方向Yに対して傾斜して延在している。
【0028】
図4に示すように、第1室10aは、第2室10bよりも第3方向Zにおける深さが深くなるように形成されている。すなわち、底壁13のうち第2室10bの底部を構成する部分は、第1室10aの底部を構成する部分よりも第3方向Zの一方側に位置している。
【0029】
図5に示すように、第2室10bにおける第1方向Xの他方側の部分には、第1室10aよりも第1方向Xの他方側に膨出した膨出部15が連なって設けられている。膨出部15は、第2折り返し部130の一部を構成している。
【0030】
周壁12における第1開口11の周縁にはフランジ16が全周にわたって設けられている。フランジ16と区画壁14とにより第3方向Zに直交するシール面17が形成されている。シール面17は、平面視B字状をなしている。
【0031】
フランジ16の外周側には、キャップ30に向かって突出した外壁16aが全周にわたって設けられている。シール面17のうち副開口11bを取り囲む部分の内周側には、キャップ30に向かって突出した内壁16bが全周にわたって設けられている。外壁16aと内壁16bとは対向している。
【0032】
周壁12のうち第2方向Yの他方側の部分の外面には、門型をなす一対の支持部18が第1方向Xに互いに間隔をおいて設けられている。各支持部18は、第3方向Zの一方側に突出している。
【0033】
周壁12のうち第2室10bを構成する部分における第1方向Xの両側の外面には、一対の係止部19が設けられている。各係止部19には、上述した一対のクランプ70が係止されている。第1方向Xの他方側における係止部19は、周壁12のうち膨出部15を構成する部分に設けられている。
【0034】
<キャップ30>
図6及び図7に示すように、キャップ30は、ケース10の第1開口11に対向する第2開口31を有している。また、キャップ30は、第2開口31を囲む周壁32と、第2開口31に対向する対向壁33とを有している。対向壁33の一部は、フィルタエレメント50に対向している。
【0035】
キャップ30の内部には、ケース10の第1室10aに対向する第1室30aと、第1室30aに連通するとともにケース10の第2室10bに対向する第2室30bとが形成されている。
【0036】
第1室30aは、第1本体部111におけるフィルタエレメント50よりも下流側の部分を構成している。また、第2室30bは、第2本体部112の一部を構成している。
以上のことから、第1本体部111は、ケース10の第1室10aと、キャップ30の第1室30aとにより構成されている。また、第2本体部112は、ケース10の第2室10bと、キャップ30の第2室30bとにより構成されている。
【0037】
キャップ30の内部には、周壁32のうち第1方向Xの両側の部分同士を連結する梁部34が第1方向Xに沿って延在している。梁部34の端面は、周壁32の端面と面一に設けられている。梁部34は、ケース10の区画壁14に対向して設けられている。
【0038】
第2開口31は、ケース10の主開口11aに対向する主開口31aと、ケース10の副開口11bに対向する副開口31bとにより構成されている。主開口31aと副開口31bとは梁部34により仕切られている。主開口31aと副開口31bとは第2方向Yに隣り合って形成されている。
【0039】
第2室30bにおける第1方向Xの他方側の部分には、第1室30aよりも第1方向Xの他方側に膨出した膨出部35が連なって設けられている。膨出部35は、第2折り返し部130の一部を構成している。
【0040】
以上のことから、第2折り返し部130は、ケース10の膨出部15とキャップ30の膨出部35とにより構成される膨出部131を有している、膨出部131は、本体部110から外方、すなわち第1方向Xの他方側に向かって膨出している。
【0041】
上述したアウトレット40は、膨出部131における第2方向Yの他方側の部分に接続されており、第2方向Yに沿って延在している。アウトレット40における第1方向Xの他方側の外面には、取付座41が設けられている。
【0042】
図1図3に示すように、取付座41には、アウトレット40の内部における吸気の流量を測定するエアフローメータ80が取り付けられている。
図7及び図8に示すように、膨出部131とアウトレット40との接続部分には、第2折り返し部130の内部を本体部110に近い内側と本体部110から離れた外側とに隔てる規制壁42が設けられている。規制壁42は、対向壁33から突出しており、第3方向Zにおける上記接続部分の全体にわたって延在している。規制壁42は、第2折り返し部130の内部における本体部110から離れた外側に向かう吸気の流れを規制するものである。
【0043】
アウトレット40の内部における上流側の部分には、平行に延在する一対の整流壁43が設けられている。各整流壁43は、規制壁42に交差して延在している。各整流壁43の上流側の縁部は、規制壁42に連なっている。各整流壁43は、エアフローメータ80における第3方向Zの両側に位置している。
【0044】
図6図8に示すように、本体部110を構成する周壁32の内面のうち第2折り返し部130のコーナーの内側に連なる部分には、本体部110の内側に向かって突出する第1案内壁44が設けられている。第1案内壁44は、第3方向Zに沿って延在している。第1案内壁44の第3方向Zにおける一端は対向壁33に連なるとともに、他端は梁部34に連なって設けられている。第1案内壁44は、第1本体部111から第2本体部112に向かって流れる吸気を第2折り返し部130から離れる側に向けて案内するものである。
【0045】
対向壁33には、本体部110の内側に向かって突出する第2案内壁45が設けられている。第2案内壁45は、対向壁33における第1折り返し部120側から第2折り返し部130側に向かって延在している。本実施形態の第2案内壁45は、第1方向Xに沿って延在している。第2案内壁45の第1方向Xにおける一端は周壁32に連なるとともに、他端は第1案内壁44に連なって設けられている。第2案内壁45は、第1室30a側から第2室30b側に向かって流れる吸気を対向壁33から離れる側に向けて案内するものである。
【0046】
なお、第1案内壁44及び第2案内壁45は、第1本体部111と第2本体部112との間に設けられている。
第2案内壁45と梁部34とは、第1方向Xに互いに間隔をおいて設けられた複数の板状のリブ46により連結されている。本実施形態では、4つのリブ46が設けられている。各リブ46の板厚方向は、第1方向Xと一致している。
【0047】
第2案内壁45のうち第1方向Xの他方側、すなわち第2折り返し部130に近い側の部分には、その他の部分よりも本体部110の内側に向かって突出する案内促進部47が設けられている。案内促進部47の第1方向Xにおける一端はリブ46に連なるとともに、他端は第1案内壁44に連なって設けられている。案内促進部47は、対向壁33から離れる側に向かう吸気の案内を促進するものである。
【0048】
周壁32における第2開口31の周縁にはフランジ36が全周にわたって設けられている。フランジ36と、梁部34とにより第3方向Zに直交するシール面37が形成されている。シール面37は、平面視B字状をなしている。
【0049】
フランジ36の外周側には、ケース10に向かって突出した外壁36aが設けられている。外壁36aは、ケース10のうち第1方向Xの両側の部分と、第2方向Yの一方側の部分とに設けられている。より詳しくは、外壁36aは、フランジ36のうち第1室30aにおける第1方向Xの一方側の部分から第2室30bを取り囲むように第1方向Xの他方側の部分の途中まで延在している。したがって、外壁36aは、第2方向Yの他方側の部分には設けられていない。シール面37のうち副開口31bを取り囲む部分の内周側には、ケース10に向かって突出した内壁36bが全周にわたって設けられている。
【0050】
周壁32のうち第2方向Yの他方側の部分の外面には、ケース10の各支持部18内に挿通される一対の突起38が第1方向Xに互いに間隔をおいて設けられている。各突起38は、第2方向Yの他方側に突出している。各支持部18及び各突起38は、ケース10に対してキャップ30を傾動可能に支持するヒンジとして機能する。
【0051】
周壁32のうち第2室30bを構成する部分における第1方向Xの両側の外面には、一対の取付部39が設けられている。各取付部39には、上述したクランプ70が取り付けられている。第1方向Xの他方側における取付部39は、周壁32のうち膨出部35を構成する部分に設けられている。
【0052】
<フィルタエレメント50>
図3及び図4に示すように、フィルタエレメント50は、吸気を濾過する濾過部51と、濾過部51の周縁の全周にわたって設けられたシール部52とを有している。濾過部51は、不織布を襞折りして形成されている。本実施形態では、濾過部51及びシール部52が一体に形成されている。
【0053】
<シール部材60>
図3及び図4に示すように、ケース10とキャップ30との間には、これらの間をシールする平面視B字状のシール部材60が設けられている。シール部材60は、ケース10のシール面17と、キャップ30のシール面37とにより挟持されている。
【0054】
シール部材60のうちケース10の主開口11a及びキャップ30の主開口31aを囲む部分の内周面には、全周にわたってスリット61が形成されている。スリット61にフィルタエレメント50のシール部52が全周にわたって挟持されることで、フィルタエレメント50がシール部材60に保持されている。
【0055】
本実施形態の作用について説明する。
本実施形態のエアクリーナにおいては、インレット20から第1折り返し部120内に流入した吸気は、折り返されて本体部110内に流入してフィルタエレメント50を通過する。そして、フィルタエレメント50を通過した吸気は、第2折り返し部130内において再び折り返されて流れることでアウトレット40から流出する。したがって、吸気は、インレット20から流入してアウトレット40から流出されるまでの間に2度にわたって折り返される。
【0056】
ところで、第1折り返し部120内を流れる吸気は、第1折り返し部120のコーナーの外側に偏在しやすい。このため、図8に二点鎖線の矢印Aにて示すように、本体部110内を流れる吸気は、本体部110のうち第1折り返し部120のコーナーの外側に連なる部分の近傍に偏在しやすくなり、第2折り返し部130内を流れる吸気は、同第2折り返し部130のコーナーの外側に偏在しやすくなる。
【0057】
本実施形態のエアクリーナによれば、本体部110の内面のうち第2折り返し部130のコーナーの内側に連なる部分に第1案内壁44が設けられている。このため、図8に実線の矢印Bにて示すように、本体部110内において、第2折り返し部130のコーナーの内側に連なる部分の近傍を流れる吸気が、第1案内壁44によって第2折り返し部130から離れる側に向けて案内されるようになる。これにより、第1案内壁44を有していない構成に比べて、第2折り返し部130内への吸気の流入角度が小さくなる。なお、同図に二点鎖線にて示す矢印Aは、第1案内壁44を有していないエアクリーナにおける第2折り返し部130内への吸気の流れを模式的に表している(以上、作用1)。
【0058】
また、フィルタエレメント50を通過してクリーン室Cに流入した吸気は、慣性により同フィルタエレメント50に対向する対向壁33に向かって流れる。このため、本体部110内を流れる吸気は、対向壁33の近傍に偏在しやすい。そして、このことが、第2折り返し部130内を流れる吸気が第2折り返し部130のコーナーの外側に偏在しやすくなる要因の一つとなっている。
【0059】
この点、本実施形態のエアクリーナによれば、図9に矢印にて示すように、本体部110内において、対向壁33の近傍を流れる吸気が、第2案内壁45によって対向壁33から離れる側に向けて案内されるようになる。このため、本体部110内を流れる吸気が対向壁33の近傍に偏在することを抑制できる(以上、作用2)。
【0060】
ところで、対向壁33からの第2案内壁45の突出量をその延在方向、すなわち第1方向Xの全体にわたって一律に大きくすると、吸気を対向壁33から効果的に離間させることができる一方、吸気の圧力損失が増加するおそれがある。
【0061】
本実施形態のエアクリーナによれば、第2案内壁45のうち第2折り返し部130に近い側の部分に、本体部110の内側に向かって突出する案内促進部47が設けられている。本体部110内において対向壁33から離間して流れる吸気のうち第2折り返し部130に近い側を流れる吸気ほど、対向壁33から離間した状態のまま第2折り返し部130内に流入しやすい。このため、図10に矢印にて示すように、本体部110内を流れる吸気のうち第2折り返し部130に近い側を流れる吸気については、案内促進部47を設けることによって対向壁33から大きく離間させることで、アウトレット40内を流れる吸気が偏在することを効果的に抑制できる。一方、本体部110内を流れる吸気のうち第1折り返し部120に近い側を流れる吸気については、案内促進部47を設けないことによって第2案内壁45の突出量を大きくすることによる吸気の圧力損失の増加を抑制できる(以上、作用3)。
【0062】
本実施形態の効果について説明する。
(1)ハウジング100は、フィルタエレメント50を収容する本体部110と、本体部110を挟んで設けられ、互いに近づく側に折り返されて延在する第1折り返し部120及び第2折り返し部130とを有している。第1折り返し部120は、インレット20を有しており、第2折り返し部130は、アウトレット40を有している。本体部110の内面のうち第2折り返し部130のコーナーの内側に連なる部分には、本体部110の内側に向かって突出するとともに、吸気を、第2折り返し部130から離れる側に向けて案内する第1案内壁44が設けられている。
【0063】
こうした構成によれば、上述した作用1を奏することから、アウトレット40内を流れる吸気が偏在することを抑制できる。
(2)本体部110は、フィルタエレメント50を収容するとともに第1折り返し部120が接続される第1本体部111と、第1本体部111と第2折り返し部130との間に位置するとともに第2折り返し部130が接続される第2本体部112とを有している。第2本体部112は、フィルタエレメント50の周縁を含む面方向において第1本体部111と並んで設けられている。第1折り返し部120は、第2本体部112に向けて折り返されており、第2折り返し部130は、第1本体部111に向けて折り返されている。
【0064】
こうした構成によれば、インレット20から第1折り返し部120内に流入した吸気は、折り返されて第1本体部111内に流入するとともにフィルタエレメント50を通過する。また、フィルタエレメント50を通過した吸気は、第1本体部111と並んで設けられた第2本体部112内に流入する。そして、第2本体部112に接続された第2折り返し部130内に流入する際に再び折り返されて流れることでアウトレット40から流出する。
【0065】
上記構成によれば、本体部110が第1本体部111と、上記面方向において第1本体部111と並んで設けられる第2本体部112とを有しているため、ハウジング100の容積を確保しつつ、フィルタエレメント50の厚さ方向、すなわち第3方向Zにおけるハウジング100の体格を小さくできる。
【0066】
(3)対向壁33には、本体部110の内側に向かって突出するとともに、吸気を対向壁33から離れる側に向けて案内する第2案内壁45が設けられている。
こうした構成によれば、上述した作用2を奏することから、第2折り返し部130内を流れる吸気が、第2折り返し部130のコーナーの外側に偏在することを抑制できる。
【0067】
(4)第2案内壁45は、対向壁33における第1折り返し部120側から第2折り返し部130側に向かって延在している。第2案内壁45のうち第2折り返し部130に近い側の部分には、その他の部分よりも本体部110の内側に向かって突出するとともに、対向壁33から離れる側に向かう吸気の案内を促進する案内促進部47が設けられている。
【0068】
こうした構成によれば、上述した作用3を奏することから、アウトレット40内を流れる吸気の偏在を抑制することと、吸気の圧力損失の増加を抑制することとの両立を図ることが可能となる。
【0069】
(5)第2折り返し部130は、本体部110から外方に向かって膨出する膨出部131と、膨出部131に接続されるアウトレット40とを有している。膨出部131とアウトレット40との接続部分には、第2折り返し部130の内部を本体部110に近い内側と本体部110から離れた外側とに隔てるとともに、当該外側に向かう吸気の流れを規制する規制壁42が設けられている。
【0070】
こうした構成によれば、第2折り返し部130内においてアウトレット40に向けて流れる吸気のうち、第2折り返し部130の内部における本体部110から離れた外側に向かう吸気の流れが規制壁42によって規制される。これにより、アウトレット40内を流れる吸気が上記外側に偏在することを一層抑制できる。
【0071】
<変更例>
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0072】
・規制壁42は、省略することもできる。
・整流壁43は、省略することもできる。
・案内促進部47は、省略することもできる。
【0073】
・第2案内壁45は、第1方向Xに対して傾斜して延在するものであってもよい。
・第2案内壁45の第1方向Xにおける一端は、周壁32に連なっていなくてもよい。また、第2案内壁45の第1方向Xにおける他端は、第1案内壁44に連なっていなくてもよい。
【0074】
・第2案内壁45を第2方向Yにおいて複数設けることでもきる。
・第2案内壁45は、省略することもできる。
・第1案内壁44と第2案内壁45とを第2方向Yにおいて異なる位置に設けることもできる。
【0075】
・第2本体部112を省略して、第1本体部111の下流側の部分に第2折り返し部130を接続することもできる。この場合であっても、本体部110の内面のうち第2折り返し部130のコーナーの内側に連なる部分に第1案内壁44を設けるようにすれば、上記効果(1)に準じた効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0076】
C…クリーン室
D…ダスティ室
20…インレット
33…対向壁
40…アウトレット
42…規制壁
44…第1案内壁
45…第2案内壁
47…案内促進部
50…フィルタエレメント
100…ハウジング
110…本体部
111…第1本体部
112…第2本体部
120…第1折り返し部
130…第2折り返し部
131…膨出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10