(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-18
(45)【発行日】2023-07-26
(54)【発明の名称】エアクリーナ
(51)【国際特許分類】
F02M 35/024 20060101AFI20230719BHJP
F02M 35/10 20060101ALI20230719BHJP
【FI】
F02M35/024 511A
F02M35/10 301L
(21)【出願番号】P 2019226253
(22)【出願日】2019-12-16
【審査請求日】2022-06-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】猪飼 克尚
【審査官】池田 匡利
(56)【参考文献】
【文献】実開昭53-099409(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 35/024
F02M 35/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気中から異物を取り除くためのエレメントが収容されるケースと、その空気を流すために前記ケースに接続されているパイプと、を備えるエアクリーナにおいて、
前記パイプと前記ケースの外側壁とは並列となるように延びており、
前記ケースの外側壁は、前記パイプの延びる方向において同パイプよりも長くされており、
前記ケースの外側壁は、前記外側壁から突出する接続リブを備えており、
前記接続リブは、前記外側壁に沿って前記パイプの延びる方向に同パイプよりも長く延び、
前記パイプと前記接続リブとの間には、両者を繋ぐ連結プレートが形成されている
ことを特徴とするエアクリーナ。
【請求項2】
前記接続リブには、同接続リブにおける前記ケースの外側壁からの突出方向に延びる補強リブが形成されている請求項1に記載のエアクリーナ。
【請求項3】
前記パイプ及び前記連結プレートの下側には、それらの両方に亘って延びる支持リブが設けられている請求項1又は2に記載のエアクリーナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアクリーナに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、内燃機関の吸気系に設けられるエアクリーナが記載されている。このエアクリーナのケースは同ケースの開口を閉塞するためのキャップを備えており、ケース内には空気中から異物を取り除くためのエレメントが収容されている。また、ケースには、内燃機関の吸気系を通過する空気を流すためのパイプが接続されている。従って、内燃機関の吸気系を流れる空気に含まれる異物は、エアクリーナのケースを空気が通過する際、そのケース内のエレメントによって取り除かれる。また、特許文献1には、エアクリーナにおけるパイプとケースとの間にリブを形成することが開示されており、そのリブによってエアクリーナが補強されると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、エアクリーナの搭載場所によっては、ケースを比較的平たい扁平形状にしたり、パイプをケースの外側壁と並列に且つ比較的長くしたりしなければならなくなる。しかし、そうした形状を有するエアクリーナにおいては、同エアクリーナの振動時にケースに対しパイプが振れやすくなるため、パイプとケースとの間にリブを形成しただけでは上記振れを抑えきれず、その振れに伴ってエアクリーナで共鳴が生じる。
【0005】
本発明の目的は、ケースに対するパイプの振れを抑制することができるエアクリーナを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
上記課題を解決するエアクリーナは、空気中から異物を取り除くためのエレメントが収容されるケースと、その空気を流すために前記ケースに接続されているパイプと、を備える。上記パイプと上記ケースの外側壁とは並列となるように延びている。また、上記ケースの外側壁は、パイプの延びる方向において同パイプよりも長くされており、外側壁から突出するとともに同外側壁に沿って同パイプよりも長く延びる接続リブを備えている。更に、上記パイプと上記接続リブとの間には、両者を繋ぐ連結プレートが形成されている。
【0007】
上記構成によれば、ケースが比較的平たい扁平形状であり、パイプがケースの外側壁と並列であり且つ比較的長いものであっても、エアクリーナの振動時にケースに対しパイプが振れることは、接続リブ及び連結プレートによって抑制されるようになる。すなわち、接続リブがケースの外側壁に沿ってパイプよりも長く延びており、その接続リブとパイプとが連結プレートにより繋がれているため、エアクリーナの剛性が高められてケースに対するパイプの振れが抑制されるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】エアクリーナを斜め上方から見た状態を示す斜視図。
【
図3】エアクリーナを斜め下方から見た状態を示す斜視図。
【
図4】エアクリーナにおけるケースのインレットパイプ周りを拡大して示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、エアクリーナの一実施形態について、
図1~
図4を参照して説明する。
図1に示すエアクリーナは、その搭載場所を考慮して、比較的平たい扁平形状となるように形成されている。このエアクリーナのケース1は、同ケース1の開口を閉塞するためのキャップ2を備えている。また、ケース1にはインレットパイプ9及びアウトレットパイプ10が接続されている。そして、インレットパイプ9は、内燃機関の吸気系におけるエアクリーナよりも上流側の部分に繋がっている。また、アウトレットパイプ10は、内燃機関の吸気系におけるエアクリーナよりも上流側の部分に繋がっている。これらインレットパイプ9及びアウトレットパイプ10は、内燃機関の吸気系を通過する空気を流すためのパイプとして機能する。
【0010】
図2に示すように、エアクリーナ(ケース1)の内部は、ケース1側の隔壁1a及びキャップ2側の隔壁2aによって保持室3と拡張室4とに区画されている。キャップ2側の隔壁2aには、保持室3と拡張室4とを連通する連通路5が形成されている。そして、ケース1とキャップ2との間の部分であって保持室3に対応する部分には、エアクリーナを通過する空気から異物を除去するためのエレメント6が設けられている。保持室3におけるエレメント6よりも上流側の部分、すなわち
図2の下側の部分は上記インレットパイプ9と繋がっている。また、拡張室4には上記アウトレットパイプ10が繋がっている。
【0011】
従って、内燃機関の吸気系におけるエアクリーナよりも上流側の部分を流れる空気は、インレットパイプ9、保持室3におけるエレメント6よりも上流側の部分、及びエレメント6を通過し、そのエレメント6を通過する際に空気に含まれる異物が除去される。そして、エレメント6によって異物が取り除かれた空気は、保持室3におけるエレメント6よりも下流側の部分、連通路5、拡張室4、及びアウトレットパイプ10を介して、内燃機関の吸気系におけるエアクリーナよりも下流側の部分に流出する。
【0012】
図3及び
図4はそれぞれ、エアクリーナ(ケース1)を斜め下方から見た状態、及び、ケース1のインレットパイプ9周りを拡大した状態を示している。
図3から分かるように、インレットパイプ9は、エアクリーナの搭載場所の関係から、ケース1におけるインレットパイプ9側の外側壁7に対し並列となるように、且つ、比較的長く延びるように形成されている。また、ケース1の外側壁7は、インレットパイプ9の延びる方向においてインレットパイプ9よりも長くされている。
【0013】
図4に示すように、ケース1は、外側壁7からインレットパイプ9側に突出するとともに、同外側壁7に沿ってインレットパイプ9よりも長く延びる接続リブ11を備えている。そして、接続リブ11とインレットパイプ9との間には、両者を繋ぐ連結プレート12が形成されている。
【0014】
接続リブ11には、同接続リブ11におけるケース1の外側壁7からの突出方向に延びる補強リブ13が形成されている。補強リブ13は、インレットパイプ9が延びる方向に所定の間隔をおいて、複数設けられている。また、インレットパイプ9及び連結プレート12の下側には、それらの両方に亘って補強リブ13の延びる方向と同方向に延びる支持リブ14が設けられている。支持リブ14も、インレットパイプ9が延びる方向に所定の間隔をおいて、複数設けられている。
【0015】
次に、本実施形態のエアクリーナの作用効果について説明する。
(1)エアクリーナの搭載場所によっては、ケース1を比較的平たい扁平形状にしたり、インレットパイプ9をケース1の外側壁7と並列に且つ比較的長くしたりしなければならなくなるが、そうした形状を有するエアクリーナでは振動時にケース1に対しインレットパイプ9が振れやすくなる。しかし、エアクリーナの振動時にケース1に対しインレットパイプ9が振れやすくなることは、接続リブ11及び連結プレート12によって抑制される。すなわち、接続リブ11がケース1の外側壁7に沿ってインレットパイプ9よりも長く延びており、その接続リブ11とインレットパイプ9とが連結プレート12により繋がれているため、エアクリーナの剛性が高められてケース1に対するインレットパイプ9の振れが抑制されるようになる。更に、そのインレットパイプ9の振れに伴ってエアクリーナで共鳴が生じることも抑制できる。
【0016】
(2)接続リブ11には、同接続リブ11におけるケース1の外側壁7からの突出方向に延びる補強リブ13が形成されているため、その補強リブ13によって接続リブ11の強度を高めることができ、ひいてはエアクリーナの剛性を接続リブ11及び連結プレート12によって一層高めることができる。
【0017】
(3)インレットパイプ9及び連結プレート12の下側には、それらの両方に亘って延びる支持リブ14が設けられているため、その支持リブ14でインレットパイプ9を下から支えることにより、ケース1に対するインレットパイプ9の重力によるクリープ変形を抑制することができる。
【0018】
なお、上記実施形態は、例えば以下のように変更することもできる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・支持リブ14については、必ずしも複数設ける必要はなく、一つだけ設けるようにしてもよい。
【0019】
・支持リブ14を省略してもよい。
・補強リブ13については、必ずしも複数設ける必要はなく、一つだけ設けるようにしてもよい。
【0020】
・補強リブ13を省略してもよい。
・この発明をエアクリーナのアウトレットパイプ10側に適用することも可能である。
【符号の説明】
【0021】
1…ケース
1a…隔壁
2…キャップ
2a…隔壁
3…保持室
4…拡張室
5…連通路
6…エレメント
7…外側壁
9…インレットパイプ
10…アウトレットパイプ
11…接続リブ
12…連結プレート
13…補強リブ
14…支持リブ