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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-18
(45)【発行日】2023-07-26
(54)【発明の名称】電源システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20230719BHJP
   H02J 7/34 20060101ALI20230719BHJP
   B60L 1/00 20060101ALI20230719BHJP
   B60L 50/60 20190101ALI20230719BHJP
   B60L 53/14 20190101ALI20230719BHJP
   B60L 53/20 20190101ALI20230719BHJP
   B60L 3/00 20190101ALI20230719BHJP
   H02M 3/28 20060101ALI20230719BHJP
【FI】
H02J7/00 P
H02J7/00 Y
H02J7/34 A
B60L1/00 L
B60L50/60
B60L53/14
B60L53/20
B60L3/00 J
H02M3/28 C
H02M3/28 V
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020015317
(22)【出願日】2020-01-31
(65)【公開番号】P2021125888
(43)【公開日】2021-08-30
【審査請求日】2022-05-23
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮田 清也
(72)【発明者】
【氏名】廣田 将義
(72)【発明者】
【氏名】川上 貴史
【審査官】宮本 秀一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/083813(WO,A1)
【文献】特開2001-186765(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L1/00-3/12
B60L7/00-13/00
B60L15/00-58/40
H02J7/00-7/12
H02J7/34-7/36
H02M3/00-3/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1負荷へ電力を供給する経路である第1導電路と、第2負荷へ電力を供給する経路である第2導電路と、蓄電部と、を備えた車載システムに用いられる電源システムであって、
前記蓄電部とは異なる電源から供給される電力に基づく直流電力を交流電力に変換して供給するインバータ回路を1以上備えたインバータ部と、
前記インバータ部から交流電力が供給される1以上の第1コイルと、複数の第2コイルと、を備えたトランス部と、
前記複数の第2コイルのうちの第1側の第2コイルに電気的に接続され、前記第1側の第2コイルの交流電力を直流電力に変換して前記蓄電部側に供給するコンバータ回路と、
前記複数の第2コイルのうちの前記第1側の第2コイルとは異なる複数の第2側の第2コイルに電気的に接続される複数の出力回路と、
前記複数の出力回路から電力が供給される選択回路と、
を備え、
複数の前記出力回路の各々は、複数の前記第2側の第2コイルの各々に電気的に接続され、前記第2側の第2コイルの交流電力に基づいて直流電力を出力し、
前記選択回路は、電力の供給先を前記第1導電路及び前記第2導電路から選択する電源システム。
【請求項2】
複数の前記出力回路の各々は、前記第2側の第2コイルから供給される交流電力を整流する整流回路である請求項1に記載の電源システム。
【請求項3】
前記選択回路の選択動作を制御する選択制御部を有し、
前記選択制御部は、第1条件が成立した場合に前記選択回路を前記第2導電路への電力供給を遮断した状態且つ前記第1導電路への電力供給を許容した状態に制御し、第2条件が成立した場合に前記選択回路を前記第1導電路への電力供給を遮断した状態且つ前記第2導電路への電力供給を許容した状態に制御する請求項1又は請求項2に記載の電源システム。
【請求項4】
前記第1導電路側の異常を検出する第1異常検出部と、
前記第2導電路側の異常を検出する第2異常検出部と、
を備え、
前記選択制御部は、前記第2異常検出部が前記第2導電路側の異常を検出した場合に前記選択回路を前記第2導電路への電力供給を遮断した状態且つ前記第1導電路への電力供給を許容した状態に制御し、前記第1異常検出部が前記第1導電路側の異常を検出した場合に前記選択回路を前記第1導電路への電力供給を遮断した状態且つ前記第2導電路への電力供給を許容した状態に制御する請求項3に記載の電源システム。
【請求項5】
前記インバータ部は、前記インバータ回路を複数有し、
前記トランス部は、前記第1コイルと前記第2側の第2コイルとを備えたトランスを複数有し、
各々の前記インバータ回路は、各々の前記トランスの前記第1コイルに電気的に接続され、各々の前記第1コイルに交流電力を供給し、
各々の前記トランスの前記第2側の第2コイルは、各々の前記出力回路に電気的に接続され、各々の前記出力回路に交流電力を供給する請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の電源システム。
【請求項6】
複数の前記コンバータ回路を備え、
複数の前記トランスの各々は、前記第1側の第2コイルを有し、
各々の前記第1側の第2コイルは、各々の前記コンバータ回路に電気的に接続され、各々の前記コンバータ回路に交流電力を供給する請求項5に記載の電源システム。
【請求項7】
前記インバータ回路と前記トランスと前記コンバータ回路と前記出力回路とを含む電力供給回路が複数設けられ、
更に、複数の前記電力供給回路のいずれかが異常状態となった場合に前記異常状態となった前記電力供給回路を検出する異常回路検出部と、
前記異常状態となった前記電力供給回路の動作を停止する停止制御部と、
を備える請求項6に記載の電源システム。
【請求項8】
前記選択回路の選択動作を制御する選択制御部と、
複数の前記出力回路のいずれかにおいて出力異常が生じた場合に前記出力異常が生じた前記出力回路を検出する出力異常検出部と、
を備え、
前記選択制御部は、前記出力異常が生じた前記出力回路と前記第1導電路及び前記第2導電路との間での通電を遮断し、前記出力異常が生じていない前記出力回路と前記第1導電路及び前記第2導電路の少なくともいずれかとの間での通電を許容するように前記選択回路を制御する請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の電源システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電源システムに関する。
【背景技術】
【0002】
プラグインハイブリッド車や電気自動車などの電動車両には、車両走行用のモータを駆動する電源としての高圧バッテリと、ワイパー、ヘッドライト等の補機を駆動する電源としての低圧バッテリとが搭載されている。なお、以下の説明では、プラグインハイブリッド車は、PHEV(Plug-in Hybrid Electric Vehicle)とも称される。電気自動車は、EV(Electric Vehicle)とも称される。これらPHEV及びEVには、商用電源や急速充電スタンドなどからの給電を可能とするための車載充電器も併せて搭載されている。特許文献1には、この種の電動車両に搭載される電源システムの一例が開示されている。特許文献1で開示される電源システムは、外部電源EPから電力供給を受けるプラグイン充電器73を備えており、プラグイン充電器73を介して高圧バッテリに相当する主電池MBに電力が供給され得る。更に、主電池MBと低圧バッテリに相当する補機電池ABとの間には、プラグイン充電器73とは別でDC/DCコンバータが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-212643号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された電源システムは、低圧負荷に相当する補機負荷30へ電力を供給する経路が1系統しかなく、低圧負荷への電力経路が複数確保されていない。従って、この電源システムは、冗長性の面で懸念がある。
【0005】
本開示は、負荷に対する電力供給の冗長性を高めることができる電源システムをより小型に実現し得る構成を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一つである電源システムは、
第1負荷へ電力を供給する経路である第1導電路と、第2負荷へ電力を供給する経路である第2導電路と、蓄電部と、を備えた車載システムに用いられる電源システムであって、
前記蓄電部とは異なる電源から供給される電力に基づく直流電力を交流電力に変換して供給するインバータ回路を1以上備えたインバータ部と、
前記インバータ部から交流電力が供給される1以上の第1コイルと、複数の第2コイルと、を備えたトランス部と、
前記複数の第2コイルのうちの第1側の第2コイルに電気的に接続され、前記第1側の第2コイルの交流電力を直流電力に変換して前記蓄電部側に供給するコンバータ回路と、
前記複数の第2コイルのうちの前記第1側の第2コイルとは異なる複数の第2側の第2コイルに電気的に接続される複数の出力回路と、
前記複数の出力回路から電力が供給される選択回路と、
を備え、
複数の前記出力回路の各々は、複数の前記第2側の第2コイルの各々に電気的に接続され、前記第2側の第2コイルの交流電力に基づいて直流電力を出力し、
前記選択回路は、電力の供給先を前記第1導電路及び前記第2導電路から選択する。
【発明の効果】
【0007】
本開示の一つである電源システムは、負荷に対する電力供給の冗長性を高めることができる構成を、より小型に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本開示の第1実施形態の電源システムを含む車載システムを概略的に例示するブロック図である。
図2図2は、図1の車載システムを搭載した車両を模式的に例示する模式図である。
図3図3は、図1の電源システムにおける電力供給部の具体的構成を例示する回路図である。
図4図4は、図1の車載システムの一部を拡大して概念的に示す説明図である。
図5図5は、本開示の第2実施形態の電源システムを搭載した車載システムの一部を拡大して概念的に示す説明図である。
図6図6は、本開示の他の実施形態の電源システムを含む車載システムを概略的に例示するブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下では、本開示の実施形態が列記されて例示される。なお、以下で例示される〔1〕~〔11〕の特徴は、矛盾しない範囲でどのように組み合わされてもよい。
【0010】
〔1〕第1負荷へ電力を供給する経路である第1導電路と、第2負荷へ電力を供給する経路である第2導電路と、蓄電部と、を備えた車載システムに用いられる電源システムであって、前記蓄電部とは異なる電源から供給される電力に基づく直流電力を交流電力に変換して供給するインバータ回路を1以上備えたインバータ部と、前記インバータ部から交流電力が供給される1以上の第1コイルと、複数の第2コイルと、を備えたトランス部と、前記複数の第2コイルのうちの第1側の第2コイルに電気的に接続され、前記第1側の第2コイルの交流電力を直流電力に変換して前記蓄電部側に供給するコンバータ回路と、前記複数の第2コイルのうちの前記第1側の第2コイルとは異なる複数の第2側の第2コイルに電気的に接続される複数の出力回路と、前記複数の出力回路から電力が供給される選択回路と、を備え、複数の前記出力回路の各々は、複数の前記第2側の第2コイルの各々に電気的に接続され、前記第2側の第2コイルの交流電力に基づいて直流電力を出力し、前記選択回路は、電力の供給先を前記第1導電路及び前記第2導電路から選択する電源システム。
【0011】
上記〔1〕の電源システムでは、複数の出力回路から選択回路に電力が供給され、選択回路は、電力の供給先を第1導電路及び第2導電路から選択することができる。つまり、上記電源システムは、第1負荷への電力供給を個別に維持する動作と、第2負荷への電力供給を個別に維持する動作とを切り替えることができる。よって、上記電源システムは、負荷に対する電力供給の冗長性を高めることができる。しかも、上記電源システムは、蓄電部を充電するために用いる一部部品と、第1負荷及び第2負荷に電力を供給するために用いる一部部品とを共用することができるため、冗長性を高め得る構成をより小型に実現することができる。
【0012】
〔2〕複数の前記出力回路の各々は、前記第2側の第2コイルから供給される交流電力を整流する整流回路である〔1〕に記載の電源システム。
【0013】
上記〔2〕の電源システムは、複数の出力回路の各々が整流回路によって構成されるため、一部部品を共用しつつ蓄電部の充電と第1負荷及び第2負荷への電力供給とを行い得る構成を、より一層小型に実現することができる。
【0014】
〔3〕前記選択回路の選択動作を制御する選択制御部を有し、前記選択制御部は、第1条件が成立した場合に前記選択回路を前記第2導電路への電力供給を遮断した状態且つ前記第1導電路への電力供給を許容した状態に制御し、第2条件が成立した場合に前記選択回路を前記第1導電路への電力供給を遮断した状態且つ前記第2導電路への電力供給を許容した状態に制御する〔1〕又は〔2〕に記載の電源システム。
【0015】
上記〔3〕の電源システムは、第1条件が成立した場合に第1導電路及び第2導電路のうちの第1導電路のみに選択的に電力を供給する動作が可能となる。また、上記電源システムは、第2条件が成立した場合に第1導電路及び第2導電路のうちの第2導電路のみに選択的に電力を供給する動作が可能となる。
【0016】
〔4〕前記第1導電路側の異常を検出する第1異常検出部と、前記第2導電路側の異常を検出する第2異常検出部と、を備え、前記選択制御部は、前記第2異常検出部が前記第2導電路側の異常を検出した場合に前記選択回路を前記第2導電路への電力供給を遮断した状態且つ前記第1導電路への電力供給を許容した状態に制御し、前記第1異常検出部が前記第1導電路側の異常を検出した場合に前記選択回路を前記第1導電路への電力供給を遮断した状態且つ前記第2導電路への電力供給を許容した状態に制御する〔3〕に記載の電源システム。
【0017】
上記〔4〕の電源システムは、第2導電路側での異常時に第1導電路及び第2導電路のうちの第1導電路のみに選択的に電力を供給する動作を行い得る。よって、この電源システムは、第2導電路側での異常時に当該異常の影響が第1導電路側に及ぶことを抑えつつ、第1負荷への電力供給を維持することができる。また、電源システムは、第1導電路側での異常時に第1導電路及び第2導電路のうちの第2導電路のみに選択的に電力を供給する動作を行い得る。よって、この電源システムは、第1導電路側での異常時に当該異常の影響が第2導電路側に及ぶことを抑えつつ、第2負荷への電力供給を維持することができる。
【0018】
〔5〕前記インバータ部は、前記インバータ回路を複数有し、前記トランス部は、前記第1コイルと前記第2側の第2コイルとを備えたトランスを複数有し、各々の前記インバータ回路は、各々の前記トランスの前記第1コイルに電気的に接続され、各々の前記第1コイルに交流電力を供給し、各々の前記トランスの前記第2側の第2コイルは、各々の前記出力回路に電気的に接続され、各々の前記出力回路に交流電力を供給する〔1〕から〔4〕のいずれか一つに記載の電源システム。
【0019】
上記〔5〕の電源システムは、いずれかのインバータ回路、トランス、出力回路などにおいて異常が発生した場合に、異常が発生していない経路のインバータ回路、トランス、出力回路を利用して第1導電路側又は第2導電路側への電力供給を維持することができる。よって、上記電源システムは、第1導電路又は第2導電路への電力供給の冗長性をより一層高めることができる。
【0020】
〔6〕複数の前記コンバータ回路を備え、複数の前記トランスの各々は、前記第1側の第2コイルを有し、各々の前記第1側の第2コイルは、各々の前記コンバータ回路に電気的に接続され、各々の前記コンバータ回路に交流電力を供給する〔5〕に記載の電源システム。
【0021】
上記〔6〕の電源システムは、いずれかのインバータ回路、トランス、コンバータ回路などにおいて異常が発生した場合に、異常が発生していない経路のインバータ回路、トランス、コンバータ回路を利用して蓄電部側への電力供給を維持することができる。よって、上記電源システムは、蓄電部側への電力供給の冗長性をより一層高めることができる。
【0022】
〔7〕前記インバータ回路と前記トランスと前記コンバータ回路と前記出力回路とを含む電力供給回路が複数設けられ、更に、複数の前記電力供給回路のいずれかが異常状態となった場合に前記異常状態となった前記電力供給回路を検出する異常回路検出部と、前記異常状態となった前記電力供給回路の動作を停止する停止制御部と、を備える〔6〕に記載の電源システム。
【0023】
上記〔7〕の電源システムは、電力供給回路が複数設けられるため、蓄電部への充電経路を複数経路確保することができるとともに、第1負荷及び第2負荷への電力供給経路を複数確保することができる。更に、上記電源システムは、いずれかの電力供給回路が異常状態となった場合には、その電力供給回路を停止させて保護を図ることができる。しかも、上記電源システムは、いずれかの電力供給回路を停止させても、他の電力供給回路を動作させて蓄電部の充電や第1負荷又は第2負荷への電力供給を行い得る。
【0024】
〔8〕前記選択回路の選択動作を制御する選択制御部と、複数の前記出力回路のいずれかにおいて出力異常が生じた場合に前記出力異常が生じた前記出力回路を検出する出力異常検出部と、を備え、前記選択制御部は、前記出力異常が生じた前記出力回路と前記第1導電路及び前記第2導電路との間での通電を遮断し、前記出力異常が生じていない前記出力回路と前記第1導電路及び前記第2導電路の少なくともいずれかとの間での通電を許容するように前記選択回路を制御する〔1〕から〔7〕のいずれか一つに記載の電源システム。
【0025】
上記〔8〕の電源システムは、複数の出力回路のいずれかにおいて出力異常が生じた場合に、出力異常が生じた出力回路を、第1導電路及び第2導電路から電気的に切り離して保護を図ることができる。一方で、上記電源システムは、出力異常が生じていない出力回路と第1導電路及び第2導電路の少なくともいずれかとの間での通電を許容することができ、少なくともいずれかの導電路への電力供給を維持することができる。
【0026】
〔9〕前記選択回路は、各々の前記出力回路と前記第1導電路との間にそれぞれ第1リレーが配置され、複数の前記第1リレーのオンオフ状態に切り替えによって前記第1導電路に電力を供給する回路を切り替え、各々の前記出力回路と前記第2導電路との間にそれぞれ第2リレーが配置され、複数の前記第2リレーのオンオフ状態に切り替えによって前記第2導電路に電力を供給する回路を切り替える〔1〕から〔8〕のいずれか一つに記載の電源システム。
【0027】
上記〔9〕の電源システムでは、第1負荷への電力供給を個別に維持する動作と第2負荷への電力供給を個別に維持する動作とを切り替える構成が、第1リレー及び第2リレーを要部として簡易に実現される。
【0028】
〔10〕前記第1導電路は、第1バッテリが電気的に接続された導電路であり、前記第2導電路は、第2バッテリが電気的に接続された導電路である〔1〕から〔9〕のいずれか一つに記載の電源システム。
【0029】
上記〔10〕の電源システムは、第1導電路を介して第1バッテリ及び第1負荷に電力が供給され、第2導電路を介して第2バッテリ及び第2負荷に電力が供給されうる車載システムに好適に用いることができる。
【0030】
〔11〕〔1〕から〔10〕のいずれか一つに記載の電源システムを含む車両。
【0031】
上記〔10〕に記載された車両では、負荷に対する電力供給の冗長性を高めることができる電源システムがより小型に実現される。
【0032】
<第1実施形態>
図1には、本開示の第1実施形態に係る電源システム10が示される。電源システム10は車両用の電源システムとして構成されている。
【0033】
(電源システムの構成)
図2に示されるように、電源システム10は、車両1に搭載される車載システム2の一部として用いられる。車両1は、電源システム10を搭載した車両であり、例えば、PHEV、EV等の車両である。図2のように、車載システム2は、電源システム10、高圧負荷4、第1負荷5、第2負荷6などを含む。車両1は、図示されない接続端子を有し、接続端子に対して外部交流電源190(図1)が電気的に接続され得る。電源システム10は、図1のように外部交流電源190が電気的に接続された状態と外部交流電源190が接続されていない状態とに切り替わり得る。
【0034】
図1のように、電源システム10は、第1導電路21、第2導電路22、電力供給部30、制御部18、高圧バッテリ11、低圧バッテリ12などを備える。低圧バッテリ12は、第1低圧バッテリ12Aと第2低圧バッテリ12Bとを含む。
【0035】
電源システム10は、車両1に対して外部交流電源190が接続された際に、外部交流電源190から供給される交流電力に基づいて高圧バッテリ11、第1低圧バッテリ12A、第2低圧バッテリ12Bを充電し得るシステムである。また、電源システム10は、車両走行時に、高圧負荷4、第1負荷5、第2負荷6に電力を供給し得るシステムである。
【0036】
高圧負荷4は、高圧バッテリ11から電力供給を受けて動作し得る負荷である。高圧負荷4は、例えば駆動部8(図2)と、図示されていないPCU(Power Control Unit)とを含む。このPCUは、高圧バッテリ11の出力電力を、駆動部8を駆動するための電力に変換し、駆動部8に供給する装置である。このPCUは、例えばインバータを備え、直流から交流(例えば三相交流)を生成して、駆動部8に供給する。駆動部8は、主機系モータ等の電気的駆動装置である。駆動部8は、高圧バッテリ11から供給される電力に基づいて車両1の車輪を回転させる駆動力を与える装置である。
【0037】
第1負荷5は、第1導電路21から電力の供給を受ける負荷である。第2負荷6は、第2導電路22から電力の供給を受ける負荷である。第1補機系負荷5Aは、第1負荷5の一例に相当する。第2補機系負荷6Aは、第2負荷6の一例に相当する。第1補機系負荷5A及び第2補機系負荷6Aは、例えば、エンジン及びモータを稼動するのに必要な付属機器である。この付属機器は、例えば、セルモータ、オルタネータ及びラジエータクーリングファン等である。第1補機系負荷5A及び第2補機系負荷6Aは、電動パワーステアリングシステム、電動パーキングブレーキ、照明、ワイパー駆動部、ナビゲーション装置等を含んでいてもよい。第2補機系負荷6Aは、第1補機系負荷5Aの機能が停止した場合に第1補機系負荷5Aの一部又は全部の機能を実行し得る負荷である。第1補機系負荷5Aは、第2補機系負荷6Aの機能が停止した場合に第2補機系負荷6Aの一部又は全部の機能を実行し得る負荷である。
【0038】
第1自動運転負荷5Bは、第1負荷5の一例に相当する。第2自動運転負荷6Bは、第2負荷6の一例に相当する。第1自動運転負荷5B及び第2自動運転負荷6Bは、自動運転に必要な負荷である。第1自動運転負荷5B及び第2自動運転負荷6Bは、例えば、ミリ波レーダやステレオカメラなどのセンシングシステム、速度制御システム、車間制御システム、操舵制御システム、車線逸脱防止支援システム、などを含む。第2自動運転負荷6Bは、第1自動運転負荷5Bの機能が停止した場合に第1自動運転負荷5Bの一部又は全部の機能を実行し得る負荷である。第1自動運転負荷5Bは、第2自動運転負荷6Bの機能が停止した場合に第2自動運転負荷6Bの一部又は全部の機能を実行し得る負荷である。なお、図1では、第1自動運転負荷5Bと第1補機系負荷5Aとが区別されているが、区別されていなくてもよい。例えば、第1補機系負荷5Aにおいて第1自動運転負荷5Bに属する負荷があってもよく、第1自動運転負荷5Bにおいて第1補機系負荷5Aに属する負荷があってもよい。同様に、第2自動運転負荷6Bと第2補機系負荷6Aとが区別されていなくてもよい。例えば、第2補機系負荷6Aにおいて第2自動運転負荷6Bに属する負荷があってもよく、第2自動運転負荷6Bにおいて第2補機系負荷6Aに属する負荷があってもよい。
【0039】
本明細書において、車両走行時とは、車両が移動している状態を含むが、車両が移動している状態に限らない。車両走行時は、アクセルを踏めば車両が移動する状態も含む。車両走行時は、車両が移動せずに停止しつつ第1負荷5及び第2負荷6のいずれか又は全てに電力を供給している状態を含む。車両1がPHEVであれば、車両走行時はエンジンのアイドリング状態をも含む。
【0040】
高圧バッテリ11は、蓄電部の一例に相当する。高圧バッテリ11は、充放電可能に構成されている。高圧バッテリ11は、駆動部8を駆動するための高電圧(例えば、約300V)を出力する。高圧バッテリ11の満充電時の出力電圧は、第1低圧バッテリ12Aの満充電時の出力電圧よりも高く、第2低圧バッテリ12Bの満充電時の出力電圧よりも高い。高圧バッテリ11は、リチウムイオン電池によって構成されていてもよく、その他の種類の蓄電池によって構成されていてもよい。高圧バッテリ11の正極は導電路14Aに電気的に接続され、高圧バッテリ11の負極は導電路14Bに電気的に接続されている。
【0041】
第1導電路21は、第1負荷5へ電力を供給する経路である。第1導電路21は、第1補機系負荷5A、第1自動運転負荷5B、第1低圧バッテリ12Aに電気的に接続されている。第1導電路21は、第1低圧バッテリ12Aの正極に電気的に接続される導電路21Aと、第1低圧バッテリ12Aの負極に電気的に接続される導電路21Bとを備える。
【0042】
第1低圧バッテリ12Aは、第1バッテリの一例に相当する。第1低圧バッテリ12Aは、充放電可能に構成されている。第1低圧バッテリ12Aは、第1導電路21の導電路21A,21B間に出力電圧を印加し、第1補機系負荷5A及び第1自動運転負荷5Bに電力を供給する。第1低圧バッテリ12Aは、鉛蓄電池によって構成されていてもよく、その他の種類の蓄電池によって構成されていてもよい。第1低圧バッテリ12Aは、満充電時に所定電圧(例えば12V)を第1導電路21に印加する。
【0043】
第2導電路22は、第2負荷6へ電力を供給する経路である。第2導電路22は、第2補機系負荷6A、第2自動運転負荷6B、第2低圧バッテリ12Bに電気的に接続されている。第2導電路22は、第2低圧バッテリ12Bの正極に電気的に接続される導電路22Aと、第2低圧バッテリ12Bの負極に電気的に接続される導電路22Bとを備える。
【0044】
第2低圧バッテリ12Bは、第2バッテリの一例に相当する。第2低圧バッテリ12Bは、充放電可能に構成されている。第2低圧バッテリ12Bは、第2導電路22の導電路22A,22B間に出力電圧を印加し、第2補機系負荷6A及び第2自動運転負荷6Bに電力を供給する。第2低圧バッテリ12Bは、鉛蓄電池によって構成されていてもよく、その他の種類の蓄電池によって構成されていてもよい。第2低圧バッテリ12Bは、満充電時に所定電圧(例えば12V)を第2導電路22に印加する。
【0045】
制御部18は、車載システム2内の装置に対して各種制御を行う装置である。制御部18は、複数の電子制御装置によって構成されていてもよく、単一の電子制御装置によって構成されていてもよい。制御部18は、電力供給部30の制御を行い得る装置である。
【0046】
電源システム10が搭載される車両がEVであれば、図1図2に示される構成によりEVが走行し得る。電源システム10が搭載される車両がPHEVであれば、当該車両は駆動部8の他にエンジンを備えている。従って、車両がPHEVであれば、エンジンと駆動部8とが協調して動作することによりPHEVが走行し得る。
【0047】
電力供給部30は、主に、PFC(Power Factor Correction)コンバータ32、電力供給回路34,36、選択回路38、ノイズフィルタ部91,92,94,96などを備える。ノイズフィルタ部91,92,94、96は経路のノイズを除去する部分である。なお、電力供給回路34,36は、同様の構成のものが3以上設けられていてもよい。以下では、電力供給回路34,36の2つが設けられている構成が代表例として説明される。
【0048】
電力供給部30は、車載用の充電装置として構成されている。電力供給部30は、OBC(On Board Charger)として機能する。電力供給部30は、車両1の外部にある外部交流電源190(例えば商用電源)が車両1に接続された場合に、外部交流電源190から供給される電力に基づき、主電源として機能する高圧バッテリ11を充電する動作を行い得る。電力供給部30は、外部交流電源190が車両1に接続された場合に、外部交流電源190から供給される電力に基づいて低圧バッテリ12を充電する動作も行い得る。図3には、電力供給部30の具体的回路が例示される。
【0049】
PFCコンバータ32は、力率改善回路として機能し、交流電力と直流電力とを電力変換するAC/DCコンバータとして構成されている。PFCコンバータは、インダクタ32A,32Bと、フルブリッジ回路を構成するスイッチ素子32C,32D,32E,32Fとを含む。スイッチ素子32C,32D,32E,32Fにより構成されるフルブリッジ回路の2つの入力端は、それぞれインダクタ32A,32Bに電気的に接続されている。このフルブリッジ回路の2つの出力端はキャパシタ32Hの両端に電気的に接続されている。PFCコンバータ32は、外部充電時に、外部交流電源190から端子32M,32Nに入力される交流電圧から直流電圧を生成して、キャパシタ32Hの両端に直流電圧を印加する。PFCコンバータ32が、キャパシタ32Hの両端に直流電圧を印加することに応じて、インバータ回路42の端子42M,42N及びインバータ回路52における図示されていない一対の入力端子にも直流電圧が印加される。
【0050】
インバータ部37は、高圧バッテリ11とは異なる電源(例えば外部交流電源190)から供給される電力に基づく直流電力を交流電力に変換して供給する複数のインバータ回路42,52を備える。
【0051】
インバータ回路42,52は、DC/ACインバータとして機能し、PFCコンバータ32から入力される直流電力を交流電力に変換して出力する電力変換回路として機能する。インバータ回路42は、フルブリッジ回路を構成するスイッチ素子42C,42D,42E,42Fとを含む。スイッチ素子42C,42D,42E,42Fにより構成されるフルブリッジ回路の2つの出力端子の一方の端子は、第1トランス48の第1端部48M(コイル48Aの両端)の一方の端部に電気的に接続されている。上記2つの出力端子の他方の端子は、第1端部48Mの他方の端部に電気的に接続されている。インバータ回路42は、PFCコンバータ32から入力される直流電圧を交流電圧に変換し、その交流電圧をトランス48の第1端部48Mに出力する。
【0052】
インバータ回路52は、インバータ回路42と同一の構成をなす。インバータ回路52は、PFCコンバータ32からインバータ回路52の一対の入力端子に入力される直流電圧を交流電圧に変換し、その交流電圧をトランス58の第1端部58Mに出力する。
【0053】
トランス部39は、複数のトランス48,58を有する。トランス部39は、インバータ部37から交流電力が供給される複数の第1コイル48A,58Aと、複数の第2コイル48B,48C,58B,58Cとを備える。複数の第1コイル48A,58Aは、一次側コイルとして機能し得る。複数の第1コイル48A,58Aが一次側コイルとして機能する場合、複数の第2コイル48B,48C,58B,58Cは、二次側コイルとして機能し得る。
【0054】
トランス48は、第1コイル48Aと、複数の第2コイル48B,48Cとを備える。インバータ回路42は、トランス48の第1コイル48Aに電気的に接続され、第1コイル48Aに交流電力を供給する。トランス48の第2コイル48Bは、第1側の第2コイルの一例に相当する。第2コイル48Bは、コンバータ回路44に電気的に接続され、コンバータ回路44に交流電力を供給する。トランス48の第2コイル48Cは、第2側の第2コイルの一例に相当する。第2コイル48Cは、出力回路46に電気的に接続され、出力回路46に交流電力を供給する。
【0055】
トランス58は、第1コイル58Aと、複数の第2コイル58B,58Cとを備える。インバータ回路52は、トランス58の第1コイル58Aに電気的に接続され、第1コイル58Aに交流電力を供給する。トランス58の第2コイル58Bは、第1側の第2コイルの一例に相当する。第2コイル58Bは、コンバータ回路54に電気的に接続され、コンバータ回路54に交流電力を供給する。トランス58の第2コイル58Cは、第2側の第2コイルの一例に相当する。第2コイル58Cは、出力回路56に電気的に接続され、出力回路56に交流電力を供給する。
【0056】
コンバータ回路44,54は、双方向AC/DCコンバータとして機能し、双方向に交流電力と直流電力とを変換する機能を有する。コンバータ回路44は、第2コイル48Bに交流電力が供給される場合に、第2コイル48Bに供給された交流電力を直流電力に変換して高圧バッテリ11(蓄電部)側に供給するように第1動作を行い得る。コンバータ回路44は、トランス48の第2端部48N(コイル48Bの両端)に印加された出力電圧(交流電圧)を直流電圧に変換し、その直流電圧を端子44M,44Nに印加するように上記第1動作を行う。端子44Mは、高圧バッテリ11の正極に電気的に接続され得る導電路であり、端子44Nは、高圧バッテリ11の負極に電気的に接続され得る導電路である。なお、端子44M,44Nと高圧バッテリ11との間には、図示されないリレーやヒューズが介在していてもよい。コンバータ回路44は、高圧バッテリ11(図1)から端子44M,44Nに直流電力が供給される場合に、その直流電力を交流電力に変換してトランス48の第2コイル48Bに供給するように第2動作を行い得る。コンバータ回路44は、端子44M,44Nに印加された直流電圧を交流電圧に変換し、その交流電圧を第2端部48Nの両端間に印加するように上記第2動作を行う。コンバータ回路44は、フルブリッジ回路を構成するスイッチ素子42C,42D,42E,42Fとキャパシタ44Hとを含む。スイッチ素子42C,42D,42E,42Fにより構成されるフルブリッジ回路の1対の端子のうちの一方は、第2端部48Nの一方(第2コイル48Bの一端)に電気的に接続されている。上記一対の端子のうちの他方は、第2端部48Nの他方(第2コイル48Bの他端)に電気的に接続されている。
【0057】
コンバータ回路54は、コンバータ回路44と同様の構成をなす。コンバータ回路54は、第2コイル58Bに電気的に接続されている。第2コイル58Bは、第1側の第2コイルの一例に相当する。コンバータ回路54は、双方向AC/DCコンバータとして機能し、双方向に交流電力と直流電力とを変換する機能を有する。コンバータ回路54は、第1コイル58Aが一次側コイルとして機能して第2コイル58Bに交流電力が供給される場合に、第2コイル58Bに供給された交流電力を直流電力に変換して高圧バッテリ11(蓄電部)側に供給するように第1動作を行い得る。コンバータ回路54は、トランス58の第2端部58Nに印加された出力電圧(交流電圧)を直流電圧に変換して導電路60A,60B間に印加するように上記第1動作を行う。導電路60Aは、導電路14Aと導通し得る導電路である。導電路60Bは、導電路14Bと導通し得る導電路である。コンバータ回路54は、高圧バッテリ11から直流電力が供給される場合に、その直流電力を交流電力に変換してトランス58の第2コイル58Bに供給するように第2動作を行い得る。コンバータ回路54は、高圧バッテリ11からの電力供給に基づいて導電路60A,60B間に印加された直流電圧を交流電圧に変換し、その交流電圧を第2端部58Nの両端(第2コイル58Bの両端)に印加するように上記第2動作を行う。
【0058】
出力回路46,56は、整流回路として構成されている。出力回路46は、複数の第2コイル48B,48Cのうちの第2コイル48B(第1側の第2コイル)とは異なる第2コイル48C(第2側の第2コイル)に電気的に接続される。複数の出力回路46,56の各々は、第2コイル48C,58C(複数の第2側の第2コイル)の各々に電気的に接続され、第2コイル48C,58Cの交流電力に基づいて直流電力を出力する。
【0059】
出力回路46は、第2コイル48Cに電気的に接続され、第2コイル48Cの交流電力に基づいて直流電力を出力するように動作する。具体的には、出力回路46は、第2コイル48Cから入力される交流電圧を整流及び平滑化し、端子46M,46N間に直流電圧を印加する。図3の例では、出力回路46は、ダイオード46A,46Bとインダクタ46Cとコンデンサ46Dとを含む両波整流回路として構成されている。出力回路46の入力側に接続される第2コイル48Cはセンタータップのコイルである。出力回路46の一対の出力端子46M,46Nは、一方の出力端子46Mが選択回路38の導電路38Xに電気的に接続され得る。他方の出力端子46Nは、選択回路38の導電路38Zに電気的に接続され得る。出力回路46からの出力電圧は、選択回路38の導電路38X,38Z間に印加される。
【0060】
出力回路56は、出力回路46と同様に構成されている。出力回路56は、複数の第2コイル58B,58Cのうちの第2コイル58B(第1側の第2コイル)とは異なる第2コイル58C(第2側の第2コイル)に電気的に接続される。出力回路56は、第2コイル58Cに電気的に接続され、第2コイル58Cの交流電力に基づいて直流電力を出力するように動作する。具体的には、出力回路56は、第2コイル58Cから入力される交流電圧を整流及び平滑化し、導電路61A,61B間に直流電圧を印加する。出力回路56の一対の出力端子のうちの高電位側の端子は、導電路61Aを介して選択回路38の導電路38Yに電気的に接続され得る。出力回路46の一対の出力端子のうちの低電位側の端子は導電路61Bを介して選択回路38の導電路38Zに電気的に接続され得る。出力回路56からの出力電圧は、選択回路38の導電路38Y,38Z間に印加される。
【0061】
図4のように、選択回路38は、複数の出力回路46,56から電力が供給される回路である。選択回路38は、電力の供給先を第1導電路21及び第2導電路22から選択する。選択回路38は、入力路である導電路38X,38Y,38Zを備える。選択回路38は、リレー38A,38B,38Cを備える。
【0062】
リレー38Aは、導電路38Xと導電路21Aとの間に介在し、導電路38Xと導電路21Aとの間を導通状態と遮断状態とに切り替える。リレー38Aがオン状態のときには、導電路38Xと導電路21Aとの間で電流が流れ得る。リレー38Aがオフ状態のときには、導電路38Xと導電路21Aとの間で電流が流れない。
【0063】
リレー38Cは、導電路38Yと導電路22Aとの間に介在し、導電路38Yと導電路22Aとの間を導通状態と遮断状態とに切り替える。リレー38Cがオン状態のときには、導電路38Yと導電路22Aとの間で電流が流れ得る。リレー38Cがオフ状態のときには、導電路38Yと導電路22Aとの間で電流が流れない。
【0064】
リレー38Bは、導電路21Aと導電路22Aとの間に介在し、導電路21Aと導電路22Aとの間を導通状態と遮断状態とに切り替える。リレー38Bがオン状態のときには、導電路21Aと導電路22Aとの間で電流が流れ得る。リレー38Bがオフ状態のときには、導電路21Aと導電路22Aとの間で電流が流れない。リレー38Aがオン状態のときにリレー38Bがオン状態のときには、導電路38Xから導電路22Aへと電流が流れ得る。リレー38Cがオン状態のときにリレー38Bがオン状態のときには、導電路38Yから導電路21Aへと電流が流れ得る。
【0065】
リレー38A,38B,38Cは、出力回路46,56の各々と第1導電路21との間にそれぞれ配置される第1リレーの一例に相当する。選択回路38は、リレー38A,38B,38C(複数の第1リレー)のオンオフ状態の切り替えによって第1導電路21に電力を供給する回路を切り替える。具体的には、選択回路38は、リレー38Aがオン状態のときに、出力回路46を「第1導電路21に電力を供給する回路」とし、リレー38Aがオフ状態のときに、出力回路46を「第1導電路21に電力を供給しない回路」とする。また、選択回路38は、リレー38B,38Cがオン状態のときに、出力回路56を「第1導電路21に電力を供給する回路」とし、リレー38B,38Cのいずれかがオフ状態のときに、出力回路56を「第1導電路21に電力を供給しない回路」とする。リレー38A,38B,38Cは、出力回路46,56の各々と第2導電路22との間にそれぞれ配置される第2リレーの一例に相当する。選択回路38は、リレー38A,38B,38C(複数の第2リレー)のオンオフ状態の切り替えによって第2導電路22に電力を供給する回路を切り替える。具体的には、選択回路38は、リレー38Cがオン状態のときに、出力回路56を「第2導電路22に電力を供給する回路」とし、リレー38Cがオフ状態のときに、出力回路56を「第2導電路22に電力を供給しない回路」とする。また、選択回路38は、リレー38A,38Bがオン状態のときに、出力回路46を「第2導電路22に電力を供給する回路」とし、リレー38A,38Bのいずれかがオフ状態のときに、出力回路46を「第2導電路22に電力を供給しない回路」とする。
【0066】
図1に示される制御部18は、第1導電路21側の異常を検出する第1異常検出部の一例に相当する。更に、制御部18は、第2導電路22側の異常を検出する第2異常検出部の一例に相当する。制御部18は、車両走行時に第1導電路21を流れる電流が第1閾値以上となった過電流状態のときに第1導電路21側が異常であると判定する判定方法を採用してもよい。或いは、制御部18は、車両走行時に第1導電路21を流れる電流が第2閾値未満となった低電流状態のときに第1導電路21側が異常であると判定する判定方法を採用してもよい。或いは、制御部18は、車両走行時に第1導電路21の電圧が閾値電圧未満となった低電圧状態のときに第1導電路21側が異常であると判定する判定方法を採用してもよい。この場合、上記閾値電圧は、0Vよりも大きく、第1低圧バッテリ12Aの満充電時の出力電圧よりも低い値であり、第2低圧バッテリ12Bの満充電時の出力電圧よりも低い値である。
【0067】
制御部18は、車両走行時に第2導電路22を流れる電流が第2閾値以上となった過電流状態のときに第2導電路22側が異常であると判定する判定方法を採用してもよい。或いは、制御部18は、車両走行時に第2導電路22を流れる電流が第2閾値未満となった低電流状態のときに第2導電路22側が異常であると判定する判定方法を採用してもよい。制御部18は、車両走行時に第2導電路22の電圧が閾値電圧未満となった低電圧状態のときに第2導電路22側が異常であると判定する判定方法を採用してもよい。この場合、上記閾値電圧は、0Vよりも大きく、第2低圧バッテリ12Bの満充電時の出力電圧よりも低い値であり、第2低圧バッテリ12Bの満充電時の出力電圧よりも低い値である。
【0068】
図1に示される制御部18は異常回路検出部、出力異常検出部として機能し、複数の電力供給回路34,36の各々の異常(例えば、複数の出力回路46,56の各々の出力異常など)を検出し得るようになっている。制御部18は、電力供給回路34の所定部位において閾値電流以上の電流が発生した過電流状態のときに電力供給回路34を異常と判定する判定方法を採用してもよい。或いは、制御部18は、電力供給回路34の所定部位が第1閾値電圧以上の電圧となる過電圧状態のときに電力供給回路34を異常と判定する判定方法を採用してもよい。或いは、制御部18は、電力供給回路34の所定部位が第2閾値電圧以下の電圧となる低電圧状態のときに電力供給回路34を異常と判定する判定方法を採用してもよい。或いは、制御部18は、リレー38Aがオン状態で電力供給回路34が動作中に出力回路46から出力される電力、電圧、電流のいずれかが所定値以下の場合に電力供給回路34を異常と判定(例えば、出力回路46の出力異常と判定)する判定方法も採用し得る。同様に、制御部18は、電力供給回路36の所定部位において閾値電流以上の電流が発生した過電流状態のときに電力供給回路36を異常と判定する判定方法を採用してもよい。或いは、制御部18は、電力供給回路36の所定部位が第1閾値電圧以上の電圧となる過電圧状態のときに電力供給回路36を異常と判定する判定方法を採用してもよい。或いは、制御部18は、電力供給回路36の所定部位が第2閾値電圧以下の電圧となる低電圧状態のときに電力供給回路36を異常と判定する判定方法を採用してもよい。或いは、制御部18は、リレー38Cがオン状態で電力供給回路36が動作中に出力回路56から出力される電力、電圧、電流のいずれかが所定値以下の場合に電力供給回路36を異常と判定(例えば、出力回路56の出力異常と判定)する判定方法も採用し得る。
【0069】
(外部充電時の動作)
次の説明は外需充電時の電源システム10の動作に関する説明である。外部充電時には、電源システム10は、図示が省略されたケーブルなどを介して車両の外部にある電源である外部交流電源190に電気的に接続され得る。車両1(図2)に対して外部交流電源190が接続され、外部交流電源190と電源システム10とが電気的に接続されると、第1低圧バッテリ12A及び第2低圧バッテリ12Bから制御部18へ電力が供給される。外部交流電源190が電源システム10に電気的に接続されたことの検知、及び制御部18への電力供給の制御は制御部18とは別の図示されていない制御装置により行われる。
【0070】
外部交流電源190の接続に応じて第1低圧バッテリ12A及び第2低圧バッテリ12Bから制御部18へ電力が供給され始めると、制御部18は、電力供給部30を動作させる。具体的には、制御部18は、外部交流電源190からの交流電圧が高圧の直流電圧に変換されて高圧バッテリ11に供給されるようにPFCコンバータ32、電力供給回路34,36を動作させる。このように電力供給部30が動作すると、高圧バッテリ11は充電される。なお、トランス48において、第1端部48Mと第2端部48Nとの電圧比が適切に設定され、トランス58において、第1端部58Mと第2端部58Nとの電圧比が適切に設定されていれば、電力供給部30は、高圧バッテリ11に適切な充電電圧が供給される。
【0071】
一方、制御部18は、外部充電時に上述のように電力供給部30を動作させる際には、リレー38A,38B,38Cを全てオンさせておく。すると、外部交流電源190からの交流電圧が、低圧の直流電圧に変換され出力回路46,56からそれぞれ出力され、出力回路46,56から出力される直流電圧は、第1低圧バッテリ12A及び第2低圧バッテリ12Bに供給される。従って、第1低圧バッテリ12A及び第2低圧バッテリ12Bは充電される。トランス48にて第1コイル48Aと第2コイル48Cの電圧比が適切に設定され、トランス58にて第1コイル58Aと第2コイル58Cの電圧比が適切に設定されていれば、第1低圧バッテリ12A及び第2低圧バッテリ12Bに適切な充電電圧が供給される。
【0072】
(車両走行時における正常状態のときの動作)
次の説明は、車両走行時において電源システム10が正常状態であるときの動作に関する説明である。ここでいう車両走行時における正常状態とは、車両走行時において第1異常検出部及び第2異常検出部が第1導電路21及び第2導電路22のいずれの異常も検出しておらず、異常回路検出部が電力供給回路34,36のいずれの異常も検出していない状態である。図2で示される車両1において、イグニッションキー又はワイヤレスキー等が操作され、キー操作に応じて車両1が始動状態となると、第1低圧バッテリ12A及び第2低圧バッテリ12Bから制御部18へ電力が供給され始める。イグニッションキー又はワイヤレスキー等の操作の検知、及び制御部18への電力供給の開始などは、制御部18とは別の図示されていない制御装置により行われる。
【0073】
車両走行時には、制御部18は、図示されていない上述のPCUを作動させる。このとき、高圧バッテリ11から供給される高圧の直流電力は、上記PCUに供給され、PCUにより交流電力に変換されて駆動部8(図2)に供給される。このようにPCUから駆動部8に交流電力が供給されることにより、駆動部8は動作を開始する。そして、制御部18がPCUを制御することにより、駆動部8の動作は制御される。
【0074】
一方、上述のキー操作に応じて第1低圧バッテリ12A及び第2低圧バッテリ12Bから制御部18へ電力が供給され始めると、制御部18は、選択回路38のリレー38A,38B,38Cを全てオン動作させる。更に、車両走行時には、電力供給部30が作動することにより、高圧バッテリ11からコンバータ回路44に供給される高電圧の直流電力は、コンバータ回路44、トランス48、出力回路46によって低電圧の直流電力に変換され、出力回路46から出力される。具体的には、コンバータ回路44は、端子44M,44Nに印加された直流電圧を交流電圧に変換し、その交流電圧を第2コイル48Bの両端間(第2端部48Nの両端間)に印加するように上記第2動作を行う。このように第2コイル48Bの両端間に交流電圧が印加されることに応じて、第2コイル48Cの端部間に交流電圧が供給される。そして、第2コイル48Cに交流電圧が供給されると、出力回路46は、第2コイル48Cから入力される交流電圧を整流及び平滑化し、端子46M,46N間に直流電圧を印加する。同様に、高圧バッテリ11からコンバータ回路54に供給される高電圧の直流電力は、コンバータ回路54、トランス58、出力回路56によって低電圧の直流電力に変換され、出力回路56から出力される。そして、出力回路は、導電路61A,61B間に直流電圧を印加する。
【0075】
制御部18は、車両走行時において正常状態のときには動作条件成立時に常に両コンバータ回路44,54を動作させて両出力回路46,56から直流電力を出力させ、停止条件の成立時に両出力回路46,56からの電力の出力をいずれも停止させてもよい。或いは、制御部18は、車両走行時において正常状態のときに、第1動作条件の成立時にコンバータ回路44,54のいずれかのみを動作させ、第2動作条件の成立時に両コンバータ回路44,54を動作させてもよい。この場合も、制御部18は、停止条件成立時に複数の出力回路46,56からの電力の出力をいずれも停止させてもよい。
【0076】
(車両走行時における異常時の動作)
上述したように、車両走行時において正常状態のときには、制御部18が電力供給部30を動作させ、高圧バッテリ11からの電力に基づいて出力回路46,56から第1導電路21及び第2導電路22に直流電圧を出力し得る。一方で、車両走行時には、制御部18は、上述したいずれかの判定方法によって第1導電路21側及び第2導電路22側の異常を監視する。更に、車両走行時には、制御部18は、上述したいずれかの判定方法によって電力供給回路34,36の異常を監視する。
【0077】
制御部18は、車両走行時に、上述したいずれかの判定方法によって第1導電路21側が異常であると判定した場合、リレー38A,38Bをオフ状態とし、リレー38Cをオン状態とする。この動作により、出力回路46,56と第1導電路21との間での通電は遮断され、第2導電路22と第1導電路21との間での通電も遮断される。従って、第1導電路21は電気的に切り離され、出力回路56からの電力を第2導電路22に選択的に供給することができる。
【0078】
制御部18は、車両走行時に、上述したいずれかの判定方法によって第2導電路22側が異常であると判定した場合、リレー38B,38Cをオフ状態とし、リレー38Aをオン状態とする。この動作により、出力回路46,56と第2導電路22との間での通電は遮断され、第1導電路21と第2導電路22との間での通電も遮断される。従って、第2導電路22は電気的に切り離され、出力回路46からの電力を第1導電路21に選択的に供給することができる。
【0079】
制御部18は、車両走行時に、上述したいずれかの判定方法によって電力供給回路34が異常であると判定した場合、リレー38A,38Bをオフ状態とし、リレー38Cをオン状態とする。この動作により、出力回路46と第1導電路21及び第2導電路22との間での通電は遮断され、第2導電路22と第1導電路21との間での通電も遮断される。従って、出力回路56からの電力を第2導電路22に選択的に供給することができる。
【0080】
制御部18は、電力供給回路34が異常であると判定した場合、常に又は所定条件下でリレー38Aをオフ状態とし、リレー38B,38Cをオン状態としてもよい。この動作により、出力回路46と第1導電路21及び第2導電路22との間での通電が遮断されつつ、出力回路56からの電力が第1導電路21及び第2導電路22のいずれにも供給され得る。
【0081】
制御部18は、電力供給回路34が異常であると判定した場合において第1供給条件の成立時に、リレー38Aをオフ状態とし且つリレー38B,38Cをオン状態とする制御を行ってもよい。そして、制御部18は、電力供給回路34が異常であると判定した場合において第2供給条件の成立時に、リレー38A,38Bをオフ状態とし且つリレー38Cをオン状態とする制御を行ってもよい。
【0082】
制御部18は、車両走行時に、上述したいずれかの判定方法によって電力供給回路36が異常であると判定した場合、リレー38B,38Cをオフ状態とし、リレー38Aをオン状態とする。この動作により、出力回路56と第1導電路21及び第2導電路22との間での通電は遮断され、第1導電路21と第2導電路22との間での通電も遮断される。従って、出力回路46からの電力を第1導電路21に選択的に供給することができる。
【0083】
制御部18は、電力供給回路36が異常であると判定した場合、常に又は所定条件下でリレー38Cをオフ状態とし、リレー38A,38Bをオン状態としてもよい。この動作により、出力回路56と第1導電路21及び第2導電路22との間での通電が遮断されつつ、出力回路46からの電力が第1導電路21及び第2導電路22のいずれにも供給され得る。
【0084】
制御部18は、電力供給回路36が異常であると判定した場合において第3供給条件の成立時にリレー38B,38Cをオフ状態とし且つリレー38Aをオン状態とする制御を行ってもよい。そして、制御部18は、電力供給回路36が異常であると判定した場合において第4供給条件の成立時にリレー38Cをオフ状態とし且つリレー38A,38Bをオン状態とする制御を行ってもよい。
【0085】
この例では、制御部18が選択制御部の一例に相当し、選択回路38の選択動作を制御する。制御部18は、第1条件が成立した場合に選択回路38を第2導電路22への電力供給を遮断した状態且つ第1導電路21への電力供給を許容した状態に制御する。そして、制御部18は、第2条件が成立した場合に選択回路38を第1導電路21への電力供給を遮断した状態且つ第2導電路22への電力供給を許容した状態に制御する。具体的には、制御部18(選択制御部)は、第2異常検出部が第2導電路22側の異常を検出した場合に選択回路38を第2導電路22への電力供給を遮断した状態且つ第1導電路21への電力供給を許容した状態に制御する。そして、制御部18は、第1異常検出部が第1導電路21側の異常を検出した場合に選択回路38を第1導電路21への電力供給を遮断した状態且つ第2導電路22への電力供給を許容した状態に制御する。
【0086】
更に、制御部18は、上述したいずれかの判定方法によって電力供給回路34,36のいずれかが異常であると判定された場合、異常と判定された電力供給回路と第1導電路21及び第2導電路22との間での通電を遮断するように選択回路38を制御する。そして、制御部18は、異常と判定されていない電力供給回路と第1導電路21及び第2導電路22の少なくともいずれかとの間での通電を許容するように選択回路38を制御する。例えば、制御部18は、出力回路46,56のいずれかで出力異常が生じたと判定した場合、出力異常が生じた出力回路と第1導電路21及び第2導電路22との間での通電を遮断するように選択回路38を制御する。そして、制御部18は、出力異常が生じていない出力回路と第1導電路21及び第2導電路22の少なくともいずれかとの間での通電を許容するように選択回路38を制御する。
【0087】
更に、制御部18は、停止制御部の一例として機能する。制御部18は、上述したいずれかの判定方法によって複数の電力供給回路34,36のいずれかが異常と判定された場合(即ち、複数の電力供給回路34,36のいずれかが異常状態となった場合)に、異常状態となった電力供給回路の動作を停止する。例えば、制御部18は、複数の出力回路46,56のいずれかで出力異常が生じた判定した場合に、出力異常が生じた出力回路を含む電力供給回路の動作を停止する。
【0088】
なお、出力回路46の端子46M,46Nと選択回路38との間にヒューズ又はリレーが設けられ、出力回路46と選択回路38との間での過電流発生時にヒューズ又はリレーが遮断されて保護が図られる構成であってもよい。同様に、出力回路56と選択回路38との間にヒューズ又はリレーが設けられ、出力回路56と選択回路38との間での過電流発生時にヒューズ又はリレーが遮断されて保護が図られる構成であってもよい。
【0089】
次の説明は、本開示の効果の例示に関する。
上述の電源システム10では、選択回路38が、複数の出力回路(整流回路)46,56から出力される電力の供給先を第1導電路21及び第2導電路22から選択することができる。つまり、電源システム10は、第1負荷5への電力供給を個別に維持する動作と、第2負荷6への電力供給を個別に維持する動作とを切り替えることができる。よって、電源システム10は、負荷に対する電力供給の冗長性を高めることができる。しかも、電源システム10は、高圧バッテリ11(蓄電部)を充電するために用いる一部部品と、第1負荷5及び第2負荷6に電力を供給するために用いる一部部品とを共用することができるため、冗長性を高め得る構成をより小型に実現することができる。
【0090】
電源システム10は、複数の出力回路46,56の各々が整流回路によって構成されるため、一部部品を共用しつつ高圧バッテリ11(蓄電部)の充電と第1負荷5及び第2負荷6への電力供給とを行い得る構成を、より一層小型に実現することができる。
【0091】
電源システム10は、第1条件が成立した場合に第1導電路21及び第2導電路22のうちの第1導電路21のみに選択的に電力を供給する動作が可能である。また、電源システム10は、第2条件が成立した場合に第1導電路21及び第2導電路22のうちの第2導電路22のみに選択的に電力を供給する動作が可能である。つまり、電源システム10は、条件に応じて選択回路38からの電力の出力先を切り替えるように制御することができる。
【0092】
電源システム10は、第2導電路22側での異常時に第1導電路21及び第2導電路22のうちの第1導電路21のみに選択的に電力を供給する動作を行い得る。よって、この電源システム10は、第2導電路22側での異常時に当該異常の影響が第1導電路21側に及ぶことを抑えつつ、第1負荷5への電力供給を維持することができる。また、電源システム10は、第1導電路21側での異常時に第1導電路21及び第2導電路22のうちの第2導電路22のみに選択的に電力を供給する動作を行い得る。よって、この電源システム10は、第1導電路21側での異常時に当該異常の影響が第2導電路22側に及ぶことを抑えつつ、第2負荷6への電力供給を維持することができる。
【0093】
電源システム10は、いずれかのインバータ回路、トランス、出力回路などにおいて異常が発生した場合に、異常が発生していない経路のインバータ回路、トランス、出力回路を利用して第1導電路側又は第2導電路側への電力供給を維持することができる。よって、電源システム10は、第1導電路又は第2導電路への電力供給の冗長性をより一層高めることができる。
【0094】
電源システム10は、複数の電力供給回路34,36のうちのいずれかのインバータ回路、トランス、コンバータ回路などにおいて異常が発生した場合に、異常が発生していない経路の回路を利用して高圧バッテリ11側への電力供給を維持することができる。よって、電源システム10は、高圧バッテリ11側への電力供給の冗長性をより一層高めることができる。
【0095】
電源システム10は、電力供給回路34,36のいずれかが異常状態となった場合には、その電力供給回路を停止させて保護を図ることができる。しかも、電源システム10は、いずれかの電力供給回路を停止させても、他の電力供給回路を動作させて高圧バッテリ11の充電や第1負荷5又は第2負荷6への電力供給を行い得る。
【0096】
電源システム10は、複数の出力回路46,56のいずれかにおいて出力異常が生じた場合に、出力異常が生じた出力回路を、第1導電路21及び第2導電路22から電気的に切り離して保護を図ることができる。一方で、電源システム10は、出力異常が生じていない出力回路と第1導電路21及び第2導電路22の少なくともいずれかとの間での通電を許容することができ、少なくともいずれかの導電路への電力供給を維持することができる。
【0097】
電源システム10では、第1負荷5への電力供給を個別に維持する動作と第2負荷6への電力供給を個別に維持する動作とを切り替える構成が、第1リレー及び第2リレーを要部として簡易に実現される。
【0098】
<第2実施形態>
次の説明は、第2実施形態の電源システム210に関する。電源システム210は、電力供給回路36と同様の電力供給回路236が追加された点、及び選択回路38が選択回路238に変更された点が、電源システム10と比較したときの構成上の相違点である。電源システム210は、その他の点については図1の電源システム10と同様である。図5の車載システム202は、車載システム2において電源システム10を電源システム210に変更したシステムである。
【0099】
電力供給回路236は、電力供給回路36と同一の構成をなし、電力供給回路36と同様に機能する。電力供給回路236において、インバータ回路52と同様のインバータ回路は、一対の入力端子が図3におけるキャパシタ32Hの両端に電気的に接続されている。電力供給回路236において、コンバータ回路54と同様のコンバータ回路は、一対の出力端子が導電路14A,14Bに電気的に接続されている。電力供給回路236において、出力回路256は、出力回路56と同一の構成をなし、一対の出力端子が選択回路238の導電路238Wと導電路238Zとに電気的に接続されている。なお、出力回路256と選択回路238との間にヒューズ又はリレーが設けられ、出力回路256と選択回路238との間での過電流発生時にヒューズ又はリレーが遮断されるように保護が図られる構成であってもよい。
【0100】
選択回路238は、複数の出力回路46,56,256から電力が供給され、電力の供給先を第1導電路21及び第2導電路22から選択する回路である。選択回路238は、リレー238A,238B,238C,238D,238E,238Fを備える。選択回路238は、入力路である導電路238W,238X,238Y,238Zを備える。
【0101】
電源システム210は、外部充電時には、電力供給回路36の動作時に電力供給回路36と同様に電力供給回路236も動作させる。そして、電源システム210は、外部充電時には、選択回路238のリレー238A,238B,238C,238D,238E,238Fを全てオン状態にする。これらの点以外は、電源システム210の「外部充電時の動作」は第1実施形態の電源システム10と同様である。
【0102】
電源システム210は、車両走行時における正常状態のときには、電力供給回路36の動作時に電力供給回路36と同様に電力供給回路236も動作させる。そして、電源システム210は、車両走行時における正常状態のときには、選択回路238のリレー238A,238B,238C,238D,238E,238Fを全てオン状態にする。これらの点以外は、電源システム210の「車両走行時における正常状態のときの動作」は第1実施形態の電源システム10と同様である。なお、電源システム210は、正常状態のときにリレー238Fをオン状態としなくてもよい。
【0103】
電源システム210は、車両走行時には、制御部18が、上述したいずれかの判定方法によって第1導電路21側及び第2導電路22側の異常を監視する。更に、車両走行時には、制御部18は、上述したいずれかの判定方法によって電力供給回路34,36,236の異常を監視する。電力供給回路236の異常判定方法は、電力供給回路34,36の異常判定方法と同様である。
【0104】
制御部18は、車両走行時に、上述したいずれかの判定方法によって第1導電路21側が異常であると判定した場合、リレー238A,238D,238Fをオフ状態とし、リレー238B,238C,238Eをオン状態とする。この動作により、出力回路46,56、256と第1導電路21との間での通電は遮断され、第2導電路22と第1導電路21との間での通電も遮断される。従って、第1導電路21は電気的に切り離され、出力回路56,256からの電力を第2導電路22に選択的に供給することができる。この場合、制御部18は、リレー238B,238C,238Eを全てオン状態とせずに、リレー238Bをオン状態とし、リレー238C,238Eをオフ状態としてもよく、リレー238Bをオフ状態とし、リレー238C,238Eをオン状態としてもよい。
【0105】
制御部18は、車両走行時に、上述したいずれかの判定方法によって第2導電路22側が異常であると判定した場合、リレー238D,238B,238Eをオフ状態とし、リレー238A,238C,238Fをオン状態とする。この動作により、出力回路46,56、256と第2導電路22との間での通電は遮断され、第2導電路22と第1導電路21との間での通電も遮断される。従って、第2導電路22は電気的に切り離され、出力回路46,256からの電力を第1導電路21に選択的に供給することができる。この場合、制御部18は、リレー238A,238C,238Fを全てオン状態とせずに、リレー238Aをオン状態とし、リレー238C,238Fをオフ状態としてもよく、リレー238Aをオフ状態とし、リレー238C,238Fをオン状態としてもよい。
【0106】
制御部18は、車両走行時に、上述したいずれかの判定方法によって電力供給回路34が異常であると判定した場合(例えば、出力回路46において出力異常が生じていると判定した場合)、リレー238Aをオフ状態とする。この場合、制御部18は、その他のリレー238B,238C,238D,238E,238Fをオン状態とする。この動作により、出力回路46と第1導電路21及び第2導電路22との間での通電は遮断される。なお、この場合、制御部18は、リレー238B,238C,238D,238E,238Fを全てオン状態としなくてもよい。
【0107】
制御部18は、車両走行時に、上述したいずれかの判定方法によって電力供給回路36が異常であると判定した場合(例えば、出力回路56において出力異常が生じていると判定した場合)、リレー238Bをオフ状態とする。この場合、制御部18は、その他のリレー238A,238C,238D,238E,238Fをオン状態とする。この動作により、出力回路56と第1導電路21及び第2導電路22との間での通電は遮断される。なお、この場合、制御部18は、リレー238A,238C,238D,238E,238Fを全てオン状態としなくてもよい。
【0108】
制御部18は、車両走行時に、上述したいずれかの判定方法によって電力供給回路236が異常であると判定した場合(例えば、出力回路256において出力異常が生じていると判定した場合)、リレー238Cをオフ状態とする。この場合、制御部18は、その他のリレー238A,238B,238D,238E,238Fをオン状態とする。この動作により、出力回路56と第1導電路21及び第2導電路22との間での通電は遮断される。なお、この場合、制御部18は、リレー238A,238B,238D,238E,238Fを全てオン状態としなくてもよい。
【0109】
<他の実施形態>
本開示は、上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではない。例えば、上述又は後述の実施形態の特徴は、矛盾しない範囲であらゆる組み合わせが可能である。また、上述又は後述の実施形態のいずれの特徴も、必須のものとして明示されていなければ省略することもできる。更に、上述した実施形態は、次のように変更されてもよい。
【0110】
上記実施形態では、トランス部39が複数のトランス48,58などによって構成されていたが、図6の電源システム310のように、トランス部339が単一のトランスによって構成されていてもよい。図6の車載システム302は、車載システム2において電源システム10を電源システム310に変更したシステムである。図6の構成は、図1における複数のインバータ回路42,52がインバータ回路42によって共通化され、コンバータ回路44,54、出力回路46,56が共通のトランス(トランス部339)の各第2コイルに電気的に接続されている。図6の構成のものでも、第1実施形態と同様の動作を行い、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0111】
上記実施形態では、所定の整流回路として構成される出力回路46,56,256が例示されたが、入力される交流電力を直流電力に変換して出力し得る回路であれば、出力回路は他の構成の回路であってもよい。
【0112】
上記実施形態では、電源システム10に高圧バッテリ11(蓄電部)が含まれていたが、電源システム10に高圧バッテリ11が含まれていなくてもよい。つまり、電源システム10は、高圧バッテリ11とは別の装置であってもよい。
【0113】
上記実施形態では、電源システム10に第1低圧バッテリ12A及び第2低圧バッテリ12B(蓄電部よりも出力電圧が低い低圧バッテリ)が含まれていた。しかし、電源システム10は、第1低圧バッテリ12A及び第2低圧バッテリ12Bのいずれか一方又は両方を含んでいなくてもよい。つまり、電源システム10は、第1低圧バッテリ12A及び第2低圧バッテリ12Bのいずれか一方又は両方とは別の装置であってもよい。
【0114】
上記実施形態では、制御部18が選択制御部の一例に相当したが、選択制御部は、制御部18とは別の装置として構成されていてもよい。
【0115】
上記実施形態では、制御部18が第1異常検出部及び第2異常検出部として機能していたが、第1異常検出部及び第2異常検出部の一方又は両方が、制御部18とは別の装置によって構成されていてもよい。
【0116】
上記実施形態の説明では、第1導電路21側が異常であると判定する一例、及び第2導電路22側が異常であると判定する一例が説明されたが、この例に限定されない。例えば、第1異常検出部は、第1負荷5やこれを制御する制御装置などから異常信号を取得した場合に第1導電路21側が異常であると判定してもよい。同様に、第2異常検出部は、第2負荷6やこれを制御する制御装置などから異常信号を取得した場合に第2導電路22側が異常であると判定してもよい。或いは、第1異常検出部は、第1低圧バッテリ12AのSOH(States Of Health)が所定値以下である劣化状態であるときに第1導電路21側が異常であると判定してもよい。同様に、第2異常検出部は、第2低圧バッテリ12BのSOH(States Of Health)が所定値以下である劣化状態であるときに第2導電路22側が異常であると判定してもよい。
【0117】
上記実施形態では、電源システム10,210,310は、PHEV、EVなどの車両に搭載される場合を説明したが、これに限定されない。電源システム10,210,310は、これら以外の種類の車両(例えば、HEV(Hybrid Electric Vehicle))に搭載されてもよく、車両以外の装置に搭載されてもよい。
【0118】
なお、今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、今回開示された実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示された範囲内又は特許請求の範囲と均等の範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0119】
1 :車両
2 :車載システム
4 :高圧負荷
5 :第1負荷
5A :第1補機系負荷
5B :第1自動運転負荷
6 :第2負荷
6A :第2補機系負荷
6B :第2自動運転負荷
8 :駆動部
10 :電源システム
11 :高圧バッテリ
12 :低圧バッテリ
12A :第1低圧バッテリ
12B :第2低圧バッテリ
14A :導電路
14B :導電路
18 :制御部
21 :第1導電路
21A :導電路
21B :導電路
22 :第2導電路
22A :導電路
22B :導電路
30 :電力供給部
32 :PFCコンバータ
32A :インダクタ
32B :インダクタ
32C :スイッチ素子
32D :スイッチ素子
32E :スイッチ素子
32F :スイッチ素子
32H :キャパシタ
32M :端子
32N :端子
34 :電力供給回路
36 :電力供給回路
37 :インバータ部
38 :選択回路
38A :リレー
38B :リレー
38C :リレー
38X :導電路
38Y :導電路
38Z :導電路
39 :トランス部
42 :インバータ回路
42C :スイッチ素子
42D :スイッチ素子
42E :スイッチ素子
42F :スイッチ素子
42M :端子
42N :端子
44 :コンバータ回路
44H :キャパシタ
44M :端子
44N :端子
46 :出力回路(整流回路)
46A :ダイオード
46B :ダイオード
46C :インダクタ
46D :コンデンサ
46M :出力端子
46N :出力端子
48 :第1トランス
48A :第1コイル
48B :第2コイル
48C :第2コイル
48M :第1端部
48N :第2端部
52 :インバータ回路
54 :コンバータ回路
56 :出力回路(整流回路)
58 :トランス
58A :第1コイル
58B :第2コイル
58C :第2コイル
58M :第1端部
58N :第2端部
60A :導電路
60B :導電路
61A :導電路
61B :導電路
91 :ノイズフィルタ部
92 :ノイズフィルタ部
94 :ノイズフィルタ部
96 :ノイズフィルタ部
190 :外部交流電源
202 :車載システム
210 :電源システム
236 :電力供給回路
238 :選択回路
238A :リレー
238B :リレー
238C :リレー
238D :リレー
238E :リレー
238F :リレー
238W :導電路
238X :導電路
238Y :導電路
238Z :導電路
256 :出力回路(整流回路)
310 :電源システム
339 :トランス部
図1
図2
図3
図4
図5
図6