(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-18
(45)【発行日】2023-07-26
(54)【発明の名称】磁化装置及び着磁方法
(51)【国際特許分類】
H01F 7/02 20060101AFI20230719BHJP
G01N 27/83 20060101ALI20230719BHJP
【FI】
H01F7/02 Z
G01N27/83
(21)【出願番号】P 2020044810
(22)【出願日】2020-03-13
【審査請求日】2021-06-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100149249
【氏名又は名称】田中 達也
(72)【発明者】
【氏名】潮崎 正一
(72)【発明者】
【氏名】三戸 慎也
(72)【発明者】
【氏名】武田 翔馬
【審査官】井上 健一
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第102360696(CN,A)
【文献】特開昭63-012110(JP,A)
【文献】特開昭59-226858(JP,A)
【文献】特開2009-135411(JP,A)
【文献】特開2020-079790(JP,A)
【文献】特開2021-144015(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 7/02
H01F 13/00
G01N 27/83
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁石で形成される開閉可能な円環状又は非円環状の環状部を有し、
前記環状部は、前記環状部が閉じた状態を保持するロック機構を有し、
マーカーを保持するマーカーホルダを有する磁化装置。
【請求項2】
前記磁石は、前記環状部の軸方向に異なる極性を有する、
請求項1に記載の磁化装置。
【請求項3】
前記ロック機構は、前記環状部の周方向両端に設けられたトグルラッチで構成される、
請求項1又は2に記載の磁化装置。
【請求項4】
前記環状部は、内周面を形成する摺動板を有する、
請求項1~3の何れか1項に記載の磁化装置。
【請求項5】
前記磁石は、前記環状部の周方向に相互に連結された複数の部分からなる、請求項1~4の何れか1項に記載の磁化装置。
【請求項6】
前記環状部は、前記環状部の周方向に互いに隣り合う前記磁石の前記部分を回動可能に連結するヒンジを有する、請求項5に記載の磁化装置。
【請求項7】
前記ヒンジは、所定の回動抵抗を有するトルクヒンジである、請求項6に記載の磁化装置。
【請求項8】
請求項1~7の何れか1項に記載の磁化装置を用いて対象物を着磁する着磁方法であって、
前記環状部を開閉することで前記環状部内に前記対象物を配置し、前記環状部が閉じた状態を前記ロック機構によって保持することで前記磁化装置を前記対象物に装着する装着ステップと、
前記磁化装置を前記対象物に装着した状態で、前記磁化装置を前記対象物に対して相対的に前記環状部の軸方向に移動させる移動ステップと、
前記移動ステップの後に前記ロック機構を解除して前記磁化装置を前記対象物から取外す取外しステップとを有する着磁方法。
【請求項9】
前記磁化装置はマーカーホルダを有し、
前記着磁方法は、前記移動ステップを行うことにより、前記マーカーホルダに保持されたマーカーで前記対象物にマーキングを施すマーキングステップを有する、請求項8に記載の着磁方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、磁化装置及び着磁方法に関する。
【背景技術】
【0002】
磁粉探傷法、漏洩磁束探傷法等の磁気探傷法を用いて磁性体である対象物の異常を検出する技術が知られている。磁気探傷法は、磁化された対象物に損耗、損傷等の異常があると、その異常部で漏洩磁束が発生する原理に基づいて異常を検出する手法である。磁粉探傷法では、磁化された対象物に磁粉を散布し、形成された磁粉模様を評価する。漏洩磁束探傷法では、漏洩磁束をセンサで検出する(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許出願公開第2015/0330946号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
磁気探傷法によって対象物の異常を正確且つ迅速に検出するためには、対象物ができるだけ均一に磁化されていることが望ましい。そのためには例えば、環状の磁石を有する磁化装置を用いることが考えられる。環状の磁石に対象物を挿入することで、対象物を周方向に略均一に磁化することができる。この場合、磁化装置で対象物を磁化している状態で磁気探傷法を適用してもよいし、磁化装置で対象物を磁化し、対象物に残留磁化を与えた後、つまり対象物を着磁した後に磁気探傷法を適用してもよい。
【0005】
しかし、プラント、橋梁その他の建造物等における、配管、柱、梁等の様々な対象物の中には、両端に拡径したり分岐したりする異形部を有するものが存在する。両端に異形部を有する対象物は、環状の磁石に挿入することができない場合がある。また、両端に異形部を有さない対象物であっても、例えば対象物が長尺状である場合には、その長手方向中央部等に環状の磁石を配置することが困難な場合もある。
【0006】
本開示の目的は、異常の正確且つ迅速な検出を様々な形状の対象物に対して可能にすることができる磁化装置及び着磁方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
幾つかの実施形態に係る磁化装置は、磁石で形成される開閉可能な円環状又は非円環状の環状部を有し、前記環状部は、前記環状部が閉じた状態を保持するロック機構を有する。このような構成によれば、対象物が両端に異形部を有する場合でも、環状部を開閉することで環状部内に対象物を配置し、ロック機構をロックすることで環状部が閉じた状態を保持することにより、磁化装置を対象物に装着することができる。したがって、環状部を形成する磁石により、対象物を環状部の周方向に略均一に磁化することができる。その結果、磁粉探傷法、漏洩磁束探傷法等の磁気探傷法を用いた異常の正確且つ迅速な検出が可能になる。また、このような構成によれば、ロック機構を解除して磁化装置を対象物から取外すことで、磁化装置を別の対象物のために使用可能な状態にすることができる。なお、環状部の周方向とは、環状部が閉じたときに環状部の中心軸線を周回することになる方向を意味する。
【0008】
一実施形態において、前記磁化装置は、マーカーを保持するマーカーホルダを有する。このような構成によれば、磁化装置が対象物に装着され、マーカーホルダがマーカーを保持した状態で、磁化装置を対象物に対して相対的に環状部の軸方向に移動させることにより、対象物を着磁すると同時にその着磁部分にマーキングを施すことができる。したがって、着磁された範囲を判別可能にするマーキングを容易に施すことができる。マーカーは例えばペンで構成される。なお、環状部の軸方向とは、環状部が閉じたときに環状部の中心軸線に沿うことになる方向を意味する。
【0009】
一実施形態において、前記磁石は、前記環状部の軸方向に異なる極性を有する。このような構成によれば、対象物を効率的に磁化することができる。
【0010】
一実施形態において、前記磁石は、前記環状部の周方向に相互に連結された複数の部分からなる。このような構成によれば、環状部を簡単に構成することができる。
【0011】
一実施形態において、前記環状部は、前記環状部の周方向に互いに隣り合う前記磁石の前記部分を回動可能に連結するヒンジを有する。このような構成によれば、ヒンジの回動により環状部の安定した開閉動作を可能にすることができる。
【0012】
一実施形態において、前記ヒンジは、所定の回動抵抗を有するトルクヒンジである。このような構成によれば、トルクヒンジの回動抵抗により、ロック機構を解除したときに磁石の反発力によって環状部が開く勢いを抑制し、安全性を高めることができる。
【0013】
一実施形態において、前記ロック機構は、前記環状部の周方向両端に設けられたトグルラッチで構成される。このような構成によれば、環状部の周方向一端に設けられたトグルラッチの掛合部に、環状部の周方向他端に設けられたトグルラッチ本体の被掛合部を掛合させることでロック機構をロックすることができ、トグルラッチの掛合を解除することでロック機構を解除することができる。したがって、ロック機構を簡単な操作でロック及び解除することができる。
【0014】
一実施形態において、前記環状部は、内周面を形成する摺動板を有する。このような構成によれば、磁化装置が対象物に装着された状態で、磁化装置を対象物に対して環状部の軸方向に摺動板を介して摺動させることにより、対象物を容易に着磁することができる。つまり、摺動板によって磁化装置と対象物との間の摺動抵抗を低減することができる。
【0015】
一実施形態において、前記マーカーホルダは、前記マーカーを着脱可能である。このような構成によれば、マーカーを交換することができる。したがって、マーカーを新品に交換したり、太さ、色等が異なるマーカーに交換したりすることができる。
【0016】
一実施形態において、前記マーカーホルダは、前記マーカーを前記環状部の径方向内側に向けて付勢する。このような構成によれば、磁化装置を対象物に装着した状態において、マーカーをより確実に対象物に押し当て、マーキングを施すことができる。なお、径方向とは、環状部が閉じたときに環状部の中心軸線に直交する直線に沿うことになる方向を意味する。
【0017】
一実施形態において、前記マーカーホルダは、前記マーカーを、前記環状部の径方向内側に向けて、回動可能に又は径方向に沿って移動可能に保持する。このような構成によれば、磁化装置を対象物に装着した状態において、マーカーをより確実に対象物に押し当て、マーキングを施すことができる。
【0018】
一実施形態において、前記マーカーホルダは、前記環状部に支持される第1ホルダ部材と、前記環状部の前記径方向に沿って摺動可能に前記第1ホルダ部材に保持される第2ホルダ部材と、前記マーカーを前記第2ホルダ部材に固定する固定部材と、前記第2ホルダ部材を前記環状部の前記径方向内側に向けて付勢する付勢部材とを有する。このような構成によれば、簡単な構造により、前記マーカーを、前記環状部の径方向内側に向けて径方向に沿って移動可能に保持することができる。
【0019】
一実施形態において、前記磁石は、前記環状部が閉じた状態において前記環状部の前記周方向に全周に亘って延びる。このような構成によれば、対象物をより均一に磁化することができる。
【0020】
一実施形態において、前記環状部は、前記磁石の前記複数の部分を相互に連結する連結部材とで形成される。このような構成によれば、環状部をより簡単に構成することができる。
【0021】
一実施形態において、前記連結部材は前記ヒンジを有する。このような構成によれば、環状部をより簡単に構成することができる。
【0022】
一実施形態において、前記連結部材は、前記磁石の各々の前記部分を覆う。このような構成によれば、連結部材によって磁石を保護することができる。
【0023】
一実施形態において、前記磁化装置はハンドルを有する。このような構成によれば、ハンドルを把持することで磁化装置を容易に移動させることができる。
【0024】
一実施形態において、前記ハンドルは、前記環状部の前記周方向に前記ヒンジを挟んだ2箇所にそれぞれ設けられる。このような構成によれば、ハンドルを把持することで環状部を容易に開閉することができる。
【0025】
一実施形態において、前記ハンドルは前記連結部材に設けられる。このような構成によれば、ハンドルを簡単に構成することができる。
【0026】
幾つかの実施形態に係る着磁方法は、前記磁化装置を用いて対象物を着磁する着磁方法であって、前記環状部を開閉することで前記環状部内に前記対象物を配置し、前記環状部が閉じた状態を前記ロック機構によって保持することで前記磁化装置を前記対象物に装着する装着ステップと、前記磁化装置を前記対象物に装着した状態で、前記磁化装置を前記対象物に対して相対的に前記環状部の軸方向に移動させる移動ステップと、前記移動ステップの後に前記ロック機構を解除して前記磁化装置を前記対象物から取外す取外しステップとを有する。このような構成によれば、対象物が両端に異形部を有する場合でも、装着ステップによって磁化装置を対象物に装着することができる。また、移動ステップにより、対象物を環状部の周方向に略均一に着磁することができる。また、取外しステップにより、磁化装置を別の対象物のために使用可能な状態にすることができる。
【0027】
一実施形態において、前記磁化装置はマーカーホルダを有し、前記着磁方法は、前記移動ステップを行うことにより、前記マーカーホルダに保持されたマーカーで前記対象物にマーキングを施すマーキングステップを有する。このような構成によれば、マーキングステップにより、対象物を着磁すると同時にその着磁部分にマーキングを施すことができる。したがって、着磁された範囲を判別可能にするマーキングを容易に施すことができる。
【発明の効果】
【0028】
本開示によれば、異常の正確且つ迅速な検出を様々な形状の対象物に対して可能にすることができる磁化装置及び着磁方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】第1実施形態に係る磁化装置を環状部が開いた状態で示す斜視図である。
【
図2】
図1に示す磁化装置を環状部が閉じた状態で示す斜視図である。
【
図3】
図1に示す磁化装置を環状部が閉じた状態で示す平面図である。
【
図5】
図2に示す状態の磁化装置の磁石を示す斜視図である。
【
図6】
図1に示す磁化装置の環状部を開いて配管を挟み込んでいるときの状態を示す図である。
【
図7】
図6に示す状態から環状部を閉じてロック機構をロックしたときの状態を示す図である。
【
図8】
図7に示す状態から磁化装置を配管に沿って移動させたときの状態を示す図である。
【
図9】第2実施形態に係る磁化装置を配管に沿って移動させているときの状態で示す図である。
【
図10】
図9に示す磁化装置によって着磁した配管にセンサを設置したときの状態を示す図である。
【
図11】第3実施形態に係る磁化装置を示す斜視図である。
【
図12】
図11に示すマーカーホルダとマーカーを示す分解斜視図である。
【
図13】
図11に示す磁化装置を径方向から視たときの側面図である。
【
図14】
図11に示す磁化装置を軸方向から視たときの側面図である。
【
図15】
図11に示す磁化装置を配管に沿って移動させているときの状態で示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照して、本開示に係る実施形態について詳細に例示説明する。各図において、対応する要素に同一の符号を付す。
【0031】
図1~
図4に示す本開示の第1実施形態に係る磁化装置1は、磁石2で形成される開閉可能な円環状の環状部3を有し、環状部3は、環状部3が閉じた状態を保持するロック機構4を有する。本実施形態の環状部3は、後述する磁化の対象物としての円筒状の配管11に対応するために円環状をなす。しかし、環状部3は、非円環状の環状をなしてもよい。例えば、環状部3は、磁化の対象物としてのH形鋼やI形鋼に対応するために、H形に沿う環状やI形に沿う環状をなしてもよい。
【0032】
なお、本実施形態において、環状部3又は磁石2についていうときの軸方向は、環状部3が閉じたときに環状部3の中心軸線Oに沿うことになる方向を意味する。本実施形態において、環状部3又は磁石2についていうときの周方向は、環状部3が閉じたときに環状部3の中心軸線Oを周回することになる方向を意味する。本実施形態において、環状部3又は磁石2についていうときの径方向は、環状部3が閉じたときに環状部3の中心軸線Oに直交する直線に沿うことになる方向を意味する。
【0033】
図5に示すように、磁石2は、2つの半円筒状の部分2aからなる。磁石2は、環状部3が閉じた状態において、環状部3の周方向に全周に亘って延びる。つまり、環状部3が閉じた状態において、磁石2の一方の部分2aの一方の周方向端面2bは磁石2の他方の部分2aの一方の周方向端面2bに接触し、磁石2の一方の部分2aの他方の周方向端面2bは磁石2の他方の部分2aの他方の周方向端面2bに接触する。
【0034】
磁石2は、環状部3の軸方向に異なる極性を有する。つまり、磁石2の一方の軸方向端面2cはN極であり、他方の軸方向端面2cはS極である。磁石2は永久磁石である。磁石2は例えば、ネオジウム磁石又はフェライト磁石である。
【0035】
図1~
図4に示すように、環状部3は、磁石2の2つの部分2aを相互に連結する連結部材5で形成される。つまり、環状部3は、磁石2及び連結部材5で形成される。連結部材5は、磁石2の各々の部分2aを覆う。
【0036】
連結部材5は、磁石2の2つの部分2aを回動可能に連結するヒンジ6を有する。ヒンジ6は、環状部3の中心軸線Oに平行な1つのみの回転軸線Pを中心として回動する1軸型ヒンジである。ヒンジ6は、磁石2の一方の部分2aと一体に設けられる端部6aと、磁石2の他方の部分2aと一体に設けられる端部6aとを有する。ヒンジ6は、環状部3の径方向外側端部に設けられる。ヒンジ6は、所定の回動抵抗を有するトルクヒンジである。
【0037】
連結部材5は、環状部3の内周面を形成する摺動板7を有する。摺動板7は、2つの半円筒状の部分7aからなる。摺動板7の一方の部分7aは、磁石2の一方の部分2aの内周面を覆い、摺動板7の他方の部分7aは、磁石2の他方の部分2aの内周面を覆う。摺動板7の各々の部分7aは、合成樹脂材料で形成される。
【0038】
連結部材5は、環状部3の周方向にヒンジ6を挟んだ2箇所にそれぞれ設けられるハンドル8を有する。一方のハンドル8は磁石2の一方の部分2aと一体に設けられ、他方のハンドル8は磁石2の他方の部分2aと一体に設けられる。2つのハンドル8はいずれも、環状部3の一方の軸方向端部3aに設けられる。各々のハンドル8は、環状部3の中心軸線Oに平行に延びる一対の棒状の端部8aと、一対の端部8aを連結する棒状の中間部8bとからなる。2つの中間部8bは、環状部3の径方向に互いに対向し、且つ互いに平行に延びる。
【0039】
ヒンジ6、摺動板7及び2つのハンドル8は、カバー部材9に連結する。つまり、連結部材5は、ヒンジ6、摺動板7、2つのハンドル8及びカバー部材9で形成される。カバー部材9は、磁石2の一方の部分2aを覆う部分9aと、磁石2の他方の部分2aを覆う部分9aとからなる。カバー部材9の各々の部分9aは、磁石2の外周面に対向する径方向外側端部9bと、磁石2の一方の軸方向端面2cに対向する一方の軸方向端部9cと、磁石2の他方の軸方向端面2cに対向する他方の軸方向端部9cとを有する。
【0040】
カバー部材9の各々の部分9aは、互いに固定される複数の部材からなる。複数の部材は鋼鉄等の金属材料で形成される。複数の部材の固定手段は例えば、ねじ等の締結手段、又は溶接である。
【0041】
ヒンジ6の一方の端部6aは、カバー部材9の一方の部分9aの径方向外側端部9bに固定され、ヒンジ6の他方の端部6aは、カバー部材9の他方の部分9aの径方向外側端部9bに固定される。固定手段は例えば、ねじ等の締結手段、又は溶接である。ヒンジ6の各々の端部6aは例えば、鋼鉄等の金属材料で形成される。
【0042】
摺動板7の一方の部分7aは、カバー部材9の一方の部分9aの一対の軸方向端部9cに加締めによって固定され、摺動板7の他方の部分7aは、カバー部材9の他方の部分9aの一対の軸方向端部9cに加締めによって固定される。
【0043】
一方のハンドル8の一対の端部8aは、カバー部材9の一方の部分9aの一方の軸方向端部9cに固定され、他方のハンドル8の一対の端部8aは、カバー部材9の他方の部分9aの一方の軸方向端部9cに固定される。固定手段は例えば、ねじ等の締結手段、又は溶接である。各々のハンドル8は例えば、鋼鉄等の金属材料又は合成樹脂で形成される。
【0044】
ロック機構4は、環状部3の周方向両端に設けられたトグルラッチ10で構成される。トグルラッチ10は、環状部3の周方向一端に設けられた掛合部10aと、環状部3の周方向他端に設けられたトグルラッチ本体10bとで形成される。トグルラッチ本体10bは、掛合部10aに掛合させられる被掛合部10cを有する。
【0045】
トグルラッチ本体10bは、第1回転軸線Q1を中心として環状部3の径方向外側に回動することで掛合部10aと被掛合部10cとの掛合を解除する操作レバー10dを有する。操作レバー10dは、第1回転軸線Q1を中心として回動可能に、カバー部材9の一方の部分9aの径方向外側端部9bに軸支される。トグルラッチ本体10bは、第1回転軸線Q1に平行な第2回転軸線Q2を中心として回動可能に操作レバー10dに軸支される被掛合部材10eを有する。被掛合部材10eは被掛合部10cを有する。トグルラッチ10の掛合部10aは、カバー部材9の他方の部分9aの径方向外側端部9bに固定される掛合部材10fに設けられる。固定手段は例えば、ねじ等の締結手段、又は溶接である。操作レバー10d、被掛合部材10e及び掛合部材10fは例えば、鋼鉄等の金属材料で形成される。
【0046】
図6~
図8に示すように、磁化装置1は例えば、強磁性体等の磁性体である対象物としての配管11を磁化し、配管11に残留磁化を与えるために、すなわち配管11を着磁するために用いることができる。具体的には、磁化装置1を用いて配管11を着磁する本実施形態に係る着磁方法は、装着ステップ、移動ステップ及び取外しステップを有する。配管11は、軸方向の両端部に異形部としてのフランジ11aを有する。
図6~
図8に示す例では配管11は、円形の断面形状を有し、軸方向に直線状に延びる。配管11は例えば、2~4インチの外径を有する。配管11は例えば、プラント、橋梁その他の建造物等に設けられる。
【0047】
装着ステップにおいては、環状部3を開閉することで環状部3内に配管11を配置し(
図6参照)、環状部3が閉じた状態をロック機構4によって保持することで磁化装置1を配管11に装着する(
図7参照)。このように、磁化装置1は装着ステップにより、異形部を有する配管11に装着することができる。
【0048】
装着ステップにおいて作業者は、2つのハンドル8をそれぞれ把持することで、環状部3を容易に開閉することができる。またこのとき、ヒンジ6によって環状部3の安定した開閉動作が実現される。トグルラッチ10の掛合部10aにトグルラッチ本体10bの被掛合部10cを掛合させることでロック機構4がロックされる。
【0049】
環状部3が配管11に装着されることで、配管11における磁石2の径方向内側に位置する部分が磁石2によって周方向に略均一に磁化される。特に、磁石2が環状部3の軸方向に異なる極性を有するので、配管11を効率的に磁化することができる。
【0050】
移動ステップにおいては、磁化装置1を配管11に装着した状態で、磁化装置1を配管11に対して相対的に環状部3の軸方向に移動させる(
図8参照)。このとき、環状部3は配管11の軸方向に直線状に移動する。この移動ステップを行うことにより、配管11が環状部3の移動範囲において着磁される。移動ステップにおいて、作業者は、2つのハンドル8の一方又は両方を把持することで、環状部3を配管11に沿って容易に移動させることができる。なお、本実施形態では移動ステップにおいて、
図8に示すように環状部3をハンドル8が設けられていない側に移動させる。しかし、移動ステップにおいてハンドル8が設けられている側に移動させることができるように装着ステップを行うようにしてもよい。環状部3が摺動板7を有することにより、磁化装置1と配管11との間の摺動抵抗を低減して磁化装置1の容易な移動を可能にするとともに、配管11に擦傷が付くことを抑制することができる。
【0051】
取外しステップにおいては、移動ステップの後にロック機構4を解除して磁化装置1を配管11から取外す(図示省略)。このとき作業者は、トグルラッチ本体10bの操作レバー10dを操作することでロック機構4を容易に解除することができる。ロック機構4が解除されると、磁石2の反発力によって環状部3が開く。その際、ヒンジ6がトルクヒンジであることにより、環状部3が開く勢いが抑制されるので安全である。取外しステップにより、磁化装置1を別の対象物のために使用可能な状態にすることができる。
【0052】
本実施形態に係る着磁方法によれば、取外しステップの後に、配管11の着磁された部分に対し、磁粉探傷法、漏洩磁束探傷法等の磁気探傷法を用いた検出手段を適用することで配管11の異常を正確且つ迅速に検出することができる。例えば、配管11の着磁された部分に磁気センサを有する異常検出装置15(
図10参照)を設置することで、漏洩磁束探傷法を用いた異常の検出が可能である。
【0053】
次に、
図9~
図10を参照して本開示の第2実施形態について例示説明する。
【0054】
図9に示す本実施形態に係る磁化装置1は、マーカー12を着脱可能に保持するマーカーホルダ13を有する。マーカーホルダ13は、マーカー12を環状部3の径方向内側に向けて付勢する。本実施形態ではマーカーホルダ13は、マーカー12を、環状部3の径方向内側に向けて回動可能に保持する。
【0055】
より具体的に、マーカーホルダ13は、回転軸線Rを中心として回動可能にカバー部材9の一方の軸方向端部9cに軸支される。回転軸線Rは環状部3の径方向と軸方向との両方に垂直に延びる。マーカー12はペンである。マーカーホルダ13はマーカー12の外周面に着脱可能な、軸線Sを中心とする内周面13aを有する。マーカー12は、マーカーホルダ13に保持されることで軸線Sと同心状に配置される。マーカーホルダ13は、軸線Sが環状部3の径方向内側に向けて環状部3の軸方向外側に傾いた状態(
図9において実線で示す状態)から、軸線Sが環状部3の径方向に沿って延びる状態(
図9において二点鎖線で示す状態)に向かうように付勢される。付勢手段は例えば、ばねである。
【0056】
本実施形態に係る磁化装置1によれば、第1実施形態の場合と同様の方法で配管11を着磁することができる。また本実施形態に係る磁化装置1によれば、移動ステップを行うことにより、マーカーホルダ13に保持されたマーカー12で配管11にマーキング14を施すことができる。すなわち、
図9に示すように、磁化装置1を配管11に沿って移動させることで、マーカーホルダ13によってマーカー12のペン先12aを配管11の外周面に押付けたまま、マーカー12を環状部3と共に配管11に沿って移動させることができる。その結果、
図10に示すように、配管11の着磁された軸方向範囲に対応するマーキング14が施される。
【0057】
したがって、磁粉探傷法、漏洩磁束探傷法等の磁気探傷法を用いた検出手段を適用する際に、配管11の着磁された部分を容易に特定することができる。例えば、
図10に示すように、マーキング14に基づいて、配管11の着磁された部分に正確に異常検出装置15を設置することができ、その結果、漏洩磁束探傷法を用いた異常の正確な検出を可能にすることができる。
【0058】
次に、
図11~
図15を参照して本開示の第3実施形態について例示説明する。
【0059】
図11、
図13及び
図14に示す本実施形態に係る磁化装置1は、マーカー12を着脱可能に保持するマーカーホルダ13を有する。マーカーホルダ13は、マーカー12を環状部3の径方向内側に向けて付勢する。本実施形態ではマーカーホルダ13は、マーカー12を、環状部3の径方向内側に向けて径方向に沿って移動可能に保持する。
【0060】
図12に示すように、マーカーホルダ13は、第1ホルダ部材13b、第2ホルダ部材13c、固定部材13d及び2つの引っ張りばね13eを有する。固定部材13dは、押さえ部材13fと2つの締結部材13gとで構成される。マーカー12はペンである。
【0061】
第1ホルダ部材13bは、環状部3のカバー部材9の一方の軸方向端部9cに支持される。第2ホルダ部材13cは、第1ホルダ部材13bに対して径方向に沿って摺動可能に嵌合する。第1ホルダ部材13bと第2ホルダ部材13cとの間には、2つの引っ張りばね13eが架け渡される。したがって、第2ホルダ部材13cはこれらの引っ張りばね13eにより、径方向内側に向けて付勢される。引っ張りばね13eはマーカー12に対して環状部3の周方向両側に配置される。第2ホルダ部材13cは、マーカー12の胴部12bの後端12c(ペン先12aの反対側の端部)を環状部3の径方向内側に向けて押す押圧部13hを有する。
【0062】
第2ホルダ部材13cには、固定部材13dによりマーカー12が固定される。固定部材13dの押さえ部材13fは、マーカー12の胴部12bを入り込ませる凹部13iと、凹部13iに対して環状部3の周方向両側に位置する2つの挿入孔13jとを有する。各々の挿入孔13jには締結部材13gが軸方向に通され、締結部材13gを第2ホルダ部材13cに締結することにより、マーカー12の胴部12bが、押さえ部材13fと第2ホルダ部材13cとで環状部3の軸方向に挟持される。
【0063】
第1ホルダ部材13bは、カバー部材9の一方の軸方向端部9cに支持される軸方向に垂直な平板状の基部13kと、マーカー12の胴部12bに対して環状部3の周方向両側に位置するとともに基部13kに垂直な2つの側板13lとを有する。各々の側板13lと基部13kとの間には、径方向に沿って延びるとともに径方向外側に開くスリット13mが形成される。
【0064】
第2ホルダ部材13cは、第1ホルダ部材13bの基部13kと平行な平板状の移動板13nと、移動板13nに垂直な平板状の押圧部13hとを有する。移動板13nは、第1ホルダ部材13bのスリット13mにそれぞれ噛み合うスリット13oを有する。各々のスリット13oは、径方向に沿って延びるとともに径方向内側に開く。スリット13mとスリット13oとの噛み合いにより、第2ホルダ部材13cが第1ホルダ部材13bに対して径方向に沿って摺動することができる。移動板13nは、各々の締結部材13gが締結される締結孔13pを有する。
【0065】
2つの引っ張りばね13eは、2つのスリット13mと2つのスリット13oとを挟んだ環状部3の周方向両側において、第1ホルダ部材13bの基部13kと第2ホルダ部材13cの移動板13nとの間に架け渡される。
【0066】
このように、本実施形態のマーカーホルダ13は、環状部3に支持される第1ホルダ部材13bと、環状部3の径方向に沿って摺動可能に第1ホルダ部材13bに保持される第2ホルダ部材13cと、マーカー12を第2ホルダ部材13cに固定する固定部材13dと、第2ホルダ部材13cを環状部3の径方向内側に向けて付勢する付勢部材としての2つの引っ張りばね13eとを有する。
【0067】
本実施形態に係る磁化装置1によれば、第2実施形態の場合と同様の方法で配管11を着磁することができる。また本実施形態に係る磁化装置1によれば、移動ステップを行うことにより、マーカーホルダ13に保持されたマーカー12で配管11にマーキング14を施すことができる。すなわち、
図15に矢印で示すように磁化装置1を配管11に沿って移動させることで、マーカーホルダ13によってマーカー12のペン先12aを配管11の外周面に押付けたまま、マーカー12を環状部3と共に配管11に沿って移動させることができる。その結果、第2実施形態の場合と同様に、配管11の着磁された軸方向範囲に対応するマーキング14が施される。したがって、磁気探傷法を用いた検出手段を適用する際に、配管11の着磁された部分を容易に特定することができる。
【0068】
なお、本実施形態のマーカーホルダ13は、種々の変更が可能である。すなわち、本実施形態のマーカーホルダ13は、マーカー12を、環状部3の径方向内側に向けて径方向に沿って移動可能に保持するように構成されるものであればよい。また、本実施形態のマーカーホルダ13は、第1ホルダ部材13b、第2ホルダ部材13c、固定部材13d及び付勢部材(例えば引っ張りばね13e)を有する場合には、環状部3に支持される第1ホルダ部材13bと、環状部3の径方向に沿って摺動可能に第1ホルダ部材13bに保持される第2ホルダ部材13cと、マーカー12を第2ホルダ部材13cに固定する固定部材13dと、第2ホルダ部材13cを環状部3の径方向内側に向けて付勢する付勢部材とを有するものであればよい。
【0069】
前述した各実施形態は本開示の一例にすぎず、例えば以下に述べるような種々の変更が可能である。
【0070】
磁化装置1は、磁石2で形成される開閉可能な円環状又は非円環状の環状部3を有し、環状部3が、環状部3が閉じた状態を保持するロック機構4を有するものであればよい。
【0071】
磁石2の各々の部分2aは半円筒状のものに限らない。磁石2は2つの部分2aからなるものに限らず、例えば3つ以上の部分からなってもよい。磁石2は、環状部3が閉じた状態において環状部3の周方向に全周に亘って延びるものに限らない。磁石2は、環状部3の軸方向に異なる極性を有するものに限らず例えば、環状部3の径方向に異なる極性を有してもよい。磁石2は永久磁石に限らず例えば、電磁石であってもよい。
【0072】
環状部3は、連結部材5で形成されるものに限らない。連結部材5は、磁石2の各々の部分2aを覆うものに限らない。磁石2が3つ以上の部分2aからなる場合、連結部材5は、環状部3の周方向に互いに隣り合う各々の磁石2の部分2aを回動可能に連結するために、2つ以上のヒンジ6を有してもよい。ヒンジ6はトルクヒンジに限らない。ヒンジ6は1軸型ヒンジに限らない。ヒンジ6は、環状部3の径方向外側端部に設けられるものに限らない。環状部3は、ヒンジ6を有するものに限らない。例えば、環状部3は変形可能な軟材質の磁石2で形成されてもよい。
【0073】
連結部材5は、摺動板7を有するものに限らない。摺動板7の各々の部分7aは、半円筒状のものに限らない。摺動板7は2つの部分2aからなるものに限らず、例えば磁石2の部分2aの数に合わせて3つ以上の部分7aからなってもよい。摺動板7の各々の部分7aは、合成樹脂材料で形成されるものに限らない。
【0074】
連結部材5は、ハンドル8を有するものに限らない。ハンドル8は、環状部3の周方向にヒンジ6を挟んだ2箇所にそれぞれ設けられるものに限らない。2つのハンドル8は、そのいずれもが環状部3の一方の軸方向端部3aに設けられるものに限らない。ハンドル8は、一対の端部8aと中間部8bとからなるものに限らない。
【0075】
連結部材5は、カバー部材9を有するものに限らない。カバー部材9は2つの部分9aからなるものに限らず、例えば磁石2の部分2aの数に合わせて3つ以上の部分9aからなってもよい。カバー部材9の部分9aは、磁石2の外周面に対向する径方向外側端部9bと、磁石2の一方の軸方向端面2cに対向する一方の軸方向端部9cと、磁石2の他方の軸方向端面2cに対向する他方の軸方向端部9cとを有するものに限らない。カバー部材9の部分9aは、複数の部材からなるものに限らない。カバー部材9の部分9aを構成する複数の部材は、金属材料で形成されるものに限らない。カバー部材9の部分9aは、加締めによって摺動板7の部分7aを固定するものに限らない。
【0076】
ロック機構4は、トグルラッチ10で構成されるものに限らない。例えば、ロック機構4は、環状部3の周方向両端を着脱可能に連結するねじ等の締結手段で構成してもよい。トグルラッチ10は、環状部3の周方向両端に設けられるものに限らない。
【0077】
磁化装置1によって磁化される対象物は配管11に限らない。対象物は例えば、プラント、橋梁その他の建造物等における柱、梁等であってもよい。対象物は例えば、H形鋼、I形鋼などの構造材であってもよい。配管11は、円形の断面形状を有するものに限らない。配管11は、軸方向に直線状に延びるものに限らない。例えば、配管11は、直角等の角度をなすように湾曲する角部を有してもよい。
【0078】
磁化装置1は、対象物を着磁した後に取外して磁気探傷法を用いた検出手段を適用できるように構成されるものに限らない。例えば、磁化装置1は、対象物に装着した状態で磁気探傷法を用いた検出手段を適用できるように構成されてもよい。例えば、磁化装置1は、磁化された対象物を脱磁するために用いてもよい。
【0079】
マーカーホルダ13は、マーカー12を着脱可能なものに限らない。マーカーホルダ13は、マーカー12を環状部3の径方向内側に向けて付勢するものに限らない。マーカーホルダ13は、カバー部材9の一方の軸方向端部9cに軸支されるものに限らない。マーカー12はペンに限らない。磁化装置1は、環状部3の周方向に並ぶ複数のマーカーホルダ13を有してもよい。複数のマーカーホルダ13を用いて施した複数のマーキング14に対応して複数の異常検出装置15を設置してもよい。
【符号の説明】
【0080】
1 磁化装置
2 磁石
2a 部分
2b 周方向端面
2c 軸方向端面
3 環状部
3a 軸方向端部
4 ロック機構
5 連結部材
6 ヒンジ
6a 端部
7 摺動板
7a 部分
8 ハンドル
8a 端部
8b 中間部
9 カバー部材
9a 部分
9b 径方向外側端部
9c 軸方向端部
10 トグルラッチ
10a 掛合部
10b トグルラッチ本体
10c 被掛合部
10d 操作レバー
10e 被掛合部材
10f 掛合部材
11 配管
11a フランジ
12 マーカー
12a ペン先
12b 胴部
12c 後端
13 マーカーホルダ
13a 内周面
13b 第1ホルダ部材
13c 第2ホルダ部材
13d 固定部材
13e 引っ張りばね(付勢部材)
13f 押さえ部材
13g 締結部材
13h 押圧部
13i 凹部
13j 挿入孔
13k 基部
13l 側板
13m スリット
13n 移動板
13o スリット
13p 締結孔
14 マーキング
15 異常検出装置
O 中心軸線
P 回転軸線
Q1 第1回転軸線
Q2 第2回転軸線
R 回転軸線
S 軸線