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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-18
(45)【発行日】2023-07-26
(54)【発明の名称】発光装置
(51)【国際特許分類】
   H05B 47/155 20200101AFI20230719BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20230719BHJP
   F21V 8/00 20060101ALI20230719BHJP
   H05B 47/105 20200101ALI20230719BHJP
【FI】
H05B47/155
F21S2/00 432
F21V8/00 310
H05B47/105
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020105685
(22)【出願日】2020-06-18
(65)【公開番号】P2021197348
(43)【公開日】2021-12-27
【審査請求日】2022-05-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】弁理士法人 共立特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森 俊晶
(72)【発明者】
【氏名】三輪 朋弘
【審査官】安食 泰秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-191528(JP,A)
【文献】特開2009-206063(JP,A)
【文献】特開2013-143252(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 47/155
F21S 2/00
F21V 8/00
H05B 47/105
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光色を各々表示し、各々対応する光表示領域に向けて光を発する第1光源~第n光源と、各々の前記光源の光色および点灯/消灯を制御する制御部と、を有する発光要素と、
前記光源の光路上に配置され、長尺形状であり、その長手方向に沿って第1光表示領域~第n光表示領域の順に連なる複数の前記光表示領域を有する導光体と、を具備し、
前記制御部は、
第1光色で前記光源を点灯する第1光色表示ステップと、
前記第1光色表示ステップ後に前記光源を消灯し、所定の期間消灯状態を維持する切替ステップと、
前記切替ステップ後に第2光色で前記光源を点灯する第2光色表示ステップと、を具備する光色変化制御を行い、かつ、
前記光色変化制御を前記第1光源~前記第n光源の順に行い、
前記導光体は、複数の前記光表示領域を有するベース導光部と、前記第1光源~前記第n光源が発する光を前記ベース導光部のうち対応する前記光表示領域に各々入射させる並列導光部と、を有する、発光装置。
【請求項2】
前記切替ステップにおける前記所定の期間は、0.05~0.25秒の範囲内である、請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記切替ステップにおける前記光源の消灯時に、前記光源が発する前記第1光色の光量を徐々に減少させ、かつ、
前記第2光色表示ステップにおける前記光源の点灯時に、前記光源が発する前記第2光色の光量を徐々に増大させる、請求項1または請求項2に記載の発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光源と導光体とを具備し、光源が発する光を導光体に入射させて当該導光体を光らせる発光装置が知られている。この種の発光装置は、従来から様々な用途に用いられてきた。近年、発光装置として、複数の光源と、当該光源の各々に対応する複数の入射面を有する導光体と、を具備するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1には、主導光部と複数の副導光部とで導光体を構成した発光装置が紹介されている。このうち主導光部は、長尺形状を有し、少なくとも一方の端部にLED光源が配置されたものである。また、副導光部は、一方の端部にLED光源が配置され、長手方向の一定範囲が主導光部に沿いつつ配置され、他方の端部が主導光部の側面に連結されたものである。
主導光部には、LED光源が発光し自身の一方の端部から入射した光が通過するだけでなく、他のLED光源が発光し副導光部に入射した光も通過する。各々の副導光部は、主導光部の隣り合う領域に連結され、当該隣り合う領域は、LED光源が点灯および消灯するタイミングに応じて個別に光る。特許文献1には、当該発光装置によると動的な演出表示を行い得る旨が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-129135号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されている発光装置によると、異なるLED光源から入射した光によって、主導光部の異なる領域を光らせることができる。これにより、主導光部に帯状の光が流れるような意匠を表示したり、主導光部の領域毎に輝度や光色が連続的に変化するような意匠を表示したりすることができる。これらの動的な意匠は、発光装置に優れた意匠性を付与し得る。
【0006】
しかしこの種の発光装置においても、発光表示を好適に行い得るとは言い難い。
具体的には、この種の発光装置において、光源として複数の光色、例えば、第1光色と第2光色とを表示するものを選択し、当該光源の光色を第1光色から第2光色に変化させる場合には、導光体のうち当該光源に対応する所定の領域にもまた、第1光色から第2光色に光色が連続的に変化する意匠が発光表示される。
ここで、光源の光色を第1光色から第2光色に切り替える際には、上記した導光体の所定の領域には、所定の期間、第1光色の光と第2光色の光との両方が存在する。これにより、導光体には、第1光色と第2光色とが混ざり合った光が表示され、意図したとおりの光色を鮮明に表示できない場合がある。
本発明の発明者は、光源の光色および点灯/消灯の制御を適宜適切に行うことで、発光表示を好適に行い得る発光装置を得ることを志向した。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、光源の光色を変化させる場合にも、発光表示を好適に行い得る発光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する本発明の発光装置は、
複数の光色を表示する光源と、前記光源の光色および点灯/消灯を制御する制御部と、を有する発光要素と、
前記光源の光路上に配置される導光体と、を具備し、
前記制御部は、
第1光色で前記光源を点灯する第1光色表示ステップと、
前記第1光色表示ステップ後に前記光源を消灯し、所定の期間消灯状態を維持する切替ステップと、
前記切替ステップ後に第2光色で前記光源を点灯する第2光色表示ステップと、を具備する光色変化制御を行う、発光装置。
【発明の効果】
【0009】
本発明の発光装置は、光源の光色を変化させる場合にも、発光表示を好適に行い得る発光装置である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施例1の発光装置を模式的に表す説明図である。
図2図1の要部拡大図である。
図3図1の要部拡大図である。
図4】実施例1の発光装置における光色変化制御を模式的に説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の発光装置は、発光要素と導光体とを具備し、このうち発光要素は、複数の光色を表示する光源と、当該光源の光色および点灯/消灯を制御する制御部と、を有する。
本発明の発光装置において、制御部は、以下のステップにより光色変化制御を行う。
〔1〕第1光色で光源を点灯する第1光色表示ステップ、
〔2〕第1光色表示ステップ後に光源を消灯し、所定の期間消灯状態を維持する切替ステップ、
〔3〕切替ステップ後に第2光色で光源を点灯する第2光色表示ステップ。
【0012】
本発明の発光装置によると、先ず、第1光色表示ステップにより、第1光色で光源を点灯し、当該光源に対応する導光体の所定の領域に、第1光色を発光表示する。
次に、切替ステップにより、第1光色で点灯していた光源を消灯し、所定の期間消灯状態を維持する。これにより、上記した導光体の所定の領域に存在していた第1光色の光は、外部に出射するか、または、他の領域に移動する。
次に、第2光色表示ステップにより、切替ステップ後に第2光色で光源を点灯する。これにより、上記した導光体の所定の領域に、第2光色を発光表示する。
【0013】
本発明の発光装置によると、切替ステップ後に第2光色表示ステップを行うことで、上記した導光体の所定の領域に、第1光色の光と第2光色の光とが同時に存在することが抑制され、当該領域に第1光色と第2光色とが混ざり合った光が表示される不具合が抑制される。これにより、本発明の発光装置によると、光源の光色を変化させる場合にも、発光表示を好適に行い得る。
【0014】
以下、本発明の発光装置を構成要素毎に説明する。
【0015】
本発明の発光装置は、発光要素および導光体を具備する。
【0016】
このうち発光要素は、光源および制御部を有する。
【0017】
光源は、複数の光色を表示するものであり、例えば、光色の異なる複数の発光体で構成することができる。発光体としては、例えば、LEDや有機EL素子等の既知の有色発光体を用いても良い。または、ハロゲンランプ等の白色発光体を適宜カラーコート等することにより、有色の発光体としても良い。
【0018】
本発明の発光装置における発光要素は、光源を1つだけ有しても良いし、複数有しても良い。
【0019】
制御部は、発光要素のうち、当該光源の光色および点灯/消灯を制御する部分である。制御部は、光源の各発光体に接続されて当該光源を必要な光色およびタイミングで光らせるものであれば良く、例えば、プリント基板等の基板を有するものを例示できる。なお、制御部は、本発明の発光装置専用のものであっても良いし、他の装置と兼用のものであっても良い。例えば、本発明の発光装置を車両に搭載する場合、制御部として車両のECUを兼用しても良い。
【0020】
導光体は、上記した光源の光路上に配置されるものであり、光源が発する光は導光体に入射し出射する。これにより導光体は、光源の光色に対応する光色を表示する。
発光要素が複数の光源を有する場合、導光体は、各々の光源に対応する複数の領域を有するようにすることができる。各領域には、各々異なる光源からの光が到達し、その領域から出射するようにすることができる。したがって、各領域は異なる光色や異なるタイミングで発光し、動的な意匠を表示し得る。
【0021】
導光体の形状は特に限定されず、例えば単なる棒状や板状等であっても良いし、特許文献1のように複数の導光部が連結された形状であっても良い。
導光体は、アクリルやポリカーボネート等の一般的な材料を用い一般的な成形方法により成形することが可能である。
【0022】
導光体が複数の領域を有する場合、導光体は長尺形状をなし各領域は導光体の長手方向に沿って連なるのが好ましい。
長手方向に連なる導光体の各領域に対応する各光源を順次点灯し消灯することで、導光体に、その長手方向に沿って光が流れるかの如き意匠を表示できる。
また、各光源の色を順次変化させることで、導光体に、その長手方向に沿って光が光色を変化させつつ流れるかの如き意匠を表示できる。
これらの場合には、本発明の発光装置に優れた意匠性が付与される。
【0023】
本発明の発光装置における制御部は、第1光色表示ステップ、切替ステップおよび第2光色表示ステップを備える光源の光色変化制御を行う。
第1光色表示ステップでは、光源を第1光色で点灯する。当該第1光色は、発光体の組み合わせや各発光体の光量等を適宜調整することで表示すれば良い。
【0024】
第1光色表示ステップにおいて、第1光色の光量は一定であっても良いし、変化しても良い。例えば、光量を徐々に減少させ、その後に徐々に増大させることで、光が揺らめくかの如き意匠を導光体に表示できる。
【0025】
切替ステップでは、上記の第1光色表示ステップ後に、先ず、光源を消灯する。そして、光源を消灯した状態を所定の期間維持する。このように光源を一旦消灯することにより、第1光色表示ステップにおいて導光体に存在していた第1光色の光が、なくなるか、または減少する。
【0026】
切替えステップにおける上記の所定期間は、導光体における第1光色の光が十分に低減するのに要する期間であり、導光体の形状や光源が発する光の光色や光量等に応じて適宜適切に設定すれば良い。
当該所定期間の好ましい範囲として、0.025~0.5秒の範囲内、0.05~0.35秒の範囲内、0.05~0.25秒の範囲内、0.075~0.2秒の範囲内の各範囲を挙げることができる。
【0027】
第2光色表示ステップでは、上記の切替ステップ後に、第2光色で前記光源を点灯する。第2光色は第1光色と異なれば良く、第2光色および第1光色の波長は、各々、可視光域にあれば良い。なお、第1光色の波長と第2光色の波長との差が大きい程、上記した本発明の効果が顕著になる。
【0028】
第1光色の波長と第2光色の波長との差の好ましい範囲として、10nm以上、20nm以上、30nm以上、50nm以上の各範囲を例示することが可能である。特に、第1光色の波長と第2光色の波長との差が30nm以上ある場合に、第1光色と第2光色とが混ざり合うと、発光装置が表示する意匠の意匠性が大きく損なわれる。このため、本発明の発光装置は、第1光色の波長と第2光色の波長との差が30nm以上ある場合に特に好適といい得る。
【0029】
第2光色表示ステップにおける第2光色は、既述した第1光色表示ステップにおける第1光色と同様に、発光体の組み合わせや各発光体の光量等を適宜調整することで表示すれば良い。
第2光色表示ステップにおける第2光色の光量もまた、一定であっても良いし、変化しても良い。
【0030】
本発明の発光装置では、上記の切替ステップにおける光源の消灯時に、当該光源が発する第1光色の光量を徐々に減少させ、かつ、上記の第2光色表示ステップにおける光源の点灯時に、当該光源が発する第2光色の光量を徐々に増大させるのが好ましい。
なお、ここでいう消灯時とは、切替ステップにおいて消灯状態を維持する所定期間の開始前を指す。つまり、この場合には、第1光色の光量を徐々に減少させ、完全に消灯してから、当該消灯状態を維持する所定期間のカウントを開始すれば良い。
また、ここでいう点灯時とは、切替ステップ後に第2光色で光源を点灯する時を指す。つまり、この場合には、予定の光量に対応する出力で光源を点灯するのではなく、消灯状態から予定の光量に達するまで、光源の光量を徐々に増大させれば良い。
【0031】
このような光色変化制御を行うことで、導光体に表示される光色が第1光色から第2光色へ滑らかに切替えられ、導光体により一層美しい意匠を表示できる。
以下、必要に応じて、切替ステップにおける光源の消灯時に当該光源が発する第1光色の光量を徐々に減少させ、かつ、第2光色表示ステップにおける光源の点灯時に当該光源が発する第2光色の光量を徐々に増大させる光色変化制御を、徐変制御と称する場合がある。
【0032】
光色変化制御において、上記の徐変制御を行う場合、切替ステップにおける光源の消灯速度は特に問わないが、好ましい範囲として、デューティー比(%)を経過時間(秒)で除した値で、0.05~2の範囲内、0.1~1の範囲内、0.2~0.8の範囲内または0.3~0.6の範囲内が例示される。第2光色表示ステップにおける光源の点灯速度も同様に特に限定されず、デューティー比(%)を経過時間(秒)で除した値で、0.05~2の範囲内、0.1~1の範囲内、0.2~0.8の範囲内または0.3~0.6の範囲内が例示される。
【0033】
なお、導光体の隣り合う領域に表示される光色が異なる場合、当該隣り合う領域同士での光色の混合もまた抑制するのが好ましい。
例えば、一方の領域において徐変制御による切替ステップの途中であれば、当該領域においては、徐々に減少しつつも第1光色が表示される。また、このとき他方の領域において徐変制御による第2光色表示ステップの途中であれば、徐々に増大しつつ第2光色が表示される。このような場合には、導光体の隣り合う領域に表示される光色が異なり、当該隣り合う領域の境界で、第1光色と第2光色とが混ざり合う虞がある。
【0034】
ここで、この二つの領域において、第1光色の光量および第2光色の光量がともに十分に小さければ、人は、第1光色と第2光色とが混ざり合っていることを気づき難い。具体的には、隣り合う領域が互いに異なる光色を表示する場合、当該二つの領域に光を発する各光源の光量が、デューティー比で2%以下となるのが好ましい。
勿論、各光源の光量を常にデューティー比2%以下とする必要はなく、隣り合う二つの領域に、同時に、異なる光色が表示される場合にのみ、上記のように光色変化制御を行えば良い。
【0035】
切替ステップにおける光源の消灯速度と、第2光色表示ステップにおける光源の点灯速度とは、同じであっても良いし、異なっていても良いが、両者の差は過大でないのが好ましい。導光体における第1光色から第2光色への変化を自然に見せるためである。
具体的には、両者の差の好ましい範囲として、0.2~5倍の範囲内、0.5~4倍の範囲内、または0.75~2.5倍の範囲内が例示される。
【0036】
ところで、複数の発光体を点灯することで光源の光色を調整する場合には、各発光体の点灯速度は同じであっても良いし、異なっていても良い。本発明の発光装置における「光源の点灯速度」および「光源の消灯速度」とは、複数の発光体のデューティー比の和を、複数の発光体の光量の変化が開始してから完了するまでに要した時間(秒)で除した値を意味する。
【0037】
なお、本発明の発光装置では、光色の変化を2回以上行っても良い。例えば、発光体の光色を第1光色から第2光色に変化させ、その後、第2光色から第1光色に変化させても良い。
また、本発明の発光装置における発光体は、3以上の光色を表示しても良い。この場合、例えば、光色を第1光色から第2光色へ変化させ、その後、第2光色から第3光色へ変化させても良い。このような場合には、光色を変化させる度に、上記の光色変化制御を行うのが好ましい。なお、これらの場合には、変化前の光色を第1光色、変化後の光色を第2光色とみなせば良い。
【0038】
本発明の発光装置において、導光体を長尺形状とし、当該導光体の長手方向に沿った複数の領域を、別々の光源の光によって、順次発光させても良い。
具体的には、この場合の導光体は、その長手方向に沿って第1光表示領域~第n光表示領域の順に連なる複数の光表示領域を有することができる。当該光表示領域の合計はn個であり、例えばn=3である場合には、導光体には、その長手方向に沿って第1光表示領域、第2光表示領域、第3光表示領域の順で連なる各領域が配置されるようにすることができる。
【0039】
発光要素については、上記の各光表示領域に対応する数、すなわちn個を設ければ良い。具体的には、上記したn=3の場合であれば、発光要素は、第1光表示領域に向けて光を発する第1光源、第2光表示領域に向けて光を発する第2光源、および、第3光表示領域に向けて光を発する第3光源を有し得る。
そして制御部は、この発光要素について、第1光源~第n光源の順に既述した光色変化制御を行えば良い。n=3の場合には、制御部は発光要素を第1光源、第2光源、第3光源の順に光色変化制御すれば良い。
【0040】
このような場合には、長尺形状をなす導光体が、その長手方向に沿って、第1光表示領域、第2光表示領域…第n光表示領域の順に発光し、その光色が変化する。これにより、導光体には、その長手方向に沿って光が光色を変化させつつ流れるかの如き意匠が表示される。
また、各々の光源について、第1光色表示ステップ、切替ステップおよび第2光色表示ステップを備える光色変化制御を行うために、各々の光表示領域で光色が混ざる等の不具合が生じ難く、これにより美しい意匠が好適に発光表示される。
【0041】
導光体に設ける光表示領域数は特に限定されず、導光体の長さや当該導光体に表示したい意匠に応じて適宜設定すれば良い。
【0042】
また、導光体の長手方向の一端側から中央側に向けて第1光表示領域~第n光表示領域の順に連なる複数の光表示領域を設けた上で、さらに、導光体の長手方向の他端側から中央側に向けて第1’光表示領域~第n’光表示領域の順に連なる複数の光表示領域を設けても良い。
この場合、第1’光表示領域~第n’光表示領域の各々に対応する第1’光源~第n’光源によって、第1’光表示領域~第n’光表示領域の各々に向けて光を発すれば良い。これにより、長尺形状をなす導光体につき、その両端部から中央部に向けて、長手方向に沿って光が光色を変化させつつ流れるかの如き意匠を表示することが可能である。
【0043】
なお、この場合にも、各々の光源について、第1光色表示ステップ、切替ステップおよび第2光色表示ステップを備える光色変化制御を行うことで、各々の光表示領域で光色が混ざる等の不具合を抑制でき、好適な発光表示を行うことができる。
【0044】
本発明の発光装置は様々な用途に供することができる。例えば、本発明の発光装置は、車両や家電、広告看板等のイルミネーションとして好適に使用できる。
【0045】
以下、具体例を挙げて本発明の発光装置を説明する。
【0046】
(実施例1)
実施例1の発光装置を模式的に表す説明図を図1に示す。また、図1の要部拡大図を図2および図3に示す。なお、図2図1に示す発光装置の左側部分を拡大した図であり、図3図1に示す発光装置の右側部分を拡大した図である。
以下、前、後、左、右とは図1に示す前、後、左、右を指すものとする。前後方向は導光体の短手方向に一致し、左右方向は導光体の長手方向に一致する。長手方向は短手方向に直交する。なお、図1における紙面手前側が上側であり、紙面奥側が下側である。
【0047】
図1に示すように、実施例1の発光装置1は、2組の発光部材2、導光体3、およびハウジング6を具備する。
【0048】
図1図2および図3に示すように、各々の発光部材2は、3つの光源20と、当該光源20が固定された基板29とを具備し、光源20を導光体3側に向けつつ、導光体3の長手方向の両端部に各々配置されている。各発光部材2は、本発明の発光装置1における発光要素が複数複合化したものといえ、基板29は本発明の発光装置1における制御部に相当する。
【0049】
図1中左側に位置する発光部材2を第1発光部材2fと称し、図1中右側に位置する発光部材2を第2発光部材2sと称する。各発光部材2における3つの光源20は、各々、LED光源20であり、短手方向に配列する。なお、図示しないが、各々の光源20は発光体である赤色LED、緑色LED、および青色LEDが組み合わされたものであり、各発光体の光量の組み合わせにより種々の色を表示する。
第1発光部材2fの各光源20を、前側から後側に向けて、第1光源20f、第2光源20sおよび第3光源20tと称する。また、第2発光部材2sの各光源20を、後側から前側に向けて、第4光源20fo、第5光源20fiおよび第6光源20siと称する。
【0050】
導光体3は、一つのベース導光部30と、4つの並列導光部40と、2つの連結部50とを有する。これらは一体に成形されたものである。
【0051】
ベース導光部30は、長手方向に延びる直状をなす。ベース導光部30は、長手方向に沿って連なる6つの光表示領域35を有する。各光表示領域35を左端側から右端側に向けて、第1光表示領域35f、第2光表示領域35s、第3光表示領域35t、第4光表示領域35fo、第5光表示領域35fi、および第6光表示領域35siと称する。
【0052】
このうち第2光表示領域35s、第3光表示領域35t、第4光表示領域35foおよび第5光表示領域35fiは、各々、長手方向に沿って細長く延びる略同形状をなす。
ベース導光部30は、光表示面31を前側に向け、反射面32を後側に向けている。反射面32には図略の反射パターンが形成されている。
【0053】
4つの並列導光部40は、何れもベース導光部30の後側に配置されている。したがって、導光体3を前側から見ると、ベース導光部30のみが視認され、並列導光部40はベース導光部30の後側に隠される。
【0054】
4つの並列導光部40は、ベース導光部30の長手方向の両端部に各々2つずつ配置されている。詳しくは、4つの並列導光部40のうちの2つである第1並列導光部40fおよび第2並列導光部40sは、図1中の左側に配置されている。また、4つの並列導光部40のうちの他の2つである第3並列導光部40tおよび第4並列導光部40foは、図1中の右側に配置されている。各並列導光部40は、ベース導光部30に並列している。
【0055】
第1並列導光部40fの右端部は第2光表示領域35sの後側部分に連結され、第2並列導光部40sの右端部は第3光表示領域35tの後側部分に連結される。
また、第3並列導光部40tの左端部は第4光表示領域35foの後側部分に連結され、第4並列導光部40foの左端部は第5光表示領域35fiの後側部分に連結される。
【0056】
さらに、図2に示すように、第1光表示領域35fの左端面は第1発光部材2fの第1光源20fに対面する。また、図3に示すように、第6光表示領域35siの右端面は第2発光部材2sの第6光源20siに対面する。
【0057】
図2に示すように、第1並列導光部40fの左端面は第1発光部材2fの第2光源20sに対面し、第2並列導光部40sの左端面は第1発光部材2fの第3光源20tに対面する。
図3に示すように、第3並列導光部40tの右端面は第2発光部材2sの第4光源20foに対面し、第4並列導光部40foの右端面は第2発光部材2sの第5光源20fiに対面する。
【0058】
実施例1の発光装置1において、ベース導光部30の第1光表示領域35fには、第1光源20fが発した光が入射する。ベース導光部30の第2光表示領域35sには、第2光源20sが発し第1並列導光部40fを経た光が入射する。ベース導光部30の第3光表示領域35tには、第3光源20tが発し第2並列導光部40sを経た光が入射する。ベース導光部30の第4光表示領域35foには、第4光源20foが発し第3並列導光部40tを経た光が入射する。ベース導光部30の第5光表示領域35fiには、第5光源20fiが発し第4並列導光部40foを経た光が入射する。さらに、ベース導光部30の第6光表示領域35siには、第6光源20siが発した光が入射する。
各光表示領域35に入射した光は、反射面32で反射し光表示面31を経て徐々に導光体3の外部に出射される。
【0059】
実施例1の発光装置1においては、発光部材2の基板29すなわち制御部によって、光源20の光色変化制御を行う。各光源20の光色変化制御を模式的に表す図を図4に示し、図4を基に実施例1の発光装置1における光色変化制御を説明する。なお、実施例1の発光装置1では、各光源20の光色を波長460nm程度の青色から波長600nm程度のオレンジ色に変化させた。
【0060】
〔第1光色表示ステップ〕
図4に示すように、先ず、青色LEDをオンにし、赤色LEDおよび緑色LEDをオフにして、第1光源20fを青色で点灯した。
【0061】
〔切替ステップ〕
第1光色表示ステップ後の第1光源20fにつき、切替ステップを行った。
先ず、第1光源20fが点灯してから2秒経過後に、第1光源20fが発する光量を徐々に減少させ、合計0.5秒かけて消灯した。
このときの光量の減少速度(デューティー比/秒)は、0.4程度である。第1光源20fが消灯したら、0.15秒間、消灯状態を維持した。
【0062】
〔第2光色表示ステップ〕
切替ステップ後の第1光源20fにつき、第2光色表示ステップを行った。
具体的には、0.15秒間の消灯状態の経過後に、第1光源20fをオンにし光量を徐々に増大した。このとき、青色LED、赤色LEDおよび緑色LEDの各々の光量が、0.5秒間徐変した。なお、このときの第1光源20fの光色はオレンジ色であった。
このときの光量の増大速度(duty比/秒)は、0.65程度であり、点灯速度は消灯速度の1.625倍程度である。
【0063】
第2光源20s~第6光源20siについても上記と同じ第1光色表示ステップ~第2光色表示ステップを行った。このとき、第2光源20sの切替ステップは、第1光源20fの切替ステップが開始してから0.2秒後に開始した。第3光源20t~第6光源20siについても同様に、0.2秒おきに順次切替ステップを開始した。
【0064】
以上の光色変化制御を行うことで、第1光源20f~第6光源20siが、順次、青色からオレンジ色に変化しつつ点灯した。これにより、ベース導光部30の第1光表示領域35f~第6光表示領域35siは、順次、青色からオレンジ色に光色を変化させつつ発光した。また、光色の変化は導光体3におけるベース導光部30の長手方向に沿って順次なされたため、ベース導光部30には、その長手方向に沿って光が光色を変化させつつ流れるように見えた。
【0065】
ところで、実施例1の発光装置1の光色変化制御においては、青色の光を点灯する第1光色表示ステップと、オレンジ色の光を点灯する第2光色表示ステップと、の間に切替ステップを設け、当該切替ステップにおいて光源20を一旦消灯した。これにより、光源20の光色を青色からオレンジ色に変化させるにも拘わらず、ベース導光部30の各光表示領域35すなわち第1光表示領域35f~第6光表示領域35siの各々において、青色の光とオレンジ色の光が混ざり合うことはなく、鮮明なオレンジ色の光が確認された。つまり、実施例1の発光装置1によると、光源20の光色を変化させる場合にも、発光表示を好適に行うことが可能である。
【0066】
また、実施例1の発光装置1においては、切替ステップにおける光源20の消灯時に各光源20が発する光量を徐々に減少させ、かつ、第2光色表示ステップにおける光源20の点灯時に各光源20が発する光量を徐々に増大させた。これにより、導光体3のベース導光部30に発光表示される光色は、第1光色表示ステップによる青色から第2光色表示ステップによるオレンジ色へと滑らかに変化した。これにより、実施例1の発光装置1にはより優れた意匠性が付与されるといい得る。
【0067】
さらに、実施例1の発光装置1においては、隣り合う領域が互いに異なる光色を表示する場合がある。例えば、図4に示すように、第1光源20fの点灯後、2.65~2.7秒程度経過したときには、第1光源20fはまだ青色の光を僅かに発しているが、第2光源20sはオレンジ色の光を僅かに発し始めている。しかし、実施例1の発光装置1においては、このとき第1光源20fの光量および第2光源20sの光量は何れもデューティー比で2%以下であるため、第1光表示領域35fと第2光表示領域35sとの境界で光が混ざっているように見えることはない。その他の光源20および光表示領域35についても同様である。
【0068】
本発明は、上記し且つ図面に示した実施形態にのみ限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施できる。また、実施形態を含む本明細書に示した各構成要素は、それぞれ任意に抽出し組み合わせて実施できる。
【符号の説明】
【0069】
1:発光装置 2:発光要素
20:光源 20f:第1光源
20s:第2光源 20t:第3光源
20fo:第4光源 20fi:第5光源
20si:第6光源 29:基板(制御部)
3:導光体 35:光表示領域
35f:第1光表示領域 35s:第2光表示領域
35t:第3光表示領域 35fo:第4光表示領域
35fi:第5光表示領域 35si:第6光表示領域
図1
図2
図3
図4