IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ いすゞ自動車株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-自動運転装置 図1
  • 特許-自動運転装置 図2
  • 特許-自動運転装置 図3
  • 特許-自動運転装置 図4
  • 特許-自動運転装置 図5
  • 特許-自動運転装置 図6
  • 特許-自動運転装置 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-18
(45)【発行日】2023-07-26
(54)【発明の名称】自動運転装置
(51)【国際特許分類】
   B60W 30/095 20120101AFI20230719BHJP
   B60W 40/107 20120101ALI20230719BHJP
   B60W 40/114 20120101ALI20230719BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20230719BHJP
【FI】
B60W30/095
B60W40/107
B60W40/114
G08G1/16 C
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020143216
(22)【出願日】2020-08-27
(65)【公開番号】P2022038620
(43)【公開日】2022-03-10
【審査請求日】2022-04-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100124084
【弁理士】
【氏名又は名称】黒岩 久人
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】原 英之
【審査官】平井 功
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-50104(JP,A)
【文献】特開2010-100123(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00-10/30
B60W 30/00-60/00
G08G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基本走行ポテンシャルを含むポテンシャル場に基づいて自車両の運転行動を設定する自動運転装置であって、
自車両の位置及び速度に関する車両情報を取得する車両情報取得部と、
走行すべき目標位置及び目標速度に関する目標情報を取得する目標情報取得部と、
前記目標速度と前記自車両の速度との速度差に比例したポテンシャルである速度差ポテンシャルを生成する第1ポテンシャル生成部と、
前記目標位置と前記自車両の位置の間の方位差に比例したポテンシャルである方位差ポテンシャルを生成する第2ポテンシャル生成部と、
生成した前記速度差ポテンシャル及び前記方位差ポテンシャルを加算して、目的の方向へ目標速度で向かわせるための目標ポテンシャルを求める第1算出部と、
求めた前記目標ポテンシャルと、前記自車両が車線内の所定位置を維持するために、前記所定位置のポテンシャルが最も小さく、前記所定位置から前記車線の端部に向かってポテンシャルが大きくなる形状となっている車線ポテンシャルとを加算して、前記自車両が将来走行する走行位置の推奨度合いを示す前記基本走行ポテンシャルを求める第2算出部と、
を備える、自動運転装置。
【請求項2】
前記第1ポテンシャル生成部は、前記速度差ポテンシャルとして、前記速度差に比例した斥力ポテンシャル又は引力ポテンシャルを生成し、
前記第2ポテンシャル生成部は、前記方位差ポテンシャルとして、前記方位差に比例した引力ポテンシャルを生成する、
請求項1に記載の自動運転装置。
【請求項3】
前記第1ポテンシャル生成部は、前記速度差が所定の最小値又は最大値を超える場合には、前記最小値又は前記最大値に比例した前記速度差ポテンシャルを生成する、
請求項1又は2記載の自動運転装置。
【請求項4】
前記第2ポテンシャル生成部は、前記方位差が所定の閾値を超える場合には、前記閾値に比例した前記方位差ポテンシャルを生成する、
請求項1から3のいずれか1項に記載の自動運転装置。
【請求項5】
前記第2算出部が求めた前記基本走行ポテンシャルに基づいて、前記運転行動として、前記自車両の加減速度とヨーレートを設定する運転行動設定部を更に備える、
請求項1から4のいずれか1項に記載の自動運転装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動運転装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ポテンシャル場を用いて自車両が走行すべき走行軌跡を設定する技術が提案されている。例えば、下記の特許文献1には、基本走行ポテンシャル、顕在ポテンシャル及び潜在ポテンシャルを加算することでポテンシャル場を演算し、当該ポテンシャル場に基づいて走行軌跡を設定する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-192954号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
引用文献1に記載された基本走行ポテンシャルは、車線境界に対する斥力ポテンシャルに過ぎない。このため、特に車線がない場合に自車両が目標位置へ向かう際の運転行動(例えば、自車両のヨーレート等)を適切に設定できない。同時に、目標速度を維持するための運転行動(例えば、自車両の加減速度等)の設定をポテンシャルを介して導入できない。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、目標とする速度で目的地へ向かう自車両の運転行動を適切に設定するための基本走行ポテンシャルを求めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一の態様においては、基本走行ポテンシャルを含むポテンシャル場に基づいて自車両の運転行動を設定する自動運転装置であって、自車両の位置や速度に関する車両情報を取得する車両情報取得部と、走行すべき目標位置や目標速度に関する目標情報を取得する目標情報取得部と、前記目標速度と前記自車両の速度との速度差に比例したポテンシャルである速度差ポテンシャルを生成する第1ポテンシャル生成部と、前記目標位置と前記自車両の位置の間の方位差に比例したポテンシャルである方位差ポテンシャルを生成する第2ポテンシャル生成部と、生成した前記速度差ポテンシャル及び前記方位差ポテンシャルを加算して、目的の方向へ目標速度で向かわせるための目標ポテンシャルを求める第1算出部と、求めた前記目標ポテンシャルに基づいて、前記自車両が将来走行する走行位置の推奨度合いを示す前記基本走行ポテンシャルを求める第2算出部と、を備える、自動運転装置を提供する。
【0007】
また、前記第1ポテンシャル生成部は、前記速度差ポテンシャルとして、前記速度差に比例した斥力ポテンシャル又は引力ポテンシャルを生成し、前記第2ポテンシャル生成部は、前記方位差ポテンシャルとして、前記方位差に比例した引力ポテンシャルを生成することとしてもよい。
【0008】
また、前記第1ポテンシャル生成部は、前記速度差が所定の最小値又は最大値を超える場合には、前記最小値又は前記最大値に比例した前記速度差ポテンシャルを生成することとしてもよい。
【0009】
また、前記第2ポテンシャル生成部は、前記方位差が所定の閾値を超える場合には、前記閾値に比例した前記方位差ポテンシャルを生成することとしてもよい。
【0010】
また、前記第2算出部が求めた前記基本走行ポテンシャルに基づいて、前記運転行動として、前記自車両の加減速度とヨーレートを設定する運転行動設定部を更に備えることとしてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、目標とする速度で目的地へ向かう自車両の運転行動を適切に設定するための基本走行ポテンシャルを求められるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】一の実施形態に係る自動運転装置1の構成の一例を説明するための模式図である。
図2】制御装置10の詳細構成の一例を説明するためのブロック図である。
図3】自車両の位置を説明するための模式図である。
図4】速度差ポテンシャルの一例を説明するための模式図である。
図5】方位差ポテンシャルの一例を説明するための模式図である。
図6】自動運転装置1の動作例を説明するためのフローチャートである。
図7】基本走行ポテンシャルの算出の流れを説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<自動運転装置の構成>
本発明の一の実施形態に係る自動運転装置の構成について、図1を参照しながら説明する。
【0014】
図1は、一の実施形態に係る自動運転装置1の構成の一例を説明するための模式図である。自動運転装置1は、例えばトラック等の車両に搭載されており、自車両の運転を支援する。自動運転装置1は、例えば自動運転時に、自車両の運転行動を設定し、設定した運転行動に基づいて運転経路を決定する。自動運転装置1は、基本走行ポテンシャルを含むポテンシャル場に基づいて、自車両の運転行動を設定する。自車両は、自動運転装置1が設定した運転行動に沿って走行する。また、自車両は、自動運転装置1が決定した運転経路に沿って走行可能となっている。
【0015】
自動運転装置1は、図1に示すように、車両検出部2と、環境認識部4と、地図データベース6と、制御装置10とを有する。
車両検出部2は、自車両の状態を検出する。車両検出部2は、自車両の位置や速度を検出する。例えば、車両検出部2は、GPS(Global Positioning System)受信機を有しており、GPS受信機が受信した電波により自車両の位置を検出する。
【0016】
環境認識部4は、自車両の周囲の環境状況を認識する。例えば、環境認識部4は、カメラ、レーダ等の外部センサを有する。環境認識部4は、例えば自車両が走行する車線の位置や幅等を認識する。また、環境認識部4は、外部センサの出力に基づいて、自車両の周囲の障害物(例えば、他車両、自転車、歩行者等)を認識しうる。
【0017】
地図データベース6は、道路地図情報を記憶している。道路地図情報には、例えば、道路の緯度、経度及び標高の3次元座標を示すデータが含まれている。また、道路地図情報には、自車両が走行する道路の車線数や車線構造の情報が含まれている。さらに、地図データベース6は、車両検出部2が検出した自車両の位置に基づいて、環境認識部4で認識する車線の情報を代わりに取得することができる。
【0018】
制御装置10は、自動運転装置1の動作を制御する。制御装置10は、ポテンシャル場を用いて自車両の運転行動を設定する。ポテンシャル場は、例えば公知のように、基本走行ポテンシャルや顕在リスクポテンシャルを加算することで求められる。本実施形態の制御装置10は、詳細は後述するが、自車両の速度と目標速度の速度差に依存した速度差ポテンシャルと、自車両の位置と目標地点との方位差に依存した方位差ポテンシャルとを加算して、基本走行ポテンシャルを求める。これにより、自車両の運転行動を適切に設定するための基本走行ポテンシャルを精度良く求められる。
【0019】
<制御装置10の詳細構成>
制御装置10の詳細構成について、図2を参照しながら説明する。
図2は、制御装置10の詳細構成の一例を説明するためのブロック図である。制御装置10は、図2に示すように、記憶部12と、制御部14とを有する。
【0020】
記憶部12は、例えばROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を含む。記憶部12は、制御部14が実行するためのプログラムや各種データを記憶する。
【0021】
制御部14は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。制御部14は、記憶部12に記憶されたプログラムを実行することにより、車両情報取得部142、目標情報取得部143、第1ポテンシャル生成部144、第2ポテンシャル生成部145、第1算出部146、第2算出部147、運転行動設定部148及び運転経路決定部149として機能する。
【0022】
車両情報取得部142は、自車両の走行情報を取得する。例えば、車両情報取得部142は、走行中の自車両の位置や速度を取得する。車両情報取得部142は、車両検出部2(図1)の検出結果から、自車両の位置や速度を取得する。
【0023】
図3は、自車両の位置を説明するための模式図である。自車両である車両100の位置は、車両重心であり、ここでは図3に示すように車両100の後輪軸中心である。以下では、車両重心から前方をX軸方向とし、車両重心から左右をY軸方向とする。また、車両重心から目標位置Tの間の方位差をΔΨとする。また、目標位置Tの座標は、(Xdst、Ydst)であるものとする。
【0024】
目標情報取得部143は、走行すべき目標位置や目標速度に関する目標情報を取得する。目標位置は、例えば自車両から所定距離(一例として100m)だけ前方の位置である。目標位置は、地図データベース6に記憶された道路地図情報に設定された任意地点であってもよい。目標速度は、例えば車線の法定速度である。目標情報取得部143は、例えば、地図データベース6に記憶された道路地図情報を参照して、目標情報を取得しうる。
【0025】
第1ポテンシャル生成部144は、目標速度と自車両の速度との速度差に比例したポテンシャルである速度差ポテンシャルを生成する。速度差は、自車両の速度から目標速度を減算した値である。第1ポテンシャル生成部144は、速度差が大きいほど、大きなポテンシャルとなる速度差ポテンシャルを生成する。第1ポテンシャル生成部144は、地図データベース6から車線の法定速度の情報を取得してもよい。なお、第1ポテンシャル生成部144は、速度差が無い場合には、速度差ポテンシャルを生成しない。
【0026】
第1ポテンシャル生成部144は、速度差ポテンシャルとして、速度差に比例した斥力ポテンシャル又は引力ポテンシャルを生成する。第1ポテンシャル生成部144は、速度差が正の場合(自車両の速度が目標速度よりも速い場合)には、斥力ポテンシャルを生成する。一方で、第1ポテンシャル生成部144は、速度差が負の場合(自車両の速度が目標速度よりも遅い場合)には、引力ポテンシャルを生成する。ここで、図3に示すように目標位置が自車両前方に存在することから、斥力ポテンシャルは、自車両の速度を遅くして(減速して)速度差を0に近づけようとするポテンシャルであり、引力ポテンシャルは、自車両の速度を速くして(加速して)速度差を0に近づけようとするポテンシャルである。
【0027】
図4は、速度差ポテンシャルの一例を説明するための模式図である。図4(a)には、正のポテンシャルである斥力ポテンシャルが示され、図4(b)には、負のポテンシャルである引力ポテンシャルが示されている。斥力ポテンシャル及び引力ポテンシャルの大きさは、目標位置Xdstにおいて最大となっている。
【0028】
第1ポテンシャル生成部144は、速度差ポテンシャルが過大にならないように、閾値処理を行ってもよい。例えば、第1ポテンシャル生成部144は、速度差が所定の最小値又は最大値を超える場合には、最小値又は最大値に比例した速度差ポテンシャルを生成する。より具体的には、第1ポテンシャル生成部144は、速度差が最小値を超える場合には、最小値に対応した引力ポテンシャルを生成し、速度差が最大値を超える場合には、最大値に対応した引力ポテンシャルを生成する。
【0029】
第1ポテンシャル生成部144は、例えば、下記の式(1)のように示される速度差ポテンシャルUvel(X)を生成する。
式(1)で、ΔVは速度差を意味し、wvelは速度差ポテンシャルの重みを意味し、σvelは速度差ポテンシャルの標準偏差を意味し、ΔVmaxが速度差の最大値を意味し、ΔVminが速度差の最小値を意味する。
【0030】
第2ポテンシャル生成部145は、目標位置と自車両の位置の間の方位差に比例したポテンシャルである方位差ポテンシャルを求める。方位差は、例えば、図3に示す方位差ΔΨである。第2ポテンシャル生成部145は、方位差が大きいほど、大きなポテンシャルとなる方位差ポテンシャルを生成する。なお、第2ポテンシャル生成部145は、方位差が無い場合には、方位差ポテンシャルを生成しない。
【0031】
第2ポテンシャル生成部145は、方位差ポテンシャルとして、方位差に比例した引力ポテンシャルを生成する。すなわち、第2ポテンシャル生成部145は、自車両のヨーレートを変更して方位差を0に近づけとするポテンシャルを生成する。
【0032】
図5は、方位差ポテンシャルの一例を説明するための模式図である。図5(a)には、目標位置が車両から見て右側に位置する場合の引力ポテンシャルが示され、図5(b)には、目標位置が車両から見て左側に位置する場合の引力ポテンシャルが示されている。引力ポテンシャルの大きさは、目標位置Ydstにおいて最大となっている。
【0033】
第2ポテンシャル生成部145は、方位差ポテンシャルが過大にならないように、閾値処理を行ってもよい。例えば、第2ポテンシャル生成部145は、方位差が所定の閾値を超える場合には、閾値に比例した方位差ポテンシャルを生成する。より具体的には、第2ポテンシャル生成部145は、方位差が閾値を超える場合には、閾値に対応した引力ポテンシャルを生成する。
【0034】
第2ポテンシャル生成部145は、下記の式(2)のように示される方位差ポテンシャルUdir(Y)を生成する。
式(2)で、ΔΨは方位差を意味し、wdirは方位差ポテンシャルの重みを意味し、σdirは方位差ポテンシャルの標準偏差を意味し、ΔΨthが方位差の閾値を意味する。
【0035】
第1算出部146は、自車両を目的の方向へ目標速度で向かわせるための目標ポテンシャルを求める。第1算出部146は、速度差ポテンシャル及び方位差ポテンシャルを加算して、目標ポテンシャルを求める。すなわち、第1算出部146は、第1ポテンシャル生成部144が生成した速度差ポテンシャルと、第2ポテンシャル生成部145が生成した方位差ポテンシャルを加算して、自車両を目標位置へ向かわせる目標ポテンシャルを求める。
【0036】
第1算出部146は、上記の式(1)及び式(2)を用いて、下記の式(3)のように示される目標ポテンシャルUdst(X,Y)を求める。
【0037】
第2算出部147は、自車両が将来走行する走行位置の推奨度合いを示す基本走行ポテンシャルを求める。第2算出部147は、第1算出部146が求めた目標ポテンシャルに基づいて、基本走行ポテンシャルを求める。例えば、第2算出部147は、第1算出部146が求めた目標ポテンシャルと、自車両が車線内の所定位置を維持するための車線ポテンシャルとを加算して、基本走行ポテンシャルを求めうる。
【0038】
第2算出部147は、式(3)を用いて、下記の式(4)のように示される基本走行ポテンシャルUbase(X,Y)を求める。
式(4)のUlane(X,Y)は、上述した車線ポテンシャルを意味する。
なお、第2算出部147は、式(4)に自車両を走行不可領域に侵入させないためのポテンシャルを加えたものを、基本走行ポテンシャルとして求めてもよい。
【0039】
運転行動設定部148は、第2算出部147が求めた基本走行ポテンシャル(すなわち、速度差ポテンシャル及び方位差ポテンシャルを含む基本走行ポテンシャル)に基づいて、運転行動を設定する。運転行動設定部148は、自車両が走行する車線内での短期的な運転行動を予測して設定する。
【0040】
運転行動設定部148は、運転行動として、自車両の加減速度とヨーレートを設定する。例えば、運転行動設定部148は、速度差ポテンシャルが斥力ポテンシャルである場合には、自車両を減速させ、速度差ポテンシャルが引力ポテンシャルである場合には自車両を加速させるように設定する。また、運転行動設定部148は、方位差ポテンシャルの大きさに応じたヨーレートを設定する。上記のように速度差ポテンシャル及び方位差ポテンシャルを用いることで、自車両の最適な運転行動(加減速度やヨーレート)を設定できる。
【0041】
運転経路決定部149は、設定した運転行動に基づいて、自車両の運転経路を決定する。例えば、運転経路決定部149は、運転行動設定部148による短期的な運転行動の設定を繰り返して、自車両の長期的な運転経路を決定する。この際、運転経路決定部149は、ポテンシャルが小さくなる経路を選択するように決定しうる。これにより、最適な運転経路を決定できる。
【0042】
<自動運転装置の動作例>
自動運転装置1の動作例について、図6を参照しながら説明する。
【0043】
図6は、自動運転装置1の動作例を説明するためのフローチャートである。本フローチャートに示す処理は、車両が走行している際に行われる。ここでは、車両が高速走行で自動運転を行っているものとする。
【0044】
まず、自動運転装置1の制御装置10は、自車両の基本走行ポテンシャルを算出する(ステップS102)。具体的には、制御装置10は、図7に示す処理を行って、基本走行ポテンシャルを算出する。
【0045】
図7は、基本走行ポテンシャルの算出の流れを説明するためのフローチャートである。制御装置10の車両情報取得部142は、自車両の位置や速度に関する車両情報を取得する(ステップS122)。また、目標情報取得部143は、走行すべき目標位置や目標速度に関する目標情報を取得する(ステップS124)。
【0046】
次に、第1ポテンシャル生成部144は、自車両の速度と目標速度との速度差に比例した速度差ポテンシャルを生成する(ステップS126)。具体的には、第1ポテンシャル生成部144は、速度差ポテンシャルとして、斥力ポテンシャル又は引力ポテンシャルを生成する。第2ポテンシャル生成部145は、自車両の位置と目標位置との間の方位差に比例した方位差ポテンシャルを生成する(ステップS128)。具体的には、第2ポテンシャル生成部145は、方位差ポテンシャルとして、引力ポテンシャルを生成する。
【0047】
次に、第2算出部147は、生成した速度差ポテンシャル及び方位差ポテンシャルに基づいて、基本走行ポテンシャルを求める(ステップS130)。例えば、第2算出部147は、速度差ポテンシャルと方位差ポテンシャルを加算して、基本走行ポテンシャルを求める。
【0048】
基本走行ポテンシャルを算出すると、制御装置10は、図6に戻り、走行中の道路の障害物を避けるための顕在リスクポテンシャルを算出する(ステップS104)。なお、制御装置10は、公知の算出方法で、顕在リスクポテンシャルを求めてもよい。
【0049】
次に、制御装置10の運転行動設定部148は、算出した基本走行ポテンシャル及び顕在リスクポテンシャルを用いて、自車両の運転行動を設定する(ステップS106)。例えば、運転行動設定部148は、基本走行ポテンシャルと顕在リスクポテンシャルを加算したポテンシャル場にいわゆるコスト関数を適用して、自車両の運転行動を設定する。
【0050】
次に、運転経路決定部149は、設定した運転行動を用いて、自車両の運転経路を決定する(ステップS108)。例えば、運転経路決定部149は、短期的な予測である運転行動の設定を繰り返して、運転経路を決定する。
【0051】
<本実施形態における効果>
上述した実施形態の自動運転装置1は、自車両の速度と目標速度との速度差に比例した速度差ポテンシャルと、自車両の位置と目標位置との間の方位差に比例した方位差ポテンシャルを生成する。そして、自動運転装置1は、生成した前記速度差ポテンシャル及び前記方位差ポテンシャルを加算して、自車両の基本走行ポテンシャルを求める。
これにより、自車両の加減速度を設定するための速度差ポテンシャルと、自車両のヨーレートを設定するための方位差ポテンシャルを含む基本走行ポテンシャルを求めることができる。このため、求めた基本走行ポテンシャルを用いて、自車両の運転行動を適切に設定することが可能となる。
【0052】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0053】
1 自動運転装置
100車両
142 車両情報取得部
143 目標情報取得部
144 第1ポテンシャル生成部
145 第2ポテンシャル生成部
146 第1算出部
147 第2算出部
148 運転行動設定部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7