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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-18
(45)【発行日】2023-07-26
(54)【発明の名称】物品搬送設備
(51)【国際特許分類】
   B61B 13/00 20060101AFI20230719BHJP
【FI】
B61B13/00 E
B61B13/00 A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021039760
(22)【出願日】2021-03-12
(65)【公開番号】P2022139395
(43)【公開日】2022-09-26
【審査請求日】2023-01-30
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110001298
【氏名又は名称】弁理士法人森本国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】嶋村 淳一
【審査官】諸星 圭祐
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-7763(JP,A)
【文献】特開2015-157687(JP,A)
【文献】特開2009-23770(JP,A)
【文献】特開2007-125996(JP,A)
【文献】特開2004-43090(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61B 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を搬送する搬送台車と、前記物品の搬送経路上に設けられ前記搬送台車によって搬送される前記物品を仮置きする複数の物品支持部と、前記搬送台車の走行を制御する台車制御部と、を備え、前記搬送台車が所定の前記物品支持部間を走行することによって前記物品が搬送される物品搬送設備であって、
前記台車制御部は、所定の物品支持部に向けて走行する前記搬送台車への搬送指示及び走行速度を、前記搬送台車の走行方向に対して前記所定の物品支持部より下流側に位置する下流側物品支持部の在荷状況に応じて制御すること
を特徴とする物品搬送設備。
【請求項2】
前記台車制御部は、前記搬送台車が前記物品を仮置きする予定の物品支持部に向けて前記物品の搬送経路の下流側方向へ走行する際に、前記物品を仮置きする予定の物品支持部より下流側に位置する下流側物品支持部に物品が仮置きされている場合には、前記搬送台車の走行を低速モードにすること
を特徴とする請求項1に記載の物品搬送設備。
【請求項3】
所定の搬送指示に従って前記下流側物品支持部との間で物品の移載を行う第1移載装置を備え、
前記台車制御部は、前記下流側物品支持部の在荷状況及び前記第1移載装置への前記搬送指示の有無に応じて前記搬送台車への搬送指示及び走行速度を制御すること
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の物品搬送設備。
【請求項4】
前記台車制御部は、前記物品が前記下流側物品支持部に仮置きされ、且つ前記第1移載装置が前記下流側物品支持部から前記物品を移載する前記搬送指示を実行していない場合には、前記搬送台車の走行を低速モードにすること
を特徴とする請求項3に記載の物品搬送設備。
【請求項5】
前記台車制御部は、前記第1移載装置が前記搬送指示を実行することができない場合には、前記搬送台車の走行を低速モードにすること
を特徴とする請求項3又は請求項4に記載の物品搬送設備。
【請求項6】
前記台車制御部は、前記搬送台車が前記物品を受け入れる予定の物品支持部に向けて前記物品の搬送経路の上流側方向へ走行する際に、前記物品を受け入れる予定の物品支持部より上流側に位置する上流側物品支持部に物品が仮置きされていない場合には、前記搬送台車の走行を低速モードにすること
を特徴とする請求項1に記載の物品搬送設備。
【請求項7】
前記搬送台車が前記物品を受け入れる予定の物品支持部との間で前記物品の移載を所定の搬送指示に従って行う第2移載装置を備え、
前記台車制御部は、前記物品が前記物品支持部に仮置きされておらず、且つ前記第2移載装置が前記物品支持部に対して前記物品を移載する前記搬送指示を実行していない場合には、前記搬送台車の走行を低速モードにすること
を特徴とする請求項6に記載の物品搬送設備。
【請求項8】
前記台車制御部は、前記第2移載装置に対する前記搬送指示が無い場合には、前記搬送台車の走行を低速モードにすること
を特徴とする請求項7に記載の物品搬送設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を搬送する搬送台車と、前記物品の搬送経路上に設けられ前記搬送台車によって搬送される前記物品を仮置きする複数の物品支持部と、前記搬送台車の走行を制御する台車制御部と、を備え、前記搬送台車が所定の前記物品支持部間を走行することによって前記物品が搬送される物品搬送設備に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の物品搬送設備としては、特許文献1に示すようなものがある。特許文献1の物品搬送設備は、2本の平行な走行レールを内側と外側とに各々L字状に配置し、2台の有軌道台車(搬送台車)を走行レールに沿って往復走行させるものである。2台の有軌道台車は、L字状の走行レールの両端部付近に設けられる受台(物品支持部)と、L字状の走行レールのコーナー部付近に設けられる受台と、の間で物品を搬送する。L字状の走行レールの両端部付近に設けられる受台は、スタッカクレーン、他の有軌道台車、無人搬送車等との間のステーションとして用いられる。
特許文献1の物品搬送設備では、一方の有軌道台車が、L字状の走行レールの一端部付近に設けられる受台に仮置きされた物品を、L字状の走行レールのコーナー部付近に設けられる受台まで搬送して仮置きする。そして、他方の有軌道台車が、当該コーナー部付近の受台に仮置きされた物品を、L字状の走行レールの他端部付近に設けられる受台まで搬送して仮置きする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-202806号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の物品搬送設備のような従来の物品搬送設備では、搬送台車の走行を制御する台車制御部は、物品を仮置きする予定の物品支持部に物品が仮置きされておらず、且つ他方の搬送台車が当該物品支持部に停止していない等、当該物品支持部への物品の仮置きに支障がないと判断した場合には、当該物品支持部より下流側に位置する下流側物品支持部の在荷状況を考慮することなく搬送台車を走行させる。そのため、物品が当該下流側物品支持部に仮置きされていること等によって、後続の物品を当該下流側物品支持部に仮置きできない場合(後続の物品を当該下流側物品支持部に搬送するまでに時間を要する場合)であっても、当該台車制御部は、物品が当該下流側物品支持部に仮置きされていない場合と同様の制御で搬送台車の走行を制御することとなる。それゆえに、搬送台車を無駄に走行させることとなり、搬送台車が過度に電力を消費するという問題があった。
【0005】
本発明は上記課題を解決するもので、搬送車の無駄な走行を制限して搬送台車の消費電力を抑制可能な物品搬送設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の物品搬送設備は、物品を搬送する搬送台車と、前記物品の搬送経路上に設けられ前記搬送台車によって搬送される前記物品を仮置きする複数の物品支持部と、前記搬送台車の走行を制御する台車制御部と、を備え、前記搬送台車が所定の前記物品支持部間を走行することによって前記物品が搬送される物品搬送設備であって、前記台車制御部は、所定の物品支持部に向けて走行する前記搬送台車への搬送指示及び走行速度を、前記搬送台車の走行方向に対して前記所定の物品支持部より下流側に位置する下流側物品支持部の在荷状況に応じて制御するものである。
上記構成では、搬送台車の搬送指示及び走行速度が、搬送台車の走行方向に対して所定の物品支持部より下流側に位置する下流側物品支持部の在荷状況に応じて制御される。
【0007】
本発明の物品搬送設備では、前記台車制御部は、前記搬送台車が前記物品を仮置きする予定の物品支持部に向けて前記物品の搬送経路の下流側方向へ走行する際に、前記物品を仮置きする予定の物品支持部より下流側に位置する下流側物品支持部に物品が仮置きされている場合には、前記搬送台車の走行を低速モードにするものである。
ここで、低速モードとは、搬送台車が物品を仮置きする予定の物品支持部へ走行する際の通常の走行速度(通常の搬送時の走行速度、以下、通常速度と称する)より遅い走行速度で走行させるモード(以下の説明においても同様)をいう。
上記構成では、物品を仮置きする予定の物品支持部より下流側に位置する下流側物品支持部に物品が仮置きされている場合には、搬送台車は低速モードで走行する。
【0008】
本発明の物品搬送設備は、所定の搬送指示に従って前記下流側物品支持部との間で物品の移載を行う第1移載装置を備え、前記台車制御部は、前記下流側物品支持部の在荷状況及び前記第1移載装置への前記搬送指示の有無に応じて前記搬送台車への搬送指示及び走行速度を制御するものである。
上記構成では、搬送台車への搬送指示及び走行速度が、下流側物品支持部の在荷状況及び第1移載装置への搬送指示の有無に応じて制御される。
【0009】
本発明の物品搬送設備では、前記台車制御部は、前記物品が前記下流側物品支持部に仮置きされ、且つ前記第1移載装置が前記下流側物品支持部から前記物品を移載する前記搬送指示を実行していない場合には、前記搬送台車の走行を低速モードにするものである。
上記構成では、物品が前記下流側物品支持部に仮置きされ、且つ第1移載装置が下流側物品支持部から物品を移載する搬送指示を実行していない場合には、搬送台車は低速モードで走行する。
【0010】
本発明の物品搬送設備では、前記台車制御部は、前記第1移載装置が前記搬送指示を実行することができない場合には、前記搬送台車の走行を低速モードにするものである。
上記構成では、第1移載装置が搬送指示を実行することができない場合には、搬送台車は低速モードで走行する。
【0011】
本発明の物品搬送設備では、前記台車制御部は、前記搬送台車が前記物品を受け入れる予定の物品支持部に向けて前記物品の搬送経路の上流側方向へ走行する際に、前記物品を受け入れる予定の物品支持部より上流側に位置する上流側物品支持部に物品が仮置きされていない場合には、前記搬送台車の走行を低速モードにするものである。
上記構成では、搬送台車が物品を受け入れる予定の物品支持部に向けて走行する際に、物品を受け入れる予定の物品支持部より上流側に位置する上流側物品支持部に物品が仮置きされていない場合には、搬送台車は低速モードで走行する。
【0012】
本発明の物品搬送設備では、前記搬送台車が前記物品を受け入れる予定の物品支持部との間で前記物品の移載を所定の搬送指示に従って行う第2移載装置を備え、前記台車制御部は、前記物品が前記物品支持部に仮置きされておらず、且つ前記第2移載装置が前記物品支持部に対して前記物品を移載する前記搬送指示を実行していない場合には、前記搬送台車の走行を低速モードにするものである。
上記構成では、物品が物品支持部に仮置きされておらず、且つ第2移載装置が物品支持部に対して物品を移載する搬送指示を実行していない場合には、搬送台車は低速モードで走行する。
【0013】
本発明の物品搬送設備では、前記台車制御部は、前記第2移載装置に対する前記搬送指示が無い場合には、前記搬送台車の走行を低速モードにするものである。
上記構成では、第2移載装置に対する搬送指示が無い場合には、搬送台車は低速モードで走行する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の物品搬送設備によれば、所定の物品支持部に向けて走行する搬送台車への搬送指示及び走行速度が、搬送台車の走行方向に対して所定の物品支持部より下流側に位置する下流側物品支持部の在荷状況に応じて制御されることから、搬送台車の無駄な走行を抑制することができるため、搬送台車が過度に電力を消費することがない。それゆえに、搬送台車の省エネルギー化及び長寿命化を促進することができる。また、クリーン度を要求される設備においては、搬送台車への搬送指示及び走行速度を制御することで、搬送台車によるパーティクル等の巻き上げを減らすことができるため、気流改善(パーティクル対策)を効果的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施の形態に係る物品搬送設備の側面図である。
図2】同物品搬送設備において搬送台車が第1荷受台から第2荷受台に向けて走行する場合の平面図である。
図3】同物品搬送設備において搬送台車が第2荷受台から第1荷受台に向けて走行する場合の平面図である。
図4】同物品搬送設備の制御システムを示すブロック図である。
図5】同物品搬送設備において搬送台車が第1荷受台から第2荷受台に向けて走行する場合の搬送台車の制御を示すフローチャートである。
図6】同物品搬送設備において搬送台車が第2荷受台から第3荷受台に向けて走行する場合の搬送台車の制御を示すフローチャートである。
図7】同物品搬送設備において搬送台車が第3荷受台から第2荷受台に向けて走行する場合の搬送台車の制御を示すフローチャートである。
図8】同物品搬送設備において搬送台車が第2荷受台から第1荷受台に向けて走行する場合の搬送台車の制御を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
まず、本発明に係る物品搬送設備10について説明する。
【0017】
物品搬送設備10は、例えば、液晶パネルの製造工場において、液晶パネルが収容されたカセット90(「物品」の一例)を保管する保管棚91、92間に設けられる設備であり、カセット90を第1保管棚91(搬送後システム)から第2保管棚92(搬送先システム)へ搬送するためのものである。
【0018】
図1から図3に示すように、物品搬送設備10は、カセット90を搬送するための搬送台車25を走行させるための直線状の走行経路11(「搬送経路」の一例)が保管棚91、92間に設けられている。走行経路11の一端部11a(カセット90の搬送始端部)には第1保管棚91が設けられ、走行経路11の他端部11b(カセット90の搬送終端部)には第2保管棚92が設けられている。物品搬送設備10が設けられる保管棚91、92には、カセット90を保管するための複数の保管部93、94が設けられている。
【0019】
走行経路11の一端部11aには、搬送台車25との間でカセット90の移載を行うための第1荷受台12(「物品支持部」「上流側物品支持部」の一例)と、カセット90を第1保管棚91の各第1保管部93と第1荷受台12との間で移載するための第1スタッカクレーン23(「第2移載装置」の一例)と、が設けられている。
走行経路11の他端部11bには、搬送台車25との間でカセット90の移載を行うための第4荷受台15(「物品支持部」「下流側物品支持部」の一例)と、カセット90を第2保管棚92の各第2保管部94と第4荷受台15との間で移載するための第2スタッカクレーン24(「第1移載装置」の一例)と、が設けられている。
【0020】
荷受台12、15は、カセット90の底部の四隅を支持する4本の受け部16によって構成されている。荷受台12、15は、4本の受け部16によってカセット90を下方から受ける。受け部16は、載置されたカセット90が下方を通過する搬送台車25と接触しない高さに形成される。また、4本の受け部16は、載置されたカセット90の下方を通過する搬送台車25と接触しない位置にそれぞれ配置される。第1荷受台12には、第1スタッカクレーン23によって第1保管部93から搬出されたカセット90が載置される。第4荷受台15には、第2スタッカクレーン24によって第2保管部94へ搬入されるカセット90が載置される。
荷受台12、15には、荷受台12、15におけるカセット90の在荷状況を検出する在荷センサ17、20が設けられている。図4に示すように、在荷センサ17、20は、物品搬送設備10全体を制御する統括コントローラ21及び地上側コントローラ22に接続され、検出信号を統括コントローラ21及び地上側コントローラ22に送信する。
【0021】
図1から図3に示すように、走行経路11の所定位置には、搬送台車25によって搬送されるカセット90を仮置きするための荷受台13、14(「物品支持部」「上流側物品支持部」「下流側物品支持部」の一例)が設けられている。荷受台13、14は、荷受台12、15と同様に、4本の受け部16によって構成されている。荷受台13、14には、搬送台車25によって第1保管棚91から第2保管棚92に向けて搬送されるカセット90が一時的に載置される。荷受台13、14には、荷受台13、14におけるカセット90の在荷状況を検出する在荷センサ18、19が設けられている。図4に示すように、在荷センサ18、19は、統括コントローラ21及び地上側コントローラ22に接続され、検出信号を統括コントローラ21及び地上側コントローラ22に送信する。
【0022】
図1から図3に示すように、第1スタッカクレーン23は、第1保管棚91の各第1保管部93に保管されているカセット90を第1荷受台12に移載するものである。図4に示すように、第1スタッカクレーン23は、統括コントローラ21に接続され、統括コントローラ21からの搬送指示に従って、カセット90を所定の第1保管部93から搬出して第1荷受台12に移載する。すなわち、第1スタッカクレーン23は、上位のコントローラ(統括コントローラ21)の搬送指示を必要とする移載装置である。
図1から図3に示すように、第2スタッカクレーン24は、第4荷受台15に載置されているカセット90を第2保管棚92の各第2保管部94に対して移載するものである。図4に示すように、第2スタッカクレーン24は、統括コントローラ21に接続され、統括コントローラ21からの搬送指示に従って、第4荷受台15に載置されているカセット90を所定の第2保管部94に搬入する。すなわち、第2スタッカクレーン24は、上位のコントローラ(統括コントローラ21)の搬送指示を必要とする移載装置である。
【0023】
図1に示すように、カセット90を搬送する搬送台車25は、前後に車輪25aを有する車体25bと、車体25bに設けられカセット90を昇降可能に支持するリフタ25cと、から構成されている。図2及び図3に示すように、搬送台車25は、走行経路11に敷設された走行レール27に沿って、第1荷受台12と第4荷受台15との間を往復して走行する。搬送台車25は、カセット90を第1荷受台12から第4荷受台15まで連続して搬送し、又はカセット90を第1荷受台12と第4荷受台15との間の各荷受台(荷受台13、14)に仮置きしながら搬送する。また、搬送台車25は、カセット90を第2荷受台13から第4荷受台15のいずれかの荷受台に仮置きした後、第1荷受台12から第3荷受台14のいずれかの荷受台に仮置きされているカセット90を受け入れるために、第4荷受台15から第1荷受台12までを連続して走行し、又は第1荷受台12と第4荷受台15との間の各荷受台(荷受台13、14)を経由しながら走行する。搬送台車25は、リフタ25cを昇降させることで、荷受台12、13、14、15においてカセット90の荷下ろし(仮置き)及び荷積み(受け入れ)を行う。搬送台車25は、荷受台12、13、14、15の4本の受け部16の間を通過可能に構成されている。すなわち、搬送台車25は、カセット90を搬送している際には、カセット90が受け部16に接触しないようにリフタ25cを上昇させた状態で走行し、カセット90を搬送せずに走行する際には、車体25bが受け部16に接触しないようにリフタ25cを下降させた状態で走行する。
図4に示すように、搬送台車25は、地上側に設けられる地上側コントローラ22(「台車制御部」の一例)と、搬送台車25に設けられる車体側コントローラ26によって走行等の動作が制御される。
地上側コントローラ22は、統括コントローラ21に接続され、統括コントローラ21からの指示に従って搬送台車25の走行を制御し、カセット90の搬送指示を行う。地上側コントローラ22は、車体側コントローラ26との間で光伝送によって信号の授受を行うことで搬送台車25の走行制御及びカセット90の搬送指示を行う。
車体側コントローラ26は、搬送台車25に搭載され、地上側コントローラ22からの指示に従って搬送台車25を走行させてカセット90の搬送を行う。
【0024】
次に、搬送台車25の走行制御について説明する。
まず、図2に示すように、搬送台車25が第1荷受台12に載置されているカセット90を受け入れて第2荷受台13に搬送する場合の搬送台車25の走行制御について説明する。
図5に示すように、地上側コントローラ22は、第3荷受台14にカセット90が載置されているかを判断する(S1)。具体的には、地上側コントローラ22は、第3在荷センサ19からの信号の有無を検出する。地上側コントローラ22は、第3荷受台14にカセット90が載置されていると判断すると(S1-Yes)、続いて、第4荷受台15にカセット90が載置されているかを判断する(S2)。具体的には、地上側コントローラ22は、第4在荷センサ20からの信号の有無を検出する。地上側コントローラ22は、第4荷受台15にカセット90が載置されていると判断すると(S2-Yes)、車体側コントローラ26に対して減速走行を指示し、搬送台車25を低速モードで走行させる(S3)。すなわち、第3荷受台14及び第4荷受台15にカセット90が載置されている場合には、地上側コントローラ22は、搬送台車25を通常速度より減速して走行させる。
一方で、地上側コントローラ22は、第3荷受台14にカセット90が載置されていないと判断し(S1-No)、又は第4荷受台15にカセット90が載置されていないと判断すると(S2-No)、車体側コントローラ26に対して走行を指示し、搬送台車25を通常速度で走行させる(S4)。
搬送台車25が第2荷受台13に到着すると、地上側コントローラ22は、車体側コントローラ26に対して第2荷受台13へのカセット90の搬送指示を行う(S5)。
このように、地上側コントローラ22は、カセット90を仮置きする予定の第2荷受台13に向けてカセット90の搬送経路の下流側方向へ走行する搬送台車25への搬送指示及び走行速度を、搬送台車25の走行方向に対して第2荷受台13より下流側に位置する第3荷受台14及び第4荷受台15の在荷状況に応じて制御する。
【0025】
次に、搬送台車25が第2荷受台13に載置されているカセット90を受け入れて第3荷受台14に搬送する場合の搬送台車25の走行制御について説明する。
図6に示すように、地上側コントローラ22は、第4荷受台15にカセット90が載置されているかを判断する(S11)。地上側コントローラ22は、第4荷受台15にカセット90が載置されていないと判断すると(S11-No)、続いて、第2保管棚92の第2保管部94(ポート)が使用可能状態にあるかを判断する(S12)。すなわち、地上側コントローラ22は、第2スタッカクレーン24が、エラーや第2スタッカクレーン24自体の点検等によって、第4荷受台15から第2保管棚92の第2保管部94へのカセット90の搬送指示を実行することができない状態(Out Of Service状態)にあるか否かを判断する。地上側コントローラ22は、第2保管棚92の第2保管部94(ポート)が使用可能状態にあると判断すると(S12-Yes)、車体側コントローラ26に対して走行を指示し、搬送台車25を通常速度で走行させる(S13)。
一方で、地上側コントローラ22は、第4荷受台15にカセット90が載置されていると判断すると(S11-Yes)、続いて、第2スタッカクレーン24が第4荷受台15から第2保管棚92の第2保管部94へのカセット90の搬送指示を実行しているかを判断する(S14)。地上側コントローラ22は、第2スタッカクレーン24が上記搬送指示を実行していると判断すると(S14-Yes)、車体側コントローラ26に対して走行を指示し、搬送台車25を通常速度で走行させる(S15)。すなわち、第2スタッカクレーン24が、第4荷受台15から第2保管棚92の第2保管部94へのカセット90の移載を実行しようとしている場合には、地上側コントローラ22は、搬送台車25を通常速度で走行させる。
また一方で、地上側コントローラ22は、第2保管棚92の第2保管部94(ポート)が使用可能状態ではないと判断し(S12-No)、又は第2スタッカクレーン24が上記搬送指示を実行していないと判断すると(S14-No)、車体側コントローラ26に対して減速走行を指示し、搬送台車25を低速モードで走行させる(S16)。すなわち、第2スタッカクレーン24が、第4荷受台15から第2保管棚92の第2保管部94へのカセット90の移載を全く実行せずに停止し、又は他の第2保管部94へのカセット90の移載を実行している場合には、地上側コントローラ22は、搬送台車25を通常速度より減速して走行させる。
搬送台車25が第3荷受台14に到着すると、地上側コントローラ22は、車体側コントローラ26に対して第3荷受台14へのカセット90の搬送指示を行う(S17)。
このように、地上側コントローラ22は、第4荷受台15の在荷状況及び第2スタッカクレーン24への上記搬送指示の有無に応じて搬送台車25への搬送指示及び走行速度を制御する。すなわち、地上側コントローラ22は、カセット90が第4荷受台15に仮置きされ、且つ第2スタッカクレーン24が第4荷受台15からカセット90を移載する搬送指示を実行していない場合、又は第2スタッカクレーン24が上記搬送指示を実行することができない場合(第2保管棚92の第2保管部94(ポート)が使用可能状態ではない場合)には、搬送台車25を通常速度より減速して走行させる。
【0026】
次に、搬送台車25が第3荷受台14にカセット90を荷下ろし(載置)して、第1荷受台12又は第2荷受台13からカセット90を受け入れるために、第1荷受台12又は第2荷受台13に戻る場合の搬送台車25の走行制御について説明する。
図7に示すように、地上側コントローラ22は、第2荷受台13にカセット90が載置されているかを判断する(S21)。具体的には、地上側コントローラ22は、第2在荷センサ18からの信号の有無を検出する。地上側コントローラ22は、第2荷受台13にカセット90が載置されていないと判断すると(S21-No)、続いて、第1荷受台12にカセット90が載置されているかを判断する(S22)。具体的には、地上側コントローラ22は、第1在荷センサ17からの信号の有無を検出する。地上側コントローラ22は、第1荷受台12にカセット90が載置されていないと判断すると(S22-No)、車体側コントローラ26に対して減速走行を指示し、搬送台車25を低速モードで走行させる(S23)。すなわち、第1荷受台12及び第2荷受台13にカセット90が載置されていない場合には、地上側コントローラ22は、搬送台車25を通常速度より減速して走行させる。さらに、搬送台車25が第1荷受台12に到着すると、地上側コントローラ22は、車体側コントローラ26に対して第1荷受台12のカセット90を受け入れる(荷積みする)受け入れ指示を行う(S24)。
一方で、地上側コントローラ22は、第2荷受台13にカセット90が載置されていると判断すると(S21-Yes)、車体側コントローラ26に対して走行を指示し、搬送台車25を通常速度で走行させる(S25)。さらに、搬送台車25が第2荷受台13に到着すると、地上側コントローラ22は、車体側コントローラ26に対して第2荷受台13のカセット90を受け入れる受け入れ指示を行う(S26)。
また一方で、地上側コントローラ22は、第2荷受台13にカセット90が載置されていないと判断し(S21-No)、続いて、第1荷受台12にカセット90が載置されていると判断すると(S22-Yes)、車体側コントローラ26に対して走行を指示し、搬送台車25を通常速度で走行させる(S27)。さらに、搬送台車25が第1荷受台12に到着すると、地上側コントローラ22は、車体側コントローラ26に対して第1荷受台12のカセット90を受け入れる受け入れ指示を行う(S24)。
このように、地上側コントローラ22は、搬送台車25がカセット90を受け入れる予定の第2荷受台13に向けてカセット90の搬送経路の上流側方向へ走行する際に、カセット90を受け入れる予定の第2荷受台13より上流側に位置する第1荷受台12にカセット90が仮置きされていない場合には、搬送台車25を通常速度より減速して走行させる。
【0027】
次に、図3に示すように、搬送台車25が第2荷受台13にカセット90を荷下ろし(搬入)して、第1荷受台12からカセット90を受け入れるために、第1荷受台12に戻る場合の搬送台車25の走行制御について説明する。
図8に示すように、地上側コントローラ22は、第1荷受台12にカセット90が載置されているかを判断する(S31)。地上側コントローラ22は、第1荷受台12にカセット90が載置されていないと判断すると(S31-No)、続いて、第1スタッカクレーン23が第1保管棚91の第1保管部93から第1荷受台12へのカセット90の搬送指示を実行しているかを判断する(S32)。地上側コントローラ22は、第1スタッカクレーン23が上記搬送指示を実行していると判断すると(S32-Yes)、車体側コントローラ26に対して走行を指示し、搬送台車25を通常速度で走行させる(S33)。すなわち、第1スタッカクレーン23が、第1保管棚91の第1保管部93から第1荷受台12へのカセット90の移載を実行しようとしている場合には、地上側コントローラ22は、搬送台車25を通常速度で走行させる。
一方で、第2スタッカクレーン24が上記搬送指示を実行していないと判断すると(S32-No)、車体側コントローラ26に対して減速走行を指示し、搬送台車25を低速モードで走行させる(S34)。すなわち、第1スタッカクレーン23が、上記搬送指示を受けているにも関わらず、第1保管棚91の第1保管部93から第1荷受台12へのカセット90の移載を全く実行せずに停止している場合やそもそも第1スタッカクレーン23に対して上記搬送指示が無いために停止している場合には、地上側コントローラ22は、搬送台車25を通常速度より減速して走行させる。
また一方で、地上側コントローラ22は、第1荷受台12にカセット90が載置されていると判断すると(S31-Yes)、車体側コントローラ26に対して走行を指示し、搬送台車25を通常速度で走行させる(S33)。
このように、地上側コントローラ22は、第1荷受台12の在荷状況及び第1スタッカクレーン23への上記搬送指示の有無に応じて搬送台車25への搬送指示及び走行速度を制御する。すなわち、地上側コントローラ22は、カセット90が第1荷受台12に仮置きされておらず、且つ第1スタッカクレーン23が第1荷受台12に対してカセット90を移載する搬送指示を実行していない場合、又は第1スタッカクレーン23に対する上記搬送指示が無い場合には、搬送台車25を通常速度より減速して走行させる。
【0028】
以上のように、物品搬送設備10によれば、第2荷受台13に向けて走行する搬送台車25への搬送指示及び走行速度が、搬送台車25の走行方向に対して第2荷受台13より下流側に位置する第3荷受台14及び第4荷受台15の在荷状況に応じて制御されることから、搬送台車25の無駄な走行を抑制することができるため、搬送台車25が過度に電力を消費することがない。それゆえに、搬送台車25の省エネルギー化及び長寿命化を促進することができる。また、クリーン度を要求される設備においては、搬送台車25への搬送指示及び走行速度を制御することで、搬送台車25によるパーティクル等の巻き上げを減らすことができるため、気流改善(パーティクル対策)を効果的に行うことができる。
【0029】
なお、本実施の形態では、搬送台車25が搬送する物品をカセット90としているが、これに限定されるものではなく、搬送台車25が搬送可能な物品であれば構わない。
本実施の形態では、物品搬送設備10に4つの荷受台12、13、14、15を設けているが、これに限定されるものではなく、搬送台車25がカセット90を搬送可能な複数の荷受台を設けていれば、3つの荷受台或いは5つ以上の荷受台を設けても構わない。
本実施の形態では、搬送台車25の走行経路11が直線状に形成されているが、これに限定されるものではなく、曲線を有する走行経路や合流又は分岐する経路を有する走行経路であっても構わない。
本実施の形態では、第1移載装置を第2スタッカクレーン24としているが、これに限定されるものではなく、所定の搬送指示に従って第4荷受台15との間でカセット90の移載を行うことが可能な移載装置であれば、第1移載装置を、例えば、無人搬送ロボット、無人搬送車等によって構成しても構わない。同様に、第2移載装置を第1スタッカクレーン23としているが、所定の搬送指示に従って第1荷受台12との間でカセット90の移載を行うことが可能な移載装置であれば、第2移載装置を、例えば、無人搬送ロボット、無人搬送車等によって構成しても構わない。
本実施の形態では、1台の搬送台車25が走行経路11上を走行しているが、これに限定されるものではなく、2台以上の搬送台車が走行するように構成しても構わない。
【符号の説明】
【0030】
10 物品搬送設備
11 走行経路(搬送経路)
12 第1荷受台(物品支持部、上流側物品支持部)
13 第2荷受台(物品支持部、上流側物品支持部)
14 第3荷受台(物品支持部、下流側物品支持部)
15 第4荷受台(物品支持部、下流側物品支持部)
22 地上側コントローラ(台車制御部)
25 搬送台車
90 カセット(物品)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8