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特許7314969ジルコニア式酸素濃度計のメンテナンス方法、メンテナンスシステム、及びジルコニア式酸素濃度計
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-18
(45)【発行日】2023-07-26
(54)【発明の名称】ジルコニア式酸素濃度計のメンテナンス方法、メンテナンスシステム、及びジルコニア式酸素濃度計
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/409 20060101AFI20230719BHJP
【FI】
G01N27/409 100
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021061832
(22)【出願日】2021-03-31
(65)【公開番号】P2022157547
(43)【公開日】2022-10-14
【審査請求日】2022-04-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100169823
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 雄郎
(74)【代理人】
【識別番号】230128026
【弁護士】
【氏名又は名称】駒木 寛隆
(72)【発明者】
【氏名】川島 洋輔
【審査官】黒田 浩一
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-017695(JP,A)
【文献】特開2002-250710(JP,A)
【文献】特開2010-256238(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0155511(US,A1)
【文献】特開2007-263933(JP,A)
【文献】特開平04-233447(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/26-27/49
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジルコニアセンサを用いて被測定ガスの酸素濃度を測定するジルコニア式酸素濃度計のメンテナンス方法であって、
前記ジルコニア式酸素濃度計が、前記ジルコニアセンサに存在する内部抵抗値を記憶部に記憶し、
報処理装置
前記記憶部に記憶された前記内部抵抗値の経時的変化を2次曲線により近似し、
前記内部抵抗値の経時的変化についての前記2次曲線により推測される前記内部抵抗値の値が予め定められた前記内部抵抗値の上限値に達する時期を、前記ジルコニアセンサのメンテナンスを行うべき時期として決定
前記ジルコニアセンサのメンテナンスを行うべき時期を提示する、
ルコニア式酸素濃度計のメンテナンス方法。
【請求項2】
ジルコニアセンサを用いて被測定ガスの酸素濃度を測定するジルコニア式酸素濃度計のメンテナンス方法であって、
前記ジルコニア式酸素濃度計が、前記ジルコニアセンサによる物理量の測定値を前記被測定ガスの酸素濃度に換算するための換算式を、既知の酸素濃度を有する標準ガスについて測定された前記ジルコニアセンサによる物理量の測定値に基づき補正するための校正係数を記憶部に記憶し、
報処理装置
前記記憶部に記憶された前記校正係数の経時的変化を2次曲線により近似し、
前記校正係数の経時的変化についての前記2次曲線により推測される前記校正係数の変動率が予め定められた前記変動率の上限値に達する時期を前記ジルコニアセンサの校正を行うべき時期として決定
前記ジルコニアセンサの校正を行うべき時期を提示する、
ルコニア式酸素濃度計のメンテナンス方法。
【請求項3】
ジルコニアセンサを用いて被測定ガスの酸素濃度を測定するジルコニア式酸素濃度計のメンテナンス方法であって、
前記ジルコニア式酸素濃度計が、前記ジルコニアセンサによる物理量の測定値を前記被測定ガスの酸素濃度に換算するための換算式を、既知の酸素濃度を有する標準ガスについて測定された前記ジルコニアセンサによる物理量の測定値に基づき補正するための校正係数を記憶部に記憶し、
報処理装置
前記記憶部に記憶された前記校正係数の経時的変化を2次曲線により近似し、
前記校正係数の経時的変化についての前記2次曲線により推測される前記校正係数の変動幅が予め定められた前記変動幅の上限値に達する時期を前記ジルコニアセンサの交換を行うべき時期として決定
前記ジルコニアセンサの交換を行うべき時期を提示する、
ルコニア式酸素濃度計のメンテナンス方法。
【請求項4】
前記ジルコニア式酸素濃度計は、
既知の第1の酸素濃度を有する第1の前記標準ガスについて前記ジルコニアセンサにより測定された前記物理量の測定値である第1の測定値と、既知の第2の酸素濃度を有する第2の前記標準ガスについて前記ジルコニアセンサにより測定された前記物理量の測定値である第2の測定値と、に基づき前記換算式を補正するための係数を前記校正係数として決定し、
前記決定された校正係数を前記記憶部に記憶させる、
請求項2又は3に記載のジルコニア式酸素濃度計のメンテナンス方法。
【請求項5】
ジルコニアセンサを用いて被測定ガスの酸素濃度を測定するジルコニア式酸素濃度計と、
情報処理装置と、
を有するメンテナンスシステムであって、
前記ジルコニア式酸素濃度計が、前記ジルコニアセンサに存在する内部抵抗値を記憶部に記憶し、
前記情報処理装置が、
前記記憶部に記憶された前記内部抵抗値の経時的変化を2次曲線により近似し、
前記内部抵抗値の経時的変化についての前記2次曲線により推測される前記内部抵抗値の値が予め定められた前記内部抵抗値の上限値に達する時期を、前記ジルコニアセンサのメンテナンスを行うべき時期として決定し、
前記ジルコニアセンサのメンテナンスを行うべき時期を提示する、
メンテナンスシステム。
【請求項6】
ジルコニアセンサを用いて被測定ガスの酸素濃度を測定するジルコニア式酸素濃度計と、
情報処理装置と、
を有するメンテナンスシステムであって、
前記ジルコニア式酸素濃度計が、前記ジルコニアセンサによる物理量の測定値を前記被測定ガスの酸素濃度に換算するための換算式を、既知の酸素濃度を有する標準ガスについて測定された前記ジルコニアセンサによる物理量の測定値に基づき補正するための校正係数を記憶部に記憶し、
前記情報処理装置が、
前記記憶部に記憶された前記校正係数の経時的変化を2次曲線により近似し、
前記校正係数の経時的変化についての前記2次曲線により推測される前記校正係数の変動率が予め定められた前記変動率の上限値に達する時期を前記ジルコニアセンサの校正を行うべき時期として決定し、
前記ジルコニアセンサの校正を行うべき時期を提示する、
メンテナンスシステム。
【請求項7】
ジルコニアセンサを用いて被測定ガスの酸素濃度を測定するジルコニア式酸素濃度計と、
情報処理装置と、
を有するメンテナンスシステムであって、
前記ジルコニア式酸素濃度計が、前記ジルコニアセンサによる物理量の測定値を前記被測定ガスの酸素濃度に換算するための換算式を、既知の酸素濃度を有する標準ガスについて測定された前記ジルコニアセンサによる物理量の測定値に基づき補正するための校正係数を記憶部に記憶し、
前記情報処理装置が、
前記校正係数の経時的変化を2次曲線により近似し、
前記校正係数の経時的変化についての前記2次曲線により推測される前記校正係数の変動幅が予め定められた前記変動幅の上限値に達する時期を前記ジルコニアセンサの交換を行うべき時期として決定し、
前記ジルコニアセンサの交換を行うべき時期を提示する、
メンテナンスシステム。
【請求項8】
前記ジルコニア式酸素濃度計は、
既知の第1の酸素濃度を有する第1の前記標準ガスについて前記ジルコニアセンサにより測定された前記物理量の測定値である第1の測定値と、既知の第2の酸素濃度を有する第2の前記標準ガスについて前記ジルコニアセンサにより測定された前記物理量の測定値である第2の測定値と、に基づき前記換算式を補正するための係数を前記校正係数として決定し、
前記決定された校正係数を前記記憶部に記憶させる、
請求項6又は7に記載のメンテナンスシステム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ジルコニア式酸素濃度計のメンテナンス方法、メンテナンスシステム、及びジルコニア式酸素濃度計に関する。
【背景技術】
【0002】
ジルコニア式酸素濃度計は、ジルコニア素子が高温で酸素イオンに対して導電性を示すことを利用した酸素濃度計である。ジルコニア素子の両面に白金電極を付して加熱し、ジルコニア素子の各面に酸素分圧が異なるガスを接触させると酸素濃淡電池の作用が発生する。ジルコニア式酸素濃度計は、この作用により両極間に発生した起電力を測定して、測定ガス側の酸素分圧を計測する。
【0003】
ジルコニア式酸素濃度計は、長期間の使用に伴いジルコニアセンサに劣化が発生し、酸素濃度のずれ(ドリフト)が生じる。正確な酸素濃度の表示を維持するには、定期的に既知の濃度のガスを測定ガス側に流して、電気的に出力を補正する校正を行う必要がある。例えば、特許文献1にはジルコニア式酸素濃度計の校正に関する技術が記載されている。
【0004】
このような校正を定期的に実施することで、通常、ジルコニア式酸素濃度計は正常な状態に維持されるが、ジルコニアセンサの劣化の度合いが大きくなると校正を行ってもドリフトの影響を十分補正することができず、測定不良及びエラー等が発生するようになる。このような状態になると、ジルコニアセンサそれ自体の交換が必要になる。
【0005】
このように校正及びジルコニアセンサの交換等のメンテナンスは適切なタイミングで行われる必要がある。一方で、メンテナンス作業は時間及びコストを要するため、必要最小限に抑えることが望ましい。
【0006】
しかし、必要なメンテナンスのタイミング及び内容はジルコニア式酸素濃度計が使用される環境によって大きく異なることが知られている。例えば、ボイラー又は発電所等で使用されるプロセスガス向けのジルコニア式酸素濃度計の校正周期及びセンサ交換タイミングは、測定するガスに含まれる成分、温度、及び水分等使用環境に大きく依存する。現状では、ユーザーが状況に応じて適宜メンテナンスのタイミング及び内容を判断しているのが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2007-263933号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、ユーザーはジルコニアセンサの挙動に関する知識及びノウハウが少ないため、適切なメンテナンスのタイミング及び内容を適切に設定できないことが多い。そのため、ユーザーは、過剰な校正又はセンサ交換を行ったり、あるいはエラーが発生するまでジルコニアセンサを使用し続けた結果、プラントの機器の停止を招いたりする場合もある。
【0009】
そこで、ジルコニア式酸素濃度計のメーカー側からユーザーに適切なタイミングで必要なメンテナンスを提案することも考えられる。しかし、メーカーが適切なメンテナンスを提案するためには、ジルコニア式酸素濃度計の使用環境、校正の状況及びセンサ劣化の度合い等の細かな情報を共有する必要があるが、現実には機器の運転開始から交換までの情報を常に共有することは難しい。
【0010】
本開示の目的は、ジルコニア式酸素濃度計のメンテナンスを適切に実施可能にするジルコニア式酸素濃度計のメンテナンス方法、メンテナンスシステム、及びジルコニア式酸素濃度計を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
幾つかの実施形態に係るジルコニア式酸素濃度計のメンテナンス方法によれば、ジルコニアセンサを用いて被測定ガスの酸素濃度を測定するジルコニア式酸素濃度計のメンテナンス方法であって、前記ジルコニア式酸素濃度計が、前記ジルコニアセンサに存在する内部抵抗値と、前記ジルコニアセンサによる物理量の測定値を前記被測定ガスの酸素濃度に換算するための換算式を、既知の酸素濃度を有する標準ガスについて測定された前記ジルコニアセンサによる物理量の測定値に基づき補正するための校正係数と、の少なくともいずれかを記憶部に記憶し、情報処理装置が、前記記憶部に記憶された前記内部抵抗値と前記校正係数との少なくともいずれかの経時的変化に基づき、前記ジルコニアセンサのメンテナンスを行うべき時期を決定し、前記情報処理装置が、前記ジルコニアセンサのメンテナンスを行うべき時期を提示する。このように、内部抵抗値及び校正係数の少なくともいずれかに基づき決定されたメンテナンスを行うべき時期が提示されるため、ユーザーは、提示された時期にメンテナンスを行うことで、ジルコニア式酸素濃度計のメンテナンスを適切に実施することが可能である。
【0012】
一実施形態に係るジルコニア式酸素濃度計のメンテナンス方法において、前記情報処理装置は、前記内部抵抗値の経時的変化を2次曲線により近似し、前記内部抵抗値の経時的変化についての前記2次曲線により推測される前記内部抵抗値の値が予め定められた前記内部抵抗値の上限値に達する時期を前記ジルコニアセンサのメンテナンスを行うべき時期として決定する。このように、内部抵抗値の経時的変化を2次曲線により近似し、その2次曲線を用いて内部抵抗値が上限値に達する時期を推測してメンテナンスをすべき時期を決定するため、メンテナンスが必要な時期を適切に決定して提示することができる。
【0013】
一実施形態に係るジルコニア式酸素濃度計のメンテナンス方法において、前記情報処理装置は、前記校正係数の経時的変化を2次曲線により近似し、前記校正係数の経時的変化についての前記2次曲線により推測される前記校正係数の変動率が予め定められた前記変動率の上限値に達する時期を、前記ジルコニアセンサの校正を行うべき時期として決定する。このように、校正係数の経時的変化を2次曲線により近似し、その2次曲線を用いて校正係数の変動率が上限値に達する時期を推測してジルコニアセンサの校正を行う時期を決定するため、メンテナンスが必要な時期及び内容を適切に決定して提示することができる。
【0014】
一実施形態に係るジルコニア式酸素濃度計のメンテナンス方法において、前記情報処理装置は、前記校正係数の経時的変化を2次曲線により近似し、前記校正係数の経時的変化についての前記2次曲線により推測される前記校正係数の変動幅が予め定められた前記変動幅の上限値に達する時期を前記ジルコニアセンサの交換を行うべき時期として決定する。このように、校正係数の経時的変化を2次曲線により近似し、その2次曲線を用いて校正係数の変動幅が上限値に達する時期を推測してジルコニアセンサの交換を行うべき時期を決定する。したがって、メンテナンスが必要な時期及び内容を適切に決定して提示することができる。
【0015】
一実施形態に係るジルコニア式酸素濃度計のメンテナンス方法において、前記ジルコニア式酸素濃度計は、既知の第1の酸素濃度を有する第1の前記標準ガスについて前記ジルコニアセンサにより測定された前記物理量の測定値である第1の測定値と、既知の第2の酸素濃度を有する第2の前記標準ガスについて前記ジルコニアセンサにより測定された前記物理量の測定値である第2の測定値と、に基づき前記換算式を補正するための係数を前記校正係数として決定し、前記決定された校正係数を前記記憶部に記憶させる。このように、濃度が異なる2つの標準ガスについてジルコニアセンサにより測定された物理量の測定値に基づき校正係数を決定し、そのような校正係数に基づきメンテナンスをすべき時期を決定する。したがって、メンテナンスが必要な時期を適切に決定して提示することができる。
【0016】
幾つかの実施形態に係るジルコニア式酸素濃度計のメンテナンスシステムによれば、ジルコニアセンサを用いて被測定ガスの酸素濃度を測定するジルコニア式酸素濃度計と、情報処理装置と、を有するメンテナンスシステムであって、前記ジルコニア式酸素濃度計が、前記ジルコニアセンサに存在する内部抵抗値と、前記ジルコニアセンサによる物理量の測定値を前記被測定ガスの酸素濃度に換算するための換算式を、既知の酸素濃度を有する標準ガスについて測定された前記ジルコニアセンサによる物理量の測定値に基づき補正するための校正係数と、の少なくともいずれかを記憶部に記憶し、前記情報処理装置が、前記記憶部に記憶された前記内部抵抗値と前記校正係数との少なくともいずれかの経時的変化に基づき、前記ジルコニアセンサのメンテナンスを行うべき時期を決定し、前記ジルコニアセンサのメンテナンスを行うべき時期を提示する。このように、内部抵抗値及び校正係数の少なくともいずれかに基づき決定されたメンテナンスを行うべき時期が提示されるため、ユーザーは、提示された時期にメンテナンスを行うことで、ジルコニア式酸素濃度計のメンテナンスを適切に実施することが可能である。
【0017】
幾つかの実施形態に係るジルコニア式酸素濃度計によれば、ジルコニアセンサを用いて被測定ガスの酸素濃度を測定するジルコニア式酸素濃度計であって、予め定められたタイミングで前記ジルコニアセンサに存在する内部抵抗値を測定し、前記測定された内部抵抗値を記憶部に記憶させる、制御部を備える。したがって、記憶部に記憶された内部抵抗値の変化を解析して、メンテナンスを行うべき時期及び内容を適切に決定することができる。
【0018】
幾つかの実施形態に係るジルコニア式酸素濃度計によれば、ジルコニアセンサを用いて被測定ガスの酸素濃度を測定するジルコニア式酸素濃度計であって、既知の酸素濃度を有する標準ガスについての物理量を前記ジルコニアセンサにより測定し、前記測定された物理量と前記既知の酸素濃度とに基づき、前記ジルコニアセンサによる前記物理量の測定値を前記被測定ガスの酸素濃度に換算するための換算式を補正するための校正係数を算出し、前記算出された校正係数を記憶部に記憶させる、制御部を備える。したがって、記憶部に記憶された校正係数の変化を解析して、メンテナンスを行うべき時期及び内容を適切に決定することができる。
【発明の効果】
【0019】
本開示の一実施形態によれば、ジルコニア式酸素濃度計のメンテナンスを適切に実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】比較例に係るジルコニア式酸素濃度計のメンテナンスフローを示す図である。
図2】本開示の一実施形態に係るメンテナンスシステムの構成例を示す図である。
図3図2のジルコニアセンサの構成例を示す図である。
図4図2の変換器の構成例を示すブロック図である。
図5図2の管理装置の構成例を示すブロック図である。
図6】一実施形態におけるジルコニア式酸素濃度計のメンテナンスフローを示す図である。
図7】ジルコニア式酸素濃度計の校正係数の算出を説明する図である。
図8】ジルコニアセンサ及び変換器の電気的な接続関係を示す模式図である。
図9】ジルコニアセンサの交換時期の推測を説明する図である。
図10】一実施形態におけるジルコニア式酸素濃度計のメンテナンスフローを示す図である。
図11】一実施形態におけるジルコニア式酸素濃度計のメンテナンスフローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
<<比較例>>
図1は、比較例に係るジルコニア式酸素濃度計のメンテナンスフローを示す図である。比較例では、メーカーがジルコニア式酸素濃度計の機器を納入すると、ユーザーは機器の運転を開始する。ユーザーは自らの判断で定期的に校正を行うが、使用を続けるにつれてジルコニアセンサは劣化していく。劣化が進むと校正を行ってもドリフトの影響を十分補正することができなくなっていき、やがてジルコニア式酸素濃度計の測定にエラーが生じる。ユーザーはエラーの発生を確認して、新しいジルコニアセンサをメーカーに発注する。メーカーは発注を受けて、新しいジルコニアセンサを納入する。ユーザーは新しいジルコニアセンサを設定して、機器の運転を再開する。比較例ではこのようなサイクルが繰り返されることになる。
【0022】
このように比較例に係る構成では、ユーザーが自らの判断でジルコニアセンサの校正を行う。しかし、ユーザーは、ジルコニアセンサのメンテナンスに関して知識及びノウハウが必ずしも十分でないため、過剰な頻度でメンテナンスを実施したり、十分な頻度でメンテナンスを行わない可能性がある。また、図1のメンテナンスフローのように、ジルコニア式酸素濃度計にエラーが生じるまで使い続けた結果、プラントの機器の停止を招いたりする恐れもある。このように比較例に係る構成においては、適切なメンテナンスを行うことができない場合もありうる。
【0023】
<<実施形態>>
以下、本開示の一実施形態について、図面を参照して説明する。各図面中、同一又は相当する部分には、同一符号を付している。本実施形態の説明において、同一又は相当する部分については、説明を適宜省略又は簡略化する。
【0024】
[第1実施形態]
(メンテナンスシステム)
図2は、本開示の一実施形態に係るメンテナンスシステム100の構成例を示す図である。メンテナンスシステム100は、ジルコニア式酸素濃度計1及び本実施形態における情報処理装置としての管理装置50を備える。ジルコニア式酸素濃度計1は、ジルコニアセンサ10、変換器20、及びガス封入ボンベ30を備える。ジルコニアセンサ10と変換器20は、電力ケーブル41で接続される。ジルコニアセンサ10とガス封入ボンベ30は、減圧弁43及び44が設けられたガスケーブル42により接続される。ジルコニアセンサ10のジルコニア素子の各面に酸素分圧が異なるガスが接触すると、酸素濃淡電池の作用が発生する。ジルコニアセンサ10は、この作用に応じた起電力(以下、「セル起電力」とも称される。)を変換器20へ送信する。変換器20は起電力と比較ガスの酸素分圧に基づき、被測定ガスの酸素分圧を測定(算定)する。また、変換器20は、後述するジルコニアセンサ10の校正又は常時劣化診断等に応じてログデータファイルを生成し、記憶部22(図4参照)に記憶させる。
【0025】
ガス封入ボンベ30は、被測定ガスの酸素分圧を測定する際に基準となる酸素分圧の値が既知のガスの供給源である。ガス封入ボンベ30は、例えば、スパンガス及びゼロガスを蓄積しており、いずれかのガスを比較ガスとして選択してジルコニアセンサ10へ供給する。スパンガスは酸素20.95%及び窒素等を含むガスであり、主に空気が使用される。ゼロガスは酸素0.51%及び窒素等を含むガスである。スパンガス及びゼロガスは、既知の酸素濃度を有する標準ガスとして用いることができる。
【0026】
管理装置50は、例えばジルコニア式酸素濃度計1のメーカーが保持するジルコニア式酸素濃度計1のメンテナンスを管理するための情報処理装置である。管理装置50は、変換器20により生成されたログデータファイルに基づき、ジルコニアセンサ10のメンテナンスを行うべき時期を決定して、提示する。ここで、メンテナンスを行うべき時期にはジルコニアセンサ10の校正を行うべき時期、及び、ジルコニアセンサ10の交換を行うべき等が含まれうる。管理装置50は、ジルコニアセンサ10の校正時期及び交換時期等を決定し、それに基づきメンテナンス時期を決定する。したがって、本実施形態に係る構成によれば、ユーザーは、提示された時期にメンテナンスを行うことで、ジルコニア式酸素濃度計のメンテナンスを適切に実施することが可能である。
【0027】
図3は、図2のジルコニアセンサ10の構成例を示す図である。図3は、ジルコニアセンサ10の測定原理を断面図により示している。図3において、ジルコニアセンサ10は、ジルコニア管11、及びその内外周に設けられた電極12、13を備える。一般に、電極12、13には多孔質の白金電極が用いられている。このような構成を有するジルコニアセンサ10において、ジルコニア管11を750℃程度の高温に熱した後、管の外側(比較ガス流路)に比較ガスG2を流すとともに、管の内側(被測定ガス流路)に被測定ガスG1を流す。すると、両電極12、13間には、比較ガスG2と被測定ガスG1との酸素濃度差に応じた起電力Voutが発生する。この起電力Voutは、酸素濃度の比の対数に比例したものである。比較ガスG2として空気のような既知の酸素濃度を有するガス(例えば、スパンガス)を使用することにより、起電力Voutの大きさから、被測定ガスG1における酸素濃度を求めることができる。具体的には、ジルコニアセンサ10の温度が750℃の場合、被測定ガスG1の酸素分圧をPX、比較ガスG2の酸素分圧をPAとすると、ネルンストの式に基づき、PXは次の[数1]で与えられる。
[数1]
X=PA・10-Vout/50.74
【0028】
図4は、図2の変換器20の構成例を示すブロック図である。変換器20は、制御部21、記憶部22、センサ部23、HMI(Human Machine Interface)24、入出力部25、及び通信部26を備える。
【0029】
制御部21は、1つ以上のプロセッサを含む。一実施形態において「プロセッサ」は、CPU(Central Processing Unit)等の汎用のプロセッサ、又は特定の処理に特化した専用のプロセッサであるが、これらに限定されない。制御部21は、変換器20を構成する各構成要素と通信可能に接続され、変換器20全体の動作を制御する。制御部21は、ジルコニア式酸素濃度計1の機能を実現するためのアプリケーションプログラム及びデータに応じて、各構成要素の動作を制御する。例えば、制御部21は、ジルコニアセンサ10の起電力Voutの大きさから酸素濃度を測定したり、校正係数を算出したり、ジルコニアセンサ10の内部抵抗値を計算したり、あるいは、処理の結果をHMI24の表示部に表示させたりしてもよい。
【0030】
記憶部22は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read-Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、及びSSD(Solid State Drive)を含む任意の記憶モジュールを含む。記憶部22は、例えば、主記憶装置、補助記憶装置、又はキャッシュメモリとして機能してもよい。記憶部22は、変換器20の動作に用いられる又は変換器20の動作の結果得られた任意の情報を記憶する。例えば、記憶部22は、システムプログラム、アプリケーションプログラム、ログデータファイル、メーカーから受信した各種データ、センサ部23において測定された測定データ、及び通信部26によって受信された各種情報等を記憶してもよい。記憶部22は、変換器20に内蔵されているものに限定されず、SD(Secure Digital)カード又はUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の外付けのデータベース又は外付け型の記憶モジュールであってもよい。
【0031】
センサ部23は、ジルコニアセンサ10の起電力Vout及び内部抵抗等を測定する。センサ部23はジルコニアセンサ10と接続される。ジルコニアセンサ10の内部抵抗を測定するためのセンサ部23の構成は後述される。センサ部23において測定されたデータは記憶部22に記憶される。
【0032】
HMI24は、ユーザーとのインタフェースである。HMI24は、ユーザーの操作を受け付ける操作部、並びにジルコニアセンサ10により測定された酸素濃度、及び校正周期等のメンテナンスに関する情報等を表示する表示部等を備える。
【0033】
入出力部25は他の装置又は記憶媒体とのデータの入出力を行うインタフェースである。入出力部25は例えば、SDカードのスロット、USBインタフェース等を備える。
【0034】
通信部26は、任意の通信技術によって他の装置と通信接続可能な、任意の通信モジュールを含む。通信部26は、さらに、他の装置との通信を制御するための通信制御モジュール、及び他の装置との通信に必要となる識別情報等の通信用データを記憶する記憶モジュールを含んでもよい。以下、通信部26がインターネットに接続可能な無線LAN(Local Area Network)の通信デバイスにより実現される例が説明される。もっとも、通信部26は、例えば、有線LAN、又はBluetooth通信を含む他の通信方式に基づく通信を行う通信デバイスでもよい。
【0035】
図5は、図2の管理装置50の構成例を示すブロック図である。管理装置50は、1つ又は互いに通信可能な複数のサーバ装置である。管理装置50は、このような構成に代えて、PC(Personal Computer)等の任意の汎用の電子機器であってもよいし、専用の他の電子機器であってもよい。図5に示すように、管理装置50は、制御部51、記憶部52、通信部53、入力部54、及び出力部55を備える。
【0036】
制御部51は、1つ以上のプロセッサを含む。一実施形態において「プロセッサ」は、汎用のプロセッサ、又は特定の処理に特化した専用のプロセッサであるが、これらに限定されない。制御部51は、管理装置50を構成する各構成部と通信可能に接続され、管理装置50全体の動作を制御する。
【0037】
記憶部52は、HDD、SSD、ROM、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)、及びRAMを含む任意の記憶モジュールを含む。記憶部52は、例えば、主記憶装置、補助記憶装置、又はキャッシュメモリとして機能してもよい。記憶部52は、管理装置50の動作に用いられる又は管理装置50の動作の結果得られた任意の情報を記憶する。例えば、記憶部52は、システムプログラム、アプリケーションプログラム、及び通信部53によって受信された各種情報等を記憶してもよい。記憶部52は、管理装置50に内蔵されているものに限定されず、USB等のデジタル入出力ポート等によって接続されている外付けのデータベース又は外付け型の記憶モジュールであってもよい。
【0038】
通信部53は、任意の通信技術によってジルコニア式酸素濃度計1の変換器20又はクラウド等の他の装置と通信接続可能な、任意の通信モジュールを含む。通信部53は、さらに、他の装置との通信を制御するための通信制御モジュール、及び他の装置との通信に必要となる識別情報等の通信用データを記憶する記憶モジュールを含んでもよい。
【0039】
入力部54は、ユーザーの入力操作を受け付けて、ユーザーの操作に基づく入力情報を取得する1つ以上の入力インタフェースを含む。例えば、入力部54は、物理キー、静電容量キー、ポインティングディバイス、出力部55のディスプレイと一体的に設けられたタッチスクリーン、又は音声入力を受け付けるマイク等であるが、これらに限定されない。
【0040】
出力部55は、ユーザーに対して情報を出力し、ユーザーに通知する1つ以上の出力インタフェースを含む。例えば、出力部55は、情報を画像で出力するディスプレイ、又は情報を音声で出力するスピーカ等であるが、これらに限定されない。なお、上述の入力部54及び出力部55の少なくとも一方は、管理装置50と一体に構成されてもよいし、別体として設けられてもよい。
【0041】
管理装置50の機能は、本実施形態に係るメンテナンスシステム100を機能させるために用いられうるコンピュータプログラム(プログラム)を、制御部51に含まれるプロセッサで実行することにより実現されうる。すなわち、管理装置50の機能は、ソフトウェアにより実現されうる。コンピュータプログラムは、管理装置50の動作に含まれるステップの処理をコンピュータに実行させることで、各ステップの処理に対応する機能をコンピュータに実現させる。すなわち、コンピュータプログラムは、コンピュータを本実施形態に係る管理装置50として機能させるためのプログラムである。
【0042】
コンピュータプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。コンピュータで読み取り可能な記録媒体は、例えば、磁気記録装置、光ディスク、光磁気記録媒体、又は半導体メモリである。プログラムの流通は、例えば、プログラムを記録したDVD(Digital Versatile Disc)又はCD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)などの可搬型記録媒体を販売、譲渡、又は貸与することによって行うことができる。プログラムをサーバのストレージに格納しておき、ネットワークを介して、サーバから他のコンピュータにプログラムを転送することにより、プログラムは流通されてもよい。プログラムはプログラムプロダクトとして提供されてもよい。
【0043】
コンピュータは、例えば、可搬型記録媒体に記録されたプログラム又はサーバから転送されたプログラムを、一旦、主記憶装置に格納する。そして、コンピュータは、主記憶装置に格納されたプログラムをプロセッサで読み取り、読み取ったプログラムに従った処理をプロセッサで実行する。コンピュータは、可搬型記録媒体から直接プログラムを読み取り、プログラムに従った処理を実行してもよい。コンピュータは、コンピュータにサーバからプログラムが転送される度に、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行してもよい。このような処理は、サーバからコンピュータへのプログラムの転送を行わず、実行指示及び結果取得のみによって機能を実現する、いわゆるASP(Application Service Provider)型のサービスによって実行されてもよい。プログラムには、電子計算機による処理の用に供する情報であってプログラムに準ずるものが含まれる。例えば、コンピュータに対する直接の指令ではないがコンピュータの処理を規定する性質を有するデータは、「プログラムに準ずるもの」に該当する。
【0044】
管理装置50の一部又は全ての機能が、制御部51に含まれる専用回路により実現されてもよい。すなわち、管理装置50の一部又は全ての機能が、ハードウェアにより実現されてもよい。また、管理装置50は単一の情報処理装置により実現されてもよいし、複数の情報処理装置の協働により実現されてもよい。
【0045】
(ジルコニア式酸素濃度計のメンテナンス方法)
図6は、本開示の一実施形態に係るジルコニア式酸素濃度計1のメンテナンスフローを示す図である。図6を参照して説明するジルコニア式酸素濃度計1及び管理装置50の動作は本実施形態に係るメンテナンス方法に相当する。本実施形態においても、メーカーがジルコニア式酸素濃度計1の機器を納入すると(S1)、ユーザーは機器の運転を開始する(S2)。
【0046】
運転の開始後、本実施形態に係るジルコニア式酸素濃度計1は、ジルコニアセンサ10等に関して常時劣化診断を行う(S3)。常時劣化診断とは、変換器20の制御部21が予め定められたタイミングでジルコニアセンサ10に存在する内部抵抗値を自動的に測定し、測定された内部抵抗値を記憶部22に記憶させる処理である。後述するように、ジルコニアセンサ10の使用に伴いジルコニアセンサ10の内部抵抗値が増加していくことが知られている。ジルコニア式酸素濃度計1は、このような内部抵抗値をログデータファイルとして記憶部22に記憶することで、内部抵抗値の変化を解析して、メンテナンスを行うべき時期及び内容を適切に決定することを可能にする。
【0047】
また、運転開始後、ユーザーは、定期的にジルコニアセンサ10の校正を行う(S4)。ジルコニアセンサ10の校正において、変換器20の制御部21は、既知の酸素濃度を有する標準ガスについての物理量(例えば、起電力等)をジルコニアセンサ10により測定する。制御部21は、測定された物理量と既知の酸素濃度とに基づき、ジルコニアセンサ10による物理量の測定値を被測定ガスの酸素濃度に換算するための換算式を補正するための校正係数を算出し、算出された校正係数を記憶部22に記憶させる。後述するように、ジルコニアセンサ10の使用に伴いこれらの校正係数が変化していくことが知られている。ジルコニア式酸素濃度計1は、このような各校正において使用された校正係数をログデータファイルとして記憶部22に記憶する。これにより、校正係数の変化を解析して、校正係数の変動幅及び変動率等に基づきメンテナンスを行うべき時期及び内容を適切に決定することが可能になる。
【0048】
変換器20の制御部21は、メンテナンスを行うべき時期及び内容を適切に決定するために、校正係数及び常時劣化診断情報の他に、校正周期及びプロセス測定値等の情報もログデータファイルとして記憶部22に記憶してもよい。校正周期は、ユーザーにより実行されたジルコニアセンサ10の校正の時間的間隔である。プロセス測定値は、ジルコニア式酸素濃度計1の運用においてジルコニアセンサ10が測定した起電力Voutの測定値、及び起電力Voutから算出される酸素濃度の推移を示すデータである。このようなログデータファイルはSDカード又はUSBメモリ等の記録媒体を用いて外部に取り出される。ユーザーは、PC、タブレット、又はスマートフォン等のインターネットに接続可能な情報処理装置にログデータファイルを取り込み、メーカーが提供するWEBサイト等を介してメーカーへログデータファイルを送信する(S5)。
【0049】
メーカーは、ユーザーから受信したログデータファイルを解析し(S6)、推奨校正周期及びセンサ交換周期等をユーザーに提案する(S7)。ログデータファイルの解析の詳細は後述される。ユーザーはメーカーから提案された推奨校正周期に従ってジルコニアセンサ10の校正を行い、センサ交換周期に応じてジルコニアセンサ10を発注する(S8)。ジルコニアセンサ10が納入されると(S9)、ユーザーはジルコニアセンサ10を設定して、ジルコニア式酸素濃度計の運転を開始する(S10)。
【0050】
このように、本実施形態に係るメンテナンスシステム100において、ジルコニア式酸素濃度計1は、ジルコニアセンサ10等に関して常時劣化診断を行い、校正係数、常時劣化診断情報、校正周期、及びプロセス測定値等の情報をログデータファイルとして記録する。そして、メーカーの管理装置50がこれらの情報をもとに推奨校正周期及びセンサ交換周期等をユーザーに提案する。したがって、本実施形態に係る構成によれば、ジルコニア式酸素濃度計1のメンテナンスのタイミング及び内容を適切に判断して実施することが可能となる。
【0051】
(校正係数に基づくメンテナンス管理)
ジルコニア式酸素濃度計1の校正は、被測定ガスG1をスパンガス又はゼロガスと、比較ガスG2をスパンガスとして、起電力Voutを測定することにより行う。これらのスパンガス及びゼロガスは、既知の酸素濃度を有する標準ガスとして用いられる。すなわち、被測定ガスG1をスパンガスとすると、スパンガスの酸素濃度に応じたセンサ出力に対して、変換器20の校正(スパン校正)が行われる。被測定ガスG1をゼロガスとすると、ゼロガスの酸素濃度に応じたセンサ出力に対して、変換器20の校正(ゼロ校正)が行われる。
【0052】
図7は、ジルコニア式酸素濃度計の校正係数の算出を説明する図である。図7において、縦軸はジルコニアセンサ10の起電力(セル起電力)Vout[mV]を示す。横軸は被測定ガスG1の酸素濃度[vol%]を示す。なお、横軸は対数スケールにより表示されている。
【0053】
図7において、補正検量線は[数1]を変形した次の式[数2]により得られる直線に対応する理論検量線を示す。
[数2]
Vout=-50.74・log(PX/PA
ここで、被測定ガスG1の酸素分圧PX、比較ガスG2の酸素分圧PAは、被測定ガスG1の酸素濃度、比較ガスG2の酸素濃度に対応する。理論検量線に相当する数式は、ジルコニアセンサ10による物理量(例えば、セル起電力Vout等)の測定値を被測定ガスの酸素濃度に換算するための換算式として用いられてもよい。
【0054】
図7に示すように、酸素濃度値を対数スケールで表した場合、補正検量線は(酸素濃度[vol%],セル起電力[mV])が(20.95[vol%],0[mV])の点と(0.51[vol%],81.92[mV])の点とを通過する直線となる。被測定ガスの酸素濃度がゼロガス濃度(0.51[vol%])である場合のセル起電力の理論値(81.92[mV])はゼロ基点と称され、スパンガス濃度(20.95[vol%])である場合のセル起電力の理論値(0[mV])はスパン基点と称される。
【0055】
補正前検量線は、劣化したジルコニアセンサ10のセル起電力の特性を示す。図7では、劣化したジルコニアセンサ10は、被測定ガスG1の酸素濃度がスパンガス濃度(20.95[vol%])のときにセル起電力es[mV]を示し、ゼロガス濃度(0.51[vol%])のときにセル起電力ez[mV]を示している。図7の例では、被測定ガスの酸素濃度がp1[vol%]のときに、理論値よりも大きなセル起電力e1[mV]が観測される。そのため、測定されたセル起電力をもとに理論検量線を用いて酸素濃度を算出すると、算出された酸素濃度は実際の酸素濃度からずれることになる。
【0056】
本実施形態に係るジルコニア式酸素濃度計1は、補正前検量線のゼロ基点及びスパン基点からのずれに基づき、被測定ガスの酸素濃度を補正して校正する。すなわち、ジルコニア式酸素濃度計1は、標準ガスとしてのゼロガス及びスパンガスについて測定されたジルコニアセンサ10による物理量(例えば、セル起電力)の測定値に基づき、補正前検量線を補正検量線へ補正する。補正前検量線のゼロガス濃度に対するセル起電力(ez)とスパンガス濃度に対するセル起電力(es)との差分(B)の、理論検量線におけるゼロ基点とスパン基点との差(A)に対する割合を百分率で示したものは、ゼロ点補正率と称される。補正前検量線のスパンガス濃度に対するセル起電力(C)の、理論検量線におけるゼロ基点とスパン基点との差(A)に対する割合を百分率で示したものは、スパン点補正率と称される。ここで、A=81.92[mV]、B=ez-es[mV]、及びC=es[mV]である。すなわち、ゼロ点補正率及びスパン点補正率は、次の[数3]で示される。
[数3]
ゼロ点補正率=(B/A)×100(%)
スパン点補正率=(C/A)×100(%)
【0057】
本実施形態に係るジルコニア式酸素濃度計1は、上記のようなゼロ点補正率及びスパン点補正率を校正係数として算出する。ジルコニア式酸素濃度計1は、上記のようなゼロ点補正率及びスパン点補正率を用いて、次の[数4]により、測定されたセル起電力E[mV]から被測定ガスの酸素濃度y[vol%]を計算する。
[数4]
y=20.95×10(E-Ks)/(-50.74×Kz)
ただし、Kz=ゼロ点補正率/100、Ks=スパン点補正率×81.92/100である。Kzはゼロ点補正係数と称され、Ksはスパン点補正係数と称される。ゼロ点補正係数及びスパン点補正係数も校正係数として使用されうる。
【0058】
理論通りに動作するジルコニアセンサ10においては、ゼロ点補正率は100%であり、スパン点補正率は0%となる。ゼロ点補正率及びスパン点補正率がこれらの理論値から離れるに従って、ジルコニアセンサ10の劣化が進んで校正が困難になる。本実施形態では、補正可能なゼロ点補正率及びスパン点補正率の理論値との差分につき予め閾値を設定しておき、ゼロ点補正率又はスパン点補正率が理論値と閾値を超えて相違した場合は、ジルコニアセンサ10の交換が必要であると判断されてもよい。例えば、ゼロ点補正率についての閾値は30%としてもよい。この場合、ゼロ点補正率についての補正可能な範囲は70%~130%となる。また、例えば、スパン点補正率についての閾値は18%としてもよい。この場合、スパン点補正率についての補正可能な範囲は0%~18%となる。
【0059】
また、ジルコニアセンサ10の使用によりジルコニアセンサ10の劣化が進むに従い、前述のゼロ点補正率及びスパン点補正率等の校正係数とその理論値との差分は大きくなっていく。そして、校正係数とその理論値との差分は時間の経過に従い、2次曲線状に大きくなることが知られている。そこで、校正係数を含むログデータファイルを受け取った管理装置50は、校正係数の経時的変化を2次曲線により近似してもよい。そして、管理装置50は、校正係数の経時的変化についての2次曲線により推測される校正係数の変動幅が予め定められた変動幅の上限値に達する時期をジルコニアセンサ10の交換を行うべき時期として決定してもよい。例えば、ゼロ点補正率の変動幅の上限値は30%としてもよい。スパン点補正率の変動幅の上限値は18%としてもよい。また、管理装置50は、校正係数の経時的変化についての2次曲線により推測される校正係数の変動率が予め定められた変動率の上限値に達する時期をジルコニアセンサ10の校正を行うべき時期として決定してもよい。例えば、ゼロ点補正率及びスパン点補正率の変動率の上限値は0.2%~0.5%の間の値(例えば、0.3%)としてもよい。このように、管理装置50は、校正係数の経時的変化を2次曲線により近似して、ジルコニアセンサ10の交換又は校正を行うべき時期を推測することで、メンテナンスが必要な時期及び内容を適切に決定してユーザーに提示することができる。なお、校正係数の経時的変化に基づくメンテナンスの時期及び内容の決定は、校正が3回以上行われた後のログデータファイルを用いることで、校正係数の経時的変化をより正確に推測することができる。
【0060】
また、ジルコニア式酸素濃度計1は、既知の酸素濃度を有する第1及び第2の標準ガスについてジルコニアセンサ10により測定された物理量の測定値である第1及び第2の測定値に基づき換算式を補正するための係数を校正係数として決定し、記憶部22に記憶させる。このような第1及び第2の標準ガスは、例えば、前述のゼロガス及びスパンガスとしてもよい。このように、ジルコニア式酸素濃度計1は、濃度が異なる2つの標準ガスについてジルコニアセンサ10により測定された物理量の測定値に基づき校正係数を決定し、そのような校正係数に基づきメンテナンスをすべき時期を決定する。したがって、本実施形態に係る構成によれば、メンテナンスが必要な時期を適切に決定して提示することができる。
【0061】
(内部抵抗値に基づくメンテナンス管理)
図8は、図2のジルコニアセンサ10及び変換器20の電気的な接続関係を示す模式図である。ジルコニアセンサ10の健全性を評価する項目はいくつかあるが、そのうちの一つにジルコニアセンサ10の内部抵抗がある。良品のジルコニアセンサ10の内部抵抗は低く通常100Ω以下である。しかし、実ガス内で使用し続けるとセンサ電極の汚れ、ひび割れ、又はセンサ物性の変化等の各種要因によりセンサ特性の劣化が生じてきた場合に、ジルコニアセンサ10の内部抵抗値が上昇する傾向がある。劣化したジルコニアセンサ10の内部抵抗値は一般に数kΩ以上である。そこで、本実施形態に係るジルコニア式酸素濃度計1は、定期的(例えば、週又は月に1回)に内部抵抗の自己診断を行い、ジルコニアセンサ10の健全性を確認してもよい。
【0062】
ここでは図8を参照して、内部抵抗を測定する手法の一例として抵抗シャント法が説明される。図8は、図2におけるジルコニアセンサ10と変換器20のセンサ信号に関係する部分だけを抜粋して示している。図8では、ジルコニアセンサ10の等価回路が、互いに直列に接続された内部抵抗16及び電圧源15により表されている。電圧源15は、ジルコニアセンサ10の起電力Voutを出力する等価回路である。互いに直列に接続された内部抵抗16及び電圧源15の両端子17,18は、電力ケーブル41を介して、変換器20が備えるセンサ部23の測定回路233へ接続されている。図8のように、互いに直列に接続された内部抵抗16及び電圧源15は、変換器20内で互いに直列に接続されたシャント抵抗231及びスイッチ232と並列に接続される。シャント抵抗231及びスイッチ232もセンサ部23に含まれる。測定回路233は、スイッチ232のON/OFFを切り替えて、シャント抵抗231が内部抵抗16及び電圧源15に電気的に接続している場合と接続していない場合とで観察される電圧源15の起電力Voutの変化に基づき、内部抵抗16の抵抗値を算出する。
【0063】
このような測定を行うには、電圧源15の起電力Voutが測定可能なレベルである必要がある。しかし、比較ガスG2には例えば空気と同成分のスパンガスが用いられるため、被測定ガスG1が実ガスのときは、電圧源15の起電力Voutは0mV又はそれに近い低いレベルとなる場合がある。このような場合、抵抗シャント法により内部抵抗16の抵抗値を算出することは難しい。被測定ガスG1としてゼロガスを使用するとジルコニアセンサ10の起電力Voutが最大になるため、抵抗シャトン法を用いる場合は被測定ガスG1をゼロガスとするのが一般的である。ジルコニアセンサ10の内部抵抗値をRcell、被測定ガスG1としてゼロガスを用いた場合のジルコニアセンサ10の起電力をVzero、シャント抵抗231の抵抗値をRs、及び、スイッチ232をONにしてシャント抵抗231が内部抵抗16及び電圧源15に並列に接続されている場合の両端子17,18の端子間電圧をVcellとすると、次の[数5]が成立する。
[数5]
cell=(Vzero-Vcell)×Rs/Vcell
【0064】
本実施形態に係るジルコニア式酸素濃度計1は、上記のような原理により、予め定められたタイミングでジルコニアセンサ10の内部抵抗値Rcellを測定し、測定値を記憶部22に記憶してもよい。なお、ジルコニアセンサ10の内部抵抗値を測定する手法は抵抗シャント法に限られず、他の手法が用いられてもよい。前述のように、ジルコニアセンサ10の内部抵抗値Rcellの値は、ログデータファイルとして管理装置50へ送信され、管理装置50がセンサ交換周期等を推測するのに用いられてもよい。
【0065】
ジルコニアセンサ10の使用によりジルコニアセンサ10の劣化が進むに従い、ジルコニアセンサ10の内部抵抗値は大きくなっていく。そして、内部抵抗値は時間の経過に従い、2次曲線状に大きくなることが知られている。そこで、内部抵抗値を含むログデータファイルを受け取った管理装置50は、内部抵抗値の経時的変化を2次曲線により近似してもよい。そして、管理装置50は、内部抵抗値の経時的変化についての2次曲線により推測される内部抵抗値の値が予め定められた内部抵抗値の上限値に達する時期をジルコニアセンサ10のメンテナンスを行うべき時期として決定してもよい。このように、管理装置50は、内部抵抗値の経時的変化を2次曲線により近似して、ジルコニアセンサ10のメンテナンスを行うべき時期を推測することで、メンテナンスが必要な時期を適切に決定してユーザーに提示することができる。
【0066】
図9は、ジルコニアセンサ10の交換時期の推測を説明する図である。図9において、横軸は時間を示す。縦軸はジルコニアセンサ10の内部抵抗値(センサ抵抗)[Ω]を示す。図9において、黒丸のプロットはジルコニアセンサ10の内部抵抗値Rcellの実測値(ログデータ)を示す。点線の曲線は、内部抵抗値Rcellの実測値の近似曲線である。図9には、近似曲線が2次曲線により示されている。図9の例では、内部抵抗値の上限値として3000Ωが設定され、内部抵抗値が3000Ωに達すると予測される推奨交換時期に、ジルコニアセンサ10の交換等のメンテナンスが推奨される。また、ジルコニアセンサ10の使用開始から推奨交換時期までの期間はセンサの交換が推奨される時間的周期に相当する。このように、管理装置50は、内部抵抗値の経時的変化に基づき、ジルコニアセンサ10の推奨交換時期及び推奨交換周期を算出して、ユーザーに提示することが可能である。
【0067】
以上のように、本実施形態に係るメンテナンスシステム100は、ジルコニアセンサ10を用いて被測定ガスの酸素濃度を測定するジルコニア式酸素濃度計1と、管理装置50と、を有する。ジルコニア式酸素濃度計1は、ジルコニアセンサ10の内部抵抗値と、ジルコニアセンサ10による物理量の測定値を被測定ガスの酸素濃度に換算するための換算式を標準ガスについて測定された物理量の測定値に基づき補正するための校正係数と、の少なくともいずれかを記憶部22に記憶する。管理装置50は、記憶部22に記憶された内部抵抗値と校正係数との少なくともいずれかの経時的変化に基づき、ジルコニアセンサ10のメンテナンスを行うべき時期を決定して提示する。このように、内部抵抗値及び校正係数の少なくともいずれかに基づき決定されたメンテナンスを行うべき時期が提示されるため、ユーザーは、提示された時期にメンテナンスを行うことで、ジルコニア式酸素濃度計のメンテナンスを適切に実施することが可能である。
【0068】
従来の構成においては、ユーザーの校正の状況及びジルコニアセンサ10の劣化の度合い等を知るためには、ユーザーとメーカーが細かく情報を共有する必要があった。これに対して、本実施形態に係る構成によれば、ログデータファイルの受け渡しのみでユーザーにおけるジルコニア式酸素濃度計1の使用状況を容易に把握することが可能である。また、本実施形態に係る構成によれば、メーカーがログデータファイルを受領し解析することで適切な校正周期及びセンサ交換タイミング等をユーザーに提案することができる。したがって、ユーザー側は、ジルコニア式酸素濃度計1のメンテナンスを最適化することが可能となる。さらに、本実施形態に係る構成によれば、ジルコニア式酸素濃度計1の校正及び内部抵抗値の変化等に関する履歴をログデータファイルとして入手できるため、データ解析を高精度で行うことができ、メンテナンスを適切に実施することが可能である。また、本実施形態に係る構成によれば、ジルコニアセンサ10の挙動に関するユーザーの知識又はノウハウ等によらず、適切な校正周期及びセンサ交換タイミング等を設定することができる。したがって、過剰な校正及びジルコニアセンサ10の交換による作業工数及び費用の削減、校正タイミングの遅れによる測定値の不良、及びジルコニアセンサ10の交換の遅れによる機器停止等を回避することができる。
【0069】
[第2実施形態]
第1実施形態では、ログデータファイルはSDカード等の記録媒体を用いて外部に取り出され、ユーザーがPC等の情報処理装置にログデータファイルを取り込み、WEBサイト等を介してメーカーへ送信される場合が説明された。しかし、このようなログデータファイルの抽出及び送信を自動化することで、ユーザーがこのような作業を行わなくても、校正及びジルコニアセンサ10の交換等の時期を自動的に提示できるようにしてもよい。
【0070】
図10は、このようなログデータファイルの抽出及び送信の自動化が行われないジルコニア式酸素濃度計のメンテナンスフローの詳細を示している。ユーザーは、ジルコニア式酸素濃度計1の構成を行う際に(S11)、HMI24を操作してログデータファイルの出力操作を行う(S12)。ユーザーは、ログデータファイルを取り出し(S13)、SDカード等の記憶媒体にログデータを格納する(S14)。ユーザーは、PC等のインターネットに接続可能な情報処理装置にログデータファイルを取り込み、メーカーが提供するWEBサイト等を介してメーカーへログデータファイルを送信する(S15)。
【0071】
メーカーは、ログデータファイルを受信すると(S16)、ログデータファイルを解析し(S17)、解析結果をチェックして(S18)、ユーザーへ解析結果を送付する(S19)。解析結果の送付は、インターネットを介して電子メール等により電子的に行われたり、あるいは、郵便等により行われたりする。ユーザーは解析結果を受領すると(S20)、その内容をジルコニア式酸素濃度計1のメンテナンス計画に反映する(S21)。
【0072】
このように、ジルコニア式酸素濃度計1のメンテナンスが自動化されていないと、人手を介した作業が必要になる。これに対して、ジルコニア式酸素濃度計1のメンテナンスを自動化することで作業工数を削減することができる。
【0073】
図11は、自動化が行われているジルコニア式酸素濃度計1のメンテナンスフローを示している。図11を参照して説明するジルコニア式酸素濃度計1及び管理装置50の動作は本実施形態に係るメンテナンス方法に相当する。
【0074】
図11において、ユーザーが校正作業を行うと(S31)、変換器20の制御部21は、ログデータファイルを自動的に出力し(S32)、ログデータファイルをメーカーが管理する管理装置50へ送付する(S33)。ログデータファイルの送付は、制御部21の制御に基づき、インターネットに接続された無線LAN等の通信部26により行われる。
【0075】
管理装置50の制御部51はログデータファイルを受信すると(S34)、ログデータファイルを解析する(S35)。制御部51は、例えば、第1実施形態において説明したログデータファイルの解析を行うための予め設定されたプログラムに従い、管理装置50を制御することで、ログデータファイルの解析を行ってもよい。解析結果には、推奨されるメンテナンス計画(メンテナンスの時期及び内容等)が含まれうる。解析後、制御部51は、解析結果をユーザーが管理する変換器20へ送付する(S36)。解析結果の送付は、制御部51の制御に基づき、通信部53により行われる。
【0076】
変換器20の制御部21は、ログデータファイルの解析結果を受信すると(S37)、推奨メンテナンス計画の内容を変換器20のHMI24に表示する(S38)。ユーザーは表示されたメンテナンス計画をジルコニア式酸素濃度計1のメンテナンスに反映する(S39)。
【0077】
このように、ログデータの取り出し及びメーカー側への送信等の作業を自動化するとともに、校正及びジルコニアセンサ10の交換等の時期を自動でユーザーに知らせることで、人手を介した作業を削減することができる。したがって、作業工数を削減し、さらには人為的ミスを防止することも可能になる。
【0078】
[その他の実施形態]
前述の実施形態では、ジルコニアセンサ10の内部抵抗値及び校正係数の経時的変化等に基づき、ジルコニアセンサ10のメンテナンスを行うべき時期及び内容を決定する構成が説明された。しかし、ジルコニアセンサ10のメンテナンスを行うべき時期及び内容は、メンテンナンスに関連性を有すると考えられるあらゆるデータを機械学習の手法を用いて解析し、利用するようにしてもよい。このようなデータには、例えば、前述の校正周期及びプロセス測定値の情報等が含まれうる。これにより、更に精度の高いメンテナンスに関する情報を提供することが可能になる。
【0079】
本開示は上述の実施形態に限定されるものではない。例えば、ブロック図に記載の複数のブロックは統合されてもよいし、又は1つのブロックは分割されてもよい。フローチャートに記載の複数のステップは、記述に従って時系列に実行する代わりに、各ステップを実行する装置の処理能力に応じて、又は必要に応じて、並列的に又は異なる順序で実行されてもよい。その他、本開示の趣旨を逸脱しない範囲での変更が可能である。
【符号の説明】
【0080】
1 ジルコニア式酸素濃度計
10 ジルコニアセンサ
11 ジルコニア管
12,13 電極
15 電圧源
16 内部抵抗
17,18 端子
20 変換器
21 制御部
22 記憶部
23 センサ部
231 シャント抵抗
232 スイッチ
233 測定回路
24 HMI
25 入出力部
26 通信部
30 ガス封入ボンベ
41 電力ケーブル
42 ガスケーブル
43,44 減圧弁
50 管理装置
51 制御部
52 記憶部
53 通信部
54 入力部
55 出力部
100 メンテナンスシステム
G1 被測定ガス
G2 比較ガス
out 起電力
図1
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