(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-18
(45)【発行日】2023-07-26
(54)【発明の名称】水素製造装置
(51)【国際特許分類】
C01B 3/30 20060101AFI20230719BHJP
【FI】
C01B3/30
(21)【出願番号】P 2022508114
(86)(22)【出願日】2021-02-02
(86)【国際出願番号】 JP2021003762
(87)【国際公開番号】W WO2021186924
(87)【国際公開日】2021-09-23
【審査請求日】2022-06-02
(31)【優先権主張番号】P 2020049291
(32)【優先日】2020-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)2019年度 国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「水素利用等先導研究開発事業/炭化水素等を活用した二酸化炭素を排出しない水素製造技術調査/メタンの熱分解による水素製造技術の研究開発」委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(74)【代理人】
【識別番号】110000936
【氏名又は名称】弁理士法人青海国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坪井 陽介
(72)【発明者】
【氏名】藤吉 裕信
(72)【発明者】
【氏名】劉 玉平
【審査官】小野 久子
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-238973(JP,A)
【文献】特開2001-354405(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第108328573(CN,A)
【文献】特開2003-103235(JP,A)
【文献】特開2004-256336(JP,A)
【文献】特開2004-019018(JP,A)
【文献】特開2009-221057(JP,A)
【文献】特開2020-055947(JP,A)
【文献】特開2020-055946(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 3/30
C01B 3/26
C01B 32/05
H01M 8/04- 8/0668
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料供給部によって供給される燃料を燃焼させて、触媒粒子を加熱する加熱炉と、
前記加熱炉の下流側に接続され、前記触媒粒子と、燃焼排ガスとを分離するサイクロンと、
前記サイクロンによって分離された前記触媒粒子を収容する収容槽と、前記収容槽の下部から、少なくとも炭化水素を含む原料ガスを導入する原料ガス導入部と、を有する熱分解炉と、
前記サイクロンによって分離された前記燃焼排ガスと、酸化剤とを熱交換する第1熱交換部と、
前記第1熱交換部によって熱交換された前記酸化剤を前記加熱炉に供給する酸化剤供給部と、
を備える水素製造装置。
【請求項2】
燃料供給部によって供給される燃料を燃焼させて、触媒粒子を加熱する加熱炉と、
前記加熱炉の下流側に接続され、前記触媒粒子と、燃焼排ガスとを分離するサイクロンと、
前記サイクロンによって分離された前記触媒粒子を収容する収容槽と、前記収容槽の下部から、少なくとも炭化水素を含む原料ガスを導入する原料ガス導入部と、を有する熱分解炉と、
を備え
、
前記収容槽は、
前記サイクロンによって分離された前記触媒粒子が導かれる粒子導入口と、
前記収容槽において生成された混合ガスが送出される第1送出口と、
前記粒子導入口と前記第1送出口との間に設けられ、前記収容槽において生成された混合ガスが送出される第2送出口と、を有し、
前記燃料供給部は、前記第2送出口を通じて、前記収容槽から送出された前記混合ガスを前記燃料として前記加熱炉に供給する水素製造装置。
【請求項3】
前記収容槽内に設けられ、前記第1送出口が設けられる第1室と、前記第2送出口が設けられる第2室とに前記収容槽内を区画する仕切板を備える請求項2に記載の水素製造装置。
【請求項4】
前記収容槽から送出された混合ガスから水素を分離する水素分離部を備え、
前記燃料供給部は、前記水素分離部によって分離された前記水素を前記燃料として前記加熱炉に供給する請求項1
から3のいずれか1項に記載の水素製造装置。
【請求項5】
前記収容槽から送出された混合ガスから水素を分離する水素分離部を備え、
前記燃料供給部は、前記水素分離部によって水素が分離された後の前記混合ガスを前記燃料として前記加熱炉に供給する請求項1
から4のいずれか1項に記載の水素製造装置。
【請求項6】
前記収容槽から送出された混合ガスから固体炭素を除去する炭素回収部を備え、
前記燃料供給部は、前記固体炭素が除去された前記混合ガスを前記燃料として前記加熱炉に供給する請求項1から
5のいずれか1項に記載の水素製造装置。
【請求項7】
前記収容槽から送出された混合ガスと、前記原料ガスとを熱交換する第2熱交換部を備え、
前記原料ガス導入部は、前記第2熱交換部によって熱交換された前記原料ガスを前記収容槽に導入する請求項1から
6のいずれか1項に記載の水素製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、水素製造装置に関する。本出願は2020年3月19日に提出された日本特許出願第2020-049291号に基づく優先権の利益を主張するものであり、その内容は本出願に援用される。
【背景技術】
【0002】
水素を製造する技術として、メタン等の炭化水素を水蒸気改質する技術が知られている。しかし、水蒸気改質は、水素の製造過程で二酸化炭素が生じてしまう。そこで、炭化水素を熱分解して、炭素を固体として生成することで、二酸化炭素を排出しない水素を製造することが考えられる。
【0003】
炭化水素を熱分解する技術として、反応炉と、原料ガス供給源と、加熱部とを備える装置が開示されている(例えば、特許文献1)、反応炉は、触媒を収容する。原料ガス供給源は、反応炉に炭化水素を供給する。加熱部は、反応炉の周囲に設けられ、反応炉内を加熱する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
炭化水素の熱分解反応は、触媒を用いることによって800℃以上で効率よく進行する。しかし、炭化水素の熱分解反応は吸熱反応であるため、外部から熱を供給する必要がある。このため、上記特許文献1のような、反応炉を外部から加熱する技術において、反応炉の内部を800℃以上にするためには、反応炉の炉壁を1000℃以上に加熱する必要がある。そうすると、1000℃以上の耐熱性を有する材料で反応炉を構成しなければならず、反応炉に要するコストが高くなってしまうという課題がある。
【0006】
そこで、本開示は、このような課題に鑑み、炭化水素を低コストで熱分解させることが可能な水素製造装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本開示の一態様に係る水素製造装置は、燃料供給部によって供給される燃料を燃焼させて、触媒粒子を加熱する加熱炉と、加熱炉の下流側に接続され、触媒粒子と、燃焼排ガスとを分離するサイクロンと、サイクロンによって分離された触媒粒子を収容する収容槽と、収容槽の下部から、少なくとも炭化水素を含む原料ガスを導入する原料ガス導入部と、を有する熱分解炉と、サイクロンによって分離された燃焼排ガスと、酸化剤とを熱交換する第1熱交換部と、第1熱交換部によって熱交換された酸化剤を加熱炉に供給する酸化剤供給部と、を備える。
上記課題を解決するために、本開示の一態様に係る他の水素製造装置は、燃料供給部によって供給される燃料を燃焼させて、触媒粒子を加熱する加熱炉と、加熱炉の下流側に接続され、触媒粒子と、燃焼排ガスとを分離するサイクロンと、サイクロンによって分離された触媒粒子を収容する収容槽と、収容槽の下部から、少なくとも炭化水素を含む原料ガスを導入する原料ガス導入部と、を有する熱分解炉と、を備え、収容槽は、サイクロンによって分離された触媒粒子が導かれる粒子導入口と、収容槽において生成された混合ガスが送出される第1送出口と、粒子導入口と第1送出口との間に設けられ、収容槽において生成された混合ガスが送出される第2送出口と、を有し、燃料供給部は、第2送出口を通じて、収容槽から送出された混合ガスを燃料として加熱炉に供給する。
また、収容槽内に設けられ、第1送出口が設けられる第1室と、第2送出口が設けられる第2室とに収容槽内を区画する仕切板を備えてもよい。
【0008】
また、収容槽から送出された混合ガスから水素を分離する水素分離部を備え、燃料供給部は、水素分離部によって分離された水素を燃料として加熱炉に供給してもよい。
【0009】
また、収容槽から送出された混合ガスから水素を分離する水素分離部を備え、燃料供給部は、水素分離部によって水素が分離された後の混合ガスを燃料として加熱炉に供給してもよい。
【0010】
また、収容槽から送出された混合ガスから固体炭素を除去する炭素回収部を備え、燃料供給部は、固体炭素が除去された混合ガスを燃料として加熱炉に供給してもよい。
【0014】
また、収容槽から送出された混合ガスと、原料ガスとを熱交換する第2熱交換部を備え、原料ガス導入部は、第2熱交換部によって熱交換された原料ガスを収容槽に導入してもよい。
【発明の効果】
【0015】
本開示によれば、炭化水素を低コストで熱分解させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係る水素製造装置を説明する図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態に係る精製装置を説明する図である。
【
図3】
図3は、第1の変形例に係る燃料供給部を説明する図である。
【
図4】
図4は、第2の変形例に係る燃料供給部を説明する図である。
【
図5】
図5は、第3の変形例に係る加熱炉、サイクロン、熱分解炉を説明する図である。
【
図6】
図6は、第2の実施形態に係る水素製造装置を説明する図である。
【
図7】
図7は、第2の実施形態に係る精製装置を説明する図である。
【
図8】
図8は、触媒粒子に原料ガスであるメタンを通気した反応時間と、収容槽におけるガスの生成量との関係を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の実施形態について詳細に説明する。実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本開示を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。また本開示に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0018】
[第1の実施形態:水素製造装置100]
図1は、第1の実施形態に係る水素製造装置100を説明する図である。
図1に示すように、水素製造装置100は、加熱炉110と、第1配管112と、第2配管114と、サイクロン120と、連通管122と、熱分解炉130と、第1送出管134と、精製装置150と、除塵装置160と、第3配管162と、酸化剤供給部170と、第1熱交換部180と、燃料供給部190とを含む。なお、
図1中、実線の矢印は、ガスの流れを示す。
図1中、破線の矢印は、触媒粒子CATの流れを示す。
【0019】
加熱炉110は、筒形状である。第1配管112は、加熱炉110の下部と、後述する熱分解炉130(収容槽132の側面)とを接続する。なお、第1配管112には、不図示のループシールが設けられている。加熱炉110には、第1配管112、ループシールを通じて、熱分解炉130から触媒粒子CATが導入される。
【0020】
触媒粒子CATは、下記式(1)で示す熱分解反応を促進する触媒である。
CH4 →C + 2H2 …式(1)
触媒粒子CATは、例えば、鉄系の触媒(鉄、鉄鉱石)である。触媒粒子CATの粒径は、例えば、50μm以上1000μm以下であり、好ましくは、100μm以上300μm以下である。
【0021】
加熱炉110は、後述する燃料供給部190によって供給される燃料FGを空気で燃焼させて、触媒粒子CATを900℃程度に加熱する。第2配管114は、加熱炉110の上部と、後述するサイクロン120とを接続する。加熱炉110において加熱された触媒粒子CATおよび燃焼排ガスEXは、第2配管114を通じて、サイクロン120に送出される。
【0022】
サイクロン120は、熱分解炉130の上方に設けられる。サイクロン120は、第2配管114を介して、加熱炉110の下流側に接続される。サイクロン120は、第2配管114を通じて加熱炉110から導入された、触媒粒子CATと燃焼排ガスEXとの混合物を固気分離する。
【0023】
連通管122は、サイクロン120の底部と熱分解炉130(収容槽132)とを接続する。また、連通管122には、不図示のループシールが設けられている。サイクロン120で分離された高温の触媒粒子CATは、連通管122、ループシールを通過して、熱分解炉130に導入される。
【0024】
熱分解炉130は、例えば、気泡流動層(バブリング流動層)炉である。熱分解炉130は、サイクロン120から導入された高温の触媒粒子CATを、原料ガスGGによって流動化する。原料ガスGGは、少なくとも炭化水素(例えば、メタン)を含む。原料ガスGGは、例えば、液化天然ガス(LNG)である。以下、炭化水素としてメタンを例に挙げる。
【0025】
具体的に説明すると、熱分解炉130は、収容槽132と、原料ガス導入部140とを含む。収容槽132は、サイクロン120によって分離された、高温の触媒粒子CATを収容する容器である。収容槽132の上面には、粒子導入口132aと、第1送出口132bが設けられる。第1送出口132bは、粒子導入口132aよりも触媒粒子CATの流れ方向の下流側に設けられる。
【0026】
粒子導入口132aには、連通管122が接続される。第1送出口132bには、第1送出管134が接続される。また、収容槽132の側面には、粒子排出口132cが設けられる。粒子排出口132cには、第1配管112が接続される。収容槽132の底面は、通気可能な分散板142aで構成される。
【0027】
原料ガス導入部140は、収容槽132の下部から原料ガスGGを導入する。本実施形態において、原料ガス導入部140は、風箱142と、ブロワ144とを含む。風箱142は、収容槽132の下方に設けられる。風箱142の上部は、分散板142aで構成されている。換言すれば、分散板142aは、収容槽132と風箱142とを区画する。ブロワ144は、風箱142に原料ガスGGを供給する。ブロワ144は、吸入側が原料供給管146を通じて、原料ガスGGの供給源に接続される。ブロワ144は、吐出側が原料送出管148を通じて、風箱142に接続される。ブロワ144によって風箱142に供給された原料ガスGGは、収容槽132の底面(分散板142a)から当該収容槽132内に導入される。
【0028】
したがって、粒子導入口132aを通じてサイクロン120から導入された高温の触媒粒子CATは、原料ガスGGによって流動化し、収容槽132内において流動層R(気泡流動層)が形成される。また、熱分解炉130は、流動層R(触媒粒子CAT)が有する熱で、原料ガスGGを熱分解する。つまり、収容槽132内において、上記式(1)に示す熱分解反応が進行する。
【0029】
こうして、熱分解炉130において、水素(H2)、未反応のメタン(CH4)、一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO2)、および、固体炭素(SC)を含む混合ガスMGが生成される。熱分解炉130で生成された混合ガスMGは、第1送出口132b、第1送出管134を通じて、精製装置150に導入される。精製装置150は、混合ガスMGから水素を分離する。精製装置150については、後に詳述する。
【0030】
一方、上記したように、熱分解炉130において流動化された触媒粒子CATは、粒子排出口132c、第1配管112を通じて加熱炉110に戻される。
【0031】
このように、本実施形態に係る水素製造装置100において、触媒粒子CATは、加熱炉110、第2配管114、サイクロン120、連通管122、熱分解炉130(収容槽132)、第1配管112を、この順に移動し、再度加熱炉110に導入されることにより、これらを循環することとなる。
【0032】
除塵装置160は、第3配管162を通じてサイクロン120の上部に接続される。除塵装置160は、燃焼排ガスEXを除塵する。除塵装置160は、例えば、バグフィルタである。除塵装置160によって除塵された燃焼排ガスEXは、大気に放散される。
【0033】
酸化剤供給部170は、加熱炉110に空気を供給する。酸化剤供給部170は、ブロワ172と、酸化剤供給管174とを含む。ブロワ172は、吸入側が大気開放される。ブロワ172は、吐出側が酸化剤供給管174に接続される。酸化剤供給管174は、ブロワ172と加熱炉110の底部とを接続する。
【0034】
第1熱交換部180は、サイクロン120によって分離された燃焼排ガスEX(第3配管162を通過する燃焼排ガスEX)と、酸化剤供給管174を通過する空気とを熱交換する。これにより、燃焼排ガスEXから熱が奪われ(冷却され)、空気が加熱される。こうして、冷却された燃焼排ガスEXは、除塵装置160に導かれる。また、加熱された空気は、酸化剤供給部170によって加熱炉110に導かれる。
【0035】
燃料供給部190は、加熱炉110に燃料FGを供給する。燃料供給部190については、後に詳述する。
【0036】
[精製装置150]
図2は、第1の実施形態に係る精製装置150を説明する図である。
図2に示すように、精製装置150は、サイクロン210と、第4配管212と、炭素回収部220と、第5配管222と、コンプレッサ230と、第6配管232と、水素分離部240と、第7配管242と、第8配管244と、第2熱交換部250とを含む。
【0037】
サイクロン210は、第1送出管134を介して、収容槽132の第1送出口132bに接続される。サイクロン210は、第1送出管134を通じて収容槽132から送出された混合ガスMGを固気分離する。サイクロン210で分離された固形物(触媒粒子CATおよび固体炭素SC)は、ナノ炭素材料として利用されたり、アスファルト、コンクリート等の構造材料に混合されたりする。
【0038】
第4配管212は、サイクロン210の上部と炭素回収部220とを接続する。サイクロン210によって固形物が分離された後の混合ガスMGは、第4配管212を通じて、炭素回収部220に導かれる。
【0039】
炭素回収部220は、混合ガスMGから固体炭素SCを除去する。炭素回収部220は、例えば、バグフィルタ、または、サイクロンである。炭素回収部220によって除去された固体炭素SCは、後段の固体炭素利用設備に搬送される。
【0040】
第5配管222は、炭素回収部220とコンプレッサ230の吸入側とを接続する。コンプレッサ230は、炭素回収部220によって固体炭素SCが除去された混合ガスMGを昇圧して水素分離部240に送出する。コンプレッサ230は、燃料供給部190としても機能する。第6配管232は、コンプレッサ230の吐出側と水素分離部240とを接続する。
【0041】
水素分離部240は、混合ガスMGから水素を分離する。水素分離部240は、例えば、圧力スイング吸着(PSA:Pressure Swing Adsorption)を利用した装置、または、深冷分離装置である。
【0042】
第7配管242は、水素分離部240と、後段の水素利用設備とを接続する。水素分離部240によって分離された水素(例えば、純度99%以上)は、水素利用設備に送出される。
【0043】
第8配管244は、水素分離部240と、原料供給管146とを接続する。水素分離部240によって水素が分離された後の混合ガスMGは、原料ガスの供給源から導かれる原料ガスGGに混合され、収容槽132に供給される。つまり、水素分離部240によって水素が分離された後の混合ガスMGは、原料ガスGGとして、収容槽132に導かれる。水素分離部240によって水素が分離された後の混合ガスMGは、未反応のメタンおよび水素を少なくとも含む。
【0044】
燃料供給部190は、コンプレッサ230と、燃料供給管192とを含む。燃料供給管192は、第7配管242と加熱炉110(
図1参照)とを接続する。したがって、本実施形態において、燃料供給部190は、水素分離部240によって分離された水素を燃料FGとして加熱炉110に供給する。
【0045】
第2熱交換部250は、サイクロン210によって固気分離された混合ガスMGと、原料ガスGGとを熱交換する。本実施形態において、第2熱交換部250は、第4配管212を通過する混合ガスMGと、原料送出管148を通過する原料ガスGGとを熱交換する。これにより、混合ガスMGから熱が奪われ(冷却され)、原料ガスGGが加熱される。こうして、冷却された混合ガスMGは、炭素回収部220に導かれる。また、加熱された原料ガスGGは、原料ガス導入部140によって、熱分解炉130(収容槽132)に導かれる。
【0046】
以上説明したように、本実施形態に係る水素製造装置100は、加熱炉110と、熱分解炉130とを備える。このため、水素製造装置100は、加熱炉110によって加熱された触媒粒子CATの熱でメタン(炭化水素)を熱分解することができる。
【0047】
また、水素製造装置100では、加熱された触媒粒子CATが熱分解炉130(収容槽132内)に導入される。このため、収容槽132の内部は、触媒粒子CATによって実質的に均一に加熱される。したがって、水素製造装置100は、熱分解炉130を外部から加熱する必要がない。これにより、水素製造装置100は、1000℃以上の耐熱性を有する材質で熱分解炉130の炉壁を構成する必要がなくなり、熱分解炉130の製造コストを低減することができる。したがって、水素製造装置100は、メタン(炭化水素)を低コストで熱分解させることが可能となる。換言すれば、水素製造装置100は、低コストで水素を製造することができる。
【0048】
また、熱分解炉内を外部から加熱する従来技術は、熱分解炉の内部温度を均一にすることが難しく、熱分解炉の大型化が困難である。これに対し、水素製造装置100は、熱分解炉内を外部から加熱する従来技術と比較して、収容槽132内の温度を均一化することができる。これにより、水素製造装置100は、収容槽132内において、触媒粒子CATの温度が局所的に低下してしまう事態を回避することが可能となる。したがって、水素製造装置100は、効率よくメタン(炭化水素)を熱分解することができる。また、水素製造装置100は、収容槽132の内部の温度を均一化できるため、収容槽132を大型化することも可能である。これにより、水素製造装置100は、大量の水素を安価に製造することができる。
【0049】
また、上記したように、原料ガス導入部140は、収容槽132内に触媒粒子CATの流動層Rを形成する。これにより、熱分解炉130は、収容槽132内において触媒粒子CAT同士を摺動させることができる。したがって、熱分解炉130は、触媒粒子CATの表面に成長した固体炭素SCを脱着させることが可能となる。このため、水素製造装置100は、触媒粒子CATから固体炭素SCを分離するため専用の装置(例えば、化学洗浄装置)を省略することができる。
【0050】
また、上記したように、水素製造装置100は、水素分離部240および燃料供給部190を備える。これにより、水素製造装置100は、水素を燃料FGとして燃焼させて、触媒粒子CATを加熱することができる。したがって、水素製造装置100は、触媒粒子CATの加熱において二酸化炭素の発生を防止することが可能となる。このため、水素製造装置100は、二酸化炭素フリーの水素を製造することができる。
【0051】
また、上記したように、水素製造装置100は、第1熱交換部180を備え、酸化剤供給部170は、第1熱交換部180によって加熱された空気を加熱炉110に供給する。つまり、水素製造装置100は、加熱炉110に供給する空気を予熱することができる。このため、水素製造装置100は、触媒粒子CATを所望の温度(例えば、900℃)に加熱するために必要な燃料FGの量を削減することが可能となる。したがって、水素製造装置100は、低コストで触媒粒子CATを加熱することができる。また、第1熱交換部180は、除塵装置160に供給する前の燃焼排ガスEXを冷却することが可能となる。したがって、水素製造装置100は、除塵装置160の破損を防止することができる。
【0052】
また、上記したように、水素製造装置100は、第2熱交換部250を備え、原料ガス導入部140は、第2熱交換部250によって加熱された原料ガスGGを熱分解炉130(収容槽132)に導入する。つまり、水素製造装置100は、熱分解炉130に供給する原料ガスGGを予熱することができる。このため、水素製造装置100は、熱分解炉130の温度の低下を抑制することができる。したがって、水素製造装置100は、加熱炉110における触媒粒子CATの加熱量(燃料FGの量)を低減することが可能となる。また、水素製造装置100は、熱分解炉130内の温度の不均一化を抑制することができる。したがって、水素製造装置100は、効率よくメタン(炭化水素)を熱分解することが可能となる。また、第2熱交換部250は、炭素回収部220に供給する前の混合ガスMGを冷却することが可能となる。したがって、水素製造装置100は、炭素回収部220の破損を防止することができる。
【0053】
[第1の変形例]
上記第1の実施形態では、燃料供給部190が、水素分離部240によって分離された水素を燃料FGとして、加熱炉110に供給する構成を例に挙げた。しかし、燃料供給部は、他のガスを燃料FGとして、加熱炉110に供給してもよい。
【0054】
図3は、第1の変形例に係る燃料供給部310を説明する図である。
図3に示すように、第1の変形例に係る燃料供給部310は、コンプレッサ230と、燃料供給管312とを含む。燃料供給管312は、原料送出管148と、加熱炉110(
図1参照)とを接続する。したがって、第1の変形例において、燃料供給部310は、水素分離部240によって水素が取り除かれた後の混合ガスMGを燃料FGとして加熱炉110に供給する。水素分離部240によって水素が取り除かれた後の混合ガスMGには、未反応のメタン、および、水素が含まれる。
【0055】
燃料供給部310は、第1の実施形態とは異なり、水素に代えて、混合ガスMGを加熱炉110に供給する。つまり、燃料供給部310は、第1の実施形態とは異なり、水素分離部240によって製造される水素を加熱炉110の燃焼に用いない。したがって、燃料供給部310は、第1の実施形態と比較して、単位原料ガスGG量あたりの水素の製造量を増加させることができる。したがって、燃料供給部310を備える水素製造装置100は、低コストで水素を製造することが可能となる。
【0056】
[第2の変形例]
上記第1の実施形態および第1の変形例では、燃料供給部190、310が、水素分離部240によって分離された、水素または混合ガスMGを燃料FGとして、加熱炉110に供給する構成を例に挙げた。しかし、燃料供給部は、他のガスを燃料FGとして、加熱炉110に供給してもよい。
【0057】
図4は、第2の変形例に係る燃料供給部320を説明する図である。
図4に示すように、第2の変形例に係る燃料供給部320は、コンプレッサ230と、燃料供給管322とを含む。燃料供給管322は、第6配管232と、加熱炉110(
図1参照)とを接続する。したがって、第2の変形例において、燃料供給部320は、炭素回収部220によって固体炭素が除去された混合ガスMGを燃料として加熱炉110に供給する。炭素回収部220によって固体炭素が除去された混合ガスMGには、未反応のメタン、および、水素が含まれる。
【0058】
これにより、燃料供給部320は、水素分離部240に導かれる混合ガスMGの量を第1の実施形態よりも低減することができる。これにより、水素分離部240の水素分離動力を低減させることが可能となる。また、水素分離部240に導かれる混合ガスMGの主成分は、水素である。このため、燃料供給部320が混合ガスMGを燃料FGとして用いることにより、炭化水素を燃料FGとして用いるよりも、二酸化炭素の発生量を低減することが可能となる。
【0059】
[第3の変形例]
上記第1の実施形態では、第1配管112および連通管122にループシールが設けられる構成を例に挙げた。しかし、ループシールを省略することもできる。
【0060】
図5は、第3の変形例に係る加熱炉110、サイクロン120、熱分解炉130を説明する図である。
図5中、破線は、触媒粒子CATの流動層Rの上面を示す。
【0061】
図5に示すように、第3の変形例において、連通管122は、収容槽132の上面を貫通し、収容槽132の内部まで延在する。連通管122の下部開口122aは、収容槽132に形成される流動層R内に位置する。
【0062】
また、収容槽132の側面と、加熱炉110の側面とは、開口110aを通じて連通する。
【0063】
収容槽132内には、第1仕切板350と、第2仕切板352とが設けられる。第1仕切板350は、分散板142aから上端350aまで鉛直方向に延在し(立設し)、両側面に亘って延在した板である。第1仕切板350の上端350a(先端)は、収容槽132の上面から離隔する。第3の変形例において、第1送出管134は、収容槽132の上面のうち、連通管122と第1仕切板350との間に接続される。
【0064】
第2仕切板352は、第1仕切板350と開口110aとの間に設けられる。第2仕切板352は、収容槽132の上面から下端352aまで鉛直方向に延在し、両側面に亘って延在した板である。第2仕切板352の下端352a(先端)は、分散板142aから離隔する。
【0065】
第1仕切板350の上端350aは、第2仕切板352の下端352aよりも上方に位置する。第2仕切板352の下端352aは、開口110aの下端110bよりも下方に位置する。開口110aの下端110bは、第1仕切板350の上端350aより下方に位置する。
【0066】
また、第3の変形例の風箱142内には、第3仕切板142bが設けられる。第3仕切板142bは、風箱142内における第1仕切板350に対応する位置に設けられる。第3仕切板142bは、原料ガスGGが流通不可能、または、流通困難に風箱142内を区画する。なお、原料送出管148は、風箱142における連通管122と第1仕切板350との間、および、第1仕切板350と開口110aとの間に接続される。
【0067】
このように、第3の変形例に係る連通管122は、収容槽132の上面を貫通し、収容槽132の内部まで延在する。これにより、第3の変形例は、第3配管162の燃焼排ガスEXが収容槽132に混入してしまう事態を回避することが可能となる。このため、第3の変形例の連通管122は、上記第1の実施形態とは異なり、ループシールを省略することができる。
【0068】
また、第3の変形例に係る加熱炉110および熱分解炉130は、開口110a、第1仕切板350、第2仕切板352を備える。これにより、第3の変形例は、収容槽132の混合ガスMGが加熱炉110に混入してしまう事態を回避することが可能となる。このため、加熱炉110および熱分解炉130は、上記第1の実施形態とは異なり、第1配管112およびループシールを省略することができる。
【0069】
このように、第3の変形例は、ループシールおよびループシールに付随する機器を省略することができる。このため、第3の変形例は、水素製造装置100全体のコンパクト化を図ることができ、水素製造装置100を低コスト化することが可能となる。
【0070】
[第2の実施形態:水素製造装置400]
図6は、第2の実施形態に係る水素製造装置400を説明する図である。
図7は、第2の実施形態に係る精製装置450を説明する図である。
図6に示すように、水素製造装置400は、加熱炉110と、第1配管112と、第2配管114と、サイクロン120と、連通管122と、熱分解炉430と、第1送出管134と、第2送出管136と、精製装置450と、除塵装置160と、第3配管162と、酸化剤供給部170と、第1熱交換部180と、燃料供給部490とを含む。また、
図7に示すように、精製装置450は、サイクロン210と、第4配管212と、炭素回収部220と、第5配管222と、コンプレッサ230と、第6配管232と、水素分離部240と、第7配管242と、第8配管244と、第2熱交換部250と、サイクロン460と、第2熱交換部470とを含む。
【0071】
なお、
図6および
図7中、実線の矢印は、ガスの流れを示す。
図6中、破線の矢印は、触媒粒子CATの流れを示す。また、上記水素製造装置100と実質的に等しい構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0072】
熱分解炉430は、収容槽132と、仕切板434と、原料ガス導入部140とを含む。収容槽132の上面には、粒子導入口132aと、第1送出口132bと、第2送出口432aが設けられる。第2送出口432aは、粒子導入口132aと第1送出口132bとの間に設けられる。つまり、第2送出口432aは、粒子導入口132aよりも触媒粒子CATの流れ方向の下流側に設けられる。また、第2送出口432aは、第1送出口132bよりも触媒粒子CATの流れ方向の上流側に設けられる。第2送出口432aには、第2送出管136が接続される。
【0073】
仕切板434は、収容槽132内に設けられる。仕切板434は、収容槽132の上面から下端まで鉛直方向に延在し、両側面に亘って延在した板である。仕切板434の下端(先端)は、分散板142a(底部)から離隔する。仕切板434は、第1送出口132bが設けられる第1室432Aと、粒子導入口132aおよび第2送出口432aが設けられる第2室432Bとに収容槽132内を区画する。
【0074】
なお、水素製造装置100の運転中において、仕切板434の下端は、触媒粒子CATで形成される流動層R内に位置する。つまり、仕切板434は、収容槽132内に形成されるフリーボード領域を2つに区画する。
【0075】
図8は、触媒粒子CATに原料ガスGGであるメタンを通気した反応時間と、収容槽132におけるガスの生成量との関係を説明する図である。
図8中、横軸は、メタン分解の反応時間の経過を示す。
図8中、縦軸は、収容槽132におけるガスの生成量を示す。また、
図8中、白い丸は、メタンを示す。
図8中、白い四角は、水素を示す。
図8中、黒い四角は、一酸化炭素を示す。
図8中、黒い丸は、二酸化炭素を示す。
【0076】
図8に示すように、メタンは、触媒粒子CATの滞留時間が時間Taに到達するまでは、熱分解反応の進行に伴って減少する。また、メタンは、触媒粒子CATの滞留時間が時間Taを超えると、わずかに漸増する。一方、水素の生成量は、触媒粒子CATの滞留時間が時間Taに到達するまでは、メタンの熱分解反応の進行に伴って増加する。また、水素の生成量は、時間Taを超えると、わずかに漸減する。
【0077】
一酸化炭素の生成量は、触媒粒子CATの滞留時間が時間Taよりも短い時間Tbに到達するまでは増加し、時間Tbを超えると漸減する。また、一酸化炭素は、時間Taを超えると、生成量が約0になる。二酸化炭素の生成量は、触媒粒子CATの滞留時間が時間Tbに到達するまでにわずかに生成されるものの、時間Taを超えると、生成量が約0になる。つまり、
図8に示すように、触媒粒子CATの滞留時間が時間Taに到達するまでに、一酸化炭素および二酸化炭素が生成されることがわかる。
【0078】
加熱炉110において、燃料FGを燃焼させる際に用いる空気に含まれる酸素によって、触媒粒子CATの少なくとも一部が酸化され、酸化された触媒粒子CATが熱分解炉130に導かれる。そうすると、熱分解炉130において酸化された触媒粒子CATがメタンによって還元され、一酸化炭素および二酸化炭素が生成されることになる。
【0079】
上記したように、触媒粒子CATは、粒子導入口132aを通じて収容槽132内に導かれ、粒子排出口132cを通じて収容槽132内から排出される。つまり、触媒粒子CATは、収容槽132内を
図6中、右側から左側に移動する。そこで、仕切板434は、収容槽132内における、触媒粒子CATの滞留時間が時間Ta以上の所定の時間に相当する箇所に設置される。
【0080】
これにより、仕切板434は、第2室432Bにおいて、触媒粒子CATが還元されることにより生成される、一酸化炭素および二酸化炭素を含む混合ガスMGbの第1室432Aへの移動を制限することができる。
【0081】
また、第2室432Bにおいて、還元された触媒粒子CATは、仕切板434の下方を通過し、第1室432Aに移動する。このため、熱分解炉430は、第1室432Aにおいて、水素およびメタンを含む混合ガスMGaを生成することができる。
【0082】
こうして、第2室432Bにおいて生成された、メタン、水素、一酸化炭素、および、二酸化炭素を含む混合ガスMGbは、第2送出口432a、第2送出管136を通じて、サイクロン460に送出される。一方、第1室432Aにおいて生成された、メタンおよび水素を含む混合ガスMGaは、第1送出口132b、第1送出管134を通じて、サイクロン210に送出される。
【0083】
図7に示すように、サイクロン460は、第2送出管136を介して、収容槽132の第2送出口432aに接続される。サイクロン460は、第2送出管136を通じて収容槽132から送出された混合ガスMGbを固気分離する。サイクロン460で分離された固形物(触媒粒子CATおよび固体炭素SC)は、ナノ炭素材料として利用されたり、アスファルト、コンクリート等の構造材料に混合されたりする。
【0084】
燃料供給部490は、第9配管492と、炭素回収部494と、第10配管496と、ブロワ498と、燃料供給管500とを含む。
【0085】
第9配管492は、サイクロン460の上部と炭素回収部494とを接続する。サイクロン460によって固形物が分離された後の混合ガスMGbは、第9配管492を通じて、炭素回収部494に導かれる。
【0086】
炭素回収部494は、混合ガスMGbから固体炭素SCを除去する。炭素回収部494は、例えば、バグフィルタ、または、サイクロンである。炭素回収部494によって除去された固体炭素SCは、後段の固体炭素利用設備に搬送される。
【0087】
第10配管496は、炭素回収部494とブロワ498の吸入側とを接続する。ブロワ498は、炭素回収部494によって固体炭素SCが除去された混合ガスMGbを昇圧して加熱炉110に送出する。燃料供給管500は、ブロワ498の吐出側と加熱炉110とを接続する。
【0088】
したがって、本実施形態において、燃料供給部490は、サイクロン460によって分離された混合ガスMGbを燃料FGとして加熱炉110に供給する。
【0089】
第2熱交換部470は、第9配管492を通過する混合ガスMGbと、原料送出管148を通過する原料ガスGGとを熱交換する。そして、第2熱交換部250は、第2熱交換部470によって加熱された原料ガスGGと、第4配管212を通過する混合ガスMGaとを熱交換する。
【0090】
以上説明したように、本実施形態に係る水素製造装置400は、仕切板434および第2送出管136を備える。これにより、水素製造装置400は、触媒粒子CATの還元によって生じた、一酸化炭素および二酸化炭素を、混合ガスMGaから分離することができる。したがって、水素製造装置400は、水素分離部240に導かれる混合ガスMGa中の水素濃度を増加させることが可能となる。このため、水素製造装置400は、水素分離部240を小型化することができる。これにより、水素製造装置400は、水素分離部240のコストを低減することが可能となる。したがって、水素製造装置400は、低コストで水素を製造することが可能となる。
【0091】
以上、添付図面を参照しながら実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0092】
例えば、上述した第1の実施形態において、燃料供給部190が水素のみを燃料FGとして加熱炉110に供給する構成を例に挙げた。しかし、燃料供給部190は、水素に加えて、炭化水素を燃料FGとして加熱炉110に供給してもよい。
【0093】
また、上記第1の実施形態、第1の変形例、第2の変形例、および、第2の実施形態において、酸化剤供給部170が空気を加熱炉110に供給する構成を例に挙げた。しかし、酸化剤供給部170は、酸化剤を加熱炉110に供給すればよい。酸化剤供給部170は、例えば、酸素富化ガスを加熱炉110に供給してもよい。
【0094】
また、上記第1の実施形態、第1の変形例、第2の変形例、および、第2の実施形態において、水素製造装置100、400が第1熱交換部180を備える構成を例に挙げた。しかし、第1熱交換部180は必須の構成ではない。同様に、上記第1の実施形態、第1の変形例、第2の変形例、および、第2の実施形態において、水素製造装置100、400が、第2熱交換部250を備える構成を例に挙げた。しかし、第2熱交換部250は必須の構成ではない。また、第2の実施形態において、水素製造装置400が、第2熱交換部470を備える構成を例に挙げた。しかし、第2熱交換部470は必須の構成ではない。
【0095】
また、上記第2の実施形態において、熱分解炉430が仕切板434を備える場合を例に挙げた。しかし、仕切板434は必須の構成ではない。
【0096】
また、上記第2の実施形態において、仕切板434によって、1つの収容槽132の内部を2つに仕切る場合を例に挙げた。しかし、2つの収容槽132を備えてもよい。この場合、第1送出管134および第1配管112は、第1の収容槽132に接続される。また、連通管122および第2送出管136は、第2の収容槽132に接続される。そして、第1の収容槽132の側面と、第2の収容槽132の側面とを接続する配管およびループシールが設けられる。つまり、第1の収容槽132が第1室432Aとして機能し、第2の収容槽132が第2室432Bとして機能する。
【0097】
また、上記第2の実施形態において、第2熱交換部250は、第2熱交換部470によって熱交換された後の原料ガスGGを熱交換する構成を例に挙げた。しかし、第2熱交換部470は、第2熱交換部250によって熱交換された後の原料ガスGGを熱交換してもよい。
【0098】
また、燃料供給部は、水素分離部240によって分離された水素、水素分離部240によって水素が分離された後の混合ガス、炭素回収部220によって固体炭素が除去された混合ガス、および、第2送出口432aを通じて収容槽132から送出された混合ガスのうちの2種類以上のガスを燃料として加熱炉110に供給してもよい。
【0099】
また、水素製造装置100、400は、スートブロワ、または、ガスの噴流を供給する装置を収容槽132に備えてもよい。これにより、触媒粒子CATから固体炭素SCの脱着を効率よく行うことができる。
【0100】
また、上記したように、混合ガスMG、MGa、MGbの流れに伴い、熱分解炉130から触媒粒子CATの一部が送出される。このため、水素製造装置100に触媒粒子CATが適宜追加されるとよい。なお、加熱炉110、第1配管112、第2配管114、サイクロン120、連通管122を通じて、収容槽132内に触媒粒子CATが追加されるとよい。これにより、新規の触媒粒子CATを効率よく加熱することができる。したがって、常温程度の新規の触媒粒子CATが収容槽132に供給される事態を回避することが可能となる。このため、常温程度の新規の触媒粒子CATによる熱分解反応の抑制を回避することができる。
【符号の説明】
【0101】
100:水素製造装置 110:加熱炉 120:サイクロン 130:熱分解炉 132:収容槽 132a:粒子導入口 132b:第1送出口 140:原料ガス導入部 170:酸化剤供給部 180:第1熱交換部 190:燃料供給部 220:炭素回収部 240:水素分離部 250:第2熱交換部 310:燃料供給部 320:燃料供給部 400:水素製造装置 430:熱分解炉 432A:第1室 432B:第2室 432a:第2送出口 434:仕切板 490:燃料供給部