IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ポリマテック・ジャパン株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-熱拡散シートおよびバッテリーシステム 図1
  • 特許-熱拡散シートおよびバッテリーシステム 図2
  • 特許-熱拡散シートおよびバッテリーシステム 図3
  • 特許-熱拡散シートおよびバッテリーシステム 図4
  • 特許-熱拡散シートおよびバッテリーシステム 図5
  • 特許-熱拡散シートおよびバッテリーシステム 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-18
(45)【発行日】2023-07-26
(54)【発明の名称】熱拡散シートおよびバッテリーシステム
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/653 20140101AFI20230719BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20230719BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20230719BHJP
   H01M 10/6555 20140101ALI20230719BHJP
   H01M 10/651 20140101ALI20230719BHJP
   H01M 50/204 20210101ALI20230719BHJP
【FI】
H01M10/653
H01M10/613
H01M10/625
H01M10/6555
H01M10/651
H01M50/204 401H
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019568975
(86)(22)【出願日】2019-01-15
(86)【国際出願番号】 JP2019000973
(87)【国際公開番号】W WO2019150939
(87)【国際公開日】2019-08-08
【審査請求日】2021-12-15
(31)【優先権主張番号】P 2018013202
(32)【優先日】2018-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】313001332
【氏名又は名称】積水ポリマテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106220
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 正悟
(72)【発明者】
【氏名】小沢 元樹
(72)【発明者】
【氏名】小谷野 茂
【審査官】大濱 伸也
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/179318(WO,A1)
【文献】特開2009-176464(JP,A)
【文献】特開2012-204129(JP,A)
【文献】特開2016-092407(JP,A)
【文献】特開2011-231242(JP,A)
【文献】特開2012-084347(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/52-10/667
H01M 50/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリーシステムを構成する単電池セルに対向配置して前記単電池セルから発生する熱を拡散させる熱拡散シートにおいて、
高分子マトリクスに熱伝導性充填材を含有してなり、
前記熱伝導性充填材は、形状が繊維状、板状、鱗片状の少なくとも何れかの異方形状であるものを有しており、
前記熱伝導性充填材が前記単電池セルの表面に沿った方向に配向しており、
前記単電池セルに対向する表面は、前記熱伝導性充填材が露出するカット面または研磨面であり、
前記熱伝導性充填材は、前記異方形状の長手方向に沿う側部が前記カット面または前記研磨面に沿って露出して前記単電池セルに対向していることを特徴とする熱拡散シート。
【請求項2】
前記熱伝導性充填材の配向方向が前記単電池セルの長手方向に沿った方向である請求項1記載の熱拡散シート。
【請求項3】
前記熱伝導性充填材の配向方向が前記単電池セルの短手方向に沿った方向である請求項1または請求項2記載の熱拡散シート。
【請求項4】
前記単電池セルに対向する表面の平滑度が算術平均粗さ(Ra)で4.0以下である請求項1~請求項3何れか1項記載の熱拡散シート。
【請求項5】
前記熱伝導性充填材が炭素繊維、鱗片状黒鉛粉、グラフェン、カーボンナノチューブ、窒化ホウ素の少なくとも何れかを含む請求項1~請求項4何れか1項記載の熱拡散シート。
【請求項6】
ASTM D2240に準拠したタイプOOデュロメータによる硬度が10~60である請求項1~請求項何れか1項記載の熱拡散シート。
【請求項7】
単電池セルと、前記単電池セルに積層して配置する熱拡散シートとを有する複数のバッテリーモジュールを備えるバッテリーシステムにおいて、
前記熱拡散シートが、請求項1~請求項何れか1項記載の熱拡散シートであることを特徴とするバッテリーシステム。
【請求項8】
単電池セルと前記単電池セルに積層して配置する熱拡散シートとを有するバッテリーモジュールを備えており、複数の前記バッテリーモジュールがバッテリーパックを構成するバッテリーシステムにおいて、
前記熱拡散シートが、請求項1~請求項何れか1項記載の熱拡散シートであることを特徴とするバッテリーシステム。
【請求項9】
前記熱拡散シートの上面および下面に前記単電池セルを積層し、前記上面および前記下面の両面から熱を吸収し拡散する請求項または請求項記載のバッテリーシステム。
【請求項10】
前記単電池セルを積層した前記熱拡散シートを取付ける金属または樹脂からなるフレーム板を備える請求項~請求項何れか1項記載のバッテリーシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、単電池セルを複数配列させてなるバッテリーシステムと、それに用いられる熱拡散シートに関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車の電源として用いられるニッケル水素二次電池や、リチウムイオン二次電池などの従来のバッテリーシステムは、単電池セルを多数集合させた組電池構造となっており、高いエネルギー密度と省スペースの双方を実現させている。具体的には、従来のバッテリーシステムでは、薄いラミネート型である単電池セルが複数枚束ねられてモジュールを構成する。さらにそのモジュールが複数個束ねられるとともに、制御ユニットや冷却システム等も備えることでバッテリーパックを構成する。
【0003】
バッテリーシステムは高温になると劣化が起こり、さらに劣化が進むと単電池セルが膨張するため、隣接する単電池セルの壁面間が接触し応力集中が生じて単電池セルが破損するおそれがあった。こうした不都合を回避する技術として、特開2012-018915号公報(特許文献1)には、バッテリーシステムが高温になるのを防止すべくシリコーンシートやグラファイトシートを単電池セル間に配置する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-018915号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記モジュールの中央部にある単電池セルは、前記モジュールの端部にある単電池セルに比べて放熱し難い。また、中央部にある単電池セルには、高温化し易い部位が存在する。そして、局所的に高熱になる部位があると劣化の進行が早まる箇所が生じることとなり、バッテリーシステム全体としても寿命が短くなる。しかしながら、特開2012-018915号公報(特許文献1)記載の技術では、これらの課題を十分には解決することができなかった。
【0006】
以上のような従来技術を背景になされたのが本発明である。本発明は、単電池セルに発生する局所的な熱を効果的に拡散できる技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明は以下のように構成される。即ち本発明は、バッテリーシステムを構成する単電池セルに対向配置して前記単電池セルから発生する熱を拡散させる熱拡散シートについて、高分子マトリクス内に熱伝導性充填材を含有してなり、前記熱伝導性充填材が前記単電池セルの表面に沿った方向に配向していることを特徴とする。
【0008】
本発明の熱拡散シートは、高分子マトリクスに含有する前記熱伝導性充填材が単電池セルの表面に沿った方向に配向するため、単電池セルの面内に局所的に発生する高熱を、単電池セルの表面に沿った方向に拡散する。このため、本発明の熱拡散シートによれば、単電池セルの局所的な劣化が生じにくくなり、バッテリーシステム全体として寿命を延ばすことができる。
【0009】
前記本発明は、前記熱伝導性充填材の配向方向が、前記単電池セルの長手方向に沿った方向であるものとして構成できる。本発明によれば、単電池セルに局所的に生じる発熱を、同じ単電池セルの長手方向に分布する低発熱部分や非発熱部分へ伝えることができる。そのため本発明によれば、局所的に生じた熱を速やかに放熱することができる。
【0010】
前記本発明は、前記熱伝導性充填材の配向方向が、前記単電池セルの短手方向に沿った方向であるものとして構成することもできる。本発明によれば、単電池セルの短手方向に分布する低発熱部分や非発熱部分に熱を伝えることにより、局所的に生じた熱を速やかに放熱することができる。さらには、熱伝導性充填材が長手方向に沿った方向に配向した熱拡散シートと、熱伝導性充填材が短手方向に沿って配向した熱拡散シートとを、並べて組み合わせて用いることでも、単電池セルの局所的に生じた熱を、単電池セルの平面全体に広げて速やかに放熱することができる。
【0011】
前記本発明の熱拡散シートは、前記単電池セルに対向する表面がカット面または研磨面であるものとして構成できる。本発明によれば、前記単電池セルに対向する表面がカット面または研磨面であるため、熱伝導性充填材が単電池セルと対向する熱拡散シートの表面に露出する。その熱伝導性充填材の露出部分が単電池セルに接触するため、本発明の熱拡散シートは効果的な熱伝達を行うことができる。また、単電池セルに対向する表面がカットまたは研磨によって平滑化されているため、本発明の熱拡散シートは単電池セルとの密着性に優れる。
【0012】
前記本発明の熱拡散シートは、前記単電池セルに対向する表面の平滑度が算術平均粗さ(Ra)で4.0以下として構成できる。本発明によれば、単電池セルに対向する表面が平滑であり、単電池セルとの間に空気層等を伴わずに、単電池セルに対する密着性や追従性がよい。そのため本発明の熱拡散シートは、効率よく熱を吸収し拡散させることができる。
【0013】
前記本発明の熱伝導性充填材は、炭素繊維、鱗片状黒鉛粉、グラフェン、カーボンナノチューブ、窒化ホウ素の少なくとも何れかを含むものとして構成できる。熱伝導性充填材が炭素繊維、鱗片状黒鉛粉、グラフェン、カーボンナノチューブ、窒化ホウ素の少なくとも何れかを含むため、熱伝導性の高い熱拡散シートとすることができる。例えば、炭素繊維は繊維の長さ方向に沿った方向に高い熱拡散性を有するため、炭素繊維の長さ方向が熱拡散シートの表面に沿うように炭素繊維が配向していれば、熱拡散シートの表面に沿って、非常に高い熱拡散性を発揮することができる。
【0014】
前記本発明の熱伝導性充填材は、形状が繊維状、板状、鱗片状の少なくとも何れかの異方形状であるものを有するものとして構成できる。本発明によれば、熱伝導性充填材の形状が、特定方向に長い異方性を有するため、熱伝導性充填材の長さ方向に沿って高い熱拡散性を有することができる。熱伝導性充填材の異方形状は、繊維状、板状、鱗片状の少なくとも何れかとすることができる。このうち繊維状の熱伝導性充填材によれば、長手方向に沿って相互に連なる繊維のように、多数の線状の熱伝導性充填材を配向させることができる。板状及び鱗片状の熱伝導性充填材によれば、熱伝導性充填材が互いに積層しつつ長軸方向に連なることで、優れた熱拡散性を発揮できる。
【0015】
前記本発明の熱拡散シートは、前記異方形状の熱伝導性充填材の長手方向に沿う側部が前記単電池セルに対向する表面に露出しているものとして構成できる。本発明によれば、異方形状の熱伝導性充填材の側部が直接、単電池セルに接触するため、非常に高い熱拡散性を発揮することができる。
【0016】
前記本発明の熱拡散シートは、ASTM D2240に準拠したタイプOOデュロメータによる硬度が10~60である熱拡散シートとして構成できる。本発明によれば、熱拡散シートが非常に低硬度であり、単電池セルの表面に密着しやすい。また、熱による単電池セルの膨張を吸収することができるため、隣接する単電池セルどうしが膨張により互いに圧接して、応力集中により破損することを抑制することができる。
【0017】
また本発明は、単電池セルと、前記単電池セルに積層して配置する熱拡散シートとを有する複数のバッテリーモジュールを備えるバッテリーシステムについて、前記熱拡散シートは、上記何れかの本発明の熱拡散シートであるバッテリーシステムとして構成できる。
【0018】
本発明によれば、本発明の熱拡散シートによる作用効果を有するバッテリーモジュールを備えるバッテリーシステムを得ることができる。例えば本発明によれば、単電池セルが熱拡散シートによって熱を拡散することができるため、単電池セルが局所的に高熱化して劣化することを抑制できる。
【0019】
さらにまた本発明は、単電池セルと、前記単電池セルに積層して配置する熱拡散シートとを有するバッテリーモジュールを備えており、複数の前記バッテリーモジュールがバッテリーパックを構成するバッテリーシステムについて、前記熱拡散シートは、前記何れかの本発明の熱拡散シートであるバッテリーシステムとして構成できる。
【0020】
本発明によれば、本発明の熱拡散シートによる作用効果を有するバッテリーモジュールにより構成されるバッテリーパックを備えるバッテリーシステムを得ることができる。例えば本発明によれば、単電池セルが熱拡散シートによって熱を拡散することができるため、単電池セルが局所的に高熱化して劣化することを抑制できる。
【0021】
前記本発明は、前記熱拡散シートの上面及び下面に前記単電池セルを積層し、前記上面及び下面の両面から熱を吸収し拡散するものとして構成することができる。本発明によれば、熱拡散シートの上面及び下面の両面から効率よく熱を吸収し拡散させることができる。
【0022】
前記本発明は、前記単電池セルを積層した前記熱拡散シートを取付ける金属または樹脂からなるフレーム板を備えるように構成できる。本発明によれば、フレーム板によって単電池セルと熱拡散シートの積層状態を好適に保持することができる。また、フレーム板が金属等の良熱伝導体とすることで、熱拡散シートのみならずフレーム板によっても熱を拡散させることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の熱拡散シート、およびこれを用いたバッテリーシステムによれば、単電池セルの放熱を効果的に行うことができる。そして、バッテリーシステムの寿命を延ばすことができる。
【0024】
また本発明の熱拡散シート、およびこれを用いたバッテリーシステムによれば、単電池セルが発熱により膨張しても、隣接する単電池セル間の応力集中の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の一実施形態による単電池セルを2枚重ねた状態の概略斜視図である。
図2図1の分解斜視図である。
図3図1の単電池セルを複数組み合わせたバッテリーモジュールの分解斜視図である。
図4】本発明の一実施形態によるバッテリーシステムを構成するバッテリーパックを説明する概略斜視図である。
図5】熱拡散シートの実施形態の例を示す拡大説明図である。
図6】熱伝導性試験装置(実験装置)の説明図であり、分図6Aは平面図、分図6Bは分図6AのVIB-VIB線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の熱拡散シートおよびこれを用いたバッテリーシステムについて実施形態に基づいて詳しく説明する。
【0027】
バッテリーシステム1は、バッテリーパック2を備える(図4)。バッテリーパック2は、複数のバッテリーモジュール3と(図3図4)、フレーム板30(第1のフレーム板30A)と、図示しない制御ユニットと、冷却システム等を備えている。第1のフレーム板30aは、金属材、樹脂材、又は金属材及び樹脂材の複合材により板形状に構成されている。第1のフレーム板30aには、複数のバッテリーモジュール3が配置される。各バッテリーモジュール3は、複数の単電池セル積層体4を備える(図1図2図3)。各単電池セル積層体4は、単電池セル10と、熱拡散シート20と、フレーム板30(第2のフレーム板30B)とを備える。
【0028】
図1図2で示す単電池セル積層体4は、板形状の第2のフレーム板30Bの第1の取付面30B1(図中上面)と第2の取付面30B2(図中下面)に、熱拡散シート20と単電池セル10とをそれぞれ積層して構成されている。また、図3で示すように、複数の単電池セル積層体4の間には熱拡散シート20が積層されている。この熱拡散シート20は、隣接する各単電池セル積層体4どうしで対向配置する各単電池セル10に発生する熱を拡散させる。したがって、各単電池セル10は、両面がそれぞれ熱拡散シート20に接触しており、各面に発生した熱をそれぞれ拡散できるようにしている。以下、こうしたバッテリーシステム1を構成する部分について説明する。
【0029】
単電池セル10は、アルミニウム等の金属箔やPET等の樹脂フィルムがラミネートされたラミネートフィルム内に、正極と負極と電解質とが交互に多層積層された積層体が封止された電池である。単電池セル10の端部には電極11が露出している。単電池セル10は、薄板形状に形成されている。
【0030】
熱拡散シート20は、単電池セル10から発生する熱を効果的に外部に伝える部材である。熱拡散シート20は、高分子マトリクス内に熱伝導性充填材が充填されたシート状物にて構成されている。熱伝導性充填材は、高分子マトリクスの内部で単電池セル10の表面10aに沿った方向に配向している。また、単電池セル10と対向する表面20aは、例えばカット面または研磨面として、平滑に形成されている。
【0031】
高分子マトリクスは、定形性と粘着性とを有し、熱伝導性充填材の形状を維持するとともに単電池セル10aの表面に接触させる性質を有するものである。高分子マトリクスは、硬化状態又は未硬化状態で、低硬度のシート形状を維持できるものが好ましく、単電池セル10の表面10aへの取付け時の取扱い性が良ければ未硬化状態を維持するものでもよい。しかしながら、硬化させることで熱拡散シート20の強度や取扱い性がより向上する場合は、硬化するものが好ましい。また、熱拡散シート20は、表面20aのみを硬化させることもできる。表面20aの硬化により強度や耐久性を向上させつつ、内部は未硬化として低硬度を保つことができる。高分子マトリクスの硬化の程度の調製は、硬化触媒や架橋剤等の添加による架橋や、紫外線照射やコロナ処理等のシート表面処理によって行うことができる。
【0032】
高分子マトリクスとしては、例えばシリコーン系やオレフィン系、ウレタン系、アクリル系、エステル系、等のゴム、ゲル、オイル等が挙げられる。高分子マトリクスには、架橋剤や触媒、可塑剤、軟化剤、などの各種添加剤を添加しても良い。
【0033】
熱伝導性充填材は、単電池セル10で局所的に発生した熱を広く拡散させるものである。熱伝導性充填材により広く拡散した熱は、さらには外部へ放熱される。熱伝導性充填材には、炭素系熱伝導性充填剤(炭素繊維、鱗片状黒鉛粉、グラフェン、カーボンナノチューブ等)、無機系熱伝導性充填剤(アルミナ等の無機酸化物、水酸化アルミニウム等の無機水酸化物、窒化アルミニウム、窒化ホウ素等の無機窒化物等)、金属系熱伝導性充填剤(アルミニウムや銅等の金属やそれらを含む合金類等)が挙げられる。
【0034】
熱伝導性充填材の形状は、繊維状、板状、鱗片状、球状、多面体状など種々の形状のものを用いることができる。このうち繊維状や板状、鱗片状等の長さに異方性のある異方形状であれば、その長軸方向に比較的高い熱伝導性を示すものが多い。したがって、熱伝導性充填材は、その長軸方向を揃えて高分子マトリクスの内部に配向させることで、長軸方向に向かう熱拡散路を形成することができる。これにより高分子マトリクスの内部で所定の配向方向への熱伝導性を高めることができる。また、長さに異方性の無い等方形状の粒子の場合には、その粒子を連続配置させることで、連続配置した方向に向かう熱拡散路を形成することができる。
【0035】
繊維状、板状、鱗片状等の異方形状の熱伝導性充填材の長軸方向の長さは、10~1000μm、より好ましくは100~500μmとすることができる。また、高分子マトリクス中の熱伝導性充填材の配合量は、5~80体積%とすることができる。特に繊維状、板状、鱗片状等の異方形状の熱伝導性充填材の高分子マトリクス中の配合量は5~70体積%とすることが可能である。
【0036】
熱伝導性充填材の配向方向は、単電池セル10の表面10aに沿った方向としている。換言すれば、熱拡散シート20の厚み方向に対して垂直となる熱拡散性シート20の表面20aの平面方向である。まず、図5Aの矢印で示すように、熱伝導性充填材の配向方向が、厚み方向に直交する360度全方向である熱拡散シート20Aを例示できる。これによれば、熱拡散シート20Aを挟んで2つの単電池セル10を積層する場合において、熱拡散シート20Aの一方面にある単電池セル10が発生する熱を、熱拡散シート20Aの他方面にある単電池セル10に伝えるのではなく、熱拡散シート20Aが広がる方向に伝えることができる。そのため、単電池セル10全体の放熱を効果的に行うことができる。
【0037】
また、熱伝導性充填材の配向方向は、図5Bで示す熱拡散シート20Bのように、単電池セル10の長手方向に沿った方向にすることができる。単電池セル10は、長手方向で高発熱部分、低発熱部分及び非発熱部分が分布していることがある。そのため高発熱部分で生じる熱を単電池セル10の長手方向に沿って低発熱部分又は非発熱部分に伝えることで、局所的な発熱を抑制し、単電池セル10全体の放熱を効果的に行うことが可能となる。また、低発熱部分で生じる熱を非発熱部分に伝えることで、単電池セル10全体の放熱を効果的に行うことができる。
【0038】
さらに、熱伝導性充填材の配向方向は、図5Cで示す熱拡散シート20Cのように、単電池セル10の短手方向に沿った方向にすることができる。単電池セル10には、短手方向で高発熱部分、低発熱部分及び非発熱部分が分布していることがある。この場合には、単電池セル10の短手方向に沿って発熱部分(高発熱部分及び低発熱部分)の熱を、低発熱部分や非発熱部分に伝えることで、放熱を効果的に行うことができる。
【0039】
そしてまた、熱伝導性充填材の配向方向は、図5Dで示す熱拡散シート20Dのように、長手方向に沿う方向と短手方向に沿う方向とを含むこともできる。こうすることで、単電池セル10に局所的に発生した熱を、熱拡散シート20Dの厚み方向に直交する長手方向と短手方向に伝えて冷却することができ、単電池セル10の破壊や劣化を防止することができる。
【0040】
さらにまた、熱伝導性充填材の配向方向が異なる複数の熱拡散シート20を同一平面上に並べて配置することもできる。例えば、図5Eで示す熱拡散シート20Eのように、熱伝導性充填材の配向方向が単電池セル10の長手方向に沿う熱拡散シート20E1と、短手方向に沿う熱拡散シート20E2とを交互に並べて配置することができる。こうした配置とすることで、単電池セル10の長手方向だけでなく短手方向へも早く熱を拡散させることが可能になる。なお、図5Eでは横一列に並べる例を示したが、複数の熱拡散シートを複数行複数列の行列形態に並べて配置してもよい。さらにこの場合には、複数の熱拡散シートの配向方向の組み合わせによって所定の熱伝導路を形成するように配置してもよい。
【0041】
熱拡散シート20における熱伝導性充填材の配向は、磁場、電場、流動、剪断などの力を利用することによって生じさせることができる。炭素繊維や鱗片状黒鉛粉、グラフェン、カーボンナノチューブ、窒化ホウ素等の熱伝導性充填材は磁化率の異方性を有しており、磁場や電場に沿って配向させることができる。
【0042】
磁場を利用する場合は、永久磁石や電磁石、超伝導磁石などにより発生した磁場を、熱伝導性充填材が配合された未硬化の高分子マトリクスに印加することで、磁力線に沿って熱伝導性充填材が配向する。その後、高分子マトリクスを硬化させることで、高分子マトリクス中に熱伝導性充填材が配向した熱拡散シート20が得られる。
【0043】
電場を利用する場合は、熱伝導性充填材が配合された未硬化の高分子マトリクスを、電線や超電導コイルなどから発生した電場に置くことで、熱伝導性充填材が配向する。その後、高分子マトリクスを硬化させることで、高分子マトリクス中に熱伝導性充填材が配向した熱拡散シート20が得られる。
【0044】
流動や剪断を利用する場合は、押出成形や射出成形、ドクターブレード法、ダイコーティング法、あるいは各種印刷方法を利用することで、高分子マトリクスの流動方向に沿って異方形状の熱伝導性充填材に剪断力がかかり、その力により熱伝導性充填材を配向させることができる。
【0045】
上記方法で熱伝導性充填材を配向させる場合は、液状の高分子マトリクスを用い、配向後に硬化させて配向状態を保持することが好ましい。また、この液状の高分子マトリクスの粘度は、十分低いことが好ましい。低粘度である方が熱伝導性充填材を高分子マトリクス中で動かして一定方向に沿って配向させ易いからである。また、液状の高分子マトリクスに熱伝導性充填材を混合すると熱伝導性充填材の配合量が多いほど粘度が上昇するため、熱伝導性充填材を高充填させる場合ほど低粘度でないと熱伝導性充填材を配向させ難いからである。
【0046】
熱伝導性充填材を含有させた後の高分子マトリクス組成物の粘度は、磁場配向による場合には、10~300Pa・sであることが好ましい。10Pa・s未満では熱伝導性充填材が沈降するおそれがあり、300Pa・sを超えると流動性が低すぎて磁場で配向しないか、配向に時間がかかりすぎるためである。磁場配向以外の配向方法として押出成形等を採用する場合には、300Pa・sを超えても配向させることができる。また、沈降し難い熱伝導性充填材を用いたり、沈降防止剤等の添加剤を組合せたりすることによって10Pa・s未満にできる場合もある。
【0047】
そして、熱伝導性充填材を含む高分子マトリクス組成物の粘度は、磁場配向による場合には、10~200Pa・sであることがより好ましい。粒径の大きな熱伝導性充填材が多く含まれる場合に、200Pa・sを超えると、粒径の大きな熱伝導性充填材の配向がやや難しくなるが、200Pa・s以下であれば、それらの粒径の大きな熱伝導性充填材も配向させることが容易である。
【0048】
熱拡散シート20の製造において、シート状に形成する前の成形体がブロック形状である場合には、熱伝導性充填材の配向方向に沿って刃物でスライス(カット)することでシート形状に形成することが好ましい。こうしてスライスすることで、シート厚に直交するシート表面に沿って熱伝導性充填材が配向した熱拡散シート20になる。また、予め板形状に成形した場合でも、表面を薄くスライスしてその表面側を除去することが好ましい。
【0049】
単電池セル10に対向する熱拡散シート20の表面20aは平滑化することが好ましい。熱拡散シート20の表面20aに凹凸が生じることがあり、表面20aを平滑化することによって、単電池セル10への密着性を高めることができるからである。平滑化は、刃物による切削や、ヤスリ、砥石、ブラシ、研磨紙、布、バフ、研磨材粉末等でシート表面を研磨することで行なうことができる。
【0050】
熱拡散シート20の表面の研磨は、熱拡散シート20の表面のいわゆる「スキン層」を除去し、シート表面に熱伝導性充填材を表出させるために行う。スキン層とは、熱伝導性充填材を含有した高分子マトリクスを型成形したときに、その成形体の表面に形成される、熱伝導性充填材が露出しない高分子マトリクスで覆われた表面層のことをいう。スキン層が生じることで熱伝導性充填材のシート表面への露出が妨げられると熱伝導性が低下する。このため、単電池セル10との接触面は、スキン層が形成されずに熱伝導性充填材が露出していることが好ましい。
【0051】
また、研磨によって、炭素繊維等の異方形状の熱伝導性充填材を充填している場合には、その充填材の側面が露出するため、単電池セル10との接触面積が増加し、熱伝導性に優れた熱拡散シート20となる。さらにまた、研磨によって熱伝導性充填材は削られ難い一方で高分子マトリクスの方が削られ易いため、高分子マトリクス表面よりも熱伝導性充填材が若干突出した表面が得られる。そのため、単電池セル10との接触面積が増加し、熱伝導性に優れた熱拡散シート20となる。なお、研磨によるシート表面からの熱伝導性充填材の脱落を防止するため、熱伝導性充填材の配向方向に沿って研磨することが好ましい。
【0052】
熱拡散シート20の硬度は、ASTM D2240、タイプOOデュロメータによる測定値で10~60であることが好ましく、20~40であることがより好ましい。硬度が10より低いと、低硬度により熱拡散シート20が弱くなり破断等を起こし易く、また取扱い性が悪くなる。一方、硬度が60を超えると、熱拡散シート20が硬くなりすぎて単電池セル10への密着性が劣る。硬度が20~40の範囲であれば、熱拡散シート20が適度な硬さとなり、単電池セル10に密着し易い。また、単電池セル10は発熱により厚み方向に10%程度膨張することがあるが、硬度が10~60の範囲にあれば、単電池セル10が膨張しても、熱拡散シート20がその膨張変形を吸収して、隣接する単電池セル10への圧接、応力集中が無く衝突や加圧を抑えることができる。
【0053】
熱拡散シート20は、一の単電池セル10に対して複数枚の熱拡散シート20を並べて設けることができるが、一の単電池セル10の表面全体を覆う大きさに設けて、一枚の熱拡散シート20で一の単電池セル10と接触させることが好ましい。隣接する熱拡散シート20の間に、熱伝導を損ねる隙間を作らないためである。
【0054】
熱拡散シート20の大きさは、単電池セル10の大きさに合わせて適宜変更することが好ましいが、一態様として長手方向の長さを30~50cmとすることができる。また、熱拡散シート20の厚みは0.1~5mm、より好ましくは0.5~2mmである。0.1mmより薄いと、熱拡散性を発揮しづらくなると共に、単電池セル10の膨張を吸収し難くなる。5mmより厚いと、バッテリーモジュール3に対する体積を多く占めることとなり、省スペース化を実現し難い。
【0055】
熱拡散シート20は、単電池セル10の表面10aに直接接触させることが好ましい。単電池セル10と熱拡散シート20との間に接着剤等を挟んで両者を固着すると、介在する接着剤等により熱伝導が阻害されるからである。単電池セル10の表面10aを覆う熱拡散シート20の端部には、熱伝導性の高い金属板やヒートシンク等の端部熱伝導部材を配置することで、熱拡散シート20から熱を排出させることは好ましい。
【0056】
実施形態の変形例
【0057】
前記実施形態については、構成を変形して実施することが可能であるため、その例を説明する。前記実施形態では、単電池セル積層体4が第2のフレーム30Bを備える例を示したが、第2のフレーム30Bを省略してもよい。また、第2のフレーム30Bは、矩形の板片の長手方向に縦縁を設ける断面I字状のものを例示したが、筒形状、半割筒形状、平面形状の板片等、その他の形状としてもよい。なお、第2のフレーム30Bを熱伝導性の金属材で形成することで、単電池セル10から熱拡散シート20に伝わる熱を、さらに金属製の第2のフレーム30Bに伝えて放熱することもできる。
【0058】
単電池セル積層体4は、2つの単電池セル10を備える例を示したが、3つ以上の単電池セル10を備える構成としてもよく、また1つの単電池セル10を備える構成としてもよい。そして熱拡散シート20の数及び配置は、単電池セル10の個数及び配置に応じて変更することができる。また、第2のフレーム30Bの形状も、単電池セル10及び熱拡散シート20の数と配置に応じて変更することができる。
【0059】
前記実施形態では、単電池セル10の表面10aに1枚の熱拡散シート20を配置する例を示したが、複数枚の熱拡散シート20を積層して配置してもよい。この場合には、熱導電性充填材の配向方向が異なる熱拡散シート20を組み合わせて使用してもよい。例えば単電池セル10と接する1枚目の熱拡散シート20は、熱伝導性充填材の配向方向が熱拡散シート20の短手方向に沿うものであり、2枚目の熱拡散シート20は、熱伝導性充填材の配向方向が熱拡散シート20の長手方向に沿うものとすることができる。
【0060】
前記実施形態では、図5に熱伝導性充填材の配向方向を例示しているが、配向方向が斜め方向に配向するものとしてもよい。
【実施例
【0061】
<試料の作製>
【0062】
試料1:高分子マトリクスである液状シリコーンA材100、液状シリコーンB材10、硬化触媒0.5に対し、熱伝導性充填材であるアルミニウム粉末750、炭素繊維330、グラフェン5、その他の添加材としてシリコーンオイルおよびシランカップリング剤を配合し混合した(何れの単位も重量部)。この液状高分子組成物を所定の大きさの型に入れ、磁場を印加して炭素繊維をシート厚に対して垂直でかつ平面内の一方向に配向させたのち、高分子マトリクスを架橋硬化させた熱拡散ブロックを得た。これを炭素繊維の配向方向に沿ってスライスし、厚さ1mmのシート形状である熱拡散シートを得た。この熱拡散シートを試料1とした。試料1の熱拡散シートは、炭素繊維が熱拡散シートの表面に沿う一方向に配向したものとなっている。
【0063】
試料2~試料5:試料1の熱拡散シートについて、さらに次に示す異なる条件でスライス面を研磨して試料2~試料5の熱拡散シートを得た。即ち、PETフィルムに粒度9μm(メッシュナンバー#2000)の酸化アルミニウムをコーティングしてなる研磨紙を用い、炭素繊維の配向方向に沿って1往復の研磨を行なったものを試料2、同じ研磨紙を用い、炭素繊維の配向方向に沿って3往復の研磨を行なったものを試料3、同じ研磨紙を用い、炭素繊維の配向方向に沿って5往復の研磨を行なったものを試料4、そして、同じ研磨紙を用い、炭素繊維の配向方向と直交して3往復の研磨を行なったものを試料5とした。
【0064】
試料6:高分子マトリクスである液状シリコーンA材100、液状シリコーンB材10、硬化触媒0.5に対し、熱伝導性充填材である水酸化アルミニウム粉末400を配合し混合した(何れの単位も重量部)。この液状高分子組成物を、試料1を作製した方法と同様の方法で成形し、厚さ1mmのシート形状である熱拡散シートを作製した。これを試料6とした。
【0065】
試料7:試料1と同じ液状高分子組成物を用いて、板形状の成形金型にて板形状の一端部から注入して射出成形をすることで、厚さ1mmのシート形状である熱拡散シートを作製した。これを試料7とした。試料7の熱拡散シートは、金型内での流動によって熱伝導性充填材がシートの表面に沿った一方向に配向している。熱拡散シートの表面には熱伝導性充填材が露出せず高分子マトリクスで覆われたスキン層が存在する。
【0066】
<熱伝導性試験>
【0067】
次に説明する実験装置を用いて試料1~試料7の熱拡散シートに熱を与え、その熱伝導性の試験を行った。まず、試料1~試料7の熱拡散シートについては、その大きさが50×50mm、厚さ1mmのものを準備した。図6で示すように、実験装置Eは断熱材からなる箱形断熱容器の底に、直径10mmのヒータ(熱電対)を熱源として設置し、3Vの電圧を印加してヒータ温度が約50℃になるようにした。準備した上記試料でヒータの上面を覆い、試料の上から箱形断熱容器の蓋と200gの重りを載せて密閉し(試料にかかる荷重は8gf/cm)、試料をヒータに密着させた。そして、30分放置後のヒータ温度を測定した。試料1~試料7のそれぞれについて同様に試験する一方、比較として、試料をヒータに載せずに、重りのみを載せた場合についてもヒータ温度を測定した。
【0068】
こうした実験の結果、試料を載せなかった場合のヒータ温度は54℃であったのに対して、試料1は39.4℃、試料2は38.8℃、試料3は38.6℃、試料4は38.2℃、試料5は38.0℃、試料6は45.8℃、となった。ヒータ温度を試料1~試料5では約15℃低下させることができた。また試料1~試料5のシート上面側をサーモグラフィーで観察したところ、炭素繊維が配向した方向に均一に熱が広がり、全体として高熱部分が無くなり冷却された状態になっていることが分かった。一方、試料6では約8℃しか低下できなかった。また試料6のシート上面側をサーモグラフィーで観察したところ、高熱部分がヒータの大きさのまま広がらずに集中した状態であった。
【0069】
試料7を同様に試験した。試料7ではヒータ温度が41.5℃になった。ヒータ温度を約12℃低下させることができた。試料7の上面側をサーモグラフィーで観察したところ、炭素繊維が配向した方向に均一に熱が広がっていることが分かった。また、試料7は試料1~試料5と比べて冷却にやや時間がかかった。試料7の表面には熱伝導性充填材が露出せず高分子マトリクスで覆われたスキン層が存在することがその理由であると考えられる。
【0070】
こうした結果から、スライス(カット)した表面や研磨した表面が表出し、繊維状熱伝導性充填材が一方向に配向した試料1~試料5では好適な熱拡散性が得られることがわかる。
【0071】
上記実施形態は本発明の例示であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、実施形態の変更または公知技術の付加や、組合せ等を行い得るものであり、それらの技術もまた本発明の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0072】
1 バッテリーシステム
2 バッテリーパック
3 バッテリーモジュール
4 単電池セル積層体
10 単電池セル
10a 表面
11 電極
20,20A~20E 熱拡散シート
20a 表面
30 フレーム板
30A 第1のフレーム板
30B 第2のフレーム板
30B1 第1の取付面
30B2 第2の取付面
E 実験装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6