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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-18
(45)【発行日】2023-07-26
(54)【発明の名称】木製部材の接続構造について
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/61 20060101AFI20230719BHJP
   E04B 1/10 20060101ALI20230719BHJP
【FI】
E04B1/61 504C
E04B1/10 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020100839
(22)【出願日】2020-06-10
(65)【公開番号】P2021195743
(43)【公開日】2021-12-27
【審査請求日】2022-12-22
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 発行所名:一般社団法人 日本建築学会 刊行物名:2019年度大会(北陸)日本建築学会大会学術講演梗概集/建築デザイン発表梗概集 発行年月日:2019年7月20日 〔刊行物等〕 集会名 :2019年度日本建築学会大会(北陸) 開催日 :2019年9月3日(2019年9月3日~6日)
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000125347
【氏名又は名称】学校法人近畿大学
(73)【特許権者】
【識別番号】390005186
【氏名又は名称】日本スプライススリーブ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】501267357
【氏名又は名称】国立研究開発法人建築研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】302065828
【氏名又は名称】株式会社日本システム設計
(74)【代理人】
【識別番号】100118924
【弁理士】
【氏名又は名称】廣幸 正樹
(72)【発明者】
【氏名】村上 雅英
【審査官】齋藤 卓司
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-092318(JP,A)
【文献】実開昭57-155309(JP,U)
【文献】中国特許出願公開第110656657(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/38-1/61
E04B 1/00-1/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
木製部材と接続される部材を接続する接続構造であって、
前記木製部材には、
前記木製部材中に設けられた埋設空間と、
前記埋設空間に配置されたスリーブと、
前記埋設空間に充填されたモルタルを有し、
前記接続される部材には、
前記接続される部材面から突設されたボルトを有し、
前記スリーブの開口径は、前記ボルトの最大径より大きく、
前記ボルトは前記スリーブに挿設され、
前記スリーブは、前記木製部材若しくは、前記木製部材に密着し、前記接続される部材の反対側に位置する他部材に固定され
前記モルタルは、前記スリーブの内面と、前記スリーブ内に挿設された前記ボルトとの間にも充填されていることを特徴とする木製部材の接続構造。
【請求項2】
前記スリーブは、内面にリブが形成され、底面に固定部を有し、
前記ボルトは突起形状が形成されている、ことを特徴とする請求項1に記載された木製部材の接続構造。
【請求項3】
前記埋設空間は、接続される部材内に延設されていることを特徴とする請求項1または2に記載された木製部材の接続構造。
【請求項4】
前記木製部材が床パネルであり、
前記接続される部材が第2の壁パネルであり、
前記スリーブは、前記他部材に固定されており、
前記他部材が第1の壁パネルであることを特徴とする請求項1または2に記載された木製部材の接続構造。
【請求項5】
前記木製部材が床パネルであり、
前記接続される部材が第2の壁パネルであり、
前記スリーブは、前記他部材に固定されており、
前記他部材が鉄骨であることを特徴とする請求項1または2に記載された木製部材の接続構造。
【請求項6】
前記木製部材が壁パネルであり、
前記接続される部材が建物の基礎であり、
前記スリーブは、前記壁パネルに固定されていることを特徴とする請求項1または2に記載された木製部材の接続構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CLT(Cross Laminated Timber)パネルを用いた木造建築物において、CLTパネルの接続構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年ひき板(ラミナ)の繊維方向が直交するように積層したCLTパネルが用いられている。また、木造建築を推奨する制度も始まり、木造の高層建築が提案される動きもある。CLTパネルを接合する方法としては、いくつかの提案がされている。特許文献1では、CLTパネルを断面L型に接合する際に、ラグスクリューボルトを用いて接合する方法が開示されている。
【0003】
また、CLTパネルの厚み部分同士を突き合わせて接続する場合は、一方の木口に挿入プレートをボルトで固定し、他方の木口にスリットを設け、挿入プレートをスリットに差し込んだ後、他方のCLTパネルの側面からドリフトピンで他方の木材と挿入プレートを固定する方法が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、CLTパネルの下端にボックス部と棒状部からなる接合金物を配置し、床を挟んだ下方に配置されるCLTパネルの上端とボックス部の間を棒状の接合金物で接合する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2019-196656号公報
【文献】特開2019-119990号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1は、縦方向の柱は通し柱を用いており、床を壁柱で挟む構造ではないので、木造での高層建築には適用しにくい。また、特許文献2は、床面を壁柱で挟む構造になっているが、床面と壁柱同士の接合が直接的であり、下方の壁柱と床面および床面と上方の床面のドリフトピン穴やボルト穴等の高い加工精度が要求される。しかし、木製部材同士の接続部は、現場施工のため高い精度管理が容易ではないという課題もあった。
【0007】
本発明は上記課題に鑑みて想到されたものであり、木製部材の接続に関して施工誤差を容易に吸収でき、木造の高層建築を可能にする木製部材(CLTパネル)の接続構造を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
より具体的に本発明に係る木製部材の接続構造は、
木製部材と接続される部材を接続する接続構造であって、
前記木製部材には、
前記木製部材中に設けられた埋設空間と、
前記埋設空間に配置されたスリーブと、
前記埋設空間に充填されたモルタルを有し、
前記接続される部材には、
前記接続される部材面から突設されたボルトを有し、
前記スリーブの開口径は、前記ボルトの最大径より大きく、
前記ボルトは前記スリーブに挿設され、
前記スリーブは、前記木製部材若しくは、前記木製部材に密着し、前記接続される部材の反対側に位置する他部材に固定され
前記モルタルは、前記スリーブの内面と、前記スリーブ内に挿設された前記ボルトとの間にも充填されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る木製部材の接続構造は、接続される部材に突設させたボルトの最大径より木製部材側に設けた埋設空間中に配置したスリーブの開口径を大きくし、該スリーブにボルトを挿入した後モルタルを充填(注入)することで固定されるので、施工誤差を容易に吸収することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に係る木製部材の接続構造に用いるスリーブを示す(a)断面図および(b)底面図である。
図2】スリーブの他の実施例を示す(a)断面図および(b)底面図である。
図3】壁パネルと床パネルが接続された(a)断面図であり、壁パネルと床パネルが接続される前の(b)断面図である。
図4】壁パネル同士が接続された断面図である。
図5】壁パネルと基礎が接続された断面図である。
図6】壁パネルと床パネルを載置した鉄骨が接続された断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に本発明に係る木製壁パネルの接続構造について説明を行う。なお、以下の説明は本発明の一実施の形態および一実施例についての例示であって、本発明は以下の説明に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、以下の実施の形態は変更することができる。
【0012】
本発明に係る接続構造は、CLTに代表される木製部材同士の接続に利用できる。また、木製部材と梁として用いられる鉄骨および基礎に利用される鉄骨や、基礎から突設されたボルトへの接続にも利用することができる。
【0013】
<スリーブ>
図1および図2に本発明に使用されるスリーブ10(図1)およびスリーブ20(図2)の断面図および底面図を示す。本発明に係る接続構造では、接続される部材と、接続される部材に対して上または下方向に配置される木製部材を接続するために、木製部材中にスリーブを埋設し、接続される部材から突設させたボルトをスリーブ中に挿設し、モルタルを注入して接続される。
【0014】
図1を参照して、図1(a)はスリーブ10の断面図を、図1(b)は、底面10caを示す。スリーブ10は、筒部10aの一方端に、開口部10bが設けられ、他方端に底部10cが筒部10aと一体的に形成された略円筒容器形状を呈している。開口部10bの開いた部分を開口径10bRとする。スリーブ10内面にはリブ10acが形成されている。リブ10acはスリーブ10内面からスリーブ10内側に突設されていればその形状は特に限定しない。図では、リング状のリブ10acが2本形成されたものが示されている。なお、リブ10acは、開口部10bの縁に設けられていてもよい。
【0015】
底部10cの底面10ca中央に雌ネジが形成された穴10crが設けられている。穴10crは、筒部10a内部まで貫通していてもよい。また、底面10caには筒部10a内部と連通する底面貫通孔10cvが形成されている。図では底面貫通孔10cvが4つある場合を示している。また、筒部側面10asの下部(底部10cに近い方)には筒部10a内部と連通する貫通孔10asvが形成されている。なお、後述する図3の場合においては、底面貫通孔10cvは、設けなくてもよい場合がある。
【0016】
図2を参照して、図2(a)はスリーブ20の断面を表し、図2(b)は、底面20caを示す。スリーブ20は、スリーブ10と同様に、筒部20aの一方端に開口部20bが設けられ、他方端に底部20cが筒部20aと一体的に形成されている。開口部20bの開いた部分を開口径20bRとする。スリーブ20の底部20cは、筒部20aの外径より大きいフランジ22が形成されている。図2ではフランジ22を略四角形としたが、フランジ22の形状は特に限定されない。フランジ22には、固定用貫通孔22aが形成されている。図では、固定用貫通孔22aは4か所形成されている状態を示したが、固定用貫通孔22aの数は2個以上であれば特に限定されない。なお、スリーブ20の底面20caには、スリーブ10同様に穴20crが設けられていてもよい。
【0017】
なお、スリーブ20の筒部側面20asの下部(底部20cに近い方)には、筒部20a内部と連通する貫通孔20asvが設けられている。また、筒部20aの内面にはスリーブ10同様にリブ20acが設けられている。
【0018】
スリーブ10の穴10crとスリーブ20のフランジ22に形成された固定用貫通孔22aは、共にスリーブ10およびスリーブ20を、後述する木製部材若しくは他部材に固定するために用いられる。つまりスリーブ10およびスリーブ20とも底部(10cおよび20c)に、木製部材若しくは他部材に固定するための固定部を有していると言ってもよい。
【0019】
また、スリーブ10およびスリーブ20は、硬度の高い材質であれば、特に限定されない。例えば、製造しやすいという観点から鋳物であれば好適である。
【0020】
<壁パネル/床パネル/壁パネル>
図3に本発明のスリーブ10を用いて、第1の壁パネル50の上に敷かれた床パネル30と第2の壁パネル40を接続する場合の接続構造を示す。なお、本明細書において、スリーブ10(若しくは20)より下側にある壁パネルを第1の壁パネル50と呼び、上側にある壁パネルを第2の壁パネル40と呼ぶ。図3(a)は、接続された状態を示し、図3(b)は、接続前の状態を示す。図3の場合、木製部材は床パネル30であり、接続される部材は第2の壁パネル40である。また、第1の壁パネル50は他部材である。
【0021】
第2の壁パネル40には、ボルト16が固定される。図3では、ボルト16は、第2の壁パネル40の下端面40aから下方に突設されている。
【0022】
ボルト16には先端に突起形状16aが形成される。突起形状16aの形体は、特に限定されない。ボルト16に雄ネジが形成されていた場合には、その雄ネジと嵌合するピッチの雌ネジが形成されたナットを螺合して突起形状16aとしてもよい。突起形状16aを含めスリーブ10内に挿入されるボルト16の最も太い部分をボルト16の最大径と呼ぶ。ボルト16と第2の壁パネル40との固定方法は特に限定されない。
【0023】
他部材(この場合第1の壁パネル50)には、固定ネジ18が設置されている。なお、固定ネジ18は後述するように木製部材自身に設置される場合もある。図3の場合は、第1の壁パネル50の上端面50aから上方に向かって突設されている。固定ネジ18は、スリーブ10の穴10crの雌ネジに嵌合するピッチの雄ネジ溝が形成されている。固定ネジ18と第1の壁パネル50との結合方法は特に限定されない。
【0024】
床パネル30にはスリーブ10が収納できる貫通孔32が形成される。第1の壁パネル50の上端面50aは貫通孔32の下端開口を塞ぐ。また、第2の壁パネル40の下端面40aは貫通孔32の上端開口を塞ぐ。結果、第1の壁パネル50の上端面50a、貫通孔32、第2の壁パネル40の下端面40aに囲まれた空間が、第1の壁パネル50と床パネル30と第2の壁パネル40の重なり部分に形成される。この空間を埋設空間14と呼ぶ。スリーブ10は、埋設空間14に配置される。したがって、埋設空間14の内径は、スリーブ10の外径よりも大きい。つまり、スリーブ10の外面と埋設空間14の内面の間には隙間14aが形成されている。
【0025】
スリーブ10の底部10cの底面10caに形成された穴10crは、第1の壁パネル50の上端面50aから突設された固定ネジ18と螺着する。スリーブ10は、第1の壁パネル50の上端面50aに固定される。一方、第2の壁パネル40の下端面40aから下方に向かって突設されたボルト16は、スリーブ10内に挿設される。
【0026】
ここで、スリーブ10の開口径10bRは、ボルト16の最大径よりも大きく設定されている。したがって、ボルト16をスリーブ10に挿設する際には、高い精度を必要とせず、スリーブ10の設定位置と、ボルト16の設定位置に多少の違いがあっても、挿設することが可能となる。すなわち、スリーブ10の開口径10bRとボルト16の最大径の差分だけ床パネル30と第2の壁パネル40の取付の位置ずれを許容(吸収)できる許容代となる。
【0027】
埋設空間14にはモルタルが充填される。モルタルは、ボルト16が挿設された状態で、スリーブ10の内部で硬化するため、ボルト16はスリーブ10内部で固定される。スリーブ10内には、リブ10ac(図1参照)が形成され、ボルト16は突起形状16aが形成されている。したがって、ボルト16とスリーブ10はモルタルを介して強固に固定される。
【0028】
したがって、床パネル30は、接続される部材(第2の壁パネル40)の反対側に配置された第1壁パネル50に固定されたスリーブ10により強固に接続される。
【0029】
なお、埋設空間14にモルタルを充填するために、注入孔26aと排出孔26bが形成されている。注入孔26aは排出孔26bより重力方向で下側に設けるのが望ましい。図3の場合、注入孔26aは床パネル30から埋設空間14の下部に向けて形成されており、排出孔26bは、第2の壁パネル40から埋設空間14の上部に向けて形成されている。埋設空間14の下方から充填されたモルタルは、スリーブ10の貫通孔10asvからスリーブ10の内部に充填される。また、埋設空間14とスリーブ10の隙間14aにも充填される。
【0030】
なお、第2の壁パネル40の下端面40aにおいて、ボルト16の周囲を抉って、埋設空間14を第2の壁パネル40中に延設してもよい。接合相手中に設けられ埋設空間14と連続的につながる空間をを延設埋設空間15と呼ぶ。延設埋設空間15は、主として木製部材と接合相手の接合強度を高めるために設けられる。また、図3の場合は、スリーブ10の底面10ca(図1参照)が他部材(この場合第1の壁パネル50)に穴10cr以外の部分では接している。このような場合は、底面貫通孔10cv(図1参照)は設けなくてもよい。
【0031】
<壁パネル/壁パネル/**>
図4には、スリーブ10で壁パネル同士を接続する場合の構造を示す。図4の場合、木製部材は、上方の第2の壁パネル40であり、接続される部材は下方の第1の壁パネル50である。このようにスリーブ10は、底部10cを上側にし、開口部10bを下方に向けて用いることもできる。なお、図4の場合、他部材はない。また、固定ネジ18は、木製部材(第2の壁パネル40)自体に設置される。
【0032】
埋設空間14は、第2の壁パネル40の下端と、第1の壁パネル50の上端の間に形成される。ここでは、埋設空間14の下面を第1の壁パネル50の上端面50aで構成する場合で説明する。しかし、埋設空間14は、第1の壁パネル50中に延設埋設空間15を設けて形成してもよい。また、第1の壁パネル50中に埋設空間14を形成し、第2の壁パネル40中に延設埋設空間15を設けてもよい。
【0033】
第2の壁パネル40の下端にはスリーブ10を埋設する埋設空間14が形成されている。埋設空間14の上端には、埋設空間14の内径より径の小さい小空間14bが設けられる。小空間14bは固定ネジ18が設置された部材に設けられ埋設空間14と連通する空間である。小空間14bは、主としてスリーブ10の底部10c側からモルタルを注入しやすくするために設けられる。なお、小空間14bも埋設空間14の一部としてよい。
【0034】
小空間14bから第2の壁パネル40の表面と連通する排出孔26bが形成されている。また、埋設空間14の下方には排出孔26bと同様に、第2の壁パネル40の表面と連通する注入孔26aが形成される。
【0035】
小空間14bの上端からは固定ネジ18が突設されている。固定ネジ18はスリーブ10の穴10crに螺着し、スリーブ10を埋設空間14に固定している。したがって、スリーブ10は、木製部材自体に固定されている。
【0036】
小空間14bとスリーブ10の底面10ca(図1参照)に形成された底面貫通孔10cvは連通状態になっている。注入孔26aから注入されたモルタルが排出孔26bを通って第2の壁パネル40の表面に漏れ出るようにするためである。また、接続される部材となる第1の壁パネル50の上端面50aからはボルト16が上方向に突設される。
【0037】
第1の壁パネル50と第2の壁パネル40は、ボルト16がスリーブ10に挿設されるように載置される。そして、埋設空間14にはモルタルが充填される。充填は、注入孔26aからモルタルを注入し、排出孔26bからモルタルがあふれるまで注入することで、埋設空間14にモルタルが充填される。
【0038】
以上のように本発明に係る接続構造は、壁パネル同士を接続する際にも利用することができる。なお、この例では、第2の壁パネル40を木製部材とし、第1の壁パネル50を接続される部材としたが、逆にすることもできる。
【0039】
<基礎/壁パネル/**>
図5に接続される部材が基礎60と、第2の壁パネル40を接合する場合の構成を示す。この場合、木製部材は第2の壁パネル40であり、接続される部材は基礎60である。他部材はない。第2の壁パネル40(木製部材)内にスリーブ10を配置する埋設空間14を形成するのは、図4の場合と同じである。接続される部材は第2の壁パネル40の下方に配置されている。第2の壁パネル40との接続面は、コンクリート面(基礎60の上に配した鉄板でもよい)であり、接続面からボルト16が突設されている。
【0040】
本発明に係る接続構造では、木製部材をコンクリート等の基礎60に対しても強固に接続することができる。
【0041】
<鉄骨/床パネル/壁パネル>
図6には、スリーブ20を用いて、木製部材(床パネル30)と接続される部材(第2の壁パネル40)を接続する場合を示す。この場合は、他部材として鉄骨62を利用する。すなわち、鉄骨62の梁の上に載置された床パネル30と、床パネル30の上に載置された第2の壁パネル40を接続する。
【0042】
スリーブ20は、他部材である鉄骨62同士のつなぎ目部分を跨ぐように配置される場合を示しているが、鉄骨62の中ほどに配置してもよい。スリーブ20のフランジ22に設けられた固定用貫通孔22aと鉄骨62に設けられた結合孔をボルト締結することで、スリーブ20は鉄骨62に固定される。床パネル30には、フランジ22を包む埋設空間14が設けられる。
【0043】
また、図6では、接続される部材である第2の壁パネル40内に延設埋設空間15を設け、埋設空間14を拡大した場合を示す。スリーブ20は筒部20aの長さが長くなり、内部に設けられたリブ20acも4つ設けた例を示している。
【0044】
接続される部材である第2の壁パネル40中の延設埋設空間15の上端からは下方に向かってボルト16が突設されている。ボルト16は、スリーブ20内に挿設される。そして、埋設空間14および延設埋設空間15をモルタルで充填し、固定する。このように、接続される部材である第2の壁パネル40中に延設埋設空間15を設けることで、床パネル30と第2の壁パネル40がモルタルでも接続されることとなり、横方向のせん断力に対する抗力が高くなる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は木製部材の壁パネルの接合に好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0046】
10 スリーブ
10a 筒部
10ac リブ
10as 筒部側面
10asv 貫通孔
10b 開口部
10bR 開口径
10c 底部
10ca 底面
10cr 穴
10cv 底面貫通孔
14 埋設空間
14a 隙間
14b 小空間
15 延設埋設空間
16 ボルト
16a 突起形状
18 固定ネジ
20 スリーブ
20a 筒部
20as 筒部側面
20asv 貫通孔
20ac リブ
20b 開口部
20bR 開口径
20c 底部
20ca 底面
20cr 穴
22 フランジ
22a 固定用貫通孔
26a 注入孔
26b 排出孔
30 床パネル
32 貫通孔
40 第2の壁パネル
40a 下端面
50 第1の壁パネル
50a 上端面
60 基礎
62 鉄骨
図1
図2
図3
図4
図5
図6