(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-18
(45)【発行日】2023-07-26
(54)【発明の名称】グラフェンナノリボンネットワーク膜の製造方法及び電子装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
C01B 32/184 20170101AFI20230719BHJP
C08G 61/10 20060101ALI20230719BHJP
H01L 29/786 20060101ALI20230719BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20230719BHJP
H01L 29/06 20060101ALI20230719BHJP
H01L 29/16 20060101ALI20230719BHJP
C01B 32/15 20170101ALI20230719BHJP
【FI】
C01B32/184
C08G61/10
H01L29/78 618B
H01L29/78 618A
H01L29/06 601N
H01L29/16
C01B32/15
(21)【出願番号】P 2019108150
(22)【出願日】2019-06-10
【審査請求日】2022-03-01
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成29年度、国立研究開発法人科学技術振興機構、戦略的創造研究推進事業「グラフェンナノリボンの合成・評価とシミュレーション」委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】504143441
【氏名又は名称】国立大学法人 奈良先端科学技術大学院大学
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】山口 淳一
(72)【発明者】
【氏名】林 宏暢
(72)【発明者】
【氏名】山田 容子
【審査官】玉井 一輝
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-156791(JP,A)
【文献】特表2017-520618(JP,A)
【文献】GIOVANNANTONIO Di Marco, et al.,On-Surface Growth Dynamics of Graphene Nanoribbons : The Role of Halogen Functionalization,ACS Nano,2018年,12(1),74-81
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 32/00-32/991
C08G 2/00- 2/38
61/00-61/12
H01L 29/78
H01L 29/06
H01L 29/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
結晶構造が面心立方格子の金属膜の(111)面に、下記の化学式(1)で表される構造式を有するグラフェンナノリボン前駆体を第1の温度で蒸着する工程と、
前記(111)面上で前記グラフェンナノリボン前駆体を前記第1の温度よりも高い第2の温度に加熱して、Xの脱離及びC-C結合反応を誘起し、前記(111)面上にポリマーを得る工程と、
前記ポリマーを前記第2の温度よりも高い第3の温度に加熱して、Yの脱離及びC-C結合反応を誘起する工程と、
前記ポリマーを前記第3の温度以上の第4の温度に加熱して、Zの脱離及びC-C結合反応を誘起することにより、前記(111)面上で互いに60度の整数倍の角度をなして配列した複数のグラフェンナノリボンを得る工程と、
前記複数のグラフェンナノリボンを前記第4の温度よりも高い第5の温度に
1時間~3時間保持して、前記複数のグラフェンナノリボンを互いにsp
2軌道混成の六員環接合させる工程と、
を有し、
前記第5の温度は450℃~500℃であり、
下記の化学式(1)において、
n
1は、1以上6以下の整数であり、
X、Y及びZは、F、Cl、Br、I、H、OH、SH、SO
2H、SO
3H、SO
2NH
2、PO
3H
2、NO、NO
2、NH
2、CH
3、CHO、COCH
3、COOH、CONH
2、COCl、CN、CF
3、CCl
3、CBr
3又はCI
3であり、
六員環を構成する炭素原子からのX、Y、Zの脱離温度をそれぞれT
X、T
Y、T
Zとしたとき、T
X<T
Y≦T
Zの関係が成り立つことを特徴とするグラフェンナノリボンネットワーク膜の製造方法。
【化1】
【請求項2】
前記第1の温度はXの脱離温度T
X未満であり、
前記第2の温度は前記脱離温度T
X以上Yの脱離温度T
Y未満であり、
前記第3の温度は前記脱離温度T
Y以上Zの脱離温度T
Z未満であり、
前記第4の温度は前記脱離温度T
Z以上であることを特徴とする請求項
1に記載のグラフェンナノリボンネットワーク膜の製造方法。
【請求項3】
Y及びZが同一であり、前記第3の温度及び前記第4の温度が互いに等しいことを特徴とする請求項
1又は
2に記載のグラフェンナノリボンネットワーク膜の製造方法。
【請求項4】
蒸着する前記グラフェンナノリボン前駆体の厚さを1ML~3MLとすることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のグラフェンナノリボンネットワーク膜の製造方法。
【請求項5】
請求項
1乃至
4のいずれか1項に記載の方法により、前記金属膜の前記(111)面上にグラフェンナノリボンネットワーク膜を製造する工程と、
前記グラフェンナノリボンネットワーク膜をチャネルに有する電界効果トランジスタを形成する工程と、
を有することを特徴とする電子装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グラフェンナノリボンネットワーク膜の製造方法及び電子装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
グラフェンはC原子がハニカム状に並んだ二次元のシート構造の材料である。グラフェンの電荷の移動度は室温においても極めて高く、グラフェンはバリスティック伝導及び半整数量子ホール効果等の特異な電子物性を示す。グラフェンは、π電子共役が二次元に拡張しているため、バンドギャップが実質的にゼロであり、金属的な性質(ギャップレス半導体)を示す。近年、これらの特徴的な電子的機能を活かしたエレクトロニクスデバイスの研究開発が盛んに行われている。
【0003】
その一方で、ナノサイズのグラフェンは、エッジにあるC原子の個数とエッジの内側にあるC原子の個数との差が小さく、グラフェン自体の形状やエッジの形状の影響が大きく、バルク状のグラフェンとは大きく異なる物性を示す。ナノサイズのグラフェンとして、幅が数nmのリボン形状の擬一次元のグラフェン、所謂、グラフェンナノリボン(graphene nanoribbon:GNR)が知られている。GNRの物性は、エッジの構造及びリボン幅によって大きく変化する。
【0004】
GNRのエッジ構造には、C原子が2原子周期で配列したアームチェアエッジ及びC原子がジグザグ状に配列したジグザグエッジの2種類がある。アームチェアエッジ型のGNR(AGNR)では、量子閉じ込め効果及びエッジ効果によって有限のバンドギャップが広がるため、AGNRは半導体的な性質を示す。一方、ジグザグエッジ型のGNR(ZGNR)は金属的な性質を示す。
【0005】
一般に、リボン幅方向のC-Cダイマーラインの数がNのAGNRは「N-AGNR」とよばれる。例えば、リボン幅方向に六員環が3つ配列したアントラセンを基本ユニットとするAGNRは7-AGNRとよばれる。
【0006】
GNRの応用に関し、複数のGNRを含むGNRネットワーク膜を電界効果トランジスタのチャネルに用いることが試みられている。
【0007】
しかしながら、従来のGNRネットワーク膜をチャネルに用いても、優れた電荷の移動度を得ることができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開平10-139411号公報
【文献】特開2015-525186号公報
【文献】特開2008-266112号公報
【文献】特開2011-166070号公報
【非特許文献】
【0009】
【文献】A.Bachtold et al.,Science 294,1317(2001)
【文献】J.Cai et al.,Nature 466,470(2010)
【文献】T.Dienel et al.,Nano Lett.15,5185(2015)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本開示の目的は、優れた電荷の移動度を得ることができるグラフェンナノリボンネットワーク膜の製造方法及び電子装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本開示の一形態によれば、結晶構造が面心立方格子の金属膜の(111)面に、下記の化学式(1)で表される構造式を有するグラフェンナノリボン前駆体を第1の温度で蒸着する工程と、前記(111)面上で前記グラフェンナノリボン前駆体を前記第1の温度よりも高い第2の温度に加熱して、Xの脱離及びC-C結合反応を誘起し、前記(111)面上にポリマーを得る工程と、前記ポリマーを前記第2の温度よりも高い第3の温度に加熱して、Yの脱離及びC-C結合反応を誘起する工程と、前記ポリマーを前記第3の温度以上の第4の温度に加熱して、Zの脱離及びC-C結合反応を誘起することにより、前記(111)面上で互いに60度の整数倍の角度をなして配列した複数のグラフェンナノリボンを得る工程と、前記複数のグラフェンナノリボンを前記第4の温度よりも高い第5の温度に1時間~3時間保持して、前記複数のグラフェンナノリボンを互いにsp2軌道混成の六員環接合させる工程と、を有し、前記第5の温度は450℃~500℃であり、下記の化学式(1)において、n1は、1以上6以下の整数であり、X、Y及びZは、F、Cl、Br、I、H、OH、SH、SO2H、SO3H、SO2NH2、PO3H2、NO、NO2、NH2、CH3、CHO、COCH3、COOH、CONH2、COCl、CN、CF3、CCl3、CBr3又はCI3であり、六員環を構成する炭素原子からのX、Y、Zの脱離温度をそれぞれTX、TY、TZとしたとき、TX<TY≦TZの関係が成り立つグラフェンナノリボンネットワーク膜の製造方法が提供される。
【0013】
【0014】
本開示の他の一形態によれば、上記のグラフェンナノリボンネットワーク膜を電界効果トランジスタのチャネルに有する電子装置が提供される。
【0015】
本開示の他の一形態によれば、上記の方法により、前記金属膜の前記(111)面上にグラフェンナノリボンネットワーク膜を製造する工程と、前記グラフェンナノリボンネットワーク膜をチャネルに有する電界効果トランジスタを形成する工程と、を有する電子装置の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0016】
本開示の技術によれば、優れた電荷の移動度を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】第1の実施形態に係るGNRネットワーク膜を示す模式図である。
【
図2A】第1の実施形態に含まれるGNRを示す図(その1)である。
【
図2B】第1の実施形態に含まれるGNRを示す図(その2)である。
【
図3A】第1の実施形態に係るGNRネットワーク膜の製造方法を示す斜視図(その1)である。
【
図3B】第1の実施形態に係るGNRネットワーク膜の製造方法を示す斜視図(その2)である。
【
図4】第1の実施形態に係るGNRネットワーク膜の製造方法を示す模式図である。
【
図5A】加熱前のGNRを示す図(その1)である。
【
図5B】加熱前のGNRを示す図(その2)である。
【
図6A】GNRの合成方法を示す図(その1)である。
【
図6B】GNRの合成方法を示す図(その2)である。
【
図6C】GNRの合成方法を示す図(その3)である。
【
図6D】GNRの合成方法を示す図(その4)である。
【
図7A】GNR前駆体の合成方法を示す図(その1)である。
【
図7B】GNR前駆体の合成方法を示す図(その2)である。
【
図8A】GNR前駆体の原料の構造式を示す図(その1)である。
【
図8B】GNR前駆体の原料の構造式を示す図(その2)である。
【
図9A】GNRの合成方法の具体例を示す図(その1)である。
【
図9B】GNRの合成方法の具体例を示す図(その2)である。
【
図10A】第1の実施形態に係るGNRネットワーク膜の顕微鏡写真を示す図(その1)である。
【
図10B】第1の実施形態に係るGNRネットワーク膜の顕微鏡写真を示す図(その2)である。
【
図10C】第1の実施形態に係るGNRネットワーク膜の顕微鏡写真を示す図(その3)である。
【
図11】第2の実施形態に係る電子装置を示す断面図である。
【
図12A】第2の実施形態に係る電子装置の製造方法を示す平面図(その1)である。
【
図12B】第2の実施形態に係る電子装置の製造方法を示す平面図(その2)である。
【
図12C】第2の実施形態に係る電子装置の製造方法を示す平面図(その3)である。
【
図12D】第2の実施形態に係る電子装置の製造方法を示す平面図(その4)である。
【
図12E】第2の実施形態に係る電子装置の製造方法を示す平面図(その5)である。
【
図12F】第2の実施形態に係る電子装置の製造方法を示す平面図(その6)である。
【
図13A】第2の実施形態に係る電子装置の製造方法を示す断面図(その1)である。
【
図13B】第2の実施形態に係る電子装置の製造方法を示す断面図(その2)である。
【
図13C】第2の実施形態に係る電子装置の製造方法を示す断面図(その3)である。
【
図13D】第2の実施形態に係る電子装置の製造方法を示す断面図(その4)である。
【
図13E】第2の実施形態に係る電子装置の製造方法を示す断面図(その5)である。
【
図13F】第2の実施形態に係る電子装置の製造方法を示す断面図(その6)である。
【
図14】第3の実施形態に係る電子装置を示す断面図である。
【
図15A】第3の実施形態に係る電子装置の製造方法を示す断面図(その1)である。
【
図15B】第3の実施形態に係る電子装置の製造方法を示す断面図(その2)である。
【
図15C】第3の実施形態に係る電子装置の製造方法を示す断面図(その3)である。
【
図15D】第3の実施形態に係る電子装置の製造方法を示す断面図(その4)である。
【
図15E】第3の実施形態に係る電子装置の製造方法を示す断面図(その5)である。
【
図15F】第3の実施形態に係る電子装置の製造方法を示す断面図(その6)である。
【
図15G】第3の実施形態に係る電子装置の製造方法を示す断面図(その7)である。
【
図15H】第3の実施形態に係る電子装置の製造方法を示す断面図(その8)である。
【
図16】第4の実施形態に係る電子装置を示す断面図である。
【
図17A】第4の実施形態に係る電子装置の製造方法を示す断面図(その1)である。
【
図17B】第4の実施形態に係る電子装置の製造方法を示す断面図(その2)である。
【
図17C】第4の実施形態に係る電子装置の製造方法を示す断面図(その3)である。
【
図17D】第4の実施形態に係る電子装置の製造方法を示す断面図(その4)である。
【
図17E】第4の実施形態に係る電子装置の製造方法を示す断面図(その5)である。
【
図18】C-Cダイマーラインとリボン幅Wとの関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本開示の実施形態について添付の図面を参照しながら具体的に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省くことがある。
【0019】
(第1の実施形態)
第1の実施形態は、グラフェンナノリボン(GNR)ネットワーク膜に関する。
図1は、第1の実施形態に係るGNRネットワーク膜を示す模式図である。
図2A及び
図2Bは、第1の実施形態に係るGNRネットワーク膜に含まれるGNRを示す図である。
【0020】
第1の実施形態に係るGNRネットワーク膜1は、複数のGNR2を含む。
図2A及び
図2Bに示すように、複数のGNR2は互いに60度の整数倍の角度をなして配列している。また、複数のGNR2は、互いにsp
2軌道混成の六員環接合している。すなわち、複数のGNR2は、少なくとも一つの六員環3を介して互いに接合している。このsp
2軌道混成の六員環接合は、例えば、GNR2の末端同士で生じている。
【0021】
第1の実施形態によれば、複数のGNR2が互いに60度の整数倍の角度をなして配列し、互いにsp2軌道混成の六員環接合しているため、GNR2の内部だけでなく、GNR2の間にも優れた電荷の移動度を得ることができる。従って、GNRネットワーク膜1の全体で優れた電荷の移動度を得ることができる。
【0022】
次に、第1の実施形態に係るGNRネットワーク膜の製造方法について説明する。
図3A~
図3Bは、第1の実施形態に係るGNRネットワーク膜の製造方法を示す斜視図である。
【0023】
この方法では、先ず、
図3Aに示すように、絶縁基板11上に金属膜12を形成する。絶縁基板11としては、例えばマイカ基板、表面がc面のサファイア(α-Al
2O
3)結晶基板、表面のミラー指数が(111)のMgO結晶基板等を用いることができる。金属膜12としては、結晶構造が面心立方格子(fcc)で、表面のミラー指数が(111)のAu、Ag、Cu、Ni、Rh、Pd、Ir又はPtの膜を用いることができる。絶縁基板11及び金属膜12が成長基板10に含まれる。
【0024】
例えば、大気中でマイカ基板を劈開して、表面が清浄なマイカ基板を作製し、このマイカ基板を基本真空度が1×10-7Pa以下の真空槽内に導入し、300℃~500℃の温度で12時間~24時間の間、アニール処理を施す。次いで、300℃~500℃の温度を保持しながら、蒸着法により、マイカ基板の清浄な表面上にAu膜を形成する。例えば、蒸着速度は0.05nm/秒~1.0nm/秒とし、Au膜の厚さは100nm~200nmとする。このようにして形成されるAu膜の表面のミラー指数は(111)となる。
【0025】
なお、Au膜とマイカ基板との間の密着性を高めるために、Au膜の形成前にマイカ基板上に、例えば厚さが0.5nm~1nmのTi膜を形成してもよい。また、金属膜12の形成方法は蒸着法に限定されず、スパッタ法、パルスレーザ堆積法、分子線エピタキシー法等により金属膜12を形成してもよい。
【0026】
金属膜12の形成後、金属膜12の表面清浄処理を行う。この表面清浄処理では、例えば、金属膜12の表面へのArイオンスパッタ及び超高真空下でのアニールを1サイクルとし、これを複数サイクル実施する。例えば、各サイクルにおいて、Arイオンスパッタでは、イオン加速電圧を1.0kVとし、イオン電流を10μAとし、時間を1分間とし、アニールでは、5×10-7Pa以下の真空度を保持しつつ、温度を400℃~500℃とし、時間を10分間とする。例えば、サイクル数は3サイクルとする。金属膜12としてAu膜を形成している場合、表面清浄処理により、Au(111)の23×√3再構成表面が得られ、原子レベルでの平坦性がより向上する。
【0027】
次いで、
図3Aに示すように、表面清浄処理を施した金属膜12の表面を大気に曝すことなく、金属膜12の表面上にエッジ構造がアームチェア型のGNR膜13を形成する。この方法では、GNR膜13をin situで形成する。
図4は、GNR膜13を示す模式図である。
図5A及び
図5Bは、GNR膜13に含まれるGNR2を示す図である。
図4に示すように、GNR膜13は、複数のGNR2を含む。また、fccの(111)面が6回回転対称性を有しているため、金属膜12の表面上でGNR2が延びる方向は3方向であり、
図5A及び
図5Bにも示すように、これら3方向のなす角度は60度又は120度である。つまり、複数のGNR2は(111)面上で互いに60度の整数倍の角度をもって配向する。
【0028】
ここで、GNR2を合成する方法について説明する。
図6A~
図6Dは、GNRの合成方法を示す図である。
【0029】
先ず、
図6Aに示すように、GNR前駆体100を準備する。
図6Aにおいて、n
1は、1以上6以下の整数である。X、Y及びZは、F、Cl、Br、I、H、OH、SH、SO
2H、SO
3H、SO
2NH
2、PO
3H
2、NO、NO
2、NH
2、CH
3、CHO、COCH
3、COOH、CONH
2、COCl、CN、CF
3、CCl
3、CBr
3又はCI
3である。六員環を構成する炭素原子からのX、Y、Zの脱離温度をそれぞれT
X、T
Y、T
Zとしたとき、T
X<T
Y≦T
Zの関係が成り立つ。
【0030】
次いで、真空下にて、成長基板10の温度を脱離温度TX未満の第1の温度に保持し、GNR前駆体100を加熱して昇華させる。このとき、第1の温度の金属膜12上で、金属膜12とGNR前駆体100の分子との間の相互作用により、GNR前駆体100の複数の分子が凸の向きを反転しながら、fccの(111)面内の上記3方向のいずれかの方向に配列しながら、(111)面に蒸着する。
【0031】
その後、真空下にて、成長基板10の温度を脱離温度T
X以上脱離温度T
Y未満の第2の温度に加熱し、第2の温度に保持する。第2の温度の金属膜12上でGNR前駆体100の脱X化及びC-C結合反応が誘起され、
図6Bに示すように、GNR前駆体100の複数の分子が凸の向きを反転しながら上記3方向のいずれかの方向に配列したポリマー110が安定的に形成される。ポリマー110は金属膜12の表面上で互いに60度の整数倍の角度をもって配向する。
【0032】
続いて、成長基板10の温度を脱離温度T
Y以上脱離温度T
Z未満の第3の温度に加熱し、第3の温度に保持する。この結果、脱Y化及び環化反応が誘起され、
図6Cに示すように、ポリマー110からポリマー120が安定的に形成される。
【0033】
続いて、成長基板10の温度を脱離温度T
Z以上の第4の温度に加熱し、第4の温度に保持する。この結果、脱Z化及び環化反応が誘起され、
図6Dに示すように、ポリマー120からエッジ構造がアームチェア型のGNR2が合成される。
【0034】
脱離温度TYと脱離温度TZとが等しい場合、第3の温度を脱離温度TY及び脱離温度TZ以上とすればよい。第3の温度を脱離温度TY及び脱離温度TZ以上とすることで、ポリマー120の形成が省略されて、ポリマー110からGNR2が合成される。
【0035】
このように、GNR前駆体100を加熱すると、Xが脱離して、Xと結合していたC同士がGNR前駆体100間で結合し、その後に、Yが脱離して、Yと結合していたC同士がGNR前駆体100間で結合し、Zが脱離して、Zと結合していたC同士がGNR前駆体100間で結合する。Xと結合していたC同士の結合によりGNR前駆体100の配列が決定され、その後のY、Zと結合していたC同士の結合によりGNR2の構造が固定される。このため、長いGNR2を安定して合成することができる。例えば、数十nmレベルのGNR2を安定して合成することができる。
【0036】
次に、GNR前駆体100を合成する方法について説明する。
図7A~
図7Bは、GNR前駆体100の合成方法を示す図である。
【0037】
先ず、
図8Aに構造式を示す物質160及び
図8Bに構造式を示す物質130を準備する。
図8Aに示す物質は、例えば、1,4-ジブロモ-2,3-ジヨードベンゼン(1,4-dibromo-2,3-diiodobenzene)であり、
図8Bに示す物質130は、例えば、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ナフタセン、ペンタセン又はヘキサセンのボロン酸である。
【0038】
次いで、これらを溶媒に溶解させ、触媒を加え、塩基の存在下で攪拌することで鈴木カップリング反応を生じさせる。攪拌を継続して溶媒を蒸発させることで、
図7Aに示すように、物質160に含まれる一方のヨウ素(I)がモノカップリングした物質140が得られる。
【0039】
その後、
図7Aに示す物質140及び物質130を溶媒に溶解させ、触媒を加え、塩基の存在下で攪拌することで鈴木カップリング反応を生じさせる。攪拌を継続して溶媒を蒸発させることで、
図7Bに示すように、物質140に含まれるヨウ素(I)がモノカップリングしたGNR前駆体100が得られる。
【0040】
そして、例えばカラムクロマトグラフィーによりGNR前駆体100の精製を行う。
【0041】
GNR前駆体100はこのように合成することができる。
【0042】
GNR膜13の形成後、成長基板10の温度を第4の温度より高い第5の温度に加熱し、第5の温度に保持する。この結果、
図1、
図2A及び
図2Bに示すように、GNR膜13に含まれる複数本のGNR2のうち互いに近傍に位置する2本のGNR2同士が、それらの延伸方向を維持したままsp
2軌道混成の六員環接合する。このsp
2軌道混成の六員環接合は、例えば、2本のGNR2の末端同士で生じる。このようにして、
図3Bに示すように、GNR膜13がGNRネットワーク膜1へと変化し、GNRネットワーク膜1を得ることができる。
【0043】
なお、第5の温度での加熱を行う前のGNR膜13中には、互いに重なるGNR2が存在し得る。しかし、この段階では、GNR2同士は物理的に接触しているだけであり、これらの間にsp2軌道混成の六員環接合は存在しない。このため、GNR膜13をチャネルに用いた場合には、GNR2同士の接触部でキャリアの散乱が生じやすく、GNRネットワーク膜1ほどに優れた移動度を得ることはできない。
【0044】
また、従来、ボトムアップ法によるGNRの成長に用いる種々のGNR前駆体が提案されているが、従来のGNR前駆体を用いて製造されるGNRは五員環接合や七員環接合等の欠陥を含む。このため、キャリアの散乱が生じやすく、GNRネットワーク膜1ほどに優れた移動度を得ることはできない。
【0045】
なお、近接するGNR2同士のsp2軌道混成の六員環接合は、GNR前駆体100の蒸着速度と、蒸着膜厚と、蒸着源から金属膜12までの距離とに依存する。このため、これらの条件は蒸着装置毎に適宜調整することが好ましい。
【0046】
ここで、GNR2を合成する方法の具体例について説明する。
図9A~
図9Bは、GNRの合成方法の具体例を示す図である。この具体例では、絶縁基板11として劈開したマイカ基板を用い、金属膜12として表面のミラー指数が(111)のAu膜を用いる。マイカ基板を450℃に加熱し、蒸着法により厚さが100nmのAu膜を形成することができる。例えば、蒸着速度は厚さが50nmとなるまでは1.0nm/秒とし、それ以降は0.05nm/秒とする。
【0047】
この具体例では、先ず、
図9Aに示すように、GNR前駆体101を準備する。GNR前駆体101は、
図6Aにおいて、n
1が3であり、XがBrであり、Y及びZがHである構造式を有する。六員環を構成する炭素原子からのBrの脱離温度は、六員環を構成する炭素原子からのHの脱離温度よりも低い。GNR前駆体101は、いわば1,2-ビス(2-アントラセニル)-3,6-ジブロモベンゼン(1,2-bis-(2-anthracenyl)-3,6-dibromobenzen)である。
【0048】
次いで、5×10-8Pa以下の超高真空下にて、成長基板10の温度をBrの脱離温度未満の第1の温度に保持し、GNR前駆体101を加熱して昇華させる。例えば、GNR前駆体101の加熱及び昇華にはK-cell型エバポレーターを用い、蒸着速度は0.1nm/分~0.5nm/分とし、蒸着膜厚は1ML(monolayer)~3MLとする。1MLは約0.25nmである。第1の温度のAu膜上で、Au膜とGNR前駆体101の分子との間の相互作用により、GNR前駆体101の複数の分子が凸の向きを反転しながら、fccの(111)面内の上記3方向のいずれかの方向に配列する。第1の温度は、例えば20℃~30℃の室温とする。
【0049】
その後、成長基板10の温度をBrの脱離温度以上、かつHの脱離温度未満の第2の温度に加熱し、第2の温度に保持する。第2の温度のAu膜上でGNR前駆体101の脱Br化及びC-C結合反応が誘起され、GNR前駆体101の複数の分子が上記3方向のいずれかの方向に配列したポリマーが安定的に形成される。このポリマーはAu膜の表面上で互いに60度の整数倍の角度をもって配向する。例えば、第2の温度は150℃~250℃とし、第2の温度での保持時間は10分間~1時間とする。
【0050】
続いて、成長基板10の温度を、Hの脱離温度以上の第3の温度、例えば400℃に加熱し、第3の温度に保持する。この結果、脱H化及び環化反応が誘起され、
図9Bに示すように、ポリマーからエッジ構造がアームチェア型の17-AGNR151が合成される。例えば、第3の温度は350℃~450℃とし、第3の温度での保持時間は10分間~1時間とする。
【0051】
このように、GNR前駆体101を加熱すると、Brが脱離して、Brと結合していたC同士がGNR前駆体101間で結合し、その後に、Hが脱離して、Hと結合していたC同士がGNR前駆体101間で結合する。Brと結合していたC同士の結合によりGNR前駆体101の配列が決定され、その後のHと結合していたC同士の結合により17-AGNR151の構造が固定される。このため、長い17-AGNR151を安定して合成することができる。例えば、数十nmレベルの17-AGNR151を安定して合成することができる。
【0052】
このようにしてGNR2として17-AGNR151を合成し、GNR膜13を形成することができる。
【0053】
そして、GNR膜13を形成した後には、次のようにしてGNRネットワーク膜1を形成することができる。すなわち、成長基板10を第3の温度よりも高い第5の温度、例えば450℃~500℃に加熱し、第5の温度に1時間~3時間の間保持する。この結果、GNR膜13に含まれる複数の17-AGNR151のうち互いに近傍に位置する2本の17-AGNR151同士が、それらの延伸方向を維持したままsp2軌道混成の六員環接合する。このsp2軌道混成の六員環接合は、例えば、2本の17-AGNR151の末端同士で生じる。このようにして、GNR膜13がGNRネットワーク膜1へと変化し、GNRネットワーク膜1を得ることができる。
【0054】
図10A~
図10Cに、上記具体例に倣って製造したGNRネットワーク膜の走査型トンネル顕微鏡(scanning tunneling microscope:STM)像を示す。
図10Aには、サンプルバイアスV
sを-1.0Vとし、トンネル電流I
tを50pAとして撮影したSTM像を示す。
図10B及び
図10Cには、サンプルバイアスV
sを-1.2Vとし、トンネル電流I
tを50pAとして撮影したSTM像を示す。
図10Aには、
図10B及び
図10Cよりも広い領域を示す。
図10Bには、2本の17-AGNRが60度の角度をなしてsp
2軌道混成の六員環接合している領域を示す。
図10Cには、2本の17-AGNRが120度の角度をなしてsp
2軌道混成の六員環接合している領域を示す。
図10A~
図10Cに示すように、60度の整数倍の角度をなしてsp
2軌道混成の六員環接合した17-AGNRを含むGNRネットワーク膜を合成することができる。
【0055】
(第2の実施形態)
第2の実施形態は、GNRネットワーク膜をチャネルに用いたトップゲート型の電界効果トランジスタ(field effect transistor:FET)を含む電子装置に関する。
図11は、第2の実施形態に係る電子装置を示す断面図である。
【0056】
図11に示すように、第2の実施形態に係る電子装置200は、絶縁基板211と、絶縁基板211上に形成された金属膜212と、金属膜212上に形成されたGNRネットワーク膜201と、を有する。GNRネットワーク膜201として、第1の実施形態に係るGNRネットワーク膜1が用いられる。GNRネットワーク膜201の両端に接するようにソース電極213s及びドレイン電極213dが金属膜212上に形成されている。金属膜212のうちソース電極213sとドレイン電極213dとの間の部分、すなわち、ソース電極213sにもドレイン電極213dにも覆われていない部分は除去されている。GNRネットワーク膜201より下方で、絶縁基板211の上面と、金属膜212の側面と、GNRネットワーク膜201の下面とを覆う絶縁膜214が形成されている。また、GNRネットワーク膜201より上方で、ソース電極213sの側面及び上面と、ドレイン電極213dの側面及び上面と、GNRネットワーク膜201の上面とを覆い、ゲート絶縁膜として機能する絶縁膜215が形成されている。ソース電極213sとドレイン電極213dとの間で絶縁膜215上にゲート電極213gが形成されている。
【0057】
絶縁基板211としては、例えばマイカ基板、表面がc面のサファイア(α-Al2O3)結晶基板、表面のミラー指数が(111)のMgO結晶基板等を用いることができる。金属膜212としては、結晶構造がfccで、表面のミラー指数が(111)のAu、Ag、Cu、Ni、Rh、Pd、Ir又はPtの膜を用いることができる。絶縁基板211及び金属膜212が成長基板10に含まれる。この例では、絶縁基板211としてマイカ基板が用いられ、金属膜212としてAu膜を用いられている。GNRネットワーク膜201として、例えば複数の17-AGNRを含むGNRネットワーク膜が形成されている。
【0058】
ソース電極213s、ドレイン電極213d及びゲート電極213gは、例えば、厚さが0.5nm~2nmのTi膜と、その上の厚さが20nm~50nmのCr膜とを有し、ソース電極213sとドレイン電極213dとの間の距離は、例えば10nm~50nmである。
【0059】
絶縁膜214及び215の材料として、HfO2膜、Al2O3、Si3N4、HfSiO、HfAlON、Y2O3、SrTiO3、PbZrTiO3、BaTiO3等を用いることができる。この例では、絶縁膜214及び215として、厚さが5nm~10nmのHfO2膜が形成されている。
【0060】
第2の実施形態に係る電子装置200では、GNRネットワーク膜201として、第1の実施形態に係るGNRネットワーク膜1が用いられるため、優れた電荷の移動度を得ることができる。このため、例えば、105程度の電流のオン/オフ比が実現でき、数十~数百cm2/(V・s)の電界効果移動度が期待できる。
【0061】
【0062】
先ず、
図12A及び
図13Aに示すように、絶縁基板211上に金属膜212を形成する。絶縁基板211及び金属膜212が成長基板210に含まれる。次いで、金属膜212上にGNRネットワーク膜201を形成する。
【0063】
その後、
図12B及び
図13Bに示すように、GNRネットワーク膜201をチャネルの形状に加工する。
【0064】
続いて、
図12C及び
図13Cに示すように、GNRネットワーク膜201の両端に接するようにソース電極213s及びドレイン電極213dを金属膜212上に形成する。ソース電極213s及びドレイン電極213dは、次のようにして形成することができる。
【0065】
先ず、ソース電極213sを形成する領域及びドレイン電極213dを形成する領域に開口部を有するレジストパターンを形成する。レジストパターンとしては、例えば2層構造のレジストパターンを用いる。この場合、下層の犠牲層レジストには、例えばポリメチルグルタルイミド(PMGI)(例えば、米国マイクロケム社製)を用いることができ、上層の電子線レジストには、例えば日本ゼオン社製のZEP520Aを日本ゼオン社製のZEP-Aで1:1に希釈したレジストを用いることができる。次いで、電子線リソグラフィにより、ソース電極213sを形成する領域及びドレイン電極213dを形成する領域に開口部を形成する。その後、例えば、1×10-5Pa以下の高真空下で、蒸着法によりTi膜及びCr膜を開口部の内側及びレジストパターンの上に形成する。例えば、Ti膜の蒸着速度は0.05nm/秒~0.1nm/秒とし、Cr膜の蒸着速度は0.1nm/秒~1nm/秒とする。その後、レジストパターンをその上のTi膜及びCr膜と共に除去する。つまり、リフトオフを行う。このようにしてソース電極213s及びドレイン電極213dを形成することができる。Ti膜及びCr膜は、スパッタ法又はパルスレーザ堆積法等により形成することもできる。
【0066】
次いで、
図12D及び
図13Dに示すように、金属膜212のうちソース電極213sにもドレイン電極213dにも覆われていない部分をウェットエッチングにより除去する。つまり、金属膜212のうちソース電極213sとドレイン電極213dとの間の部分を除去する。金属膜212がAu膜の場合、ヨウ化カリウム(KI)水溶液をエッチャントとして用いることができる。ソース電極213s及びドレイン電極213dはTi膜及びCr膜を含む2層電極であるため、KI水溶液に対して優れたエッチング耐性を有する。その後、純水を用いた洗浄及びイソプロピルアルコールを用いたリンス処理を順次行う。続いて、乾燥処理として、CO
2ガスを用いた超臨界乾燥処理を行う。CO
2ガスを用いた超臨界乾燥処理は、溶液の表面張力又は毛管力によるGNRネットワーク膜201の切断の防止に好適である。
【0067】
次いで、
図12E及び
図13Eに示すように、GNRネットワーク膜201より下方に絶縁膜214を、GNRネットワーク膜201より上方に絶縁膜215を形成する。絶縁膜214は、GNRネットワーク膜201より下方で、絶縁基板211の上面と、金属膜212の側面と、GNRネットワーク膜201の下面とを覆う。絶縁膜215は、GNRネットワーク膜201より上方で、ソース電極213sの側面及び上面と、ドレイン電極213dの側面及び上面と、GNRネットワーク膜201の上面とを覆い、ゲート絶縁膜として機能する。絶縁膜214及び215は、例えば原子層堆積(atomic layer deposition:ALD)法により形成することができる。ALD法によりHfO
2膜を形成する場合、例えば、前駆体にテトラキス(ジメチルアミノ)ハフニウム及びH
2Oを用い、堆積温度は230℃~270℃とする。ALD法では堆積方向に指向性がないため、GNRネットワーク膜201の露出面の全体が絶縁膜214及び215により覆われる。絶縁膜214及び215の形成方法は限定されず、材料に応じて適宜選択することができる。
【0068】
その後、
図12F及び
図13Fに示すように、ソース電極213sとドレイン電極213dとの間で絶縁膜215上にゲート電極213gを形成する。ゲート電極213gは、ソース電極213s及びドレイン電極213dを形成する方法と同様の方法で形成することができる。
【0069】
続いて、絶縁膜215に、ソース電極213sの上面の少なくとも一部を露出する開口部215sと、ドレイン電極213dの上面の少なくとも一部を露出する開口部215dとを形成する。開口部215s及び215dの形成では、例えば、電子線レジストを形成し、電子線リソグラフィにより電子線レジストに開口パターンを形成し、塩素系の混合ガスを用いた反応性イオンエッチングを行う。塩素系の混合ガスは、例えばBCl3、Cl2及びO2を含む。
【0070】
このようにして、GNRネットワーク膜201をチャネルとするFETを備えた電子装置200を製造することができる。
【0071】
(第3の実施形態)
第3の実施形態は、GNRネットワーク膜をチャネルに用いたボトムゲート型のFETを含む電子装置に関する。
図14は、第3の実施形態に係る電子装置を示す断面図である。
【0072】
図14に示すように、第3の実施形態に係る電子装置300は、絶縁基板351と、絶縁基板351上に形成されたゲート電極313gと、絶縁基板351及びゲート電極313g上に形成され、ゲート電極313gを覆う絶縁膜315と、を有する。電子装置300は、ゲート電極313gの上方で絶縁膜315上に設けられたGNRネットワーク膜301を有する。GNRネットワーク膜301として、第1の実施形態に係るGNRネットワーク膜1が用いられる。GNRネットワーク膜301の両端に接するようにソース電極313s及びドレイン電極313dが絶縁膜315上に形成されている。ソース電極313sとドレイン電極313dとの間でGNRネットワーク膜301上に保護膜302が形成されている。絶縁膜315はゲート絶縁膜として機能する。
【0073】
絶縁基板351としては、例えば熱酸化膜が形成されたSi基板を用いることができる。GNRネットワーク膜301として、例えば複数の17-AGNRを含むGNRネットワーク膜が形成されている。保護膜302として、例えばGNRネットワーク膜301を構成するCと化学結合しにくい膜を用いることができ、具体的にはCr2O3、SiO2、Al2O3、Sc2O3、MnO2、ZnO、Y2O3、ZrO2、MoO3及びRuO2の膜を保護膜302に用いることができる。この例では、保護膜302としてCr2O3膜が形成されている。
【0074】
ソース電極313s、ドレイン電極313d及びゲート電極313gは、例えば、厚さが0.5nm~2nmのTi膜と、その上の厚さが20nm~50nmのCr膜とを有し、ソース電極313sとドレイン電極313dとの間の距離は、例えば10nm~50nmである。絶縁膜315の材料として、HfO2膜、Al2O3、Si3N4、HfSiO、HfAlON、Y2O3、SrTiO3、PbZrTiO3、BaTiO3等を用いることができる。この例では、絶縁膜315として、厚さが5nm~10nmのHfO2膜が形成されている。
【0075】
第3の実施形態に係る電子装置300では、GNRネットワーク膜301として、第1の実施形態に係るGNRネットワーク膜1が用いられるため、優れた電荷の移動度を得ることができる。このため、例えば、105程度の電流のオン/オフ比が実現でき、数十~数百cm2/(V・s)の電界効果移動度が期待できる。
【0076】
次に、第3の実施形態に係る電子装置の製造方法について説明する。
図15A~
図15Hは、第3の実施形態に係る電子装置の製造方法を示す断面図である。
【0077】
先ず、
図15Aに示すように、絶縁基板311上に金属膜312を形成する。絶縁基板311及び金属膜312が成長基板310に含まれる。次いで、金属膜312上にGNRネットワーク膜301を形成する。絶縁基板311としては、例えばマイカ基板、表面がc面のサファイア(α-Al
2O
3)結晶基板、表面のミラー指数が(111)のMgO結晶基板等を用いることができる。金属膜312としては、結晶構造がfccで、表面のミラー指数が(111)のAu、Ag、Cu、Ni、Rh、Pd、Ir又はPtの膜を用いることができる。この例では、絶縁基板311としてマイカ基板を用い、金属膜312としてAu膜を用いる。
【0078】
その後、
図15Bに示すように、GNRネットワーク膜301上に保護膜302を形成する。保護膜302は、後のチャネルの転写の際に用いる有機系の支持膜の残留物からチャネルを保護する。保護膜302としては、GNRネットワーク膜301を構成するCと化学結合しにくい膜を用いることができ、特にCr
2O
3膜が好ましい。SiO
2、Al
2O
3、Sc
2O
3、MnO
2、ZnO、Y
2O
3、ZrO
2、MoO
3及びRuO
2も保護膜302に用いることができる。Cr
2O
3膜を用いる場合、例えば、GNRネットワーク膜301の形成後、真空槽から暴露することなく、in situでGNRネットワーク膜301上にCr金属膜を蒸着法で形成し、大気中に曝すことで自然酸化によりCr金属膜をCr
2O
3膜に変化させることができる。例えば、Cr金属膜の蒸着速度は0.01nm/秒~0.05nm/秒とし、厚さは1nm~3nmとする。SiO
2、Al
2O
3、Sc
2O
3、MnO
2、ZnO、Y
2O
3、ZrO
2、MoO
3及びRuO
2の膜も同様の方法で形成することができる。なお、Ti及びNiはGNRネットワーク膜301を構成するCと化学結合してTiC
xやNiC
xを生成しやすい。
【0079】
続いて、
図15Cに示すように、保護膜302上に有機系の支持膜322を形成する。支持膜322としては、例えば、アクリル樹脂のポリメチルメタクリレート(polymethyl methacrylate:PMMA)の膜を用いる。PMMAの膜は、例えばスピンコート法により100nm~500nmの厚さで形成することができる。支持膜322として、エポキシ樹脂、熱剥離テープ、粘着テープ、各種のフォトレジスト、電子線レジストを用いてもよい。これらの積層膜を用いてもよい。
【0080】
次いで、
図15Dに示すように、金属膜312を除去することで、絶縁基板211から支持膜322、保護膜302及びGNRネットワーク膜301の積層体を分離する。金属膜312としてAu膜が用いられている場合、KI水溶液を用いたウェットエッチングにより金属膜312を除去することができる。その後、保護膜302及びGNRネットワーク膜301の積層体の純水洗浄及び乾燥処理を行う。
【0081】
その一方で、
図15Eに示すように、別途、絶縁基板351上にゲート電極313gを形成し、絶縁基板351及びゲート電極313g上に絶縁膜315を形成する。絶縁基板351としては、例えば熱酸化膜が形成されたSi基板を用いることができる。ゲート電極313gとしては、第2の実施形態におけるゲート電極213gと同様の方法で、Ti膜及びCr膜の2層電極を形成することができる。絶縁膜315としては、第2の実施形態における絶縁膜215と同様の方法で、HfO
2膜を形成することができる。
【0082】
そして、
図15Eに示すように、GNRネットワーク膜301が絶縁膜315と接触するようにして、保護膜302及びGNRネットワーク膜301の積層体を、絶縁基板351、ゲート電極313g及び絶縁膜315の積層体に重ね合わせる。
【0083】
次いで、
図15Fに示すように、支持膜322を除去する。支持膜322としてPMMAの膜を用いている場合、約70℃のアセトンに浸漬することで支持膜322を除去することができる。支持膜322の除去後、例えばイソプロピルアルコールを用いたリンス処理を行う。一般的に、グラフェン上のPMMAを完全に取り除くことは難しく、その残留物がグラフェンの特性を劣化させることがある。本実施形態では、GNRネットワーク膜301とPMMAの支持膜322との間に保護膜302が形成されているため、PMMAの残留物によるGNRネットワーク膜301の特性の劣化を抑制することができる。
【0084】
その後、
図15Gに示すように、保護膜302に、GNRネットワーク膜301の一部を露出するソース用の開口部302sと、GNRネットワーク膜301の他の一部を露出するドレイン用の開口部302dとを形成する。開口部302s及び302dの形成では、例えば、電子線レジストを形成し、電子線リソグラフィにより電子線レジストに開口パターンを形成し、硝酸第二セリウムアンモニウムを用いたウェットエッチングを行う。
【0085】
続いて、
図15Hに示すように、開口部302sを通じてGNRネットワーク膜301に接するソース電極313sと、開口部302dを通じてGNRネットワーク膜301に接するドレイン電極313dとを絶縁膜315上に形成する。ソース電極313s及びドレイン電極313dとしては、第2の実施形態におけるソース電極213s及びドレイン電極213dと同様の方法で、Ti膜及びCr膜の2層電極を形成することができる。
【0086】
このようにして、GNRネットワーク膜301をチャネルとするFETを備えた電子装置300を製造することができる。
【0087】
絶縁基板351の材料は限定されない。絶縁基板351として、透明なガラス基板又は可撓性のあるポリエチレンテレフタレート(PET)基板等を用いてもよい。このようなガラス基板及びPET基板はディスプレイへの応用に好適である。
【0088】
(第4の実施形態)
第4の実施形態は、GNRネットワーク膜をチャネルに用いたトップゲート型のFETを含む電子装置に関する。
図16は、第4の実施形態に係る電子装置を示す断面図である。
【0089】
図16に示すように、第4の実施形態に係る電子装置400は、絶縁基板351と、絶縁基板351上に設けられたGNRネットワーク膜301と、を有する。GNRネットワーク膜301として、第1の実施形態に係るGNRネットワーク膜1が用いられる。GNRネットワーク膜301の両端に接するようにソース電極413s及びドレイン電極413dが絶縁基板351上に形成されている。ソース電極413sとドレイン電極413dとの間でGNRネットワーク膜301上に保護膜302が形成されている。ソース電極413s、保護膜302及びドレイン電極413d上に広がるように絶縁膜415が形成され、絶縁膜415上にゲート電極413gが形成されている。絶縁膜415はゲート絶縁膜として機能する。
【0090】
ソース電極413s、ドレイン電極413d及びゲート電極413gは、例えば、厚さが0.5nm~2nmのTi膜と、その上の厚さが20nm~50nmのCr膜とを有し、ソース電極413sとドレイン電極413dとの間の距離は、例えば10nm~50nmである。絶縁膜415の材料として、HfO2膜、Al2O3、Si3N4、HfSiO、HfAlON、Y2O3、SrTiO3、PbZrTiO3、BaTiO3等を用いることができる。この例では、絶縁膜415として、厚さが5nm~10nmのHfO2膜が形成されている。
【0091】
第4の実施形態に係る電子装置400では、GNRネットワーク膜301として、第1の実施形態に係るGNRネットワーク膜1が用いられるため、優れた電荷の移動度を得ることができる。このため、例えば、105程度の電流のオン/オフ比が実現でき、数十~数百cm2/(V・s)の電界効果移動度が期待できる。
【0092】
次に、第4の実施形態に係る電子装置の製造方法について説明する。
図17A~
図17Eは、第4の実施形態に係る電子装置の製造方法を示す断面図である。
【0093】
先ず、
図17Aに示すように、第3の実施形態と同様にして、支持膜322、保護膜302及びGNRネットワーク膜301の積層体を形成する。次いで、絶縁基板351に、保護膜302及びGNRネットワーク膜301の積層体を、GNRネットワーク膜301が絶縁基板351と接触するようにして重ね合わせる。
【0094】
その後、
図17Bに示すように、支持膜322を除去する。
【0095】
続いて、
図17Cに示すように、保護膜302に、GNRネットワーク膜301の一部を露出するソース用の開口部302sと、GNRネットワーク膜301の他の一部を露出するドレイン用の開口部302dとを形成する。
【0096】
次いで、
図17Dに示すように、開口部302sを通じてGNRネットワーク膜301に接するソース電極413sと、開口部302dを通じてGNRネットワーク膜301に接するドレイン電極413dとを絶縁基板351上に形成する。ソース電極413s及びドレイン電極413dとしては、第2の実施形態におけるソース電極213s及びドレイン電極213dと同様の方法で、Ti膜及びCr膜の2層電極を形成することができる。
【0097】
その後、
図17Eに示すように、ソース電極413s、保護膜302及びドレイン電極413d上に広がる絶縁膜415及びゲート電極413gを形成する。絶縁膜415及びゲート電極413gは、次のようにして形成することができる。
【0098】
先ず、絶縁膜415及びゲート電極413gを形成する領域に開口部を有するレジストパターンを形成する。レジストパターンとしては、例えば2層構造のレジストパターンを用いる。次いで、電子線リソグラフィにより、絶縁膜415及びゲート電極413gを形成する領域に開口部を形成する。その後、例えば、1×10-5Pa以下の高真空下で、O2ガスを導入しながらHf金属を蒸着することでHfO2膜を開口部の内側及びレジストパターンの上に形成し、HfO2膜上にTi膜及びCr膜を形成する。その後、レジストパターンをその上のHfO2膜、Ti膜及びCr膜と共に除去する。つまり、リフトオフを行う。このようにして絶縁膜415及びゲート電極413gを形成することができる。
【0099】
このようにして、GNRネットワーク膜301をチャネルとするFETを備えた電子装置400を製造することができる。
【0100】
ソース電極、ドレイン電極及びゲート電極の材料は限定されない。例えば、Ti膜と、その上のAu膜、Pt膜又はPd膜との積層体をソース電極、ドレイン電極及びゲート電極に用いてもよい。また、透明電極材料をソース電極、ドレイン電極及びゲート電極に用いてもよい。透明電極材料としては、酸化インジウムスズ(ITO)、In2O3、SnO2、AlZnO及びGaZnOが挙げられる。
【0101】
GNRネットワーク膜に含まれるGNRは17-AGNRに限定されない。例えば、9-AGNR、13-AGNR、21-AGNR、25-AGNR、29-AGNR等がGNRネットワーク膜に含まれていてもよい。AGNRのn
1の値、リボン幅方向のC-Cダイマーラインの数N、リボン幅W及びバンドギャップE
gの関係を表1に示す。バンドギャップE
gは、多体効果を考慮した第一原理シミュレーションから計算される値であり、この計算ではAGNRのエッジ修飾基はすべてHである。
図18に、C-Cダイマーラインとリボン幅Wとの関係を示す。
【0102】
【0103】
表1に示すように、修飾基Xを含む六員環のC配置1,2に修飾される六員環の数(n1)により、N-AGNRのリボン幅を系統的にコントロールしてバンドギャップエンジニアリングを実現することができる。なお、本明細書において、グラフェンナノリボンとは、六員環の数(n1)が6以下のものを意味するものとする。六員環の数(n1)が7以上となると、バンドギャップが小さくなり、半導体としての利用が困難となるためである。
【0104】
以下、本発明の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0105】
(付記1)
互いに60度の整数倍の角度をなして配列した複数のグラフェンナノリボンを有し、
前記複数のグラフェンナノリボンは、互いにsp2軌道混成の六員環接合していることを特徴とするグラフェンナノリボンネットワーク膜。
(付記2)
前記複数のグラフェンナノリボンは、末端同士で接合していることを特徴とする付記1に記載のグラフェンナノリボンネットワーク膜。
(付記3)
結晶構造が面心立方格子の金属膜の(111)面に、上記の化学式(1)で表される構造式を有するグラフェンナノリボン前駆体を第1の温度で蒸着する工程と、
前記(111)面上で前記グラフェンナノリボン前駆体を前記第1の温度よりも高い第2の温度に加熱して、Xの脱離及びC-C結合反応を誘起し、前記(111)面上にポリマーを得る工程と、
前記ポリマーを前記第2の温度よりも高い第3の温度に加熱して、Yの脱離及びC-C結合反応を誘起する工程と、
前記ポリマーを前記第3の温度以上の第4の温度に加熱して、Zの脱離及びC-C結合反応を誘起することにより、前記(111)面上で互いに60度の整数倍の角度をなして配列した複数のグラフェンナノリボンを得る工程と、
前記複数のグラフェンナノリボンを前記第4の温度よりも高い第5の温度に加熱して、前記複数のグラフェンナノリボンを互いにsp2軌道混成の六員環接合させる工程と、
を有し、
上記の化学式(1)において、
n1は、1以上6以下の整数であり、
X、Y及びZは、F、Cl、Br、I、H、OH、SH、SO2H、SO3H、SO2NH2、PO3H2、NO、NO2、NH2、CH3、CHO、COCH3、COOH、CONH2、COCl、CN、CF3、CCl3、CBr3又はCI3であり、
六員環を構成する炭素原子からのX、Y、Zの脱離温度をそれぞれTX、TY、TZとしたとき、TX<TY≦TZの関係が成り立つことを特徴とするグラフェンナノリボンネットワーク膜の製造方法。
(付記4)
前記第1の温度はXの脱離温度TX未満であり、
前記第2の温度は前記脱離温度TX以上Yの脱離温度TY未満であり、
前記第3の温度は前記脱離温度TY以上Zの脱離温度TZ未満であり、
前記第4の温度は前記脱離温度TZ以上であることを特徴とする付記3に記載のグラフェンナノリボンネットワーク膜の製造方法。
(付記5)
Y及びZが同一であり、前記第3の温度及び前記第4の温度が互いに等しいことを特徴とする付記3又は4に記載のグラフェンナノリボンネットワーク膜の製造方法。
(付記6)
付記1又は2に記載のグラフェンナノリボンネットワーク膜を電界効果トランジスタのチャネルに有することを特徴とする電子装置。
(付記7)
付記3乃至5のいずれか1項に記載の方法により、前記金属膜の前記(111)面上にグラフェンナノリボンネットワーク膜を製造する工程と、
前記グラフェンナノリボンネットワーク膜をチャネルに有する電界効果トランジスタを形成する工程と、
を有することを特徴とする電子装置の製造方法。
(付記8)
前記電界効果トランジスタを形成する工程は、
前記金属膜上に前記グラフェンナノリボンネットワーク膜に接するソース電極及びドレイン電極を形成する工程と、
前記金属膜のうち前記ソース電極と前記ドレイン電極との間の部分を除去する工程と、
前記ソース電極と前記ドレイン電極との間の部分で、前記グラフェンナノリボンネットワーク膜上にゲート絶縁膜及びゲート電極を形成する工程と、
を有することを特徴とする付記7に記載の電子装置の製造方法。
(付記9)
前記電界効果トランジスタを形成する工程は、
絶縁基板の上方にゲート電極及びゲート絶縁膜を形成する工程と、
前記ゲート絶縁膜上に前記グラフェンナノリボンネットワーク膜を転写する工程と、
前記絶縁基板の上方に、前記グラフェンナノリボンネットワーク膜に接するソース電極及びドレイン電極を形成する工程と、
を有することを特徴とする付記7に記載の電子装置の製造方法。
(付記10)
前記電界効果トランジスタを形成する工程は、
絶縁基板上に前記グラフェンナノリボンネットワーク膜を転写する工程と、
前記絶縁基板の上方に、前記グラフェンナノリボンネットワーク膜に接するソース電極及びドレイン電極を形成する工程と、
前記ソース電極と前記ドレイン電極との間の部分で、前記グラフェンナノリボンネットワーク膜の上方にゲート絶縁膜及びゲート電極を形成する工程と、
を有することを特徴とする付記7に記載の電子装置の製造方法。
【符号の説明】
【0106】
1、201、301:GNRネットワーク膜
2:GNR
3:六員環
10:成長基板
11:絶縁基板
12:金属膜
13:GNR膜
200、300、400:電子装置
213s、313s、413s:ソース電極
213d、313d、413d:ドレイン電極
213g、313g、413g:ゲート電極