(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-18
(45)【発行日】2023-07-26
(54)【発明の名称】第2級モノヒドロフルオロアルカン類の選択的付加体及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
C07C 67/30 20060101AFI20230719BHJP
C07C 69/63 20060101ALI20230719BHJP
C07C 233/05 20060101ALI20230719BHJP
C07C 231/12 20060101ALI20230719BHJP
C07C 255/10 20060101ALI20230719BHJP
C07C 253/30 20060101ALI20230719BHJP
C07C 255/35 20060101ALI20230719BHJP
C07C 317/14 20060101ALI20230719BHJP
C07C 315/04 20060101ALI20230719BHJP
C07C 69/65 20060101ALI20230719BHJP
C07F 9/40 20060101ALI20230719BHJP
C07D 209/48 20060101ALI20230719BHJP
【FI】
C07C67/30
C07C69/63 CSP
C07C233/05
C07C231/12
C07C255/10
C07C253/30
C07C255/35
C07C317/14
C07C315/04
C07C69/65
C07F9/40 A
C07D209/48
(21)【出願番号】P 2022118114
(22)【出願日】2022-07-25
【審査請求日】2022-10-26
(31)【優先権主張番号】P 2021188866
(32)【優先日】2021-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】504143441
【氏名又は名称】国立大学法人 奈良先端科学技術大学院大学
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森本 積
(72)【発明者】
【氏名】東 裕亮
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 実生也
(72)【発明者】
【氏名】細川 萌
(72)【発明者】
【氏名】岸川 洋介
【審査官】前田 憲彦
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-178273(JP,A)
【文献】特開昭63-152342(JP,A)
【文献】特開平10-279517(JP,A)
【文献】特開昭56-152427(JP,A)
【文献】Physical Review E: Statistical, Nonlinear,and Soft Matter Physics,2007年,76(5-1),P.051707/1-051707/13
【文献】Angewandte Chemie, International Edition,2021年,60(45),P.24292-24298
【文献】Tetrahedron Letters,1989年,30(33),P.4407-4410
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 67/
C07C 69/
C07C 233/
C07C 231/
C07C 255/
C07C 253/
C07C 317/
C07C 315/
C07F 9/
C07D 209/
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(3):
【化1】
(式中、
R
1、R
2、及びR
3は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素基、-OR
A、-COR
A、-COOR
A、-CONR
BR
C、-NR
BR
C、-NH-COR
A、又は-NH-COOR
Aであり、
R
Aは、1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素基であり、
R
B及びR
Cは、それぞれ独立して、水素原子又は1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素基であるか、R
B及びR
Cは、互いに結合して隣接する窒素原子と共に環を形成していてもよく、
EWGは電子求引基であり、
R
1、R
2、R
3、及びEWGのうち任意の2つは互いに結合して環を形成していてもよく、
R
4及びR
5は、それぞれ独立して、1個以上の置換基を有していてもよく、炭素原子間に酸素原子を含んでいてもよいフルオロアルキル基、又は、1個以上の置換基を有していてもよく、炭素原子間に酸素原子を含んでいてもよいフルオロアルコキシ基であり、
R
4及びR
5は互いに結合して環を形成していてもよい。)
で表される化合物の製造方法であって、
下記式(1):
【化2】
(式中、R
1、R
2、R
3、及びEWGは前記と同じである。)
で表される化合物と、下記式(2):
【化3】
(式中、R
4及びR
5は前記と同じである。)
で表される化合物とを、塩基の存在下で反応させる工程を含
み、前記塩基のpKaが10~20の範囲内である、製造方法。
【請求項2】
前記塩基が第4級アンモニウム塩、MHF
p(ここで、MはNa、K、又はCsであり、pは原子価に対応する数である。)、及びMF(ここで、MはNa、K、又はCsである。)からなる群より選択される少なくとも一種を含む、請求項
1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記塩基が第4級アンモニウム塩を含む、請求項
1に記載の製造方法。
【請求項4】
前記第4級アンモニウム塩が、テトラブチルアンモニウムフルオリド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、テトラメチルアンモニウムフルオリド、及びテトラメチルアンモニウムヒドロキシドからなる群より選択される少なくとも一種である、請求項
3に記載の製造方法。
【請求項5】
前記式(1)及び(3)において、
EWGは-COOR
6、-COR
6、-SO
nR
6、-CONR
7R
8、-PO(OR
9)(OR
10)、又はシアノ基であり、
R
6は1個以上の置換基を有していてもよいC
1-12炭化水素基であり、
R
7及びR
8は、それぞれ独立して、水素原子又は1個以上の置換基を有していてもよいC
1-12炭化水素基であり、
R
9及びR
10は、それぞれ独立して、水素原子又は1個以上の置換基を有していてもよいC
1-12炭化水素基であり、
nは1又は2である、
請求項
1に記載の製造方法。
【請求項6】
前記式(1)及び(3)において、
R
1、R
2、及びR
3は、それぞれ独立して、水素原子又は1個以上の置換基を有していてもよいC
1-12炭化水素基である
請求項
1に記載の製造方法。
【請求項7】
前記式(2)及び(3)において、
R
4及びR
5は、それぞれ独立して、フルオロC
1-10アルキル基、又はフルオロC
1-10アルコキシ基である、
請求項
1に記載の製造方法。
【請求項8】
前記式(2)で表される化合物が1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパンである、請求項
7に記載の製造方法。
【請求項9】
前記反応を溶媒中で実施する、請求項1~
8のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項10】
前記溶媒は、炭化水素系溶媒、エーテル系溶媒、アミド系溶媒、スルホキシド系溶媒、及びニトリル系溶媒からなる群より選択される少なくとも一種である、請求項
9に記載の製造方法。
【請求項11】
下記式(3A):
【化4】
[式中、
R
31は水素原子、又は1個以上の置換基を有していてもよいC
1-6
炭化水素基であり、
前記置換基は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、メルカプト基、アミノ基、ニトロ基、及びシアノ基からなる群より選択される少なくとも一種であり、
R
61は1個以上の置換基を有していてもよいC
1-12アルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルキル基、又は1個以上の置換基を有していてもよいアリール基であ
り、前記置換基は、それぞれ、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、メルカプト基、アミノ基、ニトロ基、及びシアノ基からなる群より選択される少なくとも一種である。(但し、R
61が1個以上の
前記置換基を有していてもよいC
4アルキル基である場合、当該C
4アルキル基は分岐鎖状C
4アルキル基である。)]
で表される化合物
(但し、4-(トリフルオロメチル)-4,5,5,5-テトラフルオロペンタン酸メチルを除く)。
【請求項12】
下記式(3B):
【化5】
[式中、
R
32は水素原子、又は1個以上の置換基を有していてもよいC
1-12炭化水素基であり、
前記置換基は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、メルカプト基、アミノ基、ニトロ基、及びシアノ基からなる群より選択される少なくとも一種であり、
R
71及びR
81は、それぞれ独立して、1個以上の置換基を有していてもよいC
1-12アルキル基、又は1個以上の置換基を有していてもよいアリール基であ
り、前記置換基は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、メルカプト基、アミノ基、ニトロ基、及びシアノ基からなる群より選択される少なくとも一種である。(但し、R
71及びR
81は同時に1個以上の
前記置換基を有していてもよいC
2アルキル基ではない。)]
で表される化合物。
【請求項13】
下記式(4):
【化6】
(式中、
R
11、R
12、及びR
13は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素基、-OR
A、-COR
A、-COOR
A、-CONR
BR
C、-NR
BR
C、-NH-COR
A、又は-NH-COOR
Aであり、
R
Aは、1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素基であり、
R
B及びR
Cは、それぞれ独立して、水素原子又は1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素基であるか、R
B及びR
Cは、互いに結合して隣接する窒素原子と共に環を形成していてもよく、
R
16は電子求引基であり、
前記電子求引基は-COR、-COOR、-COSR、-CONH
2
、-CONHR、-CON(R)
2
、-CSR、-CSOR、-CSNH
2
、-CSNHR、-CSN(R)
2
、-CN、-SOR、-SO
2
R、及び-PO(OR)
2
からなる群より選択される一種であり、Rは独立して1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素基であり、前記置換基は、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、-COH、及び-COOHからなる群より選択される少なくとも一種であり、
R
11、R
12、R
13、及びR
16のうち任意の2つは互いに結合して環を形成していてもよく、
R
14及びR
15は、それぞれ独立して、1個以上の置換基を有していてもよく、炭素原子間に酸素原子を含んでいてもよいフルオロアルキル基、又は、1個以上の置換基を有していてもよく、炭素原子間に酸素原子を含んでいてもよいフルオロアルコキシ基であり、R
14及びR
15は互いに結合して環を形成していてもよく、
mは2又は3である。)
で表される化合物。
【請求項14】
下記式(3):
【化7】
(式中、
R
1、R
2、及びR
3は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素基、-OR
A、-COR
A、-COOR
A、-CONR
BR
C、-NR
BR
C、-NH-COR
A、又は-NH-COOR
Aであり、
R
Aは、1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素基であり、
R
B及びR
Cは、それぞれ独立して、水素原子又は1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素基であり、
EWGは電子求引基であり、
R
1、R
2、R
3、及びEWGのうち任意の2つは互いに結合して環を形成していてもよく、
R
4及びR
5は、それぞれ独立して、1個以上の置換基を有していてもよく、炭素原子間に酸素原子を含んでいてもよいフルオロアルキル基、又は、1個以上の置換基を有していてもよく、炭素原子間に酸素原子を含んでいてもよいフルオロアルコキシ基であり、
R
4及びR
5は互いに結合して環を形成していてもよい。)
で表される化合物と、
下記式(4):
【化8】
(式中、
R
11、R
12、及びR
13は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素基、-OR
A、-COR
A、-COOR
A、-CONR
BR
C、-NR
BR
C、-NH-COR
A、又は-NH-COOR
Aであり、
R
Aは、1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素基であり、
R
B及びR
Cは、それぞれ独立して、水素原子又は1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素基であるか、R
B及びR
Cは、互いに結合して隣接する窒素原子と共に環を形成していてもよく、
R
16は電子求引基であり、
R
11、R
12、R
13、及びR
16のうち任意の2つは互いに結合して環を形成していてもよく、
R
14及びR
15は、それぞれ独立して、1個以上の置換基を有していてもよく、炭素原子間に酸素原子を含んでいてもよいフルオロアルキル基、又は、1個以上の置換基を有していてもよく、炭素原子間に酸素原子を含んでいてもよいフルオロアルコキシ基であり、R
14及びR
15は互いに結合して環を形成していてもよく、
mは2又は3である。)
で表される化合物とを含有する組成物。
【請求項15】
前記式(3)で表される化合物100質量部に対して前記式(4)で表される化合物を0.0001~150質量部含有する、請求項
14に記載の組成物。
【請求項16】
前記式(3)で表される化合物100質量部に対して前記式(4)で表される化合物を0.0001~100質量部含有する、請求項
14に記載の組成物。
【請求項17】
前記式(3)で表される化合物100質量部に対して前記式(4)で表される化合物を0.0001~50質量部含有する、請求項
14に記載の組成物。
【請求項18】
下記式(5):
【化9】
(式中、
R
21、R
22、及びR
23は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素基、-OR
A、-COR
A、-COOR
A、-CONR
BR
C、-NR
BR
C、-NH-COR
A、又は-NH-COOR
Aであり、
R
Aは、1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素基であり、
R
B及びR
Cは、それぞれ独立して、水素原子又は1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素基であるか、R
B及びR
Cは、互いに結合して隣接する窒素原子と共に環を形成していてもよく、
R
21、R
22、及びR
23のうち任意の2つは互いに結合して環を形成していてもよく、
R
24及びR
25は、それぞれ独立して、1個以上の置換基を有していてもよく、炭素原子間に酸素原子を含んでいてもよいフルオロアルキル基、又は、1個以上の置換基を有していてもよく、炭素原子間に酸素原子を含んでいてもよいフルオロアルコキシ基であり、R
24及びR
25は互いに結合して環を形成していてもよく、
R
26は-OR
27又は-NR
28R
29であり、
R
27は1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素基であり、
R
28及びR
29は、それぞれ独立して、水素原子又は1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素基である。)
で表される化合物を含有しない、又は前記式(3)で表される化合物100質量部に対して前記式(5)で表される化合物を0質量部超50質量部以下含有する、請求項
14~
17のいずれか一項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、第2級モノヒドロフルオロアルカン類の選択的付加体及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フッ素官能基はミミック効果、ブロック効果、疎水性効果を有することから、医農薬品開発においてフッ素官能基の導入がよくなされている。ヘプタフルオロイソプロピル基((CF3)2CF基)等はより高い機能を有しており、例えば殺虫剤フルベンジアミドに用いることでCF3基よりも高い活性を示すことが知られている。
【0003】
(CF3)2CF基等をエチレン性不飽和化合物(二重結合)に導入する方法としては、ラジカル付加反応を利用する方法が知られている。例えばAgF及びヘキサフルオロプロペン(HFP)から(CF3)2CFAgを調製することによりエチレン性不飽和化合物に(CF3)2CF基を導入している(非特許文献1)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】K. Mikami, Org. Lett. 2019, 21, p. 1093
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
非特許文献1の方法は、AgFが高価であること、使用できる反応剤や基質が限定的であるという問題がある。(CF3)2CFAgではなく、第2級モノヒドロフルオロアルカン類をエチレン性不飽和化合物に付加、特に位置選択的に付加する方法については、これまで検討されていない。
【0006】
本開示は、第2級モノヒロドロフルオロアルカン類の選択的付加体及びその製造方法を提供することを主な課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、以下の態様を包含する。
項1.
下記式(3):
【化1】
(式中、
R
1、R
2、及びR
3は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素基、-OR
A、-COR
A、-COOR
A、-CONR
BR
C、-NR
BR
C、-NH-COR
A、又は-NH-COOR
Aであり、
R
Aは、1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素基であり、
R
B及びR
Cは、それぞれ独立して、水素原子又は1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素基であるか、R
B及びR
Cは、互いに結合して隣接する窒素原子と共に環を形成していてもよく、
EWGは電子求引基であり、
R
1、R
2、R
3、及びEWGのうち任意の2つは互いに結合して環を形成していてもよく、
R
4及びR
5は、それぞれ独立して、1個以上の置換基を有していてもよく、炭素原子間に酸素原子を含んでいてもよいフルオロアルキル基、又は、1個以上の置換基を有していてもよく、炭素原子間に酸素原子を含んでいてもよいフルオロアルコキシ基であり、
R
4及びR
5は互いに結合して環を形成していてもよい。)
で表される化合物の製造方法であって、
下記式(1):
【化2】
(式中、R
1、R
2、R
3、及びEWGは前記と同じである。)
で表される化合物と、下記式(2):
【化3】
(式中、R
4及びR
5は前記と同じである。)
で表される化合物とを、塩基の存在下で反応させる工程を含む製造方法。
項2.
前記塩基のpKaが10~20の範囲内である、項1に記載の製造方法。
項3.
前記塩基が第4級アンモニウム塩、MHF
p(ここで、MはNa、K、又はCsであり、pは原子価に対応する数である。)、及びMF(ここで、MはNa、K、又はCsである。)からなる群より選択される少なくとも一種を含む、項1又は2に記載の製造方法。
項4.
前記塩基が第4級アンモニウム塩を含む、項1~3のいずれか一項に記載の製造方法。
項5.
前記第4級アンモニウム塩が、テトラブチルアンモニウムフルオリド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、テトラメチルアンモニウムフルオリド、及びテトラメチルアンモニウムヒドロキシドからなる群より選択される少なくとも一種である、項3又は4に記載の製造方法。
項6.
前記式(1)及び(3)において、
EWGは-COOR
6、-COR
6、-SO
nR
6、-CONR
7R
8、-PO(OR
9)(OR
10)、又はシアノ基であり、
R
6は1個以上の置換基を有していてもよいC
1-12炭化水素基であり、
R
7及びR
8は、それぞれ独立して、水素原子又は1個以上の置換基を有していてもよいC
1-12炭化水素基であり、
R
9及びR
10は、それぞれ独立して、水素原子又は1個以上の置換基を有していてもよいC
1-12炭化水素基であり、
nは1又は2である、
項1~5のいずれか一項に記載の製造方法。
項7.
前記式(1)及び(3)において、
R
1、R
2、及びR
3は、それぞれ独立して、水素原子又は1個以上の置換基を有していてもよいC
1-12炭化水素基である
項1~6のいずれか一項に記載の製造方法。
項8.
前記式(2)及び(3)において、
R
4及びR
5は、それぞれ独立して、フルオロC
1-10アルキル基、又はフルオロC
1-10アルコキシ基である、
項1~7のいずれか一項に記載の製造方法。
項9.
前記式(2)で表される化合物が1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパンである、項1~8のいずれか一項に記載の製造方法。
項10.
前記反応を溶媒中で実施する、項1~9のいずれか一項に記載の製造方法。
項11.
前記溶媒は、炭化水素系溶媒、エーテル系溶媒、アミド系溶媒、スルホキシド系溶媒、及びニトリル系溶媒からなる群より選択される少なくとも一種である、項10に記載の製造方法。
項12.
下記式(3A):
【化4】
[式中、
R
31は水素原子、又は1個以上の置換基を有していてもよいC
1-12炭化水素基であり、
R
61は1個以上の置換基を有していてもよいC
1-12アルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルキル基、又は1個以上の置換基を有していてもよいアリール基である。(但し、R
61が1個以上の置換基を有していてもよいC
4アルキル基である場合、当該C
4アルキル基は分岐鎖状C
4アルキル基である。)]
で表される化合物。
項13.
下記式(3B):
【化5】
[式中、
R
32は水素原子、又は1個以上の置換基を有していてもよいC
1-12炭化水素基であり、
R
71及びR
81は、それぞれ独立して、1個以上の置換基を有していてもよいC
1-12アルキル基、又は1個以上の置換基を有していてもよいアリール基である。(但し、R
71及びR
81は同時に1個以上の置換基を有していてもよいC
2アルキル基ではない。)]
で表される化合物。
項14.
下記式(4):
【化6】
(式中、
R
11、R
12、及びR
13は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素基、-OR
A、-COR
A、-COOR
A、-CONR
BR
C、-NR
BR
C、-NH-COR
A、又は-NH-COOR
Aであり、
R
Aは、1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素基であり、
R
B及びR
Cは、それぞれ独立して、水素原子又は1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素基であるか、R
B及びR
Cは、互いに結合して隣接する窒素原子と共に環を形成していてもよく、
R
16は電子求引基であり、
R
11、R
12、R
13、及びR
16のうち任意の2つは互いに結合して環を形成していてもよく、
R
14及びR
15は、それぞれ独立して、1個以上の置換基を有していてもよく、炭素原子間に酸素原子を含んでいてもよいフルオロアルキル基、又は、1個以上の置換基を有していてもよく、炭素原子間に酸素原子を含んでいてもよいフルオロアルコキシ基であり、R
14及びR
15は互いに結合して環を形成していてもよく、
mは2又は3である。)
で表される化合物。
項15.
下記式(3):
【化7】
(式中、
R
1、R
2、及びR
3は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素基、-OR
A、-COR
A、-COOR
A、-CONR
BR
C、-NR
BR
C、-NH-COR
A、又は-NH-COOR
Aであり、
R
Aは、1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素基であり、
R
B及びR
Cは、それぞれ独立して、水素原子又は1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素基であり、
EWGは電子求引基であり、
R
1、R
2、R
3、及びEWGのうち任意の2つは互いに結合して環を形成していてもよく、
R
4及びR
5は、それぞれ独立して、1個以上の置換基を有していてもよく、炭素原子間に酸素原子を含んでいてもよいフルオロアルキル基、又は、1個以上の置換基を有してもよく、炭素原子間に酸素原子を含んでいてもよいフルオロアルコキシ基であり、
R
4及びR
5は互いに結合して環を形成していてもよい。)
で表される化合物と、
下記式(4):
【化8】
(式中、
R
11、R
12、及びR
13は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素基、-OR
A、-COR
A、-COOR
A、-CONR
BR
C、-NR
BR
C、-NH-COR
A、又は-NH-COOR
Aであり、
R
Aは、1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素基であり、
R
B及びR
Cは、それぞれ独立して、水素原子又は1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素基であるか、R
B及びR
Cは、互いに結合して隣接する窒素原子と共に環を形成していてもよく、
R
16は電子求引基であり、
R
11、R
12、R
13、及びR
16のうち任意の2つは互いに結合して環を形成していてもよく、
R
14及びR
15は、それぞれ独立して、1個以上の置換基を有していてもよく、炭素原子間に酸素原子を含んでいてもよいフルオロアルキル基、又は、1個以上の置換基を有していてもよく、炭素原子間に酸素原子を含んでいてもよいフルオロアルコキシ基であり、R
14及びR
15は互いに結合して環を形成していてもよく、
mは2又は3である。)
で表される化合物とを含有する組成物。
項16.
前記式(3)で表される化合物100質量部に対して前記式(4)で表される化合物を0.0001~150質量部含有する、項15に記載の組成物。
項17.
前記式(3)で表される化合物100質量部に対して前記式(4)で表される化合物を0.0001~100質量部含有する、項15又は16に記載の組成物。
項18.
前記式(3)で表される化合物100質量部に対して前記式(4)で表される化合物を0.0001~50質量部含有する、項15~17のいずれか一項に記載の組成物。
項19.
下記式(5):
【化9】
(式中、
R
21、R
22、及びR
23は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素基、-OR
A、-COR
A、-COOR
A、-CONR
BR
C、-NR
BR
C、-NH-COR
A、又は-NH-COOR
Aであり、
R
Aは、1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素基であり、
R
B及びR
Cは、それぞれ独立して、水素原子又は1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素基であるか、R
B及びR
Cは、互いに結合して隣接する窒素原子と共に環を形成していてもよく、
R
21、R
22、及びR
23のうち任意の2つは互いに結合して環を形成していてもよく、
R
24及びR
25は、それぞれ独立して、1個以上の置換基を有していてもよく、炭素原子間に酸素原子を含んでいてもよいフルオロアルキル基、又は、1個以上の置換基を有していてもよく、炭素原子間に酸素原子を含んでいてもよいフルオロアルコキシ基であり、R
24及びR
25は互いに結合して環を形成していてもよく、
R
26は-OR
27又は-NR
28R
29であり、
R
27は1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素基であり、
R
28及びR
29は、それぞれ独立して、水素原子又は1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素基である。)
で表される化合物を含有しない、又は前記式(3)で表される化合物100質量部に対して前記式(5)で表される化合物を0質量部超50質量部以下含有する、項15~18のいずれか一項に記載の組成物。
【発明の効果】
【0008】
本開示により、第2級モノヒロドロフルオロアルカン類の選択的付加体及びその製造方法が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書で引用した全ての刊行物、特許及び特許出願はそのまま引用により本明細書に組み入れられる。
【0010】
<用語>
本明細書中の記号及び略号は、特に限定のない限り、本明細書の文脈に沿い、本開示が属する技術分野において通常用いられる意味に理解できる。
【0011】
本明細書中、語句「含有する」は、語句「から本質的になる」、及び語句「からなる」を包含することを意図して用いられる。
【0012】
本明細書中に記載されている工程、処理、又は操作は、特に断りのない限り、室温で実施され得る。
【0013】
本明細書中、室温は、10~40℃の範囲内の温度を意味することができる。
【0014】
本明細書中、表記「Cn-m」(ここで、n及びmは、それぞれ、正の整数であり、n<mである。)は、当業者が通常理解する通り、炭素数がn以上且つm以下であることを表す。
【0015】
本明細書中、「炭化水素基」は、飽和炭化水素基及び不飽和炭化水素基の双方を包含する概念である。「炭化水素基」としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルカジエニル基、アリール基、及びアラルキル基が挙げられる。
【0016】
本明細書中、「アルキル基」としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基(n-プロピル基、イソプロピル基)、ブチル基(n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基)、ペンチル基、及びヘキシル基等の、直鎖又は分岐鎖状のC1-20アルキル基等が挙げられる。
【0017】
本明細書中、「アルケニル基」としては、例えば、ビニル基、1-プロペン-1-イル基、2-プロペン-1-イル基、イソプロペニル基、2-ブテン-1-イル基、4-ペンテン-1-イル基、及び5-ヘキセン-1-イル基等の、直鎖状又は分岐鎖状のC2-20アルケニル基等が挙げられる。
【0018】
本明細書中、「アルキニル基」としては、例えば、エチニル基、1-プロピン-1-イル基、2-プロピン-1-イル基、4-ペンチン-1-イル基、及び5-ヘキシン-1-イル基等の、直鎖状又は分岐鎖状のC2-20アルキニル基等が挙げられる。
【0019】
本明細書中、「シクロアルキル基」としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、アダマンチル基等の、C3-10シクロアルキル基等が挙げられる。
【0020】
本明細書中、「シクロアルケニル基」としては、例えば、シクロプロペニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、及びシクロヘプテニル基等の、C3-10シクロアルケニル基等が挙げられる。
【0021】
本明細書中、「シクロアルカジエニル基」としては、例えば、シクロブタジエニル基、シクロペンタジエニル基、シクロヘキサジエニル基、シクロヘプタジエニル基、シクロオクタジエニル基、シクロノナジエニル基、及びシクロデカジエニル基等の、C4-10シクロアルカジエニル基が挙げられる。
【0022】
本明細書中、「アリール基」は、例えば、単環性、2環性、3環性、又は4環性であることができる。「アリール基」としては、例えば、フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、2-ビフェニル基、3-ビフェニル基、4-ビフェニル基、及び2-アンスリル基等の、C6-18アリール基等が挙げられる。
【0023】
本明細書中、「アラルキル基」としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基、ジフェニルメチル基、1-ナフチルメチル基、2-ナフチルメチル基、2,2-ジフェニルエチル基、3-フェニルプロピル基、4-フェニルブチル基、5-フェニルペンチル基、2-ビフェニルメチル基、3-ビフェニルメチル基、及び4-ビフェニルメチル基等の、C7-19アリール基等が挙げられる。
【0024】
本明細書中、「1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素基」の置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、ヒドロキシル基、メルカプト基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基等が挙げられる。置換基の数は、例えば1個以上置換可能な最大数以下(例えば、2個、3個、4個、又は5個)である。「1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素基」としては、例えば、ハロアルキル基、ヒドロキシアルキル基等が挙げられる。「ハロアルキル基」としては、例えば、前記「アルキル基」に1個以上のハロゲン原子が置換されたものであることができる。「ヒドロキシアルキル基」としては、例えば、前記「アルキル基」に1個以上のヒドロキシル基が置換されたものであることができる。
【0025】
本明細書中、「フルオロアルキル基」は、非パーフルオロアルキル基及びパーフルオロアルキル基の双方を包含する概念である。「フルオロアルキル基」としては、例えば、前記「アルキル基」に1個以上のフッ素原子が置換されたものであることができる。「炭素原子間に酸素原子を含んでいてもよいフルオロアルキル基」としては、例えば、
CF3-、
CH3-CF2-、
CHF2-CH2-、
CF3-CH2-、
CF3-CF2-、
CF3-CF2-CH2-、
CF3-CF2-CF2-、
(CF3)2CF-、
CF3-O-CF2-、
CF3-O-CF(CF3)-、
CF3-CF2-CF2-CF2-、
CF3-CF2-CF(CF3)-CF2-、
CF3-O-CH2-CH2-、
CF3-O-CH(CF3)-CH2-、
CF3-O-CF2-CF2-、
(CF3CF2)(CF2)CF-、
(CF3)3C-、
CF3-CF2-O-CF2-、
CF3-CF2-CF2-CF2-CF2-、
CF3-CF2-O-CF2-CF2-、
CF3-O-CF2-O-CF2-、
CF3-CF2-CF2-CF2-CF2-CF2-、
CF3-CF2-CF2-O-CH2-CF2-、
CF3-CF2-CF2-O-CF2-CF2-、
CF3-CF2-CF2-CF2-CF2-CF2-CF2-、
CF3-CF2-CF2-CF2-CF2-CF2-CF2-CF2-、
CHF2-CF2-CF2-CF2-CF2-CF2-CF2-CH2-、
CF3-CF(CF3)-CF2-、
CF3-CF2-CF(CF3)-、
CF3-CF2-CF2-O-CF(CF3)-CF2-、
CF3-CF2-CF2-O-CF(CF3)-CF2-O-CF(CF3)-CF2-、及び
CF3-CF2-CF2-O-[CF(CF3)-CF2-O-]2-CF(CF3)-CF2-
等の、直鎖状又は分岐鎖状の、フルオロC1-10アルキル基、フルオロC1-4アルコキシフルオロC1-4アルキル基、フルオロC1-4アルコキシフルオロC1-4アルコキシフルオロC1-4アルキル基等が挙げられる。「1個以上の置換基を有していてもよく、炭素原子間に酸素原子を含んでいてもよいフルオロアルキル基」は、前記「炭素原子間に酸素原子を含んでいてもよいフルオロアルキル基」に1個以上(1個以上置換可能な最大数以下、例えば、1個、2個、3個、4個、又は5個)の置換基(例えば、ヒドロキシル基、メルカプト基、アミノ基、ニトロ基、及びシアノ基から選択される少なくとも一種等)が置換されたものを包含する。
【0026】
本明細書中、「フルオロアルコキシ基」は、非パーフルオロアルコキシ基及びパーフルオロアルコキシ基の双方を包含する概念である。「炭素原子間に酸素原子を含んでいてもよいフルオロアルコキシ基」としては、例えば、
CF3-O-、
CF3-CH2-O-、
CF3-CF2-O-、
CF3-CF2-CF2-O-、
CF3-CF2-CF2-CF2-O-、
CF3-O-CF2-O-、
CF3-O-CF2-CF2-CF2-O-、
CF3-O-CH2-CF2-CF2-O-
CF3-CF2-O-CF2-CF2-O-、
CF3-CF2-CF2-O-CH2-CF2-CF2-O-、
CF3-CF2-CF2-O-CF2-CF2-CF2-O-、
CF3-CF(CF3)-O-、
CF3-CF2-CF(CF3)-O-、
CF3-CF(CF3)-CF(CF3)-O-、
CF3-CF2-CF2-O-CF(CF3)-CF2-O-、
CF3-CF2-CF2-O-[CF(CF3)-CF2-O-]2-O-、及び
CF3-CF2-CF2-O-[CF(CF3)-CF2-O-]3-O-
等の、直鎖状又は分岐鎖状の、フルオロC1-10アルコキシ基、フルオロC1-4アルコキシフルオロC1-4アルコキシ基が挙げられる。「1個以上の置換基を有していてもよく、炭素原子間に酸素原子を含んでいてもよいフルオロアルコキシ基」は、前記「炭素原子間に酸素原子を含んでいてもよいフルオロアルコキシ基」に1個以上(1個以上置換可能な最大数以下、例えば、1個、2個、3個、4個、又は5個)の置換基(例えば、ヒドロキシル基、メルカプト基、アミノ基、ニトロ基、及びシアノ基から選択される少なくとも一種等)が置換されたものを包含する。
【0027】
本明細書において、「電子求引基」とは、ハメットの置換基定数σp値が正である官能基をいう。σp値の定義、及び、各官能基のσp値は、例えば、Hansch, C et al., Chem. Rev., 91, pp. 165-195 (1991) 等を参照することができる。「電子求引基」としては、例えば、
-COR、
-COOR、
-COSR、
-CONH2、
-CONHR、
-CON(R)2、
-CSR、
-CSOR、
-CSNH2、
-CSNHR、
-CSN(R)2、
-CN(シアノ基)、
-SOR、
-SO2R、及び
-PO(OR)2
等が挙げられる。
ここで、Rは独立して1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素基である。当該炭化水素基に任意に置換し得る置換基は、電子求引基であることが好ましく、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、-COH、-COR、-COOH、-COOR等が挙げられる。置換基の数は、例えば1個以上置換可能な最大数以下(例えば、2個、3個、4個、又は5個)である。
【0028】
<式(3)で表される化合物の製造方法>
式(3)で表される化合物の製造方法は、式(1)で表される化合物と、式(2)で表される化合物とを、塩基の存在下で反応させる工程(以下、「工程A」という。)を含む。
【0029】
式(1)で表される化合物
R1、R2、及びR3は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素基、-ORA、-CORA、-COORA、-CONRBRC、-NRBRC、-NH-CORA、又は-NH-COORAである。
一実施形態において、R1、R2、及びR3は、それぞれ独立して、水素原子又は1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素基であることが好ましく、水素原子又は1個以上の置換基を有していてもよいC1-12炭化水素基であることがより好ましい。
別の実施形態において、R1、R2、及びR3は、それぞれ独立して、
水素原子、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、又は1個以上の置換基を有していてもよいアラルキル基であることが好ましく、
水素原子、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、又は1個以上の置換基を有していてもよいアラルキル基であることがより好ましく、
水素原子、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、又は1個以上の置換基を有していてもよいアリール基であることが更に好ましく、
水素原子、1個以上の置換基を有していてもよいC1-12アルキル基、又は1個以上の置換基を有していてもよいC6-12アリール基であることが特に好ましい。
【0030】
R1、R2、及びR3の好適な組合せとしては、例えば、
(a)R1及びR2が水素原子であり、R3が1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素基である組合せ、
(b)R1及びR2が水素原子であり、R3が1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、又は1個以上の置換基を有していてもよいアラルキル基である組合せ、
(c)R1及びR2が水素原子であり、R3が1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基又は1個以上の置換基を有していてもよいアリール基である組合せ、
(d)R1及びR2の一方が水素原子であり、他方がヒドロキシル基を有していてもよい炭化水素基、-ORA、-COORA、-NRBRC、-NH-CORA、又は-NH-COORAであり、R3が水素原子である組合せ、
(e)R1及びR2の一方が水素原子であり、他方が1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、1個以上の置換基を有していてもよいアラルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいヒドロキシアルキル基、-ORA、-COORA、-NRBRC、-NH-CORA、又は-NH-COORAであり、R3が水素原子である組合せ、
(f)R1及びR2の一方が水素原子であり、他方が1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、1個以上の置換基を有していてもよいヒドロキシアルキル基、-ORA、-COORA、-NRBRC、-NH-CORA、又は-NH-COORAであり、R3が水素原子である組合せ、
(g)R1、R2、及びR3が水素原子である組合せ
等が挙げられる。
【0031】
RAは、1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素基(例:C1-12炭化水素基)であり、好ましくは1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基(例:C1-12アルキル基)、1個以上の置換基を有していてもよいアリール基(例:C6-12アリール基)、又は1個以上の置換基を有していてもよいアラルキル基(例:C7-12アラルキル基)である。
【0032】
RB及びRCは、それぞれ独立して、水素原子又は1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素基(例:C1-12炭化水素基)であり、好ましくは水素原子、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基(例:C1-12アルキル基)、1個以上の置換基を有していてもよいアリール基(例:C6-12アリール基)、又は1個以上の置換基を有していてもよいアラルキル基(例:C7-12アラルキル基)である。RB及びRCは、互いに結合して隣接する窒素原子と共に環を形成していてもよい。当該環としては、例えば、ピロール、ピペリジン、1,3-ジオキソイソインドリン等が挙げられる。
【0033】
EWGは電子求引基である。EWGは、-COOR6、-COR6、-SOnR6、-CONR7R8、-PO(OR9)(OR10)、又はシアノ基であることが好ましく、-COOR6、-CONR7R8、-SOnR6、-PO(OR9)(OR10)、又はシアノ基であることがより好ましく、-COOR6、-CONR7R8、又はシアノ基であることが更に好ましい。このようなEWGを有する式(1)で表される化合物に対して、式(2)で表される化合物の1,4-付加反応を選択的に進行させることができ、1,2-付加反応を部分的又は完全に抑制することができる。
【0034】
一実施形態において、R6は1個以上の置換基を有していてもよいC1-12炭化水素基であることが好ましい。
別の実施形態において、R6は1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、又は1個以上の置換基を有していてもよいアラルキル基であることが好ましい。
更に別の実施形態において、R6は1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、又は1個以上の置換基を有していてもよいアラルキル基であることがより好ましく、1個以上の置換基を有していてもよいC1-12アルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいC6-12アリール基、又は1個以上の置換基を有していてもよいC7-12アラルキル基であることが更に好ましい。
【0035】
一実施形態において、R7及びR8は、それぞれ独立して、水素原子又は1個以上の置換基を有していてもよいC1-12炭化水素基であることが好ましい。
別の実施形態において、R7及びR8は、それぞれ独立して、水素原子、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、又は1個以上の置換基を有していてもよいアラルキル基であることが好ましく、水素原子、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、又は1個以上の置換基を有していてもよいアラルキル基であることがより好ましく、水素原子、1個以上の置換基を有していてもよいC1-12アルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいC6-12アリール基、又は1個以上の置換基を有していてもよいC7-12アラルキル基であることが更に好ましい。
【0036】
一実施形態において、R9及びR10は、それぞれ独立して、水素原子又は1個以上の置換基を有していてもよいC1-12炭化水素基であることが好ましい。
別の実施形態において、R9及びR10は、それぞれ独立して、水素原子、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、又は1個以上の置換基を有していてもよいアラルキル基であることが好ましく、水素原子、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、又は1個以上の置換基を有していてもよいアラルキル基であることがより好ましく、水素原子、1個以上の置換基を有していてもよいC1-12アルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいC6-12アリール基、又は1個以上の置換基を有していてもよいC7-12アラルキル基であることが更に好ましい。
【0037】
R
1、R
2、R
3、及びEWGのうち任意の2つ、例えば、R
1(又はR
2)及びEWGは、互いに結合して環を形成していてもよい。例えば、式(1)で表される化合物は、R
1(又はR
2)及びEWGが互いに結合して環を形成し、下記式(1-1)~(1-5)のいずれかで表される化合物であってもよい。
【化10】
【0038】
式(1)で表される化合物は、下記式(1-6)~(1-15)のいずれかで表される化合物であることが好ましい。
【化11】
(式中、
R
33、R
34、R
35、R
36、及びR
37は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、又はフルオロアルキル基(好ましくはトリフルオロメチル基)であり、
R
62、R
63、R
64、R
65、R
66、R
67、R
68、R
D、R
E、R
F、R
G、及びR
Hは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、又はアラルキル基であり、
R
72及びR
82は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アリール基、又はアラルキル基であり、
R
91及びR
101は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アリール基、又はアラルキル基である。)
【0039】
式(2)で表される化合物
R4及びR5は、それぞれ独立して、1個以上の置換基を有していてもよく、炭素原子間に酸素原子を含んでいてもよいフルオロアルキル基、又は、1個以上の置換基を有していてもよく、炭素原子間に酸素原子を含んでいてもよいフルオロアルコキシ基である。R4及びR5は、それぞれ独立して、1個以上の置換基を有していてもよいフルオロアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいフルオロアルコキシ基、1個以上の置換基を有していてもよいフルオロアルコキシフルオロアルキル基、又は1個以上の置換基を有していてもよいフルオロアルコキシフルオロアルコキシ基であることが好ましく、1個以上の置換基を有していてもよいフルオロアルキル基又は1個以上の置換基を有していてもよいフルオロアルコキシ基であることがより好ましく、1個以上の置換基を有していてもよいフルオロC1-10アルキル基又は1個以上の置換基を有していてもよいフルオロC1-10アルコキシ基であることが更に好ましく、これらの基が置換基を有しない態様も好ましい。
【0040】
R4及びR5の好適な組合せとしては、R4及びR5が1個以上の置換基を有していてもよいフルオロアルキル基である組合せが好ましく、R4及びR5が1個以上の置換基を有していてもよいフルオロC1-10アルキル基である組合せが更に好ましい。
【0041】
R
4及びR
5は互いに結合して環を形成していてもよい。当該環は、例えば、4員環、5員環、又は6員環であることができる。当該環を有する式(2)で表される化合物は、下記式(2-1)~(2-7)のいずれかで表される化合物であることが好ましい。
【化12】
【0042】
式(2)で表される化合物の好適な例としては、例えば、1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン等が挙げられる。
【0043】
式(1)で表される化合物と式(2)で表される化合物のような付加反応における1,2-付加反応と1,4-付加反応の選択性は、式(2)で表される化合物のR4及びR5が立体的に嵩高いほど、1,4-付加反応の選択性が向上すると考えられる。選択的な1,4-付加反応の進行の観点から、R4及びR5は、トリフルオロメチル基(CF3-)のような短鎖置換基でもよいし、CF3CF2CF2CF2O-のようなCF3-よりも嵩高い長鎖置換基でもよい。
【0044】
式(2)で表される化合物の使用量は、特に制限されないが、例えば、式(1)で表される化合物1モルに対して、1モル以上、1.5モル以上、又は2モル以上であることが好ましく、20モル以下、15モル以下、又は10モル以下であることが好ましい。前記式(2)で表される化合物の使用量は、前記下限及び前記上限を任意に組み合わせた範囲にすることができる。
【0045】
塩基
塩基としては、特に制限されず、任意の塩基を使用することができる。塩基としては、例えば、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)等の鎖状3級アミン;1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、1,8-ビス(ジメチルアミノナフタレン)等の環状アミン;ジアザビシクロウンデセン(DBU)、ジアザビシクロノネン(DBN)等の環状アミジン塩基の他、第4級アンモニウム塩、MH(Z)p(ここで、Mは金属であり、Zはハロゲンであり、pは原子価に対応する数である。)、M(Z)k(ここで、Mは金属であり、Zはハロゲンであり、kは金属の価数に応じた数である。)等が挙げられる。塩基のカチオン部位に嵩高い基が存在することにより反応を効率よく進行させることができる。
【0046】
前記第4級アンモニウム塩としては、例えば、下記式(6):
【化13】
(式中、Q
1~Q
4は、それぞれ独立して、1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素基であり、Q
1~Q
4のうち任意の2つは互いに結合して環を形成していてもよく、Xはハロゲン、OH、HSO
4、SO
4
2-、BH
4、BF
4、ClO
4、NO
3、又はPF
6である。)
で表される化合物又はその水和物、ジフルオロトリメチルケイ酸トリス(ジメチルアミノ)スルホニウム(TASF)等が挙げられる。
【0047】
Q1~Q4は、それぞれ独立して、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、又は1個以上の置換基を有していてもよいアラルキル基であることが好ましく、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基又は1個以上の置換基を有していてもよいアリール基であることがより好ましく、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基であることが更に好ましく、C1-4アルキル基であることが特に好ましい。なお、前記置換基としては、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、メルカプト基等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0048】
Q1~Q4の任意の2つが互いに結合して形成される環としては、例えば、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン等の5又は6員環等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0049】
Xで表されるハロゲンは、フッ素、塩素、臭素、又はヨウ素であり、フッ素であることが好ましい。
【0050】
Xは、ハロゲン又はOHであることが好ましく、フッ素又はOHであることが更に好ましい。
【0051】
式(6)で表される化合物の好適な例としては、例えば、テトラブチルアンモニウムフルオリド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、テトラメチルアンモニウムフルオリド、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド等が挙げられる。
【0052】
前記MH(Z)p及びM(Z)kにおいて、Mは、アルカリ金属又はアルカリ土類金属であることが好ましく、アルカリ金属であることがより好ましく、Na、K、又はCsであることが更に好ましい。Zは、フッ素であることが好ましい。前記MH(Z)pはMHFp(ここで、MはNa、K、又はCsであり、pは原子価に対応する数である。)であることが好ましく、前記M(Z)kはMF(ここで、MはNa、K、又はCsである。)であることが好ましい。
【0053】
塩基は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。一実施形態において、塩基は、第4級アンモニウム塩、MHFp(ここで、MはNa、K、又はCsであり、pは原子価に対応する数である。)、及びMF(ここで、MはNa、K、又はCsである。)からなる群より選択される少なくとも一種を含むことが好ましく、第4級アンモニウム塩を含むことがさらに好ましい。当該実施形態において、第4級アンモニウム塩は、テトラブチルアンモニウムフルオリド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、テトラメチルアンモニウムフルオリド、及びテトラメチルアンモニウムヒドロキシドからなる群より選択される少なくとも一種であることが好ましい。
【0054】
塩基のpKaの下限は、例えば10、好ましくは11、更に好ましくは12である。塩基のpKaの上限は、例えば20、好ましくは16、更に好ましくは15である。塩基のpKaは、例えば10~20の範囲内であり、好ましくは10~15の範囲内である。塩基のpKaの値は、例えば、化学便覧(基礎編)改訂6版、日本化学会 編(丸善出版)等を参照することができる。
【0055】
塩基の使用量は、特に制限されないが、例えば、式(1)で表される化合物1モルに対して、0.5モル以上、0.75モル以上、又は1モル以上であることが好ましく、5モル以下、4モル以下、3モル以下、又は2モル以下であることが好ましい。前記塩基の使用量は、前記下限及び前記上限を任意に組み合わせた範囲にすることができる。
【0056】
溶媒
工程Aの反応は、溶媒中で実施してもよい。当該溶媒は、例えば、非極性溶媒であっても非プロトン性極性溶媒であってもプロトン性極性溶媒であってもよい。当該溶媒としては、特に制限されないが、例えば、次の溶媒が挙げられる。
・炭化水素系溶媒[例:n-ヘキサン等の鎖状炭化水素、ベンゼン、トルエン、p-キシレン等の芳香族炭化水素]
・ハロゲン系溶媒[例:ジクロロメタン、ジクロロエタン、パーフルオロヘキサン等のハロアルカン;クロロベンゼン等のハロアレーン;トリフルオロトルエン、ヘキサフルオロメタキシレン等のハロアルキルアレーン]
・ニトリル系溶媒[例:アセトニトリル、プロピオニトリル、アクリロニトリル等の鎖状ニトリル;ベンゾニトリル等の環状ニトリル]
・アミド系溶媒[例:カルボン酸アミド(例:ホルムアミド、N-メチルホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド等の鎖状アミド、N-メチルピロリドン等の環状アミド)、リン酸アミド(例:ヘキサメチルリン酸アミド)]
・エーテル系溶媒[例:ジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル等の鎖状エーテル、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン等の環状エーテル]
・ウレア系溶媒[例:N,N-ジメチルプロピレンウレア]
・エステル系溶媒[例:酢酸エステル]
・スルホキシド系溶媒[例:ジメチルスルホキシド(DMSO)]
・ニトロ系溶媒[例:ニトロメタン、ニトロベンゼン]
・ケトン系溶媒[例:アセトン、メチルエチルケトン]
・これら2種以上の混合溶媒
【0057】
溶媒としては、炭化水素系溶媒、エーテル系溶媒、アミド系溶媒、スルホキシド系溶媒、及びニトリル系溶媒からなる群より選択される少なくとも一種が好ましい。
【0058】
溶媒の使用量は、特に制限されないが、例えば、式(1)で表される化合物1mmolに対して、0.1mL以上、0.5mL以上、又は1mL以上であることが好ましく、100mL以下、50mL以下、又は30mL以下であることが好ましい。前記溶媒の使用量は、前記下限及び前記上限を任意に組み合わせた範囲にすることができる。
【0059】
乾燥剤
工程Aの反応は、水の存在下又非存在下で実施することができる。水の存在下で実施する場合、水分量は、反応液100質量部に対して、例えば、5質量部以下であってもよい。水分量を低減するため、工程Aの反応は、乾燥剤の存在下で実施してもよい。乾燥剤としては、例えば、ゼオライト等が挙げられる。ゼオライトとしては、例えば、モレキュラーシーブ3A、4A、及び5A(ユニオン昭和社)、ゼオラム3A及び4A(東ソー社)等が挙げられる。
【0060】
金属酸化物
工程Aの反応は、金属酸化物の存在下又は非存在下で実施することができる。金属酸化物としては、前記乾燥剤の例として挙げられたゼオライト、シリカ、アルミナ等が挙げられる。金属酸化物の使用量は、例えば、式(1)で表される化合物100質量部に対して、100質量部以上、200質量部以上、又は300質量部以上であることが好ましく、35000質量部以下、30000質量部以下、又は25000質量部以下であることが好ましい。前記金属酸化物の使用量は、前記下限及び前記上限を任意に組み合わせた範囲にすることができる。
【0061】
反応温度
工程Aの反応温度は、反応が進行する限り特に制限されない。当該反応温度の下限は、例えば-20℃以上、好ましくは0℃以上、さらに好ましくは10℃以上である。当該反応温度の上限は、例えば150℃以下、好ましくは120℃以下、さらに好ましくは100℃以下である。当該反応温度は、前記下限及び前記上限を任意に組み合わせた範囲にすることができる。
【0062】
反応時間
工程Aの反応時間は、反応が進行する限り特に制限されない。当該反応時間の下限は、例えば0.1時間以上、好ましくは0.5時間以上、さらに好ましくは1時間以上である。当該反応時間の上限は、例えば72時間以下、好ましくは50時間以下である。当該反応時間は、前記下限及び前記上限を任意に組み合わせた範囲にすることができる。
【0063】
式(3)で表される化合物
R1、R2、R3、R4、R5、及びEWGは「式(1)で表される化合物」及び「式(2)で表される化合物」に記載した通りである。
【0064】
R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、及びEWGの好適な組合せとしては、例えば、次の表1に示される組合せ等が挙げられる。
【表1】
【0065】
式(3)で表される化合物の製造方法は、工程Aに加えて、任意の工程、例えば、ろ過、抽出、蒸留、カラムクロマトグラフィー、洗浄等の精製工程を含むことができる。
【0066】
式(4)で表される化合物
式(4)のR11、R12、R13、R14、R15、及びR16は、それぞれ、式(1)~(3)のR1、R2、R3、R4、R5、及びEWGに対応してもよい。式(4)で表される化合物は、工程Aの反応の副生物に相当し得る。
【0067】
式(4)において、例えば、
R11、R12、及びR13は、それぞれ独立して、水素原子又は1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素基(例:C1-12炭化水素基)であり、
R16は-COOR17、-CONR18R19
、又はシアノ基であり、
R17は1個以上の置換基を有していてもよいC1-12炭化水素基であり、
R18及びR19は、それぞれ独立して、水素原子又は1個以上の置換基を有していてもよいC1-12炭化水素基であり、
R11、R12、R13、及びR16のうち任意の2つは互いに結合して環を形成していてもよく、
R14及びR15は、それぞれ独立して、1個以上の置換基を有していてもよく、炭素原子間に酸素原子を含んでいてもよいフルオロアルキル基、又は、1個以上の置換基を有していてもよく、炭素原子間に酸素原子を含んでいてもよいフルオロアルコキシ基であり、R14及びR15は互いに結合して環を形成していてもよい。
【0068】
mは2又は3であることが好ましい。
【0069】
組成物
組成物は、式(3)で表される化合物及び式(4)で表される化合物を含有する。
【0070】
式(4)で表される化合物の含有量の上限は、式(3)で表される化合物100質量部に対して、例えば300質量部、好ましくは250質量部、更に好ましくは200質量部である。式(4)で表される化合物の含有量の下限は、式(3)で表される化合物100質量部に対して、例えば0.0001質量部、0.0005質量部、0.001質量部、0.005質量部、又は0.01質量部である。
【0071】
式(4)で表される化合物の含有量の上限は、式(3)で表される化合物1モルに対して、例えば9モル、8モル、7モル、又は6モルであってもよく、好ましくは5モル、4モル、3モル、又は2モルであってもよく、更に好ましくは1モルである。式(4)で表される化合物の含有量の下限は、式(3)で表される化合物1モルに対して、例えば0.0001モル、0.0005モル、0.001モル、0.005モル、又は0.01モルである。前記式(4)で表される化合物の含有量は、前記下限及び前記上限を任意に組み合わせた範囲にすることができる。
【0072】
式(4)で表される化合物の含有量の定量方法としては、NMR法、HPLC法、IR法、GC法、GC/MS法、LC/MS法などが挙げられる。これらの中で、GC/MS法がより微量成分を定量するのに好適である。
【0073】
組成物は、下記式(5):
【化14】
(式中、
R
21、R
22、及びR
23は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素基、-OR
A、-COR
A、-COOR
A、-CONR
BR
C、-NR
BR
C、-NH-COR
A、又は-NH-COOR
Aであり、
R
Aは、1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素基であり、
R
B及びR
Cは、それぞれ独立して、水素原子又は1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素基であり、
R
21、R
22、及びR
23のうち任意の2つは互いに結合して環を形成していてもよく、
R
24及びR
25は、それぞれ独立して、1個以上の置換基を有していてもよく、炭素原子間に酸素原子を含んでいてもよいフルオロアルキル基、又は、1個以上の置換基を有していてもよく、炭素原子間に酸素原子を含んでいてもよいフルオロアルコキシ基であり、R
24及びR
25は互いに結合して環を形成していてもよく、
R
26は-OR
27又は-NR
28R
29であり、
R
27は1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素基であり、
R
28及びR
29は、それぞれ独立して、水素原子又は1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素基である。)
で表される化合物を含有してもよい。
【0074】
式(5)のR21、R22、R23、R24、及びR25は、それぞれ、式(1)~(3)のR1、R2、R3、R4、及びR5に対応してもよい。-OR27又は-NR28R29は、それぞれ、式(1)~(3)の-OR6及び-NR7R8に対応してもよい。式(5)で表される化合物は、EWGが-COOR6又は-CONR7R8である式(1)で表される化合物に対して、式(2)で表される化合物が1,2-付加した化合物に相当し得る。
【0075】
式(5)で表される化合物の含有量は、式(3)で表される化合物100質量部に対して、例えば50質量部以下、好ましくは45質量部以下、より好ましくは40質量部以下、更に好ましくは35質量部以下、特に好ましくは30質量部以下である。式(5)で表される化合物の含有量は、式(3)で表される化合物100質量部に対して、例えば0質量部超、0.0001質量部以上、0.001質量部以上、又は0.01質量部以上であることができる。前記式(5)で表される化合物の含有量は、前記下限及び前記上限を任意に組み合わせた範囲にすることができる。
【0076】
式(5)で表される化合物の含有量は、例えば、式(4)で表される化合物の含有量の定量方法と同じ方法により定量することができる。
【0077】
本開示の式(3)で表される化合物の製造方法は、EWGが-COOR6又は-CONR7R8である式(1)で表される化合物に対して、式(2)で表される化合物の1,4-付加を選択的に進行させることができ、1,2-付加を部分的又は完全に抑制することができる。したがって、本開示は、式(5)で表される化合物を含有しない(又は検出限界以下の式(5)で表される化合物を含有する)組成物も提供することができる。
【実施例】
【0078】
以下、実施例によって本開示の一実施態様を更に詳細に説明するが、本開示はこれに限定されるものではない。
各実施例において質量分析はGC/MS測定法で分析を行った。
【0079】
[実施例1]
20mLオートクレーブに、アクリル酸ベンジル(41 mg、0.25 mmol)、N,N-ジメチルホルムアミド(2 mL)、テトラブチルアンモニウムフルオリドの1.0 M THF溶液(0.25 mL、0.25 mmol)を室温で入れた。2H-ヘプタフルオロプロパンを1.6 mmol添加した。室温で5時間反応させた。5時間後、除圧しオートクレーブを開放し分析を行った。4,5,5,5-テトラフルオロ-4-(トリフルオロメチル)ペンタン酸ベンジルの収率は41%であり、2-(2,3,3,3-テトラフルオロ-2-(トリフルオロメチル)プロピル)グルタル酸ジベンジルの収率は3%であった(当該収率(%)は原料(アクリル酸ベンジル)のmolを基準とする単位である)。
【0080】
[実施例2]
20mLオートクレーブに、アクリル酸ベンジル(41 mg、0.25 mmol)、N,N-ジメチルホルムアミド(2 mL)、テトラメチルアンモニウムフルオリド・4水和物(41 mg, 0.25 mmol)、モレキュラーシーブス3A (300mg)を室温で入れた。2H-ヘプタフルオロプロパンを1.6 mmol添加した。室温で5時間反応させた。5時間後、除圧しオートクレーブを開放し分析を行った。4,5,5,5-テトラフルオロ-4-(トリフルオロメチル)ペンタン酸ベンジルの収率は50%であった。2-(2,3,3,3-テトラフルオロ-2-(トリフルオロメチル)プロピル)グルタル酸ジベンジルの収率は40%であった。
[実施例2A]
モレキュラーシーブス3Aを使用しない点を除き、実施例2と同様に操作したところ、4,5,5,5-テトラフルオロ-4-(トリフルオロメチル)ペンタン酸ベンジルの収率は54%であり、2-(2,3,3,3-テトラフルオロ-2-(トリフルオロメチル)プロピル)グルタル酸ジベンジルの収率は34%であった。
[実施例2B]
モレキュラーシーブス3A (300mg)の代わりに、(i)モレキュラーシーブス4A (300mg)、(ii)モレキュラーシーブス5A (300mg)、(iii)不活性化モレキュラーシーブス4A (300mg)、(iv)Al2O3 (300 mg)を使用する点を除き、実施例2と同様に操作したところ、4,5,5,5-テトラフルオロ-4-(トリフルオロメチル)ペンタン酸ベンジルの収率は、それぞれ、(i)58%、(ii)49%、(iii)52%、(iv)13%であり、2-(2,3,3,3-テトラフルオロ-2-(トリフルオロメチル)プロピル)グルタル酸ジベンジルの収率は、それぞれ、(i)50%、(ii)40%、(iii)45%、(iv)5%であった。
【0081】
[実施例3]
20mLオートクレーブに、アクリル酸ベンジル(41 mg、0.25 mmol)、DMSO(2 mL)、テトラブチルアンモニウムフルオリドの1.0 M THF溶液(0.25 mL、0.25 mmol)を室温で入れた。2H-ヘプタフルオロプロパンを1.6 mmol添加した。室温で5時間反応させた。5時間後、除圧しオートクレーブを開放し分析を行った。4,5,5,5-テトラフルオロ-4-(トリフルオロメチル)ペンタン酸ベンジルの収率は20%であった。2-(2,3,3,3-テトラフルオロ-2-(トリフルオロメチル)プロピル)グルタル酸ジベンジルの収率は5%であった。
【0082】
[実施例4]
20mLオートクレーブに、アクリル酸ベンジル(41 mg、0.25 mmol)、1,4-ジオキサン(2 mL)、テトラブチルアンモニウムフルオリドの1.0 M THF溶液(0.25 mL、0.25 mmol)を室温で入れた。2H-ヘプタフルオロプロパンを1.6 mmol添加した。室温で5時間反応させた。5時間後、除圧しオートクレーブを開放し分析を行った。4,5,5,5-テトラフルオロ-4-(トリフルオロメチル)ペンタン酸ベンジルの収率は17%であった。2-(2,3,3,3-テトラフルオロ-2-(トリフルオロメチル)プロピル)グルタル酸ジベンジルの収率は1%であった。
【0083】
[実施例5]
20mLオートクレーブに、N-ベンジル-N-メチルアクリルアミド(44 mg、0.25 mmol)、N,N-ジメチルホルムアミド(1 mL)、テトラブチルアンモニウムフルオリドの1.0 M THF溶液(0.25 mL、0.25 mmol)を室温で入れた。2H-ヘプタフルオロプロパンを1.6 mmol添加した。室温で15時間反応させた。15時間後、除圧しオートクレーブを開放し19FNMR測定及び質量分析を行いN-ベンジル-4,5,5,5-テトラフルオロ-N-メチル-4-(トリフルオロメチル)ペンタンアミドの存在を確認した。
【0084】
[実施例6]
20mLオートクレーブに、ベンジルメタクリレート(44 mg、0.25 mmol)、N,N-ジメチルホルムアミド(2 mL)、テトラメチルアンモニウムフルオリド・4水和物(41 mg, 0.25 mmol)、モレキュラーシーブス4A(300mg)を室温で入れた。2H-ヘプタフルオロプロパンを1.6 mmol添加した。室温で15時間反応させた。15時間後、除圧しオートクレーブを開放し分析を行った。4,5,5,5-テトラフルオロ-2-メチル-4-(トリフルオロメチル)ペンタン酸ベンジルの収率は19%であった。
[実施例6A]
テトラメチルアンモニウムフルオリド・4水和物(41 mg, 0.25 mmol)の代わりにテトラブチルアンモニウムフルオリドの1.0 M THF溶液(0.25 mL、0.25 mmol)を使用した点を除き、実施例6と同様に操作したところ、4,5,5,5-テトラフルオロ-2-メチル-4-(トリフルオロメチル)ペンタン酸ベンジルの収率は9%であった。
【0085】
[実施例7]
20mLオートクレーブに、アクリロニトリル(13 mg、0.25 mmol)、N,N-ジメチルホルムアミド(2 mL)、テトラメチルアンモニウムフルオリド・4水和物(41 mg, 0.25 mmol)、モレキュラーシーブス3A(300mg)を室温で入れた。2H-ヘプタフルオロプロパンを1.6 mmol添加した。室温で5時間反応させた。5時間後、除圧しオートクレーブを開放し分析を行った。4,5,5,5-テトラフルオロ-4-(トリフルオロメチル)ペンタンニトリルの収率は56%であった。
【0086】
[実施例8]
20mLオートクレーブに、けい皮酸ニトリル(32 mg、0.25 mmol)、N,N-ジメチルホルムアミド(2 mL)、テトラメチルアンモニウムフルオリド・4水和物(41 mg, 0.25 mmol)、モレキュラーシーブス3A(300mg)を室温で入れた。2H-ヘプタフルオロプロパンを1.6 mmol添加した。室温で5時間反応させた。5時間後、除圧しオートクレーブを開放し分析を行った。4,5,5,5-テトラフルオロ-3-フェニル-4-(トリフルオロメチル)ペンタンニトリルの収率は8%であった。
【0087】
[実施例9]
20mLオートクレーブに、フェニルビニルスルホン(42 mg、0.25 mmol)、N,N-ジメチルホルムアミド(2 mL)、テトラメチルアンモニウムフルオリド・4水和物(41 mg, 0.25 mmol)、モレキュラーシーブス3A(300mg)を室温で入れた。2H-ヘプタフルオロプロパンを1.6 mmol添加した。室温で5時間反応させた。5時間後、除圧しオートクレーブを開放し分析を行った。((3,4,4,4-テトラフルオロ-3-(トリフルオロメチル)ブチル)スルホニル)ベンゼンの収率は48%であった。
[実施例9A]
モレキュラーシーブス3Aを使用せず、反応時間を15時間に変更した点を除き、実施例9と同様に操作したところ、((3,4,4,4-テトラフルオロ-3-(トリフルオロメチル)ブチル)スルホニル)ベンゼンの収率は89%であった。
【0088】
[実施例10]
20mLオートクレーブに、フェニルビニルスルホキシド(38 mg、0.25 mmol)、N,N-ジメチルホルムアミド(2 mL)、テトラメチルアンモニウムフルオリド・4水和物(41 mg, 0.25 mmol)、モレキュラーシーブス3A(300mg)を室温で入れた。2H-ヘプタフルオロプロパンを1.6 mmol添加した。室温で20時間反応させた。20時間後、除圧しオートクレーブを開放し分析を行った。((3,4,4,4-テトラフルオロ-3-(トリフルオロメチル)ブチル)スルフィニル)ベンゼンの収率は23%であった。
【0089】
[実施例11]
20mLオートクレーブに、ベンジリデンマロン酸ジエチル(62 mg、0.25 mmol)、N,N-ジメチルホルムアミド(2 mL)、テトラメチルアンモニウムフルオリド・4水和物(41 mg, 0.25 mmol)、モレキュラーシーブス3A(300mg)を室温で入れた。2H-ヘプタフルオロプロパンを1.6 mmol添加した。室温で5時間反応させた。5時間後、除圧しオートクレーブを開放し分析を行った。2-(2,3,3,3-テトラフルオロ-1-フェニル-2-(トリフルオロメチル)プロピル)マロン酸ジエチルの収率は33%であった。
【0090】
[実施例12]
20mLオートクレーブに、ビニルホスホン酸ジエチル(41 mg、0.25 mmol)、N,N-ジメチルホルムアミド(2 mL)、テトラメチルアンモニウムフルオリド・4水和物(41 mg, 0.25 mmol)、モレキュラーシーブス3A(300mg)を室温で入れた。2H-ヘプタフルオロプロパンを1.6 mmol添加した。室温で5時間反応させた。5時間後、除圧しオートクレーブを開放し分析を行った。(3,4,4,4-テトラフルオロ-3-(トリフルオロメチル)ブチル)ホスホン酸ジエチルの収率は20%であった。
【0091】
[実施例13]
20mLオートクレーブに、アクリル酸ベンジル(41 mg、0.25 mmol)、N,N-ジメチルアセトアミド(2 mL)、テトラメチルアンモニウムフルオリド・4水和物(41 mg, 0.25 mmol)を室温で入れた。2H-ヘプタフルオロプロパンを1.6 mmol添加した。室温で5時間反応させた。5時間後、除圧しオートクレーブを開放し分析を行った。4,5,5,5-テトラフルオロ-4-(トリフルオロメチル)ペンタン酸ベンジルの収率は47%であった。2-(2,3,3,3-テトラフルオロ-2-(トリフルオロメチル)プロピル)グルタル酸ジベンジルの収率は39%であった。
【0092】
[実施例14]
20mLオートクレーブに、アクリル酸2-フェニルプロパン-2-イル(47.5 mg、0.25 mmol)、N,N-ジメチルホルムアミド(2 mL)、テトラメチルアンモニウムフルオリド・4水和物(41 mg, 0.25 mmol)を室温で入れた。2H-ヘプタフルオロプロパンを1.6 mmol添加した。室温で5時間反応させた。5時間後、除圧しオートクレーブを開放し分析を行った。4,5,5,5-テトラフルオロ-4-(トリフルオロメチル)ペンタン酸2-フェニルプロパン-2-イルの収率は60%であった。
[実施例14A]
N,N-ジメチルホルムアミドの量を0.5 mL、1 mL、5 mLに変更した点を除き、実施例14と同様に操作したところ、収率は、それぞれ、23%、48%、43%であった。
[実施例14B]
反応時間を10時間に変更した点を除き、実施例14と同様に操作したところ、収率は50%であった。
【0093】
[実施例15]
20mLオートクレーブに、アクリル酸1-フェニルエチル(44 mg、0.25 mmol)、N,N-ジメチルホルムアミド(2 mL)、テトラメチルアンモニウムフルオリド・4水和物(41 mg, 0.25 mmol)、モレキュラーシーブス4A(300mg)を室温で入れた。2H-ヘプタフルオロプロパンを1.6 mmol添加した。室温で5時間反応させた。5時間後、除圧しオートクレーブを開放し分析を行った。4,5,5,5-テトラフルオロ-4-(トリフルオロメチル)ペンタン酸1-フェニルエチルの収率は43%であった。2-(2,3,3,3-テトラフルオロ-2-(トリフルオロメチル)プロピル)グルタル酸ジ(1-フェニルエチル)の収率は40%であった。
[実施例15A]
モレキュラーシーブス4Aを使用しない点を除き、実施例15と同様に操作したところ、4,5,5,5-テトラフルオロ-4-(トリフルオロメチル)ペンタン酸1-フェニルエチルの収率は45%であり、2-(2,3,3,3-テトラフルオロ-2-(トリフルオロメチル)プロピル)グルタル酸ジ(1-フェニルエチル)の収率は26%であった。
【0094】
[実施例16]
20mLオートクレーブに、アクリル酸2-フェニルプロパン-2-イル(47.5 mg、0.25 mmol)、N,N-ジメチルホルムアミド(2 mL)、テトラメチルアンモニウムフルオリド・4水和物(41 mg, 0.25 mmol)、モレキュラーシーブス4A(300mg)を室温で入れた。2H-ヘプタフルオロプロパンを1.6 mmol添加した。室温で5時間反応させた。5時間後、除圧しオートクレーブを開放し分析を行った。4,5,5,5-テトラフルオロ-4-(トリフルオロメチル)ペンタン酸2-フェニルプロパン-2-イルの収率は78%であった。
【0095】
[実施例17]
20mLオートクレーブに、アクリル酸(3s,5s,7s)-アダマンタン-1-イル(51.5 mg、0.25 mmol)、N,N-ジメチルホルムアミド(2 mL)、テトラメチルアンモニウムフルオリド・4水和物(41 mg, 0.25 mmol)、モレキュラーシーブス4A(300mg)を室温で入れた。2H-ヘプタフルオロプロパンを1.6 mmol添加した。室温で5時間反応させた。5時間後、除圧しオートクレーブを開放し分析を行った。4,5,5,5-テトラフルオロ-4-(トリフルオロメチル)ペンタン酸(3s,5s,7s)-アダマンタン-1-イルの収率は64%であった。2-(2,3,3,3-テトラフルオロ-2-(トリフルオロメチル)プロピル)グルタル酸ジ((3s,5s,7s)-アダマンタン-1-イル)の収率は18%であった。
[実施例17A]
モレキュラーシーブス4Aを使用しない点を除き、実施例17と同様に操作したところ、4,5,5,5-テトラフルオロ-4-(トリフルオロメチル)ペンタン酸(3s,5s,7s)-アダマンタン-1-イルの収率は26%であり、2-(2,3,3,3-テトラフルオロ-2-(トリフルオロメチル)プロピル)グルタル酸ジ((3s,5s,7s)-アダマンタン-1-イル)の収率は6%であった。
【0096】
[実施例18]
20mLオートクレーブに、アクリル酸2,4,4-トリメチルペンタン-2-イル(46 mg、0.25 mmol)、N,N-ジメチルホルムアミド(2 mL)、テトラメチルアンモニウムフルオリド・4水和物(41 mg, 0.25 mmol)、モレキュラーシーブス4A(300mg)を室温で入れた。2H-ヘプタフルオロプロパンを1.6 mmol添加した。室温で5時間反応させた。5時間後、除圧しオートクレーブを開放し分析を行った。4,5,5,5-テトラフルオロ-4-(トリフルオロメチル)ペンタン酸2,4,4-トリメチルペンタン-2-イルの収率は64%であった。
【0097】
[実施例19]
20mLオートクレーブに、アクリル酸2-フェニルプロパン-2-イル(47.5 mg、0.25 mmol)、N,N-ジメチルホルムアミド(2 mL)、テトラメチルアンモニウムフルオリド・4水和物(41 mg, 0.25 mmol)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(32.3 mg、0.25 mmol)、モレキュラーシーブス4A (300mg)を室温で入れた。2H-ヘプタフルオロプロパンを1.6 mmol添加した。室温で5時間反応させた。5時間後、除圧しオートクレーブを開放し分析を行った。4,5,5,5-テトラフルオロ-4-(トリフルオロメチル)ペンタン酸1-フェニルエチルの収率は80%であった。
[実施例19A]
モレキュラーシーブス4Aを使用しない点を除き、実施例19と同様に操作したところ、4,5,5,5-テトラフルオロ-4-(トリフルオロメチル)ペンタン酸1-フェニルエチルの収率は37%であった。
[実施例19B]
N,N-ジイソプロピルエチルアミン(32.3 mg、0.25 mmol)をジアザビシクロウンデセン(38.1 mg、0.25 mmol)に変更した点を除き、実施例19と同様に操作したところ、4,5,5,5-テトラフルオロ-4-(トリフルオロメチル)ペンタン酸1-フェニルエチルの収率は44%であった。
[実施例19C]
N,N-ジイソプロピルエチルアミン(32.3 mg、0.25 mmol)を1,8-ビス(ジメチルアミノ)ナフタレン(53.6 mg、0.25 mmol)に変更した点を除き、実施例19と同様に操作したところ、4,5,5,5-テトラフルオロ-4-(トリフルオロメチル)ペンタン酸1-フェニルエチルの収率は86%であった。
[実施例19D]
N,N-ジイソプロピルエチルアミン(32.3 mg、0.25 mmol)を1,8-ビス(ジメチルアミノ)ナフタレン(53.6 mg、0.25 mmol)に変更し、モレキュラーシーブス4Aを使用しない点を除き、実施例19と同様に操作したところ、4,5,5,5-テトラフルオロ-4-(トリフルオロメチル)ペンタン酸1-フェニルエチルの収率は56%であった。
[実施例19E]
N,N-ジイソプロピルエチルアミン(32.3 mg、0.25 mmol)を1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(28.0 mg、0.25 mmol)に変更した以外は、実施例19と同様に操作したところ、4,5,5,5-テトラフルオロ-4-(トリフルオロメチル)ペンタン酸1-フェニルエチルの収率は83%であった。
【0098】
[実施例20]
20mLオートクレーブに、2-(1,3-ジオキソイソインドリン-2-イル)アクリル酸メチル(58 mg、0.25 mmol)、N,N-ジメチルホルムアミド(2 mL)、テトラメチルアンモニウムフルオリド・4水和物(41 mg, 0.25 mmol)、モレキュラーシーブス4A (300mg)を室温で入れた。2H-ヘプタフルオロプロパンを1.6 mmol添加した。室温で5時間反応させた。5時間後、除圧しオートクレーブを開放し分析を行った。2-(1,3-ジオキソイソインドリン-2-イル)-4,5,5,5-テトラフルオロ-4-(トリフルオロメチル)ペンタン酸メチルの収率は63%であった。
【0099】
[実施例21A]
モレキュラーシーブス4Aを使用しない点を除き、実施例20と同様に操作したところ、2-(1,3-ジオキソイソインドリン-2-イル)-4,5,5,5-テトラフルオロ-4-(トリフルオロメチル)ペンタン酸メチルの収率は75%であった。