(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-18
(45)【発行日】2023-07-26
(54)【発明の名称】振込管理システム、振込管理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 40/02 20230101AFI20230719BHJP
【FI】
G06Q40/02
(21)【出願番号】P 2019038638
(22)【出願日】2019-03-04
【審査請求日】2022-02-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000232092
【氏名又は名称】NECソリューションイノベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【氏名又は名称】速水 進治
(72)【発明者】
【氏名】千葉 博司
(72)【発明者】
【氏名】奥本 耕造
(72)【発明者】
【氏名】古林 昌樹
【審査官】加舎 理紅子
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-182286(JP,A)
【文献】特開2018-088042(JP,A)
【文献】特開2010-191923(JP,A)
【文献】特開2006-107076(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の顧客からの
第1の振込依頼が振込エラーになったことに応じて資金を第1の顧客に戻すことを示す第1の電文を取得する取得手段と、
前記第1の振込依頼の振込エラーに応じて資金を前記第1の顧客に戻すことが決定され、かつ前記第1の顧客が、振込依頼が振込エラーになった場合に顧客毎別段預金口座に資金を入金するサービスのユーザである場合、資金を前記第1の顧客に対応した
前記顧客毎別段預金口座に入金する指示を勘定系ホストに送信し、
前記第1の振込依頼の振込エラーに応じて資金を前記第1の顧客に戻すことが決定され、かつ前記第1の顧客が前記サービスのユーザでない場合、資金を前記顧客の名義の預金口座に入金する指示を前記勘定系ホストに送信する指示送信手段と、
を有する振込管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の振込管理システムにおいて、
振込エラーになった振込依頼であって、
資金を前記顧客毎別段預金口座に入金することになった振込依頼の履歴を記憶する履歴記憶手段と、
前記履歴を出力する履歴出力手段と、
をさらに有する振込管理システム。
【請求項3】
請求項1
又は2に記載の振込管理システムにおいて、
前記取得手段は、
前記第1の顧客からの振込依頼が外部金融機関の勘定系ホストで振込エラーになったことに応じて、前記外部金融機関の前記勘定系ホストから送られてきた前記第1の電文を取得し、
前記指示送信手段は、
前記第1の電文に基づき、前記第1の顧客が
前記サービスのユーザであるか判断し、
前記第1の顧客が
前記サービスのユーザである場合、
資金を前記顧客に対応した前記顧客毎別段預金口座に入金する指示を出力し、
前記第1の顧客が
前記サービスのユーザでない場合、
資金を前記顧客の名義の預金口座に入金する指示を出力する振込管理システム。
【請求項4】
請求項1から
3のいずれか1項に記載の振込管理システムにおいて、
前記取得手段は、
前記第1の顧客からの振込依頼が自金融機関の勘定系ホストで振込エラーになったことに応じて、前記自金融機関の前記勘定系ホストから送られてきた振込電文とエラーメッセージとを取得し、
前記指示送信手段は、
前記振込電文に基づき、前記第1の顧客が
前記サービスのユーザであるか判断し、
前記第1の顧客が
前記サービスのユーザである場合、対応内容として資金返却を決定し、
資金を前記第1の顧客に対応した前記顧客毎別段預金口座に入金する指示を前記自金融機関の前記勘定系ホストに送信し、
前記第1の顧客が
前記サービスのユーザでない場合、対応内容をオペレータに問い合わせる処理を実行する振込管理システム。
【請求項5】
コンピュータが、
第1の顧客からの
第1の振込依頼が振込エラーになったことに応じて資金を第1の顧客に戻すことを示す第1の電文を取得する取得工程と、
前記第1の振込依頼の振込エラーに応じて資金を前記第1の顧客に戻すことが決定され、かつ前記第1の顧客が、振込依頼が振込エラーになった場合に顧客毎別段預金口座に資金を入金するサービスのユーザである場合、資金を前記第1の顧客に対応した
前記顧客毎別段預金口座に入金する指示を勘定系ホストに送信し、
前記第1の振込依頼の振込エラーに応じて資金を前記第1の顧客に戻すことが決定され、かつ前記第1の顧客が前記サービスのユーザでない場合、資金を前記顧客の名義の預金口座に入金する指示を前記勘定系ホストに送信する指示送信工程と、
を実行する振込管理方法。
【請求項6】
コンピュータを、
第1の顧客からの
第1の振込依頼が振込エラーになったことに応じて資金を第1の顧客に戻すことを示す第1の電文を取得する取得手段、
前記第1の振込依頼の振込エラーに応じて資金を前記第1の顧客に戻すことが決定され、かつ前記第1の顧客が、振込依頼が振込エラーになった場合に顧客毎別段預金口座に資金を入金するサービスのユーザである場合、資金を前記第1の顧客に対応した
前記顧客毎別段預金口座に入金する指示を勘定系ホストに送信し、
前記第1の振込依頼の振込エラーに応じて資金を前記第1の顧客に戻すことが決定され、かつ前記第1の顧客が前記サービスのユーザでない場合、資金を前記顧客の名義の預金口座に入金する指示を前記勘定系ホストに送信する指示送信手段、
として機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振込管理システム、振込管理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、振込エラーとなった複数の振込依頼の資金を所定の入金先(依頼人口座)へ一括して入金処理する振込管理システムを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1においては、振込エラーとなって他行から戻ってきた資金が、一括して所定の入金先(依頼人口座)に入金されるまでどこで管理されているのか明確でない。
【0005】
例えば、振込エラーとなって他行から戻ってきた資金のすべてを、1つの未処理口でまとめて管理する方法(以下、「当該方法」という)が考えられる。未処理口は、別段預金口座であり、非連動口、仮受口等と呼ばれる場合もある。別段預金口座は、金融機関の預金口座であって、未決済、未整理の一時的な資金などを保管する預金口座である。
【0006】
当該方法の場合、複数の振込依頼人に返却すべき資金が1つの未処理口でまとめて管理されることとなる。このような場合であっても、振込エラーとなった振込依頼の内容を示すデータ(すなわち、未処理口への入金データ)や、所定の入金先に入金した内容を示すデータ(すなわち、未処理口からの出金データ)を管理しておけば、未処理口内の資金がどの振込依頼人に返却すべき資金であるかを把握できる。
【0007】
しかし、当該方法の場合、振込エラーとなった振込依頼の内容を示すデータや、所定の入金先に入金した内容を示すデータに問題(不正改変、データ故障、出力できない等)が生じると、未処理口内の資金が誰に返却すべき資金であるかを把握できなくなる。すなわち、当該方法は、信頼性が低い。
【0008】
本発明は、振込エラーで振込依頼人に返却することになった資金をまとめて振込依頼人に返却できるシステムであって、振込依頼人に返却するまでの資金管理方法の信頼性が高いシステムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、
第1の顧客からの振込依頼が振込エラーになったことに応じて資金を第1の顧客に戻すことを示す第1の電文を取得する取得手段と、
前記第1の顧客が所定条件を満たす場合、前記資金を前記第1の顧客に対応した顧客毎別段預金口座に入金する指示を勘定系ホストに送信する指示送信手段と、
を有する振込管理システムが提供される。
【0010】
また、本発明によれば、
コンピュータが、
第1の顧客からの振込依頼が振込エラーになったことに応じて資金を第1の顧客に戻すことを示す第1の電文を取得する取得工程と、
前記第1の顧客が所定条件を満たす場合、前記資金を前記第1の顧客に対応した顧客毎別段預金口座に入金する指示を勘定系ホストに送信する指示送信工程と、
を実行する振込管理方法が提供される。
【0011】
また、本発明によれば、
コンピュータを、
第1の顧客からの振込依頼が振込エラーになったことに応じて資金を第1の顧客に戻すことを示す第1の電文を取得する取得手段、
前記第1の顧客が所定条件を満たす場合、前記資金を前記第1の顧客に対応した顧客毎別段預金口座に入金する指示を勘定系ホストに送信する指示送信手段、
として機能させるプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、振込エラーで振込依頼人に返却することになった資金をまとめて振込依頼人に返却できるシステムであって、振込依頼人に返却するまでの資金管理方法の信頼性が高いシステムが実現される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本実施形態の金融機関システムの概要を説明するための図である。
【
図2】本実施形態の勘定系ホスト、振込管理システム及びオペレータ端末のハードウエア構成の一例を示す図である。
【
図3】本実施形態の振込管理システムの機能ブロック図の一例である。
【
図4】本実施形態の振込管理システムの機能ブロック図の一例である。
【
図5】本実施形態の振込管理システムが処理する情報の一例を模式的に示す図である。
【
図6】本実施形態の振込管理システムが出力する情報の一例を模式的に示す図である。
【
図7】本実施形態の振込管理システムの処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
【
図8】本実施形態の金融機関システムの処理の流れの一例を示すデータフロー図である。
【
図9】本実施形態の振込管理システムの処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
【
図10】本実施形態の金融機関システムの処理の流れの一例を示すデータフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<第1の実施形態>
まず、本実施形態の金融機関システムの概要を説明する。金融機関システムは、各金融機関に導入されるシステムである。金融機関システムは、勘定系ホスト(勘定系システム)と、振込管理システムと、オペレータ端末とを有する。
【0015】
勘定系ホストは、預金口座等の残高管理、預金額や融資額に対する利息計算、振込依頼に基づく振込処理等、金融機関の勘定処理を実行する。
【0016】
振込管理システムは、振込依頼が振込エラーになった場合に特徴的な処理を実行する。振込管理システムの構成は後述する。
【0017】
オペレータ端末は、オペレータが操作する端末である。オペレータは、オペレータ端末を介して各種情報を閲覧したり、オペレータ端末に各種情報を入力したりする。
【0018】
本実施形態の金融機関システムは、複数の顧客各々に対応した複数の別段預金口座(以下、「顧客毎別段預金口座」)を有する。そして、金融機関システムは、振込エラーで振込依頼人に返却することになった資金を、各振込依頼人(顧客)に対応した顧客毎別段預金口座に入金し、振込依頼人に返却するまで当該預金口座で管理する。
【0019】
図1を用いて、当該処理の全体像を簡単に説明する。図示する仕向金融機関に本実施形態の金融機関システムが導入されている。金融機関システムは、振込依頼人から複数の振込依頼を受付けると(図中、「振込依頼(複数)」の矢印)、複数の振込依頼と資金を被仕向金融機関のシステムに送信する(図中、「振込依頼」の矢印)。被仕向金融機関のシステムは、受信した複数の振込依頼各々に応じた振込処理を実行する。ここでは、複数の振込依頼の中のいくつかが振込エラーとなり、かつ、資金を振込依頼人に返却することが決定されたとする。この場合、被仕向金融機関のシステムは、振込エラーとなった振込依頼各々に対応した複数の資金組戻依頼と資金を、仕向金融機関の金融機関システムに送信する(図中、「資金組戻」の矢印)。金融機関システムは、受信した資金を、振込依頼人に対応した顧客毎別段預金口座に入金し、振込依頼人に返却するまで当該預金口座で管理する。金融機関システムは、例えば、その後の任意のタイミングで、顧客毎別段預金口座で管理されている資金をまとめて所定の預金口座(振込依頼人が指定した預金口座)に入金したりする(図中、「資金組戻(一括)」の矢印)。なお、顧客に資金を返却する手段はこれに限定されない。
【0020】
次に、勘定系ホスト、振込管理システム及びオペレータ端末各々のハードウエア構成の一例について説明する。勘定系ホスト、振込管理システム及びオペレータ端末各々が備える各機能は、任意のコンピュータのCPU(Central Processing Unit)、メモリ、メモリにロードされるプログラム、そのプログラムを格納するハードディスク等の記憶ユニット(あらかじめ装置を出荷する段階から格納されているプログラムのほか、CD(Compact Disc)等の記憶媒体やインターネット上のサーバ等からダウンロードされたプログラムをも格納できる)、ネットワーク接続用インターフェイスを中心にハードウエアとソフトウエアの任意の組合せによって実現される。そして、その実現方法、装置にはいろいろな変形例があることは、当業者には理解されるところである。
【0021】
図2は、勘定系ホスト、振込管理システム及びオペレータ端末各々のハードウエア構成を例示するブロック図である。
図2に示すように、勘定系ホスト、振込管理システム及びオペレータ端末各々は、プロセッサ1A、メモリ2A、入出力インターフェイス3A、周辺回路4A、バス5Aを有する。周辺回路4Aには、様々なモジュールが含まれる。勘定系ホスト、振込管理システム及びオペレータ端末各々は周辺回路4Aを有さなくてもよい。なお、勘定系ホスト、振込管理システム及びオペレータ端末各々は物理的及び/又は論理的に分かれた複数の装置で構成されてもよい。この場合、複数の装置各々が上記ハードウエア構成を備えることができる。
【0022】
バス5Aは、プロセッサ1A、メモリ2A、周辺回路4A及び入出力インターフェイス3Aが相互にデータを送受信するためのデータ伝送路である。プロセッサ1Aは、例えばCPU、GPU(Graphics Processing Unit)などの演算処理装置である。メモリ2Aは、例えばRAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)などのメモリである。入出力インターフェイス3Aは、入力装置、外部装置、外部サーバ、外部センサ、カメラ等から情報を取得するためのインターフェイスや、出力装置、外部装置、外部サーバ等に情報を出力するためのインターフェイスなどを含む。入力装置は、例えばキーボード、マウス、マイク、タッチパネル、物理ボタン、カメラ等である。出力装置は、例えばディスプレイ、スピーカ、プリンター、メーラ等である。プロセッサ1Aは、各モジュールに指令を出し、それらの演算結果をもとに演算を行うことができる。
【0023】
次に、振込管理システム10の機能構成の一例について説明する。
図3に、振込管理システム10の機能ブロック図の一例を示す。図示するように、振込管理システム10は、取得部11と、指示送信部12とを有する。
【0024】
図4に、振込管理システム10の機能ブロック図の他の一例を示す。図示するように、振込管理システム10は、取得部11及び指示送信部12に加えて、履歴記憶部13及び履歴出力部14を有してもよい。
【0025】
取得部11は、第1の電文を取得する。第1の電文は、第1の顧客からの振込依頼が振込エラーになったことに応じて、資金を第1の顧客に戻すことを示す。本実施形態の取得部11は、外部金融機関の勘定系ホストから送られてきた第1の電文(付替電文)を取得する。外部金融機関は被仕向金融機関である。そして、振込管理システム10を導入しており、外部金融機関から第1の電文を取得する金融機関が、仕向金融機関である。
【0026】
なお、本明細書において、「取得」とは、ユーザ入力に基づき、又は、プログラムの指示に基づき、「自装置が他の装置や記憶媒体に格納されているデータを取りに行くこと(能動的な取得)」、たとえば、他の装置にリクエストまたは問い合わせして受信すること、他の装置や記憶媒体にアクセスして読み出すこと等、および、ユーザ入力に基づき、又は、プログラムの指示に基づき、「自装置に他の装置から出力されるデータを入力すること(受動的な取得)」、たとえば、配信(または、送信、プッシュ通知等)されるデータを受信すること、また、受信したデータまたは情報の中から選択して取得すること、及び、「データを編集(テキスト化、データの並び替え、一部データの抽出、ファイル形式の変更等)などして新たなデータを生成し、当該新たなデータを取得すること」の少なくともいずれか一方を含む。
【0027】
指示送信部12は、第1の顧客が所定条件を満たす場合、第1の顧客に対応した顧客毎別段預金口座に、第1の電文で示される資金を入金する指示を自金融機関の勘定系ホストに送信する。自金融機関は、上記第1の電文を受信した振込管理システム10を導入している金融機関である。
【0028】
ここで、上記所定条件について説明する。振込管理システム10を導入している金融機関は、振込依頼が振込エラーになった場合に顧客毎別段預金口座に資金を入金し、出金指示があるまで当該預金口座で管理するサービスを提供する。振込依頼人は、顧客毎別段預金口座で管理されている資金を、任意の手段で返却してもらうことができる。例えば、指定した預金口座にまとめて資金を入金してもらってもよいし、複数の預金口座に分けて資金を入金してもらってもよいし、現金で受け取ってもよいし、その他の手段で受け取ってもよい。また、振込依頼人は、好きなタイミングで資金の返却処理を実行してもらうことができる。
【0029】
上記所定条件は、「第1の顧客が、上記サービスのユーザであること」である。指示送信部12は、取得部11が取得した第1の電文に基づき、第1の顧客が所定条件を満たすか判断する。例えば、指示送信部12は、取得部11が取得した第1の電文から、第1の顧客(振込依頼人)を識別する情報(名称等)を取得する。そして、指示送信部12は、識別した第1の顧客が、上記サービスのユーザであるか判定する。例えば、指示送信部12は、上記サービスのユーザのリストに、識別した第1の顧客が登録されているか否かに基づき、上記判定を実現してもよいし、その他の手段で実現してもよい。
【0030】
なお、指示送信部12は、第1の顧客が上記所定条件を満たさない場合、第1の顧客が上記所定条件を満たす場合に行う上記処理と異なる処理を実行する。例えば、指示送信部12は、第1の顧客の名義の預金口座(例えば、オペレータが指定)に、第1の電文で示される資金を入金する指示を自金融機関の勘定系ホストに送信する。すなわち、上記サービスを受けていない顧客の場合、振込依頼が振込エラーになり、かつ、資金返却することが決定されると、顧客毎別段預金口座を経由せず、その都度資金が顧客の預金口座に入金される。
【0031】
履歴記憶部13は、振込エラーになった振込依頼であって、資金を顧客毎別段預金口座に入金することになった振込依頼(以下、「第1の振込依頼」)の履歴を記憶する。
図5に、履歴記憶部13が記憶する第1の振込依頼の履歴の一例を模式的に示す。図示するように、履歴記憶部13は、顧客ごとに、第1の振込依頼の履歴を記憶することができる。
【0032】
図示する例では、処理日と、振込先名称と、金融機関と、店名と、口座情報と、金額と、返却済フラグとが互いに対応付けられている。
【0033】
処理日は、振込エラーとなった振込依頼に基づき振込処理を実行した日を示す。振込先名称は、振込エラーとなった振込依頼の受取人預金口座の名義を示す。金融機関及び店名は、振込エラーとなった振込依頼の受取人預金口座を管理する金融機関及び店名を示す。口座情報は、振込エラーとなった振込依頼の受取人預金口座の情報を示す。金額は、振込エラーとなった振込依頼の振込金額を示す。返却済フラグは、振込エラーとなった振込依頼の資金を振込依頼人に返却したか否かを示す。
【0034】
処理日、振込先名称、金融機関、店名、口座情報及び金額の情報は、例えば、取得部11が取得した第1の電文から取得できる。返却済フラグは、例えば、オペレータ端末等を介したユーザ入力に応じて更新されてもよいし、その他の手段で更新されてもよい。返却済フラグの初期値は、未返却を示し、その後に任意の手段で返却済を示す値に変更される。
【0035】
履歴出力部14は、履歴記憶部13が記憶する第1の振込依頼の履歴を出力する。履歴出力部14は、履歴記憶部13が記憶する第1の振込依頼の履歴(
図5参照)から一部を抽出し、抽出した第1の振込依頼の一覧を出力することができる。一部を抽出するための検索条件は、第1の振込依頼の履歴に含まれる各種項目(処理日、振込先名称、金融機関、店名、口座情報、金額、返却済フラグ等)や、振込依頼人の名称等を用いて定義される。履歴出力部14は、ディスプレイ、スピーカ、プリンター、メーラ等の任意の出力装置を介して、抽出した第1の振込依頼の一覧を出力することができる。
【0036】
図6に、履歴出力部14が出力する情報(抽出した第1の振込依頼の一覧)の一例を模式的に示す。図示する例は、振込依頼人の名称、及び、返却済フラグを用いて定義された検索条件(振込依頼人「日本太郎」、かつ、返却済フラグ「未返却」)を満たす第1の振込依頼の一覧が示されている。すなわち、
図6は、指定された顧客(日本太郎)から依頼された振込依頼であって、振込エラーとなり、かつ、振込依頼人に資金返却がなされていない第1の振込依頼の一覧が示されている。
【0037】
次に、
図7のシーケンス図を用いて、金融機関システムの処理の流れの一例を説明する。
【0038】
第1の金融機関が仕向金融機関であり、第2の金融機関が被仕向金融機関である。第1の金融機関と第2の金融機関は、異なる金融機関である。そして、第1の金融機関が振込管理システム10を導入している。
【0039】
まず、第1の金融機関(仕向金融機関)の顧客が顧客端末を介して振込依頼を入力すると、依頼内容を示す振込電文が顧客端末から第1の金融機関の勘定系ホストに送信される(S101)。
【0040】
顧客端末は、ATM(automatic teller machine)であってもよいし、第1の金融機関のホームページやアプリを介して第1の金融機関の金融機関システムにログインしたPC(personal computer)、スマートフォン、タブレット端末等であってもよい。
【0041】
振込電文は、発信銀行名、発信店名、受信銀行名、受信店名、通信種目コード、金額、振込日、受取人情報(科目、口座番号、受取人名)、依頼人情報(依頼人名)等の情報を含むことができる。
【0042】
第1の金融機関の勘定系ホストは、振込電文で示される振込依頼人の預金口座から、振込電文で示される金額分の資金を差し引く(S102)。なお、現金振込の場合、第1の金融機関の勘定系ホストはS102の処理を実行しない。そして、第1の金融機関の勘定系ホストは、振込電文を第2の金融機関(被仕向金融機関)の勘定系ホストに送信する(S103)。
【0043】
S103で送受信される振込電文は、上述した情報に加えて、照会要否を示す情報が含まれてもよい。照会要否を示す情報は、例えば振込電文の不備等に起因して振込エラーが発生した場合、対応内容(振込電文の訂正、資金返却等)を振込依頼人に確認する照会が必要か否かを示す情報である。第1の金融機関の勘定系ホストが、照会要否を示す情報を振込電文に加えてもよい。例えば、予め、各顧客が照会を要求しているか否かを示す顧客情報が第1の金融機関の勘定系ホストに登録されていてもよい。そして、第1の金融機関の勘定系ホストは当該顧客情報に基づき振込依頼人の照会要否を判断し、照会要否を示す情報を振込電文に加えてもよい。なお、照会要否を示す情報を振込電文に加えるための上記処理の一部又は全部を、振込管理システム10が行ってもよい。
【0044】
次いで、第2の金融機関の勘定系ホストは、受信した振込電文に基づき、振込処理を実行する(S104)。すなわち、第2の金融機関の勘定系ホストは、振込電文で示される受取人の預金口座に、振込電文で示される金額分の資金を入金する処理を実行する。そして、ここでは、振込電文の不備等に起因して、振込エラーが発生し、振込処理が完了できなかったものとする。
【0045】
この場合、第2の金融機関の勘定系ホストは、第2の金融機関の未処理口に、振込電文で示される金額分の資金を入金する処理を実行する(S105)。
【0046】
未処理口は、未決済、未整理の一時的な資金などをまとめて保管する預金口座である。未処理口では、複数の人に返却すべき資金がまとめて管理される。この点で、顧客毎別段預金口座と異なる。顧客毎別段預金口座は、顧客毎に設けられた別段預金口座であり、各顧客毎別段預金口座において、各顧客に返却すべき資金が管理される。
【0047】
その後、第2の金融機関の勘定系ホストは、振込エラーとなった振込依頼に対して行う対応内容を決定する(S106)。S106の処理内容は特段制限されず、あらゆる技術を採用できる。
【0048】
例えば、第2の金融機関の勘定系ホストは、振込電文に含まれる照会要否を示す情報を確認してもよい。そして、照会不要である場合、第2の金融機関の勘定系ホストは、対応内容として、資金返却を決定してもよい。
【0049】
一方、照会要である場合、第2の金融機関の勘定系ホストは、振込エラーとなった振込依頼に対する対応を第1の金融機関の勘定系ホストに問い合わせる。そして、第2の金融機関の勘定系ホストは、当該問い合わせに対して第1の金融機関の勘定系ホストから送信されてきた回答を、対応内容として決定する。なお、第1の金融機関のオペレータは、第2の金融機関の勘定系ホストから送信された問合せに応じて、振込依頼人に対応内容を確認し、確認した内容をオペレータ端末に入力する。オペレータ端末に入力された内容は、第1の金融機関の勘定系ホストを介して、第2の金融機関の勘定系ホストに送信される。オペレータが振込依頼人に対応内容を確認する手段は、電話、FAX、電子メール等が例示されるが、これらに限定されない。
【0050】
その他、第2の金融機関の勘定系ホストは、振込エラーとなった振込電文の内容を第2の金融機関のオペレータに通知し、オペレータから対応内容の入力を受付けてもよい。
【0051】
なお、ここでは、第2の金融機関の勘定系ホストは、対応内容として資金返却を決定したものとする。当該決定に応じて、第2の金融機関の勘定系ホストは、第2の金融機関の未処理口から、振込電文で示される金額分の資金を差し引く(S107)。そして、第2の金融機関の勘定系ホストは、付替電文を第1の金融機関の勘定系ホストに送信する(S108)。
【0052】
次いで、第1の金融機関の勘定系ホストは、第1の金融機関の未処理口に、付替電文で示される金額分の資金を入金する処理を実行する(S109)。そして、第1の金融機関の勘定系ホストは、付替電文を振込管理システム10に送信する(S110)。
【0053】
振込管理システム10は、付替電文で示される振込依頼人の名称等に基づき、その振込依頼人が所定条件を満たすか判断する(S111)。所定条件は、「振込依頼人が、振込依頼が振込エラーになった場合に顧客毎別段預金口座に資金を入金するサービスのユーザであること」である。
【0054】
ここでは、所定条件が満たされたものとする。この場合、振込管理システム10は、第1の金融機関の未処理口から、振込依頼人に対応する顧客毎別段預金口座に、付替電文で示される金額分の資金を移動させる指示を、第1の金融機関の勘定系ホストに送信する(S112)。当該指示に応じて、第1の金融機関の勘定系ホストは、第1の金融機関の未処理口から、付替電文で示される金額分の資金を差し引くとともに、当該金額分の資金を、振込依頼人に対応する顧客毎別段預金口座に入金する(S113)。未処理口から顧客毎別段預金口座への資金移動は一件ずつ、都度行う。
【0055】
一方、図示しないが、S111で所定条件を満たさないと判断された場合、例えば、振込管理システム10は、第1の金融機関の未処理口から、振込依頼人の名義の預金口座に入金する指示を第1の金融機関の勘定系ホストに送信する。当該指示に応じて、第1の金融機関の勘定系ホストは、第1の金融機関の未処理口から、付替電文で示される金額分の資金を差し引くとともに、当該金額分の資金を、振込依頼人の名義の預金口座に入金する。振込依頼人の名義の預金口座は、予め資金返却先として登録されていてもよいし、又は、S102で資金を差し引かれた依頼人の預金口座であってもよい。
【0056】
次に、
図8のデータフロー図を用いて、
図7のシーケンス図を用いて説明した処理を説明する。なお、カッコ内の数字の順に処理が進む。
【0057】
(1)第1の金融機関の勘定系ホスト30が第2の金融機関の勘定系ホスト40に振込電文を送信する(
図7のS103に対応)。
【0058】
(2)第2の金融機関の勘定系ホスト40は、受信した振込電文に基づき振込処理を実行する(
図7のS104に対応)。ここでは、振込エラーになったものとする。
【0059】
(3)第2の金融機関の勘定系ホスト40は、振込エラーの対応内容として資金返却(組戻)を決定した場合、付替電文を第1の金融機関の勘定系ホスト30に送信する(
図7のS108に対応)。
【0060】
(4)第1の金融機関の勘定系ホスト30は、付替電文で示される金額分の資金を未処理口に入金する(
図7のS109に対応)。
【0061】
(5)第1の金融機関の勘定系ホスト30は、付替電文を振込管理システム10に送信する(
図7のS110に対応)。
【0062】
(6)振込管理システム10は、振込依頼人が所定条件を満たすか判断する(
図7のS111に対応)。満たす場合、振込管理システム10は、入金先として振込依頼人に対応した顧客毎別段預金口座を決定する。満たさない場合、振込管理システム10は、入金先として振込依頼人の名義の預金口座を決定する。
【0063】
(7)振込管理システム10は、顧客毎別段預金口座を入金先として決定した場合、振込エラーとなった振込依頼(第1の振込依頼)を示す情報を蓄積する(第1の振込依頼の履歴の蓄積)。
【0064】
(8)振込管理システム10は、付替電文で示される金額分の資金を、未処理口から、決定した入金先に移動させる指示を第1の金融機関の勘定系ホスト30に送信する(
図7のS112に対応)。
【0065】
(9)第1の金融機関の勘定系ホスト30は、付替電文で示される金額分の資金を未処理口から差し引き、当該金額分の資金を指定された入金先に入金する(
図7のS113に対応)。
【0066】
(10)第1の金融機関のオペレータは、オペレータ端末20等を介して、振込管理システム10に蓄積されている第1の振込依頼の履歴を出力し、閲覧する。
【0067】
(11)顧客毎別段預金口座で管理されている資金は、任意の手段で、かつ、任意のタイミングで、顧客に返却される。
【0068】
以上、説明した振込管理システム10によれば、振込エラーで振込依頼人に返却することになった資金をまとめて振込依頼人に返却することができる。
【0069】
また、振込管理システム10によれば、振込エラーで返却すべき資金を、振込依頼人に返却するまで、各顧客に対応した顧客毎別段預金口座で管理することができる。このような振込管理システム10によれば、各顧客毎別段預金口座で管理されている資金は、各顧客に返却すべき資金となる。このように、各資金がどの顧客に返却すべき資金であるかを明確に把握できるようになる。また、各資金がどの顧客に返却すべき資金であるかを把握できなくなるというトラブルを抑制できる。
【0070】
すなわち、振込管理システム10によれば、振込エラーで振込依頼人に返却することになった資金をまとめて振込依頼人に返却できるシステムであって、振込依頼人に返却するまでの資金管理方法の信頼性が高いシステムが実現される。
【0071】
また、振込管理システム10によれば、振込依頼人に返却する資金を顧客毎別段預金口座で管理し、任意のタイミングで、かつ、任意の手段で、資金を振込依頼人に返却することができる。返却タイミングや返却手段の幅が広がるので、利用しやすいサービスとなる。
【0072】
<第2の実施形態>
本実施形態の振込管理システム10は、仕向金融機関及び被仕向金融機関が同じ金融機関である場合も、第1の実施形態の振込管理システム10と同様な作用効果を実現できる。以下、詳細に説明する。
【0073】
勘定系ホスト、振込管理システム及びオペレータ端末各々のハードウエア構成の一例は、第1の実施形態と同様である。
【0074】
振込管理システム10の機能ブロック図の一例は、第1の実施形態同様、
図3又は
図4で示される。
図3に示すように、振込管理システム10は、取得部11と、指示送信部12とを有する。
図4に示すように、振込管理システム10は、取得部11及び指示送信部12に加えて、履歴記憶部13と、履歴出力部14とを有してもよい。履歴記憶部13及び履歴出力部14の構成は、第1の実施形態と同様である。
【0075】
取得部11は、第1の電文を取得する。第1の電文は、第1の顧客からの振込依頼が振込エラーになったことに応じて資金を第1の顧客に戻すことを示す。本実施形態の取得部11は、自金融機関の勘定系ホストから送られてきた振込電文とエラーメッセージとを取得する。すなわち、振込管理システム10を導入している金融機関が、仕向金融機関であり、かつ、被仕向金融機関でもある。
【0076】
指示送信部12は、第1の顧客が所定条件を満たす場合、資金を顧客に対応した顧客毎別段預金口座に入金する指示を自金融機関の勘定系ホストに送信する。所定条件は、第1の実施形態と同様である。
【0077】
本実施形態の指示送信部12は、振込電文に基づき、第1の顧客が所定条件を満たすか判断する。そして、第1の顧客が所定条件を満たすと判断した場合、指示送信部12は、対応内容として資金返却を決定し、資金を第1の顧客に対応した顧客毎別段預金口座に入金する指示を自金融機関の勘定系ホストに送信する。
【0078】
なお、第1の顧客が所定条件を満たさないと判断した場合の処理は、従来の技術を利用したあらゆる構成を採用できる。例えば、第1の顧客が所定条件を満たさないと判断した場合、指示送信部12は対応内容をオペレータに問い合わせる処理を実行してもよい。具体的には、指示送信部12は、照会リストに第1の顧客の振込依頼を追加する。オペレータは、照会リストから任意の振込依頼をピックアップし、電話、FAX、電子メール等で、振込依頼人に対応内容を問い合わせる。そして、オペレータは、振込依頼人が指定した対応内容を入力する。対応内容は、振込電文の訂正、資金返却等である。指示送信部12は、オペレータにより入力された対応内容を取得し、取得した対応内容に応じた処理を実行する指示を自金融機関の勘定系ホストに送信する。
【0079】
なお、取得部11及び指示送信部12のその他の構成は、第1の実施形態と同様である。
【0080】
次に、
図9のシーケンス図を用いて、金融機関システムの処理の流れの一例を説明する。なお、仕向金融機関及び被仕向金融機関が同じ金融機関である。
【0081】
まず、顧客が顧客端末を介して振込依頼を入力すると、依頼内容を示す振込電文が顧客端末から勘定系ホストに送信される(S201)。
【0082】
顧客端末は、ATMであってもよいし、金融機関のホームページやアプリを介して金融機関システムにログインしたPC、スマートフォン、タブレット端末等であってもよい。
【0083】
振込電文は、発信銀行名、発信店名、受信銀行名、受信店名、通信種目コード、金額、振込日、受取人情報(科目、口座番号、受取人名)、依頼人情報(依頼人名)等の情報を含むことができる。
【0084】
勘定系ホストは、受信した振込電文に基づき、振込処理を実行する(S202)。すなわち、勘定系ホストは、振込電文で示される振込依頼人の預金口座から振込電文で示される金額分の資金を差し引く処理、及び、振込電文で示される受取人の預金口座に振込電文で示される金額分の資金を入金する処理を実行する。なお、現金振込の場合、勘定系ホストは、振込電文で示される振込依頼人の預金口座から振込電文で示される金額分の資金を差し引く処理を実行しない。ここでは、振込電文の不備等に起因して振込エラーが発生し、振込電文で示される受取人の預金口座に振込電文で示される金額分の資金を入金する処理が完了できなかったものとする。
【0085】
この場合、勘定系ホストは、未処理口に、振込電文で示される金額分の資金を入金する処理を実行する(S203)。その後、勘定系ホストは、振込エラーとなった振込依頼の振込電文、及び、振込エラーとなった旨を示すエラーメッセージを振込管理システム10に送信する(S204)。
【0086】
次いで、振込管理システム10は、振込エラーとなった振込依頼に対して行う対応内容を決定する(S205)。
【0087】
具体的には、振込管理システム10は、振込依頼人が所定条件を満たすか判断する。所定条件は、「振込依頼人が、振込依頼が振込エラーになった場合に顧客毎別段預金口座に資金を入金するサービスのユーザであること」である。所定条件を満たすか判断する処理は、第1の実施形態で説明した通りであるので、ここでの説明は省略する。
【0088】
所定条件を満たす場合、振込管理システム10は、対応内容として、資金返却、より具体的には顧客毎別段預金口座への入金を決定する。
【0089】
一方、所定条件を満たさない場合、例えば、振込管理システム10は、対応内容をオペレータに問い合わせる処理を実行する。具体的には、振込管理システム10は、照会リストに第1の顧客の振込依頼を追加する。オペレータは、照会リストから任意の振込依頼をピックアップし、電話、FAX、電子メール等で、振込依頼人に対応内容を問い合わせる。そして、オペレータは、振込依頼人が指定した対応内容を入力する。対応内容は、振込電文の訂正、資金返却等である。振込管理システム10は、オペレータにより入力された対応内容を取得する。
【0090】
ここでは、振込管理システム10は、対応内容として、資金返却(顧客毎別段預金口座への入金)を決定したものとする。この場合、振込管理システム10は、未処理口から、振込依頼人に対応する顧客毎別段預金口座に、振込電文で示される金額分の資金を移動させる指示を、勘定系ホストに送信する(S206)。当該指示に応じて、勘定系ホストは、未処理口から、振込電文で示される金額分の資金を差し引くとともに、当該金額分の資金を、振込依頼人に対応する顧客毎別段預金口座に入金する(S207)。未処理口から顧客毎別段預金口座への資金移動は一件ずつ、都度行う。
【0091】
次に、
図10のデータフロー図を用いて、
図9のシーケンス図を用いて説明した処理を説明する。なお、カッコ内の数字の順に処理が進む。
【0092】
(1)勘定系ホスト30が、顧客端末から送信された振込電文を受信する(
図9のS201に対応)。
【0093】
(2)勘定系ホスト30は、受信した振込電文に基づき振込処理を実行する(
図9のS202に対応)。すなわち、勘定系ホスト30は、振込電文で示される振込依頼人の預金口座から振込電文で示される金額分の資金を差し引く処理、及び、振込電文で示される受取人の預金口座に振込電文で示される金額分の資金を入金する処理を実行する。なお、現金振込の場合、勘定系ホストは、振込電文で示される振込依頼人の預金口座から振込電文で示される金額分の資金を差し引く処理を実行しない。ここでは、振込エラーとなり、振込電文で示される受取人の預金口座に振込電文で示される金額分の資金を入金する処理が完了できなかったものとする。
【0094】
(3)勘定系ホスト30は、振込電文で示される金額分の資金を未処理口に入金する(
図9のS203に対応)。
【0095】
(4)勘定系ホスト30は、振込エラーとなった振込依頼の振込電文、及び、振込エラーとなった旨を示すエラーメッセージを振込管理システム10に送信する(
図9のS204に対応)。
【0096】
(5)振込管理システム10は、対応内容を決定する(
図9のS205に対応)。具体的には、振込管理システム10は、振込依頼人が所定条件を満たすか判断する。所定条件は、「振込依頼人が、振込依頼が振込エラーになった場合に顧客毎別段預金口座に資金を入金するサービスのユーザであること」である。
【0097】
所定条件を満たす場合、振込管理システム10は、対応内容として、資金返却、より具体的には顧客毎別段預金口座への入金を決定する。一方、所定条件を満たさない場合、例えば、振込管理システム10は、対応内容をオペレータに問い合わせる処理を実行する。
【0098】
ここでは、振込管理システム10は、対応内容として、資金返却(顧客毎別段預金口座への入金)を決定したものとする。
【0099】
(6)振込管理システム10は、対応内容として、資金返却(顧客毎別段預金口座への入金)を決定した場合、振込エラーとなった振込依頼(第1の振込依頼)を示す情報を蓄積する(第1の振込依頼の履歴の蓄積)。
【0100】
(7)振込管理システム10は、未処理口から、振込依頼人に対応する顧客毎別段預金口座に、振込電文で示される金額分の資金を移動させる指示を、勘定系ホストに送信する(
図9のS206に対応)。
【0101】
(8)勘定系ホスト30は、未処理口から、振込電文で示される金額分の資金を差し引くとともに、当該金額分の資金を、振込依頼人に対応する顧客毎別段預金口座に入金する(
図9のS207に対応)。
【0102】
(9)金融機関のオペレータは、オペレータ端末20等を介して、振込管理システム10に蓄積されている第1の振込依頼の履歴を出力し、閲覧する。
【0103】
(10)顧客毎別段預金口座で管理されている資金は、任意の手段で、かつ、任意のタイミングで、顧客に返却される。
【0104】
以上、説明した振込管理システム10によれば、仕向金融機関及び被仕向金融機関が同じ金融機関である場合も、第1の実施形態の振込管理システム10と同様な作用効果を実現できる。
【0105】
以上、実施形態(及び実施例)を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態(及び実施例)に限定されるものではない。例えば、上記複数の実施形態(及び実施例)を任意の組合せで組み合わせることができる。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0106】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限定されない。
1. 第1の顧客からの振込依頼が振込エラーになったことに応じて資金を第1の顧客に戻すことを示す第1の電文を取得する取得手段と、
前記第1の顧客が所定条件を満たす場合、前記資金を前記第1の顧客に対応した顧客毎別段預金口座に入金する指示を勘定系ホストに送信する指示送信手段と、
を有する振込管理システム。
2. 1に記載の振込管理システムにおいて、
振込エラーになった振込依頼であって、前記資金を前記顧客毎別段預金口座に入金することになった振込依頼の履歴を記憶する履歴記憶手段と、
前記履歴を出力する履歴出力手段と、
をさらに有する振込管理システム。
3. 1又は2に記載の振込管理システムにおいて、
前記指示送信手段は、
前記第1の顧客が、振込依頼が振込エラーになった場合に前記顧客毎別段預金口座に資金を入金するサービスのユーザである場合、前記第1の顧客が前記所定条件を満たすと判断する振込管理システム。
4. 1から3のいずれかに記載の振込管理システムにおいて、
前記指示送信手段は、前記第1の顧客が前記所定条件を満たさない場合、前記資金を前記第1の顧客の名義の預金口座に入金する指示を前記勘定系ホストに送信する振込管理システム。
5. 1から4のいずれかに記載の振込管理システムにおいて、
前記取得手段は、
前記第1の顧客からの振込依頼が外部金融機関の勘定系ホストで振込エラーになったことに応じて、前記外部金融機関の前記勘定系ホストから送られてきた前記第1の電文を取得し、
前記指示送信手段は、
前記第1の電文に基づき、前記第1の顧客が前記所定条件を満たすか判断し、
前記第1の顧客が前記所定条件を満たすと判断した場合、前記資金を前記顧客に対応した前記顧客毎別段預金口座に入金する指示を出力し、
前記第1の顧客が前記所定条件を満たさないと判断した場合、前記資金を前記顧客の名義の預金口座に入金する指示を出力する振込管理システム。
6. 1から5のいずれかに記載の振込管理システムにおいて、
前記取得手段は、
前記第1の顧客からの振込依頼が自金融機関の勘定系ホストで振込エラーになったことに応じて、前記自金融機関の前記勘定系ホストから送られてきた振込電文とエラーメッセージとを取得し、
前記指示送信手段は、
前記振込電文に基づき、前記第1の顧客が前記所定条件を満たすか判断し、
前記第1の顧客が前記所定条件を満たすと判断した場合、対応内容として資金返却を決定し、前記資金を前記第1の顧客に対応した前記顧客毎別段預金口座に入金する指示を前記自金融機関の前記勘定系ホストに送信し、
前記第1の顧客が前記所定条件を満たさないと判断した場合、対応内容をオペレータに問い合わせる処理を実行する振込管理システム。
7. コンピュータが、
第1の顧客からの振込依頼が振込エラーになったことに応じて資金を第1の顧客に戻すことを示す第1の電文を取得する取得工程と、
前記第1の顧客が所定条件を満たす場合、前記資金を前記第1の顧客に対応した顧客毎別段預金口座に入金する指示を勘定系ホストに送信する指示送信工程と、
を実行する振込管理方法。
8. コンピュータを、
第1の顧客からの振込依頼が振込エラーになったことに応じて資金を第1の顧客に戻すことを示す第1の電文を取得する取得手段、
前記第1の顧客が所定条件を満たす場合、前記資金を前記第1の顧客に対応した顧客毎別段預金口座に入金する指示を勘定系ホストに送信する指示送信手段、
として機能させるプログラム。
【符号の説明】
【0107】
1A プロセッサ
2A メモリ
3A 入出力I/F
4A 周辺回路
5A バス
10 振込管理システム
11 取得部
12 指示送信部
13 履歴記憶部
14 履歴出力部
20 オペレータ端末
30 勘定系ホスト