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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-18
(45)【発行日】2023-07-26
(54)【発明の名称】給湯システム及び給湯器
(51)【国際特許分類】
   F24D 17/00 20220101AFI20230719BHJP
   F24H 15/10 20220101ALI20230719BHJP
   F24H 15/136 20220101ALI20230719BHJP
   F24H 15/156 20220101ALI20230719BHJP
   F24H 15/174 20220101ALI20230719BHJP
   F24H 15/258 20220101ALI20230719BHJP
   F24H 15/269 20220101ALI20230719BHJP
   F24H 15/305 20220101ALI20230719BHJP
   F24H 15/335 20220101ALI20230719BHJP
   F24H 15/36 20220101ALI20230719BHJP
   F24H 15/395 20220101ALI20230719BHJP
   F24H 15/464 20220101ALI20230719BHJP
【FI】
F24D17/00 P
F24D17/00 U
F24D17/00 G
F24H15/10
F24H15/136
F24H15/156
F24H15/174
F24H15/258
F24H15/269
F24H15/305
F24H15/335
F24H15/36
F24H15/395
F24H15/464
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019089146
(22)【出願日】2019-05-09
(65)【公開番号】P2020183846
(43)【公開日】2020-11-12
【審査請求日】2022-04-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000112015
【氏名又は名称】株式会社パロマ
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 喜樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 恭一
(72)【発明者】
【氏名】柿崎 友助
(72)【発明者】
【氏名】中西 渉
【審査官】豊島 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-249512(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24D 17/00 - 19/10
F24H 1/06 - 15/493
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バーナと、熱交換器と、前記熱交換器に接続される給水管と、前記熱交換器に接続される出湯管と、前記バーナを制御する制御手段とを有する給湯器と、
前記出湯管と前記給水管との間に接続され、前記出湯管から出湯される湯水が前記給水管に戻って前記熱交換器に至る循環経路を形成すると共に、浴槽への給湯用である湯はり給湯栓を含む複数の給湯栓が接続される外部配管と、
前記循環経路に設けられて前記制御手段により制御される循環ポンプと、
各前記給湯栓の開栓に伴う通水を検知する通水検知手段と、
前記循環経路の通水を停止する止水手段と、を含み、
前記制御手段は、前記止水手段を制御可能であると共に、前記湯はり給湯栓の開栓による前記浴槽への所定湯量の供給が前記通水検知手段で確認されると、前記止水手段によって前記循環経路の通水を停止させる湯はり制御が実行可能な給湯システムであって、
前記循環経路内の所定箇所における凍結予防の必要条件の有無を検知する予防条件検知手段を有し、
前記制御手段は、前記浴槽への所定湯量の供給後に前記予防条件検知手段による凍結予防の必要条件の充足を検知すると、前記止水手段による前記循環経路の通水停止を解除して、前記所定箇所内の水が置換されるまで前記循環ポンプを作動させる凍結予防制御を実行することを特徴とする給湯システム。
【請求項2】
前記予防条件検知手段の検知に伴う前記循環ポンプの作動は、予め設定され、前記所定箇所において水の置換が完了するのに必要な時間だけ行われることを特徴とする請求項1に記載の給湯システム。
【請求項3】
バーナと、熱交換器と、前記熱交換器に接続される給水管と、前記熱交換器に接続される出湯管と、前記バーナを制御する制御手段とを有する給湯器であって、
請求項1又は2に記載の給湯システムに組み込まれた状態で、前記制御手段が前記凍結予防制御を実行可能であることを特徴とする給湯器。
【請求項4】
前記給湯器の筐体内に、一端が前記給水管に接続され、他端が前記外部配管と接続可能な戻り管が設けられ、前記循環ポンプは前記戻り管に設けられていることを特徴とする請求項3に記載の給湯器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給湯器の熱交換器と外部配管との間で湯水を循環させて加熱することで保温し、外部配管の給湯栓から即時給湯可能とした給湯システムと、その給湯システムに用いられる給湯器とに関する。
【背景技術】
【0002】
給湯器には、熱交換器に接続される給水管に、循環ポンプを備えた戻り管を接続して即湯機能を備えたものが知られている(例えば特許文献1参照)。この即湯機能付給湯器では、出湯管と戻り管との間を外部配管で接続することで、出湯管と外部配管と戻り管と給水管とで循環経路を形成し、この循環経路に循環ポンプで湯水を循環させながら熱交換器で加熱することで保温運転が可能な給湯システムが構築される。よって、外部配管に設けた給湯栓を開栓すると、即時給湯が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-286397号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この給湯システムでは、給湯器が屋外に設置されたり、屋内に設置されても換気用のファンの運転に伴って生じる燃焼室内の負圧によって排気筒を介して外気が吸い込まれたりすることで、冬季や寒冷地では熱交換器等の配管内の水が凍結するおそれがある。
そこで、凍結を予防するために、ヒータを用いて配管を加熱したり、循環ポンプを稼働させて水を循環させ、循環ポンプの余熱で水温を上げたりする対策がとられているが、ヒータを追加すればコストがかさむことになる。また、循環ポンプを用いると長時間の運転が必要となるため、やはりコストアップに繋がる上、動作音がユーザーに不快感を与えるおそれもある。
【0005】
そこで、本発明は、省エネルギーで低コストとなり、循環ポンプの動作音による不快感も低減される凍結予防が可能な給湯システム及び給湯器を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、バーナと、熱交換器と、熱交換器に接続される給水管と、熱交換器に接続される出湯管と、バーナを制御する制御手段とを有する給湯器と、
出湯管と給水管との間に接続され、出湯管から出湯される湯水が給水管に戻って熱交換器に至る循環経路を形成すると共に、浴槽への給湯用である湯はり給湯栓を含む複数の給湯栓が接続される外部配管と、
循環経路に設けられて制御手段により制御される循環ポンプと、
給湯栓の開栓に伴う通水を検知する通水検知手段と、
循環経路の通水を停止する止水手段と、を含み、
制御手段は、止水手段を制御可能であると共に、湯はり給湯栓の開栓による浴槽への所定湯量の供給が通水検知手段で確認されると、止水手段によって循環経路の通水を停止させる湯はり制御が実行可能な給湯システムであって、
循環経路内の所定箇所における凍結予防の必要条件の有無を検知する予防条件検知手段を有し、
制御手段は、浴槽への所定湯量の供給後に予防条件検知手段による凍結予防の必要条件の充足を検知すると、止水手段による循環経路の通水停止を解除して、所定箇所内の水が置換されるまで循環ポンプを作動させる凍結予防制御を実行することを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1の構成において、予防条件検知手段の検知に伴う循環ポンプの作動は、予め設定され、所定箇所において水の置換が完了するのに必要な時間だけ行われることを特徴とする。
上記目的を達成するために、請求項3に記載の発明は、バーナと、熱交換器と、熱交換器に接続される給水管と、熱交換器に接続される出湯管と、バーナを制御する制御手段とを有する給湯器であって、
請求項1又は2に記載の給湯システムに組み込まれた状態で、制御手段が凍結予防制御を実行可能であることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項3の構成において、給湯器の筐体内に、一端が給水管に接続され、他端が外部配管と接続可能な戻り管が設けられ、循環ポンプは戻り管に設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、制御手段は、浴槽への所定湯量の供給後に予防条件検知手段による凍結予防の必要条件の充足を検知すると、止水手段による循環経路の通水停止を解除して、所定箇所内の水が置換されるまで循環ポンプを作動させるので、バーナを燃焼させることなく、循環ポンプを短時間作動させるだけで凍結予防が可能となる。よって、省エネルギーで低コストとなり、循環ポンプの動作音による不快感も低減される凍結予防が可能となる。
請求項2に記載の発明によれば、上記効果に加えて、予防条件検知手段の検知に伴う循環ポンプの作動を、予め設定され、所定箇所において水の置換が完了するのに必要な時間だけ行うので、必要最低限の作動時間で水の置換が確実に行える。
請求項4に記載の発明によれば、上記効果に加えて、給湯器の筐体内に戻り管と循環ポンプとが設けられているので、給湯システムの構築が容易に行える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】給湯システムの概略図である。
図2】湯はり制御及び凍結予防制御のフローチャートである。
図3】湯はり制御における携帯端末のモニタ表示の説明図である。
図4】給湯システムの変更例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
(給湯システムの構成)
図1は、給湯システムSの一例を示す概略図である。この給湯システムSは、給湯器1と、給湯器1に接続される循環用の外部配管30とを備えた即湯システムとなっている。
まず給湯器1において、筐体2内には、下方から、3つのバーナユニット4,4・・、熱交換器5、排気フード6を備えた燃焼室3が設置されている。筐体2の底面には、外部のガス配管が接続されるガス接続口7と、外部の給水配管が接続される給水接続口8と、外部の給湯配管が接続される給湯接続口9及び戻り接続口10とが設けられている。
バーナユニット4,4・・は、互いに本数が異なる複数のバーナからなり、ガス接続口7には、元電磁弁12及び比例制御弁13を備えたガス管11が接続されて、ガス管11から分岐された分岐管14,14・・にそれぞれバーナユニット4が、開閉弁15を介して接続されている。燃焼室3の下部には、バーナユニット4へ燃焼用空気を供給するためのファン16と、ファン16へ吸い込まれる外気の温度を検出するサーミスタ等の外気温センサ17とが設けられている。
【0010】
熱交換器5は、厚み方向に所定間隔をおいて並設された複数のフィンを蛇行状に貫通する伝熱管を備えたフィンチューブ式で、伝熱管の入側端部には、給水接続口8と接続される給水管18が接続され、伝熱管の出側端部には、給湯接続口9と接続される出湯管19が接続されている。給水管18と出湯管19との間には、熱交換器5をバイパスするバイパス管20が接続されている。
また、給水管18におけるバイパス管20の接続部より上流側には、水側開閉弁21と、入水温を検出するサーミスタ等の入水温センサ22と、水量を検出する水量センサ23とが設けられている。さらに、出湯管19におけるバイパス管20の接続部より上流側には、熱交換器5からの出口温度を検出するサーミスタ等の出口温センサ24が設けられ、当該接続部より下流側には、出湯温度を検出するサーミスタ等の出湯温センサ25が設けられている。
【0011】
そして、戻り接続口10と、水量センサ23より上流側の給水管18との間には、循環ポンプ27と、その吐出側に位置する逆止弁28とを備えた戻り管26が接続されている。
外部配管30は、給湯接続口9と戻り接続口10との間に接続されて、複数の給湯栓31,31・・・・を備えている。給湯栓31の1つは、浴槽32への給湯用(以下、他の給湯栓31と区別する際は「給湯栓31A」と表記する。)となっている。
これにより、出湯管19から出湯される湯水が、外部配管30を通って戻り管26に戻り、給水管18を介して熱交換器5に至り、再び出湯管19から出湯される循環経路が形成される。
【0012】
以上の如く構成された給湯システムSにおいては、コントローラ35又はリモコン36に設けた運転スイッチを押し操作すると、コントローラ35は、循環ポンプ27を運転させて循環経路内で湯水を循環させる。これと同時に元電磁弁12及び開閉弁15を開弁させてバーナユニット4へ燃料ガスを供給させると共に、ファン16を駆動させて点火制御を行い、バーナユニット4を燃焼させる。そして、コントローラ35は、コントローラ35又はリモコン36で設定された設定温度となるように比例制御弁13の開度及びファン16の回転数を制御して保温運転を行う。よって、給湯栓31の何れかを開栓すると、設定温度での即時給湯が可能となる。
【0013】
一方、コントローラ35は、コントローラ35及びリモコン36に設けた湯はりスイッチを押し操作して給湯栓31Aを開栓すると、バーナユニット4を燃焼させて、水量センサ23で検出した水量が設定湯量となるまで設定温度の湯を浴槽32へ給湯する自動湯はり制御が可能となっている。
また、コントローラ35は、外気温センサ17で検出される温度を監視して、排気フード6から流れ込む冷気により熱交換器5の伝熱管内の水が凍結するおそれがあると判断した際には、伝熱管内に貯留される水量と同等の置換量だけ循環経路内を水が循環するように循環ポンプ27を運転させる凍結予防制御が可能となっている。以下、この自動湯はり制御と凍結予防制御とを図2のフローチャートに基づいて説明する。
【0014】
(自動湯はり制御の説明)
ステップ(以下単に「S」と表記する)1で、湯はりスイッチの押し操作(ON操作)が確認されると、S2で、給湯栓31Aの開栓による通水が水量センサ23により検知されたか否かが判別される。ここで通水が検知されると、S3で、コントローラ35はバーナユニット4に点火して設定温度の湯を給湯栓31Aから浴槽32へ供給する湯はりを開始する。
S4で設定湯量への到達を確認すると、S5で水側開閉弁21を閉弁させて湯はりを終了して湯はりスイッチを点滅させ、S6で湯はりスイッチの押し操作(OFF操作)を判別する。ここで湯はりスイッチが押し操作されたら、S7で水側開閉弁21を開弁させて、S8で水量センサ23による通水の有無を確認する。ユーザーが湯はりスイッチのOFF操作と共に給湯栓31Aを閉栓すれば通水は確認されないため(S8でNO)、水側開閉弁21を開弁させたまま自動湯はり制御は終了する(END)が、給湯栓31Aを閉栓し忘れていると通水が確認されるため、S9で音声により給湯栓の確認を促す報知を行う。
その後、S10で再び通水の有無を確認し、ここで通水が確認されなければ自動湯はり制御は終了するが、依然として通水状態のまま、S11で所定時間(例えば90秒)の経過が確認されると、S12で水側開閉弁21を閉弁させて湯はりスイッチのOFF操作を促す報知を行う。S13で湯はりスイッチがOFF操作されたら自動湯はり制御は終了する。
【0015】
(携帯端末の表示画面の説明)
この給湯システムSでは、リモコン36を介してWi-Fi通信可能なアプリケーションソフトをスマートフォン等の携帯端末40にインストールすることで、携帯端末40において制御の確認及び所定の遠隔操作が可能となっている。以下、自動湯張り制御における携帯端末40の操作及びモニタ41への表示画面について説明する。
図3(A)は、モニタ41に表示されたアプリケーションソフトのホーム画面で、下段には、自動湯はりを行うためのアイコン42が表示されている。このアイコン42をタッチ操作すると、同図(B)の画面に切り替わり、湯はりの待機状態となる。ここに表示される「スタート」が湯はりスイッチと同じ機能となるため、「スタート」をタッチ操作すると、図2のS1でYESとなり、以降の処理が実行される。S2では、同図(C)のように蛇口(ここでは給湯栓31A)の開栓を促す表示がなされて通水が検知され、開栓後、「OK」をタッチ操作するか、5秒経過するかすると、S3で湯はりが開始される。
【0016】
湯はり中は、リモコン36を介したコントローラ35からの情報に基づき、同図(D)のように現在状況(湯量)が目盛り43とパーセンテージの数値で表示され、S4で設定湯量に到達すると、同図(E)のように100%の数値が表示される。ここで「OK」をタッチ操作すると、S5で湯はりが終了し、同図(F)のように蛇口の閉栓を確認する表示がなされる(S6)。ここで給湯栓31Aを閉栓して「はい」をタッチ操作すると、同図(G)の湯はり完了画面が表示され、S7で水側開閉弁21が開弁されてS8で通水を検知する。
ここで通水が検知されなければホーム画面に戻るが、通水が検知されれば、S9で同図(H)のように蛇口の閉栓を促す画面が表示される。給湯栓31Aを閉栓して「OK」をタッチ操作すれば、同図(G)の湯はり完了画面が表示され、通水が検知されなければホーム画面に戻る。
【0017】
一方、「OK」がタッチ操作されず、通水の検知がされたままで所定時間が経過すると(S11)、水側開閉弁21が閉弁されて(S12)同図(H)の表示が継続される(S13)。よって、給湯栓31Aが閉栓されて通水が非検知とならないとホーム画面には戻らない。
なお、湯はり中の同図(D)の画面で「ストップ」をタッチ操作すると、同図(I)のように湯はりの中断を確認すると共に給湯栓31Aの閉栓を確認する画面が表示され、ここで「はい」をタッチ操作すると、同図(J)の湯はり中断画面が表示される。ここで通水が検知されなければホーム画面へ戻るが、通水が検知されれば、同図(H)のように蛇口の閉栓を促す画面が表示され、通水が非検知とならないとホーム画面には戻らない。
【0018】
(凍結予防制御の説明)
凍結予防制御は、まずS1で湯はりスイッチがON操作されない状態で実行される。S21の判別で、外気温センサ17で検出される温度が所定温度まで低下したら、凍結予防が必要になったとして、S22で循環ポンプ27を運転させる。次に、S23で、伝熱管内の水との置換が終了したことを確認すると、S24で循環ポンプ27の運転を停止してS1へ戻る。この置換終了は、循環ポンプ27の能力と伝熱管内の水量とから、伝熱管内の全量が置換するのに要する時間を予め算出しておき、その算出時間の経過によって確認される。
こうして循環経路内の他の箇所の水が伝熱管内に移送されるため、凍結は予防される。
【0019】
また、この凍結予防制御は、自動湯はり制御において、S5で湯はりが停止し、S6で湯はりスイッチのOFF操作を待つ待機状態でも実行される。すなわち、待機状態のままS25の判別で、外気温センサ17で検出される温度が所定温度まで低下したら、凍結予防が必要になったとして、S26で水側開閉弁21を開弁させる。S27で通水の有無を確認し、ここで通水が確認されなければ、S28で循環ポンプ27を運転させ、S29で伝熱管内の水との置換が終了したことを確認すると、S30で循環ポンプ27の運転を停止してS1へ戻る。
【0020】
一方、S27の判別でYES、つまり通水が確認されたら、循環ポンプ27の運転を行わず、S9へ移行して報知を行い、S10~S13までの処理を行う。これらの処理により、給湯栓31Aが開栓された状態がある程度続くため、伝熱管内の水が循環経路に移送し、他の箇所の水が伝熱管内に移送されて、実質的な置換が行われることになる。なお、S13の判別でNO、つまり湯はりスイッチがOFF操作されない待機状態となる場合は、S25へ移行して、凍結予防が必要になれば以降の処理が実行される。
【0021】
(凍結予防制御に係る発明の効果)
上記形態の給湯システムS及び給湯器1によれば、コントローラ35(制御手段)は、外気温センサ17(予防条件検知手段)による所定温度への低下(凍結予防の必要条件の充足)を検知すると、熱交換器5の伝熱管(所定箇所)内の水が置換されるまで循環ポンプ27を作動させるので、バーナユニット4を燃焼させることなく、循環ポンプ27を短時間作動させるだけで凍結予防が可能となる。よって、省エネルギーで低コストとなり、循環ポンプ27の動作音による不快感も低減される凍結予防が可能となる。
特にここでは、外気温センサ17の検知に伴う循環ポンプ27の作動は、予め設定され、熱交換器5の伝熱管において水の置換が完了するのに必要な時間だけ行われるので、必要最低限の作動時間で水の置換が確実に行える。
また,給湯器1は、筐体2内に戻り管26と循環ポンプ27とを備えているので、給湯システムSの構築が容易に行える。
【0022】
なお、上記形態では、外気温センサをファンに設けているが、外気温センサは他の箇所に設けたり、複数箇所に設けたりしても差し支えない。勿論外気温でなく、可能であれば凍結予防が必要な箇所に直接センサを設けて温度を検出することもできる。
また、循環ポンプの作動は、温度低下等の必要条件が充足したタイミングでその都度行ってもよいし、水の置換後の所定箇所の水温を検出して次回に置換が必要な時間を算出することで、定期的に行ってもよい。
さらに、上記形態では、屋内にシステム全体が設置されて排気フードから冷気が吸い込まれるような場合を想定しているため、水の置換対象を熱交換器の伝熱管としているが、例えば給湯器が屋外にあって外部配管が屋内にあるような給湯システムでは、給湯器全体が水の置換対象となる。
【0023】
(湯はり終了後の凍結予防制御に係る発明の効果)
上記形態の給湯システムSによれば、循環経路内の熱交換器5の伝熱管における凍結予防の必要条件の有無を検知する外気温センサ17をさらに備え、コントローラ35は、湯はり制御において水側開閉弁21(止水手段)により循環経路の通水が停止されている状態で外気温センサ17による所定温度への低下を検知すると、伝熱管内の水が置換されるまで循環ポンプ27を作動させる凍結予防制御が実行可能であると共に、当該実行の際は、水側開閉弁21を開弁させて水量センサ23(通水検知手段)によって循環経路の通水状態を確認し、通水が確認されない場合は循環ポンプ27を作動させ、通水が確認された場合は循環ポンプ27を作動させずに水側開閉弁21を閉弁させて凍結予防制御を終了する。
これにより、給湯栓31Aが閉栓されている場合は循環ポンプ27の運転による水の置換が行え、給湯栓31Aが閉栓されていない場合は循環ポンプ27の運転に代わる通水によって水の置換が行え、何れの場合も凍結予防が可能となる。よって、湯はり制御において湯はりが終了した後に凍結予防が必要となった場合でも確実に凍結予防制御を行うことができる。
【0024】
なお、止水手段としては出湯管に設けた開閉弁を利用してもよい。
また、図2のフローチャートにおけるS10で通水を検知してから再び水側開閉弁を閉弁するまでのS11の所定時間は、凍結予防が必要と判断された際からの移行の場合、水の置換が終了する時間に合わせて長くしてもよい。
【0025】
(閉め忘れ報知に係る発明の効果)
上記形態の給湯システムS及び給湯器1によれば、コントローラ35は、湯はり制御の実行後、水側開閉弁21(止水手段)による循環経路の通水停止を解除して(S7)水量センサ23(通水検知手段)によって循環経路の通水状態を確認し(S8)、通水が確認されない場合は通水停止の解除状態を維持する(END)一方、通水が確認された場合は給湯栓31Aの閉め忘れを報知する(S9)ので、給湯栓31Aの閉め忘れをユーザーへ確実に報知して閉栓操作を行わせることができる。よって、自動的に湯はりを行う際の使い勝手がより良好となる。
特にここでは、コントローラ35は、給湯栓31Aの閉め忘れの報知と共に水側開閉弁21によって循環経路の通水を停止させるので、閉め忘れによる無駄な水の使用を防止できる。
【0026】
また、無線通信機能を備えたリモコン36と無線通信が可能なアプリケーションソフトを有する携帯端末40をさらに含み、コントローラ35は、湯はり制御の実行後に水量センサ23により通水を検知したら、アプリケーションソフトを介して携帯端末40に給湯栓31Aの閉め忘れを報知する(図3(H))一方、携帯端末40では、給湯栓31Aの閉栓の確認をコントローラ35から受信した場合にのみ閉め忘れの報知を解除する(同図(G))ので、給湯栓31Aの閉め忘れを携帯端末40を介してユーザーへ確実に報知して閉栓操作を行わせることができる。
【0027】
なお、携帯端末への給湯栓の閉め忘れの報知は、画面表示により行う他、電子音や合成音声等を併せて行ってもよい。
また、給湯栓の閉め忘れの報知は、アプリケーションソフトが起動していない状態でもプッシュ通知により行うようにしてもよい。このようなプッシュ通知を行えば、携帯端末を使用しているユーザーへ確実に報知できる。
さらに、上記形態ではリモコンに携帯端末との無線通信機能を持たせているが、リモコンの有無にかかわらずコントローラに無線通信機能を持たせてもよい。携帯端末が複数であっても同じアプリケーションソフトによって自動湯張りの操作や閉め忘れの報知は可能であるが、操作するタイミングが異なる場合は、制御の最新状態を各携帯端末に送信して同じ情報を共有させる必要がある。
【0028】
その他、各発明に共通して、給湯器の構成は上記形態に限らず、バーナユニットの数の増減は可能であるし、副熱交換器を備えた潜熱回収型等であっても、各発明は適用可能である。
また、上記形態では、筐体内に戻り管及び循環ポンプを設けて外部配管と接続しているが、図4に示すように、戻り管をなくして、給水管18に接続される水道管33に外部配管30を接続して循環経路を形成し、外部配管30に循環ポンプ27と逆止弁28とを設けてもよい。この場合、循環ポンプ27は水道管33に設けてもよいし、水量センサ23の上流側で給水管18に設けてもよい。
【符号の説明】
【0029】
1・・給湯器、2・・筐体、3・・燃焼室、4・・バーナユニット、5・・熱交換器、6・・排気フード、7・・ガス接続口、8・・給水接続口、9・・給湯接続口、10・・戻り接続口、11・・ガス管、16・・ファン、17・・外気温センサ、18・・給水管、19・・出湯管、21・・水側開閉弁、22・・入水温センサ、23・・水量センサ、24・・出口温センサ、25・・出湯温センサ、26・・戻り管、27・・循環ポンプ、30・・外部配管、31(31A)・・給湯栓、32・・浴槽、35・・コントローラ、36・・リモコン、40・・携帯端末、41・・モニタ、S・・給湯システム。
図1
図2
図3
図4