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  • 特許-ガスコンロ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-18
(45)【発行日】2023-07-26
(54)【発明の名称】ガスコンロ
(51)【国際特許分類】
   F24C 3/12 20060101AFI20230719BHJP
   F24C 3/00 20060101ALI20230719BHJP
   F24C 15/10 20060101ALI20230719BHJP
【FI】
F24C3/12 E
F24C3/00 L
F24C15/10 B
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019192532
(22)【出願日】2019-10-23
(65)【公開番号】P2021067398
(43)【公開日】2021-04-30
【審査請求日】2022-10-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000112015
【氏名又は名称】株式会社パロマ
(74)【代理人】
【識別番号】100104178
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100174344
【弁理士】
【氏名又は名称】安井 雅俊
(72)【発明者】
【氏名】山田 晋也
【審査官】木村 麻乃
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-021339(JP,A)
【文献】特開2005-180828(JP,A)
【文献】特開2009-293892(JP,A)
【文献】特開2014-037917(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 1/00-15/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、前記筐体の左右方向中央寄りに設けられ、上方に向けて延びるグリル排気筒を後部に備えるグリル庫と、バーナを配置すると共に、排気口を後部の前記左右方向中央寄りに備える天板と、所定操作に連動して赤外線を発信する発光部とを備え、前記天板が前記筐体上に固定された状態で、前記排気口内の中央寄りの位置に、前記グリル排気筒が位置するように構成されたガスコンロであって、前記発光部から発信された前記赤外線が前記ガスコンロの上方に位置する換気扇の受信部に伝播することによって、前記換気扇を作動又は停止させるガスコンロにおいて、
前記天板の前記後部側で且つ左右方向一方側の部分には、上下方向に光を透過可能な透過部が設けられ、
前記筐体のうち前記左右方向一方側の側壁の内面の後端側には、前記発光部を支持する金属製の支持部材が固定され、
前記支持部材は、
前記側壁の前記内面の前記後端側に固定される板状の固定部と、
前記固定部の後端部から前記グリル庫側に延びる板状の支持部と
を備え、
前記支持部の前記グリル庫側に延びる先端部は、前記透過部の下方に配置され、
前記発光部は、前記支持部の前記先端部において前記赤外線の発信方向が前記透過部に向くように支持され
前記天板の上面には、前記透過部を覆うように、赤外線透過性を有するシールが貼付され
前記シールには、前記ガスコンロの使用上の注意事項が記載されたこと
を特徴とするガスコンロ。
【請求項2】
前記透過部は、透明な樹脂部材で形成された窓部、若しくは透孔であること
を特徴とする請求項1に記載のガスコンロ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスコンロに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、点火・消火等の所要の操作に連動して赤外線を前方に発信し、正面に存在するユーザに反射させ、上方に位置する受信部に伝播させることによって、換気扇を作動等させるコンロが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-147806号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記コンロでは、例えばスマートフォン等を介した遠隔操作等のように、反射対象が存在しない状態で操作された場合、換気扇と連動させることが困難であった。この問題を解決する為、例えば、天板から上方に向けて赤外線を発信する方法が考えられるが、この方法では、赤外線の発光素子が露出するので、美観が損なわれるのみならず、コンロやグリルからの熱の影響で動作不良を起こす可能性があった。また、煮汁等が発光素子にかかる可能性もあった。
【0005】
本発明の目的は、正面に人がいない場合であっても、所定操作に連動して換気扇を作動又は停止できるガスコンロを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1のガスコンロは、筐体と、前記筐体の左右方向中央寄りに設けられ、上方に向けて延びるグリル排気筒を後部に備えるグリル庫と、バーナを配置すると共に、排気口を後部の前記左右方向中央寄りに備える天板と、所定操作に連動して赤外線を発信する発光部とを備え、前記天板が前記筐体上に固定された状態で、前記排気口内の中央寄りの位置に、前記グリル排気筒が位置するように構成されたガスコンロであって、前記発光部から発信された前記赤外線が前記ガスコンロの上方に位置する換気扇の受信部に伝播することによって、前記換気扇を作動又は停止させるガスコンロにおいて、前記天板の前記後部側で且つ左右方向一方側の部分には、上下方向に光を透過可能な透過部が設けられ、前記筐体のうち前記左右方向一方側の側壁の内面の後端側には、前記発光部を支持する金属製の支持部材が固定され、前記支持部材は、前記側壁の前記内面の前記後端側に固定される板状の固定部と、前記固定部の後端部から前記グリル庫側に延びる板状の支持部とを備え、前記支持部の前記グリル庫側に延びる先端部は、前記透過部の下方に配置され、前記発光部は、前記支持部の前記先端部において前記赤外線の発信方向が前記透過部に向くように支持され、前記天板の上面には、前記透過部を覆うように、赤外線透過性を有するシールが貼付され、前記シールには、前記ガスコンロの使用上の注意事項が記載されたことを特徴とする。
【0007】
請求項2のガスコンロの前記透過部は、透明な樹脂部材で形成された窓部、若しくは透孔であってもよい。
【発明の効果】
【0008】
請求項1のガスコンロによれば、筐体内の発光部から発信された赤外線は、天板の透過部とシールを透過し、その上方に位置する換気扇の受信部に伝播される。これにより、正面に人がいない状態であっても、換気扇を作動させることができる。また、透過部を覆うようにシールが貼付されているので、天板の美観が損なわれるのを防止できる。
【0009】
請求項2のガスコンロによれば、透過部は、赤外線を確実に透過させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】コンロ1と換気装置200の正面図である。
図2】コンロ1の斜視図である。
図3】天板3に設けられた透過部34を上方から覆うように、注意シール40が貼付される状態を示す斜視図である。
図4】筐体2の左後部周辺の部分拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を説明する。以下に記載される装置の構造などは、特定的な記載がない限り、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明する為に用いられるものである。
【0012】
図1を参照し、コンロ1と換気装置200の構成を説明する。コンロ1はビルトインコンロであり、キッチンのキャビネット100の上面に設けた開口(図示略)に上方から落とし込まれて設置される。換気装置200は、コンロ1の上方に設置される。
【0013】
換気装置200は、換気フード201と換気扇202を備える。換気扇202は、換気フード201の内部に設けられる。換気フード201の前面中央よりもやや右側には、操作部203が設けられる。換気フード201の前面左側には、受信部205が設けられる。受信部205は、コンロ1に設けられた後述する赤外線センサ81から上向きに発信される赤外線を受信可能である。受信部205が赤外線を受信すると、換気装置200は、換気扇202を作動又は停止する制御を行う。
【0014】
図2を参照し、コンロ1の構成を説明する。コンロ1は筐体2と天板3を備える。筐体2は上部が開口する略直方体状である。天板3は、筐体2の上部に固定される。天板3はガラス製のトッププレートであり、その上面には、細かなドット印刷が施され、高温処理によって結晶化されている。天板3の上面における右手前には右バーナ4、左手前には左バーナ5、中央奥側には奥バーナ6が設けられる。天板3の後方部には、平面視左右方向に長い略矩形状の排気口7が設けられる。排気口7は、筐体2内に設置されたグリル庫30から流れる燃焼排気を外部に排出する。排気口7には、排気カバー8が設置される。排気カバー8は複数のスリットを有し、排気口7を上方から覆う。
【0015】
図2図3に示すように、天板3の左後方角部近傍には、平面視矩形状の透過部34が設けられる。透過部34は、矩形状の透孔35に透明な樹脂部材36が嵌め込まれて形成された窓部である。樹脂部材は、赤外線透過性を備える。透過部34は、筐体2内に支持された後述する赤外線発光素子50から上向きに出射される赤外線を上方に透過させる。その透過部34を上方から覆うようにして、透過部34よりも大きい平面視矩形状の注意シール40が貼付される(図3参照)。注意シール40は、赤外線透過性を有する樹脂フィルムで形成され、下面には接着層が設けられ、上面には、例えばコンロ1の使用上の注意事項等が記載される。
【0016】
筐体2の前面の略中央には、グリル扉10が設けられる。グリル扉10は、手前に引き出し可能であって、グリル庫30の前側のグリル開口部(図示略)を開閉する。グリル扉10の右側には、2つの操作つまみ11、12が横方向に並んで設けられ、グリル扉10の左側には、2つの操作つまみ13、14が横方向に並んで設けられる。操作つまみ11は、右バーナ4の点火、消火及び火力調節を行う為に操作される。操作つまみ12は、グリル庫30内に設けられたグリルバーナ(図示略)の点火、消火及び火力調節を行う為に操作される。操作つまみ13は、奥バーナ6の点火、消火及び火力調節を行う為に操作される。操作つまみ14は、左バーナ5の点火、消火及び火力調節を行う為に操作される。
【0017】
図3に示すように、筐体2は、左壁部21、右壁部22(図2参照)、後壁部23を備える。左壁部21、後壁部23の夫々の上端部には、受け部211,231が設けられる。受け部211,231は、左壁部21、後壁部23の夫々の上端部から外側且つ略水平にフランジ状に突出する。なお、図示しないが、右壁部22の上端部にも受け部が設けられる。受け部211,231の夫々の上面には、天板3の外周部が上方から載置され、ネジ止め固定される。
【0018】
筐体2の中央部には、グリル庫30(図4参照)が設けられる。グリル庫30の後部には、グリル排気筒31が設けられる。グリル排気筒31は、グリル庫30の後部から上方に延びる略四角筒状に形成される。グリル排気筒31の上端部には、グリル排気口32が設けられる。グリル排気口32は、平面視左右方向に長い略矩形状に形成される。グリル排気口32は、天板3の排気口7の直下に配置される。排気口7を上方から見た場合、グリル排気口32は、排気口7の内側における中央寄りに配置される。これにより、グリル庫30内の燃焼排気は、グリル排気筒31を流れ、グリル排気口32を介して、排気口7から外部に排出される。
【0019】
図4に示すように、筐体2の後部内側における左壁部21側には、赤外線発光素子50が、金属製の支持部材60により、赤外線の発光部を上方に向けた状態で支持される。支持部材60はL字状に形成され、固定部61と支持部62を備える。固定部61は矩形板状に形成され、左壁部21の内面の後端側で、且つ上下方向略中央部よりもやや上側に螺子70で固定される。支持部62は固定部61の後端部から右方に延びる矩形板状に形成され、その右端部に赤外線発光素子50が支持される。赤外線発光素子50の位置は、天板3の透過部34の下方になるように調整される。
【0020】
図1図2に示すように、上記構成のコンロ1において、例えば、点火、消火等の所要の操作がコンロ1の制御部(図示略)において検知されると、該操作に連動して、赤外線発光素子50から赤外線が上向きに発信される。赤外線は、天板3の透過部34と注意シール40を透過し、天板3の上方に位置する受信部205に伝播する。これにより、受信部205は、下方に位置する赤外線発光素子50から発信される赤外線を確実に受信できる。受信部205が赤外線を受信すると、換気装置200は、換気扇202を作動又は停止する制御を行う。
【0021】
以上説明したように、上記実施形態のコンロ1は、筐体2と、筐体2の左右方向中央寄りに設けられ、上方に向けて延びるグリル排気筒31を後部に備えるグリル庫30と、排気口7を後部に備える天板3と、所定操作に連動して赤外線を発信する赤外線発光素子50とを備える。コンロ1は、天板3が筐体2上に固定された状態で、排気口7内の中央寄りの位置に、グリル排気筒31が位置するように構成される。天板3には、上下方向に光を透過可能な透過部34が設けられる。赤外線発光素子50は、筐体2内における透過部34の下方において、赤外線の発信方向が透過部34に向くように設けられる。天板3の上面には、透過部34を覆うように、赤外線透過性を有する注意シール40が貼付される。これにより、筐体2内の赤外線発光素子50から発信された赤外線は、天板3の透過部34と注意シール40を透過し、その上方に位置する換気扇202の受信部205に伝播される。これにより、コンロ1の正面に人がいない状態であっても、換気扇202を作動させることができる。また、透過部34を覆うように注意シール40が貼付されているので、天板3の美観が損なわれるのを防止できる。
【0022】
上記説明にて、赤外線発光素子50は、本発明の「発光部」の一例である。
【0023】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。コンロ1はビルトインコンロであるが、テーブルコンロであってもよい。
【0024】
赤外線発光素子50は、筐体2の後部内側の左側に設けられるが、右側に設けてもよく、それ以外の場所に設けてもよい。但し、グリル庫30からの熱の影響を受けないようにする為、グリル庫30から離れた場所に設けるのがよい。また、コンロ1の上方に位置する受信部205に対して赤外線を確実に伝播させることができる位置に設けるのがよい。上記実施形態では、赤外線発光素子50は一つであるが、2以上であってもよい。
【0025】
天板3に設けた透過部34は、矩形状の透孔35に透明な樹脂部材36が嵌め込まれて形成された窓部であるが、赤外線を透過させる領域であればよく、例えば透孔35だけでもよい。また、透過部34の形状も矩形状に限定せず、例えば、丸、三角、スリット等の他の形状であってもよい。
【0026】
注意シール40は、コンロ1の使用上の注意が記載されたシールであるが、赤外線透過性を有するシールであれば、文字等が印刷されていなくてもよい。また、注意シール40の形状も矩形状に限定せず、透過部34を覆うことができればどんな形状でもよい。
【0027】
上記コンロ1は、例えばスマートフォン、専用端末、リモコン等の外部端末と通信可能であってもよい。その場合、コンロ1は、外部端末による遠隔操作が可能となる。これにより、コンロ1の正面に反射対象が存在しない状態で操作された場合においても、換気扇202と連動させることできる。
【符号の説明】
【0028】
1 コンロ
2 筐体
3 天板
7 排気口
30 グリル庫
31 グリル排気筒
32 グリル排気口
35 透過部
40 注意シール
50 赤外線発光素子
202 換気扇
205 受信部
図1
図2
図3
図4