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▶ ジーアイ・サイエンティフィック・リミテッド・ライアビリティ・カンパニーの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-18
(45)【発行日】2023-07-26
(54)【発明の名称】伝導性光学要素
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/00 20060101AFI20230719BHJP
   A61B 1/018 20060101ALI20230719BHJP
   G02B 23/26 20060101ALI20230719BHJP
【FI】
A61B1/00 731
A61B1/00 651
A61B1/00 715
A61B1/018 513
A61B1/00 623
G02B23/26 D
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021199322
(22)【出願日】2021-12-08
(62)【分割の表示】P 2018515186の分割
【原出願日】2016-06-02
(65)【公開番号】P2022033157
(43)【公開日】2022-02-28
【審査請求日】2021-12-08
(31)【優先権主張番号】14/728,812
(32)【優先日】2015-06-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517421769
【氏名又は名称】ジーアイ・サイエンティフィック・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】GI SCIENTIFIC, LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162824
【弁理士】
【氏名又は名称】石崎 亮
(72)【発明者】
【氏名】スコット・ミラー
(72)【発明者】
【氏名】フランク・カーター
(72)【発明者】
【氏名】アドナン・マーチャント
(72)【発明者】
【氏名】カール・ガウガー
【審査官】増渕 俊仁
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-510577(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0030844(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0144287(US,A1)
【文献】特表平10-511298(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00-1/32
G02B 23/24-23/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学レンズを備える内視鏡と共に使用されるデバイスであって、
視覚化セクションを遠位端に備えると共に、前記内視鏡に取り付けるための取付けセクションを近位端に備える光カプラであって、前記視覚化セクションが前記内視鏡の前記光学レンズの少なくとも一部を覆うように構成される、前記光カプラと、
前記光カプラの前記視覚化セクションの少なくとも一部に配置され、少なくとも部分的に透明である電気的な伝導性材と、
エネルギーを前記電気的な伝導性材に供給することができる少なくとも1つのコネクタと、
前記視覚化セクションの一部に配置された絶縁材と、
を有
前記絶縁材は、器具を受け入れる開口部を有し、前記視覚化セクションを通る前記器具を前記電気的な伝導性材から絶縁するように構成される、デバイス。
【請求項2】
前記光カプラ内に、器具、液体又はガスを受け入れるためのワーキング・チャンネルを更に有し、前記絶縁材は、前記ワーキング・チャンネルの遠位開口部と長手方向において実質的に整列している、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記ワーキング・チャンネルは、前記視覚化セクション内の遠位開口部と、前記内視鏡内のワーキング・チャンネルの遠位端部に結合するように構成された近位端とを有する、請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記視覚化セクションの一部は、前記ワーキング・チャンネルの前記遠位開口部と前記電気的な伝導性材との間に配置されたバリア・セクションを更に有する、請求項に記載の装置。
【請求項5】
前記電気的な伝導性材は、伝導性酸化物を含む、請求項1~のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項6】
前記伝導性酸化物は、チタン伝導性酸化物及びアルミニウム伝導性酸化物から成る群から選択される、請求項に記載のデバイス。
【請求項7】
前記少なくとも1つのコネクタに結合された電源を更に有し、前記電源は、電力ジェネレーター、電気外科ジェネレーター、コブレーション・ジェネレーター、アルゴンガス・ジェネレーター、超音波ジェネレーター、クライオ・ジェネレーター、及びプラズマ・ジェネレーターのうちの1つを有する、請求項1~のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項8】
前記電気的な伝導性材は、前記コネクタから電力を受け取るように構成されると共に、熱エネルギーを生成して、前記伝導性材に隣接して配置された組織に前記熱エネルギーを伝達するように構成される、請求項1~のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項9】
前記電気的な伝導性材と組織との間に静電容量場を生成するように構成された光学的に透明な誘電層を更に有する、請求項1~のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項10】
前記電気的な伝導性材は、前記コネクタから電力を受け取るように構成されると共に、曇りを抑制すべく熱エネルギーを生成及び伝達するように構成される、請求項1~のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項11】
前記電気的な伝導性材は、前記光カプラに隣接又は接触している組織にエネルギーを供給するように構成された電極を有する、請求項1~のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項12】
前記視覚化セクションは、液体、組織片又は粒子状物質が前記内視鏡の前記光学レンズと接触するのを抑制するように、前記視覚化セクションの第1の外面境界から前記視覚化セクションの第2の外面境界まで連続的に延びる、前記視覚化セクションの少なくとも一部を囲む外面を有する、請求項1~のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項13】
光学レンズを備える内視鏡と共に使用されるデバイスであって、
視覚化セクションを遠位端に備えると共に、前記内視鏡に取り付けるための取付けセクションを近位端に備える光カプラであって、前記視覚化セクションが前記内視鏡の前記光学レンズの少なくとも一部を覆うように構成される、前記光カプラと、
前記光カプラの前記視覚化セクションの少なくとも一部に配置され、少なくとも部分的に透明である電気的な伝導性材と、
エネルギーを前記電気的な伝導性材に供給することができる少なくとも1つのコネクタと、
前記視覚化セクションの一部に配置された絶縁材と、
前記光カプラ内に、器具、液体又はガスを受け入れるためのワーキング・チャンネルと、
を有し、
前記絶縁材は、前記ワーキング・チャンネルの遠位開口部と長手方向において実質的に整列している、デバイス。
【請求項14】
前記視覚化セクションの一部は、前記ワーキング・チャンネルの前記遠位開口部と前記電気的な伝導性材との間に配置されたバリア・セクションを更に有する、請求項13に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願との相互参照)
本出願は、2015年6月2日に出願された米国特許出願第14/728、812号の利益を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
患者の、最小限およびより侵襲的でない手術(または外科処置、surgery)ならびに介入的治療は、一般的に患者にとってより安全で、速く、外傷の少ないものである。従って、これらの処置は、一般外科および観血療法を含む、より侵襲的な形態の外科手術と比較して、炎症、術後痛、感染リスクおよび治癒時間の低減を伴う。
【0003】
医療用途では、侵襲性の低いアプローチは、通常、診断、治療または操作に使用される手によって、または遠隔器具を用いた、直接または遠隔視覚化を含む。用途には、小さな切開(ミニ開胸術と呼ばれる)を伴う手術および手術部位の直接視覚化が含まれる。あるいは、フレキシブルな(または可撓性の、もしくは柔軟な、flexible)結腸鏡を使用して結腸を検査するか、または腹腔鏡を使用して手術部位を視覚化するなど、1またはそれよりも多い形態の遠隔視覚化を使用することができる。
【0004】
患者の体内の遠隔視覚化に関連する場合、様々なスコープが使用される。使用されるスコープは、医師が身体の中にナビゲートする必要がある場合、処置に使用される手術器具の種類、および手順の種類に適した侵襲レベルの程度に依存する。例えば、胃腸管内の視覚化は、フレキシブルな胃鏡および結腸鏡および数十フィートおよび直径が1センチメートルを超えることができる長さを有する特殊十二指腸スコープの形態の内視鏡検査の使用を伴い得る。これらのスコープは、スコープが患者を介してナビゲートされる場合に、医師によって回転され、また統合にされ、または操作され得る。これらのスコープの多くは、器具を通過させて支持する(またはサポートする、support)ための1またはそれよりも多いワーキング・チャンネル、組織を洗浄し、またスコープを洗浄するための液体チャンネルおよび洗浄チャンネル、ナビゲーションおよび視覚化を改善するための通気チャンネルならびにスコープの視野に光を当てるための1またはそれよりも多いライト・ガイドを含む。
【0005】
小型で柔軟性のない、または剛性なスコープ、または柔軟性と剛性を組合せたスコープは、医療用途にも使用される。例えば、関節を検査し、関節鏡手術(例えば、肩または膝の手術)を行う場合、より小さく、より狭く、はるかに短いスコープが使用される。外科医が関節鏡手術を使用して膝の半月板の裂傷を修復しているとき、膝の片側の切開部を介して器具を通している間、膝の反対側の小さな切開部を通して、より短い、より硬いスコープを挿入して損傷を視覚化する。視覚化を維持し、また修復を完了するために組織を操作するために膝の内側で、器具はスコープを洗浄することができる。
【0006】
他のスコープは、例えば限定されないが、肺(気管支鏡)、口(腸管鏡)、尿道(膀胱鏡)、腹部および腹腔(腹腔鏡)、鼻および洞(喉頭鏡)、肛門(S状結腸鏡)、胸部および胸腔(胸腔鏡)および心臓(心臓鏡)における検査状況および治療状況へのスコープの使用を含む、侵襲性の低い内視鏡的処置を用いて診断および治療に使用することができる。さらに、ロボット医療デバイスは、ロボット・デバイスが評価し、治療している領域を遠隔視覚化するためのスコープに依存している。
【0007】
上記スコープおよび他のスコープは、自然の開口部(例えば、口、洞、耳、尿道、肛門および膣)を通って、また患者の皮膚、腔、頭蓋骨、関節を通って、または他の医療において適する挿入口を通って挿入され得る。上記医療用スコープを用いた内視鏡診断の例としては、消化器系疾患(例えば、悪心、嘔吐、腹痛、消化管出血)の症状を診断すること、または診断(例えば、貧血、出血、炎症および癌の生検を行うことによる診断)、または疾患の外科的処置(例えば、破裂した虫垂の除去または胃内出血の焼灼)を含む。
【0008】
内視鏡、ロボットおよび他の医療処置において使用されるスコープなどの直接的および遠隔視覚化デバイスは、画像キャプチャ要素の使用を介して、様々な方法で観察者に画像を伝え、その画像キャプチャ要素は、(i)スコープの遠位端での対物レンズと接眼レンズとの間のリレー・レンズ、(ii)光ファイバー、(iii)電荷結合デバイス(CCD)および相補型金属酸化物半導体(CMOS)センサ、ならびに当業者に周知の他の画像キャプチャおよび伝達方法を含む。典型的な内視鏡は、画像キャプチャ要素を保持する要素と、(しばしば)LEDまたはファイバー・システムによって指向される光のような、スコープの視野に光を当てる光源とから成る。頻繁に、ビデオ・キャプチャ・システムが視覚化デバイスに接続され、視覚化デバイスの使用中にユーザーが観察することができるビデオ画像をディスプレイ・モニタ上に表示する。システムは、光学イメージング・デバイスと共に使用されるビデオ・プロセッサ・システムにおける手動調整またはオートフォーカス機能を介してディスプレイの焦点を調整する能力を含み得る。
【0009】
付加的なデバイスは、遠隔視覚化デバイスと共に使用され、医療および非医療処置において治療または修復を行う。例えば、医療用途では、把持器のような別個のデバイスを使用して、組織を操作し、シフトさせて異なる視点を得ること、および出血または病気がある場合に第3デバイスを用いて、組織を焼灼または切除することが一般的であり、出血または疾患がある場合、このアプローチで効果的に治療することができる。これらのデバイスは、別個の切開またはポートなどの異なるアクセス・ポイントを介して使用されることがあり、または結腸鏡などの特定のスコープに設計されたワーキング・チャンネルを介して使用される。
【0010】
スコープおよび他の光学要素と共に使用するために、より多くの治療能力および修復能力を加えることを介して、組織および他の物質の全体的な視覚化および操作を改善する必要性が存在する。
【発明の概要】
【0011】
本開示の態様は、光学要素、1またはそれよりも多い伝導性(または導電性、conductive)コーティング、およびデバイスにエネルギーを送るための少なくとも1つのコネクタ領域を含むデバイスを供することによって、従来技術の課題を解決する。伝導性層コーティングは、少なくとも部分的に、光学的に透明であり得る。それは、例えば酸化チタンまたは酸化アルミニウムなどの伝導性酸化物または他の伝導性材を含み得る。
【0012】
コネクタ領域は、電源に接続するように構成し得る。電源への接続は、デバイスの一部であり得る。また、デバイスは、コネクタおよび電源に接続するカテーテル(例えば、フレックス・トランジスタまたはワイヤなど)、コードまたは他の要素に接続し得る。電源は、デバイスの一部であり得る。電源には、電力ジェネレーター、電気外科ジェネレーター、コブレーション(coblation)・ジェネレーター、アルゴンガス・ジェネレーター、超音波ジェネレーター、プラズマ・ジェネレーター、またはエネルギーを発生させ、光学要素または伝導性コーティングへと、または横切って伝えることができるあらゆる他の形態のジェネレーターまたは他の電源(電池を含む電源)を含み得る。
【0013】
デバイスは、遠隔視覚化デバイスに取り外し可能に位置付けられ得る。デバイスは、スコープなどの遠隔視覚化デバイスの永続的な要素として設計することもできる。
【0014】
光学イメージング要素は、液体(または流体、fluid)、破片および粒子状物質を減らすように、組織もしくは他の物質から遠ざかるように、または組織もしくは他の物質に接触するように、また組織もしくは他の物質を操作およびシフトする(組織を所望の形状または切開に適合させる操作、再整列を含む)ように、構成され得る。伝導性コーティングは、組織または他の物質を変化させるのに十分なエネルギーを生成するように構成され得る。1またはそれよりも多い伝導性コーティングは、組織または他の物質を変化させるために、単一の電極を形成するように、デバイスに適用され(または塗布され、be applied to)得る。伝導性コーティングは、複数のパターンでデバイスに適用され得、組織または他の物質を複数の方法で変化させる複数の電極を形成し得る。組織または物質を変化は、例えば、アブレーション(ablation)、コブレーション、焼灼(cauterizing)、成形、シーリング、切開、創傷清拭(debriding)、切除(resecting)、組織の切断および凝固、血液または液体の蒸発、エネルギーおよび物質を操作または変化させるためのエネルギーの送達に関連する効果により活性化される、接着剤および他の化学物質または処方の活性化および硬化を含み得る。
【0015】
伝導性コーティングの領域は、少なくとも部分的に光学的に透明であり得る。光学的に透明な領域は、操作され、また励起される、組織上および他の物質上で重なり合って位置付けられ得る。伝導性コーティングは、所与の電源および意図される用途によって、特定の組織または物質の変化を生成するために、半ミクロンまたはそれ未満の厚さまたはそのような他の厚さを有し得る。伝導性コーティングは、絶縁されていなくてもよく、または1またはそれよりも多い誘電体(または絶縁体、dielectric)コーティングまたは材料を含む別の材料によって部分的に絶縁されてもよく、または完全に絶縁されてもよい。
【0016】
伝導性コーティングは、電源を、単極(またはモノポーラ、monopolar)エネルギー、双極(またはバイポーラ、bipolar)エネルギー、アルゴンガス・エネルギー、コブレーション・エネルギー、プラズマ・エネルギー、熱エネルギー、超音波、集束超音波、または組織もしくは物質を変えるために伝導性コーティングを横切って、もしくは伝導性コーティングを介して伝達され得る他のエネルギー形態を含む、組織または他の物質の変化のための1またはそれよりも多い形態のエネルギーに変換するように構成されてもよい。1またはそれよりも多い生体適合性材および合理的に適切なあらゆる他の材料を、伝導性コーティングの付着およびデバイスの全体的な性能を促進するように選択または構成し得る。
【0017】
光カプラ(またはオプティカル・カプラ、もしくは光結合器、optical coupler)および/またはそのコネクタおよび電源は、組織または物質の変化の程度を決定するための1またはそれよりも多いフィードバック要素を有し得る。これらのフィードバック要素は、1またはそれよりも多い温度センサ、熱電対、または組織もしくは他の物質に適用された場合の1またはそれよりも多い形態のエネルギーの変化、影響または効果の測定のための他の要素を含み得る。
【0018】
別の態様では、方法は、組織または物質の少なくとも一部を光学要素と接触させるステップと、光学要素上のコーティングにエネルギーを加え、組織または物質の部分を変化させることを含む。エネルギーを送達するための電極としての光学要素上のコーティングを使用して、組織または物質の部分の上または部分を通ってエネルギーを伝導することによって、組織または物質が変化する。
【0019】
組織または他の物質を変化させることは、加熱、焼灼、成形、シーリング、切開、切除、創傷清拭、切断、接合、凝固、コブレーション、アブレーションまたはコーティングを通してまたはコーティングを介して送達されるエネルギーによる組織または物質の接触を含む他の操作を含み得る。エネルギーを加えることは、双極電力を光学要素の表面を通って、または光学要素の表面を横切って印加することを含み得る。組織または物質への接触は、組織または物質の接合、凝固、組織の血管のシーリング、または光学要素上のコーティングによって送達されるエネルギーによる組織または物質の接触を含む他の操作を含み得る。
【0020】
光学要素に使用される1またはそれよりも多いコーティングは、異なる水接触角を有し得、光学要素を異なる性能の要素(親水性性能、疎水性性能および超疎水性性能をもたらす水接触角を有するコーティングを含む)に、容易にすることができる。コーティングの1またはそれよりも多くはまた、スコープの視界における光の反射を低減または最小にする反射防止特性を有し得、コーティングの他の変形は、光学要素を保護するための耐擦傷性および他の硬度特性を有し得る。コーティングは、伝導性であってもよく、透明であってもよい。
【0021】
光学要素の態様は、組織または物質を洗浄する(または潅注する、irrigate)能力、およびデバイスによる励起および操作のための、1またはそれよりも多い薬物、接着剤または他の化合物を対象とする領域に注入する能力を含み得る。別の態様では、スコープは体内を観察するための手段である。
【0022】
一態様では、光学要素と、光学要素の少なくとも一部分に設けられた伝導性材と、伝導性材にエネルギーを供することができる少なくとも1つのコネクタとを含む。別の態様では、光学要素は、スコープの遠位端に一体的に載置される(または取付けられる、もしくはマウントされる、mounted)。光学要素は、その部分がレンズの外側の遠位面であるレンズであってもよい。また、スコープは体内を観察するための手段でもよい。
【0023】
別の態様では、コネクタは電源に接続するように構成される。伝導性材は、少なくとも部分的に透明であってもよい。また、デバイスは、付加的に電源を含んでもよい。例えば、電源は、電力ジェネレーター、電気外科ジェネレーター、コブレーション・ジェネレーター、アルゴンガス・ジェネレーター、超音波ジェネレーター、サイクロジェネレーターおよびプラズマ・ジェネレーターから成る群から選択されてもよい。
【0024】
別の態様は、観察端部(viewing end)を有する画像キャプチャ(または捕捉、capture)・デバイスと、観察端部を支持するポジショニング・アッセンブリ(または位置調整アッセンブリ、positioning assembly)と、観察端部上に設けられ、観察端部にわたってエネルギーが伝達されるように配置および構成される伝導面(または導電面、conductive surface)と、エネルギーを伝導面に供給するように構成される電源接続部とを有して成る、アッセンブリを含む。ポジショニング・アッセンブリは、制限された開口を通って挿入するように構成された細長い部材を含み得る。ポジショニング・アッセンブリはまた、観察端部に対向する(opposite)細長い部材の端部に連結された制御部を含み得る。
【0025】
画像キャプチャ・デバイスは、液体を観察端部に伝えるように構成され得る。画像キャプチャ・デバイスは、例えば、ワーキング・チャンネル(または溝、もしくは流路、channel)を含むことができる。ワーキング・チャンネルは、液体を伝えるように構成され得る。
【0026】
別の態様では、伝導面は光学的に透明であってもよい。また、伝導面は、組織に重なり合うか、または適合することができる。
【0027】
伝導面は、白金表面のような第2伝導面によって電源に接続し得る。
【0028】
態様の利点は、(i)液体、デブリ(または破片、debris)および血液中の視覚化の改善、(ii)エネルギーを組織または他の物質に送達するために別個の器具交換を行う必要性を排除し、スコープ上の光学要素を介して対象とする領域にエネルギーを送達することによって、スコープを治療用デバイスに変える能力、(iii)レンズのフォギング防止能を供する能力、(iv)エネルギーの印可を介して視覚化を維持する能力により、対象とする領域を見失うことなく、物質および組織の狭い領域から広い領域を治療するためのエネルギー送達を制御する能力、(v)エネルギーを同時に供給する能力を維持する間、把持器(grasper)などの補完的なデバイスを供給するような、デバイスのある種の変形例でワーキング・チャンネルを使用する能力、ならびに(vi)ジアテルミー(または高周波治療、diathermy)、電気焼灼、電気手術、生検、アブレーション、コブレーション、フォギング軽減などの医療用途における処置の改善、ならびにパイプライン検査や遠隔視覚化による修理などの非医療用途における処置の改善を含む他の利益を含む。本開示の態様の上記ならびに他の特徴および利点は、本開示の好ましい態様および代替的な態様の両方を記載する以下の詳細な説明および添付の図面を考慮することにより、当業者にはより容易に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1図1は、内視鏡の遠位端に取付けられた光カプラを含む、本発明の一態様のデバイスの断面側面図である。
図2図2は、図1の光カプラの断面側面図を示す。
図3図3は、図1の光カプラの後部断面立面図を示す。
図4図4は、図1のデバイスの別の断面図を示す。
図5図5は、本発明の別の態様のデバイスの断面図を示す。
図6図6は、図5のデバイスの別の断面図を示す。
図7図7は、図5のデバイスの別の断面図を示す。
図8A図8Aは、本発明の別の態様のデバイスの断面図を示す。
図8B図8Bは、本発明の別の態様のデバイスの断面図を示す。
図8C図8Cは、本発明の別の態様のデバイスの断面図を示す。
図9A図9Aは、本発明の別の態様のデバイスの断面図を示す。
図9B図9Bは、本発明の別の態様のデバイスの断面図を示す。
図10図10は、本発明の別の態様のデバイスの断面図である。
図11A図11Aは、本発明の別の態様のデバイスの断面図を示す。
図11B図11Bは、本発明の別の態様のデバイスの断面図を示す。
図11C図11Cは、本発明の別の態様のデバイスの断面図を示す。
図12図12は、本発明の別の態様のデバイスの模式図を示す。および、
図13図13は、電源からデバイスにおけるコネクタにエネルギーを供するカテーテルを有する本発明の別の態様を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本開示の態様は、後述される内容により完全に記載される。実際、これらの態様は、多くの異なる形態で実施することができ、また本明細書に記載された態様に限定されるものと解釈されるべきではない。むしろ、これらの態様は、この開示が適用される法的要件を満たすように供される。本明細書および添付の特許請求の範囲で使用されるように、単数形「1の(a、またはan)」、「その、または前記(the)」は、文脈上他に明確に指示されない限り、複数の指示対象を含む。本明細書で使用される用語「含んで成る(comprising)」およびその変形は、用語「含む(including)」およびその変形と同義で使用され、非限定的な用語である。
【0031】
遠隔視覚化を含む視覚化を改善するために画像キャプチャ・デバイスを使用することに関連する多くの利点にもかかわらず、医学的状況において患者を診断および治療するため、または別個に非医療用途における状態を検査および修正するために、改善が必要なこれらの技術には重大な問題が存在することを、本発明者らは確認している。画像キャプチャ要素は、視覚化を不明瞭にする液体、デブリ、および粒子状物質ですぐに曇ってしまう。さらに、画像キャプチャ要素は、治療を供し、対象を修正、操作および修復するために、器具および他の要素に依存し得る。
【0032】
非医療用途では、より少ない破壊および侵入で、検査および/または修復することができる、医療以外の分野における遠隔領域および欠陥の非侵襲的な検査および修理(下水道幹線、油圧ライン、石油パイプライン、ガスライン、その他の非医療分野を問わず)は、一般的に検査および修復のために、より侵襲的に領域を開くより優れる。
【0033】
非医療用途では、小さなポートを使用して直接視覚化することができる。例えば、特定のポイントでラインを検査するためにパイプラインに穴をあけることによって。別の例は、可能な遠隔修理のための検査領域を視覚化するために、パイプラインを通して遠隔でナビゲートおよび前進するためのボア・スコープの使用である。
【0034】
オイル・パイプライン検査などの非医療用途では、把持および関節機能を備えたロボット・アームを遠隔視覚化デバイスとともに使用して診断および修復を行う。
【0035】
遠隔視覚化デバイスおよび関連要素は、非医療スコープにも共通し、用途として、非医療用途における遠隔視覚化に使用される、硬性および非硬性のボア・スコープ、ビデオ・スコープ、フレキスコ・スコープ、ファイバー・スコープおよび他のスコープを含む、遠隔視覚化に使用される。
【0036】
一般的に、本発明者らは、これらの器具は、切開部、ポート、ワーキング・チャンネルまたは他のアクセス点を通って、前進、後退および交換される必要があることを見出した。このアプローチは、必要な場合に、正しい機器がいつでも容易に利用できるとは限らないことを意味する。例えば、腹腔鏡手術の場合には、医師が組織を細かく切開して治療点にアクセスする一方で、血管を切断して出血を起こし得る。医師は、処置のために患者の中で器具を前進および後退させるために使用されるポートの1つに、焼灼または血管シーリング器具を有し得ない。出血が起こると、医師は器具の1つを引っ込め、焼灼デバイスまたは血管封鎖デバイス(デバイス交換と呼ばれる)を挿入して出血箇所を探し、それを止める間に出血は続く。デバイス交換を完了するのにかかる時間に起因して、出血領域は血液で満たされ、出血の位置を不明瞭にすることがある。さらに、この間、スコープは血液、デブリまたは他の液体で覆われるか、または曇って、出血の発見および治療を複雑にする追加の問題を引き起こす可能性がある。
【0037】
ワーキング・チャンネルを持つスコープでも同様の制限が発生する。例えば、大腸内視鏡検査を行い、癌が存在するかどうかを診断するために前癌性ポリープを切除する場合、血管が不用意に切断され得、少量の胃腸管出血が起こる可能性がある。出血を治療するためには、医師は器具を交換し、長くフレキシブルなスコープ(長さ200センチメートル)のワーキング・チャンネルからデバイスを引き出し、スコープのワーキング・チャンネルに焼灼デバイスを挿入して前進させなければならない。スコープおよび出血の位置を確認し(スコープがシフトする可能性があるため)、出血に対処するために焼灼を試みる必要がある。この試みは、スコープの視覚化を不明瞭にする液体、デブリおよび血液によって妨げられ得る。加えて、焼灼の適用は非常に限られている。これは、焼灼デバイスがスコープ内のワーキング・チャンネルの直径よりも広くならないように制限されるためであり、その制限される直径は典型的に2~3ミリメートルである。従って、現在のデバイスからの焼灼障害は、通常、数ミリメートルの幅であり、現在の技術では、より長くまたはより広くまたは不均一な出血領域を治療するために複数の焼灼を必要とする。
【0038】
上部消化管出血の治療を含む他のスコープの適用にも、この同じ一連の問題および他の問題が当てはまる。さらに、他の問題および制限が、ワーキング・チャンネルを持たないスコープが適用されるが、ユーザーからある程度の距離を進まなければならない。例えば、このような問題は、非医療用途ならびにある種の耳、鼻および喉の医療用途におけるボア・スコープにおいて生じる。これらの問題は、ロボットのナビゲーションならびに、ロボットの手術および治療など、視覚化の範囲に依存する他のアプリケーションにも当てはまる。
【0039】
本開示の態様は、伝導性コーティングを有する光学要素を有するデバイスを供することによって、この問題を克服する。例えば、図1に示すような一態様のデバイス11は、光学要素10、伝導性材302および少なくとも1つのコネクタ300を有して成る。伝導性材302は、光学要素10の少なくとも一部分に設けられる。光学要素は、例えば、内視鏡110または光カプラの対物レンズであってよい。コネクタ(端子として作用する)300、300a、300bは、伝導性材302にエネルギー(例えば、電力)を供給することができる。一態様では、伝導性材は光学的に透明な材料である。
【0040】
デバイス11は、伝導性コーティングを介して、対象にエネルギーを印加するのと同時に、対象(例えば、体組織または他の物質200のようなもの)の視覚化を可能にすることが有利な点である。これにより、エネルギーが供給されると、ユーザーは、組織および他の物質の変化をリアルタイムで観察することができる。例えば、デバイス11は、透明な伝導性材302を介して電力を供給して、組織が内視鏡72および内視鏡上の光学要素を介して直接観察されると同時に組織200を焼灼することができる。
【0041】
図1図4に示すように、態様では、光学要素10は、遠位端14での視覚化セクション(visualization section)12および近位端48での取付けセクション(attachment section)46を含むタイプの光カプラであってもよい。態様では、光カプラ10は、透明材から成り、その少なくとも一部分は、体内における不明瞭なデブリを明確に保持するために、下にある内視鏡72の光学領域を覆うことができる。また、光カプラ10の外面は、内視鏡72によって検査されている組織上の液体、血液、デブリおよび粒状物質を移動させることができる。光カプラのさらなる詳細は、2019月17日に出願された米国特許出願公開第2013/0110097に開示されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0042】
再び図4を参照して、視覚化セクション12は近位面22から離れた遠位である、外面16を含む。態様では、視覚化セクション12の少なくとも一部分は、内視鏡72の光学領域の一部または全部を覆っている。図1に示すように、外面16は丸い凸形状を有する。外面16は、例えば、視覚化セクション12の、第1外側境界18から反対側の第2外側境界20を横切って連続的に湾曲する。態様では、外面は、凸であるが偏心していてもよく、凹形で、フラットであってもよく、または内視鏡の光学レンズにある角度で配置される。例えば、外面は、内視鏡の光学レンズから傾斜する角度、または内視鏡の光学レンズに対して傾斜する角度で位置付けられてもよい。医療従事者は、外面16を組織または他の物質200と接触させて前進させ得、また光カプラの設計のために視覚化を維持させ得る。さらに、医療従事者は、組織または他の物質とスコープ上の光カプラとを接触させることによって、液体、血液、デブリおよび粒子状物質を視野から移動させることができる。これは、このデバイスを通じたエネルギーの伝達を含む、評価および治療のための、組織または物質の基礎となる、より良い視界を供する。外面16の形状は、外傷性であってもよい。
【0043】
また、他の態様では、デバイスは、スコープおよびデバイスを通る器具の通過を可能にするか、または洗浄または通気(または送気、insufflation)を供するか、またはある範囲における光の性能を変えるための、スコープの光ガイドを暴露するための、1またはそれよりも多いチャンネルを有してもよい。例えば、これらのチャンネルは中空であり、デバイスの外面を通過することができる。チャンネルはまた、自己封止であってもよく、従って、チャンネルが使用されていない場合に、チャンネルを封止するためにデバイスの外面を完全に通過しない。他の態様では、1よりも多いチャンネルが存在してもよい。1つのチャンネルは、機器を通過させるために、スコープおよびデバイスのワーキング・チャンネルと整列していてもよい。別のチャンネルは、液体および空気がスコープから放射され、デバイスを通過することを可能にし得る。第3チャンネルは、液体をスコープ上の液体水からデバイス内のワーキング・チャンネルに、デバイスの外面を越えて排出することができる。
【0044】
視覚化セクション12は、内視鏡72のための対象の視覚化を改善する材料の範囲から形成することができる。例えば、視覚化セクションは、表面領域の光学画像を伝えることができる透明材で形成することができる。あらゆる種類の透明材を(少なくとも部分的に)使用することができるが、伝導性材302に良好に接着する(かつ接着したままである)材料が特に望ましい。魅力的な屈折率および光透過レベルを有する材料が特に適している。また、伝導性材への基板(substrate)の衝撃および光学性能に対するエネルギー供給の影響を最小限にするために、エネルギー用途と共に使用される場合の安定性も望ましい。例えば、ポリカーボネート材は、ポリカーボネートの屈折率および様々な温度範囲にわたる性能に起因して、視覚化セクションに適した材料である。追加の材料には、アクリル、ポリスチレン、環状オレフィンコポリマー、ポリエーテルイミド、ガラス、シリコーンおよび他の光学材が含まれる。これらの材料は、比較的低い屈折率、高い光透過率、および様々な形態のエネルギーの適用と共に使用される場合の、絶縁特性および比較的低いレベルの熱膨張を含む、適する温度特性の組合せを供する。
【0045】
他の態様では、1よりも多い材料を使用するデバイスは、接着剤または他の化学結合、材料の一体成形、一方の材料のもう一方の材料上へのオーバー・モールド、材料間へのもしくは材料を覆っての機械的コネクタの配置、またはそれらの組合せを介して材料を接続し得る。接続はまた、一方の材料をもう一方の材料にコーティングすること、一方の材料をもう一方の材料にネジ止めする(screwing)こと、または材料を他のものに接続する他の方法によって行うことができ、材料のうちの少なくとも1つが伝導性コーティングのための基板である。
【0046】
本明細書で使用する「透明(または透明性、transparent)」という用語は、必ずしも光学的に透明という意味に限定されない。代わりに、透明は、赤外線および/または紫外線を含む、エネルギー波の通過能力またはその特性を含み得る。透明はまた、完全に透明という意味に限定される必要はなく、代わりに光線(例えば、半透明)の通過を容易にするかまたは可能にするいくつかの能力を指すことができる。
【0047】
代替的に、カプラ10は、透明材から形成されていなくてもよく、ある態様では、特定の遠隔視覚化用途に適した1またはそれよりも多い材料から作られてもよい。態様では、カプラは、視覚化を改善する能力が制限されているか、または能力を持たない伝導性材302のための支持体およびアプリケータとして供され得る。
【0048】
図4に示すように、取付けセクション46は、光学要素10の近位端48から延在するシリンダー壁50を含み得る。一般的に、取付けセクション46は、視覚化セクション12と嵌合して、視覚化セクション12を内視鏡72の端部または他の光学画像デバイス固定するように構成される。この目的のために、シリンダー壁50は、内視鏡72の遠位端をプレスまたは他の固定される嵌合のための、中空のシリンダー状開口部70を規定するようなサイズとなる。取付けセクション46はまた、取付けを供するための他の構造を含み得、および/または溶接、接着剤、ネジ止め、機械的コネクタ、1またはそれよりも多い材料と光学イメージング・デバイスとの間の干渉、またはデバイスと遠隔/光学イメージング・デバイスとの間の他の接続形態によって固定され得ることに留意されたい。また、取付けセクション46は、シリンダー状である必要はなく、各種光学イメージング・デバイスまたは遠隔視覚化デバイスの遠位端の形状に合わせて形成することができる。または、取付けセクションは、デバイスの他の機能を容易にするような形状にすることができ、それは側面および遠位端が組織および物質をより効果的に適合および操作するような形状とすることを含む。組織および他の物質と接触する際の、デバイスの外傷を少なくするために、形状および材料を選択し得る。デバイスの視覚化セクションは、遠隔視覚化デバイスに統合することもできる。
【0049】
図1および図4に示すように、内視鏡72は、遠位端を有し光学アッセンブリを支持するシース76を含む。シース76は、身体および他の通路に遠隔視覚化を供するために、通路を通って進入し、延在するように構成された一般的に細長い部材である。いくつかの態様では、内視鏡は、オペレータがスコープを操作できるように、シース76の近位端に取付けられた何らかの形態のポジショニング(または位置調整、positioning)・アッセンブリ(例えば、手動制御)を含む。他の態様では、スコープは、スコープを操縦可能にし、所望の位置に対してポジショニングするロボット要素の一部であり、その要素は、スコープを調査し焦点を合わせる。シース76はまた、図1及び図4に示すように、遠位端74を含み、光カプラ10のシリンダー状の開口部70へと延在する。
【0050】
シース76は、様々な目的のために、そこを通って延在する1またはそれよりも多い開口部またはルーメン(または内腔、lumen)を含み得る。例えば、図1図4に示すように、シース76は、第1ルーメン100、第2ルーメン102、および第3ルーメン104を規定する。各ルーメンは、シース76の、近位端から遠位端74まで延在する。第1ルーメン100は、例えば、光ガイド106が遠位端74に向かって光を伝えるために位置付けることができる通路を供し得る。第2ルーメン102は、遠隔視覚化レンズ、カメラ、センサ、ファイバーまたはシース76の近位端に戻る視覚情報を保持するための他の要素108を収容するための通路を供し得る。第3ルーメン104は、ワイヤ、カテーテル、生検鉗子(biopsy forceps)、ガイドワイヤ、または他の器具202などの追加の器具が組織もしくは他の物質200に延在することができる通路を供し得る。
【0051】
上述したように、図1図4の態様におけるシース76は、光学アッセンブリへのアクセスを供する。いくつかの態様では、光学アッセンブリは、光ガイド106、画像キャプチャ要素108および対物レンズ110を含む。上述のように、光ガイド106は、光をシース76の、近位端から遠位端に伝え、生体組織200を照明する。対物レンズ110は、光ファイバー108の遠位端に位置付けられ、光ファイバーの遠位端に戻ってくる反射光を方向付け、焦点を合わせるように構成される。一般的に、対物レンズ110は、共通の軸を有するレンズのアレイを含む複合レンズを含む、光を透過および屈折させることができるあらゆる光学デバイスであり得る。
【0052】
図1に示すように、取付けセクション46を固定すると、シリンダー壁50は、シース76の遠位端74の外面78を覆うように延在する。また、近位面22は、シース76の遠位端の端面80に接する。第3ルーメン104は、光カプラ10の視覚化セクション12に規定される中空の器具レセプタクル(または受け部、receptacle)40と位置合わせされる。
【0053】
図1図4に示すように、伝導性材302は、組織および他の物質に関する所望の効果に応じて、1またはそれよりも多い電極設計を作るために様々な構成で適用され得る。電極設計は、遠隔視覚化要素のフォギング(または曇り、もしくはかぶり、fogging)を防止するか、またはフォギングを抑制もしくは防止するために間欠的もしくは継続的に温めることができる視覚化要素のような能力の組合せを作るなど、他の用途のニーズに適合するように変更し得る。電極設計はまた、組織または他の物質に接触および焼灼または切除する必要がある場合に、伝導性材302の能力がエネルギー伝達を急速に増加させることに対処し得る。
【0054】
伝導性コーティングで光学レンズ部品を加熱することにより、スコープまたは光学要素の端部で著しい温度差を防止するような連続的な加熱が可能になる(遠位端は、カメラがしばしば配置され、フォギングが問題になる場所である)。温度差はフォギングを発生させ、スコープまたは光学要素を介する視覚化を不明瞭にする。さらに、光カプラの材料(例えば、シリコーンおよびポリカーボネート)は、アンチ・フォギングを促進する絶縁特性を有する。アンチ・フォギングは、例えば光学要素をほぼ体温に加熱することによって達成することができる。理論に拘束されるものではないが、本発明者らは、スコープの遠位端における温度差が、スコープの端部周辺の温度を上昇させる、特にハーモニック・メスのような特定の発熱器具が使用される場合には、華氏約95度から華氏約110度またはさらには華氏約120度の範囲にあると考えている。従って一般的に、アンチ・フォギング用途は、焼灼または他の組織改質温度よりも低い電力および温度である。
【0055】
いくつかの態様では、伝導性材は、層、ストリップ、粒子、ナノ粒子または他の形状の形態であってよく、ある種の離散的、連続的または断続的なパターンおよびそれらの様々な組合せで適用される。伝導性材の形状またはパターンの変化は、所望の結果を達成するために、コーティングおよび他の材料を付着または組合せることによって、一方の材料をもう一方の材料に加えることができる範囲内で可能である。
【0056】
伝導性材は、透明伝導性酸化物(TCO)、白金などの伝導性金属、ポリマー、または有機半導体、またはデバイスを横切ってエネルギーを伝導または伝えることができる他の材料を含んで成ることができる。用語「層(layer)」は、比較的均一な厚さを有する伝導性材302の少なくともいくらかの領域および/または伝導性材302の適用方法を用いたいくらかの領域を指す。例えば、伝導性材は、ディッピング、蒸着(または堆積、deposition)コーティング、スプレーイング、スパッタリング、超音波適用、ブラッシング、ペインティング、または意図された基材上に層または他のパターンを形成することができる伝導性材の他の適用を介して、形成され得るか、または適用され得る。いくつかの態様では、伝導性材は均一な材料厚さであってもよい。他の態様では、伝導性材は、様々な厚さを有してもよい。伝導性材302において、正確な厚さである必要はなく、全体にわたって連続的に変化することができる部位は無い。代わりに、材料の厚さは、意図された電極機能に応じて変化させることができる(例えば、特定の用途のためのコーティング全体の抵抗の目標レベル(およびそのばらつき)など)。
【0057】
さらに、伝導性材302を適用して、異なるパターンおよび密度のエネルギーを物質に適用するための特定の形状(層以外)を形成し得る。伝導性材302はまた、金型内で形成され、次いで光学要素に接着、溶接、または他の方法で光学要素に取付けられるなど、非層状に適用され得る。ここでも、伝導性材302の形状は、代わりに、伝導性材および伝導性材300へのコネクタを含む特定の電極設計を含む、伝導性材によるエネルギー印加の所望のパターンに対応し得る。
【0058】
いくつかの態様では、伝導性材層は、視覚化セクション12の一部分にわたって延在するように、光学要素の遠位端14に適用される。一態様では、伝導性材によって覆われる視覚化セクション12の部分は、視覚化セクションの一方の側の遠位の外面領域16の全体を含む。しかしながら、視覚化セクションの部分は、視覚化セクションの一方の側の表面領域の一部のみを含み得、または所望の電極設計および所望の結果に応じて、伝導性材層の複数回の適用の間に1またはそれよりも多いギャップを含み得る。例えば、伝導性材302は、内視鏡72の対物レンズ110の視野内の領域のみを覆うことができ、または視野の一部に適用されてもよいし、視野の外にあってもよい。他の代替案では、伝導性材302は、パターン(ストリップ、ストライプ、ディンプル、ボイド、起伏、曲線、円、半円)、不規則なパターン、およびデバイス200でエネルギーを適用する意図された結果のための電極を形成するための他のアプローチのようなもので、適用し得る。
【0059】
図1図4に示すように、デバイス11はまた、伝導性材にエネルギーを供給するための1またはそれよりも多いコネクタ300を含み得る。この態様では、コネクタは、第1正端子(positive terminal)300aおよび第2負端子(negative terminal)300bを含む。電流は、正端子から伝導性材302を通って(伝導性材に通電して)、負端子を通って流出する。
【0060】
端子自体は、グラファイト(カーボン)、白金、金、およびロジウムなどの不活性電極を含んで成ることができる。加えて、端子は、銅、亜鉛、鉛、および銀、またはアルミニウム、または伝導性材、またはエネルギーを伝えるのに適することが当業者に知られているあらゆる他の材料を含んで成り得る。ワイヤ304または他の動力伝達手段は、電極を電力ケーブル(図示せず)に接続し、内視鏡72のシース76内に埋め込まれ、中空器具レセプタクル40に並行に近接して通っている。
【0061】
代替的に、ワイヤまたは他の動力伝達手段は、器具レセプタクル40内の視覚化セクションを通過し得る(図示せず)。ワイヤは、別の代替方法において伝えることができ、デバイスまたはデバイスに埋め込まれたバッテリへの電流の誘導伝達を含む。電力は、バッテリ、カテーテル、ケーブル、電波、または他の動力伝達デバイスからの電流によって供給されてもよく、または端子またはコネクタまで延在することができる方法によって供給され得る。
【0062】
図13は、例えば、送出(delivery)カテーテルのチャンネルを通って延在するように構成されるエネルギー・カテーテル500を示す。エネルギー・カテーテルは、その遠位端にコネクタ502を含む。エネルギー・カテーテル500の細長い本体は、洗浄チャンネル506を規定する。エネルギー・カテーテルは、その近位端において、動力および/または洗浄源504に接続する。エネルギー・カテーテル500は、スコープを通って、光カプラ10のワーキング・チャンネル508内に延在するように構成される。ワーキング・チャンネルと連通する、対応するコンタクトまたは端子300に、コネクタ502が当接および/またはさもなければ嵌合もしくは接続するまで、拡張は続く。
【0063】
端子(terminalまたはterminals)300は、ある種のエネルギーを伝導性材302に送出するあらゆるデバイス(電波、誘導または他の無線接続を含む)であってもよい。伝導性材自体は、無線のケースにおける伝導性材の励起、または伝導性材の拡張を、エネルギージェネレーター(または他の電源)と嵌合または連通するための形状へと、端子300を形成することができ、または含むことができる。
【0064】
光学要素10(カプラ、レンズ、カプラもしくは他のアタッチメントの形態、またはスコープの一部として一体化されたもの)は、異なるスコープまたは他の画像キャプチャ・デバイスの範囲で使用することができることに留意されたい。ここでカプラという用語は、より一般的には、スコープを覆うように取付けられた、またはスコープの一部として一体化された光学要素を指し、スコープまたは画像をキャプチャして伝送する他の技術に一体的に形成もしくは取付けられたものを指す。本明細書で使用される「カプラ(coupler)」という用語は、別個に製造されたおよび/または別個に、後で取付け可能なカプラ、キャップまたはレンズを指す。
【0065】
光学要素は、例えば、比較的大きな望遠鏡を含む、様々なサイズの光学キャプチャ要素と共に使用するように適合させることができる。または、光学要素10は、望遠鏡の対物レンズとすることができ、デバイス11は、望遠鏡のレンズの少なくとも一部分に伝導性材302を設けることによって、またレンズ上で伝導性材302にエネルギーを供給するための少なくとも1つの端子300を供することによって形成される。これは、例えば、レンズのフォギングを防止するために有用であり得る。光学要素は、同様にして顕微鏡と共に使用することができ、または顕微鏡の一部として使用することもできる。光学要素と共に、または光学要素に使用できる他のスコープには、ハイドロスコープ、ハプロスコープ、カルパスコープ、エコスコープ、ファイバー・スコープ、ビデオ・スコープ、スタウロ・スコープ、ステレオ・スコープ、および鼻腔鏡が含まれる。
【0066】
また、「内視鏡(endoscope)」という用語は、一般的に(身体(ヒトまたは他のもの)を含む)医療用途で使用されるあらゆるスコープを指し、腹腔鏡、関節鏡、結腸鏡、気管支鏡、腸鏡、膀胱鏡、腹腔鏡、喉頭鏡、S状結腸鏡、胸腔鏡、心臓鏡、およびスコープを有する伏在静脈採取器などを含み、これらはロボットまたは非ロボットのどちらでもよく、また、例えば、ボア・スコープ、ビデオ・スコープ、フレキソ・スコープおよびファイバー・スコープなどの非医療用途に使用されるスコープを含み、これらはロボットまたは非ロボットのどちらでもよく、本明細書に開示される他の範囲を含む。
【0067】
本明細書で使用される用語「画像キャプチャ・デバイス(image capture device)」はまた、レンズまたは他の光指向構造のみを有するデバイスを指す必要はない。代わりに、例えば、画像キャプチャ・デバイスは、(i)スコープの遠位端での対物レンズと接眼レンズとの間のレンズ、(ii)光ファイバー、(iii)電荷結合要素(CCD)、(iv)相補型金属酸化物半導体(CMOS)センサを含む。画像キャプチャ・デバイスは、光を感知し、感知された光に対応する情報のための電気信号または画像を送るための他の技術を生成するための単なるチップであってもよい。画像キャプチャ・デバイスは、光がキャプチャされる観察端部を有してもよく、そこで光を捕捉し、また伝導面302は、画像キャプチャ要素の一部分を覆うように延在してもよいし、または画像キャプチャ要素から離れて他の態様に適用されてもよい。一般的に、画像キャプチャ・デバイスは、対象を観察すること、画像をキャプチャすること、および/またはビデオをキャプチャすることができるあらゆるデバイスとすることができる。
【0068】
光カプラの1つの特定の態様が上記で説明されているが、光カプラの追加のタイプは、それに適用されるいくらかのタイプの伝導性材を含み得る。例えば、参照により本明細書に組み込まれる、2012年2月16日に出願された米国特許出願公開第2012/0209074は、伝導性材が適用され得る光学要素のいくつかの変形を開示している。
【0069】
例えば、本開示の図5は、内視鏡72に取付けられた光学要素10の別の態様を示す。図5に示すように、視覚化セクション12の外面16の一部はドーム形状であり、ドーム形状の視覚化セクションの外面の一部分は、内視鏡72の視野A内にある。ドーム形状のために、伝導性材302は、(ドーム全体が覆われている場合は図1図4と比較して)より滑らかな伝達を有する増加した表面積上に必要とされてもよく、視野A内にのみ適用されてもよい。
【0070】
一般的に、ドーム形状は、臓器を視野から押し出すことができるように、作業空間を増やしてイメージングを改善し得、また視野、光学的明瞭性、対象組織または他の物質に対するレンズの適合性を最適化するために、他の形状を利用し得る。光学要素の形状を適合させるための他の性能に関連する理由としては、光透過、形状間の材料付着、対象ルーメンを含む特定の領域を通るナビゲーションに対する要望を含む。
【0071】
別の例として、図6および図7は、体腔(body cavity)200の領域と係合する例示的な光学要素10を示す。まず、第1に、光学要素10が体腔200の領域と接触して位置付けられる。次に、医師は、医療器具202(図6)を内視鏡72のシース76の第3ルーメン104に挿入することができる。医療器具は、光学要素において、器具レセプタクル40を通過し、次いで、医療器具202は、バリア・セクション42および光学要素10の外面16(本開示の図7)を貫通する。その後、体腔200の領域上で医療器具を用いて処置することができる。
【0072】
バリア・セクション42は、周囲と器具レセプタクル40との間に(医療器具202が通過する前に)介在する、視覚化セクション12の一部分である。一態様では、伝導性材302を有する医療器具202による直接的な接触を防ぐために、バリア・セクションは、絶縁材310で被覆される。絶縁材310は、例えば、外面16から延在し、また伝導性材302の層と同じかそれ以上の厚さであってもよい。有利には、絶縁材310は、例えば、電気的に通電された伝導性材層にショートを生じさせる金属器具によって、伝導性材302の伝導性破壊を防ぐことができる。または、絶縁材は、医療器具202による損傷に対して、より弾性的で物理的なガードであってもよい。
【0073】
図8Aは、内視鏡72に取付けられた光学要素の別の態様の断面図を示す。この態様は、内視鏡72のルーメン104の1つと、光学要素10の器具レセプタクル40とを通って位置付けられる生検鉗子61を含む。
【0074】
図8Aに示すように、生検鉗子61の挾持部(jaws)は開放されている。図8Bは、体腔200から生検サンプルを採取するために閉じられた生検鉗子の挟持部を有する断面図である。図8Cは、生検サンプルを採取した後に引き取られる生検鉗子の断面図である。
【0075】
図8A図8Cの態様では、光学要素10は、より広い基部が遠位に延在する円錐台形状を有している。この態様では、伝導性材302は比較的フラットであり、比較的フラットな組織表面に容易に適用することができる。また、伝導性材302は、絶縁材310によって取り囲まれた開口部を有する層中にあってもよい。上述したように、これは、生検用鉗子61による伝導性材へのショートまたは損傷を防ぐことができる。また、電極300aおよび300bは、円錐台形状の傾斜した側面の下方へ延在してもよく、また部分的または完全に絶縁されていてもよいし、絶縁されていなくてもよい。
【0076】
図9Aおよび図9Bは、傾斜した外面16を有する光学要素10の別の態様を示す。例えば、光学要素10は、ボア・スコープ77に載置される光カプラであってもよい。光カプラ10は、第1外側境界515および第2外側境界516を有する視覚化セクション12を有する。第1および第2外側境界515、516は、傾斜してボア・スコープから外側に延在している。カプラ10の外面514はまた、第1セグメント514aおよび第2セグメント514bを有するように傾斜されている。この構成では、伝導性材層302は同様に積層される。
【0077】
図9Bは、2つのプレート88、90間の溶接留め(weld lodged)を検査する図9Aの光学要素10を示す。有利には、電極300は、伝導性層302にエネルギーを供給することができ、伝導性層302は、傾斜したプレート88、90を加熱および/または変更して、例えば、オペレータによって溶接が直接観察される間、溶接は修復される。
【0078】
図10は、第3ルーメン104を介して、補助チャンネルを有する内視鏡に取付けられた光学要素10を示す。液体、空気または他の物質を伝えるための補助チャンネル104の遠位端にノズル943が設けられる。光カプラは、補助液体チャンネル104およびノズル943から液体947を受けることができるスコープの長軸の周辺に延在するチャンバー945を含む。これにより、液体947は、光学要素10における器具レセプタクル40へと入り、通過することができる。このチャンネルは、組織を洗浄するため、または視野からデブリをすすぐため、またはカプラの外面をクリーンにするため、または薬物および他の化学物質、ならびに空気、CO2、アルゴンガスなどの物質および対象とする組織もしくは他の物質に作用させる他の物質を送るための、水や生理食塩水(saline)を含む液体を送ることができる。図10において、伝導性材302には、図1図4と同様の層が適用される。外部環境の吸引(aspiration)のため、器具が外部に開かれる場合に器具レセプタクル40に正圧を加えるために、開口部は伝導性材302を通って延在し得る。
【0079】
本開示の図11Aは、血液800で覆われた組織に近づく内視鏡72に取付けられた凹状の外面16を有する光学要素10の断面図である。図11Bは、組織200の空洞に押し付けられ、不伝導性の(または不透明の、opaque)液体91を阻止する(または捕捉する、trapping)光学要素10を示す。図11Cは、阻止された不伝導性の液体91を流す(または洗浄する、flush)器具レセプタクル40からの液体を示す。有利には、導入された液体の圧力が、光学要素10によって体腔200に対して加えられる圧力を超えると、液体891は、領域から阻止された不透明液体91を流す。
【0080】
図11Aおよび図11Bにおいて、伝導性材302は、凹型外面16と同様の、凹状の層に適用される。端子300は、凹状伝導性材302の端部と接触するように光学要素10の側面に沿って延在する。
【0081】
(デバイスおよび伝導性材の応用)
デバイス11の様々な態様である伝導性材302は、多くのエネルギーの種類を送るために使用され得、また多くの医学的および非医学的用途に用いられ得る。そのようなエネルギーの種類および用途の例は、例示目的のために以下に供され、限定するものとみなされるべきではない。
【0082】
図12に模式的に示すように、伝導性材302は、端子300aおよび300bおよびコネクタ304および電源94へのケーブル96を介して取付けられたレジスタおよび/またはコンデンサである。コネクタ304は、例えば内視鏡のシース76を通り、内視鏡の近位端に取付けられたケーブル96へと延在し得る。これらのコネクタは、電源94に接続し得、例えば電源は、単極エネルギー、双極エネルギー、アルゴンガス・エネルギー、コブレーション・エネルギー、プラズマ・エネルギー、熱エネルギー、マイクロウェーブ・エネルギー、超音波、集束超音波、または治療効果を含む組織もしくは物質を変えるために伝導性コーティングを横切ってもしくは伝導性コーティングを介して伝達され得る複数のエネルギー形態の生成および伝達を含む、他の形態のエネルギーを含む、組織または他の物質の変化のための1またはそれよりも多い形態のエネルギーであり得る。これらは、直流、交流、パルス電流、および他の可変形態のエネルギー送達によって送ることができる。
【0083】
端子300および伝導性材302にエネルギーを伝える多くの方法がある。ケーブル96は、端子300、300a、300bを介して伝導性材に電力を送ることができる。ケーブルは、例えば、スコープに隣接しているか、またスコープの外側であるか、またはスコープ72の外側を包み込んでいる(または外側に巻き付いている)ことによって、端子にアクセスすることができる。または、ケーブル96またはコネクタ304は、スコープのワーキング・チャンネル(例えば、第1ルーメン100)を下行するエネルギー送達カテーテルに取り付けることができ、ターミナルとドッキングする。その遠位端において、エネルギー送達カテーテルは、レンズ110のワーキング・チャンネルにおける電気端子に接続され得る。コネクタ304は、内視鏡72のシース76内に埋め込まれ、中空器具レセプタクルコネクタ40に並行して通じ、近接する。コネクタは、フレキシブル回路、1またはそれよりも多いコーティング、ワイヤ、伝導性バネ、電力を受信および送信するための誘導性材、ケーブル、または電源から送達点に向けて電力を送るための他の手法を含んで成り得る。
【0084】
別の態様では、電力ジェネレーターは、例えば、関数ジェネレーター、RF信号ジェネレーター、マイクロウェーブ信号ジェネレーター、ピッチ・ジェネレーター、任意波形ジェネレーター、デジタルパターン・ジェネレーターまたは周波数ジェネレーターなどの信号ジェネレーターを含んで成ることができる。既存の電気外科ジェネレーターは、医学的な使用に必要な基準を満たすという利点と共に使用し得る。これらのジェネレーターは、(アナログまたはデジタルの領域いずれかで)繰り返しまたは非繰り返しの電子信号を生成する電子デバイスに電力を供給し得る。RF信号ジェネレーターの範囲は数kHzから6GHzである。マイクロウェーブ信号ジェネレーターは、1MHz未満から少なくとも20GHzまでの、より広い周波数範囲をカバーすることができる。いくらかのモデルは、直接同軸出力(direct coaxial output)の場合は70GHz、外部導波管ソース・モジュール(external waveguide source modules)の場合は最大数百GHzまで使用できる。また、FMおよびAM信号ジェネレーターを使用し得る。
【0085】
これらの異なるジェネレーターなどの利点は、電力の1の形態が他の形態を超える利点がある、対象とする用途のための特定形態の電力を供することである。例えば、組織を切断して凝固させる場合、単極電気は、典型的には双極電力よりも効果的に組織を介して切断および凝固することができる。しかし、単極エネルギーは、意図しない領域への単極エネルギーのアーチング(arching)を避けるために、接地パッド(grounding pad)を使用する必要がある。従って、接地パッドは、組織に影響を及ぼすために、またアーチングおよびその後の電力および単極エネルギーで患者への火傷を防ぐために、単極アプリケーションを使用することができる(設置パッドは、患者を通る電力の回路を完成させる)。
【0086】
対照的に、双極電力はデバイス自体で回路が完成しているため、エネルギーがデバイスを通過し、また横切って移動し、身体を通ってアーチングすることなく、組織に影響を与える。このアプローチでは、双極電力は、組織の対象とする治療を含む病変、シーリング容器および他の用途を作り出すために非常に効果的であり得る。しかし、双極電力の含まれた側面のために、外科用ナイフの代替物として組織を切断して凝固させることは、それほど効果的でない傾向がある。同様に、マイクロウェーブ・エネルギーは、その独特な組織効果に起因して、組織のアブレーションの特定タイプに使用され得、双極エネルギーは、他のタイプの切除に使用され得る。周波数が、例えば神経束のような特定の副要素を刺激(excite)しないので、FMエネルギーのような他の形態のエネルギーが使用され得る。
【0087】
コアブレーション(coablation)・ジェネレーターは、高周波エネルギーを用いて軟組織を外科的に解離させる非熱駆動プロセスにおいて使用することができ、生理食塩水などの伝導性媒体における電解質を励起して、正確に集束したプラズマ場を形成する。プラズマ場におけるエネルギー付与された粒子またはイオンは、比較的低い温度(すなわち、典型的には40℃~70℃)で軟組織内の有機分子結合を破壊または解離するのに十分なエネルギーを有することができる。これにより、周囲の組織への損傷を最小限にして、コブレーション・デバイスが対象の組織を容積分析で除去することが可能になる。コブレーションは、止血および組織収縮能も供することができる。送られる電力の量は、場の強度によって決定され、局所環境条件に基づいて調節することができる。
【0088】
コブレーションは、典型的には90℃までの温度範囲で使用することができる。
【0089】
超音波ジェネレーターは、約20キロヘルツ(20,000ヘルツ)より大きい周波数を有する音波を発生することができる。超音波は、伝導性材302によって組織200に伝導し得る。超音波は、身体組織、特に靭帯、腱および筋膜、または他の物質によって吸収され得る。
【0090】
超音波デバイスは、典型的には20KHzから数GHzまでの周波数で動作することができる。使用される治療上の超音波周波数は、典型的には0.7~3.3MHzである。超音波エネルギーまたはTENSエネルギーは、治療領域において血流を増加させることによって、治癒プロセスを加速させることができ、また治療領域における筋肉の腱および/または靭帯を静かにマッサージすることによって、腫脹および浮腫の収縮による痛みを軽減させることができる。
【0091】
超音波はまた、非侵襲的または侵襲的に腫瘍または他の組織をアブレートし得る。これは、高強度集束超音波(HIFU)として知られている技術(集束超音波手術(FUS手術)とも呼ばれる)を用いて達成することができる。この手順では、医学的診断超音波(250~2000kHz)より一般的に低い周波数を使用する。超音波が治療のために使用され得る他の一般的な状況として、例えば、靭帯捻挫、筋肉痛、腱炎、関節炎症、足底筋膜炎、中足痛、面刺激、インピンジメント症候群、滑液包炎、関節リウマチ、変形性関節症および瘢痕組織接着などの例が含まれる。
【0092】
デバイス11はまた、医師が、特に、組織の焼灼、血管シーリング、組織切開および組織再切開、組織形成、組織切除および組織凝固、組織アブレーションおよび器具加熱を、施術者が観察できる正確な位置で全て行うことを可能にする。これは、少なくとも部分的に、ブラインドにおける内視鏡手術の態様を実行する問題を解決するものである。それはまた、組織もしくは物質にエネルギーを加えさせるための、または組織や他の物質を光の向きを変えるための、または視覚化を維持しながら他の操作に従事させるための、あるデバイスを別のデバイスと交換する必要性を排除することもできる。
【0093】
より具体的な医療用途には、特に、外傷症例において組織に作用するエネルギーの適用、関節鏡手術、脊椎手術、神経外科手術、肩関節手術、肺腫瘍アブレーション、膀胱癌患者の癌組織のアブレーション、女性の健康課題(例えば、子宮内膜症)のための子宮組織の焼灼またはアブレーションを含む。これらの用途(および本明細書中に列挙される他の用途)において、デバイスは、組織に接触し、次いで組織を焼灼し、組織をアブレートし、または成形することに使用され(例えば、肩の処置において、コブレーション・エネルギーで行われる)、医師が、例えば、光学的に透明なレンズおよびコーティングを介して、リアルタイムで組織に起こる変化を観察することができることによって、比類のないパフォーマンス特性を作り出す。
【0094】
このデバイスは、腹腔鏡、ボア・スコープ、ビデオ・スコープまたは他の光学キャプチャ技術を含む用途において、フォギングを防止するために、光学的に透明なレンズを加熱して使用することもできる。
【0095】
医療用途をさらに詳しく説明するために、ジアテルミー用途におけるデバイスの使用は、短波無線周波数(1~100MHzの範囲)またはマイクロウェーブ・エネルギー(典型的には915MHzまたは2.45GHz)を使用して達成されるかどうかにかかわらず、有用な領域である。手術で使用されるジアテルミーは、少なくとも2つのタイプを含んで成ることができる。単極エネルギーは、治療すべき組織の近くの一方の電極から、体内の他の位置に固定された電極に電流が流れる場所である。通常、このタイプの電極は、身体の特定の場所に(例えば、臀部または脚の周囲と接触して)位置付けられる。これとは別に、双極エネルギーを使用することができ、両方の電極がデバイス上に閉じた電気回路を形成する近位端(この場合、光学要素10上の2つの別個の伝導性材部分302)に近接して載置され、治療すべき組織を通って、または組織上だけを電流が通る。双極電気手術の利点は、身体の他の組織を通る電流の流れを防止し、また電極に接触または近接している組織にのみに焦点を当てられることである。これは、例えば、マイクロ手術、腹腔鏡手術、心臓手術および他の処置(心臓ペースメーカーを有する患者ならびに他のデバイスおよび他の形態のエネルギーでの使用に適さない状態を含む処置)において有用である。
【0096】
電気焼灼は、電流から熱伝導を利用して組織を修正するプロセスである。この手順は、小さな血管からの出血を止めるために(より大きな血管を結紮することができる)、または柔らかい組織を通る切断からの出血を止めるために使用される。高周波交流は、単極(unipolar)方式または双極方式において電気焼灼に使用される。連続波形(組織を切断する)または間欠的なタイプ(組織を凝固させる)であり得る。単極タイプでは、電気火傷を防止するために、回路の出口点は表面積が大きい(例えば、臀部)一方で、凝固/切断される組織は小さな電極と接触する。発生する熱は、接触面積の大きさ、電流のパワー設定または周波数、印加時間、波形に依存する。組織を切断する際に使用される周波数が凝固モード(coagulation mode)よりも高く設定されるため、(一般的に)一定の波形は、間欠的な波形よりも大きな熱を発生させる。双極電気焼灼は、組織または他の物質に影響を与えるために2点間の回路を確立する。
【0097】
別のオプションとして、伝導性層302およびデバイス11は、50℃~100℃の範囲、またはさらには50℃~70℃の範囲、または推奨される場合はより低い温度で、用途に適した電力範囲を適用して、熱焼灼に使用することができる。有利なことに、デバイスを通して適用されるエネルギーの形態として視覚化する能力は、電力の正確な送達を可能とし、エネルギーのレベルおよび結果としての温度を変化させること、特定の用途に適するパワー設定を使用すること、範囲を広げるためにより長い期間にわたってエネルギーを印加すること、複数の効果を得るために複数の電極に沿ってエネルギーを印加すること、ならびに組織またはその他の物質が十分に変換されたことをより確定させてプロセスを停止させる能力を含む(この利点はもちろん、デバイス11の他の適用にも当てはまり、エネルギー・アプリケーションのリアルタイムの視覚的な監視により、より正確な適用が可能になる)。
【0098】
光学要素10は、非医療用途においても有益であり得る。光学要素の態様は、ボア・スコープの遠位端(対物レンズ)に取付けることができ、またはマイクロもしくは常套的なビデオカメラ、検査スコープ、もしくはスチルカメラ、あるいは液体、デブリおよび/もしくは血液の視覚化ならびにエネルギーの送達を改善することから有益となる他の視覚化デバイスに取付けることができる。これにより、石油製品、下水道、食品、塗料など、液体が不透明である場合を含む、配管、保持タンク、コンテナ、油圧ラインおよび視覚化が損なわれる可能性のあるその他の状況の改善された視野および修復能力の可能性が供される。バイオ医薬品製造、医薬品およびその他の用途は、パイプまたは容器(例えば、油槽)を空にするか、または検査するためにラインを開ける必要がなくなり、この革新から恩恵を受けるであろう。
【0099】
光学要素のサイズまたは柔軟性は、特定の用途(例えば、広い領域を調べるときに大量の液体を移動させること)に合わせてスケールする(または尺度を設計する、scale)ことができる。光学要素の形状は、一般的に、特定の作業のためにフラット、凸状(曲率のレベルが異なる)、角度のある(angled)、傾斜(sloped)、階段状または特定の目的のための他の形状とすることができる。例えば、光学要素は、継ぎ目を検査するためにタンクのコーナーにおける不透明液体を移動させるように、正方形または角形の形状にし得る。パイプ、ライン、チューブ、トンネルおよびその他の通路において、継手、溶接部、腐食のための継ぎ目、パイプ、フレキシブルおよび非フレキシブルな管状部材、または亀裂、表面収差、および検査および修復における他の点の点検(examination)を行うことができる。
【0100】
光学要素は、遠隔した位置を観察するために、画像キャプチャ要素及びロボット媒体(vehicle)又はロボット・アームと共に使用することができる。ワーキング・チャンネルを有する光学部品は、ネジ、接着剤パッチ、接着剤、化学薬品、溶接、はんだ付け、および他の修理および修正の用途を使用して修理を行うために、デバイスが光学要素を通過することを可能にする。態様では、光学要素は、光学要素によって移される液体の酸性、アルカリ性、高熱、または粘度に耐える材料から形成することができる。態様では、デバイスは、使い捨てのデバイスまたは再使用可能なデバイスであってもよい。
【0101】
有利なことに、デバイス11の態様は、これらの様々な非医療用途において、伝導性材302を介してエネルギーを印加する能力を供する。観察される対象に供されるエネルギーは、光学要素10によって観察される対象を加熱し、変化させ、またはそうでなければ影響を与え得る。
【0102】
(伝導性材の組成)
伝導性材302は、様々な組成を有し得、様々な方法で光学要素10に適用され得る。そのような組成および用途の例は、例示の目的のために以下に供され、限定的であるとみなされるべきではない。医療用途では、伝導性材302は、例えば、ガンマ線照射、エチレンオキシド、蒸気、または他の形態の滅菌による、滅菌に耐え得ることが好ましい。
【0103】
電気的な伝導性/応答性コーティングは、1またはそれよりも多い電極を生成するために複数の構成で適用することができる。この電極は、光学的に透明とすることができ、また組織または他の物質に対する意図された効果に応じて、半ミクロン以下の厚さおよびより厚い厚さを含む様々な厚さを有することができる。
【0104】
伝導性材は、少なくとも部分的に透明とすることができ、例えば、(2つの例示として)酸化チタン(TiO2)およびアルミニウムをドープした酸化亜鉛(AZO)を含む透明伝導性酸化物(TCO)として知られる材料の一般分類のあらゆる部材を含んで成ることができる。また、例えば銀ナノ粒子および金ナノ粒子などの視覚化を可能にする方法で適用される他の伝導性材、ならびにエネルギーの伝導および視覚化を可能にする方法で適用される他の伝導性材の用途を含むこともできる。
【0105】
視覚化材の光学回折率は、用途、所望の光透過レベル、全体の光学性能および他の要因に応じて、1.3~2.3の範囲の屈折率を有する材料を含む。透明伝導性酸化物は、380nm~750nmの可視範囲よりも短い波長に対応するエネルギーを有するバンドギャップを有する透明材を含んで成ることができる。TCOの膜(またはフィルム、film)は、例えばその表面上の点を横切って変化する伝導性を有することができる。一態様では、膜は、ポーラス、ピンホール、および/または欠陥を有さないか、または実質的に有さない。別の態様では、層におけるポーラス、ピンホールおよび/または欠陥の数およびサイズは、デバイスにおいて、層の性能に悪影響を与えない。膜の厚さは、1未満~約3500nmの範囲とすることができる。態様では、異なる製造方法および意図された用途に応じて、例えば、約10、20、30、40、50、60、70、80、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1300、および1500nmの厚さなどの異なる厚さとすることができる。
【0106】
透明導電膜は、インジウムスズ酸化物、AlまたはGaをドープした酸化亜鉛、TaまたはNbをドープした酸化チタン、Fをドープした酸化スズ、およびそれらの混合物とすることができる。酸化物層は、超薄金属層を直接酸化することによって、または酸化物を蒸着させることによって形成することができる。TCO材は、膜特性(他の特性の中でも、例えば、透過率および導電率を含む特性)に影響を及ぼすために、多結晶、結晶また非晶質の微細構造を有することができる。
【0107】
透明伝導性材として生体適合性のTCOを使用することもできる。例えばこれらの材料は、酸化アルミニウム(Al23)、ハイドロキシアパタイト(HA)、二酸化ケイ素(SiO2)チタンカーバイド(TiC)、窒化チタン(TiN)、二酸化チタン(TiO2)、二酸化ジルコニウム(ZrO2)を含む。これらの材料は、例えば、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、銀(Ag)、ガリウム(Ga)、マグネシウム(Mg)、カドミウム(Cd)、インジウム(In)、スズ(Sn)、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、クロム(Cr)、およびホウ素(B)などの他の金属を有するnドープであり得る。pドーピングは、特に窒素(N)およびリン(P)を用いて達成することができる。
【0108】
TiO2は、生体適合性材として機能することができ、室温から数百℃の温度範囲で基材を被覆する可能性を供する。TiO2は、初期粒子サイズ、初期相、ドーパント濃度、反応雰囲気およびアニーリング温度に依存し得る複数の異なる多様な形の相を有する。TiO2膜は、ゾルゲル、溶射、および物理蒸着を含む多くの方法によって一般的に合成される。
【0109】
透明伝導性の、アルミニウムドープ酸化亜鉛薄膜(AlxZnyz、ZnO:Al)は少量(典型的には5重量%未満)のアルミニウムを含む。下にある基板は、材料の膜の成長した構造および光電子特性に影響を及ぼし得る。基板が同一であっても、層の厚さ(蒸着時間、基板上の位置)自体が、蒸着された薄膜の物理的な数値に影響を及ぼす。
【0110】
成長した薄膜からの物理的な数値の変化は、(温度または圧力とする)プロセス・パラメータを変化させることによって、または(酸素または水素とする)プロセスガスへの添加によって達成することもできる。一般的に、酸化亜鉛はアルミニウムでnドープされている。別に、nドーピングは、例えば、銅(Cu)、銀(Ag)、ガリウム(Ga)、マグネシウム(Mg)、カドミウム(Cd)、インジウム(In)、スズ(Sn)、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、クロム(Cr)、およびホウ素(B)などの金属と共に実施できる。ZnOのpドーピングは、窒素(N)およびリン(P)を用いて達成することができる。
【0111】
さらに、TCOにおいて、サブ波長の金属ナノ構造を組み込むことによって、TCOが透明になる波長への変化をもたらすことができる。埋め込まれた粒子物品(embedded particles articles)はまた、所望の波長で吸収および散乱を制御するために使用され得る。材料の他の光学効果(吸収、散乱、光の閉じ込めまたは分解、ろ過、光誘起加熱などを含む効果)にも影響を与えることができる。粒子の形態(サイズ、形状、密度、均一性、適合性、分離、配置およびランダムまたは周期的な分布を含む形態)により、これらの効果を設計することができる。
【0112】
本発明の電極の基板は、本発明の透明電極構造が適用される、あらゆる適切な材料から成ることができる。これは、別の伝導性材または誘電材を含むことができる。1つの例示的な実施例では、光学要素10は基板として機能する。他の基板には、特に、ガラス、半導体、無機結晶、硬質またはフレキシブルなプラスチック材が含まれる。例示的な実施例として、特に、シリカ(SiO2)、ホウケイ酸塩(BK7)、ケイ素(Si)、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)である。
【0113】
有機材は、伝導性材としても機能することができる。これらには、ポリ(3、4-エチレンジオキシチオフェン)およびその誘導体などのポリマーのネットワークとともに、赤外光に対して高度に透明に製造できる、カーボンナノチューブ・ネットワークおよびグラフェンが含まれる。
【0114】
ポリマーは、伝導性材としても機能することができる。例えば、ポリアセチレン、ポリアニリン、ポリピロールまたはポリチオフェンの誘導体などの伝導性ポリマーである。例としては、ポリ(3、4-エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)、およびPEDOT:ポリ(スチレンスルホネート)PSSである。さらに、ヨウ素をドープしたポリ(4、4-ジオクチルシクロペンタジチオフェン)または2、3-ジクロロ-5、6-ジシアノ-1、4-ベンゾキノン(DDQ)を使用することができる。n型またはp型ドーパントを有する他のポリマーを使用することもできる。
【0115】
伝導性材の膜は、金属有機化学蒸着(MOCVD)、金属有機分子ビーム蒸着(MOMBD)、噴霧熱分解(spray pyrolysis)、およびパルスレーザ蒸着、ディップ・コーティング、ペインティング、接着または特定の用途のために伝導性材を所与の基板に適切に接着させるのに適する他の用途を含む、様々な蒸着方法を介して基板上に蒸着させることができる。TCOの製造技術は、膜のマグネトロン・スパッタリング、ゾルゲル技術、電着、気相蒸着、マグネトロンDCスパッタリング、マグネトロンRFスパッタリング、またはスパッタ蒸着法、超音波送達および溶接の両方の組合せを含む。加えて、熱プラズマ、(低圧(LP)、金属有機(MO)、プラズマ増強(PE))化学蒸着(CVD)、電子ビーム蒸発、パルスレーザ蒸着および原子層蒸着(ALD)を用いる高品質蒸着方法が、特に適用することができる。
【0116】
ALDなどの、わずか数ナノメートルの厚さの薄膜はフレキシブルであり、従って、人体内部の内部または非医学的な所与の検査部位の内部の有害な粒子の、割れおよび形成および広がりおよび拡散が起こりにくい。また、低および高タンパク質を結合する親和性コーティングは、ALDによって蒸着させることができる。それらは、診断および調製分野において、ならびに細菌増殖に耐性のある表面コーティングに特に有用である。
【0117】
改善された伝導性材の特性を得るために、前後の蒸着処理(例えば、酸素プラズマ処理および熱処理)を組合せることができる。酸素プラズマは、基板または伝導性材が高温によって影響を受ける場合に好ましい。伝導性材膜は、プロセス・パラメータの変動に応じて、広範囲の材料特性を有することができる。例えば、プロセス・パラメータを変化させることにより、広範囲の、伝導性特性および膜の形態を得ることができる。
【0118】
本明細書で使用する「コネクタ(connector)」という用語は、伝導性コーティングへの、電気的な、または他のエネルギーの伝達を可能にするあらゆる構造を意味すると広く解釈されるべきである。「コネクタ(connector)」という用語は、永久的な接続(はんだ、接着剤、撚り線、伝導性コーティングを有する伝導路)または交換可能な接続(プラグおよびハーネス・アッセンブリのような接続)、または電源から伝導性コーティングへとエネルギーを送る他の方法を指すことができる。コーティングまでの繋がるすべての方法は、物理的な接続である必要はない。例えば、電磁場を介して、例えば、インダクタンスによって、接続することができる。用語「コネクタ(connector)」はまた、接続を可能にし、仲介し、強化し、あるいは他の方法で容易にする、構造および/または機能を含み得る。特定のタイプのコネクタは、例えば電源との電気的な接続を供されるか、または電源との電気的な接続が可能な伝導性材の領域であり得る端子である。端子は、例えば、表面上に蒸着され、またエネルギー供給カテーテル上のワイヤの端部と接触するように成形された伝導性金属層であり得る。
【0119】
「コネクタ領域(connector area)」は、コネクタを取付け、載置し、被覆し、接着し、固定し、粘着し、層状にし、重ねることができる領域、またはそうでなければ伝導性コーティングにエネルギーを伝えることができる領域である。
【0120】
システム、デバイスおよび方法についての多くの態様が説明されている。それにもかかわらず、本開示の主旨および範囲から逸脱することなく、様々な変更がなされ得ることを理解されたい。従って、他の態様も、添付の特許請求の範囲内にある。
【0121】
[実施形態1]
内視鏡と共に使用されるデバイスであって、
視覚化セクションを遠位端に備えると共に、前記内視鏡に取り付けるための取付けセクションを近位端に備える光学カプラ、
前記光学カプラの少なくとも一部分に設けられ、且つ少なくとも部分的に透明である伝導性材から構成されるコーティング、
前記伝導性材にエネルギーを供することができる少なくとも1つのコネクタ、および
前記光学カプラ内にあり、器具または液体を通過させるワーキング・チャンネル
を有して成る、デバイス。
[実施形態2]
前記内視鏡がスコープ・レンズを含み、また前記視覚化セクションが、該スコープ・レンズの少なくとも一部分を覆い、前記光学カプラを通して光学画像を伝えることができるように構成される、実施形態1に記載のデバイス。
[実施形態3]
前記伝導性材が、伝導性酸化物を含み、該伝導性酸化物が、チタン伝導性酸化物およびアルミニウム伝導性酸化物から成る群から選択される、実施形態1に記載のデバイス。
[実施形態4]
前記コネクタが、電源に接続されるように構成される、実施形態1に記載のデバイス。
[実施形態5]
前記コーティングが、前記コネクタから電力を受けるように、また熱エネルギーを生じて該コーティングに隣接して設けられる組織に伝えるように構成される、実施形態1に記載のデバイス。
[実施形態6]
前記伝導性材と組織との間に静電容量場を生み出すように構成される光学的に透明な誘電層をさらに有して成る、実施形態1に記載のデバイス。
[実施形態7]
前記伝導性材が、少なくとも2つの略平行な伝導性ストリップを含む、実施形態1に記載のデバイス。
[実施形態8]
アッセンブリであって、
観察端部を有する画像キャプチャ・デバイス、
観察端部を支持するポジショニング・アッセンブリ、
観察端部上に設けられ、該観察端部にわたってエネルギーが伝達されるように配置および構成される伝導面、
前記ポジショニング・アッセンブリ内にあり、器具または液体を通過させるワーキング・チャンネル、ならびに
エネルギーを前記伝導面に供給するように構成される電源接続部
を有して成る、アッセンブリ。
[実施形態9]
前記伝導面が、光学的に透明な表面であり、および/または前記観察端部が、スコープ・レンズを含み、および/または前記伝導面が、前記スコープ・レンズ上にコーティングを含む、実施形態8に記載のアッセンブリ。
[実施形態10]
前記アッセンブリが、前記伝導面に連結される少なくとも1つのコネクタを含み、遠位端で該コネクタに電気的に連結され、前記ポジショニング・アッセンブリによって支持され、また近位端で前記電源接続部に接続される導体をさらに有して成る、実施形態8または9に記載のアッセンブリ。
[実施形態11]
伝導面を複数有して成り、該複数の伝導面が重なり合わない、および/または該伝導面が、第2伝導面によって前記電源接続部に接続され、また該第2伝導面が、白金を含む、実施形態8~10のいずれかに記載のアッセンブリ。
[実施形態12]
前記伝導性材が、前記コネクタから電力を受けるように、また曇りを抑制すべく熱エネルギーを生じて伝えるように構成される、実施形態1~7のいずれかに記載のデバイス。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図9A
図9B
図10
図11A
図11B
図11C
図12
図13