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特許7315311電界効果トランジスタ及び電界効果トランジスタを製造する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-18
(45)【発行日】2023-07-26
(54)【発明の名称】電界効果トランジスタ及び電界効果トランジスタを製造する方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/337 20060101AFI20230719BHJP
   H01L 21/338 20060101ALI20230719BHJP
   H01L 29/808 20060101ALI20230719BHJP
   H01L 29/812 20060101ALI20230719BHJP
   H01L 29/778 20060101ALI20230719BHJP
   H01L 29/12 20060101ALI20230719BHJP
   H01L 29/78 20060101ALI20230719BHJP
   H01L 21/76 20060101ALI20230719BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20230719BHJP
【FI】
H01L29/80 V
H01L29/80 H
H01L29/78 652T
H01L29/78 653A
H01L29/78 652F
H01L29/78 652K
H01L29/78 652R
H01L29/78 658A
H01L29/78 658G
H01L29/78 652E
【請求項の数】 8
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018163164
(22)【出願日】2018-08-31
(65)【公開番号】P2019047122
(43)【公開日】2019-03-22
【審査請求日】2021-04-23
(31)【優先権主張番号】10 2017 215 296.6
(32)【優先日】2017-09-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】イェンス バーリングハウス
(72)【発明者】
【氏名】ゼバスティアン マンスフェルト
(72)【発明者】
【氏名】ズィーモン ヤウス
【審査官】恩田 和彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-017071(JP,A)
【文献】国際公開第2015/122135(WO,A1)
【文献】特開2012-084562(JP,A)
【文献】特開2008-227356(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/778
H01L 29/812
H01L 21/337
H01L 21/338
H01L 29/12
H01L 29/78
H01L 21/76
H01L 21/336
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦型電界効果トランジスタ(1a~1d)であって、
前記電界効果トランジスタ(1a~1d)の第1の接触接続側(14)に配置されているゲート端子(2)及びソース端子(3)と、
前記電界効果トランジスタ(1a~1d)の前記第1の接触接続側(14)に対向する第2の接触接続側(15)に配置されているドレイン端子(4)と、
前記第1の接触接続側(14)と前記第2の接触接続側(15)との間に存在する、ドープされていない窒化ガリウム層(5)と、
を備えている縦型電界効果トランジスタ(1a~1d)において、
前記ドープされていない窒化ガリウム層(5)の内部に、p型ドープされた窒化ガリウム構造体(6a~6d)が埋め込まれており、
前記ゲート端子(2)は、多結晶シリコンから成る層(7)を有していることを特徴とする、縦型電界効果トランジスタ(1a~1d)。
【請求項2】
前記多結晶シリコンから成る層(7)は、トレンチ溝(12)内に配置されている、請求項に記載の電界効果トランジスタ(1a~1d)。
【請求項3】
前記ドープされていない窒化ガリウム層(5)の、前記第1の接触接続側(14)に面する側に、窒化アルミニウムガリウム層(8)が形成されており、前記窒化アルミニウムガリウム層(8)上には、さらにゲート誘電体層(9)が形成されており、前記ゲート誘電体層(9)は、前記ゲート端子(2)と前記ソース端子(3)との間に延在している、請求項1又は2に記載の電界効果トランジスタ(1a~1d)。
【請求項4】
前記ドープされていない窒化ガリウム層(5)の、前記第2の接触接続側(15)に面する側に、n型ドープされた窒化ガリウム層(10)が形成されている、請求項1乃至のいずれか一項に記載の電界効果トランジスタ(1a~1d)。
【請求項5】
前記埋め込まれたp型ドープされた窒化ガリウム構造体(6a~6d)は、少なくとも部分的に、前記n型ドープされた窒化ガリウム層(10)内に延在している、請求項に記載の電界効果トランジスタ(1a~1d)。
【請求項6】
前記埋め込まれたp型ドープされた窒化ガリウム構造体(6a~6d)は、前記ドープされていない窒化ガリウム層(5)を貫通して少なくとも1つのチャネル(11)を取り囲み、当該少なくとも1つのチャネル(11)によって、ゲート電圧の印加の際に、前記ドレイン端子(4)への電流通流が可能になる、請求項1乃至のいずれか一項に記載の電界効果トランジスタ(1a~1d)。
【請求項7】
請求項1乃至のいずれか一項に記載の縦型電界効果トランジスタ(1a~1d)を製造する方法において、
ドープされていない窒化ガリウム層(5)を形成するステップであって、当該ドープされていない窒化ガリウム層(5)の内部にp型ドープされた窒化ガリウム構造体(6a~6d)が埋め込まれている、ステップと、
前記ドープされていない窒化ガリウム層(5)の第1の側に、ゲート端子(2)及びソース端子(3)を形成するステップと、
前記ドープされていない窒化ガリウム層(5)の前記第1の側に対向する第2の側に、ドレイン端子(4)を配置するステップと、
を含み、
前記ドープされていない窒化ガリウム層(5)内にトレンチ溝(12)が形成され、該トレンチ溝(12)内に、多結晶シリコンから成るゲート端子(2)の層(7)が形成される、方法。
【請求項8】
前記ドープされていない窒化ガリウム層(5)は、n型ドープされた窒化ガリウム層(10)上に配置され、前記埋め込まれたp型ドープされた窒化ガリウム構造体(6a~6d)は、少なくとも部分的に、前記n型ドープされた窒化ガリウム層(10)内に形成される、請求項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、縦型電界効果トランジスタ、特に縦型高電子移動度トランジスタ(HEMT)、及び、縦型電界効果トランジスタ乃至縦型高電子移動度トランジスタ(HEMT)を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
背景技術
窒化ガリウム層を有する縦型電界効果トランジスタは、高い逆電圧を、同時に低いオン抵抗のもとで可能にする。この種の電界効果トランジスタは、通常、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)層及び窒化ガリウム(GaN)層を有する。電気抵抗を最小化するためには、高導電性の中間層を、電界効果トランジスタの窒化アルミニウムガリウム層と窒化ガリウム層との間の境界面にチャネルとして使用することができる。相互接続なしでは、この種のチャネルは、導電性(常時閉)である。ゲート電圧を印加することにより、電流通流を中断することができる。しかしながら、安全上の理由から、特に自動車分野への適用に対しては、駆動制御なしで非導電性(常時開)であるチャネルの実施形態が必要である。
【0003】
米国特許出願公開第2013/0105808号明細書(US2013/0105808A1)からは、常時開動作を有する例示的な電界効果トランジスタが公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許出願公開第2013/0105808号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
発明の開示
本発明は、請求項1の特徴を有する縦型電界効果トランジスタ、及び、請求項8の特徴を有する電界効果トランジスタを製造する方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
従って、第1の態様によれば、本発明は、電界効果トランジスタの第1の接触接続側に配置されているゲート端子及びソース端子を備えている縦型電界効果トランジスタに関する。対向する第2の接触接続側には、電界効果トランジスタのドレイン端子が配置されている。これらの接触接続側の間には、ドープされていない窒化ガリウム層が存在しており、ここでは、ドープされていない窒化ガリウム層内に、p型ドープされた窒化ガリウム構造体が埋め込まれている。
【0007】
第2の態様によれば、本発明は、電界効果トランジスタを製造する方法に関し、ここでは、p型ドープされた窒化ガリウム構造体が埋め込まれたドープされていない窒化ガリウム層が形成される。さらに、当該ドープされていない窒化ガリウム層の第1の側に、ゲート端子及びソース端子が形成される。最後に、当該ドープされていない窒化ガリウム層の第1の側に対向する第2の側に、ドレイン端子が配置される。
【0008】
好ましい実施形態は、各従属請求項の対象である。
【0009】
発明の利点
ドープされていない窒化ガリウム層とその上に存在する窒化アルミニウムガリウム層との間の境界面に、p型ドープされた窒化ガリウム層を直接成長させることは、常時開動作を提供するために従来技術から公知であり、当該導電性AlGaN/GaN中間層の移動度を低減させることに結び付けることが可能である。それに対して、本発明は、p型ドープされた窒化ガリウム構造体が、ドープされていない窒化ガリウム層内に埋め込まれる、電界効果トランジスタを提供している。これにより、ドープされていない窒化ガリウム層の境界面を少なくすることができるようになると共に、このことは、常時開動作を可能にさせ、さらに、ゲート端子の下方で局所的な電界強度の上昇を回避することもできるようになる。
【0010】
好ましい発展形態によれば、ゲート端子は、多結晶シリコン(ポリシリコン)からなる層を有する。p型ドープされた窒化ガリウム構造体は、ドープされていない窒化ガリウム層内に埋め込まれており、境界層には直接配置されないので、何よりも最初に多結晶シリコンをゲート端子のために使用することが可能になる。なぜなら、それ以外では、不都合な高い電磁場とイオン移動発生の可能性とを抑制することができるからである。多結晶シリコンの使用は、好ましくは、より信頼性の高いゲート動作を保証する。
【0011】
電界効果トランジスタの好ましい実施形態によれば、多結晶シリコンからなる層がトレンチ溝内に配置されている。これにより、一方では、電界効果トランジスタの製造がより容易になる。なぜなら、トレンチ溝内での多結晶シリコンからなる層の成長が簡単になるからである。さらに付加的に、縦型電界効果トランジスタをよりコンパクトに構成することができる。なぜなら、ゲート端子が少なくとも部分的に基板内に集積化されるからである。
【0012】
電界効果トランジスタの好ましい発展形態によれば、ドープされていない窒化ガリウム層の、第1の接触接続側に面する側に、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)層が形成されており、この場合、この窒化アルミニウムガリウム層には、さらにゲート誘電体層が形成されており、このゲート誘電体層は、ゲート端子とソース端子との間を延在している。ゲート誘電体層を用いて絶縁されたゲート電極の使用は、特に、多結晶シリコンからなる層との組み合わせにおいて、信頼性の高いゲート動作を保証するために特に有利である。
【0013】
電界効果トランジスタの好ましい実施形態においては、ドープされていない窒化ガリウム層の、第2の接触接続側に面する側に、n型ドープされた窒化ガリウム層が形成されている。このn型ドープされた窒化ガリウム層は、好ましくはさらに、第1のn型ドープされた窒化ガリウム層を有することができ、この第1のn型ドープされた窒化ガリウム層は、ドープされていない窒化ガリウム層に直接配置されている。さらに、このn型ドープされた窒化ガリウム層は、第2のn型ドープされた窒化ガリウム層を有することができ、この第2のn型ドープされた窒化ガリウム層は、第1のn型ドープされた窒化ガリウム層よりも高濃度にドープされ、かつ、第1のn型ドープされた窒化ガリウム層に直接配置されている。n型ドープされた窒化ガリウム層は、ゲート端子又はソース端子と、ドレイン端子との間の電流通流を可能にする。
【0014】
電界効果トランジスタの好ましい発展形態によれば、埋め込まれたp型ドープされた窒化ガリウム構造体は、少なくとも部分的に、n型ドープされた窒化ガリウム層内に延在している。
【0015】
電界効果トランジスタの一発展形態によれば、埋め込まれたp型ドープされた窒化ガリウム構造体は、ドープされていない窒化ガリウムによって形成される少なくとも1つのチャネルを取り囲み、当該少なくとも1つのチャネルによって、ゲート電圧の印加の際に、電流がドレイン端子に流れる。
【0016】
この方法の好ましい発展形態によれば、ドープされていない窒化ガリウム層内にトレンチ溝が形成され、この場合、このトレンチ溝内に、多結晶シリコンから成るゲート端子の層が形成される。
【0017】
この方法の好ましい発展形態によれば、ドープされていない窒化ガリウム層は、n型ドープされた窒化ガリウム層上に配置され、この場合、埋め込まれたp型ドープされた窒化ガリウム構造体は、少なくとも部分的に、n型ドープされた窒化ガリウム層内に形成される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の第1の実施形態による縦型電界効果トランジスタにおける概略的断面図。
図2】本発明の第2の実施形態による縦型電界効果トランジスタにおける概略的断面図。
図3】本発明の第3の実施形態による縦型電界効果トランジスタにおける概略的断面図。
図4】本発明の第4の実施形態による縦型電界効果トランジスタにおける概略的断面図。
図5】本発明の一実施形態による縦型電界効果トランジスタを製造する方法を説明するための、加工すべき電界効果トランジスタの個々の中間段階を示した図。
図6】本発明の一実施形態による縦型電界効果トランジスタを製造する方法を説明するための、加工すべき電界効果トランジスタの個々の中間段階を示した図。
図7】本発明の一実施形態による縦型電界効果トランジスタを製造する方法を説明するための、加工すべき電界効果トランジスタの個々の中間段階を示した図。
図8】本発明の一実施形態による縦型電界効果トランジスタを製造する方法を説明するための、加工すべき電界効果トランジスタの個々の中間段階を示した図。
図9】本発明の一実施形態による縦型電界効果トランジスタを製造する方法を説明するための、加工すべき電界効果トランジスタの個々の中間段階を示した図。
図10】本発明の一実施形態による縦型電界効果トランジスタを製造する方法を説明するための、加工すべき電界効果トランジスタの個々の中間段階を示した図。
図11】本発明の一実施形態による縦型電界効果トランジスタを製造する方法を説明するための、加工すべき電界効果トランジスタの個々の中間段階を示した図。
図12】本発明の一実施形態による縦型電界効果トランジスタを製造する方法を説明するための、加工すべき電界効果トランジスタの個々の中間段階を示した図。
【0019】
総ての図面において、同一の、又は、機能的に同等の要素及び装置には、同一の参照番号が付されている。
【発明を実施するための形態】
【0020】
実施例の説明
図1には、本発明の第1の実施形態による縦型電界効果トランジスタ1aにおける概略的断面図が示されている。この電界効果トランジスタは、HEMTとして構成されており、第1の接触接続側14と、対向する第2の接触接続側15とを有しており、これらの接触接続側の間には、複数の層が形成されおり、それらの層は、以下においてより詳細に説明する。
【0021】
電界効果トランジスタ1aの基本的層構造体は、n型ドープされた窒化ガリウム(GaN)層10と、このn型ドープされた層構造体10の表面に配置されたドープされていない窒化ガリウム層5とを含む。n型ドープされた窒化ガリウム層10は、ドープされていない窒化ガリウム層5に直接接触している第1のドープされた窒化ガリウム層10-1と、第2の接触接続側15の方に配置されている第2のn型ドープされた窒化ガリウム層10-2とに分割されている。第2のn型ドープされた窒化ガリウム層10-2上には、ドレイン端子4のオーミックコンタクトが形成されている。
【0022】
ドープされていない窒化ガリウム層5には、V字型トレンチ溝12が形成されている。このトレンチ溝12の表面、及び、ドープされていない窒化ガリウム層5の接触表面には、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)層8が形成されている。この窒化アルミニウムガリウム層8の上には、さらに、例えば、窒化シリコンSiN又は酸化シリコンSiO2から成り得るゲート誘電体層9が形成されている。トレンチ溝12は、多結晶シリコンから成る層7によって充填されており、この層7の表面には、オーミックコンタクト13が配置されている。多結晶シリコンから成る層7と、ゲート誘電体層9と、オーミックコンタクト13とは、ゲート端子2を形成している。ドープされていない窒化ガリウム層5の表面には、さらに、電界効果トランジスタ1aのソース端子3の複数のさらなるコンタクトが配置されており、これらのさらなるコンタクトは、ゲート誘電体層9と接触接続する。
【0023】
ドープされていない窒化ガリウム層5内には、p型ドープされた窒化ガリウム構造体6aが埋め込まれており、このp型ドープされた窒化ガリウム構造体6aは、部分的に、第1のn型ドープされた窒化ガリウム層10-1内に延在している。「埋め込まれている」との表現は、p型ドープされた窒化ガリウム構造体6aが、ドープされていない窒化ガリウム層5の表面に配置されているだけでなく、p型ドープされた窒化ガリウム構造体6aの少なくともいくつかの構造要素又は層要素が、ドープされていない窒化ガリウム層5の表面の下に延在していること、例えば、ドープされていない窒化ガリウム層5の表面に対して平行に延在していることを意味するものと理解されたい。
【0024】
p型ドープされた窒化ガリウム構造体6aは、その対称軸線が縦型電界効果トランジスタの第1の接触接続側14に対して垂直方向に延在する、実質的に円筒状の側方領域6a-3を有している。さらに、p型ドープされた窒化ガリウム構造体6aは、円筒状側方領域6a-3によって取り囲まれた領域の内部に存在する2つの円板状領域6a-1及び6a-2を含む。第1の円板状領域6a-1は、実質的に当該領域を取り囲んでいる領域の中央に存在しており、ドープされていない窒化ガリウム層5の内部に位置している。第2の円板状領域6a-2は、基板内に存在する円筒状側方領域6a-3の端部領域に存在しており、第1のn型ドープされた窒化ガリウム層10-1の内部に存在している。従って、p型ドープされた窒化ガリウム構造体6aの半部を断面において見ると、これは、実質的に逆F字の形状を有している。
【0025】
p型ドープされた窒化ガリウム構造体6aは、ドープされていない窒化ガリウム層5の内部、及び、n型ドープされた窒化ガリウム層10の内部に延在するチャネル領域11を取り囲むように又は開放するように形成されている。ゲート電圧がゲート端子2に印加されると、電流がチャネル11を通ってドレイン端子4に流れる。ゲート電圧が印加されない場合には、電流も流れず、即ち、埋め込まれたp型ドープされた窒化ガリウム構造体6aは、常時開動作を提供する。
【0026】
図2には、本発明の第2の実施形態による縦型電界効果トランジスタ1bにおける断面図が示されている。図示されている電界効果トランジスタ1bは、図1に示された電界効果トランジスタ1aに実質的に相当するが、ドープされていない窒化ガリウム層5内に埋め込まれたp型ドープされた窒化ガリウム構造体6bの実施形態は、異なっている。第1の実施形態による別個の円板状領域6a-1,6a-2は、第2の実施形態によれば一体化されている。換言すれば、p型ドープされた窒化ガリウム構造体6bは、基板内に存在する、当該p型ドープされた窒化ガリウム構造体6bの円筒状側方領域6b-1の端部領域に配置されている単一の円板状区間6b-2のみを有している。
【0027】
図3は、本発明の第3の実施形態による縦型電界効果トランジスタ1cにおける概略的断面図を示す。図3に示されている電界効果トランジスタ1cは、図2に示されている電界効果トランジスタ1bとは、次の点において異なっている。即ち、p型ドープされた窒化ガリウム構造体6cが、ドープされていない窒化ガリウム層5の完全に内部に延在している点において、即ち、n型ドープされた窒化ガリウム層10内に延在していない点において異なっている。
【0028】
図4には、本発明の第4の実施形態による縦型電界効果トランジスタ1dにおける概略的断面図が示されている。この実施形態によれば、p型ドープされた窒化ガリウム構造体6dは、円板状領域6d-3によって相互に接続された外側円筒状領域6d-1と内側円筒状領域6d-2とを有している。従って、p型ドープされた窒化ガリウム構造体6dの半部を断面において見ると、これは、実質的にU字の形状である。
【0029】
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではない。それどころか、p型ドープされた窒化ガリウム構造体は、実質的に任意に成形されてもよい。
【0030】
図5乃至図12には、縦型電界効果トランジスタ1aを製造する一例としての方法の個々の方法ステップが示されている。
【0031】
図5は、ここでは、第1の方法ステップを示しており、この場合は、高濃度にn型ドープされた窒化ガリウム基板10-2が準備され、この高濃度にn型ドープされた窒化ガリウム基板10-2上でエピタキシャル成長によって低濃度にドープされるn型ドープされた窒化ガリウム層10-1が形成される。高濃度にn型ドープされた窒化ガリウム基板10-2、及び、低濃度にドープされるn型ドープされた窒化ガリウム層10-1は、n型ドープされた窒化ガリウム層10を形成する。
【0032】
図6に示されている第2の方法ステップにおいては、p型ドープされた窒化ガリウム領域61が、低濃度にドープされるn型ドープされた窒化ガリウム層10-1内への注入を用いて形成される。さらなる実施形態によれば、p型ドープされた窒化ガリウム領域61は、p型ドープされた窒化ガリウム層のエピタキシャル成長及びその後のp型ドープされた窒化ガリウム層の構造化によって形成することができる。
【0033】
図7に示されている方法ステップにおいては、p型ドープされた窒化ガリウム領域61を有するn型ドープされた窒化ガリウム層10-1の表面に、ドープされていない窒化ガリウム層51と、その上に存在するp型ドープされた窒化ガリウム層62とが堆積される。
【0034】
さらなる方法ステップにおいては、図8に示されているように、p型ドープされた窒化ガリウム層62が構造化される。p型ドープされた窒化ガリウム領域61、及び、構造化されたp型ドープされた窒化ガリウム層62は、2つの円板状領域を形成する。
【0035】
次いで、エッチングプロセスを用いることにより、図9に示されているトレンチ溝12が形成され、このトレンチ溝12は、p型ドープされた窒化ガリウム領域62を貫通して、ドープされていない窒化ガリウム層51内に延在している。好ましくは、このトレンチ溝12の側壁の角度は80°未満である。
【0036】
図10には、さらなる方法ステップが示されており、ここでは、p型ドープされた円板状領域は相互に接続される。この接続は、例えば、注入によって実施することができる。この接続により、p型ドープされた窒化ガリウム構造体6aが生成される。さらなる実施形態によれば、対応する接続は、既に図6乃至図8に示されているステップの間にエピタキシャル成長のもとで構造化することが可能である。
【0037】
図11に示されている方法ステップにおいては、窒化アルミニウムガリウム層8及びゲート誘電体層9が、トレンチ溝12内、及び、ドープされていない窒化ガリウム層5の表面の接触領域に堆積される。さらに、多結晶シリコンから成る層7がトレンチ溝内に堆積される。ゲート誘電体層9は、例えば、窒化ケイ素SiN又は酸化ケイ素SiOから構成されてもよい。
【0038】
図12に示されている最終的な方法ステップにおいては、ゲート端子2、ドレイン端子4及びソース端子3のための電極として対応するオーミックコンタクトが形成される。これらの電極の材料は、例えば、チタンTi、窒化チタンTiN、チタン/タングステンTiW、タングステンW、ニッケルNi、金Au又は銅Cuを含み得る。
【0039】
本発明は、図示された方法ステップに限定されるものではない。特に、異なって構造化される又は成形されるp型ドープされた窒化ガリウム構造体が、類似の方法ステップによって製造可能である。そのため、例えば、図2乃至図4に示されている電界効果トランジスタ1b~1cは、実質的に類似の堆積プロセス及び構造化プロセスによって製造可能である。
【0040】
本発明に係る電界効果トランジスタは、多岐にわたって使用することが可能であり、例えば、電動ドライブトレイン、インバータ、電圧変換器又はライダー機器への使用に適している。
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